(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129776
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】便座ユニットおよび分岐金具
(51)【国際特許分類】
E03D 11/02 20060101AFI20240919BHJP
E03D 9/08 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
E03D11/02 A
E03D9/08 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023179665
(22)【出願日】2023-10-18
(62)【分割の表示】P 2023039024の分割
【原出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】庭山 晃一
(72)【発明者】
【氏名】高木 均
(72)【発明者】
【氏名】村田 博光
(72)【発明者】
【氏名】石山 豊
(72)【発明者】
【氏名】荒川 茂
【テーマコード(参考)】
2D038
2D039
【Fターム(参考)】
2D038JA01
2D038JB04
2D038JC00
2D039AA02
2D039AC08
2D039CB00
2D039DB04
(57)【要約】
【課題】簡易に使用可能な微細気泡生成手段を備えた便座ユニットを提供する
【解決手段】本発明の便座ユニットは、便座装置と、分岐金具と、を備え、前記分岐金具は、前記便座装置と、便器に供給する水を貯留する貯留タンクと、に水の流れを分岐させる分岐部と、通過する水に微細気泡を生成する微細気泡生成手段と、を備え、前記微細気泡生成手段が前記分岐部の上流に設けられる構成としている。
【選択図】
図25
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座装置と、分岐金具と、を備え、
前記分岐金具は、
前記便座装置と、便器に供給する水を貯留する貯留タンクと、に水の流れを分岐させる分岐部と、
通過する水に微細気泡を生成する微細気泡生成手段と、を備え、
前記微細気泡生成手段が前記分岐部の上流に設けられることを特徴とする便座ユニット。
【請求項2】
前記便座装置は、
前記便器の内部に水を放出するための放水口と、
局部に水を吐出するための吐水口が設けられたノズルと、
前記便座装置への給水口から前記放水口および前記ノズルに水を供給するための流路と、
前記流路を、前記放水口に水を供給する第1の流路と、前記ノズルに水を供給する第2の流路とに分岐させる分岐部と、を備え、
前記ノズルおよび前記放水口に前記微細気泡を含有する水が供給されることを特徴とする請求項1に記載の便座ユニット。
【請求項3】
前記ノズルでは、
前記吐水口に水を供給する第3の流路と、
前記ノズルを洗浄する水が流れる第4の流路と、が形成されることを特徴とする請求項2に記載の便座ユニット。
【請求項4】
前記吐水口は、おしり洗浄用吐水口と、ビデ洗浄吐水口とを有し、
前記第4の流路は分岐して、前記おしり洗浄用吐水口および前記ビデ洗浄吐水口に向けて水が噴出されることを特徴とする請求項3に記載の便座ユニット。
【請求項5】
便座装置と、分岐金具と、を備える便座ユニットの前記分岐金具であって
前記便座装置と、便器に供給する水を貯留する貯留タンクと、に水の流れを分岐させる分岐部と、
通過する水に微細気泡を生成する微細気泡生成手段と、を備え、
前記微細気泡生成手段が前記分岐部の上流に設けられることを特徴とする分岐金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細気泡生成手段を備える便座ユニットおよび分岐金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば水洗トイレ設備において便器内に供給される水の中に微細気泡を生成することにより、便器内の洗浄能力を向上させる技術が知られている。例えば特許文献1には、便器に水を供給する供給配管を分岐させて当該水に微細気泡を生成する微細気泡生成手段を取付け、この微細気泡生成手段からの水を便器の洗浄水として使用する微細気泡含有水供給システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の微細気泡含有水供給システムは、吸水継手及び吐出継手を用いて洗浄水供給配管に取り付けられるものであり、簡易に使用することができなかった。
【0005】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、簡易に使用可能な微細気泡生成手段を備えた便座ユニットおよび分岐金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の便座ユニットは、便座装置と、分岐金具と、を備え、前記分岐金具は、前記便座装置と、便器に供給する水を貯留する貯留タンクと、に水の流れを分岐させる分岐部と、通過する水に微細気泡を生成する微細気泡生成手段と、を備え、前記微細気泡生成手段が前記分岐部の上流に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、微細気泡生成手段を簡易に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施形態を示す便座ユニットの構成例を概略的に示す斜視図である。
【
図2】同上、便座装置を底面側から見た斜視図である。
【
図3】同上、便座に本体を取り付ける作業を説明する斜視図である。
【
図4】同上、ケーシング上部を取外した状態の本体の上面拡大図である。
【
図7】同上、微細気泡生成手段の断面概略図である。
【
図10】同上、UFBノズルの出口部の断面概略図である。
【
図11】同上、UFBノズルの変形例の出口部の断面概略図である。
【
図12】同上、突出部近傍を示す出口部の水平断面概略図である。
【
図13】同上、便座装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図14】同上、便座ユニットにおいて水が流れる経路を示す流水経路図である。
【
図15】同上、微細気泡生成手段を備えた構成の便座装置と、微細気泡生成手段を備えていない構成の便座装置において、噴出部から噴出させたミストによる洗浄の結果を比較した説明図である。
【
図16】同上、微細気泡生成手段を備えた構成の便座装置と、微細気泡生成手段を備えていない構成の便座装置において、ノズル洗浄口から噴出させた水によるノズル本体部の洗浄の結果を比較した説明図である。
【
図17】本発明の第1の実施形態の変形例を示す便座ユニットの導水ユニットの斜視図である。
【
図18】同上、導水ユニットの部分断面拡大概略図である。
【
図19】本発明の第2の実施形態を示す便座ユニットにおいて水が流れる経路を示す流水経路図である。
【
図20】同上、本体下面部および本体給水口の斜視図である。
【
図21】同上、本体給水口および導水ユニットの部分断面拡大概略図である。
【
図22】本発明の第3の実施形態を示す便座ユニットにおいて水が流れる経路を示す流水経路図である。
【
図23】本発明の第4の実施形態を示す便座ユニットにおいて水が流れる経路を示す流水経路図である。
【
図24】本発明の第5の実施形態を示す便座ユニットにおいて水が流れる経路を示す流水経路図である。
【
図25】本発明の第6の実施形態を示す便座ユニットにおいて水が流れる経路を示す流水経路図である。
【
図26】本発明の第7の実施形態を示す便座ユニットにおいて水が流れる経路を示す流水経路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好ましい便座装置の一実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【実施例0010】
図1~
図16は、本発明の便座装置10の第1の実施形態を示している。
図1は、水洗トイレ設備としてのトイレ室S内の便器1周辺に設置される便座ユニット100の一構成例を示している。また
図2は、便座装置10の本体11と便座12と便座蓋13を下側(底面側)から見た斜視図である。便器1は、排泄物を受ける上面を開口した凹状のボウル部2を有し、このボウル部2が便器1の内面を形成する。なお、ボウル部2が便器1の便鉢である。便座12は平面視で略O型をなし、便座蓋13は、便座12を覆い、便座12の中央開口部12Aを有し、便座12を開閉可能に覆うように構成されている。便座装置10の本体11は、便器1の後部に位置する便器後部3(
図3参照)の上面に着脱可能に固定される。
【0011】
本体11は、本体主部となる中空なケーシング15を備え、このケーシング15は、便器1の便器後部3の上面に取付固定される本体下面部16と、この本体下面部16の上面を覆い下面が開口したケーシング上部17と、により合成樹脂製の外郭部材が構成される。ケーシング15には、何れも合成樹脂製の便座12と便座蓋13が回動可能に取り付けられ、
図1に示されるように、便座蓋13を開け、かつ便座12を便器1側に倒した状態で、ユーザは便座12に臀部を載せて着座することができる。
【0012】
便座12の下面には、使用位置である便座12を便器1側に倒したときに、便器1の上面に直接当接する凸状の便座脚部18が、複数個間隔を開けて配設される。なお本実施形態では、
図2に示されるように前側左右と後側左右の4箇所に配置されているが、これは一例であり、本発明はこれに限定されない。便座脚部18の一つには、着座検知手段となる機械式の着座スイッチ19が内蔵されており、便座脚部18が便器1に当接して押し込まれ、着座スイッチ19がONになることにより、ユーザが便座12に着座したことを検知できる。なお本実施形態では、
図2に示されるように、着座スイッチ19が中央前側左右一方の便座脚部18に設けられているが、これは一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0013】
21は、ケーシング15の側部に設けられた合成樹脂製の本体操作部である。本体操作部21には、例えば、おしりボタンやビデボタンなどの洗浄ボタンと、止ボタンを含む各種の操作ボタンが設けられ、これらの操作ボタンを介してユーザの操作が入力される。また本体操作部21には、電源ランプや、脱臭ランプや、節電ランプや、便座ランプなどの表示ランプが設けられ、これらの表示ランプの表示形態により便座装置10の各部の動作状態をユーザに報知する構成になっている。
【0014】
ケーシング15の前方下部には、いわゆる可動式の洗浄ノズル25が設けられる。ノズル装置に相当する洗浄ノズル25は、本体11の前後方向に沿って直線的に延びる筒状をなしており、本体11の前後方向に沿って往復移動可能に配設される。洗浄ノズル25の先端部周面には洗浄液としての水を吐水する吐水部66(
図5参照)が1乃至複数設けられており、洗浄ノズル25を便座12の下方から突出した位置に前進させたときに、便座12に着座するユーザの局部に向けて水が無駄なく噴出するように構成されている。また、ケーシング15の底部をなす本体下面部16には、洗浄ノズル25を便座12の下方位置に後退させたときに、ケーシング15内に収容した洗浄ノズル25を保護するために、本体11の下方に向けて凸状のノズルガード26が一体に形成される。洗浄ノズル25の材料は、清潔性を維持するためにステンレス製とするのが好ましいが、それ以外の材料であってもよい。また本実施形態では、吐水部66として、ユーザの第1局部に水を噴出するおしり洗浄用吐水口66aと、ユーザの第1局部とは異なる第2局部に水を噴出するビデ洗浄吐水口66bとが設けられ、これらのおしり洗浄用吐水口66aおよびビデ洗浄吐水口66bが、同一の洗浄ノズル25に設けられる構成としている。なお洗浄ノズル25の構成は一例であり、おしり洗浄用吐水口66aおよびビデ洗浄吐水口66bがそれぞれ専用の洗浄ノズル25に設けられ、複数の洗浄ノズル25がそれぞれ可動する構成としてもよい。
【0015】
給水経路としてトイレ室Sに予め設置された止水栓WVには、当該止水栓WVから流入する水を、便座12側と、便器に供給して洗浄するための水を貯留する貯留タンク(図示せず)側とに分岐させる分岐金具33が取付けられている。この分岐金具33は三方継手で構成されており、それぞれの継手が、止水栓WV、貯留タンクに水を供給するタンク給水用ホースR、給水ホース32にそれぞれ接続されている。またケーシング15の後方側部には本体給水口31が設けられており、この本体給水口31に給水ホース32が接続されることにより止水栓WVと本体給水口31とが連通して、止水栓WVからの水が分岐金具33および給水ホース32を介して本体給水口31から便座12に導かれる構成となっている。そのため本実施形態では、便座装置10と、給水ホース32と、分岐金具33とで便座ユニット100を構成している。なお便座ユニット100は、便座装置10と分岐金具33とを直接接続する構成にしてもよい。
【0016】
図2に示すように、本体下面部16には、取付凹部41が上方に凹んで設けられ、この取付凹部41は、左右に比べて中央部41Tが後側に位置するように後側に突出した前縁部41Aと、この前縁部41Aの左右端部から後側に向かって形成された左,右縁部41L,41Rを備え、これら左,右縁部41L,41Rの後端間に後開口部42を有する。
図3に示すように、便器後部3の上面に、本体11を固定するための固定プレート43を固定し、この固定プレート43に取付凹部41の後開口部42を合わせ、本体11を後方にスライドして取付凹部41に固定プレート43を嵌入することにより、便器後部3に本体11が固定され、逆に、本体11を前方にスライドして取付凹部41から固定プレート43を抜き取ることにより、便器後部3から本体11を取り外すことができる。このように便器後部3は、本体11を取り付ける便器1の取付部分である。
【0017】
ケーシング15には便器1内の臭気を低減除去するために、脱臭装置51が内蔵される。このため便器1の上面に対向してケーシング15の前方下面に吸気口52を設け、ケーシング上部17の後部に設けた排気口53との間に脱臭用通路(図示せず)を設け、この脱臭用通路の途中に脱臭ファンや脱臭ユニットを設けている。
【0018】
図4は、ケーシング上部17を取外した状態の本体11の上面拡大図を示している。
図4を参照して、本体給水口31から流入した水が流動する流路51の構成を説明すると、流路51は、本体給水口31と、止水機構52と、減圧機構53と、微細気泡生成手段54と、切替バルブ55と、分岐部56と、噴出部57と、加熱ユニット58と、ノズル組立59と、エアポンプ60と、で主に形成されている。また後述するように、流路51は第1の流路51-1および第2の流路51-2を有しており、第2の流路51-2は第3の流路51-3および第4の流路51-4を有している。具体的には、流路51は分岐部56で第1の流路51-1と第2の流路51-2とに分岐し、第2の流路51-2はノズル組立59の電磁弁95で第3の流路51-3と第4の流路51-4とに分岐するように形成される。
【0019】
止水機構52は、本体給水口31から流路51への水の流入を開始/停止させるものであり、本実施形態では電磁弁で構成されて、電気信号によりON/OFFできるようにしている。減圧機構53は、通過する水の圧力を、例えば0.1~0.15MPaなどの所定の圧力に低下、安定させるものであり、水圧を安定させた水を微細気泡生成手段54に供給できるように設けられている。本実施形態では本体給水口31と止水機構52と減圧機構53は、一体に形成されてユニット化された導水ユニット110を形成しており、導水ユニット110は前述の電磁弁で構成されている。そのため、止水機構52および減圧機構53を小型化することができ、また本体給水口31、止水機構52および減圧機構53の本体11への取付けや交換を容易にすることができる。したがって導水ユニット110は弁装置としての機能も有している。なお、これは一例であり、導水ユニット110を、例えばモータ駆動の弁で構成してもよく、すなわち電磁弁やモータ駆動の弁など、動力源が電気の弁である電動弁で構成してもよい。また本体給水口31と止水機構52と減圧機構53とが別体でそれぞれ形成されてもよく、止水機構52および減圧機構53のどちらか一方のみで導水ユニット110を形成する構成にしてもよい。
【0020】
切替バルブ55は、流路51を流れる水の水圧を所定の値以下に抑制するものであり、水が流入する流入部55Aと、水を送出する送出部55Bと、オーバーフロー排水部55Cと、本体下面部16に設けられた排水孔16Aに接続される排水管55Dとを有している。ここで流入部55Aから切替バルブ55内に水が流入した場合について説明すると、流入した水の圧力が所定の値以下の場合は、切替バルブ55に内蔵されたオーバーフロー排水弁(図示せず)が開放されず、流れ込んだ水がそのまま送出部55Bから送出される。その一方で、流入した水の圧力が所定の値を超えている場合はオーバーフロー排水弁が開放されて、切替バルブ55に流れ込んだ水や気体の一部がオーバーフロー排水部55Cから排水管55Dに送出されて、排水孔16Aから便器1のボウル部2内に排出される。その後、水の圧力が所定の値以下になったら、オーバーフロー排水弁が閉鎖されて、流入部55Aから流れ込んだ水は、再度そのまま送出部55Bから送出されるように構成される。なお、切替バルブ55内に流入した水の圧力だけでなく、水の流量が所定の値を超えている場合にもオーバーフロー排水弁が開放されるように切替バルブ55を構成してもよい。
【0021】
分岐部56は、流路51を噴出部57に通じる第1の流路51-1とノズル組立59に通じる第2の流路51-2とに分岐させるものであり、分岐部56に流入してきた水を第1の流路51-1または第2の流路51-2に選択して送出している。本実施形態では分岐部56が電磁弁で構成されており、水が流入する流入部56Aと、水を第1の流路51-1に送出する第1の送出部56Bと、水を第2の流路51-2に送出する第2の送出部56Cと、分岐部本体56Dとを有している。そして分岐部本体56Dは、電気信号により、第1の送出部56Bまたは第2の送出部56Cを選択して開放/閉鎖できるように構成されており、流入部56Aから分岐部本体56Dに流入した水は、開放された第1の送出部56Bまたは第2の送出部56Cを通って第1の流路51-1または第2の流路51-2に送出されるように構成される。したがって分岐部56は、弁装置の機能を有している。なお分岐部56を電動弁で構成してもよく、第1の送出部56Bおよび第2の送出部56Cは、どちらか一方のみが開放/閉鎖されるように構成してもよく、両方同時に開放/閉鎖されるように構成してもよい。
【0022】
噴出部57は、第1の流路51-1から流入する水を便器1のボウル部2に放出し、ボウル部2の内側表面である内壁に水を付着させて便器洗浄時の汚れ落ちを向上させるものであり、放水口としての機能を有している。本実施形態の噴出部57は、流入する水を霧状のミストMにして噴出させる霧化機能を有しており、水を霧化させることでボウル部2の内壁の広範囲に噴出部57からのミストMを付着させることができるようにしている。なお本実施形態では噴出部57が固定式であるが、噴出部57を首振り式にしてさらに広範囲に水を噴霧できるように構成してもよい。
【0023】
加熱ユニット58は、ノズル組立59に送られる水を加熱して水温を上昇させるものである。本実施形態では加熱ユニット58がヒータ58a(
図13参照)を有しており、水が加熱ユニット58内を通過する間にヒータ58aが当該水を加熱して、瞬間的に水温を上昇させるように構成されている。
【0024】
図5は、本実施形態のノズル組立59の概略断面図である。同図を参照してノズル組立59の構成を説明すると、ノズル組立59は、ノズル本体部62、給水シリンダ63、ノズルモータ64、給水シリンダモータ65、ノズルホルダ67などを備えている。ノズル本体部62は、ノズル組立59の本体部を構成するものであり、直線状に延びる筒状に形成されている。ノズル本体部62の径方向の中心部には、当該ノズル本体部62の軸方向に沿って直線状に延びる給水シリンダ格納部62aが設けられる。またノズル本体部62は、水平に対してノズル本体部62の基端部が上、先端側が下になるように角度をつけて斜めになるように構成されており、そのためノズル本体部62は、前後方向に沿って基端部が上、先端側が下になるように角度をつけて往復移動している。
【0025】
ノズル本体部62の先端面は閉塞されている。またノズル本体部62の先端部の周面、この場合は、便座12に載せられるユーザの臀部に対向する上側となる面には吐水部66が設けられている。なお本実施形態では、吐水部66として、おしり洗浄用吐水口66aと、ビデ洗浄吐水口66bの2つ設けられているが、吐水部66として吐出口が2つより多く設けられてもよく、1つだけ設けられてもよい。おしり洗浄用吐水口66aおよびビデ洗浄吐水口66bは、それぞれ給水シリンダ格納部62aの先端部に連通している。
【0026】
図5に示されるように、給水シリンダ63は、給水シリンダ格納部62aよりも径小な筒状に形成されており、当該給水シリンダ格納部62a内において軸方向に沿って前後に往復移動可能に格納されている。また筒状の給水シリンダ63内を水が流れる構成となっており、給水シリンダ63は後述する第3の流路51-3の一部を形成している。給水シリンダ63の先端面は閉塞されている。また、給水シリンダ63の先端部の周面、この場合、便座15に載せられるユーザの臀部に対向する上側となる面には、1つの給水口72が設けられている。
【0027】
ノズルモータ64は、ノズル移動手段の一例であり、ホイール64aを矢印a1方向および矢印a2方向に回転させることにより、ノズル本体部62をノズル組立59の軸方向、すなわち便座装置10の前後方向に沿って往復移動させる。これにより、ノズル組立59の全体が便座装置10の前後方向に沿って矢印A1方向および矢印A2方向に往復移動する。
【0028】
給水シリンダモータ65は、ホイール65aを矢印b1方向および矢印b2方向に回転させることにより、ノズル本体部62の内部において、給水シリンダ63をノズル組立59の軸方向、すなわち便座装置10の前後方向に沿って往復移動させる。これにより、ノズル本体部62の内部において、給水シリンダ63が便座装置10の前後方向に沿って矢印B1方向および矢印B2方向に往復移動する。
【0029】
図5に示されているように、ノズル本体部62の基端部、つまり先端部とは反対側の内部には、給水シリンダ格納部62aよりも径大な移動規制部68が設けられている。この移動規制部68の先端側には先端側タッチセンサ69が設けられており、移動規制部68の基端側には基端側タッチセンサ70が設けられている。一方、給水シリンダ63の基端部には、環状の移動規制用部品71が固定されている。移動規制用部品71は、移動規制部68内に移動可能に収められている。本実施形態では、移動規制部68におけるノズル組立59の軸方向の長さL1が、おしり洗浄用吐水口66aおよびビデ洗浄吐水口66bの中心間の長さL2と略同一に形成されており、
図5に示されるように、給水シリンダ63が最も後ろの位置にあるときに給水シリンダ63の給水口72がおしり洗浄用吐水口66aの場所に位置し、給水シリンダ63が最も前の位置にあるときに給水シリンダ63の給水口72がビデ洗浄吐水口66bの場所に位置するように構成される。
【0030】
ノズルホルダ67は、ノズル本体部62を前後方向に移動可能に保持するものである。
図5に示されるように、ノズルホルダ67は、ノズル本体部62の外周よりも径大な筒状に形成されており、ノズル本体部62がノズルホルダ67の内壁67aに沿って摺動し、往復移動できるように構成される。内壁67aにはノズル洗浄口67bが設けられており、ノズル本体部62の外面に水を噴出可能な構成としている。なお
図6に示されるように、本実施形態ではノズル洗浄口67bがおしり洗浄用吐水口66aおよびビデ洗浄吐水口66bとは対面する位置、
図5の実施形態ではおしり洗浄用吐水口66aおよびビデ洗浄吐水口66bと対向する内壁67aの位置にそれぞれノズル洗浄口67bを設けており、ノズル洗浄口67b間の長さL3は、おしり洗浄用吐水口66aおよびビデ洗浄吐水口66bの中心間の長さL2と略同一に形成されている。そのため、2つのノズル洗浄口67bからの水で、おしり洗浄用吐水口66aやビデ洗浄吐水口66bの周辺に付着する汚れを効率的に落とすことができる構成としている。またノズル本体部62と同様に、ノズルホルダ67も水平に対してノズル本体部62の基端部方向が上、先端部方向が下になるように角度をつけて斜めになるように構成されており、ノズル洗浄口67bから噴出された水は、内壁67aやノズル本体部62の外面を伝ってノズル本体部62の先端部方向に流れて、便器1のボウル部2内に流れ落ちるようになっている。なお、この構成は一例であり、ノズル洗浄口67bの数や配置はこの構成に限定されない。
【0031】
ノズル組立59では、給水シリンダ63内を介して給水口72から吐水部66に通じる第3の流路51-3と、ノズルホルダ67内を介してノズル洗浄口67bに通じる第4の流路51-4とが形成されており、電磁弁95(
図13参照)が、第2の流路51-2を第3の流路51-3と第4の流路51-4とに分岐させている。そのため電磁弁95は、電気信号により、電磁弁95に流入してきた水を第3の流路51-3または第4の流路51-4に選択して送出可能な構成となっている。したがって電磁弁95は、弁装置としての機能を有している。なお電磁弁95を電動弁で構成してもよい。
【0032】
エアポンプ60は給水シリンダ63内に気体を注入して、給水シリンダ63内を流れる水に気泡を含有させるものであり、気体が注入されて当該水が気泡を含有すると給水シリンダ63内の圧力が上がることにより、第3の流路51-3を流れる水の圧力が上がり、おしり洗浄用吐水口66aやビデ洗浄吐水口66bから吐出する水の勢いを増加させることができる。エアポンプ60の吐出口と給水シリンダ63内とは、配管(図示せず)を介して連通しており、この配管は、給水シリンダ63の延伸方向に対して略直角に接続されるように構成される。そのためエアポンプ60の動作時には、給水シリンダ63内の水の流れに対して略直角方向からエアポンプ60からの気体が注入されることとなり、当該水に対して効率的に気体が注入されて当該水が気泡を含有することができる。そのためエアポンプ60は、給水シリンダ63内を流れている微細気泡を含有する水に、さらに気泡を含有させる気泡含有手段としての機能を有している。
【0033】
図7は、本実施形態の微細気泡生成手段54の概略断面図である。同図を参照して説明すると、微細気泡生成手段54は、下流側継手としてのUFB(Ultrafine-Bubble:ウルトラファインバブル)上ケース75と、上流側継手としてのUFB下ケース76と、UFBノズル77と、により概ね構成され、これらのUFB上ケース75、UFB下ケース76およびUFBノズル77の内部には、水が流動する流路51の一部が形成されている。
図6に示されるように本実施形態の微細気泡生成手段54は、流路51の上流からUFB下ケース76、UFBノズル77、UFB上ケース75の順に同軸線上に並べられており、それぞれの部品同士がぴったりと接触して部品間から水が漏れないようにしている。なお本実施形態の微細気泡生成手段54は、UFB上ケース75内に形成された収納部75aに、シール部材78を取付けたUFBノズル77と、シール部材79を取付けたUFB下ケース76とを順に圧入することにより構成しており、UFBノズル77の交換を容易にしている。なお、これは一例であり、UFB下ケース76、UFBノズル77およびUFB上ケース75を一体に形成するように構成してもよい。
【0034】
UFB下ケース76は、流路51の一部となる中空部81を内部に有しており、UFB下ケース76に接続された流路51の配管(図示せず)から中空部81に流入する水を、UFBノズル77に導くものである。UFB下ケース76は、ケース本体76aと、取付部76bとを有している。本実施形態のケース本体76aと、取付部76bは、いずれも円筒形状に形成されて、ケース本体76aから取付部76bが突出するように、取付部76bがケース本体76aに同軸上に設けられる。
【0035】
取付部76bは、流路51のホースなどの配管を微細気泡生成手段54に取付け可能にするものである。この取付部76bの部分に配管の端部が挿入保持されることで、この配管がUFB下ケース76に取付けられる。なお本実施形態の取付部76bの外周面には配管の抜け止め用の鍔部が設けられているが、これは一例であり、取付部76bの軸方向の長さや外径、鍔部の数や形状や位置は、使用される配管の種類や内径、流路51に流入する水の圧力などにより調整され、変更されてもよい。
【0036】
ケース本体76aは、中空部81において取付部76bから流入する水をUFBノズル77の中空部87に導くものである。本実施形態では取付部76bにおける中空部81は円筒状に形成され、ケース本体76aにおける中空部81の出口の直径が、中空部6の入口の直径よりも大きく形成されているが、本発明はこれに限定されず、取付部76bから流入する水を円滑に中空部87に導ければよい。
【0037】
UFB上ケース75は、流路51の一部となる中空部82を内部に有しており、UFBノズル77の中空部87から流入した水を、UFB上ケース75に接続された配管(図示せず)に導くものである。UFB上ケース75は、前述した収納部75aに加えて、ケース本体75bと、取付部75cとを有している。取付部75cは、流路51のホースなどの配管を微細気泡生成手段54に取付け可能にするものであり、取付部76bと同様の機能を有している。またケース本体75bは、中空部82においてUFBノズル77の中空部87から流入する水を取付部75cに導くものである。なお本実施形態の取付部75cの外周面には配管の抜け止め用の鍔部が設けられているが、これは一例であり、取付部75cの軸方向の長さや外径、鍔部の数や形状や位置は、使用される配管の種類や内径、流路51に流入する水の圧力などにより調整され、変更されてもよい。
【0038】
UFBノズル77は、外部の水源から供給された水等の液体がUFBノズル77の内部を流路51の下流方向に向かって通過する際に、その液体中にウルトラファインバブルを含む微細気泡を発生させる。そのためUFBノズル77は、微細気泡発生部としての機能を有する。なお本実施形態のUFBノズル77は一例であり、ウルトラファインバブルに加え、またはこれに替えて、マイクロバブル(ファインバブル)やマイクロナノバブルなどの微細気泡を発生させるものでもよく、ウルトラファインバブル(ナノバブル)を発生させるものでもよい。なお本明細書では、一般的な気泡の直径による分類と合わせて、微細気泡の直径が1μm~100μmの微細気泡をマイクロバブルと称し、微細気泡の直径が数十nm~1μm未満の微細気泡をウルトラファインバブルと称する。
【0039】
マイクロバブルやウルトラファインバブルなどの微細気泡自身はマイナスに帯電しており、そのため微細気泡同士は結合せずに、汚れなどのプラスの帯電物質を吸着する、という機能を有し、このとき当該微細気泡を含有する水などの液体の表面張力が低下するために洗浄効果が向上する。ここで微細気泡がウルトラファインバブルの場合は、臭いもプラスの帯電物質であるため臭いを吸着することができ、脱臭効果が向上する。また微細気泡が汚れなどの固体の表面で崩壊するときに、ごく微少のジェット流が発生するためにさらに洗浄効果が向上する。なお、例えば直径が100nmの微細気泡の気泡内圧力は、計算上は略30atm(30気圧)という高圧になる。また微細気泡は、比表面積が非常に大きくなるため、流動性を持たせることにより界面での化学反応を促進させる、という機能も有している。そして微細気泡は、衝撃波により急激に潰れる自己圧壊によりエネルギーが生じてフリーラジカルやオゾンが生成され、これらのフリーラジカルやオゾンにより、微細気泡を含有する水の中の菌やウイルスを攻撃して殺菌や消毒を実施することができる。この効果は微細気泡の直径が小さいほど効果的であり、例えばオゾンのウルトラファインバブル水が特に効果的である。
【0040】
ウルトラファインバブルは、粒径が細かいため入り組んだ部分まで浸透が可能であり、例えばマイクロバブル等の他の微細気泡では除去しきれない対象物の汚れを除去する洗浄効果を発揮できる。また、ウルトラファインバブルは、粒子径がナノオーダーであり浮力が小さいこと及び疎水性が大きく水に溶けにくいため液体中での滞在時間が長いという性質を有する。
【0041】
図7に示されるように、UFBノズル77は、UFB下ケース76の下流側であって、UFB上ケース75の収納部75aの内部に設けられている。UFBノズル77は、UFB下ケース76とUFB上ケース75との間で挟み込まれた状態で取付けられている。UFBノズル77の外周面と収納部75aの内周面との間には、シール部材78が設けられている。シール部材78は、例えば合成樹脂製のOリングで構成されている。そしてUFBノズル77の外周面と収納部75aの内周面とによってシール部材78が押圧されて、UFBノズル77と収納部75aとが水密状態で接続される。
【0042】
UFBノズル77は、
図7~
図9に示すように、例えば外周面に段差を有する円筒状に形成されている。UFBノズル77は、入口部85、出口部86、中空部87および衝突部88を有している。入口部85及び出口部86は、例えば筒状に形成されている。入口部85は、UFBノズル77の外部から内部に流入する水が通る部分である。UFB下ケース76の中空部81を通過した水は、入口部85を通ってUFBノズル77内に導入される。出口部86は、UFBノズル77の内部から外部に流出する水が通る部分である。出口部86の内径は、入口部の内径より小さい。UFBノズル77内に流入した水は、出口部86からUFB上ケース75の中空部82内に流出し、その後UFB上ケース75の取付部75cに取付けられた配管に流入する。
【0043】
中空部87は、UFBノズル77の内部に設けられており、入口部85と出口部86とを繋いでおり、水などの液体が通過可能に形成されている。中空部87は、絞り部87a及びストレート部87bを含んで構成されている。絞り部87aおよびストレート部87bは、UFBノズル77の内周面における全周に亘って設けられている。絞り部87aは、UFBノズル77の流入側つまり上流側に設けられている。絞り部87aは、入口部85と繋がっており、入口部85と出口部86との間に設けられている。絞り部87aは、入口部85からUFBノズル77の延びる方向の途中部分にかけて中空部87の断面積つまり内径を漸次減少させるように形成されている。本実施形態では、絞り部87aは、中空部87の断面積つまり内径を連続的に徐々に減少するような、いわゆる截頭円錐形のテーパ管状に形成されている。なお絞り部87aは、中空部87の断面積を階段状に徐々に減少させる構成としてもよい。また、絞り部87aは、UFBノズル77と一体に構成されても良く、別体であっても良い。
【0044】
ストレート部87bは、絞り部87aの下流側に設けられている。ストレート部87bは、出口部86と繋がっている。ストレート部87bは、内径が変化しない、すなわち流路43の断面積つまり液体の通過可能な面積が変化しない円筒状、いわゆるストレート管状に形成されている。ストレート部87bの内径は、絞り部87aの最小内径と略同一に設定されており、本実施形態では、ストレート部87bの内径は、例えば略3mmに設定されている。
【0045】
衝突部88は、中空部87の断面積を局所的に縮小することで、中空部87を通過する液体中に微細気泡を発生させるためのものである。中空部87の断面積に対する衝突部88の断面積の占める割合は、25%~45%程度に設定可能に構成される。衝突部88は、
図9に示すように、UFBノズル77の下流側端部付近であって、少なくとも一部がストレート部87bに設けられている。衝突部88は、例えば合成樹脂材料を射出成形して、UFBノズル77と一体に形成されている。なお衝突部88は、UFBノズル77と一体の構成に限らず、別体に構成されても良い。
【0046】
衝突部88は、
図9に示されるように、中空部87を水が流れる方向に沿って中空部87の中心に対し径方向に複数、
図9の場合は3つ、に仕切っており、すなわち中空部87は、衝突部88を通過する際に3つの中空部87dに仕切られるように構成される。衝突部88は、例えば棒状に形成された3本の突出部89で構成され、ストレート部87bの内周面から中空部87内に向かって突出して形成されている。本実施形態では、突出部89は、ストレート部87bの内周面から中空部87の断面における中心方向へ向かって突出している。そして、それぞれの突出部89は、それぞれが先端で繋がって略Y字形状に一体化している。
【0047】
複数の突出部89は、中空部87の断面の周方向に向かって相互に等間隔に離れた状態で配置されている。なお複数の突出部89は、等間隔に離れた構成に限らず、不等間隔に離れた構成であっても良い。また、それぞれの突出部89同士の間に形成される隙間の面積が、微細気泡生成手段54における水の通過可能な最小断面積となる。なお、複数の突出部89は、
図11に示されるように、4つ以上とすることができる。つまり、複数の突出部89によって、中空部87を4つ以上に仕切る構成とすることができる。
図11の例では、複数の突出部89によって、衝突部88は全体として例えば略十字状に形成されている。この場合、中空部87は、衝突部60を通過する際に、4つの中空部87bに仕切られるように構成される。
【0048】
突出部89は、
図12に示すように、上流側壁部89a、拡径部89b、および下流側壁部89cを有している。上流側壁部89aは、突出部89の上流側端部を構成している。上流側壁部89aの長手方向の断面形状は、例えば中空部87内を水が流れる方向とは反対方向つまり上流側に向かって凸となるようにいわゆる砲弾形の曲面状に形成されている。長手方向とは、中空部87内を水が流れる方向に沿う方向を意味する。幅方向とは、中空部87内を水が流れる方向に沿う方向と直交する方向を意味する。
【0049】
上流側壁部89aの長手方向の断面形状は、上流側に向かって尖った三角状としても良い。拡径部89bは、上流側壁部89aに繋がっており、上流側から下流側に向かって略直線的に拡径するように形成されている。拡径部89bは、直線的に拡径する構成に限らず、湾曲的に拡径する構成であっても良い。つまり、突出部89の断面形状は、中空部87内を水が流れる方向に対して上流側の断面形状が下流側の断面形状よりも小さい。そして、突出部89の長手方向の断面形状は、中空部87内を水が流れる方向に対して滑らかに変化している。
【0050】
下流側壁部89cは、拡径部89bに繋がっており、突出部89の下流側端部を構成している。下流側壁部89cの長手方向の断面形状は、例えば略矩形状に形成されている。下流側壁部89cの下流側の端面は、UFBノズル77の下流側の端面と同一平面上に位置している。つまり、突出部89の下流側の面は、UFBノズル77の下流側の面と面一に構成されている。また、突出部89における下流側端部の形状に限ってみると、下流側壁部89cの長手方向の寸法は、下流側壁部89cの幅方向の寸法よりも小さい。
【0051】
ここで、突出部89の断面において、突出部89の長手方向の寸法L4を幅方向の寸法Wよりも小さくした場合、中空部87を流れる水に対して拡径部89bが対向する面の角度が大きくなり、中空部87内を流れる水に対する突出部89の流路抵抗が増加してしまうため、流量低下を招くおそれがある。そこで、本実施形態では、突出部89は、
図12に示されるように、突出部89の断面において、長手方向の寸法L4が幅方向の寸法Wよりも大きくなるように構成されており、中空部87内を流れる水に対する突出部89の流路抵抗を抑えて流量を増加させている。本実施形態では、突出部89の長手方向の寸法L4と幅方向の寸法Wとの比率は、例えば約3:2に設定されており、突出部89の長手方向の寸法L4は、例えば0.7mm~1.1mm程度に設定され、突出部89の幅方向の寸法Wは、例えば0.5mm~0.7mm程度に設定されているが、これは一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0052】
UFBノズル77の上流側に水が流入すると、内径を漸次減少させるように形成された絞り部87aにおいて流路断面積が絞られることによって、流体力学のいわゆるベルヌーイの定理に基づき流速が高められるとともに減圧によるキャビテーションが発生する。そして、その高速流が衝突部88に衝突することで作用するせん断力と衝突部88の下流側端面付近に形成される例えば-1.0MPa以下となる負圧領域で発生する負圧とによって細分化された微細気泡が生成される。これにより、UFBノズル77は、UFBノズル77内を通過する水の中に溶存している空気を微細気泡として多量に析出させて、UFBノズル77を通過する以前よりも微細気泡を多量に含んだ微細気泡水を供給することができる。
【0053】
次に、便座装置10の電気的構成について、
図13を参照して説明する。91は、便座装置10の各部を電気的に制御する制御部であり、マイクロコンピュータ(マイコン)や、各種の情報やデータを記憶する読み出しおよび書き込みが可能なメモリなどの記憶手段92や、時刻や時間に関する計時を行なう計時手段93や、各部の駆動素子などを含んで構成される。制御部91の入力ポートには、本体操作部21と、着座センサ19と、ノズル組立59の先端側タッチセンサ69および基端側タッチセンサ70と、便座蓋開閉検知手段94と、がそれぞれ電気的に接続される。また制御部91の出力ポートには、止水機構52と、分岐部56と、加熱ユニット58のヒータ58aと、エアポンプ60と、ノズル組立59のノズルモータ64、給水シリンダモータ65および電磁弁95と、がそれぞれ電気的に接続される。
【0054】
便座蓋開閉検知手段94は便座蓋13の開閉を検知するものであり、便座蓋13に設けられ、便座12に回動可能に取り付けられる軸近傍に設けられる。ここで便座蓋開閉検知手段94は、光学式、機械式、磁石式など、どのような検知方式のものでもよく、便座蓋13の開閉に応じた検知信号を出力できればよい。
【0055】
制御部91は、着座センサ19や便座蓋開閉検知手段94や先端側タッチセンサ69や基端側タッチセンサ70からの各検知信号と、本体操作部21からの操作信号と、を受けて、計時手段93からの計時に基づく所定のタイミングで、止水機構52と、分岐部56と、ヒータ58aと、エアポンプ60と、ノズルモータ64と、給水シリンダモータ65と、電磁弁95と、に制御信号を各々出力する機能を有する。こうした機能は、記憶媒体としての記憶手段92に記憶されたプログラムや設定を制御部91が読み取ることで実現している。
【0056】
図14は、本実施形態の便座ユニット100において水が流れる主な経路を示す流水経路図である。同図を参照しつつ、特に便座装置10内の水の経路である流路51に関する便座装置10の作用を詳しく説明する。
【0057】
図14では、予め、止水栓WVから分岐金具33および給水ホース32を介して本体給水口31まで水が供給された状態が示されている。先ず便座蓋13が閉じられた状態における便座装置10の動作を説明すると、制御部91は、記憶手段92に記憶された設定と、計時手段93の計時信号とにより、前回ミストMを噴出してから噴出部57から水を噴出していない時間が、例えば1時間など所定の時間が経過してインターバルがあったと判定すると、第1の送出部56Bを開放するように分岐部56を制御し、また流路51への水の流入を開始させるように止水機構52を制御する。
【0058】
流路51に流入した水は止水機構52を通って減圧機構53に流れ込み、減圧機構53を通り抜ける間に、水の圧力が所定の圧力に低下し、当該所定の圧力で安定する。そして、所定の圧力で流れる水が微細気泡生成手段54の取付部76bから中空部81に流入する。
【0059】
微細気泡生成手段54内に流入した水は、UFB下ケース76のケース本体76aを介してUFBノズル77の中空部87に流れ込む。UFBノズル77の中空部87の上流側に水が流入すると、内径を漸次減少させるように形成された絞り部87aにおいて流路断面積が絞られることにより、流体力学のいわゆるベルヌーイの定理に基づき水の流速が高められるとともに水の周囲が減圧することによるキャビテーションが発生する。そして、当該水の高速流が衝突部88に衝突することにより作用するせん断力と、衝突部88の下流側端面付近に形成される、例えば-1.0MPa以下となる負圧領域で発生する負圧とにより、この水に含有される気体が細分化されて微細気泡が生成される。このことにより、UFBノズル77は、当該UFBノズル77内を通過する水の中に溶存している空気を微細気泡として多量に析出させ、UFBノズル77を通過する以前よりも微細気泡を多量に含んだ水を供給している。なお本実施形態では、例えば水圧が0.15MPaの水がUFBノズル77に流入した場合、UFBノズル77を通過した水にUFBを105/ml以上含有させるように構成されている。
【0060】
UFBノズル77からUFB上ケース75の中空部82に流入した水は、ケース本体75bを介して取付部75cから流出し、流入部55Aから切替バルブ55内に流れる。ここで切替バルブ55内の水の圧力が所定の値以下の場合は、流入した水が送出部55Bから流出して分岐部56に流れ込む。その一方で、例えば切替バルブ55と分岐部56の間の流路51に詰まりが発生するなど、切替バルブ55内の水の圧力が所定の値を超えている場合、オーバーフロー排水弁が開放されて、切替バルブ55に流れ込んだ水や気体の一部がオーバーフロー排水部55Cから排水管55Dを介して排水孔16Aに流れ込み、便器1のボウル部2内に排出される。
【0061】
分岐部56の流入部56Aから分岐部本体56Dに流入した水は、開放された第1の送出部56Bを通って第1の流路51-1に流れ込む。その後、第1の流路51-1を通って噴出部57に流入した水は、噴出部57で霧状のミストMにされて、便器1のボウル部2に噴出される。このようにして、微細気泡を含有した水をボウル部2に放出することで、ボウル部2の内壁を濡らして汚れを当該内壁に付着しにくくすることができ、また微細気泡を含有した水は洗浄効果が向上し、殺菌や消毒を実施することができるため、ボウル部2の内壁を清浄に保つことができる。
【0062】
その後、制御部91は、記憶手段92に記憶された設定と、計時手段93の計時信号とにより、例えば1分間など所定時間、流路51に水を流入させたと判定すると、流路51への水の流入を停止させるように止水機構52を制御し、また第1の送出部56Bを閉鎖するように分岐部56を制御する。本体給水口31から流路51に水が流入しなくなると、流路51内を水が流れなくなり、噴出部57からのミストMの噴出も停止する。このように本実施形態では、記憶手段92に記憶された設定に基づいて、所定の期間ごとに所定回数、噴出部57からミストMがボウル部2に所定時間噴出される。なお、これらのミストMの噴出におけるインターバルの設定や、所定回数の設定や、ミストMを噴出させる所定時間の設定などの噴出部57からのミストMの噴出方法を、例えば本体操作部21によりユーザが設定できるように構成してもよい。
【0063】
また制御部91は、記憶手段92に記憶された設定と、計時手段93の計時信号とにより、例えば1時間など所定の期間にノズル洗浄口67bから水を噴出していないと判定すると、第2の送出部56Cを開放するように分岐部56を制御し、第4の流路51-4が選択されるように電磁弁95を制御し、そして流路51への水の流入を開始させるように止水機構52を制御する。
【0064】
流路51に流入した水は、止水機構52、減圧機構53、微細気泡生成手段54、切替バルブ55を順に通って、分岐部56の流入部56Aから分岐部本体56Dに流れ込み、開放された第2の送出部56Cを通って第2の流路51-2に流出する。そして、この水が加熱ユニット58内を通り抜けるが、ヒータ58aがOFFであり通電されていないため、このときに水は加熱されない。加熱ユニット58内を通り抜けた水は、第2の流路51-2に沿ってノズル組立59に流入する。
【0065】
ノズル組立59の電磁弁95に流入した水は、選択された第4の流路51-4に流れ込み、第4の流路51-4を通ってノズル洗浄口67bに流入した水は、ノズル洗浄口67bからおしり洗浄用吐水口66aおよびビデ洗浄吐水口66bに向けて噴出され、内壁67aやノズル本体部62の外面を伝ってノズル本体部62の先端部方向に流れて、便器1のボウル部2内に流れ落ちる。このようにして、微細気泡を含有した水をおしり洗浄用吐水口66aおよびビデ洗浄吐水口66bに噴出することで、おしり洗浄用吐水口66aやビデ洗浄吐水口66bの周辺に付着する汚れを効率的に落としている。なお、このときにノズル本体部62を前後方向に移動させ、微細気泡を含有した水をノズル本体部62の外面に噴出することでノズル本体部62の外面の広範の汚れを落とすように構成してもよい。
【0066】
その後、制御部91は、記憶手段92に記憶された設定と、計時手段93の計時信号とにより、例えば1分間など所定時間、流路51に水を流入させたと判定すると、流路51への水の流入を停止させるように止水機構52を制御し、また第2の送出部56Cを閉鎖するように分岐部56を制御する。本体給水口31から流路51に水が流入しなくなると、流路51内を水が流れなくなり、ノズル洗浄口67bからの水の噴出も停止する。このように本実施形態では、記憶手段92に記憶された設定に基づいて、所定の期間ごとに所定回数、ノズル洗浄口67bから水がおしり洗浄用吐水口66aおよびビデ洗浄吐水口66bに所定時間噴出される。なお、これらの水の噴出における所定の期間ごとの所定回数の設定や、ノズル洗浄口67bからの水を噴出させる所定時間の設定を、例えば本体操作部21によりユーザが設定できるように構成してもよい。
【0067】
次に便座蓋13が開かれた状態における便座装置10の動作を説明すると、制御部91は、便座蓋開閉検知手段94の検知信号により、便座蓋13が閉状態から開状態になったと判定すると、第1の送出部56Bを開放するように分岐部56を制御し、また流路51への水の流入を開始させるように止水機構52を制御する。流路51に流入した水は、前述のように止水機構52、減圧機構53、微細気泡生成手段54、切替バルブ55、分岐部56を順に通過し、第1の流路51-1を通って噴出部57に流入して、噴出部57で霧状のミストMにされ、便器1のボウル部2に噴出される。このようにして、微細気泡を含有した水を予めボウル部2に放出してボウル部2の内壁を濡らし、汚れを当該内壁に付着しにくくしている。
【0068】
その後、制御部91は、記憶手段92に記憶された設定と、計時手段93の計時信号とにより、例えば1分間など所定時間、流路51に水を流入させたと判定すると、流路51への水の流入を停止させるように止水機構52を制御し、また第1の送出部56Bを閉鎖するように分岐部56を制御する。本体給水口31から流路51に水が流入しなくなると、流路51内を水が流れなくなり、噴出部57からのミストMの噴出も停止する。
【0069】
ここでユーザが便座12に着座すると、便座脚部18が便器1に当接して押し込まれ、着座スイッチ19がONになる。制御部91は、ONになった着座スイッチ19からの信号を受け取ると、加熱ユニット58のヒータ58aを通電させるように制御する。
【0070】
そしてユーザが、例えば本体操作部21の「おしりボタン」を選択操作すると、本体操作部21からの操作信号が制御部91に送信される。制御部91は、当該操作信号を受け取ると、ノズル本体部62が設定された位置まで前進するようにノズルモータ64を駆動制御し、また給水シリンダ63が後退位置になり基端側タッチセンサ70がONになるまで後退するように給水シリンダモータ65を駆動制御する。そして制御部91は、第2の送出部56Cを開放するように分岐部56を制御し、第3の流路51-3が選択されるように電磁弁95を制御する。その後、制御部91は、ノズル本体部62が設定された位置まで前進し、また基端側タッチセンサ70の検知信号により給水シリンダ63が後退位置まで後退したと判定すると、流路51への水の流入を開始させるように止水機構52を制御し、またエアポンプ60を駆動させるように制御する。
【0071】
流路51に流入した水は、止水機構52、減圧機構53、微細気泡生成手段54、切替バルブ55を順に通って、分岐部56の流入部56Aから分岐部本体56Dに流れ込み、開放された第2の送出部56Cを通って第2の流路51-2に流出する。そして、この水が加熱ユニット58流入すると、ヒータ58aが通電されておりONであるため、水が加熱ユニット58内を通過する間にヒータ58aが当該水を加熱して、瞬間的に水温を上昇させる。なおヒータ58aの出力の設定を、例えば本体操作部21によりユーザが設定できるように構成し、ヒータ58aによる加熱後の水温の調整をできるように構成してもよい。加熱ユニット58内を通り抜けた水は、第2の流路51-2に沿ってノズル組立59に流入する。
【0072】
ノズル組立59の電磁弁95に流入した水は、選択された第3の流路51-3に流れ込み、給水シリンダ63に流入する。ここで、おしり洗浄用吐水口66aから吐出する水の勢いが増加されるように設定されている場合は、エアポンプ60から空気などの気体が給水シリンダ63内に吐出され、当該気体が給水シリンダ63内を流れる水に注入されて当該水が気泡をさらに含有し、水圧が増加することで水の勢いが増加する。このようにして、吐水部66から吐出する水の勢いを調整することができる。なお、この水の勢いは、制御部91がエアポンプ60を制御することにより調整されるが、当該水の勢いの設定を、例えば本体操作部21によりユーザが設定できるように構成してもよい。また制御部91がエアポンプ60のONとOFFとを短い周期で繰り返すように制御し、空気が注入されずに水のみのソフトな勢いの水流によるソフトな当たりの吐水と、空気が注入された水の勢いが増加した水流による吐水とを短い周期で自動的に繰り返すリズム洗浄を実施するように構成してもよい。
【0073】
また、給水シリンダ63が後退位置であり、給水シリンダ63の給水口72の位置が吐水部66のおしり洗浄用吐水口66aの位置にあるため、給水シリンダ63を通過した水が給水口72を介しておしり洗浄用吐水口66aから吐水する。
【0074】
その後、制御部91は、記憶手段92に記憶された設定と、計時手段93の計時信号とにより、所定時間、流路51に水を流入させたと判定すると、エアポンプ60をOFFするように制御し、流路51への水の流入を停止させるように止水機構52を制御し、また第2の送出部56Cを閉鎖するように分岐部56を制御する。本体給水口31から流路51に水が流入しなくなると、流路51内を水が流れなくなり、おしり洗浄用吐水口66aからの吐水も停止する。そして制御部91は、ノズル本体部62の先端がノズルホルダ67近傍の位置である収納位置まで後退するようにノズルモータ64を駆動制御する。
【0075】
またユーザが、例えば本体操作部21の「ビデボタン」を選択操作すると、本体操作部21からの操作信号が制御部91に送信される。制御部91は、当該操作信号を受け取ると、ノズル本体部62が設定された位置まで前進するようにノズルモータ64を駆動制御し、また給水シリンダ63が前進位置になり先端側タッチセンサ69がONになるまで前進するように給水シリンダモータ65を駆動制御する。そして制御部91は、第2の送出部56Cを開放するように分岐部56を制御し、第3の流路51-3が選択されるように電磁弁95を制御する。その後、制御部91は、ノズル本体部62が設定された位置まで前進し、また先端側タッチセンサ69の検知信号により給水シリンダ63が前進位置まで前進したと判定すると、流路51への水の流入を開始させるように止水機構52を制御する。
【0076】
流路51に流入した水は、止水機構52、減圧機構53、微細気泡生成手段54、切替バルブ55を順に通って、分岐部56の流入部56Aから分岐部本体56Dに流れ込み、開放された第2の送出部56Cを通って第2の流路51-2に流出する。そして、この水が加熱ユニット58流入すると、ヒータ58aが通電されておりONであるため、水が加熱ユニット58内を通過する間にヒータ58aが当該水を加熱して、瞬間的に水温を上昇させる。加熱ユニット58内を通り抜けた水は、第2の流路51-2に沿ってノズル組立59に流入する。
【0077】
ノズル組立59の電磁弁95に流入した水は、選択された第3の流路51-3に流れ込み、給水シリンダ63に流入する。ここで、ビデ洗浄吐水口66bから吐出する水の勢いが増加されるように設定されている場合は、エアポンプ60から空気などの気体が給水シリンダ63内に吐出され、当該気体が給水シリンダ63内を流れる水に注入されて当該水が気泡をさらに含有し、水圧が増加することで水の勢いが増加する。なお、この水の勢いは、制御部91がエアポンプ60を制御することにより調整されるが、当該水の勢いの設定を、例えば本体操作部21によりユーザが設定できるように構成してもよい。また制御部91がエアポンプ60のONとOFFとを短い周期で繰り返すように制御し、空気が注入されずに水のみのソフトな勢いの水流によるソフトな当たりの吐水と、空気が注入された水の勢いが増加した水流による吐水とを短い周期で自動的に繰り返すリズム洗浄を実施するように構成してもよい。
【0078】
また、給水シリンダ63が前進位置であり、給水シリンダ63の給水口72の位置が吐水部66のビデ洗浄吐水口66bの位置にあるため、給水シリンダ63を通過した水が給水口72を介してビデ洗浄吐水口66bから吐水する。
【0079】
その後、制御部91は、記憶手段92に記憶された設定と、計時手段93の計時信号とにより、所定時間、流路51に水を流入させたと判定すると、エアポンプ60をOFFするように制御し、流路51への水の流入を停止させるように止水機構52を制御し、また第2の送出部56Cを閉鎖するように分岐部56を制御する。本体給水口31から流路51に水が流入しなくなると、流路51内を水が流れなくなり、ビデ洗浄吐水口66bからの吐水も停止する。そして制御部91は、ノズル本体部62の先端がノズルホルダ67近傍の位置である収納位置まで後退するようにノズルモータ64を駆動制御する。
【0080】
ここで本願発明者らは、(1)第1の実施形態の便座装置10のように微細気泡生成手段54を備えた構成の便座装置、(2)微細気泡生成手段54を備えていない構成の便座装置で比較実験を行なった。
【0081】
(比較実験1)
樹脂のプレート上に、カルキ成分を含んだ水を散布させた後に乾燥させて、疑似的に樹脂のプレートにカルキ成分を付着させた。このカルキ成分を付着させた樹脂のプレートを、(1)便座装置10の噴出部57から噴出させたミストMによる洗浄と、(2)微細気泡生成手段54を備えていない構成の便座装置の噴出部57から噴出させたミストMによる洗浄と、を実施し、それぞれの樹脂のプレートを電子プローブマイクロアナライザー (Electron Probe Micro Analyzer:EPMA)により計測した。
【0082】
図15は、EPMAの計測結果を示している。
図15に示される通り、(2)水道水によるミストMによる洗浄では樹脂のプレートにカルキ成分が少し残存している一方で、(1)微細気泡を含有した水のミストMによる洗浄では樹脂のプレートにカルキ成分が残存していないことが理解されよう。そのため微細気泡を含有した水のミストMでは洗浄効果が向上し、本実施形態の便座装置10の優位性を確認できた。
【0083】
(比較実験2)
ノズル洗浄口67から、(1)微細気泡を含有した水、および(2)水道水を連続流水させてノズル本体部62の洗浄を実施し、洗浄後にどれくらい除菌されたかを計測した。
図16は、このときの洗浄水量と除菌率を示す数値である除菌数値との関係をグラフにしたものである。
図16に示される通り、(1)による洗浄、(2)による洗浄のいずれも、200ml以上で除菌効果を有するとの結果になった。また(2)による洗浄による洗浄では、2分間洗浄後に99%以上菌を抑制する一方で、(1)による洗浄による洗浄では、1分間洗浄後に99%以上菌を抑制するという結果になった。したがって、(1)による洗浄、(2)による洗浄のいずれも一定以上の効果がある一方で、(1)による洗浄のほうが(2)による洗浄よりもより高い効果が得られることが分かり、本実施形態の便座装置10の優位性を確認できた。
【0084】
以上のように、本実施形態の便座装置10では、ユーザの局部に向けて水を吐出するための吐水口としての吐水部66が設けられたノズルとしてのノズル組立59と、便器1のボウル部2内部に水を放出するための放水口としての噴出部57と、通過する水に微細気泡を生成する微細気泡生成手段54のUFBノズル77と、を備え、ノズル組立59および噴出部57に微細気泡を含有する水が供給される構成としている。
【0085】
このように構成することにより、ユーザは本実施形態の便座装置10を使用することにより、従来のように微細気泡生成手段を洗浄水供給配管に取り付けるための特別な配管工事などを必要とすることなく、簡易に微細気泡生成手段を備えた便座装置を使用することができる。また、微細気泡を含有した水を、ボウル部2を洗浄する水だけでなく、ユーザの局部を洗浄する水や当該水を吐水する吐水部66が設けられたノズル組立59を洗浄する水にも使用することができ、便座装置10において使用する複数用途の水に微細気泡を含有させることができる。
【0086】
また本実施形態の便座装置10では、便座装置10への給水口としての本体給水口31からノズル組立59および噴出部57に水を供給するための流路51が形成され、流路51を、噴出部57に水を供給する第1の流路51-1と、ノズル組立59に水を供給する第2の流路51-2とに分岐させる分岐部56を備え、微細気泡生成手段54のUFBノズル77は、流路51において分岐部56よりも上流側に設けられる構成としている。そのため、UFBノズル77で微細気泡を生成された水を、第1の流路51-1および第2の流路51-2に流すことができ、第1の流路51-1および第2の流路51-2にそれぞれUFBノズル77を設けなくても、ノズル組立59および噴出部57において使用する水の両方に微細気泡を含有させることができる。
【0087】
また本実施形態の便座装置10では、流路51への水の流入を開始または停止させる止水手段としての止水機構52、または、止水機構52および流入する水の流れを減圧させることにより流入する水の圧力を調整する調整手段としての減圧機構53、を有する第1の弁装置としての導水ユニット110が、分岐部56よりも流路51の上流側に設けられ、微細気泡生成手段54のUFBノズル77は、導水ユニット110よりも流路51の下流側に設けられる構成としている。そのため、制御部91からの電気信号により水の流入の開始/停止を可能にし、また水圧を安定させた水を微細気泡生成手段54のUFBノズル77に供給することができる。
【0088】
また本実施形態のノズル組立59では、吐水部66に水を供給する第3の流路51-3と、ノズル組立59のノズル本体部62を洗浄する水が流れる第4の流路51-4と、が形成される構成としており、そのため、ノズル本体部62を洗浄する水を噴出するノズル洗浄口67bにおいて使用する水に微細気泡を含有させることができる。
【0089】
また本実施形態の分岐部56が第2の弁装置で構成されて、第1の流路51-1または第2の流路51-2に水を選択して供給可能である構成としており、制御部91からの電気信号により第1の流路51-1または第2の流路51-2に水を選択して供給することができる。
【0090】
また本実施形態の第2の流路51-2には、水を加熱する加熱手段としての加熱ユニット58が設けられる構成としており、ユーザの局部を洗浄する水を加熱して、瞬間的に水温を上昇させることができる。
【0091】
また本実施形態の噴出部57から放出される水が霧状のミストMである構成としており、微細気泡を含有させた水を霧化させることでボウル部2の内壁の広範囲に噴出部57からのミストMを付着させることができる。
【0092】
また本実施形態の便座装置10では、噴出部57からの水としてのミストMの放出方法としての噴出方法を設定可能であるように構成してもよく、ユーザがミストMの噴出方法の設定を任意に変更することができる。
【0093】
図17および
図18は、第1の実施形態の変形例を示している。本変形例では、導水ユニット110’に、微細気泡生成手段54’が設けられる構成としている。
【0094】
図17を参照して説明をすると、導水ユニット110’は、本体給水口31、止水機構52、減圧機構53および微細気泡生成手段54’が一体に形成されてユニット化されたものであり、導水ユニット110の減圧機構53の水の吐出部がUFB下ケース76の代わりに収納部75aに圧入され、流路51の上流から減圧機構53の吐出部、UFBノズル77、UFB上ケース75の順に同軸線上に並べられており、それぞれの部品同士がぴったりと接触して部品間から水が漏れないようにしている。
【0095】
このように構成することでも、減圧機構53の吐出部からUFBノズル77の中空部87に水を流入させ、UFBノズル77が、当該UFBノズル77内を通過する水の中に溶存している空気を微細気泡として多量に析出させ、UFBノズル77を通過する以前よりも微細気泡を多量に含んだ水を供給し、UFB上ケース75の中空部82に流入した当該水をケース本体75bを介して取付部75cから流出させることができる。また本体給水口31、止水機構52、減圧機構53および微細気泡生成手段54’が一体に形成されてユニット化されることにより、止水機構52、減圧機構53および微細気泡生成手段54’を小型化することができ、また本体給水口31、止水機構52、減圧機構53および微細気泡生成手段54’の本体11への取付けや交換を容易にすることができる。
このように構成することで、減圧前の高い水圧の水をUFBノズル77に供給することができ、当該水がUFBノズル77を通過することで、UFBノズル77に与える水圧負荷をより大きくすることができ、水の中に溶存している空気を微細気泡としてより多量に析出させて微細気泡の濃度を増加させることができる。またケーシング15内ではなく本体給水口31’にUFBノズル77が設けられるため、ケーシング15内の構成を簡素化してケーシング15を小型化することができる。
以上のように、本実施形態の便座装置10’では、流路51への水の流入を開始または停止させる止水手段としての止水機構52、または、止水機構52および流入する水の流れを減圧させることにより流入する水の圧力を調整する調整手段としての減圧機構53、を有する第1の弁装置としての導水ユニット110”が、分岐部56よりも流路51の上流側に設けられ、微細気泡生成手段としての本体給水口31’のUFBノズル77は、導水ユニット110”の止水機構52および減圧機構53よりも流路51の上流側に設けられる構成としている。そのため減圧前の高い水圧の水をUFBノズル77に供給することができ、水の中に溶存している空気を微細気泡としてより多量に析出させて微細気泡の濃度を増加させることができる。