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特開2024-129819注射部位への製品の自動注射のための自動注射器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129819
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】注射部位への製品の自動注射のための自動注射器
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20240919BHJP
   A61M 5/20 20060101ALI20240919BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
A61M5/32 500
A61M5/20
A61M5/315 510
A61M5/32 510K
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024038517
(22)【出願日】2024-03-13
(31)【優先権主張番号】23305335.4
(32)【優先日】2023-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル フィアルド
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD07
4C066EE06
4C066FF05
4C066HH05
4C066HH17
4C066HH22
4C066NN08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】意図しない作動を回避する自動注射器を提供する。
【解決手段】ロッカーがリテイナをブロック位置にロックするロック位置と、ロッカーがリテイナの解放位置への移動を可能にする解放位置との間で、リテイナに対して移動可能であり、ロッカーは、格納位置と作動位置との間のハウジングに対するコントローラの移動が、対応する格納位置と作動位置の間の、ハウジングに対するロッカーの移動を伴うように、コントローラに接続される。ロッカーは、ロッカーが格納位置にある限り、ハウジングの停止部に当接するように構成されたブロック部を含み、ロッカーのブロック部は、ロッカーが作動位置に移動させられると、ハウジングの停止部から離れるように移動させられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射部位への製品の自動注射のための自動注射器(1)であって、前記自動注射器(1)は、
長手方向軸Aに沿って延び、医療用製品を収容するためのリザーバを画定するバレル(101)を有する、医療用容器(100)を受け入れるように構成された、ハウジング(2)であって、前記バレル(101)は、注射針を備えた遠位端(102)と、前記バレル(101)の内側に配置されたストッパー(108)を押すためのプランジャロッド(4)を受け入れるように構成された開放近位端(103)とを有する、前記ハウジング(2)と、
前記ハウジング(2)に結合された針カバー(5)であって、前記針カバー(5)は、前記針カバー(5)が、前記注射針を少なくとも部分的に遮蔽する第1の伸張位置と、前記針カバー(5)が、前記ハウジング(2)に対して近位方向に移動する後退位置と、前記針カバー(5)が、遠位方向に戻って前記注射針を遮蔽する第2の伸長位置との間で、前記ハウジング(2)に対して軸方向に移動可能な、前記針カバー(5)と、
格納位置と、前記格納位置に対して遠位に位置づけられる注射終了位置との間で、前記ハウジング(2)内で軸方向に移動可能である、プランジャロッド(4)であって、前記プランジャロッド(4)は、前記格納位置から前記注射終了位置まで移動するとき、前記医療用製品を排出するために前記ストッパー(108)を押すように構成された、前記プランジャロッド(4)と、
リテイナ(8)であって、前記リテイナ(8)は、前記リテイナ(8)が、格納位置において、前記プランジャロッド(4)をブロックする、ブロック位置と、前記リテイナ(8)が、前記プランジャロッド(4)から離れるように移動させられて、前記プランジャロッド(4)の前記格納位置から前記注射終了位置までの軸方向の変位を可能にする、解放位置との間で、前記プランジャロッド(4)に対して移動可能である、前記リテイナ(8)と、
ロッカー(9)であって、前記ロッカー(9)は、前記ロッカー(9)が、前記リテイナ(8)を前記ブロック位置にロックする、ロック位置と、前記ロッカー(9)が、前記リテイナ(8)の前記解放位置への移動を可能にする、解放位置との間で、前記リテイナ(8)に対して移動可能であり、前記ロッカー(9)の前記ロック位置から前記解放位置への移動は、前記第1の伸張位置から前記後退位置へ移動する前記針カバー(5)によってもたらされる、前記ロッカー(9)と、
コントローラ(7)であって、前記コントローラ(7)は、前記コントローラ(7)が、前記自動注射器(1)の作動を防止する格納位置と、前記自動注射器(1)の作動を可能にする作動位置との間で、前記ハウジング(2)に対して移動可能であり、前記コントローラ(7)は、使用者が、前記コントローラ(7)を、前記格納位置から前記作動位置まで移動させることを可能にするように構成された、把持部材(73)を含む、前記コントローラ(7)と、を含み、
前記ロッカー(9)は、前記格納位置と前記作動位置との間の前記ハウジング(2)に対する前記コントローラ(7)の移動が、対応する格納位置と作動位置との間の前記ハウジング(2)に対する前記ロッカー(9)の移動を伴うように、前記コントローラ(7)に接続され、そして
前記ロッカー(9)は、前記ロッカー(9)が前記格納位置にある限り、前記ハウジング(2)の停止部(281)に当接するように構成されたブロック部(96)を含み、その結果、前記ロッカー(9)は、前記リテイナ(8)に対して、前記解放位置に移動するのを防止され、前記ロッカー(9)の前記ブロック部(96)は、前記ロッカー(9)が前記作動位置に移動させられると、前記ハウジング(2)の前記停止部(281)から離れるように移動させられ、その結果、前記ロッカー(9)は、前記リテイナ(8)に対して解放位置に移動し得ることを特徴とする自動注射器(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の自動注射器(1)であって、前記コントローラ(7)は、遠位側(740)および近位側(741)を有する遠位フランジ(74)を含み、前記ハウジング(2)は、前記遠位フランジ(74)の前記遠位側(740)に軸方向に当接するように配置された近位支持面(260、270、280)と、前記遠位フランジ(74)の前記近位側(741)に軸方向に当接する遠位支持面(290)とを含むことを特徴とする自動注射器(1)。
【請求項3】
請求項2に記載の自動注射器(1)であって、前記近位支持面(260)は、軸方向に延びる割り出しリブ(26)に配置され、前記割り出しリブ(26)は、前記近位支持面(260)と軸方向に対向して、前記ハウジング(2)の下部本体(3)の軸方向スロット(31)に係合するように構成された遠位端(261)を含むことを特徴とする自動注射器(1)。
【請求項4】
請求項2に記載の自動注射器(1)であって、前記近位支持面(280)は、軸方向に延びるブロックリブ(28)に配置され、前記ブロックリブ(28)は、前記近位支持面(280)と軸方向に対向して、前記ロッカー(9)に対して軸方向に当接するように構成された遠位停止部(281)を含むことを特徴とする自動注射器(1)。
【請求項5】
請求項2に記載の自動注射器(1)であって、前記近位支持面(270)は、軸方向に延びる取り付けリブ(27)に配置され、前記取り付けリブ(27)は、前記近位支持面(270)と軸方向に対向して、前記ハウジング(2)の下部本体(3)の近位端(30)に軸方向に当接するように構成された遠位端(271)を含むことを特徴とする自動注射器(1)。
【請求項6】
請求項1-5のいずれか一項に記載の自動注射器(1)であって、前記コントローラ(7)は、前記ハウジング(2)の前記開放近位端(21)を閉じるように配置された近位フランジ(75)を含み、前記ハウジング(2)は、前記近位フランジ(75)の遠位側(751)に軸方向に当接するように構成された近位支持面(230)を含むことを特徴とする自動注射器(1)。
【請求項7】
請求項2-6のいずれか一項に記載の自動注射器(1)であって、前記近位フランジ(75)の遠位側(751)に軸方向に当接するように構成された近位支持面(230)は、前記ハウジング(2)の第1の軸方向に延びるリブ(23)に配置され、前記コントローラ(7)の遠位フランジ(74)の周縁(742)は、前記遠位フランジ(74)を通って前記第1の軸方向に延びるリブ(23)を受け入れるための切り欠き(743)を含むことを特徴とする自動注射器(1)。
【請求項8】
請求項7に記載の自動注射器(1)であって、前記コントローラ(7)は、前記コントローラ(7)が前記格納位置にあるときに、前記ハウジング(2)の前記第1の軸方向に延びるリブ(23)に半径直交方向に当接するように構成された、第1の側面(760)と、前記コントローラ(7)が前記作動位置にあるときに、前記ハウジング(2)の突出部(29)に半径直交方向に当接するように構成された、第2の側面(761)と、を有する、回転制限部(76)を含み、前記回転制限部(76)は、前記コントローラ(7)の前記遠位フランジ(74)を前記近位フランジ(75)に接続することを特徴とする自動注射器(1)。
【請求項9】
請求項1-8のいずれか一項に記載の自動注射器(1)であって、前記コントローラ(7)の前記把持部(73)は、前記コントローラ(7)が前記格納位置または前記作動位置にあるときを末端使用者に示すために、前記ハウジング(2)の第1または第2の表示(24、25)を指すように構成された先細りの外端(731)を含むことを特徴とする自動注射器(1)。
【請求項10】
請求項1-9のいずれか一項に記載の自動注射器(1)であって、前記コントローラ(7)は、前記自動注射器(1)の使用前に前記コントローラ(7)を前記格納位置に保持するために、前記ハウジング(2)に当接するように構成された弾性変形可能なホルダ(763)を含むことを特徴とする自動注射器(1)。
【請求項11】
請求項10に記載の自動注射器(1)であって、前記弾性変形可能なホルダ(763)は、前記ハウジング(2)の前記第1の軸方向に延びるリブ(23)の第1の側に当接するように構成され、第1の側に対向して、前記ハウジング(2)の前記第1の軸方向に延びるリブ(23)は、前記ハウジング(2)内への前記コントローラ(7)の組み立て中に、前記弾性変形可能なホルダ(763)が変形して、前記第1の軸方向に延びるリブ(23)を通過することを可能にする、面取りなどの傾斜面(231)を含むことを特徴とする自動注射器(1)。
【請求項12】
請求項1-11のいずれか一項に記載の自動注射器(1)であって、前記リテイナ(8)は、前記ロッカー(9)の軸方向に延びる案内溝(95)と係合するように構成された軸方向に延びる案内脚(81)を含み、前記軸方向に延びる案内脚(81)は、前記リテイナ(8)が前記作動位置まで回転させられると、前記案内溝(95)の側面に当接して前記ロッカー(9)を前記作動位置に回転させるように構成された、半径直交方向の押圧面(813)を画定することを特徴とする自動注射器(1)。
【請求項13】
請求項12に記載の自動注射器(1)であって、前記リテイナ(8)は、前記ロッカー(9)の近位端(90)に軸方向に当接する案内脚(81)に配置され、注射がトリガーされようとしていることを触覚で末端使用者に示す、弾性変形可能な屈曲点(820)を含むことを特徴とする自動注射器(1)。
【請求項14】
請求項1-13のいずれか一項に記載の自動注射器(1)であって、前記リテイナ(8)は、前記リテイナ(8)が前記ブロック位置にあるときに、前記プランジャロッド(4)の遠位当接面(44)に係合するように構成された、半径方向内向きの突出部(832)と、前記ロッカー(9)の軸方向に延びるロック溝(94)に係合するように構成された、対向する半径方向外向きの突出部(834)であって、前記外向きの突出部(834)は、前記ロッカー(9)が前記ロック位置にあるとき、前記ロック溝(94)の横方向当接面(941)に当接する、前記外向きの突出部(834)と、を含む、弾性変形可能なブロック脚(83)を含み、前記外向きの突出部(834)は、さらに、前記ロック溝(94)から半径方向内向きに突出する遠位停止部(834)に軸方向に当接するように構成された近位肩部(835)を画定することを特徴とする自動注射器(1)。
【請求項15】
請求項1-14のいずれか一項に記載の自動注射器(1)であって、前記リテイナ(8)と前記コントローラ(7)は、単一片で作製されることを特徴とする自動注射器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願において、構成部品または器具の遠位端は、使用者の手から最も遠い端を意味すると理解されるべきであり、近位端は、使用者の手に最も近い端を意味すると理解されるべきである。同様に、本出願において、「遠位方向」は、使用者の手から遠ざかる方向を意味し、「近位方向」は、使用者の手に向かう方向を意味すると理解されるべきである。
【0003】
自動注射器は、注射部位に、医療用製品を自動的に注射するように設計される。自動注射器は、通常、医療用容器を受け入れるためのハウジングを備える。医療用容器は、医療用製品を収容するためのリザーバを画定するバレルを有し、バレルは、注射針を備えた遠位端と、ストッパーを押すためのプランジャロッドを受け入れる開放近位端とを有する。開放近位端は、通常、フランジを備える。
【0004】
自動注射器は、また、針を、それぞれ、遮蔽または露出させるために、伸長位置から後退位置に移動する、安全シールド機構と、医療用製品を注射部位に自動的に注射するための注射機構とを含む。注射機構は、通常、医療用容器のバレル内部のストッパーを押すためのプランジャーロッドと、プランジャーロッドを遠位方向に移動させるための、初期には圧縮されたばねとを含む。ロック手段は、圧縮されたばねの作用にもかかわらず、プランジャロッドが軸方向にブロックされる、初期位置に、プランジャロッドを維持するために、設けられる。解放部材は、典型的には、プランジャロッドをロック手段から解放し、ばねが、プランジャロッドを遠位方向に押して注射を実行することを可能にするように配置される。安全シールドの後退位置に向かう所定の変位は、解放部材が、ロック手段のロックを解除し、プランジャロッドを解放することを可能にするために必要とされる。
【0005】
自動注射器の堅牢性を評価するために、自動注射器は、ISO11608で要求される落下試験を受ける。これらの落下試験は、通常、自動注射器を1mの高さから水平な床に、少なくとも1回落下させることから構成される。「キャップを上向き」の落下、「キャップを下向き」の落下、自動注射器が水平にされた落下、の3つの落下方向が存在する。自動注射器は、「キャップを上向き」の落下試験に敏感であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、自動注射器の意図しない作動を回避するための、簡単で堅牢な解決策を提供する、自動注射器の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、注射部位への製品の自動注射のための自動注射器であり、自動注射器は、
長手方向軸Aに沿って延び、医療用製品を収容するためのリザーバを画定するバレルを有する、医療用容器を受け入れるように構成された、ハウジングであって、バレルは、注射針を備えた遠位端と、バレルの内側に配置されたストッパーを押すためのプランジャロッドを受け入れるように構成された開放近位端とを有する、ハウジングと、
ハウジングに結合された針カバーであって、針カバーは、針カバーが、注射針を少なくとも部分的に遮蔽する第1の伸張位置と、針カバーが、ハウジングに対して近位方向に移動する後退位置と、針カバーが、遠位方向に戻って注射針を遮蔽する第2の伸長位置との間で、ハウジングに対して軸方向に移動可能な、針カバーと、
格納位置と、格納位置に対して遠位に位置づけられる注射終了位置との間で、ハウジング内で軸方向に移動可能である、プランジャロッドであって、プランジャロッドは、格納位置から注射終了位置まで移動するとき、医療用製品を排出するためにストッパーを押すように構成された、プランジャロッドと、
リテイナであって、リテイナは、リテイナが、格納位置において、プランジャロッドをブロックする、ブロック位置と、リテイナが、プランジャロッドから離れるように移動させられて、プランジャロッドの格納位置から注射終了位置までの軸方向の変位を可能にする、解放位置との間で、プランジャロッドに対して移動可能である、リテイナと、
ロッカーであって、ロッカーは、ロッカーが、リテイナをブロック位置にロックする、ロック位置と、ロッカーが、リテイナの解放位置への移動を可能にする、解放位置との間で、リテイナに対して移動可能であり、ロッカーのロック位置から解放位置への移動は、第1の伸張位置から後退位置へ移動する針カバーによってもたらされる、ロッカーと、
コントローラであって、コントローラは、コントローラが、自動注射器の作動を防止する格納位置と、自動注射器の作動を可能にする作動位置との間で、ハウジングに対して移動可能であり、コントローラは、使用者が、コントローラを、格納位置から作動位置まで移動させることを可能にするように構成された、把持部材を含む、コントローラと、を含み、
ロッカーは、格納位置と作動位置との間のハウジングに対するコントローラの移動が、対応する格納位置と作動位置との間のハウジングに対するロッカーの移動を伴うように、コントローラに接続され、そして
ロッカーは、ロッカーが格納位置にある限り、ハウジングの停止部に当接するように構成されたブロック部を含み、その結果、ロッカーは、リテイナに対して、解放位置に移動するのを防止され、ロッカーのブロック部は、ロッカーが作動位置に移動させられると、ハウジングの停止部から離れるように移動させられ、その結果、ロッカーは、リテイナに対して解放位置に移動し得る。
【0008】
したがって、本発明の自動注射器は、注射機構の意図しない作動を効果的に防止する。さらに、リテイナは、ハウジングの一部ではなく、コントローラの一部であり、これは、ハウジングの製造プロセスを簡素化し、製造するのをより容易にし、かつより安価にする。これは、また、注射ばねが、コントローラ/リテイナによって支持されるため、ハウジングが、注射ばねの力を支持しないことを含む。結果として、ハウジングは、例えば、ポリプロピレンなどのより安価な材料で作製され得る。
【0009】
より具体的には、本発明の一態様は、製品を注射部位に自動的に注射するための自動注射器であり、前記自動注射器は、
長手方向軸Aに沿って延び、医療用製品を収容するためのリザーバを画定するバレルを有する、医療用容器を受け入れるように構成されるハウジングであって、バレルは、注射針を備えた遠位端と、バレルの内部に配置されたストッパーを押すためのプランジャロッドを受け入れるように構成された開放近位端と、を有する、ハウジングと、
ハウジングに結合された針カバーであって、針カバーは、、針カバーが、注射針を少なくとも部分的に遮蔽する第1の伸張位置と、針カバーが、ハウジングに対して近位方向に移動する後退位置と、針カバーが遠位方向に戻って注射針を遮蔽する第2の伸長位置との間で、ハウジングに対して軸方向に移動可能である、針カバーと、
格納位置と、格納位置に対して遠位に位置づけられる注射終了位置との間で、ハウジング内で軸方向に移動可能であるプランジャロッドであって、、プランジャロッドは、格納位置から注射終了位置まで移動するときに、医療用製品を排出するためにストッパーを押すように構成される、プランジャロッドと、
リテイナであって、リテイナは、リテイナが、格納位置において、プランジャロッドを軸方向にブロックする、ブロック位置と、リテイナが、プランジャロッドから離れるよう移動させられて、プランジャロッドの格納位置から注射終了位置までの軸方向の変位を可能にする、解放位置との間で、半径方向に移動可能である、リテイナと、
ロッカーであって、ロッカーは、ロッカーが、リテイナに対して半径方向に当接して、リテイナをブロック位置にロックする、ロック位置と、ロッカーが、解放位置へのリテイナの半径方向の移動を可能にする、解放位置との間で、リテイナに対して軸方向に移動可能であり、ロック位置から解放位置へのロッカーの軸方向の移動は、第1の伸張位置から後退位置へ移動する針カバーによってもたらされる、ロッカーと、
コントローラであって、コントローラは、コントローラが自動注射器の作動を防止する、格納位置と、自動注射器の作動を可能にする、作動位置との間で、ハウジングに対して、長手方向軸Aの周りに回転移動可能であり、コントローラは、使用者が、コントローラを格納位置から作動位置まで回転させることを可能にするように構成された把持部材を含む、コントローラと、を含み、
ロッカーは、格納位置と作動位置との間のコントローラの回転が、対応する格納位置と作動位置との間のハウジングに対するロッカーの回転を伴うように、コントローラに接続される。
【0010】
ロッカーは、ロッカーが格納位置にある限り、ハウジングの遠位停止部に軸方向に当接するように構成された近位ブロック部を含み、その結果、ロッカーは、リテイナに対して、軸方向に解放位置へ移動するのを防止され、ロッカーの近位ブロック部は、ロッカーがリテイナによって作動位置に回転させられると、ハウジングの遠位停止部から離れるように周方向に移動させられ、その結果、ロッカーは、解放位置までリテイナに対して軸方向に移動し得る。
【0011】
本発明の自動注射器は、さらに、以下の特徴の一部または全部を含み得る。
【0012】
一実施形態では、コントローラは、遠位側および近位側を有する遠位フランジを含み、ハウジングは、遠位フランジの遠位側に軸方向に当接するように配置された近位支持面と、遠位フランジの近位側に軸方向に当接する遠位支持面とを含む。
【0013】
したがって、第1の近位支持面および遠位当接面は、ハウジングに対して長手方向軸Aの周りのコントローラの回転を案内し、コントローラを、ハウジングに対して軸方向に固定する。
【0014】
好ましくは、近位支持面は、軸方向に延びる割り出しリブに配置され、割り出しリブは、近位支持面と軸方向に対向して、ハウジングの下部本体の軸方向スロットに係合するように構成された遠位端を含む。
【0015】
好ましくは、近位支持面は、軸方向に延びるブロックリブに配置され、ブロックリブは、近位支持面と軸方向に対向して、ロッカーに対して軸方向に当接するように構成された遠位停止部を含む。
【0016】
好ましくは、近位支持面は、軸方向に延びる取り付けリブに配置され、取り付けリブは、近位支持面と軸方向に対向して、ハウジングの下部本体の近位端に軸方向に当接するように構成された遠位端を含む。
【0017】
一実施形態では、コントローラは、ハウジングの開放近位端を閉じるように配置された近位フランジを含み、ハウジングは、近位フランジの遠位側に軸方向に当接するように構成された近位支持面を含む。
【0018】
一実施形態では、近位フランジの遠位側に軸方向に当接するように構成された近位支持面は、ハウジングの第1の軸方向に延びるリブに配置され、コントローラの遠位フランジの周縁は、遠位フランジを通って第1の軸方向に延びるリブを受け入れるための切り欠きを含む。
【0019】
切欠きはまた、第1の軸方向に延びるリブによって妨げられることなく、格納位置から作動位置までのコントローラの回転を可能にするように形成される。
一実施形態では、コントローラは、コントローラが格納位置にあるときに、ハウジングの第1の軸方向に延びるリブに半径直交方向に当接するように構成された、第1の側面と、コントローラが作動位置にあるときに、ハウジングの突出部に半径直交方向に当接するように構成された、第2の側面と、を有する、回転制限部を含み、回転制限部は、コントローラの遠位フランジを近位フランジに接続する。
【0020】
したがって、回転制限部は、格納位置と作動位置との間の、ハウジングに対するコントローラの回転を制限するが、また、コントローラの遠位フランジと近位フランジの間の接続を剛性化することによって、コントローラのねじれを回避する。さらに、第1の軸方向に延びるリブは、反時計回り方向であり得る、第1の方向へのコントローラの回転を制限し、一方、突起は、時計回り方向であり得る、第2の対向方向へのコントローラの回転を制限する。
【0021】
できる限り、回転ブロック部は、中央長手方向平面内に延びる軸方向壁である。軸方向壁は、プランジャを受け入れるように構成された軸方向スリーブの側壁から、遠位フランジおよび近位フランジの周縁部まで半径方向に突出する。可能な限り、近位フランジおよび遠位フランジは、前記軸方向スリーブから半径方向外側に突出する。可能な限り、軸方向スリーブは、近位フランジから近位方向に突出してハウジングの外側に延びる近位端を含む。
【0022】
できる限り、ハウジングの突出部は、遠位フランジの近位側に軸方向に当接する遠位支持面を画定し、遠位支持面に軸方向に対向して、突出部は、ハウジング内へのコントローラの組立中に、突出部を越える遠位フランジの通過を可能にするように構成された、傾斜面を含む。
【0023】
一実施形態では、コントローラの把持部は、コントローラが格納位置または作動位置にあるときを末端使用者に示すために、ハウジングの第1または第2の表示を指すように構成された先細りの外端を含む。
【0024】
一実施形態では、コントローラは、自動注射器の使用前にコントローラを格納位置に保持するために、ハウジングに当接するように構成された弾性変形可能なホルダを含む。
【0025】
一実施形態では、弾性変形可能なホルダは、ハウジングの第1の軸方向に延びるリブの第1の側に当接するように構成され、第1の側に対向して、ハウジングの第1の軸方向に延びるリブは、ハウジング内へのコントローラの組み立て中に、弾性変形可能なホルダが変形して、第1の軸方向に延びるリブを通過することを可能にする、面取りなどの傾斜面を含む。
【0026】
一実施形態では、リテイナは、ロッカーの軸方向に延びる案内溝と係合するように構成された軸方向に延びる案内脚を含み、軸方向に延びる案内脚は、リテイナが作動位置まで回転させられると、案内溝の側面に当接してロッカーを作動位置に回転させるように構成された、半径直交方向の押圧面を画定する。
【0027】
ロッカーはリテイナの周りに延びる。半径直交方向の押圧面に対向して、案内脚は、ロッカーを対向する回転方向に押すための、第2の半径直交方向押圧面を含み得る。リテイナの軸方向に延びる案内脚と、ロッカーの案内溝は、相補的な形状とされ得る。したがって、リテイナの案内脚は、ロッカーと協働する回転駆動部を形成し、ロッカーを格納位置から作動位置まで回転させる。
【0028】
一実施形態では、リテイナは、ロッカーの近位端に軸方向に当接する案内脚に配置され、注射がトリガーされようとしていることを触覚で末端使用者に示す、弾性変形可能な屈曲点を含む。
【0029】
一実施形態では、リテイナは、リテイナがブロック位置にあるときに、プランジャロッドの遠位当接面に係合するように構成された、半径方向内向きの突出部と、ロッカーの軸方向に延びるロック溝に係合するように構成された、対向する半径方向外向きの突出部であって、外向きの突出部は、ロッカーがロック位置にあるとき、ロック溝の横方向当接面に当接する、外向きの突出部と、を含む、弾性変形可能なブロック脚を含み、外向きの突出部は、さらに、ロック溝から半径方向内向きに突出する遠位停止部に軸方向に当接するように構成された近位肩部を画定する。
【0030】
したがって、リテイナのブロック脚は、プランジャロッドを格納位置に軸方向にブロックするために、ブロック部がプランジャロッドに軸方向に当接する、ブロック位置と、ブロック部がプランジャロッドから離れ、プランジャロッドの格納位置から注射終了位置までの軸方向の移動を可能にする、解放位置との間で、半径方向に移動可能な、ブロック部を形成する。
【0031】
ロック位置では、ロッカーの横方向当接面がリテイナのブロック部に半径方向に当接して、ブロック部をブロック位置に維持する。解放位置では、ロッカーの横方向当接面はリテイナのブロック部から離れる。
【0032】
好ましくは、リテイナはコントローラに接続され、その結果、格納位置と作動位置との間のコントローラの回転は、対応する格納位置と作動位置との間のハウジングに対するリテイナの回転を伴い、ロッカーは、リテイナに接続され、その結果、格納位置と作動位置との間のリテイナの回転は、格納位置と作動位置との間のハウジングに対するロッカーの回転を伴う。
【0033】
一実施形態では、リテイナとコントローラは、単一片で作製される。
【0034】
ロッカー、リテイナ、および/または、コントローラは、格納位置と作動位置との間で、同じ角度の回転を有し得る。それらは、同時に、一斉に回転し得る。
【0035】
本発明および本発明から生じる利点は、以下の添付の図面を参照して、以下に示される詳細な説明からはっきりと明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】コントローラが初期位置にある、本発明の一実施形態による自動注射器の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による自動注射器の分解図である。
図3】上部本体と下部本体が取り外された、本発明の一実施形態による自動注射器の斜視図である。
図4】上部本体、下部本体、および、カムが取り外された、本発明の一実施形態による自動注射器の斜視図である。
図5】本発明の一実施形態による自動注射器のハウジングの上部本体の斜視図である。
図6】本発明の一実施形態による自動注射器のハウジングの上部本体の断面図である。
図7】本発明の一実施形態による自動注射器のコントローラの斜視図である。
図8】本発明の一実施形態による自動注射器のコントローラの側面図である。
図9】本発明の一実施形態による自動注射器のコントローラの遠位部分の斜視図である。
図10】本発明の一実施形態による自動注射器の断面図である。
図11】本発明の一実施形態による自動注射器の断面図である。
図12】本発明の一実施形態による自動注射器の断面図である。
図13】本発明の一実施形態による自動注射器のロッカーの斜視図である。
図14】本発明の一実施形態による自動注射器のロッカーの底面図である。
図15】本発明の一実施形態による自動注射器のロッカーの上面図である。
図16】本発明の一実施形態による自動注射器の断面図である。
図17図16の長手方向平面から90°での、図6の自動注射器の断面図である。
図18】本発明の一実施形態による自動注射器の、横断面での断面図である。
図19】コントローラが初期位置にある、本発明の一実施形態による自動注射器の、横断面での断面図である。
図20】コントローラが作動位置にある、本発明の一実施形態による自動注射器の斜視図である。
図21】コントローラが作動位置にある、本発明の一実施形態による自動注射器の、横断面での断面図である。
図22】ロッカーが中間位置にある、本発明の一実施形態による自動注射器の断面図である。
図23】ロッカーが解放位置にある、本発明の一実施形態による自動注射器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
実施形態の異なる態様は、組み合わされた部分が、装置およびアセンブリの動作と矛盾しないか、または、動作を妨げない限り、他の実施形態と組み合わせて使用され、また、他の実施形態と共に使用され得る。本明細書で使用される言い回しおよび用語は、説明のためのものであり、限定しているとみなされるべきではない。本明細書における「含む」、「備える」、または「有する」、および、その変形の使用は、それ以前に列挙される項目およびその等価物、ならびに、追加の項目を包含するためのものである。別段に限定されない限り、本明細書における「連結される」、「結合される」、「取り付けられる」という用語、および、その変形は、広義に使用され、直接的および間接的な、連結、結合、および、取り付けを包含する。加えて、「連結される」及び「結合される」という用語、ならびに、その変形は、物理的又は機械的な連結又は結合に限定されない。本明細書で使用される場合、単数形の「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が、明らかにそうでないことを示さない限り、複数形を含むことを意図される。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された1つまたは複数の項目の、任意の、および、すべての組み合わせを含む。本明細書において、第1、第2などの用語が、様々な要素を説明するために使用され得るが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるであろう。これらの用語は、1つの要素を別の要素から区別するために使用されるに過ぎない。例えば、第1の要素は、第2の要素と称され得、同様に、第2の要素は、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素と称され得るであろう。
【0038】
図1および図2を参照すると、本発明の実施形態による自動注射器1が示される。自動注射器1は、注射部位への製品の自動注射のために設計される。自動注射器1は、長手方向軸Aに沿って延びる。自動注射器1は、例えば、スナップ嵌め手段のような、任意の適切な固定手段によって、互いに組み立てられた、上部本体2と下部本体3とを備えるハウジング2を含む。上部本体2と下部本体3は、互いに軸方向および回転方向に固定される。ハウジング2は、上部本体2の近位端21である近位端21と、下部本体3の遠位端22である対向する遠位端22とを有する。キャップ35は、ハウジング2の遠位端22に取り外し可能に取り付けられる。キャップ35は、キャップ35がハウジング2から引き抜かれるときに、針シールド107を取り外すためのリムーバー36(図2)を含み得る。
【0039】
上部本体2は、円筒形の側壁20を有し、その近位端21は、近位開口210を画定する。近位開口210は、以下に説明されるように、好ましくは、コントローラ7によって形成され得る、上部キャップによって閉鎖され得る。その近位端21に隣接し、側壁20の外面に、上部本体2は、末端使用者にコントローラ7の位置を示すための、1つまたは複数の表示24、25(図1)を含み得る。図1および図20を参照すると、ハウジング2の上部本体2は、コントローラ7が、それぞれ、格納位置または作動位置にあることを使用者に示すための、第1の表示24、および/または、第2の表示25を含み得る。第1および第2の表示24、25は、ハウジング2の側壁20の外面、好ましくは、ハウジング2の近位端21に隣接して配置され得、その結果、コントローラ7の近位部分は、コントローラ7の現在の位置に応じて、第1の表示24または第2の表示25を指し得る。第1および第2の表示24、25は、例えば、軸方向の凹部またはリブ、および/または、数字、色、または、「オフ」、「オン」のような文字などの、任意の可視マークを含み得る。
【0040】
図2を参照すると、下部本体3は、注射器、好ましくはプレフィルドシリンジのような、医療用容器100を受け入れるように構成される。医療用容器100は、注射される医療用製品を収容するためのリザーバを画定する管状バレル101を有する。バレル101は、注射針(図示されず)を備えた遠位端102と、注射針を保護し密封するために遠位端102に取り外し可能に取り付けられた針シールド107とを有する。バレル101は、フランジ104を備え得る開放された近位端103を有する。この近位端103は、リザーバ内に収容された医療用製品を排出するために、バレル101内に配置されたストッパー108(図12)を押すための、プランジャロッド4を受け入れるように構成された、近位開口105を画定する。
【0041】
プランジャロッド4は、近位端47と、対向する遠位端48とを有する、注射ばね46のような、付勢手段によって遠位方向に推進される。好ましくは、注射ばね46は、プランジャロッド4の周囲に延びる。別の実施形態(図示されず)では、注射ばね46はプランジャロッド4の内側に延び得る。注射ばね46の遠位端48は、プランジャロッド4の中間外向きフランジ43に軸方向に当接し、近位端47は、コントローラ7の横方向壁775(図12)に当接する。リング55は、バレル101の近位端103に固定され得、針カバー5を遠位方向に押すように構成された安全ばね54のための支持体として機能し得る。
【0042】
図2図3において視認できるように、自動注射器1は、また、回転カム6、プランジャロッド4を軸方向にロックまたは解放するためのロッカー9、および、ここでは、また、上部キャップを形成する、コントローラ7を含み得る。
【0043】
図2および図3を参照すると、針カバー5は、医療用容器100を収容するように構成された管状スリーブの形態である。針カバー5は、図3に示されるように、注射部位に押し付けられるように構成された遠位端50と、カム6およびロッカー9と協働するように構成された、対向する近位端51とを含む。針カバー5は、針カバー5が、少なくとも部分的にまたは完全に注射針を遮蔽する、第1の伸長位置(使用前位置、図3)と、第1の伸長位置に対して近位に位置づけられ、針カバー5が、注射をトリガーすることをもたらす(後述されるように、ロッカー9を解放位置に押すことによって)、後退位置(図示されず)と、針カバー5が、遠位方向に戻って、注射針を安全に遮蔽する、第2の伸長位置(安全位置、図示されず)との間で、ハウジング2に対して、長手方向軸Aに沿って軸方向に移動可能である。針カバー5の第1の伸長位置から後退位置への移動は、使用者が針カバー5の遠位端を注射部位に押し付けることによってもたらされ、一方、針カバー5の後退位置から安全位置への移動は、使用者が注射部位から注射針を取り外す際に、針カバー5を遠位方向に押し戻す安全ばね54による。
【0044】
針カバー5は、カム6の第1のスロット60に係合するために、近位端51に配置され得る、半径方向タブ52を含む。したがって、針カバー5の、第1の伸長位置から後退位置への軸方向移動は、カム6の回転をもたらし得る。
【0045】
針カバー5は、ロッカー9の遠位当接面982に当接するための、近位端51に配置され得る、近位押し付け面53を含む。したがって、針カバー5の、第1の伸長位置から後退位置への軸方向移動は、近位方向へのロッカー9の軸方向移動をもたらし得る。針カバー5とロッカー9との間の接触は、好ましくは、直接である、すなわち、介在部分を備えない。近位押し付け面53は、円周方向に延び得る。近位押し付け面53は、好ましくは、針カバー5の最近位表面である。
【0046】
さらに図2図3を参照すると、カム6は円筒形リングの形態であり得、医療用容器100、針カバー5の近位端51、およびロッカー9の遠位端91を受け入れ得る。カム6は、第1のスロット60と第2のスロット61とを備える。第1のスロット60は、第1の端部602と第2の端部603との間に延びる斜め部分601と、第2の端部603から第3の端部605まで延びる横方向部分604と、第3の端部605から第4の端部607まで遠位方向に延びる軸方向部分606とを有する。第1のスロット60は、針カバー5の半径方向タブ52によって係合され、半径方向タブ52は、針カバー5が第1の伸長位置にあるときは第1の端部602に、針カバー5が後退位置にあるときは第2の端部603に、次いで、第3の端部605に、針カバー5が安全位置にあるときは第4の端部607に近接して、または、第4の端部607に位置づけられ得る。第2のスロット61は、近位肩部611を含む軸方向部分610と、近位肩部611から遠位方向に延びる斜め部分612とを含む。第2のスロット61は、リング55によって係合され、リング55は、針カバー5が第1の伸長位置にあるときに軸方向部分610に延び、医療用容器100がプランジャロッド4によって押されて注射部位への注射針の貫通をもたらすときに、斜め部分612に対して摺動する。カム6は、ハウジング2内に回動可能に取り付けられる。カム6の回転は、まず、針カバー5が第1の伸長位置から後退位置に移動するときに、半径方向タブ52が斜め部分601の上側に対して摺動することによってもたらされ、次に、リング55が、注射ばね46によって医療用容器100とともに遠位に押されるときに、斜め部分612の下側に対して摺動するリング55によってもたらされる。カム6のこの第2の回転は、同時に、半径方向タブ52が、第2の端部603から第3の端部605に移動することをもたらし、その結果、半径方向タブ52は、今や、軸方向部分606に面し、針カバー5が後退位置から安全位置に移動するとき、すなわち、注射後、注射針が注射部位から取り除かれるときに、軸方向部分606の内側を遠位方向に摺動し得る。
【0047】
図2において視認できるように、プランジャロッド4は、遠位端40と、対向する近位端42と、遠位端40と近位端42との間に配置された中間外向きフランジ43とを有する。
【0048】
遠位フランジ41を含み得る遠位端40は、医療用製品を排出するためにバレル101内に配置されたストッパー108を押すように構成される。プランジャロッド4は、初期(格納)位置(図10図12)と、格納位置に対して遠位に位置づけられる注射終了位置(図示されず)との間で、ハウジング2内で、実際に軸方向に移動可能である。注射終了位置では、プランジャロッド4は、バレル101によって形成されたリザーバの遠位端に、ストッパー108を押し付け得る。プランジャロッド4の格納位置から注射終了位置への移動は、プランジャロッド4を遠位方向に押す、注射ばね46によってもたらされ得る。
【0049】
中間外向きフランジ43は、注射ばね46の遠位端に支持を提供する近位側と、プランジャロッド4の初期(格納)位置で、プランジャロッドを軸方向にブロックするために、リテイナ8の近位ブロック面833に当接するように構成された、遠位当接面44を画定する、遠位側とを画定する。中間外向きフランジ43は、ここでは遠位端40の近くに配置され、その結果、リテイナ8は、プランジャロッド4の遠位部分に係合する(配置される)。別の実施形態(図示されず)では、中間外向きフランジ43、したがって、遠位当接面44は、近位端42の近くに位置づけられ得、その結果、リテイナ8は、プランジャロッド4の近位部分に係合する(配置される)。他の実施形態では、中間外向きフランジ43の代わりに、プランジャロッド4は、遠位当接面44を画定する周方向溝を含み得る。好ましくは、遠位当接面44は、長手方向軸Aに対して傾斜するように、円錐台状の形状を有する。
【0050】
図7図9を参照すると、リテイナ8は、円筒形の側壁770、近位端774、および、遠位端776を含む、軸方向スリーブ77の形態である。遠位端776は、プランジャロッド4の通過を可能にする、遠位開口777を画定する。側壁770は、プランジャロッド4および注射ばね46を受け入れる内部空洞771を画定する。側壁770は、案内脚81の形態の、2つの直径方向に対向する案内部81と、ブロック脚83の形態の、2つの直径方向に対向するブロック部83の境界を定める、4つの軸方向スロット772を有する。
【0051】
ブロック脚83は、近位端830と遠位端831との間で軸方向に延び、初期位置で、プランジャロッド4を軸方向にブロックするための軸方向ブロック面833を含む。ブロック脚83は、さらに、ロッカー9に半径方向に当接する横方向ブロック面836と、ロッカー9に軸方向に当接する近位肩部835を含み得る。軸方向ブロック面833は、ブロック脚の遠位端831に位置づけられ得、ブロック脚83の内面から半径方向に突出する、内向き突出部832によって画定され得る。軸方向ブロック面833は、長手方向軸Aに対して傾斜し得る。軸方向ブロック面833と、プランジャロッド4の遠位当接面44とは、相補的に形成され得る。横方向ブロック面836は、ブロック脚83から半径方向に突出する外向き突出部834によって画定され得る。外向き突出部834は、好ましくは、内向き突出部832と半径方向に対向して配置される。近位肩部835は、外向き突出部834によって画定され、外向き突出部834の最近位表面であり得る。軸方向ブロック脚83は、実際には、2つの外向き突出部834、したがって、2つの横方向ブロック面836および2つの近位肩部835を含み得、これらは、図7図9に示されるように、軸方向スリット837によって分離され得る。
【0052】
ブロック脚83は、軸方向ブロック面833がプランジャロッド4の遠位当接面44に軸方向に当接し、その結果、プランジャロッド4が、その初期位置にブロックされる、ブロック位置(図10)と、ブロック脚83が半径方向外側に変形し得(図23の矢印84を参照)、その結果、軸方向ブロック面833がプランジャロッド4の経路から外され、それによって、プランジャロッド4が注射終了位置に向かって移動することを可能にする、解放位置との間で、半径方向に移動可能、好ましくは、半径方向に変形可能である。ブロック脚83のブロック位置から解放位置への移動は、プランジャロッド4に作用する注射ばね46によってもたらされ得る。
【0053】
案内脚81は、近位端810と遠位端811との間で軸方向に延び、ロッカー9の軸方向の並進を案内するように構成される。案内脚81は、その外面から突出する軸方向リブ812を含み得る。軸方向リブ812は、ロッカー9の軸方向の移動を案内するために、ロッカー9の対応する軸方向に延びる案内溝95(図4図13図18)と係合するように構成される。リテイナ8の軸方向リブ812は、中空であり得る。軸方向リブ812は、ロッカー9に当接するように構成された、半径直交方向押し面813を含み、その結果、長手方向軸Aの周りのリテイナ8の回転は、ロッカー9の回転をもたらす。すなわち、リテイナ8とロッカー9は一緒に長手方向軸Aの周りに回転し得る。図7図8に示されるように、半径直交方向押し面813は、軸方向リブ812の側面によって境界を定められ得る。
【0054】
軸方向リブ812の近位に、案内脚81は、ロッカー9に加えられる近位方向の力が、所定の閾値未満である限り、ロッカー9の近位方向への動きに抵抗するように構成された、弾性部を含み得る。この抵抗は、しかしながら、末端使用者によって容易に克服され、この抵抗は、自動注射器1の意図しない作動を防止するのに役立ち、さらに、末端使用者に、注射プロセスが進行中であるという触覚フィードバックを提供する。弾性部材は、その中間部分に外向きの半径方向屈曲点820を含む、軸方向に延びる可撓性アーム822の形態であり得る。屈曲点820は、ロッカー9をロック位置に保持するために、ロッカー9に当接するように構成された、傾斜した遠位側821を画定する。可撓性アーム822は、第1の半径方向アーム823によって軸方向リブ812の近位端に接続され得る遠位端と、第2の半径方向アーム824(図7)によってリテイナ8の側壁770に接続され得る近位端とを有する。可撓性アーム822、第1の半径方向アーム823、および、第2の半径方向アーム824は、可撓性アーム822の内側への変形を可能にするための窓825を画定し得る。窓825は、リテイナ8の側壁770を通って延びる軸方向のスリット773に面し得、軸方向スリット773は、可撓性アーム822に平行に延びる。屈曲点820から近位方向のリテイナ8の軸方向長さは、ロッカー9が解放位置に到達するのに十分であることが意図される。
【0055】
可撓性アーム822は、可撓性アーム822の屈曲点820が、解放位置に向かうロッカー9の近位移動を軸方向に阻止し得る、軸方向ブロック位置と、可撓性アーム822の屈曲点820が、もはやロッカー9の近位移動を阻止しない後退位置との間で、半径方向に移動可能、より具体的には、半径方向内方に変形可能である。可撓性アーム822の軸方向ブロック位置から後退位置への動きは、針カバー5の遠位端50を注射部位に押し付ける末端使用者によってもたらされ、これは、次いで、針カバー5が、ロッカー9に近位方向の力を及ぼすことをもたらし、その結果、屈曲点820の抵抗が克服される。
【0056】
リテイナ8は、以下に説明されるように、ロッカー9が解放位置に移動できない格納位置と、ロッカー9が解放位置に向かって移動することを可能にする作動位置との間で、上部本体2内で回転移動可能である。リテイナ8、より具体的には、その近位端774は、コントローラ7に接続され、その結果、コントローラ7の移動は、リテイナ8の移動を伴う。したがって、コントローラ7の回転は、リテイナ8の回転を伴う。リテイナ8は、コントローラ7に対して、回転方向に固定され、その結果、リテイナ8は、コントローラ7とともに長手方向軸Aの周りに回転する。好ましくは、リテイナ8とコントローラ7は、単片で作製され得る。したがって、リテイナ8の格納位置から作動位置への移動は、同じ格納位置と作動位置との間を移動するコントローラ7とによってもたらされる。
【0057】
図13図15を参照すると、ロッカー9は、近位端90と、外側フランジであり得る遠位端91と、リテイナ8を受け入れるように設計された、軸方向の空洞93を画定する側壁92とを有する、管状リングの形態であり、軸方向空洞93は、近位開口930、および、対向する遠位開口931につながる。軸方向空洞93は、2つの直径方向に対向するロック溝94と、2つの直径方向に対向する案内溝95とを有する。ロック溝94と 案内溝95は、互いに、90°など、円周方向に規則的に分布させられ得る。
【0058】
軸方向に延びるロック溝94は、リテイナ8のブロック脚83、より具体的にはブロック脚83の外方突出部を受け入れるように構成される。図16に示されるように、ロック溝94の遠位端は、ブロック脚83の横方向ブロック面836に、半径方向に当接する横方向当接面941を画定し、その結果、リテイナ8のブロック脚83は、解放位置に移動できない。横方向当接面941の近位に、ロック溝94は、リテイナ8の近位肩部835に軸方向に当接するように構成された、遠位停止部943を含み得る。遠位停止部943は、ロック溝94の内面から内側に突出する半径方向突出部942によって画定され得る。ロッカー9の遠位停止部943とリテイナ8の近位肩部835との間の軸方向の当接は、ロッカー9がロッカー9のロック位置を超えて遠位方向に移動することを防止する。
【0059】
軸方向に延びる案内溝95は、リテイナ8の案内脚81、すなわち、案内脚81の軸方向リブ812、および、(ロッカー9が解放位置に向かって移動するとき)可撓性アーム822を受け入れるように構成される。ロッカー9のロック位置では、可撓性アーム822の屈曲点820はロッカー9の案内溝95の外側に延び、ロッカー9の解放位置では、可撓性アーム822の屈曲点820は、ロッカー9の案内溝95の内側に延び得る。リテイナ8の軸方向リブ812およびロッカー9の案内溝95は、ロッカー9がロック位置を離れて、解放位置に向かって近位に移動するときに、案内溝95内に可撓性アームの屈曲点820の進入を許容する半径方向の隙間950を画定するように設計される。
【0060】
ロッカー9の近位端90および案内溝95の近位端は、ロッカー9がロック位置にあるとき、屈曲点820の遠位側に対して軸方向に面するか、または、当接する、近位肩部951を画定する。従って、ロック位置にあるロッカー9は、屈曲点820とリテイナ8の近位肩部835との間で軸方向に維持される。
【0061】
案内溝95は、さらに、案内脚81の半径直交方向押し面813に当接するように構成された半径直交方向当接面952を含み、その結果、リテイナ8の回転は、案内脚81がロッカー9を周方向に押すことをもたらす。したがって、ロッカー9は、リテイナ8とともに長手方向軸A周りに回転する。
【0062】
図13を参照すると、ロッカー9は、ロッカー9の近位方向への移動をブロックするために、ハウジング2の遠位停止部281に軸方向に当接するように構成されたブロック部96を含む。ロッカー9のブロック部96とハウジング2との間の軸方向の当接は、ロッカー9をロック位置に維持することを可能にする。したがって、自動注射器1は、作動させられ得ない。ロッカー9とハウジング2との間の軸方向の当接は、好ましくは、直接的であり、すなわち、それらの間にいかなる介在部分も配置されることがない。ブロック部96は、円周方向に延びるリブの遠位側によって画定され得る、近位ブロック面960を含み得、近位ブロック面960は、ロッカー9の最近位面であり得る。周方向に延びるリブは、ロッカー9の管状リングから半径方向に延びる支持アーム97の外端970に配置され得、支持アーム97は、その外端970に対向して、ロッカー9の近位端90に固定された内端971を含み、この内端971は、ここでは、ロック溝94の近位端に隣接して配置される。半径方向に延びるアーム97は、板状であり得、遠位側と、対向する近位側とを有し得る。周方向に延びるリブは、支持アーム97の近位側から近位に突出する。三角形の板状の支え973が、支持アーム97の遠位側とロッカー9の側壁92との間に延び得、支持アーム97によって受けられる軸方向の力を、側壁92に分配する。好ましくは、ロッカー9は、2つの直径方向に対向するブロック部96を含む。図16を参照すると、円周方向に延びるリブは、ハウジング2の内面に対して半径方向に当接または摺動するように構成された、側方当接壁972を画定し得ることが、さらに、意図される。従って、ロッカー9は、中心長手方向軸Aから逸脱し得ず、ロッカー9のブロック部96は、ハウジング2から半径方向に移動させられ得ない。ハウジング2に対する軸方向の当接から離れてブロック部96を移動させる唯一の方法は、以下に説明されるように、ロッカー9を長手方向軸Aの周りに回転させることである。
【0063】
図13および図17を参照すると、ロッカー9は、針カバー5が後退位置に移動するときに、針カバー5の近位方向への押し込み力を回収するように構成された、2つの直径方向に対向する駆動部98を含み、その結果、ロッカー9は、針カバー5によって近位方向に押される。駆動部98は、管状リングの遠位端91に固定された近位端980と、針カバー5の近位押し付け面53に対して軸方向に当接するように構成された、遠位当接面982を画定する、対向する遠位端981と、を含む、軸方向に延びる2つの脚部の形態であり得、その結果、針カバー5が後退位置に移動するときに、針カバー5は、ロッカー9を近位方向に押し得る。遠位当接面982は、ロッカー9の最遠位面であり得る。ロッカー9と針カバー5との間の軸方向当接は、好ましくは、直接的であり、すなわち、それらの間にいかなる介在部分も配置されることがない。図16に示されるように、針カバー5の近位押し付け面53と軸方向に延びる脚部98の遠位当接面982は、当初は、軸方向間隙983によって分離され得る。軸方向に延びる脚部98は、ロッカー9のロック溝94から、円周方向に90°で配置され得、その結果、これらの軸方向に延びる脚部98は、リテイナ8のブロック脚83が解放位置に移動するときに、ブロック脚83の移動を妨げない。したがって、軸方向に延びる脚部98は、リテイナ8のブロック脚83の外方への変形を可能にする、それらの間の周方向隙間984の境界を定める。図14に示されるように、案内溝95の遠位端と、軸方向に延びる脚部98の近位端は、遠位肩部985によって分離され得る。
【0064】
ロッカー9は、ロッカー9の横方向当接面941がリテイナ8のブロック脚83をそのロック位置に維持する、ロック位置と、ロック位置に対して近位に位置づけられ、ロッカー9の横方向当接面941がブロック脚83から離れ、その結果、ブロック脚83がその解放位置に移動し得る、解放位置との間で、リテイナ8に対して軸方向に移動可能である。ロック位置から解放位置へのロッカー9の軸方向移動は、針カバー5が後退位置に向かって移動するときに、ロッカー9を近位に押す針カバー5によってもたらされる。
【0065】
ロッカー9は、ロッカー9のブロック部が、ハウジング2の遠位停止部に軸方向に面し、その結果、ロッカー9が、その解放位置まで軸方向に移動し得ない、格納位置と、ロッカー9のブロック部が、ハウジング2の遠位停止部とオフセットされ、ロッカー9が、その解放位置まで軸方向に移動し得る、作動位置との間で、リテイナ8と共に、ハウジング2に対して長手方向軸Aの周りに回転移動可能である。格納位置から作動位置へのロッカー9の移動(回転)は、リテイナ8がその作動位置に回転するときに、ロッカー9を接線方向に押すリテイナ8によってもたらされる。
【0066】
以上のことから、ロッカー9がハウジング2に対して格納位置にある限り、ロッカー9は、リテイナ8に対するロック位置から離れ得ず、ハウジング2に対して作動位置まで回転させられた後にのみ、ロッカー9が、リテイナ8に対するロック位置から解放位置へ移動し得ることが、容易に理解され得る。
【0067】
図7図9を参照すると、コントローラ7は、末端使用者が、ハウジング2に対して、リテイナ8およびロッカー9を、格納位置から作動位置まで回転させることを可能にするように構成される。コントローラ7は、上部キャップを形成し得、末端使用者と相互作用するように構成された、近位部分70と、リテイナ8に対応する遠位部分71と、近位部分70と遠位部分との間に延びる中央部分72とを含み、中央部分72は、コントローラ7をハウジング2に対して接続するように構成され、その結果、コントローラ7は、ハウジング2に対して軸方向に固定され、かつ、ハウジング2に対して長手方向軸Aの周りで回転移動可能である。中央部分72は、近位部分70と中央部分72を分離する近位フランジ75と、中央部分72をリテイナ8から分離する遠位フランジ74とを含む。コントローラ7は、プランジャロッド4および注射ばね46を収容するように構成され、コントローラ7の全体にわたって、その近位部分からリテイナ8まで延び得る、軸方向スリーブ77を画定する。
【0068】
図1または図20において視認できるように、近位部分70は、末端使用者がコントローラ7を把持し得るように、ハウジング2の外側に延びるように構成される。近位部分70は、楕円形状を有し得、近位フランジ75の近位側から近位に突出する突出部の形態であり得る、把持部材73を含み、当該突出部は、使用者が、長手方向軸Aの周りでコントローラ7に回転力を及ぼし得るように設計される。突出部は、近位方向に開かれた1つまたは複数の凹部730を含み得る。軸方向スリーブ77の近位端774は、近位フランジ75から突出し、1つまたは複数の凹部730内に延び得る。この近位端は、横方向壁775によって閉じられた側壁770を有し、横方向壁775は、注射ばね46の近位端47の支持部を画定する(図12)。近位部分70は、末端使用者にコントローラ7の位置を示すように構成された先細りの外端731を有し得ることが意図される。例えば、先細りの外端731は、コントローラ7が格納位置にあることを示すための第1の表示24を指し、および/または、コントローラ7が作動位置にあることを示すための第2の表示25を指し得る。
【0069】
近位フランジ75は、ハウジング2の近位開口210を閉じるように形成され得る。近位フランジ75の遠位側750は、ハウジング2の第1の近位支持面230に、軸方向に当接するように構成され得る(図5図6)。近位フランジ75の近位側751、より具体的には、遠位側750は、長手方向軸Aに対して直交し得、ハウジング2に対するコントローラ7の回転を案内するのに役立つ。近位フランジ75の周縁752は、ハウジング2に対するコントローラ7の回転を中心合わせし、案内するように構成され得る。そのために、近位フランジ75の外径は、ハウジング2の内径よりもわずかに小さいものであり得る。
【0070】
中央部分72は、ハウジング2の内側に延び、2つの直径方向に対向する軸方向壁76を含み、これらの軸方向壁は、円筒状内側スリーブ77の側壁770から半径方向外向きに突出し得る。軸方向壁76は、ハウジング2内におけるコントローラ7の回転を制限するように構成され、したがって、回転制限部76を形成する。軸方向壁76は、コントローラ7の近位フランジ75の遠位側750と遠位フランジ74の近位側741との間に延び、コントローラ7を剛性化し、使用者によって及ぼされる回転力によるコントローラ7のねじり変形を制限する。
【0071】
図7図8を参照すると、軸方向壁76は、切欠き762と、切欠き762内に延びる弾性変形可能なホルダ763とを含み得る。弾性変形可能なホルダ763は、コントローラ7が格納位置にあるとき、コントローラ7の作動位置に向かう回転に抵抗するように構成される。したがって、弾性変形可能なホルダ763は、コントローラ7に及ぼされる回転力が、所定の閾値未満である限り、コントローラ7を格納位置に維持し、それによって、コントローラ7の作動位置への意図しない回転を防止する。しかしながら、使用者がコントローラ7を回転させると、弾性変形可能なホルダ763は変形して、作動位置へのコントローラ7の回転を可能にする。図19において視認できるように、弾性変形可能なホルダ763は、軸方向壁76に固定された内端764と、ハウジング2の第1の半径直交方向停止部232に、半径直交方向に当接するための当接面766を画定する、自由外端765とを含む、湾曲したブレードの形態であり得る。第1の半径直交方向停止部232は、第1の軸方向に延びるリブ23の側面によって形成され得る。ホルダ763は、ホルダ763が、ハウジング2の停止部232に当接して、作動位置に向かうコントローラ7の回転に抵抗する、伸長位置(図19)と、ホルダ763が、半径方向内方に変形して、ハウジング2の第1の半径直交方向停止部232を越え得、その結果、コントローラ7が作動位置に移動できる、後退位置(図21)との間で、半径方向に変形可能である。
【0072】
軸方向壁76は、コントローラ7が格納位置にあるときにハウジング2に対して当接するように構成され、その結果、コントローラ7の回転が第1の方向(図10および図19)において阻止される、第1の横方向側面760と、コントローラ7が作動位置にあるときにハウジング2に対して当接するように構成され、その結果、コントローラ7の回転が第2の方向(図21)において阻止される、対向する第2の横方向側面761とを含む。したがって、軸方向壁76は、格納位置と作動位置との間において、ハウジング2に対するコントローラ7の回転を制限する。
【0073】
遠位フランジ74は、ハウジング2に対するコントローラ7の回転を案内するために、長手方向軸Aに直交する、近位側741、および、対向する遠位側740を含む。近位側741は、ハウジング2の遠位支持面290に軸方向に当接するように構成され得(図11)、一方、遠位側740は、ハウジング2の近位支持面230対して軸方向に当接するように構成され得る(図10)。ハウジング2の遠位支持面290と近位支持面230との間の軸方向距離は、遠位フランジ74の幅よりわずかに大きいものであり得、したがって、遠位支持面290、近位支持面230、および、遠位フランジ74は、コントローラ7が、ハウジング2に軸方向に固定されるが、格納位置と作動位置の間で、ハウジング2に対して、長手方向軸Aの周りに回転し得るように構成される。遠位フランジ74の周縁742は、ハウジング2に対するコントローラ7の回転を中心合わせし、案内するように構成され得る。そのために、遠位フランジ74の外径は、ハウジング2の内径よりわずかに小さいものであり得る。遠位フランジ74は、コントローラ7が、ハウジング2によって妨げられることなく、格納位置から作動位置まで回転することを可能にするために、周縁742に沿って配置された切欠き743を含み得る。切欠き743は、コントローラ7が作動位置に向かって回転させられるとき、遠位フランジ74が、ハウジング2の第1の半径直交方向停止部232に当接しないように形成される(図10)。さらに、切り欠き743は、コントローラ7がハウジング2に組み付けられるとき、ハウジング2の第1の軸方向に延びるリブ23を受け入れるように構成され、すなわち、切り欠き743は、第1の軸方向に延びるリブ23によって妨げられることなく、ハウジング2内に遠位フランジ74を挿入することを可能にする。
【0074】
リテイナ8は、コントローラ7の遠位フランジ74に対して回転方向に固定される。つまり、リテイナ8は、コントローラ7と共に回転する。好ましくは、リテイナ8は、コントローラ7の遠位部分71であり、コントローラ7とリテイナ8は、単片で作製され得る。
【0075】
上述されたように、コントローラ7は、コントローラ7の第1の横方向側面がハウジング2に当接し、第2の横方向側面がハウジング2から離れる格納位置と、コントローラ7の第1の横方向側面がハウジング2から離れ、第2の側方側面がハウジング2に当接する作動位置との間で、ハウジング2に対して回転移動可能である。格納位置から作動位置へのコントローラ7の移動(回転)は、把持部材73によってコントローラ7を回転させる末端使用者によってもたらされる。その結果、自動注射器1を使用することを望む末端使用者は、コントローラ7を回転させ、これは、したがって、リテイナ8による、格納位置から作動位置へのロッカー9の回転をもたらす。
【0076】
図5図6を参照すると、ハウジング2(上部本体)は、側壁20、コントローラ7によって閉じられるように構成された開口近位端21、および、スナップ嵌め手段によって下部本体3に、固定されるか、または、取り外し可能に固定されるように構成された開口遠位端22を含む、円筒形チューブの形態である。上部本体2は、コントローラ7、ロッカー9、プランジャロッド4、注射ばね46、および、できる限り、カム6を受け入れるための内部軸方向空洞201を画定する。
【0077】
ハウジング2は、コントローラ7の近位フランジ75を支持するための第1の近位支持面230を含む。第1の近位支持面230は、ハウジング2の第1の軸方向に延びるリブ23の近位端に画定され得る。この第1の軸方向リブ23の2つの側面は、また、コントローラ7が格納位置にあるとき、それぞれ、コントローラ7のホルダ763および軸方向壁76に当接する、ハウジング2の第1および第2の半径直交方向停止部232、233を画定する(図19)。第2の横方向側面は、以下に説明されるように、上部本体2内へのコントローラ7の組み込みを容易にするための面取り部231を含み得る。好ましくは、上部本体2は、直径方向に対向する2つの第1の軸方向に延びるリブ23を含む。
【0078】
ハウジング2は、コントローラ7の遠位フランジ74を支持するための第2の近位支持面260を含む。第2の近位支持面260は、ハウジング2の第2の軸方向に延びるリブ26の近位端に画定され得る。第2の軸方向に延びるリブ26、または、割り出しリブ26は、図6に示されるように、第1の軸方向リブ23に並んで延び得る。第2の近位支持面260は、切り欠き743が延びる遠位フランジ74の部分に当接するように特別に形成され得る。そのために、第2の近位支持面260の半径方向寸法は、コントローラ7を支持するように構成された第1または他の任意の近位支持面230の半径方向寸法より大きいものであり得る。第2の軸方向リブ26の遠位端261は、下部本体3が、上部本体2に対する所定の回転位置をとるよう、下部本体3の近位端の開いた軸方向スロット31と係合するように構成された、割出し部材を形成し得る。好ましくは、上部本体2は、2つの直径方向に対向する第2の軸方向リブ26を含む。
【0079】
ハウジング2は、コントローラ7の遠位フランジ74を支持するための第3の近位支持面280を含む。第3の近位支持面280は、ハウジング2の第3の軸方向に延びるリブ、または、ブロックリブ28の近位端に画定され得る。第3の軸方向リブ28の遠位端は、ロッカー9が格納位置にあるときに、ロッカー9に軸方向に面する、または、当接する、遠位停止部281を画定し得、その結果、ロッカー9は、解放位置に移動できない。好ましくは、上部本体2は、直径方向に対向する2つの第3の軸方向リブ28を含む。
【0080】
ハウジング2は、コントローラ7の遠位フランジ74を支持するための第4の近位支持面270を含む。第4の近位支持面270は、ハウジング2の第4の軸方向に延びるリブ、または、取り付けリブ27の近位端に画定され得る。第4の軸方向リブ27の遠位端271は、下部本体3が上部本体2に組み付けられるとき、下部本体3の近位端30に軸方向に当接する、遠位当接部を画定し得る。好ましくは、上部本体2は、2つの直径方向に対向する第4の軸方向リブ27を含む。さらに、ハウジング2は、下部本体3の側方開口部33に係合するように構成された、1つの、または、2つの直径方向に対向するクリップ部272を含み得、その結果、下部本体3は、上部本体2にスナップ嵌めされる(図11)。
【0081】
以上のことから、ハウジング2は、コントローラ7に軸方向に当接するように配置された、少なくとも1つの近位支持面230、260、270、280を含むことが、結果として生じる。コントローラ7の遠位フランジ74に対して軸方向に当接する、第2、第3および第4の近位支持面260、270、280は、同じ軸方向位置に配置される、すなわち、長手方向軸Aに直交する同じ横断面内に延びることが意図される。
【0082】
ハウジング2は、さらに、コントローラ7に、より具体的には、ここでは、コントローラ7の遠位フランジ74に、軸方向に当接するように配置された、遠位支持面290を含み得る(図11)。遠位支持面290は、半径方向突出部29によって画定され得、この突出部は、さらに、ハウジング2に対する遠位フランジ74のスナップ嵌めを可能にするために、遠位支持面290に軸方向に対向して配置された、近位傾斜面291を含み得る。すなわち、傾斜面291は、コントローラ7の上部本体2への挿入を容易にする。突出部29は、また、作動位置でのコントローラ7の回転を停止させるために、コントローラ7の軸方向壁76に当接するように構成された、第3の半径直交方向止め部292を画定し得る(図21)。
【0083】
コントローラ7は、以下のように、上部本体2に組み付けられる。コントローラ7は、まず、上部本体2に対するコントローラ7の軸方向変位によって、上部本体2の開いた近位端21を通して、上部本体2内に挿入される。そのために、遠位フランジ74の切欠き743は、軸方向において第1の軸方向リブ23の前面に位置づけられ、したがって、切り欠き743は、遠位フランジ74の上部本体2への挿入を可能にする。そのうえで、コントローラ7は、ホルダ763が、第1の半径直交方向停止部233に面する代わりに、第1の軸方向リブ23の第2の半径直交方向停止部233に面するように、回転して位置決めされる(例えば、図21を参照)。したがって、挿入されるために、コントローラ7は、格納位置と作動位置との間の中間位置に入れられる。その後、コントローラ7は、ハウジング2内に軸方向に挿入され得る。これは、遠位フランジ74の、突出部29の傾斜面291との当接をもたらし、傾斜面291の形状により、遠位フランジ74は、変形して、突出部29を超えて遠位方向に通過し得る。その後、遠位フランジ74は、ハウジング2の第2、第3、および、第4支持面260、270、280に軸方向に当接するに至り、コントローラ7は、遠位フランジ74が突出部29を通過し、従って、また、この突出部によって形成される遠位支持面290によって阻止されるため、近位方向に戻り得ない。一方、近位フランジ75は、ハウジング2の第1の近位支持面230に軸方向に当接するに至り、今や、上部本体2の開いた近位端21を閉鎖する。まだ、コントローラ7は、なお、中間回転位置にあり、今や、コントローラ7は、格納位置に置かれなければばならない。したがって、コントローラ7は、格納位置に向かって回転させられる。ホルダ763は、第1の軸方向リブ23の一方の側に形成された、第2の半径直交方向停止部233に当接するに至る。面取り部231により、ホルダ763は、その後退位置に向かって弾性的に曲がり得、第1の軸方向リブを越えて通過する。したがって、コントローラ7は、格納位置に到達し得る。ホルダ763(その自由端)は、今や、第1の軸方向リブ23の対向側に延び、コントローラ7が、末端使用者によって作動位置に回転させられる前に、第1の半径直交方向停止部232に当接し得、コントローラ7を格納位置に維持する(図19)。
【0084】
自動注射器1の動作が以下に説明される。
【0085】
最初は(図1図11図12図16図17図19)、コントローラ7、そのリテイナ8、および、ロッカー9は格納位置にある。コントローラ7の先細りの外端731は、ハウジング2の第1の表示24「オフ」を指し(図1)、ハウジング2の遠位停止部281のために、ロッカー9は、リテイナ8に対して軸方向に移動できない(図16)。したがって、ロッカー9はロック位置に阻止され、ブロック脚83は、また格納位置に阻止される、プランジャロッド4との係合を解除できない。注射は、トリガーされ得ない。
【0086】
注射を実行するために、使用者は、コントローラ7を格納位置から作動位置まで回転させなければならない。そうすることによって、ホルダ763は、内側に変形し、上部本体2の第1の軸方向リブ23を越えて通過する(図19)。使用者は、コントローラ7の軸方向壁76が上部本体2の突出部29に当接するまで、コントローラ7を回転させ続ける。コントローラ7は、作動位置に到達している。コントローラ7の近位部分70は、今や、ハウジング2の第2の表示25「オン」を指す(図20)。リテイナ8はコントローラ7に回転方向に固定されているため、リテイナ8は、また、格納位置から作動位置まで回転させられている。リテイナ8の案内脚81のロッカー9の案内溝95への係合により、ロッカー9は、リテイナ8とともに格納位置から作動位置まで回転することをもたらされる。その結果、ロッカー9のブロック部96は、ハウジング2の遠位停止部281から離れるように移動させられている。ロッカー9は、今や、解放位置に向かって近位方向に移動するのに自由である。
【0087】
注射を実行するために、使用者は、針カバー5の遠位端50を露出させるために、下部本体3からキャップを取り除かねばならない。その後、使用者は、この遠位端50を、注射部位に押し当て得る。その結果、針カバー5は、第1の伸長位置から後退位置に向かって近位方向に移動する。そうすることで、針カバー5の近位押し付け面53がロッカー9の駆動脚部98に当接し、その結果、ロッカー9が、後退位置に達するまで、針カバー5は、ロッカー9を、また近位方向に押す。ロッカー9をそのロック位置から離れさせるために、使用者は、屈曲点820の抵抗に打ち勝たなければならないことが留意され得る。これは、末端使用者に、注射がトリガーされようとしているとの触覚的な指示を与える。
【0088】
この段階において、すなわち、ロッカー9が、解放位置に達したとき(図23)、注射針は、すでに、注射部位に貫入しており、リテイナ8のブロック脚83は、もはや、解放位置に向かって移動するのを阻止されない。注射ばね46の作用により、ブロック脚83は、外側に変形し、プランジャロッド4は遠位方向に押される。したがって、プランジャロッド4は、バレル101内のストッパー108に係合し、医療用製品は注射部位に排出される。
【0089】
上記の説明から、本発明の自動注射器1は、自動注射器1の意図しない作動を回避するための簡単かつ堅牢な解決策を提供することを許容することが容易に理解され得る。本発明は、上記の、および、図面に示された実施形態に限定されず、むしろ、当業者は、多くの変更および修正が、添付の特許請求の範囲内でなされ得ることを認識するであろうことが理解される。
【符号の説明】
【0090】
1 自動注射器
100 医療用容器
2 ハウジング
23 リブ
26 割り出しリブ
27 取り付けリブ
28 ブロックリブ
281 停止部
3 下部本体
31 軸方向スロット
4 プランジャロッド
5 針カバー
7 コントローラ
73 把持部
74 遠位フランジ
743 切り欠き
75 近位フランジ
76 回転制限部
763 弾性変形可能なホルダ
8 リテイナ
81 案内脚
820 屈曲点
832 内向きの突出部
834 外向きの突出部
835 近位肩部
9 ロッカー
95 案内溝
96 ブロック部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【外国語明細書】