(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129859
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】カプラ装置
(51)【国際特許分類】
H01R 31/06 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H01R31/06 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039221
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 健郎
(72)【発明者】
【氏名】松永 貴士
(72)【発明者】
【氏名】井上 広道
(57)【要約】
【課題】端子の接続を円滑に行うことができるカプラ装置を提供する。
【解決手段】カプラ装置1は、第一電線W1の端部に取り付けられるオス端子2と、第二電線W2の端部に取り付けられるメス端子3と、第一端子収容室41A、第二端子収容室41B及びガイド部46を形成し第一端子収容室41A及び第二端子収容室41Bに収容されたオス端子2とメス端子3を接続させる本体部4と、を備え、第一端子収容室41A及び第二端子収容室41Bは、ガイド部46を挟んで対称な形状に形成され、オス端子2及びメス端子3のいずれも収容可能に形成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一電線の端部に取り付けられ、第一箱部からタブ部を突出させた第一電気接続部を有するオス端子と、
第二電線の端部に取り付けられ、前記タブ部を挿入可能な挿入孔を第二箱部に形成した第二電気接続部を有し、前記オス端子と接続可能なメス端子と、
延在方向に貫通して形成される挿通空間、前記挿通空間の一部であって前記挿通空間の一方側の第一開口部と連通し前記オス端子及び前記メス端子の一方を収容する第一端子収容室、前記挿通空間の一部であって前記挿通空間の他方側の第二開口部と連通し前記オス端子及び前記メス端子の他方を収容する第二端子収容室、及び、前記第一端子収容室と前記第二端子収容室の間に設けられ前記タブ部を挿通可能なガイド部を形成し、前記第一端子収容室及び前記第二端子収容室に収容された前記オス端子と前記メス端子を接続させる本体部と、を備え、
前記第一端子収容室及び前記第二端子収容室は、前記ガイド部を挟んで対称な形状に形成され、前記オス端子及び前記メス端子のいずれも収容可能に形成されている、
カプラ装置。
【請求項2】
前記ガイド部は、
前記第一端子収容室と前記第二端子収容室を連通し前記タブ部を挿通可能な連通孔、
前記第一端子収容室に面し、前記延在方向に交差する方向に沿って形成される第一当接面、
前記第二端子収容室に面し、前記延在方向に交差する方向に沿って形成される第二当接面、
前記連通孔の前記第一端子収容室側の入口に形成され、前記延在方向に対し傾斜して形成される第一傾斜面、及び、
前記連通孔の前記第二端子収容室側の入口に形成され、前記延在方向に対し傾斜して形成される第二傾斜面、を形成し、
前記第一端子収容室に前記オス端子が収容され前記第二端子収容室に前記メス端子が収容された場合、前記オス端子の前記第一箱部を前記第一当接面に当接させ、前記タブ部を前記第一傾斜面により前記連通孔へ案内し、前記メス端子の前記第二箱部を前記第二当接面に当接させ、
前記第二端子収容室に前記オス端子が収容され前記第一端子収容室に前記メス端子が収容された場合、前記オス端子の前記第一箱部を前記第二当接面に当接させ、前記タブ部を前記第二傾斜面により前記連通孔へ案内し、前記メス端子の前記第二箱部を前記第一当接面に当接させる、
請求項1に記載のカプラ装置。
【請求項3】
前記本体部は、非分割構造で前記延在方向に延びる長尺体である、
請求項1又は2に記載のカプラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カプラ装置に関するものとして、例えば、特許文献1に記載されるように、二つのワイヤハーネスを接続する接続装置が知られている。この接続装置は、それぞれのワイヤハーネスに対し端子台を接続し、それらの端子台をハウジングに挿入して接続を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような接続装置は、部品点数が多くなるという問題点がある。このため、接続装置の構成部品を削減し、ハウジングに直接電線を取り付けた端子を接続することが考えられる。例えば、ハウジングに対しオス端子とメス端子を直接挿入して接続が行われる。ところが、この場合、接続する端子はオス端子とメス端子は、互いの形状及び構造が異なっている。このため、ハウジングに対しオス端子及びメス端子を特定の方向からしか挿入することができず、各端子の挿入位置を注意しながら端子接続を行う必要がある。従って、端子の接続が円滑に行えないおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、端子の接続が円滑に行えるカプラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係るカプラ装置は、第一電線の端部に取り付けられ、第一箱部からタブ部を突出させた第一電気接続部を有するオス端子と、第二電線の端部に取り付けられ、前記タブ部を挿入可能な挿入孔を第二箱部に形成した第二電気接続部を有し、前記オス端子と接続可能なメス端子と、延在方向に貫通して形成される挿通空間、前記挿通空間の一部であって前記挿通空間の一方側の第一開口部と連通し前記オス端子及び前記メス端子の一方を収容する第一端子収容室、前記挿通空間の一部であって前記挿通空間の他方側の第二開口部と連通し前記オス端子及び前記メス端子の他方を収容する第二端子収容室、及び、前記第一端子収容室と前記第二端子収容室の間に設けられ前記タブ部を挿通可能なガイド部を形成し、前記第一端子収容室及び前記第二端子収容室に収容された前記オス端子と前記メス端子を接続させる本体部と、を備え、前記第一端子収容室及び前記第二端子収容室は、前記ガイド部を挟んで対称な形状に形成され、前記オス端子及び前記メス端子のいずれも収容可能に形成されるように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るカプラ装置によれば、端子の接続を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るカプラ装置の分解斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るカプラ装置のスペーサの斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るカプラ装置における端子接続時の斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3のIV-IVにおけるカプラ装置の断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るカプラ装置のガイド部の説明図である。
【
図6】
図6は、
図3のVI-VIにおけるカプラ装置の断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るカプラ装置における接続の説明図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るカプラ装置における接続の説明図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係るカプラ装置における接続の説明図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るカプラ装置における接続の説明図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係るカプラ装置における接続の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
本実施形態は、カプラ装置に関する。なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「接続方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「高さ方向Z」という。ここでは、接続方向Xと幅方向Yと高さ方向Zとは、相互に直交する。接続方向Xは、端子の接続方向、又は、端子及び本体部の延在方向に相当する。幅方向Yと高さ方向Zとは、接続方向Xと交差する交差方向に相当する。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向を表すものとする。なお、ここでいう直交は、ほぼ直交を含む。
【0011】
図1に示すように、カプラ装置1は、オス端子2、メス端子3、本体部4及びスペーサ5を備えている。カプラ装置1は、オス端子2とメス端子3を本体部4内で接続する装置であり、オス端子2とメス端子3を接続することにより、オス端子2が取り付けられる第一電線W1とメス端子3が取り付けられる第二電線W2を接続することができる。カプラ装置1は、例えば、車両に搭載される。第一電線W1及び第二電線W2は、例えば、車両における制御系又は電力系の電線、ケーブルなどを構成する。
【0012】
オス端子2は、第一電線W1の端部に取り付けられる端子であり、例えば、第一電線W1の端部に圧着されて取り付けられる圧着端子である。オス端子2は、電線接続部21、連結部22及び電気接続部23を有する。電線接続部21、連結部22及び電気接続部23は、導電性の金属により構成され、例えば、各部に対応した形状に打ち抜かれた一枚の板金をプレス及び折り曲げ成形することにより一体で形成される。オス端子2は、延在方向(接続方向X)に向けて、電線接続部21、連結部22、電気接続部23の順で形成され相互に連結されている。
【0013】
第一電線W1は、例えば、導体部の外周に絶縁被覆部を設けて構成され、端部が導体部を露出した状態とされ、その端部にオス端子2が取り付けられている。すなわち、オス端子2の電線接続部21は、第一電線W1の導体部と絶縁被覆部を加締めて圧着することにより取り付けられている。連結部22は、電線接続部21と電気接続部23を連結する部位である。連結部22には、凹部22Aが形成されている。凹部22Aは、隣接する電線接続部21、電気接続部23と比べて高さが低く窪んでいる。電気接続部23は、メス端子3と電気的に接続される第一電気接続部であり、第一箱部231及びタブ部232を有している。第一箱部231は、タブ部232を保持する部位であり、箱型に形成されている。タブ部232は、第一箱部231から接続方向Xへ延びる棒状又は板状の部材であり、メス端子3と接触する部位である。タブ部232は、接続方向Xと交差する方向において第一箱部231と比べて小さい断面で形成されている。また、電気接続部23には、突片28が形成されている。突片28は、電気接続部23において上方へ突出する部分である。
【0014】
図1において、メス端子3は、第二電線W2の端部に取り付けられる端子であり、例えば、第二電線W2の端部に圧着されて取り付けられる圧着端子である。メス端子3は、電線接続部31、連結部32及び電気接続部33を有する。電線接続部31、連結部32及び電気接続部33は、導電性の金属により構成され、例えば、各部に対応した形状に打ち抜かれた一枚の板金をプレス及び折り曲げ成形することにより一体で形成される。メス端子3は、延在方向(接続方向X)に向けて、電線接続部31、連結部32、電気接続部33の順で形成され相互に連結されている。
【0015】
第二電線W2は、例えば、導体部の外周に絶縁被覆部を設けて構成され、端部が導体部を露出した状態とされ、その端部にメス端子3が取り付けられている。すなわち、メス端子3の電線接続部31は、第二電線W2の導体部と絶縁被覆部を加締めて圧着することにより取り付けられている。連結部32は、電線接続部31と電気接続部33を連結する部位である。連結部32には、凹部32Aが形成されている。凹部32Aは、隣接する電線接続部31、電気接続部33と比べて高さが低く窪んでいる。電気接続部33は、オス端子2と電気的に接続される第二電気接続部であり、第二箱部331を有している。第二箱部331は、箱型を呈し、オス端子2のタブ部232を挿入するための挿入孔332を形成している。挿入孔332は、電気接続部33の端面からメス端子3の延在方向へ延びている。第二箱部331の内部には、端子部333が設けられている(
図4参照)。端子部333は、例えば、挿入孔332内に形成される接触片であり、オス端子2のタブ部232と接触して電気的に接続される。また、電気接続部33には、突片38が形成されている。突片38は、電気接続部33において上方へ突出する部分である。
【0016】
図1において、本体部4は、オス端子2とメス端子3を挿入させて接続させるためのハウジングとして機能し、例えば、樹脂などの絶縁材料により構成され、断面矩形状の外形とされる。本体部4は、非分割構造で延在方向(接続方向X)に延びる長尺体であり、分割できる構造となっておらず、二つ又は二以上の部材を接合した構造になっていない。このため、本体部4は、シンプルな構造であり、樹脂成形などにより低コストで容易に製造することができる。
【0017】
本体部4は、延在方向に沿って挿通空間41を形成している。挿通空間41は、本体部4を延在方向に貫通する孔であり、例えば、断面矩形状とされ、オス端子2及びメス端子3を挿入可能な大きさで形成されている。つまり、挿通空間41は、一方の第一開口部47からオス端子2及びメス端子3の一方を挿入可能とし、他方の第二開口部48からオス端子2及びメス端子3の他方を挿入可能としている。挿通空間41は、第一開口部47と連通する第一端子収容室41A、及び、第二開口部48と連通する第二端子収容室41Bを含む。
【0018】
本体部4には、例えば、装着孔42が形成されている。装着孔42は、スペーサ5を挿入させて本体部4に装着させるための孔であり、例えば、本体部4の側面4Aから幅方向Yに向けて形成されている。装着孔42には、連結部収容室420、第一連通室421及び第二連通室422が形成されている。連結部収容室420は、スペーサ5の連結部53を収容するための空間であり、例えば、装着孔42の開口付近で延在方向に沿って形成されている。連結部収容室420は、連結部53、並びに、第一係止部51、第二係止部52、第一掛止部54及び第二掛止部55の一部を収容可能な大きさに形成されている。なお、スペーサ5の詳細については、後述する。
【0019】
第一連通室421は、スペーサ5の第一係止部51を収容するための空間であり、挿通空間41と連通している。例えば、第一連通室421は、連結部収容室420から幅方向Yに向けて奥側へ形成され、挿通空間41の第一端子収容室41Aと連通している。第一連通室421に第一係止部51が挿入されることにより、第一係止部51が第一端子収容室41A内のオス端子2又はメス端子3を係止し、本体部4に挿入されたオス端子2又はメス端子3の抜け出しを抑制する。
【0020】
第二連通室422は、スペーサ5の第二係止部52を収容するための空間であり、挿通空間41と連通している。例えば、第二連通室422は、連結部収容室420から幅方向Yに向けて奥側へ形成され、挿通空間41の第二端子収容室41Bと連通している。第二連通室422に第二係止部52が挿入されることにより、第二係止部52が第二端子収容室41B内のオス端子2又はメス端子3を係止し、本体部4に挿入されたオス端子2又はメス端子3の抜け出しを抑制する。
【0021】
また、装着孔42には、第一収容室423及び第二収容室424が形成されている。第一収容室423は、スペーサ5の第一掛止部54を収容するための空間であり、第一連通室421と高さ方向Z側に連なって形成されている。第一収容室423の幅方向Yと交差する方向における断面形状は、第一掛止部54の断面形状に合わせて形成され、例えば矩形とされる。第一収容室423は、第一連通室421と比べて、接続方向Xにおいて長く形成されている。
図6に示すように、第一収容室423は、本体部4の奥側で第一掛止空間425に連通している。第一掛止空間425は、側面4Aの反対側の側面4Bで開口しており、本体部4の外部と連なっている。
【0022】
図1において、第二収容室424は、スペーサ5の第二掛止部55を収容するための空間であり、第二連通室422と高さ方向Z側に連なって形成されている。第二収容室424の幅方向Yと交差する方向における断面形状は、第二掛止部55の断面形状に合わせて形成され、例えば矩形とされる。第二収容室424は、第二連通室422と比べて、接続方向Xにおいて長く形成されている。
図6に示すように、第二収容室424は、本体部4の奥側で第二掛止空間426に連通している。第二掛止空間426は、側面4Aの反対側の側面4Bで開口しており、本体部4の外部と連なっている。
【0023】
図4に示すように、本体部4には、第一端子収容室41A、第二端子収容室41B及びガイド部46が形成されている。第一端子収容室41Aは、挿通空間41の一部であって、挿通空間41の一方側の第一開口部47と連通する空間であり、オス端子及び前記メス端子の一方を収容する。第二端子収容室41Bは、挿通空間41の一部であって、挿通空間41の他方側の第二開口部48と連通する空間であり、オス端子及び前記メス端子の他方を収容する。第一端子収容室41Aと第二端子収容室41Bの間には、ガイド部46が形成されている。第一端子収容室41A及び第二端子収容室41Bは、ガイド部46を挟んで対称な形状に形成され、オス端子2及びメス端子3のいずれも収容可能に形成されている。例えば、第一端子収容室41A及び第二端子収容室41Bは、ガイド部46を通る接続方向Xと直交する方向の中心線Cに対し線対称の形状とされ、同一の形状に形成されている。
【0024】
図5に示すように、ガイド部46は、オス端子2のタブ部232を第一端子収容室41A及び第二端子収容室42Bの一方から他方へ案内する部位であり、オス端子2の電気接続部23及びメス端子3の電気接続部33が第一端子収容室41Aと第二端子収容室42Bの間の移動することを規制する部位である。ガイド部46は、例えば、挿通空間41において接続方向Xと交差する向きに形成される壁部材であり、連通孔461を形成している。連通孔461は、タブ部232を挿通させるための孔であり、接続方向Xに向けて形成され、第一端子収容室41Aと第二端子収容室41Bを連通している。連通孔461は、タブ部232を挿通できる大きさであって、電気接続部23及び電気接続部33が挿通できない大きさに形成される。
【0025】
ガイド部46は、第一当接面462、第二当接面463、第一傾斜面464及び第二傾斜面465を形成している。第一当接面462は、第一端子収容室41Aに面しており、接続方向Xと交差する向きに形成されている。ガイド部46は、第一端子収容室41Aにオス端子2又はメス端子3が収容される場合、第一当接面462に第一箱部231又は第二箱部331を当接させてオス端子2又はメス端子3が第二端子収容室41B側へ移動することを規制する。第二当接面463は、第二端子収容室41Bに面しており、接続方向Xと交差する向きに形成されている。ガイド部46は、第二端子収容室41Bにオス端子2又はメス端子3が収容される場合、第二当接面463に第一箱部231又は第二箱部331を当接させてオス端子2又はメス端子3が第一端子収容室41A側へ移動することを規制する。
【0026】
第一傾斜面464は、連通孔461の第一端子収容室41A側の入口部分に形成され、本体部4の延在方向に対し傾斜して連通孔461の入口を広げ、タブ部232を連通孔461へ案内する。つまり、第一傾斜面464は、第一当接面462と連通孔461の角部分を面取りするように形成され、連通孔461の入口を拡大させている。また、第一傾斜面464は、例えば、連通孔461の断面形状を矩形とした場合、連通孔461の上下左右の内面に対しそれぞれ形成され、四つ設けられる。
【0027】
第二傾斜面465は、連通孔461の第二端子収容室41B側の入口部分に形成され、本体部4の延在方向に対し傾斜して連通孔461の入口を広げ、タブ部232を連通孔461へ案内する。つまり、第二傾斜面465は、第二当接面463と連通孔461の角部分を面取りするように形成され、連通孔461の入口を拡大させている。また、第二傾斜面465は、例えば、連通孔461の断面形状を矩形とした場合、連通孔461の上下左右の内面に対しそれぞれ形成され、四つ設けられる。
【0028】
図4に示すように、本体部4には、第一テーパ部43が形成されている。第一テーパ部43は、オス端子2及びメス端子3の挿通空間41への挿入を円滑化させる部位であり、挿通空間41内に形成される。すなわち、第一テーパ部43は、挿通空間41の内面を傾斜させて形成され、延在方向に沿って第一開口部47側からオス端子2及びメス端子3の挿入方向に向けて挿通空間41の内面を先細りとするように形成されている。第一テーパ部43は、挿通空間41においてオス端子2及びメス端子3の挿入経路上に形成され、第二開口部48より第一開口部47に近い位置に形成されている。第一テーパ部43が形成されることにより、オス端子2及びメス端子3の本体部4への挿入時に、オス端子2及びメス端子3を適切な挿入位置へ案内することができ、オス端子2及びメス端子3の挿入を円滑に行うことができる。
【0029】
また、本体部4には、第二テーパ部45が形成されている。第二テーパ部45は、オス端子2及びメス端子3の挿通空間41への挿入を円滑化させる部位であり、挿通空間41内に形成される。すなわち、第二テーパ部45は、挿通空間41の内面を傾斜させて形成され、延在方向に沿って第二開口部48側からオス端子2及びメス端子3の挿入方向に向けて挿通空間41の内面を先細りとするように形成されている。第二テーパ部45は、挿通空間41においてオス端子2及びメス端子3の挿入経路上に形成され、第一開口部47より第二開口部48に近い位置に形成されている。第二テーパ部45が形成されることにより、オス端子2及びメス端子3の本体部4への挿入時に、オス端子2及びメス端子3を適切な挿入位置へ案内することができ、オス端子2及びメス端子3の挿入を円滑に行うことができる。
【0030】
図1、2に示すように、スペーサ5は、本体部4に挿入されたオス端子2及びメス端子3を本体部4内で係止し、オス端子2及びメス端子3の抜け外れを防止する部材である。スペーサ5は、本体部4に対し延在方向と交差する方向から挿入可能とされる。例えば、スペーサ5は、本体部4に形成される装着孔42に挿入される。スペーサ5は、第一係止部51、第二係止部52及び連結部53を有する。第一係止部51と第二係止部52は、連結部53により連結されている。
【0031】
第一係止部51は、本体部4の挿通空間41内のオス端子2又はメス端子3を係止する部位であり、例えば、幅方向Yに延びるブロック体であり、オス端子2の凹部22A及びメス端子3の凹部32Aに挿入可能な大きさに形成されている。第一係止部51には、切欠部51Aが形成されている。切欠部51Aは、第一係止部51を接続方向Xに沿って切り欠いた部分であり、第一係止部51の挿入先端部分に形成されている。第二係止部52は、本体部4の挿通空間41内のオス端子2又はメス端子3を係止する部位であり、例えば、幅方向Yに延びるブロック体であり、オス端子2の凹部22A及びメス端子3の凹部32Aに挿入可能な大きさに形成されている。第二係止部52には、切欠部52Aが形成されている。切欠部52Aは、第二係止部52を接続方向Xに沿って切り欠いた部分であり、第二係止部52の挿入先端部分に形成されている。連結部53は、例えば、接続方向Xに延びる板体であり、第一係止部51及び第二係止部52の後端部分に接合され、第一係止部51と第二係止部52を連結している。
【0032】
スペーサ5は、第一掛止部54、第二掛止部55、第一ストッパ56及び第二ストッパ57を有する。第一掛止部54及び第二掛止部55は、スペーサ5を本体部4に対し掛止する掛止部として機能する。第一掛止部54及び第二掛止部55は、第一係止部51と第二係止部52がオス端子2及びメス端子3を係止する本係止の位置において、スペーサ5を本体部4内で掛止する。
【0033】
例えば、第一掛止部54は、第一係止部51と一体に形成され、第一係止部51から接続方向Xへ向け外側へ突出する突起として構成される。例えば、第一掛止部54は、支持枠541を介して第一係止部51に接合されている。支持枠541は、弾性変形により第一掛止部54を接続方向Xへ移動可能とするU型の枠体である。支持枠541は、二つの脚部541Aを第一係止部51に接合し、二つの脚部541Aの間に架設される架設部541Bに第一掛止部54を形成している。なお、支持枠541は、第一掛止部54を接続方向Xへ移動できれば、U型でなくてもよく、L型など他の形状又は構造であってもよい。
【0034】
また、第二掛止部55は、第二係止部52と一体に形成され、第二係止部52から接続方向Xへ向け外側へ突出する突起として構成される。例えば、第二掛止部55は、支持枠551を介して第二係止部52に接合されている。支持枠551は、弾性変形により第二掛止部55を接続方向Xへ移動可能とするU型の枠体である。支持枠551は、二つの脚部551Aを第二係止部52に接合し、二つの脚部551Aの間に架設される架設部551Bに第二掛止部55を形成している。なお、支持枠551は、第二掛止部55を接続方向Xへ移動できれば、U型でなくてもよく、L型など他の形状又は構造であってもよい。
【0035】
第一ストッパ56及び第二ストッパ57は、本体部4に挿入されたスペーサ5を仮係止位置から抜け出しを抑制するストッパとして機能する。仮係止位置は、スペーサ5が装着孔42に挿入されているが、第一係止部51と第二係止部52がオス端子2及びメス端子3を係止しない位置である。
【0036】
例えば、第一ストッパ56は、第一係止部51と一体に形成され、第一係止部51から接続方向Xの内側に設けられ、本体部4に掛止される鉤部561を有している。鉤部561は、幅方向Yへ延びる脚部562の先端に形成され、脚部562の弾性変形により接続方向Xに対し移動可能とされている。第二ストッパ57は、第二係止部52と一体に形成され、第二係止部52から接続方向Xの内側に設けられ、本体部4に掛止される鉤部571を有している。鉤部571は、幅方向Yへ延びる脚部572の先端に形成され、脚部572の弾性変形により接続方向Xに対し移動可能とされている。
【0037】
次に、本実施形態に係るカプラ装置1による電線の接続について説明する。
【0038】
カプラ装置1は、本体部4内でオス端子2とメス端子3を接続することにより、第一電線W1と第二電線W2を電気的に接続させる。カプラ装置1は、本体部4に対しオス端子2及びメス端子3を挿入することにより、オス端子2とメス端子3を接続させる。
【0039】
まず、第一端子収容室41Aにオス端子2が挿入され、第二端子収容室41Bにメス端子3が挿入される場合について説明する。
図7に示すように、スペーサ5が本体部4に挿入され、仮係止状態とされる。すなわち、スペーサ5が装着孔42に挿入されるが、完全には挿入されない仮係止の位置まで挿入された状態とされる。この状態では、スペーサ5の第一係止部51及び第二係止部52が挿通空間41へ入り込んでおらず、オス端子2及びメス端子3の挿通空間41への挿入が可能となっている。このとき、第一ストッパ56が第一掛止空間425の内面に掛止され、第二ストッパ57が第二掛止空間426の内面に掛止される。このため、スペーサ5が装着孔42から抜け外れることが抑制され、接続作業が円滑に行える。
【0040】
そして、
図8に示すように、本体部4に対しメス端子3が挿入される。メス端子3は、第二開口部48から挿通空間41の第二端子収容室41Bへ挿入され、第二端子収容室41Bの奥の方へ入れられる。このとき、第二端子収容室41B内には、第二テーパ部45が形成されているため、メス端子3は、第二端子収容室41B内で引っ掛かることが抑制され円滑に第二端子収容室41B内へ挿入されていく。また、
図9に示すように、スペーサ5が仮係止の位置まで挿入されている場合、メス端子3の突片38が通過する位置に切欠部52Aが位置している。このため、メス端子3の突片38が第二係止部52に引っ掛かることなく、メス端子3が第二端子収容室41Bの奥へ円滑に挿入される。
【0041】
そして、
図8において、メス端子3の先端部分がガイド部46に当接する。すなわち、第二箱部331が第二当接面463に当接し、メス端子3が第二端子収容室41Bの奥へ挿入できなくなり、メス端子3の挿入が完了する。ガイド部46に第二当接面463が形成されることにより、メス端子3が挿通空間41の第二端子収容室41Bにおいて適切な位置に配置される。
【0042】
そして、
図10に示すように、オス端子2が本体部4に挿入される。オス端子2は、第一開口部47から挿通空間41の第一端子収容室41Aへ挿入され、第一端子収容室41Aの奥の方へ入れられる。このとき、第一端子収容室41A内には、第一テーパ部43が形成されているため、オス端子2は、第一端子収容室41A内で引っ掛かることが抑制され円滑に第一端子収容室41A内へ挿入されていく。スペーサ5が仮係止の位置まで挿入されている場合、オス端子2の突片28が通過する位置に切欠部51Aが位置している。このため、メス端子3と同様に、オス端子2の突片28が第一係止部51に引っ掛かることなく、オス端子2が挿通空間41の第一端子収容室41Aの奥へ円滑に挿入される。
【0043】
そして、オス端子2のタブ部232は、ガイド部46の連通孔461に挿入される。このとき、ガイド部46に第一傾斜面464が形成されることにより、タブ部232が連通孔461内へ案内され、連通孔461内に円滑に挿入される。そして、タブ部232は、連通孔461を貫通して、第二端子収容室41Bへ進入し、メス端子3の挿入孔332内へ挿入される。そして、タブ部232は、メス端子3の端子部333と接触し接続される。
【0044】
そして、スペーサ5の本係止が行われる。
図7において、スペーサ5が装着孔42の奥へ押し込まれる。すると、
図6に示すように、第一掛止部54及び第二掛止部55が第一収容室423及び第二収容室424を抜けて第一掛止空間425及び第二掛止空間426へ入り込む。これにより、第一掛止部54が第一掛止空間425の内面に掛止され、第二掛止部55が第二掛止空間426の内面に掛止される。このため、スペーサ5が本係止の位置から外れることが抑制される。
【0045】
また、スペーサ5が本係止の位置まで押し込まれることにより、
図4に示すように、第一係止部51が挿通空間41へ入り込み、オス端子2を係止する。すなわち、第一係止部51が凹部22A内へ入り込み、オス端子2が挿通空間41から抜け外れることが抑制される。また、第二係止部52が挿通空間41へ入り込み、メス端子3を係止する。すなわち、第二係止部52が凹部32A内へ入り込み、メス端子3が挿通空間41から抜け外れることが抑制される。スペーサ5の本係止の位置は、第一係止部51がオス端子2を係止し第二係止部52がメス端子3を係止する位置である。
【0046】
そして、スペーサ5の本係止を終えると、オス端子2とメス端子3が本体部4内で接続された状態となる。これにより、第一電線W1と第二電線W2が電気的に接続され、カプラ装置1による電線接続が完了する。
【0047】
上述したように、第一端子収容室41Aにオス端子2を挿入し第二端子収容室41Bにメス端子3を挿入してオス端子2とメス端子3を接続する場合について説明したが、カプラ装置1の本体部4は、第一端子収容室41Aと第二端子収容室41Bが同一形状となっている。このため、
図11に示すように、第一端子収容室41Aにメス端子3を挿入し第二端子収容室41Bにオス端子2を挿入した場合であっても、オス端子2とメス端子3を接続することが可能である。すなわち、ガイド部46は、メス端子3を第一端子収容室41A内で適切な位置に配置させ、オス端子2のタブ部232を第一端子収容室41A側へ案内することができ、オス端子2とメス端子3を適切に接続することができる。
【0048】
このようなカプラ装置1は、異なる形状のオス端子2とメス端子3を本体部4の第一開口部47及び第二開口部48のいずれに挿入しても、適切に接続することができる。このため、カプラ装置1は、第一電線W1の第二電線W2の接続において、オス端子2及びメス端子3を本体部4のどの開口部に挿入すべきかを考慮する必要がなく、端子挿入作業が効率良く円滑に行うことができる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態に係るカプラ装置1は、本体部4の第一端子収容室41Aと第二端子収容室41Bがガイド部46を挟んで対称な形状に形成されることにより、オス端子2及びメス端子3を第一開口部47及び第二開口部48のいずれに挿入しても接続が可能である。従って、本実施形態に係るカプラ装置1は、端子接続を円滑に行うことができる。
【0050】
また、本実施形態に係るカプラ装置1は、連通孔461、第一当接面462、第二当接面463、第一傾斜面464及び第二傾斜面465を形成するガイド部46を備えることにより、オス端子2及びメス端子3が第一端子収容室41A又は第二端子収容室41Bのいずれに挿入された場合であっても、オス端子2及びメス端子3を適切に収容して接続することができる。
【0051】
また、本実施形態に係るカプラ装置1は、本体部4が非分割構造の長尺体であり、オス端子2とメス端子3の接続を行う本体部4をシンプルな構造とすることができる。このため、本体部4の製造が容易に行ることができる。
【0052】
なお、本発明に係るカプラ装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態に係るカプラ装置は、以上で説明した各実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【0053】
例えば、上述した実施形態に係るカプラ装置1では、スペーサ5を用いて本体部4に対しオス端子2及びメス端子3を係止する場合について説明したが、本体部4、又は、オス端子2及びメス端子3にランスなどの係止機構を形成し、本体部4に対しオス端子2及びメス端子3を係止してもよい。このようなカプラ装置であっても、上述した実施形態に係るカプラ装置1と同様に、端子接続を円滑に行うことができる。
【0054】
例えば、上述した実施形態に係るカプラ装置1は、車両に搭載される場合について説明したが、車両に搭載せずに用いられてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1:カプラ装置
2:オス端子
3:メス端子
4:本体部
5:スペーサ
23:電気接続部(第一電気接続部)
33:電気接続部(第二電気接続部)
41:挿通空間
41A:第一端子収容室
41B:第二端子収容室
46:ガイド部
47:第一開口部
48:第二開口部
231:第一箱部
232:タブ部
331:第二箱部
332:挿入孔
461:連通孔
462:第一当接面
463:第二当接面
464:第一傾斜面
465:第二傾斜面
X:接続方向(延在方向)
W1:第一電線
W2:第二電線