(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129705
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B60K 11/06 20060101AFI20240919BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20240919BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240919BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240919BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240919BHJP
H01M 10/6561 20140101ALI20240919BHJP
B60N 2/56 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
B60K11/06
B60K1/04 Z
H01M50/249
H01M10/625
H01M10/613
H01M10/6561
B60N2/56
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039072
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 大悟
(72)【発明者】
【氏名】中島 光輝
(72)【発明者】
【氏名】塩飽 基
【テーマコード(参考)】
3B087
3D038
3D235
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
3B087DE09
3B087DE10
3D038AA09
3D038AB01
3D038AC02
3D038AC04
3D038AC22
3D235AA02
3D235BB36
3D235BB45
3D235CC15
3D235DD25
3D235FF12
3D235FF16
3D235FF37
5H031AA09
5H031KK08
5H040AA01
5H040AA03
5H040AA28
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY04
(57)【要約】
【課題】吸気ダクトにおける空気の流路長を短くすることができるとともに、車室内前方の空気を吸気口からより確実に、且つ、より多く取り込むことができる車両を提供する。
【解決手段】車両Vは、フロアパネルFと、右シートレール16Rと、右後部座席17Rと、右後部座席17Rの後部に配置されたバッテリパック1と、吸気口4aを有する吸気ダクト4と、フロアパネルFから上方に延出するリヤホイールハウス21と、を備える。吸気ダクト4は、右シートレール16Rよりも車幅方向内側に設けられており、吸気口4aは、車幅方向外側を向いている。吸気口4aは、左右方向から見て、少なくとも一部が上下方向においてフロアパネルFと右シートレール16Rとの間に位置するように配置されている。吸気口4aは、少なくとも一部がリヤホイールハウス21の側壁部211の前端よりも前方に位置するように配置されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室及び前記車室の後部の床面を構成するフロアパネルと、
前記フロアパネルに取り付けられた前後方向に延在するシートレールと、
前記シートレールに前後方向にスライド可能に係合する可動部材と、
前記可動部材に支持されるシートと、
前記シートの後部に配置されたバッテリパックと、
吸気口を有し、前記吸気口から取り入れた空気を前記バッテリパックに供給する吸気ダクトと、
前記フロアパネルから上方に延出するホイールハウスと、を備える車両であって、
前記シートレールは、前記フロアパネルから上方に離隔して前後方向に延在しており、
前記吸気ダクトは、前記シートレールよりも車幅方向内側に設けられており、
前記吸気口は、車幅方向外側を向いており、
前記吸気口は、左右方向から見て、少なくとも一部が上下方向において前記フロアパネルと前記シートレールとの間に位置するように配置されており、
前記ホイールハウスは、上下方向から見て、前後方向に延在する側壁部と、前記側壁部から車幅方向外側に延在するフェンダー部と、を有し、
前記吸気口は、少なくとも一部が前記ホイールハウスの前記側壁部の前端よりも前方に位置するように配置されている、
車両。
【請求項2】
請求項1に記載の車両であって、
前後方向及び上下方向に延在し、前記車室の側部の内壁を構成するボディサイドトリムをさらに備え、
前記ホイールハウスの前記フェンダー部は、前記側壁部の前端部において、上下方向から見て前記側壁部の前記前端部から前方に湾曲又は傾斜して車幅方向外側に延在しており、
前記ボディサイドトリムは、上下方向から見て、前記ホイールハウスの前記側壁部の前記前端部における前記フェンダー部に沿って、後方に向かうにしたがって車幅方向内側に湾曲又は傾斜している、
車両。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両であって、
前後方向及び上下方向に延在し、前記車室の側部の内壁を構成するボディサイドトリムをさらに備え、
前記ボディサイドトリムは、前後方向から見て、前記吸気口の上方に、車幅方向内側に窪んだ凹部を有する、
車両。
【請求項4】
請求項3に記載の車両であって、
前記シートは、前後方向及び左右方向に延在する着座部を備え、
前記凹部は、前記着座部と左右方向に対向する位置に設けられ、前記着座部に近づくように車幅方向内側に窪んでいる、
車両。
【請求項5】
請求項1に記載の車両であって、
前記シートは、前後方向及び左右方向に延在する着座部を備え、
前記シートレールと前記着座部との間には、前後方向及び左右方向に延在するシート下カバー部材が配置されており、
前記シート下カバー部材は、車幅方向外側から見て、前記吸気口と重ならないように形成されている、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。特に、バッテリパックが搭載された車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能且つ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する電動車両に関する研究開発が行われている。電動車両には、バッテリパックが搭載されており、電動車両は、このバッテリパックに蓄電された電力によって駆動する駆動用モータの動力で走行可能である。
【0003】
特許文献1には、リヤシートの後方にバッテリパックが配置され、リヤシートの下方に吸気ダクトが配置されている車両が開示されている。特許文献1に記載の車両において、吸気ダクトは、後端がリヤシート後方のバッテリパックに接続され、前端がリヤシートの前部に位置しており、前端に前方に向けて開口する開口部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の車両では、吸気ダクトにおいて、リヤシートの前部の開口部からリヤシートの後方まで空気が流れる。そのため、吸気ダクトにおける空気の流路長が長くなってしまう。吸気ダクトにおける空気の流路長が長くなると、バッテリパックに供給する空気の圧損が増大するとともに、製造コスト及び重量が増加する、という課題が生じる。
【0006】
本発明は、吸気ダクトにおける空気の流路長を短くすることができるとともに、車室内前方の空気を吸気口からより確実に、且つ、より多く取り込むことができる車両を提供する。そして、延いてはエネルギーの効率化に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
車室及び前記車室の後部の床面を構成するフロアパネルと、
前記フロアパネルに取り付けられた前後方向に延在するシートレールと、
前記シートレールに前後方向にスライド可能に係合する可動部材と、
前記可動部材に支持されるシートと、
前記シートの後部に配置されたバッテリパックと、
吸気口を有し、前記吸気口から取り入れた空気を前記バッテリパックに供給する吸気ダクトと、
前記フロアパネルから上方に延出するホイールハウスと、を備える車両であって、
前記シートレールは、前記フロアパネルから上方に離隔して前後方向に延在しており、
前記吸気ダクトは、前記シートレールよりも車幅方向内側に設けられており、
前記吸気口は、車幅方向外側を向いており、
前記吸気口は、左右方向から見て、少なくとも一部が上下方向において前記フロアパネルと前記シートレールとの間に位置するように配置されており、
前記ホイールハウスは、上下方向から見て、前後方向に延在する側壁部と、前記側壁部から車幅方向外側に延在するフェンダー部と、を有し、
前記吸気口は、少なくとも一部が前記ホイールハウスの前記側壁部の前端よりも前方に位置するように配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、吸気ダクトにおける空気の流路長を短くすることができるとともに、車室内前方の空気を吸気口からより確実に、且つ、より多く取り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態の車両の車室後部及び荷室を示す平面図である。
【
図3】
図1のシートレール近傍の要部断面図である。
【
図4】後部座席及びシートレール近傍の要部斜視図である。
【
図5】
図1の後部座席近傍の右側方から見た右側面図である。
【
図7】
図1の右後部座席近傍を前方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとし、以下の説明において、前後、左右、上下は、運転者から見た方向に従い、図面に車両の前方をFr、後方をRr、左方をL、右方をR、上方をU、下方をD、として示す。
【0011】
[車両]
図1及び
図2に示すように、本実施形態の車両Vには、二次電池(図示せず)を収容するバッテリパック1が搭載されている。車両Vは、バッテリパック1に蓄電された電力で駆動する駆動用モータ(図示せず)の動力で走行可能な電動車両である。
【0012】
車両VのフロアパネルFは、車室11の床部を構成するフロントフロアパネル部12と、後部座席17下の床部、及び、車室11後部に形成される荷室13の床部を構成するリヤフロアパネル部14と、フロントフロアパネル部12とリヤフロアパネル部14とを段差状に連結するキックアップ部15と、を含む。
【0013】
フロントフロアパネル部12の車幅方向中央部には、前後方向に沿ってセンタートンネル(図示せず)が形成されている。センタートンネルは、フロントフロアパネル部12が上方に凸となるように屈曲しており、下方に台形状のトンネル空間が形成される。このトンネル空間には、内燃機関からの排気を車両Vの後方へ排気する排気管(図示せず)等が配置される。
【0014】
フロントフロアパネル部12の上面には、フロアカーペットCPが敷設されている。
【0015】
荷室13下のリヤフロアパネル部14には、バッテリパック1を収容する収容凹部14aが凹設され、バッテリパック1がこの収容凹部14aに配置される。
【0016】
バッテリパック1は、バッテリモジュール2と、バッテリECU等の制御装置(図示せず)と、冷却ファン等の冷却用部品と、バッテリカバー3と、を備える。バッテリカバー3は、バッテリモジュール2、制御装置、及び、冷却用部品の上部を覆っている。したがって、バッテリモジュール2、制御装置、及び、冷却用部品は、収容凹部14aとバッテリカバー3とに囲まれた空間内部に収容されている。
【0017】
バッテリパック1の右側部には、車室11からバッテリパック1に空気を供給する吸気ダクト4が取り付けられている。バッテリパック1の前部には、バッテリパック1からバッテリパック1の外部の車室11に空気を排出する排気ダクト5が取り付けられている。
【0018】
吸気ダクト4は、バッテリパック1の右側部から右方に向かって延在する。バッテリパック1の右端部には、車室11内に位置して右方を向く吸気口4aが設けられている。吸気ダクト4の詳細については、後述する。
【0019】
排気ダクト5は、バッテリパック1の前部の左右略中央部分から前方に向かって延在する。排気ダクト5の前端部には、車室11内に位置して前方を向く排気口5aが設けられている。
【0020】
車両Vは、後部座席17を備える。後部座席17は、左右に分割されており、左後部座席17Lと右後部座席17Rとを有する。バッテリパック1は、後部座席17の後部に配置されている。
【0021】
リヤフロアパネル部14の前側上部には、前後方向に延在する複数のシートレール16が取り付けられている。本実施形態では、左右方向に並んで4本のシートレール16が取り付けられている。具体的には、シートレール16は、車室11内の左端部近傍に取り付けられた左シートレール16Lと、車室11内の右端部近傍に取り付けられた右シートレール16Rと、車室11内の左右方向略中央部分左側に取り付けられた中央左シートレール16CLと、車室11内の左右方向略中央部分右側に取り付けられた中央右シートレール16CRと、を有する。
【0022】
各シートレール16(左シートレール16L、右シートレール16R、中央左シートレール16CL、中央右シートレール16CR)は、前後方向から見て上部が開口した略矩形状を有している。各シートレール16の上下左右の四隅には、ローラー161が前後方向に所定間隔で並んで複数個配置されている。
【0023】
左シートレール16Lには、左可動部材162Lが前後方向にスライド可能に係合されている。左可動部材162Lは、左シートレール16Lの内部で前後方向に延在し、左シートレール16Lの上下左右の四隅に設けられたローラー161によって前後方向にスライドするスライドフレーム163Lと、スライドフレーム163Lから左シートレール16Lの上部の開口よりも上方に延出し、前後方向に延在する支持フレーム164Lと、を備える。
【0024】
右シートレール16Rには、右可動部材162Rが前後方向にスライド可能に係合されている。右可動部材162Rは、右シートレール16Rの内部で前後方向に延在し、右シートレール16Rの上下左右の四隅に設けられたローラー161によって前後方向にスライドするスライドフレーム163Rと、スライドフレーム163Rから右シートレール16Rの上部の開口よりも上方に延出し、前後方向に延在する支持フレーム164Rと、を備える。
【0025】
中央左シートレール16CLには、中央左可動部材162CLが前後方向にスライド可能に係合されている。中央左可動部材162CLは、中央左シートレール16CLの内部で前後方向に延在し、中央左シートレール16CLの上下左右の四隅に設けられたローラー161によって前後方向にスライドするスライドフレーム163CLと、スライドフレーム163CLから中央左シートレール16CLの上部の開口よりも上方に延出し、前後方向に延在する支持フレーム164CLと、を備える。
【0026】
中央右シートレール16CRには、中央右可動部材162CRが前後方向にスライド可能に係合されている。中央右可動部材162CRは、中央右シートレール16CRの内部で前後方向に延在し、中央右シートレール16CRの上下左右の四隅に設けられたローラー161によって前後方向にスライドするスライドフレーム163CRと、スライドフレーム163CRから中央右シートレール16CRの上部の開口よりも上方に延出し、前後方向に延在する支持フレーム164CRと、を備える。
【0027】
左後部座席17L及び右後部座席17Rはそれぞれ、前後方向及び左右方向に延在し、乗員が着座する着座部171と、着座部171の後端部に位置し、上下方向及び左右方向に延在し、着座部171に着座した乗員の背中を支持する背もたれ部172と、着座部171及び背もたれ部172を支持するシートフレーム173と、を有する。
【0028】
左後部座席17Lのシートフレーム173は、左可動部材162Lと中央左可動部材162CLとに連結している。右後部座席17Rのシートフレーム173は、右可動部材162Rと中央右可動部材162CRとに連結している。
【0029】
このようにして、左後部座席17Lは、左可動部材162Lと中央左可動部材162CLとによって支持されている。右後部座席17Rは、右可動部材162Rと中央右可動部材162CRとによって支持されている。そして、左後部座席17Lは、左可動部材162L及び中央左可動部材162CLとともに、左シートレール16L及び中央左シートレール16CLに沿って前後方向にスライド可能である。右後部座席17Rは、右可動部材162R及び中央右可動部材162CRとともに、右シートレール16R及び中央右シートレール16CRに沿って前後方向にスライド可能である。
【0030】
左可動部材162Lの前端、又は、左後部座席17Lのシートフレーム173の左前端には、前ストラップ174Lが取り付けられている。右可動部材162Rの前端、又は、右後部座席17Rのシートフレーム173の右前端には、前ストラップ174Rが取り付けられている。図示は省略するが、左後部座席17Lの後端には、後ストラップが取り付けられており、右後部座席17Rの後端には、後ストラップが取り付けられている。左後部座席17L及び右後部座席17Rを前方にスライドさせる際、前ストラップ174L、174Rを前方に引っ張って左後部座席17L及び右後部座席17Rを前方にスライドさせてもよい。また、左後部座席17L及び右後部座席17Rを後方にスライドさせる際、後ストラップを後方に引っ張って左後部座席17L及び右後部座席17Rを後方にスライドさせてもよい。
【0031】
左後部座席17Lのシートフレーム173と着座部171との間、及び、右後部座席17Rのシートフレーム173と着座部171との間には、それぞれ、前後方向及び左右方向に延在するシート下カバー部材18が配置されている。左右のシート下カバー部材18は、左後部座席17L及び右後部座席17Rに固定されている。なお、左右のシート下カバー部材18は、左可動部材162Lと中央左可動部材162CL、及び、右可動部材162Rと中央右可動部材162CR、に固定されていてもよいし、左後部座席17L及び左可動部材162Lと中央左可動部材162CL、並びに、右後部座席17R及び右可動部材162Rと中央右可動部材162CR、に固定されていてもよい。左右のシート下カバー部材18は、左後部座席17L及び右後部座席17Rと一体に前後方向にスライドする。
【0032】
そして、左右のシート下カバー部材18によって、左シートレール16Lの左方から右シートレール16Rの右方まで、リヤフロアパネル部14の上方が左右方向に覆われている。
【0033】
図5に示すように、右シートレール16Rは、前ブラケット165R及び後ブラケット166Rを介して、フロアパネルFに固定されている。前ブラケット165R及び後ブラケット166Rは、右シートレール16RとフロアパネルFとの間に介在する。
【0034】
前ブラケット165Rは、フロアパネルFのキックアップ部15に固定されている。後ブラケット166Rは、前ブラケット165Rよりも後方で、フロアパネルFのリヤフロアパネル部14に固定されている。
【0035】
右シートレール16Rは、前部がボルト等の固定部材によって前ブラケット165Rに固定されており、後部がボルト等の固定部材によって後ブラケット166Rに固定されている。
【0036】
右シートレール16Rは、前ブラケット165R及び後ブラケット166Rによって、リヤフロアパネル部14から上方に離隔して前後方向に延在している。なお、右シートレール16Rは、リヤフロアパネル部14から上方に30[mm]以上離隔していることが好ましい。
【0037】
吸気ダクト4は、バッテリパック1の前部の右端部近傍に取り付けられている。吸気ダクト4は、右シートレール16Rよりも車幅方向内側に設けられている。吸気ダクト4は、上下方向よりも水平方向が長い扁平の略角筒形状を有している。吸気ダクト4は、バッテリパック1の前部の右端部近傍から前方に延出する前後方向延在部41と、前後方向延在部41の前端から車幅方向外側(本実施形態では右側)に屈曲して、車幅方向外側に延在する左右方向延在部42と、を有する。左右方向延在部42の右端には、車幅方向外側を向く吸気口4aが設けられている。吸気口4aは、車幅方向外側を向く開口である。
【0038】
これにより、車室11の乗員から視認しにくい位置に吸気ダクト4を配置でき見栄えが向上するとともに、車室11の乗員が吸気ダクト4を踏んでしまうリスクを低減できる。また、吸気ダクト4における空気の流路長を短くでき、バッテリパック1に供給する空気の圧損を低減できる。
【0039】
さらに、吸気口4aは、左右方向から見て、少なくとも一部が上下方向においてリヤフロアパネル部14と右シートレール16Rとの間に位置するように配置されている。
【0040】
右シートレール16Rは、前後方向に延在しているので、リヤフロアパネル部14と右シートレール16Rとの間には、異物が侵入しにくい。したがって、上下方向に離隔したリヤフロアパネル部14と右シートレール16Rとの間から、より確実に吸気口4aから空気を取り込むことができる。
【0041】
また、
図5に示すように、シート下カバー部材18は、車幅方向外側から見て、吸気口4aと重ならないように形成されている。
【0042】
これにより、シート下カバー部材18が妨げになることなく、上下方向に離隔したリヤフロアパネル部14と右シートレール16Rとの間から、より確実に吸気口4aに空気を取り込むことができる。
【0043】
図6に示すように、車両Vは、左右の後輪をそれぞれ収容する左右一対のリヤホイールハウス21を備える。リヤホイールハウス21は、リヤフロアパネル部14のから上方に延出する。リヤホイールハウス21は、リヤフロアパネル部14の車幅方向外側端部から上方に延出し、後輪の車幅方向内側面と対向して前後方向及び上下方向に延在する側壁部211と、側壁部211から車幅方向外側に屈曲し、後輪の上部領域の接地面と対向して側壁部211から車幅方向外側に延在するフェンダー部212と、を備える。
【0044】
本実施形態では、側壁部211の前端部211aにおいて、フェンダー部212は、側壁部211の前端部211aから前方に湾曲又は傾斜して車幅方向外側に延在している。
【0045】
吸気口4aは、少なくとも一部がリヤホイールハウス21の側壁部211の前端部211aよりも前方に位置するように配置されている。
【0046】
したがって、車室11内の前方から後方に向かって流れてフェンダー部212に当たった空気は、フェンダー部212によって車幅方向内側に案内されて吸気口4aに導入される。これにより、カーエアコン等により冷却された車室11内前方の空気を吸気口4aからより多く取り込むことができる。
【0047】
このようにして、吸気ダクト4における空気の流路長を短くすることができるとともに、車室内前方の空気を吸気口4aからより確実に、且つ、より多く取り込むことができる。
【0048】
図6及び
図7に示すように、車両Vは、前後方向及び上下方向に延在し、車室11の側部の内壁を構成する左右一対のボディサイドトリム22をさらに備える。
【0049】
左右のボディサイドトリム22は、フロアパネルFの左右の端部から上方に向かって延在している。
【0050】
ボディサイドトリム22は、上下方向から見て、リヤホイールハウス21の側壁部211の前端部211aにおけるフェンダー部212に沿って、後方に向かうにしたがって車幅方向内側に湾曲又は傾斜している。本実施形態では、ボディサイドトリム22は、湾曲部22aにおいて、リヤホイールハウス21の側壁部211の前端部211aにおけるフェンダー部212に沿って、後方に向かうにしたがって車幅方向内側に湾曲又は傾斜している。
【0051】
これにより、車室11内の前方からボディサイドトリム22に沿って後方に向かって流れる空気は、ボディサイドトリム22の後方に向かうにしたがって車幅方向内側に湾曲又は傾斜している部分によって車幅方向内側に案内されて吸気口4aに導入される。これにより、カーエアコン等により冷却された車室11内前方の空気を吸気口4aからより多く取り込むことができる。
【0052】
また、ボディサイドトリム22は、前後方向から見て、吸気口4aの上方に、車幅方向内側に窪んだ凹部221を有する。したがって、前後方向から見て、凹部221の下方に空間が形成される。
【0053】
これにより、カーエアコン等により冷却された車室11内前方の空気の流路となる空間を確保することができ、カーエアコン等により冷却された車室11内前方の空気を吸気口4aからより多く取り込むことができる。
【0054】
さらに、凹部221は、右後部座席17Rの着座部171と左右方向に対向する位置に設けられ、着座部171に近づくように車幅方向内側に窪んでいる。
【0055】
したがって、右後部座席17Rの着座部171とボディサイドトリム22とが近接するので、右後部座席17Rとボディサイドトリム22との間から凹部221の下方の空間に異物が侵入することを防止できる。これにより、凹部221の下方の空間から、より確実に空気を吸気口4aに取り込むことができる。
【0056】
以上、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0057】
例えば、後部座席17に限定されず、前部座席であってもよい。
【0058】
また、例えば、吸気口4aは、1つに限らず、複数あってもよい。
【0059】
また、例えば、左シートレール16Lが本実施形態における右シートレール16Rと左右対称で略同一な形状を有しており、吸気ダクト4は、左シートレール16Lの車幅方向内側に設けられ、吸気口4aは、左方向を向いていてもよい。このとき、車両Vの左側のボディサイドトリム22は、本実施形態における車両Vの右側のボディサイドトリム22と左右対称で略同一な形状を有していてもよい。
【0060】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を一例として示しているが、これに限定されるものではない。
【0061】
(1) 車室(車室11)及び前記車室の後部の床面を構成するフロアパネル(フロアパネルF)と、
前記フロアパネルに取り付けられた前後方向に延在するシートレール(右シートレール16R)と、
前記シートレールに前後方向にスライド可能に係合する可動部材(右可動部材162R)と、
前記可動部材に支持されるシート(右後部座席17R)と、
前記シートの後部に配置されたバッテリパック(バッテリパック1)と、
吸気口(吸気口4a)を有し、前記吸気口から取り入れた空気を前記バッテリパックに供給する吸気ダクト(吸気ダクト4)と、
前記フロアパネルから上方に延出するホイールハウス(リヤホイールハウス21)と、を備える車両(車両V)であって、
前記シートレールは、前記フロアパネルから上方に離隔して前後方向に延在しており、
前記吸気ダクトは、前記シートレールよりも車幅方向内側に設けられており、
前記吸気口は、車幅方向外側を向いており、
前記吸気口は、左右方向から見て、少なくとも一部が上下方向において前記フロアパネルと前記シートレールとの間に位置するように配置されており、
前記ホイールハウスは、上下方向から見て、前後方向に延在する側壁部(側壁部211)と、前記側壁部から車幅方向外側に延在するフェンダー部(フェンダー部212)と、を有し、
前記吸気口は、少なくとも一部が前記ホイールハウスの前記側壁部の前端よりも前方に位置するように配置されている、
車両。
【0062】
(1)によれば、吸気ダクトにおける空気の流路長を短くすることができるとともに、車室内前方の空気を吸気口からより確実に、且つ、より多く取り込むことができる。
【0063】
(2) (1)に記載の車両であって、
前後方向及び上下方向に延在し、前記車室の側部の内壁を構成するボディサイドトリム(ボディサイドトリム22)をさらに備え、
前記ホイールハウスの前記フェンダー部は、前記側壁部の前端部(前端部211a)において、上下方向から見て前記側壁部の前記前端部から前方に湾曲又は傾斜して車幅方向外側に延在しており、
前記ボディサイドトリムは、上下方向から見て、前記ホイールハウスの前記側壁部の前記前端部における前記フェンダー部に沿って、後方に向かうにしたがって車幅方向内側に湾曲又は傾斜している、
車両。
【0064】
(2)によれば、車室内の前方からボディサイドトリムに沿って後方に向かって流れる空気は、ボディサイドトリムの後方に向かうにしたがって車幅方向内側に湾曲又は傾斜している部分によって車幅方向内側に案内されて吸気口に導入される。これにより、カーエアコン等により冷却された車室内前方の空気を吸気口からより多く取り込むことができる。
【0065】
(3) (1)又は(2)に記載の車両であって、
前後方向及び上下方向に延在し、前記車室の側部の内壁を構成するボディサイドトリム(ボディサイドトリム22)をさらに備え、
前記ボディサイドトリムは、前後方向から見て、前記吸気口の上方に、車幅方向内側に窪んだ凹部(凹部221)を有する、
車両。
【0066】
(3)によれば、凹部の下方に車室内前方の空気の流路となる空間を確保することができ、カーエアコン等により冷却された車室内前方の空気を吸気口からより多く取り込むことができる。
【0067】
(4) (3)に記載の車両であって、
前記シートは、前後方向及び左右方向に延在する着座部(着座部171)を備え、
前記凹部は、前記着座部と左右方向に対向する位置に設けられ、前記着座部に近づくように車幅方向内側に窪んでいる、
車両。
【0068】
(4)によれば、シートの着座部とボディサイドトリムとが近接するので、シートとボディサイドトリムとの間から凹部の下方の空間に異物が侵入することを防止できる。これにより、凹部の下方の空間から、より確実に空気を吸気口に取り込むことができる。
【0069】
(5) (1)に記載の車両であって、
前記シートは、前後方向及び左右方向に延在する着座部(着座部171)を備え、
前記シートレールと前記着座部との間には、前後方向及び左右方向に延在するシート下カバー部材(シート下カバー部材18)が配置されており、
前記シート下カバー部材は、車幅方向外側から見て、前記吸気口と重ならないように形成されている、
車両。
【0070】
(5)によれば、シート下カバー部材が妨げになることなく、上下方向に離隔したフロアパネルとシートレールとの間から、より確実に吸気口に空気を取り込むことができる。
【符号の説明】
【0071】
1 バッテリパック
4 吸気ダクト
4a 吸気口
11 車室
16R 右シートレール(シートレール)
162R 右可動部材(可動部材)
17R 右後部座席(シート)
171 着座部
18 シート下カバー部材
21 リヤホイールハウス(ホイールハウス)
211 側壁部
211a 前端部
212 フェンダー部
22 ボディサイドトリム
221 凹部
F フロアパネル
V 車両