(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129816
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】シーリング装置およびシーリングシステム
(51)【国際特許分類】
E04G 21/16 20060101AFI20240919BHJP
E04F 21/165 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
E04G21/16
E04F21/165 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024037573
(22)【出願日】2024-03-11
(31)【優先権主張番号】P 2023039040
(32)【優先日】2023-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(71)【出願人】
【識別番号】000135999
【氏名又は名称】株式会社ヒロテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 秀太郎
(72)【発明者】
【氏名】添田 智美
(72)【発明者】
【氏名】山口 みのり
(72)【発明者】
【氏名】堤 佑太
(72)【発明者】
【氏名】貞近 幹亮
(72)【発明者】
【氏名】岡田 一也
(72)【発明者】
【氏名】冨永 誠
【テーマコード(参考)】
2E174
【Fターム(参考)】
2E174BA01
2E174DA14
2E174DA52
(57)【要約】 (修正有)
【課題】外壁の目地にシーリング材を充填する作業をより簡便な構成で行うことのできる装置及およびシステムを提供する。
【解決手段】シーリング装置102は、外壁の目地にシーリング材を充填するシーリング材充填ユニット106と、シーリング材充填ユニット106を支持する支持体110と、外壁に接触するローラユニット108と、外壁に吸引力を作用させる吸引ユニット114と、外壁に対する支持体の位置を検出するセンサ112とを含む。シーリングシステムは、シーリング装置102に加え、シーリング装置102を外壁に沿って移動させる駆動装置と、を含み、駆動装置が、ウインチと、ウインチに巻かれたワイヤと、建物の上端でワイヤが掛け回される滑車とを有し、ワイヤによってシーリング装置102が吊り下げられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁の目地にシーリング材を充填するシーリング材充填ユニットと、
前記シーリング材充填ユニットを支持する支持体と、
前記外壁に接触するローラユニットと、
前記外壁に吸引力を作用させる吸引ユニットと、
前記外壁に対する前記支持体の位置を検出するセンサと、
を含むことを特徴とするシーリング装置。
【請求項2】
前記ローラユニットが、前記支持体の上下左右の4箇所以上に設けられている、請求項1に記載のシーリング装置。
【請求項3】
前記ローラユニットが、移動方向に直列に2つのローラが配置された2連ローラで構成されている、請求項2に記載のシーリング装置。
【請求項4】
前記2連ローラのローラ同士の間隔が40mm以上である、請求項3に記載のシーリング装置。
【請求項5】
前記支持体の中央左右に、前記ローラユニットをさらに含む、請求項2に記載のシーリング装置。
【請求項6】
前記吸引ユニットが磁石であり、前記外壁に対向しかつ離隔して配置されている、請求項1に記載のシーリング装置。
【請求項7】
前記シーリング材充填ユニットが、シーリング材を吐出するシーリングガンと、前記シーリングガンの位置を前後に変位させるアクチュエータと、を含む、請求項1に記載のシーリング装置。
【請求項8】
前記シーリング材充填ユニットが、揺動可能および水平方向への変位可能に前記支持体に吊設されている、請求項7に記載のシーリング装置。
【請求項9】
シーリング材充填ユニットの前記シーリングガンより下部に設けられ前記外壁の目地に挿入される少なくとも1つの第1ガイドと、
前記支持体の前記シーリング材充填ユニットより下方に設けられ前記外壁の目地に挿入される少なくとも1つの第2ガイドと、を有し、
前記第1ガイドおよび前記第2ガイドが、前記外壁の目地に沿うように上下方向に配列されている、請求項7に記載のシーリング装置。
【請求項10】
前記シーリング材充填ユニットにシーリング材を供給するシーリング材供給ユニットを有し、
前記シーリング材供給ユニットが、前記支持体に支持されている、請求項1に記載のシーリング装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のシーリング装置と、
前記シーリング装置を前記外壁に沿って移動させる駆動装置と、を含み、
前記駆動装置が、ウインチと、前記ウインチに巻かれたワイヤと、前記外壁の上端で前記ワイヤが掛け回される滑車と、を有し、
前記シーリング装置が、前記ワイヤによって吊り下げられる、
ことを特徴とするシーリングシステム。
【請求項12】
前記駆動装置が、エンコーダと、前記センサと、により前記支持体が前記ウインチによっての巻き上げられる高さおよび巻き下げられる高さを自動制御する制御部を含む、請求項11に記載のシーリングシステム。
【請求項13】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のシーリング装置と、
前記シーリング装置を前記外壁に沿って移動させる駆動装置と、
前記シーリング装置を吊り下げる吊元台車と、を含み、
前記駆動装置が、ウインチと、前記ウインチに巻かれたワイヤと、前記外壁の上端で前記ワイヤが掛け回される滑車と、を含み、
前記吊元台車が、前記支持体を吊り下げる支持アームと、前記支持アームを支える架台と、を含む、
ことを特徴とするシーリングシステム。
【請求項14】
前記架台が梁と支柱を含んで構成され、
前記支持アームが前記梁の長手方向に沿ってスライド可能に支持されている、
請求項13に記載のシーリングシステム。
【請求項15】
前記架台に設けられた車輪を有し、
前記架台が前記車輪により、前記梁の長手方向と平行な方向に移動する、
請求項14に記載のシーリングシステム。
【請求項16】
前記支持アームの先端部分に設けられ、前記滑車を吊り下げる連結部材を有し、
前記連結部材が前記支持アームの長手方向に沿ってスライド可能であり、ストップボルトによって前記支持アームに係止される、
請求項14に記載のシーリングシステム。
【請求項17】
前記支持アームの先端に固定された第1プレートと、前記滑車を吊り下げる第2プレートと、を有し、
前記第2プレートが、前記第1プレートの上面で摺動する、
請求項13に記載のシーリングシステム。
【請求項18】
前記支持アームの先端に固定された円盤状の第1プレートと、前記第1プレートの上面外周部分と側面とを囲む構造を有する第2プレートと、を有し、
前記第2プレートが、前記第1プレートの上面と摺動しながら変位可能とする、
請求項13に記載のシーリングシステム。
【請求項19】
前記架台に前記ウインチが載置されている、
請求項13に記載のシーリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁の目地にシーリング材を充填するシーリング装置および当該シーリング装置によって構成されるシーリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
外壁を複数の外壁パネルによって施工した場合には、外壁パネル間に形成される目地に防水のためのシーリングが施工される。人手によってシーリング材を充填する工事を施工するためには、外壁に足場を架設したり、ゴンドラを吊り下げたりする必要がある。また、目地の周りにマスキングテープを貼る作業や、充填されたシーリング材の表面をヘラで均す作業が必要となる。これに対し、外壁の目地へシーリング材を自動で充填する装置が提案されている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-268973号公報
【特許文献2】特開2002-121889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されるシーリングのための自動化装置は、建築物の外側に同じ高さの架台を設置する必要があり、建築物の高層化に適応することが難しいという問題を有している。特許文献2に開示されるシーリング材充填装置も同様に施工に当たってレールを設置する必要があり、そのための時間と労力が必要となる。また、レールが曲がっているとシーリング材充填装置がスムーズに移動できないという問題がある。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みなされたものであり、外壁の目地にシーリング材を充填する作業をより簡便な構成で行うことのできる装置及およびシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシーリング装置は、外壁の目地にシーリング材を充填するシーリング材充填ユニットと、シーリング材充填ユニットを支持する支持体と、外壁に接触するローラユニットと、外壁に吸引力を作用させる吸引ユニットと、外壁に対する支持体の位置を検出するセンサと、を含む。
【0007】
本発明のシーリング装置において、ローラユニットが支持体の上下左右の4箇所以上に設けられていてもよく、ローラユニットが移動方向に直列に2つのローラが配置された2連ローラで構成されていてもよい。2連ローラのローラ同士の間隔が40mm以上であってもよい。
【0008】
本発明のシーリング装置において、支持体の中央左右に、ローラユニットがさらに含まれてもよい。
【0009】
本発明のシーリング装置において、吸引ユニットが磁石であり外壁に対向しかつ離隔して配置されていてもよい。
【0010】
本発明のシーリング装置において、シーリング材充填ユニットにシーリング材を吐出するシーリングガンとシーリングガンの位置を前後に変位させるアクチュエータとが含まれてもよい。
【0011】
本発明のシーリング装置において、シーリング材充填ユニットが揺動可能および水平方向への変位可能に支持体に吊設されていてもよい。
【0012】
本発明のシーリング装置において、シーリング材充填ユニットのシーリングガンより下部に設けられ外壁の目地に挿入される少なくとも1つの第1ガイドと、支持体のシーリング材充填ユニットより下方に設けられ外壁の目地に挿入される少なくとも1つの第2ガイドとを有し、第1ガイドおよび第2ガイドが外壁の目地に沿うように上下方向に配列されていてもよい。
【0013】
本発明のシーリング装置において、シーリング材充填ユニットにシーリング材を供給するシーリング材供給ユニットを有し、シーリング材供給ユニットが支持体に支持されていてもよい。
【0014】
本発明に係るシーリングシステムは、上記のシーリング装置と、シーリング装置を外壁に沿って移動させる駆動装置とを含み、駆動装置が、ウインチと、ウインチに巻かれたワイヤと、建物の上端でワイヤが掛け回される滑車とを有し、シーリング装置がワイヤによって吊り下げられている。
【0015】
本発明のシーリングシステムにおいて、駆動装置に、エンコーダと上端を検出するセンサおよび下端を検出するセンサとにより支持体がウインチによっての巻き上げられる高さおよび巻き下げられる高さを自動制御する制御部が含まれていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のシーリング装置が、外壁の目地にシーリング材を充填するシーリング材充填ユニットと、シーリング材充填ユニットを支持する支持体と、外壁に接触するローラユニットと、外壁に吸引力を作用させる吸引ユニットと、外壁に対する支持体の位置を検出センサと、を含むことにより、シーリング工事のための足場を設置することなく、外壁の目地にシーリング材を充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るシーリング装置の概要を示す図である。
【
図2】本発明に係るシーリング装置の構成を示す正面図である。
【
図3】本発明に係るシーリング装置の構成を示す側面図である。
【
図4】本発明に係るシーリング装置のローラの構成を示す図である。
【
図5】本発明に係るシーリング装置におけるシーリング材充填ユニットの構造示す斜視図である。
【
図6】本発明に係るシーリング装置におけるシーリングガンとシーリング材均し器具の構成を示す図である。
【
図7】外壁パネルと目地の関係と本発明に係るシーリング装置に設けられるガイドの構成を説明する図である。
【
図8】本発明に係るシーリング装置におけるシーリング材充填ユニットの動作を説明する図である。
【
図9】本発明に係るシーリングシステムの機能的な構成を示す図である。
【
図10】本発明に係るシーリング装置の動作フローを示す図である。
【
図11】本発明に係るシーリングシステムを構成する吊元台車の構成を示す図である。
【
図12】本発明に係るシーリングシステムを構成する支持アームの構成を示す図である。
【
図13】本発明に係るシーリングシステムを構成する支持アームの構成を示す図である。
【
図14】本発明に係るシーリングシステムを構成する支持アームの構成を示す図である。
【
図15】本発明に係るシーリングシステムを構成する吊元台車の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号(または数字の後にA、Bなどを付した符号)を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有しない。
【0019】
1.シーリングシステム
本発明の一実施形態に係るシーリングシステムの全体的な構成を、図面を参照して説明する。
【0020】
1-1.シーリングシステムの構成
図1は、本実施形態に係るシーリングシステム100の全体的な構成を示す。シーリングシステム100は、シーリング装置102、駆動装置104、および吊元台車103を含む。
図1はシーリングシステム100の構成を模式的に示し、外壁200を側面から見たときの状態に加え、外壁200を正面からみたときの状態を挿入図として示す。外壁200は複数の外壁パネルにより形成され、外壁パネルの繋ぎ目に目地202が形成されている。シーリングシステム100は、目地202(以下、特段の断りがない限り「縦目地」を指すものとする。)にシーリング材を充填する工事に用いられる。
【0021】
シーリング装置102は、シーリング材充填ユニット106、およびローラユニット108、支持体110、センサ112(第1センサ112Aおよび第2センサ112B)を含む。シーリング材充填ユニット106およびローラユニット108は支持体110に取り付けられる。シーリング材充填ユニット106は目地202にシーリング材を充填する機能を有する。ローラユニット108は外壁200の上をシーリング装置102がスムーズに動くようにするために設けられる。支持体110には、さらに第1センサ112Aおよび第2センサ112Bが設けられる。第1センサ112Aは外壁200の上端を検出し、第2センサ112Bは外壁200の下端を検出する機能を有する。
【0022】
駆動装置104は、ウインチ1042、滑車1046、ワイヤ1048、およびウインチ1042の動作を制御する制御部1044を含む。ウインチ1042は、ワイヤ1048を巻上げおよび巻下げるため用いられる。滑車1046は支持アーム105によって支えられ、外壁200の上部に配置される。なお、滑車1046の取り付け構造に特段の限定はなく、例えば、滑車1046はクレーンによって吊られた状態で外壁200の上方に配置されてもよい。支持体110の上部には連結具113が設けられており、ワイヤ1048は滑車1046に掛け回されて連結具113に繋がれる。
【0023】
支持アーム105は、建物の上部(例えば、建物の屋上)に設置された吊元台車103に取り付けられる。吊元台車103は、建物の上部において外壁200に沿って移動可能に配置されてもよいし、固定されていてもよい。支持アーム105は、先端部分が外壁200の外側に突出する長さを有し、先端部分に滑車1046を吊り下げる構造を有する。
【0024】
駆動装置104を設置する場所に特段の限定はないが、ウインチ1042は滑車1046より低い位置に配置される。例えば、ウインチ1042は地面に設置される。また、ウインチ1042は建築物の屋上に設置されてもよい。ウインチ1042の動力源としては、電動モータまたは油圧モータが用いられる。ウインチ1042によってワイヤ1048の巻き上げおよび巻き下げを行うことで、シーリング装置102を外壁200の壁面に沿って引き上げ、また引き下げる動作が行われる。なお、
図1は、滑車1046として定滑車を示すが、滑車1046の構成はこれに限定されず、シーリング装置102を外壁200の壁面に沿って上下に駆動することができる構成であれば図示される構成に限定されない。例えば、滑車1046は、定滑車と動滑車が適宜組合わされていてもよい。また、ワイヤ1048の巻上げおよび巻下げはウインチ1042に限定されず、他のワイヤ巻き取り機構が用いられてもよい。
【0025】
ウインチ1042の動作は制御部1044によって制御される。制御部1044にはインバータが組み込まれており、ウインチ1042によるワイヤの巻き上げおよび巻き下げの速度が制御される。ウインチ1042にはエンコーダが組み込まれていてもよく、それによってシーリング装置102を吊り上げる高さが制御されてもよい。また、シーリング装置102の高さは、外壁の上端を検出する第1センサ112Aおよび下端を検出する第2センサ112Bの検出信号によってウインチ1042によるワイヤ1048の巻き上げおよび巻き下げの動作が制御されてもよい。さらに、ウインチ1042の動作は、エンコーダと、第1センサ112Aおよび第2センサ112Bとによって制御されてもよい。
【0026】
シーリング工事の施工に当たり、シーリング装置102はワイヤ1048で吊られた状態で外壁200の下から上へ引き上げられ、外壁200の目地202へシーリング材を充填しながら下方へ移動する。
図1の挿入図に示されるように、シーリング装置102はワイヤ1048で吊られた状態で目地202に沿って上から下へ移動する。シーリング装置102が目地202に沿って上から下へ移動する過程で、シーリング材充填ユニット106によって目地202へシーリング材が充填される。
【0027】
図1では詳細に示されないが、シーリング装置102には、シーリング材充填ユニット106にシーリング材を供給するシーリング材供給ユニットが搭載されていてもよい。また、シーリング材供給ユニットは、地上または外壁200の上部に配置され、ホースなどでシーリング材充填ユニット106にシーリング材が供給されてもよい。
【0028】
1-2.シーリング装置を吊り下げる吊元台車の構成
図11から
図15を参照して、建物の上部(例えば、建物の屋上)でシーリング装置102を吊り下げるための吊元台車103の構成を説明する。
【0029】
図11(A)および(B)は、建物の上部からシーリング装置102を吊り下げるための吊元台車103を示す。ここで、
図11(A)は吊元台車103の側面図を示し、
図11(B)は吊元台車103の平面図を示す。また、
図11(B)には、図中に示すA-B間に対応する部分の縦断面図が挿入されている。
【0030】
吊元台車103は、シーリング装置102を吊り下げる支持アーム105と、支持アーム105を支える架台1031を含む。架台1031は、梁1032と支柱1033とを含み、箱形に組まれた構造を有していてもよい。支持アーム105は、架台1031の前方に設けられる梁1032Aと後方に設けられる梁1032Bとの上に設置される。支持アーム105は、梁1032Aおよび梁1032Bに固定されてもよいが、水平方向の位置を調整可能となるように設けられてもよい。
【0031】
例えば、支持アーム105は、梁1032Aおよび梁1032Bの上に設置された支持部材1034によって架台1031に取り付けられ、締結部材10342によって支持アーム105の位置がずれないように固定されてもよい。支持部材1034は、支持アーム105を挿通することのできる枠形の形状を有し、枠の幅が支持アーム105の軸径よりも大きくてもよい。締結部材10342の構造に限定はないが、例えば、一対のL字型の金具が支持部材1034を挟むように支持アーム105取り付けられ、締結具(例えば、ボルト)によって締め付ける構造を有していてもよい。また、図示されないが、枠形の支持部材1034の両側面からボルトを通し、このボルトによって挟み込む構造を雄有していてもよい。このような支持部材1034を用いることにより、支持アーム105の水平方向(
図11(B)の挿入図では左右方向)の位置を調整することが可能となる。
【0032】
支持アーム105は、水平方向に延びるアームであり、先端部分に滑車1046を繋ぐ連結部材1051が設けられていてもよい。また、支持アーム105の後方には、荷重バランスをとり、支持アーム105が架台1031から抜け落ちないようにカウンターウェイト1035が設けられていてもよい。架台1031には車輪1036が取り付けられていてもよい。車輪1036はレール1037の上に載せられていてもよい。レール1037を建物の外壁200に沿って配置することで、架台1031を横方向に移動させることが可能となる。
【0033】
図11(A)および(B)に示す吊元台車103を用いることで、シーリング装置102の吊り位置を調整することができる。すなわち、架台1031をレール1037に沿って移動させることで、シーリング装置102の吊り位置を調整することができる。さらに、架台1031の上で、支持アーム105の水平方向の位置を変位させることで、シーリング装置102の吊り位置を微調整することができる。このような吊元台車103を用いることにより、シーリング装置102の吊り位置を、外壁200の目地に合わせることができ、隣接する目地へも容易に移動させることができる。
【0034】
図12(A)および(B)は、支持アーム105の先端部分の詳細な構成を示す。ここで、
図12(A)は支持アーム105の先端部分の側面図を示し、
図12(B)は側面図に示すC-D間に対応する断面図を示す。
【0035】
支持アーム105の先端部分に連結部材1051が設けられる。連結部材1051は、断面視において中空の構造(または、筒形の構造)を有し、中空部分に支持アーム105を通すことのできる構造を有する。連結部材1051は、上面の内側が支持アーム105の上面と接触し、支持アーム105の長手方向に沿って摺動可能に設けられていてもよい。詳細には、支持アーム105の上面に長手方向に延びる溝が設けられ、連結部材1051の上面内側に凸部が設けられており、この凸部が溝に嵌め合わされて、かつ長手方向に摺動する構造を有していてもよい。一方、過度な摩擦を抑制し、連結部材1051を支持アーム105上でスムーズにスライド可能とするために、連結部材1051の内側側面と支持アーム105の側面との間には僅かな隙間が設けられていてもよい。連結部材1051の下側には、滑車1046を吊すための金具が取り付けられる。金具の構成は任意であるが、例えば、U字金具1053が用いられてもよい。
【0036】
連結部材1051は、支持アーム105の所定の位置に調整された後、その位置が変位しないように固定される。連結部材1051を固定する方法は任意であるが、例えば、ストップボルト1052が用いられてもよい。ストップボルト1052を用いる場合には、連結部材1051の側面にネジ山が切られたボルト孔が設けられ、ボルト孔を通してストップボルト1052を締め付けることで、連結部材1051を支持アーム105の長手方向に沿った任意の位置に留めることができる。別言すれば、ストップボルト1052を用いることで連結部材1051を無段階に留めることができる。連結部材1051がこのような構成を有することで、シーリング装置102の吊り位置を、前後方向(外壁200に対して前後方向)に自由に調整することが可能となる。
【0037】
図13(A)および(B)は、支持アーム105の先端部分の構成の他の一例を示す。ここで、
図13(A)は支持アーム105の先端部分の平面図を示し、
図13(B)は平面図に示すE-F間に対応する断面図を示す。
【0038】
図13(A)および(B)に示す支持アーム105は、平行にかつ離隔して配置された2つのアーム(第1アーム105A、第2アーム105B)から構成されている。離隔して配置された第1アーム105Aと第2アーム105Bの上に、両者を架け渡すように第1プレート1054が配置される。第1プレート1054は、第1アーム105Aおよび第2アーム105Bに固定されている。第1プレート1054は開口部1054Aを有する。開口部1054Aは、第1プレート1054を支持アーム105に取り付けたとき、第1アーム105Aと第2アーム105Bとが離隔する領域と重なる領域に設けられる。
【0039】
第1プレート1054の上に第2プレート1055が設けられる。第2プレート1055は開口部1054Aを塞ぐように配置される。第2プレート1055は第1プレート1054の上に載せられただけであり、第1プレート1054の上面を摺動可能となるように設けられる。第2プレート1055の下面には、下方に延びる連結棒1057が取り付けられる。連結棒1057の先端には、滑車1046を吊り下げるための吊下金具1058が取り付けられる。また、第2プレート1055の上面には上方に突出する調整棒1056が設けられる。
【0040】
調整棒1056は、第2プレート1055の位置を調整するために用いられる。第2プレート1055にはシーリング装置102の荷重がかかるため、第1プレート1054の上に置かれた状態でも容易には変位しない。そこで、調整棒1056に、第2プレート1055を変位させたい方向に力を作用させることで、第2プレート1055の位置を変位させることができる。すなわち、
図13(A)および(B)に示す構成は、第2プレート1055の位置を変位させることで、シーリング装置102の吊り位置を微調整することができる。
図11(A)および(B)では、支持アーム105が梁1032の上で水平方向に移動して調整可能な構成を示すが、
図13(A)および(B)に示す構成によれば、支持アーム105は架台1031の上で固定されていてもシーリング装置102の位置を微調整することが可能となる。
【0041】
図14(A)および(B)は、支持アーム105の先端部分の構成の他の一例を示す。
ここで、
図14(A)は支持アーム105の先端部分の平面図を示し、
図15(B)は平面図に示すG-H間に対応する断面図を示す。
【0042】
支持アーム105の先端部分に連結部材1051が取り付けられる。連結部材1051の下側には連結棒1057が下方に延びている。連結棒1057の先端に第1プレート1054が取り付けられる。第1プレート1054は円盤状の形状を有している。第1プレート1054の上面から被さるように第2プレート1055が設けられる。第2プレート1055は、第1プレート1054を囲む円環状の形状を有する。第2プレート1055は、断面視においてコの字型またはL字型の形状を有し、上部下側面が第1プレート1054の上面に接し、かつ摺動する摺動面を有する。第2プレート1055の下側には滑車1046を吊り下げるための吊下金具1058が取り付けられる。第1プレート1054の外径をd1としたとき、第2プレート1055の上面には外径d1より小さい内径d21(d1>d21)の開口部を有する。また、第2プレート1055の内側側面の内径d22は第1プレート1054の外径d1より大きく、第2プレート1055の内側側面と第1プレート1054の側面との間に隙間が空く大きさを有する。このような形状により、第2プレート1055の上部下面が第1プレート1054の上面から外れ落ちないようにすることができ、第1プレート1054の側面と第2プレート1055の内側側面との間に間隙が形成されることにより、第2プレート1055を第1プレート1054に被せたとき、第2プレート1055が360度任意な方向へ変位させることができる。なお、第2プレート1055の下側の開口部の内径d23は任意であり、第1プレート1054の外径d1と同じであってもよいし、外径d1より若干大きいまたは小さくてもよい。
【0043】
第2プレート1055の側面には、ネジ山が切られたネジ穴が設けられ、このネジ穴に調整ネジ1059が取り付けられる。調整ネジ1059は、第2プレート1055の外周に沿って少なくとも2箇所、好ましくは3箇所以上に離隔して設けられる。このような構成を有することで、異なる方向から調整ネジ1059をねじ込む深さを調整することで、第2プレート1055の位置を変位させることができ、変位させた位置を固定することができる。
図14(A)および(B)に示すように、第1プレート1054を円盤型の形状とし、第2プレート1055を第1プレート1054に対して変位可能な構成とすることで、吊下金具1058の位置を変位させることができ、シーリング装置102の吊り下げ位置を微調整することができる。
【0044】
図15は吊元台車103の構成の他の一例を示す。
図15に示す吊元台車103は、支持アーム105と、支持アーム105を支える架台1031を含む。
図11(A)および(B)に示すように、吊元台車103は車輪1036を有して移動可能とされていてもよい。例えば、吊元台車103は、建物の上部に設置されたレール1037の上を移動可能とされていてもよい。
【0045】
架台1031は、シーリング装置102を吊り下げるときにバランスをとるためのカウンターウェイト1035が設けられる。
図15に示す吊元台車103は、さらに架台1031にウインチ1042が載せられた構造を有する。架台1031に載せられたウインチ1042からはワイヤ1048が引き出されており、ワイヤ1048はシーリング装置102を外壁に沿って垂直に吊り下げるように、複数の滑車により支持アーム105に沿って引き回されている。また、架台1031には、制御盤118に信号を送るコード1039が巻かれたコードホイール1038が載置されてもよい。
【0046】
図15に示すように、架台1031にウインチ1042やコードホイール1038を搭載することで、カウンターウェイト1035の重量を減らすことができ、シーリングシステムの総重量を軽減することができる。
【0047】
2.シーリング装置
図2および
図3を参照してシーリング装置102の構成を説明する。
図2はシーリング装置102の正面図(外壁側から見たときの図)を示し、
図3はシーリング装置102の側面図を示す。
【0048】
2-1.全体構造
シーリング装置102は、支持体110、シーリング材充填ユニット106、ローラユニット108(第1ローラユニット108A、第2ローラユニット108B、第3ローラユニット108C、第4ローラユニット108D、第5ローラユニット108E、第6ローラユニット108F)、第1センサ112Aおよび第2センサ112B、連結具113、吸引ユニット114(第1吸引ユニット114A、第2吸引ユニット114B、第3吸引ユニット114C、第4吸引ユニット114D)、ガイド107(第1ガイド107A、第2ガイド107B、第3ガイド107C、第4ガイド107D)を含む。
【0049】
支持体110はシーリング材充填ユニット106を支持するために用いられ、例えば、フレームにより立方体に組み立てられた形状を有する。シーリング材充填ユニット106は支持体110から吊り下げられた状態に設けられる。ローラユニット108(第1ローラユニット108A、第2ローラユニット108B、第3ローラユニット108C、第4ローラユニット108D、第5ローラユニット108E、第6ローラユニット108F)、吸引ユニット114(第1吸引ユニット114A、第2吸引ユニット114B、第3吸引ユニット114C、第4吸引ユニット114D)、第1センサ112A、第2センサ112B、および連結具113は、支持体110の各所に取り付けられる。また、支持体110にはシーリング材をシーリング材充填ユニット106に供給するシーリング材供給ユニット116が設けられていてもよい。さらに、支持体110には、シーリング材充填ユニット106やシーリング材供給ユニット116の動作を制御する制御盤118が設けられてもよい。
【0050】
2-1-1.支持体
支持体110は、フレームを箱形に組んだ構造を有する。フレームの材質に限定はなく、アルミフレーム、スチールフレーム、カーボンフレームなど各種フレームが用いられる。なお、
図2および
図3は、フレームによって支持体110が形成される例を示すが、シーリング材充填ユニット106を支持しローラユニット108などを取り付ける構造を有するものであれば他の構造に置き換えられてもよい。例えば、支持体110は、フレーム構造に限定されず、箱形の筐体に置き換えられてもよい。
【0051】
支持体110の上部に連結具113が設けられる。連結具113は、支持体110とワイヤ1048とを連結するために設けられる。連結具113の構造に特段の限定はなく、シーリング装置102を吊り下げることのできる耐荷重を有するものであれば、各種の吊り金具を用いることができる。
【0052】
2-1-2.ローラユニット
支持体110にローラユニット108が設けられる。ローラユニット108は、支持体110を外壁200に対して配置したとき、外壁200に対向する位置に取り付けられる。ローラユニット108は、シーリング装置102が外壁200の表面をスムーズに移動できるように、支持体110の4箇所以上に設けられることが好ましい。例えば、ローラユニット108は、支持体110の上下左右の4箇所に設けられることが好ましい。さらに、ローラユニット108は、支持体110の中央部の左右にも設けられていてもよい。
【0053】
図2は、ローラユニット108が、支持体110の上側左右2箇所(第1ローラユニット108A、第2ローラユニット108B)、下側左右2箇所(第3ローラユニット108C、第4ローラユニット108D)、および中央左右2箇所(第5ローラユニット108E、第6ローラユニット108F)に設けられる例を示す。なお、
図2は一例であり、中央左右2箇所に設けられる第5ローラユニット108Eおよび第6ローラユニット108Fは省略されてもよい。ローラユニット108を支持体110の4箇所以上に設けることで、支持体110の傾き、撓み、捩れを防ぐことができ、シーリング装置102を外壁200の表面に接地しながら平行に移動させることができる。
【0054】
2-1-3.吸引ユニット
シーリング材を目地202に充填するときシーリング装置102は外壁200から反作用を受ける。また、シーリング工事が屋外で施工されるとき、シーリング装置102は風の影響を受けて不安定になるおそれがある。そこで、吸引ユニット114により支持体110が外壁200から離れないようにして、シーリング装置102の安定を保つ必要がある。
【0055】
吸引ユニット114は、支持体110が外壁200に対向する面に設けられる。吸引ユニット114は、シーリング装置102の移動によって外壁200の表面にキズを付けないように、外壁200に直接接触しないように設けられることが好ましい。例えば、吸引ユニット114は、ローラユニット108より外側に突出せず、外壁200から離隔するように支持体110に取り付けられることが好ましい。また、吸引ユニット114は、外壁200との接触面に織布なとの柔らかい部材が用いられ、シーリング装置102の移動を阻害しない程度の強さで外壁200に接触し、外壁の表面を摺動するように取り付けられていてもよい。
【0056】
外壁200が鋼板などの強磁性材で形成される場合、吸引ユニット114として磁石を用いることができる。磁石としては、永久磁石、または電磁石が用いられる。また、外壁が鉄筋コンクリートの場合でも内部に鉄筋が含まれるため、吸引ユニット114として磁石を用いてもよい。吸引ユニット114の磁力を外壁に作用させることで、シーリング装置102が外壁から離れないようにすることができる。また、吸引ユニット114は、磁力を作用させるものに代えて、真空ポンプによる吸引力を利用した吸引式のものを適用することができる。
【0057】
吸引ユニット114は、支持体110の少なくとも1箇所、好ましくは複数箇所に設けられる。
図2は、吸引ユニット114が、支持体110の上側左右2箇所(第1吸引ユニット114A、第2吸引ユニット114B)、および下側左右2箇所(第3吸引ユニット114C、第4吸引ユニット1114D)に設けられる例を示す。このように、支持体110に対し左右対称に吸引ユニット114を設けることで、シーリング装置102が外壁200から離れないようにし、安定した状態を保つことができる。
【0058】
2-1-4.シーリング材充填ユニット
シーリング材充填ユニット106は、シーリング材の吐出口が目地202に倣って変位可能なように、支持体110に取り付けられる。例えば、シーリング材充填ユニット106は、揺動可能であり、左右方向への変位が可能なように、支持体110に吊り下げられた状態に設けられる。シーリング材充填ユニット106は、シーリングガン1061と第1駆動機構1063Aを含む。第1駆動機構1063Aは、シーリングガン1061を待機位置(シーリング材を吐出しない位置)と作業位置(シーリング材を吐出する位置)に制御する機能を有する。
【0059】
シーリング材充填ユニット106は、シーリング材均し器具1062と第2駆動機構1063Bが設けられていてもよい。シーリング材均し器具1062はシーリングガン1061の先端部分に設けられる。第2駆動機構1063Bはシーリング材均し器具1062を待機位置と作業位置に制御する機能を有する。
【0060】
シーリング材充填ユニット106に目地幅センサ115が設けられていてもよい。目地幅センサ115は光学式のセンサが用いられ、目地202の幅を検出する機能を有する。シーリング装置102は、目地幅センサ115で検出された目地202の幅に応じてシーリングガン1061から吐出されるシーリング材の吐出量を制御する機能が備えらえていてもよい。このような構成を有するシーリング材充填ユニット106の詳細は後述される。
【0061】
2-1-5.ガイド
シーリング装置102が目地202に沿って移動するのを助けるように複数のガイド107(第1ガイド107A、第2ガイド107B、第3ガイド107C、第4ガイド107D)が設けられる。
図2および
図3は、第1ガイド107Aおよび第2ガイド107Bがシーリング材充填ユニット106に設けられ、第3ガイド107Cおよび第4ガイド107Dが支持体110に設けられる例を示す。第1ガイド107Aおよび第2ガイド107Bは、シーリングガン1061の吐出口の垂直方向の中心線上に配置される。また、第3ガイド107Cおよび第4ガイド107Dは、シーリング材充填ユニット106より下側であって、初期状態では第1ガイド107Aおよび第2ガイド107Bの垂直方向の中心線上に重なるように配置される。複数のガイド(第1ガイド107A、第2ガイド107B、第3ガイド107C、第4ガイド107D)は、シーリング装置102がシーリング材を充填するときに、先端部分が目地202に挿入されるように配置される。
【0062】
2-1-6.センサ
支持体110には、シーリング装置102が外壁200の上端に達したことを検知する第1センサ112A、および下端に達したことを検出する第2センサ112Bが設けられる。例えば、支持体110の上部に第1センサ112Aが設けられ、下部に第2センサ112Bが設けられる。第1センサ112Aは、外壁200との接触の有無を検出する接触式のセンサが用いられてもよいし、外壁200までの距離を計測する光学式のセンサが用いられてもよい。また、第2センサ112Bは、地面との接触の有無を検出する接触式のセンサが用いられてもよいし、地面までの距離を計測する非接触式のセンサが用いられてもよい。接触式のセンサとしては、マイクロスイッチやリレー接点を有する接点出力方式のセンサを用いることができ、非接触式センサとしては対象物までの距離を検出可能な光学センサ(例えば、レーザ変位計)や超音波センサを用いることができる。
【0063】
第1センサ112Aおよび第2センサ112Bを設けることで、シーリング装置102による作業の始点および終点を検知することができる。すなわち、第1センサ112Aは、外壁200の上端(作業開始点)を検出するために設けられ、第2センサ112Bは、外壁200の下端(作業終了点)を検出するために設けられる。
【0064】
シーリング装置102は、ローラユニット108が外壁200に接地していることにより、支持体110から外壁200までの距離が一定に保たれている。したがって、シーリング装置102が外壁200の上端に達しないときには、第1センサ112Aによって検出される信号は一定または所定の範囲内にある。第1センサ112Aは、支持体110の上側(上側の第1ローラユニット108Aおよび第2ローラユニット108Bより高い位置)に設けられているので、シーリング装置102が外壁200の上端に達した場合、第1センサ112Aは外壁を検出しないことになり検出信号が大きく変化する。第1センサ112Aから出力される信号が変化することにより、シーリング装置102が外壁200の上端に達したことを検出することができる。
【0065】
第2センサ112Bは、地面(または地階)への接触の有無または支持体110の取り付け位置から地面(または地階)までの距離を計測する。シーリング装置102が外壁200の上方に引き上げられた状態では、第2センサ112Bは地面(または地階)への接触を検出せず、または地面(または地階)までの距離が離れていることを検出する。シーリング装置102が外壁200の下端(作業の終点)にあるとき、第2センサ112Bは、地面(または地階)への接触を検出し、または地面(または地階)までの距離を検出する。したがって、第2センサ112Bが地面(または地階)を検出したこと、または地面(または地階)までの距離が規定値(または所定の範囲内)であることを判断することで、シーリング装置102が下端に達したことを検出するこができる。
【0066】
2-1-7.シーリング材供給ユニット
支持体110には、シーリング材充填ユニット106にシーリング材を供給するシーリング材供給ユニット116が設けられてもよい。シーリング材供給ユニット116は、例えば、シーリングタンク1162、シーリングタンク1162の上面を封止して内部空間を圧縮する圧縮プレート1164、および圧縮プレート1164を昇降させるポンプ1166を含むシーリングポンプユニットにより構成されてもよい。シーリングタンク1162にシーリング材を充填し、ポンプ1166によって圧縮プレート1164を降下さることで、粘性の高いシーリング材を、チューブ1168を通してシーリングガン1061に供給することができる。また、ポンプ1166は、圧縮プレート1164が降下する速度を調節可能であり、それによってシーリングガン1061へシーリング材を供給する量を制御することができる。シーリングタンク1162は大容量化が可能であるため、シーリング装置102に多量のシーリング材を搭載することができる。それにより、高層の建物であっても、目地の途中でシーリング材の供給が途切れることなく作業を行うことができ、作業効率を高めることができる。
【0067】
2-1-8.制御盤
制御盤118には、シーリング材充填ユニット106、シーリング材供給ユニット116を駆動する制御回路が収納される。制御盤118の配置は任意であり、例えば、支持体110の側面に設けられる。
【0068】
次に、支持体110に取り付けられるローラユニット108およびシーリング材充填ユニット106の詳細について説明する。
【0069】
2-2.ローラユニットの構造
図4(A)および
図4(B)は、支持体110に取り付けられるローラユニット108の構造を示す。
図4(A)および
図4(B)に示すように、ローラユニット108は、縦方向に少なくとも2つのローラ1082(第1ローラ1082Aおよび第2ローラ1082B)が直列に配置された2連ローラで構成されることが好ましい。この2つのローラは、以下で説明されるように所定の間隔離れて設けられていることが好ましい。
【0070】
図4(A)は、外壁パネル201の嵌合部2012(第1外壁パネル201A(下側)と第2外壁パネル201B(上側)の嵌合部2012)の断面図を示す。支持体110の各所に設けられたローラユニット108は、2つのローラ1082(第1ローラ1082Aおよび第2ローラ1082B)が外壁パネル201の表面に接触し転がりながら移動する。ローラユニット108には、吸引ユニット114の作用により外壁パネル201に荷重が作用する。
【0071】
図4(A)に示すように、第1外壁パネル201Aと第2外壁パネル201Bとの嵌合部2012には、横目地2024による段差が形成される。また、第1外壁パネル201Aの上端部には嵌合凸部が設けられ、第2外壁パネル201Bの下端部には嵌合凹部が設けられている。シーリング装置102が第1外壁パネル201Aと第2外壁パネル201Bの嵌合部2012を通過するとき、横目地2024による段差、下側突出部2014の撓みによりローラが沈み込み姿勢が不安定になることが問題となる。
【0072】
このような問題に対し、ローラユニット108が2連ローラで構成されることにより、シーリング装置102の姿勢を安定に保つことができる。
図4(A)は、ローラユニット108が外壁パネル201の嵌合部2012を通過し始める状態を示す。2つのローラの内、第1ローラ1082Aが嵌合部2012に差し掛かっており、第2ローラ1082Bは第2外壁パネル201Bの本体部分に残っている。このような場合、ローラユニット108にかかる荷重を第2ローラ1082Bで支えることができるので、嵌合部2012の撓みによる沈み込みを防ぐことができる。また、ローラユニット108がさらに進行して第1ローラ1082Aが横目地2024を通過する際にも、同様にローラユニット108にかかる荷重を第2ローラ1082Bが荷重を支えることができるので、段差による沈み込みを防止することができる。さらに、ローラユニット108が2連ローラで構成されることにより、例えば、嵌合部2012の撓みにより、第3ローラユニット108Cの第1ローラ1082Aが沈み込んだとしても、第3ローラユニット108Cの第2ローラ1082Bおよび第4ローラユニット108Dの第1ローラ1082Aおよび第2ローラ1082Bの3点で支持されて姿勢を保持することができるため、シーリングの出来上がりに影響を与えないようにすることができる。
【0073】
図4(B)は、ローラユニット108の内、第1ローラ1082Aが第1外壁パネル201Aの上にあり、第2ローラ1082Bが嵌合部2012に差し掛かっている状態を示す。この状態では、ローラユニット108にかかる荷重を第1ローラ1082Aによって支えることができるので、同様に嵌合部2012の撓みや横目地2024を通過する際の沈み込みを防止することができる。
【0074】
このような効果を発現するには、第1ローラ1082Aと第2ローラ1082Bとの間隔Lxが嵌合部2012の幅Lyより広いことが好ましい。すなわち、第1ローラ1082Aおよび第2ローラ1082Bの一方が嵌合部2012にかかったとしても、他方のローラが第1外壁パネル201Aおよび第2外壁パネル201Bの一方に残るようにするためには、間隔Lxが嵌合部2012の幅Lyより広いことが必要となる。第1ローラ1082Aと第2ローラ1082Bとの適した間隔は嵌合部2012の幅によって異なるが、間隔Lxは嵌合部2012の幅Lyに対して、+10mm以上、好ましくは+20mm、より好ましくは+30mm以上である。例えば、第1ローラ1082Aと第2ローラ1082Bとの間隔は40mm以上、好ましくは50mm以上、より好ましくは60mm以上である。
【0075】
このように、ローラユニット108として2連ローラを用いることで、シーリング装置102が外壁200の上を移動するときに、嵌合部2012や横目地2024の影響を受けずに姿勢の安定を保つことができる。それにより、縦方向の目地202のシーリングを均一に行うことができる。
【0076】
2-3.シーリング材充填ユニット
図5は、シーリング材充填ユニット106の斜視図を示す。なお、
図5を参照する説明において、前後方向とは図中に示す[A]の方向を指し、水平方向とは図中に示す[B]の方向を指し、揺動する方向を[C]の方向を指すものとする。また、
図5に示す「前方」とは、シーリング装置102が壁面に向けられる方向を指し、「後方」とはその反対の方向を指し、「上方」とは、シーリング装置102を立てたときの上方を指し、「下方」とはその反対方向を指すものとする。
【0077】
シーリング材充填ユニット106は、シーリングガン1061および第1駆動機構1063Aを含む。第1駆動機構1063Aには、例えば、第1アクチュエータ1064Aおよび第1リニアガイド1065Aが含まれる。また、シーリング材充填ユニット106は、シーリング材均し器具1062および第2駆動機構1063Bを含む。第2駆動機構1063Bには、例えば、第2アクチュエータ1064Bおよび第2リニアガイド1065Bが含まれる。シーリング材充填ユニット106には、これらの要素に加え、第1駆動機構1063Aおよび第2駆動機構1063Bが取り付けられる第1支持板1066A、第2支持板1066Bなどの部品が含まれる。
【0078】
第1駆動機構1063Aは、シーリングガン1061を前後方向に変位させ、シーリングガン1061を目地に挿入する機能を有する。第1駆動機構1063Aを構成する第1アクチュエータ1064Aおよび第1リニアガイド1065Aを含み、第1支持板1066Aに固定される。第1リニアガイド1065Aはガイドレール10652Aとブロック10654Aとで構成され、ガイドレール10652Aの長手方向が図示される前後方向に配置される。ブロック10654Aは、第1アクチュエータ1064Aによってガイドレール10652Aの上をスライドする。シーリングガン1061はブロック10654Aに連結されており、第1アクチュエータ1064Aにより前後方向に変位する。なお、シーリングガン1061は第1駆動機構1063Aと第2駆動機構1063Bの間に配置されているため、
図5では明示されていない。
【0079】
第2駆動機構1063Bは、シーリング材均し器具1062を前後方向に変位させ、シーリング材均し器具1062を目地に挿入する機能を有する。第2駆動機構1063Bを構成する第2アクチュエータ1064Bおよび第2リニアガイド1065Bを含み、第1支持板1066Aに固定される。第2リニアガイド1065Bはガイドレール10652Bとブロック10654Bとで構成され、ガイドレール10652Bの長手方向が図示される前後方向に配置される。ブロック10654Bは、第2アクチュエータ1064Bによってガイドレール10652Bの上をスライドする。シーリング材均し器具1062はブロック10654Bに連結されており、第2アクチュエータ1064Bによって前後方向に位置が変化するように駆動される。
【0080】
シーリング材充填ユニット106は、第1駆動機構1063Aおよび第2駆動機構1063Bが連動して、シーリングガン1061およびシーリング材均し器具1062を前後方向に同時に変位させることができる。また、シーリング材充填ユニット106は、第1駆動機構1063Aおよび第2駆動機構1063Bを個別に駆動して、シーリングガン1061およびシーリング材均し器具1062の一方のみの位置を変位させることも可能である。なお、
図5は、シーリングガン1061とシーリング材均し器具1062とがそれぞれ個別の駆動機構によって前後の位置が制御される構成を示すが、このような構成に限定されず、両者は一つの駆動機構によって位置の制御がされてもよい。
【0081】
図6(A)は、シーリングガン1061およびシーリング材均し器具1062を示す。シーリングガン1061は、本体10611、ノズル10612、および流量調整バルブ10613を含む。ノズル10612は本体10611から前方に伸びており、先端がシーリング材の吐出口10615となる。流量調整バルブ10613は絞りによりシーリング材の吐出量を調整する機能を有する。流量調整バルブ10613は電磁式または圧空式のバルブが適用可能であるが、
図6(A)に示すシーリングガン1061は、流量調整バルブ10613を操作するハンドル10614が設けられ、ハンドル10614を第3アクチュエータ1064Cで操作する構成を有する。シーリングガン1061は、第1リニアガイド1065Aに取り付けるための取付部品1067に固定されている。
【0082】
シーリングガン1061の本体10611にチューブ1168が接続されている。
図6(A)には示されないが、チューブ1168の他端はシーリング材供給ユニット116(
図3参照)に接続されている。シーリング材は、シーリング材供給ユニット116からチューブ1168を通してシーリングガン1061に供給される。シーリング材はシーリング材供給ユニット116から連続的に供給され、ノズル10612に設けられた吐出口10615の先から連続的に吐出される。シーリング材の吐出量は、シーリング材供給ユニット116の供給圧、および流量調整バルブ10613の絞り量によって調整される。
【0083】
なお、シーリングガン1061の構造および形状は適宜選択可能であり、
図6(A)に示す構成に限定されない。例えば、ハンドル10614は省略されてもよく、自動開閉式のバルブに置き換えらえてもよい。
【0084】
シーリング材均し器具1062は、目地202に嵌合する縦長の形状を有する。シーリング材均し器具1062は、外壁に傷を付けないように、軟らかく弾性を有する材料で形成される。シーリング材均し器具1062は、例えば、ゴムスポンジ、ウレタンスポンジなどのフォーム材で形成される。
図6(A)に示すように、シーリング材均し器具1062が設けられる場合、ノズル10612はその中を貫通して吐出口10615が露出するように設けられる。このような構成により、ノズル10612からシーリング材が目地202へ吐出された後、シーリング材を均して形状を整えることができる。
【0085】
図6(B)に示すように、シーリング材均し器具1062は、シーリング材206を充填するときに目地202の中にある程度の深さまで挿入される。シーリング材均し器具1062が目地に挿入される深さは、シーリング材206の厚さを考慮して適宜調整可能である。すなわち、シーリング材均し器具1062を目地202へ挿入する挿入深さD2は、目地の深さD1より浅く、リーリング材を充填するとき圧力に耐える接触幅を確保することができ、シーリング材が所定の厚さ(例えば、10mm以上)を有することのできる深さに制御される。なお、目地202にはバックアップ材204が設けられており、目地202の深さは外壁パネル201の表面からバックアップ材204までの深さとする。シーリング材均し器具1062を目地202へ挿入する挿入深さD2を調整することで、目地202に充填されたシーリング材206を均すことができ、シーリング材を外壁パネル201の側壁面に密着するように均すことができる。
【0086】
なお、
図6(A)は、シーリング材均し器具1062の中にノズル10612が挿入された構造を示すが、シーリングガン1061とシーリング材均し器具1062の配置はこのような構成に限定されず、ノズル10612がシーリング材均し器具1062の下側に配置されていてもよい。
【0087】
図5に示すように、第1駆動機構1063Aおよび第2駆動機構1063Bが取り付けられる第1支持板1066Aは、一端が第2支持板1066Bに接続され、他端が回動可能とされている。第2支持板1066Bは、固定軸1102に挿通された軸受1104に接続される。軸受1104は、すべり軸受けまたは転がり軸受けで構成されており、固定軸1102を中心に回動可能とされている。したがって、第1支持板1066Aは、固定軸1102を中心として他端が回動するように設けられる。固定軸1102は、水平方向にスライドする第4リニアガイド1106のブロック111064に取り付けられる。ブロック11064はガイドレール11062の上を水平方向に移動可能とされている。このような構成により、第1支持板1066Aは、振り子のように揺動し(
図5に示す[C]の方向)、さらに水平方向(
図5に示す[B]の方向)にも変位することが可能となっている。シーリング材充填ユニット106は、第1支持板1066Aに取り付けられているため、支持体110の中の定位置に固定されるのではなく、揺動可能および水平方向に変位可能な状態となっている。
【0088】
シーリング材充填ユニット106は、このよう取り付け構造を有することにより、目地202の直線性に揺らぎがある場合でも、目地202に合わせて変位することができる。すなわち、シーリング装置102が外壁200の目地202に沿って降下するとき、シーリングガン1061の先端およびシーリング材均し器具1062が目地から外れることなく、目地202に沿ってスムーズに降下することが可能となる。別言すれば、シーリング装置102が外壁200の上から下へ移動するとき、支持体110の位置が水平方向(左右方向)に揺らいだとき、または目地202にうねりがあったときでも、シーリングガン1061およびシーリング材均し器具1062が目地から外れないようにすることができる。
【0089】
第1支持板1066Aには目地202の幅を検出する目地幅センサ115が設けられる。目地幅センサ115を設けることで目地の幅を検出し、シーリング材の量を調整することができる。
【0090】
2-4.ガイド
図7(A)に示すように、第1外壁パネル201A1および第1外壁パネル201A2を張ったとき目地202Aが所定の幅で形成される。この上に第2外壁パネル201B1および第2外壁パネル201B2を張ったとき目地202Bが所定の幅で形成される。目地202Aと目地202Bの幅および水平方向の位置は同じであることが理想であるが、実際の建築物では誤差が許容されている。例えば、目地の幅W1が19mmから25mmである場合、目地のずれ幅W2は0mmから3mmまで許容される場合がある。
【0091】
シーリング装置102は、外壁200の表面を目地202に沿って降下し、シーリング材充填ユニット106によって正確に目地の中にシーリング材を充填する必要がある。そこで、第1支持板1066AAの先端(回動する側)には、第1ガイド107Aが設けられていることが好ましい。第1ガイド107Aは、
図7(B)に示すように、支持部材1072の先端にカムフォロワ1074が設けられた構造を有する。第1ガイド107Aは、第1支持板1066Aから前方に突出し目地202に挿入する位置に設けられる。カムフォロワ1074の直径は目地202の幅より若干小さく設定されており、目地の側面に接触しても摩擦が生じないようにされている。
【0092】
図2および
図3に示すように、第1ガイド107Aは、シーリング材充填ユニット106より下側に設けられる。すなわち、シーリング装置102が外壁の上側から下側に移動するとき、第1ガイド107Aは、シーリング材充填ユニット106の移動方向の前方であって、第1支持板1066Aの回動する側の先端付近に設けられる。このような構成により、第1ガイド107Aによって第1支持板1066Aの角度および水平方向の位置を目地に沿うように調整することができ、シーリング材が正しく目地に充填されるようにすることができる。第1ガイド107Aは1つでもよいが複数のガイドが設けられてもよい。例えば、
図5に示すように、第1ガイド107Aに加えて第2ガイド107Bを縦方向に並べて配置してもよい。第1ガイド107Aおよび第2ガイド107Bの縦方向の中心線は一致するように配置され、さらにシーリング材充填ユニット106の吐出口10615の縦方向の中心線とも一致するように配置される。このような構成により、第1ガイド107Aおよび第2ガイド107Bによって第1支持板1066Aの角度および水平方向の位置を目地に沿うように調整することができ、シーリング材充填ユニット106が目地から外れないように制御することができる。また、
図5に示すように、第1ガイド107Aと第2ガイド107Bとの間に目地幅センサ115を設けることで、目地202の幅を正確に検出することができる。
【0093】
第1支持板1066Aに設けられる第1ガイド107Aおよび第2ガイド107Bに加え、
図2および
図3に示すように、支持体110に第3ガイド107Cおよび第4ガイド107Dが設けられていてもよい。第3ガイド107Cおよび第4ガイド107Dも同様に目地202に挿入されるように支持体110から突出して設けられる。第3ガイド107Cおよび第4ガイド107Dは、第1ガイド107Aおよび第2ガイド107Bより下方側に設けられる。第1ガイド107Aおよび第2ガイド107Bが第1支持板1066Aの先端付近に設けられるのに対し、第3ガイド107Cおよび第4ガイド107Dは支持体110に固定される。また、第3ガイド107Cおよび第4ガイド107Dは、第1ガイド107Aおよび第2ガイド107Bの縦方向の中心線の延長線上に設けられる。第3ガイド107Cおよび第4ガイド107Dにより、支持体110が目地の中心を通るように制御される。さらに、第1ガイド107Aおよび第2ガイド107Bが第1支持板1066Aの角度および水平方向の位置を変動させることにより、目地の直線性が揺らいでいる場合でも、シーリング材充填ユニット106の位置が目地から外れないよいに微調整をすることが可能となる。
【0094】
3.シーリングシステムの機能と動作
図8(A)および
図8(B)は、シーリング材充填ユニット106の動作を示す。
図8(A)は、シーリングガン1061およびシーリング材均し器具1062が待機位置にある場合を示し、
図8(B)は、シーリングガン1061の先端およびシーリング材均し器具1062が作業位置にある場合を示す。待機位置は、シーリングガン1061およびシーリング材均し器具1062が支持体110に収納される位置(別言すれば、支持体110から突出しない位置)である。作業位置は、シーリングガン1061の先端およびシーリング材均し器具1062が支持体110から突出して目地202に挿入されシーリング材が充填される状態である。
【0095】
シーリング装置102が駆動装置104によって外壁200の上部へ引き上がられるとき、第1駆動機構1063Aおよび第2駆動機構1063Bによってシーリングガン1061およびシーリング材均し器具1062が待機位置となるように制御される。この制御により、シーリングガン1061およびシーリング材均し器具1062が外壁200の表面を擦らないようにすることができる。シーリング装置102が駆動装置104によって外壁200の上部から下部へ移動するとき、第1駆動機構1063Aおよび第2駆動機構1063Bによってシーリングガン1061およびシーリング材均し器具1062が作業位置となるように制御される。この制御により、目地202にシーリング材を充填し、目地202の中で広がるように均すことができる。
【0096】
図1を参照して説明したように、シーリングシステム100は、駆動装置104によってシーリング装置102が吊り下げられ、シーリング材充填ユニット106によって目地202にシーリング材を充填する作業が行われるので、レールなどを事前に施工する必要がなく、簡便な構成でシーリング工事を行うことができる。シーリング装置102にはローラユニット108が設けられ、さらに支持体110が外壁200から離れないようにする吸引ユニット114が設けられることで、安定した状態で外壁200の表面を移動し、シーリング作業を行うことができる。シーリング装置102を駆動装置104によって外壁200の上部に引き上げるとき、および外壁200の上部から降下してシーリング充填作業を行うときに応じて、シーリングガン1061およびシーリング材均し器具1062が待機位置と作業位置の少なくとも2つの位置に制御されることにより不慮の衝突による破損を防ぐことができ、作業時にはシーリング材の充填をスムーズに行うことができる。
【0097】
3-1.シーリングシステムの機能的な構成
図9は、シーリングシステム100の機能的な構成を示す。シーリングシステム100は、目地202にシーリング材を充填する機能を有するシーリング装置102と、シーリング装置102を外壁200に沿って上下させる機能を有する駆動装置104と、から構成される。
【0098】
シーリング装置102は、シーリング材充填部3106、上端検出部3112A、下端検出部3112B、シーリング材供給部3116、本体制御部3118を含む。シーリング材充填部3106は、シーリング材吐出部31061および第1駆動部31063Aを含み、目地202へシーリング材を充填する機能を有する。また、シーリング材充填部3106は、シーリング材均し部31062および第2駆動部31063Bを含み、目地202に充填されたシーリング材を均す機能を有する。さらに、シーリング材充填部3106には目地202の幅を検出する機能を有する目地幅検出部3115が備えられていてもよい。
【0099】
シーリング材吐出部31061は、吐出量調整部310613を含む。吐出量調整部310613はシーリング材を吐出量を制御する機能を有する。シーリング材供給部3116は、シーリング材貯留部31162と圧送部31166とを含む。シーリング材貯留部31162はシーリング材を貯留する機能を有し、圧送部31166はシーリング材貯留部31162からシーリング材を圧送する機能を有する。なお、シーリング材吐出部31061から吐出されるシーリング材の吐出量は、シーリング材供給部3116の圧送部31166の圧送機能によっても制御することができる。すなわち、シーリング材吐出部31061から吐出されるシーリング材の吐出量は、吐出量調整部310613および圧送部31166の一方又は双方の機能によって調整することができる。
【0100】
上端検出部3112Aはシーリング装置102が外壁200の上端(作業開始位置)に達したことを検出し、検出信号を本体制御部3118に出力する機能を有する。また、下端検出部3112Bはシーリング装置102が外壁200の下端(作業終了位置)に達したことを検出し、検出信号を本体制御部3118に出力する機能を有する。目地幅検出部3115は、シーリング材が充填される前の目地202の幅を検出する機能を有する。
【0101】
本体制御部3118は、第1駆動部31063Aおよび第2駆動部31063B、シーリング材供給部3116の動作を制御する機能を有する。本体制御部3118は、中央処理ユニット(CPU)、メモリ、インターフェースを含んで構成される。本体制御部3118のメモリには、各機器の動作を制御する制御プログラムがされている。シーリング装置102が起動されると、本体制御部3118のメモリに格納されている制御プログラムが実行され、各機器の動作を制御する命令が出力される。本体制御部3118は、上端検出部3112A、下端検出部3112Bの検出信号に基づきシーリング装置102の位置が判断され、その状態に応じた制御命令を第1駆動部31063A、第2駆動部31063B、シーリング材供給部3116に出力する。
【0102】
駆動装置104は、ワイヤ駆動部31042と制御部31044とを含む。ワイヤ駆動部31042は、ワイヤの巻き上げおよび巻き下げの動作を制御する機能を有する。制御部31044は、ワイヤ駆動部31042の動作を制御する機能を有する。また、制御部31044は、ワイヤ駆動部31042によるシーリング装置102の巻き上げ高さ、および巻き下げ高さを制御する機能を有する。制御部31044にはワイヤ駆動部31042を駆動する制御プログラムが格納されていてもよい。駆動装置104は制御プログラムにより自動運転が可能とされていてもよい。
【0103】
操作部3103は、作業者が直接的に操作する部分であり、駆動装置104の起動を制御する機能を有する。操作部3103の機能に限定はなく、作業者がシーリング装置102および駆動装置104の各種動作を制御する機能を有していてもよい。例えば、操作部3103は、緊急時に駆動装置104を本体制御部3118から切り離して、作業員の操作により操作する機能を有していてもよい。
【0104】
なお、
図9に示す、シーリング材充填部3106はシーリング材充填ユニット106に対応し、シーリング材吐出部31061はシーリングガン1061に対応し、吐出量調整部310613は流量調整バルブ10613に対応する。シーリング材均し部31062はシーリング材均し器具1062に対応する。第1駆動部31063Aは第1駆動機構1063Aに対応し、第2駆動部31063Bは第2駆動機構1063Bに対応する。目地幅検出部3115は目地幅センサ115に対応し、上端検出部3112Aは第1センサ112Aに対応し、下端検出部3112Bは第2センサ112Bに対応する。シーリング材供給部3116はシーリング材供給ユニット116に対応し、シーリング材貯留部31162はシーリングタンク1162に対応し、圧送部31166はポンプ1166に対応する。本体制御部3118は制御盤118に設けられる制御回路に対応する。ワイヤ駆動部31042はウインチ1042に対応し、制御部31044は制御部1044に対応する。
【0105】
3-2.シーリングシステムの動作
図10は、シーリングシステム100の動作フロー図を示す。
図10に示すように、シーリングシステム100は、シーリング装置102、駆動装置104、操作部3103が連動してシーリング作業が実行される。以下においては、
図10と
図9とを参照しながら、シーリングシステム100の動作を説明する。
【0106】
まず、シーリングシステム100を起動した後、本体制御部3118および駆動装置104に、ワイヤの巻き上げ速度、巻き上げ高さ、ワイヤの巻き下げ速度、シーリング材の基準吐出量などの作業条件を設定する(S200)。その後、シーリング装置102を外壁200の前(縦目地の前)に配置し、各部の状態を作業者がCPUに接続されたタッチパネルで確認する。例えば、作業者が地上で、シーリング材吐出部31061およびシーリング材均し部31062が待機位置にあるか、シーリング材貯留部31162にシーリング材が貯留されているか、下端検出部3112Bが下端を検出しているかを確認する。各部位の条件が初期状態になっていない場合は、シーリング装置102の起動前に作業者がリセット状態に調整する。
【0107】
操作部3103の起動スイッチをオンにし(S202)、入力された作業条件に基づいて制御プログラムが実行され、シーリング装置102の自動運転が開始される(S204)。
【0108】
自動運転が開始されると、シーリング装置102の本体制御部3118から駆動装置104の制御部31044へワイヤの巻上げ命令が出力される(S206)。制御部31044はワイヤ駆動部31042へワイヤを巻上げる命令を出力する。ワイヤ駆動部31042は設定された巻上げ速度でワイヤを巻上げる(S208)これによりシーリング装置102が外壁200に沿って上方に持ち上げられる(
図1参照)。そして、シーリング装置102が外壁200の上端に達したことを上端検出部3112Aが検出すると(S210)、本体制御部3118は駆動装置104の制御部31044へワイヤ駆動部31042を停止する命令を出力する(S212)。制御部31044はワイヤ駆動部31042を停止する命令をワイヤ駆動部31042へ出力する。ワイヤ駆動部31042はワイヤの巻上げを停止する(S214)。なお、制御部31044は、駆動装置104に備えられたエンコーダによりワイヤの巻上げ高さを判定しワイヤ駆動部31042を停止させてもよい。
【0109】
その後、シーリング装置102は、本体制御部3118から第1駆動部31063Aおよび第2駆動部11043Bを駆動する命令が出力される(S216)。具体的には、本体制御部3118から第1駆動部31063Aおよび第2駆動部31063Bに対し、シーリング材吐出部31061およびシーリング材均し部31062が作業位置に移動する命令が出力され、その動作が実行される(
図8(B)参照)。
【0110】
シーリング材吐出部31061およびシーリング材均し部31062が作業位置に移動すると、本体制御部3118から、シーリング材供給部3116の圧送部31166をオンにする命令が出力され、シーリング材吐出部31061をオンにする(吐出量調整部310613を開く)命令が出力される(S218)。これらの命令により、シーリング材が、シーリング材供給部3116からシーリング材充填部3106へ供給され、シーリング材吐出部31061から所定の吐出量でシーリング材が目地202へ吐出される。
【0111】
シーリング材吐出部31061からシーリング材が吐出されるのとほぼ同時に、本体制御部3118から駆動装置104の制御部31044へワイヤ巻下げ命令が出力される(S220)。制御部31044はワイヤ駆動部31042にワイヤを巻下げ動作を行う信号を出力する。ワイヤ駆動部31042はワイヤ巻下げ開始する(S222)。ワイヤ駆動部31042の動作によりシーリング装置102は下降し、その過程で縦目地のシーリング材を充填する作業が行われる(S224)。
【0112】
シーリング装置102が下降するとき、目地幅検出部3115により目地の幅が検出され、その検出信号が本体制御部3118に出力される。本体制御部3118は、演算処理により目地の幅に応じて適切な充填量が吐出されるように、圧送部31166に対する圧送量および吐出量調整部310613の吐出量の一方または両方を制御する信号を出力して、シーリング材吐出量の制御を行う(S226)。この吐出量の調整は、下端検出部3112Bが下端を検出するまで行われる(S228)。下端検出部3112Bが下端を検出しない場合は、シーリング材充填処理(S224)に戻り作業が続けられる。
【0113】
下端検出部3112Bが下端を検出すると(S228)、本体制御部3118はワイヤの巻下げを停止する命令を駆動装置104の制御部31044に出力する(S230)。ワイヤ巻下げ停止命令を受信した制御部31044はワイヤ駆動部31042を停止させる(S232)。その後、シーリング装置102は、本体制御部3118がシーリング材供給部3116およびシーリング材吐出部31061の動作を停止するように制御し(S234)、第1駆動部31063Aおよび第2駆動部31063Bにシーリング材吐出部31061およびシーリング材均し部31062を待機位置へ移動させる命令を出力する(S236)。この命令により、第1駆動部31063Aおよび第2駆動部31063Bによって、シーリング材吐出部31061およびシーリング材均し部31062が待機位置へ移動する(
図8(A)参照)。そして、自動運転モードが停止する(S238)。
【0114】
その後、別の縦目地にシーリング材を充填する場合には、シーリング装置102を移動させて同様の処理が繰り返される。
【0115】
以上のように、シーリングシステム100を構成する各要素が連携して動作することにより、建物の外壁の縦目地にシーリング材を自動で充填することができる。作業者は滑車でシーリング装置102を吊り下げて縦目地の位置に配置すればよく、それ以降は
図10を参照して説明したように本体制御部3118が制御プログラムに従って各部の機能を制御して縦目地へシーリング材の充填が行われるので、作業にかかる労力が低減し、高所の作業が少なくなるので安全性を確保することができる。また、これらの機能によれば、高層建築物の外壁の目地にシーリング材を均一に充填することができるシーリング自動充填ロボットを提供することができる。
【0116】
本実施形態に係るシーリングシステム100は、外壁の目地をシーリングする工事に用いられる。
図1を参照して説明したように、シーリング装置102が駆動装置104によって外壁200の上部に引き上げられ、下方に向けて降下させながら目地202に対するシーリングが行われる。シーリング材吐出口にシーリング材均し器具1062を設けることで、シーリング材を目地202の中へ押し込みながら作業することでマスキングテープを張ることなく、さらに、作業者がヘラで均す作業が不要となる。このように、本実施形態に係るシーリングシステム100によれば、シーリング作業の工程数を減らすことができ、省力化を図ることができる。
【符号の説明】
【0117】
100:シーリングシステム、102:シーリング装置、103:吊元台車、1031:架台、1032、1032A、1032B:梁、1033:支柱、1034:支持部材、10342:締結部材:1035:カウンターウェイト、1036:車輪、1037:レール、1038:コードホイール、1039:コード、104:駆動装置、1042:ウインチ、1044:制御部、1046:滑車、1048:ワイヤ、105:支持アーム、105A:第1アーム、105B:第2アーム、1051:連結部材、1052:ストップボルト、1053:U字金具、1054:第1プレート、1054A:開口部、1055:第2プレート、1056:調整棒、1057:連結棒、1058:吊下金具、1059:調整ネジ、106:シーリング材充填ユニット、1061:シーリングガン、10611:本体、10612:ノズル、10613:流量調整バルブ、10614:ハンドル、10615:吐出口、1062:シーリング材均し器具、1063A:第1駆動機構、1063B:第2駆動機構、1064A:第1アクチュエータ、1064B:第2アクチュエータ、1064C:第3アクチュエータ、1065A:第1リニアガイド、10652A:ガイドレール、10654A:ブロック、1065B:第2リニアガイド、10652B:ガイドレール、10654B:ブロック、1065C:第3リニアガイド、10652C:ガイドレール、10654C:ブロック、1066A:第1支持板、1066B:第2支持板、1067:取付部品、107:ガイド、107A:第1ガイド、107B:第2ガイド、107C:第3ガイド、107D:第4ガイド、1072:支持部材、1074:カムフォロワ、108:ローラユニット、108A:第1ローラユニット、108B:第2ローラユニット、108C:第3ローラユニット、108D:第4ローラユニット、108E:第5ローラユニット、108F:第6ローラユニット、1082:ローラ、1082A:第1ローラ、1082B:第2ローラ、110:支持体、1102:固定軸、1104:軸受、1106:第4リニアガイド、11062:ガイドレール、11064:ブロック、112:センサ、112A:第1センサ、112B:第2センサ、113:連結具、114:吸引ユニット、114A:第1吸引ユニット、114B:第2吸引ユニット、114C:第3吸引ユニット、114D:第4吸引ユニット、115:目地幅センサ、116:シーリング材供給ユニット、1162:シーリングタンク、1164:圧縮プレート、1166:ポンプ、1168:チューブ、118:制御盤、3103:操作部、31042:ワイヤ駆動部、31044:制御部、3106:シーリング材充填部、31061:シーリング材吐出部、310613:吐出量調整部、31062:シーリング材均し部、31063A:第1駆動部、31063B:第2駆動部、3112A:上端検出部、3112B:下端検出部、3115:目地幅検出部、3116:シーリング材供給部、31162:シーリング材貯留部、31166:圧送部、3118:本体制御部