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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129713
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】電力管理システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20240919BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039081
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村松 奈美
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066HA15
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA07
5G066JB03
(57)【要約】
【課題】電気料金の低減を図ることができる電力管理システムを得る。
【解決手段】電力管理システム10は、電力制御装置22が、太陽光発電装置16による発電が制限されている状態から太陽光発電装置16による発電が行われる状態への切替時において建物12内で所定時間内に使用される電力に対して当該所定時間内に太陽光発電装置16で発電される第1電力で不足する電力を、電力料金単価が1日のうちで最も安い第1料金時間帯に、送電施設32からの第2電力で蓄電装置14に予め蓄えさせている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設置されると共に太陽光で発電可能とされ、発電した第1電力を当該建物側に供給可能な太陽光発電装置と、
前記建物に対して設置されると共に前記第1電力及び送電施設から当該建物側に供給された第2電力の一部を蓄積可能な蓄電装置と、
前記太陽光発電装置による発電が制限されているときに前記蓄電装置に蓄積された第3電力を前記建物側に供給させ、当該太陽光発電装置による発電が制限されている状態かつ当該蓄電装置に当該建物側に供給可能な第3電力が残っていない状態であるときに前記第2電力を当該建物側に供給させ、当該太陽光発電装置による発電が制限されている状態から当該太陽光発電装置による発電が行われる状態への切替時において当該建物内で所定時間内に使用される電力に対して当該所定時間内の前記第1電力で不足する電力を電力料金単価が1日のうちで最も安い低料金時間帯に当該第2電力で当該蓄電装置に予め蓄えさせる電力制御装置と、
を有する電力管理システム。
【請求項2】
前記電力制御装置は、前記太陽光発電装置が当該太陽光発電装置による発電が行われる状態に切り替わる第1時刻と前記太陽光発電装置による所定時間当たりの発電量が前記建物内で消費される所定時間当たりの消費電力を上回る第2時刻までの間の始動時間中に前記建物で使用される始動消費電力に対して当該始動時間中に供給される前記第1電力で不足する不足電力量の情報を不足電力量情報として記録し、直近の複数日における不足電力量の平均値を前記低料金時間帯に前記蓄電装置に蓄えさせる電力量として設定可能とされている、
請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項3】
前記電力制御装置は、前記電力料金単価が前記低料金時間帯よりも高い高料金時間帯に前記第1電力の売電を行わせる、
請求項2に記載の電力管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、自然エネルギー併用型蓄電システムに関する発明が開示されている。この自然エネルギー併用型蓄電システムでは、太陽光発電装置による予測発電量と蓄電池の残容量との合算値と、施設内での予測電力需要量とを比較し、予測電力需要量に対する上記合算値の不足分を蓄電池への充電量として算定し、太陽光発電装置及び商用電源から上記充電量分の電力を蓄電池に蓄えている。また、太陽光発電装置による発電ができなくなる夜間において、電気料金が割安となる深夜電力を用いて蓄電池の充電を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-213507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、蓄電池に深夜電力で充電することは、電気料金が割高となる昼間電力で蓄電池に充電するのに比べて電気料金の面において好ましい。しかしながら、電気料金の観点においては、蓄電池への充電が主に太陽光発電装置で発電された電力で行われる方がより好ましい。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の先行技術では、上述したように、太陽光発電装置による発電ができなくなる夜間において深夜電力によって蓄電池の充電が行われる。このため、蓄電池の容量の主な部分が深夜電力で占められて、太陽光発電装置で発電された電力で充電される蓄電池の容量が小さくなることが考えられる。つまり、上記特許文献1に記載の先行技術では、電気料金の低減を図るという点においては改善の余地がある。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、電気料金の低減を図ることができる電力管理システムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る電力管理システムは、建物に設置されると共に太陽光で発電可能とされ、発電した第1電力を当該建物側に供給可能な太陽光発電装置と、前記建物に対して設置されると共に前記第1電力及び送電施設から当該建物側に供給された第2電力の一部を蓄積可能な蓄電装置と、前記太陽光発電装置による発電が制限されているときに前記蓄電装置に蓄積された第3電力を前記建物側に供給させ、当該太陽光発電装置による発電が制限されている状態かつ当該蓄電装置に当該建物側に供給可能な第3電力が残っていない状態であるときに前記第2電力を当該建物側に供給させ、当該太陽光発電装置による発電が制限されている状態から当該太陽光発電装置による発電が行われる状態への切替時において当該建物内で所定時間内に使用される電力に対して当該所定時間内の前記第1電力で不足する電力を電力料金単価が1日のうちで最も安い低料金時間帯に当該第2電力で当該蓄電装置に予め蓄えさせる電力制御装置と、を有している。
【0008】
第1の態様に係る電力管理システムでは、建物に太陽光で発電可能とされた太陽光発電装置が設置されており、この太陽光発電装置で発電された第1電力は、建物側に供給される。
【0009】
また、本態様では、建物に対して蓄電装置が設置されており、この蓄電装置には、太陽光発電装置で発電された第1電力及び送電施設から建物側に供給された第2電力の一部が蓄積される。
【0010】
さらに、本態様では、電力制御装置を備えており、この電力制御装置は、夜間等太陽光発電装置による発電が制限されているときに蓄電装置に蓄積された第3電力を建物側に供給させる。また、本態様では、太陽光発電装置による発電が制限されている状態かつ蓄電装置に建物側に供給可能な第3電力が残っていない状態であるときに送電施設から第2電力を建物側に供給させる。
【0011】
ところで、太陽光発電装置による発電が制限される夜間等に蓄電装置に建物側に供給可能な第3電力が残っていない状態において、例えば深夜電力によって蓄電装置の充電が行われることは、料金が割高となる昼間電力で蓄電装置に充電するのに比べて料金の面において好ましい。しかしながら、電気料金の観点においては、蓄電装置への充電が主に太陽光発電装置で発電された第1電力で行われる方がより好ましい。
【0012】
すなわち、蓄電装置において、その容量の主な部分が第2電力で占められて、この容量のうち太陽光発電装置で発電された第1電力で充電される容量が小さくなることは、電気料金の観点においては好ましくない。
【0013】
ここで、本態様では、電力制御装置が、太陽光発電装置による発電が制限されている状態から太陽光発電装置による発電が行われる状態への切替時において建物内で所定時間内に使用される電力に対して当該所定時間内に太陽光発電装置で発電される第1電力で不足する電力を、電力料金単価が1日のうちで最も安い低料金時間帯に、送電施設からの第2電力で蓄電装置に予め蓄えさせている。
【0014】
このため、本態様では、朝等の太陽光発電装置による発電が制限されている状態から太陽光発電装置による発電が行われる状態への切替時において建物内で不足する電力のみを送電施設からの第2電力で蓄電装置に蓄えておくことができる。その結果、蓄電装置に太陽光発電装置による第1電力で充電可能な容量を確保することができる。
【0015】
第2の態様に係る電力管理システムは、第1の態様に係る電力管理システムにおいて、前記電力制御装置は、前記太陽光発電装置が当該太陽光発電装置による発電が行われる状態に切り替わる第1時刻と前記太陽光発電装置による所定時間当たりの発電量が前記建物内で消費される所定時間当たりの消費電力を上回る第2時刻までの間の始動時間中に前記建物で使用される始動消費電力に対して当該始動時間中に供給される前記第1電力で不足する不足電力量の情報を不足電力量情報として記録し、直近の複数日における不足電力量の平均値を前記低料金時間帯に前記蓄電装置に蓄えさせる電力量として設定可能とされている。
【0016】
第2の態様に係る電力管理システムでは、電力制御装置が、太陽光発電装置が当該太陽光発電装置による発電が行われる状態に切り替わる第1時刻と太陽光発電装置による所定時間当たりの発電量が建物内で消費される所定時間当たりの消費電力を上回る第2時刻までの間の始動時間中に建物で使用される始動消費電力に対して始動時間中に供給される太陽光発電装置による第1電力で不足する不足電力量の情報を不足電力量情報として記録する。そして、電力制御装置は、直近の複数日における不足電力量の平均値を低料金時間帯に蓄電装置に蓄えさせる電力量として設定する。
【0017】
第3の態様に係る電力管理システムは、第2の態様に係る電力管理システムにおいて、前記電力制御装置は、前記電力料金単価が前記低料金時間帯よりも高い高料金時間帯に前記第1電力の売電を行わせる。
【0018】
第3の態様に係る電力管理システムでは、電力制御装置が、電力料金単価が低料金時間帯よりも高い高料金時間帯に、太陽光発電装置で発電された第1電力の売電を行わせる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、第1の態様に係る電力管理システムでは、電気料金の低減を図ることができるという優れた効果を有する。
【0020】
第2の態様に係る電力管理システムでは、太陽光発電装置の始動時間中に建物内で不足する電力量を把握し、低料金時間帯に送電施設からの第2電力で蓄電装置に予め蓄えさせる電力量の設定の精度を高めることができるという優れた効果を有する。
【0021】
第3の態様に係る電力管理システムでは、電気料金の低減を図りつつ、売電による収益の増加を図ることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係る電力管理システムの構成を模式的に示す概略図である。
図2】本実施形態に係る電力管理システムにおいて電力制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る電力管理システムにおける電力制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態に係る電力管理システムにおいて建物側に供給される電力とその用途を示すグラフである。
図5】本実施形態に係る電力管理システムにおいて送電施設から供給される電力の電力量料金単価と供給される時間帯との関係を示す説明図である。
図6】本実施形態に係る電力管理システムにおいて端末による蓄電装置の充電率の設定操作を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1図6を用いて、本発明に係る電力管理システムの実施形態の一例について説明する。図1に示されるように、本実施形態に係る「電力管理システム10」は、「建物12」に配置された各種機器及び建物12の敷地内に設置された「蓄電装置14」を備えている。
【0024】
具体的には、建物12に配置された電力管理システム10の一部を構成する機器としては、建物12に設置された「太陽光発電装置16」及び分電装置18が挙げられる。
【0025】
太陽光発電装置16は、建物12の屋根面に設置されると共に、太陽光が照射されることで発電可能とされている。そして、太陽光発電装置16で発電された電力は、分電装置18を介して、蓄電装置14及び建物12内の複数の負荷20に供給されるようになっている。なお、負荷20としては、種々の家電機器等が挙げられる。
【0026】
一方、分電装置18は、「電力制御装置22」、計測部24、切替部26、電力変換部28及び分電盤30を備えている。
【0027】
電力制御装置22は、図2に示されるように、CPU(Central Processing Unit)22A、ROM(Read Only Memory)22B、RAM(Random Access Memory)22C、ストレージ22D、通信I/F(Inter Face)22E及び入出力I/F22Fを含んで構成されている。そして、CPU22A、ROM22B、RAM22C、ストレージ22D、通信I/F22E及び入出力I/F22Fは、バス22Gを介して相互に通信可能に接続されている。
【0028】
CPU22Aは、中央演算処理ユニットとされており、各種プログラムの実行によって各種機器を制御し、電力管理システム10における電力の流れを制御可能とされている。具体的には、CPU22Aは、ROM22Aからプログラムを読み出し、RAM22Cを作業領域としてプログラムを実行可能とされている。そして、ROM22Aに記憶された実行プログラムが、CPU22Aで読み出されて実行されることで、電力制御装置22は、後述するように、種々の機能を発揮することが可能となっている。
【0029】
ストレージ22Dは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)を含んで構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム及び各種データが記憶されている。また、ストレージ22Dには、計測部24による計測結果や通信I/F22Eを介して取得した各種情報等が記憶されるようになっている。
【0030】
通信I/F22Eは、電力制御装置22とネットワークとの接続に用いられるインターフェースとされており、図示しないデータサーバ等と通信することが可能とされている。このインターフェースには、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格が用いられる。また、通信I/F22Eは、無線装置を備えていてもよい。
【0031】
入出力I/F22Fは、電力制御装置22が、計測部24、切替部26及び電力変換部28と通信するためのインターフェースとされている。
【0032】
計測部24は、太陽光発電装置16で発電された電力、分電盤30を介して建物12内の複数の負荷20で消費される電力、蓄電装置14に蓄積されている電力、分電盤30に建物12の外部に設置された「送電施設32」から供給される電力及び分電盤30から送電施設32に供給される電力を所定時間毎(一例として10分毎)に計測し、これらの計測結果を計測信号として電力制御装置22に送信可能とされている。
【0033】
なお、計測部24は、分電盤30と送電施設32との間に介在する図示しない買電メータから送信される買電電力に基づく信号から送電施設32から建物12側に供給される電力を計測している。また、計測部24は、分電盤30と送電施設32との間に介在する図示しない売電メータから送信される売電電力に基づく信号から送電施設32に建物12側から供給される電力を計測している。
【0034】
切替部26は、分電盤30に対して設けられると共に、図示しない複数のリレーを含んで構成されている。この切替部26は、電力制御装置22による制御に基づいて、太陽光発電装置16と負荷20との接続状態、太陽光発電装置16と蓄電装置14との接続状態、太陽光発電装置16と送電施設32との接続状態、蓄電装置14と負荷20との接続状態、蓄電装置14と送電施設32との接続状態及び送電施設32と負荷20との接続状態を切り替え可能とされている。
【0035】
電力変換部28は、太陽光発電装置16から供給された直流電力を蓄電装置14に供給可能な直流電力に変換可能な図示しないDC/DCコンバータと、太陽光発電装置16や蓄電装置14から供給された直流電力を負荷20及び送電施設32側に供給可能な交流電力に変換可能な図示しないインバータと、送電施設32から供給された交流電力を蓄電装置14に供給可能な直流電力に変換可能な図示しないAC/DCコンバータとを備えている。
【0036】
分電盤30は、太陽光発電装置16、蓄電装置14、負荷20及び送電施設32に直接又は機器を介して電気的に接続されており、これらの間の電力の授受を仲介している。
【0037】
図1に戻り、蓄電装置14は、図示しない複数のバッテリモジュールを含んで構成されており、切替部26及び電力変換部28を介して太陽光発電装置16及び送電施設32から供給された電力を蓄積可能とされている。また、蓄電装置14に蓄積された電力は、太陽光発電装置16が発電できない状態等において、電力変換部28及び分電盤30を介して各負荷20に供給されるようになっている。
【0038】
次に、図3を用いて、電力制御装置22の機能構成について説明する。電力制御装置22は、CPU22AがROM22Bに記憶された実行プログラムを読み出し、これを実行することによって、通信部34、電力状況情報生成部36及び充放電切替部38の集合体として機能する。
【0039】
通信部34は、ネットワークを介してデータサーバと通信可能とされており、図1にも示されるように、データサーバから気象情報、日の出時刻及び日の入り時刻等の情報を取得して、電力状況情報生成部36に送信するようになっている。
【0040】
また、通信部34は、データサーバから、図5に示されるような、送電施設32から供給される電力の電力量料金単価と供給される時間帯との相関関係を示す電力料金データを取得して、充放電切替部38に送信可能とされている。
【0041】
電力状況情報生成部36は、計測部24から送信される計測信号に基づいて蓄電装置14に蓄積されている電力残量情報、太陽光発電装置16の発電状態を示す発電状況情報及び建物12内での消費電力を示す電力消費状況情報を取得して、充放電切替部38に送信可能とされている。
【0042】
また、電力状況情報生成部36は、計測部24による計測結果に基づき、太陽光発電装置16が太陽光発電装置16による発電が行われる状態(以下、発電可能状態と称する)に切り替わる第1時刻と太陽光発電装置16による所定時間当たりの発電量が建物12内で消費される所定時間当たりの消費電力を上回る第2時刻までの間の始動時間中に建物12で使用される始動消費電力に対して始動時間中に供給される太陽光発電装置16による電力で不足する不足電力量の情報を不足電力量情報として記録している。
【0043】
ここで、図4には、建物12の1日の電力の授受の推移の一例が、建物12に対して供給される電力が正の値とされると共に、建物12で消費又は建物12から放出される電力が負の値とされて示されている。
【0044】
そして、図4に示される1日では建物12において、8時台において宅内消費電量に対して太陽光発電装置16による電力が不足しており、後述するように、不足した電力(図4のE1部分)は、蓄電装置14に蓄えられた電力で賄われている。
【0045】
このとき、電力状況情報生成部36には、例えば、太陽光発電装置16が発電可能状態に切り替わる第1時刻が8時20分として記録されると共に、太陽光発電装置16による電力が建物12内で消費される所定時間当たりの消費電力を上回る第2時刻が8時40分として記録される。また、電力状況情報生成部36には、8時20分から8時40分の間に蓄電装置14から建物12に供給された電力の電力量が不足電力量として記録される。
【0046】
そして、電力状況情報生成部36は、直近の複数日(例えば、前日から1週間前まで)の上記不足電力量の平均値を不足電力量情報として充放電切替部38に送信するようになっている。なお、電力状況情報生成部36は、上記不足電力量の最大値を不足電力量情報として充放電切替部38に送信してもよい。
【0047】
なお、電力状況情報生成部36は、通信部34から取得した気象情報、日の出時刻及び日の入り時刻等の情報を含む種々の情報を不足電力量推定モデルに入力することで、上記不足電力量情報を推定する構成とされていてもよい。
【0048】
ここでいう不足電力量推定モデルは、一例として、建物12において、複数日の気象情報、日の出時刻及び日の入り時刻及び不足電力量のデータの組を教師データとして用いて、リカレントニューラルネットワーク等の既知の機械学習の手法に従って学習された機械学習済みモデルとされている。
【0049】
充放電切替部38は、電力状況情報生成部36から取得した発電状況情報、電力消費状況情報、電力料金データ及び不足電力量情報に基づいて種々の判定を行って、太陽光発電装置16と負荷20とが接続されている第1接続状態と、太陽光発電装置16と蓄電装置14とが接続されている第2接続状態と、太陽光発電装置16と送電施設32とが接続されている第3接続状態と、蓄電装置14と負荷20とが接続されている第4接続状態と、送電施設32と負荷20とが接続されている第5接続状態と、送電施設32と蓄電装置14とが接続されている第6接続状態とを切り替えることが可能とされている。
【0050】
詳しくは、図4に示されるように、充放電切替部38は、太陽光発電装置16で発電されていると判定した場合、切替部26を制御することで第1接続状態に移行させて、太陽光発電装置16で発電された電力を負荷20に供給させる。
【0051】
また、第1接続状態において、充放電切替部38は、太陽光発電装置16で発電された電力が余剰電力となっている場合かつ蓄電装置14に蓄えられた電力が所定の電力量以下の場合、切替部26を制御することで間欠的に第2接続状態に移行させて、蓄電装置14を充電する。
【0052】
さらに、第1接続状態において、充放電切替部38は、太陽光発電装置16で発電された電力が余剰電力となっている場合かつ蓄電装置14に蓄えられた電力が所定の電力量よりも多い場合において、電力料金単価が最も高い第3料金時間帯(図5参照)では、切替部26を制御することで間欠的に第3接続状態に移行させる。すなわち、この状態では、太陽光発電装置16で発電された電力の売電が行われる。
【0053】
なお、この場合において、電力料金単価が最も低い第1料金時間帯よりも電力料金単価が高くかつ第3料金時間帯よりも電力料金単価が低い第2料金時間帯(図5参照)であるとき、充放電切替部38は、切替部26を制御することで間欠的に第2接続状態に移行させて、蓄電装置14を充電する。
【0054】
一方、充放電切替部38は、太陽光発電装置16で発電されていないと判定した場合かつ蓄電装置14に蓄えられた電力が所定の電力量よりも多い場合において、切替部26を制御することで第4接続状態に移行させて、蓄電装置14に蓄えられた電力を負荷20に供給させる。
【0055】
また、充放電切替部38は、太陽光発電装置16で発電されていないと判定した場合かつ蓄電装置14に蓄えられた電力が所定の電力量よりも少ない場合において、切替部26を制御することで第5接続状態に移行させて、送電施設32からの電力を負荷20に供給させる。
【0056】
また、この場合において、第1料金時間帯であるとき、充放電切替部38は、切替部26を制御することで間欠的に第6接続状態に移行させて、上記不足電力量を充足する電力を蓄電装置14に蓄えさせる(図4のE2部分)。
【0057】
また、本実施形態では、所定のアプリケーションソフトウェアがインストールされた端末40の操作画面40A上において、蓄電装置14に蓄えられる予備電力に対応する最低充電率がマークM1で示されており、この最低充電率に上記不足電力量が加味された推奨充電率がラインL1で表示されており、蓄電装置14の最高充電率がマークM2で示されている。そして、建物12の居住者は、操作画面40A上において、マークM1を動かすことで蓄電装置14の最低充電率の設定を行うことが可能とされており、マークM2を動かすことで蓄電装置14の最高充電率を設定することが可能とされている。
【0058】
<本実施形態の作用及び効果>
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0059】
本実施形態では、図1に示されるように、建物12に太陽光で発電可能とされた太陽光発電装置16が設置されており、この太陽光発電装置16で発電された電力(以下、第1電力と称する)は、建物12側に供給される。
【0060】
また、本実施形態では、建物12に対して蓄電装置14が設置されており、この蓄電装置14には、太陽光発電装置16で発電された第1電力及び送電施設32から建物12側に供給された電力(以下、第2電力と称する)の一部が蓄積される。
【0061】
さらに、本実施形態では、電力制御装置22を備えており、この電力制御装置22は、夜間等太陽光発電装置16による発電が制限されているときに蓄電装置14に蓄積された電力(以下、第3電力と称する)を建物12側に供給させる。また、本実施形態では、太陽光発電装置16による発電が制限されている状態かつ蓄電装置14に建物12側に供給可能な第3電力が残っていない状態であるときに送電施設32から第2電力を建物12側に供給させる。
【0062】
ところで、太陽光発電装置16による発電が制限される夜間等に蓄電装置14に建物12側に供給可能な第3電力が残っていない状態において、例えば深夜電力によって蓄電装置14の充電が行われることは、料金が割高となる昼間電力で蓄電装置14に充電するのに比べて料金の面において好ましい。しかしながら、電気料金の観点においては、蓄電装置14への充電が主に太陽光発電装置16で発電された第1電力で行われる方がより好ましい。
【0063】
すなわち、蓄電装置14において、その容量の主な部分が第2電力で占められて、この容量のうち太陽光発電装置16で発電された第1電力で充電される容量が小さくなることは、電気料金の観点においては好ましくない。
【0064】
ここで、本実施形態では、図4及び図5に示されるように、電力制御装置22が、太陽光発電装置16による発電が制限されている状態から太陽光発電装置16による発電が行われる状態への切替時において建物12内で所定時間内に使用される電力に対して当該所定時間内に太陽光発電装置16で発電される第1電力で不足する電力を、電力料金単価が1日のうちで最も安い第1料金時間帯に、送電施設32からの第2電力で蓄電装置14に予め蓄えさせている。
【0065】
このため、本実施形態では、朝等の太陽光発電装置16による発電が制限されている状態から太陽光発電装置16による発電が行われる状態への切替時において建物12内で不足する電力のみを送電施設32からの第2電力で蓄電装置14に蓄えておくことができる。その結果、蓄電装置14に太陽光発電装置16による第1電力で充電可能な容量を確保することができる。したがって、本実施形態では、電気料金の低減を図ることができる。
【0066】
また、本実施形態では、電力制御装置22が、太陽光発電装置16が発電可能状態に切り替わる第1時刻と太陽光発電装置16による所定時間当たりの発電量が建物12内で消費される所定時間当たりの消費電力を上回る第2時刻までの間の始動時間中に建物12で使用される始動消費電力に対して始動時間中に供給される第1電力で不足する不足電力量の情報を不足電力量情報として記録する。そして、電力制御装置22は、直近の複数日における不足電力量の平均値を第1料金時間帯に蓄電装置14に蓄えさせる電力量として設定する。
【0067】
このため、本実施形態では、太陽光発電装置16の始動時間中に建物12内で不足する電力量を把握し、第1料金時間帯に送電施設32からの第2電力で蓄電装置14に予め蓄えさせる電力量の設定の精度を高めることができる。
【0068】
加えて、本実施形態では、電力制御装置22が、電力料金単価が第1料金時間帯よりも高い第3料金時間帯に、太陽光発電装置16で発電された第1電力の売電を行わせる。このため、本実施形態では、電気料金の低減を図りつつ、売電による収益の増加を図ることができる。
【0069】
<上記実施形態の補足説明>
(1) 上述した実施形態では、建物12の種類について特定されていないが、建物12は、住宅であってもよいし、公民館等の共用施設であってもよいし、ホテル等の宿泊施設であってもよい。
【0070】
(2) また、上述した実施形態では、建物12側からの売電が第3料金時間帯に行われていたが、建物12側からの売電は、第2料金時間帯に行われてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10 電力管理システム
12 建物
14 蓄電装置
16 太陽光発電装置
22 電力制御装置
32 送電施設
図1
図2
図3
図4
図5
図6