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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129811
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】エスクロー登記支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/03 20230101AFI20240919BHJP
【FI】
G06Q40/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024035908
(22)【出願日】2024-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2023039161
(32)【優先日】2023-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】506170122
【氏名又は名称】株式会社山田エスクロー信託
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】山田 晃久
(57)【要約】
【課題】 不動産売買に関係する登記とエスクローと信託の手続を簡略化して迅速化し、不動産売買に関係する登記とエスクローと信託の業務を安全かつ円滑に運用できるエスクロー登記支援システムを提供する。
【解決手段】 業務処理サーバ1が、エスクロー契約、信託契約が締結され、エスクロー事業者端末6から不動産の売買と登記の情報が設定されると、関係者端末で共有させ、売主と買主からの不動産の登記依頼情報をエスクロー事業者端末6から受け付けると、司法書士端末5に登記依頼情報を通知すると共に、金融機関から不動産売買の融資実行情報が入力され、信託会社端末7から融資着金確認情報が入力されると、売主端末2に当該不動産売買の代金の金額と送金日を通知し、仲介業者端末4に当該不動産売買の仲介手数料の金額と送金日を通知し、司法書士端末5に当該不動産登記の報酬の金額と送金日を通知するものである。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不動産売買に関係する登記とエスクローと信託を支援する業務処理サーバを備えるエスクロー登記支援システムであって、
前記業務処理サーバは、エスクロー契約に基づいて、エスクロー事業者端末からの不動産売買の情報を登録し、当該登録された情報に基づく売主と買主から不動産の登記依頼情報を受け付けると、司法書士端末に登記依頼情報を通知し、金融機関から当該不動産売買の融資実行情報が入力され、信託会社端末から融資着金確認情報が入力されると、信託契約に基づき前記売主の売主端末に当該不動産売買の代金の金額と送金日を通知し、前記仲介業者端末に当該不動産売買の仲介手数料の金額と送金日を通知することを特徴とするエスクロー登記支援システム。
【請求項2】
前記業務処理サーバは、前記信託会社端末から融資着金確認情報が入力されると、前記司法書士端末に当該不動産登記の報酬の金額と送金日を通知することを特徴とする請求項1記載のエスクロー登記支援システム。
【請求項3】
前記業務処理サーバは、売主と買主から司法書士に対する不動産の登記依頼情報をエスクロー事業者端末から受け付けることを特徴とする請求項1又は2記載のエスクロー登記支援システム。
【請求項4】
前記業務処理サーバは、前記エスクロー事業者端末から入力された不動産売買の手付金指図書情報と残代金送金指図書情報を前記売主端末、前記買主端末、前記仲介業者端末、前記司法書士端末及び前記金融機関端末で共有することを特徴とする請求項1又は2記載のエスクロー登記支援システム。
【請求項5】
前記業務処理サーバは、前記不動産売買の情報、前記不動産の登記申請に関する情報、前記エスクロー契約の履行に関する情報、前記信託契約に関する情報、前記金融機関の融資に関する情報を取引の番号に関連付けて、当該取引を参照可能な端末に前記取引のステータスを表示させることを特徴とする請求項1又は2記載のエスクロー登録支援システム。
【請求項6】
不動産売買に関係する登記とエスクローと信託を支援する業務処理サーバで動作する処理プログラムであって、
前記業務処理サーバを、エスクロー契約に基づいて、エスクロー事業者端末からの不動産売買の情報を登録し、当該登録された情報に基づく売主と買主から不動産の登記依頼情報を受け付けると、司法書士端末に登記依頼情報を通知し、金融機関から当該不動産売買の融資実行情報が入力され、信託会社端末から融資着金確認情報が入力され、前記不動産売買に係る残代金の送金完了が入力されると、信託契約に基づき前記売主の売主端末に当該不動産売買の代金の金額と送金日を通知し、前記仲介業者端末に当該不動産売買の仲介手数料の金額と送金日を通知し、前記司法書士端末に当該不動産登記の報酬の金額と送金日を通知するよう機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、登記とエスクローと信託を支援するシステムに係り、特に、不動産売買に関係する登記とエスクローと信託の手続を安全かつ円滑に遂行し、手続の簡略化・迅速化を図ることができるエスクロー登記支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来の不動産売買において、ネットワークを用いた処理を実現するシステムが考えられている。
【0003】
[関連技術]
尚、関連する先行技術文献として、特許第4854714号公報「信託型電子決済システム」(特許文献1)、特許第7140945号公報「不動産売買の支援装置」(特許文献2)、特許第7175418号公報「不動産決済支援システム、不動産決済支援方法及びプログラム」(特許文献3)、特開2005-107558号公報「売買仲介方法および売買仲介装置」(特許文献4)、特開2021-109379号公報「決済システム、決済方法、およびプログラム」(特許文献5)がある。
【0004】
特許文献1には、顧客からの最終意思データで入金された資金の信託受益権移転処理の実行要求のデータを信託管理システム/資金決済システムに送信して処理を行うことが示されている。
【0005】
特許文献2には、売買契約、金銭消費貸借契約、抵当権設定契約、金融機関からの借り入れ、不動産の所有権移転登記、抵当権設定登記等の手続をワンストップで行うことが示されている。
【0006】
特許文献3には、不動産決済を行うために、司法書士を仮登録し、受任の意思を確認し、売主、買主、司法書士の面談を設定して送金手続を進めるシステムが示されている。
【0007】
特許文献4には、売買契約を結び、信託口座に売買代金を預け、所有権の移転手続、代金を売主に送金するステップを含む基本的な方法が示されている。
【0008】
特許文献5には、第1の口座情報と第2の口座情報から決済処理情報を生成し、それに基づき金融機関へ決済処理を依頼する電文を生成することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4854714号公報
【特許文献2】特許第7140945号公報
【特許文献3】特許第7175418号公報
【特許文献4】特開2005-107558号公報
【特許文献5】特開2021-109379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来のシステムでは、登記とエスクローと信託を十分に支援できるものとはなっておらず、不動産売買に関係する登記とエスクローと信託の手続を簡略化して迅速化できていないという問題点があった。
【0011】
尚、特許文献1~5には、不動産売買に関係する登記とエスクローと信託の手続を簡略化・迅速化して、手続を安全かつ円滑に運用するための構成について記載がない。
【0012】
本発明は上記実状に鑑みて為されたものであり、不動産売買に関係する登記とエスクローと信託の手続を簡略化して迅速化し、不動産売買に関係する登記とエスクローと信託の業務を安全かつ円滑に運用できるエスクロー登記支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、不動産売買に関係する登記とエスクローと信託を支援する業務処理サーバを備えるエスクロー登記支援システムであって、業務処理サーバが、エスクロー契約に基づいて、エスクロー事業者端末からの不動産売買の情報を登録し、当該登録された情報に基づく売主と買主から不動産の登記依頼情報を受け付けると、司法書士端末に登記依頼情報を通知し、金融機関から当該不動産売買の融資実行情報が入力され、信託会社端末から融資着金確認情報が入力されると、信託契約に基づき売主の売主端末に当該不動産売買の代金の金額と送金日を通知し、仲介業者端末に当該不動産売買の仲介手数料の金額と送金日を通知することを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記エスクロー登記支援システムにおいて、業務処理サーバが、信託会社端末から融資着金確認情報が入力されると、司法書士端末に当該不動産登記の報酬の金額と送金日を通知することを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記エスクロー登記支援システムにおいて、業務処理サーバが、売主と買主から司法書士に対する不動産の登記依頼情報をエスクロー事業者端末から受け付けることを特徴とする。
【0016】
本発明は、上記エスクロー登記支援システムにおいて、業務処理サーバが、エスクロー事業者端末から入力された不動産売買の手付金指図書情報と残代金送金指図書情報を売主端末、買主端末、仲介業者端末、司法書士端末及び金融機関端末で共有することを特徴とする。
【0017】
本発明は、上記エスクロー登記支援システムにおいて、業務処理サーバが、不動産売買の情報、不動産の登記申請に関する情報、エスクロー契約の履行に関する情報、信託契約に関する情報、不動産売買に係る融資に関する情報を取引の番号に関連付けて、当該取引を参照可能な端末に取引のステータスを表示させることを特徴とする。
【0018】
本発明は、不動産売買に関係する登記とエスクローと信託を支援する業務処理サーバで動作する処理プログラムであって、業務処理サーバを、エスクロー契約に基づいて、エスクロー事業者端末からの不動産売買の情報を登録し、当該登録された情報に基づく売主と買主から不動産の登記依頼情報を受け付けると、司法書士端末に登記依頼情報を通知し、金融機関から当該不動産売買の融資実行情報が入力され、信託会社端末から融資着金確認情報が入力され、不動産売買に係る残代金の送金完了が入力されると、信託契約に基づき売主の売主端末に当該不動産売買の代金の金額と送金日を通知し、仲介業者端末に当該不動産売買の仲介手数料の金額と送金日を通知し、司法書士端末に当該不動産登記の報酬の金額と送金日を通知するよう機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、不動産売買に関係する登記とエスクローと信託を支援する業務処理サーバを備えるエスクロー登記支援システムであって、業務処理サーバが、エスクロー契約に基づいて、エスクロー事業者端末からの不動産売買の情報を登録し、当該登録された情報に基づく売主と買主から不動産の登記依頼情報を受け付けると、司法書士端末に登記依頼情報を通知し、金融機関から当該不動産売買の融資実行情報が入力され、信託会社端末から融資着金確認情報が入力されると、信託契約に基づき売主の売主端末に当該不動産売買の代金の金額と送金日を通知し、仲介業者端末に当該不動産売買の仲介手数料の金額と送金日を通知することを特徴とするエスクロー登記支援システムとしているので、不動産売買に関係する登記とエスクローと信託の業務の進捗状況を関係者が容易に共有して確認できると共に、手続の簡略化と迅速化を実現し、当該業務の安全かつ円滑に遂行を実現できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本システムの構成概略図である。
図2】本システムの処理の概略を示す概略図である。
図3】本システムの処理(1)のフロー図である。
図4】本システムの処理(2)のフロー図である。
図5】本システムの処理(3)のフロー図である。
図6】進捗状況の確認一覧画面の概略図である。
図7】取引IDに応じた進捗状況の左側部分の画面を示す図である。
図8】取引IDに応じた進捗状況の右側部分の画面を示す図である。
図9】進捗状況の遷移状態を示す左側概略図である。
図10】進捗状況の遷移状態を示す右側概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係るエスクロー登記支援システム(本システム)は、不動産売買の取引において、業務処理サーバに売主、買主、仲介業者、司法書士、エスクロー事業者、信託会社、金融機関の関係者端末が接続された状態で、業務処理サーバが、エスクロー契約の申込と登録を行い、信託会社とエスクロー事業者との信託契約に基づいてエスクロー事業者端末から不動産の売買と登記の情報が設定されると、関係者端末で共有させ、当該情報に基づいて対応するエスクロー事業者端末からの不動産の登記依頼情報を受け付けると、司法書士端末に登記依頼情報を通知すると共に、司法書士端末から登記判断情報が入力されると、金融機関端末と信託会社端末に通知し、金融機関から不動産売買の融資実行情報が入力され、信託会社端末から融資着金確認情報が入力されると、融資実行を関係者端末で共有し、売主端末に当該不動産売買の代金の金額と送金日を通知し、仲介業者端末に当該不動産売買の仲介手数料の金額と送金日を通知すると共に司法書士端末に当該不動産登記の司法書士報酬の金額と送金日を通知するもので、業務処理サーバによる管理で、不動産売買に関係する登記とエスクローと信託の業務(本業務)の進捗状況を関係者が容易に共有して確認できると共に、手続の簡略化と迅速化を実現し、本業務の安全かつ円滑に遂行を実現できるものである。
【0022】
本システムでは、エスクロー事業者端末からのエスクロー契約申込情報に基づいてエスクロー契約に係る申込の受付・登録処理を行い、信託会社端末から取得した信託口座情報、エスクロー事業業者端末から取得した不動産売買及び不動産登記関係情報等、金融機関端末から取得した金銭消費貸借契約日等、司法書士端末から取得した売主、買主及び金融機関からの登記必要書類受領情報を関係者端末に共有させ、仲介業者端末から取得した売買契約日と決済日をその売買契約日と決済日の前日に関係者端末に対してそれぞれ通知し、エスクロー事業者端末から取得した登記依頼情報を司法書士端末に通知し、司法書士端末から取得した登記費用見積及び登記必要書類情報、登記判断情報、登記申請受領証データ、登記完了証データ、信託会社端末から取得した残代金等着金確認情報を関係者端末に共有させ、エスクロー事業者端末から取得した残代金等送金指図情報、金融機関端末から取得した融資実行情報、信託会社端末から取得した手付金着金確認情報・残代金等着金確認情報・残代金等送金完了情報を関係者端末で共有させるものである。
【0023】
[本システム:図1
本システムについて図1を参照しながら説明する。図1は、本システムの構成概略図である。
本システムは、図1に示すように、本業務を支援する業務処理サーバ1と、売主の売主端末2と、買主の買主端末3と、仲介業者の仲介業者端末4と、司法書士の司法書士端末5と、エスクロー事業者のエスクロー事業者端末6と、信託会社の信託会社端末7と、金融機関の金融機関端末8とが、ネットワーク9を介して接続されている。
【0024】
[本システムの各部]
本システムの各部について具体的に説明する。
[業務処理サーバ1]
業務処理サーバ1は、本業務を支援する処理を実行するもので、具体的な処理は後述する。
また、業務処理サーバ1は、制御部11と、記憶部12と、インタフェース部13とを備え、記憶部12に記憶された処理プログラムを制御部11が読み込んで実行することにより、特徴的な処理を実現している。
【0025】
記憶部12は、処理プログラムを記憶すると共に、不動産売買及び不動産登記関係情報、その他関連する情報を不動産売買の取引ID(取引の番号)毎に記憶する。その他関連する情報には、信託口座情報、指図書情報、登記依頼情報、融資実行情報、着金確認情報等である。
インタフェース部13は、ネットワーク9に接続するためのインタフェースである。
【0026】
[売主端末2]
売主端末2は、不動産売買の売主が保有するコンピュータ装置であり、関係者端末から提供される情報等を共有し、業務処理サーバ1からの通知等を受信する権限を付与されている。
具体的には、業務処理サーバ1がエスクロー事業者端末6から取得した売主と買主からのエスクロー契約の申込に係る情報等(エスクロー契約申込情報)に基づき取引IDを付与してエスクロー契約の受付・登録の処理を行い、売主及び買主とエスクロー事業者間でエスクロー契約が締結され、エスクロー事業者と信託会社との間で締結された信託契約に基づき設定された信託口座に関する情報(信託口座情報)を信託会社端末7が入力して業務処理サーバに送信すると、業務処理サーバ1を介して信託口座情報を共有する。
【0027】
また、売主端末2は、仲介業者端末4が売買契約日・決済日を入力して業務処理サーバ1に送信すると、業務処理サーバ1を介して売買契約・決済日の前日に売買契約日・決済日の通知を受信する。
また、売主端末2は、信託会社端末7が残代金等送金指図書に基づく残代金等の送金が完了した旨の情報(残代金等送金完了情報)を入力し業務処理サーバ1に送信すると、業務処理サーバ1から取引IDに対応する残代金等送金完了情報を受信し、信託会社から残代金等が送金されたことを確認することができる。ここで、残代金等送金完了情報には、不動産売買に係る残代金等、仲介手数料、司法書士報酬等の金額と送金日その他の情報が含まれる。
つまり、売主端末2は、取引IDに対応付けて金融機関からの融資が実行されると、業務処理サーバ1から不動産売買の代金の金額と送金日の通知を受信する。
【0028】
[買主端末3]
買主端末3は、不動産売買の買主が保有するコンピュータ装置であり、関係者端末から提供される情報等を共有し、業務処理サーバ1からの通知等を受信する権限を付与されている。
具体的には、業務処理サーバ1がエスクロー事業者端末6から取得した売主及び買主からのエスクロー契約の申込に係る情報等(エスクロー契約申込情報)に基づき取引IDを付与してエスクロー契約の受付・登録の処理を行い、売主及び買主とエスクロー事業者との間でエスクロー契約が締結され、エスクロー事業者と信託会社との間で締結された信託契約に基づき設定された信託口座情報を信託会社端末7が入力して業務処理サーバに送信すると、業務処理サーバ1を介して信託口座情報を共有する。
【0029】
また、買主端末3は、仲介業者端末4が売買契約日・決済日を入力して業務処理サーバ1に送信すると、業務処理サーバ1を介して売買契約・決済日の前日に売買契約日・決済日の通知を受信する。
つまり、買主端末3は、取引IDに対応付けて金融機関からの融資が実行されると、融資が実行されたことの通知を受信する。
【0030】
尚、業務処理サーバ1は、売主端末2と買主端末3の双方からの登記依頼情報を受け付けてもよいし、エスクロー事業者端末6又は仲介業者端末4その他任意に設定する端末を経由して登記依頼情報を受け付けてもよい。尚、本システムでは、エスクロー事業者端末6から登記依頼情報を受け付けるようにしている。
【0031】
[仲介業者端末4]
仲介業者端末4は、不動産売買の仲介業者が保有するコンピュータ装置であり、取引ID毎に、不動産売買及び不動産登記に関係する情報等(不動産売買及び不動産登記関係情報)、売買契約日、売買契約が締結された旨の情報(売買契約締結情報)、決済日、不動産の引き渡しが完了旨の情報(引渡完了情報)を業務処理サーバ1に入力して、関係者端末に通知又は共有させる。
仲介業者端末4からの不動産売買の情報が業務処理サーバ1に設定されることで、業務処理サーバ1が取引IDを当該売買に関連する本業務に付与する。
【0032】
また、仲介業者端末4は、売買契約日前日までに売買契約日を業務処理サーバ1に入力すると、業務処理サーバ1は関係者端末に売買契約日を共有させ又は通知し、また、売買契約日の前日に関係者端末に対して売買契約日を通知する。
また、仲介業者端末4は、決済日前日までに売買契約日を入力して業務処理サーバ1に送信すると、業務処理サーバ1は関係者端末に決済日を共有させ又は通知し、また、決済日の前日に関係者端末に対して決済日を通知する。
【0033】
また、仲介業者端末4は、信託会社端末7が残代金等送金指図書に基づく残代金等の送金が完了した旨の情報(残代金等送金完了情報)を入力し業務処理サーバ1に送信すると、業務処理サーバ1から取引IDに対応する残代金等送金完了情報を受信し、信託会社から仲介手数料が送金されたことを確認することができる。
つまり、仲介業者端末4は、金融機関からの融資が実行され、信託会社が残代金等を送金すると、業務処理サーバ1から取引IDに対応する不動産売買に係る仲介手数料の金額と送金日の通知を受信する。
【0034】
[司法書士端末5]
司法書士端末5は、法務局へ不動産の登記申請手続を行う司法書士が保有するコンピュータ装置であり、予め本システムを利用するためのユーザIDとパスワードが付与されており、取引ID毎に不動産登記申請の可否に関する情報(登記判断情報)を入力し、業務処理サーバ1に送信する。
【0035】
また、司法書士端末5は、信託会社端末7が残代金等送金指図書に基づく残代金等の送金が完了した旨の情報(残代金等送金完了情報)を入力し業務処理サーバ1に送信すると、業務処理サーバ1から取引IDに対応する残代金等送金完了情報を受信し、信託会社から司法書士報酬が送金されたことを確認することができる。
つまり、司法書士端末5は、金融機関からの融資が実行され、信託会社が残代金等を送金すると、取引IDに対応する登記に係る司法書士報酬の金額と送金日の通知を受信することになる。
【0036】
具体的には、司法書士端末5は、売主端末2及び買主端末3に不動産売買及び不動産登記関係情報を、業務処理サーバ1を介して通知する。
また、司法書士端末5は、売主及び買主との面談日を、業務処理サーバ1を介して関係者端末に共有させる。
そして、司法書士端末5は、売主及び買主から登記申請の必要書類を受領した旨の情報(登記必要書類受領情報[1])を、更に、金融機関から登記必要書類を受領または確認した旨の情報(登記必要書類受領情報[2])を、業務処理サーバ1を介して関係者端末に共有させる。
【0037】
また、司法書士端末5は、登記が可能か否かの登記判断情報を、業務処理サーバ1を介して信託会社端末7と金融機関端末8に通知する。
そして、司法書士端末5は、取得した登記申請の受領証データ(登記申請受領証データ)を、業務処理サーバ1を介して関係者端末に共有させる。
最終的には、司法書士端末5は、登記完了データ及び登記関係書類を返却した旨の情報(登記関係書類返却情報)を、業務処理サーバ1を介して売主端末2、買主端末3、金融機関端末8に通知する。
【0038】
[エスクロー事業者端末6]
エスクロー事業者端末6は、不動産売買に係るエスクロー事業者が保有するコンピュータ装置であり、売主と買主とエスクロー事業者間のエスクロー契約の締結及び履行を支援するために、売主端末2、買主端末3及びエスクロー事業者端末6が仲介業者端末4を介して、エスクロー契約の締結及び履行に必要な情報のやり取りを行い、関係者端末と情報を共有するものである。
【0039】
具体的には、エスクロー事業者端末6は、売主と買主からのエスクロー契約の利用申込に係る情報(エスクロー契約申込情報)を入力して送信すると、業務処理サーバ1は、取引IDを付与してエスクロー契約の受付と登録の処理を行う。
また、エスクロー事業者端末6は、取引ID毎に買主の手付金送金指図書に関する情報(手付金送金指図書情報)を、業務処理サーバ1を介して関係者端末に共有させる。
【0040】
エスクロー事業者端末6は、売主端末2及び買主端末3からの登記依頼に関する情報(登記依頼情報)を、業務処理サーバ1を介して司法書士端末5に通知する。
また、エスクロー事業者端末6は、取引ID毎に残代金送金指図書に関する情報(残代金等送金指図書情報)を、業務処理サーバ1を介して関係者端末に共有させる。
つまり、信託契約の履行では、エスクロー事業者は、手付金金指図書情報、残代金等送金指図書情報を共有するサポートを行う。
【0041】
[信託会社端末7]
信託会社端末7は、信託会社が保有するコンピュータ装置であり、取引ID毎に不動産売買に係る融資が金融機関から実行されたことの情報(融資実行情報)を受信して、残代金等の着金を確認する融資着金確認情報を入力し、業務処理サーバ1に送信する。
具体的には、信託会社端末7は、取引IDに対応する信託口座情報を、業務処理サーバ1を介して関連者端末に共有させる。
そして、信託会社端末7は、取引IDに対応する買主から不動産売買に係る手付金の着金を確認した旨の情報(手付金着金確認情報)を、業務処理サーバ1を介して関係者端末に共有させ又は通知する。
【0042】
また、信託会社端末7は、取引IDに対応する金融機関から不動産売買に係る残代金等の着金を確認した旨の情報(残代金等着金確認情報/融資着金確認情報)を、業務処理サーバ1を介して関係者端末に共有させ又は通知する。
そして、信託会社端末7は、関係者端末に対する取引IDに対応する不動産売買に係る残代金等の送金が完了した旨の情報(残代金等送金完了情報)を、業務処理サーバ1を介して関係者端末に通知する。なお、残代金等送金完了情報には、当該不動産売買に係る残代金等、仲介手数料、司法書士報酬等の金額と送金日その他の情報が記載されている。
特に、業務処理サーバ1は、売主端末2には売買代金、仲介業者端末4には仲介料、司法書士端末5には司法書士報酬の金額及び送金日を通知する。
【0043】
[金融機関端末8]
金融機関端末8は、不動産売買について司法書士端末5からの登記判断情報に基づき融資を実行する金融機関のコンピュータ装置であり、取引ID毎に融資実行情報を関係者端末に共有させ、特に、信託会社端末7に融資実行情報を送信する。
具体的には、金融機関端末8は、取引IDに対応付けて融資事前審査が承認された旨の情報(融資事前審査承認情報)を入力して業務処理サーバ1に送信し、業務処理サーバ1を介して関係者端末に共有させる。
また、金融機関端末8は、取引IDに対応付けて融資本審査が承認された旨の情報(融資本審査承認情報)を入力して業務処理サーバ1に送信し、業務処理サーバ1を介して融資本審査承認情報を関係者端末に共有させる。
【0044】
また、金融機関端末8は、金銭消費貸借契約日を入力して業務処理サーバ1に送信し、業務処理サーバ1を介して関係者端末に金銭消費貸借契約日を提供して共有させる。
また、金融機関端末8は、金銭消費貸借契約日に、金銭消費貸借契約及び抵当権設定契約が締結された旨の情報(金銭消費貸借契約等締結情報)を入力し業務処理サーバ1に送信し、業務処理サーバ1を介して関係者端末に金銭消費貸借契約等締結情報を提供して共有させる。
金融機関端末8は、取引IDに対応する融資が実行された旨(融資実行情報)を入力して業務処理サーバ1に送信し、業務処理サーバ1を介して関係者端末に共有させると共に信託会社端末7には通知する。
【0045】
[ネットワーク9]
ネットワーク9は、インターネットを想定しているが、送受信されるデータは暗号化されている。
【0046】
[処理内容:図2~5]
本システムの処理について図2~5を参照しながら説明する。図2は、本システムの処理の概略を示す概略図であり、図3は、本システムの処理(1)のフロー図であり、図4は、本システムの処理(2)のフロー図であり、図5は、本システムの処理(3)のフロー図である。
本システムは、業務処理サーバ1の制御部11で処理プログラムが実行されることで処理が実現されるものである。
【0047】
[処理の概要:図2
図2に示すように、売主及び買主とエスクロー事業者でエスクロー契約が締結され(1)、エスクロー事業者と信託会社で信託契約が締結され(2)、次に、売主と買主で不動産の売買契約が締結される(3)。尚、上記では、エスクロー契約が、売主、買主、エスクロー事業者の三者契約であったが、仲介業者を含めた四者契約としてもよい。
そして、買主から信託会社の信託口座に手付金が振り込まれ(4)、司法書士に売主と買主から登記申請の依頼を行う(5)。
【0048】
金融機関から不動産売買代金の残代金が融資されると(6)、信託会社は売主に売買代金を支払うと共に仲介業者に仲介手数料を支払い、司法書士に司法書士報酬を支払い、司法書士が登記申請を行う(7)。
以上の不動産売買に関する登記・エスクロー・信託のスキームが実行されるものである。
【0049】
[具体的な処理フロー:図3~5]
次に、業務処理サーバ1における処理フローについて図3~5を参照しながら説明する。図3では、エスクロー契約利用申込から手付金入金までの処理を示し、図4では、融資本審査から取引完了までの前半の処理を示し、図5は、その後半の処理を示している。尚、図3~5は、一連の処理で連続しており、取引IDに紐付けられて処理が進行するようになっている。
【0050】
[処理(1)フロー:図3
業務処理サーバ1は、図3に示すように、エスクロー事業者端末6から売主及び買主によるエスクロー契約利用申込情報が入力されると、取引IDを付与してエスクロー契約の受付・登録の処理を行う(S1)。
そして、業務処理サーバ1は、エスクロー事業者端末6から当該取引IDに対応する不動産売買及び不動産登記関係情報が入力されると、関係者の端末に不動産売買及び不動産登記関係情報を提供して共有させる(S2)。不動産売買及び不動産登記関係情報については、不動産の売主、買主、仲介業者、司法書士、信託会社、金融機関が設定される。設定された関係者は各関係端末からログインすると、関係する取引IDに対応する情報のみを参照でき、関係のない取引IDの情報は表示されないようになっている。
尚、エスクロー事業者端末6から入力される不動産売買及び不動産登記関連情報は、仲介業者から提供された(取得された)情報である。
【0051】
次に、業務処理サーバ1は、信託会社端末7から信託口座情報が入力されると、関係者端末に当該信託口座情報を共有させ、特に売主端末2及び買主端末3には通知する(S3)。
そして、業務処理サーバ1は、金融機関端末8から融資事前審査承認情報が入力されると、融資事前審査承認情報を関係者の端末に提供して共有させる(S4)。
更に、業務処理サーバ1は、仲介業者端末4から売買契約日が入力されると、関係者端末に売買契約日を提供して共有させる(S5)。
【0052】
次に、業務処理サーバ1は、エスクロー事業者端末6から手付金送金指図書情報が入力されると、関係者端末に手付金送金指図書情報を提供して共有させる(S6)。
更に、業務処理サーバ1は、仲介業者端末4から売買契約日前日までに売買契約日が入力されると、関係者端末に売買契約日を提供して共有させ、また、売買契約日の前日(営業日)に関係者端末に対して売買契約日を通知する(S7)。なお、売買契約の前日における売買契約日の通知については、仲介業者端末4から売買契約日の入力がなくても、業務処理サーバ1が自動的に通知してもよい。
そして、業務処理サーバ1は、仲介業者端末4から売買契約締結情報が入力されると、関係者端末に売買契約締結情報を提供して共有させる(S8)。
【0053】
次に、業務処理サーバ1は、仲介業者端末4から決済日が入力されると、関係者端末に決済日を提供して共有させる(S9)。
更に、業務処理サーバ1は、信託会社端末7から手付金着金確認情報が入力されると、関係者端末に手付金着金確認情報を提供して共有させ、売主端末2、買主端末3及びエスクロー事業者端末6には通知する(S10)。
【0054】
[処理(2)フロー:図4
次に、業務処理サーバ1は、図4に示すように、金融機関端末8から融資本審査承認情報が入力されると、関係者端末に融資本審査承認情報を提供して共有させる(S11)。
そして、業務処理サーバ1は、金融機関端末8から金銭消費貸借契約日が入力されると、関係者端末に金銭消費貸借契約日を提供して共有させる(S12)。
業務処理サーバ1は、金銭消費貸借契約日に、金融機関端末8から金銭消費貸借契約等締結情報が入力されると、関係者端末に金銭消費貸借契約等締結情報を提供して共有させる(S13)。
【0055】
次に、業務処理サーバ1は、エスクロー事業者端末6から売主及び買主による登記依頼情報が入力されると、司法書士端末5に登記依頼情報を通知する(S14)。
そして、業務処理サーバ1は、司法書士端末5から登記費用見積及び登記必要書類情報のデータが入力されると、買主端末3と売主端末2に登記費用見積及び登記必要書類情報を通知し(S15)、司法書士端末5からの入力された売主及び買主の面談日を関係者端末に提供して共有させる(S16)。
【0056】
次に、業務処理サーバ1は、司法書士端末5から売主及び買主よりの登記必要書類受領情報[1]が入力されると、関係者端末に提供して共有させる(S17)。
更に、業務処理サーバ1は、司法書士端末5から金融機関よりの登記必要書類受領情報[2]が入力されると、関係者端末に提供して共有させる(S18)。
次に、業務処理サーバ1は、エスクロー事業者端末6から残代金等送金指図書情報が入力されると、関係者端末に提供して共有させる(S19)。
【0057】
[処理(3)フロー:図5
次に、業務処理サーバ1は、図5に示すように、仲介業者端末4から決済日前日に決済日が入力されると、関係者端末に決済日を提供して共有させ、また、決済日の前日に関係者端末に対して決済日を通知する(S20)。なお、決済日の前日における決済日の通知については、決済日の入力が仲介業者端末4からなくても、業務処理サーバ1が自動的に通知してもよい。
そして、業務処理サーバ1は、司法書士端末5から登記申請の可否に関する情報(登記判断情報)が入力されると、金融機関端末8と信託会社端末7に登記判断情報を通知する(S21)。
【0058】
業務処理サーバ1は、金融機関端末8から融資実行情報が入力されると、関係者端末に融資実行情報を共有させ又は通知する(S22)。特に、信託会社端末7には融資実行情報を通知する。
次に、業務処理サーバ1は、信託会社端末7から残代金等着金確認情報(融資着金確認情報)が入力されると、関係者端末に残代金等着金確認情報を共有させ又は通知する(S23)。
【0059】
業務処理サーバ1は、信託会社端末7から残代金等送金完了情報が入力されると、関係者端末に残代金等送金完了情報を通知する(S24)。
業務処理サーバ1は、司法書士端末5から登記申請受領証データが入力されると、関係者端末に提供して共有させる(S25)。
【0060】
業務処理サーバ1は、司法書士端末5から登記完了証データが入力されると、関係者端末に提供して共有させる(S26)。
次に、業務処理サーバ1は、司法書士端末5から登記関係書類返却情報が入力されると、売主端末2、買主端末3及び金融機関端末7に登記関係書類返却情報を通知する(S27)。
そして、業務処理サーバ1は、仲介業者端末4から不動産の引渡完了情報が入力されると、関係者端末に引渡完了情報を通知する(S28)。
【0061】
以上のようにして、本システムにおける処理が実行される。
これにより、本システムでは、本業務の進捗を関係者当事者が容易に確認できると共に、手続の簡略化と迅速化を実現し、安全かつ円滑に本業務を遂行できるものである。
【0062】
尚、本システムでは、金融機関端末8が融資実行情報を業務処理サーバ1に直接入力するようにしているが、金融機関端末8が融資実行情報を信託会社端末7だけに送信し、信託会社端末7が融資実行情報と融資着金確認情報を業務処理サーバ1に入力するようにしてもよい。
更に、金融機関端末7が業務処理サーバ1に融資実行情報を入力する代わりに、金融機関の審査システムと連動して審査システムから業務処理サーバ1に融資実行情報が入力されるようにしてもよい。
【0063】
[本システムの進捗状況の確認一覧画面:図6~8]
次に、本システムにおける進捗状況を確認するための一覧画面について図6を参照しながら説明する。図6は、進捗状況の確認一覧画面の概略図であり、図7は、取引IDに応じた進捗状況の左側部分の画面を示す図で、図8は、取引IDに応じた進捗状況の右側部分の画面を示す図である。
図6の見積依頼一覧の画面の例は、仲介業者端末4、司法書士端末5、エスクロー事業者端末6、信託会社端末7、金融機関端末8等の閲覧および編集権限が付与された端末に表示されるものである。
【0064】
図6の進捗状況の確認一覧の画面では、上側のボタンで「エスクロー申込受付」「登記依頼」「面談」「問い合わせ」をキーに処理内容を絞り込むことができるようになっている。
また、画面中段左側で、取引ID、ステータス、不動産業者、顧客名、金融機関の項目を入力又は選択し、右側の「検索」ボタンをクリックすると、それら設定項目で絞り込むことができる。
【0065】
次に、中段中央では、申込受付日、登記依頼日、決済日、キャンセル日の項目を入力又は選択し、右側の「検索」ボタンをクリックすると、それら設定項目で絞り込むことができる。
更に、中段右側では、見積合意日、面談日、登記申請日、登記完了日の項目を入力または選択し、右側の「検索」ボタンをクリックすると、それら設定項目で絞り込むことができる。
【0066】
そして、取引IDに応じて進捗状況の一覧が画面の下側に表示される。
表示される項目は、図7,8に示すように、「取引ID」、「不動産業者」、「顧客名」、「金融機関」、「ステータス」、「エスクロー申込受付」、「売買契約」、「手付金」、「融資事前審査」、「融資本審査」、「金銭消費貸借契約」、「登記依頼」、「登記費用見積」、「面談(買主)」、「面談(売主)」、「登記必要書類(買主)」、「登記必要書類(売主)」、「指図書」、「決済日」、「登記判断情報」、「残代金等」、「登記申請」、「登記完了」、「登記書類返却」、「引渡」、「File & Media(添付ファイル)」である。
【0067】
当該一覧の上側には、新規申込を一覧表に追加する「新規申込」、一覧表を編集する「編集」、エスクロー申込または登記依頼のキャンセルを設定する「キャンセル」、司法書士による登記申請人の本人確認に係る情報を入力するための「本人確認」のボタンが設けられている。
【0068】
また、ステータスの内容としては、「エスクロー申込受付中」、「エスクロー申込受付済」、「売買契約進捗中(事前審査承認済)」、「売買契約締結後(本審査承認前)」、「売買契約締結後(本審査承認済)」、「売買契約締結後(金消契約済)」、「登記依頼受付中」、「登記依頼受付済(登記見積提示前)」、「登記依頼受付済(登記見積提示済)」、「登記依頼受付済(登記見積合意済)」、「登記進捗中(面談日未定)」、「登記進捗中(面談日確定)」、「登記進捗中(面談済)」、「登記進捗中(指図書共有済)」、「登記進捗中(登記判断送付済)」、「登記進捗中(登記判断受領済)」、「登記進捗中(残代金等送金済)」、「登記進捗中(登記受領証共有済)」、「取引完了(登記完了証共有済)」、「取引完了(書類返却準備中)」、「取引完了(書類返却済)」、「取引完了(引渡完了済)」、「キャンセル」がある。
【0069】
ここで、ステータス「エスクロー申込受付中」は、作業者がエスクロー事業者で、作業内容は、エスクロー契約利用申込の受付・登録及び不動産売買及び不動産登記に関する情報等の入力及び関係当事者との共有である。
ステータス「エスクロー申込受付済」は、作業者が信託会社で、作業内容は、信託口座情報の入力及び信託口座情報の関係当事者との共有である。
【0070】
ステータス「売買契約進捗中(事前審査承認済)」は、作業者が仲介業者又はエスクロー事業者又は金融機関で、作業内容は、金融機関による融資事前審査承認情報の入力及び関係当事者との共有、仲介業者による売買契約日の入力及び関係当事者との共有、エスクロー事業者による手付金送金指図書情報の入力及び関係当事者との共有である。
【0071】
ステータス「売買契約締結後(本審査承認前)」は、作業者が仲介業者又は信託会社で、作業内容は、仲介業者による売買契約締結情報及び決済日の入力並びに関係当事者との共有、信託会社による手付金着金確認情報の入力及び関係当事者との共有である。
ステータス「売買契約締結後(本審査承認済)」は、作業者が金融機関で、作業内容は、融資本審査承認情報及び金銭消費貸借契約日の入力及び関係当事者との共有である。
ステータスは「売買契約締結後(金消契約済)」、作業者が金融機関で、作業内容は、金銭消費貸借契約等締結情報の入力及び関係当事者との共有である。
【0072】
ステータス「登記依頼受付中」は、作業者がエスクロー事業者で、作業内容は、登記依頼情報の入力及び司法書士への通知である。
ステータス「登記依頼受付済(登記見積提示前)」は、作業者が司法書士で、作業内容は、登記依頼情報の内容を確認した旨の入力である。
ステータス「登記依頼受付済(登記見積提示済)」は、作業者が司法書士で、作業内容は、登記費用見積及び登記必要書類情報のデータの入力、買主及び売主に対する登記費用見積及び登記必要書類情報の通知である。
ステータス「登記依頼受付済(登記見積合意済)」は、作業者が司法書士で、作業内容は、あらかじめ通知した登記費用見積に対して買主及び売主が合意した旨の入力である。
【0073】
ステータス「登記進捗中(面談日未定)」は、作業者が司法書士で、作業内容は、買主及び売主との面談日の調整である。
ステータス「登記進捗中(面談日確定)」は、作業者が司法書士で、作業内容は、面談日の入力及び関係当事者との共有である。
ステータス「登記進捗中(面談済)」は、作業者が司法書士で、作業内容は、買主及び売主との面談、登記必要書類受領情報の入力及び関係当事者との共有である。
ステータス「登記進捗中(指図書共有済)」は、作業者がエスクロー事業者で、作業内容は、残代金等送金指図書情報の入力及び関係当事者との共有である。
ステータス「登記進捗中(登記判断送付済)」は、作業者が司法書士で、作業内容は、登記判断情報の入力、金融機関及び信託会社に対する登記判断情報の通知である。
ステータス「登記進捗中(登記判断受領済)」は、作業者が金融機関で、作業内容は、登記判断情報の通知の受領、融資実行情報の入力及び関係当事者との共有又は関係当事者に対する通知である。
ステータス「登記進捗中(残代金等送金済)」は、作業者が信託会社で、作業内容は、残代金等着金確認情報(融資着金確認情報)及び残代金等送金完了情報の入力及び関係当事者との共有である。
ステータス「登記進捗中(登記受領証共有済)」は、作業者が司法書士で、作業内容は、登記申請受領証データの入力及び関係当事者との共有である。
【0074】
ステータス「取引完了(登記完了証共有済)」は、作業者が司法書士で、作業内容は、登記完了証データの入力及び関係当事者との共有である。
ステータス「取引完了(書類返却準備中)」は、作業者が司法書士で、作業内容は、登記関係書類の返却準備である。
ステータス「取引完了(書類返却済)」は、作業者が司法書士で、作業内容は、登記関係書類の返却、登記関係書類返却情報の入力、売主と買主と金融機関に対する登記関係書類返却情報の通知である。
ステータス「取引完了(引渡完了済)」は、作業者が仲介業者で、作業内容は、不動産の引渡完了情報の入力及び関係当事者への通知である。
ステータス「キャンセル」は、作業者がエスクロー事業者または司法書士で、作業内容は、エスクロー申込又は登記依頼がキャンセルに該当した場合はその入力である。
【0075】
[進捗状況の遷移状態:図9~10]
次に、本システムにおける進捗状況の遷移状態について図9,10を参照しながら説明する。図9は、進捗状況の遷移状態を示す左側概略図であり、図10は、進捗状況の遷移状態を示す右側概略図である。尚、図9図10は一体の概略図ではあるが、紙面の関係で分割しており、図9の(A)~(F)の部分が図10の(A)~(F)の部分にそれぞれ接続し、一体になるようになっている。
図6の見積依頼一覧の画面では、顧客毎に遷移状態を一括管理できるようになっている。
図9~10では、進捗状況として、「エスクロー申込受付」、「売買契約進捗中」、売買契約締結後」、「登記依頼受付」、「登記進捗中」、「取引完了」の遷移状態を示している。
【0076】
「エスクロー申込受付」の状態では、入力設定され、取引ID、不動産業者、顧客名、金融機関の各項目が入力・登録され、エスクロー申込受付は「2024/2/10受付済」、File&Mediaには不動産売買及び不動産登記に関する情報等及び信託口座情報のデータがアップロードされ、ステータスは「エスクロー申込受付済」となっている。
【0077】
「売買契約進捗中」の状態では、売買契約は「2024/2/25契約締結予定」、融資事前審査は「承認済」、指図書は「手付金等送金指図書2024/2/15共有済」、File&Mediaには手付金送金指図書情報のデータがアップロードされ、ステータスは「売買契約進捗中(事前審査承認済)」となっている。
【0078】
「売買契約締結後」の状態では、売買契約は「2024/2/25契約締結済」、手付金は「着金確認済」、融資本審査は「承認済」、「金銭消費貸借契約」は「2024/3/15契約締結済」、決済日は「2024/4/10実行予定」、File&Mediaには売買契約締結情報及び金銭消費貸借契約締結情報のデータがアップロードされ、ステータスは「売買契約締結後(金消契約済)」となっている。
【0079】
「登記依頼受付」の状態では、登記依頼は「2024/3/16受付済」、登記費用見積は「2024/3/16送付済」、File&Mediaには登記費用見積及び登記必要書類情報のデータがアップロードされ、ステータスは「登記依頼受付済(登記見積提示済)」となっている。
【0080】
「登記進捗中」の状態では、登記費用見積は「2024/3/17合意済」、面談の項目の買主は「2024/3/20面談済」で売主は「2024/3/21面談済」、登記必要書類の項目の買主は「2024/3/20受領済」で売主は「2024/3/21受領済」、指図書は「残代金等送金指図書2024/3/30共有済」、決済日は「2024/4/10当日」、登記判断情報は「2024/4/10 10:00通知済」、残代金等は「2024/4/10 11:00送金済」、登記申請は「2024/4/10申請済」、登記完了は「2024/4/24完了予定」、File&Mediaには残代金等送金指図書情報及び登記判断情報並びに登記申請受領証のデータがアップロードされ、ステータスは「登記進捗中(登記受領証共有済)」となっている。
【0081】
「取引完了」の状態では、登記完了は「2024/4/24完了」、登記書類返却は「2024/4/29返却済」、引渡は「2024/4/30引渡予定」、File&Mediaには登記完了証及び登記関係書類返却情報のデータがアップロードされ、ステータスは「取引完了(書類返却済)」となっている。
このように、見積依頼一覧の画面では、顧客毎に処理状態の遷移と不動産売買に関係する登記とエスクローと信託に係るデータの授受を一括管理できるものである。
【0082】
[実施の形態の効果]
本システムによれば、業務処理サーバ1が、売主及び買主とエスクロー事業者との間でエスクロー契約が締結され、エスクロー事業者と信託会社との間で信託契約が締結され、エスクロー事業者端末6から不動産の売買と登記の情報が設定されると、関係者端末で共有させ、当該情報に基づいて対応するエスクロー事業者端末6からの不動産の登記依頼情報を受け付けると、司法書士端末5に登記依頼情報を通知すると共に、司法書士端末5から登記判断情報が入力されると、金融機関端末8と信託会社端末7に通知し、金融機関から不動産売買の融資実行情報が入力され、信託会社端末7から融資着金確認情報が入力されると、融資実行を関係者端末で共有し、売主端末2に当該不動産売買の代金の金額と送金日を通知し、仲介業者端末4に当該不動産売買の仲介手数料の金額と送金日を通知すると共に司法書士端末5に当該不動産登記の報酬の金額と送金日を通知するもので、業務処理サーバ1による管理で、本業務の進捗状況を関係者が容易に共有して確認できると共に、手続の簡略化と迅速化を実現し、本業務の安全かつ円滑に遂行を実現できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、不動産売買に関係する登記とエスクローの手続を簡略化して迅速化し、本業務を安全かつ円滑に運用できるエスクロー登記支援システムに好適である。
【符号の説明】
【0084】
1…業務処理サーバ、 2…売主端末、 3…買主端末、 4…仲介業者端末、 5…司法書士端末、 6…エスクロー事業者端末、 7…信託会社端末、 8…金融機関端末、 9…ネットワーク、 11…制御部、 12…記憶部、 13…インタフェース部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10