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特開2024-129856コンソール装置、X線診断システムおよび照射野調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129856
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】コンソール装置、X線診断システムおよび照射野調整方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20240920BHJP
   A61B 6/06 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61B6/00 320Z
A61B6/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039216
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥村 勇介
(72)【発明者】
【氏名】山田 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】西塚 誠一
(72)【発明者】
【氏名】諸見里 塁
(72)【発明者】
【氏名】大橋 利多
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大輔
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 考宏
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093EA14
4C093EB13
4C093FA04
4C093FA16
4C093FA20
4C093FA42
4C093FA53
4C093FA54
(57)【要約】

【課題】照射野を簡便かつ容易に調整すること。
【解決手段】本実施形態に係るコンソール装置は、4つの操作部と移動制御部とを備える。4つの操作部は、X線診断装置における4枚の絞り羽根を操作可能である。移動制御部は、前記4枚の絞り羽根の移動を制御する。前記4つの操作部は、前記コンソール装置を操作する操作者の位置から前記コンソール装置に向かって、奥側、手前側、左側および右側に配置される。前記奥側の操作部、前記手前側の操作部、前記左側の操作部、及び前記右側の操作部は、前記4枚の絞り羽根において、表示部に表示されるX線画像の上側の絞り羽根、下側の絞り羽根、左側の絞り羽根、および右側の絞り羽根にそれぞれ対応する。前記移動制御部は、前記4つの操作部のうちいずれか1つの操作部における操作の受け付けに応じて、前記4枚の絞り羽根により規定されるX線の照射野の中心の位置を移動させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線診断装置における4枚の絞り羽根を操作可能な4つの操作部と、
前記4枚の絞り羽根の移動を制御する移動制御部と、
を備えるコンソール装置であって、
前記4つの操作部は、前記コンソール装置を操作する操作者の位置から前記コンソール装置に向かって、奥側、手前側、左側および右側に配置され、
前記奥側の操作部、前記手前側の操作部、前記左側の操作部、及び前記右側の操作部は、前記4枚の絞り羽根において、表示部に表示されるX線画像の上側の絞り羽根、下側の絞り羽根、左側の絞り羽根、および右側の絞り羽根にそれぞれ対応し、
前記移動制御部は、前記4つの操作部のうちいずれか1つの操作部における操作の受け付けに応じて、前記4枚の絞り羽根により規定されるX線の照射野の中心の位置を移動させる、
コンソール装置。
【請求項2】
前記移動制御部は、前記1つの操作部における操作の受け付けに応じて、前記1つの操作部に対応する絞り羽根と、前記1つの操作部に対応する絞り羽根に対向する絞り羽根とを、前記操作に関する方向に、前記操作に対応する移動量で移動させる、
請求項1に記載のコンソール装置。
【請求項3】
前記4枚の絞り羽根を個別の移動可能な個別移動モードと、前記中心の位置を移動させる中心移動モードとの切り替えを選択可能なモード切り替え部をさらに備え、
前記移動制御部は、前記個別移動モードから前記中心移動モードへの切り替え後において、前記1つの操作部における操作の受け付けに応じて前記中心の位置を移動させる、
請求項1に記載のコンソール装置。
【請求項4】
前記照射野は、前記4枚の絞り羽根により規定される開口に対応し、
前記中心移動モードにおける前記中心の位置の移動において、前記開口の形状は維持される、
請求項3に記載のコンソール装置。
【請求項5】
前記モード切り替え部は、前記操作者による前記4つの操作部の操作範囲に配置される、
請求項3に記載のコンソール装置。
【請求項6】
前記中心移動モードにおいて、前記4つの操作部のうちいずれか1つの操作部に対する第1の操作方向と、前記1つの操作部に対応する絞り羽根に対向する絞り羽根に関する1つの操作部に対する第2の操作方向とが異なる場合、前記移動制御部は、前記中心の位置の移動の制御を停止する、
請求項3に記載のコンソール装置。
【請求項7】
前記4枚の絞り羽根のうち少なくとも一つの絞り羽根の移動に応じて、前記移動の前の前記4枚の絞り羽根の位置を記憶するメモリと、
前記移動の前の前記4枚の絞り羽根の位置に前記4枚の絞り羽根を移動させる指示を入力する戻り指示部と、
をさらに備え、
前記戻り指示部への入力に応答して、前記移動制御部は、前記メモリに記憶された位置に、前記4枚の絞り羽根を移動させる、
請求項1に記載のコンソール装置。
【請求項8】
前記個別移動モードまたは前記中心移動モードを表示する前記表示部をさらに備える、
請求項3に記載のコンソール装置。
【請求項9】
前記照射野の最大のサイズに対する現在の照射野のサイズと前記現在の照射野の位置とを表示する前記表示部をさらに備える、
請求項1に記載のコンソール装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のコンソール装置と、
X線を発生するX線管と、
前記X線の照射範囲を前記照射野に絞り込み、前記4枚の絞り羽根を有するX線絞りと、
前記X線を検出するX線検出部と、
を備えるX線診断システム。
【請求項11】
X線診断装置における4枚の絞り羽根を操作可能な2つの操作部と、
前記4枚の絞り羽根の移動を制御する移動制御部と、
を備えるコンソール装置であって、
前記2つの操作部は、前記コンソール装置を操作する操作者の位置から前記コンソール装置に向かって、左奥側および右手前側、または左手前側および右奥側に配置され、
前記左奥側の操作部は、前記4枚の絞り羽根において、表示部に表示されるX線画像の上側の絞り羽根、および左側の絞り羽根に対応し、
前記右手前側の操作部は、前記4枚の絞り羽根において、表示部に表示されるX線画像の下側の絞り羽根、および右側の絞り羽根に対応し、
前記右奥側の操作部は、前記4枚の絞り羽根において、表示部に表示されるX線画像の上側の絞り羽根、および右側の絞り羽根に対応し、
前記左手前側の操作部は、前記4枚の絞り羽根において、表示部に表示されるX線画像の下側の絞り羽根、および左側の絞り羽根に対応し、
前記移動制御部は、前記2つの操作部のうちいずれか1つの操作部における操作の受け付けに応じて、前記4枚の絞り羽根により規定される照射野の中心の位置を移動させる、
コンソール装置。
【請求項12】
X線画像の上側の絞り羽根と、前記X線画像の下側の絞り羽根と、前記X線画像の左側の絞り羽根と、前記X線画像の右側の絞り羽根と、を個別の移動可能な個別移動モードから、前記上側の絞り羽根と前記下側の絞り羽根と前記左側の絞り羽根と前記右側の絞り羽根とにより規定される照射野の中心の位置を移動させる中心移動モードへ切り替え、
コンソール装置を操作する操作者の位置から前記コンソール装置に向かって奥側に配置され、前記上側の絞り羽根に対応する奥側操作部と、前記コンソール装置に向かって手前側に配置され、前記下側の絞り羽根に対応する手前側操作部と、前記コンソール装置に向かって左側に配置され、前記左側の絞り羽根に対応する左側操作部と、前記コンソール装置に向かって右側に配置され、前記右側の絞り羽根に対応する右側操作部と、のうちいずれか1つの操作部における操作の受け付け、
前記上側の絞り羽根と、前記下側の絞り羽根と、前記左側の絞り羽根と、前記右側の絞り羽根とにより規定される照射野の中心の位置を、前記操作に応じて移動させ、
前記1つの操作部に対する第1の操作方向と、前記1つの操作部に対応する絞り羽根に対向する絞り羽根に関する1つの操作部に対する第2の操作方向とが異なる場合、前記中心の位置の移動の制御を停止する、
照射野調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、コンソール装置、X線診断システムおよび照射野調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
X線診断装置において、X線による被検体への被ばくを最小にするために、操作者が所望する関心領域のみX線照射するように、X線絞りを制御する。操作者は、コンソール装置を介して絞り羽根を移動させ、絞り羽根により形成されるX線の照射野を絞り込むことで被ばくを低減させる。従来、関心領域にX線の照射野を合わせるとき、照射野のサイズは、予め設定された複数の大きさのうちいずれかを、例えば、ボタン(以下、倍率(Magnification)ボタンと呼ぶ)等により選択することで設定可能である。また、設定された視野サイズ(照射野のサイズ)に対応する絞りの位置は、絞りの開度を設定する設定レバー(絞り開度レバー)により、位置調整が可能である。また、関心領域への設定に関して、天板および撮像系(X線管およびX線検出器、これらを保持する保持装置)に関する移動は、ハンドルにより操作される。
【0003】
また、X線絞りに関する機能として、X線の絞りの位置を変更することで、被検体、寝台および/または保持装置を動かすことなく、X線の照射野をFPD上で自由に設定、移動することができる技術(以下、スポット透視:SPOT透視と呼ぶが、部分透視と称されても良い)がある。SPOT透視では、視野サイズは倍率ボタンと絞り開度レバーとの組みあわせで調整され、照射野の位置の移動位置は、専用のレバー(スポット透視レバー)により調整される。
【0004】
視野を関心領域に合わせる(照射野位置の移動+照射野のサイズ調整)ために、複数の別々の操作器を使い分けなければならず、操作が煩雑になる。このため、照射野位置の移動+照射野のサイズ調整において、操作ミスを誘発しやすい。例えば、被検体に対するIVR(Interventional Radiology:インターベンショナルラジオロジー)などの緊急性が高い処置における操作では、操作ミスが問題となることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-130239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、照射野を簡便かつ容易に調整することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係るコンソール装置は、4つの操作部と、移動制御部と、を備える。4つの操作部は、X線診断装置における4枚の絞り羽根を操作可能である。移動制御部は、前記4枚の絞り羽根の移動を制御する。前記4つの操作部は、前記コンソール装置を操作する操作者の位置から前記コンソール装置に向かって、奥側、手前側、左側および右側に配置される。前記奥側の操作部、前記手前側の操作部、前記左側の操作部、及び前記右側の操作部は、前記4枚の絞り羽根において、表示部に表示されるX線画像の上側の絞り羽根、下側の絞り羽根、左側の絞り羽根、および右側の絞り羽根にそれぞれ対応する。前記移動制御部は、前記4つの操作部のうちいずれか1つの操作部における操作の受け付けに応じて、前記4枚の絞り羽根により規定されるX線の照射野の中心の位置を移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るX線診断システムの一例を示す図。
図2図2は、実施形態に係るX線診断システムの構成の一例を示す図。
図3図3は、実施形態に係る絞り操作コンソールの上面の一例を示す上面図。
図4図4は、実施形態に係り、個別移動モードにおいて、左側の操作部での操作に対する絞り羽根の移動の一例を示す図。
図5図5は、実施形態に係り、中心移動モードにおいて、左側の操作部での操作に対する操作羽根と対向羽根との移動の一例を示す図。
図6図6は、実施形態に係る中心移動処理の手順の一例を示すフローチャート。
図7図7は、実施形態に係り、表示部における表示態様の一例を示す図。
図8図8は、実施形態の変形例に係る絞り操作コンソールの上面の一例を示す上面図。
図9図9は、実施形態の変形例に係り、絞り操作コンソールにおける2つの操作部の操作方向と、照射野に関する4つの絞り羽根との関係の一例を示す図。
図10図10は、実施形態の変形例に係る個別移動モードにおいて、左奥側の操作部での操作に対する左側の絞り羽根の移動の一例を示す図。
図11図11は、実施形態の変形例に係る中心移動モードにおいて、左奥側の操作部での操作に対する左側の絞り羽根の移動の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、X線診断システム、コンソール装置および照射野調整方法の実施形態について説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明は適宜省略する。また、以下では、本願に係るX線診断システムとして、消化管、泌尿器、整形、IVR(Interventional Radiology)などの検査及び治療が実施されるX線診断システムを一例に挙げて説明する。なお、本願に係る実施形態はこれに限定されるものではない。
【0010】
(実施形態)
図1を用いて、実施形態に係るX線診断システム100の一例を説明する。図1は、実施形態に係るX線診断システム100の外観の一例を示す図である。実施形態に係るX線診断システム100は、図1に示すように、X線管1a、X線検出部3、寝台5などを備えるX線診断装置本体110と、透視モニタ121などを備える近接操作卓120と、画像処理装置131、システムモニタ133、透視モニタ135などを備える遠隔操作卓130とが、無線、有線を問わず相互に接続される。
【0011】
例えば、操作室などの検査室外にいる技師などの操作者が、遠隔操作卓130を操作することで患者(被検体)を乗せた寝台5を起倒させたり、X線管1a、X線可動絞り1bなどの映像系を上下動させたりするなどの動作をX線診断装置本体110に実行させると同時に、透視や撮影を行わせる。そして、操作者は、遠隔操作卓130に備えられた透視モニタ135に表示された透視画像や、システムモニタ133に表示された撮影画像、透視画像などを観察する。また、例えば、検査室にいる操作者が、検査室に設置された近接操作卓120を操作することでX線診断装置本体110に対して上述した処理と同様の処理を実行させて、近接操作卓120に備えられた透視モニタ121や、検査室モニタに表示された各種画像を観察する。
【0012】
遠隔操作卓130および近接操作卓120は、例えば、コンソール装置に対応する。図1に示すように、コンソール装置(遠隔操作卓130および近接操作卓120)には、X線診断装置本体110の制御に関する各種ボタン、各種レバーなど入力装置137と、各種モニタなどの出力装置とを有する。出力装置は、例えば、上記システムモニタ133、透視モニタ135、透視モニタ121などのディスプレイに対応する。入力装置137は、各種入力インターフェースに対応する。入力装置137については、後ほど説明する。また、説明を具体的にするため、X線診断装置本体110に接続されるコンソール装置は、遠隔操作卓130であるものとして説明する。
【0013】
図2は、本実施形態に係るX線診断システム100の構成の一例を示す図である。X線診断システム100は、X線診断装置本体110と、コンソール装置130と、を有する。X線診断装置本体110は、X線発生部1と、高電圧発生部2と、X線検出部3と、保持アーム4と、寝台5と、機構制御部7とを有する。なお、X線診断装置本体110と、コンソール装置130とをまとめてX線診断装置と称されてもよい。
【0014】
X線発生部1は、X線を発生する。X線発生部1は、例えば、X線管1aおよびX線絞り器1bを有する。X線管1aは、高電圧発生部2からの高電圧の印加及びフィラメント電流の供給により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射することでX線を発生する真空管である。熱電子がターゲットに衝突することによりX線が発生される。X線管1aには、例えば、回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管がある。なお、X線管1aの型式は、回転陽極型に限定されず、任意の型式のX線管が適用可能である。
【0015】
X線絞り器1bは、X線管1aのX線の照射野を成形する。X線絞り器1bは、X線管1aにおけるX線放射窓の前面に設けられる。X線絞り器1bは、例えば、鉛などの金属板で構成された4枚の絞り羽根を有する。4枚の絞り羽根各々は、入力装置137を介して操作者により入力された関心領域に応じて、図示しない駆動装置により駆動される。X線絞り器1bは、駆動装置によりこれらの絞り羽根をスライドさせることで、X線が遮蔽される領域を任意のサイズに調節する。調整された絞り羽根により、X線絞り器1bは、開口領域外のX線を遮蔽する。これにより、X線絞り器1bは、X線管1aが発生したX線を、被検体Pの関心領域に照射されるように絞り込む。
【0016】
高電圧発生部2は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路と、高電圧発生装置と、X線制御装置とを有する。高電圧発生部2は、X線管1aに印加する高電圧及びX線管1aに供給するフィラメント電流を発生する機能を有する。X線制御装置は、X線管1aが照射するX線に応じた出力電圧の制御を行う。高電圧発生部2は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、高電圧発生部2は、保持アーム4に設けられてもよい。
【0017】
X線検出部3は、X線管1aにより発生されたX線を検出する。X線検出部3は、例えば、X線検出器に相当する平面検出器3a、画像データ生成部3b、およびゲートドライバ3cを有する。平面検出器3aは、例えば、フラットパネルディテクタ(Flat Panel Detector:以下、FPDと呼ぶ)により実現される。FPDは、複数の半導体検出素子を有する。半導体検出素子にはX線を直接的に電気信号に変換する直接変換形と、X線を蛍光体で光に変換し、その光を電気信号に変換する間接変換形とがある。FPDには、いずれの形式が用いられてもよい。FPDにより発生された電気信号は、画像データ生成部3bに出力される。
【0018】
画像データ生成部3bは、電荷・電圧変換器3b-1、A/D(Analog to Digital)変換器3b-2、およびパラレル・シリアル変換器3b-3によって構成される。電荷・電圧変換器3b-1は、平面検出器3aから出力される電気信号を電圧信号に変換し、A/D変換器3b-2に出力する。A/D変換器3b-2は、システム制御部11の制御の下、電圧信号に変換された電気信号をデジタルデータとしてのX線画像データに変換し、パラレル・シリアル変換器3b-3に出力する。パラレル・シリアル変換器3b-3は、システム制御部11の制御の下、A/D変換されたX線画像データをパラレルデータからシリアルデータに変換し、画像記憶回路9に出力する。
【0019】
ゲートドライバ3cは、システム制御部11の制御の下、平面検出器3aの検出素子を駆動する。
【0020】
保持アーム4は、X線を発生するX線管1aとX線管1aに対向しX線を検出する平面検出器3aとを移動可能に保持する。換言すると、X線管1aと平面検出器3aとは、互いに対向して、保持アーム4の端部に取り付けられる。保持アーム4は、X線管1aにおいてX線が発生される焦点と平面検出器3aにおける中心部とを結ぶ直線を回転軸として、X線絞り器1bと平面検出器3aとを回動自在に支持する。保持アーム4は、保持アーム移動機構の動作により、当該回転軸周りにX線絞り器1bと平面検出器3aとを回動する。なお、保持アーム4は、例えば、線源受像面間距離(Source Image Distance:以下、SIDと呼ぶ)を変更可能に、X線発生部1とX線検出部3とを保持してもよい。
【0021】
寝台5は、天板と基台とを有する。天板には、被検体Pが載置される。基台は、例えば、天板の長軸方向、天板の短軸方向、および鉛直方向などに沿って、天板を平行移動可能に支持する。また、基台は、天板の短軸方向、天板の長軸方向、および鉛直方向などを回転軸として、天板を回転可能に支持する。
【0022】
不図示の機構部は、保持アーム移動機構および寝台移動機構を有する。保持アーム移動機構および寝台移動機構は、例えば、モータあるいはアクチュエータ等により実現される。保持アーム移動機構は、機構制御部7の制御の下、保持アーム4を、ユーザの指示または予め設定された位置に移動させる。寝台移動機構は、機構制御部7の制御の下、寝台5における天板を、ユーザの指示または予め設定された位置に移動させる。
【0023】
機構制御部7は、システム制御部11の制御の下、機構部を制御する。例えば、機構制御部7は、入力装置137を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、保持アーム移動機構の移動動作および寝台移動機構の移動動作を制御する。具体的には、機構制御部7は、ストレージに記憶されている機構制御プログラムを読み出して機構制御部7におけるプロセッサ内のメモリ上に展開し、展開された機構制御プログラムに従って保持アーム移動機構の移動動作および寝台移動機構の移動動作を制御する。
【0024】
画像処理装置131は、画像記憶回路9と、システム制御部11と、を備える。画像記憶回路9は、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、半導体メモリなどで構成される。画像記憶回路9は、画像データ生成部3bから出力されたX線画像データを記憶する。
【0025】
システム制御部11は、入力装置137を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、X線発生部1、高電圧発生部2、ゲートドライバ3c、A/D変換器3b-2、パラレル・シリアル変換器3b-3、機構制御部7、画像記憶回路9、表示部10等を制御する。具体的には、システム制御部11は、システム制御プログラムを読み出して自身のメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従ってX線診断装置本体110の各部を制御する。例えば、システム制御部11は、画像記憶回路9に記憶されているX線画像データに対して増幅処理や画像演算処理などを施して、表示対象としてのX線画像を生成する。また、システム制御部11は、操作者による画像表示などの指示に応じて、画像記憶回路9に記憶されているX線画像を表示部10の表示用画像メモリ10aに出力させる。な、各種画像処理は、システム制御部11により実行されることに限定されず、別途設けられた画像処理回路により実現されてもよい。
【0026】
表示部10は、表示用画像メモリ10a、D/A(Digital to Analog)変換器10b、表示回路10c、およびモニタ10dを有する。表示用画像メモリ10aは、画像記憶回路9から出力された画像データを記憶し、D/A変換器10bに出力する。D/A変換器10bは、表示用画像メモリ10aから出力された画像データをアナログ信号に変換し、表示回路10cに出力する。表示回路10cは、D/A変換器10bから出力された画像データに基づくX線画像をモニタ10dに表示させる。
【0027】
なお、表示部10は、ディスプレイとして実現可能である。このとき、ディスプレイとしては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイ又は他の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。また、ディスプレイは、デスクトップ型でもよいし、システム制御部11および画像記憶回路9と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、モニタ10dがデジタルデータとしてのX線画像を表示する場合、D/A変換器10bは、不要となる。
【0028】
入力装置137は、入力インターフェース141と、メモリ143と、処理回路145とを有する。入力インターフェース141は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換してシステム制御部11に出力する。入力インターフェース141は、保持アーム4と寝台5とのうち少なくとも一つを動作させるための操作、X線の発生に関するX線条件、画像処理に関する条件、4枚の絞り羽根の操作等を操作者から受け付ける。入力インターフェース141としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、フットスイッチ、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜、使用可能となっている。
【0029】
なお、本実施形態において、入力インターフェース141は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の物理的な操作部品を備えるものに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号をシステム制御部11へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース141の例に含まれる。なお、入力インターフェース141は、システム制御部11と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0030】
以下、説明を具体的にするために、入力インターフェース141の一例として、4枚の絞り羽根の操作に関するコンソール(以下、絞り操作コンソールと呼ぶ)について説明する。図3は、絞り操作コンソール146の上面の一例を示す上面図である。図3に示すように、絞り操作コンソール146は、例えば、倍率切り替えボタン151と、スポット透視ボタン153と、コントロールハンドル155と、4つの操作部157と、モード切り替え部159と、戻り指示部161と、を有する。また、絞り操作コンソール146には、図3には不図示のメモリ143と、処理回路145とが搭載される。
【0031】
倍率切り替えボタン151は、例えば、図3に示すように、FOV(field of view:撮像視野)に対応する予め設定された複数の照射野(以下、所定照射野と呼ぶ)を選択可能な複数のボタンを有する。所定照射野は、例えば、4つの絞り羽根を全開にした状態(以下、全開状態と呼ぶ)と、全開状態より小さくかつ異なる複数の照射野(以下、複数の小視野と呼ぶ)とを備える。全開状態は、平面検出器3aに対応する照射野の範囲から、4つの絞り羽根を一斉に退避させた状態に相当する。
【0032】
例えば、図3に示すように、倍率切り替えボタン151は、全開状態に対応する全開ボタン151Aと、複数の小視野に対応する複数の小視野ボタン(151B、151C、151D)とを備える。操作者の指示により、倍率切り替えボタン151が押下されると、押下されたボタンに対応する照射野を実現するように、4枚の絞り羽根を移動させる指示が処理回路145に出力される。図3では、複数の所定照射野に対応する複数のボタンは、4つ(151A~151D)として示されているが、これに限定されず、所定照射野の総数に応じて適宜設定可能である。
【0033】
スポット(Spot)透視ボタン153は、スポット透視を実行するボタンである。スポット透視は、例えば、全開状態より小さい照射野(以下、スポット照射野と呼ぶ)ではリアルタイムのX線画像を得るためにX線が曝射され、直前に得られたX線画像と小さい照射野とを合成して作成した合成画像と、小さい照射野を拡大した拡大画像とを並列表示する透視手法である。すなわち、スポット透視は、非対称絞り制御技術とも称される。スポット透視は、4つの絞り羽根の位置を非対称に制御することで、寝台5を動かすことなく視野を適宜移動し、X線を照射して収集した画像を表示することができる。スポット透視における全体表示では、操作者は、FPDに対応する全開状態の全照射野において、現在のX線の照射位置を把握することができる。また、スポット透視における拡大表示では、現在のX線の照射野だけを、透視モニタ121および透視モニタ135などの中央に拡大して表示する。スポット透視としては既知の技術が適用可能であるため、説明は省略する。
【0034】
コントロールハンドル155は、寝台5および映像系の機械的な移動を操作するハンドルである。コントロールハンドル155の機構等は、既知の手法が適用可能であるため、説明は省略する。
【0035】
X線診断装置における4枚の絞り羽根を操作可能な4つの操作部157は、X線診断装置本体110における4枚の絞り羽根を操作可能である。すなわち、4つの操作部157は、X線絞り器1b内の4枚の絞り羽根を操作する操作レバー(または操作スティック)に対応する。なお、4つの操作部157は、レバーに限定されず、ボタン、スライダー、タッチパネル等、4枚の絞り羽根を個別に操作可能な既知の操作器で実現されてもよい。
【0036】
4つの操作部157は、図3に示すように、コンソール装置130を操作する操作者の位置からコンソール装置130に向かって、奥側、手前側、左側および右側に配置される。奥側の操作部157P、手前側の操作部157A、左側の操作部157L、及び右側の操作部157Rは、4枚の絞り羽根において、表示部(例えば、透視モニタ121、システムモニタ133、透視モニタ135など)10に表示されるX線画像の上側の絞り羽根、下側の絞り羽根、左側の絞り羽根、および右側の絞り羽根にそれぞれ対応する。4つの操作部157は、照射野サイズ内における4つの絞り羽根の位置(すなわち、照射野の範囲)を調整する絞り開度レバーに相当する。4つの操作部157各々の操作に応じて、4つの操作部157各々は、当該操作に関する信号を、処理回路145に出力する。
【0037】
モード切り替え部159は、個別移動モードと中心移動モードとの切り替えを選択可能である。モード切り替え部159は、選択されたモードに対応する信号を、処理回路145に出力する。個別移動モードは、4枚の絞り羽根を個別の移動可能なモードである。すなわち、個別移動モードでは、4枚の絞り羽根は、4つの操作部(奥側の操作部157P、手前側の操作部157A、左側の操作部157L、及び右側の操作部157R)157を介した操作者の操作により、それぞれ個別に移動可能である。換言すれば、1つの絞り羽根に対応する操作レバー(操作部)の操作により、対応する絞り羽根の配置を調整することができる。
【0038】
図4は、個別移動モードにおいて、左側の操作部157Lでの操作に対する絞り羽根の移動の一例を示す図である。図4に示すように、個別移動モードでは、左側の操作部157Lに対する操作(矢印AR)に応じて、左側の操作部157Lに対応する絞り羽根LABが、左側の操作部157Lの操作方向ARに沿って移動する。個別移動モードでは、他の操作部(奥側の操作部157P、手前側の操作部157A、及び右側の操作部157R)に対する操作に対しても同様に、当該他の操作部の操作の方向に応じて、対応する絞り羽根が移動する。
【0039】
中心移動モードは、X線の照射野IRFの中心の位置を移動させるモードである。照射野IRFは、4枚の絞り羽根により規定される開口に対応する。当該開口はX線が通り抜ける領域に相当する。中心移動モードでは、1つの絞り羽根に対応する操作レバー(操作部)の操作により、操作された操作レバーに対応する絞り羽根(以下、操作羽根と呼ぶ)と対向する絞り羽根(以下、対向羽根と呼ぶ)を、操作羽根の移動方向と同じ方向に、操作羽根の移動量と同じ移動量だけ、移動させることができる。すなわち、中心移動モードが選択され、4つの操作部157のうちいずれか一つの操作部が操作者により操作されると、当該操作された操作部に対応する操作羽根と対向羽根とが、当該一つの操作部の操作方向および操作量に応じて移動される。すなわち、照射野の中心の位置が、当該一つの操作部の操作方向および操作量に応じて移動する。
【0040】
図5は、中心移動モードにおいて、左側の操作部157Lでの操作に対する操作羽根LABと対向羽根RABとの移動の一例を示す図である。図5に示すように、中心移動モードでは、左側の操作部157Lに対する操作に応じて、左側の操作部157Lに対応する操作羽根LABと、操作羽根LABに対向する対向羽根RABとが、左側の操作部157Lの操作方向に沿って移動する。中心移動モードでは、他の操作部(奥側の操作部157P、手前側の操作部157A、及び右側の操作部157R)に対する操作に対しても同様に、当該他の操作部の操作の方向に応じて、対応する操作羽根と対向羽根とが移動する。図5に示すように、中心移動モードにおける照射野IRFの中心の位置の移動において、開口の形状(すなわち照射野の形状)IRFは、維持される。
【0041】
モード切り替え部159は、例えば、モード切り替えボタンにより実現される。また、モード切り替え部159は、操作者による4つの操作部157の操作範囲に配置される。例えば、モード切り替え部159は、4つの操作部157の近傍に配置される。換言すれば、モード切り替え部159は、4つの操作部157に相当する4つの操作レバー付近に設けられる。より詳細には、モード切り替え部159は、例えば図3に示すように、操作者が直接視認することなくブラインドタッチで(操作レバーから一切手を離さずに)操作可能な場所に配置される。なお、モード切り替え部159の設置場所は、図3に限定されず、任意の位置に配置可能である。例えば、モード切り替え部159は、4つの操作部157のうち少なくとも一つの操作部に設けられてもよい。このとき、モード切り替え部159は、操作部の側面、操作部の上面など、任意にお位置に設置可能である。
【0042】
図3では、モード切り替え部159は、例えば、モード切り替えボタンとして説明したが、モード切り替え部159の実現手段は、ボタンに限定されない。例えば、モード切り替え部159は、トグルスイッチ、セレクタスイッチなどにより実現されてもよい。また、モード切り替え部159は、上記ハードボタンに限定されず、タッチパネル等のソフトボタンにより実現されてもよい。
【0043】
また、モード切り替え部159は、上記各種ボタンに限定されず音声認識により実現されてもよい。このとき、モード切り替え部159は、マイクと音声解析回路とにより構成される。マイクは、操作者の音声を収集し、当該音声を電気信号に変換する。音声解析回路は、操作者の音声に対応する電気信号を解析する。例えば、音声解析回路は、個別移動モードと中心移動モードとに応じたキーワード(例えば、第1モード第2モードなど)に関するデータと、操作者の音声に対応する電気信号とを比較し、個別移動モードまたは中心移動モードを決定する。これにより、モード切り替え部159は、操作者の音声認識により決定されたモードに対応する信号を、処理回路145に出力する。モード切り替え部159により実行される機能が音声認識で実現される実現される場合、操作者は、操作部から一切手を離さずに、絞り羽根の操作を実行することができる。
【0044】
戻り指示部161は、4枚の絞り羽根のうち少なくとも一つの絞り羽根の移動の前の当該4枚の絞り羽根の位置(以下、直前羽根位置と呼ぶ)に、当該4枚の絞り羽根を移動させる指示を入力する。戻り指示部161に対する操作者の入力に応答して、戻り指示部161は、当該指示を実行させる情報を、処理回路145に出力する。戻り指示部161は、例えば、戻りボタン(Undoボタン)により実現される。また、戻り指示部161は、操作者による4つの操作部157の操作範囲に配置される。例えば、戻り指示部161は、4つの操作部157の近傍に配置される。換言すれば、戻り指示部161は、4つの操作部157に相当する4つの操作レバー付近に設けられる。なお、戻り指示部161の設置場所は、図3に限定されず、任意の位置に配置可能である。
【0045】
図3では、戻り指示部161は、例えば、戻りボタンとして説明したが、戻り指示部161の実現手段は、ボタンに限定されない。また、戻り指示部161は、上記ハードボタンに限定されず、タッチパネル等のソフトボタンにより実現されてもよい。
【0046】
メモリ143は、移動制御機能163の実現に関するプログラム(以下、移動制御プログラムと呼ぶ)と、直前羽根位置とを記憶する。例えば、予め設定された時間(例えば10秒)以上、複数の絞り羽根のうち少なくとも一つの絞り羽根に対する操作が入力されなかった場合、メモリ143は、予め設定された時間を経過直後の4つの絞り羽根の位置を、直前羽根位置として記憶する。このとき、メモリ143は、過去に記憶した絞り羽根の配置が存在する場合、直前羽根位置を上書きして(更新して)記憶する。換言すれば、メモリ143は、4枚の絞り羽根のうち少なくとも一つの絞り羽根の移動に応じて、当該移動の前の4枚の絞り羽根の位置を、直前羽根位置として記憶する。
【0047】
メモリ143は、例えば、種々の情報を記憶するHDDやSSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置により実現される。メモリ41は、HDDやSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体や、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置で実現されてもよい。
【0048】
処理回路145は、移動制御機能163により、4つの操作部157のうちいずれかの操作部に対する操作者の操作に応じて、X線絞り器1bにおける4つの絞り羽根の移動を駆動する駆動装置を制御する。例えば、移動制御機能163は、個別移動モードにおいて、4つの操作部157のうちいずれかの操作部に対する操作者の操作に応じて、4つの絞り羽根各々の移動を駆動する駆動装置を制御する。例えば、図4に示すように、個別移動モードにおいて、左側の操作部157Lに対する操作(矢印AR)に応じて、左側の操作部157Lに対応する絞り羽根LABが、左側の操作部157Lの操作方向ARに沿って移動する。これにより、1つの絞り羽根に対応する操作レバーの操作により、当該操作レバーに対応する絞り羽根の配置を調整することができる。
【0049】
移動制御機能163は、4つの操作部157のうちいずれか1つの操作部における操作の受け付けに応じて、4枚の絞り羽根により規定されるX線の照射野IRFの中心の位置を移動させる。例えば、移動制御機能163は、当該1つの操作部における操作の受け付けに応じて、1つの操作部に対応する絞り羽根(操作羽根)と、当該1つの操作部に対応する絞り羽根に対向する絞り羽根(対向羽根)とを、操作に関する方向に、操作に対応する移動量で移動させる。具体的には、移動制御機能163は、個別移動モードから中心移動モードへの切り替え後において、当該1つの操作部における操作の受け付けに応じて照射野IRFの中心の位置を移動させる。
【0050】
より詳細には、移動制御機能163は、X線絞り器1bにおいて、4つの絞り羽根の移動を駆動する駆動装置を、上記照射野の中心を移動させるように制御する。これにより図5に示すように、中心移動モードにおける照射野IRFの中心の位置の移動において、4枚の絞り羽根により規定される開口の形状は維持される。例えば、図5に示すように、中心移動モードでは、左側の操作部157Lに対する操作に応じて、左側の操作部157Lに対応する操作羽根LABと、操作羽根LABに対向する対向羽根RABとが、左側の操作部157Lの操作方向に沿って移動する。このとき、図5に示すように、2つの絞り羽根を同じ方向に同じ移動量だけ動作させることで、照射野サイズを変化させずに、照射野位置を調整することができる。
【0051】
また、中心移動モードにおいて、4つの操作部157のうちいずれか1つの操作部に対する第1の操作方向と、当該1つの操作部に対応する絞り羽根(操作羽根)に対向する絞り羽根(対向羽根)に関する1つの操作部(以下、対向操作部と呼ぶ)に対する第2の操作方向とが異なる場合、移動制御機能163は、照射野IRFの中心の位置の移動の制御を停止する。すなわち、中心移動モードにおいて、互いに対向する2つの絞り羽根に対応する2つの操作部に対して操作方向が異なる操作が入力されると、移動制御機能163は、互いに対向する2つの絞り羽根に対応する移動を停止する。
【0052】
予め設定された時間(例えば10秒)以上、複数の絞り羽根のうち少なくとも一つの絞り羽根に対する操作が入力されなかった場合、移動制御機能163は、4つの複数の絞り羽根の位置を、直前羽根位置としてメモリ143に記憶させる。過去に記憶した直前羽根位置がメモリ143に存在する場合、移動制御機能163は、新たな直前羽根位置を、メモリ143に記憶された直前羽根位置に上書きして、メモリ143記憶させる。
【0053】
移動制御機能163は、戻り指示部161への入力に応答して、メモリ143に記憶された位置に、4枚の絞り羽根を移動させる。具体的には、移動制御機能163は、戻り指示部161への入力に応答して、直前羽根位置をメモリ143から読みだす。次いで、移動制御機能163は、直前羽根位置に4枚の絞り羽根を移動させるように、X線絞り器1bにおける4つの絞り羽根の移動を駆動する駆動装置を制御する。これにより、モードの切り替えを忘れて4つの操作部157のいずれか操作してしまった場合や、操作者が意図せず照射野サイズや照射野位置を変更してしまった場合に、元の絞り羽根の位置に戻すことができる。
【0054】
上記機構制御部7、システム制御部11などを実現する処理回路、および入力装置137に搭載された処理回路145は、ハードウェア資源として、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。また、当該処理回路は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)やフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)などのプロセッサにより実現されてもよい。
【0055】
プロセッサにおいて実行される各種機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で不図示のメモリへ記憶されている。プロセッサは、メモリからプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の各回路は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
【0056】
移動制御機能163を実行する処理回路145は、移動制御部に相当する。なお、移動制御機能163は、単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより移動制御機能163を実現するものとしても構わない。
【0057】
以上、実施形態に係るX線診断システム100の全体構成について説明した。かかる構成のもと、実施形態に係るX線診断システム100は、中心移動モードにおける絞り羽根の移動処理(以下、中心移動処理と呼ぶ)を実行する。中心移動処理は、中心移動モードにおいてが操作者による操作レバーの操作に従って、照射野IRFの中心を移動させる処理である。
【0058】
以下、中心移動処理の手順について、図6を参照して説明する。図6は、中心移動処理の手順の一例を示すフローチャートである。表示部10は、個別移動モードまたは中心移動モードを表示する。以下、説明を具体的にするために、中心移動処理の実施に先立って、個別移動モードが選択されているものとする。このとき、表示部10は、例えば、現在のモードが個別移動モードであることを明示するように、当該個別移動モードが選択されている状態を表示する。
【0059】
(中心移動処理)
(ステップS601)
モード切り替え部159に対する操作者の操作により、中心移動モードが選択される。このとき、モード切り替え部159は、中心移動モードが選択(設定)された情報を、処理回路145に出力する。このとき、表示部10は、現在のモードが個別移動モードであることを明示するように、中心移動モードを、透視モニタ135および透視モニタ121などのディスプレイに表示する。なお、中心移動モードの表示は、表示部10に限定されず、現在がどちらのモードであるか判断できるように、例えば、中心移動モードの時だけモード切り替え部159を点灯させてもよい。
【0060】
図7は、表示部10における表示態様の一例を示す図である。図7に示すように、拡大画像EIに隣接して、現在選択されたモード(中心移動モード)が、表示部10に表示される。また、図7に示すように、拡大画像EIに隣接して、照射野IRFの最大のサイズMFOVに対する現在の照射野のサイズCFOVと、現在の照射野の位置とが、表示部10に表示される。なお、現在選択されたモードと、拡大画像EIに隣接して、照射野IRFの最大のサイズMFOVに対する現在の照射野のサイズCFOVと、現在の照射野の位置とは、拡大画像の端部近傍に、所定の透過度を有して重畳されてもよい。
【0061】
(ステップS602)
4つの操作部157のうちいずれか1つの操作部が、操作者により操作される。
【0062】
(ステップS603)
操作者の意図とは別に対向操作部が操作されると(ステップS603のYes)、ステップS604の処理が実行される。また、対向操作部が操作されなければ(ステップS603のNo)、ステップS606の処理が実行される。
【0063】
(ステップS604)
処理回路145は、一つの操作部の操作方向と、対向操作部の操作方向とが同一であるか否かを判定する。当該判定は、不図示の判定機能により実現されてもよい。一つの操作部の操作方向と、対向操作部の操作方向とが同一であれば(ステップS604のYes)、ステップS606の処理が実行される。一つの操作部の操作方向と、対向操作部の操作方向とが同一でなければ(ステップS604のNo)、ステップS605の処理が実行される。
【0064】
(ステップS605)
処理回路145は、移動制御機能163により、操作羽根および対向羽根の移動を停止する。その後、ステップS602以降の処理が繰り返される。このとき、表示部10は、絞り羽根の移動が停止していることを表示してもよい。絞り羽根の移動の停止は、ステップS602の処理後、解除される。
【0065】
(ステップS606)
処理回路145は、移動制御機能163により、操作羽根と対向羽根とを移動させることにより、照射野の中心位置を移動させる。表示部10は、操作羽根と対向羽根との移動の様子を、表示する。
【0066】
(ステップS607)
モード切り替え部159に対する操作者の操作により、個別移動モードが選択されれば(ステップS607のYes)、中心移動処理は終了する。個別移動モードが選択されなければ(ステップS607のNo)、ステップS602以降の処理が繰り返される。なお、戻り指示部161の操作、倍率切り替えボタン151の操作、スポット透視ボタン153の操作、およびコントロールハンドル155の操作は、いずれの処理の間において、適宜実行可能である。
【0067】
以上に述べた実施形態に係るX線診断システム100におけるコンソール装置120、130は、X線診断装置における4枚の絞り羽根を操作可能な4つの操作部157と、当該4枚の絞り羽根の移動を制御する移動制御部とを備え、当該4つの操作部157は、当該コンソール装置120、130を操作する操作者の位置から当該コンソール装置120、130に向かって、奥側、手前側、左側および右側に配置され、当該奥側の操作部、当該手前側の操作部、当該左側の操作部、及び当該右側の操作部は、当該4枚の絞り羽根において、表示部10に表示されるX線画像の上側の絞り羽根、下側の絞り羽根、左側の絞り羽根、および右側の絞り羽根にそれぞれ対応し、当該移動制御部は、当該4つの操作部157のうちいずれか1つの操作部における操作の受け付けに応じて、当該4枚の絞り羽根により規定されるX線の照射野IRFの中心の位置を移動させる。
【0068】
また、実施形態に係るX線診断システム100におけるコンソール装置120、130は、1つの操作部における操作の受け付けに応じて、当該1つの操作部に対応する絞り羽根と、当該1つの操作部に対応する絞り羽根に対向する絞り羽根とを、当該操作に関する方向に、当該操作に対応する移動量で移動させる。また、本実施形態に係るコンソール装置120、130は、4枚の絞り羽根を個別の移動可能な個別移動モードと、照射野IRFの中心の位置を移動させる中心移動モードとの切り替えを選択可能であって、当該個別移動モードから当該中心移動モードへの切り替え後において、1つの操作部における操作の受け付けに応じて照射野IRFの中心の位置を移動させる。また、実施形態に係るX線診断システム100におけるコンソール装置120、130に関して、X線の照射野IFRは、4枚の絞り羽根により規定される開口に対応し、中心移動モードにおける照射野IFRの中心の位置の移動において、当該開口の形状は維持される。
【0069】
これらにより、本実施形態に係るコンソール装置120、130によれば、4枚の絞り羽根の位置を個別に調整する操作(照射野サイズの調整)と、照射野サイズを維持して照射野位置を調整する操作とを、1つの操作部で実現することができる。すなわち、本実施形態に係るコンソール装置120、130によれば、「絞り開度レバー」と「スポット透視レバー」との2つの操作器を使い分ける事で実現していた機能を、1つの操作部に統一することができる。このため、本実施形態に係るコンソール装置120、130によれば、複数の操作器で実現していた機能を1つの操作部に統一することができ、操作者の手の移動を最小限にして、すなわち操作者は操作部から大きく手を離さずに操作部を操作でき、絞り羽根の位置の調整に関する操作性を改善させることができる。また、本実施形態に係るコンソール装置120、130によれば、2つの絞り羽根を同じ方向に同じ移動量だけ動作させることで、照射野サイズを変化させずに照射野位置を調整することができる。
【0070】
これらのことから、本実施形態に係るコンソール装置120、130によれば、操作性を統一かつ一元化することで、操作者による操作ミスの予防を向上でき、術者は安心して被検体Pに対する術(例えば、IVR(Interventional Radiology:インターベンショナルラジオロジー)などの血管内治療系の術式、ERCP(Endoscopic retrograde cholangiopancreatography:内視鏡的逆行性胆道膵管造影または内視鏡的逆行性膵胆造影)などの内視鏡系の術式、消化器系の術式、泌尿器系の樹脂器など)に集中できるようになる。
【0071】
また、本実施形態に係るコンソール装置120、130におけるモード切り替え部159は、操作者による4つの操作部157の操作範囲に配置される。これにより、本実施形態に係るコンソール装置120、130によれば、操作部から手を離さずにモード切り替え部159を操作することができる。このため、本実施形態に係るコンソール装置120、130によれば、モードの切り替え時の操作性を向上させることができ、被検体Pに対する検査効率を向上させることができる。
【0072】
また、本実施形態に係るコンソール装置120、130は、4枚の絞り羽根のうち少なくとも一つの絞り羽根の移動に応じて、当該移動の前の4枚の絞り羽根の位置をメモリ143に記憶し、当該移動の前の4枚の絞り羽根の位置に、当該4枚の絞り羽根を移動させる指示を入力し、当該入力に応答して、メモリ143に記憶された位置に、当該4枚の絞り羽根を移動させる。これにより、本実施形態に係るコンソール装置120、130によれば、例えば、個別移動モードと中心移動モードとの切り替えを忘れて操作者が操作部を操作して、意図せず照射野サイズや照射野位置を変更してしまった場合に、元の絞り羽根の位置(絞り羽根の配置)に、容易に戻すことができる。このため、本実施形態に係るコンソール装置120、130によれば、個別移動モードと中心移動モードとの切り替えを忘れて操作者が操作部を操作した場合であっても絞り羽根の再配置の調整が不要となり、絞り羽根の再配置に関する操作性を向上させることができ、被検体Pに対する検査効率を向上させることができる。
【0073】
また、本実施形態に係るコンソール装置120、130は、個別移動モードまたは中心移動モードを表示する。また、本実施形態に係るコンソール装置120、130は、照射野IRFの最大のサイズMFOVに対する現在の照射野のサイズCFOVと当該現在の照射野CFOVの位置とを表示する。
【0074】
これらにより、本実施形態に係るコンソール装置120、130によれば、照射野サイズを拡大して透視モニタ121、135に表示している場合であっても、絞り羽根を操作可能な範囲と、現在のモードと絞り羽根を操作可能な範囲とを、操作者は一目で把握することができる。このため、本実施形態に係るコンソール装置120、130によれば、操作者は、透視モニタ121、135だけを見て操作部を操作することができる。これらのことから、本実施形態に係るコンソール装置120、130によれば、操作部の操作中に現在のモードが分からなくなり、意図しない絞り操作をしてしまう可能性を低減することができ、被検体Pに対する検査効率を向上させることができる。
【0075】
また、本実施形態に係るX線診断システム(X線診断装置と称されてもよい)100は、上記コンソール装置120、130と、X線を発生するX線管1aと、当該X線の照射範囲を照射野IRFに絞り込み、4枚の絞り羽根を有するX線絞り1bと、X線を検出するX線検出器3とを備える。X線診断システム100による効果は、上記実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0076】
(変形例)
本変形例は、4つの操作部157の代わりに2つの操作部を有することにある。すなわち、本変形例における2つの操作部は、X線診断装置における4枚の絞り羽根を操作可能である。以下、図8は、本変形例に係る絞り操作コンソール148の上面の一例を示す上面図である。図3に示すように、絞り操作コンソール148は、図3と同様に、例えば、倍率切り替えボタン151と、スポット透視ボタン153と、コントロールハンドル155と、モード切り替え部159と、戻り指示部161と、を有し、図3とは異なる2つの操作部158を有する。また、絞り操作コンソール148には、図8には不図示のメモリ143と、処理回路145とが搭載される。絞り操作コンソール148において、図3同様な構成については、実施形態と同様なため説明を省略する。
【0077】
2つの操作部158は、コンソール装置130を操作する操作者の位置からコンソール装置130に向かって、左奥側および右手前側に配置される。左奥側の操作部158LPは、4枚の絞り羽根において、表示部(例えば、透視モニタ121、システムモニタ133、透視モニタ135など)10に表示されるX線画像の上側の絞り羽根、および左側の絞り羽根に対応する。また、右手前側の操作部158RAは、4枚の絞り羽根において、表示部10に表示されるX線画像の下側の絞り羽根、および右側の絞り羽根に対応する。2つの操作部158は、照射野サイズ内における4つの絞り羽根の位置(すなわち、照射野の範囲)を調整する絞り開度レバーに相当する。2つの操作部158各々の操作に応じて、2つの操作部157各々は、当該操作に関する信号を、処理回路145に出力する。
【0078】
図9は、絞り操作コンソール148における2つの操作部(158LP、158RA)の操作方向と、照射野IRFに関する4つの絞り羽根(PAB、LAB、AAB、RAB)との関係の一例を示す図である。図9に示すように、左奥側の操作部158LPに対する奥側と手前側とに関する操作方向LPPAは、奥側の絞り羽根PABの移動方向に対応する。また、左奥側の操作部158LPに対する左側と右側とに関する操作方向LPLRは、左側の絞り羽根LABの移動方向に対応する。また、右手前側の操作部158RAに対する奥側と手前側とに関する操作方向RAPAは、手前側の絞り羽根AABの移動方向に対応する。また、右手前側の操作部158RAに対する左側と右側とに関する操作方向RALRは、右側の絞り羽根RABの移動方向に対応する。すなわち、図9に示すように個別移動モードにおいて、4枚の絞り羽根を個別に操作可能な2つの操作部158は、例えば、2つの操作レバーを用いて、絞り操作コンソール148の上面側から見た際の視野の対角の2点をそれぞれ操作できる。これら2つの操作レバーは、図9に示すように、上下左右の4方向に倒すことができる。
【0079】
なお、2つの操作部158の相対的な位置関係は、図8に限定されず、コンソール装置130を操作する操作者の位置からコンソール装置130に向かって、左手前側および右奥側に配置されてもよい。このとき、右奥側の操作部は、4枚の絞り羽根において、表示部10に表示されるX線画像の上側の絞り羽根、および右側の絞り羽根に対応する。左手前側の操作部は、4枚の絞り羽根において、表示部10に表示されるX線画像の下側の絞り羽根、および左側の絞り羽根に対応する。
【0080】
図10は、個別移動モードにおいて、左奥側の操作部158LPでの操作に対する左側の絞り羽根LABの移動の一例を示す図である。図10に示すように、左奥側の操作部158LPの操作方向が左方向である場合LPL、個別移動モードでは、左奥側の操作部158LPに対する操作(矢印AR)に応じて、左奥側の操作部158LPの操作方向に対応する左側の絞り羽根LABが、左奥側の操作部158LPの操作方向ARに沿って移動する。また、図10に示すように、左奥側の操作部158LPの操作方向が下方向である場合DPL、個別移動モードでは、左奥側の操作部158LPに対する操作(矢印AR)に応じて、左奥側の操作部158LPの操作方向に対応する奥側の絞り羽根PABが、左奥側の操作部158LPの操作方向ARに沿って移動する。
【0081】
本変形例における個別移動モードでは、右手前の操作部158RAに対する操作に対しても同様に、当該右手前の操作部158RAの操作の方向に応じて、当該操作方向に対応する絞り羽根が移動する。すなわち、個別移動モードにおいて、上面から見た2つの操作部158において、1つの頂点に対応する操作レバーを操作すると、操作レバーの位置および操作レバーの操作方向に対応する絞り羽根の配置は調整されることとなる。
【0082】
処理回路145は、移動制御機能163により、2つの操作部158のうちいずれか1つの操作部における操作の受け付けに応じて、4枚の絞り羽根により規定される照射野IRFの中心の位置を移動させる。具体的には、中心移動モードが選択された後、1つの操作部における操作の方向の受け付けに応じて、移動制御機能163は、当該操作の方向に対応する絞り羽根(操作羽根)と操作羽根に対向する対向羽根とを、当該操作の方向に沿って移動させるように、X線絞り器1bを制御する。すなわち、中心移動モードにおいて、上面から見た2つの操作部158において、1つの頂点に対応する操作レバーを操作すると、操作レバーの位置および操作レバーの操作方向に対応する絞り羽根(操作羽根)と、操作羽根に対向する対向羽根とを、操作レバーの操作方向に沿って、同じ方向に同じ移動量だけ移動させることができる。
【0083】
図11は、中心移動モードにおいて、左奥側の操作部158LPでの操作に対する左側の絞り羽根LABの移動の一例を示す図である。図11に示すように、左奥側の操作部158LPの操作方向が左方向である場合LPL、中心移動モードでは、左奥側の操作部158LPに対する操作(矢印AR)に応じて、左奥側の操作部158LPの操作方向に対応する左側の絞り羽根LABと、操作羽根LABに対向する対向羽根RABとが、左奥側の操作部158LPの操作方向に沿って移動する。また、図11に示すように、左奥側の操作部158LPの操作方向が下方向である場合DPL、中心移動モードでは、左奥側の操作部158LPに対する操作(矢印AR)に応じて、左奥側の操作部158LPの操作方向に対応する奥側の絞り羽根PABと、操作羽根PABに対向する対向羽根AABとが、左奥側の操作部158LPの操作方向に沿って移動する。
【0084】
中心移動モードでは、右手前の操作部158RAに対する操作に対しても同様に、当該右手前の操作部158RAの操作の方向に応じて、対応する操作羽根と対向羽根とが移動する。図11に示すように、中心移動モードにおける照射野IRFの中心の位置の移動において、開口の形状(すなわち照射野の形状)IRFは、維持される。
【0085】
以上に述べた実施形態の変形例に係るX線診断システム100におけるコンソール装置120、130は、X線診断装置における4枚の絞り羽根を操作可能な2つの操作部158と、当該4枚の絞り羽根の移動を制御する移動制御部とを備え、当該2つの操作部158は、当該コンソール装置120、130を操作する操作者の位置から当該コンソール装置120、130に向かって、左奥側および右手前側、または左手前側および右奥側に配置され、左奥側の操作部158LPは、4枚の絞り羽根において、表示部10に表示されるX線画像の上側の絞り羽根および左側の絞り羽根に対応し、右手前側の操作部158RAは、4枚の絞り羽根において、表示部10に表示されるX線画像の下側の絞り羽根、および右側の絞り羽根に対応し、右奥側の操作部は、4枚の絞り羽根において、表示部10に表示されるX線画像の上側の絞り羽根、および右側の絞り羽根に対応し、左手前側の操作部は、4枚の絞り羽根において、表示部10に表示されるX線画像の下側の絞り羽根、および左側の絞り羽根に対応し、当該移動制御部は、当該2つの操作部158のうちいずれか1つの操作部における操作の受け付けに応じて、4枚の絞り羽根により規定される照射野IRFの中心の位置を移動させる。
【0086】
これにより、本実施形態の変形例に係るコンソール装置120、130によれば、操作レバーを2つまで削減することができるため、絞り操作コンソール148を小型化することができる。加えて、本実施形態の変形例に係るコンソール装置120、130によれば、4つの絞り羽根に対する操作器の総数が2つとなるため、操作者による操作ミスの予防をさらに向上させることができる。中心移動処理に対応する処理手順は、実施形態と同様なため、説明は省略する。また、本変形例による他の効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0087】
本実施形態における技術的思想を照射野調整方法で実現する場合、当該照射野調整方法は、X線画像の上側の絞り羽根と、当該X線画像の下側の絞り羽根と、当該X線画像の左側の絞り羽根と、当該X線画像の右側の絞り羽根と、を個別の移動可能な個別移動モードから、当該上側の絞り羽根と当該下側の絞り羽根と当該左側の絞り羽根と当該右側の絞り羽根とにより規定される照射野IRFの中心の位置を移動させる中心移動モードへ切り替え、コンソール装置120、130を操作する操作者の位置から当該コンソール装置120、130に向かって奥側に配置され、当該上側の絞り羽根に対応する奥側操作部と、当該コンソール装置120、130に向かって手前側に配置され、当該下側の絞り羽根に対応する手前側操作部と、当該コンソール装置120、130に向かって左側に配置され、当該左側の絞り羽根に対応する左側操作部と、当該コンソール装置120、130に向かって右側に配置され、当該右側の絞り羽根に対応する右側操作部と、のうちいずれか1つの操作部における操作の受け付け、当該上側の絞り羽根と、当該下側の絞り羽根と、当該左側の絞り羽根と、当該右側の絞り羽根とにより規定される照射野IRFの中心の位置を、当該操作に応じて移動させ、当該1つの操作部に対する第1の操作方向と、当該1つの操作部に対応する絞り羽根に対向する絞り羽根に関する1つの操作部に対する第2の操作方向とが異なる場合、当該照射野IRFの中心の位置の移動の制御を停止する。照射野調整方法に対応する処理手順は、中心移動処理の手順に対応するため、説明は省略する。また、照射野調整方法による効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0088】
以上説明した少なくとも実施形態、および変形例等によれば、照射野を簡便かつ容易に調整することができる。
【0089】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0090】
1 X線発生部
1a X線管
1b X線絞り器
2 高電圧発生部
3 X線検出部
3a 平面検出器
3b 画像データ生成部
3b-1 電荷・電圧変換器
3b-2 A/D変換器
3b-3 パラレル・シリアル変換器
3c ゲートドライバ
4 保持アーム
5 寝台
7 機構制御部
9 画像記憶回路
10 表示部
10a 表示用画像メモリ
10b D/A変換器
10c 表示回路
10d モニタ
11 システム制御部
100 X線診断システム
110 X線診断装置本体
120 近接操作卓(コンソール装置)
121 透視モニタ
130 遠隔操作卓(コンソール装置)
131 画像処理装置
133 システムモニタ
135 透視モニタ
137 入力装置
141 入力インターフェース
143 メモリ
145 処理回路
146 絞り操作コンソール
148 絞り操作コンソール
151 倍率切り替えボタン
153 スポット透視ボタン
155 コントロールハンドル
157 4つの操作部
158 2つの操作部
159 モード切り替え部
161 戻り指示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11