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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129755
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】消防用ホース
(51)【国際特許分類】
   A62C 33/00 20060101AFI20240919BHJP
   F16L 11/12 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
A62C33/00 C
F16L11/12 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039163
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】391008320
【氏名又は名称】株式会社初田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100137648
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢一
(72)【発明者】
【氏名】森川 茂計
(72)【発明者】
【氏名】柴垣 和寛
【テーマコード(参考)】
2E189
3H111
【Fターム(参考)】
2E189LA01
3H111DA21
3H111DB04
(57)【要約】

【課題】 退避口にどの程度近づいているか或いは火元にどの程度近づいているかを把握可能な消防用ホースを提供する。
【解決手段】 消防用ホース1Aは、ホース本体2と、ホース本体2の一端に取り付けられた雄継手3と、ホース本体2の他端に取り付けられた雌継手と、を備え、ホース本体2は、ホース本体2の長さ方向に沿って長さが次第に短くなるように分けられ、互いに識別可能な複数の識別表示領域5a~5hを含む。複数の識別表示領域5a~5hは、雄継手3側から雌継手4側に向かって、色相環の時計回りに暖色から寒色に次第に移り変わるように互いに異なる配色が施される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホース本体と、
前記ホース本体の一端に取り付けられた雄継手と、
前記ホース本体の他端に取り付けられた雌継手と、を備え、
前記ホース本体は、前記ホース本体の長さ方向に沿って長さが次第に短くなるように分けられ、互いに識別可能な複数の識別表示領域を含む、
消防用ホース。
【請求項2】
前記複数の識別表示領域は、前記雄継手側から前記雌継手側に向かって、色相環の時計回りに暖色から寒色に次第に移り変わるように互いに異なる配色が施されている、請求項1に記載の消防用ホース。
【請求項3】
ホース本体と、
前記ホース本体の一端に取り付けられた雄継手と、
前記ホース本体の他端に取り付けられた雌継手と、を備え、
前記ホース本体は、前記ホース本体の長さ方向に沿って間隔が次第に短くなるように配列された複数の識別表示部を備える、
消防用ホース。
【請求項4】
前記複数の識別表示部は、前記雄継手側から前記雌継手側に向かって、色相環の時計回りに暖色から寒色に次第に移り変わるように互いに異なる配色が施されている、請求項3に記載の消防用ホース。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消防用ホースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消防隊員に対する誘導機能を付加するために、ホース本体の外周面に複数の方向表示をホース長手方向に沿って間隔をおいて配置され、前記方向表示の各々は、ホース長手方向に隣り合う第一表示部及び第二表示部から構成され、前記第一表示部は第一色を有し、前記第二表示部は第二の色を有する消防用ホースが知られている(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-203019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
火災発生時、昔の住宅は屋根や壁が抜け落ち屋外からの放水で対処できたが、高気密高断熱住宅が普及してきた昨今、屋内へ進入し消火活動を余儀なくされる現場が増えている。命綱として消防用ホースと検索ロープ等を使用しても、濃煙(暗闇)の中でそれらを容易に視認することは困難である。更には、消防活動で両手が塞がれている状態や面体(空気呼吸器)による視野の制限等もあり、進入・退避時、屋内に限らず夜間の屋外においても消防隊員は常に、障害物に消防用ホースや検索ロープが絡まる事による展張・撤収作業の労力増大、搬送障害(消防用ホースの踏み付け、つまづき)等のリスクを負う事になる。
【0005】
消防隊員は、屋内において消火活動を行っている際、例えば、屋内に要救助者が居る場合に救援を呼ぶ際に要救助者の居場所を知らせるために外部と通信するが、夜間に電源が消失した屋内に煙が立ち込めていてライトを照らしても近距離しか見えないような場合、屋内のどのあたりの位置かが分からないと、迅速な救助活動が行えない。
【0006】
また、消防隊員は、屋内での消火活動時に、空気呼吸器の酸素ボンベを背負って屋内に進入して消火活動にあたるが、酸素ボンベに時間制限があるため、凡その進入距離を、移動した距離で推測しながら進入することで自らの行動範囲を推測するが、その推測を誤ると事故につながるおそれがある。
【0007】
屋内火災現場内に救助に向かう消防隊員は、火災が発生している建屋内へ進入して進んでいく際に火元にどの程度近づいているのか、また屋内から退出する際に、退避口にどの程度近づいているかが判れば、救助する隊員の安全を確保した救助活動を行い易いが、上記従来の誘導機能付き消防用ホースは、退避方向は識別可能であるが、退避口(水源側)に近いのか遠いのかが分からない。
【0008】
本発明は、退避方向への誘導機能に加えて、退避口にどの程度近づいているか或いは火元にどの程度近づいているかを把握可能な消防用ホースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一実施態様に係る消防用ホースは、ホース本体と、前記ホース本体の一端に取り付けられた雄継手と、前記ホース本体の他端に取り付けられた雌継手と、を備え、前記ホース本体は、前記ホース本体の長さ方向に沿って長さが次第に短くなるように分けられ、互いに識別可能な複数の識別表示領域を含む。
【0010】
前記複数の識別表示領域は、前記雄継手側から前記雌継手側に向かって、色相環の時計回りに暖色から寒色に次第に移り変わるように互いに異なる配色が施され得る。
【0011】
また、本発明の他の実施形態に係る消防用ホースは、ホース本体と、前記ホース本体の一端に取り付けられた雄継手と、前記ホース本体の他端に取り付けられた雌継手と、を備え、前記ホース本体は、前記ホース本体の長さ方向に沿って間隔が次第に短くなるように配列された複数の識別表示部を備える。
【0012】
前記複数の識別表示部は、前記雄継手側から前記雌継手側に向かって、色相環の時計回りに暖色から寒色に次第に移り変わるように互いに異なる配色が施され得る。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る消防用ホースによれば、消防用ホースの一端側から他端側へ向かうに従ってホース長さ方向の長さが次第に短くなる複数の識別表示部を設けることにより、或いは、消防用ホースの一端側から他端側へ向かうに従って間隔が次第に短くなる複数の識別表示部を設けることにより、識別表示領域の長さ或いは識別表示部の間隔が短くなるに従って、退避口にどの程度近づいているか、或いは、火元にどの程度近づいていているかを判別することができる。
【0014】
また、ホース本体の長さ方向に分配して設けた識別表示領域又は識別表示部を、前記雄継手側から前記雌継手側に向かって、色相環の時計回りに暖色から寒色に次第に移り変わるように配色することにより、火元にどれぐらい近づいているか或いは火元からどれぐらい遠ざかっているかを、感覚的に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る消防用ホースの第1実施形態を示す平面図である。
図2】PCCS色相図の輪郭をグレースケールで表示した図である。
図3】本発明に係る消防用ホースの第2実施形態を示す平面図である。
図4】本発明に係る消防用ホースの第3実施形態を示す平面図である。
図5】本発明に係る消防用ホースの第4実施形態を示す平面図である。
図6】本発明に係る消防用ホースの第5実施形態を示す平面図である。
図7】本発明に係る消防用ホースの第6実施形態を示す平面図である。
図8】本発明に係る消防用ホースの第7実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る消防用ホースの実施形態について、以下に図1図7を参照しつつ説明する。なお、全実施形態を通じて同一又は類似の構成要素には同符号を付している。
【0017】
先ず、本発明に係る消防用ホースの第1実施形態について図1を参照して説明する。図1を参照して、消防用ホース1Aは、ホース本体2と、ホース本体2の一端に取り付けられた雄継手3と、ホース本体2の他端に取り付けられた雌継手4と、を備える。
【0018】
ホース本体2は、合成繊維製の経糸と緯糸を円筒状に織成したホースジャケットの内面に、ゴム製又は合成樹脂製のライニング(図示せず。)が施されている。雄継手3及び雌継手4は、町野式と呼ばれる差込式結合継手が用いられているが、他の形式、例えばネジ式の結合継手とすることもできる。
【0019】
消防用ホース1Aは、表示長さ20メートルの平ホースが一般的に使用される。表示長さとは、消防用ホース1Aのホース本体2に表示される長さであり、表示することが義務付けられている。表示長さは、+10%の誤差が認められているため、表示長さ20メートルのホース本体2の長さは20~22メートルである。消防用ホース1Aのホース本体2の内径(呼称)は、一般には、65mm、50mm、或いは40mmが採用される。なお、図示された消防用ホース1Aは、他の実施形態も含め、全体構成を把握し易くするため、ホース本体2、雄継手2、及び雌継手4の寸法比率を誇張して図示されており、実際の製品の寸法比率とは異なる。
【0020】
消防用ホース1Aは、ホース本体の長さ方向に沿って長さが次第に短くなるように分けられ、互いに識別可能な複数の識別表示領域5a~5hを備えている。図示例では、複数の識別表示領域5a~5hは、ホース本体2の雄継手3側から雌継手4側へ向かうに従ってホース長さ方向の長さが次第に短くなるように色分けされて互いに識別可能に構成されている。図示例では、雄継手3の側から雌継手4側に向かうに従って識別表示領域5a~5hの長さが短くなっているが、逆向きに短くなるように配列することもできる。
【0021】
識別表示領域5a~5hは、好ましくは、雄継手3の側から雌継手4の側に向かって、色相環の時計回り方向に暖色から寒色へ次第に移り変わるように配色されて色分け模様が形成される。暖色とは赤、橙、黄などのように暖かそうな色であり、寒色とは青緑、青、青紫などの冷たさを感じさせる色であり、暖色と寒色のどちらにも属さない黄緑、緑、紫などは中間色である。例えば、識別表示領域5aを赤、識別表示領域5bを橙、識別表示領域5cを黄、識別表示領域5dを黄緑、識別表示領域5eを緑、識別表示領域5fを青緑、識別表示領域5gを青、識別表示領域5hを青紫とすることができる。
【0022】
図2を参照して、PCCS(Practical Color Co-ordinate System:日本色研配色体系)の色相環(本来の色相環は有彩色で表示されるが、図2はグレースケールで表示されている。)では、時計回り方向に、1: pR(purplish red 紫みの赤/ルビーレッド、ローズレッド)、2: R(red 赤/ポピーレッド、カーマイン)、3:yR(yellowish red 黄みの赤/バーミリオン、スカーレット)、4: rO(reddish Orange 赤/ポピーレッド、カーマイン), 5: O(Orange だいだい/オレンジ), 6: yO(Yellowish Orange 黄みの橙/マリーゴールド), 7: rY(reddish Yellow 赤みの黄), 8: Y(yellow 黄), 9: gY(greenish Yellow 緑みの黄/レモンイエロー), 10: YG(Yellow green 黄緑/リーフグリーン), 11: yG(yellowish green 黄みの緑), 12: G(green みどり/エメラルドグリーン), 13: bG(bluish green青みの緑/ビリジアン), 14: BG(blue green 青緑/ピーコックグリーン), 15: BG(blue green 青緑), 16: gB(greenish blu 緑みの青/シアン), 17: B(blue 青/セルリアンブルー), 18:B(blue 青/コバルトブルー), 19: pB(Purplish blue 紫みの青/ウイスタリア), 20: V(violet 青紫), 21: bP(bluish Purple青みの紫), 22: P(Purple紫), 23: rP(reddish purple赤みの紫), 24: RP(red purple赤紫)の24色に分けられている。このうち、1~8が暖色、13~19が寒色、9~12及び20~24は中間色である。PCCS色相環の時計回り方向に暖色から寒色へ移り変わるように配色するには、時計回りに1(pR)から19(pB)の複数の色から所望の色を選択して配色する。なお、PCCS色相環の反時計回り方向に暖色から寒色へ移り変わると、中間色が紫系の濃い色であり、暗所で判別しにくくなる場合があるため好ましくない。
【0023】
色相環は、可視光のスペクトル帯を環状にしたものであり、PCCS色相環の他にもオストワルド色相環などもある。可視光の波長は800nm~400nmであり、赤が620~800nm、橙が590~620nm、黄が565~590nm、緑が495~565nm、青440~495nm、藍(青紫)が430~440nm、紫が400~430nmであるから、色相環で時計回りに暖色から寒色の色は波長800nm~430nm(赤~藍)に相当する。
【0024】
ホースジャケットを構成する経糸と緯糸のうち、緯糸は殆ど経糸によって隠れ、ホースジャケットの表面には経糸が主に露出する。従って、所望の色で色分けされて着色されている着色糸をホースジャケットの経糸に用いることにより、図1に示すように色分けされた識別表示領域5a~5hを有する消防用ホース1を製作することができる。ホースジャケットの緯糸は、基本的には無着色糸(白)が用いられるが、着色糸を用いることもできる。
【0025】
ホース本体2への外面塗装により着色する従来のカラーホース(色付きホース)に比べ、着色糸(先染めの糸)を用いたホース本体2は、硬くならずホワイト(無着色)のホースと同じ使い勝手を実現でき、経年劣化によるホースのごわつきや折れ癖、色落ちがほとんどなく、数年後も鮮やかな色合いが持続する等の優れた特性を有する。また、着色糸は、着色する領域の長さや色を自由に容易に設定できる。更に、着色糸を使用するにあたって新たな設備投資も不要であり、既存の製造装置(円形織機)及び従来の製法で消防用ホースを製造することができる。
【0026】
図3は、識別表示領域5b、5d、5fを網目模様とした第2実施形態の消防用ホース1Bを示している。識別表示領域5a、5c,5eは、図示例では有彩色による塗潰し領域としているが、識別表示領域5a、5c,5eの一部または全部を無着色(白)の領域とすることもできる。
【0027】
図3に示す例では、ホース本体2の長さが20メートルであり、識別表示領域5aの長さAが5メートル、識別表示領域5bの長さBが5メートル、識別表示領域5cの長さCが4メートル、識別表示領域5dの長さDが3メートル、識別表示領域5eの長さが2メートル、識別表示領域5fの長さが1メートルである。識別表示領域5aの長さAと識別表示領域5bの長さBは同じであるが、識別表示領域5b~5fの長さB~Fが次第に短くなっている。
【0028】
消防用ホース1Bの識別表示領域5a~5fも、雄継手3の側から雌継手4の側に向かって、色相環の時計回り方向に暖色から寒色へ次第に移り変わるように配色することができる。網目模様はホースジャケットの外面塗装により形成することができる。
【0029】
図4は、互いに異なる縦縞模様を施した複数の識別表示領域を有する第3実施形態の消防用ホース1Cを示している。消防用ホース1Cの識別表示領域5a~5fは、其々の縦縞の太さ、配置を変えることにより、互いに識別可能に構成されている。識別表示領域5a~5fの長さは、A=B>C=D>E=Fとなっており、雄継手3側から雌継手4側へ、2領域毎に次第に短くなっている。本発明において、「ホース本体の長さ方向に沿って長さが次第に短くなるように分けられ、互いに識別可能な複数の識別表示領域を含む」態様には、複数の識別表示領域が、1領域毎に次第に短くなる場合の他、複数領域毎に次第に短くなる場合(図4)や、次第に短くなる複数の領域の一部に同じ長さの領域が隣り合う場合(図3)も含まれる。
【0030】
図4の識別可能領域5a~5fは、全て同色の縦縞模様とすることもできるし、其々が異なる色、好ましくは、雄継手3の側から雌継手4の側に向かって、色相環の時計回り方向に暖色から寒色へ次第に移り変わるように配色することができる。第3実施形態の消防用ホース1Cは、予め所望の色に着色された着色糸を経糸に用いて製作することができる。
【0031】
図5は、第1実施形態の識別表示領域を横縞模様で構成した識別表示領域5a~5hを有する第4実施形態の消防用ホース1Dを示している。第4実施形態の消防用ホース1Dは、識別表示領域が横縞模様であること以外の構成は、上記第1実施形態と同様である。第4実施形態の消防用ホース1Dは、識別表示領域5a~5hの其々の縦縞の太さが異なるように構成することにより、互いの識別表示領域5a~5hを識別可能であるため、全てを同一色の縞模様(例えば青と白の縞模様)で構成することもできる。
【0032】
図6は、第1実施形態の識別表示領域を縦縞模様で構成した識別表示領域5a~5hを有する第5実施形態の消防用ホース1Eを示している。第5実施形態の消防用ホース1Eは、識別表示領域が縦縞模様であること以外の構成は、上記第1実施形態と同様である。消防用ホース1Eは、8色に色分けされた着色糸の経糸と、着色糸より安価な無着色(白)の経糸とを組み合わせて織成することにより製作することができるため、第1実施形態の消防用ホース1Aより安価に製作することができる。
【0033】
上記第1~第6実施形態について種々説明したが、本発明に係る消防用ホースの複数の識別可能領域は、上記実施態様に限らず、色彩、網目模様、縦縞模様、横縞模様等の模様、或いは、それらの模様と色彩との組み合わせ等によって、互いに領域の境界を識別可能に構成され得る。
【0034】
また、本発明の消防用ホースにおける識別可能領域の数は、上記実施形態に限らず、適宜の数の識別可能領域を設けることができる。ただし、上記したように一般的に使用される消防用ホースは、ホース本体2の長さが20~22メートルであり、その場合、識別表示領域の数が20以上では各識別表示領域の差が大きくなりすぎ、逆に4以下であると各識別表示領域の差が小さくなり過ぎて、其々の識別表示領域の識別性が低下し、瞬時に判別しにくくなるため、識別表示領域の数は、5以上20未満が好ましく、5以上10以下とすることがより好ましい。
【0035】
上記構成を有する消防用ホースによれば、例えば、夜間で煙が立ち込め照明が落ちた視界の悪い建屋内で消火・救助活動を行う場合に、複数の識別表示領域5a~5hに手元ライトを照らして見れば、現在位置が出口に近いのか遠いのかを瞬時に把握できるので、火災現場での救助活動の一助となる。
【0036】
また、複数の識別表示領域が暖色から寒色へ徐々に変化するように配色されていれば、消防用ホースをたどって進入することにより、徐々に火元に近づいていることを把握することができるため、救助作業時に炎に巻き込まれるような二次災害を防いで、安全な救助作業の一助となる。
【0037】
また、どの消防署の分署やどの消防団の分団のものかを、複数の識別表示領域の配色や模様によって識別できるようにすることもできるので、多数の分団や分署が消火現場にいても、消防用ホースの撤収を迅速に行える。
【0038】
図7は、本発明に係る第6実施形態の消防用ホース1Fを示している。上記第1~第5実施形態の消防用ホースは、ホース本体2を長さ方向に区切る領域により識別表示領域を構成していたが、第6実施形態の消防用ホース1Fは、ホース2の長さ方向に沿って間隔が次第に短くなるように配列された複数の識別表示部5a~5hをホース本体2に備えている。図示例の識別表示部5a~5hは、ホース本2体の雄継手3側から雌継手4側へ向かうに従って間隔が次第に短くなるように配列されている。
【0039】
第6実施形態の消防用ホース1Fの識別表示部5a~5hも、好ましくは、雄継手3側から雌継手4側に向かって、色相環の時計回りに暖色から寒色に次第に移り変わるように互いに異なる配色が施され得る。
【0040】
識別表示部5a~5hは、図示例では退避方向を示す矢印形状の図柄模様が施されているが、例えば、方向性を示す若葉マーク形状、△形状の他、方向性を示さない丸形状、四角形状等、任意の形状の図柄模様とすることもできる。
【0041】
上記第6実施形態の消防用ホース1Fは、上記構成を採用することにより、上記第1~第5実施形態と同様の作用効果を奏し得る。
【0042】
図8は、本発明に係る第7実施形態の消防用ホース1Gを示している。第7実施形態の消防用ホース1Gは、ホース2の長さ方向に沿って間隔が次第に短くなるように配列された複数の識別表示部5a~5hをホース本体2に備えている。上記第6実施形態の複数の識別表示部5a~5hは図柄模様で構成されていたが、図8に示す第7実施形態の識別表示部5a~5hは、ホース本体2の長さ方向に所定の長さに亘って延びる筒状の色彩模様によって構成されている。
【0043】
第7実施形態の識別表示部5a~5hは、図示例のように同一色で構成することもできるし、任意の異なる色で配色することもできるし、継手3側から雌継手4側に向かって、色相環の時計回りに暖色から寒色に次第に移り変わるように互いに異なる配色とすることもできる。
【0044】
また、図示例の消防用ホース1Gは、着色された識別表示部5a~5hの隣り合う間隔領域を、無着色領域としているが、当該間隔領域を識別表示部5a~5hと異なる色で配色することにより、識別表示部5a~5hを識別可能とすることができる。図示例の消防用ホース1Gのホース本体2は、識別表示領域5a~5hを形成するための、交互に色分けされた着色糸を経糸に用いることにより製造することができる。
【0045】
また、図示例の識別表示部5a~5bは、継手3側から雌継手4側に沿って、ホース長さ方向の長さが徐々に短くなるように構成されている。図示しないが、其々の識別表示部5a~5bのホース長さ方向に同じ長さとすることも可能である。上記第7実施形態の消防用ホース1Gも、上記構成を採用することにより、上記第1~第5実施形態と同様の作用効果を奏し得る。
【0046】
本発明は、上記実施形態に限定解釈されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0047】
1A~1F 消防用ホース
2 ホース本体
3 雄継手
4 雌継手
5a~5h 識別表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8