(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012972
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】カード試験システム及びカード試験装置
(51)【国際特許分類】
H04L 43/50 20220101AFI20240124BHJP
H04L 12/28 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
H04L43/50
H04L12/28 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114846
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸 祐介
(72)【発明者】
【氏名】花手 知寿
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033AA05
5K033DA11
5K033DB20
5K033EA03
(57)【要約】
【課題】デイジーチェーン接続されたスレーブカードに対する試験の効率を向上すること。
【解決手段】カード試験システム1において、マスタカード11及びスレーブカード30A,30B,30C,30Dの各々が接続切替器40A,40B,40C,40Dの各々を介してデイジーチェーン接続され、カード試験装置10は、スレーブカード30A,30B,30C,30Dの何れかに故障が発生したと判定したときに、故障が発生したスレーブカードである故障カードと故障カードの前段のスレーブカードとの間にある接続切替器である第一切替器の接続状態と、故障カードと故障カードの後段のスレーブカードとの間にある接続切替器である第二切替器の接続状態とを切り替えて、第一切替器と第二切替器とを故障カードを介さずに接続することにより、故障カードをデイジーチェーン接続から除外する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタカードを有するカード試験装置と、
複数のスレーブカードと、
複数の接続切替器と、
を具備し、
前記マスタカード及び前記複数のスレーブカードの各々が前記複数の接続切替器の各々を介してデイジーチェーン接続され、
前記カード試験装置は、前記複数のスレーブカードの何れかに故障が発生したと判定したときに、故障が発生したスレーブカードである故障カードと前記故障カードの前段のスレーブカードとの間にある前記接続切替器である第一切替器の接続状態と、前記故障カードと前記故障カードの後段のスレーブカードとの間にある前記接続切替器である第二切替器の接続状態とを切り替えて、前記第一切替器と前記第二切替器とを前記故障カードを介さずに接続することにより、前記故障カードを前記デイジーチェーン接続から除外する、
カード試験システム。
【請求項2】
前記複数のスレーブカードの各々は、CPUとメモリとを有し、
前記複数のスレーブカードの何れかに前記CPUの故障または前記メモリの故障に起因する故障が発生したか否かを判定する判定ユニット、をさらに具備し、
前記カード試験装置は、前記判定ユニットによって前記複数のスレーブカードの何れかに故障が発生したと判定されたときに、故障が発生したスレーブカードである前記故障カードと前記第一切替器の接続状態と、前記故障カードと前記第二切替器の接続状態とを切り替えて、前記第一切替器と前記第二切替器とを前記故障カードを介さずに接続することにより、前記故障カードを前記デイジーチェーン接続から除外する、
請求項1に記載のカード試験システム。
【請求項3】
前記カード試験装置による前記スレーブカードの故障の判定を行う前に、前記判定ユニットによる前記スレーブカードの故障の判定を行う、
請求項2に記載のカード試験システム。
【請求項4】
マスタカード及び複数のスレーブカードの各々が複数の接続切替器の各々を介してデイジーチェーン接続されるカード試験システムに使用されるカード試験装置であって、
前記マスタカードと、
前記複数のスレーブカードの何れかに故障が発生したと判定したときに、故障が発生したスレーブカードである故障カードと前記故障カードの前段のスレーブカードとの間にある前記接続切替器である第一切替器の接続状態と、前記故障カードと前記故障カードの後段のスレーブカードとの間にある前記接続切替器である第二切替器の接続状態とを切り替えて、前記第一切替器と前記第二切替器とを前記故障カードを介さずに接続することにより、前記故障カードを前記デイジーチェーン接続から除外する制御部と、
を具備するカード試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カード試験システム及びカード試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
EtherCAT(Ethernet for Control Automation Technology)等のリングトポロジを用いてマスタカードと複数のスレーブカードとがデイジーチェーン接続されている場合、複数のスレーブカードのうちの一枚でも故障するとカード間の全通信が停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、デイジーチェーン接続された複数のスレーブカード(以下では「デイジーチェーン接続カード」と呼ぶことがある)の各々に対する試験がマスタカードを用いて行われる場合、故障が発生したスレーブカード(以下では「故障カード」と呼ぶことがある)がデイジーチェーン接続カードの中に含まれていると、試験が中断してしまう。また、デイジーチェーン接続カードにおいて故障カードの1つ前段のスレーブカードにて強制的に終端させて試験を継続させる場合には、故障カードの後段のスレーブカードに対する試験を行うことが困難になってしまう。
【0005】
よって、デイジーチェーン接続カードのうちの故障が発生していないスレーブカード(以下では「非故障カード」と呼ぶことがある)に対する試験を継続するには、デイジーチェーン接続カードの中から故障カードを手作業で取り除いた後に試験を再開させる必要があるため、試験の効率が低下する。
【0006】
そこで、本開示では、デイジーチェーン接続されたスレーブカードに対する試験の効率を向上できる技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のカード試験システムは、マスタカードを有するカード試験装置と、複数のスレーブカードと、複数の接続切替器とを有する。前記マスタカード及び前記複数のスレーブカードの各々は、前記複数の接続切替器の各々を介してデイジーチェーン接続される。前記カード試験装置は、前記複数のスレーブカードの何れかに故障が発生したと判定したときに、故障が発生したスレーブカードである故障カードと前記故障カードの前段のスレーブカードとの間にある前記接続切替器である第一切替器の接続状態と、前記故障カードと前記故障カードの後段のスレーブカードとの間にある前記接続切替器である第二切替器の接続状態とを切り替えて、前記第一切替器と前記第二切替器とを前記故障カードを介さずに接続することにより、前記故障カードを前記デイジーチェーン接続から除外する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、デイジーチェーン接続されたスレーブカードに対する試験の効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示のカード試験システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示のスレーブカードの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示のカード試験システムにおける処理手順の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示のデイジーチェーンの接続状態の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示のデイジーチェーンの接続状態の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示のデイジーチェーンの接続状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施例を図面に基づいて説明する。図面において同一の構成には同一の符号を付す。
【0011】
[実施例]
<カード試験システムの構成>
図1は、本開示のカード試験システムの構成例を示す図である。
図1において、カード試験システム1は、カード試験装置10と、判定ユニット20と、複数のスレーブカード30A,30B,30C,30Dと、スレーブカード30A,30B,30C,30Dと同数の複数の接続切替器40A,40B,40C,40Dとを有する。以下では、スレーブカード30A,30B,30C,30Dを「スレーブカード30」と総称することがある。また以下では、接続切替器40A,40B,40C,40Dを「接続切替器40」と総称することがある。
【0012】
カード試験装置10は、マスタカード11と、制御部12とを有する。マスタカード11は、入力端子INと出力端子OUTとを有する。制御部12の一例として、プロセッサが挙げられる。プロセッサの一例として、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。
【0013】
判定ユニット20の一例として、JTAG(Joint Test Action Group)ユニットが上げられる。
【0014】
スレーブカード30は、入力端子INと出力端子OUTとを有する。
【0015】
接続切替器40は、第一入力端子IN#1と、第二入力端子IN#2と、第一出力端子OUT#1と、第二出力端子OUT#2とを有する。接続切替器40の内部において、第一入力端子IN#1及び第二入力端子IN#2の各々は、第一出力端子OUT#1または第二出力端子OUT#2の何れか一方に接続可能である。
【0016】
図1に示すように、カード試験システム1において、マスタカード11及びスレーブカード30A,30B,30C,30Dの各々が接続切替器40A,40B,40C,40Dの各々を介してデイジーチェーン接続される。すなわち、マスタカード11とスレーブカード30Aとが接続切替器40Aを介して接続され、スレーブカード30Aとスレーブカード30Bとが接続切替器40Bを介して接続され、スレーブカード30Bとスレーブカード30Cとが接続切替器40Cを介して接続され、スレーブカード30Cとスレーブカード30Dとが接続切替器40Dを介して接続される。
【0017】
また、マスタカード11の出力端子OUTと接続切替器40Aの第一入力端子IN#1とが接続され、接続切替器40Aの第一出力端子OUT#1とスレーブカード30Aの入力端子INとが接続される。また、スレーブカード30Aの出力端子OUTと接続切替器40Bの第一入力端子IN#1とが接続され、接続切替器40Bの第一出力端子OUT#1とスレーブカード30Bの入力端子INとが接続される。また、スレーブカード30Bの出力端子OUTと接続切替器40Cの第一入力端子IN#1とが接続され、接続切替器40Cの第一出力端子OUT#1とスレーブカード30Cの入力端子INとが接続される。また、スレーブカード30Cの出力端子OUTと接続切替器40Dの第一入力端子IN#1とが接続され、接続切替器40Dの第一出力端子OUT#1とスレーブカード30Dの入力端子INとが接続される。
【0018】
また、接続切替器40Aの第二出力端子OUT#2と接続切替器40Bの第二入力端子IN#2とが接続され、接続切替器40Bの第二出力端子OUT#2と接続切替器40Cの第二入力端子IN#2とが接続され、接続切替器40Cの第二出力端子OUT#2と接続切替器40Dの第二入力端子IN#2とが接続される。
【0019】
また、カード試験装置10は、接続切替器40A,40B,40C,40Dに接続され、判定ユニット20は、スレーブカード30A,30B,30C,30D及びカード試験装置10に接続される。
【0020】
なお、
図1では、スレーブカード30A,30B,30C,30Dの4枚のスレーブカードがデイジーチェーン接続される場合を一例として示す。しかし、デイジーチェーン接続されるスレーブカードの枚数は4枚に限定されず、本開示の技術は、2枚以上のスレーブカードがデイジーチェーン接続される場合に適用可能である。
【0021】
<スレーブカードの構成>
図2は、本開示のスレーブカードの構成例を示す図である。
図2において、スレーブカード30は、CPU31と、メモリ32と、PHYチップ33と、第一コネクタ34と、第二コネクタ35とを有する。第一コネクタ34は、入力端子IN及び出力端子OUTを有する。スレーブカード30は、第一コネクタ34を介して接続切替器40に接続され、第二コネクタ35を介して判定ユニット20に接続される。メモリ32の一例として、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリが挙げられる。
【0022】
判定ユニット20は、CPU31の故障、メモリ32の故障、PHYチップ33の故障、または、第二コネクタ35の故障に起因する故障T1がスレーブカード30に発生したか否かを判定することが可能である。一方で、カード試験装置10は、PHYチップ33の故障、または、第一コネクタ34の故障に起因する故障T2がスレーブカード30に発生したか否かを判定することが可能である。つまり、スレーブカード30に発生する大部分の故障は判定ユニット20により検出可能であり、判定ユニット20によって検出困難な一部の故障がカード試験装置10により検出される。
【0023】
判定ユニット20は、故障T1の検出用のコマンドC1をスレーブカード30A,30B,30C,30Dの各々へ送信し、スレーブカード30A,30B,30C,30DのうちコマンドC1に対する応答R1が返信されないスレーブカード30に故障T1が発生したと判定する。
【0024】
また、カード試験装置10のマスタカード11は、一定の時間間隔で、故障T2の検出用のコマンドC2を接続切替器40Aを介してスレーブカード30Aへ送信する。スレーブカード30Aに故障T2が発生していないときには、コマンドC2はスレーブカード30Aから接続切替器40Bを介してスレーブカード30Bへ転送され、スレーブカード30Bに故障T2が発生していないときには、コマンドC2はスレーブカード30Bから接続切替器40Cを介してスレーブカード30Cへ転送され、スレーブカード30Cに故障T2が発生していないときには、コマンドC2はスレーブカード30Cから接続切替器40Dを介してスレーブカード30Dへ転送される。このように、コマンドC2は、スレーブカード30A,30B,30C,30Dの順に転送される。
【0025】
一方で、スレーブカード30Aに故障T2が発生していないときには、スレーブカード30AはコマンドC2に対する応答R2Aをマスタカード11へ返信し、スレーブカード30Bに故障T2が発生していないときには、スレーブカード30BはコマンドC2に対する応答R2Bをマスタカード11へ返信し、スレーブカード30Cに故障T2が発生していないときには、スレーブカード30CはコマンドC2に対する応答R2Cをマスタカード11へ返信し、スレーブカード30Dに故障T2が発生していないときには、スレーブカード30DはコマンドC2に対する応答R2Dをマスタカード11へ返信する。応答R2Aは、接続切替器40Aを介してマスタカード11へ返信され、応答R2Bは、接続切替器40B、スレーブカード30A及び接続切替器40Aを介してマスタカード11へ返信され、応答R2Cは、接続切替器40C、スレーブカード30B、接続切替器40B、スレーブカード30A及び接続切替器40Aを介してマスタカード11へ返信され、応答R2Dは、接続切替器40D、スレーブカード30C、接続切替器40C、スレーブカード30B、接続切替器40B、スレーブカード30A及び接続切替器40Aを介してマスタカード11へ返信される。
【0026】
よって、スレーブカード30Aに故障T2が発生したときは、マスタカード11には応答R2A,R2B,R2C,R2Dが受信されず、スレーブカード30Bに故障T2が発生したときは、マスタカード11には応答R2B,R2C,R2Dが受信されず、スレーブカード30Cに故障T2が発生したときは、マスタカード11には応答R2C,R2Dが受信されず、スレーブカード30Dに故障T2が発生したときは、マスタカード11には応答R2Dが受信されない。そこで、マスタカード11は、応答R2A,R2B,R2C,R2Dが受信されたときは、スレーブカード30A,30B,30C,30Dの何れにも故障T2が発生していないと判定する。一方で、マスタカード11は、応答R2A,R2B,R2C,R2Dの何れもが受信されないときは、スレーブカード30Aに故障T2が発生したと判定し、応答R2Aが受信された一方で応答R2B,R2C,R2Dが受信されないときは、スレーブカード30Bに故障T2が発生したと判定し、応答R2A,R2Bが受信された一方で応答R2C,R2Dが受信されないときは、スレーブカード30Cに故障T2が発生したと判定し、応答R2A,R2B,R2Cが受信された一方で応答R2Dが受信されないときは、スレーブカード30Dに故障T2が発生したと判定する。
【0027】
<カード試験システムにおける処理手順>
図3は、本開示のカード試験システムにおける処理手順の一例を示す図である。
【0028】
ステップS100では、判定ユニット20が、スレーブカード30A,30B,30C,30Dの何れに故障T1が発生しているか否かを判定し、スレーブカード30A,30B,30C,30Dのうちの故障カードを示す情報(以下では「故障カード情報」と呼ぶことがある)と、スレーブカード30A,30B,30C,30Dのうちの非故障カードを示す情報(以下では「非故障カード情報」と呼ぶことがある)とをカード試験装置10へ送信する。判定ユニット20によってスレーブカード30A,30B,30C,30Dの何れかに故障T1が発生していると判定されたときは(ステップS105:Yes)、処理はステップS110へ進み、判定ユニット20によってスレーブカード30A,30B,30C,30Dの何れにも故障が発生していないと判定されたときは(ステップS105:No)、ステップS110の処理が行われることなく、処理はステップS115へ進む。
【0029】
ステップS110では、制御部12が、判定ユニット20から送信された故障カード情報に示された故障カードに接続された接続切替器40の接続状態を切り替える。制御部12は、故障カードと故障カードの前段のスレーブカード30との間にある接続切替器40(以下では「故障カード前段切替器」と呼ぶことがある)の接続状態と、故障カードと故障カードの後段のスレーブカード30との間にある接続切替器40(以下では「故障カード後段切替器」と呼ぶことがある)の接続状態とを切り替えて、故障カード前段切替器と故障カード後段切替器とを故障カードを介さずに接続する。これにより、故障T1が発生した故障カードがデイジーチェーン接続から除外されるため、故障T1が発生した故障カードが試験対象から除外される。ステップS110の処理後、処理はステップS115へ進む。
【0030】
ステップS115では、カード試験装置10のマスタカード11が、スレーブカード30A,30B,30C,30Dの何れに故障T2が発生しているか否かを判定し、故障カード情報と非故障カード情報とを制御部12へ出力する。マスタカード11によってスレーブカード30A,30B,30C,30Dの何れかに故障T2が発生していると判定されたときは(ステップS120:Yes)、処理はステップS125へ進み、マスタカード11によってスレーブカード30A,30B,30C,30Dの何れにも故障が発生していないと判定されたときは(ステップS120:No)、ステップS125の処理が行われることなく、処理はステップS130へ進む。
【0031】
ステップS125では、制御部12が、マスタカード11から出力された故障カード情報に示された故障カードに接続された接続切替器40の接続状態を切り替える。制御部12は、故障カード前段切替器の接続状態と故障カード後段切替器の接続状態とを切り替えて、故障カード前段切替器と故障カード後段切替器とを故障カードを介さずに接続する。これにより、故障T2が発生した故障カードがデイジーチェーン接続から除外されるため、故障T2が発生した故障カードが試験対象から除外される。ステップS125の処理後、処理はステップS130へ進む。
【0032】
ステップS130では、カード試験装置10のマスタカード11が、非故障カードに対する試験を行う。非故障カードに対する試験の一例として、マスタカード11がCPU31に所定の処理負荷を与えた場合にCPU31が安定して動作するか否かを確かめる負荷試験や、メモリ32でのライト及びリードが正しく行われるか否かを確かめるメモリアクセス試験等が挙げられる。試験対象の非故障カードの中に試験に不合格の非故障カード(以下では「不合格カード」と呼ぶことがある)が存在するときは(ステップS135:No)、処理はステップS140へ進み、試験対象の非故障カードの中に不合格カードが存在しないときは(ステップS135:Yes)、
図3に示す処理手順は終了する。
【0033】
ステップS140では、制御部12が、不合格カードに接続された接続切替器40の接続状態を切り替える。制御部12は、不合格カードと不合格カードの前段のスレーブカード30との間にある接続切替器40(以下では「不合格カード前段切替器」と呼ぶことがある)の接続状態と、不合格カードと不合格カードの後段のスレーブカード30との間にある接続切替器40(以下では「不合格カード後段切替器」と呼ぶことがある)の接続状態とを切り替えて、不合格カード前段切替器と不合格カード後段切替器とを不合格カードを介さずに接続する。これにより、不合格カードがデイジーチェーン接続から除外されるため、不合格カードが試験対象から除外される。ステップS140の処理後、処理はステップS130に戻る。つまり、試験対象の非故障カードの中に不合格カードが存在しなくなるまで、ステップS130での試験が繰り返し実行される。
【0034】
<デイジーチェーンの接続状態>
図4、
図5及び
図6は、本開示のデイジーチェーンの接続状態の一例を示す図である。
図4には、接続状態例1として、スレーブカード30A,30B,30C,30Dの中に故障カード及び不合格カードが存在しない場合のデイジーチェーンの接続状態を示す。また、
図5には、接続状態例2として、スレーブカード30A,30B,30C,30Dのうちスレーブカード30Bが故障カードまたは不合格カードである場合のデイジーチェーンの接続状態を示す。また、
図6には、接続状態例3として、スレーブカード30A,30B,30C,30Dのうちスレーブカード30A,30Cが故障カードまたは不合格カードである場合のデイジーチェーンの接続状態を示す。
【0035】
<接続状態例1(
図4)>
スレーブカード30A,30B,30C,30Dの中に故障カード及び不合格カードが存在しない場合は、
図4に示すように、制御部12は、接続切替器40Aの内部において第一入力端子IN#1と第一出力端子OUT#1とを接続し、接続切替器40Bの内部において第一入力端子IN#1と第一出力端子OUT#1とを接続し、接続切替器40Cの内部において第一入力端子IN#1と第一出力端子OUT#1とを接続し、接続切替器40Dの内部において第一入力端子IN#1と第一出力端子OUT#1とを接続する。これにより、マスタカード11と、スレーブカード30A,30B,30C,30Dとがデイジーチェーン接続される。
【0036】
<接続状態例2(
図5)>
スレーブカード30A,30B,30C,30Dのうちスレーブカード30Bが故障カードまたは不合格カードである場合は、制御部12によって、接続切替器40の接続状態が、
図4に示す接続状態から
図5に示す接続状態に切り替えられる。
【0037】
図5において、スレーブカード30Bが故障カードまたは不合格カードであるため、制御部12は、マスタカード11とスレーブカード30Aとの間にある接続切替器40Aの接続状態、及び、スレーブカード30Cとスレーブカード30Dとの間にある接続切替器40Dの接続状態を
図4に示す接続状態に維持する。
【0038】
一方で、
図5に示すように、制御部12は、スレーブカード30Bとスレーブカード30Aとの間にある接続切替器40Bの接続状態、及び、スレーブカード30Bとスレーブカード30Cとの間にある接続切替器40Cの接続状態を、
図4に示す接続状態から
図5に示す接続状態に切り替える。
【0039】
図5において、制御部12は、接続切替器40Bの内部において第一入力端子IN#1と第二出力端子OUT#2とを接続し、接続切替器40Cの内部において第二入力端子IN#2と第一出力端子OUT#1とを接続する。
【0040】
これにより、接続切替器40Bと接続切替器40Cとがスレーブカード30Bを介さずに接続されるため、スレーブカード30Bをデイジーチェーン接続から除外することができる。その結果、スレーブカード30Bが故障カードまたは不合格カードである場合でも、デイジーチェーン接続カードの中からスレーブカード30Bを手作業で取り除くことなしに、残りのスレーブカード30A,30C,30Dに対する試験を継続することができる。
【0041】
<接続状態例3(
図6)>
スレーブカード30A,30B,30C,30Dのうちスレーブカード30A,30Cが故障カードまたは不合格カードである場合は、制御部12によって、接続切替器40の接続状態が、
図4に示す接続状態から
図6に示す接続状態に切り替えられる。
【0042】
図6において、スレーブカード30A,30Cが故障カードまたは不合格カードであるため、制御部12は、スレーブカード30Aとマスタカード11との間にある接続切替器40Aの接続状態、スレーブカード30Aとスレーブカード30Bとの間にある接続切替器40Bの接続状態、スレーブカード30Cとスレーブカード30Bとの間にある接続切替器40Cの接続状態、及び、スレーブカード30Cとスレーブカード30Dとの間にある接続切替器40Dの接続状態を、
図4に示す接続状態から
図6に示す接続状態に切り替える。
【0043】
図6において、制御部12は、接続切替器40Aの内部において第一入力端子IN#1と第二出力端子OUT#2とを接続し、接続切替器40Bの内部において第二入力端子IN#2と第一出力端子OUT#1とを接続し、接続切替器40Cの内部において第一入力端子IN#1と第二出力端子OUT#2とを接続し、接続切替器40Dの内部において第二入力端子IN#2と第一出力端子OUT#1とを接続する。
【0044】
これにより、接続切替器40Aと接続切替器40Bとがスレーブカード30Aを介さずに接続されるとともに、接続切替器40Cと接続切替器40Dとがスレーブカード30Cを介さずに接続されるため、スレーブカード30A,30Cをデイジーチェーン接続から除外することができる。その結果、スレーブカード30A,30Cが故障カードまたは不合格カードである場合でも、デイジーチェーン接続カードの中からスレーブカード30A,30Cを手作業で取り除くことなしに、残りのスレーブカード30B,30Dに対する試験を継続することができる。
【0045】
以上、実施例について説明した。
【0046】
以上のように、本開示のカード試験システム(実施例のカード試験システム1)は、マスタカード(実施例のマスタカード11)を有するカード試験装置(実施例のカード試験装置10)と、複数のスレーブカード(実施例のスレーブカード30A,30B,30C,30D)と、複数の接続切替器(実施例の接続切替器40A,40B,40C,40D)とを有する。カード試験システムにおいて、マスタカード及び複数のスレーブカードの各々が複数の接続切替器の各々を介してデイジーチェーン接続される。カード試験装置は、複数のスレーブカードの何れかに故障が発生したと判定したときに、故障が発生したスレーブカードである故障カードと故障カードの前段のスレーブカードとの間にある接続切替器である第一切替器(実施例の故障カード前段切替器)の接続状態と、故障カードと故障カードの後段のスレーブカードとの間にある接続切替器である第二切替器(実施例の故障カード後段切替器)の接続状態とを切り替えて、第一切替器と第二切替器とを故障カードを介さずに接続することにより、故障カードをデイジーチェーン接続から除外する。
【0047】
こうすることで、デイジーチェーン接続カードの中から故障カードを手作業で取り除くことなく試験を継続することができるため、デイジーチェーン接続カードに対する試験の効率を向上できる。
【0048】
また、複数のスレーブカードの各々は、CPU(実施例のCPU31)とメモリ(実施例のメモリ32)とを有する。また、カード試験システムは、判定ユニット(実施例の判定ユニット20)を有する。判定ユニットは、複数のスレーブカードの何れかにCPUの故障またはメモリの故障に起因する故障が発生したか否かを判定する。カード試験装置は、判定ユニットによって複数のスレーブカードの何れかに故障が発生したと判定されたときに、故障が発生したスレーブカードである故障カードと第一切替器の接続状態と、故障カードと第二切替器の接続状態とを切り替えて、第一切替器と第二切替器とを故障カードを介さずに接続することにより、故障カードをデイジーチェーン接続から除外する。
【0049】
こうすることで、スレーブカードに発生する大部分の故障を効率良く検出することができる。
【0050】
また、カード試験システムは、カード試験装置によるスレーブカードの故障の判定を行う前に、判定ユニットによるスレーブカードの故障の判定を行う。
【0051】
こうすることで、スレーブカードに発生する大部分の故障が判定ユニットによって検出された後に、判定ユニットによって検出困難な一部の故障がカード試験装置により検出されるため、スレーブカードの故障判定を効率良く行うことができる。
【符号の説明】
【0052】
1 カード試験システム
10 カード試験装置
11 マスタカード
12 制御部
20 判定ユニット
30A,30B,30C,30D スレーブカード
40A,40B,40C,40D 接続切替器