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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129789
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240919BHJP
   H01G 4/228 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
H01G4/30 201H
H01G4/228 W
H01G4/228 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023221356
(22)【出願日】2023-12-27
(31)【優先権主張番号】10-2023-0032770
(32)【優先日】2023-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ベオムジョーン
【テーマコード(参考)】
5E082
【Fターム(参考)】
5E082AA02
5E082AB03
5E082BC32
5E082BC33
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082GG08
5E082GG10
5E082GG11
5E082JJ03
5E082JJ12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フレーム端子と実装ソルダとの間で発生する応力を低減させてソルダクラックを防止し、高い電気伝導度および高い端子強度特性を同時に改善できる電子部品を提供する。
【解決手段】キャパシタボディ110及び外部電極131、132を含む積層型キャパシタと、積層型キャパシタを基板210に実装させるフレーム端子310、320と、基板とフレーム端子との間に配置される導電性接着部510~540と、を含む電子部品であって、フレーム端子は、第1材料を含む基材部310b、320bと、第2材料を含む表面部310c、320cと、を含み、フレーム端子の熱膨張係数は、キャパシタボディの熱膨張係数より大きく、導電性接着部の熱膨張係数より小さい。フレーム端子の熱膨張係数は、14ppm/K以上であり、21ppm/K未満であってよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャパシタボディおよび前記キャパシタボディの一面に配置される外部電極を含む積層型キャパシタと、
前記外部電極の外側に配置され、前記積層型キャパシタを基板に実装させるフレーム端子と、
前記基板と前記フレーム端子との間に配置される導電性接着部とを含み、
前記フレーム端子は、第1材料を含む基材部と、前記基材部の表面に配置され、前記第1材料と異なる第2材料を含む表面部とを含み、
前記フレーム端子の熱膨張係数は、前記キャパシタボディの熱膨張係数より大きく、前記導電性接着部の熱膨張係数より小さい、
電子部品。
【請求項2】
前記フレーム端子の熱膨張係数は、14ppm/K以上であり、21ppm/K未満である、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記キャパシタボディの熱膨張係数は、9ppm/K~12ppm/Kである、請求項1に記載の電子部品。
【請求項4】
前記導電性接着部の熱膨張係数は、19ppm/K以上であり、25ppm/K未満である、請求項1に記載の電子部品。
【請求項5】
前記フレーム端子の電気伝導度は、前記導電性接着部の電気伝導度より大きい、請求項1に記載の電子部品。
【請求項6】
前記フレーム端子の電気伝導度は、20MS/m超過である、請求項5に記載の電子部品。
【請求項7】
前記導電性接着部の電気伝導度は、10MS/m以下である、請求項5に記載の電子部品。
【請求項8】
前記フレーム端子のヤング率(Young's modulus)は、118GPa~150GPaである、請求項1に記載の電子部品。
【請求項9】
前記フレーム端子は、シート形状の前記基材部の表面に薄膜形状の前記表面部が被覆されたクラッド(clad)である、請求項1に記載の電子部品。
【請求項10】
前記第1材料は、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、銅(Cu)、銀(Ag)、クロム(Cr)、またはこれらの合金を含む、請求項1に記載の電子部品。
【請求項11】
前記第1材料は、42アロイ(42alloy)、インバー(invar)、またはステンレス304(SUS304)を含む、請求項10に記載の電子部品。
【請求項12】
前記第2材料は、銅(Cu)、金(Au)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の電子部品。
【請求項13】
前記導電性接着部は、ソルダ(solder)または導電性樹脂ペーストを含む、請求項1に記載の電子部品。
【請求項14】
前記ソルダは、スズ(Sn)と、銀(Ag)、銅(Cu)、鉛(Pb)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、またはこれらの組み合わせとの合金を含む、請求項13に記載の電子部品。
【請求項15】
前記ソルダは、スズ(Sn)-銀(Ag)-銅(Cu)、スズ(Sn)-銀(Ag)、またはスズ(Sn)-鉛(Pb)を含む、請求項14に記載の電子部品。
【請求項16】
前記基材部と前記表面部との平均厚さ比率は、5:5~9:1である、請求項1に記載の電子部品。
【請求項17】
前記フレーム端子は、前記基材部が前記積層型キャパシタに対向する一面に配置される内側表面部と、前記内側表面部と反対面に配置する外側表面部とを有する、請求項1に記載の電子部品。
【請求項18】
キャパシタボディおよび前記キャパシタボディの一面に配置される外部電極を含む積層型キャパシタと、
前記外部電極の外側に配置されるフレーム端子と、
前記外部電極と前記フレーム端子との間に配置される導電性接着部とを含み、
前記フレーム端子は、第1材料を含む基材部と、前記基材部の表面に配置され、前記第1材料と異なる第2材料を含む表面部とを含み、
前記フレーム端子の熱膨張係数は、前記キャパシタボディの熱膨張係数より大きく、前記導電性接着部の熱膨張係数より小さい、電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、電子部品に関し、より詳しくは、積層型キャパシタが基板に実装された電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品は、小型化および高容量の実現が可能で様々な電子機器に用いられる。特に、高周波特性と耐熱性が良いというメリットにより、最新IT機器に必須に用いられる。
【0003】
最近は、環境にやさしい自動車および電気自動車の急激な浮上により、自動車内の電力駆動システムが増加しており、このため、自動車に必要な積層型キャパシタのような電子部品の需要が増加している。
【0004】
自動車用部品への使用のためには、高い水準の熱に耐える特性や、または電気的信頼性が要求されるので、電子部品の要求される性能も次第に高度化されている。
【0005】
このため、限られた空間で高容量を実現できるか、または振動および変形に対する耐久性に優れた電子部品に対する要求が増加している。
【0006】
しかし、既存の電子部品は、基板に直接実装するようになっていて、基板から発生する熱や変形が電子部品本体に直接伝達され、信頼性の確保に困難がある。これによって、電子部品の側面に金属フレームを接合して電子部品と基板との間の間隔を確保することによって、熱や変形を金属が吸収して電子部品を保護する方法が提案されている。
【0007】
しかし、金属フレームの接合による導電経路の増加は、電子部品の等価直列抵抗(ESR)の上昇につながり、発熱および性能低下の副効果が発生する。また、金属フレームと基板実装ソルダとの間の熱膨張係数(CTE)の差が過度な場合、高温-低温環境の繰り返しの際、ソルダ接合部でクラック不良が発生しうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の一側面は、フレーム端子による等価直列抵抗の増加が抑制され、高温-低温環境の繰り返しの際、フレーム端子と実装ソルダとの間で発生する応力を低減させてソルダクラックを防止し、高い電気伝導度および高い端子強度特性を同時に改善できる電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一側面による電子部品は、キャパシタボディおよびキャパシタボディの一面に配置される外部電極を含む積層型キャパシタと、外部電極の外側に配置され、積層型キャパシタを基板に実装させるフレーム端子と、基板とフレーム端子との間に配置される導電性接着部とを含む。
【0010】
フレーム端子は、第1材料を含む基材部と、基材部の表面に配置され、第1材料と異なる第2材料を含む表面部とを含む。
【0011】
フレーム端子の熱膨張係数は、キャパシタボディの熱膨張係数より大きく、導電性接着部の熱膨張係数より小さい。
【0012】
フレーム端子の熱膨張係数は、14ppm/K以上であり、21ppm/K未満であってもよい。
【0013】
キャパシタボディの熱膨張係数は、9ppm/K~12ppm/Kであってもよい。
【0014】
導電性接着部の熱膨張係数は、19ppm/K以上であり、25ppm/K未満であってもよい。
【0015】
フレーム端子の電気伝導度は、導電性接着部の電気伝導度より大きい。
【0016】
フレーム端子の電気伝導度は、20MS/m超過であってもよい。
【0017】
導電性接着部の電気伝導度は、10MS/m以下であってもよい。
【0018】
フレーム端子のヤング率(Young's modulus)は、118GPa~150GPaであってもよい。
【0019】
フレーム端子は、シート形状の基材部の表面に薄膜形状の表面部が被覆されたクラッド(clad)であってもよい。
【0020】
クラッドは、第1材料を含む金属板と、第2材料を含む金属板とを重ねた後、圧延して機械的に接合したものであってもよい。
【0021】
第1材料は、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、銅(Cu)、銀(Ag)、クロム(Cr)、またはこれらの合金を含むことができる。
【0022】
第1材料は、42アロイ(42alloy)、インバー(invar)、またはステンレス304(SUS304)を含むことができる。
【0023】
第2材料は、銅(Cu)、金(Au)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0024】
導電性接着部は、ソルダ(solder)または導電性樹脂ペーストを含むことができる。
【0025】
ソルダは、スズ(Sn)と、銀(Ag)、銅(Cu)、鉛(Pb)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、またはこれらの組み合わせとの合金を含むことができる。
【0026】
ソルダは、スズ(Sn)-銀(Ag)-銅(Cu)、スズ(Sn)-銀(Ag)、またはスズ(Sn)-鉛(Pb)を含むことができる。
【0027】
基材部と表面部との平均厚さ比率は、5:5~9:1であってもよい。
【0028】
フレーム端子は、基材部が積層型キャパシタに対向する一面に配置される内側表面部と、内側表面部と反対面に配置する外側表面部とを有することができる。
【0029】
内側表面部、基材部、外側表面部の平均厚さ比率は、0.5:9.0:0.5~4.0:2.0:4.0であってもよい。
【0030】
他の側面による電子部品は、キャパシタボディおよびキャパシタボディの一面に配置される外部電極を含む積層型キャパシタと、外部電極の外側に配置されるフレーム端子と、外部電極とフレーム端子との間に配置される導電性接着部とを含む。
【0031】
フレーム端子は、第1材料を含む基材部と、基材部の表面に配置され、第1材料と異なる第2材料を含む表面部とを含む。
【0032】
フレーム端子の熱膨張係数は、キャパシタボディの熱膨張係数より大きく、導電性接着部の熱膨張係数より小さい。
【発明の効果】
【0033】
一側面による電子部品によれば、フレーム端子による等価直列抵抗の増加が抑制され、高温-低温環境の繰り返しの際、フレーム端子と実装ソルダとの間で発生する応力を低減させてソルダクラックを防止し、高い電気伝導度および高い端子強度特性を同時に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】一側面による電子部品を示す斜視図である。
図2図1のI-I'線に沿った電子部品の断面図である。
図3図1の積層型キャパシタにおける内部電極の積層構造を示す分離斜視図である。
図4図1の積層型キャパシタを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付した図面を参照して、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例を詳しく説明する。図面にて本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。また、添付した図面は本明細書に開示された実施例を容易に理解できるようにするためのものに過ぎず、添付した図面によって本明細書に開示された技術的思想が制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むことが理解されなければならない。
【0036】
第1、第2などのように序数を含む用語は多様な構成要素を説明するのに使用できるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0037】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」、「接続されて」、または「対向して」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されていたり、接続されていたり、または対向していてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいと理解されなければならない。これに対し、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」、「直接接続されて」、または「直接対向して」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないことが理解されなければならない。
【0038】
明細書全体において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないことが理解されなければならない。したがって、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0039】
図1は、一側面による電子部品を示す斜視図であり、図2は、図1のI-I'線に沿った電子部品の断面図であり、図3は、図1の積層型キャパシタにおける内部電極の積層構造を示す分離斜視図であり、図4は、図1の積層型キャパシタを示す斜視図である。
【0040】
本開示を明確に説明するために方向を定義すれば、図面に表示されたL軸、W軸およびT軸は、それぞれキャパシタボディ110の長手方向、幅方向および厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向(T軸方向)は、シート形状の構成要素の広い面(主面)に垂直な方向であってもよく、一例として、誘電体層111が積層される積層方向と同じ概念で使用できる。長手方向(L軸方向)は、シート形状の構成要素の広い面(主面)に並んで延びる方向に厚さ方向(T軸方向)と略垂直な方向になり、一例として、両側に第1および第2外部電極131、132が位置する方向であってもよい。幅方向(W軸方向)は、シート形状の構成要素の広い面(主面)に並んで延びる方向に厚さ方向(T軸方向)および長手方向(L軸方向)に略垂直な方向であってもよく、シート形状の構成要素の長手方向(L軸方向)の長さは、幅方向(W軸方向)の長さよりも長い。
【0041】
図1図4を参照すれば、本側面による電子部品は、積層型キャパシタ100と、第1および第2フレーム端子310、320と、第1~第4導電性接着部510、520、530、540とを含む。
【0042】
積層型キャパシタ100は、キャパシタボディ110と、キャパシタボディ110の長手方向(L軸方向)に対向する両端に配置される第1および第2外部電極131、132とを含む。
【0043】
キャパシタボディ110は、一例として、略六面体形状であってもよい。
【0044】
本側面では、説明の便宜のために、キャパシタボディ110において厚さ方向(T軸方向)に互いに対向する両面を第1および第2面、第1および第2面に連結され長手方向(L軸方向)に互いに対向する両面を第3および第4面、第1および第2面に連結され第3および第4面に連結され幅方向(W軸方向)に互いに対向する両面を第5および第6面と定義する。
【0045】
一例として、下面の第1面が実装方向を向く面になってもよい。また、第1面~第6面は、平らであるが、本実施例がこれに限定されるものではなく、例えば、第1面~第6面は、中央部が凸の曲面であってもよく、各面の境界である角は、ラウンド(round)になっていてもよい。
【0046】
キャパシタボディ110の形状、寸法および誘電体層111の積層数が本実施例の図面に示されたことに限定されるものではない。
【0047】
キャパシタボディ110は、複数の誘電体層111を厚さ方向(T軸方向)に積層した後に焼成したものであって、複数の誘電体層111と、誘電体層111を挟んで厚さ方向(T軸方向)に交互に配置される複数の第1および第2内部電極121、122とを含む。一例として、第1および第2内部電極121、122は、互いに異なる極性を有することができる。
【0048】
この時、キャパシタボディ110の互いに隣接するそれぞれの誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いずには確認が難しい程度に一体化される。
【0049】
また、キャパシタボディ110は、アクティブ領域と、カバー領域112、113とを含むことができる。
【0050】
アクティブ領域は、積層型キャパシタ100の容量形成に寄与する部分である。一例として、アクティブ領域は、厚さ方向(T軸方向)に沿って積層される第1および第2内部電極121、122がオーバーラップ(overlap)した領域であってもよい。
【0051】
カバー領域112、113は、マージン部として、厚さ方向(T軸方向)にアクティブ領域の第1面および第2面側にそれぞれ位置することができる。このようなカバー領域112、113は、単一誘電体層111または2つ以上の誘電体層111がアクティブ領域の上面および下面にそれぞれ積層されたものであってもよい。
【0052】
また、キャパシタボディ110は、側面カバー領域をさらに含むことができる。側面カバー領域は、マージン部として、幅方向(W軸方向)にアクティブ領域の第5および第6面側にそれぞれ位置することができる。このような側面カバー領域は、誘電体グリーンシートの表面に内部電極形成用導電性ペースト層を塗布する時、誘電体グリーンシート表面の一部領域にのみ導電性ペースト層を塗布し、誘電体グリーンシート表面の両側面には、導電性ペースト層を塗布しない誘電体グリーンシートを積層した後、焼成することによって形成される。
【0053】
カバー領域112、113と側面カバー領域は、物理的または化学的ストレスによる第1および第2内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たす。
【0054】
一例として、誘電体層111は、高誘電率のセラミック材料を含むことができる。例えば、セラミック材料は、BaTiO、CaTiO、SrTiO、またはCaZrOなどの成分を含む誘電体セラミックを含むことができる。また、これらの成分に、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの補助成分をさらに含むことができる。例えば、BaTiO系誘電体セラミックに、Ca、Zrなどが一部固溶した(Ba1-xCa)TiO、Ba(Ti1-yCa)O、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)OまたはBa(Ti1-yZr)Oなどを含むことができる。
【0055】
また、誘電体層111には、セラミック粉末と共に、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤および分散剤などがさらに添加される。セラミック添加剤は、例えば、遷移金属酸化物または遷移金属炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)などが使用できる。
【0056】
一例として、誘電体層111の平均厚さは、0.5μm~10μmであってもよい。
【0057】
第1および第2内部電極121、122は、互いに異なる極性を有する電極であって、誘電体層111を挟んで厚さ方向(T軸方向)に沿って互いに対向して交互に配置され、一端がキャパシタボディ110の第3および第4面を介してそれぞれ露出できる。
【0058】
第1および第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁できる。
【0059】
キャパシタボディ110の第3および第4面を介して交互に露出する第1および第2内部電極121、122の端部は、第1および第2外部電極131、132とそれぞれ接続されて電気的に連結可能である。
【0060】
第1および第2内部電極121、122は、導電性金属を含み、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、またはAuなどの金属、またはこれらの合金、例えば、Ag-Pd合金を含むことができる。
【0061】
また、第1および第2内部電極121、122は、誘電体層111に含まれるセラミック材料と同一組成系の誘電体粒子を含むこともできる。
【0062】
第1および第2内部電極121、122は、導電性金属を含む導電性ペーストを用いて形成される。導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができる。
【0063】
一例として、第1および第2内部電極121、122の平均厚さは、0.1μm~2μmであってもよい。
【0064】
第1および第2外部電極131、132は、互いに異なる極性の電圧が提供され、第1および第2内部電極121、122の露出する部分とそれぞれ接続されて電気的に連結可能である。
【0065】
上記の構成により、第1および第2外部電極131、132に所定の電圧を印加すると、互いに対向する第1および第2内部電極121、122の間に電荷が蓄積される。この時、積層型キャパシタ100の静電容量は、アクティブ領域においてT軸方向に沿って互いに重なる第1および第2内部電極121、122のオーバーラップされた面積に比例する。
【0066】
第1外部電極131および第2外部電極132は、互いに異なる極性の電圧が提供され、第1内部電極121および第2内部電極122の露出する部分とそれぞれ接続されて電気的に連結可能である。
【0067】
上記のような構成により、第1外部電極131および第2外部電極132に所定の電圧を印加すると、互いに対向する第1内部電極121および第2内部電極122の間に電荷が蓄積される。この時、積層型キャパシタ100の静電容量は、アクティブ領域においてT軸方向に沿って互いに重なる第1内部電極121および第2内部電極122のオーバーラップされた面積に比例する。
【0068】
第1外部電極131および第2外部電極132は、キャパシタボディ110の第3および第4面にそれぞれ配置されて、第1内部電極121および第2内部電極122に接続される第1および第2接続部1311、1321と、キャパシタボディ110の第3および第4面と、第1および第2面または第5および第6面との出会う角に配置される第1および第2バンド部1312、1322とをそれぞれ含むことができる。
【0069】
第1および第2バンド部1312、1322は、第1および第2接続部1311、1321からキャパシタボディ110の第1および第2面または第5および第6面の一部までそれぞれ延びることができる。第1および第2バンド部1312、1322は、第1外部電極131および第2外部電極132の固着強度を向上させる役割を果たすことができる。
【0070】
一例として、第1外部電極131および第2外部電極132は、それぞれキャパシタボディ110と接触する焼結金属層と、焼結金属層を覆うように配置される導電性樹脂層と、導電性樹脂層を覆うように配置されるメッキ層とを含むことができる。
【0071】
焼結金属層は、導電性金属およびガラスを含むことができる。
【0072】
一例として、焼結金属層は、導電性金属として、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含むことができ、例えば、銅(Cu)は、銅(Cu)合金を含むことができる。導電性金属が銅を含む場合、銅以外の金属は、銅100モル部に対して5モル部以下で含まれる。
【0073】
一例として、焼結金属層は、ガラスとして、酸化物が混合された組成を含むことができ、例えば、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、遷移金属酸化物、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物からなる群より選択された1つ以上であってもよい。遷移金属は、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、銅(Cu)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)からなる群より選択され、アルカリ金属は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)およびカリウム(K)からなる群より選択され、アルカリ土類金属は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびバリウム(Ba)からなる群より選択された1つ以上であってもよい。
【0074】
焼結金属層において導電性金属とガラスの含有量は特に限定されないが、例えば、積層型キャパシタ100の厚さ方向(W軸方向)に垂直な断面(L軸方向およびT軸方向の断面)における導電性金属の平均面積は、焼結金属層の全体面積対比30%~90%、または70%~90%であってもよい。
【0075】
選択的に、導電性樹脂層は、焼結金属層上に形成され、例えば、焼結金属層を完全に覆う形態に形成される。一方、第1外部電極131および第2外部電極132は、焼結金属層を含まなくてもよいし、この場合、導電性樹脂層がキャパシタボディ110と直接接触可能である。
【0076】
導電性樹脂層は、キャパシタボディ110の第1および第2面または第5および第6面に延び、導電性樹脂層がキャパシタボディ110の第1および第2面または第5および第6面に延びて配置された領域(つまり、バンド部1312、1322)の長さは、焼結金属層がキャパシタボディ110の第1面および第2面または第5および第6面に延びて配置された領域(つまり、バンド部1312、1322)の長さより長い。つまり、導電性樹脂層は、焼結金属層上に形成され、焼結金属層を完全に覆う形態に形成される。
【0077】
導電性樹脂層は、樹脂および導電性金属を含む。
【0078】
導電性樹脂層に含まれる樹脂は、接合性および衝撃吸収性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを作れるものであれば特に制限されず、例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、またはポリイミド樹脂を含むことができる。
【0079】
導電性樹脂層に含まれる導電性金属は、第1内部電極121および第2内部電極122または焼結金属層と電気的に連結されるようにする役割を果たす。
【0080】
導電性樹脂層に含まれる導電性金属は、球状、フレーク状、またはこれらの組み合わせの形態を有することができる。つまり、導電性金属は、フレーク状のみからなるか、球状のみからなってもよく、フレーク状と球状とが混合された形態であってもよい。
【0081】
ここで、球状は、完全な球状ではない形態も含むことができ、例えば、長軸と短軸との長さ比率(長軸/短軸)が1.45以下の形態を含むことができる。フレーク状粉末は、平らでかつ細長い形態を有する粉末を意味し、特に制限されるわけではないが、例えば、長軸と短軸との長さ比率(長軸/短軸)が1.95以上であってもよい。
【0082】
第1外部電極131および第2外部電極132は、導電性樹脂層の外側に配置されるメッキ層をさらに含むことができる。
【0083】
メッキ層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタン(Ti)または鉛(Pb)などの単独、またはこれらの合金を含むことができる。一例として、メッキ層は、ニッケル(Ni)メッキ層またはスズ(Sn)メッキ層であってもよく、ニッケル(Ni)メッキ層およびスズ(Sn)メッキ層が順次に積層された形態であってもよく、スズ(Sn)メッキ層、ニッケル(Ni)メッキ層およびスズ(Sn)メッキ層が順次に積層された形態であってもよい。また、メッキ層は、複数のニッケル(Ni)メッキ層および/または複数のスズ(Sn)メッキ層を含むこともできる。
【0084】
メッキ層は、積層型キャパシタ100の基板210との実装性、構造的信頼性、外部に対する耐久度、耐熱性および等価直列抵抗値(Equivalent Series Resistance、ESR)を改善することができる。
【0085】
第1および第2フレーム端子310、320は、第1および第2外部電極131、132の長手方向(L軸方向)の外側にそれぞれ配置される。例えば、積層型キャパシタ100は、第1および第2フレーム端子310、320の間に配置される。
【0086】
第1フレーム端子310は、積層方向(T軸方向)に延びる第1マウント部311と、第1マウント部311の下端から長手方向(L軸方向)に延びる第1実装部312とを含む。
【0087】
第2フレーム端子320は、第1マウント部311に対向し、長手方向(L軸方向)に延びる第2マウント部321と、第2マウント部321の下端から長手方向(L軸方向)に延びる第2実装部322とを含む。
【0088】
このような構造により、第1および第2フレーム端子310、320は、略「L」字状を有することができ、第1および第2フレーム端子310、320の各端部は、長手方向(L軸方向)に互いに対向するように配置される。
【0089】
第1および第2フレーム端子310、320は、第1および第2基材部310b、320bと、第1および第2基材部310b、320bの表面に配置される第1および第2表面部310a、320aとを含む。
【0090】
第1および第2基材部310b、320bは、第1材料を含み、第1および第2表面部310a、320aは、第1材料と異なる第2材料を含む。
【0091】
この時、第1および第2フレーム端子310、320の熱膨張係数は、キャパシタボディ110の熱膨張係数より大きく、第1~第4導電性接着部510、520、530、540の熱膨張係数より小さい。
【0092】
第1および第2フレーム端子310、320の熱膨張係数をキャパシタボディ110の熱膨張係数より大きく、第1~第4導電性接着部510、520、530、540の熱膨張係数に近くすることにより、高温-低温環境の繰り返しの際、第1および第2フレーム端子310、320と第1~第4導電性接着部510、520、530、540との間で発生する応力を低減させてソルダクラックを防止することができる。
【0093】
第1および第2フレーム端子310、320の熱膨張係数は、14ppm/K以上であり、21ppm/K未満、または17ppm/K以上であり、19ppm/K未満であってもよい。第1および第2フレーム端子310、320の熱膨張係数は、横10cm以上、縦5cm以上、厚さ100μm以上の均一な厚さを有するようにサンプルを製造し、熱機械分析器(Thermomechanical Analysis)を用いて、常温(20℃)~300℃の区間で測定できる。第1および第2フレーム端子310、320の熱膨張係数が14ppm/K未満の場合、第1~第4導電性接着部510、520、530、540にクラックの発生が増加し、第1および第2フレーム端子310、320の熱膨張係数が21ppm/K以上の場合、第1および第2フレーム端子310、320と接合されたキャパシタボディ110にクラックの発生が増加しうる。
【0094】
一例として、キャパシタボディ110の熱膨張係数は、9ppm/K~12ppm/Kであってもよい。
【0095】
一例として、第1~第4導電性接着部510、520、530、540の熱膨張係数は、19ppm/K以上であり、25ppm/K未満であってもよい。
【0096】
一例として、第1および第2フレーム端子310、320は、シート形状の第1および第2基材部310b、320bの表面に薄膜形状の第1および第2表面部310a、320aが被覆されたクラッド(clad)であってもよく、例えば、クラッドは、第1材料を含む金属板と、第2材料を含む金属板とを重ねた後、圧延して機械的に接合したものであってもよい。
【0097】
この時、第1および第2フレーム端子310、320の電気伝導度(非導電率、Electrical conductivity)は、第1~第4導電性接着部510、520、530、540の電気伝導度より大きい。
【0098】
2種以上の材料が結合されたクラッド構造の第1および第2フレーム端子310、320を介して、単一材料ではすべて満たしにくい、高い電気伝導度、ソルダクラックに対する抵抗性、および高い端子強度特性を同時に改善することができる。
【0099】
第1および第2フレーム端子310、320の電気伝導度は、第1~第4導電性接着部510、520、530、540の電気伝導度より高いほど良いし、例えば、20MS/m超過であってもよい。第1および第2フレーム端子310、320の電気伝導度は、長さ(l)と面積(A)を知っているサンプルの抵抗(R)を測定して、下記数式1で計算できる。
【0100】
【数1】
【0101】
第1~第4導電性接着部510、520、530、540の電気伝導度は、10MS/m以下、または1MS/m~2MS/mであってもよい。
【0102】
第1および第2フレーム端子310、320のヤング率(Young's modulus)は、118GPa~150GPa、または120GPa~140GPaであってもよい。第1および第2フレーム端子310、320のヤング率(Young's modulus、E)は、棒状、例えば、ドッグ-ボーン(dog-bone)形状にサンプルを作製し、引張試験機を用いて引っ張りながら応力(σ)と変位(ε)を測定して、下記数式2で計算できる。
【0103】
【数2】
【0104】
第1および第2フレーム端子310、320のヤング率(Young's modulus)が118GPa未満の場合、第1および第2フレーム端子310、320が変形および破損し、第1および第2フレーム端子310、320のヤング率(Young's modulus)が150GPaを超える場合、界面の応力が増加して第1~第4導電性接着部510、520、530、540にクラック発生の危険が増加しうる。
【0105】
第1および第2フレーム端子310、320の第1および第2基材部310b、320bは、第1材料を含み、例えば、第1材料は、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、銅(Cu)、銀(Ag)、クロム(Cr)、またはこれらの合金を含むことができる。一例として、第1材料は、42アロイ(42alloy)、インバー(invar)、またはステンレス304(SUS304)を含むことができる。ここで、42アロイは、鉄とニッケル42%との合金であり、インバーは、鉄とニッケル36%との合金であり、ステンレス304は、鉄と、ニッケル8%~11%およびクロム18%~20%との合金である。
【0106】
一例として、第1および第2基材部310b、320bの平均厚さは、0.05mm~0.5mmであってもよい。
【0107】
第1および第2表面部310a、320aは、第1材料とは異なる第2材料を含み、例えば、第2材料は、銅(Cu)、金(Au)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0108】
第1および第2表面部310a、320aは、第1および第2基材部310b、320bが積層型キャパシタ100の第1および第2外部電極131、132に対向する面上に配置され、第1および第2フレーム端子310、320は、第1および第2表面部310a、320aと反対面に位置する第3および第4表面部310c、320cをさらに含むことができる。この時、第1および第2表面部310a、320aは、内側表面部と称することができ、第3および第4表面部310c、320cは、外側表面部と称することができる。
【0109】
このように、第1および第2基材部310b、320bの両面に第1~第4表面部310a、320a、310c、320cが左右対称形態に配置される場合、クラッド構造の第1および第2フレーム端子310、320で互いに異なる材料間の接合部の安定性を確保できる。この時、第1および第2表面部310a、320aと第3および第4表面部310c、320cの材料は、同一の材料であってもよい。
【0110】
一例として、第1~第4表面部310a、320a、310c、320cの平均厚さは、0.2μm~5.0μm、または1.0μm~5.0μmであってもよい。
【0111】
第1および第2基材部310b、320bと第1および第2表面部310a、320aとの平均厚さ比率は、5:5~9:1であってもよい。また、第1および第2フレーム端子310、320が第1および第2表面部310a、320aと第3および第4表面部310c、320cとを含む場合、第1および第2表面部310a、320a、第1および第2基材部310b、320b、第3および第4表面部310c、320cの厚さ比率は、0.5:9.0:0.5~4.0:2.0:4.0であってもよい。
【0112】
ここで、第1および第2基材部310b、320bと第1および第2表面部310a、320aの平均厚さは、第1および第2フレーム端子を幅方向(W軸方向)1/2の地点で幅方向(W軸方向)と垂直に積層方向(T軸方向)に沿って切断した断面において、任意に選ばれた3個、5個、または10個の地点で測定された第1および第2基材部310b、320bと第1および第2表面部310a、320aとの厚さの算術平均値であってもよい。
【0113】
第1および第2基材部310b、320bと第1および第2表面部310a、320aとの平均厚さ比率がこの範囲内の場合、熱膨張および材料強度を決定する第1および第2基材部310b、320bの厚さが十分に確保できる。
【0114】
積層型キャパシタ100の第1および第2外部電極131、132は、第1および第2フレーム端子310、320とそれぞれ電気的に連結される。このために、電子部品は、第1および第2導電性接着部510、520を含む。
【0115】
第1導電性接着部510は、第1外部電極131と第1フレーム端子310との間に配置され、第2導電性接着部520は、第2外部電極132と第2フレーム端子320との間に配置される。
【0116】
また、第1および第2フレーム端子310、320は、積層型キャパシタ100を基板210に実装させる。一例として、第1および第2フレーム端子310、320は、基板210の第1および第2電極パッド221、222と電気的に連結される。このために、電子部品は、第3および第4導電性接着部530、540を含む。
【0117】
第3導電性接着部530は、第1フレーム端子310と基板210との間に配置され、第4導電性接着部540は、第2フレーム端子320と基板210との間に配置される。
【0118】
一例として、第1~第4導電性接着部510、520、530、540は、ソルダ(solder)や導電性樹脂ペーストなどの導電性接着剤を含むことができる。
【0119】
ソルダは、スズ(Sn)と、銀(Ag)、銅(Cu)、鉛(Pb)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、またはこれらの組み合わせとの合金を含むことができ、例えば、ソルダは、スズ(Sn)-銀(Ag)-銅(Cu)、スズ(Sn)-銀(Ag)、スズ(Sn)-鉛(Pb)を含むことができる。
【0120】
ソルダがこのような組成を有するスズ合金の場合、第1~第4導電性接着部510、520、530、540の熱膨張係数が19ppm/K以上であり、25ppm/K未満であり、第1~第4導電性接着部510、520、530、540の電気伝導度が10MS/m以下であってもよい。
【0121】
基板210は、例えば、導体基板であってもよく、導体基板は、FR4ボードであってもよい。また、基板210は、セラミック基板であってもよい。一例として、基板210は、銅がセラミック上に塗布されているDCB(direct copper bonded(銅直接接合))基板であってもよい。
【0122】
基板210は、長手方向(L軸方向)に離れて配置される第1および第2電極パッド221、222を含むことができる。
【0123】
積層型キャパシタ100は、第1および第2フレーム端子310、320の第1および第2実装部312、322が基板210の第1および第2電極パッド221、222上に接触するように位置した状態で接続されて基板210に実装される。つまり、第1実装部312は、第3導電性接着部530によって第1電極パッド221と接合されて電気的および物理的に連結可能であり、第2実装部322は、第4導電性接着部540によって第2電極パッド222と接合されて電気的および物理的に連結可能である。
【0124】
以下、発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記記載の実施例は発明を具体的に例示または説明するためのものに過ぎず、これによって発明の範囲が制限されてはならない。
【0125】
[製造例:電子部品の製造]
(実施例1)
42アロイ金属板と銅(Cu)金属板とを重ねた後、圧延して機械的に接合して、42アロイを含む基材部(平均厚さ:60μm)の両面に銅(Cu)を含む第1および第2表面部(平均厚さ:30μm)が被覆されたクラッドタイプのフレーム端子を製造する。
【0126】
製造されたフレーム端子を用いて積層型キャパシタを基板に実装させる。この時、96.5Sn-3Ag-0.5Cuを含むソルダを用いる。
【0127】
(実施例2)
インバー金属板と銅(Cu)金属板とを重ねた後、圧延して機械的に接合して、インバーを含む基材部(平均厚さ:60μm)の両面に銅(Cu)を含む第1および第2表面部(平均厚さ:30μm)が被覆されたクラッドタイプのフレーム端子を製造する。
製造されたフレーム端子を用いて積層型キャパシタを基板に実装させる。この時、96.5Sn-3Ag-0.5Cuを含むソルダを用いる。
【0128】
(実施例3)
ステンレス304金属板と銅(Cu)金属板とを重ねた後、圧延して機械的に接合して、ステンレス304を含む基材部(平均厚さ:60μm)の両面に銅(Cu)を含む第1および第2表面部(平均厚さ:30μm)が被覆されたクラッドタイプのフレーム端子を製造する。
製造されたフレーム端子を用いて積層型キャパシタを基板に実装させる。この時、96.5Sn-3Ag-0.5Cuを含むソルダを用いる。
【0129】
(比較例1)
42アロイ金属板(平均厚さ:120μm)のみからなるフレーム端子を製造する。
製造されたフレーム端子を用いて積層型キャパシタを基板に実装させる。この時、96.5Sn-3Ag-0.5Cuを含むソルダを用いる。
【0130】
(比較例2)
インバー金属板(平均厚さ:120μm)のみからなるフレーム端子を製造する。
製造されたフレーム端子を用いて積層型キャパシタを基板に実装させる。この時、96.5Sn-3Ag-0.5Cuを含むソルダを用いる。
【0131】
(比較例3)
ステンレス304金属板(平均厚さ:120μm)のみからなるフレーム端子を製造する。
製造されたフレーム端子を用いて積層型キャパシタを基板に実装させる。この時、96.5Sn-3Ag-0.5Cuを含むソルダを用いる。
【0132】
[実験例:フレーム端子の物性および電子部品の性能測定]
実施例および比較例で製造されたフレーム端子の熱膨張係数、電気伝導度、およびヤング率を測定し、表1にまとめる。
【0133】
フレーム端子の熱膨張係数は、横10cm以上、縦5cm以上、厚さ100μm以上の均一な厚さを有するようにサンプルを製造し、熱機械分析器(Thermomechanical Analysis)を用いて、常温(20℃)~300℃の区間で測定できる。
【0134】
フレーム端子の電気伝導度は、長さ(l)と面積(A)を知っているサンプルの抵抗(R)を測定して、上記数式1で計算できる。
【0135】
フレーム端子のヤング率は、ドッグ-ボーン(dog-bone)形状にサンプルを作製し、引張試験機を用いて引っ張りながら応力(σ)と変位(ε)を測定して、上記数式2で計算できる。
【0136】
一方、実施例および比較例で用いられたキャパシタボディの熱膨張係数は、7ppm/K~12ppm/Kである。実施例および比較例で用いられたソルダの熱膨張係数は、23.5ppm/Kであり、電気伝導度は1.39MS/mである。
【0137】
【表1】
【0138】
また、実施例および比較例で製造された電子部品の温度サイクル後のソルダクラック不良率、等価直列抵抗値(Equivalent Series Resistance、ESR)、端子強度不良率を測定し、その結果を表2にまとめる。
【0139】
ソルダクラック不良率は、フレーム端子を介して積層型キャパシタが実装された基板に対して基板面に水平な方向に研磨して導電性接着部とフレーム端子との接合界面を露出させた後、光学顕微鏡を用いて30倍以上の倍率で観察する。導電性接着部とフレーム端子との界面のクラック(crack)の長さが観察断面の長さの30%を超える場合、不良と判定する。
【0140】
等価直列抵抗値(Equivalent Series Resistance、ESR)は、計測器(LCR Meter)を用いて当該積層型キャパシタの共振周波数帯域で測定する。
【0141】
端子強度不良率は、基板に10個の積層型キャパシタを実装した後、側面から10Nの力を1mm/minの速度で10秒間印加して、積層型キャパシタの脱落やフレーム端子の損傷が発生した時、不良と判定する。
【0142】
【表2】
【0143】
ソルダクラック不良率に影響を及ぼす温度サイクルによる応力は、下記数式3で計算される。
【数3】
【0144】
上記数式3から、フレーム端子の熱膨張係数が低くて、実装ソルダの熱膨張係数の23.5ppm/Kと差が大きかったり、フレーム端子のヤング率が大きい場合には、界面応力が増加することが分かる。
【0145】
表1および表2にて、フレーム端子の熱膨張係数が低くて、実装ソルダの熱膨張係数と差が大きかったり、フレーム端子のヤング率が比較的高いサンプルでソルダクラック不良が発生したことを確認できる。これに対し、フレーム端子の熱膨張係数が高く、フレーム端子のヤング率が相対的に低い比較例3、実施例3、および実施例4では、ソルダクラックが発生しないことを確認できる。
【0146】
また、比較例1と実施例3とを比較すれば、フレーム端子の熱膨張係数が十分に高い場合には、フレーム端子のヤング率がやや高くてもソルダクラックが発生せず、フレーム端子の熱膨張係数の影響がより大きいことが分かる。
【0147】
比較例3は、フレーム端子が高い電気伝導度を有する材料を含むことによって、ESRも低くフレーム端子の熱膨張係数も高くてソルダクラックは発生しなかったが、フレーム端子のヤング率が比較的低くて強度が低下するため、基板実装後の端子強度評価でフレーム端子が損傷する不良が発生することを確認できる。
【0148】
実施例のように、一部の特性にデメリットがある個別材料を組み合わせながら、熱膨張係数が実装ソルダに近く電気伝導度が高くてヤング率が低いように、クラッド構造を有するフレーム端子を構成する場合、単一材料ではすべて満たしにくい、ソルダクラック、ESR、端子強度不良率をすべて改善することができる。
【0149】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0150】
100:積層型キャパシタ
110:キャパシタボディ
111:誘電体層
112、113:カバー領域
121、122:第1および第2内部電極
131、132:第1および第2外部電極
1311、1321:接続部
1312、1322:バンド部
210:基板
221、222:第1および第2電極パッド
310、320:第1および第2フレーム端子
311、321:第1および第2マウント部
312、322:第1および第2実装部
310a、320a:第1および第2表面部
310b、320b:第1および第2基材部
310c、320c:第3および第4表面部
510、520、530、540:第1~第4導電性接着部
図1
図2
図3
図4