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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129706
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/06 20060101AFI20240919BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240919BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240919BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20240919BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240919BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240919BHJP
   H01M 10/6561 20140101ALI20240919BHJP
   B60N 2/56 20060101ALI20240919BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240919BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20240919BHJP
【FI】
B60K11/06
B60K1/04 Z
H01M50/249
H01M50/271 S
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6561
B60N2/56
H01M50/204 401H
H01M50/35 201
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039073
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 千瑛
(72)【発明者】
【氏名】塩飽 基
(72)【発明者】
【氏名】小松 大悟
(72)【発明者】
【氏名】中島 光輝
【テーマコード(参考)】
3B087
3D038
3D235
5H012
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
3B087DE09
3B087DE10
3D038AA09
3D038AB01
3D038AC02
3D038AC04
3D038AC22
3D235AA02
3D235BB36
3D235BB45
3D235CC15
3D235DD25
3D235FF12
3D235FF37
5H012BB08
5H012CC08
5H031AA09
5H031KK08
5H040AA28
5H040AA31
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY04
(57)【要約】
【課題】排気ダクトから排出された空気によって乗員に不快感を与えることを抑制できる車両を提供する。
【解決手段】車両Vは、フロアパネルFに取り付けられたシートレール16に前後方向にスライド可能に係合された可動部材162に支持される後部座席17と、後部座席17の後方に配置されるバッテリパック1と、前方を向く排気口5aを有し、バッテリパック1の前部に取り付けられる排気ダクト5と、を備える。排気ダクト5と後部座席17の着座部171との間には、シート下カバー部材18が配置されている。シート下カバー部材18の後端18cは、前後方向においてバッテリパック1のバッテリカバー3の前端と後端との間に位置している。シート下カバー部材18の前端部18aは、下方に屈曲しており、シート下カバー部材18の前端18bは、排気ダクト5の排気口5aよりも前方且つ排気ダクト5の排気口5aの上端5bよりも下方に位置している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室及び前記車室の後部の床面を構成するフロアパネルと、
前記フロアパネルに取り付けられた前後方向に延在するシートレールと、
前記シートレールに前後方向にスライド可能に係合された可動部材と、
前記可動部材に支持されるシートと、
前記シートの後方に配置されるバッテリパックと、
前方を向く排気口を有し、前記バッテリパックの前部に取り付けられて、前記バッテリパックから前記バッテリパックの外部に空気を排出する排気ダクトと、を備える車両であって、
前記バッテリパックは、バッテリモジュールと、前記バッテリモジュールの上部を覆うバッテリカバーと、を備え、
前記シートは、前後方向及び左右方向に延在する着座部を備え、
前記排気ダクトと前記着座部との間には、前後方向及び左右方向に延在するシート下カバー部材が配置されており、
前記シート下カバー部材は、前記可動部材及び前記シートの少なくとも一方に固定され、前記可動部材及び前記シートと一体に前後方向にスライドし、
前記シート下カバー部材の後端は、前後方向において前記バッテリカバーの前端と後端との間に位置しており、
前記シート下カバー部材の前端部は、下方に屈曲しており、
前記シート下カバー部材の前端は、前記排気ダクトの前記排気口よりも前方且つ前記排気ダクトの前記排気口の上端よりも下方に位置している、
車両。
【請求項2】
請求項1に記載の車両であって、
前記フロアパネルの上面には、フロアカーペットが敷設されており、
前記シート下カバー部材の前記前端と前記フロアカーペットとの間には隙間が形成されている、
車両。
【請求項3】
請求項2に記載の車両であって、
前記シート下カバー部材の後端と前記バッテリカバーとの上下方向距離は、
前記シート下カバー部材の前記前端と前記フロアカーペットとの上下方向距離よりも短くなっている、
車両。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の車両であって、
前記シート下カバー部材の左端部及び右端部には、下方に屈曲して前後方向及び上下方向に延在する縦壁部が形成されている、
車両。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の車両であって、
前記シート下カバー部材には、前記シート下カバー部材の下面から下方に延出し、上下方向から見て、前記排気ダクトの前記排気口から前方に向かって放射状に延在する複数の整流壁が設けられている、
車両。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。特に、バッテリパックが搭載された車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能且つ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する電動車両に関する研究開発が行われている。電動車両には、バッテリパックが搭載されており、電動車両は、このバッテリパックに蓄電された電力によって駆動する駆動用モータの動力で走行可能である。
【0003】
特許文献1には、リヤシートの後方にバッテリパックが配置され、バッテリパックの後部に排気ダクトが配置されている車両が開示されている。特許文献1に記載の車両において、バッテリパックを冷却して昇温した空気は、排気ダクトからバッテリパックの後方に排出される。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の車両のように、バッテリパックを冷却して昇温した空気を排気ダクトから後部座席の後方、すなわち荷室に排出すると、荷室内の気温が上昇してしまう、という課題がある。特に、車室と車室後方の荷室とが分離区画されている、例えばセダンタイプの車両の場合、一般に荷室は空調されないので、荷室内の気温が上昇してしまうという課題が顕著になる。
【0005】
荷室内の気温が上昇してしまうという課題を解決するための1つの選択肢として、バッテリパックを冷却して昇温した空気を車室に排出することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-30447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、バッテリパックを冷却して昇温した空気を車室に排出すると、排気ダクトから排出された空気によって乗員が不快に感じる場合がある。
【0008】
本発明は、排気ダクトから排出された空気によって乗員に不快感を与えることを抑制できる車両を提供する。そして、延いてはエネルギーの効率化に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
車室及び前記車室の後部の床面を構成するフロアパネルと、
前記フロアパネルに取り付けられた前後方向に延在するシートレールと、
前記シートレールに前後方向にスライド可能に係合された可動部材と、
前記可動部材に支持されるシートと、
前記シートの後方に配置されるバッテリパックと、
前方を向く排気口を有し、前記バッテリパックの前部に取り付けられて、前記バッテリパックから前記バッテリパックの外部に空気を排出する排気ダクトと、を備える車両であって、
前記バッテリパックは、バッテリモジュールと、前記バッテリモジュールの上部を覆うバッテリカバーと、を備え、
前記シートは、前後方向及び左右方向に延在する着座部を備え、
前記排気ダクトと前記着座部との間には、前後方向及び左右方向に延在するシート下カバー部材が配置されており、
前記シート下カバー部材は、前記可動部材及び前記シートの少なくとも一方に固定され、前記可動部材及び前記シートと一体に前後方向にスライドし、
前記シート下カバー部材の後端は、前後方向において前記バッテリカバーの前端と後端との間に位置しており、
前記シート下カバー部材の前端部は、下方に屈曲しており、
前記シート下カバー部材の前端は、前記排気ダクトの前記排気口よりも前方且つ前記排気ダクトの前記排気口の上端よりも下方に位置している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シートに乗員が着座していても、排気ダクトの排気口から排出された空気を、シートに着座した乗員が不快に感じにくい場所に排出することができるので、排気ダクトの排気口から排出された空気によって乗員に不快感を与えることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態の車両の車室後部及び荷室を示す平面図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3図1のシートレール近傍の要部断面図である。
図4】後部座席及びシートレール近傍の要部斜視図である。
図5】シート下カバー部材の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとし、以下の説明において、前後、左右、上下は、運転者から見た方向に従い、図面に車両の前方をFr、後方をRr、左方をL、右方をR、上方をU、下方をD、として示す。
【0013】
[車両]
図1及び図2に示すように、本実施形態の車両Vは、例えばハイブリッド車であり、バッテリモジュール2を収容するバッテリパック1が搭載されている。
【0014】
車両VのフロアパネルFは、車室11の床部を構成するフロントフロアパネル部12と、後部座席17下の床部、及び、車室11後部の荷室13の床部を構成するリヤフロアパネル部14と、フロントフロアパネル部12とリヤフロアパネル部14とを段差状に連結するキックアップ部15と、を含む。
【0015】
フロントフロアパネル部12の車幅方向中央部には、前後方向に沿ってセンタートンネル(図示せず)が形成されている。センタートンネルは、フロントフロアパネル部12が上方に凸となるように屈曲しており、下方に台形状のトンネル空間が形成される。このトンネル空間には、内燃機関からの排気を車両Vの後方へ排気する排気管(図示せず)等が配置される。
【0016】
フロントフロアパネル部12の上面には、フロアカーペットCPが敷設されている。
【0017】
荷室13下のリヤフロアパネル部14には、バッテリパック1を収容する収容凹部14aが凹設され、バッテリパック1がこの収容凹部14aに配置される。
【0018】
バッテリパック1は、バッテリモジュール2と、バッテリECU等の制御装置(図示せず)と、冷却ファン等の冷却用部品(図示せず)と、バッテリカバー3と、を備える。バッテリカバー3は、バッテリモジュール2、制御装置、及び、冷却用部品の上部を覆っている。したがって、バッテリモジュール2、制御装置、及び、冷却用部品は、収容凹部14aとバッテリカバー3とに囲まれた空間内部に収容されている。
【0019】
バッテリパック1の前部の右端部近傍には、車室11からバッテリパック1に空気を供給する吸気ダクト4が取り付けられている。バッテリパック1の前部の左右方向略中央部分には、バッテリパック1からバッテリパック1の外部の車室11に空気を排出する排気ダクト5が取り付けられている。
【0020】
吸気ダクト4は、バッテリパック1の前部の右端部近傍に取り付けられている。吸気ダクト4は、バッテリパック1の前部の右端部近傍から前方に延出し、車幅方向外側(本実施形態では右側)に屈曲している。そして、車幅方向外側(本実施形態では右側)に屈曲した右端には、車幅方向外側を向く吸気口4aが設けられている。吸気口4aは、車幅方向外側を向く開口である。
【0021】
排気ダクト5は、バッテリパック1の前部の左右略中央部分から前方に向かって延在する。排気ダクト5の前端部には、車室11内に位置して前方を向く排気口5aが設けられている。
【0022】
車両Vは、後部座席17を備える。後部座席17は、左右に分割されており、左後部座席17Lと右後部座席17Rとを有する。バッテリパック1は、後部座席17の後部に配置されている。
【0023】
図3及び図4に示すように、リヤフロアパネル部14の前側上部には、前後方向に延在する複数のシートレール16が取り付けられている。本実施形態では、左右方向に並んで4本のシートレール16が取り付けられている。具体的には、シートレール16は、車室11内の左端部近傍に取り付けられた左シートレール16Lと、車室11内の右端部近傍に取り付けられた右シートレール16Rと、車室11内の左右方向略中央部分左側に取り付けられた中央左シートレール16CLと、車室11内の左右方向略中央部分右側に取り付けられた中央右シートレール16CRと、を有する。
【0024】
各シートレール16(左シートレール16L、右シートレール16R、中央左シートレール16CL、中央右シートレール16CR)は、前後方向から見て上部が開口した略矩形状を有している。各シートレール16の上下左右の四隅には、ローラー161が前後方向に所定間隔で並んで複数個配置されている。各シートレール16には、可動部材162が前後方向にスライド可能に係合されている。可動部材162は、左シートレール16Lに係合する左可動部材162L、右シートレール16Rに係合する右可動部材162R、中央左シートレール16CLに係合する中央左可動部材162CL、及び、中央右シートレール16CRに係合する中央右可動部材162CR、を有する。
【0025】
左シートレール16Lには、左可動部材162Lが前後方向にスライド可能に係合されている。左可動部材162Lは、左シートレール16Lの内部で前後方向に延在し、左シートレール16Lの上下左右の四隅に設けられたローラー161によって前後方向にスライドするスライドフレーム163Lと、スライドフレーム163Lから左シートレール16Lの上部の開口よりも上方に延出し、前後方向に延在する支持フレーム164Lと、を備える。
【0026】
右シートレール16Rには、右可動部材162Rが前後方向にスライド可能に係合されている。右可動部材162Rは、右シートレール16Rの内部で前後方向に延在し、右シートレール16Rの上下左右の四隅に設けられたローラー161によって前後方向にスライドするスライドフレーム163Rと、スライドフレーム163Rから右シートレール16Rの上部の開口よりも上方に延出し、前後方向に延在する支持フレーム164Rと、を備える。
【0027】
中央左シートレール16CLには、中央左可動部材162CLが前後方向にスライド可能に係合されている。中央左可動部材162CLは、中央左シートレール16CLの内部で前後方向に延在し、中央左シートレール16CLの上下左右の四隅に設けられたローラー161によって前後方向にスライドするスライドフレーム163CLと、スライドフレーム163CLから中央左シートレール16CLの上部の開口よりも上方に延出し、前後方向に延在する支持フレーム164CLと、を備える。
【0028】
中央右シートレール16CRには、中央右可動部材162CRが前後方向にスライド可能に係合されている。中央右可動部材162CRは、中央右シートレール16CRの内部で前後方向に延在し、中央右シートレール16CRの上下左右の四隅に設けられたローラー161によって前後方向にスライドするスライドフレーム163CRと、スライドフレーム163CRから中央右シートレール16CRの上部の開口よりも上方に延出し、前後方向に延在する支持フレーム164CRと、を備える。
【0029】
左後部座席17L及び右後部座席17Rはそれぞれ、前後方向及び左右方向に延在し、乗員が着座する着座部171と、着座部171の後端部に位置し、上下方向及び左右方向に延在し、着座部171に着座した乗員の背中を支持する背もたれ部172と、着座部171及び背もたれ部172を支持するシートフレーム173と、を有する。
【0030】
左後部座席17Lのシートフレーム173は、左可動部材162Lと中央左可動部材162CLとに連結している。右後部座席17Rのシートフレーム173は、右可動部材162Rと中央右可動部材162CRとに連結している。
【0031】
このようにして、左後部座席17Lは、左可動部材162Lと中央左可動部材162CLとによって支持されている。右後部座席17Rは、右可動部材162Rと中央右可動部材162CRとによって支持されている。そして、左後部座席17Lは、左可動部材162L及び中央左可動部材162CLとともに、左シートレール16L及び中央左シートレール16CLに沿って前後方向にスライド可能である。右後部座席17Rは、右可動部材162R及び中央右可動部材162CRとともに、右シートレール16R及び中央右シートレール16CRに沿って前後方向にスライド可能である。
【0032】
左可動部材162Lの前端、又は、左後部座席17Lのシートフレーム173の左前端には、前ストラップ174Lが取り付けられている。右可動部材162Rの前端、又は、右後部座席17Rのシートフレーム173の右前端には、前ストラップ174Rが取り付けられている。図示は省略するが、左後部座席17Lの後端には、後ストラップが取り付けられており、右後部座席17Rの後端には、後ストラップが取り付けられている。左後部座席17L及び右後部座席17Rを前方にスライドさせる際、前ストラップ174L、174Rを前方に引っ張って左後部座席17L及び右後部座席17Rを前方にスライドさせてもよい。また、左後部座席17L及び右後部座席17Rを後方にスライドさせる際、後ストラップを後方に引っ張って左後部座席17L及び右後部座席17Rを後方にスライドさせてもよい。
【0033】
左後部座席17Lのシートフレーム173と着座部171との間、及び、右後部座席17Rのシートフレーム173と着座部171との間には、それぞれ、前後方向及び左右方向に延在するシート下カバー部材18が配置されている。左右のシート下カバー部材18は、左後部座席17L及び右後部座席17Rに固定されている。なお、左右のシート下カバー部材18は、左可動部材162Lと中央左可動部材162CL、及び、右可動部材162Rと中央右可動部材162CR、に固定されていてもよいし、左後部座席17L及び左可動部材162Lと中央左可動部材162CL、並びに、右後部座席17R及び右可動部材162Rと中央右可動部材162CR、に固定されていてもよい。左右のシート下カバー部材18は、左後部座席17L及び右後部座席17Rと一体に前後方向にスライドする。
【0034】
そして、左右のシート下カバー部材18によって、左シートレール16Lの左方から右シートレール16Rの右方まで、リヤフロアパネル部14の上方が左右方向に覆われている。
【0035】
図2に戻って、シート下カバー部材18は、排気ダクト5と、左右の後部座席17の着座部171との間で、前後方向及び左右方向に延在する。
【0036】
シート下カバー部材18の後端は、前後方向において、バッテリカバー3の前端と後端との間に位置している。
【0037】
シート下カバー部材18の前端部18aは、下方に屈曲しており、シート下カバー部材18の前端18bは、排気ダクト5の排気口5aよりも前方、且つ、排気ダクト5の排気口5aの上端5bよりも下方に位置している。
【0038】
したがって、バッテリパック1を冷却して昇温し、排気ダクト5の排気口5aから排出された空気は、シート下カバー部材18の前端部18aに沿って前方斜め下方に向かって車室11に排出される。よって、後部座席17に乗員が着座していても、排気ダクト5の排気口5aから排出された空気を後部座席17に着座した乗員の足首より低い位置に排出することができる。後部座席17に着座した乗員は、通常、靴等の履物を履いているので、排気ダクト5の排気口5aから排出された空気が当たっても不快に感じにくい。このように、後部座席17に乗員が着座していても、排気ダクト5の排気口5aから排出された空気を、後部座席17に着座した乗員が不快に感じにくい場所に排出することができるので、排気ダクト5の排気口5aから排出された空気によって乗員に不快感を与えることを抑制できる。
【0039】
また、シート下カバー部材18の前端18bとフロアカーペットCPとの間には隙間SPが形成されている。
【0040】
したがって、排気ダクト5の排気口5aから排出された空気は、シート下カバー部材18の前端部18aに沿って、フロアカーペットCPに向かって車室11に排出される。これにより、排気ダクト5の排気口5aから排出された空気を、後部座席17に着座した乗員がより不快に感じにくい場所に排出することができるので、排気ダクト5の排気口5aから排出された空気によって乗員に不快感を与えることをより抑制できる。
【0041】
さらに、シート下カバー部材18の後端18cとバッテリカバー3との上下方向距離Deは、シート下カバー部材18の前端18bとフロアカーペットCPとの上下方向距離Dfよりも短くなっている。
【0042】
そのため、シート下カバー部材18の後端18cとバッテリカバー3との間は、シート下カバー部材18の前端18bとフロアカーペットCPとの間よりも空気の流れ抵抗が大きく、空気が排出されにくい。したがって、排気ダクト5の排気口5aから排出された空気は、シート下カバー部材18の前端18bとフロアカーペットCPとの間から前方に向かってシート下カバー部材18の外部に排出されやすく、シート下カバー部材18の後端18cとバッテリカバー3との間から後方に向かってシート下カバー部材18の外部に排出されにくい。これにより、排気ダクト5の排気口5aから排出された空気をより確実に車室11に排出できる。
【0043】
図4に戻って、シート下カバー部材18の左端部及び右端部には、下方に屈曲して前後方向及び上下方向に延在する縦壁部181が形成されている。
【0044】
したがって、左右の縦壁部181によって、シート下カバー部材18の下方の空気は、シート下カバー部材18の左方及び右方からシート下カバー部材18の外部に排出されにくい。これにより、排気ダクト5の排気口5aから排出された空気をより確実にシート下カバー部材18の前端部18aに沿って前方斜め下方に向かって車室11に排出することができる。
【0045】
また、図1及び図5に示すように、シート下カバー部材18には、シート下カバー部材18の下面から下方に延出し、上下方向から見て、排気ダクト5の排気口5aから前方に向かって放射状に延在する複数の整流壁182が設けられている。
【0046】
排気ダクト5の排気口5aから排出された空気は、排気口5aから直進して車室11に排出されやすい。排気ダクト5の排気口5aから前方に向かって放射状に延在する複数の整流壁182が設けられていることによって、排気ダクト5の排気口5aから排出された空気は、整流壁182に沿って前方に向かって放射状に左右方向に拡散して車室11に排出される。これにより、バッテリパック1を冷却して昇温し、排気ダクト5の排気口5aから排出された空気は、左右方向に拡散して車室11に排出されるので、排気ダクト5の排気口5aから排出された空気によって乗員に不快感を与えることをより抑制できる。
【0047】
以上、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0048】
例えば、後部座席17に限定されず、前部座席であってもよい。
【0049】
また、例えば、後部座席17を支持する支持部材は、シートレール16に限定されず、後部座席17を前後スライド不可に支持する部材であってもよい。
【0050】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を一例として示しているが、これに限定されるものではない。
【0051】
(1) 車室(車室11)及び前記車室の後部の床面を構成するフロアパネル(フロアパネルF)と、
前記フロアパネルに取り付けられた前後方向に延在するシートレール(シートレール16)と、
前記シートレールに前後方向にスライド可能に係合された可動部材(可動部材162)と、
前記可動部材に支持されるシート(後部座席17)と、
前記シートの後方に配置されるバッテリパック(バッテリパック1)と、
前方を向く排気口(排気口5a)を有し、前記バッテリパックの前部に取り付けられて、前記バッテリパックから前記バッテリパックの外部に空気を排出する排気ダクト(排気ダクト5)と、を備える車両(車両V)であって、
前記バッテリパックは、バッテリモジュール(バッテリモジュール2)と、前記バッテリモジュールの上部を覆うバッテリカバー(バッテリカバー3)と、を備え、
前記シートは、前後方向及び左右方向に延在する着座部(着座部171)を備え、
前記排気ダクトと前記着座部との間には、前後方向及び左右方向に延在するシート下カバー部材(シート下カバー部材18)が配置されており、
前記シート下カバー部材は、前記可動部材及び前記シートの少なくとも一方に固定され、前記可動部材及び前記シートと一体に前後方向にスライドし、
前記シート下カバー部材の後端(後端18c)は、前後方向において前記バッテリカバーの前端と後端との間に位置しており、
前記シート下カバー部材の前端部(前端部18a)は、下方に屈曲しており、
前記シート下カバー部材の前端(前端18b)は、前記排気ダクトの前記排気口よりも前方且つ前記排気ダクトの前記排気口の上端(上端5b)よりも下方に位置している、
車両。
【0052】
(1)によれば、シートに乗員が着座していても、排気ダクトの排気口から排出された空気を、シートに着座した乗員が不快に感じにくい場所に排出することができるので、排気ダクトの排気口から排出された空気によって乗員に不快感を与えることを抑制できる。
【0053】
(2) (1)に記載の車両であって、
前記フロアパネルの上面には、フロアカーペット(フロアカーペットCP)が敷設されており、
前記シート下カバー部材の前記前端と前記フロアカーペットとの間には隙間(隙間SP)が形成されている、
車両。
【0054】
(2)によれば、排気ダクトの排気口から排出された空気は、シート下カバー部材の前端部に沿って、フロアカーペットに向かって車室に排出される。これにより、排気ダクトの排気口から排出された空気を、シートに着座した乗員がより不快に感じにくい場所に排出することができる。
【0055】
(3) (2)に記載の車両であって、
前記シート下カバー部材の後端(後端18c)と前記バッテリカバーとの上下方向距離(上下方向距離De)は、
前記シート下カバー部材の前記前端と前記フロアカーペットとの上下方向距離(上下方向距離Df)よりも短くなっている、
車両。
【0056】
(3)によれば、排気ダクトの排気口から排出された空気は、シート下カバー部材の前端とフロアカーペットとの間から前方に向かってシート下カバー部材の外部に排出されやすく、シート下カバー部材の後端とバッテリカバーとの間から後方に向かってシート下カバー部材の外部に排出されにくい。これにより、排気ダクトの排気口から排出された空気をより確実に車室に排出できる。
【0057】
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の車両であって、
前記シート下カバー部材の左端部及び右端部には、下方に屈曲して前後方向及び上下方向に延在する縦壁部(縦壁部181)が形成されている、
車両。
【0058】
(4)によれば、左右の縦壁部によって、シート下カバー部材の下方の空気は、シート下カバー部材の左方及び右方からシート下カバー部材の外部に排出されにくい。これにより、排気ダクトの排気口から排出された空気をより確実にシート下カバー部材の前端部に沿って前方斜め下方に向かって車室に排出することができる。
【0059】
(5) (1)から(3)のいずれかに記載の車両であって、
前記シート下カバー部材には、前記シート下カバー部材の下面から下方に延出し、上下方向から見て、前記排気ダクトの前記排気口から前方に向かって放射状に延在する複数の整流壁(整流壁182)が設けられている、
車両。
【0060】
(5)によれば、排気ダクトの排気口から排出された空気は、整流壁に沿って前方に向かって放射状に左右方向に拡散して車室に排出される。これにより、バッテリパックを冷却して昇温し、排気ダクトの排気口から排出された空気は、左右方向に拡散して車室に排出されるので、排気ダクトの排気口から排出された空気によって乗員に不快感を与えることをより抑制できる。
【符号の説明】
【0061】
1 バッテリパック
2 バッテリモジュール
3 バッテリカバー
5 排気ダクト
5a 排気口
5b 上端
11 車室
16 シートレール
17 後部座席(シート)
171 着座部
18 シート下カバー部材
18a 前端部
18b 前端
18c 後端
181 縦壁部
182 整流壁
CP フロアカーペット
De 上下方向距離
Df 上下方向距離
F フロアパネル
SP 隙間
V 車両

図1
図2
図3
図4
図5