IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マキタの特許一覧

特開2024-129679電動工具用の集塵容器及び集塵容器を取り付け可能な電動工具
<>
  • 特開-電動工具用の集塵容器及び集塵容器を取り付け可能な電動工具 図1
  • 特開-電動工具用の集塵容器及び集塵容器を取り付け可能な電動工具 図2
  • 特開-電動工具用の集塵容器及び集塵容器を取り付け可能な電動工具 図3
  • 特開-電動工具用の集塵容器及び集塵容器を取り付け可能な電動工具 図4
  • 特開-電動工具用の集塵容器及び集塵容器を取り付け可能な電動工具 図5
  • 特開-電動工具用の集塵容器及び集塵容器を取り付け可能な電動工具 図6
  • 特開-電動工具用の集塵容器及び集塵容器を取り付け可能な電動工具 図7
  • 特開-電動工具用の集塵容器及び集塵容器を取り付け可能な電動工具 図8
  • 特開-電動工具用の集塵容器及び集塵容器を取り付け可能な電動工具 図9
  • 特開-電動工具用の集塵容器及び集塵容器を取り付け可能な電動工具 図10
  • 特開-電動工具用の集塵容器及び集塵容器を取り付け可能な電動工具 図11
  • 特開-電動工具用の集塵容器及び集塵容器を取り付け可能な電動工具 図12
  • 特開-電動工具用の集塵容器及び集塵容器を取り付け可能な電動工具 図13
  • 特開-電動工具用の集塵容器及び集塵容器を取り付け可能な電動工具 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129679
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】電動工具用の集塵容器及び集塵容器を取り付け可能な電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20240919BHJP
   B24B 55/06 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
B25F5/00 Z
B24B55/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039031
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大河内 克己
【テーマコード(参考)】
3C047
3C064
【Fターム(参考)】
3C047FF07
3C064AA06
3C064AA20
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA03
3C064BA11
3C064BA19
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA57
3C064CB17
3C064CB63
3C064CB71
3C064CB82
3C064CB84
(57)【要約】
【課題】電動工具に対する集塵容器の取付け状態の安定化に資する改良を提供する。
【解決手段】集塵容器は、ダストを収容するための収容空間を有する中空体と、中空体に固定された筒体であって、中空体の収容空間と連通する通路を規定する筒体と、付勢部材とを備える。筒体は、少なくとも1つの筒壁と、突起と、壁部とを備える。少なくとも1つの筒壁は、第1方向に延びる第1の軸に沿って延在する。突起は、少なくとも1つの筒壁の内周面及び外周面のうちの一方から第1の軸に直交する方向に突出する。壁部は、少なくとも1つの筒壁の内周面及び外周面のうち突起が設けられている一方から突出する。付勢部材は、筒体の壁部に隣接して、第1方向において突起と壁部の間に配置されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動工具の筒状の取付け部に取り外し可能に取り付けられるように構成された集塵容器であって、
ダストを収容するための収容空間を有する中空体と、
前記中空体に固定された筒体であって、前記中空体の前記収容空間と連通する通路を規定する筒体と、
付勢部材とを備え、
筒体は、
第1方向に延びる第1の軸に沿って延在する少なくとも1つの筒壁と、
前記少なくとも1つの筒壁の内周面及び外周面のうちの一方から前記第1の軸に直交する方向に突出する突起と、
前記内周面及び前記外周面のうち前記突起が設けられている前記一方から突出する壁部とを備え、
前記付勢部材は、前記筒体の前記壁部に隣接して、前記第1方向において前記突起と前記壁部の間に配置されていることを特徴とする集塵容器。
【請求項2】
請求項1に記載の集塵容器であって、
前記突起は、前記筒壁の周方向に延びる第1部分と、前記第1部分から、前記第1方向において前記筒体の先端の開口から離れる方に突出する第2部分とを含むことを特徴とする集塵容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の集塵容器であって、
前記少なくとも1つの筒壁は、内側筒壁と、前記内側筒壁の径方向外側に前記内側筒壁と同心に配置された外側筒壁とを含み、
前記外側筒壁と前記内側筒壁とは、前記壁部によって連結されており、
前記突起は、前記外側筒壁の内周面又は前記内側筒壁の外周面から突出することを特徴とする集塵容器。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1つに記載の集塵容器であって、
前記突起は、前記少なくとも1つの筒壁の前記内周面から径方向内側に突出していることを特徴とする集塵容器。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1つに記載の集塵容器であって、
前記付勢部材は、スプリングワッシャ又はOリングであることを特徴とする集塵容器。
【請求項6】
請求項5に記載の集塵容器であって、
前記スプリングワッシャは、前記ウェーブワッシャであって、
前記集塵容器は、前記第1方向において前記ウェーブワッシャと前記突起との間で前記少なくとも1つの筒壁に嵌め込まれたOリングを更に備えた集塵容器。
【請求項7】
電動工具であって、
筒状の取付け部を備えた工具本体と、
前記筒体を介して前記取付け部に取り外し可能に取り付けられた請求項1~7の何れか1つに記載の集塵容器とを備えた電動工具。
【請求項8】
請求項7に記載の電動工具であって、
前記集塵容器の前記少なくとも1つの筒壁は、前記電動工具の取付け部の周囲に嵌め込み可能であって、
前記取付け部は円筒状であって、外周面又は内周面に形成された溝を有し、
前記溝は、前記集塵容器の前記筒体の前記突起を受け入れるように構成されており、前記取付け部の先端から、前記取付け部の軸方向において、前記先端から離れる方に延びる第1部分と、前記第1部分から前記取付け部の周方向に延びる第2部分とを含むことを特徴とする電動工具。
【請求項9】
請求項2に直接的又は間接的に従属する請求項8に記載の電動工具であって、
前記溝は、前記第2部分から前記集塵容器に近づく方向に突出する第3部分を含むことを特徴とする電動工具。
【請求項10】
電動工具であって、
集塵容器を取り付け可能な筒状の取付け部を有する工具本体を備え、
前記取付け部の外周面及び内周面のうち一方には、溝又は突起が設けられ、
前記取付け部の前記外周面及び前記内周面の他方は、平滑面として形成されていることを特徴とする電動工具。
【請求項11】
請求項10に記載の電動工具であって、
前記取付け部は円筒状であって、
前記突起又は前記溝は、前記取付け部の前記外周面に設けられており、
前記取付け部の前記内周面は、前記平滑面として形成されていることを特徴とする電動工具。
【請求項12】
請求項11に記載の電動工具であって、
前記溝は、前記取付け部の先端から、前記取付け部の軸と実質的に平行に前記集塵容器から離れる方向に延びる第1部分と、前記第1部分から前記取付け部の周方向に延びる第2部分とを含むことを特徴とする電動工具。
【請求項13】
請求項12に記載の電動工具であって、
前記溝は、前記第2部分から前記集塵容器に近づく方向に延びる第3部分を含むことを特徴とする電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動工具に取り外し可能に取り付けられるように構成された集塵容器、及び、集塵容器を取付け可能な電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
加工作業で発生するダストを収容するための集塵容器を取り付け可能な電動工具が知られている。例えば、特許文献1には、サンダに取り付けられて使用されるダストバッグアセンブリが開示されている。このダストバッグアセンブリは、サンダの排出筒に取り付け可能な筒体(カフス)と、筒体に結合され、内部にダストを収容可能な袋状のダストバッグとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-291170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のダストバッグアセンブリは、筒体がサンダの排出筒の外周に同軸状に嵌め込まれることで、サンダに取り付けられる。よって、サンダに対するダストバッグアセンブリの取付け及び取り外しは容易である。一方、ダストバッグに過度な量のダストが収容された状態で、排出筒からダストバッグアセンブリが鉛直下方に下がる向きでサンダが使用されると、ダストを含むダストバッグの自重により、ダストバッグアセンブリが落下する可能性がある。
【0005】
上述の状況に鑑み、本開示は、電動工具に対する集塵容器の取付け状態の安定化に資する改良を提供することを、非限定的な1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の非限定的な1つの態様によれば、電動工具の筒状の取付け部に取り外し可能に取り付けられるように構成された集塵容器が提供される。集塵容器は、中空体と、筒体と、付勢部材とを備える。
【0007】
中空体は、ダストを収容するための収容空間を有する。筒体は、中空体に固定されており、中空体の収容空間と連通する通路を規定する。筒体は、少なくとも1つの筒壁と、突起と、壁部とを備える。少なくとも1つの筒壁は、第1方向に延びる第1の軸に沿って延在する。突起は、少なくとも1つの筒壁の内周面及び外周面のうちの一方から、第1の軸に直交する方向に突出する。壁部は、少なくとも1つの筒壁の内周面及び外周面のうち、突起が設けられている一方から突出する。つまり、突起及び壁部は、少なくとも1つの筒壁の同じ面から突出する。付勢部材は、筒体の壁部に隣接して、第1方向において突起と壁部の間に配置されている。
【0008】
本態様の集塵容器は、筒体を介して電動工具の筒状の取付け部に取り付けることができる。例えば、筒壁が取付け部に嵌め込まれ、筒体の突起が取付け部に係合することで、筒体が取付け部に取り付けられる。更に、第1方向において突起と壁部の間に配置された付勢部材は、例えば、取付け部に当接し、取付け部と壁部とを互いから離れるように付勢することができる。よって、本態様の集塵容器によれば、付勢部材の付勢力を利用して、取付け部に対する突起の係合状態、ひいては取付け部に対する筒体の取付け状態を安定化することができる。
【0009】
本開示の非限定的な別の1つの態様によれば、筒状の取付け部を備えた工具本体と、筒体を介して取付け部に取り外し可能に取り付けられた集塵容器とを備えた電動工具が提供される。集塵容器には、上記態様の集塵容器が採用されうる。本態様によれば、筒体を介して集塵容器が安定した状態で取り付けられた電動工具が実現される。なお、筒状の取付け部は、例えば、電動工具の工具本体内に規定された集塵路の終端部(ダストの排出路)を規定する部分として構成されうる。
【0010】
本開示の非限定的な更に別の1つの態様によれば、集塵容器を取り付け可能な筒状の取付け部を有する工具本体を備えた電動工具が提供される。取付け部の外周面及び内周面のうち一方には、溝又は突起が設けられている。取付け部の外周面及び前記内周面の他方は、平滑面として形成されている。
【0011】
本態様によれば、取付け部の外周面及び内周面の一方に設けられた溝又は突起と、平滑面として形成された取付け部の外周面及び内周面の他方を夫々利用して、複数種類の集塵容器に適合可能な合理的な電動工具が実現される。具体的には、例えば、取付け部の溝又は突起を利用して、この溝又は突起に係合可能な突起又は溝を備えた集塵容器を取り付けることが可能である。また、取付け部の平滑面を利用して、この平滑面と対応する平滑面を有し、取付け部に圧入可能な筒体を備えた集塵容器を取り付けることが可能である。更には、取付け部の溝又は突起に係合可能な突起又は溝と、取付け部に圧入可能な筒体とを両方とも備えた集塵容器を取り付けることも可能である。よって、利便性の高い電動工具が実現される。
【0012】
なお、上記各態様の集塵容器は、電動工具に取り外し可能に取り付けられてダストを収容するように構成されたいかなる容器であってもよく、中空体の構成は任意に選択されうる。例えば、中空体は、布製の袋(いわゆるダストバッグ)であってもよいし、合成樹脂等で形成された箱状体(いわゆるダストボックス、ダストケース)であってもよい。
【0013】
また、上記各態様の電動工具は、典型的には、先端工具を駆動することで、ダストが発生する加工作業を行うように構成された電動工具として具現化されうる。かかる電動工具の非限定的な例として、研磨作業用の各種サンダ、切断作業用の各種マルノコが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態のダストバッグアセンブリが取り付けられたサンダの左側面図である。
図2】ダストバッグアセンブリが取り付けられたサンダの右側面図である。
図3】ダストバッグアセンブリが取り付けられたサンダの部分的な上面図である。
図4】ダストバッグアセンブリの断面図である。
図5図4の部分拡大図である。
図6図5のVI-VI線における断面図である。
図7図3のVII-VII線における断面図である。
図8図7のVIII-VIII線における断面図である。
図9図5のIX-IX線における断面図である。
図10図9の断面の斜視図である。
図11】ノズルの斜視図である。
図12】ノズルの上面図である。
図13】サンダに取り付け可能な別のダストバッグの断面図である。
図14】第2実施形態のダストバッグアセンブリが取り付けられたサンダの部分的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の非限定的な一実施形態において、突起は、筒壁の周方向に延びる第1部分と、第1部分から、第1方向において筒体の先端の開口から離れる方に突出する第2部分とを含んでもよい。この実施形態によれば、突起の第2部分を利用して、筒体が取付け部に対して第1の軸周りに回動するのを規制できるため、取付け部に対する突起の係合状態を更に安定させることができる。
【0016】
上記実施形態に加え、あるいは上記実施形態に代えて、少なくとも1つの筒壁は、内側筒壁と、内側筒壁の径方向外側に内側筒壁と同心(同軸状)に配置された外側筒壁とを含んでもよい。外側筒壁と内側筒壁とは、壁部によって連結されていてもよい。突起は、外側筒壁の内周面又は内側筒壁の外周面から突出していてもよい。この実施形態によれば、内側筒壁と外側筒壁との間に電動工具の筒状の取付け部を配置できるため、取付け部に対する筒体の取付け状態を安定させることができる。また、突起が内側筒壁と外側筒壁の間に配置されるため、突起が取付け部に係合しているときに、突起が何らかの物体に接触し、意図せず係合が解除される可能性や、突起が損傷する可能性を低減することができる。
【0017】
上記実施形態に加え、あるいは上記実施形態に代えて、突起は、少なくとも1つの筒壁の内周面から径方向内側に突出していてもよい。この実施形態によれば、突起が取付け部に係合しているときに、突起が何らかの物体に接触し、意図せず係合が解除される可能性や、突起が損傷する可能性を低減することができる。
【0018】
上記実施形態に加え、あるいは上記実施形態に代えて、付勢部材は、スプリングワッシャ又はOリングであってもよい。スプリングワッシャ及びOリングは、筒状の取付け部に対応する環状の弾性部材であって、第1方向において必要なスペースを抑えつつ、効果的な付勢力を発揮できる。
【0019】
上記実施形態に加え、あるいは上記実施形態に代えて、スプリングワッシャは、ウェーブワッシャであってもよい。集塵容器は、第1方向においてウェーブワッシャと突起との間で少なくとも1つの筒壁の外周に嵌め込まれたOリングを更に備えてもよい。この実施形態によれば、Oリングが、ウェーブワッシャが外れる方向に移動するのを規制しつつ、ダストの漏出の抑えることができる。
【0020】
上記実施形態に加え、あるいは上記実施形態に代えて、集塵容器の少なくとも1つの筒壁は、電動工具の取付け部の周囲に嵌め込み可能であってもよい。電動工具の取付け部は円筒状であって、外周面又は内周面に形成された溝を有してもよい。溝は、集塵容器の筒体の突起を受け入れるように構成されていてもよい。また、溝は、取付け部の先端から、取付け部の軸方向において、前記先端から離れる方に延びる第1部分と、溝の第1部分から取付け部の周方向に延びる第2部分とを含んでもよい。この実施形態によれば、使用者は、筒体の突起を、溝の第1部分に進入させ、取付け部の軸方向に第1部分内を移動させた後、筒体を軸周りに回動させ、第2部分内に移動させることができる。突起は、溝の第2部分のうち、取付け部の先端側の端を規定する面に当接することができる。よって、筒体が取付け部に取り付けられるときに、筒体の一部が拡径する方向に変形されなくて済む。このため、突起を有する可撓片が径方向外側に弾性変形される構成と比べ、筒体の耐久性が向上する。
【0021】
上記実施形態に加え、あるいは上記実施形態に代えて、溝は、第2部分から集塵容器に近づく方向に突出する第3部分を含んでもよい。この実施形態によれば、突起の一部(例えば、突起の第2部分)を第3部分に係合させることで、突起が溝の第1部分に戻る方向(つまり、突起が溝から離脱可能となる方向)に回動するのを防止することができる。
【0022】
上記実施形態に加え、あるいは上記実施形態に代えて、取付け部の突起又は溝は、取付け部の外周面に設けられていてもよい。一方、取付け部の内周面は、平滑面として形成されていてもよい。この実施形態によれば、使用者は、外周面の突起又は溝を視認できるため、集塵容器を容易に取り付けることができる。
【0023】
<第1実施形態>
以下、図1図13を参照して、本開示の第1実施形態に係るダストバッグアセンブリ5Aと、ダストバッグアセンブリ5Aを取り付け可能なアップハンドル型のベルトサンダ1(以下、単にサンダ1という)について、具体的に説明する。サンダ1は、電動工具の一例であって、無端状のサンディングベルト37に押し付けられた加工材を研磨するように構成された電動工具である。ダストバッグアセンブリ5Aは、サンダ1に取り外し可能に取り付けられ、サンダ1による研磨作業で発生したダストを収容するように構成された集塵容器の一例である。
【0024】
まず、サンダ1について説明する。
【0025】
図1図3に示すように、サンダ1の外郭は、工具本体10と、工具本体10に連結されたハンドル15とによって形成されている。工具本体10は、箱状の中空体であって、本体ハウジングとも称される。工具本体10には、サンダ1に電力を供給するためのバッテリ9が取り外し可能に装着されている。また、工具本体10には、モータ31と、集塵ファン33と、駆動ローラ35と、従動ローラ36とが収容されている。
【0026】
集塵ファン33は、モータ31の出力シャフト315に固定されており、モータ31の駆動に応じて回転されるように構成されている。周知の構成であるため、詳細な図示及び説明は省略するが、駆動ローラ35は、プーリ及び減速ギヤ列を介してモータ31の出力シャフト315に動作可能に連結されている。駆動ローラ35は、モータ31の駆動に応じて回転軸A1周りに回転駆動されるように構成されている。なお、駆動ローラ35の回転軸A1は、モータ31の出力シャフト315の回転軸と平行に延在する。従動ローラ36は、回転軸A1と平行な回転軸周りに回転可能に支持されている。駆動ローラ35と従動ローラ36との間には、サンディングベルト37が架け渡されている。
【0027】
駆動ローラ35と従動ローラ36とは、回転軸A1に直交する方向に離間配置されている。サンディングベルト37は、駆動ローラ35の回転駆動に応じて、一方向(図2の矢印Rの方向)に回転される。サンディングベルト37の一部は、工具本体10から外部へ露出し、回転軸A1に概ね平行な面に沿って延びている。このサンディングベルト37の露出部分は、加工材に向けて(サンディングベルト37の環の外側方向)に押圧されている。
【0028】
なお、以下では、説明の便宜上、駆動ローラ35と従動ローラ36とが並ぶ方向(回転軸A1に直交する方向)を、サンダ1の前後方向と規定する。前後方向において、駆動ローラ35側を後側、従動ローラ36側を前側と規定する。また、回転軸A1の延在方向を、サンダ1の左右方向と規定する。また、前後方向及び左右方向に直交する方向を、サンダ1の上下方向と規定する。上下方向において、サンディングベルト37の露出部分の側を下側と規定し、その反対側を上側と定義する。
【0029】
ハンドル15は、概ねC状の筒状体であって、その両端が工具本体10の後端の右上部と右下部とに連結されている。ハンドル15は、使用者によって把持されるように構成され、スイッチレバー152が設けられたグリップ部151を含む。スイッチレバー152が押圧されている間、モータ31が駆動される。使用者は、サンディングベルト37を加工材に接触させつつ、グリップ部151を把持してサンダ1を前方へ移動させることで、被加工材を研磨することができる。
【0030】
図1に示すように、工具本体10の内部には、ダストが移送される集塵路4が規定されている。集塵路4は、吸気口301から、集塵ファン33を経由して、排気口303に至る空気及びダストの流路である。吸気口301は、工具本体10のうち、駆動ローラ35の後側に隣接する部分に形成されている。集塵ファン33は、工具本体10のうち、左上部に配置されたスクロールケース12内に収容されている。スクロールケース12の後端からは、円筒状のノズル2が突出している。ノズル2の内部空間は、スクロールケース12の内部空間と連通している。ノズル2の先端(後端)20の開口は、集塵路4を通過した空気及びダストが排出される排気口303を構成する。
【0031】
このような構成により、本実施形態の集塵路4は、吸気口301から駆動ローラ35の後部の外周に沿って斜め上方に延び、スクロールケース12に至る第1部分41と、スクロールケース12内の第2部分42と、ノズル2を通過して排気口303に至る第3部分43とを含む。
【0032】
ノズル2は、工具本体10から空気及びダストを排出する排出路を規定するとともに、ダストバッグアセンブリ5Aを取り付け(連結)可能に構成されている。ノズル2とダストバッグアセンブリ5Aとの連結構造については後で詳述する。
【0033】
次に、ダストバッグアセンブリ5Aについて説明する。
【0034】
図4に示すように、ダストバッグアセンブリ5Aは、ダストバッグ51と、カラー6Aと、フレーム55とを含む。
【0035】
ダストバッグ51は、中空体であって、その内部にダストを収容するための収容空間510を有する。本実施形態のダストバッグ51は、布製の袋として構成されている。
【0036】
カラー6Aは、ダストバッグ51に固定された筒体であって、ダストバッグ51の内部の収容空間510と連通する通路60(空気及びダストの流入路)を規定する。カラー6Aの先端側の開口は、通路60へ空気及びダストを流入させる流入口601を規定する。カラー6Aは、サンダ1のノズル2に取り外し可能に連結される部分である。
【0037】
より詳細には、図2及び図3に示すように、カラー6Aは、カラー6Aの中心軸A2がサンダ1のノズル2の中心軸A3と一致するように、流入口601の側からノズル2に嵌め込まれる。以下の説明では、便宜上、カラー6Aを含むダストバッグアセンブリ5Aの方向については、ダストバッグアセンブリ5Aが、図2に示すようにサンダ1に取り付けられたときのサンダ1の方向に準ずるものとする。
【0038】
図5及び図6に示すように、本実施形態のカラー6Aは、二重円筒状の筒体として形成されており、内側筒壁61と、外側筒壁63と、連結壁66とを含む。本実施形態では、内側筒壁61と、外側筒壁63と、連結壁66とは、合成樹脂で一体成形された1つの部品である。但し、内側筒壁61と外側筒壁63と連結壁66の少なくとも1つは他の壁部とは別個の部材として形成され、他の壁部に連結固定されていてもよい。
【0039】
内側筒壁61は、円筒状の筒壁である。本実施形態では、カラー6Aの通路60は、内側筒壁61によって規定されており、内側筒壁61の前端の開口が、流入口601として機能する。よって、カラー6Aがノズル2に連結されると、サンダ1の集塵路4(第3部分43)とダストバッグ51内の収容空間510とが、内側筒壁61の通路60を介して連通する。
【0040】
外側筒壁63は、円筒状の筒壁であって、内側筒壁61の外径よりも大きい内径を有する。外側筒壁63は、内側筒壁61と同心(同軸)に、内側筒壁61の径方向外側(周囲)に配置されている。前後方向において、外側筒壁63の先端は、内側筒壁61の先端よりも後方にある。詳細は後述するが、図7及び図8に示すように、カラー6Aがサンダ1のノズル2に連結されるときには、内側筒壁61と外側筒壁63の間に、ノズル2が挿入される。そこで、カラー6Aの径方向における内側筒壁61と外側筒壁63との間の距離は、ノズル2の壁の厚みよりも大きく設定されている。より詳細には、内側筒壁61の外径は、ノズル2の外径よりも僅かに小さい。外側筒壁63の内径は、ノズル2の外径よりも大きい。ノズル2は内側筒壁61に摺動可能に嵌り合い、外側筒壁63とは若干の遊びがある状態で嵌り合う。
【0041】
外側筒壁63の後端部の外周には、ダストバッグ51の開口に沿った縁部511が固定されている。なお、本実施形態では、ダストの廃棄を容易とするために、ダストバッグ51は外側筒壁63(カラー6A)から取り外し可能に構成されている。
【0042】
連結壁66は、内側筒壁61と外側筒壁63とを連結する壁部である。本実施形態では、連結壁66は、円環状の壁部であって、内側筒壁61の後端から、外側筒壁63の軸方向の中心位置と後端との間の部分まで延びている。よって、内側筒壁61と外側筒壁63との間の隙間は、連結壁66によって塞がれている。
【0043】
図4に示すように、フレーム55は、カラー6Aの後端から後方に延び、ダストバッグ51内に配置されている。より詳細には、フレーム55は、概ね半円状の断面を有し、外側筒壁63の上部の後端から後方に直線状に延びる本体部551と、本体部551の下端から下方に延びる複数の突出部553とを含む。フレーム55は、ダストバッグ51の形状を保持することができる。なお、本実施形態では、フレーム55とカラー6Aとは、合成樹脂で一体成形された1つの部品である。但し、フレーム55とカラー6Aとは別個の部材として形成され、互いに連結固定されていてもよい。
【0044】
以下、サンダ1のノズル2とダストバッグアセンブリ5Aのカラー6Aとの連結構造の詳細について説明する。
【0045】
まず、カラー6Aに設けられている構成について説明する。
【0046】
図5図9図10に示すように、カラー6Aの外側筒壁63の先端部(前端部)には、突起64が設けられている。突起64は、後述するノズル2の溝210(図11参照)に係合可能に構成されている。より詳細には、突起64は、外側筒壁63の内周面630から、カラー6Aの中心軸A2に向かって中心軸A2に実質的に直交する方向に(径方向内側に)突出している。突起64は、カラー6Aがノズル2に連結されたときに、ノズル2の上側となる位置に設けられている。なお、外側筒壁63の外周面631には、使用者が突起64の位置を認識しやすいように、突起64に対応する位置にマーク605が付されている(図3参照)。
【0047】
突起64は、カラー6Aの周方向に延びる第1部分641と、第1部分641の周方向の一端部から、後方に(カラー6Aの先端から離れる方向に)突出する第2部分646とを含む。なお、本実施形態では、第2部分646は、突起64を後方からみたときに第1部分641の反時計回り方側にある端部から突出している。このような構成により、カラー6Aの軸方向(前後方向)における突起64の長さは、第2部分646で最大となる。なお、第1部分641の後端面642は、中心軸A2に実質的に直交する平面(直交面)である。また、第1部分641の径方向内側の面は、外側筒壁63の先端から後方に向かうにつれて径方向内側に(中心軸A2に近づく方向に)緩やかに傾斜する傾斜面643を含む。
【0048】
図5及び図6に示すように、カラー6Aの径方向において、内側筒壁61と外側筒壁63の間には、ウェーブワッシャ71と、Oリング72とが配置されている。また、ウェーブワッシャ71と、Oリング72とは、カラー6Aの軸方向(前後方向)において、連結壁66に隣接して、突起64と連結壁66との間に配置されている。
【0049】
より詳細には、ウェーブワッシャ71は、連結壁66の前面(第2開口602に対向する面)に部分的に当接するように配置されている。なお、本実施形態では、省スペースで効果的な荷重が得られることから、金属製のスプリングワッシャ(バネ機能を有するワッシャ)の一種であるウェーブワッシャ71が採用されている。但し、ウェーブワッシャ71に代えて、他の種類のスプリングワッシャ(例えば、曲げワッシャ)、あるいはバネ(例えば、圧縮コイルバネ)が採用されてもよい。
【0050】
Oリング72は、弾性体(例えばゴム)で形成された環状部材である。Oリング72は、ウェーブワッシャ71の前面に部分的に当接するように、内側筒壁61の外周に装着されており、ウェーブワッシャ71が前方へ移動するのを妨げる。
【0051】
次に、ノズル2に設けられている構成について説明する。
【0052】
図7及び図8に示すように、ノズル2の内周面201は、平滑面として形成されている。なお、ノズル2の内周面201のうち先端部は、先端20に向かうにつれて緩やかに径方向外側に緩やかに傾斜する傾斜面202とされている。
【0053】
また、図11及び図12に示すように、ノズル2の外周面21には、溝(凹部)210が形成されている。溝210は、カラー6Aの突起64を受け入れるように構成されている。本実施形態の溝210は、第1部分211と、第2部分212と、第3部分213とを含む。
【0054】
第1部分211は、ノズル2の中心軸A3と実質的に平行に、ノズル2の先端(後端)20から前方へ延びる。第1部分211の周方向の幅は、突起64全体の周方向の幅よりも大幅に大きい。第2部分212は、第1部分211の前端部から、ノズル2の周方向に延びている。なお、本実施形態では、第2部分212は、ノズル2を後方からみたときに、第1部分211から反時計回り方向に延びている。第3部分213は、第2部分212の周方向の2つの端部のうち、第1部分211とは反対側の端部からノズル2の先端20まで後方へ延びている。第3部分213の周方向の幅は、突起64全体の周方向の幅よりも小さく、突起64の第2部分646の周方向の幅よりも若干大きく設定されている。このような構成により、ノズル2の先端20に隣接して、溝210に三方を囲まれた壁部23が残されている。
【0055】
溝210の前端を規定する前壁面22は、ノズル2の中心軸A3に実質的に直交する平面である。一方、溝210の第2部分212の後端を規定する後壁面230(壁部23の後端面)は、第1部分211に隣接する傾斜面231と、傾斜面231と連続的な面であって、第3部分213に隣接する直交面233とを含む。傾斜面231は、第1部分211から離れるにつれて(第3部分213に近づくにつれて)緩やかに前方へ(先端20から離れる方へ)傾斜している。直交面233は、ノズル2の中心軸A3に実質的に直交する平面である。このような構成により、ノズル2の軸方向(前後方向)における第2部分212の幅は、第1部分211から離れるにつれて漸減し、直交面233に対応する部分で最小となる。前後方向における第2部分212の最小幅は、第2部分212に沿って突起64が移動するときに、突起64の第2部分646が通過できる程度に設定されている。
【0056】
以下、ダストバッグアセンブリ5Aのサンダ1への取付けについて説明する。
【0057】
使用者はまず、図12に矢印P1で模式的に示すように、前後方向において、カラー6Aの突起64がノズル2の溝210の第1部分211に対向するように、カラー6Aをノズル2に対して周方向に位置合わせし、ノズル2に対して前方へ移動させる。カラー6Aの移動に伴って、内側筒壁61がノズル2内に挿入され、更に、ノズル2が内側筒壁61と外側筒壁63の間に挿入される。突起64は、溝210の第1部分211に進入する。上述のように、第1部分211の周方向の幅は、突起64の周方向の幅よりも大幅に大きいため、使用者は、突起64を容易に第1部分211に進入させることができる。使用者が更にカラー6Aをノズル2に対して前方へ移動させると、突起64が第1部分211内を前方へ移動し、ノズル2の先端20は、内側筒壁61と外側筒壁63の間で連結壁66に向けて移動する。
【0058】
図12に矢印P2で模式的に示すように、使用者は、突起64の傾斜面643(図5参照)が前壁面22に当接した後、カラー6Aをノズル2に対して後方から見て反時計回りに回動させ、突起64を、溝210の第2部分212に進入させる。第2部分212の前後方向の幅は、第1部分211との隣接部分では突起64の最大長さよりも長いため、使用者は、突起64を容易に第1部分211から第2部分212に進入させることができる。また、このとき、カラー6Aとノズル2とは、互いに最大限近づいた状態にあり、ノズル2の先端20は、ウェーブワッシャ71に当接し、ウェーブワッシャ71を弾性変形させる(負荷を与える)。
【0059】
図12に矢印P3で模式的に示すように、使用者が回動操作を継続し、突起64を前壁面22に沿って移動させると、突起64の一部は、溝210の第3部分213に進入し、第3部分213の周方向における終端を規定する終端面240に当接する。このとき、突起64の第2部分646は、全体的に溝210の第3部分213に収まる。突起64の第1部分641の後端面642は、溝210の第2部分212の直交面233と前後方向に対向する。このときのノズル2に対するカラー6Aの周方向における位置を、位置合わせ位置ともいう。
【0060】
なお、ノズル2の外周面21の直交面233に対応する位置には、位置合わせ用のマーク205が付されている。カラー6Aがノズル2に対して位置合わせ位置に配置されると、このマーク205とカラー6Aのマーク605とが前後方向に対向する(図3参照)。よって、使用者は、カラー6Aが位置合わせ位置に配置されたことを容易に認識することができる。
【0061】
カラー6Aが位置合わせ位置にある状態で、使用者がカラー6Aから手を離すと、ウェーブワッシャ71によってカラー6Aとノズル2とが互いから離れる方向に付勢され、図12に矢印P4で模式的に示すように、突起64は溝210内で後方へ移動する。これにより、図7及び図12に示すように、突起64の後端面642がノズル2の直交面233に当接した状態で、突起64が保持される。このときのノズル2に対するカラー6Aの位置を、ロック位置という。カラー6Aとノズル2は、ウェーブワッシャ71の付勢力によって、ロック位置で保持される。Oリング72は、カラー6A及びノズル2の径方向において、内側筒壁61とノズル2の先端部(傾斜面202)との間に配置され、ノズル2の排気口303からダストが漏出するのを防止する。
【0062】
また、突起64の第2部分646は、第3部分213内で直交面233(壁部23の後端面)よりも前方に突出する。よって、突起64の第2部分646に対して第1部分211の側には、壁部23が存在する。突起64の第2部分646がこのように第3部分213に係合することで、中心軸A2、A3周りの周方向において、溝210の第1部分211の方(突起64が溝210から外れる方向)にカラー6Aが回動するのが防止される。
【0063】
以下、ダストバッグアセンブリ5Aのサンダ1からの取外しについて説明する。
【0064】
使用者はまず、突起64の第2部分646の先端(後端)が壁部23の後端面よりも後方に到達するまで、ウェーブワッシャ71の付勢力に抗してカラー6Aを前方に押圧して、ロック位置から移動させる。使用者は、更に、突起64が溝210の第1部分211に収まる位置まで、カラー6Aをノズル2に対して後方から見て時計回りに回動させた後、カラー6Aを後方に移動させ、突起64を溝210の台1部分211から離脱させる。ノズル2が内側筒壁61から離れると、取り外しが完了する。
【0065】
以上に説明したように、本実施形態のダストバッグアセンブリ5Aは、カラー6Aによって、サンダ1の筒状のノズル2に取り付け可能である。カラー6Aがノズル2に取り付けられると、内側筒壁61及び外側筒壁63の間にノズル2が嵌め込まれ、突起64がノズル2に係合する。更に、ウェーブワッシャ71が、カラー6Aの軸方向(前後方向)において、カラー6Aとノズル2とを互いから離れるように付勢する。これにより、ノズル2に対する突起64の係合状態、ひいてはノズル2に対するカラー6Aの取付け状態を安定させることができる。
【0066】
また、ノズル2は、内側筒壁61と外側筒壁63との間で保持されるため、カラー6Aに対して中心軸A2に交差する方向の外力が付与されても、カラー6Aとノズル2との安定した係合状態が維持される。
【0067】
更に、本実施形態では、上述のように、突起64は、L字状に配置された第1部分211と第2部分212とを含む溝210に受け入れられ、第2部分212の後壁面230に当接して保持される。使用者は、ノズル2に対してカラー6Aを前方に概ね直線状に移動させた後、後方からみて反時計周り方向にカラー6Aを回動させるだけで、突起64を適切な位置に導くことができる。また、カラー6Aの一部を拡径する方向に変形させる必要がないため、カラー6Aの耐久性を良好に保つことができる。
【0068】
また、本実施形態では、ノズル2の外周面21に溝210が形成されているため、使用者は、溝210を視認することで、カラー6Aの操作方向を容易に理解することができる。一方、溝210に係合する突起64は、カラー6Aの外側筒壁63の内周面630から突出しているため、不測の外力が突起64に作用して係合が解除される可能性や、突起64が損傷する可能性が低減される。
【0069】
なお、本実施形態のノズル2には、例えば図13に示すような、溝210との係合構造を備えないダストバッグアセンブリ8を選択的に取り付けることも可能である。より詳細には、ダストバッグアセンブリ8は、袋状のダストバッグ81と、ダストバッグ81に固定されたカラー83とを備えている。カラー83は、単一の円筒状の筒壁84を有する。筒壁84は、ノズル2内に圧入可能に構成されており、平滑面として形成された外周面840を有する。一方、筒壁84には、突起は設けられていない。よって、カラー83は、外周面840がノズル2の内周面201と接する状態でノズル2へ圧入されることによってのみ、ノズル2と連結される。使用者は、異なる種類のダストバッグアセンブリ5A又はダストバッグアセンブリ8をノズル2に選択的に取り付けて使用することができるため、サンダ1の利便性が向上する。
【0070】
<第2実施形態>
以下、図14を参照して、本開示の第2実施形態に係るダストバッグアセンブリ5Bについて説明する。第2実施形態のダストバッグアセンブリ5Bは、第1実施形態のカラー6Aとは異なるカラー6Bを備える。カラー6B以外のダストバッグアセンブリ5Bの構成、及びダストバッグアセンブリ5Bが取り付けられるサンダ1の構成は、第1実施形態と実質的に同一である。よって、以下の説明では、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明及び図示を省略又は簡略化し、主にカラー6Bについて説明する。
【0071】
図14に示すように、第2実施形態のカラー6Bは、第1実施形態のカラー6Aと同様、ダストバッグ51に固定された筒体である。但し、第1実施形態のカラー6Aとは異なり、カラー6Bは、単一の筒壁68と、環状壁69と、Oリング75とを含む。
【0072】
筒壁68は、円筒状の筒壁であって、ダストバッグ51の内部の収容空間510と連通する通路60を規定する。筒壁68の先端側の開口は、通路60へ空気及びダストを流入させる流入口601を規定する。筒壁68は、カラー6Bがサンダ1のノズル2に連結されるときに、ノズル2の外周に嵌め込まれる。よって、筒壁68の内径は、ノズル2の外径よりも僅かに大きく設定されている。
【0073】
また、筒壁68の先端部(前端部)には、筒壁68の内周面680から径方向内側に突出する突起64が設けられている。突起64の構成については、第1実施形態で説明した通りである。
【0074】
環状壁69は、筒壁68の後端部の内周面680から径方向内側に突出する円環状の壁部である。筒壁68の内周面680から環状壁69の先端までの距離は、環状壁69がOリング75の後方(収容空間510へ向かう方向)への移動を妨げることができ、収容空間510へのダストの移動の妨げにならないように設定される。
【0075】
Oリング75は、環状壁69の前面及び筒壁68の内周面680に当接した状態で、筒壁68の内部に保持されている。Oリング75は、カラー6Bがノズル2に対して位置合わせ位置まで移動される間にノズル2の先端20により押圧されて弾性変形し、付勢力を発揮するように構成されている。カラー6Bは、Oリング75によって付勢され、ノズル2に対して位置合わせ位置からロック位置に移動され、ロック位置で保持される。また、Oリング75は、筒壁68とノズル2の先端20との間に配置され、ノズル2の排気口303からダストが漏出するのを防止する。このように、本実施形態のOリング75は、第1実施形態のウェーブワッシャ71とOリング72の両方の機能を兼ね備えている。
【0076】
本実施形態のダストバッグアセンブリ5Bのサンダ1への取付け及び取外しの手順は、第1実施形態で説明した手順と実質的に同一である。
【0077】
第1実施形態と同様、本実施形態のダストバッグアセンブリ5Bは、カラー6Bによって、サンダ1の筒状のノズル2に取り付け可能である。カラー6Bがノズル2に取り付けられると、筒壁68がノズル2の外周に嵌め込まれ、突起64がノズル2の溝210に係合する。更に、Oリング75が、カラー6Bの軸方向(前後方向)において、カラー6Bとノズル2とを互いから離れるように付勢することで、ノズル2に対する突起64の係合状態、ひいてはノズル2に対するカラー6Bの取付け状態を安定させることができる。
【0078】
上記実施形態の各構成要素(特徴)と本開示又は発明の各構成要素(特徴)の対応関係を以下に示す。但し、実施形態の各構成要素は、単なる一例であって、本開示又は本発明の各構成要素を限定するものではない。
【0079】
サンダ1は、「電動工具」の一例である。ノズル2は、「筒状の取付け部」の一例である。ダストバッグアセンブリ5A、5Bの各々は、「集塵容器」の一例である。ダストバッグ51及び収容空間510は、夫々、「中空体」、「収容空間」の一例である。カラー6A、6Bの各々は、「筒体」の一例である。通路60は、「通路」の一例である。ウェーブワッシャ71及びOリング75の各々は、「付勢部材」の一例である。内側筒壁61、外側筒壁63、筒壁68の各々は、「筒壁」の一例である。中心軸A2は、「第1の軸」の一例である。突起64は、「突起」の一例である。連結壁66及び環状壁69の各々は、「壁部」の一例である。
【0080】
突起64の第1部分641、第2部分646は、夫々、「突起」の「第1部分」、「第2部分」の一例である。流入口601は、「筒体の先端の開口」の一例である。内側筒壁61、外側筒壁63は、夫々、「内側筒壁」、「外側筒壁」の一例である。Oリング72は、「Oリング」の一例である。工具本体10は、「工具本体」の一例である。ノズル2の外周面21、内周面201は、夫々、「取付け部」の「外周面」、「内周面」の一例である。溝210は、「溝」の一例である。溝210の第1部分211、第2部分212、第3部分213は、夫々、「溝」の「第1部分」、「第2部分」、「第3部分」の一例である。
【0081】
なお、上記実施形態は単なる例示であり、本開示に係る集塵容器及び電動工具は、例示されたダストバッグアセンブリ5A、5B及びサンダ1に限定されるものではない。例えば、下記に例示される変更を加えることができる。また、これらの変更のうち少なくとも1つが、実施形態に例示されるダストバッグアセンブリ5A、5B、サンダ1、及び各請求項に記載された特徴の少なくとも1つと組み合わされて採用されうる。
【0082】
例えば、布製の袋状のダストバッグ51に代えて、合成樹脂製の箱状のダスト用収容部(いわゆるダストボックス/ダストケース)がカラー6A、6Bに固定されていてもよい。また、フレーム55は省略されてもよいし、その形状が適宜変更されてもよい。
【0083】
第1実施形態のカラー6Aにおいて、ウェーブワッシャ71とOリング72に代えて、第2実施形態のOリング75が採用されてもよい。この場合、Oリング75は、カラー6Aの径方向において内側筒壁61と外側筒壁63の間に、連結壁66に当接するように配置される。これとは逆に、第2実施形態のカラー6Bにおいて、Oリング75に代えて、ウェーブワッシャ71とOリング72とが採用されてもよい。また、連結壁66とウェーブワッシャ71は直接接触するのはなく、別の部材が連結壁66とウェーブワッシャ71の間に介在してもよい。環状壁69とOリング75との配置についても同様である。
【0084】
カラー6Aの突起64は、外側筒壁63の内周面630から径方向内側に(中心軸A2に実質的に直交する方向に)突出している。しかしながら、突起64は、内側筒壁61の外周面から径方向外側に突出していてもよい。これに対応して、ノズル2の溝210は、外周面21ではなく、内周面201に形成されればよい。この場合、ノズル2の外周面21が平滑面として形成され、突起を備えないダストバッグがノズル2の径方向外側に圧入可能とされてもよい。また、カラー6Bにおいても、突起64が筒壁68の外周面から径方向外側に突出してもよい。この場合、環状壁69に代えて、筒壁68の外周面からフランジ状に径方向外側に突出する壁部が設けられ、Oリング75は、この壁部に隣接して、筒壁68の外周に装着されうる。
【0085】
カラー6A、6Bの突起64及びノズル2の溝210の構成(例えば、形状、位置、数)は、付勢部材(例えば、ウェーブワッシャ71、Oリング75)の付勢力によって、ノズル2に対してカラー6A、6Bをロック位置に保持可能である限り、適宜変更されてよい。
【0086】
例えば、溝210の第2部分212の後端を規定する後壁面230は、直交面233のみを含んでもよいし、傾斜面231のみを含んでもよい。突起64の後端面642は、必ずしも直交面でなくてよい。溝210の第3部分213は、ノズル2の先端20まで延びる溝でなく、突起64の第2部分646を少なくとも部分的に受け入れ、突起64の周方向の移動を規制可能な大きさの凹部として構成されてもよい。突起64の第2部分646及び溝210の第3部分213は、省略されてもよい。この場合、第3部分213に代えて、第2部分212の後壁面230(壁部23の前端面)に、突起64が周方向において第1部分211に戻る方向に回動するのを規制可能な段差又は突起が設けられてもよい。
【0087】
ダストバッグアセンブリ5A、5Bは、上記実施形態のノズル2と同様の筒状の取付け部を有するサンダ1以外の電動工具に取り付けられてもよい。例えば、電動工具は、別の種類のサンダ(例えば、オービタル(仕上げ)サンダ、ランダムオービットサンダ、ディスクサンダ等)、マルノコ(例えば、携帯マルノコ、スライドマルノコ等)として具現化されうる。電動工具の種類に応じて、工具本体内部の集塵路の配置及び筒状の取付け部の配置は、適宜変更される。
【0088】
上記実施形態のノズル2は、工具本体10の一部を構成する部品であるスクロールケース12と一体的に形成されている。しかしながら、ノズル2は、工具本体10とは別個の部品として形成され、工具本体10に固定されていてもよい。
【0089】
本発明及び上記実施形態の趣旨に鑑み、以下の態様が構築される。以下の態様のうち少なくとも1つが、実施形態及びその変形例の特徴、あるいは各請求項に記載された特徴の少なくとも1つと組み合わされて採用されうる。
[態様1]
前記少なくとも1つの筒壁は、前記電動工具の取付け部の周囲又は内側に嵌め込み可能に構成されており、
前記突起は、前記電動工具の前記取付け部に係合するように構成され、
前記付勢部材は、前記筒壁が前記電動工具の取付け部に嵌め込まれたときに、前記壁部と前記取付け部の間に介在し、前記取付け部と前記壁部とを互いから離れるように付勢するように構成されている。
[態様2]
前記内側筒壁と前記外側筒壁とは、前記内側筒壁と前記外側筒壁の間に前記電動工具の前記取付け部を受け入れるように構成されている。
[態様3]
前記集塵容器の前記突起は、前記付勢部材の付勢力により、前記溝の前記第2部分のうち、前記取付け部の先端側の端を規定する第1面に当接した状態で保持される。
後壁面230は、本態様の「第1面」の一例である。
[態様4]
前記集塵容器の前記突起は、前記第1面に当接可能な第2面を有し、
前記第1面及び前記第2面のうち少なくとも一方は、前記第1方向に実質的に直交する。
直交面233、後端面642は、夫々、「第1面」、「第2面」の一例である。
[態様5]
前記突起の前記第1部分は、前記第2面を有する。
[態様6]
前記集塵容器の前記突起は、前記付勢部材の付勢力により、前記突起の前記第1部分が前記第1面に当接し、前記突起の第2部分が前記溝の前記第3部分に係合する状態で保持される。
[態様7]
前記電動工具には、突起又は溝を有する筒状の第1連結部を少なくとも備えた第1の種類の集塵容器と、平滑な内周面又は外周面を有する筒状の第2連結部を備えた第2の種類の集塵容器とを選択的に取り付け可能であって、
前記取付け部の前記溝又は突起は、前記第1連結部の前記突起又は前記溝に係合するように構成されており、
前記取付け部には、前記取付け部の前記平滑面と前記第2連結部の前記平滑面とが接するように、前記第2連結部を圧入可能に構成されている。
ダストバッグアセンブリ5A、5Bの各々は、「第1の種類の集塵容器」の一例である。カラー6A、6Bの各々は、「第1連結部」の一例である。ダストバッグアセンブリ8は、「第2の種類の集塵容器」の一例である。カラー83は、「第2連結部」の一例である。
[態様8]
前記電動工具は、
モータと、
前記モータによって回転されるように構成された集塵用のファンとを更に備え、
前記工具本体の内部には、吸気口から前記ファンを経由して排気口に至る集塵路が規定されており、
前記取付け部は、前記排気口を有し、前記集塵路の終端部を規定するように構成されている。
【符号の説明】
【0090】
1:ベルトサンダ(サンダ)、10:工具本体、12:スクロールケース、15:ハンドル、151:グリップ部、152:スイッチレバー、2:ノズル、20:先端、201:内周面、202:傾斜面、205:マーク、21:外周面、210:溝、211:第1部分、212:第2部分、213:第3部分、22:前壁面、23:壁部、230:後壁面、231:傾斜面、233:直交面、240:終端面、301:吸気口、303:排気口、31:モータ、315:出力シャフト、33:集塵ファン、35:駆動ローラ、36:従動ローラ、37:サンディングベルト、4:集塵路、41:第1部分、42:第2部分、43:第3部分、5A、5B:ダストバッグアセンブリ、51:ダストバッグ、510:収容空間、511:縁部、55:フレーム、551:本体部、553:突出部、6A、6B:カラー、60:通路、601:流入口、605:マーク、61:内側筒壁、63:外側筒壁、630:内周面、631:外周面、64:突起、641:第1部分、642:後端面、643:傾斜面、646:第2部分、66:連結壁、68:筒壁、680:内周面、69:環状壁、71:ウェーブワッシャ、72:Oリング、75:Oリング、8:ダストバッグアセンブリ、81:ダストバッグ、83:カラー、84:筒壁、840:外周面、9:バッテリ、A1:回転軸、A2:中心軸、A3:中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14