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特開2024-129790トリアリールメタン色素、該色素を含有する着色組成物、カラーフィルター用着色剤およびカラーフィルター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129790
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】トリアリールメタン色素、該色素を含有する着色組成物、カラーフィルター用着色剤およびカラーフィルター
(51)【国際特許分類】
   C09B 11/12 20060101AFI20240919BHJP
   C09B 69/06 20060101ALI20240919BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20240919BHJP
   C07D 215/12 20060101ALI20240919BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20240919BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
C09B11/12 CSP
C09B69/06
C09B67/20 F
C07D215/12
C07D401/14
G02B5/20 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024003240
(22)【出願日】2024-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2023039140
(32)【優先日】2023-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005315
【氏名又は名称】保土谷化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】大熊 寛史
(72)【発明者】
【氏名】趙 周衡
【テーマコード(参考)】
2H148
4C063
【Fターム(参考)】
2H148BE14
2H148BE15
2H148BG02
2H148BG06
2H148BG11
4C063AA03
4C063BB09
4C063CC14
4C063DD10
4C063EE10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】耐熱性に優れるトリアリールメタン色素、及び該色素を用いる着色組成物により、良好な色特性を有するカラーフィルター用着色剤を提供する。
【解決手段】下式で表されるトリアリールメタン色素。

[R、RはH、アルキル基等;R、RはH、ハロゲン原子、―OH、アルキル基等;R~RはH、ハロゲン原子、―OH、―NO、―CN、アルキル基等;R、R10はH、アルキル基、複素環基等;R~R10は環を形成していてもよい。]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるトリアリールメタン色素。
【化1】

[式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に、―H、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、
置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、または、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~12のアシル基を表し、
およびRは、それぞれ独立に、―H、ハロゲン原子、―OH、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、または、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシ基を表し、
~Rは、それぞれ独立に、―H、ハロゲン原子、―OH、―NO、―CN、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、
置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、または、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシ基を表し、
およびR10は、それぞれ独立に、―H、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、
置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、
置換基を有していてもよい炭素原子数2~20の複素環基、または、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~12のアシル基を表し、
~R10は、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基もしくはビニレン基、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を介して、互いに結合して環を形成していてもよい。
Anは、ハロゲン化物イオンを除くアニオンを表し、
mは自然数を表す。]
【請求項2】
前記一般式(1)において、RおよびRが、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10の芳香族炭化水素基である、請求項1に記載のトリアリールメタン色素。
【請求項3】
前記一般式(1)において、RおよびRが、置換基を有していてもよい炭素原子数1~3の直鎖状のアルキル基である、請求項1に記載のトリアリールメタン色素。
【請求項4】
前記一般式(1)において、Anが、
炭素原子数1~24のパーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、
炭素原子数1~24のパーフルオロアルキルスルホンイミドアニオン、
トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオン、または、
(PW12403-、(P18626-
(SiW12404-、(PMo12403-
(SiMo12403-、(PW12-xMo403-
(P18-yMo406-もしくは(SiW12-xMo404-で表されるヘテロポリ酸アニオン(xは1~11の整数を表し、yは1~17の整数を表す)である、
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のトリアリールメタン色素。
【請求項5】
前記トリアリールメタン色素のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を用いて、23~27℃で測定する紫外可視吸収スペクトル(350~800nmの波長範囲)における吸収帯の、極大吸収波長が590nm以上670nm以下の波長範囲にある、請求項1に記載のトリアリールメタン色素。
【請求項6】
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のトリアリールメタン色素を含有する着色組成物。
【請求項7】
請求項4に記載のトリアリールメタン色素を含有する着色組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の着色組成物を含有するカラーフィルター用着色剤。
【請求項9】
請求項8に記載のカラーフィルター用着色剤を用いるカラーフィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリアリールメタン色素、該色素を含有する着色組成物、該色素または該着色組成物を含有するカラーフィルター用着色剤および該着色剤を用いるカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や有機電界発光(有機EL)表示装置および、CCDやCMOSセンサなどの固体撮像素子には、カラーフィルターが使用されており、赤色画素(R)、緑色画素(G)、青色画素(B)を有している。カラーフィルターに用いられる着色剤としては顔料や染料などがあるが、カラーフィルター製造時において、200℃以上の高温や紫外線照射などの条件下にさらされることから、染料より耐熱性や耐光性などに優れる顔料が一般に使用されてきた。例えば、青色画素部を形成するための青色顔料としては、一般に、ε型銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:6)が用いられており、必要に応じて調色のため、これに紫色のジオキサジンバイオレット顔料(C.I.ピグメントバイオレット23)が少量併用されている。
【0003】
近年の傾向として、画像表示装置の省電力化が求められたり、バックライトの利用効率を向上させるためにカラーフィルターの高輝度化が求められている。特に青色画素部は赤や緑色画素部に比べ相対的にバックライトの利用効率が低く、改善が望まれている。
【0004】
顔料は一般的に溶剤に不溶なため、樹脂などを含むカラーフィルター中では微粒子状で存在している。そのため、顔料を用いたカラーフィルターは、顔料粒子表面で透過光が反射・散乱することにより、輝度の低下や色純度に影響し、また、反射による消偏作用のためにカラー表示装置のコントラスト比が低下することが知られている。
【0005】
輝度やコントラスト比の低下の問題を改善するため、着色剤として染料のみを用いる方法または染料と顔料を併用する方法などが提案されている。染料は溶剤に可溶であるため、染料を使用したカラーフィルターは、顔料のみを着色剤として使用した場合に比べ消偏作用が抑えられ、分光特性に優れており、輝度やコントラストなどの向上が期待されている。このため、特に青色画素部のカラーフィルターに対しては、一般的に顔料より溶解性に優れる染料の使用が注目されている。
【0006】
特に、トリアリールメタン色素は分光特性が良好であり、例えば特許文献1や2にはトリアリールメタン色素をカラーフィルター用着色剤として用いる試みがなされている。また、特許文献3には特定の構造を有するトリアリールメタン色素がアルカリ条件に対し高い安定性を示すことから注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008-304766号公報
【特許文献2】国際公開第2012/128318号
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0108817号明細書
【特許文献4】特開2012-83652号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】堀口 博 著、「綜説合成染料」、三共出版株式会社、1969年7月15日、p.79-109
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1や2記載のような、従来から知られるトリアリールメタン色素をカラーフィルターの調製に用いた場合、その製造工程における熱履歴などにより、色相が変化しやすいという問題があった。特許文献3記載のトリアリールメタン色素には、耐熱性に関する記載はない。染料が高い耐熱性を備えることは、カラーフィルターの製造過程において要求される特性である。このため、高い耐熱性を備え、かつ良好な色特性を発現する染料に対する需要は常に存在する。
本発明は、耐熱性に優れるトリアリールメタン色素を提供することを課題とし、該色素を用いる着色組成物により、良好な色特性(色域、輝度、コントラスト比など)を有するカラーフィルター用着色剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記課題を解決するため鋭意検討した結果得られたものであり、以下を要旨とする。
【0011】
1.下記一般式(1)で表されるトリアリールメタン色素。
【0012】
【化1】
【0013】
[式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に、―H、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、
置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、または、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~12のアシル基を表し、
およびRは、それぞれ独立に、―H、ハロゲン原子、―OH、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、または、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシ基を表し、
~Rは、それぞれ独立に、―H、ハロゲン原子、―OH、―NO、―CN、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、
置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、または、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシ基を表し、
およびR10は、それぞれ独立に、―H、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、
置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基、
置換基を有していてもよい炭素原子数2~20の複素環基、または、
置換基を有していてもよい炭素原子数1~12のアシル基を表し、
~R10は、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基もしくはビニレン基、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。
Anは、ハロゲン化物イオンを除くアニオンを表し、
mは自然数を表す。]
【0014】
2.前記一般式(1)において、RおよびRが置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基または、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10の芳香族炭化水素基であるトリアリールメタン色素。
【0015】
3.前記一般式(1)において、RおよびRが置換基を有していてもよい炭素原子数1~3の直鎖状のアルキル基であるトリアリールメタン色素。
【0016】
4.前記一般式(1)において、Anが
炭素原子数1~24のパーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、
炭素原子数1~24のパーフルオロアルキルスルホンイミドアニオン、
トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオン、または
(PW12403-、(P18626-
(SiW12404-、(PMo12403-
(SiMo12403-、(PW12-xMo403-
(P18-yMo406-、もしくは、(SiW12-xMo404-で表されるヘテロポリ酸アニオン(xは1~11の整数を表し、yは1~17の整数を表す)であるトリアリールメタン色素。
【0017】
5.前記トリアリールメタン色素のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を用いて、23~27℃で測定する紫外可視吸収スペクトル(350~800nmの波長範囲)における吸収帯の、極大吸収波長が590nm以上670nm以下の波長範囲にあるトリアリールメタン色素。
【0018】
6.前記(1.~3.のいずれかに記載)トリアリールメタン色素を含有する着色組成物。
【0019】
7.前記(4.に記載)トリアリールメタン色素を含有する着色組成物。
【0020】
8.前記着色組成物を含有するカラーフィルター用着色剤。
【0021】
9.前記カラーフィルター用着色剤を用いるカラーフィルター。
【発明の効果】
【0022】
本発明のトリアリールメタン色素は、耐熱性に優れており、該色素を含有する着色組成物はカラーフィルター用着色剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。まず、前記一般式(1)で表されるトリアリールメタン色素について説明する。
【0024】
一般式(1)において、R~R10で表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基」における「炭素原子数1~12の直鎖状もしくは分岐状もしくは環状のアルキル基」としては、具体的に、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などの直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1-エチル-1-メチルプロピル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基などの分岐状のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2-メチルシクロヘキシル基、2-エチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基などの環状のアルキル基(シクロアルキル基)、ノルボルニル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、ビシクロ[4.3.0]ノニル基などがあげられる。ここで、分岐状または環状のアルキル基については、その炭素数の下限は、分岐状または環状の構造をとることが可能な炭素数(すなわち、炭素数3)であることが当業者には理解される。
【0025】
一般式(1)において、R、R、R~R10で表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基」における「炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基」としては、具体的に、フェニル基、ビフェニリル基、テルフェニリル基、ナフチル基、アズレニル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基があげられる(本発明における「芳香族炭化水素基」とは、アリール基または縮合多環芳香族基も含む)。
【0026】
一般式(1)において、R、R、R、R10で表される、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~12のアシル基」における「炭素原子数1~12のアシル基」としては、具体的に、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、アクリロイル基、ベンゾイル基などのアシル基があげられる。
【0027】
一般式(1)において、R~Rで表される、「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子などがあげられる。「ハロゲン原子」としては、フッ素原子または塩素原子が好ましい。
【0028】
一般式(1)において、R~Rで表される「置換基を有していてもよい炭素原子数1~12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシ基」における「炭素原子数1~12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシ基」としては、具体的に、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基などの直鎖状のアルコキシ基;イソプロポキシ基、イソブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、イソオクチルオキシ基などの分岐状のアルコキシ基;シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロデシルオキシ基などの環状のアルコキシ基(シクロアルコキシ基);1-アダマンチルオキシ基、2-アダマンチルオキシ基などがあげられる。
【0029】
一般式(1)において、RおよびR10で表される「置換基を有していてもよい炭素原子数2~20の複素環基」における「炭素原子数2~20の複素環基」としては、具体的に、ピリジル基、ピリミジニル基、キノリル基、イソキノリル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ナフチリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、カルボリニル基、イミダゾピリジル基、オキサゾロピリジル基、オキサゾロピラジル基、プリニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリル基、シンノリニル基、プテリジニル基、フェナントリジニル基、ペリミジニル基、アンチリジニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ジヒドロピロロピロリル基、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、インダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、カルバゾリル基、アザインドリル基、アザインダゾリル基、ピラゾロピリミジニル基、アデニル基、グアニジニル基、フェナジニル基、フリル基、チエニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、イソベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、フロピロリル基、チエノピロリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、フェノキサチイニル基、ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェニル基、ビピリジニル基などの複素環基(または複素芳香族炭化水素基)があげられる。
【0030】
一般式(1)において、R~R10のいずれかで表される、
「置換基を有していてもよい炭素原子数1~12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基」、
「置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基」、
「置換基を有していてもよい炭素原子数1~12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシ基」、
「置換基を有していてもよい炭素原子数2~20の複素環基」、または、
「置換基を有していてもよい炭素原子数1~12のアシル基」における「置換基」としては、具体的に
重水素原子、ヒドロキシ基(―OH)、チオール基(―SH)、シアノ基(―CN)、ニトロ基(―NO)、トリフルオロメチル基(―CF)、カルボニル基(―(C=O)―);
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;
炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;
炭素原子数3~20のシクロアルキル基;
炭素原子数2~20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基;
炭素原子数2~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキニル基;
炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基;
炭素原子数3~20のシクロアルコキシ基、または1-アダマンチルオキシ基、2-アダマンチルオキシ基;
炭素原子数1~20のアシル基;
炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基;
炭素原子数2~20の複素環基;
炭素原子数6~20のアリールオキシ基;
無置換アミノ基;炭素原子数1~20の一置換もしくは二置換アミノ基;
―COO、―COOH、―COOM、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のカルボニル基、エステル基もしくはアミド基、
―SO 、―SOH、―SOM、または、置換基を有していてもよい炭素原子数0~20のスルホニル基もしくはスルホンアミド基(ただし、Mは無機カチオンもしくは有機カチオンを表す。);
などがあげられる。これらの「置換基」は1つのみ含まれてもよく、複数含まれてもよく、複数含まれる場合は互いに同一でも異なっていてもよい。また、これら「置換基」を有する基において、「置換基」が結合する位置が、例えばn-ブチル基における4つの炭素のいずれか、フェニル基におけるパラ位、メタ位、オルト位のように複数考えられる場合、そのいずれの位置で置換されていてもよく、ピリジル基やナフチル基のように「置換基」に結合手となる位置が複数考えられる場合、そのいずれの位置で結合していてもよい。また、これら「置換基」はさらに、前記例示した置換基を有していてもよい。したがってこれら「置換基」は、例えば、「炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状の無置換もしくは置換アルキル基」、「炭素原子数3~20の無置換もしくは置換シクロアルキル基」、「炭素原子数2~20の直鎖状もしくは分岐状の無置換もしくは置換アルケニル基」、「炭素原子数2~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキニル基」、「炭素原子数3~20の無置換もしくは置換シクロアルコキシ基」、「炭素原子数6~20の無置換もしくは置換アリールオキシ基」、「炭素原子数0~20の無置換もしくは置換アミノ基」、「炭素原子数1~20の無置換もしくは置換アミド基」、「炭素原子数0~20の無置換もしくは置換アンモニウム基」、「炭素原子数6~20の無置換もしくは置換フェニル基」、「炭素原子数6~20の無置換もしくは置換フェノキシ基」、「ハロゲン原子で置換された炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基で置換された炭素原子数6~20のフェニル基」、などのように表されてもよい。なお、「置換基」が炭素原子を含む場合、その炭素原子は、上記の「炭素原子数1~12」、「炭素原子数6~20」、および「炭素原子数2~20」のような炭素原子数を特定する基の記載において、炭素原子数の総数に算入される。また、これらの置換基同士が単結合、二重結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。
【0031】
一般式(1)において、「炭素原子数1~20の一置換もしくは二置換アミノ基」が存在する場合は、「―NR1112」と表される「置換基R11およびR12を有するアミノ基」を含み、一置換アミノ基、二置換アミノ基などがあげられる。
「置換基R11およびR12を有するアミノ基」における「置換基」、はR~R10で表される各基における「置換基」と同様のものが適用される。一置換アミノ基としては、エチルアミノ基、ブチルアミノ基、イソプロピルアミノ基、アセチルアミノ基、フェニルアミノ基、1-ナフチルアミノ基、2-ナフチルアミノ基などがあげられる。二置換アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジへキシルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジ(2-エチルヘキシル)基、ジ-t-ブチルアミノ基などの炭素原子数2~20のジアルキルアミノ基;ジアリルアミノ基などの炭素原子数4~20のジアルケニルアミノ基;ジフェニルアミノ基、N-フェニル-1-ナフチルアミノ基、N-メチル-フェニルアミノ基、N-アセチル-N-フェニルアミノ基、N-(n-ブチル)-フェニルアミノ基などがあげられる。
【0032】
一般式(1)において、「M」で表される「無機カチオン」または「有機カチオン」が存在する場合、「有機カチオン」としては、具体的に、R13141516の式で表されるアンモニウムイオンがあげられ、R13~R16は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基を表し、互いに結合して環を形成してもよい。なお、上記式中、R13~R16における「置換基」、「炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」および「炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基」の詳細は、前記一般式(1)におけるR~R10と同様のものが適用される。また、「無機カチオン」としては、リチウムイオン、ナトリウムイオンなどのアルカリ金属イオン、または、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオンなどのアルカリ土類金属イオンがあげられる。Mとしては、アルカリ金属イオンが好ましい。
【0033】
一般式(1)において、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のカルボニル基、エステル基もしくはアミド基」が存在する場合は、それぞれ「―(C=O)―R17」、「―(C=O)―O―R17」または「―(C=O)―NR1112」で表される基を意味する。R17および「―NR1112」は、R~R10で表される各基における「置換基」と同様のものが適用される。
【0034】
一般式(1)において、「置換基を有していてもよい炭素原子数0~20のスルホニル基もしくはスルホンアミド基」が存在する場合は、「―SO―R17」(もしくは「―S(=O)―R17」)または「―S(=O)―NR1112」で表される基を意味する。R17および「―NR1112」は、R~R10で表される各基における「置換基」と同様のものが適用される。
【0035】
なお、一般式(1)においてR~R10で表される「置換基」を有する上記の各種の「基」において、「置換基」としてあげられている、
「炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、
「炭素原子数3~20のシクロアルキル基」、
「炭素原子数2~20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」、
「炭素原子数2~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキニル基」、
「炭素原子数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基」、
「炭素原子数3~20のシクロアルコキシ基」、
「炭素原子数1~20のアシル基」、
「炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基」、
「炭素原子数2~20の複素環基」、
「炭素原子数6~20のアリールオキシ基」、または
「炭素原子数1~20の一置換もしくは二置換アミノ基」としては、具体的に、
メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基などの直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;
シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基などのシクロアルキル基;
ビニル基、1-プロペニル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、1-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基などのアルケニル基、またはこれらが複数結合した直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基;
エチニル基、プロパルギル基、ブチニル基などのアルキニル基、またはこれらが複数結合した直鎖状もしくは分岐状のアルキニル基;ペンタ-3-エン-1-イニル基、ヘキサ-2-エン-4-イニル基などのアルケニル基とアルキニル基の混合基;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、イソオクチルオキシ基などの直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基;
シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロデシルオキシ基などの炭素原子数3~20のシクロアルコキシ基;
ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、アクリロイル基、ベンゾイル基などのアシル基;
フェニル基、ビフェニリル基、テルフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基(アントリル基)、テトラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基;
チエニル基、フリル基(フラニル基)、ピロリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフラニル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、プリニル基、カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリル基、イソキノリル基、ナフチリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、カルボリニル基などの複素環基;
フェニルオキシ基、トリルオキシ基、ビフェニリルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基、フェナントレニルオキシ基などのアリールオキシ基;
メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジへキシルアミノ基、ジ(2-エチルヘキシル)基、ジ-t-ブチルアミノ基、フェニルアミノ基、1-ナフチルアミノ基、2-ナフチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジアリルアミノ基、アセチルアミノ基、N-フェニル-1-ナフチルアミノ基、N-メチル-フェニルアミノ基、N-(n-ブチル)-フェニルアミノ基、N-アセチル-N-フェニルアミノ基などの直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または、芳香族炭化水素基を有する一置換もしくは二置換アミノ基、などがあげられる。
【0036】
一般式(1)における、RおよびRとしては、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基」または「置換基を有していてもよい炭素原子数6~10の芳香族炭化水素基」が好ましい。好ましいRおよびRの例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基があげられる。RおよびRは、各々同じであっても異なっていてもよい。分子設計の観点からは、RおよびRは同じ基であることが好ましい。
【0037】
一般式(1)における、RおよびRとしては、耐熱性の点からは、「ハロゲン原子」または、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」が好ましく、「フッ素原子」または、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」がより好ましく、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~3の直鎖状のアルキル基」であることが更に好ましい。好ましいRおよびRの例としては、フッ素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基があげられる。RおよびRは、各々同じであっても異なっていてもよい。分子設計の観点からは、RおよびRは同じ基であることが好ましい。
【0038】
一般式(1)における、R~Rとしては、「水素原子」、「ハロゲン原子」または「置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の直鎖状のアルキル基」が好ましく、水素原子またはメチル基であることがより好ましい。分子設計の観点からは、R~Rは全て水素原子であることが好ましい。
【0039】
一般式(1)における、RおよびR10としては、「水素原子」、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数6~10の芳香族炭化水素基」、または「置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の複素環基」が好ましい。好ましいRおよびR10の例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、i-ブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル基があげられる。
【0040】
~R10は、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基もしくはビニレン基、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を介して、互いに結合して環を形成していてもよい。環を形成するときのR~R10の組合せは、例えば、RとR、RとR、RとRまたはR10、RとRまたはR10、RとR10とで組を作ることができる。
【0041】
一般式(1)において、Anは、ハロゲン化物イオン以外であれば特に限定されず、例えば、ヘテロポリ酸アニオンなどの無機アニオン、または、アルキル基、パーフルオロアルキル基、スルホニル基もしくはスルホン酸基を有する炭素原子数1~30の有機アニオンなどがあげられる。具体的には、
(CFSO(またはNTf)、
(CFSO(またはCTf)、
(CSO、(CSO、(CSO
(C
(CN)、(CN)、NC―S、;
(CSO )O(C(C1225)(SO ))、
(C1225)(SO );PF 、BF
(PW12403-、(P18626-
(SiW12404-、(PMo12403-、(SiMo12403-
(PW12-xMo403-、(SiW12-xMo404-
(P18-yMo406-(xは1~11の整数を表し、yは1~17の整数を表す)、などのヘテロポリ酸アニオン;
または、下記式(Z-1)~(Z-16)の構造式で示すアニオンなどがあげられる。
【0042】
【化2】
【0043】
【化3】
【0044】
【化4】
【0045】
【化5】
【0046】
一般式(1)において、Anは単一でも異なる2以上の組み合わせでもよく、前記例示したアニオンから選ばれる単一または2もしくは3の任意の組み合わせであることが好ましく、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン(より好ましくは炭素原子数1~24のパーフルオロアルキルスルホン酸アニオン)、パーフルオロアルキルスルホンイミドアニオン(より好ましくは炭素原子数1~24のパーフルオロアルキルスルホンイミドアニオン)、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオン、または、ヘテロポリ酸アニオンのいずれかから選ばれる単一または2もしくは3の任意の組み合わせであることがさらに好ましい。したがって、一般式(1)における「m」は、式(1)中における[An]全体の価数と、[ ]内のトリアリールメタン骨格の構造のカチオンの価数に応じて、式(1)が全体的に電気的に中性となるように任意の自然数であることが好ましい。
【0047】
一般式(1)で表されるトリアリールメタン色素である化合物の製造方法は、特に制限されるものではなく公知の方法(例えば、非特許文献1)を応用し、一般式(1)の各種の相当する基を有する試薬やその他の適当な試薬を用いて製造することができる。以下、本発明化合物の製造方法の一態様を記載する。しかしながら、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0048】
一般式(1)で表されるトリアリールメタン色素は、相当する置換基を有する芳香族アルデヒドと、相当する置換基を有するテトラヒドロキノリンを酸触媒存在下で縮合した後、酸化剤を用いて酸化することにより得られる。さらに、必要に応じて相当する構造を有する塩と塩交換することで、一般式(1)で表されるトリアリールメタン色素を製造することができる。この製造における化学反応は、有機溶媒の存在下で行ってもよいし、無溶媒で行ってもよい。
【0049】
本発明の製造方法における各生成物の単離や精製は、通常の有機合成で用いられる方法、例えば、カラムクロマトグラフィーによる精製;シリカゲル、活性炭、活性白土などによる吸着精製;溶媒による再結晶や晶析法などの公知の方法を適宜組み合わせて行うことができる。また、これらの化合物の同定、分析、光学特性、熱物性、その他物性の評価には、核磁気共鳴分析(NMR)、分光光度計による吸光度測定や紫外可視吸収スペクトル(UV-Vis)測定、熱重量測定-示差熱分析(TG-DTA)などを行うことができる。これらの分析方法は、得られた化合物の溶解性、色彩評価や耐熱性評価にも用いることができる。
【0050】
以下、一般式(1)で表される本発明のトリアリールメタン色素として好ましい化合物の具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されない。下記式(B-1)~(B-62)は、前記一般式(1)中、トリアリールメタン色素の部分を表しており、[An]で表されるアニオン部は省略している。下記構造式では、水素原子を一部省略しており、生じ得るすべての立体異性体、互変異性体を包含しており、平面構造式を記載している。
【0051】
【化6】
【0052】
【化7】
【0053】
【化8】
【0054】
【化9】
【0055】
【化10】
【0056】
【化11】
【0057】
【化12】
【0058】
【化13】
【0059】
【化14】
【0060】
【化15】
【0061】
【化16】
【0062】
【化17】
【0063】
【化18】
【0064】
【化19】
【0065】
【化20】
【0066】
【化21】
【0067】
本発明のトリアリールメタン色素は、1種または分子構造の異なる2種以上を組み合わせて使用(例えば混合)してもよい。当該2種以上を使用する際は、トリアリールメタン色素全体に占める質量濃度比において、最も少ない方の1種のトリアリールメタン色素の質量濃度比は0.1~50質量%である。トリアリールメタン色素の種類は1種または2種であるのが好ましい。
【0068】
本発明のトリアリールメタン色素、該色素を含有する着色組成物、該色素または該着色組成物を含有するカラーフィルター用着色剤は、着色剤およびカラーフィルターの製造工程において、樹脂などを含有する有機溶媒に良好に溶解または分散させる必要があるため、有機溶媒に対する溶解度や分散性が高いことが好ましい。有機溶媒としては、特に限定されないが、具体的には、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)などのエーテル類;メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノンなどのケトン類;メタノール、エタノール、2-プロパノールなどのアルコール類;3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類;ジアセトンアルコール(DAA)など;N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)などのアミド類;ジメチルスルホキシド(DMSO)などがあげられ、PGME、PGMEA、シクロヘキサノンまたはDAAが好ましく、樹脂の溶解性とトリアリールメタン色素の溶解性の両立の観点からはPGMEまたはPGMEAが特に好ましい。これらの溶剤は、単独で用いても2種類以上混合して用いてもよい。
【0069】
本発明のトリアリールメタン色素は、有機溶媒に溶解して調製した溶液を用いて、室温付近(例えば23~27℃)で測定する紫外可視吸収スペクトルの可視光領域(例えば、350~800nmの波長範囲)において最大の吸光度を示す、極大吸収波長が観測される。本発明においては、PGMEA溶液における極大吸収波長が、590~670nmの波長範囲にあることが好ましい。なお、色素濃度は、0.005~0.02mmol/Lが好ましい。溶媒は、色素を溶解するものであれば限定されないが、溶解条件により紫外可視吸収スペクトルの吸収波長が大きくシフトしないものが好ましく、PGMEAが好ましい。
【0070】
本発明のトリアリールメタン色素を各種樹脂溶液と混合し、ガラス基板上に塗布することにより塗膜を作製できる。得られた塗膜について、分光測色計を用いて測色し、塗膜の色彩値を得ることで色彩評価を行うことができる。色彩値はCIE L表色系などが一般的に用いられる。具体的には、膜試料の色彩値L、a、bを測定し、適当な温度での加熱前後の色彩値の色差(ΔE ab)より、耐熱性を判断することができる。カラーフィルターに応用する場合、230℃前後の温度での色差を耐熱性の指標として用いることができる。ΔE abは、その値が小さいほど、熱分解による色の変色が少なく、耐熱性が高いことを意味し、20以下が好ましく、12以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。また、色素の耐熱性の比較の方法として、熱重量測定で評価してもよく、例えば、窒素などの不活性気体雰囲気下での熱重量測定による5%質量減少温度を測定し、分解温度が高い方が好ましい。
【0071】
本発明のカラーフィルター用着色剤は、一般式(1)で表されるトリアリールメタン色素、または該トリアリールメタン色素を少なくとも1種含有する着色組成物と、カラーフィルターの製造に一般的に使用される成分とを含む。一般的なカラーフィルターは、例えば、フォトリソグラフィー工程を利用した方法の場合、染料や顔料などの色素を樹脂成分(モノマー、オリゴマーを含む)や溶媒と混合して調製した液体を、ガラスや樹脂などの基板の上に塗布し、フォトマスクを用いて光重合させ、溶媒に可溶/不溶な色素-樹脂複合膜の着色パターンを作製し、洗浄後、加熱することにより得られる。また電着法や印刷法においても、色素を樹脂やその他の成分と混合したものを用いて着色パターンを作製する。よって、本発明のカラーフィルター用着色剤における具体的な成分としては、少なくとも1種の一般式(1)で表されるトリアリールメタン色素、その他の染料や顔料などの色素、樹脂成分、有機溶媒、および光重合開始剤などその他の添加剤があげられる。また、これらの成分から取捨選択してもよく、必要に応じて他の成分を追加してもよい。
【0072】
本発明のトリアリールメタン色素または該トリアリールメタン色素を含有する着色組成物をカラーフィルター用着色剤として用いる場合、各色用カラーフィルターに用いてもよいが、青色または、緑色カラーフィルター用着色剤として用いるのが好ましい。
【0073】
本発明のカラーフィルター用着色剤は、1種または2種以上のトリアリールメタン色素を単独で使用してもよく、色調の調整のために、すなわち分光特性を調整するために、さらに下記のような他の染料または顔料などの公知の色素を混合してもよい。
【0074】
青色カラーフィルター用着色剤に用いる場合、特に限定されないが、C.I.ベーシックブルー3、7、9、54、65、75、77、99、129、C.I.ベーシックバイオレット10などの塩基性染料;C.I.アシッドブルー9、74、C.I.アシッドレッド52、289などの酸性染料;ディスパースブルー3、7、377などの分散染料;スピロン染料;シアニン系、インディゴ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、メチン系、本発明に属さないトリアリールメタン系、インダンスレン系、オキサジン系、ジオキサジン系、アゾ系、キサンテン系色素;その他の青色系レーキ顔料、などの青色系または赤色系の染料または顔料があげられる。
緑色カラーフィルター用着色剤に用いる場合、特に限定されないが、C.I.ピグメントグリーン7、10、36、47、58、59,62、63などの緑色顔料;C.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、180、185などの黄色顔料;スピロン染料;シアニン系、インディゴ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、メチン系、本発明に属さないトリアリールメタン系、インダンスレン系、オキサジン系、ジオキサジン系、アゾ系、キサンテン系、イソインドリン系、キノフタロン系色素;その他のレーキ顔料、などの青色系、黄色系または緑色系の染料または顔料があげられる。
【0075】
本発明において、色調の調整のために混合する色素としては、青色カラーフィルター用着色剤に用いる場合、C.I.ベーシックブルー7などの本発明に属さないトリアリールメタン系色素、または、C.I.ベーシックバイオレット10、C.I.アシッドレッド52、289などのキサンテン系色素が好ましい。緑色カラーフィルター用着色剤に用いる場合、C.I.ピグメントイエロー138などのキノフタロン系色素、C.I.ピグメントイエロー139などのイソインドリン系色素、またはアゾ色素が好ましい。これらの色素と本発明に属するトリアリールメタン色素を用いることにより、明度やコントラスト比に優れた青色または緑色カラーフィルターを得ることができる。
【0076】
顔料は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基もしくは塩基性基が導入された顔料誘導体等を用いた表面処理、高分子化合物等による顔料表面へのグラフト処理、硫酸微粒子法等による微粒子化処理、または、不純物を除去するための有機溶剤や水等による洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法等による除去処理等が施されていてもよい。顔料の粒径は、それぞれ均一であることが好ましい。
【0077】
本発明のカラーフィルター用着色剤における他の色素の混合比は、トリアリールメタン色素(2種以上の場合にはそれらの合計)に対して5~2000質量%であるのが好ましく、10~1000質量%がより好ましい。液状のカラーフィルター用着色剤中における染料などの色素成分の混合比は、着色剤全体に対して0.5~70質量%が好ましく、1~50質量%がより好ましい。
【0078】
本発明のカラーフィルター用着色剤における樹脂成分としては、これらを使用して形成されるカラーフィルター樹脂膜の製造方式や使用時に必要な性質を有するものであれば、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、スチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエーテル樹脂、フェノール(ノボラック)樹脂、その他の透明樹脂、光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂があげられ、これらのモノマーまたはオリゴマー成分とを適宜組み合わせて使用することができる。また、これらの樹脂の共重合体を組み合わせて使用することもできる。これらのカラーフィルター用着色剤における樹脂の含有量は、液状の着色剤の場合、5~95質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましい。
【0079】
本発明の着色組成物は、カラーフィルター用着色剤としての性能を高めるために、化合物の他の成分として、界面活性剤、分散剤、消泡剤、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、その他のカラーフィルター用着色剤の製造時に混合する添加剤、などの物質を添加することができる。ただし、着色組成物におけるこれらの添加剤の含有率は適量であることが好ましく、本発明の着色組成物の溶媒中の溶解性を低下させたり、もしくは必要以上に向上させたり、また、カラーフィルター製造時に用いる他の同種の添加剤の効果に影響しない範囲の含有率であることが好ましい。これらの添加物は、着色組成物の調製の任意のタイミングで投入することができる。
【0080】
本発明のカラーフィルター用着色剤におけるその他の添加剤としては、光重合開始剤や架橋剤などの樹脂の重合や硬化に必要な成分があげられ、また、液状のカラーフィルター用着色剤中の成分の性質を安定させるために必要な界面活性剤や分散剤などがあげられる。これらはいずれも、カラーフィルター製造用の公知のものを使用することができ、特に限定されない。カラーフィルター用着色剤の固形分全体におけるこれらの添加剤の総量の混合比は、5~60質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましい。
【実施例0081】
以下、本発明の実施の形態について、実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。合成実施例で記載した試薬は東京化成工業株式会社製、シグマアルドリッチ社製、Alfa Aesar社製等のものを使用した。また、合成実施例における反応はすべて、冷却管、撹拌装置、温度計を備えた反応容器を用いて行った。なお、下記合成実施例における化合物の同定は、H-NMR分析(ブルカー社製核磁気共鳴装置、型式:AscendTM 400MHz)により行った。
【0082】
[合成実施例1]化合物(C-1)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、1,2,3,4-テトラヒドロ-2,2,4,7-テトラメチルキノリン40.0g(211mmol)、ヨードエタン65.9g(423mmol)、炭酸カリウム52.6g(380mmol)、DMF160mLを入れ、75℃で7時間撹拌した。冷却後、反応液に酢酸エチル200mLとヘプタン200mLを加え、室温(23~28℃)で撹拌した後、ろ過した。ろ液に水300mLを添加し、有機層を抽出し、さらに水300mLで2回洗浄後、有機層を抽出した。無水硫酸マグネシウムを添加し、有機層を乾燥後、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をヘプタン350mLで溶解した後、シリカゲル45gを加え、室温(23~28℃)で30分撹拌した後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮することで、下記(中間体100)を得た(42.5g、収率92%)。
【0083】
【化22】
【0084】
続いて、以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。反応容器に、DMF1.32g(18.1mmol)、濃硫酸1.77g(18.1mmol)を入れ、室温(23~28℃)で撹拌した。ここに4-ジエチルアミノベンズアルデヒド3.20g(18.1mmol)、前記(中間体100)8.04g(37.0mmol)を加え、120℃で46時間撹拌した。反応液にDMF15mLを加えた後、水50mLを加え、析出した固体をろ取した。得られた固体をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ヘプタン/酢酸エチル=100/1~50/1(体積比))で精製し、溶媒を減圧留去した。残渣を60℃で減圧乾燥し、下記(中間体101)を得た(2.18g,収率20%)。
【0085】
【化23】
【0086】
続いて、反応容器に、前記(中間体101)2.15g(3.62mmol)とクロロホルム32mLを入れ撹拌し、固体を溶解した後、p-クロラニル1.78g(7.24mmol)を添加した。室温(23~28℃)で12時間撹拌した後、濃塩酸0.5mLを加え、さらに30分間撹拌した。反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ジクロロメタン/メタノール=100/1~10/1(体積比))で精製し、溶媒を減圧留去した。残渣をヘプタンで懸濁洗浄し、固体をろ取した後、60℃で減圧乾燥することで、下記(中間体102)を得た(2.21g,収率97%)。
【0087】
【化24】
【0088】
続いて、反応容器に、前記(中間体102)1.70g(2.71mmol)とメタノール17mLを入れ撹拌し、固体を溶解した後、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(SOCF)0.78g(2.71mmol)を添加した。45℃で1時間撹拌した後、冷却し、水60mLを加え、析出した固体をろ取した。得られた固体を80℃で減圧乾燥することで、目的の化合物(C-1)を茶色固体として得た(1.97g,収率84%)。
【0089】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の58個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-1)で表される化合物の構造と同定した。
【0090】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=7.22(2H)、6.96(2H)、6.84(2H)、6.67(2H)、3.70-3.60(6H)、3.53-3.46(2H)、2.86(2H)、1.87(2H)、1.82(6H)、1.55(2H)、1.44(6H)、1.26(18H)、1.16(6H)。
【0091】
【化25】
【0092】
[合成実施例2]化合物(C-2)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、DMF83mLを入れ、5℃まで冷却した後、オキシ塩化リン16.9g(110mmol)を30分かけて滴下した。滴下後、室温(23~28℃)まで昇温し、N,N-ジエチル-3-メチルアニリン15.0g(91.9mmol)を滴下した。この溶液を90℃で3時間撹拌した。反応液を冷却後、氷水300mLに注加し、さらに炭酸ナトリウムを添加してpH9とした。この溶液に酢酸エチル150mLとヘプタン150mLを加え、ろ過し、ろ液の有機層を抽出した。有機層はさらに水300mLで2回洗浄後、抽出し、無水硫酸マグネシウムを添加した。有機層を乾燥後、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ヘプタン/酢酸エチル=90/10(体積比))で精製し、溶媒を減圧留去することで下記(中間体103)を得た(14.8g、収率84%)。
【0093】
【化26】
【0094】
続いて、合成実施例1の(中間体101)合成において、4-ジエチルアミノベンズアルデヒドを前記(中間体103)に変更した以外は、同様な方法により、下記(中間体104)を得た(2.84g、収率30%)。
【0095】
【化27】
【0096】
続いて、合成実施例1の(中間体102)合成において、(中間体101)を前記(中間体104)に変更した以外は、同様な方法により、下記(中間体105)を得た(2.41g、収率81%)。
【0097】
【化28】
【0098】
続いて、合成実施例1の化合物(C-1)合成において、(中間体102)を前記(中間体105)に変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-2)を紫色固体として得た(2.17g,収率87%)。
【0099】
得られた紫色固体のNMR測定を行い、以下の60個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-2)で表される化合物の構造と同定した。
【0100】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=6.90(1H)、6.76(3H)、6.73(1H)、6.68(2H)、3.69(2H)、3.57(6H)、2.84(2H)、1.83(11H)、1.52(2H)、1.44(6H)、1.30-1.20(18H)、1.11(6H)。
【0101】
【化29】
【0102】
[合成実施例3]化合物(C-3)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、DMF10.9g(149mmol)、濃硫酸4.88g(49.8mmol)を入れ、室温(23~28℃)で撹拌した。ここに4-クロロベンズアルデヒド7.00g(49.8mmol)、前記(中間体100)21.9g(101mmol)を加え、120℃で6時間撹拌した。反応液にDMF50mLを加えた後、水400mLへ注加し、析出した固体をろ取した。得られた固体にメタノール150mLと水50mLを加え、懸濁洗浄した後、固体をろ取した。得られた固体を60℃で減圧乾燥し、下記(中間体106)を得た(26.4g,収率95%)。
【0103】
【化30】
【0104】
続いて、反応容器に、前記(中間体106)26.0g(46.7mmol)とメタノール300mLを入れ、5℃まで冷却した。この溶液に1,2-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン(DDQ)13.8g(60.7mmol)をメタノール90mLに溶解させた溶液を1時間かけて滴下した。滴下後、室温(23~28℃)まで昇温し、2時間撹拌した。この溶液にLiN(SOCF20.1g(70.0mmol)を添加し、室温(23~28℃)で1時間撹拌した。この溶液を水1.6Lに注加し、析出した固体をろ取した。得られた固体をジクロロメタン400mLに溶解し、水300mLで洗浄した後、有機層を抽出し、硫酸マグネシウムを加え乾燥した。この溶液をろ過し、ろ液にシリカゲル40gを加え、室温(23~28℃)で1時間撹拌した後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮した後、残渣をメタノール200mLに溶解し、さらに水500mLを注加した。析出した固体をろ取し、80℃で減圧乾燥し、下記(中間体107)を得た(29.6g,収率76%)。
【0105】
【化31】
【0106】
続いて、以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、前記(中間体107)3.00g(3.59mmol)、N-エチルアニリン1.74g(14.4mmol)、1-ブタノール24mLを入れ、120℃で40時間撹拌した。反応液を冷却後、メタノール50mLを加え、この溶液を0.5M塩酸水溶液400mLに滴下した。析出した固体をろ過し、得られた固体をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ジクロロメタン/ヘプタン=70/30→ジクロロメタン→ジクロロメタン/アセトン=50/1(体積比))で精製し、溶媒を減圧留去した。残渣をメタノール30mLで溶解後、水90mLを加え、析出した固体をろ取した。得られた固体を60℃で減圧乾燥することで目的の化合物(C-3)を茶色固体として得た(2.85g,収率86%)。
【0107】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の58個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-3)で表される化合物の構造と同定した。
【0108】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=7.55(2H)、7.41(1H)、7.36(2H)、7.18(2H)、6.85(4H)、6.70(2H)、3.94(2H)、3.72(2H)、3.50(2H)、2.86(2H)、1.92-1.78(8H)、1.54(2H)、1.44(6H)、1.44-1.24(15H)、1.15(6H)。
【0109】
【化32】
【0110】
[合成実施例4]化合物(C-4)の合成
合成実施例3の(中間体106)合成において、4-クロロベンズアルデヒドを4-フルオロベンズアルデヒドに変更した以外は、同様な方法により、下記(中間体108)を得た(37.8g、収率72%)。
【0111】
【化33】
【0112】
続いて、合成実施例3の(中間体107)合成において、(中間体106)を前記(中間体108)に変更した以外は、同様な方法により、下記(中間体109)を得た(49.2g、収率87%)。
【0113】
【化34】
【0114】
続いて、以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、前記(中間体109)3.00g(3.66mmol)、N-メチル-p-アニシジン2.51g(18.3mmol)、1-ブタノール15mLを入れ、110℃で5時間撹拌した。反応液を冷却後、メタノール30mLを加え、この溶液を0.5M塩酸水溶液120mLに滴下した。析出した固体をろ過し、得られた固体をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ジクロロメタン/ヘプタン=70/30→ジクロロメタン→ジクロロメタン/アセトン=50/1(体積比))で精製し、溶媒を減圧留去した。残渣をメタノール30mLに溶解後、水90mLを加え、析出した固体をろ取した。得られた固体を80℃で減圧乾燥することで目的の化合物(C-4)を紫色固体として得た(2.65g,収率77%)。
【0115】
得られた紫色固体のNMR測定を行い、以下の58個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-4)で表される化合物の構造と同定した。
【0116】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=7.32(2H)、7.23(2H)、7.15(2H)、6.82(4H)、6.68(2H)、3.81(3H)、3.68(2H)、3.50(5H)、2.82(2H)、1.87(2H)、1.76(6H)、1.50(2H)、1.42(6H)、1.27-1.21(12H)、1.12(6H)。
【0117】
【化35】
【0118】
[合成実施例5]化合物(C-5)の合成
合成実施例3の化合物(C-3)合成において、N-エチルアニリンをアニリンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-5)を茶色固体として得た(2.94g,収率92%)。
【0119】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の54個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-5)で表される化合物の構造と同定した。
【0120】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=9.57(1H)、7.42(2H)、7.32(2H)、7.23-7.14(5H)、6.86(2H)、6.71(2H)、3.69(2H)、3.52(2H)、2.85(2H)、1.92-1.84(8H)、1.53(2H)、1.44(6H)、1.30-1.24(12H)、1.14(6H)。
【0121】
【化36】
【0122】
[合成実施例6]化合物(C-6)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、前記(中間体109)5.00g(6.10mmol)、o-トルイジン5.23g(48.8mmol)、1-ブタノール15mLを入れ、110℃で5時間撹拌した。反応液を冷却後、メタノール30mLを加え、この溶液を1M塩酸水溶液150mLに滴下した。析出した固体をろ過取し、得られた固体をジクロロメタン50mLに溶解した後、シリカゲル10gを添加し、室温(23~28℃)で1時間撹拌した。この溶液をろ過し、ろ液を減圧濃縮した後、残渣をメタノール25mLで溶解させた。水100mL注加し、析出した固体をろ取し、得られた固体を80℃で減圧乾燥することで目的の化合物(C-6)を茶色固体として得た(5.10g,収率92%)。
【0123】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の56個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-6)で表される化合物の構造と同定した。
【0124】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=9.35(1H)、7.36(1H)、7.29(2H)、7.23-7.17(3H)、6.87(2H)、6.84(2H)、6.69(2H)、3.70(2H)、3.48(2H)、2.83(2H)、2.23(3H)、1.87(2H)、1.82(6H)、1.51(2H)、1.43(6H)、1.25(12H)、1.12(6H)。
【0125】
【化37】
【0126】
[合成実施例7]化合物(C-7)の合成
合成実施例3の化合物(C-3)合成において、N-エチルアニリンをp-フェネチジンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-7)を茶色固体として得た(3.09g,収率92%)。
【0127】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の58個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-7)で表される化合物の構造と同定した。
【0128】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=9.44(1H)、7.22(4H)、7.03(4H)、6.86(2H)、6.69(2H)、4.08(2H)、3.70(2H)、3.51(2H)、2.86(2H)、1.92-1.79(8H)、1.54(2H)、1.45(6H)、1.35(3H)、1.30-1.24(12H)、1.15(6H)。
【0129】
【化38】
【0130】
[合成実施例8]化合物(C-8)の合成
合成実施例4の化合物(C-4)合成において、N-メチル-p-アニシジンを3,4-ジメトキシアニリンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-8)を茶色固体として得た(3.03g,収率87%)。
【0131】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の58個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-8)で表される化合物の構造と同定した。
【0132】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=9.54(1H)、7.20(2H)、7.08(2H)、7.02(1H)、6.91(1H)、6.87(3H)、6.69(2H)、3.80(6H)、3.71(2H)、3.49(2H)、2.85(2H)、1.91(2H)、1.86(6H)、1.55(2H)、1.50(6H)、1.27(12H)、1.15(6H)。
【0133】
【化39】
【0134】
[合成実施例9]化合物(C-9)の合成
合成実施例4の化合物(C-4)合成において、N-メチル-p-アニシジンを3,4,5-トリメトキシアニリンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-9)を茶色固体として得た(3.09g,収率86%)。
【0135】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の60個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-9)で表される化合物の構造と同定した。
【0136】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=9.53(1H)、7.22(2H)、7.17(2H)、6.86(2H)、6.70(2H)、6.61(2H)、3.81(6H)、3.74(5H)、3.53(2H)、2.84(2H)、1.91(2H)、1.86(6H)、1.53(2H)、1.44(6H)、1.27(12H)、1.16(6H)。
【0137】
【化40】
【0138】
[合成実施例10]化合物(C-10)の合成
合成実施例4の化合物(C-4)合成において、N-メチル-p-アニシジンを3,4-メチレンジオキシアニリンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-10)を茶色固体として得た(2.92g,収率85%)。
【0139】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の54個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-10)で表される化合物の構造と同定した。
【0140】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=9.48(1H)、7.19(2H)、7.04(2H)、6.96(1H)、6.90(1H)、6.84(2H)、6.78(1H)、6.69(2H)、6.06(2H)、3.71(2H)、3.51(2H)、2.85(2H)、1.88(2H)、1.82(6H)、1.53(2H)、1.44(6H)、1.30(12H)、1.14(6H)。
【0141】
【化41】
【0142】
[合成実施例11]化合物(C-11)の合成
合成実施例3の化合物(C-3)合成において、N-エチルアニリンをN,N-ジエチル-1,4-フェニレンジアミンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-11)を暗紫色固体として得た(2.77g,収率80%)。
【0143】
得られた暗紫色固体のNMR測定を行い、以下の63個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-11)で表される化合物の構造と同定した。
【0144】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=9.56(1H)、7.17(4H)、7.01(2H)、6.85(2H)、6.76(2H)、6.67(2H)、3.68(2H)、3.50(2H)、3.36(4H)、2.86(2H)、1.92-1.83(8H)、1.53(2H)、1.43(6H)、1.26(12H)、1.13(12H)。
【0145】
【化42】
【0146】
[合成実施例12]化合物(C-12)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、前記(中間体109)3.00g(3.66mmol)、4-アミノベンゾトリフルオリド8.84g(54.9mmol)を入れ、110℃で14時間撹拌した。反応液を冷却後、メタノール15mLを加え、この溶液を0.5M塩酸水溶液90mLに滴下した。析出した固体をろ過し、得られた固体をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ジクロロメタン/ヘプタン=70/30→ジクロロメタン→ジクロロメタン/アセトン=50/1(体積比))で精製し、溶媒を減圧留去した。残渣をメタノール30mLに溶解後、水90mLを加え、析出した固体をろ取した。得られた固体を80℃で減圧乾燥することで目的の化合物(C-12)を茶色固体として得た(2.76g,収率78%)。
【0147】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の53個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-12)で表される化合物の構造と同定した。
【0148】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=9.84(1H)、7.72(2H)、7.45(2H)、7.30(2H)、7.23(2H)、6.84(2H)、6.74(2H)、3.73(2H)、3.53(2H)、2.83(2H)、1.91-1.76(8H)、1.55-1.44(8H)、1.27(12H)、1.14(6H)。
【0149】
【化43】
【0150】
[合成実施例13]化合物(C-13)の合成
合成実施例12において、4-アミノベンゾトリフルオリドを2-フルオロアニリンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-13)を暗紫色固体として得た(2.40g,収率72%)。
【0151】
得られた暗紫色固体のNMR測定を行い、以下の53個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-13)で表される化合物の構造と同定した。
【0152】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=9.32(1H)、7.48(1H)、7.34(1H)、7.27(2H)、7.20(2H)、7.01(2H)、6.85(2H)、6.72(2H)、3.70(2H)、3.53(2H)、1.92-1.83(8H)、1.53(2H)、1.45(6H)、1.27(12H)、1.14(6H)。
【0153】
【化44】
【0154】
[合成実施例14]化合物(C-14)の合成
合成実施例3の化合物(C-3)合成において、N-エチルアニリンを1-ナフチルアミンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-14)を紫色固体として得た(1.73g,収率51%)。
【0155】
得られた紫色固体のNMR測定を行い、以下の56個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-14)で表される化合物の構造と同定した。
【0156】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=9.72(1H)、8.02(2H)、7.87(1H)、7.58(4H)、7.18(2H)、7.00(2H)、6.86(2H)、6.69(2H)、3.68(2H)、3.51(2H)、2.85(2H)、1.91-1.84(8H)、1.52(2H)、1.43(6H)、
1.26(12H)、1.15(6H)。
【0157】
【化45】
【0158】
[合成実施例15]化合物(C-15)の合成
合成実施例3の化合物(C-3)合成において、N-エチルアニリンをシクロヘキサンアミンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-15)を茶色固体として得た(1.79g,収率56%)。
【0159】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の60個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-15)で表される化合物の構造と同定した。
【0160】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=7.97(1H)、7.16(2H)、6.84(4H)、6.64(2H)、3.66(2H)、3.57(1H)、3.46(2H)、2.85(2H)、1.96(2H)、1.90-1.76(10H)、1.51(2H)、1.42-1.15(30H)。
【0161】
【化46】
【0162】
[合成実施例16]化合物(C-16)の合成
合成実施例3の化合物(C-3)合成において、N-エチルアニリンを1-アダマンタンアミンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-16)を紫色固体として得た(0.44g,収率13%)。
【0163】
得られた紫色固体のNMR測定を行い、以下の64個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-16)で表される化合物の構造と同定した。
【0164】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=7.57(1H)、7.11(2H)、7.03(2H)、6.82(2H)、6.65(2H)、3.67(2H)、3.46(2H)、2.85(2H)、2.14(3H)、2.06(6H)、1.90-1.76(8H)、1.72-1.67(6H)、1.51(2H)、1.49(6H)、1.26(12H)、1.14(6H)。
【0165】
【化47】
【0166】
[合成実施例17]化合物(C-17)の合成
合成実施例3の化合物(C-3)合成において、N-エチルアニリンを4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-17)を紫色固体として得た(3.16g,収率92%)。
【0167】
得られた紫色固体のNMR測定を行い、以下の67個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-17)で表される化合物の構造と同定した。
【0168】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=7.53(2H)、7.09(2H)、6.81(2H)、6.75(2H)、6.59(2H)、4.05(1H)、3.62(2H)、3.41(2H)、2.77(2H)、2.00(2H)、1.84-1.74(8H)、1.51-1.43(10H)、1.36(12H)、1.23(12H)、1.12(6H)。
【0169】
【化48】
【0170】
[合成実施例18]化合物(C-18)の合成
合成実施例1の(中間体100)合成において、ヨードエタンを1-ヨード-2-メチルプロパンに変更した以外は、同様な方法により、下記(中間体110)を得た(4.34g、収率67%)。
【0171】
【化49】
【0172】
続いて、合成実施例4の(中間体108)合成において、(中間体100)を前記(中間体110)に変更した以外は、同様な方法により、下記(中間体111)を得た(2.66g、収率85%)。
【0173】
【化50】
【0174】
続いて、合成実施例4の(中間体109)合成において、(中間体108)を前記(中間体111)に変更した以外は、同様な方法により、下記(中間体112)を得た(2.53g、収率65%)。
【0175】
【化51】
【0176】
続いて、合成実施例4の化合物(C-4)合成において、N-メチル-p-アニシジンをp-フェネチジンに、(中間体109)を前記(中間体112)に変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-18)を茶色固体として得た(2.57g,収率95%)。
【0177】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の67個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-18)で表される化合物の構造と同定した。
【0178】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=9.83(1H)、7.23(4H)、7.03(4H)、6.81(2H)、6.71(2H)、4.04(2H)、3.18(2H)、3.46(2H)、2.79(2H)、2.11(2H)、1.91(2H)、1.77(6H)、1.47(2H)、1.34(10H)、1.27(6H)、1.12(6H)、0.96(6H)、0.88(6H)。
【0179】
【化52】
【0180】
[合成実施例19]化合物(C-19)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、1,2,3,4-テトラヒドロ-2,2,4,7-テトラメチルキノリン25.0g(132mmol)、ブロモトルエン24.9g(145mmol)、カリウムt-ブトキシド22.2g(198mmol)、トルエン88mL、酢酸パラジウム1.48g(6.60mmol)、トリ-t-ブチルホスフィン(50重量%トルエン溶液)5.34g(13.2mmol)を入れ、還流下で72時間撹拌した。冷却後、反応液をろ過し、ろ液を水200mLで洗浄し、有機層を抽出した。無水硫酸マグネシウムを添加し、有機層を乾燥後、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をヘプタン350mLで溶解した後、シリカゲル35gを加え、室温(23~28℃)で30分撹拌した後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮することで、下記(中間体113)を得た(34.6g、収率94%)。
【0181】
【化53】
【0182】
続いて、以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、DMF44.2g(604mmol)、濃硫酸11.9g(121mmol)を入れ、室温(23~28℃)で撹拌した。ここに4-フルオロベンズアルデヒド7.50g(60.4mmol)、前記(中間体113)34.1g(122mmol)を加え、120℃で16時間撹拌した。反応液100℃まで冷却後、水100mLを注加し、析出した固体をろ取した。得られた固体にメタノール160mLを加え、60℃で懸濁洗浄した後、固体をろ取した。得られた固体を60℃で減圧乾燥し、下記(中間体114)を得た(36.3g,収率90%)。
【0183】
【化54】
【0184】
続いて、反応容器に、前記中間体(114)36.0g(54.1mmol)とTHF180mLを入れ、室温(23~28℃)で撹拌した。この溶液にDDQ16.0g(70.4mmol)をTHF90mLに溶解させた溶液を30分かけて滴下し、滴下後、室温(23~28℃)で3時間撹拌した。この溶液にLiN(SOCF23.3g(81.2mmol)を添加し、室温(23~28℃)で1時間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、残渣をメタノール200mLに溶解し、ろ過した。ろ液に水1.2Lを加え、析出した固体をろ取した。得らえた固体をジクロロメタン200mLに溶解した後、シリカゲル50gを加え、室温(23~28℃)で1時間撹拌した後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮した後、残渣をメタノール200mLに溶解し、さらに水600mLを注加した。析出した固体をろ取し、80℃で減圧乾燥し、下記(中間体115)を得た(41.5g,収率81%)。
【0185】
【化55】
【0186】
続いて、合成実施例4の化合物(C-4)合成において、N-メチル-p-アニシジンをジイソブチルアミンに、(中間体109)を前記(中間体115)に変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-19)を紫色固体として得た(3.15g,収率93%)。
【0187】
得られた紫色固体のNMR測定を行い、以下の70個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-19)で表される化合物の構造と同定した。
【0188】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=7.36(4H)、7.24-6.97(8H)、6.92(2H)、5.77(2H)、3.59-3.46(4H)、3.04(2H)、2.39(6H)、2.14-1.98(4H)、1.70(2H)、1.48(6H)、1.31(6H)、1.22(6H)、1.05(6H)、0.93(12H)。
【0189】
【化56】
【0190】
[合成実施例20]化合物(C-20)の合成
合成実施例19の化合物(C-19)合成において、ジイソブチルアミンをN-エチルアニリンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-20)を茶色固体として得た(1.00g,収率33%)。
【0191】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の62個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-20)で表される化合物の構造と同定した。
【0192】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=7.57(2H)、7.46-7.32(7H)、7.28-7.05(6H)、6.94(2H)、6.85(2H)、5.86(2H)、3.97(2H)、2.41(6H)、2.03(2H)、1.73(2H)、1.35(6H)、1.24(6H)、1.05(11H)、1.10(6H)。
【0193】
【化57】
【0194】
[合成実施例21]化合物(C-21)の合成
合成実施例19の化合物(C-19)合成において、ジイソブチルアミンをN-メチル-p-アニシジンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-21)を紫色固体として得た(5.92g,収率91%)。
【0195】
得られた紫色固体のNMR測定を行い、以下の62個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-21)で表される化合物の構造と同定した。
【0196】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=7.37(4H)、7.31(2H)、7.21-7.05(8H)、6.93(2H)、6.85(2H)、5.83(2H)、3.83(3H)、3.49(3H)、3.05(2H)、2.41(6H)、2.03(2H)、1.75(2H)、1.54(6H)、1.33(6H)、1.22(6H)、1.09(6H)。
【0197】
【化58】
【0198】
[合成実施例22]化合物(C-22)の合成
合成実施例19の(中間体114)合成において、4-フルオロベンズアルデヒドを4-(N,N-ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒドに変更した以外は、同様な方法により、下記(中間体116)を得た(5.65g、収率76%)。
【0199】
【化59】
【0200】
合成実施例19の(中間体115)合成において、(中間体114)を上記(中間体116)変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-22)を紫色固体として得た(5.07g,収率67%)。
【0201】
得られた紫色固体のNMR測定を行い、以下の62個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-22)で表される化合物の構造と同定した。
【0202】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=7.48(4H)、7.44-7.26(10H)、7.23-7.05(6H)、6.94(2H)、6.87(2H)、5.81(2H)、3.05(2H)、2.40(6H)、2.02(2H)、1.72(2H)、1.51(6H)、1.33(6H)、1.22(6H)、1.06(6H)。
【0203】
【化60】
【0204】
[合成実施例23]化合物(C-23)の合成
合成実施例19の化合物(C-19)合成において、ジイソブチルアミンをアニリンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-23)を紫色固体として得た(3.02g,収率93%)。
【0205】
得られた紫色固体のNMR測定を行い、以下の58個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-23)で表される化合物の構造と同定した。
【0206】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=9.84(1H)、7.45(2H)、7.38(4H)、7.32(2H)、7.25-7.03(9H)、6.95(2H)、5.85(2H)、3.06(2H)、2.41(6H)、2.03(2H)、1.74(2H)、1.55(6H)、1.35(6H)、1.25(6H)、1.18(6H)。
【0207】
【化61】
【0208】
[合成実施例24]化合物(C-24)の合成
合成実施例19の化合物(C-19)合成において、ジイソブチルアミンをo-トルイジンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-24)を紫色固体として得た(3.21g,収率98%)。
【0209】
得られた紫色固体のNMR測定を行い、以下の60個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-24)で表される化合物の構造と同定した。
【0210】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=9.55(1H)、7.37(4H)、7.30(2H)、7.26(1H)、7.22-6.99(6H)、6.94(2H)、6.88(2H)、5.84(2H)、3.07(2H)、2.41(6H)、2.24(3H)、2.03(2H)、1.74(2H)、1.54(6H)、1.34(6H)、1.25(6H)、1.17(6H)。
【0211】
【化62】
【0212】
[合成実施例25]化合物(C-25)の合成
以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、前記(中間体115)3.00g(3.18mmol)、2,6-ジメチルアニリン3.85g(31.8mmol)を入れ、110℃で6時間撹拌した。反応液を冷却後、メタノール20mLを加え、この溶液を0.5M塩酸水溶液100mLに滴下した。析出した固体をろ過し、得られた固体をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ジクロロメタン/ヘプタン=70/30→ジクロロメタン→ジクロロメタン/アセトン=50/1(体積比))で精製し、溶媒を減圧留去した。残渣をメタノール20mLに溶解後、水60mLを加え、析出した固体をろ取した。得られた固体を80℃で減圧乾燥することで目的の化合物(C-25)を紫色固体として得た(3.02g,収率91%)。
【0213】
得られた紫色固体のNMR測定を行い、以下の62個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-25)で表される化合物の構造と同定した。
【0214】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=9.66(1H)、7.36(4H)、7.28-7.00(9H)、6.99-5.92(4H)、5.77(2H)、3.04(2H)、2.39(6H)、2.16(6H)、2.01(2H)、1.70(2H)、1.49(6H)、1.31(6H)、1.21(6H)、1.04(6H)。
【0215】
【化63】
【0216】
[合成実施例26]化合物(C-26)の合成
合成実施例25の化合物(C-25)合成において、2,6-ジメチルアニリンを2,4,6-トリメチルアニリンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-26)を紫色固体として得た(3.04g,収率90%)。
【0217】
得られた紫色固体のNMR測定を行い、以下の64個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-26)で表される化合物の構造と同定した。
【0218】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=9.64(1H)、7.36(4H)、7.27-6.98(9H)、6.91(2H)、6.14(1H)、5.77(2H)、3.04(2H)、2.39(6H)、2.28(3H)、2.11(6H)、2.00(2H)、1.70(2H)、1.48(6H)、1.31(6H)、1.20(6H)、1.15(6H)。
【0219】
【化64】
【0220】
[合成実施例27]化合物(C-27)の合成
合成実施例19の化合物(C-19)合成において、ジイソブチルアミンをp-フェニチジンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-27)を紫色固体として得た(5.24g,収率93%)。
【0221】
得られた紫色固体のNMR測定を行い、以下の62個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-27)で表される化合物の構造と同定した。
【0222】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=9.84(1H)、7.37(4H)、7.27-7.06(8H)、7.01(4H)、6.94(2H)、5.84(2H)、4.07(2H)、3.07(2H)、2.41(6H)、2.04(2H)、1.73(2H)、1.54(6H)、1.35(6H)、1.25(6H)、1.16(6H)。
【0223】
【化65】
【0224】
[合成実施例28]化合物(C-28)の合成
合成実施例19の化合物(C-19)合成において、ジイソブチルアミンを4-フェノキシアニリンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-28)を紫色固体として得た(3.24g,収率92%)。
【0225】
得られた紫色固体のNMR測定を行い、以下の62個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-28)で表される化合物の構造と同定した。
【0226】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=9.85(1H)、7.44-7.35(8H)、7.26-7.02(13H)、6.95(2H)、5.85(2H)、3.07(2H)、2.41(6H)、2.04(2H)、1.75(2H)、1.55(6H)、1.34(6H)、1.25(6H)、1.16(6H)。
【0227】
【化66】
【0228】
[合成実施例29]化合物(C-29)の合成
合成実施例19の化合物(C-19)合成において、ジイソブチルアミンを4-(メチルチオ)アニリンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-29)を褐色固体として得た(3.13g,収率93%)。
【0229】
得られた褐色固体のNMR測定を行い、以下の60個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-29)で表される化合物の構造と同定した。
【0230】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=9.85(1H)、7.41-7.42(6H)、7.28(2H)、7.26-7.03(8H)、6.95(2H)、5.85(2H)、3.07(2H)、2.41(6H)、2.04(2H)、1.75(2H)、1.55(6H)、1.34(6H)、1.25(6H)、1.16(6H)。
【0231】
【化67】
【0232】
[合成実施例30]化合物(C-30)の合成
合成実施例19の化合物(C-19)合成において、ジイソブチルアミンを3-フルオロ-4-メトキシアニリンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-30)を紫色固体として得た(2.84g,収率84%)。
【0233】
得られた紫色固体のNMR測定を行い、以下の59個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-30)で表される化合物の構造と同定した。
【0234】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=9.76(1H)、7.38(4H)、7.28-7.02(11H)、6.95(2H)、5.85(2H)、3.88(3H)、3.06(2H)、2.41(6H)、2.04(2H)、1.75(2H)、1.55(6H)、1.35(6H)、1.24(6H)、1.16(6H)。
【0235】
【化68】
【0236】
[合成実施例31]化合物(C-31)の合成
合成実施例25の化合物(C-25)合成において、2,6-ジメチルアニリンを2-フルオロアニリンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-31)を紫色固体として得た(2.85g,収率87%)。
【0237】
得られた紫色固体のNMR測定を行い、以下の57個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-31)で表される化合物の構造と同定した。
【0238】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=9.57(1H)、7.47(1H)、7.41-7.26(7H)、7.24-7.04(6H)、7.02(2H)、6.95(2H)、5.86(2H)、3.08(2H)、2.41(6H)、2.34(2H)、1.75(2H)、1.54(6H)、1.35(6H)、1.24(6H)、1.19(6H)。
【0239】
【化69】
【0240】
[合成実施例32]化合物(C-32)の合成
合成実施例25の化合物(C-25)合成において、2,6-ジメチルアニリンを3-フルオロアニリンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-32)を紫色固体として得た(2.83g,収率86%)。
【0241】
得られた紫色固体のNMR測定を行い、以下の57個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-32)で表される化合物の構造と同定した。
【0242】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=9.80(1H)、7.46(1H)、7.40(4H)、7.22(4H)、7.19-7.03(6H)、6.96(3H)、5.87(2H)、3.09(2H)、2.42(6H)、2.05(2H)、1.76(2H)、1.55(6H)、1.36(6H)、1.24(6H)、1.18(6H)。
【0243】
【化70】
【0244】
[合成実施例33]化合物(C-33)の合成
合成実施例25の化合物(C-25)合成において、2,6-ジメチルアニリンを4-フルオロアニリンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-33)を紫色固体として得た(2.95g,収率90%)。
【0245】
得られた紫色固体のNMR測定を行い、以下の57個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-33)で表される化合物の構造と同定した。
【0246】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=9.79(1H)、7.42-7.33(6H)、6.95(2H)、5.85(2H)、3.07(2H)、2.41(6H)、2.04(2H)、1.74(2H)、1.54(6H)、1.35(6H)、1.24(6H)、1.18(6H)。
【0247】
【化71】
【0248】
[合成実施例34]化合物(C-34)の合成
反応容器に、化合物(C-27)1.10g(1.04mmol)とメタノール10mLを入れ、室温で撹拌した。この溶液にリンタングステン酸水和物0.35gをメタノール5mLに溶解した溶液を滴下した。滴下後、室温(23~28℃)で3時間撹拌した後、析出した固体をろ取した。得られた固体を80℃で減圧乾燥することで、目的の化合物(C-34)を青色固体として得た(1.16g,収率89%)。
【0249】
得られた青色固体のNMR測定を行い、以下の186個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-34)で表される化合物の構造と同定した。
【0250】
H-NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)=9.82(3H)、7.38(12H)、7.25(6H)、7.23-7.07(18H)、7.02(12H)、6.94(6H)、5.84(6H)、4.07(6H)、3.07(6H)、2.41(18H)、2.03(6H)、1.74(6H)、1.53(18H)、1.35(27H)、1.25(18H)、1.17(18H)。
【0251】
【化72】
【0252】
[合成実施例35]化合物(C-35)の合成
合成実施例34の化合物(C-34)合成において、化合物(C-27)を化合物(C-4)に変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-35)を青色固体として得た(2.80g,収率70%)。
【0253】
得られた青色固体のNMR測定を行い、以下の174個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-35)で表される化合物の構造と同定した。
【0254】
H-NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)=7.27(6H)、7.19(6H)、7.02(6H)、6.93-6.80(12H)、6.59(6H)、3.87(9H)、3.67(6H)、3.56-3.51(15H)、2.89(6H)、1.90-1.80(24H)、1.63(6H)、1.46(18H)、1.35(36H)、1.23(18H)。
【0255】
【化73】
【0256】
[合成実施例36]化合物(C-36)の合成
合成実施例34の化合物(C-34)合成において、化合物(C-27)を化合物(C-29)に変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-36)を青色固体として得た(16.3g,収率89%)。
【0257】
得られた青色固体のNMR測定を行い、以下の180個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-36)で表される化合物の構造と同定した。
【0258】
H-NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)=9.81.(3H)、7.28(24H)、7.15(12H)、7.03(12H)、6.94(6H)、5.86(6H)、3.06(6H)、2.48(9H)、2.43(18H)、1.95(6H)、1.77(6H)、1.57(18H)、1.38(18H)、1.28(18H)、1.11(18H)。
【0259】
【化74】
【0260】
[合成実施例37]化合物(C-37)の合成
合成実施例19の(中間体114)合成において、4-フルオロベンズアルデヒドをN-(4-ホルミルフェニル)アセトアミドに変更した以外は、同様な方法により、下記(中間体117)を得た(1.90g、収率22%)。
【0261】
【化75】
【0262】
合成実施例19の(中間体115)合成において、(中間体114)を上記(中間体117)に変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-37)を紫色固体として得た(1.50g,収率56%)。
【0263】
得られた紫色固体のNMR測定を行い、以下の56個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-37)で表される化合物の構造と同定した。
【0264】
H-NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)=9.04(1H)、7.94(2H)、7.35(4H)、7.20(2H)、7.09-7.03(4H)、6.94(2H)、5.88(2H)、3.08(3H)、2.47(6H)、1.98(2H)、1.81(2H)、1.58-1.52(8H)、1.43(6H)、1.28(6H)、1.15(6H)。
【0265】
【化76】
【0266】
[合成実施例38]化合物(C-38)の合成
合成実施例3の化合物(C-4)合成において、N-メチル-p-アニシジンをp-アニシジンに変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-38)を茶色固体として得た(1.80g,収率88%)。
【0267】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の56個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-38)で表される化合物の構造と同定した。
【0268】
H-NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)=9.84(1H)、7.25-7.16(6H)、6.96(4H)、6.55(2H)、3.82(3H)、3.64(2H)、3.51(2H)、2.91(2H)、1.87-1.80(10H)、1.46(6H)、1.45(12H)、1.23(6H)。
【0269】
【化77】
【0270】
[合成実施例39]化合物(C-39)の合成
合成実施例34の化合物(C-34)合成において、化合物(C-27)を化合物(C-38)に変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-39)を青色固体として得た(1.40g,収率53%)。
【0271】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の168個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-39)で表される化合物の構造と同定した。
【0272】
H-NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)=9.82(3H)、7.25-7.16(18H)、6.97(12H)、6.55(6H)、3.81(9H)、3.64(6H)、3.51(6H)、2.91(6H)、1.87-1.80(30H)、1.46(18H)、1.45(36H)、1.23(18H)。
【0273】
【化78】
【0274】
[合成実施例40]化合物(C-40)の合成
合成実施例4の(中間体108)合成において、(中間体100)を1,2,3,4-テトラヒドロ-2,2,4,7-テトラメチルキノリンに変更した以外は、同様な方法により、下記(中間体118)を得た(7.50g、収率77%)。
【0275】
【化79】
【0276】
続いて、合成実施例3の(中間体107)合成において、(中間体106)を前記(中間体118)に変更した以外は、同様な方法により、下記(中間体119)を得た(2.40g、収率34%)。
【0277】
【化80】
【0278】
続いて、合成実施例27の化合物(C-27)合成において、(中間体115)を前記(中間体119)に変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-40)を紫色固体として得た(1.00g,収率67%)。
【0279】
得られた紫色固体のNMR測定を行い、以下の50個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-40)で表される化合物の構造と同定した。
【0280】
H-NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)=9.81(1H)、7.23-7.14(4H)、7.02-6.84(6H)、6.52(2H)、5.76(2H)、4.06(2H)、2.87(2H)、1.89-1.55(10H)、1.48(3H)、1.32(6H)、1.35(6H)、1.22(6H)。
【0281】
【化81】
【0282】
[合成実施例41]化合物(C-41)の合成
合成実施例19の(中間体113)合成において、4-ブロモトルエンをブロモベンゼンに変更した以外は、同様な方法により、下記(中間体120)を得た(27.3g、収率88%)。
【0283】
【化82】
【0284】
続いて、合成実施例4の(中間体108)合成において、(中間体100)を前記(中間体120)に変更した以外は、同様な方法により、下記(中間体121)を得た(8.96g、収率87%)。
【0285】
【化83】
【0286】
続いて、合成実施例3の(中間体107)合成において、(中間体106)を前記(中間体121)に変更した以外は、同様な方法により、下記(中間体122)を得た(10.9g、収率85%)。
【0287】
【化84】
【0288】
続いて、合成実施例23の化合物(C-23)合成において、(中間体115)を前記(中間体122)に変更した以外は、同様な方法により、目的の化合物(C-41)を紫色固体として得た(2.88g,収率92%)。
【0289】
得られた紫色固体のNMR測定を行い、以下の54個の水素のシグナルを検出し、下記式(C-41)で表される化合物の構造と同定した。
【0290】
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δ(ppm)=10.06(1H)、7.60(4H)、7.51(2H)、7.45(2H)、7.32(4H)、7.26-7.07(7H)、6.96(2H)、5.77(2H)、3.07(2H)、2.03(2H)、1.74(2H)、1.51(6H)、1.35(6H)、1.23(6H)、1.11(6H)。
【0291】
【化85】
【0292】
[比較例化合物(D-1)の合成]
特許文献4(特開2012-83652号公報)の段落[0058]合成例1に記載された方法により、下記式で表される比較例化合物(D-1)を茶色固体として得た。
【0293】
得られた茶色固体のNMR測定を行い、以下の39個の水素のシグナルを検出し、下記式(D-1)で表される化合物の構造と同定した。
【0294】
H-NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)=8.01(1H)、7.54-7.18(7H)、6.90-6.62(5H)、6.18(1H)、3.62-3.51(10H)、1.47(3H)、1.30(12H)。
【0295】
【化86】
【0296】
[比較例化合物(D-2)の合成]
以下の反応は、窒素気流下で行った。反応容器に、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン20.0g(150mmol)、1-ヨードブタン33.7g(180mmol)、炭酸カリウム41.5g(300mmol)、DMF100mLを入れ、80℃で15時間撹拌した。反応液を冷却後、酢酸エチル200mLを加え、室温(23~28℃)で撹拌した後、ろ過した。ろ液にヘプタン100mLと水300mLを添加し、有機層を抽出し、さらに水300mLで2回洗浄後、有機層を抽出した。無水硫酸マグネシウムを添加し、有機層を乾燥後、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をヘプタン300mLで溶解した後、シリカゲル30gを加え、室温(23~28℃)で30分撹拌した後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮することで、下記(中間体202)を得た(23.9g、収率84%)。
【0297】
【化87】
【0298】
続いて、以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。反応容器に、4-ジエチルアミノベンズアルデヒド3.00g(16.9mmol)、前記(中間体202)6.50g(34.4mmol)、尿素0.51g(8.46mmol)、濃塩酸2.8mL(33.9mmol)、エチルセロソルブ45mLを入れ、90℃で4時間撹拌した。反応液を水250mLに注加後、炭酸ナトリウム3.50gを加え、室温(23~28℃)で撹拌した。上澄み液を除去した後、残渣をジクロロメタンに溶解し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この溶液をろ過し、ろ液を減圧濃縮した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ジクロロメタン/ヘプタン=60/40~100/0(体積比))で精製し、溶媒を減圧留去した。残渣を60℃で減圧乾燥し、下記(中間体203)を得た(5.12g,収率56%)。
【0299】
【化88】
【0300】
続いて、反応容器に、前記(中間体203)5.10g(9.48mmol)とジクロロメタン51mLを入れ撹拌し、固体を溶解した後、p-クロラニル3.50g(14.2mmol)を添加した。室温(23~28℃)で1時間撹拌した後、濃塩酸1.0mLを加え、さらに30分間撹拌した。反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ジクロロメタン/メタノール=100/1~10/1(体積比))で精製し、溶媒を減圧留去した。残渣をヘプタンで懸濁洗浄し、固体をろ取した後、80℃で減圧乾燥することで、下記(中間体204)を得た(4.53g,収率83%)。
【0301】
【化89】
【0302】
続いて、反応容器に、前記(中間体204)3.50g(6.12mmol)と水42mL、メタノール21mLを入れ60℃撹拌し、固体を溶解した後、LiN(SOCF 1.76g(6.12mmol)を添加した。60℃で1時間撹拌した後、冷却し、析出している固体をろ取した。得られた固体に水50mLを加え、50℃で懸濁洗浄した後、固体をろ取した。得られた固体を80℃減圧乾燥することで、下記式で表される比較例化合物(D-2)を藍色固体として得た(4.63g,収率93%)。
【0303】
得られた藍色固体のNMR測定を行い、以下の50個の水素のシグナルを検出し、下記式(D-2)で表される化合物の構造と同定した。
【0304】
H-NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)=7.29(2H)、7.18(2H)、7.04(2H)、6.78(2H)、6.70(2H)、3.56(8H)、3.47(4H)、2.77(4H)、2.02(4H)、1.69(4H)、1.44(4H)、1.32(6H)、1.00(6H)。
【0305】
【化90】
【0306】
[実施例1]
(極大吸収波長の測定)
合成実施例1で得られた化合物(C-1)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解し、濃度0.01mmol/Lの溶液を調製し、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、型式:V-650)を用いて、分光特性として紫外可視吸収スペクトル(350~800nmの波長範囲)を室温(25℃)で測定し、測定波長範囲における極大吸収波長を測定した。測定結果を表1に示す。
【0307】
(5%質量減少温度の測定)
合成実施例1で得られた化合物(C-1)について、熱重量測定-示差熱分析装置(株式会社マック・サイエンス製、TG-DTA 2000S型)を用いて、窒素気流下において、TG-DTA測定(試料質量:5.0~6.0mg、昇温速度:10℃/分)を行い、5%質量減少温度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0308】
(耐熱性の評価)
サンプル瓶に合成実施例1で得られた化合物(C-1)20mg、メタクリル酸、アクリル酸エステルおよびスチレンの共重合体の25質量%DMF-PGMEA混合溶液5gを入れ、30分間撹拌して混合した。得られた着色樹脂溶液をシリンジフィルターでろ過し、ろ液1gをガラス基板上に塗布(スピンコート法、1000rpm-6秒)し、100℃で2分間加熱乾燥して薄膜を作製した。得られた膜について、分光測色計(コニカミノルタ株式会社製、CM-5)を用いて色彩値を測定した。その後、230℃で20分間加熱を行い、同様に色彩値を測定した。230℃での加熱前後の色彩値の色差(ΔE ab)を耐熱性の指標とし、結果を表1に示す。
【0309】
[実施例2~実施例41]
実施例1において、化合物(C-1)の代わりに、合成実施例2~41で得られた化合物(C-2)~(C-41)を使用した以外は、実施例1と同様に、極大吸収波長の測定、5%質量減少温度の測定、耐熱性の評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0310】
[比較例1および比較例2]
比較のために、実施例の化合物(C-1)の代わりに、本発明に属さないトリアリールメタン色素であり、前記比較例化合物(D-1)および(D-2)を用いた以外は、実施例1と同様に、極大吸収波長の測定、5%質量減少温度の測定、耐熱性の評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0311】
【表1】
【0312】
表1に示すように、本発明の実施例の化合物であるトリアリールメタン色素は、比較例のトリアリールメタン色素と比較して、5%質量減少温度および成膜時の耐熱性が高い点で優れている。
【産業上の利用可能性】
【0313】
本発明に係るトリアリールメタン色素を含有する着色組成物は、高い耐熱性を有しておりカラーフィルター用着色剤などの種々の用途の色素材料として利用可能である。また、該着色組成物をカラーフィルター用着色剤として用いることにより、色特性(色域、輝度、コントラスト比など)に優れたカラーフィルターを作製することが可能である。