(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129842
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】外壁パネル及び建物
(51)【国際特許分類】
E04C 2/38 20060101AFI20240920BHJP
E04B 2/56 20060101ALI20240920BHJP
E04B 1/72 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
E04C2/38 A
E04C2/38 J
E04B2/56 605E
E04B1/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039192
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004673
【氏名又は名称】パナソニックホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】梅本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】花森 剛
(72)【発明者】
【氏名】山西 宏和
(72)【発明者】
【氏名】小林 孝至
(72)【発明者】
【氏名】幸前 俊彦
【テーマコード(参考)】
2E001
2E002
2E162
【Fターム(参考)】
2E001DH14
2E001FA04
2E001GA12
2E001GA63
2E002FB16
2E002HA03
2E002JC01
2E002MA32
2E162BA05
2E162BA10
(57)【要約】
【課題】 断熱性能を向上させることが可能な外壁パネル1を提供する。
【解決手段】 建物の外壁パネル1である。この外壁パネル1は、金属製かつ矩形状のフレーム枠2と、フレーム枠2の外壁面1oとなる側に固着される複数の胴縁3と、胴縁3に固着されて外壁面1oを構成する外装材4とを含む。胴縁3の少なくとも一つは、断熱胴縁3Bを含む。断熱胴縁3Bは、木質材16からなる第1部分14と、木質材16よりも熱抵抗が大きい断熱材料17からなる第2部分15とが、パネル厚さ方向で重ねられた複合材料18を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁パネルであって、
金属製かつ矩形状のフレーム枠と、
前記フレーム枠の外壁面となる側に固着される複数の胴縁と、
前記胴縁に固着されて前記外壁面を構成する外装材とを含み、
前記胴縁の少なくとも一つは、断熱胴縁を含み、
前記断熱胴縁は、木質材からなる第1部分と、前記木質材よりも熱抵抗が大きい断熱材料からなる第2部分とが、パネル厚さ方向で重ねられた複合材料を含む、
外壁パネル。
【請求項2】
前記断熱材料は、フェノールフォームを含む、請求項1に記載の外壁パネル。
【請求項3】
前記第1部分は、前記第2部分よりも前記外装材側に配される、請求項1に記載の外壁パネル。
【請求項4】
前記フレーム枠は、上下に延びる縦枠材を含み、
前記断熱胴縁は、前記縦枠材に固着されており、
前記断熱胴縁の水平方向の幅は、前記縦枠材の水平方向の幅と等しいか、それよりも大きい、請求項1に記載の外壁パネル。
【請求項5】
前記フレーム枠は、前記フレーム枠の外周部を構成する第1縦枠材と、前記外周部よりもパネル内側を延びる第2縦枠材とを含み、
前記胴縁の少なくとも一つは、防蟻性能を備えた防蟻胴縁を含み、
前記防蟻胴縁は、前記第1縦枠材に固着されている、請求項1に記載の外壁パネル。
【請求項6】
前記防蟻胴縁は、木質材に防蟻薬液を含浸させて形成されている、請求項5に記載の外壁パネル。
【請求項7】
前記断熱胴縁は、前記第2縦枠材に固着されている、請求項5に記載の外壁パネル。
【請求項8】
前記フレーム枠の内壁面となる側に固着された内装材をさらに含み、
前記断熱胴縁と前記内装材との合計熱抵抗値は、1.7m2・K/W以上である、請求項1に記載の外壁パネル。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の外壁パネルを備えた、建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁パネル及び建物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外壁を形成するための外壁パネルが種々提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電力需給の逼迫や、エネルギー価格の高騰などにより、省エネルギー性の高い建物への関心が集まっている。これに伴って、建物の外皮を構成する外壁パネルについて、断熱性能のさらなる向上が求められている。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、断熱性能を向上させることが可能な外壁パネルを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、建物の外壁パネルであって、金属製かつ矩形状のフレーム枠と、前記フレーム枠の外壁面となる側に固着される複数の胴縁と、前記胴縁に固着されて前記外壁面を構成する外装材とを含み、前記胴縁の少なくとも一つは、断熱胴縁を含み、前記断熱胴縁は、木質材からなる第1部分と、前記木質材よりも熱抵抗が大きい断熱材料からなる第2部分とが、パネル厚さ方向で重ねられた複合材料を含む、外壁パネルである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の外壁パネルは、上記の構成を採用することにより、断熱性能を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の外壁パネルが取り付けられた建物を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態が図面に基づき説明される。図面は、発明の内容の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれることが理解されなければならない。また、各実施形態を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。さらに、実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本発明の内容理解のためのものであって、本発明は、図示されている具体的な構成に限定されるものではない。
【0010】
[建物]
図1は、本実施形態の外壁パネル1が取り付けられた建物Bを示す断面図である。本実施形態の建物Bは、住宅である場合が例示されているが、ビル等であってもよい。
【0011】
[外壁パネル]
外壁パネル1は、例えば、例えば、柱や梁を含む架構体Fを介して、建物Bに固定されている。
図2は、外壁パネル1の部分斜視図である。
【0012】
図1及び
図2に示されるように、外壁パネル1は、フレーム枠2と、胴縁3と、外装材4とを含んで構成されている。これらのフレーム枠2、胴縁3及び外装材4は、例えば、工場等において、一体に固着されているのが好ましい。これにより、建物Bの工期の短縮や、外壁パネル1の品質の安定化を実現することが可能となる。
【0013】
外壁パネル1には、従来の外壁パネル1と同様に、フレーム枠2の内壁面1iとなる側に固着された内装材5が含まれてもよい。この内装材5は、例えば、工場等において、フレーム枠2、胴縁3及び外装材4と一体に固着されていてもよいし、施工現場で一体に固着されてもよい。
【0014】
[フレーム枠]
フレーム枠2は、金属製である。このようなフレーム枠2は、例えば、木質材で形成される枠材(図示省略)に比べて、高い剛性を有しており、外壁パネル1の耐久性能を向上させうる。フレーム枠2を構成する金属には、例えば、スチール等が採用されうる。
【0015】
図3は、フレーム枠2と胴縁3とを示す斜視図である。本実施形態において、外壁パネル1は、1つのフレーム枠2で構成されてもよいが、
図1に示した建物Bの間取りや、窓などの開口部の有無などに応じて、
図2に示されるように、複数のフレーム枠2で構成されてもよい。これにより、大きさ等の仕様が異なる外壁パネル1が容易に形成されうる。
【0016】
図3に示されるように、フレーム枠2は、正面視において、矩形状に形成されている。フレーム枠2で囲まれる空間には、
図1及び
図2に示した第1断熱材6が配されている。第1断熱材6は、例えば、繊維系断熱材(ロックウールやグラスウール等)や、樹脂系断熱材(ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、又は、フェノールフォーム等)を含む断熱材料で構成されうる。この第1断熱材6は、例えば、工場等において、フレーム枠2の中に配されるのが好ましい。また、第1断熱材6の外面には、透湿防水シート(図示省略)が配されていてもよい。
【0017】
図2及び
図3に示されるように、本実施形態のフレーム枠2には、上下に延びる縦枠材7が含まれている。縦枠材7には、第1縦枠材7Aと、第2縦枠材7Bとが含まれる。
【0018】
本実施形態の第1縦枠材7A及び第2縦枠材7Bは、ウエブ11と、一対のフランジ12、12とを含み、断面コ字状に形成されている。これらのウエブ11及び一対のフランジ12、12により、第1縦枠材7A及び第2縦枠材7Bには、凹部13が形成されている。
【0019】
第1縦枠材7Aは、フレーム枠2の外周部2cを構成している。本実施形態では、フレーム枠2の水平方向の両側に、第1縦枠材7A、7Aがそれぞれ配されている。これらの一対の第1縦枠材7A、7Aの各凹部13は、パネル内側(フレーム枠2の水平方向の内側)に向くように配されている。
【0020】
第2縦枠材7Bは、フレーム枠2の外周部2cよりもパネル内側に配されている。本実施形態では、フレーム枠2の水平方向において、一対の第1縦枠材7A、7Aの間に、1つの第2縦枠材7Bが配されているが、2つ以上の第2縦枠材7Bが配されていてもよい。また、第2縦枠材7Bの凹部13は、フレーム枠2の水平方向において、一対の第1縦枠材7A、7Aのうち、一方の第1縦枠材7A側(
図3において右側)に向くように配される。
【0021】
図1及び
図3に示されるように、本実施形態のフレーム枠2は、水平方向に延びる横枠材8がさらに含まれる。
図3に示されるように、本実施形態の横枠材8の長さは、縦枠材7の長さよりも小さく形成されている。
【0022】
本実施形態の横枠材8には、上横枠材8Aと、下横枠材8Bとが含まれる。上横枠材8Aは、一対の第1縦枠材7A、7Aの各上端と、第2縦枠材7Bの上端とに接合されている。一方、下横枠材8Bは、一対の第1縦枠材7A、7Aの各下端と、第2縦枠材7Bの下端とに接合されている。これらの上横枠材8A及び下横枠材8Bは、第1縦枠材7A、7Aとともに、フレーム枠2の外周部2cを構成している。これらの縦枠材7及び横枠材8は、例えば、溶接等で接合される。
【0023】
図1及び
図3に示されるように、本実施形態の上横枠材8A及び下横枠材8Bは、縦枠材7と同様に、ウエブ11と、一対のフランジ12、12とを含み、断面コ字状に形成されている。これらのウエブ11及び一対のフランジ12、12により、一対の横枠材8には、凹部13が形成されている。本実施形態の上横枠材8Aの凹部13、及び、下横枠材8Bの凹部13は、パネル内側(フレーム枠2の上下方向の内側)に向くように配されている。
【0024】
図2に示されるように、1つの外壁パネル1に、複数のフレーム枠2が含まれる場合、例えば、隣接するフレーム枠2、2について、それらの第1縦枠材7A、7Aが接合される。これにより、複数のフレーム枠2を含む外壁パネル1が形成される。
【0025】
[外装材]
図1及び
図2に示されるように、外装材4は、外壁パネル1の外壁面1oを構成するためのものである。この外装材4は、胴縁3に固着されている。
【0026】
本実施形態の外装材4は、正面視矩形の板状に形成されている。この外装材4は、例えば、ALC等の発泡コンクリートパネルとして形成されうる。この外装材4の外面には、例えば、タイルなどの化粧材(図示省略)が固着されてもよい。
【0027】
図2に示されるように、1つの外壁パネル1に、複数の外装材4が含まれる場合、隣接する外装材4、4間に形成される目地部には、シーリング材23が充填されるのが好ましい。
【0028】
[胴縁]
図2に示されるように、複数の胴縁3は、フレーム枠2の外壁面1oとなる側(フランジ12)に固着されている。これにより、外装材4とフレーム枠2(第1断熱材6)との間には、空気層9が形成されうる。
図1及び
図3に示されるように、本実施形態では、上下方向に延びる胴縁(縦胴縁)3と、水平方向に延びる胴縁(横胴縁)3が含まれている。
【0029】
[防蟻胴縁]
本実施形態において、複数の胴縁3の少なくとも一つに、防蟻性能を備えた防蟻胴縁3Aが含まれるのが好ましい。ここで、防蟻性能とは、白蟻の侵入(蟻道の形成)を抑制する性質(能力)を意味している。
【0030】
本実施形態の防蟻胴縁3Aは、木質材10に、防蟻薬液(図示省略)を含浸させて形成されている。木質材10は、例えば、合板で構成され、断面矩形の角材として形成されている。
【0031】
防蟻薬液は、例えば、特許文献(特許第6130664号公報)に記載される防蟻用の薬剤を含んだ液体として構成される。このような防蟻薬液が、木質材10に含浸されることで、防蟻性能を備えた防蟻胴縁3Aが形成されうる。
【0032】
このように、複数の胴縁3の少なくとも一つに、防蟻胴縁3Aが含まれることで、外壁パネル1への白蟻の侵入が抑制されうる。したがって、外壁パネル1の耐久性能が維持されうる。
【0033】
図2及び
図3に示されるように、防蟻胴縁3Aは、フレーム枠2の外周部2cを構成する第1縦枠材7A、7Aに固着されているのが好ましい。これにより、第1縦枠材7A、7A(防蟻胴縁3A)が配置される外壁パネル1の水平方向の両側から、胴縁3(防蟻胴縁3A)を介して、パネル内側(第1断熱材6など)に、白蟻が侵入するのが抑制されうる。
【0034】
さらに、防蟻胴縁3Aは、フレーム枠2の外周部2cを構成する横枠材8(上横枠材8A及び下横枠材8B)に固着されているのが好ましい。これにより、横枠材8(防蟻胴縁3A)が配置される外壁パネル1の上下方向の両側から、胴縁3(防蟻胴縁3A)を介して、パネル内側(第1断熱材6など)に、白蟻が侵入するのが抑制されうる。
【0035】
本実施形態では、フレーム枠2の外周部2cの全域に、防蟻胴縁3Aが配されている。これにより、白蟻が、胴縁3(防蟻胴縁3A)を介して、外壁パネル1のパネル内側に侵入するのを、より確実に防ぐことが可能となる。
【0036】
[断熱胴縁]
本実施形態では、胴縁3の少なくとも一つに、断熱胴縁3Bが含まれている。この断熱胴縁3Bは、第1部分14と第2部分15とが、パネル厚さ方向で重ねられた複合材料18を含んでいる。
【0037】
第1部分14は、木質材16で構成されている。この木質材16は、例えば、合板で構成され、断面矩形の角材として形成されている。
【0038】
第2部分15は、木質材16よりも熱抵抗が大きい断熱材料17で構成されている。第2部分15は、木質材16と同様に、断面において横長矩形状に形成されている。この第2部分15は、第1部分14と、パネル厚さ方向で重ねられ、例えば、公知の接着剤等によって固着される。第2部分15の厚さは、パネル厚さ方向において、第1部分14の厚さと略同一に設定されているが、求められる断熱性能等に応じて、適宜設定される。ここで、「略同一」とは、製造上の誤差を許容するものである
【0039】
断熱材料17は、木質材16よりも熱抵抗が大きいものであれば、適宜採用され、例えば、第1断熱材6を構成する上述の断熱材料から、適宜選択されうる。
【0040】
このような断熱胴縁3Bにより、外装材4とフレーム枠2との間において、熱の移動量が小さくなるため、建物Bの外部からの熱が、外装材4からフレーム枠2を介して、建物Bの内部に伝達されるのが抑制されうる。したがって、外壁パネル1は、断熱性能を向上させることが可能となる。また、本実施形態では、断熱胴縁3Bの熱抵抗の増加により、外壁パネル1の厚さ(例えば、第1断熱材6の厚さ)を大きくすることなく、外壁パネル1の断熱性能の向上が可能となる。
【0041】
断熱材料17の熱抵抗値(m2・K/W)は、好ましくは、木質材16の熱抵抗値(m2・K/W)の3.5倍以上であり、より好ましくは6倍以上である。これにより、断熱胴縁3Bは、外装材4とフレーム枠2との間において、熱の移動量を小さくすることが可能となる。なお、木質材16の熱抵抗値(m2・K/W)は、例えば、0.05~0.09(m2・K/W)であり、断熱材料17の熱抵抗値は、例えば、0.2~0.9(m2・K/W)に設定されうる。
【0042】
断熱胴縁3Bは、縦枠材7に固着されるのが好ましい。本実施形態の縦枠材7の長さは、横枠材8の長さに比べて大きい。このような縦枠材7に、断熱胴縁3Bが固着されることで、外装材4と縦枠材7(フレーム枠2)との間において、熱の移動量が小さくなり、外壁パネル1の断熱性能が向上する。
【0043】
断熱胴縁3Bは、第2縦枠材7Bに固着されているのが好ましい。これにより、第2縦枠材7Bと外装材4との間の熱の移動量が小さくなり、外壁パネル1の断熱性能を向上させることができる。一方、フレーム枠の外周部2cを構成する第1縦枠材7Aや横枠材8には、防蟻胴縁3Aが固着されるため、防蟻性能が維持されうる。さらに、防蟻胴縁3Aは、断熱胴縁3Bとは異なり、断熱材料が配されないため、高い剛性を有している。このため、防蟻胴縁3Aが、フレーム枠2の外周部2c(第1縦枠材7Aや横枠材8)に配されることで、外装材4のパネル面強度(面内せん断力)が向上する。
【0044】
図2に示されるように、断熱胴縁3Bの水平方向の幅W1は、縦枠材7の水平方向の幅W2と等しいか、それよりも大きく設定されるのが好ましい。これにより、縦枠材7と断熱胴縁3Bとの固着面において、縦枠材7(フランジ12)が断熱胴縁3Bによって覆われるため、外装材4と縦枠材7(フレーム枠2)との間の熱の移動量を、効果的に小さくすることができる。
【0045】
本実施形態では、断熱胴縁3Bにおいて、第1部分14が、第2部分15よりも外装材4側に配されている。上述したように、第1部分14は、木質材16で形成されているため、断熱材料17からなる第2部分15に比べると、高い剛性を有している。このような第1部分14が外装材4側に配されることで、例えば、第2部分15が外装材4側に配される場合に比べると、外装材4から胴縁3へのビス打ち時において、第2部分15の圧縮変形が抑制され、断熱胴縁3Bの沈み込みが防がれる。このような断熱胴縁3Bの沈み込みは、外装材4に応力を作用させ、経年によって外装材4の反りやクラック等を生じさせる場合がある。したがって、本実施形態では、第1部分14が、第2部分15よりも外装材4側に配されることで、外壁パネル1の耐久性が向上する。
【0046】
第2部分15の断熱材料17は、上記の断熱材料のうち、フェノールフォームを含むのが好ましい。フェノールフォームは、木質材16と同様に、火災時において炭化する性質がある。このようなフェノールフォームを含む断熱材料17(第2部分15)は、火災時において、木質材16とともに炭化することで、フレーム枠2(第2縦枠材7B)の温度上昇が抑制され、ひいては、フレーム枠2の座屈等が防がれうる。
【0047】
[内装材]
図1及び
図2に示されるように、内装材5は、フレーム枠2の内壁面1iとなる側に固着されている。本実施形態の内装材5は、下地材19と、第2断熱材20と、内装下地材21とが含まれているが、外壁パネル1の仕様等に応じて、これらの一部が省略されてもよいし、他の部材が含まれてもよい。
【0048】
下地材19は、例えば、パーティクルボード等で構成される。この下地材19は、フレーム枠2の内壁面1i側に配置されている。第2断熱材20は、下地材19の内壁面1i側に配置されており、パネル状に形成されている。この第2断熱材20は、例えば、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、又は、フェノールフォームを含む断熱材料で構成されうる。内装下地材21は、例えば、石膏ボードで構成されている。この内装下地材21は、第2断熱材20の内壁面1i側に配置されている。
【0049】
内装材5及び断熱胴縁3Bと、内装材5及び防蟻胴縁3Aとは、外壁パネル1の熱橋部を構成している。これらの熱橋部のうち、断熱胴縁3Bと内装材5との合計熱抵抗値は、1.7m2・K/W以上に設定されるのが好ましい。
【0050】
断熱胴縁3B及び内装材5の各部材の熱抵抗値は、外壁パネル1の厚さ方向における各部材の厚さ(m)を、各部材の熱伝導率(W/(m・K))で除することでそれぞれ計算される。
【0051】
断熱胴縁3Bの熱抵抗値は、第1部分14(木質材16)の熱抵抗値と、第2部分15(断熱材料17)の熱抵抗値とを足し合わせることで計算される。一方、本実施形態の内装材5のように、下地材19、第2断熱材20及び内装下地材21を含む場合、内装材5の熱抵抗値は、下地材19の熱抵抗値、第2断熱材20の熱抵抗値、及び、内装下地材21の熱抵抗値を足し合わせることで計算される。そして、断熱胴縁3Bの熱抵抗値と、内装材5の熱抵抗値とが足し合わされることで、断熱胴縁3Bと内装材5との合計熱抵抗値が計算される。
【0052】
断熱胴縁3Bと内装材5との合計熱抵抗値が、1.7m2・K/W以上に設定されることで、熱橋部の断熱性能が向上し、建物Bの外部からの熱が、外装材4からフレーム枠2を介して、建物Bの内部に伝達されるのが効果的に抑制されうる。これにより、外壁パネル1は、断熱性能を向上させることが可能となる。
【0053】
これまでの実施形態では、断熱胴縁3Bが第2縦枠材7Bに固着されている態様が例示されたが、このような態様に限定されない。断熱胴縁3Bは、例えば、第2縦枠材7Bだけでなく、第1縦枠材7Aや、横枠材8に固着されてもよい。これにより、外壁パネル1の断熱性能のさらなる向上が可能となる。この場合、断熱胴縁3Bを構成する第1部分14(木質材16)や、第2部分15(断熱材料17)は、上述の防蟻性能を備えているのが好ましい。
【0054】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0055】
[付記]
本発明は以下の態様を含む。
【0056】
[本発明1]
建物の外壁パネルであって、
金属製かつ矩形状のフレーム枠と、
前記フレーム枠の外壁面となる側に固着される複数の胴縁と、
前記胴縁に固着されて前記外壁面を構成する外装材とを含み、
前記胴縁の少なくとも一つは、断熱胴縁を含み、
前記断熱胴縁は、木質材からなる第1部分と、前記木質材よりも熱抵抗が大きい断熱材料からなる第2部分とが、パネル厚さ方向で重ねられた複合材料を含む、
外壁パネル。
[本発明2]
前記断熱材料は、フェノールフォームを含む、本発明1に記載の外壁パネル。
[本発明3]
前記第1部分は、前記第2部分よりも前記外装材側に配される、本発明1又は2に記載の外壁パネル。
[本発明4]
前記フレーム枠は、上下に延びる縦枠材を含み、
前記断熱胴縁は、前記縦枠材に固着されており、
前記断熱胴縁の水平方向の幅は、前記縦枠材の水平方向の幅と等しいか、それよりも大きい、本発明1ないし3のいずれかに記載の外壁パネル。
[本発明5]
前記フレーム枠は、前記フレーム枠の外周部を構成する第1縦枠材と、前記外周部よりもパネル内側を延びる第2縦枠材とを含み、
前記胴縁の少なくとも一つは、防蟻性能を備えた防蟻胴縁を含み、
前記防蟻胴縁は、前記第1縦枠材に固着されている、本発明1ないし4のいずれかに記載の外壁パネル。
[本発明6]
前記防蟻胴縁は、木質材に防蟻薬液を含浸させて形成されている、本発明5に記載の外壁パネル。
[本発明7]
前記断熱胴縁は、前記第2縦枠材に固着されている、本発明5又は6に記載の外壁パネル。
[本発明8]
前記フレーム枠の内壁面となる側に固着された内装材をさらに含み、
前記断熱胴縁と前記内装材との合計熱抵抗値は、1.7m2・K/W以上である、本発明1ないし7のいずれかに記載の外壁パネル。
[本発明9]
本発明1ないし8のいずれかに記載の外壁パネルを備えた、建物。
【符号の説明】
【0057】
1 外壁パネル
2 フレーム枠
3 胴縁
4 外装材
14 第1部分
15 第2部分
16 木質材
17 断熱材料
18 複合材料