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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129858
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】結束バンド
(51)【国際特許分類】
   B65D 63/12 20060101AFI20240920BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B65D63/12 A
F16B2/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039220
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】513014307
【氏名又は名称】ワコー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊原 良哉
【テーマコード(参考)】
3E085
3J022
【Fターム(参考)】
3E085BA06
3E085BB02
3E085BC08
3E085BD03
3E085BD08
3E085BF10
3J022EA42
3J022EB14
3J022FB04
3J022FB07
3J022FB12
3J022FB24
3J022GA03
3J022GA16
3J022GB43
3J022GB45
3J022GB56
3J022GB76
(57)【要約】
【課題】被結束物と密着しやすく、バンド部の余長切断後の切断端部がロック部の外部に突出しにくい結束バンドを提供すること。
【解決手段】バンド部30と、略直方体形状のロック部20とを一体に有する結束バンド1であって、ロック部20は、バンド部30の基端が延出された一端面22と、一端面22と対向する他端面と、裏面26と、裏面26と対向する表面25とを備え、その内部には、前記他端面に開口した入口と、表面25に開口した出口251とを連通するバンド挿通路27を備え、バンド挿通路27の内壁には、セレーションを係止可能な係止爪と、前記係止爪より出口251側の位置においてバンド挿通路27内に突出するように形成されたガイド突起29とが設けられ、バンド部30は、ガイド突起29と干渉することにより、余長部分切断後の切断端部36が裏面26側に近付く向きに方向付けられる構成とする。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも片面に鋸歯状のセレーションを備えたバンド部と、
前記バンド部の基端側に設けられ、前記バンド部の先端を挿通させて係止することが可能な略直方体形状のロック部とを一体に有する結束バンドであって、
前記ロック部は、
下辺から前記バンド部の基端が延出された一端面と、前記一端面と対向する他端面と、
結束時に被結束物側となる裏面と、前記裏面と対向する表面とを備え、
前記ロック部の内部には、前記他端面に開口した入口と、前記表面に開口した出口とを連通するバンド挿通路が形成されており、
前記バンド挿通路の内壁には、
前記バンド部のセレーションを係止可能な係止爪と、
前記係止爪より出口側の位置において前記バンド挿通路内に突出するように形成されたガイド突起とが設けられ、
前記バンド部は、前記バンド挿通路内で前記ガイド突起と干渉することにより、前記出口からはみ出した余長部分が切断されたあとの切断端部が、前記裏面側に近付く向きに方向付けられる結束バンド。
【請求項2】
前記挿通路の中心軸線が前記裏面に対して傾斜している請求項1に記載の結束バンド。
【請求項3】
前記ロック部の内部には、前記切断端部を収容可能な収容空間が、前記バンド挿通路及び前記出口に連通して設けられている請求項1または2に記載の結束バンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結束バンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、長手方向にセレーションが形成されたバンド部と、このバンド部を内部に挿通させて係止可能なロック部とを一体に備えた結束バンドが知られている。しかし、図12(A)に示されるように、一般的に多用されている結束バンドZは、基端側におけるバンド部の延在方向とロック部への挿通方向とが略直交しているため、断面略円形の被結束物9を結束した際、ロック部の近辺において被結束物9と結束バンドZとの間に隙間Vが生じてしまう。結束状態において隙間Vがあると、結束バンドZが被結束物9の外周に沿って摺動してしまうおそれがあった。また、図12(B)に示されるように、バンド部の余長切断後の切断端部Eがロック部の外側に露出し、この切断端部に接触した作業者が負傷するおそれがあった。
【0003】
この隙間Vの問題を解決するため、特許文献1の第9図に記載されているように、頭部に、帯状体の延びる方向(すなわち頭部の底面に沿う方向)と平行に貫通する横穴が形成された結束具が提案されている。しかし、このような結束具を被結束物に巻き付けて結束しようとすると、一方の手で頭部を保持しながら、他方の手で帯状体の自由端を持って強く環状に曲げ、帯状体の先端が頭部の底面と略平行となる状態にして横穴に進入させる必要がある。
【0004】
このとき、環状に強く曲げられた結束具には、自身の弾性により巻き付けに反発する力が作用し、頭部が被結束物から離れる方向に動こうとする。このため、頭部の横穴に、帯状体の先端を頭部の底面と略平行となる状態にして進入させようとすると、弾みで結束具を取り落としたり、作業効率が悪くなったりする問題があった。
【0005】
さらに、特許文献1記載の帯状結束具では、余長切断後の切断端部が頭部の外に突出する問題は解決されない。それだけでなく、特許文献1記載の結束具では横穴の出口と帯状体の基端とが近接しているため、切断端部の突出量を少なくするために横穴の出口に近い位置で余長を切断すると、誤って帯状体の基端まで傷付けてしまうおそれがあった。
【0006】
この問題に関し、バンド部の余長切断後の切断端部に人体や物品が接触しないように、切断端部が露出しにくい構成とした結束バンドが種々提案されている。特許文献2に記載された結束バンドでは、挿通穴の出口に設けられた庇部に帯体の切断部が収納される。特許文献3に記載されたバンド具では、貫通孔の出口側に設けられた延長部にバンド部の先端部が収納される。
【0007】
しかし、特許文献2及び3に記載された発明では、庇部や延長部の反対側に工具を差し入れるなどして余長を切断するため、結束バンドの取付角度や作業場所によっては余長の切断がしにくいおそれがあった。また、これらの庇部や延長部は、頭体の高さ方向(被結束物から離れる方向)に突出して延設されるため、結束バンドが狭い場所で使用される場合などに周りの物に干渉するおそれがあった。
【0008】
特許文献4には、ヘッド本体の挿通孔の出口に弾性変形可能な被覆体が設けられた巻付具が記載されている。バンド部の余剰部分を切断する際、この被覆体が切断刃に押されてヘッド本体側へ弾性変形し、切断後は元の形態に戻ることにより、バンド部の切断端部が外部に突出しないように被覆体によって被覆される。この巻付具では、余剰部分の切断時に刃先に干渉する部材(例えば特許文献2記載の庇部のような部材)がないため切断作業は容易と思われるが、被覆体がヘッド部の高さ方向に設けられることから、ヘッド部の寸法が大きくなるおそれがあった。また、余剰部分を切断する際、被覆体への押圧が不足するなどして被覆体の弾性変形が十分でない場合には、切断端部が外部に露出してしまうおそれがあった。
【0009】
特許文献5には、バンド貫通路の出口の縁から、バンド部の進む方向に沿って突出する突出壁部を備えた結束バンドが記載されている。余長が切断されたバンド部の端は、この突出壁部によって周りから遮られ、バックル部から突出しにくい構成となっている。しかし、この結束バンドでは、作業者がバンド貫通路の出口の縁から遠い箇所でバンド部を切断するなどしてバンド部が長く残された場合に、バンド部の端がバックル部から突出してしまうおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭55-79265号公報
【特許文献2】特開平10-37917号公報
【特許文献3】特開2017-210988号公報
【特許文献4】特開2018-87019号公報
【特許文献5】特開2016-95007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上記した従来の問題点を解決し、結束時に被結束物と密着しやすく、かつ、バンド部の余長切断後の切断端部がロック部の外部に突出しにくい結束バンドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、少なくとも片面に鋸歯状のセレーションを備えたバンド部と、前記バンド部の基端側に設けられ、前記バンド部の先端を挿通させて係止することが可能な略直方体形状のロック部とを一体に有する結束バンドであって、前記ロック部は、下辺から前記バンド部の基端が延出された一端面と、前記一端面と対向する他端面と、結束時に被結束物側となる裏面と、前記裏面と対向する表面とを備え、前記ロック部の内部には、前記他端面に開口した入口と、前記表面に開口した出口とを連通するバンド挿通路が形成されており、前記バンド挿通路の内壁には、前記バンド部のセレーションを係止可能な係止爪と、前記係止爪より出口側の位置において前記バンド挿通路内に突出するように形成されたガイド突起とが設けられ、前記バンド部は、前記バンド挿通路内で前記ガイド突起と干渉することにより、前記出口からはみ出した余長部分が切断されたあとの切断端部が、前記裏面側に近付く向きに方向付けられる結束バンドとする。
【0013】
また、前記挿通路の中心軸線が前記裏面に対して傾斜している構成とすることが好ましい。
【0014】
また、前記ロック部の内部には、前記切断端部を収容可能な収容空間が、前記バンド挿通路及び前記出口に連通して設けられている構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、結束時に被結束物と密着しやすく、かつ、バンド部の余長切断後の切断端部がロック部の外部に突出しにくい結束バンドを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態の結束バンドを用いて被結束物を結束した状態を示す図である。
図2】実施形態のロック部を示す部分拡大平面図である。
図3】実施形態のロック部の正面図である。
図4】実施形態のロック部の断面図である。
図5】実施形態のロック部にバンド部を挿通した状態を示す断面図である。
図6】ロック部に挿通されたバンド部を、バンド部の基端とは反対の方向に向けて曲げた状態を示す断面図である。
図7図6に示した状態のバンド部の余長を、バンド挿通路の出口付近の位置で切断した状態を示す断面図である。
図8】バンド部の余長切断後の状態を示す断面図である。
図9】ロック部に挿通されたバンド部を、バンド部の基端とは反対の方向に向けて曲げた状態を示す断面図である。ただし、バンド部の曲げ角度が図6に示す例より緩い状態である。
図10図9に示した状態のバンド部の余長を、バンド挿通路の出口付近の位置で切断した状態を示す断面図である。
図11】バンド部の余長切断後の状態を示す断面図である。
図12】従来の結束バンドを用いて被結束物を結束した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(全体構成)
以下に発明を実施するための形態を示す。本明細書では、図3に示す方向を表側(上側)及び裏側(下側)とする。図1(A)に示されるように、実施形態の結束バンド1は、全体が合成樹脂を用いて一体に形成されており、ロック部20と、可撓性を有する帯状体であるバンド部30とを備えている。実施形態の結束バンド1は、例えばケーブルなどの被結束物9の外周に巻き付けて係止し、被結束物9を結束することができるものである。なお、図中では物の特徴の理解を容易にするために模式的に1つの被結束物9が示されているが、被結束物9は複数であってもよい。
【0018】
結束バンド1の材質として用いられる合成樹脂は、可撓性を有するものであることが好ましい。また、結束状態において被結束物9に密着しやすくするために、エラストマー材料などを用いることが好ましい。
【0019】
なお、本発明の結束バンド1では、図1(B)に示されるように、出口251から引き出されたバンド部30の余長切断後の切断端部36が、ロック部20の内部に収容される。その詳細については後段で説明する。
【0020】
(ロック部)
ロック部20は、図1乃至図3に示されるように、全体が略直方体形状に形成されており、バンド部30の先端を差し込む入口211が開口している正面21と、下辺からバンド部30の基端が延出された背面22と、正面21と背面22とを接続する4つの面とを備えている。この4つの面のうち、結束時に被結束物9側となる面を裏面26とし、裏面26に対向する面を表面25とし、残りの2面を側面23、24とする。
【0021】
図4に示されるように、実施形態のロック部20の内部には、バンド部30を挿通させて係止することが可能なバンド挿通路27が形成されている。実施形態では、バンド挿通路27の入口211がロック部20の正面21に開口し、出口251が表面25に開口している。このように略直交する2面を結ぶバンド挿通路27は、ロック部20の裏面26に対して斜めに延びる。よって、バンド挿通路27に差し込まれたバンド部30は、挿通方向Dに沿って、ロック部20の左下側から斜め上方に向かって進む。バンド挿通路27の構造については後段で詳述する。
【0022】
バンド挿通路27に挿通されて出口251から引き出されたバンド部30は、バンド挿通路27の内部に設けられた係止爪部28によって係止され、出口251の近傍にて余長部分を切断される。このとき、出口251が、バンド部30の基端と離れた表面25に設けられていることにより、余長切断時の刃先が誤ってバンド部30の基端部32を傷付けることを抑制することができる。また、出口251の外側には、バンド部30の切断時に刃先の邪魔になる覆いなどの部材が存在しないことから、作業性のよい結束バンド1とすることができる。
【0023】
(バンド部)
実施形態のバンド部30は、図1に示されるように、表側のバンド表面33と、裏側のバンド裏面34とを備え、バンド裏面34には、その基端部31から先端部32にわたって鋸歯状のセレーション35が形成されている。なお、セレーション35はバンド表面33に設けられていてもよい。バンド部30の構成は、種々の公知の構成または公知の構成を応用した構成とされて構わない。
【0024】
実施形態では、図4に示されるように、バンド部30の基端部31が、ロック部20の背面22の下辺から延在方向Xに沿って延出している。実施形態では、基端部31のバンド裏面34とロック部20の裏面26とが略面一となっており、延在方向Xはロック部20の裏面26に沿う方向に対して略平行である。
【0025】
(バンド挿通路)
次に、バンド挿通路27の構成について説明する。バンド挿通路27の入口211は、ロック部20の正面21に設けられる。入口211は、正面21の上下方向中央より下側の位置に設けられていることが好ましい。図3に示される例では、入口211が正面21の下辺に接する位置に設けられている。このように、入口211が正面21の下端に形成されていると、締め付け時に結束バンド1と被結束物9とが密着しやすくなるためさらに好ましい。
【0026】
また、図4に示されるように、実施形態のバンド挿通路27の出口251は、ロック部20の表面25の図中左右方向中央より背面22側の位置に設けられている。
【0027】
ここで、入口211の上下方向略中央を通り、入口211と出口251とを結ぶ仮想線をバンド挿通路27の中心軸線Cとする。実施形態の中心軸線Cは裏面26に対して傾斜角度θ分傾斜している。よって、バンド部30を入口211に挿入する際の挿通方向Dは、図中右斜め上に向かう方向となる。
【0028】
このような構成とすれば、図1に示されるように、結束バンド1が被結束物9の外側に巻かれて締め付けられた際、ロック部20の裏面26が被結束物9と略密着し、結束バンド1と被結束物9との隙間を小さくして緩みなく結束することができる。また、バンド部30の先端部32を無理に曲げることなく、自然な角度で入口211に挿入することができ、作業性のよい結束バンド1とすることができる。
【0029】
さらに、結束バンド1が柔軟性素材で形成されていれば、図1に示されるように、結束バンド1の締め付けに伴ってロック部20が被結束物9の外周面に沿うように変形し、両者の密着性をさらに向上させることができるため好ましい。
【0030】
バンド挿通路27の傾斜角度θは、およそ25~45度とすることが好ましい。図4に示される例では、傾斜角度θは約30度である。傾斜角度θの値が大きく(傾斜が急に)なりすぎると、バンド部30をバンド挿通路27に差し込みにくくなる。また、傾斜角度θの値が小さく(傾斜が緩く)なりすぎても、バンド部30を強く曲げなければならなくなるためバンド挿通路27に差し込みにくくなる。それだけでなく、傾斜角度θの値が小さくなりすぎるとバンド挿通路27の全長が長くなり、ロック部20のサイズが必要以上に大きくなってしまう。
【0031】
また、実施形態のバンド挿通路27は、図4に示されるように、中心軸線Cより図中上側に第1内壁部271を備え、さらに、第1内壁部271と対向する第2内壁部272を備えている。図4に示す例のバンド挿通路27では、第2内壁部272が第1内壁部271と略平行であるが、バンド挿通路27の構成はこれに限定されない。例えば、第2内壁部272は底面26と略平行となるように形成されていてもよい。
【0032】
実施形態のバンド挿通路27には、図4に示されるように、入口211の近傍の位置に係止爪部28が設けられている。実施形態の係止爪部28は、その先端に、セレーション35と係合可能な係止爪281を備え、バンド挿通路27内に挿通されたバンド部30を係止して抜け止めロックする。実施形態の係止爪部28は基端が第2内壁部272と一体的に形成され、揺動可能に設けられている。係止爪281とセレーション35との係合によるバンド部30のロック機構は、種々の公知の構成または公知の構成を応用した構成とすることができる。
【0033】
また、少なくとも入口211から係止爪281までの間におけるバンド挿通路27の内寸は、バンド部30の横断面の外形寸法よりわずかに大きく形成されていることが好ましい。これにより、セレーション35と係止爪部28とが確実に噛み合ってバンド部30が係止される。
【0034】
実施形態では、入口211の開口寸法(図3に示される高さ寸法h211及び幅寸法w211)も、バンド部30の横断面の外形寸法よりわずかに大きい寸法で形成されている。
【0035】
一方、出口251は、入口211より大きく形成されている。具体的には、図2に示されるように、出口251の奥行寸法d251(図中左右方向の開口寸法)が、入口211の高さ寸法h211より大きい。なお、出口251の幅寸法w251は、入口211の幅寸法w211と略同一である。
【0036】
これにより、後段で図8を参照して説明するように、余長切断後に残るバンド部30の残部長さが多少長くなってしまった場合にも、バンド部30の切断端部36がロック部20の内部に収容されやすい結束バンド1とすることができる。
【0037】
(ガイド突起)
実施形態の第1内壁部271には、図4に示されるように、出口251の近傍の位置に、バンド挿通路27内に突出するガイド突起29が設けられている。ガイド突起29は、挿通路27内においてバンド部30と干渉し、バンド部30を裏面26に近付く向きへ方向付けることが可能な突起である。なお、バンド挿通路27に挿通されたバンド部30の挙動については後段で詳述する。
【0038】
ガイド突起29は第1内壁部271に接続する側を基端とし、その反対側を先端とする。実施形態のガイド突起29の基端は第1内壁部271と一体に形成されている。また、実施形態のガイド突起29はバンド挿通路27の中心軸線Cに略直交する向きに突出している。
【0039】
実施形態のガイド突起29の先端には、出口251に向かって傾斜する斜面291が形成されている。ガイド突起29の先端に斜面291が形成されていると、バンド挿通路27内においてバンド部30が出口251に向かって進むようにガイドされ、挿通がスムーズになるため好ましい。
【0040】
(結束バンドの使用方法)
実施形態の結束バンド1の使用方法について説明する。実施形態の結束バンド1を用いて被結束物9を結束する場合、被結束物9の外周にバンド部30を環状に巻き付ける。次に、巻き付けられたバンド部30の先端部32を、ロック部20のバンド挿通路27の入口211に差し込み、挿通方向Dに沿って押し込んで進ませる。
【0041】
バンド挿通路27内を進むバンド部30は、図5に示されるように、ガイド突起29と干渉する。ガイド突起29がバンド表面33に干渉することにより、バンド部33の進行方向は中心軸線Cより図中斜め右下寄りにガイドされる。
【0042】
よって、実施形態では、出口251に到達したときの先端部32の位置が、ガイド突起29が無い場合と比べて図中右寄りとなる。このとき、前述したように出口251の奥行寸法d251が大きく形成されていると、先端部32がロック部20の内壁(背面22側の内壁)に突き当たりにくくなるため、バンド部30を外に引き出しやすい。
【0043】
作業者は、さらにバンド部30を引き出して被結束物9を締め付ける。被結束物9が適切に締め付けられたら、作業者はバンド部30の引き出しを停止する。このとき、セレーション35が係止爪部28の係止爪281と係合することにより、バンド部30がロックされる。
【0044】
次に、作業者は、図6に示されるように、ロック部20の外部に引き出されたバンド部30の余長ELを、ロック部20の正面21に近付く方向に折り返して曲げる。作業者は、バンド部30を前記方向に曲げた状態で、図7に示されるように出口251の近傍にて余長ELを切断する。
【0045】
余長ELが切断されたバンド部30は、図8に示されるように、ガイド突起29によって図中斜め右下向きに押された状態となる。これにより、バンド部30の切断端部36は、出口251から離れて裏面26に近付く向きに方向付けられる。このように、本発明の結束バンド1では切断端部36が出口251から離れてロック部20の内部に収納されるので、より確実に切断端部36の外部への突出を抑制することができる。
【0046】
図8に示されるように、バンド部30におけるガイド突起29との当接点Pから切断端部36までの距離を残部長さLとすると、残部長さLがおおむね出口251の奥行寸法d251の範囲内であればスムーズにロック部20の内部に収容することができる。このため、出口251の奥行寸法d251が広めにとられていると、収容可能な残部長さLが長くなり、より確実に切断端部36を外部に突出させにくい構成とすることができる。
【0047】
なお、出口251の奥行開口幅を大きくする方向は被結束物9に略沿う方向であるため、出口251の奥行寸法d251をある程度広げたとしても、ロック部20の上下方向のサイズアップにはなりにくい。よって、被結束物9から突出する方向にロック部20のサイズが大きくなることを抑制しつつ、残部長さLの収容能力を向上させることができる。
【0048】
さらに、ロック部20の内部には、切断端部36を収容可能な収容空間が、バンド挿通路27及び出口251に連通して設けられていることが好ましい。実施形態では、図8に示されるように、切断端部36を収容可能な端部収容部273が、バンド挿通路27及び出口251に連通して設けられている。実施形態の端部収容部273は、出口251の開口縁から下方に凹むように形成された凹部であって、ロック部20の図中左右方向の略中央部から背面22側にかけて設けられている。
【0049】
出口251及びバンド挿通路27に連通してこのような端部収容部273が設けられていると、作業者がバンド部30の残部長さLを長めに残して余長ELを切断してしまった場合であっても、切断端部36の外部への突出を抑制することができる。
【0050】
例えば、図9及び図10に示されるように、バンド部30の折り返しが不十分なまま余長ELを切断してしまった場合、図11に示されるように、バンド部30の残部長さLは図7に示す例より長くなってしまう。このとき、出口251及びバンド挿通路27に連通して端部収容部273が設けられていると、残部長さLが長くても切断端部36が端部収容部273に収容され、より確実にロック部20の外部への突出を抑制することができる。
【0051】
また、図11に示す例よりさらに残部長さLが長い場合には、出口251の近傍にて不要なバンド部30を切断し直せばよい。このほか、工具などを用いてバンド部30を出口251より内部に押込むなどして、切断端部36を端部収容部273に収容することもできる。
【0052】
また、本実施形態では、ロック部20の内部に収容された切断端部36は、その周囲がロック部20の内壁(背面22及び側面23、24)に囲まれた状態となる。このため、より確実に、切断端部36がロック部20の外部に突出することを抑制することができる。
【0053】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。
【0054】
例えば、係止爪部28がガイド突起29と同じ第1内壁部271側に形成されていてもよい。この場合、バンド部30のセレーション35は被結束物9と接しない方の面に設けられることになる。よって、ガイド突起29の先端が、バンド部30の平坦面ではなくセレーション35を備えた面と当接することになる。このとき、ガイド突起29の先端がセレーション35と係合可能な形状であると、バンド部30をバンド挿通路27に挿通させる際に抵抗が大きくなってしまう。係止爪部28がガイド突起29と同じ第1内壁部271側に形成される場合は、ガイド突起29の先端はセレーション35と係合しにくい構造とすることが好ましい。
【符号の説明】
【0055】
1 結束バンド
20 ロック部
21 正面
211 入口
22 背面
25 表面
251 出口
26 裏面
27 バンド挿通路
273 端部収容部
28 係止爪部
281 係止爪
29 ガイド突起
30 バンド部
31 基端部
32 先端部
35 セレーション
36 切断端部
EL 余長
L 残部長さ
9 被結束物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12