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特開2024-129647自動レベル調整装置および自動レベル調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129647
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】自動レベル調整装置および自動レベル調整方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 1/00 20060101AFI20240919BHJP
   F16M 7/00 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
B23Q1/00 T
F16M7/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038982
(22)【出願日】2023-03-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】519101498
【氏名又は名称】株式会社ニッシン
(74)【代理人】
【識別番号】110003454
【氏名又は名称】弁理士法人友野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】作間 雄次
【テーマコード(参考)】
3C048
【Fターム(参考)】
3C048AA03
(57)【要約】
【課題】構造物のベースプレートを受承して微小変化量で昇降しつつ上面を自動レベル調整する装置を提供すること。
【解決手段】自動レベル調整装置1は、軸方向が鉛直方向であり回転可能・上下方向移動不能に設けられたネジ軸30と、リング状の大径部41とナット部である小径部42とを含み、小径部42がネジ軸30の上端部31に螺合され、自動レベル調整時に大径部41がベースプレートBを受承しネジ軸30が回転すると構造物Aとの摩擦により回転不能で上下方向に従動する昇降部材40と、ネジ軸30に回転伝達する歯車列20と、歯車列20に駆動回転を与える回転駆動手段10とを備え、回転駆動手段10は、ベースプレートBの上面の水平度を検出するよう設置されるデジタル水平器Gの出力パルスに基づいてベースプレートBの上面のレベル調整を終えるまで駆動回転を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レベル調整が必要な構造物のベースプレートを受承して微小変化量で昇降しつつ前記ベースプレートの上面を自動レベル調整する自動レベル調整装置であって、
軸方向が鉛直方向であり回転可能・上下方向移動不能に設けられたネジ軸と、
大径部と前記大径部の下側または上側に固定的に設けられる小径部とを含み、前記大径部と前記小径部のうちの少なくとも前記小径部の中心を貫通して螺設された雌ネジが前記ネジ軸の上端部に螺合され、自動レベル調整時に前記大径部の端面で前記ベースプレートの下面を受承し前記ネジ軸が回転すると前記大径部が前記ベースプレートとの摩擦により回転不能であり上下方向に従動する昇降部材と、
水平軸線の周りの回転を鉛直軸線の周りの回転に変換して前記ネジ軸に回転伝達する歯車列と、
前記歯車列に駆動回転を与える減速機付き制御用モータとを備え、
前記減速機付き制御用モータは、前記ベースプレートの上面の水平度を検出するよう設置されるデジタル水平器の出力パルスに基づいて前記ベースプレートの上面のレベル調整を終えるまで駆動回転を行う
ことを特徴とする自動レベル調整装置。
【請求項2】
前記昇降部材は、
前記大径部を上側に、前記小径部を下側に備え、前記大径部と前記小径部のうち、少なくとも前記小径部には中心を貫通して螺設された雌ネジを有し、前記雌ネジに前記ネジ軸の上端部の雄ネジ部が螺合し、かつ自動レベル調整開始時に前記ネジ軸の上端が前記大径部内の中途位置にある
ことを特徴とする請求項1に記載の自動レベル調整装置。
【請求項3】
前記昇降部材は、
前記大径部を上側に、前記小径部を下側に備え、前記大径部と前記小径部のうち、少なくとも前記小径部には中心を貫通して螺設された雌ネジを有し、前記雌ネジに前記ネジ軸の上端部の雄ネジ部が螺合し、さらに前記大径部上に同心に載置されるリング部材と、前記リング部材上に設けられた嵌合ピンとを有し、自動レベル調整時に、前記ベースプレートに設けられたボルトを通す孔に対し前記嵌合ピンが嵌合する
ことを特徴とする請求項1に記載の自動レベル調整装置。
【請求項4】
前記昇降部材は、
前記大径部がリング状で上側に、前記小径部が雌ネジを有し下側に備え、前記小径部の前記雌ネジが前記ネジ軸の上端部に螺合し、かつ自動レベル調整開始時に前記ネジ軸の上端が前記大径部内の中途位置にあり、
さらに、前記大径部上に同心に固定されるフランジ部と、前記フランジ部の上面より突出するピン部と、前記ピン部よりさらに上方に突出する雄ネジ部とを有する連結具を備え、自動レベル調整時に、前記フランジ部が前記ベースプレートの下面を受承し、かつ前記ピン部が前記ベースプレートに設けられたボルトを通す孔に嵌合し、さらに前記ボルトを通す孔より上側に突出する前記雄ネジ部にナットが螺合する
ことを特徴とする請求項1に記載の自動レベル調整装置。
【請求項5】
前記昇降部材は、
前記大径部がリング状で上側に、前記小径部が雌ネジを有し下側に備え、前記小径部の前記雌ネジが前記ネジ軸の上端部に螺合し、かつ自動レベル調整開始時に前記ネジ軸の上端が前記大径部内の中途位置にあり、
さらに、前記大径部上に同心に固定されるフランジ部と、前記フランジ部上に同心に凸設された雄ネジ部とを有し、自動レベル調整時に前記フランジ部が前記ベースプレートの下面を受承し、かつ前記雄ネジ部が前記ベースプレートに設けられた雌ネジに螺合する
ことを特徴とする請求項1に記載の自動レベル調整装置。
【請求項6】
前記昇降部材は、
前記大径部の上面より前記小径部が突出しさらに雄ネジ部が突出し、前記大径部と前記小径部と前記雄ネジ部の中心を貫通して設けられた雌ネジにネジ軸の上半部の雄ねじ部が挿通状態に螺合され、自動レベル調整時に、前記大径部が前記ベースプレートの下面を受承し、かつ前記小径部が前記ベースプレートに設けられたボルトを通す孔に嵌合し、さらに前記ボルトを通す孔より上側に突出する前記雄ネジ部にナットが螺合する
ことを特徴とする請求項1に記載の自動レベル調整装置。
【請求項7】
前記昇降部材は、
前記昇降部材が、
前記大径部を下側に、前記小径部を上側に備えかつ前記小径部の外周面に雄ネジが形成された段軸形状であり、前記大径部と前記小径部の中心を貫通して設けられた雌ネジに前記ネジ軸の上半部の前記雄ねじ部が挿通状態に螺合され、自動レベル調整時に、前記大径部が前記ベースプレートの下面を受承し、かつ前記小径部の外周面の前記雄ネジが前記ベースプレートに設けられた雌ネジに螺合する
ことを特徴とする請求項1に記載の自動レベル調整装置。
【請求項8】
前記ベースプレートの上面のレベル調整を終えて前記制御用モータが駆動回転を停止したら、前記構造物のベースプレートの負荷により前記ネジ軸が逆回転することがないよう前記制御用モータの回転軸を回転不能とするブレーキ装置が設けられている
ことを特徴とする請求項1-7のいずれか1項に記載の自動レベル調整装置。
【請求項9】
構造物のレベル調整作業スペースに前記構造物を吊り下ろすとともに前記構造物のベースプレートの下側に請求項1-7のいずれか1つに記載の自動レベル調整装置を複数の所定位置に配置し、この際、前記自動レベル調整装置のネジ軸の上端部に螺合した昇降部材でベースプレートの下面を受承し、またはベースプレートの下面を受承することに加え、前記昇降部材をベースプレートに設けられたボルトを通す孔またはネジ孔に係合し、前記ベースプレートの上面にX方向の水平度を検出する第1のデジタル水平器とY方向の水平度を検出する第2のデジタル水平器とを配置し、第1および第2のデジタル水平器のうち、いずれか一方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該一方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整装置により自動レベル調整を行い、次いで他方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該他方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整装置により自動レベル調整を行い、もって、前記ベースプレートの上面のX方向およびY方向のレベル調整を行う
ことを特徴とする自動レベル調整方法。
【請求項10】
構造物のレベル調整作業スペースに前記構造物を吊り下ろすとともに前記構造物のベースプレートの下側の四隅をアジャスター機能を有する支持脚で受承するとともに、請求項1-7のいずれか1つに記載の自動レベル調整装置を前記ベースプレートの複数の所定位置に配置し、かつ前記自動レベル調整装置の昇降部材を前記ベースプレートの下面に係合させ、前記ベースプレートの上面にX方向の水平度を検出する第1のデジタル水平器とY方向の水平度を検出する第2のデジタル水平器とを配置し、第1および第2のデジタル水平器のうち、いずれか一方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該一方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整装置により自動レベル調整を行い、次いで他方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該他方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整装置により自動レベル調整を行い、もって、前記ベースプレートの上面のX方向およびY方向のレベル調整を行うとともに、前記支持脚によるベースプレートの四隅の受承高さを固定する
ことを特徴とする自動レベル調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動レベル調整装置および自動レベル調整方法に係り、特に、工作機械等のベースプレートのレベル調整が必要な構造物をレベル調整して設置する際に用いられる自動レベル調整装置および自動レベル調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば工作機械の製造過程では、加工・組付け・検査等の各工程毎に構造物のレベル調整が必要であった。具体的には、例えば工作機械が各工程毎に定盤等に載置されると共に、その基準面となるテーブル等に水平器(水準器ともいう)を置き、作業者がこれを見ながら経験と勘に依って工作機械が水平となる様にその脚部に設けられたアジャスターをレンチで回していた。構造物の鉛直出しも定盤等に載置されるワークのレベル調整の後に行っている。
【0003】
加工・組付け・検査等を行う機械加工機等はレベル(水平)に設置することでその性能を発揮できる設計になっている。レベルとは水平の度合いのことで、産業機械にとって、加工・組付け・検査等の各工程毎に水平を高精密に出すことは基本であり、動作精度の維持には欠かせない。
【0004】
各種の加工機や製造装置、組立装置等(以下、構造物という。)において、ワークを固定し当該ワークに高精密な水平度を有する平面加工や孔加工、鉛直な平面加工や孔加工を実施するには、そもそも機械加工機のベースプレートやワークを固定する定盤などが高精密にレベル調整されて設置されていなければならない。レベル調整は、装置架台やベース装置フレームの設置では欠かせない作業であり、特に、装置間のやり取りを行う搬送設備ではフロアレベルの測定とパスラインの調整が重要である。
【0005】
ワークを固定する定盤が高精密にレベル調整されていない場合、例えば、高精密に竪孔加工するワイヤカット放電加工機のワイヤカットを高精密にレベル調整できないことに加え、高精密な鉛直にセットすることができないから高精密に鉛直な竪孔加工が実現できない。
【0006】
レベル調整が高精密に行われていない構造物ではベースプレートやワークを設置するための架台上面の水平度にわずかな誤差があると、それに起因してワークに水平面を出す平面加工や鉛直な孔加工を高精度に行うことはできず不良品の発生や、機械・工具の寿命を縮める原因になる。なお、水平は産業機械を使用しているうちに自重や振動・熱などにより変化するため、設置後も定期的にレベル調整を行う必要がある。
【0007】
同様に、その他、食品加工機や半導体製造装置、その他の産業機械においてもレベル調整が高精密に行われている必要がある。
【0008】
多くの産業機械では、基本的に、工場などのコンクリート床にアンカーボルトが埋設され当該アンカーボルトのボルト頭部を産業機械のベースプレートの周縁部に設けるボルト通し孔に挿通するよう産業機械を吊り下ろし、ボルトに螺合するアジャスターとしてのダブルナットでベースプレートを受け止め、ベースプレートに載置した水平器・ダイヤルゲージ・レーザー墨出し器・コンベックスなどを見ながらナットを締めたり緩めたりして高さや角度を確認しながらレベル調整を人手により行っていた。
【0009】
人手によるレベル調整は多くの場合は長い作業時間を要する。構造物の重量が大きい時には、レンチを回す力も大きくなって微妙な調整が難しく、X軸・Y軸共に水平にするには、熟練作業者でも数十分の時間が掛かっていた。
【0010】
水平器としては、気泡管に加えて測定した値をデジタルで表示するモニタを備え水平・垂直だけでなく、さまざまな角度の微妙な値を読み取ることができ、さらにパルスを出力できるデジタル水平器(デジタル精密水準器)が利用されている。また、最新式の三次元測定機が活用されている。
【0011】
そこで、作業者の熟練度に関係なく、自動的に短時間で高精度な水平出し(レベル調整と同義)が行なえる自動水平出し装置が提案されている(特許文献1)。
【0012】
この自動水平出し装置は、構造物の下面の平面三角形状の3頂点のうちの一側中程の1点を支持脚を有する固定サポートで支承し他側両角の2点をそれぞれジャッキで支承し、構造物の基準面に水平器を置いてX軸とY軸の傾斜角度で計測しそのセンサ信号に基づいて2つのジャッキを昇降制御し構造物の水平出しを行うよう構成されている。ジャッキは、扛重部(持ち上げ昇降機構)とこれを駆動する駆動部(減速機付きサーボモータ)とを着脱可能に連結した構造である。水平出し完了後は、2つのジャッキの各扛重部を支持脚として残し駆動部を取り外し、取り外した駆動部を他のジャッキと組み合わせ別の構造物の水平出しに使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許公開2000-107962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、これまでの技術では、いずれも(後述するように)一長一短が存在する。
【0015】
そこで、本発明は、上述した点に鑑み案出されたもので、構造物のベースプレートを受承して微小変化量で昇降しつつ上面を自動レベル調整する装置を提供することを、その目的とする。
【0016】
より詳細には、レベル調整を必要とする構造物が大重量物であっても十分な持ち上げ機能と微小変化量で昇降する機能を有し、製造工場内で構造物のベースプレートを受承しデジタル水平器と連携して微小変化量で昇降し自動レベル調整を行うことができる自動レベル調整装置および自動レベル調整方法を提供することを主位的目的としている。
【0017】
また本発明は、製造工場で構造物のベースプレートの複数個所を連結状態で受承し1度目の自動レベル調整ができ、この調整後ユーザー企業の工場への構造物の搬送に際し構造物を吊り上げるとベースプレートに連結したまま搬送先の工場に設置され2度目の自動レベル調整に供される自動レベル調整方法を提供することを副次的目的としている。
【0018】
また本発明は、製造工場で構造物のベースプレートの四隅を連結状態に受承するアジャスター機能を有する支持脚とは別の複数個所に受承状態に設置されて1度目の自動レベル調整ができ、この調整後ユーザー企業の工場に搬送設置される構造物のベースプレートの2度目の自動レベル調整に供される自動レベル調整方法を提供することを副次的目的としている。また本発明は、ベースプレートの四隅のボルトを通す孔を自動レベル調整に利用することができ、製造工場で構造物のベースプレートに孔加工を加える等の構造変更の必要が無く、ベースプレートの四隅のボルトを通す孔に自動レベル調整装置を装着して1度目と2度目の自動レベル調整を実施することができる自動レベル調整方法を提供することも副次的目的としている。
【0019】
さらに本発明は、構造物のベースプレートを受承し自動レベル調整中に大きな地震が発生しても構造物が落下する事故を未然に防ぐことができる自動レベル調整方法を提供することを副次的目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するに当たり、本発明者は、まず、次のように思考を発展させた。
【0021】
[自動レベル調整装置の2度目の適用について]
構造物の製造工場内で特許文献1の自動水平出し装置を用いて構造物のベースプレートの上面の1度目の水平出しを行い、さらに構造物が備えている定盤の水平出し、切削工具の水平出しまたは鉛直出し、ワイヤカット線の鉛直出し等については別の水平器を用いて行っている。そして、上記水平出しを行なった構造物をユーザー企業の工場に搬送・設置しベースプレートの2度目の水平出しを行う際は、ベースプレート上に水平器を置いて人手により高さ調整して水平出しを短時間作業で終わらせている。2度目の水平出しを上記のように取り扱っても1度目の水平出し後に行った構造物の定盤などの水平出し精度、切削工具の加工精度に問題が生じないとの認識に基づくものである。
【0022】
また、特許文献1の自動水平出し装置には以下の問題がある。自動水平出し作業をユーザー企業の設置場所で行うものであり、特許文献1の自動水平出し装置は、水平出し完了後は、ジャッキの一部を構成している駆動部(減速機付きサーボモータ)を取り外し、扛重部を引き続き構造物のベースプレートの下面の平面三角形状の3頂点のうちの2点の支持脚として利用するとしている。この扛重部は、装置フレームを含み、縦軸廻りに回転可能なウォームホイールに、水平軸廻りに回転可能なウォームが噛合され、駆動部の動力回転がウォームの回転軸に入力するようになっており、縦軸廻りの回転不能な昇降体がウォームホイールの中心の雌ネジに螺合され昇降可能であり、昇降体の上端にサドルを備えている。したがって、特許文献1の自動水平出し装置を用いる場合、昇降体のみをウォームやウォームホイールなどから分離して支持脚として利用することはできず、減速機付きサーボモータだけ分離できる構造であるのでコストが高く付き不経済であるという問題点がある。またサドルは小さい面積でベースプレートを受承しているだけで連結関係にはない。
【0023】
さらに、2つの特許文献1の自動水平出し装置と1つの支持脚とで構造物のベースプレートの下面の端縁近くが選ばれる平面三角形状の3頂点を受承部とするピンポイント受承状態で例えば大地震による大きな横揺れがあると、ピンポイント受承部に横ずれが大きく生ずることがあると、構造物が落下する事故が起こる恐れがある。そこで、単なる点としての受承状態でなくベースプレートの周縁部に設けられている基礎ボルト通し孔を掛止手段として利用して構造物が落下する事故を防げるようにしたい。
【0024】
本発明者は、新規な自動レベル調整装置の開発に際し、構造物のベースプレートを単に受承する状態で自動レベル調整ができ、調整後はベースプレートを吊り上げると切り離されユーザー企業の工場に搬送されるタイプの構成と、ベースプレートを連結状態で受承し自動レベル調整ができ、調整後はベースプレートを吊り上げると連結状態のままユーザー企業の工場に搬送され2度目の自動レベル調整に供されるタイプの構成とを想定した。
【0025】
さらに詳しくは、1度目の自動レベル調整を終えた構造物のユーザー企業の工場での2度目のレベル調整については、次の2通りの実施方法を想定した。第1の実施方法は、1度目の自動レベル調整に際し自社の製造工場内でベースプレートに連結した複数の自動レベル調整装置を連結状態のままにして当該構造物をユーザー企業の設置場所に移してそのまま2度目のレベル調整を行うものである。第2の実施方法は、自社の製造工場内でベースプレートを複数の自動レベル調整装置を非連結状態に受承し1度目の自動レベル調整を実施した後、ベースプレートの下側の四隅をアジャスター機能を有する支持脚で連結状態に受承してから当該構造物を吊り上げてベースプレートから自動レベル調整装置を切り離しベースプレートの四隅に支持脚が連結されたままユーザー企業の設置場所に移し、再度、複数の自動レベル調整装置をベースプレートの下面を受承した状態に設置しかつ支持脚の受承を解除し2度目のレベル調整を行い、この調整後に再度支持脚を受承状態にするか、または複数の自動レベル調整装置の2度目の設置を行わず通常の水平器を用い四隅に装着するアジャスター機能を有する支持脚によるレベル調整を行うことを想定した。
【0026】
さらに、本発明者は、新規な自動レベル調整装置を開発に際し、当該構造物について製造工場内で自動レベル調整装置を用いてベースプレートの周縁部に設けられている基礎ボルトを通す孔を掛止手段として利用できるようにして自動レベル調整を行っている最中に大きな地震がもし発生したとしても構造物が自動レベル調整装置から外れて落下するという事故を未然に防げる態様も含めたレベル調整を行うことを想定した。
【0027】
こうした試行錯誤を経て、上述のように、本発明の主位的目的として、レベル調整を必要とする構造物が大重量物であっても十分な持ち上げ機能と微小変化量で昇降する機能を有し、製造工場内で構造物のベースプレートを受承しデジタル水平器と連携して微小変化量で昇降し自動レベル調整を行うことができる自動レベル調整装置および自動レベル調整方法を提供することを掲げるに至ったものである。
【0028】
さらに本発明の従位的目的として、上述のように、製造工場で構造物のベースプレートの複数個所を連結状態で受承し1度目の自動レベル調整ができ、この調整後ユーザー企業の工場への構造物の搬送に際し構造物を吊り上げるとベースプレートに連結したまま搬送先の工場に設置され2度目の自動レベル調整に供される自動レベル調整方法を提供することを掲げている。
【0029】
さらにまた本発明の別の従位的目的として、上述のように、製造工場で構造物のベースプレートの四隅を連結状態に受承するアジャスター機能を有する支持脚とは別の複数個所に受承状態に設置されて1度目の自動レベル調整ができ、この調整後ユーザー企業の工場に搬送設置される構造物のベースプレートの2度目の自動レベル調整に供される自動レベル調整方法を提供することを置いている。さらにまた本発明のまた別の従位的目的として、上述のように、ベースプレートの四隅のボルトを通す孔を自動レベル調整に利用することができ、製造工場で構造物のベースプレートに孔加工を加える等の構造変更の必要が無く、ベースプレートの四隅のボルトを通す孔に自動レベル調整装置を装着して1度目と2度目の自動レベル調整を実施することができる自動レベル調整方法を提供することも置いている。
【0030】
さらに本発明の別の従位的目的として、上述のように、構造物のベースプレートを受承し自動レベル調整中に大きな地震が発生しても構造物が落下する事故を未然に防ぐことができる自動レベル調整方法を提供することを置いている。
【0031】
そこで本発明者は、上記目的を達成するため、本願発明の基本的態様に係る自動レベル調整装置は、レベル調整が必要な構造物のベースプレートを下支えし微小変化量で昇降しつつベースプレートの上面の水平度をデジタル水平器で計測し出力パルスに基づいて自動レベル調整する装置であり、昇降機構部と回転方向変換機構部と回転駆動手段とを備えるものとする点に思い至った。
【0032】
また、本願発明のさらなる基本的態様に係る自動レベル調整装置は、レベル調整が必要な構造物のベースプレートを受承して微小変化量で昇降しつつ前記ベースプレートの上面を自動レベル調整する自動レベル調整装置であるとする点に思い至った。
【0033】
そこで、上記目的を達成するため、本願の第1の態様に係る自動レベル調整装置は、軸方向が鉛直方向であり回転可能・上下方向移動不能に設けられたネジ軸と、大径部と前記大径部の下側または上側に固定的に設けられる小径部とを含み、前記大径部と前記小径部のうちの少なくとも前記小径部の中心を貫通して螺設された雌ネジが前記ネジ軸の上端部に螺合され、自動レベル調整時に前記大径部の端面で前記ベースプレートの下面を受承し前記ネジ軸が回転すると前記大径部が前記ベースプレートとの摩擦により回転不能であり上下方向に従動する昇降部材と、水平軸線の周りの回転を鉛直軸線の周りの回転に変換して前記ネジ軸に回転伝達する歯車列と、前記歯車列に駆動回転を与える減速機付き制御用モータとを備え、前記減速機付き制御用モータは、前記ベースプレートの上面の水平度を検出するよう設置されるデジタル水平器の出力パルスに基づいて前記ベースプレートの上面のレベル調整を終えるまで駆動回転を行うことを特徴とする。
【0034】
本願の第2の態様として、第1の態様において、前記昇降部材が、前記大径部を上側に、前記小径部を下側に備え、前記大径部と前記小径部のうち、少なくとも前記小径部には中心を貫通して螺設された雌ネジを有し、前記雌ネジに前記ネジ軸の上端部の雄ネジ部が螺合し、かつ自動レベル調整開始時に前記ネジ軸の上端が前記大径部内の中途位置にあるようにしてもよい。
【0035】
本願の第3の態様として、第1の態様において、前記昇降部材が、前記大径部を上側に、前記小径部を下側に備え、前記大径部と前記小径部のうち、少なくとも前記小径部には中心を貫通して螺設された雌ネジを有し、前記雌ネジに前記ネジ軸の上端部の雄ネジ部が螺合し、さらに前記大径部上に同心に載置されるリング部材と、前記リング部材上に設けられた嵌合ピンとを有し、自動レベル調整時に、前記ベースプレートに設けられたボルトを通す孔に対し前記嵌合ピンが嵌合するようにしてもよい。
【0036】
本願の第4の態様として、第1の態様において、前記昇降部材が、前記大径部がリング状で上側に、前記小径部が雌ネジを有し下側に備え、前記小径部の前記雌ネジが前記ネジ軸の上端部に螺合し、かつ自動レベル調整開始時に前記ネジ軸の上端が前記大径部内の中途位置にあり、さらに、前記大径部上に同心に固定されるフランジ部と、前記フランジ部の上面より突出するピン部と、前記ピン部よりさらに上方に突出する雄ネジ部とを有する連結具を備え、自動レベル調整時に、前記フランジ部が前記ベースプレートの下面を受承し、かつ前記ピン部が前記ベースプレートに設けられたボルトを通す孔に嵌合し、さらに前記ボルトを通す孔より上側に突出する前記雄ネジ部にナットが螺合するようにしてもよい。
【0037】
本願の第5の態様として、第1の態様において、前記昇降部材が、前記大径部がリング状で上側に、前記小径部が雌ネジを有し下側に備え、前記小径部の前記雌ネジが前記ネジ軸の上端部に螺合し、かつ自動レベル調整開始時に前記ネジ軸の上端が前記大径部内の中途位置にあり、さらに、前記大径部上に同心に固定されるフランジ部と、前記フランジ部上に同心に凸設された雄ネジ部とを有し、自動レベル調整時に前記フランジ部が前記ベースプレートの下面を受承し、かつ前記雄ネジ部が前記ベースプレートに設けられた雌ネジに螺合するようにしてもよい。
【0038】
本願の第6の態様として、第1の態様において、前記昇降部材が、前記大径部の上面より前記小径部が突出しさらに雄ネジ部が突出し、前記大径部と前記小径部と前記雄ネジ部の中心を貫通して設けられた雌ネジに前記ネジ軸の上半部の前記雄ねじ部が挿通状態に螺合され、自動レベル調整時に、前記大径部が前記ベースプレートの下面を受承し、かつ前記小径部が前記ベースプレートに設けられたボルトを通す孔に嵌合し、さらに前記ボルトを通す孔より上側に突出する前記雄ネジ部にナットが螺合するようにしてもよい。
【0039】
本願の第7の態様として、第1の態様において、前記昇降部材が、前記大径部を下側に、前記小径部を上側に備えかつ前記小径部の外周面に雄ネジが形成された段軸形状であり、前記大径部と前記小径部の中心を貫通して設けられた雌ネジに前記ネジ軸の上半部の前記雄ねじ部が挿通状態に螺合され、自動レベル調整時に、前記大径部が前記ベースプレートの下面を受承し、かつ前記小径部の外周面の前記雄ネジが前記ベースプレートに設けられた雌ネジに螺合するようにしてもよい。
【0040】
本願の第8の態様として、第1-第7の態様のうちのいずれか1つの態様において、前記ベースプレートの上面のレベル調整を終えて前記制御用モータが駆動回転を停止したら、前記構造物のベースプレートの負荷により前記ネジ軸が逆回転することがないよう前記制御用モータの回転軸を回転不能とするブレーキ装置が設けられたようにしてもよい。
【0041】
また、上記課題を解決するために、本願発明の第9の態様に係る自動レベル調整方法は、構造物のレベル調整作業スペースに前記構造物を吊り下ろすとともに前記構造物のベースプレートの下側に第1-第7の発明態様に係る自動レベル調整装置を複数の所定位置に配置し、この際、前記自動レベル調整装置のネジ軸の上端部に螺合した昇降部材でベースプレートの下面を受承し、またはベースプレートの下面を受承することに加え、前記昇降部材をベースプレートに設けられたボルトを通す孔またはネジ孔に係合し、前記ベースプレートの上面にX方向の水平度を検出する第1のデジタル水平器とY方向の水平度を検出する第2のデジタル水平器とを配置し、第1および第2のデジタル水平器のうち、いずれか一方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該一方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整装置により自動レベル調整を行い、次いで他方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該他方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整装置により自動レベル調整を行い、もって、前記ベースプレートの上面のX方向およびY方向のレベル調整を行うことを特徴とする。
【0042】
さらに、上記課題を解決するために、本願発明の第10の態様に係る自動レベル調整方法は、構造物のレベル調整作業スペースに前記構造物を吊り下ろすとともに前記構造物のベースプレートの下側の四隅をアジャスター機能を有する支持脚で受承するとともに、請求項1-7のいずれか1つに記載の自動レベル調整装置を前記ベースプレートの複数の所定位置に配置し、かつ前記自動レベル調整装置の昇降部材を前記ベースプレートの下面に係合させ、前記ベースプレートの上面にX方向の水平度を検出する第1のデジタル水平器とY方向の水平度を検出する第2のデジタル水平器とを配置し、第1および第2のデジタル水平器のうち、いずれか一方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該一方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整装置により自動レベル調整を行い、次いで他方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該他方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整装置により自動レベル調整を行い、もって、前記ベースプレートの上面のX方向およびY方向のレベル調整を行うとともに、前記支持脚によるベースプレートの四隅の受承高さを固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0043】
本発明の態様によれば、モータの動力回転を歯車列を介して軸方向移動不能かつ回転可能な鉛直なネジ軸に伝達することにより動力回転を大きく減速した低回転・高トルクに変換し、さらにネジ軸の上端にベースプレートの受承時に回転不能となる昇降部材を螺合し直線微動・高持ち上げ力に変換したメカニカル機構を採用し、デジタル水平器と連携した構成としたので、レベル調整を必要とする構造物が大重量物であっても十分な持ち上げ機能と微小変化量で昇降する機能を有し、製造工場内で構造物のベースプレートを受承しデジタル水平器と連携して微小変化量で昇降し自動レベル調整を行うことができる自動レベル調整装置および自動レベル調整方法を提供することができる。
【0044】
また本願において、ベースプレートの略水平に受承する際にベースプレートと昇降部材とを螺合連結できる構成とする発明態様の自動レベル調整装置によれば、製造工場で構造物のベースプレートの複数個所を連結状態で受承し1度目の自動レベル調整ができ、この調整後ユーザー企業の工場への構造物の搬送に際し構造物を吊り上げるとベースプレートに連結したまま搬送先の工場に設置され2度目の自動レベル調整に供される自動レベル調整方法を提供することができる。
【0045】
また本願において、製造工場で構造物のベースプレートの四隅をアジャスター機能を有する支持脚を連結状態に受承する構成とする発明態様の自動レベル調整装置によれば、ベースプレートの支持脚とは別の複数個所に受承状態に設置されて1度目の自動レベル調整ができ、この調整後ユーザー企業の工場に搬送設置される構造物のベースプレートの2度目の自動レベル調整に供される自動レベル調整方法を提供することができる。
【0046】
さらに本願において、ベースプレートの略水平に受承する際にベースプレートと昇降部材とを螺合連結または軸と軸孔との連結構造とする発明態様によれば、構造物のベースプレートを受承し自動レベル調整中に大きな地震が発生しても構造物が落下する事故を未然に防ぐことができる自動レベル調整方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】(A)は本発明の第1の実施の形態に係る自動レベル調整装置を示す正面図であり、(B)はベースフレームの下面図である。
図2】本発明の第2の実施の形態に係る他の自動レベル調整装置を示す正面図である。
図3】(A)は本発明の第3の実施の形態に係る他の自動レベル調整装置の正面図であり、(B)は第3の実施の形態の要部の変形例を示す部分図である。
図4】(A)は本発明の第4の実施の形態に係る他の自動レベル調整装置の正面図であり、(B)は第3の実施の形態の要部の変形例を示す部分図である。
図5】本発明の第5の実施の形態に係る自動レベル調整方法を示す概略の平面図である。
図6】本発明の第6の実施の形態に係る他の自動レベル調整方法を示す概略の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の実施の形態に係る自動レベル調整装置および自動レベル調整方法を図面を参照して説明する。
【0049】
図1(A)、図2図3(A)、図4(A)は、第1-第4の実施の形態に係る自動レベル調整装置1、2、3、または4を示す。これらの自動レベル調整装置1-4は、いずれも、精密なレベル調整が必要な構造物(例えば工作機械)AのベースプレートBの下面をネジ軸30、30A、30Bまたは30Cの上端に被さる昇降部材40、40A、40Bまたは40Cにより下支えし、ベースプレートBの上面の水平度(傾斜度)をデジタル水平器(デジタル精密水準器)Gで計測し、デジタル水平器Gが出力するパルスに基づいて制御用モータ11を駆動しネジ軸30、30A、30Bまたは30Cを回転させ昇降部材40、40A、40Bまたは40Cを微小変化量で上昇させてベースプレートBの上面を自動レベル調整するための装置である。
【0050】
[第1の実施の形態:自動レベル調整装置、図1(A)]
図1は第1の実施の形態に係る自動レベル調整装置を示す。この自動レベル調整装置1は、工場のコンクリート床に接地されるベースフレーム5と、制御用モータ11と減速機12とを含む回転駆動手段10とを有し、減速機出力軸がベースフレーム5の垂直面部の孔より水平に張り出した状態で減速機ケーシングがベースフレーム5の垂直面部に固定されている。
【0051】
さらに、自動レベル調整装置1は、互いに噛合する原動歯車21と従動歯車22とからなる歯車列20と、上から順に雄ネジ部30aとフランジ部30bと円筒軸部30cとを有するネジ軸30と、ネジ軸30の雄ネジ部30aに螺合する昇降部材40とを有する構成である。
【0052】
制御用モータ11の出力軸と減速機12の入力軸とが結合されている。制御用モータ11にはロータリーエンコーダ(不図示)およびブレーキ装置14が付設されている。原動歯車21と従動歯車22には小傘歯車と大傘歯車が用いられる。原動歯車21は減速機出力軸に固定されている。ネジ軸30は、円筒軸部30cが従動歯車22の中心孔に嵌挿固定されかつ従動歯車22の上下位置でベースフレーム5に回転可能に軸支され、かつフランジ部30bがベースフレーム5のアーム部5aに載置されて鉛直下方のスラスト荷重を負担する構成である。したがって、従動歯車22は円筒軸部30cに被嵌固定されている。なお、ブレーキ装置14は、ネジ軸30の従動歯車22の上位置にディスクを設けてこのディスクに制動を掛けるように設けても良い。
【0053】
したがって、自動レベル調整装置1は、低回転・大トルクの駆動回転を出力する回転駆動手段(回転駆動源)10と、軸方向が鉛直方向であり回転可能・上下方向移動不能に設けられたネジ軸30と、回転駆動手段10の駆動回転を入力してネジ軸30に回転伝達する歯車列20と、ネジ軸30の上半部の雄ネジ部30aに螺合されておりベースプレートBの自動レベル調整時にベースプレートBを受承しネジ軸30が回転するとベースプレートBとの当接・摩擦により回転不能状態となりかつネジ軸30の回転方向に応じて微小変化量で上方向または下方向に移動する昇降部材40とを備えた構成である。
【0054】
昇降部材40は、リング状の大径部41を上側に配され、中心を雌ネジが貫通する小径部(ナット部)42を下側に配され、大径部41と小径部42のフランジ部42aとを重ねてボルト43で連結され、小径部42がネジ軸30の雄ネジ部30aの上端部に螺合されている。この実施の形態では、大径部41でベースプレートBを受承するため、ネジ軸30は大径部41より突出しない(大径部41内の中途位置にある)状態で小径部42に螺合されている。
【0055】
この実施の形態の昇降部材40は、ベースプレートBに設けられるボルト通し孔やネジ孔との係合または螺合することがない構成であり、ベースプレートBを受承する際に滑りが生じる恐れが無い場合に採用されるものである。なお、大径部41の上面には摩擦係数が大きく耐摩耗性が高いプラスチックフィルムを貼着するのが良い。
【0056】
大径部41と小径部42は、図示のような2つの部品をボルトで連結する構成ではなく、一体形状であって下端から上端に渡りネジ孔が螺設されていても良い。雄ネジ部30aの下部と原動歯車21はカバー6により隠蔽されている。
【0057】
[デジタル水平器Gについて]
デジタル水平器GはANYDESIN社製のデジタル水準器、あるいは新潟精機株式会社のデジタル水準器(レベルニック(登録商標))を用いることができる。デジタル水平器Gは、メーカーによって水平度を検出する手順が相違する。デジタル水平器Gは、一例では、ベースプレートBの上面に水平度検出の方向をXまたはY方向に合わせ、ゼロ設定ボタンを押して表示メモリがゼロを表示したら、180度向きを変えて測定ボタンを押して表示メモリがある値を表示するので、半値修正ボタンを押すと表示メモリに表示される半値が実傾斜度を示す。デジタル水平器Gは、パルス出力設定ボタンにより傾斜度がゼロになる(水平になる)まで一定数のパルスを出力できるのでこのパルスをモータの駆動に利用できる。
【0058】
[制御用モータ11について]
制御用モータ11は、サーボモータまたはパルスモータである。サーボモータは、指示を出した通りに、位置/速度/回転力(トルク)などを正確に実現するサーボ機構とともに使用されるモータであり、フィードバック制御する検出器付の電動機が一般的であり、ここでは、デジタル水平器Gから出力されるパルスをモータドライバ13に入力し逓倍にしてモータ駆動パルスを出力するとともに、デジタル水平器Gが出力する傾き角の値がゼロに収束するようにフィードバック制御するよう構成される。パルスモータは電流を流す相を切り替えることで一定の角度ずつ動いて回転しセンサなしに位置決めができるモータであり、サーボモータに比べて制御が容易である。
【0059】
制御用モータ11は、ベースプレートBの上面の水平度を検出するよう設置されるデジタル水平器Gの出力パルスに基づいてベースプレートBの上面のレベル調整を終えるまで駆動回転を行う。減速機12はモータの出力回転を減速しトルクを増幅して原動歯車21に伝達する。
【0060】
ベースプレートBの上面に設置されたデジタル水平器Gは、専用アプリでベースプレートBの水平度がゼロになるまで出力パルス(水平LEVEL信号)を出力する。モータドライバ13は、デジタル水平器Gの出力パルスを受信・処理し制御用モータ11の駆動に必要な駆動パルスを生成し出力する。制御用モータ11は、モータドライバ13が出力する駆動パルスを入力しベースプレートBの上面のレベル調整を終えるまで駆動回転を行う。
【0061】
ブレーキ装置14は、制御用モータ11の出力軸の後端に設けられている。ブレーキ装置14は、ベースプレートBの上面のレベル調整を終えて制御用モータ11が駆動回転を停止した後、制御用モータ11への電力供給停止により励磁が無くなった時点で自動でブレーキ作動するようになっている。これにより、構造物Aの自重により落下することを防止し、水平レベルを維持することが可能である。
【0062】
自動レベル調整装置1は、ネジ軸30が昇降部材40の小径部(ナット部)42に螺合し、ネジ軸30の上端が昇降部材40の大径部41内の中途に位置した状態(突出しない状態)にて大径部41の上面に構造物Aを吊り下ろし、もって大径部41がベースプレートBを受承しベースプレートBの下面との摩擦により回転不能な状態になるから、ネジ軸30の回転により昇降部材40がベースプレートBを受承して上昇可能になる。
【0063】
そこで、制御用モータ11が駆動回転すると、この回転を減速機12で減速して原動歯車21に伝達し、原動歯車21が水平軸線の周りに回転し回転を従動歯車22に伝達し、従動歯車22が鉛直軸線の周りに回転し、もって従動歯車22の中心孔に嵌挿固定されたネジ軸30が極めて低い回転速度で回転する。昇降部材40は、大径部41がベースプレートBとの摩擦により回転不能になるので、ネジ軸30の回転方向に応じて微小変化量で上方向または下方向に移動する。
【0064】
この実施の形態によれば、昇降部材40とベースプレートBとが滑りが発生しにくいことが前提であり、昇降部材40がベースプレートBを受承する構成であり、制御用モータ11の回転を歯車列20を介して上下動不能な縦軸であるネジ軸30に伝達し、ネジ軸30の回転でベースプレートBを受承していて回転不能な昇降部材40がネジ軸30に対するランナとなって高い持ち上げ力を発現して微進上動しベースプレートBを受承する構成であり、自動レベル調整を行っている最中に大きな地震がもし発生したとしても構造物Aが自動レベル調整装置1から外れて落下するという事故を防げる。そして、自動レベル調整後はベースプレートBを吊り上げると昇降部材40が相対的に離れる。
【0065】
[水平レベル出し方法を2回実施する必要性]
構造物の製造工場のコンクリート床とユーザー企業の工場のコンクリート床とは同一の水平レベルではない。したがって、構造物の製造工場のコンクリート床に第1の実施の形態および後述の第2-第4の実施の形態に係る自動レベル調整装置のいずれか複数基を設置しかつそれらの上に構造物を載置して1回目の水平レベル出しを行なっても、当該構造物をユーザー企業の工場のコンクリート床に再度設置する場合には1回目の水平レベル出しが精密に反映することは殆どない。そこで、1回目の水平レベル出し方法と同様に、2回目の水平レベル出しが必要になる。なお、1回目と2回目の水平レベル出し方法についての詳細は第5、第6の実施の形態に係る自動レベル調整方法で後述する。
【0066】
さらに、構造物の製造工場のコンクリート床およびユーザー企業の工場のコンクリート床は平坦ではなく凹凸が多くある場合があり、そのようなとき、ベースフレーム5がコンクリート床に安定して接地できない場合がある。そこで、コンクリート床に凹凸があってもベースフレーム5がコンクリート床に安定した設置ができる工夫として、図1(B)に示すように、ベースフレーム5の下面の3箇所に厚肉の座金5bがボルト5cにより取付られている。なお、コンクリート床が平坦に仕上げられていてベースフレーム5が全面密着する場合には、座金5bは不要である。図1(B)に示す構成は、後述の図2図3(A)、図4(A)においても適用される。
【0067】
[第2の実施の形態:自動レベル調整装置、図2
図2は第2の実施の形態に係る自動レベル調整装置を示す。この自動レベル調整装置1Aは、図1に示す第1の実施の形態の自動レベル調整装置1と同様に、制御用モータ11と減速機12と含む回転駆動手段10Aと、原動歯車21と従動歯車22と含む歯車列20Aと、ネジ軸30Aと、昇降部材40Aとを備え、ベースプレートBの上面の水平度を検出するよう設置されるデジタル水平器Gの出力パルスに基づいてベースプレートBの上面のレベル調整を終えるまで駆動回転を行い、レベル調整が必要な構造物AのベースプレートBを受承して微小変化量で昇降しつつベースプレートBの上面を自動レベル調整する構成である。ここで、回転駆動手段10Aと、歯車列20Aと、ネジ軸30A、カバー6A、等は図1に示す第1の実施の形態と実質的に同一の構成である。
【0068】
昇降部材40Aは、大径部41を上側に、フランジ部42aをする小径部(ナット部)42を重ねボルト43で連結され(ここまでの構成は図1に示す第1の実施の形態と同一)、さらに、大径部41上に同心に載置されボルト43で連結されるリング部材44と、リング部材44上に同心に載置され自動レベル調整時にベースプレートBに設けられたボルトを通す孔Cに対し下側から嵌入状態になる嵌合ピン45とを備える。リング部材44は大径部41の一部を構成する。なお、昇降部材40Aは、大径部41と小径部42とリング部材44と嵌合ピン45とを一体形状に設けても良い。嵌合ピン45は円錐形であっても良い。後述する図5図6では、ベースプレートBに四隅に設けられた既存のボルトを通す孔に符号C2を付し、四隅の孔C2とは別に設けられるボルトを通す孔に符号Cを付しているが、この実施の形態のベースプレートBに設けられたボルトを通す孔Cとは、ベースプレートBに四隅に設けられた既存のボルトを通す孔C2と、これとは別に設けられるボルトを通す孔Cのいずれであっても良い。
【0069】
したがって、第2の実施の形態の昇降部材40Aは、図1に示す第1の実施の形態の昇降部材40の構成に加え、リング部材44と、嵌合ピン45とを備え、自動レベル調整時にベースプレートBに設けられたボルトを通す孔Cに対し嵌合ピン45が下側から嵌入状態になることに特徴があり、このため、ベースプレートBを受承する際に滑りが生じる恐れがある場合に採用される。
【0070】
この実施の形態によれば、昇降部材40Aの嵌合ピン45がベースプレートBに設けられたボルトを通す孔Cに係合してベースプレートBを受承する構成であり、大型で大重量の構造物Aの自動レベル調整作業に適用でき、自動レベル調整を行っている最中に大きな地震がもし発生したとしても構造物Aが自動レベル調整装置1Aから外れて落下するという事故を防げる。そして、自動レベル調整後はベースプレートBを吊り上げるとボルトを通す孔Cから嵌合ピン45が相対的に離れる。なお、ベースプレートBを受承する際に滑りが生じる恐れがないときは、リング部材44と嵌合ピン45を取り外すことができ、構成は第1の実施の形態である。
【0071】
[第3の実施の形態:自動レベル調整装置、図3(A)]
図3(A)は第3の実施の形態に係る自動レベル調整装置を示す。この自動レベル調整装置3は、図1に示す第1の実施の形態と同様に、制御用モータ11と減速機12と含む回転駆動手段10Bと、原動歯車21と従動歯車22と含む歯車列20Bと、ネジ軸30Bと、昇降部材40Bとを備え、ベースプレートBの上面の水平度を検出するよう設置されるデジタル水平器Gの出力パルスに基づいてベースプレートBの上面のレベル調整を終えるまで駆動回転を行い、レベル調整が必要な構造物AのベースプレートBを受承して微小変化量で昇降しつつベースプレートBの上面を自動レベル調整する構成である。ここで、回転駆動手段10B、歯車列20B、カバー6B、等は図1に示す第1の実施の形態と実質的に同一の構成である。
【0072】
第3の実施の形態の回転駆動手段10Bと歯車列20Bとネジ軸30Bは、図1に示す第1の実施の形態の回転駆動手段10と歯車列20とネジ軸30と実質的に同一の構成であり、昇降部材40Bは、図1に示す昇降部材40と相違する構成である。
【0073】
従動歯車22とネジ軸30Bの円筒軸部30cはキー結合しており、従動歯車22の回転は円筒軸部30cに伝達される。ネジ軸30Bは中央部を貫通しているスラストワッシャー25を介して台座ブロック23に受承されている。従動歯車22はスラストワッシャー25の上面を摺動回転し、スラストワッシャー25は台座ブロック23の上面を摺動回転する。台座ブロック23はL形のベースフレーム5Bの水平部上に両脚ボルト24で固定されている。スラストワッシャー25は、従動歯車22の荷重を受けており、スラストワッシャー25の可撓性により原動歯車21と従動歯車22とが適切な噛合状態とされている。
【0074】
ネジ軸30Bは、下半部の軸部30cが上半部の雄ネジ部30aよりも小径に設けられ、下半部と上半部との段差面が従動歯車22に当接し、軸部30cが、従動歯車22の軸孔に貫挿固定されさらに台座ブロック23の軸孔に回転可能に貫挿され、台座ブロック23の下面に設けられた底面凹部23aに臨み、ロックプレート30dとロックボルト30eとで固定されている。なお、ネジ軸30Bと台座ブロック23と歯車列20Bはカバー6Bにより隠蔽されている。
【0075】
昇降部材40Bは、リング状の大径部41と、フランジ部42aを有する小径部(ナット部)42とをボルト43で連結され、小径部(ナット部)42がネジ軸30Bの雄ネジ部30aに螺合し、かつネジ軸30Bの上端が大径部41内の中途位置にある(ここまで第1の実施の形態と同一)。
【0076】
昇降部材40Bは、さらに、大径部41上に同心に重ねられかつボルト43により固定される円板状のフランジ部46aと、このフランジ部46aの上面より突出するピン部46bと、このピン部46bよりさらに上方に突出する雄ネジ部46cとを有する連結具46を備えている。フランジ部46aは大径部41の一部を構成している。
【0077】
そして、昇降部材40Bは、自動レベル調整時にフランジ部46aがベースプレートBを受承し、かつピン部46bがベースプレートBに設けられたボルトを通す孔Cに嵌合し、ベースプレートBに突出する雄ネジ部46cにナット47が螺合する構成である。なお、ナット47の雄ネジ部46cへの螺合・締付が行われた後に自動レベル調整を行う。
【0078】
したがって、昇降部材40Bは、ベースプレートBを受承する際に滑りが生じる恐れがある場合に採用される形態である。
【0079】
なお、大径部41と小径部42と連結具46とが一体形状に設けられても良い。フランジ部46aがベースプレートBを受承した状態であれば自動レベル調整を開始することができるが、連結具46の回転が懸念されるためナット47の雄ネジ部46cへの螺合は自動レベル調整の開始前に行う。
【0080】
この実施の形態の自動レベル調整装置3は、大型で大重量の構造物Aの自動レベル調整作業に適用でき、自動レベル調整を行っている最中に大きな地震がもし発生したとしても構造物Aが自動レベル調整装置3から外れて落下するという事故を防げる。そして、特に、昇降部材40BがベースプレートBに連結される構成であるから、自動レベル調整後に構造物Aを他所に搬送する場合に、自動レベル調整装置3は、ベースプレートBが持ち上げられると一体に持ち上げられ、移動先で設置されると再度の自動レベル調整に供される。
【0081】
[第3の実施の形態の変形例:図3(B)]
図3(B)は図3(A)に示す昇降部材40Bの変形例を示す。この変形例では、図3(A)に示すようなフランジ部46aの上面よりピン部46bが突出する連結具46を採用せず、フランジ部46aの上面より雄ネジ部46cが突出する連結具46’が採用されており、構造物Aを吊り下ろす際に、雄ネジ部46cとベースプレートBに設けられた雌ネジDとの芯合わせして連結具46’をねじ軸30の雄ネジ部30aに対して螺動・上動して雄ネジ部46cを雌ネジDに螺合しかつフランジ部46aをベースプレートBの下面に当接し、この状態より自動レベル調整を開始することができる。
【0082】
[第4の実施の形態:自動レベル調整装置、図4(A)]
第4の実施の形態の自動レベル調整装置4は、図1に示す第1の実施の形態と同様に、制御用モータ11と減速機12と含む回転駆動手段10Cと、原動歯車21と従動歯車22と含む歯車列20Cと、ネジ軸30Cと、昇降部材40Cとを備え、ベースプレートBの上面の水平度を検出するよう設置されるデジタル水平器Gの出力パルスに基づいてベースプレートBの上面のレベル調整を終えるまで駆動回転を行い、レベル調整が必要な構造物AのベースプレートBを受承して微小変化量で昇降しつつベースプレートBの上面を自動レベル調整する構成である。
【0083】
この実施の形態においては、回転駆動手段10Cと歯車列20Cは、図1に示す回転駆動手段10と歯車列20と実質的に同一の構成であり、他方、ネジ軸30Cと昇降部材40Cは、図1に示すネジ軸30と昇降部材40と相違する構成である。
【0084】
この実施の形態では、従動歯車22を原動歯車21と適切に噛合し回転する支持機構として、L形のベースフレーム5Cの水平部上に載置されボルト32aで固定された台座ブロック31と、台座ブロック31上に載置されボルト32bで固定されたベース33と、下面にスラストワッシャー34が第3の実施の形態のスラストワッシャー25と同様に設けられ、スラストワッシャー34を介してベース33上に載置されており従動歯車22の軸孔に嵌合されかつ固定された二段筒軸ブロック35とを有し、二段筒軸ブロック35の小径筒部が従動歯車22の軸孔に嵌合されかつ固定されている。
【0085】
ネジ軸30Cの下部は、二段筒軸ブロック35の軸孔とベース33の軸孔とに貫挿されている。ネジ軸30Cの下端に当接しネジ軸30Cに溶接、カシメ、またはボルト連結されているエンドプレート36は、ネジ軸30Cの径よりも所要大きい円形でありベース33の下面にも当接していて、ネジ軸30Cがベース33から上方に引き抜けないようになっている。ベース33と二段筒軸ブロック35は雄雌嵌合していて間にネジ軸30Cに溶接固定されたナット37が介在している。このナット37は二段筒軸ブロック35の下面より設けられた六角形状穴に嵌合している。なお、ネジ軸30Cとナット37とエンドプレート36が一体構造であっても良い。
【0086】
したがって、ネジ軸30Cと従動歯車22と二段筒軸ブロック35とナット37とエンドプレート36は一体回転するよう固定連結されており、ベース33によりネジ軸30Cが回転可能に軸支されている。ネジ軸30Cに作用する下向きの負荷はナット37とベース33が担持している。そうして、ベースプレートBにネジ軸30Cが連結されており、またねじ軸30Cがベース33から上方に引き抜けることが無いので、構造物Aが上方へ吊り上げられた際は、エンドプレート36がベース33の底部を持ち上げ装置全体が吊り上がるようになっている。なお、ネジ軸30Cの下半部と歯車列20Cと二段筒軸ブロック31と台座ブロック32は、カバー6Cにより隠蔽されている。
【0087】
昇降部材40Cは、他の実施の形態の昇降部材とは異なり、大径部41の上面より小径部42が突出しさらに雄ネジ部46cが突出し、大径部41と小径部42と雄ネジ部46cの中心を貫通して雌ネジ(符号なし)が設けられた形態であり、そしてこの雌ネジにネジ軸30Cの上半部の雄ねじ部30aが挿通状態に螺合されている。昇降部材40Cは、自動レベル調整時に大径部41の端面がベースプレートBを受承し、小径部42がベースプレートBに設けられたボルトを通す孔Cに嵌合し、さらに雄ネジ部46cがベースプレートB上に突出し、自動レベル調整を開始する前に、雄ネジ部46cにナット47が締め付けられる。
【0088】
この実施の形態の自動レベル調整装置4は、構造物Aを吊り下ろし大径部41の端面がベースプレートBを受承し、小径部42がベースプレートBに設けられたボルトを通す孔Cに嵌合し雄ネジ部46cにナット47が締め付けられた状態より自動レベル調整を開始することができる。
【0089】
この実施の形態の自動レベル調整装置4は、大型で大重量の構造物Aの自動レベル調整作業に適用でき、自動レベル調整を行っている最中に大きな地震がもし発生したとしても構造物Aが自動レベル調整装置4から外れて落下するという事故を防げる。そして、特に、昇降部材40CがベースプレートBに連結される構成であるから、自動レベル調整後に構造物Aを他所に搬送する場合に、自動レベル調整装置4は、ベースプレートBが持ち上げられると一体に持ち上げられ、移動先で設置されると再度の自動レベル調整に供される。
【0090】
[第4の実施の形態の変形例:図4(B)]
図4(B)は図4(A)に示す昇降部材40Cの変形例を示す。この変形例では、大径部41より上側に突出する小径部42が外面に雄ネジが形成された雄ネジ部となっていて、小径部(雄ネジ部)42がベースプレートBに設けられた雌ネジDに螺合しかつ大径部41がベースプレートBを受承した状態で自動レベル調整を開始することができる。
【0091】
[自動レベル調整方法]
自動レベル調整方法については、図5に示すように3つの自動レベル調整装置、2つのデジタル水平器G1,G2、および4つの支持脚50A-50Dを使用する形態と、図6に示すように2つの自動レベル調整装置、2つのデジタル水平器G1,G2、および4つの支持脚50A-50Dを使用する形態とに分けて説明する。ここで、図5(B)を用いて4つの支持脚(アジャスタボルト)50A、50B、50C、50Dについて説明する。支持脚は、図5(B)に示すように、接地する台座51と、台座51上に固定立設され構造物AのベースプレートBの四隅に設けられるボルトを通す孔Cに通されるボルト支柱52と、ボルト支柱52に螺合され水平出しが行われたときにベースプレートBが下降しないようにするためベースプレートBの下面に当接するよう調整されるダブル締付ナット54と、ボルト支柱52に螺合され水平出し後さらにベースプレートBを吊って移動する前にベースプレートBの上面に締付固定される締付ナット54とからなる。
【0092】
[第5の実施の形態:自動レベル調整方法、図3図5
図5は本発明の第5の実施の形態に係り、図3に示す自動レベル調整装置3を3つ使用する自動レベル調整方法を示す。
【0093】
まず、レベル調整作業スペース(構造物AのベースプレートBの設置が予定される矩形の平面スペース)の四隅の中、一方の短辺側の二隅と他方の短辺側の中程位置との3点のそれぞれに、図5に示すように3つの自動レベル調整装置3A、3B、3Cを配置する。このとき、レベル調整作業が効率的に行われるようにするために、ベースプレート受承高さについて、低い順に自動レベル調整装置3C、3A、3Bとなる相対的な受承高さに設定をする。
【0094】
例えば、自動レベル調整装置3Cの昇降部材40Cの上面を自動レベル調整装置3Aの昇降部材40Cの上面よりも2mm低い状態に設定し、さらに自動レベル調整装置3Aの昇降部材40Cの上面を自動レベル調整装置3Bの上面よりも2mm低い状態に設定する。このように設定するときは、以下に説明するように、先に自動レベル調整装置3AによりX方向の自動レベル調整を行ない、後から自動レベル調整装置3CによりY方向の自動レベル調整を行なうと構造物AのベースプレートBのレベル調整が行える。自動レベル調整装置3A、3CによるX方向とY方向の自動レベル調整が円滑に行われたならば、自動レベル調整装置3Bについては、自動レベル調整を行わないで済む。したがって、自動レベル調整装置3Bを図5(B)に示すアジャスタ機能を有する台座(または支持脚)に替えてもよい。
【0095】
上記の相対的な受承高さに設定した3つの自動レベル調整装置3A、3B、3Cの昇降部材40C上にベースプレートBが載るように構造物Aを吊り下ろすと、各昇降部材40Cのフランジ部46aがベースプレートBを受承するとともにピン部46bがベースプレートBに設けられたボルトを通す孔Cに嵌合する。そして、自動レベル調整装置3A、3B、3Cの各昇降部材40Cの雄ネジ部46cにナット47を締め付ける。3つの自動レベル調整装置3A、3B、3Cは、配置が平面視二等辺三角形(3Aから3Cまでの距離と3Bから3Cまでの距離とが等しい三角形)の3つの頂点の位置であって、平面視三角形の面積の中心がベースプレートBの重心に近い位置になるから安定して受承できる。
【0096】
この実施の形態では、ベースプレートBの短辺に沿った方向をX方向とする。構造物AのベースプレートBの上面にX方向の水平度を検出する第1のデジタル水平器G1とY方向の水平度を検出する第2のデジタル水平器G2とを配置して順次にベースプレートBの上面のX方向の水平度とY方向の水平度を検出する。
【0097】
この実施の形態では、3つの自動レベル調整装置3A、3B、3Cの各昇降部材40Cの上面の高さを上述したように構造物Aを吊り下ろす前の設定としているから、最初のレベル調整として、第1のデジタル水平器G1においてレベル測定をして、次いでパルスを出力させ、この出力パルスに基づいて、自動レベル調整装置3Aの制御用モータ11を駆動してねじ軸30Cを回転し昇降部材40Cを微小量ずつ上昇させて自動レベル調整装置3Bの昇降部材40Cと同一高さに調整する。もって、ベースプレートBのX方向のレベル調整を行うことができる。なお、自動レベル調整装置3Bの昇降部材40Cが自動レベル調整装置3Aの昇降部材40Cよりも低く設定したときは、第1のデジタル水平器G1において傾斜度が逆になるから、このときは、第1のデジタル水平器G1からの出力パルスに基づいて、自動レベル調整装置3Bの制御用モータ11を駆動して昇降部材40Cを上昇させることになる。
【0098】
ベースプレートBのX方向のレベル調整を行なったら、第2のデジタル水平器G2によりベースプレートBのY方向のレベル測定(傾斜度測定)を行い、次いでパルスを出力させ、この出力パルスに基づいて、既にX方向のレベル調整を済ませた2つの自動レベル調整装置3A、3Bに対しY方向の他側にある自動レベル調整装置3Cの制御用モータ11を駆動して昇降部材40Cを上昇させて自動レベル調整装置3A、3Bの昇降部材40Cと同一高さに調整する。もって、ベースプレートBのY方向のレベル調整を行うことができる。
【0099】
Y方向のレベル調整の後、再度、第1のデジタル水平器G1と第2のデジタル水平器G2でレベル検出を行い、レベル検出がゼロの値でなければ、X方向およびY方向のレベル調整を繰り返し行ってもよい。
【0100】
続いて、ベースプレートBのレベル調整を終えたら、続いて定盤や加工具等のレベル調整、鉛直調整を行なうものとする。その後、図5(B)に示すように四隅の支持脚50A-50Dを装着する。
【0101】
続いて、クレーン等により自動レベル調整装置3A、3B、3Cおよび四隅の支持脚50A-50Dが連結されたベースプレートBを吊り上げ、製造工場からユーザーの工場に移送し所定のコンクリート床に設置する。
【0102】
ここで、ベースプレートBは再び自動レベル調整装置3A、3B、3Cおよび四隅の支持脚50A-50Dにより支持された状態になり、ベースプレートBの上に図5に示すデジタル水平器G1、G2とは別の水平器を置いて水平レベルの確認を行う。既定の水平レベルが出ている場合には、ベースプレートBについて自動レベル調整装置3A、3B、3Cによる2度目のレベル調整は行わない。
【0103】
既定の水平レベルが出ていない場合には、四隅の支持脚50A-50Dのダブル締付ナット54と締付ナット54を大幅に緩めた状態にする。そして、自動レベル調整装置3A、3B、3Cの昇降部材40Bのナット47を取り外したりまたは緩めたりしないで、製造工場において実施した1度目のレベル調整と同じ手順で自動レベル調整装置3A、3B、3Cを作動して2度目のレベル調整を行なう。
【0104】
2度目のレベル調整を終了したら、四隅の支持脚50A-50Dのダブル締付ナット54と締付ナット54を締め付けて2度目のレベル調整による水平度を保持する。また、2度目のレベル調整を終了したら、自動レベル調整装置3A、3B、3Cを取り外しても良いし、製造工場において定期的に3度目以降の自動レベル調整を行なう予定があれば、ナット47を締め付けてそのまま装着しておいても良い。
【0105】
図3(B)に示す変形例の締め付けナット47が存在しない連結具46’を含む昇降部材を備えた自動レベル調整装置を使用する自動レベル調整方法にあっては、雄ネジ部46cをベースプレートBに設けられたネジ孔Dに螺合する点が相違するのみである。
【0106】
図4に示す第4の実施の形態の自動レベル調整装置4を用いる場合]
図4に示す自動レベル調整装置4を用いる自動レベル調整方法については、上述した図3に示す自動レベル調整装置3を使用する自動レベル調整方法の説明における、自動レベル調整装置3A、3B、3Cを自動レベル調整装置4A、4B、4Cと読み替えることで説明に替える。
【0107】
図2に示す第2の実施の形態の自動レベル調整装置2を用いる場合]
図2に示す自動レベル調整装置2を用いる自動レベル調整方法については、上述した図3に示す自動レベル調整装置3を使用する自動レベル調整方法の説明における、自動レベル調整装置3A、3B、3Cを自動レベル調整装置2A、2B、2Cと読み替えることで説明に替える。この自動レベル調整方法では、ナット47が無いのでベースプレートBを吊り上げると、自動レベル調整装置2A、2B、2CはベースプレートBから離れることになり、四隅の支持脚50A―50DがベースプレートBにぶら下がった状態でユーザーの工場に移送される。自動レベル調整装置2A、2B、2Cをユーザーの工場で2度目の自動レベル調整に使いたいときはベースプレートBとは別途にユーザーの工場に移送し再度ベースプレートBに装着する。
【0108】
図1に示す第1の実施の形態の自動レベル調整装置1を用いる場合]
図1に示す自動レベル調整装置1を用いる自動レベル調整方法については、上述した図3に示す自動レベル調整装置1を使用する自動レベル調整方法の説明における、自動レベル調整装置3A、3B、3Cを自動レベル調整装置1A、1B、1Cと読み替えることで説明に替える。この自動レベル調整方法では、昇降部材40はベースプレートBにボルトを通す孔Cやネジ孔Dが設けられていても係合しない。
【0109】
[第6の実施の形態:自動レベル調整方法、図6図2図3
図6は本発明の第6の実施の形態に係る自動レベル調整方法を示す。この自動レベル調整方法では、ベースプレートBの四隅を所要高さに支持するために4つの支持脚(アジャスタボルト装置)50A、50B、50C、50Dを使用するとともに、上述した図1または図2に示す第1、第2の実施の形態にかかる自動レベル調整装置1、2のうち、いずれでもよい2つの自動レベル調整装置を使用する。図6では、図2に示す第2の実施の形態にかかる自動レベル調整装置2を2つ使用する(2A、2Bで分けて表示する)。
【0110】
ベースプレートBの周縁部に、自動レベル調整装置2A、2Bのねじ軸30Aの上端の昇降装置40Aの嵌合ピン45を嵌合させるためのボルト通し孔Cを、支持脚50Aの内側に1つ、支持脚50C、50Dの中間に1つ配置するように予め穿設しておく。自動レベル調整装置1を用いるときはボルトを通す孔Cを設ける必要はない。第3、第4の実施の形態にかかる自動レベル調整装置3、4を使用することも否定しないが、ボルトを通す孔C2に替えてネジ孔を設ける必要がある。
【0111】
この実施の形態では、例えば、支持脚50C、50Dのダブルナットのベースプレート受承高さを同一かつ一番低く、それよりも支持脚50Aのダブルナットのベースプレート受承高さを2mm高く設定し、さらに、支持脚50Bのダブルナットのベースプレート受承高さをさらに2mm高く設定する。
【0112】
そして、ベースプレートBを吊り下ろす際には、ベースプレートBに設けられた4つのボルト通し孔C2と、4つの支持脚50A、50B、50C、50Dのボルト支柱52との芯合わせを行う。そうして、ベースプレートBを吊り下ろすと、4つの支持脚50A、50B、50C、50Dのボルト支柱52が4つのボルト通し孔C2貫挿状態になり、もって、ベースプレートBは、4つの支持脚50A、50B、50Cのダブル締付ナット54(図5(B)参照)により3点支持状態に受承される。支持脚50A、50B、50C、50Dのボルト支柱52の上端には締付ナット54を軽く螺合しておくものとする。
【0113】
そして、支持脚50Aの近傍のボルト通し孔Cに合わせて下側に自動レベル調整装置2Aを配置し制御用モータ11をチョッパ駆動してねじ軸30に螺合する昇降部材40Aを上昇させ嵌合ピン45をベースプレートBのボルト通し孔Cに嵌合しかつリング部材44がベースプレートBを受承する状態とし、同様に、自動レベル調整装置2Bをもう1つのボルト通し孔Cに合わせて上昇駆動させる。
【0114】
続いて、この実施の形態では第5の実施の形態に係る自動レベル調整方法と同様に自動レベル調整を行うことができる。最初のレベル調整として、第1のデジタル水平器G1においてレベル測定をして、第1のデジタル水平器G1の出力パルスに基づいて自動レベル調整装置2Aの制御用モータ11を駆動して昇降部材40Aを上昇させてベースプレートBのX方向のレベル調整を行い、このレベル調整後、ベースプレートBの下面との間にギャップが生じている支持脚50Aのダブル締付ナット54を手回しによりベースプレートBの下面に密着させる。
【0115】
次いで、第2のデジタル水平器G2によりベースプレートBのY方向のレベル測定を行い、パルスを出力させ、この出力パルスに基づいて、X方向のレベル調整を済ませた自動レベル調整装置2Aおよび支持脚50Bに対してY方向に並ぶ自動レベル調整装置2Bの昇降部材40Aを上昇させ、ベースプレートBのY方向のレベル調整を行い、このレベル調整後、ベースプレートBの下面との間にギャップが生じている支持脚50C、50Dのダブルナットを手回しによりベースプレートBの下面に密着させる。これにより、構造物AのベースプレートBのレベル調整を行うことができ、支持脚50A-50Dの締付用のナットを締め付ける(支持脚50A-50Dによる水平出ししたベースプレートBの四隅の受承高さを固定する)。
【0116】
続いて、ベースプレートBのレベル調整を終えた構造物Aについて、定盤や加工具等のレベル調整、鉛直調整が行われているから、定盤や加工具等のレベル調整、鉛直調整を行なう。その後、クレーン等により自動レベル調整装置2A、2Bに受承されていて非連結の構造物Aを支持脚50A、50B、50C、50Dとともに吊り上げ、出荷のために移送する。このようにすると、支持脚50A、50B、50C、50Dが垂下した状態の構造物Aのみが製造工場からユーザーの工場に移されてコンクリート床置して改めて行うベースプレートBのレベル調整については人手により水平器を用い支持脚50A、50B、50C、50Dについて必要なアジャストを行うだけで短時間に処理することができ、再度の定盤や加工具等のレベル調整、鉛直調整を行わなくても要求される高精度のレベル調整、鉛直調整を担保することができる。なお、1度目の自動レベル調整に用いた自動レベル調整装置2A、2Bをユーザーの工場に別途に移送して再び組付けて2度目の自動レベル調整を行なうようにしても良い。
【0117】
以上説明してきたように、本発明によれば、製造工場内で構造物のベースプレートの下側に装置本体を装着し1度目のレベル出しを行うのに好適であり、作業者の熟練度に関係なく、自動的に短時間で高精度なレベル出しが行なえる自動レベル調整装置を提供することができる。
【0118】
さらに、本発明によれば、製造工場内で構造物のベースプレートの下側に装置本体を連結状態に装着し1度目のレベル出しを行う態様では、その後、前記連結状態のままユーザーの工場に移送して2度目の自動レベル調整を行なう場合にも好適である自動レベル調整装置を提供することができる。
【0119】
さらに、本発明によれば、製造工場内で構造物のベースプレートの下側に装置本体を非連結状態に装着し1度目のレベル出しを行う態様では、その後、構造物とは別々にユーザーの工場に移送して再度組付けて2度目の自動レベル調整を行なう場合にも好適である自動レベル調整装置を提供することができる。
【0120】
さらにまた、本発明によれば、製造工場で構造物のベースプレートの四隅のボルトを通す孔にアジャスター機能を有する支持脚ではなく自動レベル調整装置を装着する態様では、ベースプレートに別途の孔を設けずに1度目と2度目の自動レベル調整を実施する自動レベル調整方法を提供するができる。
【0121】
また本発明において、特に、ベースプレートに設けられるボルトを通す孔またはネジ孔に昇降部材を嵌合または連結させる構成では、自動レベル調整を行っている最中に大きな地震がもし発生したとしても構造物が当初の受承面から外れて落下するという事故を防げる自動レベル調整装置を提供することができる。
【0122】
本発明によれば、特に水平軸線の周りに回転するモータの動力回転をネジ機構により微動・直動・高トルクに変換し、さらにて再びネジ機構により微動・直動・高トルクに変換し、もってベースプレートBを受承して持ち上げる力を二乗倍に増大することができ、大型で大重量の構造物Aの自動レベル調整に適用できる自動レベル調整装置を提供することができる。
【0123】
また本発明によれば、特許文献1の自動水平出し装置と同様に、作業者の熟練度に関係なく、自動的に短時間で高精度なレベル出しが実現できる。
【符号の説明】
【0124】
1、1A、1B、1C…自動レベル調整装置、
2、2A、2B、2C…自動レベル調整装置、
3、3A、3B、3C…自動レベル調整装置、
4、4A、4B、4C…自動レベル調整装置、
5、5A、5B、5C…ベースフレーム、
5a…アーム部、
5b…座金、
5c…ボルト、
6、6A、6B、6C…カバー、
10、10A、10B、10C…回転駆動手段(回転駆動源)、
11…制御用モータ、
12…減速機、
13…モータドライバ、
14…ブレーキ装置、
20、20A、20B、20C…歯車列、
21…原動歯車、
22…従動歯車、
23…台座ブロック、
23a…底面凹部、
24…両脚ボルト、
25…スラストワッシャー、
30、30A、30B、30C…ネジ軸、
30a…雄ネジ部、
30b…フランジ部、
30c…円筒軸部、
30d…ロックプレート、
30e…ロックボルト、
30f…二段大径部、
31…台座ブロック、
32a、32b…ボルト、
33…ベース、
34…スラストワッシャー、
35…二段筒軸ブロック、
36…エンドプレート、
37…ナット、
40、40A、40B、40C、40C’…昇降部材、
41…大径部、
42…小径部、
42a…フランジ部、
43…ボルト、
44…リング部材、
45…嵌合ピン、
46、46’…連結具、
46a…フランジ部、
46b…ピン部、
46c…雄ネジ部、
47…ナット、
50A-50D…支持脚、
51…台座、
52…ボルト支柱、
53…ダブルナット
54…締付ナット
A…構造物、
B…ベースプレート、
C、C2…ボルトを通す孔、
D…ネジ孔、
G、G1、G2…デジタル水平器、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-08-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レベル調整が必要な構造物のベースプレートを受承して微小変化量で昇降しつつ前記ベースプレートの上面を自動レベル調整する自動レベル調整装置であって、
軸方向が鉛直方向であり回転可能・上下方向移動不能に設けられたネジ軸と、
大径部と前記大径部の下側または上側に固定的に設けられる小径部とを含み、前記大径部と前記小径部のうちの少なくとも前記小径部の中心を貫通して螺設された雌ネジが前記ネジ軸の上端部に螺合され、自動レベル調整時に前記大径部の端面で前記ベースプレートの下面を受承し前記ネジ軸が回転すると前記大径部前記ベースプレートとの摩擦、或いは前記大径部の一部を構成するリング部材もしくはフランジ部と前記ベースプレートとの摩擦により回転不能であり上下方向に従動する昇降部材と、
水平軸線の周りに回転することのできる原動歯車の回転を鉛直軸線の周りに回転することのでき前記原動歯車と噛合する従動歯車の回転に変換して前記ネジ軸に回転伝達する歯車列と、
前記ベースプレートの上面に設置され該ベースプレートの水平度がゼロになるまで出力パルスもしくは水平LEVEL信号を出力するデジタル水平器と、
前記原動歯車に駆動回転を与える減速機付き制御用モータとを備え、
前記減速機付き制御用モータは、前記デジタル水平器が出力する傾き角の値がゼロに収束するようにフィードバック制御することにより前記ベースプレートの上面のレベル調整を終えるまで前記原動歯車の駆動回転を行う
ことを特徴とする自動レベル調整装置。
【請求項2】
前記昇降部材は、
前記大径部を上側に、前記小径部を下側に備え、前記大径部と前記小径部のうち、少なくとも前記小径部には中心を貫通して螺設された雌ネジを有し、前記雌ネジに前記ネジ軸の上端部の雄ネジ部が螺合し、かつ自動レベル調整開始時に前記ネジ軸の上端が前記大径部内の中途位置にある
ことを特徴とする請求項1に記載の自動レベル調整装置。
【請求項3】
前記昇降部材は、
前記大径部を上側に、前記小径部を下側に備え、前記大径部と前記小径部のうち、少なくとも前記小径部には中心を貫通して螺設された雌ネジを有し、前記雌ネジに前記ネジ軸の上端部の雄ネジ部が螺合し、さらに前記大径部上に同心に載置されるリング部材と、前記リング部材上に設けられた嵌合ピンとを有し、自動レベル調整時に、前記ベースプレートに設けられたボルトを通す孔に対し前記嵌合ピンが嵌合する
ことを特徴とする請求項1に記載の自動レベル調整装置。
【請求項4】
前記昇降部材は、
前記大径部がリング状で上側に、前記小径部が雌ネジを有し下側に備え、前記小径部の前記雌ネジが前記ネジ軸の上端部に螺合し、かつ自動レベル調整開始時に前記ネジ軸の上端が前記大径部内の中途位置にあり、
さらに、前記大径部上に同心に固定されるフランジ部と、前記フランジ部の上面より突出するピン部と、前記ピン部よりさらに上方に突出する雄ネジ部とを有する連結具を備え、自動レベル調整時に、前記フランジ部が前記ベースプレートの下面を受承し、かつ前記ピン部が前記ベースプレートに設けられたボルトを通す孔に嵌合し、さらに前記ボルトを通す孔より上側に突出する前記雄ネジ部にナットが螺合する
ことを特徴とする請求項1に記載の自動レベル調整装置。
【請求項5】
前記昇降部材は、
前記大径部がリング状で上側に、前記小径部が雌ネジを有し下側に備え、前記小径部の前記雌ネジが前記ネジ軸の上端部に螺合し、かつ自動レベル調整開始時に前記ネジ軸の上端が前記大径部内の中途位置にあり、
さらに、前記大径部上に同心に固定されるフランジ部と、前記フランジ部上に同心に凸設された雄ネジ部とを有し、自動レベル調整時に前記フランジ部が前記ベースプレートの下面を受承し、かつ前記雄ネジ部が前記ベースプレートに設けられた雌ネジに螺合する
ことを特徴とする請求項1に記載の自動レベル調整装置。
【請求項6】
前記昇降部材は、
前記大径部の上面より前記小径部が突出しさらに雄ネジ部が突出し、前記大径部と前記小径部と前記雄ネジ部の中心を貫通して設けられた雌ネジにネジ軸の上半部の雄ねじ部が挿通状態に螺合され、自動レベル調整時に、前記大径部が前記ベースプレートの下面を受承し、かつ前記小径部が前記ベースプレートに設けられたボルトを通す孔に嵌合し、さらに前記ボルトを通す孔より上側に突出する前記雄ネジ部にナットが螺合する
ことを特徴とする請求項1に記載の自動レベル調整装置。
【請求項7】
前記昇降部材は
記大径部を下側に、前記小径部を上側に備えかつ前記小径部の外周面に雄ネジが形成された段軸形状であり、前記大径部と前記小径部の中心を貫通して設けられた雌ネジに前記ネジ軸の上半部の前記雄ねじ部が挿通状態に螺合され、自動レベル調整時に、前記大径部が前記ベースプレートの下面を受承し、かつ前記小径部の外周面の前記雄ネジが前記ベースプレートに設けられた雌ネジに螺合する
ことを特徴とする請求項1に記載の自動レベル調整装置。
【請求項8】
前記ベースプレートの上面のレベル調整を終えて前記制御用モータが駆動回転を停止したら、前記構造物のベースプレートの負荷により前記ネジ軸が逆回転することがないよう前記制御用モータの回転軸を回転不能とするブレーキ装置が設けられている
ことを特徴とする請求項1-7のいずれか1項に記載の自動レベル調整装置。
【請求項9】
構造物のレベル調整作業スペースに前記構造物を吊り下ろすとともに前記構造物のベースプレートの下側に請求項1-7のいずれか1つに記載の自動レベル調整装置を複数の所定位置に配置し、この際、前記自動レベル調整装置のネジ軸の上端部に螺合した昇降部材でベースプレートの下面を受承し、またはベースプレートの下面を受承することに加え、前記昇降部材をベースプレートに設けられたボルトを通す孔またはネジ孔に係合し、前記ベースプレートの上面にX方向の水平度を検出する第1のデジタル水平器とY方向の水平度を検出する第2のデジタル水平器とを配置し、第1および第2のデジタル水平器のうち、いずれか一方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該一方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整装置により自動レベル調整を行い、次いで他方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該他方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整装置により自動レベル調整を行い、もって、前記ベースプレートの上面のX方向およびY方向のレベル調整を行う
ことを特徴とする自動レベル調整方法。
【請求項10】
構造物のレベル調整作業スペースに前記構造物を吊り下ろすとともに前記構造物のベースプレートの下側の四隅をアジャスター機能を有する支持脚で受承するとともに、請求項1-7のいずれか1つに記載の自動レベル調整装置を前記ベースプレートの複数の所定位置に配置し、かつ前記自動レベル調整装置の昇降部材を前記ベースプレートの下面に係合させ、前記ベースプレートの上面にX方向の水平度を検出する第1のデジタル水平器とY方向の水平度を検出する第2のデジタル水平器とを配置し、第1および第2のデジタル水平器のうち、いずれか一方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該一方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整装置により自動レベル調整を行い、次いで他方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該他方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整装置により自動レベル調整を行い、もって、前記ベースプレートの上面のX方向およびY方向のレベル調整を行うとともに、前記支持脚によるベースプレートの四隅の受承高さを固定する
ことを特徴とする自動レベル調整方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
したがって、ネジ軸30Cと従動歯車22と二段筒軸ブロック35とナット37とエンドプレート36は一体回転するよう固定連結されており、ベース33によりネジ軸30Cが回転可能に軸支されている。ネジ軸30Cに作用する下向きの負荷はナット37とベース33が担持している。そうして、ベースプレートBにネジ軸30Cが連結されており、またねじ軸30がベース33から上方に引き抜けることが無いので、構造物が上方へ吊り上げられた際は、エンドプレート36がベース33の底部を持ち上げ装置全体が吊り上がるようになっている。なお、ネジ軸30Cの下半部と歯車列20Cと二段筒軸ブロック31と台座ブロック32は、カバー6Cにより隠蔽されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0091】
[自動レベル調整方法]
自動レベル調整方法については、図5に示すように3つの自動レベル調整装置、2つのデジタル水平器G1,G2、および4つの支持脚50A-50Dを使用する形態と、図6に示すように2つの自動レベル調整装置、2つのデジタル水平器G1,G2、および4つの支持脚50A-50Dを使用する形態とに分けて説明する。ここで、図5(B)を用いて4つの支持脚(アジャスタボルト)50A、50B、50C、50Dについて説明する。支持脚は、図5(B)に示すように、接地する台座51と、台座51上に固定立設され構造物AのベースプレートBの四隅に設けられるボルトを通す孔Cに通されるボルト支柱52と、ボルト支柱52に螺合され水平出しが行われたときにベースプレートBが下降しないようにするためベースプレートBの下面に当接するよう調整されるダブル締付ナット53と、ボルト支柱52に螺合され水平出し後さらにベースプレートBを吊って移動する前にベースプレートBの上面に締付固定される締付ナット54とからなる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0103
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0103】
既定の水平レベルが出ていない場合には、四隅の支持脚50A-50Dのダブル締付ナット53と締付ナット54を大幅に緩めた状態にする。そして、自動レベル調整装置3A、3B、3Cの昇降部材40Bのナット47を取り外したりまたは緩めたりしないで、製造工場において実施した1度目のレベル調整と同じ手順で自動レベル調整装置3A、3B、3Cを作動して2度目のレベル調整を行なう。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0104
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0104】
2度目のレベル調整を終了したら、四隅の支持脚50A-50Dのダブル締付ナット53と締付ナット54を締め付けて2度目のレベル調整による水平度を保持する。また、2度目のレベル調整を終了したら、自動レベル調整装置3A、3B、3Cを取り外しても良いし、製造工場において定期的に3度目以降の自動レベル調整を行なう予定があれば、ナット47を締め付けてそのまま装着しておいても良い。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0112
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0112】
そして、ベースプレートBを吊り下ろす際には、ベースプレートBに設けられた4つのボルト通し孔C2と、4つの支持脚50A、50B、50C、50Dのボルト支柱52との芯合わせを行う。そうして、ベースプレートBを吊り下ろすと、4つの支持脚50A、50B、50C、50Dのボルト支柱52が4つのボルト通し孔C2貫挿状態になり、もって、ベースプレートBは、4つの支持脚50A、50B、50Cのダブル締付ナット53図5(B)参照)により3点支持状態に受承される。支持脚50A、50B、50C、50Dのボルト支柱52の上端には締付ナット54を軽く螺合しておくものとする。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レベル調整が必要な構造物のベースプレートを受承して微小変化量で昇降しつつ前記ベースプレートの上面を自動レベル調整する自動レベル調整装置であって、
軸方向が鉛直方向であり回転可能・上下方向移動不能に設けられたネジ軸と、
大径部と前記大径部の下側または上側に固定的に設けられる小径部とを含み、前記大径部と前記小径部のうちの少なくとも前記小径部の中心を貫通して螺設された雌ネジが前記ネジ軸の上端部に螺合され、自動レベル調整時に前記大径部の端面で前記ベースプレートの下面を受承し前記ネジ軸が回転すると前記大径部と前記ベースプレートとの摩擦、或いは前記大径部の一部を構成するリング部材もしくはフランジ部と前記ベースプレートとの摩擦により回転不能であり上下方向に従動する昇降部材と、
水平軸線の周りに回転することのできる原動歯車の回転を鉛直軸線の周りに回転することのでき前記原動歯車と噛合する従動歯車の回転に変換して前記ネジ軸に回転伝達する歯車列と、
前記ベースプレートの上面に設置され該ベースプレートの水平度がゼロになるまで出力パルスもしくは水平LEVEL信号を出力するデジタル水平器と、
前記原動歯車に駆動回転を与える減速機付き制御用モータとを備え、
前記減速機付き制御用モータは、前記デジタル水平器が出力する傾き角の値がゼロに収束するようにフィードバック制御することにより前記ベースプレートの上面のレベル調整を終えるまで前記原動歯車の駆動回転を行い、
前記昇降部材は、
前記大径部を上側に、前記小径部を下側に備え、前記大径部と前記小径部のうち、少なくとも前記小径部には中心を貫通して螺設された雌ネジを有し、前記雌ネジに前記ネジ軸の上端部の雄ネジ部が螺合し、さらに前記大径部上に同心に載置されるリング部材と、前記リング部材上に設けられた嵌合ピンとを有し、自動レベル調整時に、前記ベースプレートに設けられたボルトを通す孔に対し前記嵌合ピンが嵌合する
ことを特徴とする自動レベル調整装置。
【請求項2】
レベル調整が必要な構造物のベースプレートを受承して微小変化量で昇降しつつ前記ベースプレートの上面を自動レベル調整する自動レベル調整装置であって、
軸方向が鉛直方向であり回転可能・上下方向移動不能に設けられたネジ軸と、
大径部と前記大径部の下側または上側に固定的に設けられる小径部とを含み、前記大径部と前記小径部のうちの少なくとも前記小径部の中心を貫通して螺設された雌ネジが前記ネジ軸の上端部に螺合され、自動レベル調整時に前記大径部の端面で前記ベースプレートの下面を受承し前記ネジ軸が回転すると前記大径部と前記ベースプレートとの摩擦、或いは前記大径部の一部を構成するリング部材もしくはフランジ部と前記ベースプレートとの摩擦により回転不能であり上下方向に従動する昇降部材と、
水平軸線の周りに回転することのできる原動歯車の回転を鉛直軸線の周りに回転することのでき前記原動歯車と噛合する従動歯車の回転に変換して前記ネジ軸に回転伝達する歯車列と、
前記ベースプレートの上面に設置され該ベースプレートの水平度がゼロになるまで出力パルスもしくは水平LEVEL信号を出力するデジタル水平器と、
前記原動歯車に駆動回転を与える減速機付き制御用モータとを備え、
前記減速機付き制御用モータは、前記デジタル水平器が出力する傾き角の値がゼロに収束するようにフィードバック制御することにより前記ベースプレートの上面のレベル調整を終えるまで前記原動歯車の駆動回転を行い、
前記昇降部材は、
前記大径部がリング状で上側に、前記小径部が雌ネジを有し下側に備え、前記小径部の前記雌ネジが前記ネジ軸の上端部に螺合し、かつ自動レベル調整開始時に前記ネジ軸の上端が前記大径部内の中途位置にあり、
さらに、前記大径部上に同心に固定されるフランジ部と、前記フランジ部の上面より突出するピン部と、前記ピン部よりさらに上方に突出する雄ネジ部とを有する連結具を備え、自動レベル調整時に、前記フランジ部が前記ベースプレートの下面を受承し、かつ前記ピン部が前記ベースプレートに設けられたボルトを通す孔に嵌合し、さらに前記ボルトを通す孔より上側に突出する前記雄ネジ部にナットが螺合する
ことを特徴とする自動レベル調整装置。
【請求項3】
レベル調整が必要な構造物のベースプレートを受承して微小変化量で昇降しつつ前記ベースプレートの上面を自動レベル調整する自動レベル調整装置であって、
軸方向が鉛直方向であり回転可能・上下方向移動不能に設けられたネジ軸と、
大径部と前記大径部の下側または上側に固定的に設けられる小径部とを含み、前記大径部と前記小径部のうちの少なくとも前記小径部の中心を貫通して螺設された雌ネジが前記ネジ軸の上端部に螺合され、自動レベル調整時に前記大径部の端面で前記ベースプレートの下面を受承し前記ネジ軸が回転すると前記大径部と前記ベースプレートとの摩擦、或いは前記大径部の一部を構成するリング部材もしくはフランジ部と前記ベースプレートとの摩擦により回転不能であり上下方向に従動する昇降部材と、
水平軸線の周りに回転することのできる原動歯車の回転を鉛直軸線の周りに回転することのでき前記原動歯車と噛合する従動歯車の回転に変換して前記ネジ軸に回転伝達する歯車列と、
前記ベースプレートの上面に設置され該ベースプレートの水平度がゼロになるまで出力パルスもしくは水平LEVEL信号を出力するデジタル水平器と、
前記原動歯車に駆動回転を与える減速機付き制御用モータとを備え、
前記減速機付き制御用モータは、前記デジタル水平器が出力する傾き角の値がゼロに収束するようにフィードバック制御することにより前記ベースプレートの上面のレベル調整を終えるまで前記原動歯車の駆動回転を行い、
前記昇降部材は、
前記大径部がリング状で上側に、前記小径部が雌ネジを有し下側に備え、前記小径部の前記雌ネジが前記ネジ軸の上端部に螺合し、かつ自動レベル調整開始時に前記ネジ軸の上端が前記大径部内の中途位置にあり、
さらに、前記大径部上に同心に固定されるフランジ部と、前記フランジ部上に同心に凸設された雄ネジ部とを有し、自動レベル調整時に前記フランジ部が前記ベースプレートの下面を受承し、かつ前記雄ネジ部が前記ベースプレートに設けられた雌ネジに螺合する
ことを特徴とする自動レベル調整装置。
【請求項4】
レベル調整が必要な構造物のベースプレートを受承して微小変化量で昇降しつつ前記ベースプレートの上面を自動レベル調整する自動レベル調整装置であって、
軸方向が鉛直方向であり回転可能・上下方向移動不能に設けられたネジ軸と、
大径部と前記大径部の下側または上側に固定的に設けられる小径部とを含み、前記大径部と前記小径部のうちの少なくとも前記小径部の中心を貫通して螺設された雌ネジが前記ネジ軸の上端部に螺合され、自動レベル調整時に前記大径部の端面で前記ベースプレートの下面を受承し前記ネジ軸が回転すると前記大径部と前記ベースプレートとの摩擦、或いは前記大径部の一部を構成するリング部材もしくはフランジ部と前記ベースプレートとの摩擦により回転不能であり上下方向に従動する昇降部材と、
水平軸線の周りに回転することのできる原動歯車の回転を鉛直軸線の周りに回転することのでき前記原動歯車と噛合する従動歯車の回転に変換して前記ネジ軸に回転伝達する歯車列と、
前記ベースプレートの上面に設置され該ベースプレートの水平度がゼロになるまで出力パルスもしくは水平LEVEL信号を出力するデジタル水平器と、
前記原動歯車に駆動回転を与える減速機付き制御用モータとを備え、
前記減速機付き制御用モータは、前記デジタル水平器が出力する傾き角の値がゼロに収束するようにフィードバック制御することにより前記ベースプレートの上面のレベル調整を終えるまで前記原動歯車の駆動回転を行い、
前記昇降部材は、
前記大径部の上面より前記小径部が突出しさらに雄ネジ部が突出し、前記大径部と前記小径部と前記雄ネジ部の中心を貫通して設けられた雌ネジにネジ軸の上半部の雄ねじ部が挿通状態に螺合され、自動レベル調整時に、前記大径部が前記ベースプレートの下面を受承し、かつ前記小径部が前記ベースプレートに設けられたボルトを通す孔に嵌合し、さらに前記ボルトを通す孔より上側に突出する前記雄ネジ部にナットが螺合する
ことを特徴とする自動レベル調整装置。
【請求項5】
レベル調整が必要な構造物のベースプレートを受承して微小変化量で昇降しつつ前記ベースプレートの上面を自動レベル調整する自動レベル調整装置であって、
軸方向が鉛直方向であり回転可能・上下方向移動不能に設けられたネジ軸と、
大径部と前記大径部の下側または上側に固定的に設けられる小径部とを含み、前記大径部と前記小径部のうちの少なくとも前記小径部の中心を貫通して螺設された雌ネジが前記ネジ軸の上端部に螺合され、自動レベル調整時に前記大径部の端面で前記ベースプレートの下面を受承し前記ネジ軸が回転すると前記大径部と前記ベースプレートとの摩擦、或いは前記大径部の一部を構成するリング部材もしくはフランジ部と前記ベースプレートとの摩擦により回転不能であり上下方向に従動する昇降部材と、
水平軸線の周りに回転することのできる原動歯車の回転を鉛直軸線の周りに回転することのでき前記原動歯車と噛合する従動歯車の回転に変換して前記ネジ軸に回転伝達する歯車列と、
前記ベースプレートの上面に設置され該ベースプレートの水平度がゼロになるまで出力パルスもしくは水平LEVEL信号を出力するデジタル水平器と、
前記原動歯車に駆動回転を与える減速機付き制御用モータとを備え、
前記減速機付き制御用モータは、前記デジタル水平器が出力する傾き角の値がゼロに収束するようにフィードバック制御することにより前記ベースプレートの上面のレベル調整を終えるまで前記原動歯車の駆動回転を行い、
前記昇降部材は、
前記大径部を下側に、前記小径部を上側に備えかつ前記小径部の外周面に雄ネジが形成された段軸形状であり、前記大径部と前記小径部の中心を貫通して設けられた雌ネジに前記ネジ軸の上半部の前記雄ねじ部が挿通状態に螺合され、自動レベル調整時に、前記大径部が前記ベースプレートの下面を受承し、かつ前記小径部の外周面の前記雄ネジが前記ベースプレートに設けられた雌ネジに螺合する
ことを特徴とする自動レベル調整装置。
【請求項6】
前記ベースプレートの上面のレベル調整を終えて前記制御用モータが駆動回転を停止したら、前記構造物のベースプレートの負荷により前記ネジ軸が逆回転することがないよう前記制御用モータの回転軸を回転不能とするブレーキ装置が設けられている
ことを特徴とする請求項1-のいずれか1項に記載の自動レベル調整装置。
【請求項7】
構造物のレベル調整作業スペースに前記構造物を吊り下ろすとともに前記構造物のベースプレートの下側に請求項1-のいずれか1つに記載の自動レベル調整装置を複数の所定位置に配置し、この際、前記自動レベル調整装置のネジ軸の上端部に螺合した昇降部材でベースプレートの下面を受承し、またはベースプレートの下面を受承することに加え、前記昇降部材をベースプレートに設けられたボルトを通す孔またはネジ孔に係合し、前記ベースプレートの上面にX方向の水平度を検出する第1のデジタル水平器とY方向の水平度を検出する第2のデジタル水平器とを配置し、第1および第2のデジタル水平器のうち、いずれか一方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該一方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整装置により自動レベル調整を行い、次いで他方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該他方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整装置により自動レベル調整を行い、もって、前記ベースプレートの上面のX方向およびY方向のレベル調整を行う
ことを特徴とする自動レベル調整方法。
【請求項8】
構造物のレベル調整作業スペースに前記構造物を吊り下ろすとともに前記構造物のベースプレートの下側の四隅をアジャスター機能を有する支持脚で受承するとともに、請求項1-のいずれか1つに記載の自動レベル調整装置を前記ベースプレートの複数の所定位置に配置し、かつ前記自動レベル調整装置の昇降部材を前記ベースプレートの下面に係合させ、前記ベースプレートの上面にX方向の水平度を検出する第1のデジタル水平器とY方向の水平度を検出する第2のデジタル水平器とを配置し、第1および第2のデジタル水平器のうち、いずれか一方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該一方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整装置により自動レベル調整を行い、次いで他方のデジタル水平器からパルスを出力し、当該他方のデジタル水平器に対応する自動レベル調整装置により自動レベル調整を行い、もって、前記ベースプレートの上面のX方向およびY方向のレベル調整を行うとともに、前記支持脚によるベースプレートの四隅の受承高さを固定する
ことを特徴とする自動レベル調整方法。