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特開2024-129860配索材固定構造、電気接続箱、及び、ワイヤハーネス
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  • 特開-配索材固定構造、電気接続箱、及び、ワイヤハーネス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129860
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】配索材固定構造、電気接続箱、及び、ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20240920BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20240920BHJP
   H05K 7/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H02G3/16
H02G3/30
H05K7/00 P
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039222
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗園 歩
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 司
(72)【発明者】
【氏名】増田 雄太
【テーマコード(参考)】
4E352
5G361
5G363
【Fターム(参考)】
4E352AA09
4E352CC40
4E352DR02
4E352DR25
4E352DR40
4E352DR42
4E352GG30
5G361BA06
5G361BC01
5G361BC02
5G363AA16
5G363BA02
5G363DA16
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】適正に配索材の噛み込みを抑制することができる配索材固定構造、電気接続箱、及び、ワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【解決手段】電気接続箱1、及び、ワイヤハーネスWHに適用される配索材固定構造100は、互いに組み合わさることで配索材Wを挿通する配索材挿通部40を構成する第1分割体11、及び、第2分割体31と、それぞれ帯状に形成される第1結束部材B1、及び、第2結束部材B2と、第1分割体11と配索材Wとに渡って第1結束部材B1が巻き付けられることで第1分割体11と配索材Wとを結束固定する第1バンド固定部110と、第1分割体11と第2分割体31とに渡って第2結束部材B2が巻き付けられることで第1分割体11と第2分割体31とを結束固定する第2バンド固定部120とを含んで構成されることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに組み合わさることで配索材を挿通する配索材挿通部を構成する第1分割体、及び、第2分割体と、
それぞれ帯状に形成される第1結束部材、及び、第2結束部材と、
前記第1分割体と前記配索材とに渡って前記第1結束部材が巻き付けられることで前記第1分割体と前記配索材とを結束固定する第1バンド固定部と、
前記第1分割体と前記第2分割体とに渡って前記第2結束部材が巻き付けられることで前記第1分割体と前記第2分割体とを結束固定する第2バンド固定部とを備えることを特徴とする、
配索材固定構造。
【請求項2】
前記第1分割体、及び、前記第2分割体は、それぞれ、互いに対向して前記配索材挿通部を形成する本体部を有し、
前記第1分割体は、さらに、当該第1分割体の前記本体部から前記配索材の挿通方向に沿って突出した突出部を有し、
前記第1バンド固定部は、前記突出部に設けられ、
前記第2バンド固定部は、前記第1分割体の前記本体部、及び、前記第2分割体の前記本体部に設けられる、
請求項1に記載の配索材固定構造。
【請求項3】
電子部品を収容する筐体と、
前記筐体に設けられ配索材を固定する配索材固定構造とを備え、
前記配索材固定構造は、
前記筐体の一部を構成し、互いに組み合わさることで配索材を挿通する配索材挿通部を構成する第1分割体、及び、第2分割体と、
それぞれ帯状に形成される第1結束部材、及び、第2結束部材と、
前記第1分割体と前記配索材とに渡って前記第1結束部材が巻き付けられることで前記第1分割体と前記配索材とを結束固定する第1バンド固定部と、
前記第1分割体と前記第2分割体とに渡って前記第2結束部材が巻き付けられることで前記第1分割体と前記第2分割体とを結束固定する第2バンド固定部とを備えることを特徴とする、
電気接続箱。
【請求項4】
導電性を有する配索材と、
前記配索材と接続される電気接続箱とを備え、
前記電気接続箱は、
電子部品を収容する筐体と、
前記筐体に設けられ配索材を固定する配索材固定構造とを備え、
前記配索材固定構造は、
前記筐体の一部を構成し、互いに組み合わさることで配索材を挿通する配索材挿通部を構成する第1分割体、及び、第2分割体と、
それぞれ帯状に形成される第1結束部材、及び、第2結束部材と、
前記第1分割体と前記配索材とに渡って前記第1結束部材が巻き付けられることで前記第1分割体と前記配索材とを結束固定する第1バンド固定部と、
前記第1分割体と前記第2分割体とに渡って前記第2結束部材が巻き付けられることで前記第1分割体と前記第2分割体とを結束固定する第2バンド固定部とを備えることを特徴とする、
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配索材固定構造、電気接続箱、及び、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、樋状のワイヤハーネス導出部が設けられたフレームと、当フレームに取り付けられるカバーと、ワイヤハーネスをワイヤハーネス導出部に固定する結束バンドと、を備える電気接続箱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-171318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載の電気接続箱は、例えば、2つの部材を組み合わせることで形成した配索材挿通部で生じる配索材の噛み込み対策の点で更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、適正に配索材の噛み込みを抑制することができる配索材固定構造、電気接続箱、及び、ワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る配索材固定構造は、互いに組み合わさることで配索材を挿通する配索材挿通部を構成する第1分割体、及び、第2分割体と、それぞれ帯状に形成される第1結束部材、及び、第2結束部材と、前記第1分割体と前記配索材とに渡って前記第1結束部材が巻き付けられることで前記第1分割体と前記配索材とを結束固定する第1バンド固定部と、前記第1分割体と前記第2分割体とに渡って前記第2結束部材が巻き付けられることで前記第1分割体と前記第2分割体とを結束固定する第2バンド固定部とを備えることを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る電気接続箱は、電子部品を収容する筐体と、前記筐体に設けられ配索材を固定する配索材固定構造とを備える。また、配索材固定構造は、前記筐体の一部を構成し、互いに組み合わさることで配索材を挿通する配索材挿通部を構成する第1分割体、及び、第2分割体と、それぞれ帯状に形成される第1結束部材、及び、第2結束部材と、前記第1分割体と前記配索材とに渡って前記第1結束部材が巻き付けられることで前記第1分割体と前記配索材とを結束固定する第1バンド固定部と、前記第1分割体と前記第2分割体とに渡って前記第2結束部材が巻き付けられることで前記第1分割体と前記第2分割体とを結束固定する第2バンド固定部とを備えることを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスは、導電性を有する配索材と、前記配索材と接続される電気接続箱とを備え、前記電気接続箱は、電子部品を収容する筐体と、前記筐体に設けられ配索材を固定する配索材固定構造とを備える。また、配索材固定構造は、前記筐体の一部を構成し、互いに組み合わさることで配索材を挿通する配索材挿通部を構成する第1分割体、及び、第2分割体と、それぞれ帯状に形成される第1結束部材、及び、第2結束部材と、前記第1分割体と前記配索材とに渡って前記第1結束部材が巻き付けられることで前記第1分割体と前記配索材とを結束固定する第1バンド固定部と、前記第1分割体と前記第2分割体とに渡って前記第2結束部材が巻き付けられることで前記第1分割体と前記第2分割体とを結束固定する第2バンド固定部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る配索材固定構造、電気接続箱、及び、ワイヤハーネスは、適正に配索材の噛み込みを抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る電気接続箱の概略構成を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る配索材挿通部の延在方向に沿った断面図であり、当該配索材挿通部に設けられる配索材固定構造を説明するための図である。
図3図3は、実施形態に係る第1バンド固定部を説明するための図である。
図4図4は、実施形態に係る第1バンド固定部を説明するための側面図である。
図5図5は、実施形態に係る第1バンド固定部を説明するための側面図である。
図6図6は、実施形態に係る第2バンド固定部を説明するための図である。
図7図7は、実施形態に係る第2バンド固定部を説明するための側面図である。
図8図8は、実施形態に係る第2バンド固定部を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
なお、図1は、説明の便宜上、電気接続箱のフレームに組み付けられる上部カバーや、当該フレームの内部に収容される電子部品等の図示を省略している。また、図3図4図5は、説明の便宜上、フレームに組み付けられる下部カバーや、第2結束部材等の図示を省略している。
【0013】
[実施形態]
本実施形態に係るワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の配索材Wを、コネクタ等で各装置に接続するようにしたものである。
【0014】
ワイヤハーネスWHは、導電性を有する配索材Wと、電子部品Dを収容し当該電子部品Dと接続される電気接続箱1を備える。配索材Wは、例えば、金属棒、電線、電線束等によって構成される。金属棒は、導電性の棒状部材の外側を絶縁性の被覆部によって覆ったものである。電線は、複数の導電性の金属素線からなる導体部(芯線)の外側を絶縁性の被覆部によって覆ったものである。なお、ワイヤハーネスWHは、この他、さらに、プロテクタ、外装材、固定具等を含んで構成されてもよい。
【0015】
電気接続箱1は、コネクタ、ヒューズ、リレー、コンデンサ、分岐部、電子制御ユニットや、これらをユニット化した電子部品ユニット等の電子部品Dを集約して内部に収容するものである。電気接続箱1は、例えば、車両のエンジンルームや車両室内に設置される。電気接続箱1は、配索材W等を介して、バッテリ等の電源と、車両内に搭載される各種電子機器との間に接続されている。電気接続箱1は、電源から供給された電力を車両内の各種電子機器に分配する。電気接続箱1は、ジャンクションボックス、ヒューズボックス、リレーボックスなどとも呼ばれる場合があるが、本実施形態ではこれらを総称して電気接続箱と呼ぶ。なお、本実施形態の電気接続箱1を構成する各部については、後で詳しく説明するが、図1に示すように、電気接続箱1は、筐体1Fを備えている。また、筐体1Fは、壁部1Kに囲われて形成され、電子部品Dを収容する収納空間部1Sと、電子部品Dに接続される配索材Wを収納空間部1Sの内外に渡って挿通する配索材挿通部40を含んで構成される。
【0016】
そして、本実施形態の電気接続箱1は、配索材挿通部40に配索材固定構造100が設けられ、配索材固定構造100が適用される配索材挿通部40は、第1分割体11と第2分割体31とによって構成されている。このような構成にあって、本実施形態の配索材固定構造100は、図2図8に示すように、第1結束部材B1によって配索材Wと第1分割体11と結束固定する第1バンド固定部110と、第2結束部材B2によって第1分割体11と第2分割体31と結束固定する第2バンド固定部120とを含んで構成される。この構成により、本実施形態の配索材固定構造100は、第1バンド固定部110を介して配索材Wが第1分割体11に固定されている状態で、当該第1分割体11と第2分割体31とが組み合わされた後、第2バンド固定部120を介して第1分割体11と第2分割体31とが固定されることで、適正に配索材Wの噛み込みを抑制することができる構成を実現したものである。以下、図1図8を参照して電気接続箱1及び配索材固定構造100の各構成について詳細に説明する。
【0017】
なお、以下の説明では、互いに交差する3つの方向を便宜的に「上下方向X」、「第1幅方向Y」、「第2幅方向Z」という。ここでは、上下方向Xと第1幅方向Yと第2幅方向Zとは、互いに直交する。典型的に、上下方向Xは、一方側を上部や上側と言い、他方側を下部や下側という。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、電気接続箱1が車両に搭載された状態での方向として説明する。
【0018】
[電気接続箱]
電気接続箱1は、図1に示すように、筐体1Fと、当該筐体1Fに設けられる配索材固定構造100とを備える。
【0019】
[筐体]
筐体1Fは、絶縁性を有する樹脂材料によって形成され、筐体本体10と、筐体本体10の上部に取り付けられる上部カバー20と、筐体本体10の下部に取り付けられる下部カバー30とを含んで構成される。筐体1Fは、筐体本体10に、上部カバー20及び下部カバー30が組み合わさることで、全体として中空箱状に形成される。そのため、電気接続箱1は、筐体本体10、上部カバー20、及び、下部カバー30が互いに上下方向Xで分割される3層分割構造となっている。また、電気接続箱1の壁部1Kは、筐体本体10、上部カバー20、及び、下部カバー30を構成する壁部によって構成される。そのため、電気接続箱1は、筐体本体10、上部カバー20、及び、下部カバー30が積層されて相互に組み付けられた内部に、壁部1Kの一部で囲われることで形成された収納空間部1Sを形成する。
【0020】
筐体本体10は、電気接続箱1の本体を構成する部材であり、フレームともいう。筐体本体10は、図1に示すように、上下方向Xの上側および下側が開口し、第1幅方向Y及び第2幅方向Zを含む全周が側壁部10Kbで囲まれることで、多角形筒状(略矩形筒状)に形成され、その内側に位置する空間部によって収納空間部1Sの一部を構成する。
【0021】
また、筐体本体10は、その内部に、第1幅方向Yや第2幅方向Zにおいて複数に区画され、上下方向Xにおいて貫通する枠部10aが設けられる。枠部10aは、筐体本体10と一体または別体で成形され、筐体本体10と同様に絶縁性を有する樹脂材料によって形成される。また、枠部10aは、複数に区画された個々に、ブロック(図示省略)が着脱自在に組み付けられる。ブロックは、配索材Wの端末に設けられた端子等が取り付けられ、枠部10aに組み付けられた状態で、上下方向Xの上側から電子部品Dが組み付けられる。そのため、配索材Wは、ブロックに搭載されるバスバ等の回路体を介して、電子部品Dと電気的に接続される。
【0022】
上部カバー20は、筐体本体10の上側の開口を閉塞する蓋状の部材であり、アッパカバーともいう。上部カバー20は、図1に示すように、筐体本体10の側壁部10Kbに対して嵌合し、種々の係止機構(不図示)を介して組み付けられる。そのため、上部カバー20は、筐体本体10に組み付けられた状態で、筐体本体10の上側の開口を塞ぐことができ、その内側に位置する空間部によって収納空間部1Sの一部を構成する。
【0023】
下部カバー30は、筐体本体10の下側の開口を閉塞する蓋状の部材であり、ロアカバーともいう。下部カバー30は、図1に示すように、第1幅方向Yや第2幅方向Zに沿って設けられる底壁部30Kaと、底壁部30Kaの周縁から上側に延びる側壁部30Kbとを有する。側壁部30Kbは、筐体本体10の側壁部10Kbに対して嵌合し、複数の係止機構Lを介して組み付けられる。そのため、下部カバー30は、筐体本体10に組み付けられた状態で、筐体本体10の下側の開口を塞ぐことができ、その内側に位置する空間部によって収納空間部1Sの一部を構成する。
【0024】
また、筐体本体10及び下部カバー30は、図1に示すように、相互に組み付けられた状態で、筐体1Fの側面(例えば、筐体本体10の側壁部10Kb)から外側に向けて延びる配索材挿通部40を構成する。
【0025】
配索材挿通部40は、上述した筐体1Fの一部であり、電子部品Dに接続される配索材Wを収納空間部1Sから外部空間に向かって導出する部分である。本実施形態の電気接続箱1は、図1に示すように、配索材挿通部40が2箇所に形成され、各配索材挿通部40が筐体1Fの底側(下部カバー30側)にそれぞれ形成されている。なお、以下の説明において、2つの配索材挿通部40を区別する場合には、「配索材挿通部40A」、「配索材挿通部40B」と称し、両者を特に区別する必要がない場合には単に「配索材挿通部40」と称する場合がある。また、以下の説明では、配索材挿通部40の代表例として配索材挿通部40Aを説明する。
【0026】
配索材挿通部40は、図1図2に示すように、筐体本体10の側壁部10Kbに設けられた第1分割体11と、下部カバー30の底壁部30Ka及び側壁部30Kbに設けられた第2分割体31とを含んで構成される。配索材挿通部40は、第1分割体11と第2分割体31とが組み合わさることで形成される。そのため、配索材挿通部40は、第1分割体11と第2分割体31とが互いに上下方向Xで分割される分割構造となっている。
【0027】
また、配索材挿通部40は、図2図8に示すように、本体部41A、41Bと、本体部41Aから配索材Wの挿通方向に沿って突出して形成される突出部42とを含んで構成される。
【0028】
本体部41A、41Bは、図2に示すように、互いに対向して位置することで、筒状に形成される部分である。本実施形態の本体部41Aは、第1分割体11に形成され、本体部41Bは、第2分割体31に形成される。本体部41A、41Bは、それぞれ半円筒状に形成されている。そのため、本体部41A、41Bは、組み合わさることで、両端部が開口する円筒状に形成され、その内側に位置する空間部によって配索材収納空間部40Sを構成する。
【0029】
突出部42は、図3に示すように、本体部41Aの開口部41Atと本体部41Bの開口部41Btとが対向して位置することで、円形状に形成される配索材挿通部40の出口(開口部41t)に設けられる突出片である。本実施形態の突出部42は、本体部41Aを形成する第1分割体11に設けられる。本実施形態の開口部41At、41Btは、図3等に示すように、それぞれ半円形状に形成されている。そのため、突出部42は、開口部41At、41Btの開口方向に沿って視た形状が部分円形状(例えば、四分円形状)に形成されている。また、本体部41Aは、図3図5に示すように、突出部42が開口部41Atの一部のみに設けられていることで、開口部41Atの残りの部分と突出部42の縁部によって切り欠き部43が形成される。そのため、本実施形態の切り欠き部43は、第1分割体11に形成され、突出部42と隣り合って位置する部分に設けられる。
【0030】
[配索材固定構造]
配索材固定構造100は、図1図2に示すように、上記のように配索材挿通部40を構成する第1分割体11、及び、第2分割体31と、当該配索材挿通部40の各部に巻き付けられる第1結束部材B1、及び、第2結束部材B2とを含んで構成される。また、配索材固定構造100は、第1結束部材B1が巻き付けられた部材同士を結束固定する第1バンド固定部110と、第2結束部材B2が巻き付けられた部材同士を結束固定する第2バンド固定部120とを含んで構成される。
【0031】
第1結束部材B1、及び、第2結束部材B2は、樹脂材料等によって形成され、部材同士を束ねて固定することができる部材である。第1結束部材B1は、帯状に形成されるバンド部分B11と、当該バンド部分B11の端部に形成されたロック部分B12とを含んで構成される。また、第2結束部材B2は、第1結束部材B1と同様に、帯状に形成されるバンド部分B21と、当該バンド部分B21の端部に形成されたロック部分B22とを含んで構成される。
【0032】
第1バンド固定部110は、図2等に示すように、配索材挿通部40の突出部42に設けられている。そのため、第1結束部材B1のバンド部分B11は、突出部42を構成する第1分割体11と、当該第1分割体11の内面側に位置する配索材Wとに巻き回された状態で、ロック部分B12に係止されることで、所望の長さに調整される。したがって、第1バンド固定部110は、第1分割体11に対する配索材Wの位置を固定することができる。
【0033】
第2バンド固定部120は、図2等に示すように、配索材挿通部40の本体部41A、41Bに渡って設けられている。そのため、第2結束部材B2のバンド部分B21は、本体部41Aを構成する第1分割体11と、本体部41Bを構成する第2分割体31とに巻き回された状態で、ロック部分B22に係止されることで、所望の長さに調整される。したがって、第2バンド固定部120は、配索材挿通部40の配索材収納空間部40Sに配索材Wを挿通させている状態で、第1分割体11と第2分割体31とを束ねて固定することで、第1分割体11に対する第2分割体31の位置を固定することができる。
【0034】
そして、本実施形態の第1バンド固定部110は、図3図5に示すように、配索材挿通部40の突出部42に設けられる2つの位置決め部P1、P2をさらに含んで構成される。
【0035】
位置決め部P1、P2は、突出部42を構成する第1分割体11の外面11mbに設けられる通し穴であり、当該通し穴に第1結束部材B1を挿通させることで、第1分割体11の外面11mb側で第1結束部材B1を支持させることができるものである。本実施形態の位置決め部P1、P2は、図3に示すように、配索材Wの挿通方向に沿って第1分割体11に形成されたリブR1、R2と、当該リブR1、R2にそれぞれ設けられた貫通孔H1、H2とよって構成される。なお、ここでいうリブR1は、図3図4に示すように、本体部41Aから突出部42にかけて設けられる板状の突出片であり、リブR2は、図3図5に示すように、突出部42のみに設けられる板状の突出片である。本実施形態のリブR1、R2は、突出部42の周方向に沿って所定の間隔をあけて配置されている(図3を参照)。そのため、第1バンド固定部110は、第1結束部材B1のバンド部分B11を貫通孔H1、H2に挿通させた状態で第1分割体11と配索材Wとを束ねて固定することで、第1結束部材B1のバンド部分B11の位置がずれることを抑制することができる。また、さらに言えば、貫通孔H1、H2は、図3図4に示すように、第1結束部材B1のバンド部分B11のみが挿通可能な大きさに形成されている。そのため、第1バンド固定部110は、第1結束部材B1のバンド部分B11をリブR1の貫通孔H1からリブR2の貫通孔H2に向かって挿通させる際に、ロック部分B12をリブR1に引っ掛けた状態で巻き回すことができる。したがって、第1バンド固定部110は、位置決め部P1、P2によって第1結束部材B1を結束する動作を簡易化することができ、作業性を向上させることができる。
【0036】
また、本実施形態の第2バンド固定部120は、図6図8に示すように、配索材挿通部40の本体部41A、41Bに設けられる3つの位置決め部P3、P4、P5を含んで構成される。
【0037】
位置決め部P3、P4は、本体部41Aを構成する第1分割体11の外面11maに設けられる通し穴であり、当該通し穴に第2結束部材B2を挿通させることで、第1分割体11の外面11ma側で第2結束部材B2を支持させることができるものである。本実施形態の位置決め部P3、P4は、図6に示すように、配索材Wの挿通方向に沿って形成されたリブR1、R3と、当該リブR1、R3にそれぞれ設けられた貫通孔H3、H4とによって構成される。なお、ここでいうリブR3は、図6図8に示すように、本体部41のみに設けられる板状の突出片である。本実施形態のリブR1、R3は、本体部41の周方向に沿って所定の間隔をあけて配置されている(図6を参照)。そのため、第2バンド固定部120は、第2結束部材B2のバンド部分B21を貫通孔H3、H4に挿通させた状態で第1分割体11と第2分割体31とを束ねて固定することで、第2結束部材B2のバンド部分B21の位置が、第1分割体11上でずれることを抑制することができる。また、さらに言えば、貫通孔H3、H4は、図6図8に示すように、第2結束部材B2のバンド部分B21のみが挿通可能な大きさに形成されている。そのため、第2バンド固定部120は、第2結束部材B2のバンド部分B21をリブR1の貫通孔H3からリブR3の貫通孔H4に向かって挿通させる際に、ロック部分B22をリブR1に引っ掛けた状態で巻き回すことができる。したがって、第2バンド固定部120は、位置決め部P3、P4によって第2結束部材B2を結束する動作を簡易化することができ、作業性を向上させることができる。
【0038】
また、位置決め部P5は、本体部41Bを構成する第2分割体31の外面31maに設けられる突起であり、当該突起をガイド部分として第2結束部材B2のバンド部分B21を巻き回すことで、第2分割体31の外面31ma側でも第2結束部材B2を支持させることができるものである。本実施形態の位置決め部P5は、図7図8に示すように、第2結束部材B2の延在方向に沿って形成されたリブR4によって構成される。本実施形態のR4は、断面形状が三角形状であり、半円筒状に形成される第2分割体31の底部に配置されている。そのため、第2バンド固定部120は、第2結束部材B2のバンド部分B21をリブR4に沿わせた状態で第1分割体11と第2分割体31とを束ねて固定することで、当該バンド部分B21の位置を矯正することができる。したがって、第2バンド固定部120は、第2結束部材B2のバンド部分B21の位置が、第2分割体31上でずれることを抑制することができる。
【0039】
以上で説明した配索材固定構造100、電気接続箱1、及び、ワイヤハーネスWHは、互いに組み合わさることで配索材Wを挿通する配索材挿通部40を構成する第1分割体11、及び、第2分割体31と、それぞれ帯状に形成される第1結束部材B1、及び、第2結束部材B2と、第1分割体11と配索材Wとに渡って第1結束部材B1が巻き付けられることで第1分割体11と配索材Wとを結束固定する第1バンド固定部110と、第1分割体11と第2分割体31とに渡って第2結束部材B2が巻き付けられることで第1分割体11と第2分割体31とを結束固定する第2バンド固定部120とを含んで構成される。
【0040】
このような構成によれば、第1バンド固定部110は、第1分割体11に配索材Wを結束固定することで、配索材挿通部40に対する配索材Wの挿通経路を規定することができる。そのため、第1バンド固定部110は、第1分割体11と第2分割体31とを組み合わせる際に、第1分割体11と第2分割体31との間で配索材Wが噛み込まれることを抑制することができる。また、第1バンド固定部110は、配索材Wを第1分割体11側に固定することで、第2分割体31で配索材Wを第1分割体11側に押し付けることなく、第1分割体11と第2分割体31とを組み合わせることができる。そのため、第1バンド固定部110は、組付時の作業動作を簡易化することができ、作業性を向上させることができる。また、第2バンド固定部120は、配索材Wが固定された第1分割体11に第2分割体12を結束固定することで、第1分割体11に対して第2分割体31を適正な位置で組み付け、その内部に配索材Wを配索させることができる。また、第2バンド固定部120は、振動等が発生することにより第1分割体11や第2分割体31に対して外力が付与された場合でも、第1分割体11と第2分割体31との合わせ面がずれたり、第1分割体11と第2分割体31との間に隙間が発生したりすることを抑制することができる。そのため、第2バンド固定部120は、第1分割体11と第2分割体31との間で配索材Wが噛み込まれることを抑制することができる。したがって、配索材固定構造100は、第1バンド固定部110と第2バンド固定部120を併用することで、適正に配索材Wの噛み込みを抑制することができる。そして、当該配索材固定構造100が適用される電気接続箱1、及び、ワイヤハーネスWHは、2つの部材を組み合わせることで形成した配索材挿通部40において、適正に配索材Wの噛み込みを抑制することができる。
【0041】
さらに、以上で説明した第1分割体11、及び、第2分割体31は、それぞれ、互いに対向して配索材挿通部40を形成する本体部41A、41Bを有し、第1分割体11は、さらに、当該第1分割体11の本体部41Aから配索材Wの挿通方向に沿って突出した突出部42を有し、第1バンド固定部110は、突出部42に設けられ、第2バンド固定部120は、第1分割体11の本体部41A、及び、第2分割体31の本体部41Bに設けられる。このような構成によれば、配索材固定構造100は、第1バンド固定部110の手前側に第2バンド固定部120が設けられることで、第1バンド固定部110によって配索材Wの配索位置が規定されている範囲を、第1分割体11と第2分割体31とを組み合わせることで配索材収納空間部40Sが形成される範囲より広くすることができる。そのため、配索材固定構造100は、配索材挿通部40の出口を構成する開口部41t側で配索材Wが遊ぶ(配索材Wの位置が定まらず、不安定になる)ことを防止し、第1分割体11と第2分割体31との間で配索材Wが噛み込まれることを抑制することができる。また、配索材固定構造100は、第1バンド固定部110が突出部42に設けられることで、当該第1バンド固定部110で結束した際に形成される輪の大きさの調整幅を広げ、細い配索材Wも適切に第1分割体11に結束固定することができる。そのため、配索材固定構造100は、仕様が異なる径違いの配索材Wを適切に第1分割体11に結束固定することができ、適正に配索材Wの噛み込みを抑制することができる。
【0042】
なお、上述した本発明の実施形態に係る配索材固定構造100、電気接続箱1、及び、ワイヤハーネスWHは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0043】
例えば、第1分割体11、及び、第2分割体31の形状は特に限定されない。
【0044】
また、第1バンド固定部110、及び、第2バンド固定部120の位置は、特に限定されない。
【0045】
また、第1バンド固定部110を介して第1分割体11に結束固定される配索材Wの本数は特に限定されない。
【0046】
また、本実施形態に係る配索材固定構造、電気接続箱、及び、ワイヤハーネスは、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 電気接続箱
1F 筐体
11 第1分割体
31 第2分割体
40 配索材挿通部
41A、41B 本体部
42 突出部
100 配索材固定構造
110 第1バンド固定部
120 第2バンド固定部
B1 第1結束部材
B2 第2結束部材
D 電子部品
W 配索材
X 第1幅方向
Y 第2幅方向
Z 高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8