(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129762
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】階層型仮想現実ビジョンデバイス
(51)【国際特許分類】
G02B 30/54 20200101AFI20240919BHJP
G02B 30/52 20200101ALI20240919BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
G02B30/54
G02B30/52
H04N5/64 511A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023056591
(22)【出願日】2023-03-13
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.PYTHON
3.ARDUINO
(71)【出願人】
【識別番号】522191473
【氏名又は名称】尾形 洋一
(72)【発明者】
【氏名】尾形 洋一
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199BA23
2H199BA24
2H199BA52
2H199BA68
2H199BB02
2H199BB17
2H199BB18
2H199BB45
(57)【要約】
【課題】 本発明では、階層シフト型の仮想現実世界を構築する空中イメージング技術開拓に関する。
【解決手段】 所定の位置に対して空中イメージ生成装置100を配置し、前記イメージ生成装置内のディスプレイ部にはハーフミラーHM(10)を配置し、光源部には2つのLEDまたはレーザー光源(14)(18)を積載し、光学素子部には焦点可変レンズユニットFL(16)や局所アパーチャーLAP(23)を配置した構成を有し、ユーザーはその構成を用いれば視線上に小窓を有した大サイズ空中イメージV0(12)とその奥に小サイズ空中イメージV1(13)を創ることを可能とした階層イメージデバイス。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の位置に対して空中イメージ生成装置を配置し、前記イメージ生成装置内のディスプレイ部にはハーフミラーHMを配置し、光源部には2つのLEDまたはレーザー光源を積載し、光学素子部には焦点可変レンズユニットFLや局所アパーチャーLAPを配置した構成を有し、ユーザーはその構成を用いれば視線上に小窓を有した大サイズ空中イメージ(以下、大イメージ)V0とその奥に小サイズ空中イメージ(以下、小イメージ)V1を創ることを可能とした階層イメージデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスにおいて、小イメージV1が大イメージV0の窓をくぐり抜けて小イメージV1’を創るような階層潜り込み、または小イメージV1’が大イメージV0の窓をくぐり抜けて小イメージV1を創るような階層吸い込みのどちらかを表現するような階層シフト型イメージデバイス。
【請求項3】
請求項1,2に記載のデバイスにおいて、階層イメージの数が複数になったときでも構成可能な複数階層イメージデバイス。
【請求項4】
請求項1,2,3に記載のデバイスにおいて、人体ではヘッドギアに限らずアームデバイス、屋外では単なるイメージデバイスとして応用可能な階層イメージデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階層シフト型の仮想現実世界を構築する空中イメージングの技術開拓に関する。
【背景技術】
【0002】
以前から、ディスプレイの前方および後方に空中イメージを表示するヘッドギアが開発されてきた(例えば、文献1参照)。ユーザーが閉塞空間を創るヘッドギアを装着し、設置されたディスプレイ部をのぞき込むとき、視線上では空中に浮かぶ光学イメージ(以下、空中イメージ)を捉えることができる。このような空中イメージング技術はこれまでアクション、シューティング、パズル、英語学習、脳トレなどの様々なゲームコンテンツの仮想現実世界を創る。
【0003】
近年では、上記ヘッドギアにおいて、ユーザーのゲームへの没入感を上げるべく、高強度、高解像、高視野角といった高性能、および多層化、3次元化、遅延化、追跡、加速度センサーといった多機能を追加する考案がされてきている(例えば、文献2、3参照)。実際、そのような技術的進歩もあってか、ヘッドギアへのユーザーの没入感は高まる傾向を見せ、結果としてヘッドギア需要も増えてきているのは事実だ。特に、3次元空中イメージは仮想現実世界でのリアルを実現しているがため、ユーザーを惹きつけて止まない。
【0004】
没入感が上がっているにもかかわらず、ユーザーは仮想現実世界において深いところ(“階層空間”)まで潜り込めないという欠点があった。つまりは、ユーザーは浅い形でゲームにのめり込む形となり、ゲーム本来の楽しみを十分に味わえずにいた。そしてそれは、ユーザーのゲーム時間の短縮化を引き起こし、結果として没入感の減少が将来のデメリットとなりうると予想される。
【0004】
このような問題を解決すべく(ゲームにどっぷり浸かってもらうべく)、ユーザー視点でイメージの上層階から下層階への潜り込みといった状況を創るのが急務となってくる。そんな中、申請者は仮想現実世界を階層表示可能なヘッドギアデバイスが開発されさえすれば、ユーザーのゲーム離れは未然に防ぐことができるだろうと考えた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2021/510982号広報(仮想現実/拡張現実迅速配備システム)
【特許文献2】特表2018/510372号広報(人の眼の解像度に適合されるイメージング光学系)
【特許文献3】特表2010/026865号広報(加速度感覚呈示装置)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明では、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、階層的な仮想現実世界で深層階まで潜り込める究極の依存型ヘッドギア開発、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、本発明は、
図1に示すようなディスプレイ後方に階層的に空中イメージを創るヘッドギアを試作する。その構成は光源部、ディスプレイ部、光学素子部、電子材料部からなる。
【0008】
このような本発明の階層イメージング機構は、ハードでは光源部にLEDやレーザー、ディスプレイ部にハーフミラーHM(空中イメージ生成で一般に用いられるもの)、光学素子部に焦点可変レンズユニットFLと局所形状可変アパチャーLAP、ソフトでは電子材料部にプログラム実行基盤、が装備されているという特徴を有する。
【0009】
上記光学部位を適切に配置することにより、ディスプレイ先には上層イメージ、そのさらに先に下層イメージが生成される。このようなイメージ積層をここでは文献1に因んで階層イメージと称す。
文献1;Y.Ogata,V.A.Vorobyev,and C.Guo*,Symmetry-Sensitive Plasmonic Enhancement of Nonlinear Optical Intensity in Nano-Micro Hierarchical Structures on Silver,Surf.Interface Anal.,48,1108-1113(2016)
【0010】
さらに、上記電子部位を適切に駆動させることにより、ディスプレイ部近傍において下層イメージが上層イメージを塗り替えるような社会革命型階層世界を仮想現実で創れるという特徴をもつ。同時に、前記イメージシフトはその斬新さゆえ仮想現実空間への依存効果を誘発させる。
【0011】
本発明の一態様では、公知のヘッドギアといった玩具に装着する以外に、エアーガンや弓などの玩具に装着してアームデバイス(文献2参照)とすることが可能である。(したがって発明品は総称して以後、光学デバイスと呼ぶ。)前記光学デバイスは、階層イメージ表示ができる機能を便宜備える。
文献2;Y.Ogata*,Ninja Arm Shooter,ScienceOpen Preprint,April 15th(2022)
【0012】
また、本発明の一態様では、上記のような人体への装着に限らず、室内、建物内への設置も許可する。例えば、エンターテインメント施設などでの壁面や床に設置し、単にイメージディスプレイとして活用することでも人体装着時同様の機能を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、階層シフト型の仮想現実世界を構築する空中イメージをユーザーに提供することにより、ユーザーの仮想現実空間への依存性を高める効果をつくる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態に係る階層イメージのユーザーから見た2次元的な見え方を表した図である。
【
図2】第1実施形態に係る階層イメージのユーザーから見た3次元的な見え方を表した図である。
【
図3】第1実施形態に係る階層イメージデバイス100の光学配置を示したブロック図である。
【
図4】第2実施形態に係る複数階層イメージのユーザーから見た2次元的な見え方を表した図である。
【
図5】第2実施形態に係る複数階層イメージのユーザーから見た3次元的な見え方を表した図である。
【
図6】第2実施形態に係る複数階層イメージデバイス110の光学配置を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る階層イメージデバイス100から射出される空中イメージのユーザー視点での見え方を示す。
図2は、客観的に見たイメージ配置をそれぞれ示す。
図3は、光学構成のブロック図を示す。なお、本実施形態の材料には、光学素子と電子材料などの一般的な物を用いている。
【0016】
階層イメージは、初期設定として
図1,2中央に示すように、ユーザーから見て一枚の大サイズ空中イメージV0(以下、大イメージと称す)に窓を設け、その窓の中にもう一枚の小サイズ空中イメージV1(以下、小イメージと称す)が埋め込まれる状況を取る。ここで、埋め込んであった小イメージV1がユーザーから見て奥見えの状況を取る場合、
図1,2左側に示すように、ユーザーから見て一枚の大イメージV0の窓の先にもう一枚の小イメージV0が存在するような見え方をする。奥見えの小イメージV1は遠近特性により窓のサイズより少し小さく見え、小イメージ強度が弱く設定されるならばイメージ吸い込みの表現が可能である。また一方で、埋め込んであった小イメージV1がユーザーから見て手前見えの状況を取る場合、
図1,2右側に示すように、ユーザーから見て一枚の大イメージV0を覆うような一枚の小イメージV1’が存在することとなり、手前側のイメージの強度が強く設定されるならばイメージ塗り替えの表現が可能である。
【0017】
階層イメージデバイス100は、
図3に示すように、レーザーやLEDのような光源部、虚像イメージを創るハーフミラーHM構成のディスプレイ部、2本のビームの光路を揃えるビームスプリッターBSやイメージ焦点を変更するための焦点可変レンズFLそして小窓を創る局所アパーチャーLAPを配置した光学素子部、空中イメージの焦点や輝度を制御するプログラムを実装した電子材料部からなる複合光学デバイスである。
【0018】
階層イメージデバイス100の使用には、
図1,2に示す小光源S1先の焦点可変レンズFLの液晶を揃えるよう電圧を変えるだけで良い。そうするだけで、例えば
図1,2左側の引き下げられた階層での光はイメージV1を創った後、奥見えのイメージから埋め込み、そして塗り替えといったシフト状況を任意に創れる。そのイメージシフトこそが、本発明における階層潜り込みを表現することを意図してやまない。もちろん逆の場合もありうるが、その場合は階層吸い込みを表現するといえよう。
【0019】
階層イメージの原理は、
図3のブロック図を参考に以下で説明する。まず、小光源S1から放射された小イメージビームはミラーM1で反射され、水平可動式レンズFLを通過し集光、その後ビームスプリッターBSに到達する。一方、大光源S2から放射された大イメージビームは固定レンズLを通り集光、局所アパーチャーLAPで窓を作製した後、ビームスプリッターBSで前述した小イメージビームの光路と合わさる。その後、2本のイメージビームはミラーM2で反射され、先のハーフミラーHMで反射し、ユーザーの眼球へと広がって向かう。2本のイメージの焦点距離はそれぞれ異なるため、ハーフミラーHMの後方には大イメージV0、最後方には小イメージV1がそれぞれ虚像として浮かびあがることとなる。設置した焦点可変レンズFLをArduinoなどのプログラムボードPBやBluetoothなどの遠隔無線ボードBL、電力となるLiPoや乾電池といったバッテリーBAとともに駆動させれば、小イメージV1の焦点位置を前後に動かすことができる。さらに、プログラムボードPBには小光源S1に掛かる電圧を変更するプログラムが実装されている。例えば、焦点可変レンズFLの位置が小光源S1側に近づくにつれ低電圧となり、逆にビームスプリッターBS側に近づくにつれ高電圧となるよう設定してある。これらの操作をもってイメージの奥見えから埋め込み、そして塗り替えを可能にさせる。もちろん逆の流れとなる吸い込みも可能ではある。
【0020】
以下では、デバイス各部における詳細を列記した。
図1,2で見られるような小イメージV1の視線上の移動速度について言及することは重要である。まず、イメージの前後可動には焦点可変レンズユニットFLが用いるが、その場合、焦点切替速度は眼でイメージ焦点位置を追えるくらいで良く、数値は限定しない。一方、レンズ装荷の焦点可変レンズFLの代用品としてリニアアクチュエータLAを用いた水平可動式レンズへ変更することもある。その場合、移動速度は階層のシフト効果をユーザーが感じる速度範囲として1mm/sから100mm/sが望ましい。いずれの場合においても、定速であろうと変速であろうと構わない。なお、速度設定はプログラムにて任意に行えるものとする。
【0021】
リニアアクチュエータLAを用いた水平可動の場合の移動方式は電磁気駆動式に限定しない。例えば、水力駆動式であっても、風力駆動式であっても、太陽光発電方式であってもよいが、いずれにしても移動時に振動を起こさせないような駆動方式の採用が望ましく、その点では磁器浮上方式が有効である。そういう意味では、やはり液晶を用いて焦点を変えることが可能な上記液晶型焦点可変レンズFLの方が使い勝手が良い。
【0022】
図1,2で見られるようなイメージ奥見えや塗り替えには小光源S1の輝度制御で対応する。ここで小イメージV1の強度と位置の関係に関しては、反比例が望ましい。すなわち、大イメージV0より小イメージV1が+xセンチ奥に配置するならば、小イメージV1の強度は大イメージV0よりαx倍弱くなる(
図1左側参照、αは定数)。逆に、大イメージV0より小イメージV1が+xセンチ手前に配置するならば、小イメージV1の強度は大イメージV0のαx倍強くなる(
図1右側参照)。この設定は焦点可変ユニットFLと小光源S1間の連動プログラムで対応できるものとする。
【0023】
図1,2で見られる窓を創るべく必要な局所アパーチャーLAPには、テストターゲットを代用するのが望ましい。クロムなどの金属が蒸着した部分で光を吸収し、局所窓を創るものとする。しかしながらテストターゲットが準備できない場合は、電子ビーム蒸着法を用いて平坦な基板の上で金属のマスク蒸着を行い、自身で局所アパチャーを作製することも可能である(文献3参照)。その際、窓の形は特に限定はしないが、映像の額縁としての一般的な形である四角や丸が都合が良い。窓サイズもまた特に限定はしないが、階層をイメージで表現するためには大イメージの表面積の50%以下に抑えるのが妥当と言える。
文献3;
Y.Ogata
* and G.Mizutani,Control of Cross-Sections and Optical Nonlinearity of Pt Nanowires and the Roughness Effect,Phys.Res.Inter.,2012,969835(2012)
【0024】
また、イメージ焦点距離や輝度制御の動力源となるバッテリーBAは、公知のアルカリ・マンガン、LiPo、定電圧電源でも良く種類は問わないが、その駆動用電子基板としては、一般的なセンサースイッチや圧電スイッチなどによる遠隔操作が可能なBluetooth(またはWiFi)通信ボードBLとArduino(またはPython)プログラムボードPBの組み合わせを利用するのが望ましい。
【0025】
階層デバイスを用いる大きな利点は、階層潜り込み操作を実行することにより、階層が上がったという一種のイメージ錯覚をユーザーに与えることができる点にある。逆に階層吸い込み操作を実行する場合は、階層が下がったというイメージ錯覚をユーザーに与えることになる。そしてこのような感覚は小イメージV1の焦点位置をスムーズに移動させてこそ効果を発揮する。
【0026】
上記のような焦点シフト効果を用いれば、下層イメージが上層イメージへ昇格したり、逆に上層イメージが下層イメージへ降格したりと、階層化仮想現実世界での社会革命を生み出す。これは、社会的地位を欲するユーザーにとって惹きつけるべき要素となり、ゲームにおいて依存性を植え付けること不可避である。
【0027】
階層イメージデバイス応用としては、前述したようなヘッドギアに装着しての使用が最も有効であるが、人体の特に間接から先の部位となる二の腕に装着するアームデバイスのオプションパーツとしてエアーガンや弓に取り付けることも視野におく。アームデバイスの場合、閉塞空間による錯覚効果を得られにくい反面、イメージを用いてターゲットを注視できたりトリガーリングを誘発させたりする効果を併せ持つ。
【0028】
また、人体に限らず、室内、建物内などのあらゆる場所への設置も視野に入れるべきである。その場合、例えば、室内では空中イメージを放出するタイプのポータブルテレビ、建物内では壁や地面に設置するタイプのイメージディスプレイに応用を結びつけることが容易となり、ヘッドギアやアームデバイスといった人体装着時のそれと同等の効果を持つ。
【0029】
(第2実施形態)次に、本発明の第2実施形態について以下で説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。第1実施形態では階層イメージとそれを構成するデバイスの代表的な実施構成および使用例を示したが、本実施形態では光源部にLEDまたはレーザー光源を複数追加し、見える空中イメージを複数階層V0,V1,V2...に配置、階層の絶対段階値を上げるのを提案する。なお、
図4,5には複数階層イメージの見え方、
図6にはそれを構成する光学配置のブロック図を示す。
【0030】
第2実施形態では、複数階層イメージをユーザーに提供することが目的となる。複数階層イメージは
図4,5の中央に示したように埋め込み小イメージV1内にもう一枚の極小イメージV2が埋め込まれた二重埋め込みイメージを初期配置として設定する。ここで、埋め込んであった小イメージV1のさらに奥に極小イメージV1がユーザーから見て最奥見えの状況を取る場合、
図4,5左側に示すように、ユーザーから見て一枚の大イメージV0の窓の先にもう一枚の小イメージV1、さらにその小窓の奥にもう一枚の極小イメージV2が存在するような見え方をする。最奥見えの極小イメージV2は遠近特性により小窓のサイズより少し小さく見え、極小イメージ強度はかなり弱く設定されているがために第1形態を上回るイメージの多段吸い込みが見える。また一方で、埋め込んであった小イメージV1がユーザーから見て手前見えとなり、さらにその小イメージV1’の手前に極小イメージV2’が創られる状況の場合、
図4,5右側に示すように、ユーザーから見て一枚の大イメージV0を完全に覆うような一枚の小イメージV1’とさらにそれを覆うような極小イメージV2’が存在することとなり、最も手前側のイメージの強度は強く設定されるがために第1形態を上回るイメージの多段塗り替えが見える。
【0031】
複数階層イメージ構成では、
図6に示すように
図3の配置をベースにレーザーやLEDなどの光源を複数直列に配置し、それとともに水平可動式レンズユニットFLやビームスプリッターBSを所定の位置に複数配置する。そうすることで、ユーザーが見る空中イメージには最上層または最下層へと続く直列型の配置連続性が生まれ、より階層性のある仮想現実世界を表現できるようになる。
【0032】
複数階層イメージは第1形態に比べ、高い階層効果とそれによる強い依存性をユーザーに提供することができる。具体的には、
図4,5で見られるように、最下層にあるイメージが中間層イメージらを一気に抜き去り、最上層へとエレベートするような世界観を構成することが可能である。さらに中間層においても同様の世界観を構築できる。このような見え方は、下層と上層の全イメージが反転する、と言った方がわかりやすい。
【0033】
複数階層イメージデバイスの応用範囲は、同様にヘッドギア装着やアームデバイス装着、屋外設置を想定する。得られる効果はどれも第1形態で得られる効果と同様とはなるが、依存性の程度としては深層階まで潜り込めるという点からして第1形態で得られる程度の比ではない。
【0034】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
100...階層イメージデバイス
110...複数階層イメージデバイス
10...ハーフミラー(HM)
11...眼球
12...大空中イメージ(V0)
13...小空中イメージ(V1);矢印はイメージ焦点移動方向
14...小光源(S1)
15...ミラー(M)
16...焦点可変レンズ(FL);矢印はリニアアクチュエータLAを用いたときの水平可動方向
17...ビームスプリッター(BS)
18...大光源(S0)
19...銅配線
20...焦点レンズ(L)
21...Bluetoothなどの無線ボード(BL)
22...Arduinoなどのプログラムボード(PB)
23...局所アパチャー(LAP)
24...LiPoあるいは乾電池などのバッテリー(BA)
25...極小イメージ(V2)