(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129752
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】貨幣処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/125 20190101AFI20240919BHJP
【FI】
G07D11/125
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039158
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】西出 尚矢
(72)【発明者】
【氏名】北川 誠次
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA06
3E141CA16
3E141FC05
3E141FJ06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】硬貨や紙幣又は消耗品等の物品を効率的に管理可能な貨幣処理装置を提供する。
【解決手段】出納機は、複数の運転モードの何れかを選択可能な各種操作画面を表示するとともに、操作画面に対する操作者の入力操作を受け付ける操作表示部と、物品をそれぞれ収納可能な複数のキャビネット41A、41B、41Cと、キャビネット41A、41B、41Cの引き出しをロック可能なキャビネットロック部と、操作表示部が受け付けた入力操作に対応する運転モードに応じて、キャビネットロック部を施解錠させる制御部と、を備え、キャビネットロック部は、複数のキャビネット41A、41B、41Cの少なくとも何れか1つにアクセス可能で且つ他のキャビネット41A、41B、41Cへアクセス不能な部分解錠状態と、キャビネット41A、41B、41C全てにアクセス可能な全解錠状態と、を切り替え可能な構成とした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に設けられ、貨幣を処理する貨幣処理部と、
複数の運転モードの何れかを選択可能な操作画面を表示する表示部と、
前記操作画面に対する操作者の入力操作を受け付ける入力部と、
前記本体に対して引き出し方向に沿って引き出し可能に設けられ、物品をそれぞれ収納可能な複数のキャビネットと、
前記キャビネットの引き出しをロック可能なロック部と、
前記入力部が受け付けた入力操作に対応する前記運転モードに応じて、前記ロック部を施解錠させる制御部と、
を備え、
前記ロック部は、前記複数のキャビネットの少なくとも何れか1つにアクセス可能で且つ他のキャビネットへアクセス不能な部分解錠状態と、前記複数のキャビネット全てにアクセス可能な全解錠状態と、を切り替え可能に構成されていることを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項2】
前記複数のキャビネットは、一体で引き出し可能に設けられるとともに、前記引き出し方向の前側から奥側に向かって並設され、
前記ロック部は、前記複数のキャビネットのうち前記引き出し方向の前側の少なくとも何れか1つにアクセス可能で且つ前記アクセス可能なキャビネット部より引き出し方向の奥側に設けられた他のキャビネットへアクセス不能な部分解錠状態と、前記複数のキャビネット全てにアクセス可能な全解錠状態と、を切り替え可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
前記複数のキャビネットは、独立して引き出し可能に構成され、
前記ロック部は、前記複数のキャビネットの引き出しをそれぞれ独立してロック可能であることを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
前記操作者の認証情報と前記操作者に対して各キャビネットへのアクセス権限の有無に関する情報である権限情報とを紐付けて記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記認証情報に基づいて、前記操作者のユーザ認証を行う認証部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記認証情報と紐付けて記憶された前記権限情報に基づいて、アクセス権限がある前記キャビネットへアクセス可能で且つアクセス権限がない前記キャビネットへアクセス不能に前記ロック部を施解錠させることを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記複数のキャビネット内にそれぞれ収納された物品の収納状態に関する情報を表示可能であることを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、硬貨について各種処理等を行う硬貨処理装置と、紙幣について各種処理等を行う紙幣処理装置と、新券紙幣について各種処理等を行う新券処理装置と、を備えている貨幣処理装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の貨幣処理装置では、例えば、硬貨処理装置において硬貨が不足したり、紙幣処理装置において紙幣が不足した場合、操作者が金庫室等まで不足した硬貨等を取りに行って装置に補充する必要があった。また、バラ硬貨から棒金を作製するための包装フィルム、バラ紙幣から小束紙幣を作製するための施封帯、又はプリンタのインクカートリッジやプリンタ用紙等の消耗品の残量が不足した場合に、操作者が在庫置き場等まで予備品を取りに行って装置に補充する必要があった。
【0005】
そこで、本発明は、硬貨や紙幣又は消耗品等の物品を効率的に管理可能な貨幣処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る貨幣処理装置は、本体と、前記本体に設けられ、貨幣を処理する貨幣処理部と、複数の運転モードの何れかを選択可能な操作画面を表示する表示部と、前記操作画面に対する操作者の入力操作を受け付ける入力部と、前記本体に対して引き出し方向に沿って引き出し可能に設けられ、物品をそれぞれ収納可能な複数のキャビネットと、前記キャビネットの引き出しをロック可能なロック部と、前記入力部が受け付けた入力操作に対応する前記運転モードに応じて、前記ロック部を施解錠させる制御部と、を備え、前記ロック部は、前記複数のキャビネットの少なくとも何れか1つにアクセス可能で且つ他のキャビネットへアクセス不能な部分解錠状態と、前記複数のキャビネット全てにアクセス可能な全解錠状態と、を切り替え可能に構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、硬貨や紙幣又は消耗品等の物品を効率的に管理可能な貨幣処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る出納機を示す斜視図。
【
図2】新券処理機の内部構造を概略的に示す側面図。
【
図3】キャビネット部が引き出された状態の新券処理機を示す斜視図。
【
図4】キャビネット部が段階的に引き出されている様子を示す模式図。
【
図6】出納機における手許在高の増減の流れを示す模式図。
【
図7】庫内在高管理モードのオンオフを選択する選択画面。
【
図8】出納機が実行する各種処理を選択するメインメニュー画面。
【
図10】キャビネットへの物品の出し入れを行う際に使用する操作画面。
【
図12】キャビネットへの物品の出し入れを終了させるための操作画面。
【
図13】庫内在高管理モードオン時に、キャビネットへ移動させる貨幣の移動金額を入力する入力画面。
【
図14】キャビネットへ移動させる貨幣の移動金額が記載されたレシートを示す図。
【
図15】キャビネットへの貨幣の移動を終了させるための操作画面。
【
図16】庫内在高管理モードオン時に、キャビネットから移動させる貨幣の移動金額を入力する入力画面。
【
図17】キャビネットから移動させる貨幣の移動金額が記載されたレシートを示す図。
【
図18】キャビネットからの貨幣の移動を終了させるための操作画面。
【
図19】庫内在高管理モードオン時に、出納機に収納された貨幣の出金可否及び収納状態を示す待機画面。
【
図20】出納機に収納された貨幣の金種と数量の明細を示す画面。
【
図21】キャビネットに収納されたサプライ品の種別又は数量の入力操作を行う際に使用する選択画面。
【
図22】キャビネットに収納されたサプライ品の数量を入力する入力画面。
【
図23】キャビネットからの貨幣の払い出しを終了させるための操作画面。
【
図24】本発明の変形例に係る出納機を示す斜視図。
【
図25】キャビネット部の内部構造を概略的に示す側面図。
【
図26】キャビネットが引き出された状態のキャビネット部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下では、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0010】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0011】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
【0012】
図1は、貨幣処理装置の一実施形態である、紙幣及び硬貨等を処理する出納機1を示す。出納機1は、銀行等の金融機関の店舗に設置されて店舗全体の貨幣処理を管理するものである。出納機1は、例えば、大口顧客に対する係員による入金又は出金等の取引処理、係員による渉外先への持ち出し金の出金処理や、渉外先からの持ち帰り金の入金処理、及び営業終了後の金融機関店舗全体での入出金状況の締め上げ管理等を行うものである。なお、以下の説明では、出納機1に対して操作者側を前、出納機1に対して操作者とは反対側を後、操作者から出納機1を視て左右を左右とする。
【0013】
出納機1は、
図1に示すように、紙幣の入出金処理等を行う紙幣処理装置10と、硬貨の入出金処理等を行う硬貨処理装置20と、新券紙幣(以下、「新券」という)の入出金処理等を行う新券処理装置30とが、左から紙幣処理装置10、新券処理装置30及び硬貨処理装置20の順に並んで設けられている。
【0014】
紙幣処理装置10は、本体11内に設けられ、バラ紙幣の入出金処理等を行うと共に、バラ紙幣を所定の結束単位枚数だけ纏めて施封帯で結束した小束紙幣の出金処理等を行う図示しない紙幣処理部を備えている。紙幣処理部は、紙幣処理装置10の前面略中央に設けられた紙幣入出金口12から投入されたバラ紙幣を機内のバラ紙幣収納手段に金種毎に振り分けて収納するバラ紙幣入金処理と、機内のバラ紙幣収納手段から繰り出されたバラ紙幣を紙幣入出金口12から機外へ払い出すバラ紙幣出金処理と、を行う。また、紙幣処理部は、紙幣入出金口12から投入されたバラ紙幣又は機内のバラ紙幣収納手段から繰り出されたバラ紙幣から作製した小束紙幣を紙幣処理装置10の前面上部に設けられた束出金口13から払い出す施封処理を行う。
【0015】
硬貨処理装置20は、本体21内に設けられ、バラ硬貨の入出金処理等を行うと共に、バラ硬貨を所定の包装単位枚数だけ纏めて包装フィルムで包装した棒金の入出金処理等を行う図示しない硬貨処理部を備えている。硬貨処理部は、硬貨処理装置20の上面に設けられた硬貨入金口22から投入されたバラ硬貨を機内のバラ硬貨収納手段に金種毎に振り分けて収納するバラ硬貨入金処理と、機内のバラ硬貨収納手段から繰り出されたバラ硬貨を硬貨処理装置20の前面下方に設けられた硬貨出金箱23から機外へ払い出すバラ硬貨出金処理とを行う。また、硬貨処理部は、硬貨処理装置20の前面略中央に設けられた棒金入金口24から装填された棒金を金種毎に振り分けて機内の棒金収納手段に収納する棒金入金処理と、機内の棒金収納手段から繰り出された棒金を棒金入金口24の上方に設けられた第1の棒金出金口25又は棒金入金口24の下方に設けられた第2の棒金出金口26から機外へ払い出す棒金出金処理とを行う。さらに、硬貨処理部は、硬貨入金口22から投入されたバラ硬貨又は機内のバラ硬貨収納手段から繰り出されたバラ硬貨から作製した棒金を第2の棒金出金口26の下方に設けられた第3の棒金出金口27から払い出す又は機内の棒金収納手段に収納する包装処理を行う。
【0016】
新券処理装置30は、
図2に示すように、本体31内に設けられ、新券の入出金処理等を行う新券処理部32と、キャビネット部40とを備えている。新券処理部32は、新券処理装置30の前面上部に設けられた新券入出金口33から投入された新券を機内の新券収納手段に金種毎に振り分けて収納する新券入金処理と、機内の新券収納手段から繰り出される新券を新券入出金口33から機外へ払い出す新券出金処理とを行う。
【0017】
図2及び
図3に示すように、キャビネット部40は、引き出し方向(
図2の紙面左右方向)の前側から奥側に向かって並設された3つのキャビネット41A、41B、41Cを備えている。キャビネット部40は、本体31内において新券処理部32の下方に形成された収納スペース34内において、本体31に対して前側に引き出し可能に格納されている。キャビネット部40は、上側が開口された有底箱状に形成されており、垂直に設けられた2枚の仕切板42により3つのキャビネット41A、41B、41Cに仕切られている。各キャビネット41A~41C内部には、例えば、貨幣(小束紙幣、大束紙幣、棒金、複数の棒金を纏めたシュリンクパック、損券、損貨、記念貨、支払準備金等)、手形や小切手等の有価証券類、サプライ品(バラ硬貨を包装する包装フィルム、バラ紙幣を包装する施封帯、ジャーナル用紙等)、硬貨保管箱、証書又は通帳等の物品が収納可能であるが、これらに限定されるものではない。セキュリティの観点からアクセスの機密性が低いサプライ品等は、前側のキャビネット41A、41Bに収納され、セキュリティの観点からアクセスの機密性が求められる貨幣や有価証券類は、奥側のキャビネット41Cに収納されるのが好ましい。以下では、キャビネット41Aに包装フィルム(包装紙)、キャビネット41Bに施封帯(施封テープ)、キャビネット41Cに出納機1への入金処理が確定した貨幣(機内管理貨幣)がそれぞれ収納される場合を例に説明する。なお、キャビネット部40内を区画して設けられる複数のキャビネットの数は、2つでも4つ以上でも構わない。
【0018】
キャビネット部40の裏面には、左右一対のローラ43が設けられ、キャビネット部40部の前面には、操作者がキャビネット部40を引き出す際に手をかける取っ手44が形成されている。キャビネット部40の左右側面と本体31の内周面との間には、伸縮自在な一対のガイドレール45が設けられており、ガイドレール45は、キャビネット部40が前後にスムーズにスライドするのをガイドする。
【0019】
キャビネット部40部の底面と本体31の底面との間には、キャビネット部40の引き出しをロック可能なソレノイドロック等のキャビネットロック部46が設けられている。ソレノイドロックは、公知の構成であり、例えば、本体31側に設けられてソレノイドによって進退移動自在なラッチを備えている。進出状態のラッチがキャビネット部40側に設けられた凹部に係合することにより、本体31に対するキャビネット部40の引き出しが規制され、退出状態のラッチがキャビネット部40側に設けられた凹部から外れることにより、本体31に対するキャビネット部40の引き出しが許容される。
【0020】
また、キャビネット部40側に設けられた凹部は、キャビネット41A~41Cが本体31内に収容された状態に対応する位置、キャビネット41Aのみが引き出された状態に対応する位置、キャビネット41A、41Bが引き出された状態に対応する位置にそれぞれ設けられている。これにより、キャビネットロック部46は、
図4(a)に示すようなキャビネット41A~Cへアクセス不能なロック状態(施錠状態)と、
図4(b)に示すようなキャビネット41Aへアクセス可能で且つキャビネット41B、41Cへアクセス不能なロック状態又は
図4(c)に示すようなキャビネット41A、41Bへアクセス可能で且つキャビネット41Cへアクセス不能なロック状態(部分解錠状態)と、
図4(d)に示すようなキャビネット41A~41Cへアクセス可能にロックが解除された状態(全解錠状態)とを切り替え可能に構成されている。すなわち、キャビネットロック部46は、本体31に対するキャビネット部40の引き出し具合を4段階で調整可能である。なお、キャビネット部40の引き出しをロックするキャビネットロック部46の構成は、ソレノイドロックに限定されるものではない。
【0021】
キャビネット部40の後面と本体31との間には、キャビネット部40を前側に付勢するコイルバネ等の付勢手段47が介装されている。また、キャビネット部40の前面には、操作者が手動でキャビネットロック部46を解錠する際にキーを差し込むキャビネット錠48が設けられている。
【0022】
図5に示すように、出納機1には、その動作を制御する制御部50が設けられている。制御部50は、動作制御部51と、表示制御部52と、モード切替部53と、庫内在高管理部54と、を備えている。また、記憶部55には、出納機1の動作に必要な各種情報が保存される。また、記憶部55には、出納機1が管理する機械在高及び手許在高に加えて、キャビネット41C内の貨幣の在高(庫内在高)が記憶される。庫内在高管理部54の機能については、後述する。
【0023】
出納機1には、
図1に示すように、タッチパネル式の操作表示部60が設けられている。操作表示部60が、本体31の上面に配置され、新券処理装置30の本体31が、紙幣処理装置10の本体11と硬貨処理装置20の本体21との間に設けられ、出納機1の左右方向(幅方向)の略中央に設けられていることにより、操作表示部60の前に立って操作表示部60によって各種の操作を行う操作者が、その位置から左右に大きく移動することなく、出納機1の各種入出金口(紙幣入出金口12、束出金口13、硬貨入金口22、硬貨出金箱23、棒金入金口24、第1の棒金出金口25、第2の棒金出金口26、第3の棒金出金口27、新券入出金口33等)の何れにも容易にアクセスすることができる。さらに、操作表示部60が本体31の上面に配置された新券処理装置30の新券処理部32の下方にキャビネット部40が設けられていることにより、操作表示部60の前に立って操作表示部60の前に立って操作表示部60によって各種の操作を行う操作者が、その一から大きく移動することなく、キャビネット部40に容易にアクセスすることができる。
【0024】
操作表示部60に表示される画面は、
図5に示すように、表示制御部52によって制御される。操作表示部60には、初期設定又は操作者の操作に応じて予め登録された複数のアイコンや入力フォーム等の選択項目を含む操作画面を表示したり、案内メッセージや警告を表示する。なお、操作表示部60に表示される選択項目は、アイコンや入力フォームの形式に限定されるものではない。操作表示部60に操作者によるタッチ(押下)操作が入力されると、操作表示部60が受け付けた操作者による操作入力に応じて、制御部50は、出納機1の各種動作を制御する。また、操作表示部60が受け付けた操作入力に対応する運転モードがキャビネット41A~41Cの何れかへのアクセスを伴うとき、制御部50は、その運転モードに応じてキャビネットロック部46の施解錠を制御することにより、キャビネットロック部46が、施錠状態、部分解錠状態又は全解錠状態の何れかに切り替えられる。また、出納機1には、各種レシートを印刷するプリンタ70が設けられている。
【0025】
出納機1は、操作者の認証を行うユーザ認証部80を備えている。ユーザ認証部80による認証は、例えば操作者を特定するカードの読み取り及びパスワード入力の組み合わせ等の操作者を特定する認証情報と、記憶部55に予め記憶された操作者の認証情報とが一致するか否かによって行われる。なお、ユーザ認証部80による判定は、上述したカードの読み取りとパスワード入力とを組み合わせたものに限定されず、ID管理や静脈認証等であっても構わない。
【0026】
次に、本実施形態に係る出納機1の主な機能について説明する。
【0027】
<庫内在高管理モード>
図6は、出納機1で処理する貨幣の流れを示す模式図である。出納機1では、各装置が計数管理する機械在高のほかに、手許在高が逐次記憶される。例えば、現金輸送車等で店舗内の出納機1に貨幣が持ち込まれた場合(現受)や操作者が貨幣や手形・小切手等の有価証券類(以下、総称して「貨幣等」という)を手受けした場合(手受)には、出納機1の手許在高を増加させる。また、現金輸送車等で店舗内の出納機1から回収した貨幣が持ち出された場合(現送)や操作者が出納機1から貨幣等を手払いした場合(手払)には、出納機1の手許在高を減少させる。
【0028】
また、出納機1は、上述した出納機1全体の手許在高管理を行う通常の「手許在高管理モード」に加えて、キャビネット41Cの庫内在高を独立して管理する「庫内在高管理モード」が設けられている。
【0029】
「庫内在高管理モード」では、キャビネット41Cから貨幣等が出し入れされる場合や、キャビネット41Cとキャビネット41Cを除く出納機1内の各種装置との間で貨幣等が移動する場合に、庫内在高管理部54は、手許在高のうちキャビネット41Cの庫内在高を区分して記憶部55に記憶することが可能である。
【0030】
キャビネット41Cから貨幣が出し入れされる場合として、例えば、現受や手受により、キャビネット41Cに貨幣が収納された場合には、庫内在高管理部54は記憶部55に記録されたキャビネット41Cの庫内在高を貨幣の持ち込み金額分だけ増加させる。また、現送や手払により、キャビネット41Cから貨幣が持ち出された場合には、庫内在高管理部54は記憶部55に記録されたキャビネット41Cの庫内在高を貨幣の持ち出し金額分だけ減少させる。
【0031】
また、キャビネット41C以外の出納機1に収納された貨幣をキャビネット41Cへ移動させる場合には、出納機1の貨幣の手許在高を変更することなく、庫内在高管理部54は記憶部55に記録されたキャビネット41Cの庫内在高を貨幣の移動金額分だけ増加させる。例えば、キャビネット41Cに収納された新券の小束紙幣を新券処理装置30に装填させる場合には、出納機1全体の貨幣の手許在高と、庫内在高管理部54により記憶部55に記録されたキャビネット41Cの庫内在高とを貨幣の移動金額分だけ減少させることになる。
【0032】
「庫内在高管理モード」のオンオフは、操作表示部60への操作入力に応じて、制御部50のモード切替部53によって実行される。具体的には、
図7に示す設定画面S1において、操作表示部60が、設定事項「キャビネットの在高管理」について「する」のラジオボタンを選択する操作入力を受け付けた場合には、モード切替部53は、「庫内在高管理モード」をオンにする。一方、操作表示部60が、設定事項「キャビネットの在高管理」について「しない」のラジオボタンを選択する操作入力を受け付けた場合には、モード切替部53は、「庫内在高管理モード」をオフにする。
【0033】
図8は、操作者が、出納機1が実行する各種処理を選択するための操作画面(メインメニュー画面)S2である。
図8に示すメインメニュー画面には、「入金」、「出金」、「キャビネット関連」、「照会」のアイコンが含まれている。操作表示部60が、操作者による操作表示部60に表示された操作画面に含まれるアイコンへの操作入力を受け付けると、表示制御部52は、選択されたアイコンに対応する機能を実現するように別の操作画面を操作表示部60に表示する。例えば、操作者が、メインメニュー画面S2において、「出金」のアイコンI10を押下した場合には、表示制御部52は、操作表示部60に表示される画面を、メインメニュー画面S2から
図9に示す出金額を入力可能な操作画面(入力画面)S3に切り替える。
【0034】
また、
図8に示すメインメニュー画面S2において、操作表示部60が、「キャビネット関連」のアイコンI11を押下する操作入力を受け付けた場合には、表示制御部52は、操作表示部60に表示される画面を、メインメニュー画面S2から
図10に示す操作画面S4に切り替える。操作画面S4には、第1の選択項目である「キャビネットオープン」と表記されたアイコンI20、第2の選択項目である「手許からキャビネット」と表記されたアイコンI21、第3の選択項目である「キャビネットから手許」と表記されたアイコンI22が含まれている。なお、「キャビネットオープン」のアイコンI20は、「庫内在高管理モード」のオンオフにかかわらず選択可能である。一方、「手許からキャビネット」のアイコンI21及び「キャビネットから手許」のアイコンI22は、「庫内在高管理モード」がオンのときにのみ選択可能である。さらに、「キャビネットオープン」のアイコンI20、「手許からキャビネット」のアイコンI21及び「キャビネットから手許」のアイコンI22は、操作者の権限(ランク)により選択可能にするか否かをそれぞれ設定することができる。表示制御部52は、この設定によりユーザ認証部80によって操作者がキャビネットロック部46のロック解除を許可された者であり、キャビネット部40へのアクセス権限を持つ者であると判定された場合、これらのアイコンを選択可能に表示し、キャビネット部40へのアクセス権限を持つ者でないと判定された場合には、これらのアイコンを非表示又は選択不能にする。
【0035】
<キャビネットオープン>
例えば、操作者が、キャビネット部40の庫内の収納物を確認したり、キャビネット部40内に予備の消耗品や貨幣等を収納したり、キャビネット部40内の消耗品等を取り出す場合には、キャビネット部40を引き出すために、操作画面S4中の「キャビネットオープン」のアイコンI20を押下する。
【0036】
操作表示部60が、「キャビネットオープン」のアイコンI20への操作入力を受け付けると、動作制御部51が、キャビネットロック部46のロックを解除するとともに、表示制御部52が、操作者にキャビネット部40の引き出し、物品の収納及び取り出し、キャビネット部40のセットを促す画像とメッセージとが含まれている
図11に示す確認画面S5を操作表示部60に表示する。なお、キャビネットロック部46のロックが解除されると、付勢手段47がキャビネット部40を前側に僅かに押し出し、キャビネット部40は、本体31から少し飛び出すことにより、操作者は、キャビネット部40のロックが解除されたことが視覚的に分かる。
【0037】
さらに、制御部50は、ユーザ認証部80が受け付けた操作者の認証情報と記憶部55に記憶された操作者の権限情報に基づいて、操作者に対してキャビネットロック部46のロック解除を制限する。ここで、権限情報とは、操作者に対してキャビネット41A~41Cへのアクセス権限の有無に関する情報であって、操作者の認証情報と紐付けて記憶部55に記憶されている。
【0038】
認証された操作者に対してキャビネット41Aへのアクセス権限のみが設定され、キャビネット41B、41Cへのアクセス権限が設定されていない場合、動作制御部51は、キャビネット41Aへアクセス可能な程度にキャビネット部40が引き出されると、キャビネットロック部46は、キャビネット部40のさらなる引き出しをロックする。
【0039】
また、認証された操作者に対してキャビネット41A、41Bへのアクセス権限が設定され、キャビネット41Cへのアクセス権限が設定されていない場合、動作制御部51は、キャビネット41Bへアクセス可能な程度にキャビネット部40が引き出されると、キャビネットロック部46は、キャビネット部40のさらなる引き出しをロックする。
【0040】
また、認証された操作者に対してキャビネット41A~41Cへのアクセス権限が設定されている場合、キャビネットロック部46は、キャビネット部40のロックを解除し、キャビネット41A~41Cへアクセス可能にキャビネット部40の引き出しが許容される。
【0041】
このように操作者に応じてキャビネット41A~41Cへのアクセス権限を個別に設定し、操作者がアクセス権限を有するキャビネット41A~41Cへのアクセスを許容するように、キャビネット部40を部分的に引き出した状態でキャビネットロック部46をロックすることにより、キャビネット部40へのアクセスの機密性を高めることができる。
【0042】
その後、キャビネット部40が本体31内に手動で押し戻されると、動作制御部51は、キャビネットロック部46によってキャビネット部40の引き出しをロックする。さらに、表示制御部52は、
図12に示す確認画面S6を操作表示部60に表示する。確認画面S6において、操作者は、キャビネット部40を再度引き出す場合には、「再度オープン」のアイコンI23を押下し、一連の処理を終える場合には、「完了」のアイコンI24を押下する。
【0043】
<手許からキャビネット>
「庫内在高管理モード」がオンの場合に、操作者が、キャビネット41C内に貨幣を収納する場合には、
図10に示す操作画面S4中の「手許からキャビネット」のアイコンI21を押下する。操作表示部60が、「手許からキャビネット」のアイコンI21への操作入力を受け付けると、表示制御部52は、
図13に示す移動金額を入力する入力画面S7を表示する。入力画面S7では、移動させる貨幣の金種をリストI25で選択した上で、選択された金種の数量をテンキーI26で入力する。移動金額の入力を終えると、操作者は「完了」のアイコンI27を押下する。
【0044】
その後、動作制御部51は、プリンタ70から
図14に示すレシートR1を印刷する。レシートR1には、入力画面S7で入力された貨幣の金種及び数量並びに移動金額が印字されている。
【0045】
その後、動作制御部51は、キャビネットロック部46のロックを解除するとともに、表示制御部52は、操作者にキャビネット部40の引き出し、物品の収納、キャビネット部40のセットを促す画像とメッセージとが含まれている確認画面を操作表示部60に表示する。操作者は、キャビネット部40を前側に引き出して、キャビネット41C内に貨幣を移動する。操作者は、移動した貨幣の金額をレシートR1に印字された移動金額と照らし合わせることにより、貨幣を正確に移動させることができる。
【0046】
その後、貨幣の移動が終了して、キャビネット部40が本体31内に手動で押し戻されると、動作制御部51は、キャビネットロック部46によってキャビネット部40の引き出しをロックする。さらに、表示制御部52は、
図15に示す確認画面S8を操作表示部60に表示する。確認画面S8において、操作者は、キャビネット部40を再度引き出す場合には、「再実行」のアイコンI28を押下し、一連の処理を終える場合には、「完了」のアイコンをI29押下する。
【0047】
また、キャビネット41C内への貨幣の移動が生じた場合、庫内在高管理部54は、記憶部55に記録されたキャビネット41Cの庫内在高を、入力画面S7で入力された貨幣の移動金額分だけ増加させる。
【0048】
<キャビネットから手許>
「庫内在高管理モード」がオンの場合に、操作者が、キャビネット41C内の貨幣を取り出す場合には、
図10に示す操作画面S4中の「キャビネットから手許」のアイコンI22を押下する。操作表示部60が、「キャビネットから手許」のアイコンI22への操作入力を受け付けると、表示制御部52は、
図16に示す移動金額を入力する入力画面S9を表示する。入力画面S9では、移動させる貨幣の金種をリストI30で選択した上で、選択された金種の数量をテンキーI31で入力する。移動金額の入力を終えると、操作者は「完了」のアイコンI32を押下する。
【0049】
その後、動作制御部51は、プリンタ70から
図17に示すレシートR2を印刷する。レシートR2には、入力画面S9で入力された貨幣の金種及び数量並びに移動金額が印字されている。
【0050】
その後、動作制御部51は、キャビネットロック部46のロックを解除するとともに、表示制御部52は、操作者にキャビネット部40の引き出し、物品の取り出し、キャビネット部40のセットを促す画像とメッセージとが含まれている確認画面を操作表示部60に表示する。操作者は、キャビネット部40を前側に引き出して、キャビネット41C内の貨幣を取り出す。操作者は、取り出した貨幣の金額をレシートR2に印字された移動金額と照らし合わせることにより、貨幣を正確に取り出すことができる。
【0051】
その後、貨幣の移動が終了して、キャビネット部40が本体31内に手動で押し戻されると、動作制御部51は、キャビネットロック部46によってキャビネット部40の引き出しをロックする。さらに、表示制御部52は、
図18に示す確認画面S10を操作表示部60に表示する。確認画面S10において、操作者は、キャビネット部40を再度引き出す場合には、「再実行」のアイコンI33を押下し、一連の処理を終える場合には、「完了」のアイコンI34を押下する。
【0052】
また、キャビネット41C外への貨幣の移動が生じた場合、庫内在高管理部54は、記憶部55に記録されたキャビネット41Cの庫内在高を、入力画面S9で入力された貨幣の移動金額分だけ減少させる。
【0053】
その後、例えば、キャビネット41Cから取り出した貨幣を手許払いで出金する場合、操作者が、
図7に示すメインメニュー画面S2における「出金」のアイコンI10を押下すると、表示制御部52は、
図8に示す入力画面S3に切り替える。その後、操作者は、
図8に示す入力画面S3の入力フォームI13に、出金する貨幣の金種、貨幣の数量及び伝票明細をテンキーI14を介して入力する。また、手払いを指定して手払いする出金額を入力する。出金額の入力を終えると、操作者は「完了」のアイコンI15を押下する。その後、制御部50は、プリンタ70から図示しないレシートを印刷する。レシートには、手払いを指定した貨幣の金種、数量及び出金額が印字されている。出納機1の手許在高は、入力画面S3で入力された出金額分だけ減少される。
【0054】
<在高明細>
図19は、出納機1が待機状態である際に表示する選択画面(待機画面)S11を示す。待機画面S11では、紙幣処理装置10内のバラ紙幣、新券処理装置30内の新券、硬貨処理装置20内のバラ硬貨及び棒金について、金種毎に出金の可否及び収納状態(収納量、フル又はニアフル等)をアイコンI40~I43でそれぞれ示す。
【0055】
また、「庫内在高管理モード」がオンの場合には、
図19に示す待機画面S11に、キャビネット41C内の貨幣(機内管理貨幣)の収納状態をアイコンI44に示す。アイコンI44は、キャビネット41C内に貨幣が存在するか否かを視覚的に示すように設定されている。なお、待機画面S11中のアイコンI44において、さらにキャビネット41C内の庫内在高又は貨幣の収納量を表示するようにしても構わない。
【0056】
また、操作者が、締め作業等でキャビネット41C内の詳細な手許在高情報を確認したい場合には、
図19に示す待機画面S11の「キャビネット」のアイコンI44を押下すると、制御部50は、
図20に示す手許在高明細画面S12を操作表示部60に表示する。手許在高明細画面S12は、出納機1が管理する手許在高の貨幣の金種と数量を表示するものであり、「キャビネット」のタブI45を選択することにより、キャビネット41C内の詳細な手許在高情報が表示される。また、手許在高明細画面S12中の「キャビネット除く」のタブI46を選択することにより、キャビネット41Cを除く出納機1が管理する手許在高が表示され、「手許」のタブI47を選択することにより、キャビネット41Cを含む出納機1全体の手許在高が表示される。なお、
図7に示すメインメニュー画面S2の「照会」のアイコンI12又は
図19に示す待機画面S11の「共通メニュー」のアイコンI48を押下することでも手許在高明細画面S12に移動することができる。さらに、「共通メニュー」のアイコンI48は、
図19に示す待機画面S11を含む何れの操作画面にも表示されているので、各画面の「共通メニュー」のアイコンI48を押下することでも手許在高明細画面S12に移動することができる。
【0057】
<サプライ品管理>
待機画面S11のアイコンI44には、キャビネット41A内の包装フィルム(包装紙)の収納状態及びキャビネット41B内の施封帯(施封テープ)の収納状態がそれぞれ表示されている。アイコンI44は、キャビネット41A内に包装紙が存在するか否かを視覚的に示すとともにキャビネット41A内に存在する包装紙の数量を表示し、キャビネット41B内に施封テープが存在するか否かを視覚的に示すとともにキャビネット41B内に存在する施封テープの数量を表示する。
【0058】
アイコンI44に表示される、キャビネット41A内に存在する包装紙の数量及びキャビネット41B内に存在する施封テープの数量は、操作者によって手動で入力される。具体的には、操作者が、メインメニュー画面S2から遷移した
図21に示す操作画面(選択画面)S13の「キャビネットサプライ品管理」のアイコンI49を押下すると、表示制御部52は、操作表示部60に表示される画面を、
図21に示す選択画面S13から
図22に示す操作画面(数量入力画面)S14に切り替える。数量入力画面S14には、キャビネット41A内に収納された包装紙の数量(0~10)を入力可能な数値ステッパーI50と、キャビネット41B内に収納された施封テープの数量(0~10)を入力可能な数値ステッパーI51と、が含まれる。操作者は、数値ステッパーI50、I51を介して、キャビネット41A内に存在する包装紙の数量及びキャビネット41B内に存在する施封テープの数量を入力した後に、「完了」のアイコンI52を押下して数値入力を終了する。
【0059】
<庫内在高管理モードオフ時のキャビネット操作>
「庫内在高管理モード」がオフの場合、操作表示部60は、
図6に示す設定画面S1において、操作者による、選択事項「手受/手払発生時キャビネット操作」についての「する」又は「しない」を選択する操作入力を受け付ける。操作者が、選択事項「手受/手払発生時キャビネット操作」について「する」のラジオボタンを選択した場合に、制御部50は、貨幣を手許在高として出納機1に出し入れする際にキャビネット部40のロックを解除する。
【0060】
例えば、操作者が、設定画面S1で、選択事項「庫内在高管理モード」について「しない」のラジオボタンを選択し、選択事項「手受/手払発生時キャビネット操作」について「する」のラジオボタンを選択し、
図7に示すメインメニュー画面S2において、「出金」のアイコンI10を押下した場合、制御部50は、出金額を入力するための
図8に示す入力画面S3を操作表示部60に表示する。
【0061】
操作者は、
図8に示す入力画面S3の入力フォームI13に、出金する貨幣の金種、貨幣の数量及び伝票明細をテンキーI14を介して入力する。ここで、手払いをする場合は「手払い」を指定して手払いする出金額を入力する。出金額の入力を終えると、操作者は「完了」のアイコンI15を押下する。その後、手払いを指定した場合に、制御部50は、プリンタ70から図示しないレシートを印刷する。レシートには、手払いを指定した貨幣の金種及び数量並びに出金額が印字されている。
【0062】
その後、制御部50は、キャビネットロック部46のロックを解除するとともに、操作者にキャビネット部40の引き出し、貨幣の取り出し、キャビネット部40のセットを促す画像とメッセージとが含まれている確認画面を操作表示部60に表示する。操作者は、キャビネット部40を前側に引き出して、キャビネット41Cの貨幣を取り出す。操作者は、取り出した貨幣の金額をレシートに印字された出金額と照らし合わせることにより、貨幣を正確に取り出すことができる。
【0063】
その後、貨幣の取り出しが終了して、キャビネット部40が本体31内に手動で押し戻されると、制御部50は、キャビネットロック部46によってキャビネット部40の引き出しをロックする。さらに、制御部50は、
図23に示す確認画面S15を操作表示部60に表示する。確認画面S15において、操作者は、キャビネット部40を再度引き出す場合には、「再度オープン」のアイコンI60を押下し、一連の処理を終える場合には、「完了」のアイコンI61を押下する。
【0064】
一方、操作者が、
図6に示す設定画面S1で、選択事項「手受/手払発生時キャビネット操作」について「しない」のラジオボタンを選択した場合には、制御部50は、入出金の際であってもキャビネット部40のロックを解除しない。
【0065】
このようにして、本実施形態に係る出納機1は、本体31と、本体31に設けられ、貨幣を処理する紙幣処理装置10、硬貨処理装置20、新券処理装置30と、複数の運転モードの何れかを選択可能な各種操作画面を表示するとともに、操作画面に対する操作者の入力操作を受け付ける操作表示部60と、本体31に対して引き出し方向に沿って引き出し可能に設けられ、物品をそれぞれ収納可能な複数のキャビネット41A、41B、41Cと、キャビネット41A、41B、41Cの引き出しをロック可能なキャビネットロック部46と、操作表示部60が受け付けた入力操作に対応する運転モードに応じて、キャビネットロック部46を施解錠させる制御部50と、を備え、キャビネットロック部46は、複数のキャビネット41A、41B、41Cの少なくとも何れか1つにアクセス可能で且つ他のキャビネット41A、41B、41Cへアクセス不能な部分解錠状態と、キャビネット41A、41B、41C全てにアクセス可能な全解錠状態と、を切り替え可能な構成とした。
【0066】
この構成によれば、例えば、出納機1で使用する貨幣等や消耗品等の物品に不足が生じた場合に、本体31内に設けられたキャビネット41A~41Cのロックを解除し、キャビネット41A~41Cを本体31から引き出して、キャビネット41A~41Cに収納された補充物品を取り出すことにより、操作者が出納機1から一時的に離れて補充物品を取りに行くことなく、速やかに物品を補充することができるため、物品を効率的に管理可能な出納機1を提供することができる。また、貨幣等を保管する金庫室や消耗品等の保管室が不要になるため、店舗の省スペース化を実現することができる。さらに、キャビネットロック部46が、少なくともキャビネット41Cへアクセス不能な部分解錠状態と、キャビネット41A、41B、41C全てにアクセス可能な全解錠状態とを切り替え可能なことにより、利便性を損なうことなく、セキュリティの観点から求められるアクセスの機密性に応じて物品を安全に管理することができる。
【0067】
また、本実施形態に係る出納機1は、キャビネット41A、41B、41Cが、一体で引き出し可能に設けられるとともに、引き出し方向の前側から奥側に向かって並設され、キャビネットロック部46が、キャビネット41Aにアクセス可能で且つキャビネット41Aより引き出し方向の奥側に位置するキャビネット41B、41Cへアクセス不能な部分解錠状態、キャビネット41A、41Bにアクセス可能で且つキャビネット41Bより引き出し方向の奥側に位置するキャビネット41Cへアクセス不能な部分解錠状態、又はキャビネット41A、41B、41C全てにアクセス可能な全解錠状態を切り替え可能な構成とした。
【0068】
この構成によれば、キャビネットロック部46が、一体で引き出し可能なキャビネット41A、41B、41Cのロック状態を部分解錠状態又は全解錠状態に切り替え可能に構成されていることにより、複雑な操作を伴うことなく、セキュリティの観点から求められるアクセスの機密性に応じて物品を安全に管理することができる。
【0069】
また、本実施形態に係る出納機1は、操作者の認証情報と操作者に対してキャビネット41A、41B、41Cへのアクセス権限の有無に関する権限情報とを紐付けて記憶する記憶部55と、記憶部55に記憶された認証情報に基づいて、操作者のユーザ認証を行うユーザ認証部80と、をさらに備え、制御部50は、認証情報と紐付けて記憶された権限情報に基づいて、アクセス権限があるキャビネット41A、41B、41Cへアクセス可能で且つアクセス権限がないキャビネット41A、41B、41Cへアクセス不能にキャビネットロック部46を施解錠させる構成とした。
【0070】
この構成によれば、予め設定された操作者の権限情報に応じて、セキュリティの観点から求められるアクセスの機密性に応じて物品を安全に管理することができる。
【0071】
また、本実施形態に係る出納機1は、操作表示部60が、キャビネット41A、41B、41C内にそれぞれ収納された物品の収納状態に関する情報を含む待機画面S11を表示する構成とした。
【0072】
この構成によれば、操作者は、キャビネット部40内の収納された物品の収納状態に関する情報を、キャビネット部40の引き出しを伴うことなく簡便に確認することができる。
【0073】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、上記以外にも種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0074】
例えば、出納機1は、紙幣処理装置10、新券処理装置30及び硬貨処理装置20を左右方向(幅方向)の左からこの順番以外に並べたものであっても構わない。また、操作表示部60を新券処理装置30以外の装置の本体の上面に配置しても構わない。さらに、出納機1は、紙幣処理装置10、新券処理装置30及び硬貨処理装置20の3つの装置を並べて設けたものに限定されず、3つより少ない装置を並べたものであっても、3つより多い装置を並べたものであっても構わない。
【0075】
また、例えば、キャビネット部40が新券処理装置30内に設けられた場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。キャビネット部40を出納機1の左右方向(幅方向)の略中央に設けられた装置の貨幣処理部の下方に設けるものに限定されず、キャビネット部40を出納機1の左右方向(幅方向)の略中央以外に設けられた装置の貨幣処理部の下方に設けても構わない。また、キャビネット部40は、操作表示部60が本体の上面に配置されている装置の貨幣処理部の下方に設けられものに限定されず、操作表示部60が本体の上面に配置されていない装置の貨幣処理部の下方にキャビネット部40を設けても構わない。さらに、キャビネット部40は、紙幣処理装置10の紙幣処理部、硬貨処理装置20の硬貨処理部又は新券処理装置30の新券処理部32等の各貨幣処置部の下方に配置するものに限定されず、紙幣処理装置10内、硬貨処理装置20内又は新券処理装置30内の任意の場所に配置しても構わない。すなわち、キャビネット部40を設置可能なスペースを確保できれば、キャビネット部40を出納機1内の如何なる場所に設けても構わない。
【0076】
また、キャビネット部40へのアクセスの機密性を確保するために、ユーザ認証部80に代えて又は加えて、操作者がキャビネット部40へ貨幣を出し入れする一連の処理を録画するカメラを設けても構わない。このようなカメラとして、例えば、出納機1の上方から新券処理装置30を俯瞰して撮影するものが考えられる。
【0077】
また、不正行為を防止するために、キャビネット部40の操作に際して、役席者等の承認がなければキャビネット部40の操作を行えない、いわゆるダブル認証を設定することも可能である。
【0078】
また、キャビネット部40の開閉及びキャビネットロック部46の施解錠は、上述したキャビネット部40への物品の出し入れのみを単独で行う場合に限られず、出納機1が実行する貨幣についての各種処理(貨幣処理)と並行して行う場合であっても構わない。
【0079】
例えば、出納機1で貨幣処理が進行している最中に貨幣が機内で詰まるトラブルが発生した場合、出納機1では、貨幣処理を一時中断してトラブルを解消する異常復旧処理を実行した後に、貨幣処理を再開する。
【0080】
このとき、機内で詰まった貨幣が出納機1への入金が確定している機内管理貨幣である場合、異常復旧処理及び貨幣処理の終了後に、操作者は、その貨幣を出納機1へ戻し入れる必要があるが、貨幣処理の進行中には、操作者が貨幣を手許で一時的に保管しなければならず紛失する虞がある。
【0081】
そこで、機内で詰まった機内管理貨幣が外部に取り除かれる際に、制御部50は、キャビネットロック部46のロックを解除するとともに、取り除かれた貨幣をキャビネット41Cへ収納するよう促す画像等を操作表示部60に表示しても構わない。これにより、異常復旧処理において外部に取り出された機内管理貨幣を操作者が手許で管理して紛失することを防止できる。
【0082】
また、キャビネット部40が、本体31に対して一体で引き出し可能な3つのキャビネット41A~41Cを備え、キャビネットロック部46が、本体31に対するキャビネット41A~41Cの引き出し具合を4段階で調整可能に構成されている場合を例に説明したが、キャビネット41A~41C及びキャビネットロック部46の構成はこれらに限定されるものではない。
【0083】
図24には、本発明の変形例に係る出納機1を示す。なお、本変形例に係る出納機1は、以下の構成が上述した実施形態に係る出納機1と相違し、その他の構成は共通する。本変形例に係る出納機1は、紙幣処理装置10と硬貨処理装置20との間にキャビネット部90が設けられている。
【0084】
図25及び
図26に示すように、キャビネット部90は、上下方向(
図25の紙面上下右方向)の上側から下側に向かって並設された2つのキャビネット91A、91Bを備えている。キャビネット部90は、本体92内に形成された収納スペース93内において、本体92に対して前側に引き出し可能に格納されている。キャビネット91A、91Bは、上側が開口された有底箱状にそれぞれ形成されている。各キャビネット91A、91B内部には、例えば、貨幣(小束紙幣、大束紙幣、棒金、複数の棒金を纏めたシュリンクパック、損券、損貨、記念貨、支払準備金等)、手形や小切手等の有価証券類、サプライ品(バラ硬貨を包装する包装フィルム、バラ紙幣を包装する施封帯、ジャーナル用紙等)、硬貨保管箱、証書又は通帳等の物品が収納可能であるが、これらに限定されるものではない。なお、キャビネットの数は、3つ以上であっても構わない。また、キャビネットは、上下方向に並設されたものに限らず、左右方向に並設されたものであっても構わない。
【0085】
キャビネット91Bの裏面には、左右一対のローラ94が設けられ、キャビネット91A、91Bの各前面には、操作者がキャビネット91A、91Bを引き出す際に手をかける取っ手95が形成されている。キャビネット91A、91Bの左右側面と本体92の内周面との間には、伸縮自在な一対のガイドレール96が設けられており、ガイドレール96は、キャビネット91A、91Bが前後にスムーズにスライドするのをガイドする。
【0086】
キャビネット91A、91Bの各底面と本体92の底面との間には、キャビネット91A、91Bの引き出しをそれぞれロック可能なソレノイドロック等のキャビネットロック部97が設けられている。ソレノイドロックは、公知の構成であり、例えば、本体92側に設けられてソレノイドによって進退移動自在なラッチを備えている。進出状態のラッチがキャビネット91A、91B側に設けられた凹部に係合することにより、本体92に対するキャビネット91A、91Bの引き出しが規制され、退出状態のラッチがキャビネット91A、91B側に設けられた凹部から外れることにより、本体92に対するキャビネット91A、91Bの引き出しが許容される。
【0087】
2組のキャビネットロック部97は、それぞれ独立して制御可能であり、2つのキャビネット91A、91Bの引き出しは、それぞれ独立してロック又はロック解除を切り替え可能である。すなわち、キャビネットロック部97は、2つのキャビネット91A、91Bへアクセス不能なロック状態(施錠状態)と、2つのキャビネット91A、91Bの一方へアクセス可能で且つキャビネット91A、91Bの他方へアクセス不能なロック状態(部分解錠状態)と、2つのキャビネット91A、91Bへアクセス可能にキャビネットロック部97のロックが解除された状態(全解錠状態)とを切り替え可能に構成されている。なお、キャビネット91A、91Bの引き出しをロックするキャビネットロック部97の構成は、ソレノイドロックに限定されるものではない。
【0088】
キャビネット91A、91Bの各後面と本体92との間には、キャビネット91A、91Bを前側にそれぞれ付勢するコイルバネ等の付勢手段98が介装されている。また、キャビネット91A、91Bの各前面には、操作者が手動でキャビネットロック部97を解錠する際にキーを差し込むキャビネット錠99が設けられている。
【0089】
このようにして、本変形例に係る出納機1は、キャビネット91A、91Bが、独立して引き出し可能に構成され、キャビネットロック部97が、キャビネット91A、91Bの引き出しをそれぞれ独立してロック可能な構成とした。
【0090】
この構成によれば、キャビネットロック部97が、キャビネット91A、91Bの引き出しを独立して施解錠除可能に構成されていることにより、セキュリティの観点から求められるアクセスの機密性に応じて物品を安全に管理することができる。
【符号の説明】
【0091】
1:出納機、10:紙幣処理装置、11:(紙幣処理装置の)本体、12:紙幣入出金口、13:束出金口、20:硬貨処理装置、21:(硬貨処理装置の)本体、22:硬貨入金口、23:硬貨出金箱、24:棒金入金口、25:第1の棒金出金口、26:第2の棒金出金口、27:第3の棒金出金口、30:新券処理装置、31:(新券処理装置の)本体、32:新券処理部(貨幣処理部)、33:新券入出金口、34:収納スペース、40:キャビネット、41A、41B、41C:キャビネット部、42:仕切板、43:ローラ、44:取っ手、45:ガイドレール、46:キャビネットロック部、47:付勢手段、48:キャビネット錠、50:制御部、51:動作制御部、52:表示制御部、53:モード切替部、54:庫内在高管理部、55:記憶部、60:操作表示部(表示部、入力部)、70:プリンタ、80:ユーザ認証部、90:キャビネット、91A、91B:キャビネット部、92:本体、93:収納スペース、94:ローラ、95:取っ手、96:ガイドレール、97:キャビネットロック部、98:付勢手段、99:キャビネット錠