(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129731
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】分析制御サーバを用いた分析方法、分析制御機能サーバ、プログラム及びコアシステム
(51)【国際特許分類】
H04L 41/042 20220101AFI20240919BHJP
H04W 24/02 20090101ALI20240919BHJP
H04W 92/24 20090101ALI20240919BHJP
【FI】
H04L41/042
H04W24/02
H04W92/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039120
(22)【出願日】2023-03-13
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/Beyond 5Gに向けたテラヘルツ帯を活用した端末拡張型無線通信システム実現のための研究開発 研究開発項目 3 端末拡張型無線通信システム構築・制御技術 副題:Beyond 5Gに向けたテラヘルツ帯を活用するユーザセントリックアーキテクチャ実現に関する研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】倉田 真之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 陽登
(72)【発明者】
【氏名】伊神 皓生
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067EE16
(57)【要約】
【課題】レポジトリ機能サーバの処理負荷を低減し、ネットワーク機能コンシューマからの分析要求における所望待ち時間をできる限り満たすことができるように、分析制御サーバを用いた分析方法等を提供する。
【解決手段】分析機能サーバ毎に、分析要求期間の時間長に応じた推論時間を記憶した推論時間テーブルを有するプロデューササーバとしての分析制御機能サーバを有する。分析制御機能サーバは、コンシューマサーバから、分析項目と、分析要求期間と、所望待ち時間とを含む分析要求を受信する第1のステップと、推論時間テーブルを用いて、分析要求期間の時間長に応じた推論時間が所望待ち時間以下となる第1の分析機能サーバを検索する第2のステップと、第1の分析機能サーバへ、当該分析要求を転送する第3のステップとを有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の分析項目について、ネットワークデータから学習モデルを用いて分析する複数の分析機能サーバを有するコアシステムの分析方法であって、
分析機能サーバ毎に、分析要求期間の時間長に応じた推論時間を記憶した推論時間テーブルを有するプロデューササーバとしての分析制御機能サーバを有し、
分析制御機能サーバが、コンシューマサーバから、分析項目と、分析要求期間と、所望待ち時間とを含む分析要求を受信する第1のステップと、
分析制御機能サーバが、推論時間テーブルを用いて、分析要求期間の時間長に応じた推論時間が所望待ち時間以下となる第1の分析機能サーバを検索する第2のステップと、
分析制御機能サーバが、第1の分析機能サーバへ、当該分析要求を転送する第3のステップと、
第1の分析機能サーバが、当該分析項目について、ネットワークデータから学習モデルを用いて推論処理を実行し、分析結果をコンシューマサーバへ送信する第4のステップと
を有することを特徴とするコアシステムの分析方法。
【請求項2】
推論時間テーブルの推論時間は、過去の分析要求期間の時間長に応じた推論時間から統計的に推定されたものである
ことを特徴とする請求項1に記載のコアシステムの分析方法。
【請求項3】
分析制御機能サーバは、分析機能サーバ毎に、分析要求期間の時間長に応じた、データソースからネットワークデータを取得するデータ収集時間を記憶した収集時間テーブルを更に有し、
第2のステップについて、分析制御機能サーバが、推論時間と、収集時間テーブルを用いて分析要求期間の時間長に応じたデータ収集時間との和が、所望待ち時間以下となる第1の分析機能サーバを検索候補とし、
第3のステップについて、分析制御機能サーバが、データソースへ、分析要求期間のネットワークデータを第1の分析機能サーバへ送信するべく要求するネットワークデータ要求を送信し、
第4のステップについて、第1の分析機能サーバが、データソースからネットワークデータを受信する
ことを特徴とする請求項1に記載のコアシステムの分析方法。
【請求項4】
収集時間テーブルのデータ収集時間は、過去の分析要求期間の時間長に応じたデータ収集時間から統計的に推定されたものである
ことを特徴とする請求項3に記載のコアシステムの分析方法。
【請求項5】
分析制御機能サーバが、分析機能サーバ毎に、自ら保持する学習モデルについて、当該学習モデルの取得に要するモデル取得時間を記憶したモデル取得テーブルを更に有し、
第2のステップについて、分析制御機能サーバが、モデル取得テーブルを用いて、第1の分析機能サーバが当該分析項目に基づく学習モデルを保持していないと判定した場合、当該学習モデルを保持する複数の他の分析機能サーバの中で、推論時間と、データ収集時間と、当該学習モデルの取得に要するモデル取得時間との和が、所望待ち時間以下となる第2の分析機能サーバを検索し、第2の分析機能サーバへ、当該学習モデルを第1の分析機能サーバへ送信するべく要求するモデル取得要求を送信する
ように実行することを特徴とする請求項1に記載のコアシステムの分析方法。
【請求項6】
モデル取得テーブルのモデル取得時間は、過去の学習モデルに応じたモデル取得時間から統計的に推定されたものである
ことを特徴とする請求項5に記載のコアシステムの分析方法。
【請求項7】
第2のステップについて、
分析制御機能サーバが、データソースへ、分析要求期間のネットワークデータを第2の分析機能サーバへ送信するべく要求するネットワークデータ要求を送信し、
分析制御機能サーバが、第2の分析機能サーバへ、自らの学習モデルを更新するべく学習要求を送信し、
第2の分析機能サーバが、データソースから、分析要求期間のネットワークデータを受信し、自らの学習モデルを更新するべく訓練する
ように実行することを特徴とする請求項5に記載のコアシステムの分析方法。
【請求項8】
分析制御機能サーバは、分析機能サーバ毎に、現在の計算資源使用率を取得し、
第2のステップについて、分析制御機能サーバが、現在の計算資源使用率が高い順から所定条件を満たす複数の分析機能サーバを、第1の分析機能サーバの検索候補とする
ように実行することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のコアシステムの分析方法。
【請求項9】
第2のステップについて、計算資源使用率が最も高い分析機能サーバを、第1の分析機能サーバの検索候補とする
ように実行することを特徴とする請求項8に記載のコアシステムの分析方法。
【請求項10】
分析制御機能サーバは、分析機能サーバ毎に、実行すべき分析項目の推論時間の時間帯をスケジュール管理しており、
第2のステップについて、分析制御機能サーバは、各分析項目の所望待ち時間以下となるように、各分析機能サーバが実行すべき推論時間の時間帯を分割してスケジューリング可能とする
ように実行することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のコアシステムの分析方法。
【請求項11】
分析機能サーバは、NWDAF(Network Data Analytics Function)であり、
分析機能サーバの学習モデルは、MTLF(Model Training Logical Function)によって訓練され、
分析機能サーバの推論処理は、AnLF(Analytics Logical Function)によって実行され、
コンシューマサーバは、NRF(Network Repository Function)へ、当該分析項目の制御可能な分析制御機能サーバのアドレスを問い合わせる
ように実行することを特徴とする請求項1又は3に記載のコアシステムの分析方法。
【請求項12】
所定の分析項目について、ネットワークデータから学習モデルを用いて分析する複数の分析機能サーバと通信し、コアシステムにおけるプロデューササーバとして機能する分析制御機能サーバであって、
分析機能サーバ毎に、分析要求期間の時間長に応じた推論時間を記憶した推論時間テーブルと、
コンシューマサーバから、分析項目と、分析要求期間と、所望待ち時間とを含む分析要求を受信する分析要求受信手段と、
推論時間テーブルを用いて、分析要求期間の時間長に応じた推論時間が所望待ち時間以下となる第1の分析機能サーバを検索する分析機能サーバ検索手段と、
検索された分析機能サーバへ、当該分析要求を転送する分析要求転送手段と
を有し、
第1の分析機能サーバに、当該分析項目について、ネットワークデータから学習モデルを用いて推論処理を実行させ、分析結果をコンシューマサーバへ送信させる
ことを特徴とする分析制御機能サーバ。
【請求項13】
所定の分析項目について、ネットワークデータから学習モデルを用いて分析する複数の分析機能サーバと通信し、コアシステムにおけるプロデューササーバとしてのコンピュータを機能させるプログラムであって、
分析機能サーバ毎に、分析要求期間の時間長に応じた推論時間を記憶した推論時間テーブルと、
コンシューマサーバから、分析項目と、分析要求期間と、所望待ち時間とを含む分析要求を受信する分析要求受信手段と、
推論時間テーブルを用いて、分析要求期間の時間長に応じた推論時間が所望待ち時間以下となる第1の分析機能サーバを検索する第1の分析機能サーバ検索手段と、
第1の分析機能サーバへ、当該分析要求を転送する分析要求転送手段と
してコンピュータを機能させ、
第1の分析機能サーバに、当該分析項目について、ネットワークデータから学習モデルを用いて推論処理を実行させ、分析結果をコンシューマサーバへ送信させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項14】
所定の分析項目について、ネットワークデータから学習モデルを用いて分析する複数の分析機能サーバを有するコアシステムであって、
分析機能サーバ毎に、分析要求期間の時間長に応じた推論時間を記憶した推論時間テーブルを有するプロデューササーバとしての分析制御機能サーバを有し、
分析制御機能サーバは、
分析機能サーバ毎に、分析要求期間の時間長に応じた推論時間を記憶した推論時間テーブルと、
コンシューマサーバから、分析項目と、分析要求期間と、所望待ち時間とを含む分析要求を受信する分析要求受信手段と、
推論時間テーブルを用いて分析要求期間の時間長に応じた推論時間が、所望待ち時間以下となる第1の分析機能サーバを検索する第1の分析機能サーバ検索手段と、
第1の分析機能サーバへ、当該分析要求を転送する分析要求転送手段と
を有し、
第1の分析機能サーバは、当該分析項目について、ネットワークデータから学習モデルを用いて推論処理を実行し、分析結果をコンシューマサーバへ送信する
ことを特徴とするコアシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信ネットワークのコアシステムに配置された分析制御サーバの技術に関する。特に、NWDAF(NetWork Data Analytics Function)の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信ネットワークは、5G(5th Generation)及び4G(4th Generation)の両規格に共通して、概念的に、ユーザ端末(UE(User Equipment))と、RAN(Radio Access Network)と、コアシステム(Core network System)とから構成される。
【0003】
図1は、従来技術におけるコアシステムの機能構成図である。
【0004】
コアシステムは、論理的なコントロールプレーン(Control Plane)ネットワーク装置群の仮想化基盤に、物理的なユーザプレーン(User Plane)ネットワーク装置群が配置されている。コントロールプレーンネットワーク装置は、RANを介して多数のユーザ端末を収容し、通信確立などの制御信号を送受信する。ユーザプレーンネットワーク装置は、RANを介してユーザ端末のユーザデータを送受信する。
また、コアシステムには、コントロールプレーンネットワーク装置群を制御するために、様々なNF(Network Function)サーバが配置されている。
【0005】
コアシステムには、通信設備装置としての様々なデータソースから、多種多様なログデータを取得して分析するNWDAF(分析制御サーバ)が配置されている。NWDAFは、他のNFコンシューマから分析要求を受信し、その分析結果を返信する。これは、3GPP(3rd Generation Partnership Project)(登録商標)に標準化されている(例えば非特許文献1参照)。
【0006】
図1によれば、以下のようなNFサーバから構成されている。
アプリケーション機能サーバ(NFコンシューマ)10
レポジトリ機能サーバ(NRF)11
分析機能サーバ(NWDAF)121、122、123
NFコンシューマ10は、分析要求の送信元となるNFである。
NRF11は、NFコンシューマからの発見要求に応じて、複数のNWDAF12の中から1つのNWDAFを選択して応答する。
NWDAF12は、分析項目に応じた学習(AI)モデルを保有し、分析要求に応じて推論処理を実行し、その分析結果を返信する。
尚、コントロールプレーンネットワーク装置群やユーザプレーンネットワーク装置群は、データリソースとなり、NWDAFが学習モデルを用いて推論処理を実行するための入力データとなる。
【0007】
図2は、従来技術における分析機能サーバによる分析のシーケンス図である。
【0008】
図2のシーケンスは、非特許文献1に基づくものである。
(S01)NFコンシューマ10は、分析項目αについて分析結果を得たいとする。このとき、NFコンシューマ10は、分析項目αを分析可能なNWDAFを、NRF11へ問い合わせる。NFコンシューマ10は、NRF11へ、発見要求(Discover Request)を送信する。
NFコンシューマ10は、発見要求に、NWDAF12から、その分析項目における分析結果を得るまでの時間のパラメータであるPreferred Supported Analytics Delayを設定する(例えば非特許文献2参照)。
【0009】
(S02)NRF11は、NWDAF12毎に、各分析項目についてSupported Analytics Delay(入力データ収集遅延+推論遅延)を管理する。
そして、NRF11は、NFコンシューマ10から発見要求を受信した際に、そのPreferred Supported Analytics Delay内に分析結果を応答可能なNWDAFを選択する。例えばNWDAF121を応答可能であるとして選択し場合、そのアドレスを、NFコンシューマ10へ返信する。
【0010】
(S03)NFコンシューマ10は、NRF11から返信されたNWDAFのアドレスへ、分析要求を送信する。分析要求には、以下の情報が含まれる。
分析項目(Analytics ID) :分析処理の指定
分析要求期間(Analytics target period):分析結果として要求する期間
所望待ち時間(expected waiting time) :分析処理の応答待ち時間
【0011】
図2によれば、NFコンシューマ10は、NWDAF121へ、分析項目αの分析要求を送信したとする。
分析要求を受信したNWDAF121は、所望待ち時間内に分析結果を返信できない場合には、エラーレスポンスを、NFコンシューマ10へ返信する。このとき、NWDAF121は、エラーレスポンスに、分析処理待ち時間(revised waiting time)を設定するものであってもよい。これによって、NFコンシューマ10が再度、分析要求を送信する際に、再びエラーレスポンスが返信される可能性が低くなる。
【0012】
(S04)NWDAF121は、NFコンシューマ10から分析要求を受信した際に、分析項目αを分析するための学習モデルを保有していなければならない。ここで、分析項目αの学習モデルを保有していない場合、
図2の場合、分析項目αの学習モデルCを保有するNWDAF123へ、モデル取得要求を送信する。
これに対し、NWDAF123は、学習モデルCを、NWDAF121へ送信する。
S24に係る時間は、NWDAF121における「モデル取得時間」として遅延することとなる。
【0013】
(S05)次に、NWDAF121は、分析項目αについて分析するための入力データを取得するべく、データソースへ、ネットワークデータ要求を送信する。
これに対し、データソースは、ネットワークデータを、NWDAF121へ送信する。
S25に係る時間は、NWDAF121における「データ収集時間」として遅延することとなる。
【0014】
(S06)最後に、NWDAF121は、学習モデルにネットワークデータを入力し、推論処理を実行し、その分析結果を得る。
S26に係る時間は、NWDAF121における「推論時間」として遅延することとなる。
【0015】
(S07)そして、NWDAF121は、その分析結果を、NFコンシューマ10へ返信する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】3GPP TS 23.288 “Architecture enhancements for 5G System (5GS) to support network data analytics services”、[online]、[令和5年3月7日検索]、インターネット<URL:https://portal.3gpp.org/desktopmodules/Specifications/SpecificationDetails.aspx?specificationId=3579>
【非特許文献2】3GPP TS 23.501 “System architecture for the 5G System (5GS)”、[online]、[令和5年3月7日検索]、インターネット<URL:https://portal.3gpp.org/desktopmodules/Specifications/SpecificationDetails.aspx?specificationId=3144>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
前述した従来技術によれば、多種多様なNWDAFが増加するほど、そのNWDAFを発見するためのNRFに処理負荷がかかる。NRFは、各NWDAFにおけるSupported Analytics Delayを頻繁に更新する必要がある。また、NRFは、異なるNFコンシューマからほぼ同じタイミングで受信した発見要求に対して、即時にNWDAFを選択して応答する必要があり、処理負荷の低減が必要となる。更に、NRFは、1つのNWDAFに推論処理が集中しないように、各NWDAFの処理負荷を監視する必要もある。
【0018】
しかしながら、NRFの処理遅延として、複数のNFコンシューマか受信した発見要求に対してリアルタイムに応答するために処理負荷がかかる。また、複数のNWDAFとの間で頻繁に情報を交換するためにネットワーク負荷もかかる。これらは、他のNFサーバに対しても処理遅延の一因となりかねない。
【0019】
また、NWDAFの処理遅延として、他のNWDAFから学習モデルを取得するモデル取得時間が、Supported Analytics Delayに含まれていないために、想定以上の処理遅延が発生する恐れがある。
【0020】
そこで、本発明は、レポジトリ機能サーバの処理負荷を低減し、ネットワーク機能コンシューマからの分析要求における所望待ち時間をできる限り満たすことができるように、分析制御サーバを用いた分析方法、分析制御機能サーバ、プログラム及びコアシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によれば、所定の分析項目について、ネットワークデータから学習モデルを用いて分析する複数の分析機能サーバを有するコアシステムの分析方法であって、
分析機能サーバ毎に、分析要求期間の時間長に応じた推論時間を記憶した推論時間テーブルを有するプロデューササーバとしての分析制御機能サーバを有し、
分析制御機能サーバが、コンシューマサーバから、分析項目と、分析要求期間と、所望待ち時間とを含む分析要求を受信する第1のステップと、
分析制御機能サーバが、推論時間テーブルを用いて、分析要求期間の時間長に応じた推論時間が所望待ち時間以下となる第1の分析機能サーバを検索する第2のステップと、
分析制御機能サーバが、第1の分析機能サーバへ、当該分析要求を転送する第3のステップと、
第1の分析機能サーバが、当該分析項目について、ネットワークデータから学習モデルを用いて推論処理を実行し、分析結果をコンシューマサーバへ送信する第4のステップと
を有することを特徴とする。
【0022】
本発明のコアシステムの分析方法における他の実施形態によれば、
推論時間テーブルの推論時間は、過去の分析要求期間の時間長に応じた推論時間から統計的に推定されたものである
ことも好ましい。
【0023】
本発明のコアシステムの分析方法における他の実施形態によれば、
分析制御機能サーバは、分析機能サーバ毎に、分析要求期間の時間長に応じた、データソースからネットワークデータを取得するデータ収集時間を記憶した収集時間テーブルを更に有し、
第2のステップについて、分析制御機能サーバが、推論時間と、収集時間テーブルを用いて分析要求期間の時間長に応じたデータ収集時間との和が、所望待ち時間以下となる第1の分析機能サーバを検索候補とし、
第3のステップについて、分析制御機能サーバが、データソースへ、分析要求期間のネットワークデータを第1の分析機能サーバへ送信するべく要求するネットワークデータ要求を送信し、
第4のステップについて、第1の分析機能サーバが、データソースからネットワークデータを受信する
ことも好ましい。
【0024】
本発明のコアシステムの分析方法における他の実施形態によれば、
収集時間テーブルのデータ収集時間は、過去の分析要求期間の時間長に応じたデータ収集時間から統計的に推定されたものである
ことも好ましい。
【0025】
本発明のコアシステムの分析方法における他の実施形態によれば、
分析制御機能サーバが、分析機能サーバ毎に、自ら保持する学習モデルについて、当該学習モデルの取得に要するモデル取得時間を記憶したモデル取得テーブルを更に有し、
第2のステップについて、分析制御機能サーバが、モデル取得テーブルを用いて、第1の分析機能サーバが当該分析項目に基づく学習モデルを保持していないと判定した場合、当該学習モデルを保持する複数の他の分析機能サーバの中で、推論時間と、データ収集時間と、当該学習モデルの取得に要するモデル取得時間との和が、所望待ち時間以下となる第2の分析機能サーバを検索し、第2の分析機能サーバへ、当該学習モデルを第1の分析機能サーバへ送信するべく要求するモデル取得要求を送信する
ように実行することも好ましい。
【0026】
本発明のコアシステムの分析方法における他の実施形態によれば、
モデル取得テーブルのモデル取得時間は、過去の学習モデルに応じたモデル取得時間から統計的に推定されたものである
ことも好ましい。
【0027】
本発明のコアシステムの分析方法における他の実施形態によれば、
第2のステップについて、
分析制御機能サーバが、データソースへ、分析要求期間のネットワークデータを第2の分析機能サーバへ送信するべく要求するネットワークデータ要求を送信し、
分析制御機能サーバが、第2の分析機能サーバへ、自らの学習モデルを更新するべく学習要求を送信し、
第2の分析機能サーバが、データソースから、分析要求期間のネットワークデータを受信し、自らの学習モデルを更新するべく訓練する
ように実行することも好ましい。
【0028】
本発明のコアシステムの分析方法における他の実施形態によれば、
分析制御機能サーバは、分析機能サーバ毎に、現在の計算資源使用率を取得し、
第2のステップについて、分析制御機能サーバが、現在の計算資源使用率が高い順から所定条件を満たす複数の分析機能サーバを、第1の分析機能サーバの検索候補とする
ように実行することも好ましい。
【0029】
本発明のコアシステムの分析方法における他の実施形態によれば、
第2のステップについて、計算資源使用率が最も高い分析機能サーバを、第1の分析機能サーバの検索候補とする
ように実行することも好ましい。
【0030】
本発明のコアシステムの分析方法における他の実施形態によれば、
分析制御機能サーバは、分析機能サーバ毎に、実行すべき分析項目の推論時間の時間帯をスケジュール管理しており、
第2のステップについて、分析制御機能サーバは、各分析項目の所望待ち時間以下となるように、各分析機能サーバが実行すべき推論時間の時間帯を分割してスケジューリング可能とする
ように実行することも好ましい。
【0031】
本発明のコアシステムの分析方法における他の実施形態によれば、
分析機能サーバは、NWDAF(Network Data Analytics Function)であり、
分析機能サーバの学習モデルは、MTLF(Model Training Logical Function)によって訓練され、
分析機能サーバの推論処理は、AnLF(Analytics Logical Function)によって実行され、
コンシューマサーバは、NRF(Network Repository Function)へ、当該分析項目の制御可能な分析制御機能サーバのアドレスを問い合わせる
ように実行することも好ましい。
【0032】
本発明によれば、所定の分析項目について、ネットワークデータから学習モデルを用いて分析する複数の分析機能サーバと通信し、コアシステムにおけるプロデューササーバとして機能する分析制御機能サーバであって、
分析機能サーバ毎に、分析要求期間の時間長に応じた推論時間を記憶した推論時間テーブルと、
コンシューマサーバから、分析項目と、分析要求期間と、所望待ち時間とを含む分析要求を受信する分析要求受信手段と、
推論時間テーブルを用いて、分析要求期間の時間長に応じた推論時間が所望待ち時間以下となる第1の分析機能サーバを検索する分析機能サーバ検索手段と、
検索された分析機能サーバへ、当該分析要求を転送する分析要求転送手段と
を有し、
第1の分析機能サーバに、当該分析項目について、ネットワークデータから学習モデルを用いて推論処理を実行させ、分析結果をコンシューマサーバへ送信させる
ことを特徴とする。
【0033】
本発明によれば、所定の分析項目について、ネットワークデータから学習モデルを用いて分析する複数の分析機能サーバと通信し、コアシステムにおけるプロデューササーバとしてのコンピュータを機能させるプログラムであって、
分析機能サーバ毎に、分析要求期間の時間長に応じた推論時間を記憶した推論時間テーブルと、
コンシューマサーバから、分析項目と、分析要求期間と、所望待ち時間とを含む分析要求を受信する分析要求受信手段と、
推論時間テーブルを用いて、分析要求期間の時間長に応じた推論時間が所望待ち時間以下となる第1の分析機能サーバを検索する第1の分析機能サーバ検索手段と、
第1の分析機能サーバへ、当該分析要求を転送する分析要求転送手段と
してコンピュータを機能させ、
第1の分析機能サーバに、当該分析項目について、ネットワークデータから学習モデルを用いて推論処理を実行させ、分析結果をコンシューマサーバへ送信させる
ことを特徴とする。
【0034】
本発明によれば、所定の分析項目について、ネットワークデータから学習モデルを用いて分析する複数の分析機能サーバを有するコアシステムであって、
分析機能サーバ毎に、分析要求期間の時間長に応じた推論時間を記憶した推論時間テーブルを有するプロデューササーバとしての分析制御機能サーバを有し、
分析制御機能サーバは、
分析機能サーバ毎に、分析要求期間の時間長に応じた推論時間を記憶した推論時間テーブルと、
コンシューマサーバから、分析項目と、分析要求期間と、所望待ち時間とを含む分析要求を受信する分析要求受信手段と、
推論時間テーブルを用いて分析要求期間の時間長に応じた推論時間が、所望待ち時間以下となる第1の分析機能サーバを検索する第1の分析機能サーバ検索手段と、
第1の分析機能サーバへ、当該分析要求を転送する分析要求転送手段と
を有し、
第1の分析機能サーバは、当該分析項目について、ネットワークデータから学習モデルを用いて推論処理を実行し、分析結果をコンシューマサーバへ送信する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明の分析制御サーバを用いた分析方法、分析制御機能サーバ、プログラム及びコアシステムによれば、レポジトリ機能サーバの処理負荷を低減し、ネットワーク機能コンシューマからの分析要求における所望待ち時間をできる限り満たすことができる
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図4】本発明の分析制御機能サーバが保有するテーブルの説明図である。
【
図6】本発明における分析制御機能サーバの機能構成図である。
【
図7】本発明の分析制御機能サーバにおける各分析制御サーバのスケジューリングの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下では、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0038】
【0039】
図3のコアシステムによれば、
図1と同様に、所定の分析項目について、ネットワークデータから学習モデルを用いて分析する複数のNWDAF(分析機能サーバ)12を有する。NWDAF12は、既存のものであって、以下の2つの機能を有する。
AnLF(Analytics Logical Function)
MTLF(Model Training Logical Function)
NWDAF12の学習モデルは、MTLFによって訓練される。MTLFは、データソースから取得したログデータによって学習モデルを再訓練し、その学習モデルをAnLFに利用させる。
また、NWDAF12の推論処理は、AnLFによって実行される。AnLFは、分析要求を受信し、その分析結果を返信する。
【0040】
また、
図3のコアシステムによれば、
図1と比較して、分析制御機能サーバ(NWDAFコントローラ)13を更に有する。
【0041】
[分析制御機能サーバ(NWDAFコントローラ)13]
NWDAFコントローラ13は、NFコンシューマ10に対して、プロデューササーバとして機能する。
【0042】
図4は、本発明の分析制御機能サーバが保有するテーブルの説明図である。
【0043】
図4によれば、NWDAFコントローラ13は、以下のテーブルを有する。
<推論時間テーブル>
<収集時間テーブル>
<モデル取得テーブル>
尚、推論時間テーブルは必須となるが、収集時間テーブル及びモデル取得テーブルは、実施形態に応じてオプション的なものであってもよい。
【0044】
<推論時間テーブル>
推論時間テーブルは、NWDAF12毎に、分析要求期間の時間長に応じた推論時間を記憶したものである。これは、
図4によれば、横軸を、分析要求期間の時間長とし、縦軸を、推論時間としたグラフ(近似直線又は近似曲線)によって表されたものであってもよい。
推論時間テーブルの推論時間は、過去の分析要求期間の時間長に応じた推論時間から統計的に推定されたものである。具体的には、過去の分析要求期間の時間長を説明変数とし、その時の過去の推論時間を目的変数とした教師データによって、教師有り機械学習エンジンによって訓練したものであってもよい。推定時の分析要求期間の時間長を入力することによって、推論時間を予測することができる。
【0045】
<収集時間テーブル>
収集時間テーブルは、分析要求期間の時間長に応じた、データソースからネットワークデータを取得するデータ収集時間を記憶したものである。収集時間テーブルは、
図4によれば、横軸を、分析要求期間の時間長とし、縦軸を、データ収集時間としたグラフ(近似直線又は近似曲線)によって表されたものであってもよい。
収集時間テーブルのデータ収集時間は、過去の分析要求期間の時間長に応じたでデータ収集時間から統計的に推定されたものである。具体的には、過去の分析要求期間の時間長を説明変数とし、その時の過去のデータ収集時間を目的変数とした教師データによって、教師有り機械学習エンジンによって訓練したものであってもよい。推定時の分析要求期間の時間長を入力することによって、データ収集時間を予測することができる。
【0046】
<モデル取得テーブル>
モデル取得テーブルは、NWDAF毎に、自ら保持する学習モデルについて、当該学習モデルの取得に要するモデル取得時間を記憶したものである。モデル取得テーブルは、
図4によれば、NWDAF毎に、そのNWDAFが保有する「モデルID」と、そのモデルの取得に要する「モデル取得時間」と、そのモデルがネットワークデータによって最後に訓練された「更新日時刻」とが記録されている。更新日時刻は、分析要求期間との関係から、学習モデルの更新訓練の必要性を判断するために記録される。
モデル取得テーブルのモデル取得時間は、過去の学習モデルに応じたでモデル取得時間から統計的に推定されたものである。具体的には、過去のモデル取得時間を平均値又は中央値としたものであってもよい。
【0047】
【0048】
(S0)NRF11は、従来技術と同様に、NFコンシューマ10が必要とする様々なNFサーバを発見するものである。
最初に、NFコンシューマ10は、分析項目αに基づくNWDAF12を発見するための発見要求を、NRF11へ送信する。これに対し、NRF11は、NWDAFコントローラ13のアドレス(URL(Uniform Resource Locator))を、NFコンシューマ10へ返信する。
即ち、NFコンシューマ10は、NRF11へ、分析項目αの制御可能なNWDAFコントローラ13のアドレスを問い合わせることとなる。
勿論、NFコンシューマ10が、分析要求の送信先となるNWDAFコントローラ13のアドレスを既知であれば、あえて、NRF11へ問い合わせる必要もない。
【0049】
また、分析項目の種類毎に、複数の分析機能制御サーバ13が配置されたものであってもよい。そのような場合、NRF11は、NFコンシューマ10から受信した発見要求における分析項目に応じて、分析機能制御サーバ13を選択し、その分析機能制御サーバ13のアドレスをNFコンシューマ10へ返信する。
【0050】
本発明によれば、NRF11は、分析要求の分析項目に応じてNWDAF12を発見する必要がなくなり、NWDAF12毎のSupported Analytics Delayを管理する必要もない。NRF11は、NWDAF12の管理における処理負荷を低減させることができ、他の様々なNFサーバの発見のための処理負荷に向けることができる。
【0051】
(S1)NFコンシューマ10は、NWDAFコントローラ13へ、以下の情報を含む「分析要求」を送信する。これは、前述した従来技術と同様である。
・分析項目
・分析要求期間
・所望待ち時間
【0052】
(S21)NWDAFコントローラ13は、NWDAF12毎に、現在の計算資源使用率を管理しているとする。NWDAFコントローラ13は、自らの管理下にある複数のNWDAF12から定期的に、計算資源使用率を受信するものであってもよい。
NWDAFコントローラ13は、現在の計算資源使用率が高い順(計算資源効率が悪い順)から所定条件を満たす複数のNWDAF12を、検索候補とする。ここで、「所定条件」とは、所定率以下であるとする。即ち、所定率よりも高い計算資源使用率となるNWDAF12しか無い場合、検索候補を選択しない。一方で、所定率以下であって且つ計算資源使用率が最も高いNWDAFを、検索候補とするものであってもよい。
【0053】
(S22)次に、NWDAFコントローラ13は、検索候補となるNWDAF12の中から、
図4で前述した推論時間テーブル、収集時間テーブル、モデル取得テーブルを用いて、分析要求の所望待ち時間(expected waiting time)を満たすNWDAF12を選択する。
【0054】
NWDAFコントローラ13は、推論時間テーブルを用いて、分析要求期間の時間長(Analytics target period)に応じた推論時間が所望待ち時間以下となるNWDAF12を検索する。
推論時間 ≦ 所望待ち時間
ここで、NWDAF12が検索できない場合、エラーレスポンスをNFコンシューマ10へ返信する。このとき、NWDAFコントローラ13は、エラーレスポンスに、その推論時間をrevised waiting timeとして設定する。これによって、NFコンシューマ10は、revised waiting timeを考慮して、再度、分析要求を送信することもできる。
【0055】
(S23)次に、NWDAFコントローラ13は、推論時間と、収集時間テーブルを用いて分析要求期間の時間長(Analytics target period)に応じたデータ収集時間との和が、所望待ち時間以下となるNWDAF12を検索候補とする。
推論時間+データ収集時間 ≦ 所望待ち時間
NWDAF12が保有する学習モデルが、分析要求期間に基づくネットワークデータで訓練されていない場合、そのネットワークデータを、データソースから取得する必要がある。
【0056】
(S24)次に、NWDAFコントローラ13は、モデル取得テーブルを用いて、検索候補となるNWDAF12が当該分析項目に基づく学習モデル(学習モデル)を保持しているか否かを判定する。例えば前述した
図4によれば、モデル取得テーブルのNWDAF121は、分析項目αを分析可能の学習モデルCを保持していないとする。
このように保持していないと判定した場合、NWDAFコントローラ13は、学習モデルCを保持する複数の他のNWDAF12の中で、推論時間と、データ収集時間と、当該学習モデルの取得に要するモデル取得時間との和が、所望待ち時間以下となるNWDAFを検索候補とする。
推論時間+データ収集時間+モデル取得時間 ≦ 所望待ち時間
ここでは、NWDAF123(第2の分析機能サーバ)が、学習モデルCを保持しているとする。尚、NWDAF121が、学習モデルCを既に保持している場合、モデル取得時間は0となる。
NWDAF12が保有する学習モデルが、分析要求期間に基づくネットワークデータで訓練されていない場合、そのネットワークデータを取得しておく必要がある。
【0057】
S22~S24によって検索されたNWDAF12が複数ある場合、S21における計算資源使用率が最も低い(計算資源効率が最も悪い)NWDAF12が選択される。
一方で、S22~S24によって検索されたNWDAF12が無い場合、S21における計算資源使用率が最も低いNWDAF12が必要とする処理時間(=推論時間+データ収集時間+モデル取得時間)を、エラーレスポンスのrevised waiting timeに設定する。そして、NWDAFコントローラ13は、そのエラーレスポンスを、NFコンシューマ10へ返信する。
【0058】
(S25)NWDAFコントローラ13は、NWDAF12毎に、実行すべき分析項目の推論時間の時間帯をスケジュール管理する。即ち、同一のNWDAF12における複数の分析要求の処理タイミングをスケジューリングする。
NWDAFコントローラ13は、各分析項目の所望待ち時間以下となるように、各NWDAF12が実行すべき推論時間の時間帯を分割してスケジューリングするものであってもよい。具体的なスケジューリングについては、後述する
図7で説明する。
【0059】
(S26)NWDAFコントローラ13は、NWDAF123(第2の分析機能サーバ)へ、学習モデルCを、NWDAF121(第1の分析機能サーバ)へ送信するべく要求する「モデル取得要求」を送信する。これに対し、NWDAF123は、自ら保持する学習モデルCを、NWDAF121へ送信する。
【0060】
(S27)また、NWDAFコントローラ13は、データソースへ、分析要求期間のネットワークデータをNWDAF121(第1の分析機能サーバ)へ送信するべく要求する「ネットワークデータ要求」を送信する。これに対し、データソースは、NWDAF121へ、分析要求期間に応じたネットワークデータを送信する。
このとき、NWDAFコントローラ13は、データソースへ、分析要求期間のネットワークデータをNWDAF123(第2の分析機能サーバ)へ送信するべく要求するネットワークデータ要求を送信するものであってもよい。これに対し、データソースは、NWDAF123へ、分析要求期間に応じたネットワークデータを送信する。
【0061】
(S3)NWDAFコントローラ13は、NWDAF121(第1の分析機能サーバ)へ、「分析要求」を転送する。尚、NWDAFコントローラ13は、同一のNWDAF12へ複数の分析要求を送信する場合、その送信タイミングは、S25によってスケジューリングされた時点となる。
NWDAF121は、学習モデルにネットワークデータを入力して、推論処理を実行する。また、学習モデルは、そのネットワークデータによって再訓練するものであってもよい。
【0062】
尚、S26、S27,S3について、NWDAFコントローラ13は、以下の3つの要求メッセージを、同時並列に送信するものであってもよい。
他のNWDAF12へのモデル取得要求
データソースへのネットワークデータ要求
NWDAF12への分析要求
【0063】
(S4)分析要求を受信したNWDAF121(第1の分析機能サーバ)は、分析項目について、ネットワークデータから学習モデルを用いて推論処理を実行し、分析結果をコンシューマへ送信する。
また、NWDAF121は、分析完了通知を、NWDAFコントローラ13へ送信することも好ましい。分析完了通知には、推論時間、データ取得時間、モデル取得時間からなる処理時間も含まれる。これによって、NWDAFコントローラ13は、各テーブルを更新する。
【0064】
(S5)また、NWDAFコントローラ13は、NWDAF123(第2の分析機能サーバ)へ、自らの学習モデルを更新するべく「学習要求」を送信するものであってもよい。
これに対し、NWDAF123は、データソースから、分析要求期間のネットワークデータを受信し、自らの学習モデルを更新するべく訓練する。そして、NWDAF123は、NWDAFコントローラ13へ、訓練完了通知を送信する。分析完了通知には、訓練のための推論時間も処理時間として含まれる。これによって、NWDAFコントローラ13は、推論時間テーブルを更新する。
【0065】
図6は、本発明における分析制御機能サーバの機能構成図である。
【0066】
図6によれば、NWDAFコントローラ13は、分析要求受信部131と、計算資源使用率判定部132と、分析機能サーバ検索部133と、スケジューリング部134とモデル取得要求部135と、ネットワークデータ要求部136と、分析要求転送部137とを有する。これら機能構成部は、NWDAFコントローラに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。また、これら機能構成部の処理の流れは、分析制御方法としても理解できる。
【0067】
分析要求受信部131は、前述したS1と同様に機能する。
計算資源使用率判定部132は、前述したS21と同様に機能する。
分析機能サーバ検索部133は、前述したS22~S24と同様に機能する。
スケジューリング部134は、前述したS25と同様に機能する。
モデル取得要求部135は、前述したS26と同様に機能する。
ネットワークデータ要求部136は、前述したS3と同様に機能する。
【0068】
図7は、本発明の分析制御機能サーバにおける各分析制御サーバのスケジューリングの説明図である。
【0069】
(0秒)NWDAF12は、以下の2つの分析要求を受信したとする。
分析要求1:分析項目1
分析要求期間
所望待ち時間:50秒
処理時間:20秒
分析要求2:分析項目2
分析要求期間
所望待ち時間:70秒
処理時間:30秒
尚、「処理時間」とは、推論時間+データ収集時間+モデル取得時間を表す。
0秒時点では、最初に分析項目1について分析処理を開始し、次に分析項目2について分析処理を開始するべく、スケジューリングする。
【0070】
尚、3GPPの規格によれば、NWDAFは、NFコンシューマから受信した分析要求を、先入れ先出し(FIFO; First-In First-Out)で処理することとなっている。そのために、NWDAF12が、ほぼ同タイミングで分析項目1及び2の順に分析要求を受信した場合、FIFOに従うこととなる。
【0071】
(20秒)分析項目1について分析処理が終了する。そして、分析項目2について分析処理を開始する。
【0072】
(30秒)NWDAF12は、以下の分析要求を更に受信したとする。
分析要求3:分析項目3
分析要求期間
所望待ち時間:30秒
処理時間:20秒
このとき、分析項目2を分析処理した後(50秒時点)から分析項目3の分析処理を開始しようとすると、分析項目3の分析処理の終了は80秒時点となり、分析項目3の所望待ち時間30秒を満たすことができない。
そこで、分析項目3の所望待ち時間30秒を満たすべく、分析項目2を分割して処理するべく、スケジューリングする。具体的は、分析項目2の分析処理を40秒時点で一度中断し、分析項目3の分析処理を開始するように、スケジューリングする。
【0073】
(40秒)分析項目2の分析処理を一度中断する。そして、分析項目3の分析処理を開始する。
【0074】
(60秒)分析項目3について分析処理が終了する。そして、分析項目2について分析処理を再開する。
【0075】
(70秒)分析項目2について分析処理が終了する。
【0076】
図7のように分析処理を分割してスケジューリングすることによって、できる限り多くの分析要求における所望待ち時間(expected waiting time)を満たすことができる。勿論、スケジューリングを、更に所定のポリシーに従って、スケジューリングすることもできる。ポリシーは、モバイルコアのオペレータによって操作されるものであってもよい。
【0077】
また、NWDAFコントローラ13が、各NWDAF12のスケジューリングを実施することによって、NRF11とNWDAF12と間で、Supported Analytics Delayを更新する必要が無くなり、NRF11における更なる処理負荷の軽減とネットワークの輻輳の回避とにつながる。
【0078】
以上、詳細に説明したように、本発明の分析制御サーバを用いた分析方法、分析制御機能サーバ、プログラム及びコアシステムによれば、レポジトリ機能サーバの処理負荷を低減し、ネットワーク機能コンシューマからの分析要求における所望待ち時間をできる限り満たすことができる。
【0079】
尚、これにより、例えば「移動通信ネットワークのコアシステムにおける処理負荷を軽減することができる」ことから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0080】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0081】
10 NFコンシューマ、アプリケーション機能サーバ
11 NRF、レポジトリ機能サーバ
12 NWDAF、分析機能サーバ
13 NWDAFコントローラ、分析制御機能サーバ
131 分析要求受信部
132 計算資源使用率判定部
133 分析機能サーバ検索部
134 スケジューリング部
135 モデル取得要求部
136 ネットワークデータ要求部
137 分析要求転送部