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  • 特開-建築物 図1
  • 特開-建築物 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129691
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】建築物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/00 20060101AFI20240919BHJP
   E04H 1/02 20060101ALI20240919BHJP
   E04H 1/04 20060101ALI20240919BHJP
   E04H 1/06 20060101ALI20240919BHJP
   A01G 9/02 20180101ALI20240919BHJP
【FI】
E04B1/00 501Z
E04H1/02
E04H1/04 Z
E04H1/06
A01G9/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039047
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】黒川 宗範
(72)【発明者】
【氏名】飯田 久
(72)【発明者】
【氏名】中谷 真
(72)【発明者】
【氏名】辰井 悠記
(72)【発明者】
【氏名】殷 小文
【テーマコード(参考)】
2B327
2E025
【Fターム(参考)】
2B327NC02
2B327NC18
2B327ND01
2B327NE11
2B327QA05
2B327QB03
2B327TA04
2B327TA13
2E025AA12
(57)【要約】
【課題】外部から視認されつつ外部空間に良好に調和するように植物を配置することが可能なバルコニーを備えた建築物を提供することである。
【解決手段】バルコニー10を備えた建築物1であって、バルコニー10が、建築物1の躯体2の一部を構成するバルコニー本体部20と、内部に土31を収容可能な容器状であり、バルコニー本体部20に設置された内側植栽部30と、内部に土41を収容可能な容器状であり、バルコニー本体部20の外側にバルコニー本体部20に沿って内側植栽部30よりも下方に設けられた外側植栽部40と、を有することを特徴とする建築物1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルコニーを備えた建築物であって、
前記バルコニーが、
前記建築物の躯体の一部を構成するバルコニー本体部と、
内部に土を収容可能な容器状であり、前記バルコニー本体部に設置された内側植栽部と、
内部に土を収容可能な容器状であり、前記バルコニー本体部の外側に前記バルコニー本体部に沿って前記内側植栽部よりも下方に設けられた外側植栽部と、を有することを特徴とする建築物。
【請求項2】
前記外側植栽部は、底部に接続された排水管を有する、請求項1に記載の建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルコニーを備えた建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばオフィスビル、商業ビル、集合住宅などの複数の階層を有する建築物として、上階部分に室外に張り出すバルコニーを備えたものが知られている。
【0003】
従来、このようなバルコニーを備えた建築物において、バルコニーに植栽部を設け、植栽部に植物を植栽することで、建築物を緑化することが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3146859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の建築物は、バルコニーの内部にのみ植物を配置することができる構成であるので、バルコニーに設ける植物を、建築物の外部から良好に視認されつつ室内から見える外部空間の景色に良好に調和するように配置することは困難である、という問題点があった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、外部から視認されつつ外部空間に良好に調和するように植物を配置することが可能なバルコニーを備えた建築物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の建築物は、バルコニーを備えた建築物であって、前記バルコニーが、前記建築物の躯体の一部を構成するバルコニー本体部と、内部に土を収容可能な容器状であり、前記バルコニー本体部に設置された内側植栽部と、内部に土を収容可能な容器状であり、前記バルコニー本体部の外側に前記バルコニー本体部に沿って前記内側植栽部よりも下方に設けられた外側植栽部と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の建築物は、上記構成において、前記外側植栽部は、底部に接続された排水管を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外部から視認されつつ外部空間に良好に調和するように植物を配置することが可能なバルコニーを備えた建築物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る建築物のバルコニーの部分の断面図である。
図2図1に示す建築物の、バルコニーの部分の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係る建築物について詳細に例示説明する。
【0012】
図1図2に示す本発明の一実施形態に係る建築物1は、例えばオフィスビル、商業ビル、集合住宅などの複数の階層を有するものである。
【0013】
建築物1は、鉄筋コンクリート造の躯体2を有し、躯体2に支持された外壁3の内側は居室すなわち室内空間4となっている。外壁3には、室内空間4から外部へ出入りするための扉5が設けられている。本実施形態では、扉5は透明なガラス製の引き戸であるが、ヒンジドア等であってもよい。室内空間4の内部にいる利用者ないし居住者等の人6は、外壁3に設けられたガラス製の扉5ないし窓(不図示)からバルコニー10を通して建築物1の外部を視認することができる。
【0014】
建築物1は、その上階部分にバルコニー10を備えている。建築物1は、上階の1つの階にのみにバルコニー10を備えた構成であってもよく、上階の複数の階のそれぞれにバルコニー10を備えた構成であってもよい。
【0015】
なお、バルコニー10は、天井部分を有していない構成であってもよく、天井部分を有する構成(ベランダとも呼ばれる構成)であってもよい。バルコニー10は、天井部分を有する場合には、当該天井部分が上階のバルコニー10の床で形成された構成であってよい。
【0016】
バルコニー10は、バルコニー本体部20、内側植栽部30及び外側植栽部40を有している。
【0017】
バルコニー本体部20は、建築物1の躯体2の一部を構成しており、外壁3から建築物1の外側に向けて張り出して建築物1の外側に建築物1の利用者ないし居住者等の人6が立ち入ることが可能なスペースを形成している。より具体的には、バルコニー本体部20は、躯体2と一体化した鉄筋コンクリート造となっており、躯体2の室内空間4の床4aを構成する部分から建築物1の外側に向けて張り出している。なお、バルコニー本体部20は、室内空間4の床4aと同一高さの床部21を備えた構成としてもよい。
【0018】
バルコニー本体部20は扉5に面しており、扉5が開かれると、室内空間4は扉5を通してバルコニー本体部20に連通する。建築物1の利用者ないし居住者等の人6は、開かれた扉5を通って室内空間4とバルコニー本体部20との間を行き来することができる。
【0019】
内側植栽部30は、内部に土31を収容可能な容器状であり、バルコニー本体部20に設置されている。本実施形態では、内側植栽部30は上方が開口する矩形の箱型となっており、バルコニー本体部20の外側縁22に沿って当該外側縁22に隣接して配置されている。内側植栽部30は、例えばステンレススチール等の金属製であってよいがこれに限られない。
【0020】
内側植栽部30は、その内部に土31を収容しており、当該土31には植物32が植栽されている。本実施形態では、内側植栽部30が収容した土31には、植物32として所定の高さの樹木が植栽されている。
【0021】
外側植栽部40は、内部に土41を収容可能な容器状であり、バルコニー本体部20の外側にバルコニー本体部20に沿って設けられている。本実施形態では、外側植栽部40は上方が開口する矩形の箱型となっており、バルコニー本体部20の外側縁22に沿って設置されている。より具体的には、バルコニー本体部20の下方及び外側には、柱7に支持された一対の鉄骨8a、8bが配置されており、外側植栽部40はこれらの鉄骨8a、8bの間に支持された支持体9に支持されてバルコニー本体部20の外側に設置されている。外側植栽部40は、例えばステンレススチール等の金属製であってよいがこれに限られない。
【0022】
外側植栽部40は、その内部に土41を収容しており、当該土41には植物42が植栽されている。本実施形態では、外側植栽部40が収容した土41には、植物42として所定の高さの樹木が植栽されている。
【0023】
外側植栽部40は、内側植栽部30よりも下方に設けられている。より具体的には、外側植栽部40は、内側植栽部30が設置されるバルコニー本体部20よりも下方に設けられた支持体9に支持され、その上端開口40aが内側植栽部30の上端開口30aよりも下方に位置するように配置されている。本実施形態では、外側植栽部40の上端開口40aは、内側植栽部30の底部30bよりも下方に位置している。また、外側植栽部40の内部に収容された土41の表面は、内側植栽部30の内部に収容された土31の表面よりも下方に位置している。これにより、外側植栽部40に植栽された植物42と内側植栽部30に植栽された植物32は、外側植栽部40に植栽された植物42を下側として段差状に配置されている。
【0024】
外側植栽部40は、底部40bに接続された排水管43を有する構成とすることもできる。この場合、底部40bには排水孔40cが設けられ、排水管43は排水孔40cに接続される。図2に示すように、排水管43は、柱7の内部に引き込まれ、柱7の内部に鉛直方向に延びて設けられた集合管44に接続された構成とすることができる。外側植栽部40の内部の水は、排水孔40cから排水管43を通って集合管44に集められ、集合管44を通って下方に流れて建築物1から排水溝等に排出される。
【0025】
このように、外側植栽部40を、底部40bに接続された排水管43を有する構成とすることで、外側植栽部40をバルコニー本体部20の外側に設けた構成としても、外側植栽部40の内部の水が建築物1の下方に垂れ落ちることを防止することができる。
【0026】
内側植栽部30の底部30bにも排水孔(不図示)を設けるとともに、バルコニー本体部20に集合管44に接続された集水口23を設けるようにしてもよい。
【0027】
バルコニー10は、外側植栽部40の外側に柵50を有している。柵50は、例えば、透明なガラス、格子状のものなど、柵50の外側から柵50の内側に配置された植物32、42を視認可能な構成となっている。
【0028】
バルコニー10は、柵50の外側に装飾用パネル51を備えるとともにバルコニー本体部20及び外側植栽部40の下方を覆うとともに下階のバルコニー10の天井部分を構成する天井パネル52を備えた構成とすることもできる。
【0029】
上記構成を有する本実施形態の建築物1では、バルコニー10は、建築物1の躯体2の一部を構成するバルコニー本体部20に設置された内側植栽部30と、バルコニー本体部20の外側にバルコニー本体部20に沿って内側植栽部30よりも下方に設けられた外側植栽部40と、を有しているので、室内空間4から視認され易い内側植栽部30に、室内空間4からみたときに外部空間に良好に調和するように植物32を配置しつつ、内側植栽部30よりも下方に設けられることで室内空間4から視認し難いが建築物1の外部から視認可能な外側植栽部40に、建築物1の外部から良好に視認されるように統一感を持って植物42を配置することができる。このように、本実施形態の建築物1によれば、バルコニー10に、外部から視認されつつ外部空間に良好に調和するように植物32、42を配置することができる。
【0030】
本実施形態では、図2に示すように、バルコニー本体部20に、複数の内側植栽部30を、バルコニー本体部20の外側縁22に沿って間隔を空けて並べて設置した構成としている。それぞれの内側植栽部30には複数本の植物32が植栽されており、隣り合う内側植栽部30の間には植物32が配置されていない空間が設けられている。一方、外側植栽部40には、隣り合う内側植栽部30の間の植物32が配置されていない空間の外側に配置されるように、複数本の植物42が植栽されている。
【0031】
このような植物32、42の配置とすることにより、内側植栽部30に植栽された植物32を、室内空間4から外部空間に向けた視界(図1図2に符号S1を付している。)を遮ることなく適度に視認されるようにして、室内空間4からみたときに外部空間に良好に調和させることができる。一方、建築物1に隣接する道路等からバルコニー10を見上げて視認したときには、当該視界(図1に符号S2を付している。)において、外側植栽部40に植栽された植物42が視認されるとともに、外側植栽部40の植物42が植栽されていない部分の後方に内側植栽部30に植栽された植物32が視認される。これにより、建築物1の外部からバルコニー10を視認したときに、バルコニー10の幅方向に植物32、42が連続して統一感を持って配置されているように視認されるようにして、緑化されたバルコニー10の美観を高めることができる。
【0032】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0033】
例えば、前記実施形態では、バルコニー本体部20に、複数の内側植栽部30を、バルコニー本体部20の外側縁22に沿って間隔を空けて並べて設置するようにしているが、少なくとも1つの内側植栽部30を設けていれば、その数、設置場所は適宜変更可能である。
【0034】
また、内側植栽部30に植栽する植物32の本数及び配置、外側植栽部40に植栽する植物42の本数及び配置は、何れも、上記実施形態に記載された本数及び配置に限らず適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 建築物
2 躯体
3 外壁
4 室内空間
4a 床
5 扉
6 人
7 柱
8a 鉄骨
8b 鉄骨
9 支持体
10 バルコニー
20 バルコニー本体部
21 床部
22 外側縁
23 集水口
30 内側植栽部
30a 上端開口
30b 底部
31 土
32 植物
40 外側植栽部
40a 上端開口
40b 底部
40c 排水孔
41 土
42 植物
43 排水管
44 集合管
50 柵
51 装飾用パネル
52 天井パネル
S1 視界
S2 視界
図1
図2