(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129774
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】光電子アセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01L 31/12 20060101AFI20240919BHJP
H01L 25/04 20230101ALI20240919BHJP
【FI】
H01L31/12 E
H01L25/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】50
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023151992
(22)【出願日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】63/489,984
(32)【優先日】2023-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519146787
【氏名又は名称】ツー-シックス デラウェア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】II-VI Delaware,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】デビッド,アロウシュ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル,チュウ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン,アシュブルック
【テーマコード(参考)】
5F889
【Fターム(参考)】
5F889BA02
5F889BB02
5F889BB05
5F889BC02
5F889BC07
5F889BC21
5F889BC25
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5F889CA12
5F889CA20
5F889EA01
5F889EA04
5F889EA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】抵抗及び寄生が減少し、電気パルス及び光パルスの立ち上がり時間及び立下り時間を速くすることができる光電子アセンブリを提供する。
【解決手段】プリント回路基板(PCB)110と、PCB110上に動作可能に取り付けられた集積回路基板(IC基板)120であって、IC基板120は光生成素子130及び光学検出器140のうちの少なくとも一方を含み、IC基板120と、IC基板120の第1の表面上に動作可能に取り付けられた光生成素子130と、IC基板の第1の表面上に光生成素子130に隣接して動作可能に取り付けられた光学検出器140と、IC基板120上に形成され、光生成素子130の複数の側面及び光学検出器140の複数の側面を封止する成形化合物150と、を含み、光生成素子130と光学検出器140との間の少なくとも1つの電気通信経路はIC基板120内に閉じ込められる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光送受信装置であって、
プリント回路基板(PCB)と、
前記PCB上に取り付けられた集積回路(IC)基板であって、前記PCBの第1の表面と前記IC基板の第1の表面との間に配置された第1の複数の電気接続によって取り付けられ、前記IC基板は能動素子及び受動素子のうちの少なくとも一方を含む、前記IC基板と、
前記IC基板の前記第1の表面に対向する前記IC基板の第2の表面上に取り付けられた垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)であって、それらの間の第2の複数の電気接続部によって取り付けられた前記VCSELと、
前記IC基板の前記第2の表面上に前記VCSELに隣接して取り付けられた光学検出器であって、それらの間の第3の複数の電気接続部によって取り付けられた前記光学検出器と、を含み、
前記IC基板は、前記IC基板の前記第1の表面と前記IC基板の前記第2の表面との間で第1の方向に沿って延びる複数の伝導柱と、前記第1の方向に実質的に垂直な第2の方向に沿って延びる複数の相互接続層と、を含み、
前記光学検出器と前記VCSELとの間の少なくとも1つの電気通信経路は、前記IC基板内に閉じ込められる、前記光送受信装置。
【請求項2】
前記IC基板内に閉じ込められる前記光学検出器と前記VCSELとの間の前記少なくとも1つの電気通信経路は、それぞれ前記IC基板内に閉じ込められる前記光学検出器と前記VCSELとの間の複数の電気通信経路を含む、請求項1に記載の光送受信装置。
【請求項3】
前記第1の複数の電気接続は、複数の制御されたコラプスチップ接続(C4)を含む、請求項1に記載の光送受信装置。
【請求項4】
前記第2の複数の電気接続部はハンダ接続を含み、前記第3の複数の電気接続部はCu-Cuハイブリッドボンディングを含む、請求項1に記載の光送受信装置。
【請求項5】
前記光学検出器の下にある第1のグループの前記複数の伝導柱間の第1のピッチは、前記VCSELの下にある第2のグループの前記複数の伝導柱間の第2のピッチよりも小さい、請求項1に記載の光送受信装置。
【請求項6】
前記複数の伝導柱は銅を含む、請求項1に記載の光送受信装置。
【請求項7】
前記複数の伝導柱の幅は約40μm~約120μmの範囲内である、請求項1に記載の光送受信装置。
【請求項8】
前記複数の伝導柱間のピッチは約30~約120μmの範囲内である、請求項7に記載の光送受信装置。
【請求項9】
前記VCSELと前記IC基板の前記第2の表面との間に配置された熱伝導性化合物をさらに含む、請求項1に記載の光送受信装置。
【請求項10】
前記光学検出器は前記VCSELから、約300~約500μmの範囲内の幅を有するギャップによって分離される、請求項1に記載の光送受信装置。
【請求項11】
前記ギャップ内に延びる成形化合物をさらに含む、請求項10に記載の光送受信装置。
【請求項12】
前記IC基板の前記第2の表面上に形成された前記成形化合物は、前記VCSELの複数の側面及び前記光学検出器の複数の側面を覆う、請求項11に記載の光送受信装置。
【請求項13】
前記成形化合物の上面は、前記VCSELの上面及び前記光学検出器の上面よりも下方にある、請求項12に記載の光送受信装置。
【請求項14】
前記VCSELは裏面発光型VCSELである、請求項1に記載の光送受信装置。
【請求項15】
前記VCSELはIII-V族材料を含む、請求項1に記載の光送受信装置。
【請求項16】
前記光学検出器はInP材料を含む、請求項1に記載の光送受信装置。
【請求項17】
前記VCSELの上部と前記光学検出器の上部とは実質的に同一平面上にある、請求項1に記載の光送受信装置。
【請求項18】
前記VCSELの底面と前記IC基板の前記第2の表面との間の距離は、約50μm~約100μmの範囲内である、請求項1に記載の光送受信装置。
【請求項19】
光送受信機を製造する方法であって、
垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)を集積回路(IC)基板の第1の表面上に、それらの間の第1の複数の電気接続部を用いて取り付けることであって、前記IC基板は能動素子及び受動素子のうちの少なくとも一方を含む、前記取り付けることと、
前記IC基板の前記第1の表面上に前記VCSELに隣接して光学検出器を、それらの間の第2の複数の電気接続部を用いて取り付けることと、
前記VCSELの複数の側面及び前記光学検出器の複数の側面を成形化合物によって覆うことと、を含む前記方法。
【請求項20】
前記IC基板をプリント回路基板(PCB)上に、前記PCBの第1の表面と、前記IC基板の前記第1の表面に対向する前記IC基板の第2の表面との間に配置された第3の複数の電気接続を用いて取り付けることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記光学検出器は前記VCSELから、約300μm~約500μmの範囲内の幅を有するギャップによって分離される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記成形化合物は前記ギャップ内に延びる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の複数の電気接続部はハンダリフロープロセスを含み、前記第2の複数の電気接続部はCu-Cuハイブリッドボンディングを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記IC基板は、前記IC基板の前記第1の表面と前記IC基板の第2の表面との間で第1の方向に沿って延びる複数の伝導柱と、前記第1の方向に実質的に垂直な第2の方向に沿って延びる複数の相互接続層とを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記光学検出器の下にある第1のグループの前記複数の伝導柱間の第1のピッチは、前記VCSELの下にある第2のグループの前記複数の伝導柱間の第2のピッチよりも小さい、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記成形化合物の上面は、前記VCSELの上面及び前記光学検出器の上面よりも下方にある、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記VCSELは裏面発光型VCSELである、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記VCSELはIII-V族材料を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記光学検出器はInP材料を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
前記VCSELの上部と前記光学検出器の上部とは実質的に同一平面上にある、請求項19に記載の方法。
【請求項31】
前記VCSELの底面と前記IC基板の前記第1の表面との間の距離は、約50μm~約100μmの範囲内である、請求項19に記載の方法。
【請求項32】
前記IC基板は、前記IC基板の前記第1の表面から前記IC基板の前記第1の表面に対向する前記IC基板の第2の表面まで垂直方向に延びる複数の伝導柱と、水平方向に延びる複数の伝導層と、を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項33】
前記光学検出器と前記VCSELとの間の少なくとも1つの電気通信経路は、前記IC基板内に閉じ込められる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記光学検出器の前記取り付けの前に、前記VCSELと前記IC基板の前記第1の表面との間に熱伝導性化合物を形成することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項35】
光電子アセンブリであって、
プリント回路基板(PCB)と、
前記PCB上に動作可能に取り付けられた集積回路(IC)基板であって、前記IC基板は能動素子及び受動素子のうちの少なくとも一方を含む、前記IC基板と、
前記IC基板の第1の表面上に動作可能に取り付けられた垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)と、
前記IC基板の前記第1の表面上に前記VCSELに隣接して動作可能に取り付けられた光学検出器と、
前記IC基板上に形成され、前記VCSELの複数の側面及び前記光学検出器の複数の側面を封止する成形化合物と、を含み、
前記光学検出器と前記VCSELとの間の少なくとも1つの電気通信経路は、前記IC基板内に閉じ込められる、前記光電子アセンブリ。
【請求項36】
前記IC基板は、
前記IC基板の前記第1の表面と前記IC基板の第2の表面との間で第1の方向に沿って延びる複数の伝導柱と、
前記第1の方向に実質的に垂直な第2の方向に沿って延びる複数の相互接続層と、を含む、請求項35に記載の光電子アセンブリ。
【請求項37】
前記IC基板内に閉じ込められる前記光学検出器と前記VCSELとの間の前記少なくとも1つの電気通信経路は、前記複数の伝導柱及び前記複数の相互接続層によってもたらされる、請求項36に記載の光電子アセンブリ。
【請求項38】
前記光学検出器の下にある第1のグループの前記複数の伝導柱間の第1のピッチは、前記VCSELの下にある第2のグループの前記複数の伝導柱間の第2のピッチよりも小さい、請求項36に記載の光電子アセンブリ。
【請求項39】
前記VCSELの上部と前記光学検出器の上部とは実質的に同一平面上にある、請求項35に記載の光電子アセンブリ。
【請求項40】
前記VCSELの底面と前記IC基板の前記第1の表面との間の第1の距離は、約50μm~約100μmの範囲内である、請求項35に記載の光電子アセンブリ。
【請求項41】
前記IC基板は前記PCB上に、前記PCBの第1の表面と、前記IC基板の前記第1の表面に対向する前記IC基板の第2の表面との間に配置された第1の複数の電気接続によって、動作可能に取り付けられている、請求項35に記載の光電子アセンブリ。
【請求項42】
前記第1の複数の電気接続は、複数の制御されたコラプスチップ接続(C4)を含む、請求項41に記載の光電子アセンブリ。
【請求項43】
前記VCSELは前記IC基板の前記第1の表面上に、それらの間の第2の複数の電気接続部によって動作可能に取り付けられ、
前記光学検出器は、前記IC基板の前記第1の表面に対向する前記IC基板の第2の表面上に前記VCSELに隣接して、それらの間の第3の複数の電気接続部によって、動作可能に取り付けられている、請求項35に記載の光電子アセンブリ。
【請求項44】
前記第2の複数の電気接続部はハンダ接続を含み、前記第3の複数の電気接続部はCu-Cuハイブリッドボンディングを含む、請求項43に記載の光電子アセンブリ。
【請求項45】
前記光学検出器は前記VCSELから、約300μm~約500μmの範囲内の幅を有するギャップによって分離される、請求項35に記載の光電子アセンブリ。
【請求項46】
前記成形化合物は前記ギャップ内に延びる、請求項45に記載の光電子アセンブリ。
【請求項47】
前記成形化合物の上面は、前記VCSELの上面及び前記光学検出器の上面よりも下方にある、請求項35に記載の光電子アセンブリ。
【請求項48】
前記VCSELは裏面発光型VCSELである、請求項35に記載の光電子アセンブリ。
【請求項49】
前記VCSELはIII-V族材料を含む、請求項35に記載の光電子アセンブリ。
【請求項50】
前記光学検出器はInP材料を含む、請求項35に記載の光電子アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許出願第63/489,984号(2023年3月13日に出願)に対する優先権を主張する。前述の出願は、その全体において参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本明細書で開示する実施形態は、光システムにおいて使用される光学デバイス、及び光デバイスを製造するための方法の分野にある。より詳細には、本明細書で開示する実施形態は、光デバイス、システム、及び方法において使用される光電子アセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書において特に断りのない限り、本明細書に記載の材料は、本出願における特許請求の範囲に対する先行技術ではなく、このセクションに含めることによって先行技術であると認められるものではない。
【0004】
既存の光デバイスは、光電子素子パッケージを一緒に使用して光電子アセンブリを形成するが、これは製造及び動作が非効率的である。現在、光電子アセンブリを実装した光デバイスの製造では、個々の光電子素子に対して別個の取り付けシステムが必要である。場合によっては、個々の光電子素子のそれぞれを、それ自体の基板(たとえば、集積回路(IC)基板)に取り付け、そして個々の基板を、別個の結合基板(たとえば、プリント回路基板(PCB))を利用して、別個の光学素子基板と接続して機能する必要がある。しかし、別個の取り付け基板を使用すると、個々の光電子素子間に比較的大きな間隔(ギャップ)が生じ、たとえばPCB及び付随するトレース製造技術の公差が大きくなるため、垂直方向及び水平方向の両方に沿ってパッケージプロファイル全体が大きくなる。したがって、光電子アセンブリ内で光電子素子パッケージを一緒に用いる従来技術の光デバイスの改善が望まれている。
【0005】
本明細書で主張する主題は、前述したような任意の不利点を解決する実施態様または前述したような環境のみで動作する実施態様には限定されない。むしろ、この背景は、本明細書に記載のいくつかの実施態様が実施され得る技術分野の一例を例示するためにのみ提供している。
【0006】
本発明のこれら及び他の利点は、本明細書の以下に記載する発明を実施するための形態からより十分に明らかとなる。
【発明の概要】
【0007】
この概要は、発明を実施するための形態においてさらに後述する考え方を選択したものを簡単な形で紹介するために示す。この概要は、特許請求の範囲に記載される対象の主要な特徴または本質的特徴を特定することは意図しておらず、特許請求の範囲に記載される対象の範囲を決定する際の手助けとして使用されることも意図していない。
【0008】
実施形態は、光送受信装置、光送受信機を製造する方法、及び光電子アセンブリを対象としている。
【0009】
一例では、光送受信装置は、プリント回路基板(PCB)と、PCB上に取り付けられた集積回路(IC)基板であって、PCBの第1の表面とIC基板の第1の表面との間に配置された第1の複数の電気接続によって取り付けられ、IC基板は能動素子及び受動素子のうちの少なくとも一方を含む、IC基板と、IC基板の第1の表面に対向するIC基板の第2の表面上に取り付けられた垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)であって、それらの間の第2の複数の電気接続部によって取り付けられたVCSELと、IC基板の第2の表面上にVCSELに隣接して取り付けられた光学検出器であって、それらの間の第3の複数の電気接続部によって取り付けられた光学検出器と、を含み、IC基板は、IC基板の第1の表面とIC基板の第2の表面との間で第1の方向に沿って延びる複数の伝導柱と、第1の方向に実質的に垂直な第2の方向に沿って延びる複数の相互接続層と、を含み、光学検出器とVCSELとの間の少なくとも1つの電気通信経路が、IC基板内に閉じ込められる。
【0010】
本開示の別の態様では、光送受信装置において、IC基板内に閉じ込められる光学検出器とVCSELとの間の少なくとも1つの電気通信経路は、それぞれIC基板内に閉じ込められる光学検出器とVCSELとの間の複数の電気通信経路を含む。
【0011】
本開示の別の態様では、光送受信装置において、第1の複数の電気接続は、複数の制御されたコラプスチップ接続(C4)を含む。
【0012】
本開示の別の態様では、光送受信装置において、第2の複数の電気接続部はハンダ接続を含み、第3の複数の電気接続部はCu-Cuハイブリッドボンディングを含む。
【0013】
本開示の別の態様では、光送受信装置において、光学検出器の下にある第1のグループの複数の伝導柱間の第1のピッチは、VCSELの下にある第2のグループの複数の伝導柱間の第2のピッチよりも小さい。
【0014】
本開示の別の態様では、光送受信装置において、複数の伝導柱は銅を含む。
【0015】
本開示の別の態様では、光送受信装置において、複数の伝導柱の幅は約40μm~約120μmの範囲内である。
【0016】
本開示の別の態様では、光送受信装置において、複数の伝導柱間のピッチは約30~約120μmの範囲内である。
【0017】
本開示の別の態様では、光送受信装置において、熱伝導性化合物がVCSELとIC基板の第2の表面との間に配置されている。
【0018】
本開示の別の態様では、光送受信装置において、光学検出器はVCSELから、約300~約500μmの範囲内の幅を有するギャップによって分離される。
【0019】
本開示の別の態様では、光送受信装置において、成形化合物がギャップ内に延びる。
【0020】
本開示の別の態様では、光送受信装置において、IC基板の第2の表面上に形成された成形化合物は、VCSELの複数の側面及び光学検出器の複数の側面を覆う。
【0021】
本開示の別の態様では、光送受信装置において、成形化合物の上面は、VCSELの上面及び光学検出器の上面よりも下方にある。
【0022】
本開示の別の態様では、光送受信装置において、VCSELは裏面発光型VCSELである。
【0023】
本開示の別の態様では、光送受信装置において、VCSELはIII-V族材料を含む。
【0024】
本開示の別の態様では、光送受信装置において、光学検出器はInP材料を含む。
【0025】
本開示の別の態様では、光送受信装置において、VCSELの上部と光学検出器の上部とは実質的に同一平面上にある。
【0026】
本開示の別の態様では、光送受信装置において、VCSELの底面とIC基板の第2の表面との間の距離は、約50μm~約100μmの範囲内である。
【0027】
別の例では、光送受信機を製造する方法は、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)を集積回路(IC)基板の第1の表面上に、それらの間の第1の複数の電気接続部を用いて取り付けることであって、IC基板は能動素子及び受動素子のうちの少なくとも一方を含む、取り付けることと、IC基板の第1の表面上にVCSELに隣接して光学検出器を、それらの間の第2の複数の電気接続部を用いて取り付けることと、VCSELの複数の側面及び光学検出器の複数の側面を成形化合物によって覆うことと、を含む。
【0028】
本開示の別の態様では、光送受信機を製造する方法は、IC基板をプリント回路基板(PCB)上に、PCBの第1の表面とIC基板の第1の表面に対向するIC基板の第2の表面との間に配置された第3の複数の電気接続を用いて取り付けること、を含む。
【0029】
本開示の別の態様では、光送受信機を製造する方法において、成形化合物の上面はVCSELの上面及び光学検出器の上面よりも下方にある。
【0030】
本開示の別の態様では、光送受信機を製造する方法において、VCSELは裏面発光型VCSELである。
【0031】
本開示の別の態様では、光送受信機を製造する方法において、VCSELはIII-V族材料を含む。
【0032】
本開示の別の態様では、光送受信機を製造する方法において、光学検出器はInP材料を含む。
【0033】
本開示の別の態様では、光送受信機を製造する方法において、VCSELの上部と光学検出器の上部とは実質的に同一平面上にある。
【0034】
本開示の別の態様では、光送受信機を製造する方法において、VCSELの底面とIC基板の第2の表面との間の距離は、約50μm~約100μmの範囲内である。
【0035】
本開示の別の態様では、光送受信機を製造する方法において、IC基板は、IC基板の第1の表面からIC基板の第1の表面に対向するIC基板の第2の表面まで垂直方向に延びる複数の伝導柱と、水平方向に延びる複数の伝導層と、を含む。
【0036】
本開示の別の態様では、光送受信機を製造する方法において、光学検出器とVCSELとの間の少なくとも1つの電気通信経路が、IC基板内に閉じ込められる。
【0037】
本開示の別の態様では、光送受信機を製造する方法は、光学検出器を取り付ける前に、VCSELとIC基板の第1の表面との間に熱伝導性化合物を形成することを含む。
【0038】
別の例では、光電子アセンブリは、プリント回路基板(PCB)と、PCB上に動作可能に取り付けられた集積回路(IC)基板であって、IC基板は能動素子及び受動素子のうちの少なくとも一方を含む、IC基板と、IC基板の第1の表面上に動作可能に取り付けられた垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)と、IC基板の第1の表面上にVCSELに隣接して動作可能に取り付けられた光学検出器と、IC基板上に形成され、VCSELの複数の側面及び光学検出器の複数の側面を封止する成形化合物と、を含み、光学検出器とVCSELとの間の少なくとも1つの電気通信経路が、IC基板内に閉じ込められる。
【0039】
本開示の別の態様では、光電子アセンブリにおいて、IC基板は、IC基板の第1の表面とIC基板の第2の表面との間で第1の方向に沿って延びる複数の伝導柱と、第1の方向に実質的に垂直な第2の方向に沿って延びる複数の相互接続層と、を含む。
【0040】
本開示の別の態様では、光電子アセンブリにおいて、IC基板内に閉じ込められる光学検出器とVCSELとの間の少なくとも1つの電気通信経路は、複数の伝導柱及び複数の相互接続層によってもたらされる。
【0041】
本開示の別の態様では、光電子アセンブリにおいて、光学検出器の下にある第1のグループの複数の伝導柱間の第1のピッチは、VCSELの下にある第2のグループの複数の伝導柱間の第2のピッチよりも小さい。
【0042】
本開示の別の態様では、光電子アセンブリにおいて、VCSELの上部と光学検出器の上部とは実質的に同一平面上にある。
【0043】
本開示の別の態様では、光電子アセンブリにおいて、VCSELの底面とIC基板の第1の表面との間の第1の距離は、約50μm~約100μmの範囲内である。
【0044】
本開示の別の態様では、光電子アセンブリにおいて、IC基板はPCB上に、PCBの第1の表面と、IC基板の第1の表面に対向するIC基板の第2の表面との間に配置された第1の複数の電気接続によって、動作可能に取り付けられている。
【0045】
本開示の別の態様では、光電子アセンブリにおいて、第1の複数の電気接続は、複数の制御されたコラプスチップ接続(C4)を含む。
【0046】
本開示の別の態様では、光電子アセンブリにおいて、VCSELはIC基板の第1の表面上に、それらの間の第2の複数の電気接続部によって動作可能に取り付けられ、光学検出器は、IC基板の第1の表面に対向するIC基板の第2の表面上にVCSELに隣接して、それらの間の第3の複数の電気接続部によって、動作可能に取り付けられている。
【0047】
本開示の別の態様では、光電子アセンブリにおいて、第2の複数の電気接続部はハンダ接続を含み、第3の複数の電気接続部はCu-Cuハイブリッドボンディングを含む。
【0048】
本開示の別の態様では、光電子アセンブリにおいて、光学検出器はVCSELから、約300μm~約500μmの範囲内の幅を有するギャップによって分離される。
【0049】
本開示の別の態様では、光電子アセンブリにおいて、成形化合物がギャップ内に延びる。
【0050】
本開示の別の態様では、光電子アセンブリにおいて、成形化合物の上面は、VCSELの上面及び光学検出器の上面よりも下方にある。
【0051】
本開示の別の態様では、光電子アセンブリにおいて、VCSELは裏面発光型VCSELである。
【0052】
本開示の別の態様では、光電子アセンブリにおいて、VCSELはIII-V族材料を含む。
【0053】
本開示の別の態様では、光電子アセンブリにおいて、光学検出器はInP材料を含む。
【0054】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の説明に記載され、ある程度は説明から明らかであるか、または本発明を実施することによって習得され得る。本発明の特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される手段及び組み合わせによって実現及び取得され得る。本発明のこれら及び他の特徴は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲からより十分に明らかとなるか、または以下に述べる本発明を実施することによって習得され得る。
【0055】
本発明の上述及び他の利点及び特徴をさらに明確にするために、本発明のより詳しい説明を、添付図面に例示されるその特定の実施形態を参照して与える。当然のことながら、これらの図面は本発明の典型的な実施形態のみを示しており、したがってその範囲を限定するものと考えるべきではない。本発明を、添付図面を使用することを通してさらなる具体性及び詳細を伴って記載及び説明する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1A】
図1Aは、送受信機を含む典型的な光電子デバイスを例示する断面図である。
【
図1B】
図1Bは、送受信機を含む典型的な光電子デバイスの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明の図及び説明は、本実施形態を明確に理解するために関連する要素を例示するために簡略化していると同時に、明瞭にするために、光デバイス、光デバイスを用いるシステム、及び光デバイスを製造するための方法において見られる他の要素を取り除いていることを理解されたい。当業者であれば分かるように、本実施形態を実施するために他の要素が望ましく及び/または必要となる場合がある。しかし、このような要素は当該技術分野において良く知られているため、また本実施形態のより良好な理解を促進しないため、このような要素の説明は本明細書では行わない。また当然のことながら、本明細書に含まれる図面は、本発明の現時点で好ましい構造の図的表現を提供するだけであり、本実施形態の範囲内に含まれる構造は、図面に示したものとは異なる構造を含んでいてもよい。次に図面を参照するが、同様の構造には同様の参照名称が付けられている。
【0058】
前述したように、別個の送信通信経路と受信通信経路とを使用する既存の光デバイスでは、2つの集積回路(IC)が実装されている。1つのICは光生成用に実装され、他のICは光検出用に実装されている。全般的に、典型的なシステムレベルの「信号経路」には順次に、送信IC、光生成器デバイス、光学センサ、及び受信器ICが含まれ得る。しかし、多くの用途では、正確なタイミング及び通信を可能にするために、送信ICと受信ICとの間の同期化が必要である。したがって、システムレベルの性能は、受信器ICと送信ICとの間の待ち時間及び同期化によって低下する。従来の解決策では、この信号経路には、1つ以上のPCBレベルのトレースを実装することが含まれており、処理時間が無駄になり、消費電力も増加する。したがって、受信器回路と送信回路との間のより厳格な同期化を有する従来技術の光デバイスの改善が望まれており、その結果、待ち時間が減少し、システムレベルの性能が向上する。
【0059】
前述したように、固体光学レンズを製造するための既存の方法は固体光学材料を含む。一般的に、光学レンズの製造は、固体光学レンズを製造するために使用する材料及びプロセスによって制限され、費用対効果の高い方法で生産規模を拡大することはできない。
【0060】
本明細書に記載の特定の配列が相互に排他的でない限り、本明細書に記載の種々の実施態様を全体的または部分的に組み合わせて、システム機能を高めるかまたは補完的な機能を生成することができる。同様に、実装の態様をスタンドアローン配列で実装してもよい。したがって、上述の説明は単に一例としてのみ与えており、本発明の範囲内で詳細な変更を行ってもよい。
【0061】
本明細書における実質的に任意の複数形または単数形の用語の使用に関して、当業者であれば、文脈または用途に適切なように、複数形から単数形へまたは単数形から複数形へ翻訳することができる。明確にするために、本明細書では種々の単数形/複数形の置換を明示的に述べる場合がある。単数形での要素への言及は、特に示さない限り、「ただ1つ」を意味することは意図しておらず、むしろ「1つ以上」を意味する。また、本明細書で開示するものはいずれも、そのような開示が上述の説明において明示的に説明されているか否かとは関係なく、公衆に提供されることは意図されていない。
【0062】
全般的に、本明細書、特に添付の特許請求の範囲(たとえば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用する用語は全般的に、「オープン」用語であることが意図されている(たとえば、用語「含んでいる」は「含んでいるがこれに限定されない」と解釈すべきであり、用語「有する」は「少なくとも有する」と解釈すべきであり、用語「含む」は「含むがこれに限定されない」と解釈すべきである等)。さらに、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する慣習が使用される場合、一般的に、このような構成は、当業者であれば慣習を理解するであろうという意味で意図されている(たとえば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独、B単独、C単独、A及びBの組み合わせ、A及びCの組み合わせ、B及びCの組み合わせ、またはA、B、及びCの組み合わせなどを含むシステムを含むがこれに限定されない)。また、2つ以上の代替的な用語を示す語句は、説明、特許請求の範囲、または図面であろうと、用語のうちの1つ、用語のいずれか、または両方の用語を含むと理解すべきである。たとえば、語句「AまたはB」は、「A」または「B」または「A及びB」の可能性を含むものと理解される。
【0063】
本発明は、その趣旨または本質的特徴から逸脱することなく、他の特定の形式で具体化し得る。説明した実施形態は、すべての点で単に例示的であって、限定的ではないと考えるべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって指示される。特許請求の範囲の意味及び均等の範囲内に入るすべての変更は、それらの範囲内に包含される。
【0064】
図1Aは、典型的な光電子デバイスを例示する断面図である。
図1において、光電子デバイス100含むプリント回路基板(PCB)110、集積回路(IC)基板120、光生成デバイス130、及び光検出器デバイス140を含み、光生成デバイス130及び光検出器デバイス140は、随意の成形化合物150内に封止されている。光電子デバイス100は、光生成デバイス130のドライバ動作と光検出器デバイス140の受信動作との両方を処理するモノリシック送受信機であると考えてもよい。
【0065】
図1Aにおいて、光生成デバイス130によって生成された光160aは、光生成デバイス130の上面から放射され、要素(複数可)170によって反射される。そして、反射光160bは光検出器デバイス140によって受信される。透過光160a及び受信した反射光160bに関連する種々の動作パラメータに基づいて、要素(複数可)170の特定の態様を特徴付けてもよい。いくつかの実施態様では、光電子デバイス100は、透過光及び反射光160a及び160bのパルスを使用して距離(可変距離)を測定する遠隔走査及び検知方法として光検出と測距(LiDAR)構成で使用することができ、ならびに近距離のオブジェクト及び環境の現実的で正確かつ高速の3D表現を作成することができる。
【0066】
図1Aにおいて、光生成デバイス130は、特定の特性を有する特定の種類の光を生成するように構成された種々の異なるレーザデバイスのうちの1つ(または複数)を含んでいてもよい。たとえば、光生成デバイス130は、裏面または正面発光構成を有する垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)を含んでいてもよい。代替的に、たとえば、光生成デバイス130は、側方発光型レーザを含んでいてもよい。光生成デバイス130は、低ナノ秒範囲以下の高速パルスシーケンスを可能にするために、立上がり時間が極めて短いことが望ましい。
【0067】
図1Aにおいて、光検出器デバイス140は、特定の特性を有する特定の種類の光を受信して、受信光に対応する電気信号を生成するように構成された種々の異なる光検出器のうちの1つ(または複数)を含んでいてもよい。たとえば、光検出器デバイス140は、電荷結合素子(CCD)及びアクティブピクセルセンサ(相補型金属酸化膜半導体(CMOS)画像センサなど)のうちの1つを含んでいてもよい。
【0068】
いくつかの実施態様では、光検出器デバイス140は、InPなどのIII-V族材料の組み合わせから形成してもよいし、またはSiGe検出器デバイスであってもよい。さらに、光検出器デバイス140は、単一光子アバランシェダイオード(SPAD)を含んでいてもよい。
【0069】
いくつかの実施態様では、光生成デバイス130及び光検出器デバイス140は、同じ材料または異なる材料から形成してもよい。たとえば、光生成デバイス130及び光検出器デバイス140の一方または両方は、Siベースの材料及び/またはInPベースの材料から形成してもよい。
【0070】
PCB110基板は、チップ接続システムと、PCB110及びIC基板120の対向する(第1の)表面の間に提供されるアンダーフィルとを介して、IC基板120に電気的及び機械的に接続される。IC基板120は通常、シリコンからなり、1つ以上の能動または受動部品(たとえば、ダイオード、トランジスタ、キャパシタ、抵抗器、マイクロコントローラ、電源回路、眼の安全回路など)を備えたCMOS ICを含むことができ、IC基板120は「能動」、「受動」、または複合IC基板120と言う場合がある。また、IC基板(CMOS IC)において、ICの上部と下部との間の電気接続を可能にするシリコン貫通電極(TSV)が存在する。TSVを使用することで、PCBからCMOSデバイスまで、ならびにVCSEL及び/または検出器までの電気経路長及び熱経路長が最小限になる。PCB110は、光電子デバイス100と他のコンポーネントとの間の相互接続、及び外部マイクロコントローラ、電源、クロック信号、外部トリガ、インターフェースなどのようなPCB110上の電気接続を可能にする金属トレースを備えたプラスチック、繊維ガラス、または樹脂複合材とすることができる。いくつかの実施態様では、チップ接続システムは、制御されたコラプスチップ接続(C4)またはチップ接続(C2)を含んでいてもよい。たとえば、ハンダボール112及びボンディング(アンダーフィル)層114を用いて、PCB110とIC基板120との間の電気的接続及び/または機械的接続の両方を提供してもよい。
【0071】
図1Aにおいて、IC基板120は、IC基板120の対向面(第1及び第2の表面)の間に複数の伝導経路122a及び122b(一般的にTSVと言われる)を含む。いくつかの実施態様では、複数の伝導経路122a及び122bは、IC基板120の対向する第1及び第2の表面で露出する端部領域を有していてもよく、IC基板120の対向する第1及び第2の表面のいずれにも延びない伝導経路を含んでいてもよい。詳細には、伝導経路122a及び122bの一部は、IC基板120の対向する第1及び第2の表面で露出することなく、IC基板120内の再配線層(相互接続層)を電気的に相互接続するように実装してもよいし、またはIC基板120の対向する第1及び第2の表面の一方のみで露出する端部領域を有していてもよい。
【0072】
いくつかの実施態様では、伝導柱132を光生成デバイス130とIC基板120との間に配置してもよい。伝導柱132は、銅などの金属または金属合金を含んでいてもよく、IC基板120上、ならびに光生成デバイス130及び/または光検出器デバイス140上に、アレイとして分布させてもよい。伝導柱132のそれぞれは、ハンダなどの中間接続136によって電気的及び機械的に接続された電気伝導柱134a及び銅バンプ134bを含んでいてもよい。
図1Bは、光生成デバイス130及び光検出器デバイス140の両方に対する伝導柱132を表す。
図1Bでは、電気伝導柱134aの直径が銅バンプ134bの直径よりも大きいことを示し得るが、電気伝導柱134a及び銅バンプ134bの両方が実質的に同じまたは異なる直径を有していてもよい。電気伝導柱134a及び銅バンプ134bの使用を実施して、光生成デバイス130とIC基板120との間の電気接続を行うことにより、抵抗及び寄生が減少し、電気パルス及び光パルスの立ち上がり時間及び立下り時間を速くすることができる。
【0073】
いくつかの実施態様では、伝導柱132を、IC基板120と光生成デバイス130との間の第1のアレイ内で、及びIC基板120と光検出器デバイス140との間の第2のアレイ内で分布させてもよい。たとえば、第1のアレイ及び第2のアレイ内で分布する伝導柱132は、30μm~120μmの範囲内のピッチを有していてもよい。いくつかの実施態様では、光生成デバイス130及び光検出器デバイス140への(またはそれらの間の)必要な電気接続、ならびにPCB110に対して必要な電気接続の数に部分的に基づいて、第1のアレイ内の伝導柱132間のピッチは、第2のアレイ内の伝導柱132間のピッチとは異なっていてもよい。たとえば、光検出器デバイス140の下にある第2のアレイ内の伝導柱132間のピッチは、1μm~5μmの範囲内であってもよく、光生成デバイス130の下にある第1のアレイ内の伝導柱132間のピッチは、70μm~100μmの範囲内であってもよい。詳細には、光検出器デバイス140は、光検出素子の実質的に大きなアレイを含む場合があるため、光生成デバイス130にとって必要な伝導柱132の数と比べて、光検出器デバイス140の下にある、より多数の伝導柱132が必要となる場合がある。したがって、光検出器デバイス140の下にある伝導柱132間のピッチは、光生成デバイス130の下にある伝導柱132間のピッチより小さくてもよい。いくつかの実施態様では、光検出器デバイス140の下にある伝導柱132間のピッチは、1μm~5μmの範囲内であってもよく、他のタイプの電気相互接続技術を使用する必要があってもよい(たとえば、Cu対Cuハイブリッドボンディングまたはタイトなピッチを考慮できることと同等)。
【0074】
さらに、IC基板120は、IC基板120内に、またIC基板120の第1及び第2の対向面に沿って形成された、複数の伝導性相互接続層及び再配線層124a及び124bを含んでいてもよい。一般的に、相互接続層は、IC基板内のメタライゼーション層であり、IC基板製造プロセスの一部として、たとえばCMOSプロセスを通して形成され、一方で、再配線層は、IC基板120の外部に形成される接続を簡素化するために、IC基板の主な製造プロセスの後に加えられる金属配線である。しかし、本開示を簡単にする目的で、相互接続層及び再配線層の両方を、全般的に再配線層124a及び124bと言い、それらの個々の場所及び相互接続(たとえば、IC基板120内またはIC基板の表面上)は、本開示の残りの部分を考慮すれば、その製造及び使用に関して、当業者に十分な洞察を与えるであろう。複数の伝導性再配線層124a及び124bは、伝導経路122a及び122bが延びる方向に対して実質的に垂直な方向に沿って延びる。ここで、ハンダボール112は、IC基板120の第1の表面上に形成された伝導性再配線層124a及び124bに電気的及び機械的に接続される。ここで、たとえば、伝導性再配線層124aは、IC基板120の金属相互接続を含み、伝導性再配線層124bは、他のコンポーネントへの接続を簡素化するために、後の処理中にIC基板120に加えられる金属配線を含む。
【0075】
伝導性再配線層124a及び124bは、光生成デバイス130及び光検出器デバイス140と、上記で特定したものなどのシリコンIC基板120内に埋め込まれた任意の能動素子または受動素子との間に電気通信経路を提供するように、ならびに光生成デバイス130、光検出器デバイス140、及びPCB110の間に電気通信経路を提供するように構成されている。いくつかの実施態様では、伝導性再配線層124bは、光生成デバイス130、光検出器デバイス140、ならびにIC基板120内に埋め込まれた能動素子及び受動素子のうちの1つ以上の間に排他的な電気通信経路を提供する伝導層を含んでいてもよい。たとえば、排他的な電気通信経路は、光生成デバイス130、光検出器デバイス140、及びIC基板120内に埋め込まれた能動素子及び受動素子の間で限定された電気通信を提供してもよく、光生成デバイス130と光検出器デバイス140との間で排他的に電気信号を伝達することを支援するためのPCB110を含む必要がない。さらに、伝導性再配線層124bの一部は、光生成デバイス130と光検出器デバイス140との間の直接通信経路を提供してもよく、伝導性再配線層124bの他の部分(IC基板120の底面上のものなど)は、IC基板120内に埋め込まれた能動素子及び受動素子とIC基板120の外部との間の通信を、たとえばPCB110を通して提供してもよい。
【0076】
電力信号及び接地信号を、伝導性再配線層124bのうちの1つ以上によって光生成デバイス130及び光検出器デバイス140に直接提供してもよい。伝導性再配線層124bは、光生成デバイス130と光検出器デバイス140との間の間接通信経路を、IC基板120内に埋め込まれた(IC基板の対向面まで延びていない)伝導経路122a及び122bのうちの一方を用いるか、またはIC基板120の対向面間を延びる伝導経路122a及び122bのうちの一方を用いた電気接続によって、提供してもよい。いくつかの実施態様では、伝導性再配線層124bは、伝導経路122a及び122bとともに、光生成デバイス130、光検出器デバイス140、及びIC基板120内の任意の他の能動素子または受動素子の間の直接通信を提供して、可能な限り最短の通信経路を提供する。したがって、PCB110を使用して光生成デバイス130と光検出器デバイス140との間で通信する必要がないことにより寄生ノイズが減少する場合があり、インピーダンス/寄生の減少によって、電気パルス及び光パルスの立ち上がり時間及び立下り時間が速くなる。さらに、光生成デバイス130及び光検出器デバイス140によって占有される面積(フットプリント)が減少する。すなわち、光生成デバイス130と光検出器デバイス140とを接続するPCB110上の空間の必要がない。また、エンドユーザ用の部品表が従来の構成と比べて削減され、その結果、光生成デバイス130と光検出器デバイス140との間の通信を速くすることができる。
【0077】
図1Aにおいて、光生成デバイス130及び光検出器デバイス140は、IC基板120の第2の表面上に、複数の電気接続132によって取り付けられている。いくつかの実施態様では、光生成デバイス130の底面とIC基板の対向する(第2の)表面との間の距離は、50~100μmの範囲内である。したがって、従来の距離と比較して、このような距離の減少によって、抵抗が低くなり、寄生が小さくなる。
【0078】
いくつかの実施態様では、光生成デバイス130をIC基板120の第2の表面上に取り付けることを、光検出器デバイス140をIC基板120の第2の表面上に取り付ける前に行う。たとえば、光生成デバイス130をIC基板120の第2の表面上に取り付けて、電気接続132を、ハンダリフロープロセスを使用して形成してもよい。そして、光検出器デバイス140を、IC基板120の第2の表面上に、直接ボンディングプロセスまたはフュージョンボンディングプロセスを実施するピックアンドプレースプロセス使用して取り付けてもよい。たとえば、光検出器デバイス140を、IC基板120の第2の表面上に、IC基板120の第2の表面上に取り付けられた光生成デバイス130が劣化しないCu-Cuハイブリッドボンディングプロセスを使用して取り付けてもよい。米国特許第11,189,985号が、ハイブリッドボンディングを説明するために、その全体において参照により組み込まれている。詳細には、光検出器デバイス140をIC基板120の第2の表面上に取り付けるために使用するプロセス(複数可)は、光生成デバイス130とIC基板120との間の電気相互接続間に以前に形成された電気接続に損傷を与える可能性がある温度範囲を含まない。
【0079】
光生成デバイス130と光検出器デバイス140とをIC基板120の第2の表面上に取り付けるための別個のステップを使用することによって、光生成デバイス130と光検出器デバイス140との間に形成される間隔ギャップ101を最小限にすることができる。間隔ギャップ101は、ギャップ距離dが約300μm~約500μmの範囲内であってもよい。従来、別個の基板及びまたはパッケージが、光生成デバイス及び光検出デバイスのそれぞれをPCB上に取り付けるために使用されている。しかし、光生成デバイス130及び光検出器デバイス140の両方を単一基板上(IC基板120の第2の表面上など)に取り付けることによって、ギャップ距離dを実質的に短くすることができ、それによって、特定のタイプの3D検知用途に対する光送受信機解決策の光学特性が改善されるとともに、ノイズが最小限になり及び/またはI2R損失が小さくなる。なぜならば、光生成デバイス130と光検出器デバイス140とが桁違いに近いからである。
【0080】
図1Aにおいて、成形化合物150が、IC基板の第2の表面上に形成され、光生成デバイス130の側面130a及び光検出器デバイス140の側面140aを覆うか、部分的に覆うか、または実質的に覆う。さらに、成形化合物150の一部150aが、間隔ギャップ101内の光生成デバイス130と光検出器デバイス140との間に形成される。したがって、光生成デバイス130と光検出器デバイス140との間の機械的剛性が増加して、光電子デバイス100の機械的安定性が向上し得る。これには、光学サブアセンブリ180製造時に光生成デバイス130と光検出器デバイス140との相対位置を固定するという付加利益があり、光生成デバイス130及び光検出器デバイス140のより正確で、再現可能で、安定した位置合わせが可能になる。
【0081】
さらに、
図1Aに示すように、成形化合物150を、光生成デバイス130の底面とIC基板120の第2の表面との間に配置してもよい。したがって、これによって、光生成デバイス130と光検出器デバイス140との間、ならびに光生成デバイス130とIC基板120との間の機械的安定性がさらに提供され、光電子デバイス100の安定性がさらに改善され得る。
【0082】
いくつかの実施態様では、光生成デバイス130は、動作中に熱の形態で熱エネルギーを生成する場合がある。たとえば、光生成デバイス130を、IC基板120よりも熱膨張係数(CTE)が高いIII-V族材料の組み合わせから形成してもよい。したがって、光生成デバイス130の動作中に生成される熱によって生じる損傷を防止するために、熱管理システムを取り付けてもよい。さらに、温度上昇による波長及び光出力のシフトを防止するなど、光生成デバイス130の適切な動作を保証するために、熱管理システムを取り付けてもよい。いくつかの実施態様では、高熱伝導性材料を、光生成デバイス130とIC基板120との間に提供してもよい。たとえば、電気接続132を光生成デバイス130とIC基板120との間に形成したら、光検出器デバイス140を配置する前、及び成形化合物を形成する前に、高熱伝導性材料を、光生成デバイス130とIC基板120の第2の表面との間に設けて、光生成デバイス130の電気伝導柱134とIC基板120の電気伝導柱122との間を延びてもよい。したがって、光生成デバイス130の動作中に生成された熱を、IC基板120、ならびに成形化合物150を通して伝達することができる。
【0083】
図1Aにおいて、成形化合物150の上面は、図示では、光生成デバイス130及び光検出器デバイス140の上面よりも下方にある。図示しないが、光生成デバイス130及び光検出器デバイス140の上面を覆う、SiN層などの保護層を設けてもよい。さらに、光学素子(たとえば、拡散フィルタ、及び/または集束素子)を、光生成デバイス130の上部、ならびに光検出器デバイス140の上部上に設けてもよい。
【0084】
図1Aにおいて、光生成デバイス130及び光検出器デバイス140の上面は、図示では、実質的に同一平面上にあってもよい。特定の実施形態が、上面が実質的に同一平面上にあることから利益を得る場合がある。しかし、光生成デバイス130及び光検出器デバイス140の上面は、実質的に同一平面上になくてもよく、相互にずれていてもよい。
【0085】
図1A及び1Bに示す構成の結果、光生成デバイス130と光検出器デバイス140との間のより緊密な同期化が達成される。詳細には、PCB110を使用せずに、または電気接続に対するPCB110への依存を減らして、光生成デバイス130と光検出器デバイス140との間の通信を実施する構成を提供することによって、待ち時間が短縮され、システムレベルの性能が向上する。
【0086】
図1A及び1Bに示す光電子アセンブリ/デバイスの全体構造によって、光生成デバイス130と光学検出器デバイス140との間のより緊密な同期化が可能になる。なぜならば、PCB上に別個の光生成チップ及び別個の受光器チップが取り付けられた従来システムに対して、光生成デバイス130と光学検出器デバイス140との間の信号経路が短くなるからである。また全体構造により、光源と光検出器が別個にパッケージされる従来システムと比べて、光生成デバイス130と光学検出器デバイス140との間の距離をはるかに小さくすることもできる。
図1A及び1Bにおいて、最小距離は、PCB設計ルール(数ミリメートルのオーダー)ではなくて、チップスケールのプロセス設計ルール(数百ミクロンのオーダー)によって制限される。全体構造には、光生成デバイス130と光学検出器デバイス140との間の分離距離に関連する光学的動作特性及び電気的動作特性の向上の両方に関するシステム的な利点がある。
【0087】
本明細書に記載の特定の配列が相互に排他的でない限り、本明細書に記載の種々の実施態様を全体的または部分的に組み合わせて、システム機能を高めるかまたは補完的な機能を生成することができる。同様に、実装の態様をスタンドアローン配列で実装してもよい。したがって、上述の説明は単に一例としてのみ与えており、本発明の範囲内で詳細な変更を行ってもよい。
【0088】
本明細書における実質的に任意の複数形または単数形の用語の使用に関して、当業者であれば、文脈または用途に適切なように、複数形から単数形へまたは単数形から複数形へ翻訳することができる。明確にするために、本明細書では種々の単数形/複数形の置換を明示的に述べる場合がある。単数形での要素への言及は、特に示さない限り、「ただ1つ」を意味することは意図しておらず、むしろ「1つ以上」を意味する。また、本明細書で開示するものはいずれも、そのような開示が上述の説明において明示的に説明されているか否かとは関係なく、公衆に提供されることは意図されていない。
【0089】
全般的に、本明細書、特に添付の特許請求の範囲(たとえば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用する用語は全般的に、「オープン」用語であることが意図されている(たとえば、用語「含んでいる」は「含んでいるがこれに限定されない」と解釈すべきであり、用語「有する」は「少なくとも有する」と解釈すべきであり、用語「含む」は「含むがこれに限定されない」と解釈すべきである等)。さらに、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する慣習が使用される場合、全般的に、このような構成は、当業者であれば慣習を理解するであろうという意味で意図されている(たとえば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独、B単独、C単独、A及びBの組み合わせ、A及びCの組み合わせ、B及びCの組み合わせ、またはA、B、及びCの組み合わせなどを含むシステムを含むがこれに限定されない)。また、2つ以上の代替的な用語を示す語句は、説明、特許請求の範囲、または図面であろうと、用語のうちの1つ、用語のいずれか、または両方の用語を含むと理解すべきである。たとえば、語句「AまたはB」は、「A」または「B」または「A及びB」の可能性を含むものと理解される。
【0090】
本発明は、その趣旨または本質的特徴から逸脱することなく、他の特定の形式で具体化し得る。説明した実施形態は、すべての点で単に例示的であって、限定的ではないと考えるべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の説明ではなくて添付の特許請求の範囲によって指示される。特許請求の範囲の意味及び均等の範囲内に入るすべての変更は、それらの範囲内に包含される。
【外国語明細書】