(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012976
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】乾燥装置
(51)【国際特許分類】
F26B 21/00 20060101AFI20240124BHJP
F26B 9/00 20060101ALI20240124BHJP
F26B 25/12 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
F26B21/00 D
F26B9/00
F26B25/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114852
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】391008294
【氏名又は名称】フルタ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】古田 成広
(72)【発明者】
【氏名】吉瀬 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】山口 一広
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA07
3L113AB03
3L113AC04
3L113AC08
3L113AC52
3L113AC67
3L113AC75
3L113BA02
3L113BA16
3L113CB03
3L113CB05
3L113CB24
3L113CB28
3L113DA10
3L113DA11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】乾燥ムラの抑制効果を向上させることができる乾燥装置を提供する。
【解決手段】乾燥装置1は、乾燥室10と、上端部に第1通気口12b、下端部に第2通気口12c、第1通気口12b・第2通気口12c間に第1空気孔12aが形成された第1側壁12と、上端部に第3通気口13b、下端部に第4通気口13c、第3通気口13b・第4通気口13c間に第2空気孔13aが形成された第2側壁13と、第1から第4通気口12b、12c、13b、13cを開閉する開閉扉20と、第1・第2空気孔12a、13aを閉塞する閉塞位置と非閉塞位置とを移動する閉塞部材30と、開閉扉の開閉と閉塞部材30の移動を制御し、第2通気口から第3通気口へ空気が流れる上吹き流路、第1空気孔から第2空気孔へ空気が流れる横吹き流路、第1通気口から第4通気口へ空気が流れる下吹き流路を切り替える制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に供給される空気によって乾燥する乾燥対象物を収納する乾燥室と、
上端部に空気が流れる第1通気口が形成され、下端部に前記空気が流れる第2通気口が形成され、前記第1通気口と前記第2通気口の間に前記空気が流れる第1空気孔が形成され、前記乾燥室を構成する第1側壁と、
上端部に前記空気が流れる第3通気口が形成され、下端部に前記空気が流れる第4通気口が形成され、前記第3通気口と前記第4通気口の間に前記空気が流れる第2空気孔が形成され、前記第1側壁と共に前記乾燥室を構成する第2側壁と、
前記第1通気口、前記第2通気口、前記第3通気口、及び、前記第4通気口をそれぞれ開閉する複数の開閉扉と、
前記第1空気孔及び前記第2空気孔をそれぞれ閉塞する閉塞位置と、閉塞しない非閉塞位置とを移動する閉塞部材と、
複数の前記開閉扉の開閉、及び、前記閉塞部材の移動を制御し、前記第2通気口から前記第3通気口へと前記空気が流れる上吹き流路と、前記第1空気孔から前記第2空気孔へと前記空気が流れる横吹き流路と、前記第1通気口から前記第4通気口へと前記空気が流れる下吹き流路と、を切り替える制御部と、
を備える、乾燥装置。
【請求項2】
前記制御部は、
モーターにより回転する軸体と、
前記軸体の回転と、前記開閉扉の開閉と、を連動させる第1連動部材と、
前記軸体の回転と、前記閉塞部材の移動と、を連動させる第2連動部材と、を備える、請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記第1連動部材は、前記軸体の回転に伴って、前記開閉扉を開閉させるアームである、請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記第2連動部材は、前記軸体の回転に伴って、前記閉塞部材を前記閉塞位置と前記非閉塞位置との間を移動させるワイヤーである、請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記閉塞部材は、前記第1側壁の壁面に対向する板面を有する第1多孔プレートと、前記第2側壁の壁面に対向する板面を有する第2多孔プレートと、を含み、
前記第1多孔プレートには、前記非閉塞位置において前記第1空気孔と連通可能な第1孔が形成され、
前記第2多孔プレートには、前記非閉塞位置において前記第2空気孔と連通可能な第2孔が形成され、
前記第1多孔プレートが前記閉塞位置にスライド移動することで、前記第1空気孔と前記第1孔との位置がずれて前記第1空気孔が閉塞され、
前記第2多孔プレートが前記閉塞位置にスライド移動することで、前記第2空気孔と前記第2孔との位置がずれて前記第2空気孔が閉塞される、請求項1から4のいずれか一項に記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記制御部が、モーターにより回転する軸体を備え、
前記開閉扉は、前記第1通気口を開閉する第1開閉扉と、前記第2通気口を開閉する第2開閉扉と、前記第3通気口を開閉する第3開閉扉と、前記第4通気口を開閉する第4開閉扉と、を含み、
前記軸体が、前記開閉扉が閉じた初期位置から、第1位置または第2位置へと回転し、
前記軸体が前記初期位置から前記第1位置へと回転したとき、前記第2開閉扉及び前記第3開閉扉が開き、前記第1多孔プレート及び前記第2多孔プレートが移動して、前記第1空気孔及び前記第2空気孔をそれぞれ閉塞し、前記上吹き流路が形成され、
前記軸体が前記初期位置から前記第2位置へと回転したとき、前記第1開閉扉及び前記第4開閉扉が開き、前記第1多孔プレート及び前記第2多孔プレートが移動して、前記第1空気孔及び前記第2空気孔をそれぞれ閉塞し、前記下吹き流路が形成される、請求項5に記載の乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、乾燥室内を通過する横向きの風の風向を反転することができる乾燥装置が開示されている。特許文献1に開示された乾燥装置においては、乾燥室内を通過する空気の風向を2方向に切り替え、乾燥室内の乾燥対象物の乾燥ムラを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された乾燥装置においては、乾燥室内を通過する空気の風向を2方向に切り替えることで、乾燥機内において空気が流れる2つの流路が形成される。しかしながら、特許文献1に開示された乾燥装置では、乾燥ムラが残るおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、乾燥ムラの抑制効果を向上させることができる乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る乾燥装置は、
室内に供給される空気によって乾燥する乾燥対象物を収納する乾燥室と、
上端部に空気が流れる第1通気口が形成され、下端部に前記空気が流れる第2通気口が形成され、前記第1通気口と前記第2通気口の間に前記空気が流れる第1空気孔が形成され、前記乾燥室を構成する第1側壁と、
上端部に前記空気が流れる第3通気口が形成され、下端部に前記空気が流れる第4通気口が形成され、前記第3通気口と前記第4通気口の間に前記空気が流れる第2空気孔が形成され、前記第1側壁と共に前記乾燥室を構成する第2側壁と、
前記第1通気口、前記第2通気口、前記第3通気口、及び、前記第4通気口をそれぞれ開閉する複数の開閉扉と、
前記第1空気孔及び前記第2空気孔をそれぞれ閉塞する閉塞位置と、閉塞しない非閉塞位置とを移動する閉塞部材と、
複数の前記開閉扉の開閉、及び、前記閉塞部材の移動を制御し、前記第2通気口から前記第3通気口へと前記空気が流れる上吹き流路と、前記第1空気孔から前記第2空気孔へと前記空気が流れる横吹き流路と、前記第1通気口から前記第4通気口へと前記空気が流れる下吹き流路と、を切り替える制御部と、
を備える。
【0007】
前記制御部は、
モーターにより回転する軸体と、
前記軸体の回転と、前記開閉扉の開閉と、を連動させる第1連動部材と、
前記軸体の回転と、前記閉塞部材の移動と、を連動させる第2連動部材と、を備えてもよい。
【0008】
前記第1連動部材は、前記軸体の回転に伴って、前記開閉扉を開閉させるアームであってもよい。
【0009】
前記第2連動部材は、前記軸体の回転に伴って、前記閉塞部材を前記閉塞位置と前記非閉塞位置との間を移動させるワイヤーであってもよい。
【0010】
前記閉塞部材は、前記第1側壁の壁面に対向する板面を有する第1多孔プレートと、前記第2側壁の壁面に対向する板面を有する第2多孔プレートと、を含み、
前記第1多孔プレートには、前記非閉塞位置において前記第1空気孔と連通可能な第1孔が形成され、
前記第2多孔プレートには、前記非閉塞位置において前記第2空気孔と連通可能な第2孔が形成され、
前記第1多孔プレートが前記閉塞位置にスライド移動することで、前記第1空気孔と前記第1孔との位置がずれて前記第1空気孔が閉塞され、
前記第2多孔プレートが前記閉塞位置にスライド移動することで、前記第2空気孔と前記第2孔との位置がずれて前記第2空気孔が閉塞されてもよい。
【0011】
前記制御部が、モーターにより回転する軸体を備え、
前記開閉扉は、前記第1通気口を開閉する第1開閉扉と、前記第2通気口を開閉する第2開閉扉と、前記第3通気口を開閉する第3開閉扉と、前記第4通気口を開閉する第4開閉扉と、を含み、
前記軸体が、前記開閉扉が閉じた初期位置から、第1位置または第2位置へと回転し、
前記軸体が前記初期位置から前記第1位置へと回転したとき、前記第2開閉扉及び前記第3開閉扉が開き、前記第1多孔プレート及び前記第2多孔プレートが移動して、前記第1空気孔及び前記第2空気孔をそれぞれ閉塞し、前記上吹き流路が形成され、
前記軸体が前記初期位置から前記第2位置へと回転したとき、前記第1開閉扉及び前記第4開閉扉が開き、前記第1多孔プレート及び前記第2多孔プレートが移動して、前記第1空気孔及び前記第2空気孔をそれぞれ閉塞し、前記下吹き流路が形成されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る乾燥装置においては、制御部が、空気が流れる上吹き流路と横吹き流路と下吹き流路とを切り替える。このため、本発明に係る乾燥装置においては、乾燥室を流れる空気の流路を増やすことができ、結果として、乾燥ムラの抑制効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】本発明の実施の形態1に係る乾燥装置の斜視図である。
【
図1B】(a)は、本発明の実施の形態1に係る乾燥装置の正面図である。(b)は、実施の形態1に係る乾燥装置の左側面図である。
【
図2】
図1B(b)のI-I’断面を示す断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係る乾燥装置の背面図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る初期位置の制御部を示す背面図である。
【
図5】本発明の実施の形態1に係る第1位置の制御部を示す背面図である。
【
図6】本発明の実施の形態1に係る第2位置の制御部を示す背面図である。
【
図7】本発明の実施の形態1に係る多孔プレートを示す斜視図である。
【
図8】本発明の実施の形態1に係る上吹き流路を示す断面図である。
【
図9】本発明の実施の形態1に係る横吹き流路を示す断面図である。
【
図10】本発明の実施の形態1に係る下吹き流路を示す断面図である。
【
図11】本発明の実施の形態1に係る吸気管及び排気管を示す斜視図である。
【
図12】本発明の実施の形態1に係る吸気管及び排気管の内部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る乾燥装置を図に基づいて詳細に説明する。なお、理解を容易にするために、相互に直行するXYZ座標を設定し、適宜参照する。
【0015】
実施の形態1.
以下、本実施の形態に係る乾燥装置1を説明する。本実施の形態に係る乾燥装置1は、乾燥対象物に加熱した風を当てて乾燥させる装置である。
【0016】
図1から
図3に示すように、乾燥装置1は、筐体2と、乾燥室10と、開閉扉20と、閉塞部材30と、制御部40と、空気通路50と、送風機60と、加熱装置70と、吸気管80と、排気管90と、を備える。
【0017】
筐体2は、乾燥室10及び空気通路50を密封する。筐体2は、パネル2aを有する。
図1A及び
図1Bの乾燥装置1のパネル2aから乾燥室10へ向かう方向を+X軸方向、手前から奥行きの方向を+Y軸方向、高さ方向を+Z軸方向とする。
【0018】
パネル2aは、乾燥装置1による乾燥時間、乾燥温度を設定するための入力機器である。パネル2aは、タッチパネルである。しかしながら、これに限られない。パネル2aは、例えば、入力キーであってもよい。さらに、パネル2aは、乾燥装置1による乾燥の進行状況を表示する表示機器、又は、表示ランプを備えてもよい。
【0019】
乾燥室10は、乾燥対象物に加熱した空気を当てて乾燥させるために、乾燥対象物を収納する。乾燥室10は、-Y側に乾燥対象物を内部に収納するための開口が形成されている。乾燥室10は、
図1及び
図2に示すように、正面扉11と、第1側壁12と、第2側壁13と、背面壁14と、棚受け15と、を備える。
【0020】
正面扉11は、乾燥室10の-Y側に設けられた開口を閉塞する扉である。正面扉11は、乾燥室10内に乾燥対象物を収納した後、乾燥室10内を密封する。正面扉11は、覗き窓11aを有する。
【0021】
覗き窓11aは、乾燥室10の内部を覗くことができるように設けられている。覗き窓11aは、開閉可能な矩形の耐熱ガラス窓である。しかしながら、これに限られない。覗き窓11aは、例えば、開けることのできない丸窓であってもよい。
【0022】
第1側壁12は、乾燥室10の+X側を形成する側壁である。第1側壁12には、複数の第1空気孔12aと、第1通気口12bと、第2通気口12cと、が形成されている。
【0023】
第1空気孔12aは、第1側壁12に形成された略円形の孔である。複数の第1空気孔12aは、第1側壁12の内面側において、均等に分散するように形成されている。
【0024】
第1通気口12bは、乾燥室10の上方から乾燥室10内に空気を取り込むための開口である。第1通気口12bは、第1側壁12の上端部に形成されている。
【0025】
第2通気口12cは、乾燥室10の下方から乾燥室10内に空気を取り込むための開口である。第2通気口12cは、第1側壁12の下端部に形成されている。
【0026】
第2側壁13は、第1側壁12と向かい合う、乾燥室10の-X側を形成する側壁である。第2側壁13には、第2空気孔13aと、第3通気口13bと、第4通気口13cと、が形成されている。
【0027】
第2空気孔13aは、第2側壁13に形成された略円形の孔である。複数の第2空気孔13aは、第2側壁13の内面側において、均等に分散するように形成されている。
【0028】
第3通気口13bは、乾燥室10の上方から乾燥室10の内部空間から外部へ空気を排出するための開口である。第3通気口13bは、第2側壁13の上端部に形成されている。
【0029】
第4通気口13cは、乾燥室10の下方から乾燥室10の内部空間から外部へ空気を排出するための開口である。第4通気口13cは、第2側壁13の下端部に形成されている。
【0030】
背面壁14は、乾燥室10の+Y側を形成する側壁である。背面壁14には、排気口14aが形成されている。排気口14aには、扉14bが設けられ、乾燥室10内の空気を排気するときに開放される。
【0031】
棚受け15は、エビラ及び乾燥棚を支持するための支持部材である。棚受け15は、第1側壁12及び第2側壁13から、第1側壁12、第2側壁13、及び背面壁14により規定される乾燥室10の内部空間へ突出するように設けられている。さらに、第1側壁12側の棚受け15は、第2側壁13側の棚受け15と、ほぼ同じ高さに設けられている。
【0032】
開閉扉20は、乾燥室10内の空気の風向を制御するための扉である。開閉扉20は、第1開閉扉21と、第2開閉扉22と、第3開閉扉23と、第4開閉扉24と、を含む。
【0033】
第1開閉扉21は、第1側壁12の第1通気口12bを開閉する扉である。第1開閉扉21は、第1側壁12の上端部に設けられている。第1開閉扉21は、乾燥室10の上方から乾燥室10内に空気を取り込むときに開かれる。第1開閉扉21は、上端部(+Z側端部)に設けられた軸21aを有する。第1開閉扉21は、軸21aを軸として下端部(-Z側端部)が+X軸方向側に回動し、第1通気口12bを開放する。
【0034】
第2開閉扉22は、第1側壁12の第2通気口12cを開閉する扉である。第2開閉扉22は、第1側壁12の下端部に設けられている。第2開閉扉22は、乾燥室10の下方から乾燥室10の内部空間から外部へ空気を排出するときに開かれる。第2開閉扉22は、上端部に設けられた軸22aを有する。第2開閉扉22は、軸22aを軸として下端部が+X軸方向側に回動し、第2通気口12cを開放する。
【0035】
第3開閉扉23は、第2側壁13の第3通気口13bを開閉する扉である。第3開閉扉23は、第2側壁13の上端部に設けられている。第3開閉扉23は、乾燥室10の上方から乾燥室10の内部空間から外部へ空気を排出するときに開かれる。第3開閉扉23は、上端部に設けられた軸23aを有する。第3開閉扉23は、軸23aを軸として下端部が-X軸方向側に回動し、第3通気口13bを開放する。
【0036】
第4開閉扉24は、第2側壁13の第4通気口13cを開閉する扉である。第4開閉扉24は、第2側壁13の下端部に設けられている。第4開閉扉24は、乾燥室10の下方から乾燥室10内に空気を取り込むときに開かれる。第4開閉扉24は、上端部に設けられた軸24aを有する。第4開閉扉24は、軸24aを軸として下端部が-X軸方向側に回動し、第4通気口13cを開放する。
【0037】
閉塞部材30は、第1空気孔12a又は第2空気孔13aを通る空気の流量を調節するための板材である。閉塞部材30は、第1多孔プレート31と、第2多孔プレート32と、を含む。
【0038】
第1多孔プレート31は、第1側壁12に対してZ軸方向にスライド移動するように設けられている。第1多孔プレート31は、第1側壁12の壁面に対向する板面を有する。第1多孔プレート31には、第1孔31aが形成されている。第1多孔プレート31は、第1開閉扉21及び第2開閉扉22の開閉と連動してスライド移動する。第1多孔プレート31は、第1開閉扉21及び第2開閉扉22が閉じられている状態を基準として、第1開閉扉21が開き、第2開閉扉22が閉じているとき、上方(+Z軸方向)にスライド移動する。そして、第1多孔プレート31は、第1開閉扉21が閉じ、第2開閉扉22が開いているとき、下方(-Z軸方向)にスライド移動する。
【0039】
第1多孔プレート31の第1孔31aは、第1開閉扉21及び第2開閉扉22が閉じられているとき、第1空気孔12aと連通する位置に形成されている。そして、第1孔31aは、第1多孔プレート31がスライド移動することにより第1空気孔12aとZ軸方向の位置がずれる。そのため、第1孔31aは、第1開閉扉21が開き、第2開閉扉22が閉じているとき、又は、第1開閉扉21が閉じ、第2開閉扉22が開いているとき、第1空気孔12aと連通しない。
【0040】
第2多孔プレート32は、第2側壁13に対してZ軸方向にスライド移動するように設けられている。第2多孔プレート32は、第2側壁13の壁面に対向する板面を有する。第2多孔プレート32には、第2孔32aが形成されている。第2多孔プレート32は、第3開閉扉23及び第4開閉扉24の開閉と連動してスライド移動する。第2多孔プレート32は、第3開閉扉23及び第4開閉扉24が閉じられている状態を基準として、第4開閉扉24が閉じ、第3開閉扉23が開いているとき、上方(+Z軸方向)にスライド移動する。そして、第2多孔プレート32は、第4開閉扉24が開き、第3開閉扉23が閉じているとき、下方(-Z軸方向)にスライド移動する。
【0041】
第2多孔プレート32の第2孔32aは、第3開閉扉23及び第4開閉扉24が閉じられているとき、第2空気孔13aと連通する位置に形成されている。そして、第2孔32aは、第2多孔プレート32がスライド移動することにより第2空気孔13aとZ軸方向の位置がずれる。そのため、第2孔32aは、第4開閉扉24が閉じ、第3開閉扉23が開いているとき、又は、第4開閉扉24が開き、第3開閉扉23が閉じているとき、第2空気孔13aと連通しない。
【0042】
制御部40は、開閉扉20の開閉、及び閉塞部材30の位置を制御する。制御部40は、
図3に示すように、回転部材41と、第1ガイドアーム42と、第2ガイドアーム43と、第3ガイドアーム44と、第4ガイドアーム45と、第1ワイヤー46と、第2ワイヤー47と、第3ワイヤー48と、第4ワイヤー49と、を有する。
【0043】
回転部材41は、開閉扉20を連動して開閉させる。回転部材41は、
図4から
図6に示すように、軸体41aと、アーム41bと、を有する。
図4から
図6では、回転部材41を覆うカバー等を省略している。
【0044】
軸体41aは、モーターによって回転する矩形状の部材である。しかしながら、これに限られない。軸体41aは、例えば、円盤状の部材であってもよい。軸体41aは、一辺がX軸と平行な状態を初期位置として、-X軸方向側に予め定められた所定の角度まで回転した第1位置、又は+X軸方向側に予め定められた所定の角度まで回転した第2位置まで回転する。
【0045】
アーム41bは、軸体41aの回転運動を他の部材に伝える。アーム41bは、中央部分に軸体41aが固定されている。アーム41bは、軸体41aが初期位置のとき、X軸と平行である。
【0046】
第1ガイドアーム42は、アーム41bの運動を第1開閉扉21に伝える棒状の部材である。第1ガイドアーム42は、アーム41bの+X軸方向側端部と、第1開閉扉21の軸21aと、を連動する。第1ガイドアーム42は、第1腕部42aと、第1回動部42bと、を有する。
【0047】
第1ガイドアーム42の第1腕部42aは、伸縮する棒状の部材である。第1腕部42aは、軸体41aの回転によるアーム41bの運動を第1回動部42bに伝える。第1腕部42aの一端は、アーム41bの+X軸方向側端部と連結する。第1腕部42aの他端は、第1回動部42bの一端と回動自在に連結する。第1腕部42aの他端は、軸体41aが初期位置から第2位置まで回転したとき、アーム41bにより、第1開閉扉21から遠ざかる方向へ移動する。第1腕部42aは、軸体41aが初期位置から第1位置まで回転したときに縮み、第1腕部42aの他端の位置はほぼ変わらないように形成されている。
【0048】
第1ガイドアーム42の第1回動部42bは、第1腕部42aの運動を第1開閉扉21の開閉運動へと変換する。第1回動部42bの一端は、第1腕部42aと回動自在に連結する。第1回動部42bの他端は、第1開閉扉21の軸21aと連結する。第1回動部42bは、軸体41aが初期位置から第2位置まで回転したとき、第1腕部42aにより、第1開閉扉21の下端部が+X軸方向側に回動するように軸21aを回転させる。さらに、第1回動部42bは、軸体41aが第2位置から初期位置まで回転したとき、第1腕部42aにより、第1開閉扉21の下端部が-X軸方向側に回動するように軸21aを回転させる。
【0049】
第2ガイドアーム43は、アーム41bの運動を第2開閉扉22に伝える棒状の部材である。第2ガイドアーム43は、アーム41bの+X軸方向側端部と、第2開閉扉22の軸22aと、を連動させる。第2ガイドアーム43は、第2腕部43aと、第2回動部43bと、を有する。
【0050】
第2ガイドアーム43の第2腕部43aは、伸縮する棒状の部材である。第2腕部43aは、軸体41aの回転によるアーム41bの運動を第2回動部43bに伝える。第2腕部43aの一端は、アーム41bの+X軸方向側端部と連結する。第2腕部43aの他端は、第2回動部43bの一端と回動自在に連結する。第2腕部43aの他端は、軸体41aが初期位置から第1位置まで回転したとき、アーム41bにより、第2開閉扉22から遠ざかる方向へ移動する。第2腕部43aは、軸体41aが初期位置から第2位置まで回転したときに伸び、第2腕部43aの他端の位置はほぼ変わらないように形成されている。
【0051】
第2ガイドアーム43の第2回動部43bは、第2腕部43aの運動を第2開閉扉22の開閉運動へと変換する。第2回動部43bの一端は、第2腕部43aと回動自在に連結する。第2回動部43bの他端は、第2開閉扉22の軸22aと連結する。第2回動部43bは、軸体41aが初期位置から第1位置まで回転したとき、第2腕部43aにより、第2開閉扉22の下端部が+X軸方向側に回動するように軸22aを回転させるように設けられている。さらに、第2回動部43bは、軸体41aが第1位置から初期位置まで回転したとき、第2腕部43aにより、第2開閉扉22の下端部が-X軸方向側に回動するように軸22aを回転させる。
【0052】
第3ガイドアーム44は、アーム41bの運動を第3開閉扉23に伝える棒状の部材である。第3ガイドアーム44は、アーム41bの+X軸方向側端部と、第3開閉扉23の軸23aと、を連動させる。第3ガイドアーム44は、第3腕部44aと、第3回動部44bと、を有する。
【0053】
第3ガイドアーム44の第3腕部44aは、伸縮する棒状の部材である。第3腕部44aは、軸体41aの回転によるアーム41bの運動を第3回動部44bに伝える。第3腕部44aの一端は、アーム41bの+X軸方向側端部と連結する。第3腕部44aの他端は、第3回動部44bの一端と回動自在に連結する。第3腕部44aの他端は、軸体41aが初期位置から第1位置まで回転したとき、アーム41bにより、第3開閉扉23から遠ざかる方向へ移動する。第3腕部44aは、軸体41aが初期位置から第2位置まで回転したときに伸び、第3腕部44aの他端の位置はほぼ変わらないように形成されている。
【0054】
第3ガイドアーム44の第3回動部44bは、第3腕部44aの運動を第3開閉扉23の開閉運動へと変換する。第3回動部44bの一端は、第3腕部44aと回動自在に連結する。第3回動部44bの他端は、第3開閉扉23の軸23aと連結する。第3回動部44bは、軸体41aが初期位置から第1位置まで回転したとき、第3腕部44aにより、第3開閉扉23の下端部が+X軸方向側に回動するように軸23aを回転させる。さらに、第3回動部44bは、軸体41aが第1位置から初期位置まで回転したとき、第3腕部44aにより、第3開閉扉23の下端部が-X軸方向側に回動するように軸23aを回転させる。
【0055】
第4ガイドアーム45は、アーム41bの運動を第4開閉扉24に伝える棒状の部材である。第4ガイドアーム45は、アーム41bの-X軸方向側端部と、第4開閉扉24の軸24aと、を連動させる。第4ガイドアーム45は、第4腕部45aと、第4回動部45bと、を有する。
【0056】
第4ガイドアーム45の第4腕部45aは、伸縮する棒状の部材である。第4腕部45aは、軸体41aの回転によるアーム41bの運動を第4回動部45bに伝える。第4腕部45aの一端は、アーム41bの-X軸方向側端部と連結する。第4腕部45aの他端は、第4回動部45bの一端と回動自在に連結する。第4腕部45aの他端は、軸体41aが初期位置から第2位置まで回転したとき、アーム41bにより、第4開閉扉24から遠ざかる方向へ移動する。第4腕部45aは、軸体41aが初期位置から第1位置まで回転したときに縮み、第4腕部45aの他端の位置はほぼ変わらないように形成されている。
【0057】
第4ガイドアーム45の第4回動部45bは、第4腕部45aの運動を第4開閉扉24の開閉運動へと変換する。第4回動部45bの一端は、第4腕部45aと回動自在に連結する。第4回動部45bの他端は、第4開閉扉24の軸24aと連結する。第4回動部45bは、軸体41aが初期位置から第2位置まで回転したとき、第4腕部45aにより、第4開閉扉24の下端部が+X軸方向側に回動するように軸24aを回転させる。さらに、第4回動部45bは、軸体41aが第2位置から初期位置まで回転したとき、第4腕部45aにより、第4開閉扉24の下端部が-X軸方向側に回動するように軸24aを回転させる。
【0058】
第1ワイヤー46は、軸体41aの回転運動を第1多孔プレート31に伝える。第1ワイヤー46は、筐体2の+Y軸側面を貫通している。第1ワイヤー46の一端は、
図7に示すように、軸体41aと連結している。第1ワイヤー46の他端は、第1多孔プレート31の上端部と連結している。第1ワイヤー46は、第1リール46aを有する。
【0059】
第1リール46aは、第1ワイヤー46本体をガイドする。第1リール46aは、筐体2の+Y軸側面に設けられている。
【0060】
第2ワイヤー47は、軸体41aの回転運動を第1多孔プレート31に伝える。第2ワイヤー47は、筐体2の+Y軸側面を貫通している。第2ワイヤー47の一端は、軸体41aと連結する。第2ワイヤー47の他端は、第1多孔プレート31の下端部と連結している。第2ワイヤー47は、第2リール47aを有する。
【0061】
第2リール47aは、第2ワイヤー47本体をガイドする。第2リール47aは、筐体2の+Y軸側面に設けられている。
【0062】
第1ワイヤー46及び第2ワイヤー47は、
図8から
図10に示すように、軸体41aが初期位置にあるとき、第1多孔プレート31の第1孔31aが第1空気孔12aと連通する位置にあるように設けられている。そして、第1ワイヤー46及び第2ワイヤー47は、軸体41aが初期位置にあるとき、第1多孔プレート31を、第1空気孔12aを閉塞しない非閉塞位置に移動させる。第1ワイヤー46及び第2ワイヤー47は、軸体41aが初期位置から第1位置まで回転したとき、第1多孔プレート31を引っ張り上方にスライド移動させる。さらに、第1ワイヤー46及び第2ワイヤー47は、軸体41aが初期位置から第2位置まで回転したとき、第1多孔プレート31を引っ張り下方にスライド移動させる。そして、第1ワイヤー46及び第2ワイヤー47は、軸体41aが第1位置、又は、第2位置にあるとき、第1多孔プレート31を、第1空気孔12aを閉塞する閉塞位置に移動させる。
【0063】
第3ワイヤー48は、軸体41aの回転運動を第2多孔プレート32に伝える。第3ワイヤー48は、筐体2の+Y軸側面を貫通している。第3ワイヤー48の一端は、
図7に示すように、軸体41aと連結している。第3ワイヤー48の他端は、第2多孔プレート32の上端部と連結している。第3ワイヤー48は、第3リール48aを有する。
【0064】
第3リール48aは、第3ワイヤー48本体をガイドする。第3リール48aは、筐体2の+Y軸側面に設けられている。
【0065】
第4ワイヤー49は、軸体41aの回転運動を第2多孔プレート32に伝える。第4ワイヤー49は、筐体2の+Y軸側面を貫通している。第4ワイヤー49の一端は、軸体41aと連結している。第4ワイヤー49の他端は、第2多孔プレート32の下端部と連結している。第4ワイヤー49は、第4リール49aを有する。
【0066】
第4リール49aは、第4ワイヤー49本体をガイドする。第4リール49aは、筐体2の+Y軸側面に設けられている。
【0067】
第3ワイヤー48及び第4ワイヤー49は、
図8から
図10に示すように、軸体41aが初期位置にあるとき、第2多孔プレート32の第2孔32aが第2空気孔13aと連通する位置にあるように設けられている。すなわち、第3ワイヤー48及び第4ワイヤー49は、軸体41aが初期位置にあるとき、第2多孔プレート32を、第2空気孔13aを閉塞しない非閉塞位置に移動させる。第3ワイヤー48及び第4ワイヤー49は、軸体41aが初期位置から第1位置まで回転したとき、第2多孔プレート32を引っ張り下方にスライド移動させる。さらに、第3ワイヤー48及び第4ワイヤー49は、軸体41aが初期位置から第2位置まで回転したとき、第2多孔プレート32を引っ張り上方にスライド移動させる。すなわち、第3ワイヤー48及び第4ワイヤー49は、軸体41aが第1位置、又は、第2位置にあるときは、第2多孔プレート32を、第2空気孔13aを閉塞する閉塞位置に移動させる。
【0068】
第1ワイヤー46、第2ワイヤー47、第3ワイヤー48、及び、第4ワイヤー49は、軸体41aが回転すると、軸体41aに巻き取られる。第1ワイヤー46、第2ワイヤー47、第3ワイヤー48、及び、第4ワイヤー49は、軸体41aが第1位置にあるときは、巻き取られていない状態であり、軸体41aが第2位置にあるときは、最も巻き取られた状態であり、軸体41aが初期位置にあるときは、第1位置と第2位置の中間まで巻き取られた状態である。
【0069】
空気通路50には、乾燥室10内を通って循環する空気が流れる。空気通路50は、角ダクトである。しかしながら、これに限られない。空気通路50は、例えば、並べられた丸ダクトであってもよい。空気通路50は、第1空気通路51と、送風路52と、第2空気通路53と、を含む。
【0070】
第1空気通路51には、乾燥室10内に送り込まれる空気が流れる。第1空気通路51は、第1空気孔12a、第1通気口12b、及び第2通気口12cと連通する。
【0071】
送風路52には、第1空気通路51に送り込む空気が流れる。送風路52は、第1空気通路51と連通する。送風路52の-Y側壁は、清掃のために取り外すことができる。
【0072】
第2空気通路53には、乾燥室10内から排出された空気が流れる。第2空気通路53は、第2空気孔13a、第3通気口13b、及び第4通気口13cと連通する。さらに、第2空気通路53は、送風路52と連通する。第2空気通路53の+Y側の側壁には、吸気口53aが形成されている。
【0073】
送風機60は、乾燥室10及び空気通路50の内部の空気を循環させる。送風機60は、送風路52の内部に設けられる。送風機60は、第2空気通路53から第1空気通路51に向かう方向へ、送風路52内の空気を送風する。送風機60は、清掃のために取り外すことができる。
【0074】
加熱装置70は、送風機60により循環する空気を加熱する。加熱装置70は、送風路52の内部に設けられる。加熱装置70は、電気ヒーターである。しかしながら、これに限られない。加熱装置70は、空気を加熱することができればよい。加熱装置70は、例えば、ガスバーナー、LGPガスによる直火であってもよい。加熱装置70は、清掃のために取り外すことができる。
【0075】
吸気管80は、
図11及び
図12に示すように、乾燥室10内に乾燥装置1の外部の空気を取り込む。吸気管80は、ダクト81と、吸気調節ダンパー82を有する。
【0076】
ダクト81は、乾燥装置1内に取り込まれる空気を通す。ダクト81の一端には、吸気口53aと連通する開口が形成されている。ダクト81の他端には、乾燥装置1の外部と繋がる開口が形成されている。
【0077】
吸気調節ダンパー82は、吸気管80が取り込む空気の流量を調節する。吸気調節ダンパー82は、軸芯82aと、羽板82bと、ダンパー用モーター82cと、を有する
【0078】
軸芯82aは、ダクト81の管内で回転できるように設けられる。さらに、軸芯82aは、ダクト81の管内をX軸方向に横切るように設けられる。
【0079】
羽板82bは、ダクト81の管内で回動できるように設けられる。羽板82bは、軸芯82aに取り付けられ、軸芯82aを軸として回動する。羽板82bは、ダクト81を閉塞することのできる大きさの平板である。
【0080】
ダンパー用モーター82cは、軸芯82aを回転させる。ダンパー用モーター82cは、ダクト81の外部に設けられ、軸芯82aと連動する。ダンパー用モーター82cは、取り込む空気の流量に合わせて軸芯82a及び羽板82bを回転させて、流量を制御する。
【0081】
排気管90は、乾燥室10内の空気を乾燥装置1の外部に排気するダクトである。排気管90の一端には、乾燥室10の背面壁14に形成された排気口14aと連通する開口が形成されている。排気管90の他端には、乾燥装置1の外部と繋がる開口が形成されている。排気管90は、排気口14aの扉14bが開放されたとき、乾燥室10内の空気を排気する。
【0082】
次に、乾燥装置1の動作について説明する。
【0083】
使用者は、
図1に示す乾燥室10の正面扉11を開き、
図2に示す棚受け15に乾燥対象物を載せたエビラを載置する。例えば、乾燥室10内のエビラに載置された乾燥対象物はチーズである。しかしながら、これに限られない。乾燥対象物は、例えば、シイタケであってもよい。次に、使用者は、正面扉11を閉じて、
図1に示す筐体2のパネル2aに乾燥時間、乾燥温度を入力することにより、乾燥時間、乾燥温度を設定し、乾燥装置1を起動させる。乾燥装置1を起動したとき、
図5及び
図6に示す軸体41aは、初期位置から第1位置へと回転する。
【0084】
軸体41aが初期位置から第1位置へと回転すると、
図8に示すように、第2開閉扉22、及び、第3開閉扉23が開き、第1側壁12の第2通気口12c、及び、第2側壁13の第3通気口13bが開放された状態になる。さらに、第1多孔プレート31が上方にスライド移動し、第1側壁12の第1空気孔12aが閉塞された状態になる。加えて、第2多孔プレート32が下方にスライド移動し、第2側壁13の第2空気孔13aも閉塞された状態になる。
【0085】
最初に、
図12に示す排気口14aの扉14b、及び、吸気管80の吸気調節ダンパー82が開放される。そして、
図8に示す送風路52の送風機60及び加熱装置70により、送風路52内の空気が、+X軸方向に流れるとともに、加熱される。
【0086】
送風路52から流れ出た空気は、第1空気通路51を通り、第1側壁12の第2通気口12cを通して、乾燥室10に流れ込む。そして、乾燥室10に流れ込んだ空気の一部は、第2側壁13の第3通気口13bを通して、第2空気通路53に流れ込む。これにより、第2通気口12cから第3通気口13bへと、空気が乾燥室10内を上方に向かって流れる上吹き流路Aが形成される。
【0087】
上吹き流路Aによる乾燥方法では、加熱された空気が棚受け15に支持された乾燥棚の下から上へと流れ、乾燥棚やエビラの上に並べた乾燥対象物の間を加熱された空気が通り抜ける。上吹き流路Aによる乾燥方法では、1つのエビラの乾燥対象物の全体に加熱された空気を当てることができるため、同一エビラ内の乾燥は均一に進む。さらに、厚みがない乾燥対象物、例えば、葉物野菜、アルファー米等でも、加熱された空気を当てることができる。上吹き流路Aによる乾燥方法では、下の段のエビラから順番に乾燥するため、上の段のエビラの乾燥対象物と下の段のエビラの乾燥対象物との間に乾燥ムラが起きる。
【0088】
乾燥室10に流れ込んだ空気の他の部分は、
図11及び
図12に示す排気口14aを通して、排気管90から乾燥装置1の外部に排気される。
図8に示す乾燥室10に流れ込んだ空気により、乾燥室10内のエビラに載置された乾燥対象物から水分が除去される。乾燥対象物から除去された水分を含む空気の一部は、
図11及び
図12に示す排気管90により、乾燥装置1の外部に排気される。これにより、乾燥装置1内の水分は徐々に除去されていく。
【0089】
図8に示す送風路52内の空気が、第1空気通路51を通り、乾燥室10に流れ込むと、送風路52の内部に負圧が形成される。送風路52の負圧により、第2空気通路53内の空気が、送風路52に流れ込む。
【0090】
第2空気通路53内の空気が送風路52に流れ込むと、第2空気通路53の内部に負圧が形成される。負圧が形成された第2空気通路53には、乾燥室10から空気が流れ込むとともに、吸気口53a、及び、
図11及び
図12に示す吸気口53aと連通する吸気管80を通して、乾燥装置1の外部の空気が流れ込む。
【0091】
図8に示す乾燥室10内の乾燥対象物は、上吹き流路Aを流れる空気により、所定の時間乾燥される。その後、
図4から
図6に示す軸体41aが、第1位置からへ初期位置と回転する。
【0092】
軸体41aが第1位置から初期位置へと回転すると、
図9に示すように、第2開閉扉22、及び、第3開閉扉23が閉じ、第1側壁12の第2通気口12c、及び、第2側壁13の第3通気口13bが閉塞された状態になる。さらに、第1多孔プレート31が下方にスライド移動し、第1側壁12の第1空気孔12aが開放された状態になる。加えて、第2多孔プレート32が上方にスライド移動し、第2側壁13の第2空気孔13aも開放された状態になる。これにより、第1空気孔12aから第2空気孔13aへと、空気が乾燥室10内を横向き(X軸方向)に向かって流れる横吹き流路Bが形成される。
【0093】
横吹き流路Bによる乾燥方法では、加熱された空気が横から流れるため、乾燥室10内に加熱された空気が均等に流れ、上の段のエビラの乾燥対象物と下の段のエビラの乾燥対象物との間に乾燥ムラが生じにくい。さらに、厚みのある乾燥対象物に対して、均一に加熱された空気が当たるため、乾燥にかかる時間が短い。横吹き流路Bによる乾燥方法では、厚みのない乾燥対象物には加熱された空気が当たりにくいため、乾燥にかかる時間が長い。
【0094】
図9に示す乾燥室10内の乾燥対象物は、横吹き流路Bを流れる空気により、所定の時間乾燥される。その後、
図6及び
図7に示す軸体41aが、初期位置から第2位置へと回転する。
【0095】
軸体41aが初期位置から第2位置へと回転すると、
図10に示すように、第1開閉扉21、及び、第4開閉扉24が開き、第1側壁12の第1通気口12b、及び、第2側壁13の第4通気口13cが開放された状態になる。さらに、第1多孔プレート31が下方にスライド移動し、第1側壁12の第1空気孔12aが閉塞された状態になる。加えて、第2多孔プレート32が上方にスライド移動し、第2側壁13の第2空気孔13aも閉塞された状態になる。これにより、第1通気口12bから第4通気口13cへと、空気が乾燥室10内を下方に向かって流れる下吹き流路Cが形成される。
【0096】
下吹き流路Cによる乾燥方法では、1つのエビラの乾燥対象物の全体に加熱された空気を当てることができるため、同一エビラ内の乾燥は均一に進む。さらに、厚みがない乾燥対象物、例えば、葉物野菜、アルファー米等でも、加熱された空気を当てることができる。下吹き流路Cによる乾燥方法では、上の段のエビラから順番に乾燥するため、上の段のエビラの乾燥対象物と下の段のエビラの乾燥対象物との間に乾燥ムラが起きる。
【0097】
乾燥室10内の乾燥対象物は、下吹き流路Cを流れる空気により、所定の時間乾燥される。その後、
図6及び
図7に示す軸体41aが、第2位置から初期位置へと回転する。
【0098】
乾燥装置1は、軸体41aを回転させることにより、
図8から
図10に示すように、上吹き流路Aから横吹き流路Bへ、横吹き流路Bから下吹き流路Cへ、下吹き流路Cから横吹き流路Bへ、横吹き流路Bから上吹き流路Aへと流路を切り替える。乾燥装置1による流路の切り替えは、予め設定された時間が経過するまで繰り返される。乾燥装置1は、流路の切り替えを繰り返すことにより、乾燥対象物に3方向から空気を当てて、乾燥ムラを抑制する。
【0099】
次に、乾燥装置1は、予め設定された時間が経過するまで乾燥した後、
図10から
図12に示す排気口14aの扉14bを部分的に閉ざすとともに、吸気調節ダンパー82により吸気管80を部分的に閉ざす。これにより、乾燥装置1内から排気される空気の流量、及び、乾燥装置1の外部から乾燥装置1内に取り込まれる空気の流量が抑制される。そして、乾燥装置1内の空気に含まれる水分よりも多くの水分を含む外部の空気の取り込みが抑制される。
【0100】
乾燥装置1は、扉14b及び吸気管80を部分的に閉ざした状態で、予め設定された時間が経過するまで乾燥対象物を乾燥させる。乾燥装置1は、扉14b及び吸気管80が開放されていたときと同様に、流路の切り替えを繰り返すことにより、乾燥対象物に3方向から空気を当てて、乾燥ムラを抑制する。
【0101】
最後に、乾燥装置1は、予め設定された時間が経過するまで乾燥した後、排気口14aの扉14bを完全に閉ざすとともに、吸気調節ダンパー82により吸気管80を完全に閉ざす。乾燥装置1は、扉14b及び吸気管80が完全に閉ざされ、乾燥室10、第1空気通路51、送風路52、及び、第2空気通路53を空気が循環する状態で、乾燥対象物を乾燥させる。乾燥装置1は、扉14b及び吸気管80が開放されていたときと同様に、流路の切り替えを繰り返すことにより、乾燥対象物に3方向から空気を当てて、乾燥ムラを抑制する。
【0102】
扉14b及び吸気管80を完全に閉ざした状態で、予め設定された時間が経過するまで乾燥対象物を乾燥させることで、乾燥対象物の乾燥が完了する。
【0103】
使用者は、
図1に示す覗き窓11aから、乾燥対象物の状態を視認することができる。そして、使用者は、乾燥対象物の乾燥が完了した後、正面扉11を開けて乾燥室10内のエビラ及び乾燥対象物を回収する。
【0104】
使用者は、乾燥対象物の乾燥が完了した後、乾燥装置1を清掃することができる。使用者は、送風路52の-Y側壁を取り外したのち、送風機60及び加熱装置70を取り外して、乾燥装置1の内部を清掃する。
【0105】
以上、説明したように、本発明に係る乾燥装置1は、軸体41aを回転させることにより、それぞれ方向が異なる上吹き流路A、横吹き流路B、及び下吹き流路Cを切り替えることができる。これにより、本発明において、乾燥室10内を通過する空気が流れる向きを3方向に切り替え、乾燥ムラの抑制効果を向上させることができる乾燥装置1を提供することができる。
【0106】
従来の乾燥機は、乾燥対象物に当てるための加熱された空気の風向きは一定方向であり、上吹きか、横吹きのいずれかである。乾燥対象物に対して一定方向に加熱された空気を当てた場合、乾燥対象物の間で乾燥ムラが起きる。そのため、従来の乾燥機では、使用者が乾燥棚の差し換えを行う必要があり、作業効率が低下し、品質に差異が生じるおそれがあった。そして、品質に差異が生じた場合、使用者は、品質のよい乾燥対象物をピッキングする必要があり、作業効率が低下し、品質が不安定になるという問題があった。さらに、残った乾燥対象物はさらに乾燥する必要があり、乾燥時間の増加、及び、乾燥時間の増加に伴う燃費の悪化という問題があった。
【0107】
これに対して、本発明に係る乾燥装置1は、乾燥室10内を通過する空気が流れる向きを3方向に切り替え、乾燥ムラの抑制効果を向上させることができる。そのため、乾燥装置1では、乾燥対象物の品質が安定する。さらに、乾燥装置1では、品質のよくない乾燥対象物のさらなる乾燥を必要としないため、従来の乾燥機よりも燃費がよい。加えて、本発明に係る乾燥装置1では、乾燥対象物を乾燥室10内に収納したまま空気が流れる向きを変えるため、使用者は乾燥棚の差し換えを行う必要がない。
【0108】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態によって限定されるものではない。
【0109】
上記実施の形態では、第1開閉扉21及び第2開閉扉22は、下端部が+X軸方向側に回動して、第1通気口12b及び第2通気口12cを開放する。さらに、第3開閉扉23及び第4開閉扉24は、下端部が-X軸方向側に回動して、第3通気口13b及び第4通気口13cを開放する。これに限らず、第1通気口12b、第2通気口12c、第3通気口13b、及び第4通気口13cを開放することができればよい。例えば、第1開閉扉21及び第2開閉扉22は、下端部が-X軸方向側に回動して、第1通気口12b及び第2通気口12cを開放し、第3開閉扉23及び第4開閉扉24は、下端部が+X軸方向側に回動して、第3通気口13b及び第4通気口13cを開放してもよい。さらに、開閉扉20は、スライド移動して、第1通気口12b、第2通気口12c、第3通気口13b、及び第4通気口13cを開放してもよい。
【0110】
上記実施の形態では、乾燥装置1は、軸体41aの回転により、開閉扉20を開閉し、閉塞部材30を移動させる。これに限らず、乾燥装置1は、開閉扉20を開閉し、閉塞部材30を移動させることができればよい。例えば、乾燥装置1は、軸体41aの移動により、開閉扉20を開閉し、閉塞部材30を移動させてもよい。
【0111】
上記実施の形態では、乾燥装置1は、上吹き流路A、横吹き流路B、下吹き流路Cを切り替えながら乾燥させる。これに限らず、乾燥装置1は、風向を3方向に切り替えることができればよい。例えば、乾燥装置1は、風向を+X軸方向、-X軸方向、+Z軸方向に切り替えてもよい。
【0112】
上記実施の形態では、開閉扉20は、第1連動部材である第1から第4ガイドアーム42、43、44、45により、開閉される。これに限らず、開閉扉20を開閉させることができればよい。例えば、開閉扉20は、ワイヤーにより開閉されてもよい。
【0113】
上記実施の形態では、閉塞部材30は、第2連動部材である第1から第4ワイヤー46、47、48、49により、移動する。これに限らず、閉塞部材30を移動させることができればよい。例えば、閉塞部材30は、アームにより開閉されてもよい。
【0114】
上記実施の形態では、乾燥装置1は、上吹き流路A、横吹き流路B、下吹き流路Cを予め設定された時間ごとに切り替えながら乾燥させる。これに限らず、乾燥対象物の乾燥状態に合わせて切り替えてもよい。例えば、乾燥装置1は、上吹き流路Aの乾燥方法で、乾燥対象物がふっくらとした状態となり風通りがよくなるまで乾燥させ、乾燥対象物の蒸散が始まったら、横吹き流路Bの乾燥方法で、全体を均等に乾燥させ、乾燥が8、9割進んだら上吹き流路Aの乾燥方法で乾燥対象物を完全に乾燥させ、仕上げとして、殺菌温度で下吹き流路Cの乾燥方法、横吹き流路Bの乾燥方法、上吹き流路Aの乾燥方法に切り替え、完全に殺菌してもよい。
【0115】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0116】
1 乾燥装置、2 筐体、2a パネル、10 乾燥室、11 正面扉、11a 覗き窓、12 第1側壁、12a 第1空気孔、12b 第1通気口、12c 第2通気口、13 第2側壁、13a 第2空気孔、13b 第3通気口、13c 第4通気口、14 背面壁、14a 排気口、14b 扉、15 棚受け、20 開閉扉、21 第1開閉扉、21a 軸、22 第2開閉扉、22a 軸、23 第3開閉扉、23a 軸、24 第4開閉扉、24a 軸、30 閉塞部材、31 第1多孔プレート、31a 第1孔、32 第2多孔プレート、32a 第2孔、40 制御部、41 回転部材、41a 軸体、41b アーム、42 第1ガイドアーム、42a 第1腕部、42b 第1回動部、43 第2ガイドアーム、43a 第2腕部、43b 第2回動部、44 第3ガイドアーム、44a 第3腕部、44b 第3回動部、45 第4ガイドアーム、45a 第4腕部、45b 第4回動部、46 第1ワイヤー、46a 第1リール、47 第2ワイヤー、47a 第2リール、48 第3ワイヤー、48a 第3リール、49 第4ワイヤー、49a 第4リール、50 空気通路、51 第1空気通路、52 送風路、53 第2空気通路、53a 吸気口、60 送風機、70 加熱装置、80 吸気管、81 ダクト、82 吸気調節ダンパー、82a 軸芯、82b 羽板、82c ダンパー用モーター、90 排気管、A 上吹き流路、B 横吹き流路、C 下吹き流路