(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129717
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】乗客コンベア乗車制御装置
(51)【国際特許分類】
B66B 29/00 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
B66B29/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039086
(22)【出願日】2023-03-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-17
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】大脇 裕之
(72)【発明者】
【氏名】張 燕莉
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA04
3F321EA01
3F321EB07
3F321EC06
3F321GA35
(57)【要約】
【課題】ベビーカーなどの所定の運搬物体を運搬している利用者の乗車をより確実に防止することができる乗客コンベア乗車制御装置を提供する。
【解決手段】乗客コンベア乗車制御装置(10)は、乗客コンベア(1)の乗込口領域(R1)に設けられるゲート(30)と、利用者が運搬している運搬物体(T)を検出する運搬物体検出部(20)と、乗込口領域(R1)および該乗込口領域(R1)に近接する乗込口前領域(R2)の少なくともいずれか一方において、運搬物体検出部(20)によって運搬物体(T)が検出された場合に、ゲート(30)を閉じる制御を行うゲート制御部(112)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアの乗込口領域に設けられるゲートと、
利用者が運搬している所定の運搬物体を検出する運搬物体検出部と、
前記乗込口領域および該乗込口領域に近接する乗込口前領域の少なくともいずれか一方において、前記運搬物体検出部によって前記運搬物体が検出された場合に、前記ゲートを閉じる制御を行う制御部と、を備える乗客コンベア乗車制御装置。
【請求項2】
前記ゲートは、該ゲートが閉じられた状態において、利用者が通行可能な間隙が設けられている、請求項1に記載の乗客コンベア乗車制御装置。
【請求項3】
前記ゲートのゲート部材が開閉する領域を含むゲート開閉領域に存在する物体を検出するゲート近傍物体検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記ゲート近傍物体検出部によって前記物体が検出された場合に、前記ゲートの前記ゲート部材が閉じる速度を低下させる、請求項1に記載の乗客コンベア乗車制御装置。
【請求項4】
前記ゲートは、鉛直方向の軸を中心にゲート部材が回転する構造であり、
前記ゲート部材が、前記乗客コンベアの移動ステップ側に回転した状態が開位置であり、前記ゲート部材が、該開位置から、前記移動ステップとは反対側に回転することによって閉位置に変位する、請求項1に記載の乗客コンベア乗車制御装置。
【請求項5】
前記閉位置から前記開位置に変位するときの前記ゲート部材の最外周部の速度は、前記乗客コンベアの前記移動ステップの移動速度よりも遅い、請求項4に記載の乗客コンベア乗車制御装置。
【請求項6】
前記ゲートは、前記ゲート部材を回転させるトルクを発生させるモータと、前記トルクを、所定のトルク値を上限として前記ゲート部材に伝達するトルクヒンジと、を備える、請求項4に記載の乗客コンベア乗車制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乗客コンベア乗車制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレータにおいて、通常はベビーカーやショッピングカートを搬送することは禁止されている。例えば特許文献1には、乗客がショッピングカート或いはベビーカーとともにエスカレータに乗り込もうとしている場合に、乗客に対して注意を促す音声メッセージを乗り口側の乗降口近傍に設置されたスピーカから出力させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、音声メッセージが出力されるだけでは、該音声メッセージに気が付かずにベビーカーなどをエスカレータに乗車させてしまう利用者が発生することが考えられる。これを防止するために、ベビーカーなどを検出した場合にエスカレータの運転を停止する制御を行うことも考えられるが、エスカレータに乗車中の利用者も停止させてしまうことになるという問題や、他の利用者のエスカレータ利用も止めてしまうという問題がある。
【0005】
本発明の一態様は、例えばベビーカーなどの所定の運搬物体を運搬している利用者の乗車をより確実に防止することができる乗客コンベア乗車制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る乗客コンベア乗車制御装置は、乗客コンベアの乗込口領域に設けられるゲートと、利用者が運搬している所定の運搬物体を検出する運搬物体検出部と、前記乗込口領域および該乗込口領域に近接する乗込口前領域の少なくともいずれか一方において、前記運搬物体検出部によって前記運搬物体が検出された場合に、前記ゲートを閉じる制御を行う制御部と、を備える。
【0007】
上記の構成によれば、利用者が所定の運搬物体を運搬して乗客コンベアに乗車しようとしている場合には、乗込口領域に設けられているゲートが閉じられる。よって、所定の運搬物体を運搬している利用者の乗車をより確実に防止することができる。
【0008】
本発明の他の態様に係る乗客コンベア乗車制御装置では、前記ゲートは、該ゲートが閉じられた状態において、利用者が通行可能な間隙が設けられていてもよい。
【0009】
上記の構成によれば、所定の運搬物体が検出されてゲートが閉じられた場合でも、利用者は間隙を通って乗車することができる。よって、通常の利用者の乗車が必要以上に制限されることを防止することができる。
【0010】
本発明の他の態様に係る乗客コンベア乗車制御装置では、前記ゲートのゲート部材が開閉する領域を含むゲート開閉領域に存在する物体を検出するゲート近傍物体検出部をさらに備え、前記制御部は、前記ゲート近傍物体検出部によって前記物体が検出された場合に、前記ゲートの前記ゲート部材が閉じる速度を低下させてもよい。
【0011】
上記の構成によれば、ゲート開閉領域に物体が存在する場合には、ゲートのゲート部材が閉じる速度が低下するので、例えば利用者が通過中にゲートが閉じられた場合でも、利用者に対する衝撃を緩和することができる。
【0012】
本発明の他の態様に係る乗客コンベア乗車制御装置では、前記ゲートは、鉛直方向の軸を中心にゲート部材が回転する構造であり、前記ゲート部材が、前記乗客コンベアの移動ステップ側に回転した状態が開位置であり、前記ゲート部材が、該開位置から、前記移動ステップとは反対側に回転することによって閉位置に変位してもよい。
【0013】
例えばゲート部材が上に回転することで開位置となる構成の場合、ゲート部材が視界を遮ったり、利用者の通行空間と手すりとの間にゲート部材が配置したりする不具合が生じる。これに対して、上記の構成によれば、このような不具合が発生することがない。また、例えばゲート部材を床面の下に格納するような構造の場合には、乗込口領域の改造工事が必要となるが、上記の構成によれば、このような工事も不要となる。また、ゲートが閉じる際には、乗客コンベアに乗車しようとしている利用者に対して、前方向からゲート部材が移動するため、利用者はゲート部材の動きを認識しやすい。よって、ゲートが閉じる際の利用者の安全性を高めることができる。
【0014】
本発明の他の態様に係る乗客コンベア乗車制御装置では、前記閉位置から前記開位置に変位するときの前記ゲート部材の最外周部の速度は、前記乗客コンベアの前記移動ステップの移動速度よりも遅くてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、利用者が移動ステップに乗って移動する速度よりも遅い速度でゲートが開位置に変位するため、ゲートによって移動ステップに乗車中の利用者が押されたり、挟まれたりすることを抑制することができる。
【0016】
本発明の他の態様に係る乗客コンベア乗車制御装置では、前記ゲートは、前記ゲート部材を回転させるトルクを発生させるモータと、前記トルクを、所定のトルク値を上限として前記ゲート部材に伝達するトルクヒンジと、を備えていてもよい。
【0017】
利用者や運搬物体がゲート部材に接触するような状況となった場合、モータとゲート部材とが完全に固定されていると、モータに負荷が加わったり、固定部分が壊れたりする可能性が考えられる。これに対して、上記の構成によれば、上記のような状況となった場合でも、モータや固定部分の破壊や損傷などを防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様によれば、例えばベビーカーなどの所定の運搬物体を運搬している利用者の乗車をより確実に防止することができる乗客コンベア乗車制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態1に係る乗客コンベア乗車制御装置の機能ブロック図である。
【
図2】上記乗客コンベア乗車制御装置が設置された乗客コンベアの模式図である。
【
図3】乗客コンベアにおいてゲートが開かれた状態および閉じられた状態を示す斜視図である。
【
図4】上記乗客コンベア乗車制御装置の斜視図である。
【
図6】上記乗客コンベア乗車制御装置の構造を説明するための斜視図である。
【
図7】上記乗客コンベア乗車制御装置の基本動作の例を説明する図である。
【
図8】上記乗客コンベア乗車制御装置の基本動作の他の例を説明する図である。
【
図9】上記乗客コンベア乗車制御装置における各信号に対するモータの動作の例について説明する図である。
【
図10】上記乗客コンベア乗車制御装置における各信号に対するモータの動作の他の例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔実施形態〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。ただし、以下の説明は本発明に係る乗客コンベア乗車制御装置10の一例であり、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではない。
【0021】
<乗客コンベア乗車制御装置の概要>
図1は、本発明の実施形態1に係る乗客コンベア乗車制御装置10の機能ブロック図である。
図2は、乗客コンベア乗車制御装置10が設置された乗客コンベア1の模式図である。乗客コンベア乗車制御装置10は、
図2に示す乗込口領域R1および乗込口前領域R2の少なくともいずれか一方において、運搬物体検出部20によって運搬物体Tが検出された場合に、乗込口領域R1に設けられているゲート30を閉じる。これにより、乗客コンベア乗車制御装置10は、ベビーカー等の所定の運搬物体Tを運搬して乗客コンベア1に乗車しようとしている利用者が乗客コンベア1に乗車することを確実に防止する。
【0022】
〔乗客コンベア乗車制御装置〕
図1に示すように、乗客コンベア乗車制御装置10は、制御部11と、運搬物体検出部20と、ゲート30と、ゲート近傍物体検出部40と、を備えている。
【0023】
制御部11は、乗客コンベア乗車制御装置10の各部を統括的に制御する。制御部11の機能は、記憶部(図示無)に記憶されたプログラムを、CPU(Central Processing Unit)が実行することで実現されてよい。制御部11は運搬物体検出部20およびゲート近傍物体検出部40の検出結果に基づきゲート30の動作を制御する。制御部11の詳細については後述する。
【0024】
(運搬物体検出部)
運搬物体検出部20は、利用者が運搬している所定の運搬物体Tを検出する。運搬物体検出部20は、乗込口領域R1(
図2参照)および該乗込口領域R1に近接する乗込口前領域R2の運搬物体Tを検出する。
【0025】
運搬物体Tは、荷物または乳幼児を運搬する運搬車であり、例えば、ベビーカー、カート、台車、車椅子またはキャリーケース等である。運搬物体検出部20は、例えば、乗客コンベア1の乗込口領域R1および乗込口前領域R2を含む領域を撮影可能なカメラ(図示無)により撮影された撮影画像に対して画像認識処理を行うことにより、運搬物体Tを検出してもよい。運搬物体検出部20における運搬物体Tの検出は、例えば、所定時間毎に行われてもよい。
【0026】
図2に示すように、上述の乗込口領域R1は、一対のハンドレール3間における、移動ステップ2の端部2aから乗車口Eまでの範囲の領域である。上述の乗込口前領域R2は、乗込口領域R1に対して、利用者の進行方向D1とは反対側に近接する領域である。進行方向D1に平行な方向における乗込口前領域R2の長さ、および、進行方向D1に垂直な方向における乗込口前領域R2の幅は、利用者が乗客コンベア1に乗車する意思が高いと想定される範囲により、任意に設定することができる。
【0027】
ここで、乗客コンベア1について説明する。
図3の3001はゲート30が開かれた状態を示す斜視図であり、
図3の3002はゲート30が閉じられた状態を示す斜視図である。
図3に示すように、乗客コンベア1は、移動ステップ2、ハンドレール3および欄干パネル4を備えている。移動ステップ2は、複数の踏段(ステップ)が無端状に連結されたもので、進行方向D1に向かって循環駆動される。ハンドレール3は、可撓性を有する無端状で、移動ステップ2と連動して循環駆動される。欄干パネル4は、下辺部がトラスに支持され、ハンドレール3を循環移動可能に支持する。ハンドレール3および欄干パネル4は、通路の左右に通路に沿って一対設けられる。また、
図2に示すように、ハンドレール3の進行方向反対側の端部3a間が、乗車口Eとなる。
【0028】
(ゲート)
図4は、乗客コンベア乗車制御装置10の斜視図である。
図4に示すように、ゲート30は、ゲート部材31と、ゲート支持体32と、トルクヒンジ33と、吸着部34と、を備えている。ゲート30は乗客コンベア1の乗込口領域R1において、乗客コンベア1の通路の両側に設けられている(
図2参照)。
【0029】
〔吸着部〕
吸着部34は、ゲート部材31を支持するゲート支持体32の上部および下部に設けられている。ゲート30は、吸着部34により欄干パネル4の内側(移動ステップ2側)に取り付けられる。吸着部34の欄干パネル4への取り付け方法は特に限定されないが、例えば、真空吸盤により吸着されてもよい。なお、ゲート30は上記に限らず、例えば、ゲート支持体32が乗客コンベア1の下部から突出するように設置されていてもよい。
【0030】
〔ゲート部材〕
図4に示すように、ゲート部材31は、板状であり、後述する鉛直方向の回転軸38(
図6参照)を中心にゲート部材31が回転する構造である。また、
図2および
図3に示すように、ゲート部材31が、乗客コンベア1の移動ステップ2側に回転した状態が開位置P1であり、ゲート部材31は、該開位置P1から、移動ステップ2とは反対側に回転することによって閉位置P2に変位する。
【0031】
開位置P1は、ゲート部材31がゲート支持体32より移動ステップ2側に位置し、ハンドレール3に沿って進行方向D1と略平行になる位置である。閉位置P2は、ゲート部材31が進行方向D1に対して略垂直となり、ゲート部材31の面が進行方向D1を進む利用者に対向する位置である。これにより、ゲート部材31が閉位置P2となることで、運搬物体Tを運搬している利用者のゲート30の通過を防止することができる。
【0032】
ゲート部材31は、板状に限らず、枠状または棒状であってもよい。さらに、棒状のゲート部材31が踏切遮断棒方式で開閉されるものであってもよく、乗込口領域R1の中央部の下部から支柱が出てくるものであってもよい。また、乗車口Eよりも手前側において、ゲート部材31が進行方向D1の両側からスライドして開閉が行われるものであってもよい。
【0033】
しかしながら、例えば踏切の遮断棒のように、ゲート部材31が上に回転することで開位置となる構成の場合、上に回転した状態のゲート部材31が視界を遮ったり、利用者の通行空間と手すりとの間に、上に回転した状態のゲート部材31が配置されたりする不具合が生じる。
【0034】
これに対して、本実施形態の構成では、ゲート部材31は開位置P1から、移動ステップ2とは反対側に回転することによって閉位置P2に変位するため、このような不具合が発生することがない。また、例えばゲート部材31を床面の下に格納するような構造の場合には、乗込口領域R1の床面下の改造工事が必要となるが、そのような工事も不要となる。また、ゲート30が閉じる際には、乗客コンベア1に乗車しようとしている利用者に対して、視線が向いている前方向からゲート部材31が移動するため、利用者はゲート部材31の動きを認識しやすい。よって、ゲート30が閉じる際の利用者の安全性を高めることができる。
【0035】
ゲート部材31は、透明であってもよく、水平方向に白色のライン35が付されていてもよい。ゲート部材31を透明にすることでゲート部材31の圧迫感を和らげることができる。また、ゲート部材31にライン35を付すことで、ゲート部材31が閉じられている状態を利用者が容易に視認することが可能となる。
【0036】
また、
図2および
図3の3002に示すように、ゲート30は、閉じられた状態(ゲート部材31が閉位置P2となる状態)において、利用者が通行可能な間隙Gが設けられている。これによりゲート30が閉じられた場合でも、利用者は間隙Gを通って乗客コンベア1に乗車することができる。よって、通常の利用者の乗客コンベア1への乗車が必要以上に制限されることを防止することができる。
【0037】
「利用者が通行可能」な間隙Gは、乗客コンベア1の移動ステップ2の一般的な幅の半分以下であることが好ましい。また別の観点から言えば、間隙Gは、利用者は通り抜けることが可能であるが、所定の運搬物体Tは通り抜けることができない程度の幅であることが好ましい。具体的には、間隙Gが最も狭い部分における水平方向の幅は300mm以上400mm以下であることが好ましい。例えば、移動ステップ2の幅が1000mm程度であった場合、ゲート部材31の水平方向の長さL1は、300mm程度であることが好ましい。
【0038】
図5は、ゲート部材31の高さを説明する図である。
図5に示すように、ゲート部材31は、例えば、ゲート部材31の下端部31aが運搬物体Tとしてのベビーカーのガード部T1より低い位置になるように欄干パネル4にゲート30を設置されることが好ましい。これにより、ガード部T1があるベビーカーの場合は、ベビーカーに乗っている赤ちゃんにゲート部材31が当たることを防ぐことができる。
【0039】
〔ゲート支持体〕
図6は、乗客コンベア乗車制御装置10の構造を説明するための斜視図であり、ゲート支持体32内部を示したものである。
図6に示すように、ゲート支持体32は、支持部材36と、モータ37と、回転軸38と、を有している。
【0040】
支持部材36は、モータ37および回転軸38を介して、ゲート部材31を支持する。モータ37は、ゲート部材31を回転させるトルクを発生させる。
【0041】
モータ37は、ゲート部材31が開位置P1にいる状態では非通電状態となる。また、モータ37には、非通電状態でゲート部材31の回転にブレーキがかかるブレーキ機構が設けられている。
【0042】
ゲート部材31が開位置P1にいる状態で、運搬物体検出部20により運搬物体Tが検出されると、モータ37に通電されるともに、ブレーキ機構にも通電され、ブレーキ機構によるブレーキが解除される。そして、モータ37はゲート部材31を回転させるトルクを発生させ、ゲート部材31を閉位置P2まで回転させる。モータ37は、回転軸38およびトルクヒンジ33を介して、トルクをゲート部材31に伝達することで、ゲート部材31を回転させる。
【0043】
ゲート部材31を開位置P1から閉位置P2に回転させると、モータ37への通電が停止されるとともに、ブレーキ機構も非通電状態となることによりゲート部材31の回転にブレーキがかかり、ゲート部材31は閉位置P2で固定される。ゲート部材31が閉位置P2にいる状態で運搬物体検出部20による運搬物体Tの検出がなくなると、モータ37に通電されるともに、ブレーキ機構にも通電される。これにより、ブレーキ機構によるブレーキが解除され、モータ37はゲート部材31を逆回転させるトルクを発生させ、ゲート部材31を開位置P1まで回転させる。
【0044】
〔トルクヒンジ〕
トルクヒンジ33は、モータ37が発生させたトルクを、所定のトルク値を上限としてゲート部材31に伝達する。
【0045】
利用者や運搬物体Tがゲート部材31に接触するような状況となった場合、モータ37とゲート部材31とが完全に固定されていると、モータ37に負荷が加わったり、固定部分が壊れたりする可能性が考えられる。これに対して、トルクヒンジ33を設けることで、上記のような状況となった場合でも、トルクヒンジ33の軸331で回転し、モータ37や固定部分の破壊や損傷などを防止することができる。
【0046】
また、本実施形態では、トルクヒンジ33として、両方向スプリング蝶番を採用している。そのため、
図4に示すように、トルクヒンジ33の軸331は軸331aおよび軸331bの2軸を有し、軸331aおよび軸331bは、ゲート部材31の高さ方向に沿って、ゲート部材31の厚み方向に略平行に配置されている。
【0047】
トルクヒンジ33により、ゲート部材31に対して表面312から裏面313に向かう方向に所定以上の力がかかると、移動ステップ2とは反対側に配置されている軸331aを支点にゲート部材31が回転する。ここで、表面312は、ゲート部材31が閉位置P2の状態において、移動ステップ2側のゲート部材31の面であり、裏面313は、ゲート部材31の表面312の反対側の面である。また、ゲート部材31に対して裏面313から表面312に向かう方向に所定以上の力がかかると、移動ステップ2側に配置されている軸331bを支点にゲート部材31が回転する。
【0048】
これにより、利用者や運搬物体Tが、ゲート部材31に対して逆走等により移動ステップ2側から接触しても、乗車口E側から接触しても、モータ37や固定部分の破壊や損傷などを防止することができる。
【0049】
利用者のゲート部材31への接触等のゲート部材31への外力が除去されると、ゲート部材31はトルクヒンジ33により、外力が加わる前のゲート部材31の位置に戻る。ゲート30は、運搬物体Tの乗込口領域R1の通過の抑制を主目的とするため、所定のトルク値としては、例えば、20Nm以上50Nm以下とすることが好ましい。
【0050】
なお、ゲート部材31は乗客コンベア1の通路の両側に配置されていなくてもよく、間隙Gが確保されるように片側のみに取り付けられていてもよい。これにより、ゲート30が閉じている状態でゲート30を通過した利用者とハンドレール3との距離が近くなるため、乗客コンベア1に乗車時の利用者の安全を確保できる。
【0051】
(ゲート近傍物体検出部)
ゲート近傍物体検出部40は、ゲート30のゲート部材31が開閉する領域を含むゲート開閉領域R3(
図2参照)に存在する物体を検出する。
【0052】
ゲート近傍物体検出部40として、乗客コンベア1の通路の両側に設けられたゲート支持体32間を通過する物体を検知する光電センサを用いてもよく、カメラの撮影画像による画像認識処理により、物体を検出してもよい。ゲート近傍物体検出部40として光電センサを用いる場合、
図4および
図6に示すように、ゲート近傍物体検出部40はゲート支持体32の内部に設置されていてもよい。
【0053】
〔制御部の構成〕
制御部11は、情報取得部111と、ゲート制御部112と、を備えている。情報取得部111は、制御部11で行う処理に必要な情報を取得する。具体的には、情報取得部111は、運搬物体検出部20からの運搬物体Tの検出信号(第1検出信号)、および、ゲート近傍物体検出部40の物体の検出信号(第2検出信号)を取得する。
【0054】
ゲート制御部112(制御部)は、乗込口領域R1および該乗込口領域R1に近接する乗込口前領域R2の少なくともいずれか一方において、運搬物体検出部20によって運搬物体Tが検出された場合に、ゲート30を閉じる制御を行う。
【0055】
これにより、利用者が所定の運搬物体Tを運搬して乗客コンベア1に乗車しようとしている場合には、乗込口領域R1に設けられているゲート30が閉じられる。よって、所定の運搬物体Tを運搬している利用者の乗車をより確実に防止することができる。
【0056】
ゲート制御部112は、閉位置P2から開位置P1に変位するときのゲート部材31の最外周部311(
図6参照)の進行方向D1の速度V1が、乗客コンベア1の移動ステップ2の移動速度よりも遅くなるように制御する。速度V1は、ゲート部材31の質量を考慮し、ゲート制御部112と人とが接触した際の衝撃力が、人が痛みを伴う感覚を抱く衝撃力以下となるように設定することが望ましい。
【0057】
例えば、ゲート部材31の移動ステップ2の幅方向の長さL1が300mmであれば、ゲート制御部112は、ゲート部材31の角速度をπ/6[rad/s]以下とすることができる。ゲート部材31がπ/6[rad/s]の角速度で回転する場合、ゲート部材31が閉位置P2から開位置P1に回転する際の、ゲート部材31の最外周部311の進行方向D1の速度V1は、300[mm]×π/6[rad/s]≒157[mm/s]となる。
【0058】
一方、利用者の歩行速度を3km/h、移動ステップ2の速度を30m/minとすると、単位秒あたりの利用者の速度は約0.8m/s、単位秒あたりの乗客コンベア1の速度は0.5m/sとなる。したがって、ゲート部材31の角速度をπ/6[rad/s]以下とすることで、利用者が歩いている場合、および、乗客コンベア1に乗っている場合のいずれにおいても、ゲート部材31が利用者に当たることなく、安全にゲート部材31を閉位置P2から開位置P1に回転させることができる。
【0059】
これにより、利用者が歩く速度、および、移動ステップ2に乗って移動する速度よりも遅い速度でゲート30が閉位置P2から開位置P1に変位する。そのため、ゲート30によって、歩いている利用者が後ろから押されたり、移動ステップ2に乗車中の利用者が後ろから押されたり、挟まれたりすることを抑制することができる。
【0060】
ゲート制御部112は、開位置P1から閉位置P2に変位するときのゲート部材31の最外周部311の速度V2を、速度V1と同様に衝撃力を考慮して制御する。
【0061】
また、ゲート制御部112は、ゲート近傍物体検出部40によって物体が検出された場合に、ゲート30のゲート部材31が閉じる速度を低下させる。これにより、ゲート開閉領域R3に物体が存在する場合には、ゲート30のゲート部材31が閉じる速度が低下するので、例えば利用者が通過中にゲート30が閉じられた場合でも、利用者に対する衝撃を緩和することができる。
【0062】
(乗客コンベア乗車制御装置の基本動作)
図7の7001は、通常時の乗客コンベア乗車制御装置10の動作を示す図である。ゲート部材31が開位置P1にあり、運搬物体検出部20が運搬物体Tを検出しない間は、乗客コンベア乗車制御装置10は、ゲート部材31を開位置P1で維持する。
【0063】
ゲート部材31が開位置P1にあり、運搬物体検出部20が運搬物体Tを検出しない間、モータ37は非通電状態であり、モータ37にブレーキがかかるためゲート部材31は開位置P1で固定される。
【0064】
ゲート部材31は開位置P1で固定されている間に、利用者がゲート部材31に触れるなどしてゲート部材31に外力がかかった場合であっても、トルクヒンジ33により該外力を逃がすことができる。これにより、該外力がモータ37に伝達することを防ぐことができ、モータ37は所定位置(ゲート部材31を開位置P1とする位置)を維持することができる。
【0065】
図7の7002は、運搬物体検出部20が運搬物体Tを検出した場合の乗客コンベア乗車制御装置10の動作を示す図である。ゲート部材31が開位置P1にあり、運搬物体検出部20が運搬物体Tを検出すると、モータ37に通電され、モータ37のブレーキが解除されるためモータ37が回転し、ゲート部材31が開位置P1から閉位置P2に回転される。ゲート部材31が閉位置P2まで回転すると、モータ37への通電は停止され、モータ37にブレーキがかかる。
【0066】
ゲート部材31の開位置P1から閉位置P2への回転経路に障害物があり、障害物がゲート部材31に触れるなどしてゲート部材31に外力がかかった場合であっても、トルクヒンジ33により該外力を逃がすことができる。これにより、モータ37は該外力の影響を受けずに所定位置(ゲート部材31を閉位置P2とする位置)まで回転することができる。障害物がなくなると、ゲート部材31はトルクヒンジ33によりモータ37によって支持される位置(例えば閉位置P2)まで戻る。
【0067】
また、ゲート部材31の開位置P1から閉位置P2への回転中に、トラブル等によりモータ37への通電が停止した場合、モータ37にブレーキがかかり、ゲート部材31は開位置P1から閉位置P2への回転途中で停止する。その場合であっても、トルクヒンジ33の軸331を中心にしてゲート部材31を回転させることができるので、例えば、利用者はゲート部材31を押して通過することが可能となる。
【0068】
図8の8001は、運搬物体検出部20による運搬物体Tの検出が継続している場合の乗客コンベア乗車制御装置10の動作を示す図である。ゲート部材31が閉位置P2にあり、ゲート部材31が開位置P1にある状態において検出された、運搬物体検出部20による運搬物体Tの検出が継続している場合、乗客コンベア乗車制御装置10は、ゲート部材31を閉位置P2で維持する。
【0069】
ゲート部材31が閉位置P2に位置し、運搬物体検出部20による運搬物体Tの検出が継続している間は、モータ37の非通電状態が維持され、モータ37にブレーキがかかる。そのため、ゲート部材31は閉位置P2の位置が維持される。
【0070】
ゲート部材31が閉位置P2に位置し、運搬物体検出部20による運搬物体Tの検出が継続している間に、ゲート部材31が利用者等に無理に押し開けられてゲート部材31に外力がかかった場合であっても、トルクヒンジ33により該外力を逃がすことができる。これにより、該外力がモータ37に伝達することを防ぐことができ、モータ37は所定位置(ゲート部材31を閉位置P2とする位置)を維持することができる。
【0071】
図8の8002は、運搬物体検出部20により運搬物体Tが検出されなくなった場合の乗客コンベア乗車制御装置10の動作を示す図である。ゲート部材31が閉位置P2にあり、運搬物体検出部20により運搬物体Tが検出されなくなった場合、乗客コンベア乗車制御装置10は、ゲート部材31を閉位置P2から開位置P1に回転させる。
【0072】
運搬物体検出部20が運搬物体Tを検出すると、モータ37に通電され、モータ37のブレーキが解除されてモータ37が逆回転し、ゲート部材31は閉位置P2から開位置P1に回転される。
【0073】
ゲート部材31の閉位置P2から開位置P1への回転経路に障害物があり、障害物がゲート部材31に触れるなどしてゲート部材31に外力がかかった場合であっても、トルクヒンジ33により該外力を逃がすことができる。これにより、モータ37は該外力の影響を受けずにゲート部材31を開位置P1とする位置まで回転させることができる。障害物がなくなると、ゲート部材31はトルクヒンジ33によりモータ37の現在位置(例えば開位置P1)まで戻る。
【0074】
また、ゲート部材31の閉位置P2から開位置P1への回転中に、トラブル等によりモータ37への通電が停止した場合、モータ37にブレーキがかかり、ゲート部材31は閉位置P2から開位置P1への回転途中で停止する。その場合であっても、トルクヒンジ33の軸331を中心にしてゲート部材31を回転させることができるので、例えば、利用者はゲート部材31を押して通過することが可能となる。
【0075】
(各信号に対する乗客コンベア乗車制御装置の動作)
図9の9001は、ゲート開閉領域R3に利用者がおらず、運搬物体検出部20により乗込口領域R1および乗込口前領域R2の少なくともいずれか一方において、運搬物体Tが検出された場合(以降、単に運搬物体Tが検出された場合と記載する)の乗客コンベア乗車制御装置10の動作を示す。
【0076】
情報取得部111が運搬物体検出部20から運搬物体Tの検出信号である第1検出信号を受信すると、ゲート制御部112はモータ37に通電してモータ37を回転させ、ゲート部材31を開位置P1から閉位置P2に回転させる。ゲート部材31が閉位置P2まで回転すると、ゲート制御部112はモータ37への通電を停止し、モータ37にブレーキをかける。
【0077】
運搬物体検出部20からの第1検出信号の受信がなくなると、ゲート制御部112は再度モータ37に通電してモータ37を逆回転させ、ゲート部材31を閉位置P2から開位置P1に回転させる。ゲート部材31が開位置P1まで回転すると、ゲート制御部112はモータ37への通電を停止し、モータ37にブレーキをかける。
【0078】
図9の9002は、ゲート開閉領域R3に利用者が存在している状態で、運搬物体検出部20により運搬物体Tが検出された場合の乗客コンベア乗車制御装置10の動作を示す。
【0079】
情報取得部111によりゲート近傍物体検出部40から利用者(物体)の検出信号である第2検知信号を受信している状態で、運搬物体検出部20からの第1検出信号を受信すると、ゲート制御部112はモータ37に通電して通常より低下させた速度でモータ37を回転させ、ゲート部材31を開位置P1から閉位置P2に回転させる。ゲート部材31が閉位置P2まで回転すると、ゲート制御部112はモータ37への通電を停止し、モータ37にブレーキをかける。
【0080】
ゲート近傍物体検出部40からの第2検出信号の受信がなくなり、運搬物体検出部20からの第1検出信号の受信がなくなると、ゲート制御部112は再度モータ37に通電してモータ37を通常の速度で逆回転させ、ゲート部材31を閉位置P2から開位置P1に回転させる。ゲート部材31が開位置P1まで回転すると、ゲート制御部112はモータ37への通電を停止し、モータ37にブレーキをかける。
【0081】
図9の9003は、運搬物体検出部20により運搬物体Tが検出され、ゲート部材31の開位置P1から閉位置P2への回転中に、ゲート開閉領域R3で利用者が検出された場合の乗客コンベア乗車制御装置10の動作を示す。
【0082】
情報取得部111が運搬物体検出部20からの第1検出信号を受信すると、ゲート制御部112は、モータ37に通電してゲート部材31を開位置P1から閉位置P2に回転させるようモータ37を通常の速度で回転させる。ゲート部材31の開位置P1から閉位置P2への回転中に、情報取得部111がゲート近傍物体検出部40からの第2検出信号を受信すると、ゲート制御部112は、モータ37の速度を低下させ、ゲート部材31を閉位置P2まで回転させる。ゲート部材31が閉位置P2まで回転すると、ゲート制御部112はモータ37への通電を停止し、モータ37にブレーキをかける。
【0083】
ゲート近傍物体検出部40からの第2検出信号の受信がなくなり、運搬物体検出部20からの第1検出信号の受信がなくなると、ゲート制御部112は再度モータ37に通電してモータ37を通常の速度で逆回転させ、ゲート部材31を閉位置P2から開位置P1に回転させる。ゲート部材31が開位置P1まで回転すると、ゲート制御部112はモータ37への通電を停止し、モータ37にブレーキをかける。
【0084】
図9の9004は、運搬物体検出部20により運搬物体Tが検出され、ゲート部材31が開位置P1から閉位置P2に回転した状態で、ゲート開閉領域R3で利用者が検出された場合の乗客コンベア乗車制御装置10の動作を示す。
【0085】
情報取得部111が運搬物体検出部20からの第1検出信号を受信すると、ゲート制御部112はモータ37に通電してモータ37を回転させ、ゲート部材31を開位置P1から閉位置P2に回転させる。ゲート部材31が閉位置P2まで回転すると、ゲート制御部112はモータ37への通電を停止し、モータ37にブレーキをかける。
【0086】
ゲート部材31が閉位置P2の状態で、情報取得部111がゲート近傍物体検出部40からの第2検出信号を受信しても、ゲート制御部112は、ゲート部材31の閉位置P2の状態を維持する。
【0087】
ゲート近傍物体検出部40からの第2検出信号の受信がなくなり、運搬物体検出部20からの第1検出信号の受信がなくなると、ゲート制御部112は再度モータ37に通電してモータ37を通常の速度で逆回転させ、ゲート部材31を閉位置P2から開位置P1に回転させる。ゲート部材31が開位置P1まで回転すると、ゲート制御部112はモータ37への通電を停止し、モータ37にブレーキをかける。
【0088】
図10の1001は、運搬物体検出部20により運搬物体Tが検出され、ゲート部材31が開位置P1から閉位置P2に回転中に、運搬物体検出部20により運搬物体Tが検出されなくなった場合の乗客コンベア乗車制御装置10の動作を示す。
【0089】
情報取得部111が運搬物体検出部20からの第1検出信号を受信すると、ゲート制御部112はモータ37に通電してモータ37を回転させ、ゲート部材31を開位置P1から閉位置P2に回転させる。ゲート部材31が開位置P1から閉位置P2に回転中に、運搬物体検出部20からの第1検出信号の受信がなくなると、その位置からゲート制御部112はモータ37を逆回転させ、ゲート部材31を開位置P1へと回転させる。ゲート部材31が開位置P1まで回転すると、ゲート制御部112はモータ37への通電を停止し、モータ37にブレーキをかける。
【0090】
図10の1002は、ゲート開閉領域R3に利用者が存在している状態で、運搬物体検出部20により運搬物体Tが検出され、ゲート部材31が開位置P1から閉位置P2に回転中に、運搬物体検出部20により運搬物体Tが検出されなくなった場合の乗客コンベア乗車制御装置10の動作を示す。
【0091】
情報取得部111がゲート近傍物体検出部40からの第2検出信号を受信している状態で、運搬物体検出部20からの第1検出信号を受信すると、ゲート制御部112はモータ37に通電して通常より低下させた速度でモータ37を回転させ、ゲート部材31を開位置P1から閉位置P2に回転させる。
【0092】
ゲート部材31が開位置P1から閉位置P2に回転中に、ゲート近傍物体検出部40からの第2検出信号の受信がなくなり、運搬物体検出部20からの第1検出信号の受信がなくなると、その位置からゲート制御部112はモータ37を通常の速度で逆回転させ、ゲート部材31を開位置P1に回転させる。ゲート部材31が開位置P1まで回転すると、ゲート制御部112はモータ37への通電を停止し、モータ37にブレーキをかける。
【0093】
図10の1003は、ゲート開閉領域R3に利用者が存在している状態で、運搬物体検出部20により運搬物体Tが検出され、運搬物体検出部20により運搬物体Tが検出されている間、ゲート開閉領域R3で複数人の利用者が検出された場合の乗客コンベア乗車制御装置10の動作を示す。
【0094】
情報取得部111によりゲート近傍物体検出部40からの第2検出信号を受信している状態で、運搬物体検出部20からの第1検出信号を受信すると、ゲート制御部112はモータ37に通電して通常より低下させた速度でモータ37を回転させ、ゲート部材31を開位置P1から閉位置P2に回転させる。ゲート部材31が閉位置P2まで回転すると、ゲート制御部112はモータ37への通電を停止し、モータ37にブレーキをかける。
【0095】
ゲート部材31が閉位置P2の状態で、情報取得部111がゲート近傍物体検出部40からの第2検出信号を複数回受信しても、ゲート制御部112は、ゲート部材31の閉位置P2の状態を維持する。
【0096】
運搬物体検出部20からの第1検出信号の受信がなくなると、ゲート近傍物体検出部40からの第2検出信号の受信があっても、ゲート制御部112は再度モータ37に通電しモータ37を通常の速度で逆回転させ、ゲート部材31を閉位置P2から開位置P1に回転させる。ゲート部材31が開位置P1まで回転すると、ゲート制御部112はモータ37への通電を停止し、モータ37にブレーキをかける。
【0097】
また、乗客コンベア乗車制御装置10では、ベビーカーなどの所定の運搬物体Tを運搬している利用者の乗車をより確実に防止することができるため、利用者が安全に利用できるような乗客コンベア1の運転を行うことができる。そのため、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標11の「包摂的で安全かつ強靭で持続可能な都市および人間居住を実現する」等の達成にも貢献するものである。
【0098】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0099】
1 乗客コンベア
2 移動ステップ
10 乗客コンベア乗車制御装置
20 運搬物体検出部
30 ゲート
31 ゲート部材
33 トルクヒンジ
37 モータ
38 回転軸(軸)
40 ゲート近傍物体検出部
112 ゲート制御部(制御部)
311 最外周部
G 間隙
P1 開位置
P2 閉位置
R1 乗込口領域
R2 乗込口前領域
R3 ゲート開閉領域
T 運搬物体