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特開2024-129682シーリング材均し器具、シーリング装置、およびシーリング材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129682
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】シーリング材均し器具、シーリング装置、およびシーリング材
(51)【国際特許分類】
   E04F 21/165 20060101AFI20240919BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
E04F21/165 S
E04F21/165 D
E04F21/165 P
E04F13/08 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039035
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(71)【出願人】
【識別番号】000135999
【氏名又は名称】株式会社ヒロテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】日村 みのり
(72)【発明者】
【氏名】添田 智美
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 秀太郎
(72)【発明者】
【氏名】堤 佑太
(72)【発明者】
【氏名】貞近 幹亮
(72)【発明者】
【氏名】岡田 一也
(72)【発明者】
【氏名】冨永 誠
【テーマコード(参考)】
2E110
【Fターム(参考)】
2E110AA42
2E110AB04
2E110AB22
2E110DD03
2E110FA01
2E110FA07
(57)【要約】
【課題】外壁の目地にシーリング材を充填する作業をより簡便な構成で行う。
【解決手段】シーリング材均し器具は、第1方向に延在する板状に形成された第1板状部材と、第1板状部材の上に形成された均し部材と、を有し、第1板状部材上の中央に鉛直に形成され、かつ第1方向に延在する第2板状部材と、第2板状部材を挟み、かつ第1方向に延在するように設けられた1対の第3板状部材と、第3板状部材を挟み、かつ第1方向に延在するように設けられた1対の第4板状部材と、を有し、第1板状部材及び均し部材を貫通する貫通孔を有し、貫通孔より、シーリング材が供給され、均し部材は、第1方向に進行し、第2板状部材、1対の第3板状部材、および1対の第4板状部材で形成された均し部材の幅によりシーリング材の幅が決定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延在する板状に形成された第1板状部材と、前記第1板状部材の上に形成された均し部材と、を有し、
前記第1板状部材上の中央に鉛直に形成され、かつ前記第1方向に延在する第2板状部材と、
前記第2板状部材を挟み、かつ前記第1方向に延在するように設けられた1対の第3板状部材と、
前記第3板状部材を挟み、かつ前記第1方向に延在するように設けられた1対の第4板状部材と、を有し、
前記第1板状部材及び前記均し部材を貫通する貫通孔を有し、
前記貫通孔より、シーリング材が供給され、
前記均し部材は、前記第1方向に進行し、
前記第2板状部材、前記1対の第3板状部材、および前記1対の第4板状部材で形成された前記均し部材の幅により前記シーリング材の幅が決定される、シーリング材均し器具。
【請求項2】
前記第3板状部材は、前記第1板状部材および前記第2板状部材と接し、
前記第3板状部材において、前記第2板状部材と接する面は、最大の面積を有する、請求項1に記載のシーリング材均し器具。
【請求項3】
前記第4板状部材は、前記第1板状部材および前記第3板状部材と接し、
前記第4板状部材において、前記第3板状部材と接する面は、最大の面積を有する、請求項2に記載のシーリング材均し器具。
【請求項4】
前記貫通孔に隣接し、かつ前記第1方向とは反対側に位置し、前記第2板状部材上に設けられた第5板状部材をさらに有する、請求項3に記載のシーリング材均し器具。
【請求項5】
前記均し部材を覆うコーティング層をさらに有する、請求項1に記載のシーリング材均し器具。
【請求項6】
前記第5板状部材の幅は、前記第2板状部材の厚さよりも大きい、請求項4に記載のシーリング材均し器具。
【請求項7】
前記第4板状部材の硬度ショアAは、前記第3板状部材の硬度ショアAより大きい、請求項1に記載のシーリング材均し器具。
【請求項8】
前記均し部材の一端から前記貫通孔までの長さは、前記貫通孔から前記均し部材の他端までの長さよりも長く、
前記第5板状部材は、前記貫通孔から前記均し部材の一端までの領域に設けられる、請求項4に記載のシーリング材均し器具。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のシーリング材均し器具を備える、シーリング装置。
【請求項10】
壁材の目地が延在する方向と交差する方向に沿って切断したときの断面形状は、前記目地を形成する両側の壁材と接する第1の領域の厚さよりも、前記第1の領域によって挟まれた第2の領域の厚さの方が小さい、シーリング材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁の目地にシーリング材を充填するシーリング材均し器具、シーリング装置、およびシーリング材に関する。
【背景技術】
【0002】
外壁を複数の外壁パネルによって施工した場合には、外壁パネル間に形成される目地に防水のためのシーリングが施工される。人手によってシーリング材を充填する工事を施工するためには、外壁に足場を架設したり、ゴンドラを吊り下げたりする必要がある。また、外壁パネルにシーリング材が付着するのを防止するために、目地の周りにマスキングテープを貼って養生する作業や、充填されたシーリング材の表面をヘラで均す作業が必要となる(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-28450号公報
【特許文献2】特開2018-70822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、目地の周りにマスキングテープを貼り、充填されたシーリング材の表面をヘラで均した後、マスキングテープを剥がす作業が必要となるため、作業工程が増加する。また、シーリング材をヘラで均しシーリング材の表面を平滑にする作業には、施工者の技量が必要となる。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みなされたものであり、外壁の目地にシーリング材を充填する作業をより簡便な構成で行うことを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシーリング材均し器具は、第1方向に延在する板状に形成された第1板状部材と、第1板状部材の上に形成された均し部材と、を有し、第1板状部材上の中央に鉛直に形成され、かつ第1方向に延在する第2板状部材と、第2板状部材を挟み、かつ第1方向に延在するように設けられた1対の第3板状部材と、第3板状部材を挟み、かつ第1方向に延在するように設けられた1対の第4板状部材と、を有し、第1板状部材及び均し部材を貫通する貫通孔を有し、貫通孔より、シーリング材が供給され、均し部材は、第1方向に進行し、第2板状部材、1対の第3板状部材、および1対の第4板状部材で形成された均し部材の幅によりシーリング材の幅が決定される。
【0007】
本発明のシーリング材均し器具において、第3板状部材は、第1板状部材および第2板状部材と接し、第3板状部材において、第2板状部材と接する面は、最大の面積を有していてもよい。
【0008】
本発明のシーリング材均し器具において、第4板状部材は、第1板状部材および第3板状部材と接し、第4板状部材において、第3板状部材と接する面は、最大の面積を有していてもよい。
【0009】
本発明のシーリング材均し器具において、貫通孔に隣接し、かつ第1方向とは反対側に位置し、第2板状部材上に設けられた第5板状部材をさらに有していてもよい。
【0010】
本発明のシーリング材均し器具において、均し部材を覆うコーティング層をさらに有していてもよい。
【0011】
本発明のシーリング材均し器具において、第5板状部材の幅は、第2板状部材の厚さよりも大きくてもよい。
【0012】
本発明のシーリング材均し器具において、第4板状部材の硬度ショアAは、第3板状部材の硬度ショアAより大きくてもよい。
【0013】
本発明のシーリング材均し器具において、均し部材の一端から貫通孔までの長さは、貫通孔から均し部材の他端までの長さよりも長く、第5板状部材は、貫通孔から均し部材の一端までの領域に設けられていてもよい。
【0014】
本発明に係るシーリング装置は、上記に記載のシーリング材均し器具を備えている。
【0015】
本発明のシーリング材において、壁材の目地が延在する方向と交差する方向に沿って切断したときの断面形状は、目地を形成する両側の壁材と接する第1の領域の厚さよりも、第1の領域によって挟まれた第2の領域の厚さの方が小さくてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、外壁の目地にシーリング材を充填する作業をより簡便な構成で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るシーリング材均し器具を示す斜視図である。
図2】本発明に係るシーリング材均し器具を示す平面図である。
図3】本発明に係るシーリング材均し器具を示す端面図である。
図4】本発明に係るシーリング材均し器具によりシーリング材を形成する方法を示す図である。
図5】本発明に係るシーリング装置の概要を示す図である。
図6】本発明に係るシーリング装置の構成を示す正面図である。
図7】本発明に係るシーリング装置の構成を示す側面図である。
図8】本発明に係るシーリング装置におけるシーリング材充填ユニットの構造示す斜視図である。
図9】本発明に係るシーリング装置におけるシーリングガンとシーリング材均し器具の構成を示す図である。
図10】外壁パネルと目地の関係と本発明に係るシーリング装置に設けられるガイドの構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号(または数字の後にA、Bなどを付した符号)を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有しない。本明細書等において、同じ材料を用いた複数の要素をそれぞれ「-1」、「-2」と区別して記載する場合がある。
【0019】
1.シーリング材均し器具の構成
図1は、本実施形態に係るシーリング材均し器具1062を示す斜視図である。シーリング材均し器具1062は、複数の外壁パネルにより外壁を形成する際に、外壁パネルの継ぎ目の目地(以下、特段の断りがない限り「縦目地」を指すものとする。)にシーリング材を充填する工事に用いられる。外壁パネルの目地に粘度の高い液状のシーリング材を充填し、目地に挿し込まれたシーリング材均し器具1062を用いてシーリング材を均して硬化することで、表面が平らなシーリング材を形成することができる。図1において、シーリング材均し器具1062が延在する方向を第1方向D1とし、シーリング材均し器具1062の幅方向を第2方向D2とし、シーリング材均し器具1062の高さ(厚さ)方向を第3方向D3として説明する。
【0020】
シーリング材均し器具1062は、第1方向D1に延在する板状に形成された軸芯土台10621(第1板状部材ともいう)と、均し部材10627と、を有する。均し部材10627は、軸芯土台10621上の中央に鉛直に形成され、かつ第1方向D1に延在する軸芯10622(第2板状部材ともいう)と、軸芯10622を挟み、かつ第1方向D1に延在するように設けられた1対の第1バッカー材10623-1、10623-2(第3板状部材ともいう)と、第1バッカー材10623-1、10623-2を挟み、かつ第1方向D1に延在するように設けられた1対の第2バッカー材10624-1、10624-2(第4板状部材ともいう)と、含む。
【0021】
軸芯土台10621及び軸芯10622は、例えば、ポリカーボネート、ポリアミド(ナイロン(登録商標))、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ABS樹脂などの樹脂で形成される。軸芯土台10621及び軸芯10622として、鉄又はアルミニウムなどの金属で形成されてもよい。軸芯土台10621と軸芯10622とは、同じ材料で形成されてもよいし、異なる材料で形成されてもよい。軸芯土台10621と軸芯10622とは別部材で形成される場合について説明するが、軸芯土台10621と軸芯10622とが一体形成されてもよい。軸芯土台10621及び軸芯10622の硬さは、第1バッカー材10623-1、10623-2及び第2バッカー材10624-1、10624-2よりも硬いことが好ましい。軸芯土台10621及び軸芯10622の硬さは、ロックウェル硬さ(HRR)で、120程度であることが好ましい。または、軸芯土台10621及び軸芯10622をデュロメータで計測する場合には、硬度ショア(Hs)80~90である。
【0022】
第1バッカー材10623-1、10623-2及び第2バッカー材10624-1、10624-2は、弾性を有することが好ましく、例えば、ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、天然ゴム(NRゴム)等のゴムで形成される。第1バッカー材10623-1、10623-2の材料と、第2バッカー材10624-1、10624-2の材料とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0023】
第1バッカー材10623-1、10623-2は弾性を有することが好ましく、第2バッカー材10624-1、10624-2は、第1バッカー材10623-1、10623-2よりも硬いことが好ましい。第2バッカー材10624-1、10624-2の硬度ショアAは、第1バッカー材10623-1、10623-2の硬度ショアAより大きいことが好ましい。第1バッカー材10623-1、10623-2の硬度ショアAは、第2バッカー材10624-1、10624-2の硬度ショアAの1倍~10倍、又は4倍~7倍であることが好ましい。硬度ショアAは、ISO-7619に準拠した測定装置によって特定される。なお、第1バッカー材10623-1、10623-2及び第2バッカー材10624-1、10624-2の硬度ショアは、それぞれの厚みに応じて変動する。そのため、第1バッカー材10623-1、10623-2の硬度ショアA及び第2バッカー材10624-1、10624-2の硬度ショアAは、上記の範囲に限定されない。本実施形態では、第1バッカー材10623-1、10623-2の硬度ショアAは9であり、第2バッカー材10624-1、10624-2の硬度ショアAは42であるとして説明する。
【0024】
均し部材10627は、コーティング層10626で覆われていてもよい。コーティング層10626として、PTFE(Poly tetra fluoro ethylene)、PFA(Perfluoro alkoxy alkane)、FEP((Perfluoro ethylene propylene copolymer)、ETFE(Ethylene-tetrafluoroethylene)、ECTFE(Chlorotrifluoroethylene ethylene copolymer)等のフッ素樹脂を用いることが好ましい。これらのフッ素樹脂は静摩擦係数及び動摩擦係数が小さい。例えば、PTFEの静摩擦係数は0.08~0.12であり、動摩擦係数は0.03~0.08である。また、ECTFEの静摩擦係数は0.38~0.42であり、動摩擦係数は0.34~0.38である。本実施形態では、コーティング層10626として、例えば、テープ状のテフロン(登録商標)を用いる。コーティング層10626として、テフロン(登録商標)などの摩擦係数が小さい材料を用いることにより、シーリング材均し器具1062を目地に挿し込みやすくすることができる。また、シーリング材均し器具1062を目地に対して第1方向D1に沿って移動させやすくすることができる。また、コーティング層10626は、シーリング材が付着することを抑制することが好ましい。均し部材10627の側面が目地の内側にこすられながら第1方向D1方向に沿って移動するため、コーティング層10626として用いる材料は、耐久性が高い材料であることが好ましい。
【0025】
図2は、本発明に係るシーリング材均し器具1062を示す平面図である。ここでは、説明を分かりやすくするため、コーティング層10626で覆われる前の均し部材10627を用いて説明する。シーリング材均し器具1062には、軸芯土台10621及び均し部材10627を貫通する貫通孔10628が設けられている。貫通孔10628は、第3方向D3に沿って少なくとも軸芯10622及び軸芯土台10621を貫通するように設けられている。図2では、第3方向D3に沿って軸芯土台10621及び第1バッカー材10623-1、10623-2を貫通するように、貫通孔10628が形成されている。なお、均し部材10627にコーティング層10626が設けられている場合には、コーティング層10626にも貫通孔10628が設けられる。貫通孔10628は、シーリング材を供給するためのノズルを挿入するために設けられる。したがって、貫通孔10628の直径は、ノズルの直径よりも大きければよい。図2において貫通孔10628の形状は円形であるが、これに限定されず、多角形であってもよい。なお、貫通孔10628が多角形の場合には、多角形の外周円の中心を貫通孔10628の中心Oとする。ここで、均し部材10627の全体の長さをL1とする場合、均し部材10627の一端から貫通孔10628の中心Oまでの長さを長さL2とし、貫通孔10628の中心Oから均し部材10627の他端までの長さを長さL3とする。なお、軸芯土台10621の長さは、均し部材10627の長さL1よりも長くてもよい。
【0026】
均し部材10627の幅W1は、軸芯10622の厚さT1、第1バッカー材10623-1、10623-2の厚さT2、第2バッカー材10624-1、10624-2の厚さT3によって決定される。均し部材10627の幅W1は、外壁パネルの目地の幅よりも大きい。第1バッカー材10623-1、10623-2は弾性を有するため、目地に均し部材10627が挿し込まれると、均し部材10627の幅W1は目地の幅に合わせて収縮する。そのため、目地に均し部材10627が挿し込まれる前と後で、均し部材10627の幅W1は変動する場合がある。なお、軸芯土台10621の幅は、均し部材の幅W1と同じであってもよいし、均し部材の幅W1よりも大きくてもよい。また、軸芯10622、第1バッカー材10623-1、10623-2、及び第2バッカー材10624-1、10624-2において、各構成要素の厚さの関係は、T2>T1>T3を満たすことが好ましい。第1バッカー材10623-1、10623-2の厚さT2を、第2バッカー材10624-1、10624-2の厚さT3よりも大きくすることにより、第1バッカー材10623-1、10623-2のクッション性を高めることができる。
【0027】
貫通孔10628に隣接し、かつ第1方向D1とは反対側に位置し、軸芯10622上に設けられたフラット板10625を有していてもよい。均し部材10627の一端から貫通孔10628までの長さL2は、貫通孔10628から均し部材10627の他端までの長さL3よりも長い。フラット板10625は、貫通孔10628から均し部材10627の一端までの領域に設けられる。均し部材10627の一端から貫通孔10628までの長さL2は、貫通孔10628から均し部材10627の他端までの長さL3よりも大きければよく、長さL2と長さL3との比は、例えばL2:L3=3:2とすればよいが、これに限定されない。均し部材10627の一端から貫通孔10628までの領域にフラット板10625を設けることによりシーリング材を均す面積を増加させることができる。また、フラット板10625の幅W2は、軸芯10622の厚さT1よりも大きいことにより、シーリング材を均す面積を増加させることができる。
【0028】
フラット板10625として、表面が平滑な材料を用いることが好ましく、例えば、シート状のテフロン(登録商標)を用いる。または、フラット板10625として、板状のアルミニウムを用いてもよい。フラット板10625の厚さは、第2バッカー材10624-1、10624-2の厚さよりも小さく、コーティング層10626の厚さより大きいことが好ましい。軸芯10622の上にフラット板10625を設けた後に、コーティング層10626で覆うことにより、フラット板10625の位置を固定することができるため好ましい。コーティング層10626の上に、フラット板10625を強固に接着することができれば、コーティング層10626の上にフラット板10625を設けてもよい。
【0029】
図3は、本発明に係るシーリング材均し器具1062を示す端面図である。図3では、フラット板10625が設けられる領域において第2方向D2に沿って切断した端面図である。図3に示すように、軸芯土台10621の上に、軸芯10622、第1バッカー材10623-1、10623-2、第2バッカー材10624-1、10624-2が設けられている。フラット板10625は、軸芯土台10621及び第1バッカー材10623-1、10623-2の上に設けられる。
【0030】
第1バッカー材10623-1、10623-2は、軸芯土台10621および軸芯10622と接する。第2バッカー材10624-1、10624-2は、軸芯土台10621および第1バッカー材10623-1、10623-2と接する。第1バッカー材10623-1、10623-2と第2バッカー材10624-1、10624-2とは直接接していていてもよいし、接着材を介して接していてもよい。第1バッカー材10623-1、10623-2は、軸芯10622と接する面S1に対して、角度θ1(θ1<90°)傾斜している。また、第2バッカー材10624-1、10624-2は、軸芯と接する面S2に対して角度θ2(θ2<90°)傾斜している。ここでは、角度θ1は、角度θ2と同じである場合について説明するが、角度θ1は角度θ2と異なっていてもよい。このような構成により、第1バッカー材10623-1、10623-2において、軸芯10622と接する面S1は、最大の面積を有する。また、第2バッカー材10624-1、10624-2において、第1バッカー材10623-1、10623-2と接する面S2は、最大の面積を有する。また、第1バッカー材10623-1、10623-2において、フラット板10625と接する領域は、軸芯土台10621の水平な面に対して水平な面を有していてもよい。均し部材の幅は目地の幅よりも大きいため、軸芯土台10621の水平面に対して、第1バッカー材10623-1、10623-2及び第2バッカー材10624-1、10624-2が水平であると目地に挿入しづらい。そのため、軸芯土台10621の水平面に対して、第1バッカー材10623-1、10623-2及び第2バッカー材10624-1、10624-2が傾斜を有することにより、均し部材10627を目地内に挿入しやすくすることができる。また、均し部材10627を第1方向D1に沿って移動させる際に、傾斜によってシーリング材を目地の側壁に密着させることができるので、シーリング材と目地の側壁との接触面積を増加させることができる。これにより、シーリング材が、目地の側壁から剥離することを抑制することができる。
【0031】
次に、シーリング材均し器具1062によって、目地にシーリング材を形成する方法について説明する。図4は、本発明に係るシーリング材均し器具1062によりシーリング材を形成する方法を示す図である。図4(A)に示すように、第1外壁パネル201A1および第1外壁パネル201A2を張ったとき、目地202は所定の幅で形成される。この上に第2外壁パネル201B1および第2外壁パネル201B2を張ったとき、目地202は所定の幅で形成される。図4において、シーリング材均し器具1062の進行方向は、第1方向D1である。
【0032】
図4(B)に示すように、目地202の底部にはバックアップ材204が設けられている。図4(B)に示すように、目地202に対して均し部材10627を所定の深さまで挿し込む。このとき、バックアップ材204と均し部材10627とが空隙を有するように均し部材10627を挿し込む。また、均し部材10627を挿し込んだ際、フラット板10625が、第1方向D1とは反対側に設けられるように、シーリング材均し器具1062を配置する。貫通孔10628に、シーリング材を供給するためのノズル10612が挿入されている。後に説明するシーリング装置のノズル10612の吐出口10615からシーリング材が吐出される。吐出口10615から吐出されたシーリング材206は、バックアップ材204と均し部材10627との空隙に充填される。吐出口10615からシーリング材206を吐出させながら、均し部材10627を目地202に沿って第1方向D1に移動させると、フラット板10625によりシーリング材206が均され、シーリング材206の表面を平滑化することができる。シーリング材206における幅は、軸芯10622、第1バッカー材10623-1、10623-2、および第2バッカー材10624-1、10624-2、で形成された均し部材10627の幅により決定される。なお、バックアップ材204の代わりに、目地202の底部に貼り付けるテープ状の材料としてボンドブレーカーを用いてもよい。
【0033】
弾性を有する第1バッカー材10623-1、10623-2を、硬い軸芯10622と硬い第2バッカー材10624-1、10624-2とで挟むことにより、第1バッカー材10623-1、10623-2をクッションとして機能させることができる。第1バッカー材10623-1、10623-2が収縮することで、目地202に均し部材10627を挿し込みやすくすることができる。また、目地202にシーリング材均し器具1062を挿し込んだ後、第1バッカー材10623-1、10623-2の反発力により、第2バッカー材10624-1、10624-2が目地202の側面に押さえつけられる。第2バッカー材10624-1、10624-2は、第1バッカー材10623-1、10623-2よりも硬度ショアAが高いため、第2バッカー材10624-1、10624-2によって目地202との密着性を向上させることができる。また、貫通孔10628から吐出されるシーリング材206の圧力に負けることなく、目地202に充填されたシーリング材206が目地202からはみ出すことを抑制することができる。これにより、外壁パネルにシーリング材が付着するのを防止するために、目地の周りにマスキングテープを貼って養生する作業を省略することができるため、シーリング材を充填する作業工程を簡略化することができる。また、第1バッカー材10623-1、10623-2が弾性を有することにより、外壁パネルの製造誤差や、外壁パネルの配置のずれに起因して目地202の幅が一定でなくても、第1方向D1に移動させる際に均し部材10627の幅W1を柔軟に追従させることができる。また、フラット板10625の表面が平滑であるため、シーリング材の表面を平滑にすることができる。また、フラット板10625を、コーティング層10626によって覆うことで、目地に充填されたシーリング材に対する滑りを向上させることができる。シーリング材均し器具1062の貫通孔を介して吐出口からシーリング材を吐出させて、目地底までシーリング材を充填させることと、第1方向D1に沿って均し部材を移動させることでシーリング材の表面の平滑化を同時行うことができるため、平滑化したシーリング材206を効率よく形成することができる。また、施工者の技量によらず、表面が平滑化されたシーリング材を容易に形成することができる。以上説明したとおり、本発明のシーリング材均し器具1062によれば、施工品質及び安定性に関わるシーリング材の仕上がりを向上させることができる。
【0034】
本実施形態では、第1バッカー材10623-1、10623-2の厚さが、第2バッカー材10624-1、10624-2の厚さよりも大きい場合について説明したが、本発明の一実施形態はこれに限定されない。均し部材は、目地の幅が一定でなくても目地の幅に合わせて均し部材の幅が追従する弾性と、目地の側壁と密着することでシーリング材が目地からはみ出すことを抑制する密閉性を有していればよい。したがって、第1バッカー材10623-1、10623-2の厚さ及び第2バッカー材10624-1、10624-2の厚さは、均し部材の弾性と密着性とのバランスによって決定されればよい。そのため、第1バッカー材10623-1、10623-2の材質及び第2バッカー材10624-1、10624-2の材質によっては、第2バッカー材10624-1、10624-2の厚さが、第1バッカー材10623-1、10623-2の厚さよりも大きくてもよい。
【0035】
本実施形態では、均し部材10627の一端から貫通孔10628までの長さL2は、貫通孔10628から均し部材10627の他端までの長さL3よりも長い場合について説明したが、本発明の一実施形態はこれに限定されない。長さL2と長さL3とが略等しくてもよいし、長さL3が長さL2よりも長くてもよい。また、後に説明するシーリング装置に合わせて、長さL2と長さL3とを適宜設定すればよい。
【0036】
次に、シーリング材均し器具1062の形成方法について説明する。軸芯土台10621と軸芯10622とを接着材によって貼り合わせる。軸芯土台10621と軸芯10622には、予め貫通孔10628の形状に合わせて貫通孔が形成されていてもよい。第1バッカー材10623-1、10623-2および第2バッカー材10624-1、10624-1、を所定の形にカットする。予め貫通孔10628の形状に合わせて第1バッカー材10623-1、10623-2をカットしてもよい。第1バッカー材10623-1、10623-2と第2バッカー材10624-1、10624-2とを貼り合わせる。このとき、第2バッカー材10624-1、10624-2において、最大の面積を有する面S2が第1バッカー材10623-1、10623-2と接するように、第2バッカー材10624-1、10624-2と第1バッカー材10623-1、10623-2とを貼り合わせる。次に、第1バッカー材10623-1、10623-2において、最大の面積を有する面S1が軸芯10622と接するように、軸芯土台10621に第1バッカー材10623-1、10623-2及び第2バッカー材10624-1、10624-2を配置する。これにより、軸芯土台10621の上に均し部材10627が形成される。次に、軸芯10622及び第1バッカー材10623-1、10623-2の上にフラット板10625を配置する。最後に、均し部材10627及びフラット板10625に対してコーティング層10626で覆うことにより、シーリング材均し器具1062を形成することができる。
【0037】
本実施形態では、軸芯10622上にフラット板10625を設けた後、コーティング層10626を巻き付ける例について説明したが、これに限定されない。均し部材10627に対してコーティング層10626を覆った後、コーティング層10626の上にフラット板10625を貼り付けてもよい。また、均し部材10627に対してコーティング層10626を覆って、フラット板10625を貼り付ける工程を省略してもよい。または、軸芯10622及び第1バッカー材10623-1、10623-2の上にフラット板10625を貼り合わせた後、コーティング層10626を形成する工程を省略してもよい。
【0038】
本発明のシーリング材均し器具1062の構成によれば、シーリング材均し器具1062を繰り返し使用することで、第1バッカー材10623-1、10623-2及び第2バッカー材10624-1、10624-2が消耗した場合であっても、新しい第1バッカー材10623-1、10623-2及び第2バッカー材10624-1、10624-2に交換が容易であるため好ましい。
【0039】
2.シーリングシステム
次に、本発明のシーリング材均し器具1062を適用可能なシーリングシステムについて、図5図10を参照して説明する。図5は、本実施形態に係るシーリングシステム100の全体的な構成を示す。シーリングシステム100は、シーリング装置102と駆動装置104とを含む。図5はシーリングシステム100の構成を模式的に示し、外壁200を側面から見たときの状態に加え、外壁200を正面からみたときの状態を挿入図として示す。外壁200は複数の外壁パネルにより形成され、外壁パネルの繋ぎ目に目地202が形成されている。シーリングシステム100は、目地202(以下、特段の断りがない限り「縦目地」を指すものとする。)にシーリング材を充填する工事に用いられる。
【0040】
シーリング装置102は、シーリング材充填ユニット106、およびローラユニット108、支持体110、センサ112(第1センサ112Aおよび第2センサ112B)を含む。シーリング材充填ユニット106およびローラユニット108は支持体110に取り付けられる。シーリング材充填ユニット106は目地202にシーリング材を充填する機能を有する。ローラユニット108は外壁200の上をシーリング装置102がスムーズに動くようにするために設けられる。支持体110には、さらに第1センサ112Aおよび第2センサ112Bが設けられる。第1センサ112Aは外壁200の上端を検出し、第2センサ112Bは外壁200の下端を検出する機能を有する。
【0041】
駆動装置104は、ウインチ1042、滑車1046、ワイヤ1048、およびウインチ1042の動作を制御する制御部1044を含む。ウインチ1042は、ワイヤ1048を巻上げおよび巻下げるため用いられる。滑車1046は支柱105によって支えられ、外壁200の上部に配置される。なお、滑車1046の取り付け構造に特段の限定はなく、例えば、滑車1046はクレーンによって吊られた状態で外壁200の上方に配置されてもよい。支持体110の上部には連結具113が設けられており、ワイヤ1048は滑車1046に掛け回されて連結具113に繋がれる。
【0042】
駆動装置104を設置する場所に特段の限定はないが、ウインチ1042は滑車1046より低い位置に配置される。例えば、ウインチ1042は地面に設置される。また、ウインチ1042は建築物の屋上に設置されてもよい。ウインチ1042の動力源としては、電動モータまたは油圧モータが用いられる。ウインチ1042によってワイヤ1048の巻き上げおよび巻き下げを行うことで、シーリング装置102を外壁200の壁面に沿って引き上げ、また引き下げる動作が行われる。なお、図5は、滑車1046として定滑車を示すが、滑車1046の構成はこれに限定されず、シーリング装置102を外壁200の壁面に沿って上下に駆動することができる構成であれば図示される構成に限定されない。例えば、滑車1046は、定滑車と動滑車が適宜組合わされていてもよい。また、ワイヤ1048の巻上げおよび巻下げはウインチ1042に限定されず、他のワイヤ巻き取り機構が用いられてもよい。
【0043】
ウインチ1042の動作は制御部1044によって制御される。制御部1044にはインバータが組み込まれており、ウインチ1042によるワイヤの巻き上げ及び巻き下げの速度が制御される。ウインチ1042にはエンコーダが組み込まれていてもよく、それによってシーリング装置102を吊り上げる高さが制御されてもよい。また、シーリング装置102の高さは、外壁の上端を検出する第1センサ112Aおよび下端を検出する第2センサ112Bの検出信号によってウインチ1042によるワイヤ1048の巻き上げおよび巻き下げの動作が制御されてもよい。さらに、ウインチ1042の動作は、エンコーダと、第1センサ112Aおよび第2センサ112Bとによって制御されてもよい。
【0044】
シーリング工事の施工に当たり、シーリング装置102はワイヤ1048で吊られた状態で外壁200の下から上へ引き上げられ、外壁200の目地202へシーリング材を充填しながら下方へ移動する。図5の挿入図に示されるように、シーリング装置102はワイヤ1048で吊られた状態で目地202に沿って上から下へ移動する。シーリング装置102が目地202に沿って上から下へ移動する過程で、シーリング材充填ユニット106によって目地202へシーリング材が充填される。
【0045】
図5では詳細に示されないが、シーリング装置102には、シーリング材充填ユニット106にシーリング材を供給するシーリング材供給ユニットが搭載されていてもよい。また、シーリング材供給ユニットは、地上または外壁200の上部に配置され、ホースなどでシーリング材充填ユニット106にシーリング材が供給されてもよい。
【0046】
3.シーリング装置
図6および図7を参照してシーリング装置102の構成を説明する。図6はシーリング装置102の正面図(外壁側から見たときの図)を示し、図7はシーリング装置102の側面図を示す。
【0047】
3-1.全体構造
シーリング装置102は、支持体110、シーリング材充填ユニット106、ローラユニット108(第1ローラユニット108A、第2ローラユニット108B、第3ローラユニット108C、第4ローラユニット108D、第5ローラユニット108E、第6ローラユニット108F)、第1センサ112Aおよび第2センサ112B、連結具113、吸引ユニット114(第1吸引ユニット114A、第2吸引ユニット114B、第3吸引ユニット114C、第4吸引ユニット114D)、ガイド107(第1ガイド107A、第2ガイド107B、第3ガイド107C、第4ガイド107D)を含む。
【0048】
支持体110はシーリング材充填ユニット106を支持するために用いられ、例えば、フレームにより立方体に組み立てられた形状を有する。シーリング材充填ユニット106は支持体110から吊り下げられた状態に設けられる。ローラユニット108(第1ローラユニット108A、第2ローラユニット108B、第3ローラユニット108C、第4ローラユニット108D、第5ローラユニット108E、第6ローラユニット108F)、吸引ユニット114(第1吸引ユニット114A、第2吸引ユニット114B、第3吸引ユニット114C、第4吸引ユニット114D)、第1センサ112A、第2センサ112B、および連結具113は、支持体110の各所に取り付けられる。また、支持体110にはシーリング材をシーリング材充填ユニット106に供給するシーリング材供給ユニット116が設けられていてもよい。さらに、支持体110には、シーリング材充填ユニット106やシーリング材供給ユニット116の動作を制御する制御盤118が設けられてもよい。
【0049】
3-1-1.支持体
支持体110は、フレームを箱形に組んだ構造を有する。フレームの材質に限定はなく、アルミフレーム、スチールフレーム、カーボンフレームなど各種フレームが用いられる。なお、図6および図7は、フレームによって支持体110が形成される例を示すが、シーリング材充填ユニット106を支持しローラユニット108などを取り付ける構造を有するものであれば他の構造に置き換えられてもよい。例えば、支持体110は、フレーム構造に限定されず、箱形の筐体に置き換えられてもよい。
【0050】
支持体110の上部に連結具113が設けられる。連結具113は、支持体110とワイヤ1048とを連結するために設けられる。連結具113の構造に特段の限定はなく、シーリング装置102を吊り下げることのできる耐荷重を有するものであれば、各種の吊り金具を用いることができる。
【0051】
3-1-2.ローラユニット
支持体110にローラユニット108が設けられる。ローラユニット108は、支持体110を外壁200に対して配置したとき、外壁200に対向する位置に取り付けられる。ローラユニット108は、シーリング装置102が外壁200の表面をスムーズに移動できるように、支持体110の4箇所以上に設けられることが好ましい。例えば、ローラユニット108は、支持体110の上下左右の4箇所に設けられることが好ましい。さらに、ローラユニット108は、支持体110の中央部の左右にも設けられていてもよい。
【0052】
図6は、ローラユニット108が、支持体110の上側左右2箇所(第1ローラユニット108A、第2ローラユニット108B)、下側左右2箇所(第3ローラユニット108C、第4ローラユニット108D)、および中央左右2箇所(第5ローラユニット108E、第6ローラユニット108F)に設けられる例を示す。なお、図6は一例であり、中央左右2箇所に設けられる第5ローラユニット108Eおよび第6ローラユニット108Fは省略されてもよい。ローラユニット108を支持体110の4箇所以上に設けることで、支持体110の傾き、撓み、捩れを防ぐことができ、シーリング装置102を外壁200の表面に接地しながら平行に移動させることができる。
【0053】
3-1-3.吸引ユニット
シーリング材を目地202に充填するときシーリング装置102は外壁200から反作用を受ける。また、シーリング工事が屋外で施工されるとき、シーリング装置102は風の影響を受けて不安定になるおそれがある。そこで、吸引ユニット114により支持体110が外壁200から離れないようにして、シーリング装置102の安定を保つ必要がある。
【0054】
吸引ユニット114は、支持体110が外壁200に対向する面に設けられる。吸引ユニット114は、シーリング装置102の移動によって外壁200の表面にキズを付けないように、外壁200に直接接触しないように設けられることが好ましい。例えば、吸引ユニット114は、ローラユニット108より外側に突出せず、外壁200から離隔するように支持体110に取り付けられることが好ましい。また、吸引ユニット114は、外壁200との接触面に織布なとの柔らかい部材が用いられ、シーリング装置102の移動を阻害しない程度の強さで外壁200に接触し、外壁の表面を摺動するように取り付けられていてもよい。
【0055】
外壁200が鋼板などの強磁性材で形成される場合、吸引ユニット114として磁石を用いることができる。磁石としては、永久磁石、または電磁石が用いられる。また、外壁が鉄筋コンクリートの場合でも内部に鉄筋が含まれるため、吸引ユニット114として磁石を用いてもよい。吸引ユニット114の磁力を外壁に作用させることで、シーリング装置102が外壁から離れないようにすることができる。また、吸引ユニット114は、磁力を作用させるものに代えて、真空ポンプによる吸引力を利用した吸引式のものを適用することができる。
【0056】
吸引ユニット114は、支持体110の少なくとも1箇所、好ましくは複数箇所に設けられる。図6は、吸引ユニット114が、支持体110の上側左右2箇所(第1吸引ユニット114A、第2吸引ユニット114B)、および下側左右2箇所(第3吸引ユニット114C、第4吸引ユニット1114D)に設けられる例を示す。このように、支持体110に対し左右対称に吸引ユニット114を設けることで、シーリング装置102が外壁200から離れないようにし、安定した状態を保つことができる。
【0057】
3-1-4.シーリング材充填ユニット
シーリング材充填ユニット106は、シーリング材の吐出口が目地202に倣って変位可能なように、支持体110に取り付けられる。例えば、シーリング材充填ユニット106は、揺動可能であり、左右方向への変位が可能なように、支持体110に吊り下げられた状態に設けられる。シーリング材充填ユニット106は、シーリングガン1061と第1駆動機構1063Aを含む。第1駆動機構1063Aは、シーリングガン1061を待機位置(シーリング材を吐出しない位置)と作業位置(シーリング材を吐出する位置)に制御する機能を有する。
【0058】
シーリング材充填ユニット106には、本発明のシーリング材均し器具1062と第2駆動機構1063Bが設けられている。シーリング材均し器具1062はシーリングガン1061の先端部分に設けられる。第2駆動機構1063Bはシーリング材均し器具1062を待機位置と作業位置に制御する機能を有する。
【0059】
シーリング材充填ユニット106に目地幅センサ115が設けられていてもよい。目地幅センサ115は光学式のセンサが用いられ、目地202の幅を検出する機能を有する。シーリング装置102は、目地幅センサ115で検出された目地202の幅に応じてシーリングガン1061から吐出されるシーリング材の吐出量を制御する機能が備えらえていてもよい。このような構成を有するシーリング材充填ユニット106の詳細は後述される。
【0060】
3-1-5.ガイド
シーリング装置102が目地202に沿って移動するのを助けるように複数のガイド107(第1ガイド107A、第2ガイド107B、第3ガイド107C、第4ガイド107D)が設けられる。図6および図7は、第1ガイド107Aおよび第2ガイド107Bがシーリング材充填ユニット106に設けられ、第3ガイド107Cおよび第4ガイド107Dが支持体110に設けられる例を示す。第1ガイド107Aおよび第2ガイド107Bは、シーリングガン1061の吐出口の垂直方向の中心線上に配置される。また、第3ガイド107Cおよび第4ガイド107Dは、シーリング材充填ユニット106より下側であって、初期状態では第1ガイド107Aおよび第2ガイド107Bの垂直方向の中心線上に重なるように配置される。複数のガイド(第1ガイド107A、第2ガイド107B、第3ガイド107C、第4ガイド107D)は、シーリング装置102がシーリング材を充填するときに、先端部分が目地202に挿入されるように配置される。
【0061】
3-1-6.センサ
支持体110には、シーリング装置102が外壁200の上端に達したことを検知する第1センサ112A、および下端に達したことを検出する第2センサ112Bが設けられる。例えば、支持体110の上部に第1センサ112Aが設けられ、下部に第2センサ112Bが設けられる。第1センサ112Aは、外壁200との接触の有無を検出する接触式のセンサが用いられてもよいし、外壁200までの距離を計測する光学式のセンサが用いられてもよい。また、第2センサ112Bは、地面との接触の有無を検出する接触式のセンサが用いられてもよいし、地面までの距離を計測する非接触式のセンサが用いられてもよい。接触式のセンサとしては、マイクロスイッチやリレー接点を有する接点出力方式のセンサを用いることができ、非接触式センサとしては対象物までの距離を検出可能な光学センサ(例えば、レーザ変位計)や超音波センサを用いることができる。
【0062】
第1センサ112Aおよび第2センサ112Bを設けることで、シーリング装置102による作業の始点および終点を検知することができる。すなわち、第1センサ112Aは、外壁200の上端(作業開始点)を検出するために設けられ、第2センサ112Bは、外壁200の下端(作業終了点)を検出するために設けられる。
【0063】
シーリング装置102は、ローラユニット108が外壁200に接地していることにより、支持体110から外壁200までの距離が一定に保たれている。したがって、シーリング装置102が外壁200の上端に達しないときには、第1センサ112Aによって検出される信号は一定または所定の範囲内にある。第1センサ112Aは、支持体110の上側(上側の第1ローラユニット108Aおよび第2ローラユニット108Bより高い位置)に設けられているので、シーリング装置102が外壁200の上端に達した場合、第1センサ112Aは外壁を検出しないことになり検出信号が大きく変化する。第1センサ112Aから出力される信号が変化することにより、シーリング装置102が外壁200の上端に達したことを検出することができる。
【0064】
第2センサ112Bは、地面(または地階)への接触の有無または支持体110の取り付け位置から地面(または地階)までの距離を計測する。シーリング装置102が外壁200の上方に引き上げられた状態では、第2センサ112Bは地面(または地階)への接触を検出せず、または地面(または地階)までの距離が離れていることを検出する。シーリング装置102が外壁200の下端(作業の終点)にあるとき、第2センサ112Bは、地面(または地階)への接触を検出し、または地面(または地階)までの距離を検出する。したがって、第2センサ112Bが地面(または地階)を検出したこと、または地面(または地階)までの距離が規定値(または所定の範囲内)であることを判断することで、シーリング装置102が下端に達したことを検出するこができる。
【0065】
3-1-7.シーリング材供給ユニット
支持体110には、シーリング材充填ユニット106にシーリング材を供給するシーリング材供給ユニット116が設けられてもよい。シーリング材供給ユニット116は、例えば、シーリングタンク1162、シーリングタンク1162の上面を封止して内部空間を圧縮する圧縮プレート1164、および圧縮プレート1164を昇降させるポンプ1166を含むシーリングポンプユニットにより構成されてもよい。シーリングタンク1162にシーリング材を充填し、ポンプ1166によって圧縮プレート1164を降下さることで、粘性の高いシーリング材を、チューブ1168を通してシーリングガン1061に供給することができる。また、ポンプ1166は、圧縮プレート1164が降下する速度を調節可能であり、それによってシーリングガン1061へシーリング材を供給する量を制御することができる。シーリングタンク1162は大容量化が可能であるため、シーリング装置102に多量のシーリング材を搭載することができる。それにより、高層の建物であっても、目地の途中でシーリング材の供給が途切れることなく作業を行うことができ、作業効率を高めることができる。
【0066】
3-1-8.制御盤
制御盤118には、シーリング材充填ユニット106、シーリング材供給ユニット116を駆動する制御回路が収納される。制御盤118の配置は任意であり、例えば、支持体110の側面に設けられる。
【0067】
次に、支持体110に取り付けられるシーリング材充填ユニット106の詳細について説明する。
【0068】
3-2.シーリング材充填ユニット
図8は、シーリング材充填ユニット106の斜視図を示す。なお、図8を参照する説明において、前後方向とは図中に示す[A]の方向を指し、水平方向とは図中に示す[B]の方向を指し、揺動する方向を[C]の方向を指すものとする。また、図8に示す「前方」とは、シーリング装置102が壁面に向けられる方向を指し、「後方」とはその反対の方向を指し、「上方」とは、シーリング装置102を立てたときの上方を指し、「下方」とはその反対方向を指すものとする。
【0069】
シーリング材充填ユニット106は、シーリングガン1061および第1駆動機構1063Aを含む。第1駆動機構1063Aには、例えば、第1アクチュエータ1064Aおよび第1リニアガイド1065Aが含まれる。また、シーリング材充填ユニット106は、シーリング材均し器具1062および第2駆動機構1063Bを含む。第2駆動機構1063Bには、例えば、第2アクチュエータ1064Bおよび第2リニアガイド1065Bが含まれる。シーリング材充填ユニット106には、これらの要素に加え、第1駆動機構1063Aおよび第2駆動機構1063Bが取り付けられる第1支持板1066A、第2支持板1066Bなどの部品が含まれる。
【0070】
第1駆動機構1063Aは、シーリングガン1061を前後方向に変位させ、シーリングガン1061を目地に挿入させる機能を有する。第1駆動機構1063Aを構成する第1アクチュエータ1064Aおよび第1リニアガイド1065Aを含み、第1支持板1066Aに固定される。第1リニアガイド1065Aはガイドレール10652Aとブロック10654Aとで構成され、ガイドレール10652Aの長手方向が図示される前後方向に配置される。ブロック10654Aは、第1アクチュエータ1064Aによってガイドレール10652Aの上をスライドする。シーリングガン1061はブロック10654Aに連結されており、第1アクチュエータ1064Aにより前後方向に変位する。なお、シーリングガン1061は第1駆動機構1063Aと第2駆動機構1063Bの間に配置されているため、図8では明示されていない。
【0071】
第2駆動機構1063Bは、シーリング材均し器具1062を前後方向に変位させ、シーリング材均し器具1062を目地に挿入させる機能を有する。第2駆動機構1063Bを構成する第2アクチュエータ1064Bおよび第2リニアガイド1065Bを含み、第1支持板1066Aに固定される。第2リニアガイド1065Bはガイドレール10652Bとブロック10654Bとで構成され、ガイドレール10652Bの長手方向が図示される前後方向に配置される。ブロック10654Bは、第2アクチュエータ1064Bによってガイドレール10652Bの上をスライドする。シーリング材均し器具1062はブロック10654Bに連結されており、第2アクチュエータ1064Bによって前後方向に位置が変化するように駆動される。
【0072】
シーリング材充填ユニット106は、第1駆動機構1063Aおよび第2駆動機構1063Bが連動して、シーリングガン1061およびシーリング材均し器具1062を前後方向に同時に変位させることができる。また、シーリング材充填ユニット106は、第1駆動機構1063Aおよび第2駆動機構1063Bを個別に駆動して、シーリングガン1061およびシーリング材均し器具1062の一方のみの位置を変位させることも可能である。なお、図8は、シーリングガン1061とシーリング材均し器具1062とがそれぞれ個別の駆動機構によって前後の位置が制御される構成を示すが、このような構成に限定されず、両者は一つの駆動機構によって位置の制御がされてもよい。
【0073】
図9(A)は、シーリングガン1061およびシーリング材均し器具1062を示す。シーリングガン1061は、本体10611、ノズル10612、および流量調整バルブ10613を含む。ノズル10612は本体10611から前方に伸びており、先端がシーリング材の吐出口10615となる。流量調整バルブ10613は絞りによりシーリング材の吐出量を調整する機能を有する。流量調整バルブ10613は電磁式または圧空式のバルブが適用可能であるが、図9(A)に示すシーリングガン1061は、流量調整バルブ10613を操作するハンドル10614が設けられ、ハンドル10614を第3アクチュエータ1064Cで操作する構成を有する。シーリングガン1061は、第1リニアガイド1065Aに取り付けるための取付部品1067に固定されている。
【0074】
シーリングガン1061の本体10611にチューブ1168が接続されている。図9(A)には示されないが、チューブ1168の他端はシーリング材供給ユニット116(図7参照)に接続されている。シーリング材は、シーリング材供給ユニット116からチューブ1168を通してシーリングガン1061に供給される。シーリング材はシーリング材供給ユニット116から連続的に供給され、ノズル10612に設けられた吐出口10615の先から連続的に吐出される。シーリング材の吐出量は、シーリング材供給ユニット116の供給圧、および流量調整バルブ10613の絞り量によって調整される。
【0075】
なお、シーリングガン1061の構造および形状は適宜選択可能であり、図9(A)に示す構成に限定されない。例えば、ハンドル10614は省略されてもよく、自動開閉式のバルブに置き換えられてもよい。
【0076】
シーリング材均し器具1062は、目地202に嵌合する縦長の形状を有する。シーリング材均し器具1062は、図1図4で説明した構成を有する。図9(A)に示すように、シーリング材均し器具1062が設けられる場合、ノズル10612はシーリング材均し器具1062の貫通孔10628を貫通して吐出口10615が露出するように設けられる。このような構成により、ノズル10612からシーリング材が目地202へ吐出された後、シーリング材の表面を均して形状を整えることができる。
【0077】
図9(B)に示すように、シーリング材均し器具1062は、シーリング材206を充填するときに目地202の中に所定の深さまで挿入される。シーリング材均し器具1062が目地に挿入される深さは、シーリング材206の厚さを考慮して適宜調整可能である。すなわち、シーリング材均し器具1062を目地202へ挿入する挿入深さD2は、目地の深さD1より浅く、リーリング材を充填するとき圧力に耐える接触幅を確保することができ、シーリング材が所定の厚さ(例えば、10mm以上)を有することのできる深さに制御される。なお、目地202にはバックアップ材204が設けられており、目地202の深さは外壁パネル201の表面からバックアップ材204までの深さとする。シーリング材均し器具1062を目地202へ挿入する挿入深さD2を調整することで、目地202に充填されたシーリング材206を均すことができ、シーリング材を外壁パネル201の側壁面に密着するように均すことができる。
【0078】
シーリング材206は、壁面の目地202にシーリング材206を塗布する均し部材10627を目地に挿入し、第1方向D1に進行させることで、均し部材10627の断面形状によって目地202内のシーリング材206の断面形状の中央部が薄く形成され、目地202を形成する両側の壁材と接するシーリング材206が中央部より厚く形成される。言い換えると、シーリング材均し器具1062によって表面が平滑化されたシーリング材206は、第1方向D1に沿って目地の側壁に接する2つの端部(第1の領域ともいう)と、2つの端部に挟まれた中央部(第2の領域ともいう)とを有する。シーリング材206における幅は、軸芯10622、第1バッカー材10623-1、10623-2、および第2バッカー材10624-1、10624-2、で形成された均し部材10627の幅により決定される。壁材の目地が延在する方向と交差する方向に沿って切断したときの断面形状は、2つの端部における領域の厚さよりも、中央部における領域の厚さの方が小さい。また、中央部の領域における表面は目地底に対して平滑であり、端部における領域は目地の側壁に対して傾斜している。これにより、シーリング材の端部において、目地の側壁との接触面積が増加させることができ、施工品質及び安定性に関わるシーリング材の仕上がりを向上させることができる。
【0079】
なお、図9(A)は、シーリング材均し器具1062の中にノズル10612が挿入された構造を示すが、シーリングガン1061とシーリング材均し器具1062の配置はこのような構成に限定されず、ノズル10612がシーリング材均し器具1062の下側に配置されていてもよい。
【0080】
図8に示すように、第1駆動機構1063Aおよび第2駆動機構1063Bが取り付けられる第1支持板1066Aは、一端が第2支持板1066Bに接続され、他端が街道可能とされている。第2支持板1066Bは、固定軸1102に挿通された軸受1104に接続される。軸受1104は、すべり軸受けまたは転がり軸受けで構成されており、固定軸1102を中心に回動可能とされている。したがって、第1支持板1066Aは、固定軸1102を中心として他端の側が回動するように設けられる。固定軸1102は、水平方向にスライドする第4リニアガイド1106のブロック11064に取り付けられる。ブロック11064はガイドレール11062の上を水平方向に移動可能とされている。このような構成により、第1支持板1066Aは、振り子のように揺動し(図8に示す[C]の方向)、さらに水平方向(図8に示す[B]の方向)にも変位することが可能となっている。シーリング材充填ユニット106は、第1支持板1066Aに取り付けられているため、支持体110の中の定位置に固定されるのではなく、揺動可能および水平方向に変位可能な状態となっている。
【0081】
シーリング材充填ユニット106は、このよう取り付け構造を有することにより、目地202の直線性に揺らぎがある場合でも、目地202に合わせて変位することができる。すなわち、シーリング装置102が外壁200の目地202に沿って降下するとき、シーリングガン1061の先端およびシーリング材均し器具1062が目地から外れることなく、目地202に沿ってスムーズに降下することが可能となる。別言すれば、シーリング装置102が外壁200の上から下へ移動するとき、支持体110の位置が水平方向(左右方向)に揺らいだとき、または目地202にうねりがあったときでも、シーリングガン1061およびシーリング材均し器具1062が目地から外れないようにすることができる。
【0082】
第1支持板1066Aには目地202の幅を検出する目地幅センサ115が設けられる。目地幅センサ115としては、例えば、レーザ変位センサが用いられる。目地幅センサ115により目地の幅を検出し、その検出信号に基づいて第3アクチュエータ1064Cにより流量調整バルブ(図9(A)参照)の開閉量を制御することで、シーリングガン1061から供給するシーリング材の量を調整することができる。
【0083】
3-3.ガイド
図10(A)に示すように、第1外壁パネル201A1および第1外壁パネル201A2を張ったとき目地202Aが所定の幅で形成される。この上に第2外壁パネル201B1および第2外壁パネル201B2を張ったとき目地202Bが所定の幅で形成される。目地202Aと目地202Bの幅および水平方向の位置は同じであることが理想であるが、実際の建築物では誤差が許容されている。例えば、目地の幅W1が19mmから25mmである場合、目地のずれ幅W2は0mmから3mmまで許容される場合がある。
【0084】
シーリング装置102は、外壁200の表面を目地202に沿って降下し、シーリング材充填ユニット106によって正確に目地の中にシーリング材を充填する必要がある。そこで、第1支持板1066AAの先端(回動する側)には、第1ガイド107Aが設けられていることが好ましい。第1ガイド107Aは、図10(B)に示すように、支持部材1072の先端にカムフォロワ1074が設けられた構造を有する。第1ガイド107Aは、第1支持板1066Aから前方に突出し目地202に挿入する位置に設けられる。カムフォロワ1074の直径は目地202の幅より若干小さく設定されており、目地の側面に接触しても摩擦が生じないようにされている。
【0085】
図6および図7に示すように、第1ガイド107Aは、シーリング材充填ユニット106より下側に設けられる。すなわち、シーリング装置102が外壁の上側から下側に移動するとき、第1ガイド107Aは、シーリング材充填ユニット106の移動方向の前方であって、第1支持板1066Aの回動する側の先端付近に設けられる。このような構成により、第1ガイド107Aによって第1支持板1066Aの角度および水平方向の位置を目地に沿うように調整することができ、シーリング材が正しく目地に充填されるようにすることができる。第1ガイド107Aは1つでもよいが複数のガイドが設けられてもよい。例えば、図8に示すように、第1ガイド107Aに加えて第2ガイド107Bを縦方向に並べて配置してもよい。第1ガイド107Aおよび第2ガイド107Bの縦方向の中心線は一致するように配置され、さらにシーリング材充填ユニット106の吐出口10615の縦方向の中心線とも一致するように配置される。このような構成により、第1ガイド107Aおよび第2ガイド107Bによって第1支持板1066Aの角度および水平方向の位置を目地に沿うように調整することができ、シーリング材充填ユニット106が目地から外れないように制御することができる。また、図8に示すように、第1ガイド107Aと第2ガイド107Bとの間に目地幅センサ115を設けることで、目地202の幅を正確に検出することができる。
【0086】
第1支持板1066Aに設けられる第1ガイド107Aおよび第2ガイド107Bに加え、図6および図7に示すように、支持体110に第3ガイド107Cおよび第4ガイド107Dが設けられていてもよい。第3ガイド107Cおよび第4ガイド107Dも同様に目地202に挿入されるように支持体110から突出して設けられる。第3ガイド107Cおよび第4ガイド107Dは、第1ガイド107Aおよび第2ガイド107Bより下方側に設けられる。第1ガイド107Aおよび第2ガイド107Bが第1支持板1066Aの先端付近に設けられるのに対し、第3ガイド107Cおよび第4ガイド107Dは支持体110に固定される。また、第3ガイド107Cおよび第4ガイド107Dは、第1ガイド107Aおよび第2ガイド107Bの縦方向の中心線の延長線上に設けられる。第3ガイド107Cおよび第4ガイド107Dにより、支持体110が目地の中心を通るように制御される。さらに、第1ガイド107Aおよび第2ガイド107Bが第1支持板1066Aの角度および水平方向の位置を変動させることにより、目地の直線性が揺らいでいる場合でも、シーリング材充填ユニット106の位置が目地から外れないよいに微調整をすることが可能となる。
【0087】
シーリングシステム100を構成する各要素が連携して動作することにより、建物の外壁の縦目地にシーリング材を自動で充填することができる。作業者は滑車でシーリング装置102を吊り下げて縦目地の位置に配置すればよく、それ以降は縦目地へシーリング材の充填が行われるので、作業にかかる労力が低減し、高所の作業が少なくなるので安全性を確保することができる。また、これらの機能によれば、高層建築物の外壁の目地にシーリング材を均一に充填することができるシーリング自動充填ロボットを提供することができる。
【0088】
本実施形態に係るシーリング均し器具1062を、シーリング装置102に適用する場合について説明したが、本発明の一実施形態はこれに限定されない。シーリング均し器具1062を、目地に手動でシーリング材を塗布する場合にも適用することができる。このとき、目地にシーリング材を塗布した後、シーリング均し器具1062を目地に挿入し、目地に沿って第1方向に移動させることで、シーリング材を目地に形成することができる。これにより、施工者の技量によらず、シーリング材の表面を均一に平滑にすることができる。また、マスキングテープを貼るという作業が不要となるため、シーリング作業の工程数を減らすことができ、省力化を図ることができる。なお、シーリング均し器具1062を用いて、目地に手動でシーリング材を塗布する場合には、シーリング均し器具1062の均し部材10627及び軸芯土台10621に設けられた貫通孔10628は設けられなくてもよい。
【符号の説明】
【0089】
100:シーリングシステム、102:シーリング装置、104:駆動装置、1042:ウインチ、1044:制御部、1046:滑車、1048:ワイヤ、105:支柱、106:シーリング材充填ユニット、1061:シーリングガン、10611:本体、10612:ノズル、10613:流量調整バルブ、10614:ハンドル、10615:吐出口、1062:シーリング材均し器具、10621:軸芯土台、10622:軸芯、10623-1、10623-2:第1バッカー材、10624-1、10624-2:第2バッカー材、10625:フラット板、10626:コーティング層、10627:均し部材、10628:貫通孔、1063A:第1駆動機構、1063B:第2駆動機構、1064A:第1アクチュエータ、1064B:第2アクチュエータ、1064C:第3アクチュエータ、1065A:第1リニアガイド、10652A:ガイドレール、10654A:ブロック、1065B:第2リニアガイド、10652B:ガイドレール、10654B:ブロック、1065C:第3リニアガイド、10652C:ガイドレール、10654C:ブロック、1066A:第1支持板、1066B:第2支持板、1067:取付部品、107:ガイド、107A:第1ガイド、107B:第2ガイド、107C:第3ガイド、107D:第4ガイド、1072:支持部材、1074:カムフォロワ、108:ローラユニット、108A:第1ローラユニット、108B:第2ローラユニット、108C:第3ローラユニット、108D:第4ローラユニット、108E:第5ローラユニット、108F:第6ローラユニット、110:支持体、1102:固定軸、1104:軸受、1106:第4リニアガイド、11062:ガイドレール、11064:ブロック、112:センサ、112A:第1センサ、112B:第2センサ、113:連結具、114:吸引ユニット、114A:第1吸引ユニット、114B:第2吸引ユニット、114C:第3吸引ユニット、114D:第4吸引ユニット、115:目地幅センサ、116:シーリング材供給ユニット、1162:シーリングタンク、1164:圧縮プレート、1166:ポンプ、1168:チューブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10