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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129748
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】吊下装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 57/12 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
D06F57/12 D
D06F57/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039147
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100182349
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 誠治
(72)【発明者】
【氏名】麻井 博行
(72)【発明者】
【氏名】中野 安能
(57)【要約】
【課題】設置環境によらず利便性のよい吊下装置を提供する。
【解決手段】吊下装置100は、固定面に設けられた1又は2以上のハンガーレール170に沿って移動可能に吊下げ支持されるものであって、ハンガーレール170に沿って移動可能に設けられるランナ110と、ランナ110の下端が位置調整可能に連結されることでハンガーレール170に吊下げ支持され、物品を下方に吊下げ可能な本体部120と、を備えたことを特徴とする。かかる構成によれば、ランナの位置を調整できるため、レールを固定するための下地の位置によらず容易に吊下装置を設置することができる。結果として、設置環境によらず容易に設置可能な利便性のよい吊下装置を提供することができる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定面に設けられた1又は2以上のレールに沿って移動可能に吊下げ支持される吊下装置であって、
前記レールに沿って移動可能に設けられるランナと、
前記ランナの下端が位置調整可能に連結されることで前記レールに吊下げ支持され、物品を下方に吊下げ可能な本体部と、
を備えたことを特徴とする、吊下装置。
【請求項2】
前記本体部は、前記ランナに連結される第1バー材と、前記第1バー材の下方に配置され物品を下方に吊下げ可能な第2バー材と、を備え、前記ランナは前記第1バー材の長手方向に位置調整可能であることを特徴とする、請求項1に記載の吊下装置。
【請求項3】
前記本体部は、前記第1バー材及び前記第2バー材を連結する少なくとも1つ以上の第3バー材と、を有することを特徴とする、請求項2に記載の吊下装置。
【請求項4】
前記本体部は、前記第1バー材及び前記第2バー材の長手方向両端部を一対の前記第3バー材で連結することにより構成される枠体であることを特徴とする、請求項3に記載の吊下装置。
【請求項5】
前記本体部の前後の一方の面から突出部が突出しており、他方の面には前記突出部が嵌合する嵌合溝部が形成されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の吊下装置。
【請求項6】
前記第3バー材は、上下方向に伸縮可能であることを特徴とする、請求項3又は4に記載の吊下装置。
【請求項7】
前記第1バー材は、長手方向に沿って上方が開口するように形成された溝部を有し、
前記ランナの下端は、前記溝部に沿って摺動可能且つ固定可能に前記第1バー材に連結されることを特徴とする、請求項2~4のいずれかに記載の吊下装置。
【請求項8】
前記ランナの下端には、前記溝部に対して摺動自在に係合する係合部が形成されることを特徴とする、請求項7に記載の吊下装置。
【請求項9】
前記第2バー材は、長手方向に沿って下方が開口するように形成された溝部と、前記溝部に沿って摺動可能に設けられ、前記物品を下方に吊下げ可能に構成される少なくとも1つ以上の吊下げ部と、を有することを特徴とする、請求項2に記載の吊下装置。
【請求項10】
前記ランナは、前記本体部に対して移動自在に連結されることを特徴とする、請求項1に記載の吊下装置。
【請求項11】
前記本体部の何れかの位置に設けられ、前記本体部を前記レールに沿って移動操作可能な操作部材を更に備え、前記本体部は、非操作状態の前記操作部材を保持可能な保持部、又は非操作状態の前記操作部材を収容する収容部を有することを特徴とする、請求項1に記載の吊下装置。
【請求項12】
前記レールは、前記ランナの前後方向への移動をガイドする複数の前後レールと、前記複数の前後レールと連結され、前記ランナの左右方向への移動をガイドする左右レールと、を含んで構成されることを特徴とする、請求項1に記載の吊下装置。
【請求項13】
前記前後レールは、左右方向に並設されることを特徴とする、請求項12に記載の吊下装置。
【請求項14】
複数の前記本体部が前記レールに沿って移動可能に吊下げられることを特徴とする、請求項1に記載の吊下装置。
【請求項15】
複数の前記本体部は前記レールに沿って前後方向に重ねて吊下げ可能であることを特徴とする、請求項14に記載の吊下装置。
【請求項16】
複数の前記本体部は前記レールに沿って左右方向に並べて吊下げ可能であることを特徴とする、請求項14又は15に記載の吊下装置。
【請求項17】
前記本体部の内側にはエアコンが配置され、前記本体部が前記エアコンの吹き出し口の前後方向に移動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の吊下装置。
【請求項18】
前記本体部が高窓の前方に前後方向に移動可能に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の吊下装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊下装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレールに沿って移動可能に吊下げられる吊下装置としては、特許第6495605号公報(特許文献1)に示されるものがある。同文献に示される吊下装置は、物干し部材に洗濯物を取り付けるための取付位置と洗濯物を干すための物干し位置との間で、物干し部材を移動可能に支持する移動機構を備えている。また、移動機構は、取付位置から物干し位置に亘って形成される一対のレールと、一対のレールに沿って往復移動可能な一対のローラと、一対のローラが取り付けられる支持部材とを備えている。
【0003】
このような吊下装置によれば、洗濯物の位置を移動させて簡単に干すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6495605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されるような従来の吊下装置は、設置環境によっては吊下装置の設置が困難であったり、操作部が邪魔になったりする等、利便性の面で課題があった。
【0006】
そこで本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、設置環境によらず利便性のよい吊下装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によれば、固定面に設けられた1又は2以上のレールに沿って移動可能に吊下げ支持される吊下げ装置であって、前記レールに沿って移動可能に設けられるランナと、前記ランナの下端が位置調整可能に連結されることで前記レールに吊下げ支持され、物品を下方に吊下げ可能な本体部と、を備えたことを特徴とする、吊下装置が提供される。
【0008】
かかる構成によれば、ランナの位置を調整できるため、レールを固定するための下地の位置によらず容易に吊下装置を設置することができる。結果として、設置環境によらず容易に設置可能な利便性のよい吊下装置を提供できる。
【0009】
また、本発明の応用例として様々なものが考えられる。例えば、前記本体部は、前記ランナに連結される第1バー材と、前記第1バー材の下方に配置され物品を下方に吊下げ可能な第2バー材と、を備え、前記ランナは前記第1バー材の長手方向に位置調整可能であってもよい。かかる構成によれば、第1バー材の長手方向においてランナの位置を調整できるため、レールを固定するための下地の位置によらず容易に吊下装置を設置することができる。結果として、設置環境によらず容易に設置可能な利便性のよい吊下装置を提供できる。
【0010】
また、前記本体部は、前記第1バー材及び前記第2バー材を連結する少なくとも1つ以上の第3バー材と、を有するようにしてもよい。かかる構成によれば、設置環境や使用状況などに応じて第3バー材によって第1バー材と第2バー材を任意の位置で連結ことができる。よって、設置環境によらず容易に設置可能な利便性のよい吊下装置を提供できる。
【0011】
また、前記本体部は、前記第1バー材及び前記第2バー材の長手方向両端部を一対の前記第3バー材で連結することにより構成される枠体であってもよい。かかる構成によれば、耐荷重に優れ、物品を安定して多数吊下げることが可能な本体部を構成できる。また、複数の吊下装置を並べて連装する場合にも有利である。
【0012】
また、前記本体部の前後の一方の面から突出部が突出しており、他方の面には前記突出部が嵌合する嵌合溝部が形成されていてもよい。かかる構成によれば、複数の本体部を重ねて配置する場合、一方の本体部の突出部を他方の本体部の嵌合溝部に嵌合させることができるため、複数の本体部がバラバラになることなく格納することができる。
【0013】
また、前記第3バー材は、上下方向に伸縮可能であるようにしてもよい。かかる構成によれば、使用者の体格や、吊下げ支持される物品の大きさ、設置場所など、様々な状況に応じて第3バー材の高さ位置を変えることができる。
【0014】
また、前記第1バー材は、長手方向に沿って上方が開口するように形成された溝部を有し、前記ランナの下端は、前記溝部に沿って摺動可能且つ固定可能に前記第1バー材に連結されるようにしてもよい。かかる構成によれば、ランナの位置を調整できるため、レールを固定するための下地の位置によらず容易に吊下装置を設置することができる。結果として、設置環境によらず容易に設置可能な利便性のよい吊下装置を提供できる。
【0015】
また、前記ランナの下端には、前記溝部に対して摺動自在に係合する係合部が形成されてもよい。かかる構成によれば、ランナの位置を調整できるため、レールを固定するための下地の位置によらず容易に吊下装置を設置することができる。結果として、設置環境によらず容易に設置可能な利便性のよい吊下装置を提供できる。
【0016】
また、前記第2バー材は、長手方向に沿って下方が開口するように形成された溝部と、前記溝部に沿って摺動可能に設けられ、前記物品を下方に吊下げ可能に構成される少なくとも1つ以上の吊下げ部と、を有するようにしてもよい。かかる構成によれば、物品の吊下位置を第2バー材の長手方向に沿って容易に調整することができる。また、第2バー材にカーテンレール又はピクチャーレールとしての機能を担わせることもできる。
【0017】
また、前記ランナは、前記本体部に対して移動自在に連結されるようにしてもよい。かかる構成によれば、異なる幅のレールが連結されていても、変化するレールの幅に応じてランナの間隔も変更されるため、吊下装置を設置する自由度を増すことができる。
【0018】
また、前記本体部の何れかの位置に設けられ、前記本体部を前記レールに沿って移動操作可能な操作部材を更に備え、前記本体部は、非操作状態の前記操作部材を保持可能な保持部、又は非操作状態の前記操作部材を収容する収容部を有するようにしてもよい。かかる構成によれば、操作部材が吊下装置から下方に垂れ下がったままとなり、居住者の移動の邪魔になることを回避することができ、設置環境によらず操作性が良好な利便性のよい吊下装置を提供できる。
【0019】
また、前記レールは、前記ランナの前後方向への移動をガイドする複数の前後レールと、前記複数の前後レールと連結され、前記ランナの左右方向への移動をガイドする左右レールと、を含んで構成されるようにしてもよい。かかる構成によれば、吊下装置をレールに沿って前後左右に移動させることができるため、室内のレイアウトに応じて幅広い用途に利用することができる。
【0020】
また、前記前後レールは、左右方向に並設されるようにしてもよい。かかる構成によれば、左右に並設される前後レールの間隔に応じてランナの位置を調整しながら吊下装置を設置できるため、施工において特に有利となる。
【0021】
また、複数の前記本体部が前記レールに沿って移動可能に吊下げられるようにしてもよい。かかる構成によれば、複数の本体部を同時に使用することができるため、例えば、多くの洗濯物を干すことができたり、本体部毎に絵や写真など別々のものを吊下げたりすることができる。
【0022】
また、複数の前記本体部は前記レールに沿って前後方向に重ねて吊下げ可能であってもよい。かかる構成によれば、本体部を使用していないときに、複数の本体部をコンパクトに、外観が良く格納することができる。
【0023】
また、前記本体部の内側にはエアコンが配置され、前記本体部が前記エアコンの吹き出し口の前後方向に移動可能であってもよい。かかる構成によれば、本体部をエアコンの前方まで引き出し、本体部に洗濯物を干すことにより、エアコンの風を洗濯物の乾燥に利用することができる。
【0024】
また、前記本体部が高窓の前方に前後方向に移動可能に配置されてもよい。かかる構成によれば、本体部を前方まで引き出すと高窓を開くことができるため、高窓の開閉に支障をきたすことなく吊下装置を高窓の位置に設置することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、設置環境によらず利便性のよい吊下装置を提供することが可能である。本発明のその他の効果については、後述する発明を実施するための形態においても説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1の実施形態の吊下装置100の全体構成を示す正面図である。
図2】吊下装置100の断面図である。
図3】吊下装置100の上部の縦断面図である。
図4】ランナ110の部分断面図である。
図5】縦枠150(第3バー材)を説明するための図であり、(a)は縦枠150の上部の部分断面図であり、(b)は縦枠150の水平断面図である。
図6】2つの本体部120-1、120-2を重ねて配置した状態を示す部分断面平面図である。
図7】下地GRの位置に合わせてハンガーレール170を固定し、ランナ110の位置を調整した状態を示す断面図であり、(a)は、ランナ110が上枠130(第1バー材)の端部に近い状態を示し、(b)は、ランナ110が上枠130の端部から遠い状態を示す。
図8】本体部120の移動領域を示す側断面図である。
図9】本体部120の前後方向の移動を説明するための図であり、(a)は概略平面図であり、(b)は斜視図である。
図10】2つの本体部120-1、120-2の使用状態を示す側断面図である。
図11】第2の実施形態の吊下装置200を説明するための図であり、(a)は概略平面図であり、(b)は斜視図である。
図12】第3の実施形態を説明するための図であり、(a)は概略平面図であり、(b)は斜視図である。
図13】第4の実施形態を説明するための図であり、(a)は概略平面図であり、(b)は斜視図である。
図14】第1展開部472から第2展開部473までの本体部120の移動を示す概略平面図である。
図15】第4の実施形態の変形例を示す概略平面図である。
図16】第5の実施形態を説明するための図であり、(a)は格納状態を示す斜視図であり、(b)は使用状態を示す斜視図である。
図17】第6の実施形態を説明するための図であり、(a)は高窓HWに近接させた状態を示す斜視図であり、(b)は高窓HWから離間させた状態を示す斜視図である。
図18】第7の実施形態の吊下装置700を説明するための図であり、(a)は正面図であり、(b)は部分断面図である。
図19】第8の実施形態の吊下装置800を説明するための部分断面図である。
図20】第8の実施形態の操作棒845の状態を説明するための正面図であり、(a)は操作棒845(操作部材)を吊下げた状態を示し、(b)は操作棒845を収納した状態を示す。
図21】第9の実施形態の吊下装置900を説明するための正面図であり、(a)は操作棒954(操作部材)を吊下げた状態を示し、(b)は操作棒954を収納した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0028】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。まず、本実施形態に係る吊下装置100の全体構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の吊下装置100の全体構成を示す正面図である。
【0029】
吊下装置100は、図1に示したように、建物の天井CE(固定面)に設けられた複数のハンガーレール170(レール)に沿って移動可能に吊下げ支持される。吊下装置100は、ハンガーレール170に沿って移動可能に設けられるランナ110と、ランナ110の下端が位置調整可能に連結されることでハンガーレール170に吊下げ支持され、物品を下方に吊下げ可能な本体部120と、を備えて構成される。なお、各実施形態において、ハンガーレールは1本に構成されたものとしてもよく、複数本を連接して1本に構成されたものとしてもよい。以下、各構成要素について説明する。
【0030】
(ハンガーレール170)
ハンガーレール170は、ランナ110を介して本体部120を移動可能に吊下げるものである。ハンガーレール170は、図1に示したように、本体部120の荷重を支持するために、建物の天井CEの下地GRが設けられている部分に沿って固定される。2本のハンガーレール170は、平行に走る2本の下地GRに沿って平行に取り付けられる。ハンガーレール170には、ランナ110を介して本体部120が移動可能に吊下げられる。
【0031】
(ランナ110)
ランナ110は、ハンガーレール170に本体部120を移動可能に吊下げるものである。ランナ110について、図1に加えて、図2図4を参照しながら説明する。図2は、吊下装置100の断面図である。図3は、吊下装置100の上部の縦断面図である。図4は、ランナ110の部分断面図である。ランナ110は、本体部120をハンガーレール170に沿って移動可能に吊下げるものである。ランナ110の下端は、本体部120の上端の2か所に連結されている。2つのランナ110の間隔は、ハンガーレール170の間隔に調整されている。
【0032】
ランナ110は、図2に示したように、ハンガーレール170内に走行可能に収容されており、下方に吊ボルト111が突出している。吊ボルト111には、後述する上枠130(第1バー材)へのランナ110の取付高さを調整するための操作部となる調整軸部111aを有する。吊ボルト111には、図4に示したように、ナット112が螺合しており、ワッシャ113を介してナット112の下方で上部受けプレート114に形成された孔部114aを挿通しており、ナット112は上部受けプレート114の上方への移動を規制する。上部受けプレート114を挿通した吊ボルト111の先端は、上部受けプレート114の下方に間隔を空けて配置される下部受けプレート115(係合部)に形成された雌ネジ115aに螺合する。
【0033】
上部受けプレート114と下部受けプレート115は、図2に示したように、上枠130の上端に形成されている上枠溝部131を上下方向から挟み付けて取り付けられる。調整軸部111aを操作することによって下部受けプレート115に対する螺合位置を変えることによって、ハンガーレール170に対する本体部120の吊下げ高さを変えることができる。
【0034】
上部受けプレート114と下部受けプレート115は、図3に示したように、本体部120の長手方向に延伸して構成されている。上部受けプレート114と下部受けプレート115の延伸した先端近傍には、調整ボルト116が設けられる。調整ボルト116は、図4に示したように、ワッシャ117を介して、上部受けプレート114に形成された孔部114bを挿通し、下部受けプレート115に形成された雌ネジ115bに螺合する。
【0035】
調整ボルト116で下部受けプレート115を締め付けることで、上部受けプレート114と下部受けプレート115が上枠130の上枠溝部131を挟持して、ランナ110は上枠130に固定される。調整ボルト116による下部受けプレート115の締付けを緩めると、上部受けプレート114と下部受けプレート115の上枠溝部131に対する挟持が解除されて、図3の矢印aに示したように、ランナ110は上枠130の長手方向に移動可能になる。
【0036】
(本体部120)
本体部120は、物品を下方に吊下げ可能なものである。本体部120は、図1に示したように、ランナ110に連結される上枠130(第1バー材)と、上枠130の下方に配置され物品を下方に吊下げ可能な下枠140(第2バー材)と、上枠130及び下枠140の長手方向両端部を連結する一対の縦枠150(第3バー材)と、を備える方形枠状に構成されている。
【0037】
(上枠130)
上枠130は、ランナ110に連結されるものである。上枠130には、図1に示したように、2つのランナ110の下端が長手方向に位置調整可能に連結されている。上枠130は、図2に示したように、長手方向に沿って上方が開口するように形成された上枠溝部131を有する。上枠溝部131には、上部受けプレート114と下部受けプレート115が収容される。
【0038】
上枠溝部131の上部には平面状の載置面131aが形成されており、載置面131aには上部受けプレート114が載置される。上枠溝部131の下部には平面状の係止面131bが形成されており、下部受けプレート115が下方から係止される。上枠130には、係止面131bから下部受けプレート115の厚み分下方に支持部131cが突出して形成されている。下部受けプレート115は、係止面131bと支持部131cの間に配置されて、上下方向の移動が規制される。
【0039】
上枠130の上端からは、図2及び図3に示したように、目隠し材160がハンガーレール170の方向に突出している。目隠し材160は、略L字状に形成されている。目隠し材160の下辺が、上枠130の上枠溝部131の背面に形成された凹部に嵌合して取り付けられている。
【0040】
(下枠140)
下枠140は、上枠130の下方に配置され物品を下方に吊下げ可能なものである。下枠140は、図1に示したように、一対の縦枠150の下端部近傍に一対の縦枠150を連結するように設けられる。下枠140は、図2に示したように、側断面において、上下の両面が略円弧状に構成された両端部を直線で連結した形状をしている。上下の略円弧状の頂点部には、上溝部141と下溝部142(溝部)が形成されている。上溝部141は、下枠140の長手方向に沿って上方が開口するように形成されている。また、下溝部142は、下枠140の長手方向に沿って下方が開口するように形成されている。
【0041】
(縦枠150)
縦枠150は、上枠130及び下枠140の長手方向両端部を連結するものである。縦枠150は、図1に示したように、上枠130と下枠140の両端部に連結されるように構成される。縦枠150の一方の側辺には、図2に示したように、上下方向全長にわたって緩衝材151が突出して設けられている。
【0042】
縦枠150の構成について、図5を参照しながらさらに詳しく説明する。図5は、縦枠150を説明するための図であり、(a)は縦枠150の上部の部分断面図であり、(b)は縦枠150の水平断面図である。縦枠150の一方の側部には、図5に示したように、側面よりも内部が広がった開口を有する緩衝材連結部152が縦枠150の上下方向全長にわたって形成されている。緩衝材連結部152の上下端部には、縦枠150の上下端面の周面に沿った形状のキャップ153a、153bが嵌合している。また、縦枠150の他方の側部も、緩衝材連結部152と同形状に形成されて、緩衝材嵌合部154が構成されている。
【0043】
緩衝材151は、図5に示したように、円弧状の連結部151aと略三角形状の突出部151bによって構成されている。緩衝材151は、弾性変形可能な素材によって構成されており、連結部151aが弾性変形によって緩衝材連結部152に収容され、突出部151bが緩衝材連結部152から突出して縦枠150に取り付けられる。連結部151aは緩衝材連結部152の開口よりも大きいため、縦枠150から脱落することが規制されている。
【0044】
緩衝材151が緩衝材嵌合部154に嵌合した状態を、図6を参照しながら説明する。図6は、2つの本体部120-1、120-2を重ねて配置した状態を示す部分断面平面図である。2つの本体部120-1、120-2には、図6に示したように、緩衝材151-1、151-2と緩衝材嵌合部154-1、154-2がそれぞれ設けられている。2つの本体部120-1、120-2を重ねて配置した際、一方の本体部120-1の緩衝材151-1の突出部151b-1が他方の本体部120-2の緩衝材嵌合部154-2に挿入されて嵌合する。よって、一方の本体部120-1と他方の本体部120-2が一体化して、容易に離間することがない。このとき、一方の本体部120-1と他方の本体部120-2は、一方の本体部120-1の縦枠150-1の側面と他方の本体部120-2の縦枠150-2の側面とが面接触して、隙間なく重なり合う。
【0045】
以上、吊下装置100の構成について説明した。次に、下地GRの位置に合わせてハンガーレール170の位置を変更した場合のランナ110の位置を調整した例について、図7を参照しながら説明する。図7は、下地GRの位置に合わせてハンガーレール170を固定し、ランナ110の位置を調整した状態を示す断面図であり、(a)は、下地GRが上枠130の端部に近い位置に配置されている状態を示し、(b)は、下地GRが上枠130の端部から遠い位置に配置されている状態を示す。
【0046】
天井CEの所望の位置に吊下装置100を設置するにあたって、本体部120に対して下地GRの位置が上枠130の端部に近い位置にある場合、図7(a)に示したように、ハンガーレール170は、上枠130の端部に近い位置に取り付けられるため、ランナ110は、上枠130の端部に近い位置に固定される。
【0047】
一方、本体部120に対して下地GRの位置が上枠130の端部から遠い位置にある場合、図7(b)に示したように、ハンガーレール170は、上枠130の端部から遠い位置に取り付けられる。よって、ランナ110の上枠130への取付位置を変更する。ランナ110は、図3に示した前述のように、調整ボルト116と下部受けプレート115の締付けを緩め、更にナット112を緩めることで上部受けプレート114と下部受けプレート115の上枠溝部131に対する挟持を解除し、ランナ110を上枠130の長手方向に移動可能な状態にする。そして、図7(b)の矢印bに示したように、ランナ110を本体部120の端部から遠い位置に移動させて調整ボルト116及びナット112により下部受けプレート115を締め付けて固定する。
【0048】
次に、吊下装置100の動作について、図8及び図9を参照しながら説明する。図8は、吊下装置100の移動領域を示す側断面図である。図9は、吊下装置100の前後方向の移動を説明するための図である。吊下装置100は、図8及び図9(a)の矢印cに示したように、壁WA際の格納位置と壁WAから離れたハンガーレール170の先端の位置との間で移動可能である。吊下装置100は、ハンガーレール170の所望の位置に配置し、使用することができる。
【0049】
次に、吊下装置100の使用状態ついて、図10を参照しながら説明する。図10は、2つの本体部120-1、120-2の使用状態を示す側断面図である。壁WAから遠い位置にある本体部120-1を、図10に示したように、ハンガーレール170の先端まで移動させて、下枠140の上面に衣類用ハンガーCHを吊下げて使用する。また、壁WA際にある本体部120-2は、ハンガーレール170に沿って移動可能であり、本体部120-2が壁WAに当接したときに、緩衝材151が壁WAの破損や衝撃を緩和する役割を果たす。本体部120-2は、下枠140の下溝部142に沿って摺動可能に設けられ、物品を下方に吊下げ可能に構成されるフック143(吊下げ部)を有する。下枠140の下溝部142にフック143の係合部144を係合し、フック143に絵画や写真OBを吊下げる。このようにして、吊下装置100をピクチャーレールとしても使用することができる。
【0050】
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、上枠130の長手方向においてランナ110の位置を調整できるため、ハンガーレール170を固定するための下地GRの位置によらず容易に吊下装置100を設置することができる。結果として、設置環境によらず容易に設置可能な利便性のよい吊下装置100を提供できる。
【0051】
また、設置環境や使用状況などに応じて縦枠150によって上枠130と下枠140を任意の位置で連結することができる。よって、設置環境によらず容易に設置可能な利便性のよい吊下装置100を提供できる。
【0052】
また、本体部120を枠体とすることによって、耐荷重に優れ、物品を安定して多数吊下げることが可能な本体部120を構成できる。また、複数の吊下装置100を並べて連装する場合にも有利である。
【0053】
また、縦枠150の前後の一方の面から緩衝材151の突出部151bが突出しており、他方の面には緩衝材151が嵌合する緩衝材嵌合部154が形成されているため、複数の本体部120を重ねて配置する場合、一方の本体部120の緩衝材151を他方の本体部120の緩衝材嵌合部154に嵌合させることができる。よって、複数の本体部120がバラバラになることなく格納することができる。なお、本実施形態では、緩衝材151及び緩衝材嵌合部154を縦枠150に設けたが、上枠130又は下枠140に設けることもできる。
【0054】
また、ランナ110の下端を上枠130の溝部に沿って摺動可能且つ固定可能に連結したことにより、ランナ110の位置を容易に調整できる。このため、レールを固定するための下地の位置によらず容易に吊下装置100を設置することができる。結果として、設置環境によらず容易に設置可能な利便性のよい吊下装置100を提供できる。
【0055】
また、ランナ110の下端には、上枠溝部131に対して摺動自在に係合する下部受けプレート115が形成されているため、ランナ110の位置を調整できる。よって、ハンガーレール170を固定するための下地の位置によらず容易に吊下装置100を設置することができる。結果として、設置環境によらず容易に設置可能な利便性のよい吊下装置100を提供できる。
【0056】
また、下枠140の下溝部142と、下溝部142に沿って摺動可能なフック143と、を有するため、吊下げる物品の吊下位置を下枠140の長手方向に沿って容易に調整することができる。
【0057】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について説明する。まず、本実施形態に係る吊下装置200の構成について、図11を参照しながら説明する。図11は、第2の実施形態の吊下装置200を説明するための図であり、(a)は概略平面図であり、(b)は斜視図である。本実施形態は、上記第1の実施形態とは、ハンガーレール270の構成が異なるものであり、その他の点は第1の実施形態と同様である。本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0058】
ハンガーレール270は、図11に示したように、複数の本体部120が前後に重なるように配置されて格納される格納部271と、複数の本体部120を壁WAに平行に並設して展開可能とする展開部272と、を構成する。
【0059】
格納部271は、図11に示したように、2本のハンガーレール270(前後レール)が壁WAに対して垂直方向に突出するように平行に配置されて構成される。格納部271を構成する2本のハンガーレール270は、ランナ110の前後方向への移動をガイドする。
【0060】
展開部272は、1本のハンガーレール270(左右レール)、又は複数のハンガーレール270が直線状に連続するように格納部271の先端から壁WAと平行に延びるように配置されて構成される。展開部272を構成する1本のハンガーレール270は、ランナ110の左右方向への移動をガイドする。格納部271と展開部272は、ランナ110が相互に移動可能である。
【0061】
以上、吊下装置200の構成について説明した。以下、吊下装置200の動作について説明する。格納部271に格納されている本体部120を展開部272に吊下げる場合、まず、展開部272の最も近くに配置されている本体部120を格納部271の先端に連結されている展開部272まで前方に移動させる。その後、展開部272に沿って横方向に移動させる。この動作を繰り返すことによって、3つの本体部120を壁WAに平行に吊下げることができる。
【0062】
次に、本体部120を格納部271に格納する場合は、格納部271に最も近い本体部120を展開部272の格納部271側端部まで横方向に移動させる。その後、格納部271において本体部120を壁WA側端部まで後方に移動させる。この動作を繰り返すことによって、3つの本体部120を格納部271に格納することができる。
【0063】
なお、本実施形態においては、3つの本体部120を用いる例について説明したが、本体部の数は任意に設計することができる。
【0064】
(第2の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、吊下装置200をハンガーレール270に沿って前後左右に移動させることができるため、必要な数の本体部120を室内のレイアウトに応じて展開し、幅広い用途に利用することができる。
【0065】
また、左右方向に複数の本体部120を並べることができるため、カーテンなど、大きなものも容易に吊下げることができる。
【0066】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について説明する。まず、本実施形態に係る吊下装置300の構成について、図12を参照しながら説明する。図12は、第3の実施形態の吊下装置300を説明するための図であり、(a)は概略平面図であり、(b)は斜視図である。本実施形態は、上記第2の実施形態とは、ハンガーレール370の構成が異なるものであり、その他の点は第2の実施形態と同様である。本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0067】
ハンガーレール370は、図12に示したように、第2の実施形態と同様に、複数の本体部120が前後に重なるように配置されて格納される格納部371と、複数の本体部120を壁WAに平行に並設して展開可能とする展開部372と、を構成し、さらに、格納部371とは左右方向に重ならない位置で並設され、複数の本体部120を前後に配置可能とする前後方向吊下げ部373を構成する。本実施形態では、2つの本体部120を用いる例について説明するが、本体部120の数は任意に設計することができる。
【0068】
格納部371は、図12に示したように、第2の実施形態の格納部271と同様の構成であり、展開部372は、第2の実施形態の展開部272の約半分の長さに構成されているが、設置環境に応じて長さは任意である。前後方向吊下げ部373は、展開部372から2本のハンガーレール370(前後レール)が垂直方向に突出するように平行に配置されて構成されている。前後方向吊下げ部373は、格納部371よりも前後方向の長さが長く、複数の本体部120を間隔を開けて吊下げることが可能である。また、前後方向吊下げ部373において、格納部371と同様に、複数の本体部120が前後に重なるように配置して格納することも可能である。
【0069】
以上、吊下装置300の構成について説明した。以下、吊下装置300の動作について説明する。格納部371に格納されている本体部120を展開部372に吊下げるまでの動作は、第2の実施形態と同様であるため、説明を省略する。ここでは、展開部372から前後方向吊下げ部373に吊下げる場合について説明する。
【0070】
展開部372から前後方向吊下げ部373に本体部120を移動させる場合、図12(a)に示したように、本体部120を展開部372の先端まで横方向に移動させる。この後、本体部120を前後方向吊下げ部373に沿って前方に移動させることによって、本体部120を前後方向吊下げ部373の所望の位置に吊下げることができる。この動作を次の本体部120にも行うことにより、2つの本体部120を前後方向吊下げ部373に吊下げることができる。なお、展開部372から前後方向吊下げ部373に本体部120を移動させる場合、図12(a)において2点鎖線で示した通り(本体部120の移動後の状態を本体部120’として示す)、本体部120が展開部372に対して垂直となるように各々の前後方向吊下げ部373に吊下げることもできる。なお、このように本体部120を展開部372に対して垂直となるように移動させる方法については、後述する第4の実施形態(図14及び図15参照)で詳述する。
【0071】
次に、本体部120を格納部371に格納する場合は、展開部372に最も近い本体部120を展開部372まで後方に移動させる。その後、展開部372を横方向に移動させて、第2の実施形態と同様に格納部371に吊下げて格納する。この動作を次の本体部120にも行うことにより、2本の本体部120を格納部371に格納することができる。
【0072】
(第3の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、左右に並設される2本のハンガーレール370の間隔に応じてランナ110の位置を調整しながら吊下装置300を設置できるため、施工において特に有利となる。
【0073】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態について説明する。まず、本実施形態に係る吊下装置400の構成について、図13を参照しながら説明する。図13は、第4の実施形態の吊下装置400を説明するための図であり、(a)は概略平面図であり、(b)は斜視図である。本実施形態は、上記第2の実施形態とは、ハンガーレール470の構成が異なるものであり、その他の点は第2の実施形態と同様である。本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0074】
ハンガーレール470は、図13に示したように、2つの壁WA1、WA2に沿って構成される。一方の壁WA1側において、ハンガーレール470は、第2の実施形態と同様に、複数の本体部120が前後に重なるように配置されて格納される格納部471と、複数の本体部120を壁WAに平行に並設して展開可能とする第1展開部472と、を構成する。さらに、本実施形態では、ハンガーレール470は、複数の本体部120を他方の壁WA2に平行に並設して展開可能とする第2展開部473を構成する。本実施形態では、2つの本体部120を用いる例について説明するが、本体部120の数は任意に設計することができる。
【0075】
格納部471は、図13に示したように、第2の実施形態の格納部271と同様の構成であり、第1展開部472は、第2の実施形態の展開部272の約半分の長さに構成されているが、設置環境に応じて長さは任意である。第2展開部473は、第1展開部472の先端から直角に屈曲して他方の壁WA2に沿って平行に延びるように構成されている。第2展開部473は、1つの本体部120を吊下げ可能な長さとなっているが、複数の本体部120を吊下げ可能な長さとすることもできる。
【0076】
以上、吊下装置400の構成について説明した。以下、吊下装置400の動作について、図13に加えて図14を参照しながら説明する。格納部471に格納されている本体部120を第1展開部472に吊下げるまでの動作は、第2の実施形態と同様であるため、説明を省略する。ここでは、第1展開部472から第2展開部473に吊下げる場合について説明する。
【0077】
第1展開部472から第2展開部473に本体部120を移動させる場合、図14の(1)に示したように、本体部120を第1展開部472の先端まで横方向に移動させる。この後、図14の(2)から(6)に示した順に、本体部120の左側のランナ110を第1展開部472に沿って先端方向に移動させるとともに、右側のランナ110を第2展開部473に沿って先端方向に移動させながら、左右の両ランナ110が第2展開部473に配置されるまで本体部120を時計方向に転回させる。よって、本体部120が第2展開部473に沿って移動可能となるため、本体部120を第2展開部473の所望の位置に吊下げることができる。
【0078】
次に、本体部120を格納部471に格納する場合は、第2展開部473に吊下げられている本体部120を展開する方向とは逆方向、すなわち、図14の(6)から(1)に示した順に回転させながら動かす。そして、本体部120を第1展開部472に配置させた後、第2の実施形態と同様に移動させて格納部471に吊下げて格納する。この動作を次の本体部120にも行うことにより、2つの本体部120を格納部471に格納することができる。
【0079】
(第4の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、ハンガーレール470を2つの壁WA1、WA2に沿って配置し、2つの展開部472、473を構成したことによって、本体部120を太陽の位置に合わせて移動させることができる。よって、例えば、本体部120に、ブラインドやカーテンを吊下げ、2つの展開部472、473を相互に移動させると、遮光、採光を所望の状態に切り替えることができる。また、洗濯物を吊り下げる場合には、太陽位置に合わせて洗濯物を干す位置や向きを切り替えることができる。
【0080】
(第4の実施形態の変形例)
本発明の第4の実施形態の変形例について、図15を参照しながら説明する。図15は、第4の実施形態の変形例を示す概略平面図である。本変形例は、第1展開部472が格納部471の幅に構成されており、格納部471の一方のハンガーレール470が第2展開部473に連通するように構成されている。このような構成により、格納部471から第1展開部472に移動させた本体部120を、回転させながら第2展開部473に移動させることができる。よって、本体部120は、格納部471から取り出して直ぐに第2展開部473に吊下げることができる。
【0081】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態について説明する。まず、本実施形態に係る吊下装置500の構成について、図16を参照しながら説明する。図16は、第5の実施形態を説明するための図であり、(a)は格納状態を示す斜視図であり、(b)は使用状態を示す斜視図である。本実施形態は、上記第1の実施形態とは、吊下装置500の設置箇所を明示した点が異なるものであり、その他の点は第1の実施形態と同様である。本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0082】
吊下装置500は、図16に示したように、エアコンACの設置箇所に取り付けられる。吊下装置500の構成は第1の実施形態の吊下装置100と同様であるが、本実施形態では、エアコンACの設置箇所に取り付けられる大きさに設定されている。すなわち、本体部520は、枠内にエアコンACが配置可能な大きさに構成されている。一対のハンガーレール570は、エアコンACの上方においてエアコンACの幅と略同じ間隔で配置されているが、エアコンACの幅よりも大きな間隔でも小さな間隔でも配置することができる。本体部520は、ハンガーレール570に1つ吊下げられているが、複数吊下げることもできる。
【0083】
以上、吊下装置500の構成について説明した。以下、吊下装置500の動作について、図16を参照しながら説明する。本体部520は、図16(a)に示したように、格納時には、ハンガーレール570の壁に最も近い端部に吊下げられる。よって、本体部520は、エアコンACの壁に最も近い位置において、枠内にエアコンACが配置されて吊下げられる。使用時には、図16(b)に示したように、本体部520は、ハンガーレール570に沿ってエアコンACの前方まで引き出される。このようにエアコンACの前方まで引き出された本体部520に洗濯物を干すことにより、エアコンACの風を洗濯物の乾燥に利用することができる。
【0084】
(第5の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、本体部520は、枠内にエアコンACが配置され、エアコンACの前方まで引き出されるため、引き出された本体部520に洗濯物を干すことにより、エアコンACの風を洗濯物の乾燥に利用することができる。
【0085】
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態について説明する。まず、本実施形態に係る吊下装置600の構成について、図17を参照しながら説明する。図17は、第6の実施形態を説明するための図であり、(a)は高窓HWに近接させた状態を示す斜視図であり、(b)は高窓HWから離間させた状態を示す斜視図である。本実施形態は、上記第1の実施形態とは、吊下装置600の設置箇所を明示した点が異なるものであり、その他の点は第1の実施形態と同様である。本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0086】
吊下装置600は、図17に示したように、高窓HWの位置に取り付けられる。吊下装置600の構成は第1の実施形態の吊下装置100と同様であるが、本実施形態では、高窓HWの位置に取り付けられる大きさに設定されている。一対のハンガーレール670は、高窓HWの幅より若干狭い間隔で配置されるが、高窓HWの幅より広い間隔で配置することもできる。また、本体部620は、高さが高窓HWの高さよりも若干大きな高さ寸法に構成されており、幅が2つの窓にかかる大きさに構成されているが、幅を2つの窓を収容できる大きさとすることもできる。本体部620は、ハンガーレール670に1つ吊下げられている。
【0087】
以上、吊下装置600の構成について説明した。以下、吊下装置600の動作について、図17を参照しながら説明する。本体部620は、図17(a)に示したように、格納時には、ハンガーレール670の壁に最も近い端部に吊下げられる。よって、本体部620は、高窓HWに最も近い位置に吊下げられる。高窓HWを開くときには、図17(b)に示したように、本体部620は、ハンガーレール670に沿って高窓HWの前方まで引き出される。よって、高窓HWを開くことができる。
【0088】
なお、吊下装置600は、高窓HWを排煙窓として使用する場合、ハンガーレール670に左右方向を向く左右レールを接続することで、本体部620は左右に移動して使用するようにできる。
【0089】
(第6の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、本体部620を前方まで引き出すと高窓HWを開くことができるため、高窓HWの開閉に支障をきたすことなく吊下装置600を高窓HWの位置に設置することができる。
【0090】
(第7の実施形態)
本発明の第7の実施形態について説明する。まず、本実施形態に係る吊下装置700の構成について、図18を参照しながら説明する。図18は、第7の実施形態の吊下装置700を説明するための図であり、(a)は正面図であり、(b)は部分断面図である。本実施形態は、上記第1の実施形態とは、本体部720の構成が異なるものであり、その他の点は第1の実施形態と同様である。本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0091】
本体部720は、図18に示したように、下枠740は、第1の実施形態の下枠140と同様に構成されており、下枠740の長手方向に沿って下方が開口するように形成された下溝部742を有する。下溝部742には、図18の矢印dに示したように、複数の吊下げ部743が下溝部742に沿って摺動可能に係止されている。吊下げ部743には、前後方向に貫通する貫通孔743aが形成されている。貫通孔743aに物品を係合することによって、吊下げ部743の下方に物品を吊下げ可能である。
【0092】
(第7の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、下枠740に複数の吊下げ部743を設けたことにより、下枠740にカーテンレール又はピクチャーレールとしての機能を担わせることもできる。
【0093】
(第8の実施形態)
本発明の第8の実施形態について説明する。まず、本実施形態に係る吊下装置800の構成について、図19及び図20を参照しながら説明する。図19は、第8の実施形態の吊下装置800を説明するための部分断面図である。図20は、第8の実施形態の操作棒845(操作部材)の状態を説明するための正面図であり、(a)は操作棒845を吊下げた状態を示し、(b)は操作棒845を収納した状態を示す。本実施形態は、上記第7の実施形態とは、本体部820の構成が異なるものであり、その他の点は第7の実施形態と同様である。本実施形態では、上記第7の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0094】
本実施形態の吊下装置800は、本体部820の下枠840に操作棒845(操作部材)を設けたことを特徴とする。操作棒845は、図19に示したように、長尺な棒状に構成されており、上端に操作棒フック845aが設けられている。本体部820には、第7の実施形態の下枠740と同様に構成された下枠840の下溝部842に吊下げ部843が1つ係止されている。吊下げ部843は、第7の実施形態の吊下げ部743と同様に貫通孔843aが形成されており、貫通孔843aに操作棒845の操作棒フック845aが着脱可能に係合されている。操作棒845は、本体部820に対して揺動可能である。操作棒845は、下溝部842に沿って摺動可能でもよいし、固定されるようにしてもよい。
【0095】
また、下枠840の下溝部842には、図20に示したように、操作棒845の一部を収容可能な収容部846が係止されて下枠840の下方に垂下している。収容部846を下溝部842に係止する構成は、吊下げ部843を下溝部842に係止する構成と同様とすることができる。収容部846も、下溝部842に沿って摺動可能でもよいし、固定されるようにしてもよい。
【0096】
以上、本実施形態の本体部820の構成について説明した。以下、本体部820の作用について、再び図19及び図20を参照しながら説明する。図19の矢印eに示したように、本体部820を移動させる際には、操作棒845を持って移動させることができる。その際、操作棒845は、図19の矢印fに示したように、下枠840に対して移動方向に揺動するため、本体部820を容易に移動させることができる。また、下枠840の長手方向中央を引くことができるため、左右バランスよく引くことができる。
【0097】
また、操作棒845が非操作状態のときには、図20(b)に示したように、操作棒845を下枠840に沿わせるように収容部846の方向に揺動させ、下端近傍を収容部846に収容させる。このように、本体部820を移動させていないときは、操作棒845を下枠840に沿わせて収容することができるため、邪魔になったり、外観を損ねたりすることがない。
【0098】
なお、本実施形態では、収容部846を下枠840の下方に垂下するように構成したが、収容部を下溝部842内に設けることで、操作棒845を下枠840内に収容することができる。
【0099】
(第8の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、下枠840に操作棒845を設けたことにより、本体部820の中央をバランス良く引くことができるため、本体部820の移動が容易になる。
【0100】
また、下枠840に収容部846も設けたことにより、非操作状態では操作棒845を収容部846に収容することができる。よって、操作棒845が吊下装置800から下方に垂れ下がったままとなり、居住者の移動の邪魔になることを回避することができる。
【0101】
(第9の実施形態)
本発明の第9の実施形態について説明する。まず、本実施形態に係る吊下装置900の構成について、図21を参照しながら説明する。図21は、第9の実施形態の吊下装置900を説明するための正面図であり、(a)は操作棒954(操作部材)を吊下げた状態を示し、(b)は操作棒954を収納した状態を示す。本実施形態は、上記第8の実施形態とは、本体部920の構成が異なるものであり、その他の点は第8の実施形態と同様である。本実施形態では、上記第8の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0102】
本実施形態の吊下装置900は、本体部920の左右の縦枠950に操作棒954(操作部材)をそれぞれ設けたことを特徴とする。本体部920は、図21に示したように、左右の縦枠950の前面に縦枠溝952が全長にわたって形成されている。縦枠溝952は、第8の実施形態の下枠840に設けられた下溝部842と同様の構成でもよく、異なっていてもよい。縦枠溝952には、図21の矢印gに示したように、保持部953が縦枠溝952を摺動可能であるとともに、縦枠溝952に保持可能に設けられている。保持部953には、操作棒954が取り付けられている。操作棒954は、長尺な棒状に構成されており、縦枠950に沿って垂下している。
【0103】
以上、本実施形態の本体部920の構成について説明した。以下、本体部920の作用について、再び図21を参照しながら説明する。本体部920を移動させる際には、図21(a)に示したように、操作棒954を縦枠950の下端まで移動させる。よって、操作棒954を持って本体部920を移動させることができる。なお、操作棒954は、縦枠950の所望の位置で保持できるため、使用者の操作しやすい位置で保持させて使用することができる。
【0104】
また、本体部920を非操作状態のときには、図21(b)に示したように、操作棒954を縦枠溝952に沿って上昇させて、縦枠950の下端から突出しない位置で保持することができる。よって、操作棒954が、邪魔になったり、外観を損ねたりすることがない。
【0105】
(第9の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、非操作状態では、操作棒954を縦枠950の上方に移動させて本体部920から下方に垂れ下がらないようにすることができるため、予期せずユーザーの頭に接触するような危険を回避することができる。
【0106】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0107】
例えば、上記第1の実施形態では、本体部120を枠体としたが、本発明はこの例に限定されない。レールを固定するための下地の位置によらず容易に吊下装置を設置することができ、結果として、設置環境によらず容易に設置可能な利便性のよい吊下装置を提供することができれば、任意に設計することができる。例えば、本体部は、1本の棒状でもよく、板状、球状、幾何学形状、動物の形状などでもよい。
【0108】
また、上記第1の実施形態では、縦枠150の長さを一定の構成としたが、本発明はこの例に限定されない。上枠と下枠を連結することができれば、任意に設計することができる。例えば、縦枠は、上下方向に伸縮可能であるようにしてもよい。かかる構成によれば、使用者の体格や、吊下げ支持される物品の大きさ、設置場所など、様々な状況に応じて縦枠の高さ位置を変えることができる。他の実施形態も同様である。
【0109】
また、上記第1の実施形態では、ランナ110は、位置を調整後に上枠130に連結する構成としたが、本発明はこの例に限定されない。レールを固定するための下地の位置によらず容易に吊下装置を設置することができ、結果として、設置環境によらず容易に設置可能な利便性のよい吊下装置を提供することができれば、任意に設計することができる。例えば、ランナは、本体部に対して移動自在に連結されるようにしてもよい。かかる構成によれば、異なる幅のレールが連結されていても、変化するレールの幅に応じてランナの間隔も変更されるため、吊下装置を設置する自由度を増すことができる。他の実施形態も同様である。
【0110】
以上説明した実施形態・応用例・変形例等は、適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0111】
100~900 吊下装置
110 ランナ
111 吊ボルト
111a 調整軸部
112 ナット
113、117 ワッシャ
114 上部受けプレート
114a、114b 孔部
115 下部受けプレート(係合部)
115a、115b 雌ネジ
116 調整ボルト
120、120-1、120-2、520~920 本体部
130 上枠(第1バー材)
131 上枠溝部(溝部)
131a 載置面
131b 係止面
131c 支持部
140、740、840 下枠(第2バー材)
141 上溝部
142、742、842 下溝部(溝部)
143 フック(吊下げ部)
144 係合部
150、150-1、150-2、950 縦枠(第3バー材)
151、151-1、151-2 緩衝材
151a 連結部151a
151b、151b-1 突出部
152 緩衝材連結部
153a、153b キャップ
154、154-1、154-2 緩衝材嵌合部(嵌合溝部)
160 目隠し材
170~670 ハンガーレール
271、371、471 格納部
272、372 展開部
373 前後方向吊下げ部
472 第1展開部
473 第2展開部
743、843 吊下げ部
743a、843a 貫通孔
845、954 操作棒(操作部材)
845a 操作棒フック
846 収容部
952 縦枠溝
953 保持部
CE 天井
GR 下地
CH 衣類用ハンガー
OB 絵画、写真
AC エアコン
HW 高窓

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