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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129664
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】車載用電池装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20240919BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B62D25/20 G
B62D25/20 F
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039012
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 暢明
【テーマコード(参考)】
3D203
3D235
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203AA31
3D203AA33
3D203BB04
3D203BB12
3D203BB20
3D203BB22
3D203CB26
3D203DB07
3D235AA02
3D235BB22
3D235CC15
3D235DD22
3D235FF06
3D235FF07
3D235FF09
3D235FF12
(57)【要約】
【課題】防水性を向上可能な車載用電池装置を提供する。
【解決手段】車載用電池装置は、車体に搭載され、電池を収容するケーシングと、前記車体の外部と前記ケーシングとを接続する管と、前記管の内部に位置し、それぞれが前記車体の外部から前記ケーシングへ向かう液体の流れを規制するとともに前記ケーシングから前記車体の外部へ向かう気体の流れを通過させる、複数の弁体と、を備え、複数の前記弁体は、第1弁体と、第2弁体と、を有し、前記第1弁体は、前記第2弁体よりも高い位置に設けられるとともに、前記ケーシングと前記第2弁体との間に位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に搭載され、電池を収容するケーシングと、
前記車体の外部と前記ケーシングとを接続する管と、
前記管の内部に位置し、それぞれが前記車体の外部から前記ケーシングへ向かう液体の流れを規制するとともに前記ケーシングから前記車体の外部へ向かう気体の流れを通過させる、複数の弁体と、
を備え、
複数の前記弁体は、第1弁体と、第2弁体と、を有し、
前記第1弁体は、前記第2弁体よりも高い位置に設けられるとともに、前記ケーシングと前記第2弁体との間に位置する、
車載用電池装置。
【請求項2】
前記ケーシングは、前記車体の前後方向に延びる二つのロッカーの間に位置し、
前記管は、前記ケーシングから延びるとともに前記第1弁体を収容する第1管と、前記車体の外部に連通するとともに前記第2弁体を収容する第2管と、少なくとも部分的に前記二つのロッカーのうち一方の上方に位置して前記第2管よりも高い位置に設けられるとともに前記第1管と前記第2管とを接続する第3管と、を有する、
請求項1に記載の車載用電池装置。
【請求項3】
前記第1管と前記第2管との間に前記車体の幅方向に延びるクロスメンバが位置するように配置され、
前記第3管は、前記クロスメンバよりも上方の空間を通って前記第1管と前記第2管との間で延びている、
請求項2に記載の車載用電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池を収容するケーシングと、ケーシングと外部とを繋ぐダクトと、を備え、車両シート下に搭載される車載用電池装置が知られている。ダクト内部には、外部から塵や水の侵入を防ぐ逆止弁が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-91950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、冠水した道路を走行した際、従来の車載用電池装置が路面から近い位置に配置されると、外部からダクトに侵入する水の水圧が高くなる。そのため、水が逆止弁を越えてダクトに侵入してしまう虞がある。
【0005】
本発明の目的は、防水性を向上可能な車載用電池装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本発明に係る車載用電池装置は、車体に搭載され、電池を収容するケーシングと、前記車体の外部と前記ケーシングとを接続する管と、前記管の内部に位置し、それぞれが前記車体の外部から前記ケーシングへ向かう液体の流れを規制するとともに前記ケーシングから前記車体の外部へ向かう気体の流れを通過させる、複数の弁体と、を備え、複数の前記弁体は、第1弁体と、第2弁体と、を有し、前記第1弁体は、前記第2弁体よりも高い位置に設けられるとともに、前記ケーシングと前記第2弁体との間に位置する。
【0007】
この構成によれば、排煙ダクトから侵入しようとする水は、まず第2弁体に阻まれる。水が第2弁体を通過した場合、水は、高低差によって勢いを弱めながら第1弁体に向かう。このように、水の勢いが弱まるため、第1弁体は、より確実に水の侵入を防ぐことができる。これにより、第1弁体は、ケーシングに水が侵入することを防ぐ。従って、本発明は、車載用電池装置の防水性を向上させることが可能である。
【0008】
また、本発明に係る車載用電池装置において、ケーシングは、車体の前後方向に延びる二つのロッカーの間に位置し、管は、前記ケーシングから延びるとともに第1弁体を収容する第1管と、前記車体の外部に連通するとともに第2弁体を収容する第2管と、少なくとも部分的に前記二つのロッカーのうち一方の上方に位置して前記第2管よりも高い位置に設けられるとともに前記第1管と前記第2管とを接続する第3管と、を有する。
【0009】
この構成によれば、第2弁体を越えて管に侵入した水は、第2管から、より高い第3管を経由して第1管へ流れる間に、勢いを弱められる。すなわち、第1管の第1弁体へ到達する水の勢いは、比較的弱い。これにより、管は、外部から侵入しようとする水を効率的に防ぐことができる。
【0010】
また、本発明に係る車載用電池装置において、第1管と第2管との間に車体の幅方向に延びるクロスメンバが位置するように配置され、第3管は、前記クロスメンバよりも上方の空間を通って前記第1管と前記第2管との間で延びている。
【0011】
この構成によれば、第3管は、クロスメンバを迂回するように長く設定される。これにより、車体の外部から管を通ってケーシングへ向かって流れる水の移動距離は長くなる。従って、管は、外部から侵入した水の勢いを抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、防水性の向上が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態の車両の一部の構成を示す平面図である。
図2図2は、本実施形態の車両の一部の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態)
以下、本実施形態に係る車両1を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、並びに当該構成によってもたらされる作用及び結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。なお、本明細書では、序数は、部品や部材を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0015】
図1は、本実施形態に係る車両1の一部の構成を示す平面図である。車両1は、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車のような道路を走行する乗物である。図1に示すように、車両1は、車体2と、車載用電池装置3と、を備える。
【0016】
以下の各図では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。X方向は、車両1の進行方向に沿う方向であり、前後方向とも称され得る。Y方向は、車両1の幅方向に沿う方向であり、左右方向とも称され得る。Z方向は、車両1の高さ方向に沿う方向であり、上下方向とも称され得る。
【0017】
車体2は、フロアパネル21と、二つのロッカー22と、二つのクロスメンバ23と、二つのサイドメンバ24と、を有する。なお、図1は、車体2の一部を拡大した図であるため、一方のロッカー22、クロスメンバ23、及びサイドメンバ24のみ示されている。
【0018】
フロアパネル21は、車両1が走行する路面に面する車体2の底面を形成する。フロアパネル21は、上下方向(Z方向)と直交する方向(XY平面)に沿って延びている。また、フロアパネル21の表面は、凹凸を有している。
【0019】
二つのロッカー22は、フロアパネル21から上方向(+Z方向)に向かって突出するとともに、前後方向(X方向)に延びている。各ロッカー22は、左右方向(Y方向)において互いに離間して設けられている。
【0020】
二つのクロスメンバ23は、フロアパネル21から上方向(+Z方向)に向かって突出するようにフロアパネル21に取り付けられている。各クロスメンバ23は、左右方向(Y方向)に延びている。二つのクロスメンバ23は、前後方向(X方向)において互いに離間して設けられている。なお、各クロスメンバ32は、それぞれ形状が異なる。
【0021】
図2は、本実施形態に係る車両1の一部の構成を示す断面図である。図1、2に示すように、サイドメンバ24は、フロアパネル21から下方向(-Z方向)に向かって突出するようにフロアパネル21に取り付けられている。各サイドメンバ24は、前後方向(X方向)に延びている。二つのサイドメンバ24は、左右方向(Y方向)において互いに離間して設けられている。
【0022】
フロアパネル21には、上下方向(Z方向)に当該フロアパネル21を貫通する開口部211が設けられている。開口部211は、サイドメンバ24の上方に位置して、車両1の内部とサイドメンバ24とを連通している。また、各サイドメンバ24は、略U字型に形成されており、内側に空間が形成されている。これにより、フロアパネル21の開口部211とサイドメンバ24の内側の空間とは、車体2の内部と外部とを連通している。
【0023】
図1に示すように、車載用電池装置3は、電池パック4と、排煙ダクト5と、複数の逆止弁6と、を備える。なお、電池パック4は、ケーシングの一例であり、排煙ダクト5は、管の一例である。また、逆止弁6は、弁体の一例である。
【0024】
電池パック4は、電池41と、容器42と、接続ダクト43と、を有する。電池41は、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池である。容器42は、箱型に形成され、電池41を収容する。容器42の底面には、例えば、リブのような足が設けられている。容器42は、当該リブを介して防水トレイに支持されるとともに、当該防水トレイを介してフロアパネル21に搭載される。なお、リブと防水トレイとの間には、例えば、ゴム板等が設けられている。
【0025】
防水トレイは、例えば、合成樹脂等で形成されたシートである。防水トレイは、電池パック4を覆うことで、例えば、当該電池パック4が浸水することを防ぐ。なお、電池パック4は、防水トレイを介さずにフロアパネル21に搭載されても良いし、他の方法によって車体2に搭載されても良い。
【0026】
電池パック4は、二つのロッカー22及び二つのクロスメンバ23に囲まれている。すなわち、電池パック4は、二つのロッカー22の間と、二つのクロスメンバ23と、の間に位置する。これにより、電池パック4は、前後方向(X方向)及び左右方向(Y方向)からの衝撃を受け難い。
【0027】
接続ダクト43は、容器42に接続されている。接続ダクト43は、二つに分かれて容器42から右方向(-Y方向)に延びた後一つになり、排煙ダクト5に接続される。言い換えると、接続ダクト43は、排煙ダクト5から左方向(+Y方向)に延びた後二つに分かれて容器42に接続される。
【0028】
接続ダクト43の幅と厚さは、左右方向(Y方向)における複数の位置でそれぞれ異なる。すなわち、接続ダクト43の表面は、凹凸を有している。さらに、図2に示すように、接続ダクト43は、上下方向(Z方向)において屈曲しながら右方向(-Y方向)に延びている。
【0029】
排煙ダクト5は、例えば、電池パック4内部で発生したガスを車体2外部に排出する管である。図1に示すように、排煙ダクト5は、電池パック4の接続ダクト43と、フロアパネル21の開口部211と接続している。すなわち、排煙ダクト5は、フロアパネル21の開口部211とサイドメンバ24の内側の空間とを通じて車体2の外部に連通している。
【0030】
排煙ダクト5は、第1管51と、第2管52と、第3管53と、を有する。第1管51の一方の端部に設けられた入口511は、電池パック4の接続ダクト43に接続されている。そして、第1管51の他方の端部に設けられた出口512は、第3管53に接続されている。すなわち、第1管51は、電池パック4の接続ダクト43と第3管53とを接続している。なお、第1管51の入口511及び出口512は、電池パック4からサイドメンバ24に向かう気体の流れに対する入口及び出口である。以下、第2管52及び第3管53の入口及び出口についても同様である。
【0031】
接続ダクト43及び第1管51は、フロアパネル21から上方向(+Z方向)に離間している。第1管51は、電池パック4の接続ダクト43から右方向(-Y方向)に延びている。このため、第1管51は、フロアパネル21に対して略平行に延びている。
【0032】
第2管52の一方の端部に設けられた入口521は、第3管53に接続されている。そして、第2管52の他方の端部に設けられた出口522は、フロアパネル21の開口部211に接続されている。このため、第2管52の出口522は、フロアパネル21の開口部211及びサイドメンバ24の内側の空間を通じて、車体2の外部に連通している。
【0033】
前後方向(X方向)において第2管52は、開口部211よりも後方向(-X方向)に位置している。そのため、第2管52は、開口部211から後方向に延びた後、屈曲して右方向(-Y方向)に延びて第3管53と接続している。このため、第2管52は、比較的長く延びることになるとともに、フロアパネル21に対して略平行に延びている。
【0034】
第3管53の一方の端部に設けられた入口531は、第1管51の出口512に接続されている。そして、第3管53の他方の端部に設けられた出口532は、第2管52の入口521に接続されている。すなわち、第3管53は、第1管51と第2管52とを接続している。
【0035】
図1、2に示すように、第3管53の一部は、上下方向(Z方向)において一方のロッカー22の上方に位置するとともに、ロッカー22に沿って前後方向(X方向)に延びている。そのため、上下方向(Z方向)において第1管51及び第3管53は、第2管52よりも高い位置に設けられている。出口532が設けられた第3管53の他の一部は、ロッカー22に沿って下方向(-Z方向)に屈曲し、第2管52に接続されている。言い換えると、第3管53は、第2管52から一方のロッカー22に沿って上方向(+Z方向)に延びた後、屈曲して前方向(+X方向)に延びて第1管51に接続されている。
【0036】
一方のクロスメンバ23は、前後方向(X方向)において、電池パック4とフロアパネル21の開口部211との間に位置する。そのため、排煙ダクト5において第1管51と第2管52とは、当該第1管51と当該第2管52との間にクロスメンバ23が位置するように配置されている。そして、第3管53は、クロスメンバ23よりも上方の空間を通って第1管51と第2管52との間で延びている。言い換えると、第3管53は、クロスメンバ23を迂回するように長く設定されている。なお、第3管53は、本実施形態のようにクロスメンバ23よりも上方の空間であってロッカー22の上を通って延びていても良いし、クロスメンバ23の上を通って延びていても良い。
【0037】
第3管53の入口531は、第1管51の出口512に挿入されるとともに、例えばスナップフィットにより出口512に取り付けられる。第3管53の出口532は、第2管52の入口521に挿入されるとともに、例えばスナップフィットにより入口521に取り付けられる。すなわち、上下方向(Z方向)において開口部211は、第3管53の出口532よりも低い位置に設けられる。なお、第3管53と第1管51及び第2管52とを接続する方法は、スナップフィットに限らない。さらに、上下方向において第3管53の入口531は、第3管53の出口532よりも若干高い位置に設けられる。
【0038】
第3管53の幅と厚さは、前後方向(X方向)における各位置でそれぞれ異なる。例えば、第3管53の入口531の近傍では、幅は厚さよりも小さい。一方で、第3管53の出口532の近傍では、幅は厚さよりも大きい。なお、第3管53の幅及び厚さはこの例に限定されない。
【0039】
図1に示すように、排煙ダクト5は、第3管53の表面から左右方向(Y方向)における車体2の内側に向かって突出する固定部53aを有する。固定部53aは、例えば、クリップによってクロスメンバ23に固定されている。さらに、第2管52の出口522は、サイドメンバ24に取り付けられている。これにより、排煙ダクト5は、例えば、車両1の走行時に発生する振動によって配置位置から移動することを抑制できる。
【0040】
図2に示すように、複数の逆止弁6は、排煙ダクト5の内部に位置する。逆止弁6は、例えば、排煙ダクト5の通路を遮ることができる。逆止弁6は、例えば、排煙ダクト5を通って電池パック4から車体2の外部に向かう気体の流れを通過させる。一方で、逆止弁6は、排煙ダクト5を通って車体2の外部から電池パック4に向かう液体の流れを規制する。これにより、排煙ダクト5は、容器42の内部で発生したガスを車体2の外部に排出するとともに、車体2の外部から容器42の内部に異物等が侵入することを防ぐ。
【0041】
複数の逆止弁6は、第1逆止弁61と、第2逆止弁62と、を有する。なお、第1逆止弁61は、第1弁体の一例であり、第2逆止弁62は、第2弁体の一例である。
【0042】
第1逆止弁61は、第1管51に収容されて、当該第1管51の内部に位置している。すなわち、排煙ダクト5において第1逆止弁61は、電池パック4の近傍に位置する。第1逆止弁61は、排煙ダクト5において、電池パック4と第2逆止弁62との間に位置する。
【0043】
第2逆止弁62は、第2管52に収容されて、当該第2管52の内部に位置している。すなわち、排煙ダクト5において第2逆止弁62は、サイドメンバ24の近傍に位置する。第2逆止弁62は、排煙ダクト5において、第1逆止弁61よりも車体2の外部に近い。
【0044】
また、第1逆止弁61が第1管51の内部に位置し、第2逆止弁62が第2管52の内部に位置することで、上下方向(Z方向)において第1逆止弁61は、第2逆止弁62よりも高い位置に設けられる。
【0045】
本実施形態では、第1逆止弁61は、第1管51の内部に位置している。これに限らず、第1逆止弁61の位置は、電池パック4と第2逆止弁62との間であれば適宜変更しても良い。例えば、第1逆止弁61は、第3管53の内部に位置しても良い。
【0046】
また、本実施形態では、排煙ダクト5の内部には二つの逆止弁6(第1逆止弁61、第2逆止弁62)が設けられている。これに限らず、逆止弁6の個数は、少なくとも二つ以上であれば適宜変更しても良い。
【0047】
以上の車載用電池装置3において、例えば、車両1が冠水した道路を走行した際、水はサイドメンバ24からフロアパネル21の開口部211を通過して車体2の内部に侵入する。
【0048】
フロアパネル21の開口部211から侵入した水は、第2管52に設けられている第2逆止弁62によって、排煙ダクト5へのさらなる侵入を規制される。侵入してきた水の勢いが弱い場合、水は第2逆止弁62によって排煙ダクト5への侵入を防がれる。一方で、侵入してきた水の勢いが強い場合、水は第2逆止弁62を越えて排煙ダクト5にさらに侵入する可能性がある。
【0049】
第2逆止弁62を越えた水は、第3管53においてロッカー22に沿って上方向(+Z方向)に上った後、前方向(+X方向)に向かって流れる。水は、第3管53を流れる間、勢いを弱めながら第1管51に向かう。第1管51に到達した水は、勢いが殆ど無くなっているため、第1管51に設けられている第1逆止弁61によって電池パック4への侵入を防がれる。すなわち、第2逆止弁62が設けられる位置において液体の勢いは比較的強いが、第1逆止弁61が設けられる位置において液体の勢いは比較的弱い。
【0050】
一方、例えば、容器42の内部でガスが発生した場合、ガスは容器42から接続ダクト43、第1管51、及び第3管53を通過して第2管52に向かう。第1逆止弁61及び第2逆止弁62は、電池パック4から車体2の外部に向かう流れを規制しない。そのため、第2管52に到達したガスは、フロアパネル21の開口部211を通過してサイドメンバ24から車体2の外部へ排出される。
【0051】
以上のように、本実施形態の車載用電池装置3は、電池パック4で発生したガスを車体2の外部に排出可能であると同時に、車体2の外部から侵入しようとする水をより確実に防ぐことが可能である。従って、本実施形態では、車載用電池装置3の防水性を向上可能である。
【0052】
以上のように、本実施形態の車載用電池装置3は、電池パック4と、排煙ダクト5と、複数の逆止弁6と、を備える。電池パック4は、車体2に搭載され、電池41を収容している。排煙ダクト5は、車体2の外部と電池パック4とを接続する。複数の逆止弁6は、排煙ダクト5の内部に位置し、それぞれが車体2の外部から電池パック4へ向かう液体の流れを規制するとともに電池パック4から車体2の外部へ向かう気体の流れを通過させる。また、複数の逆止弁6は、第1逆止弁61と、第2逆止弁62と、を有する。第1逆止弁61は、第2逆止弁62よりも高い位置に設けられるとともに、電池パック4と第2逆止弁62との間に位置する。
【0053】
例えば、車体2が冠水した道路を走行した際、水は車体2の外部と接続している排煙ダクト5を通過して電池パック4に侵入する。本実施形態の排煙ダクト5には、第1逆止弁61と、第2逆止弁62と、が設けられている。第1逆止弁61は、第2逆止弁62よりも高い位置に設けられるとともに、電池パック4と第2逆止弁62との間に位置する。すなわち、第2逆止弁62は、車体2の走行面に近い位置に設けられる。そのため、排煙ダクト5から侵入しようとする水は、まず第2逆止弁62に阻まれる。水が第2逆止弁62を通過した場合、水は、高低差によって勢いを弱めながら第1逆止弁61に向かう。このように、水の勢いが弱まるため、第1逆止弁61は、より確実に水の侵入を防ぐことができる。
【0054】
これにより、第1逆止弁61は、電池パック4に水が侵入することを防ぐ。従って、本実施形態では、車載用電池装置3の防水性を向上させることが可能である。
【0055】
また、本実施形態では、例えば、車体2の外部から埃や塵等の異物が侵入しようとする場合においても、本実施形態の排煙ダクト5は、上記の様に異物が電池パック4に侵入することを防ぐ。
【0056】
また、本実施形態では、電池パック4は、車体2の前後方向に延びる二つのロッカー22の間に位置する。排煙ダクト5は、第1管51と、第2管52と、第3管53と、を有する。第1管51は、電池パック4から延びるとともに第1逆止弁61を収容する。第2管52は、車体2の外部に連通するとともに第2逆止弁62を収容する。第3管53は、少なくとも部分的に二つのロッカー22のうち一方の上方に位置して第2管52よりも高い位置に設けられるとともに第1管51と第2管52とを接続する。
【0057】
本実施形態の排煙ダクト5において、第1管51には、第1逆止弁61が設けられている。そして、第2管52には、第2逆止弁62が設けられている。第2管52に外部から侵入しようとする水の勢いは、比較的強い。当該第1管51と第2管52との間に、第2管52よりも高い位置に設けられる第3管53が介在する。すなわち、第2逆止弁62を越えて排煙ダクト5に侵入した水は、第2管52から、より高い第3管53を経由して第1管51へ流れる間に、勢いを弱められる。すなわち、第1管51の第1逆止弁61へ到達する水の勢いは、比較的弱い。これにより、排煙ダクト5は、外部から侵入しようとする水を効率的に防ぐことができる。
【0058】
また、本実施形態では、第1管51と第2管52との間に車体2の幅方向に延びるクロスメンバ23が位置するように配置される。第3管53は、クロスメンバ23よりも上方の空間を通って第1管51と第2管52との間で延びている。本実施形態では、第1管51と第2管52との間にクロスメンバ23が位置する。このため、第3管53は、クロスメンバ23を迂回するように長く設定される。これにより、車体2の外部から排煙ダクト5を通って電池パック4へ向かって流れる水の移動距離は長くなる。従って、排煙ダクト5は、外部から侵入した水の勢いを抑制することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0060】
2 車体
22 ロッカー
23 クロスメンバ
3 車載用電池装置
4 電池パック(ケーシング)
41 電池
5 排煙ダクト(管)
51 第1管
52 第2管
53 第3管
6 逆止弁(弁体)
61 第1逆止弁(第1弁体)
62 第2逆止弁(第2弁体)
図1
図2