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特開2024-129863衣服及びこれを備えた送風装置付き衣服
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129863
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】衣服及びこれを備えた送風装置付き衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/002 20060101AFI20240920BHJP
   A41D 27/06 20060101ALI20240920BHJP
   A41D 27/00 20060101ALI20240920BHJP
   A41D 1/00 20180101ALI20240920BHJP
   A41D 27/28 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A41D13/002 105
A41D27/06
A41D27/00 A
A41D1/00 E
A41D27/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039225
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000128038
【氏名又は名称】株式会社エヌ・エス・ピー
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 欣也
【テーマコード(参考)】
3B030
3B035
3B211
【Fターム(参考)】
3B030AA03
3B030AB08
3B035AA03
3B035AB03
3B035AB07
3B035AB09
3B035AB11
3B035AC09
3B035AC21
3B035AC24
3B035AD08
3B211AA01
3B211AB01
3B211AC02
3B211AC03
(57)【要約】
【課題】衣服本体に設けられる貫通孔の形状の自由度を向上させながらも、貫通孔に対する送風装置の位置ずれを抑制し得る衣服及びこれを備えた送風装置付き衣服を提供する。
【解決手段】外気を取り込む送風装置3が取り付けられる衣服2であって、一側部側に前記送風装置を挿入する挿入開口24が形成されるように、貫通孔13が設けられた衣服本体10の内面に沿うように固定され、かつ前記送風装置の筒状部4が嵌め込まれる嵌込孔23が厚さ方向に貫通するように形成された保持シート20を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気を取り込む送風装置が取り付けられる衣服であって、
一側部側に前記送風装置を挿入する挿入開口が形成されるように、貫通孔が設けられた衣服本体の内面に沿うように固定され、かつ前記送風装置の筒状部が嵌め込まれる嵌込孔が厚さ方向に貫通するように形成された保持シートを備えていることを特徴とする衣服。
【請求項2】
請求項1において、
前記挿入開口を介して挿入された前記送風装置が前記貫通孔から抜け出ることを抑止する抜止部が設けられていることを特徴とする衣服。
【請求項3】
請求項2において、
前記抜止部は、前記送風装置の外径よりも小径状とされた前記貫通孔の孔周縁部であることを特徴とする衣服。
【請求項4】
請求項1において、
前記挿入開口を開放可能に閉鎖する閉鎖部が設けられていることを特徴とする衣服。
【請求項5】
請求項1において、
前記挿入開口を介して挿入され、前記貫通孔を塞ぐ閉塞シートを備えていることを特徴とする衣服。
【請求項6】
請求項1において、
前記保持シートは、硬質合成樹脂シートを含んでいることを特徴とする衣服。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の衣服と、前記保持シートに保持される送風装置と、を備えていることを特徴とする送風装置付き衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衣服及びこれを備えた送風装置付き衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、外気を取り込む送風装置が取り付けられる衣服が知られている。
例えば、下記特許文献1には、衣服生地に設けられたファン取付口にファンユニットが取り付けられた空調衣服が開示されている。この空調衣服のファンユニットは、外径がファン取付口の内径と略同じとされた筒状部の基端部に、ファン取付口の内径よりも外径が大とされたフランジ部が設けられたファンユニット本体部と、ファン取付口に挿入された筒状部に外嵌される円環状のファンユニット着脱部と、を備えた構成とされている。
下記特許文献2には、ファン装置を収納するファンポケットを備えた衣服が開示されている。この衣服は、ファンポケットを形成するポケット地の前地に、ファン装置の空気吸込口に対向する身頃側開口を設け、ポケット地の後地に、ファン装置の空気吹出口に対向するポケット側開口を設けた構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-122241号公報
【特許文献2】特開2017-150120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された空調衣服では、衣服生地のファン取付口を、ファンユニット本体部の筒状部の外径に応じた内径にする必要がある。一方、上記特許文献2に記載された衣服では、ファンポケット内においてファン装置が移動して位置ずれすることが考えられる。
【0005】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、衣服本体に設けられる貫通孔の形状の自由度を向上させながらも、貫通孔に対する送風装置の位置ずれを抑制し得る衣服及びこれを備えた送風装置付き衣服を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本開示に係る衣服の構成1は、外気を取り込む送風装置が取り付けられる衣服であって、一側部側に前記送風装置を挿入する挿入開口が形成されるように、貫通孔が設けられた衣服本体の内面に沿うように固定され、かつ前記送風装置の筒状部が嵌め込まれる嵌込孔が厚さ方向に貫通するように形成された保持シートを備えていることを特徴とする。
【0007】
以下の実施の形態の記載により、本開示に係る衣服は、以下の従属的構成を備えていてもよいことが開示される。
<構成2>
構成1において、前記挿入開口を介して挿入された前記送風装置が前記貫通孔から抜け出ることを抑止する抜止部が設けられていてもよい。
<構成3>
構成2において、前記抜止部は、前記送風装置の外径よりも小径状とされた前記貫通孔の孔周縁部でもよい。
<構成4>
構成1~構成3のいずれか1つにおいて、前記挿入開口を開放可能に閉鎖する閉鎖部を備えていてもよい。
<構成5>
構成1~構成4のいずれか1つにおいて、前記挿入開口を介して挿入され、前記貫通孔を塞ぐ閉塞シートを備えていてもよい。
<構成6>
構成1~構成5のいずれか1つにおいて、前記保持シートは、硬質合成樹脂シートを含んでいてもよい。
【0008】
前記目的を達成するために、本開示に係る送風装置付き衣服は、本開示に係る衣服と、前記保持シートに保持される送風装置と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る衣服及びこれを備えた送風装置付き衣服は、上述のような構成としたことで、衣服本体に設けられる貫通孔の形状の自由度を向上させながらも、貫通孔に対する送風装置の位置ずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)、(b)は、本開示の一実施形態に係る衣服の一例及びこれを備えた送風装置付き衣服の一例を模式的に示し、(a)は、概略背面図、(b)は、概略正面図である。
図2】(a)は、同衣服の概略正面図、(b)は、図1(b)におけるX1-X1線矢視に対応させた一部破断概略縦断面図、(c)、(d)は、(a)におけるX2-X2線矢視に対応させた一部破断概略縦断面図である。
図3】(a)~(d)は、同衣服の一変形例を模式的に示し、(a)、(c)は、一部破断概略背面図、(b)は、(a)におけるY1-Y1線矢視に対応させた一部破断概略縦断面図、(d)は、(c)におけるY2-Y2線矢視に対応させた一部破断概略縦断面図である。
図4】(a)、(b)は、同衣服の他の変形例をそれぞれ模式的に示す一部破断概略背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
以下の実施形態では、実施形態に係る衣服(送風装置付き衣服)を着用した着用者を基準として上下方向等の方向を説明する。
【0012】
図1図4は、本実施形態に係る衣服の一例及び変形例並びにこれを備えた送風装置付き衣服の一例を模式的に示す図である。
本実施形態に係る衣服2は、図1(a)、(b)に示すように、外気を取り込む送風装置3が取り付けられる衣服である。本実施形態に係る送風装置付き衣服1は、衣服2と、送風装置3と、を備えている。このような送風装置付き衣服1(または送風装置3が取り付けられた衣服2)においては、送風装置3を駆動することで送風装置付き衣服1内に外気を取り込むことができ、着用者の身体を冷却することができる。
【0013】
衣服2は、図2(a)~(d)に示すように、一側部側に送風装置3を挿入する挿入開口24が形成されるように、貫通孔13が設けられた衣服本体10の内面に沿うように固定され、かつ送風装置3の筒状部4が嵌め込まれる嵌込孔23が厚さ方向に貫通するように形成された保持シート20を備えている。このような構成とすれば、一側部側の挿入開口24を介して送風装置3を挿入することができるので、衣服本体10に設けられる貫通孔13の形状の自由度を向上させることができる。つまり、貫通孔13を、送風装置3の筒状部4の外径に応じた内径にする必要がない。また、挿入開口24を介して挿入した送風装置3の筒状部4を保持シート20の嵌込孔23に嵌め込むことができ、単にポケットに送風装置を収容させた構成と比べて、貫通孔13に対する送風装置3の位置ずれを抑制することができる。
【0014】
衣服2には、挿入開口24を介して挿入された送風装置3が貫通孔13から抜け出ることを抑止する抜止部(13a)が設けられている。このような構成とすれば、貫通孔13から送風装置3が抜け出ることを抑止することができる。
衣服2には、挿入開口24を開放可能に閉鎖する閉鎖部15,25が設けられている。このような構成とすれば、挿入開口24を閉鎖することで保持シート20の挿入開口24を区画する周縁部を衣服本体10の内面に固定することができ、貫通孔13に対する送風装置3の保持シート20の厚さ方向への位置ずれを抑制することができる。
【0015】
具体的には、本実施形態では、衣服2として、長袖の上衣(上半身用衣服)を例示している。
衣服2の衣服本体10は、柔軟で通気性の低い(または通気性の無い)綿やポリエステル等の適宜の素材から形成されていてもよい。
衣服本体10は、図1(a)、(b)に示すように、前身頃11と、後身頃12と、左右の袖部16,16と、襟部17と、を備えている。前身頃11と後身頃12とは縫合等によって接合され、左右の袖部16,16及び襟部17は、前身頃11及び後身頃12に縫合等によって接合されていてもよい。
図例では、衣服本体10は、前開き型、つまり、左右に分離された前身頃11,11を備えている。左右の前身頃11,11の合わせ部には、衣服本体10の前部を開閉する開閉部19,19が設けられている。このような開閉部19,19としては、線ファスナー(スライドファスナー)や面ファスナー、ボタン等でもよく、これらを組み合わせた構成とされていてもよい。
【0016】
衣服本体10(前身頃11及び後身頃12)の下端部には、着用者(身体または着用している下着等の衣類)に密着するように構成された裾部18が設けられている。この裾部18は、下方側への空気の漏れを抑制する絞り部を構成する。このような裾部18としては、ゴム等の伸縮性素材を内包した構成とされていてもよい。この裾部18は、前身頃11及び後身頃12に縫合等によって接合されていてもよい。
衣服本体10の貫通孔13は、本実施形態では、後身頃12に設けられている。より具体的には、後身頃12に2つの貫通孔13,13が設けられている。これら貫通孔13,13は、後身頃12を貫通するように設けられている。図例では、これら貫通孔13,13は、後身頃12を厚さ方向に見て(貫通方向に見て)略真円形状とされている。これら貫通孔13,13は、互いに同径状とされている。
【0017】
これら貫通孔13,13は、上下方向で同高さとなるように、かつ互いに左右方向に離間した位置となるように設けられている。より具体的には、これら貫通孔13,13は、後身頃12の左右方向における中心を通る中心線を対称軸として左右対称となる位置に設けられている。
これら貫通孔13,13を設ける高さ位置(上下方向の位置)、つまり、後記する送風装置3,3を取り付ける高さ位置は、当該衣服2(送風装置付き衣服1)を着用する着用者の好みや作業内容、作業姿勢等に応じて適宜の高さ位置としてもよい。図例では、これら貫通孔13,13は、上下方向で後身頃12の下側部位となる腰部に近い高さ位置に設けられた例を示している。このような位置に代えて、これら貫通孔13,13は、後身頃12の上下方向中央部位や上側部位に位置するように設けられていてもよい。
【0018】
衣服本体10(後身頃12)の貫通孔13,13の周囲には、図2(b)に示すように、貫通孔13,13の孔周縁部13a,13aを補強する補強シート14,14が設けられていてもよい。これら補強シート14,14は、貫通孔13,13を囲む円環板状とされていてもよく、貫通孔13,13に応じた孔が形成された方形板状とされていてもよい。これら補強シート14,14は、衣服本体10(後身頃12)を構成する生地よりも高剛性で変形し難い硬質合成樹脂シート等でもよい。図例では、これら補強シート14,14は、後身頃12の内面(着用者側に向く面)に沿うように固定された例を示しているが、後身頃12を構成する表地と裏地との間等に内包されていてもよい。
【0019】
保持シート20は、その嵌込孔23を貫通孔13に連通させるように設けられている。本実施形態では、後身頃12に設けられた貫通孔13の個数及び位置に対応させて、後身頃12に2つの保持シート20,20を設けた例を示している。これら左右の保持シート20,20及びこれらのそれぞれに保持される送風装置3,3は、互いに同様の構成であるので、以下では、一方の保持シート20及びこれに保持される送風装置3を例にとって説明する。
【0020】
送風装置3は、ファンケースを構成する筒状部4内に羽根やモータ等の駆動部を収容した構成とされている。この送風装置3は、軸流ファンでもよい。筒状部4は、薄型の略円筒形状とされている。この筒状部4の軸方向一方側となる外側(着用者とは異なる側となる衣服2の表面側)には、外気を吸い込む吸込口が設けられ、筒状部4の軸方向他方側となる内側(衣服2の内面側)には、衣服2内に外気を吹き出す吹出口が設けられている。この筒状部4の吸込口及び吹出口には、適宜の線状や格子状のガード部が設けられている。
【0021】
抜止部は、本実施形態では、この送風装置3の外径よりも小径状とされた貫通孔13の孔周縁部13aとされている。このような構成とすれば、貫通孔13の孔周縁部13aによって送風装置3が抜け出ることを抑止することができ、送風装置3の意図しない脱落を効果的に抑制することができる。また、送風装置3(具体的には後記する鍔状部5)が衣服2の表面側において突出することがないので、種々の作業時に周辺部材に送風装置3が引っ掛かるようなことを抑制することができる。つまりは、送風装置3の表面側の外周縁部を、孔周縁部13aによって覆うことができる。
図例では、筒状部4の表面側となる吸込口側周縁部に、径方向外側に向けて全周に亘って突出する鍔状部5が設けられ、この鍔状部5の外径を貫通孔13の内径よりも大としている。また、図例では、筒状部4の外径を貫通孔13の内径と略同径状とした例を示している。つまり、抜止部を構成する孔周縁部13aは、送風装置3の鍔状部5を全周に亘って覆うように鍔状部5に応じた略円環状とされている。
【0022】
送風装置3の筒状部4には、図2(b)に示すように、リング状部材6が外嵌状に取り付けられる。図1(b)では、リング状部材6の図示を省略している。
このリング状部材6は、内径が筒状部4の外径に応じた径とされたリング状(図例では、薄型円筒状)とされている。このリング状部材6と鍔状部5とによって後記する保持シート20の嵌込孔23の周縁部を挟むように保持する構成とされている。筒状部4及びリング状部材6には、互いに着脱可能に係止する適宜の係止部が設けられている。このような係止部としては、係止凹部とこれに係脱自在に係止する係止爪とから構成されていてもよく、雌ねじ部とこれにねじ合わされる雄ねじ部とから構成されていてもよく、その他、種々の構成とされていてもよい。
【0023】
送風装置3には、当該送風装置3に駆動電源を供給する電源コードの一端が接続される適宜の接続部が設けられている。電源コードの他端は、電源部を構成する電源装置に接続されている。このような電源装置としては、乾電池等を交換可能に収容する構成とされていてもよく、好ましくは、充電可能な二次電池(蓄電池)を内蔵した構成とされていてもよい。この場合は、電源装置に、二次電池を充電する際に商用電源(外部電源)等に接続される適宜の接続部が設けられていてもよい。この電源装置には、送風装置3をON(起動)/OFF(停止)する際に操作される操作部や、送風装置3の風量を調整(変更)する際に操作される風量調整操作部が設けられていてもよい。また、電源装置には、送風装置3の風量の強弱段階や稼働状況、二次電池の残量の目安等を表示する表示部が設けられていてもよい。
衣服本体10の適所に、この電源装置を収容する収容部や電源コードの途中部位を保持する保持部等が設けられていてもよい。
【0024】
保持シート20は、厚さ方向が後身頃12の厚さ方向と同方向となるように後身頃12の内面に固定され、板状とされている。
この保持シート20は、本実施形態では、硬質合成樹脂シートを含んでいる。このような構成とすれば、保持シート20の保形性を向上させることができ、貫通孔13に対する送風装置3の位置ずれをより効果的に抑制することができる。この保持シート20は、図2(c)に示すように、挿入開口24を開放させて送風装置3の挿入が可能なように適度な可撓性を有している。この保持シート20は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)等の適宜の合成樹脂系材料から形成された硬質合成樹脂シートを含んでいてもよい。この保持シート20は、硬質合成樹脂シートのみから構成されていてもよく、厚さ方向両側または一方側に適宜の布等が積層されていてもよい。保持シート20としては、硬質合成樹脂シートを含んだ構成に限られず、その他、種々の素材から構成されていてもよい。
【0025】
保持シート20は、嵌込孔23が貫通孔13と同軸(同心)状となるように後身頃12に固定されている。この嵌込孔23の内径は、送風装置3の筒状部4の外径に応じた径とされている。つまり、図例では、嵌込孔23と貫通孔13とは略同径状とされ、厚さ方向に見て互いに略一致する形状とされている(図2(a)参照)。
この嵌込孔23の内径は、嵌込孔23の内周縁部が概ね全周に亘って筒状部4の外周に当接するように筒状部4の外径と略同径とされていてもよく、筒状部4の外径よりも僅かに大径とされていてもよい。送風装置3は、筒状部4が嵌込孔23に言わば締嵌状に圧入されて保持シート20に保持されてもよい。
保持シート20は、本実施形態では、一側部側としての上方側に向けて挿入開口24を開口させるように後身頃12に固定されている。図例では、厚さ方向に見て略方形状とされた保持シート20の下側辺部21及び左右両側辺部22,22が後身頃12に固定されている。これら下側辺部21及び左右両側辺部22,22は、後身頃12に縫合や接着剤、テープ等によって接合されていてもよい。このような態様に代えて、保持シート20は、後身頃12に対して着脱可能(交換可能)とされていてもよい。保持シート20は、厚さ方向に見て略方形状とされた構成に限られず、他の形状とされていてもよい。
【0026】
閉鎖部15,25は、図2(c)に示すように、衣服本体10側に設けられた本体側閉鎖部15と保持シート20側に設けられたシート側閉鎖部25とを含んでいる。
シート側閉鎖部25は、保持シート20の挿入開口24を区画する上側辺部に設けられている。本体側閉鎖部15は、保持シート20の上側辺部に対向する位置となる貫通孔13の上方側に位置するように設けられている。図例では、これら本体側閉鎖部15及びシート側閉鎖部25を面ファスナーとした例を示している。本体側閉鎖部15及びシート側閉鎖部25としては、面ファスナーに限られず、線ファスナーや、スナップボタン(ホック)、ボタン等の種々の留め具でもよい。
【0027】
上記構成とされた保持シート20に送風装置3を保持させる際には、図2(c)に示すように、本体側閉鎖部15からシート側閉鎖部25を脱離(離間)させ、保持シート20及び後身頃12を変形させ、送風装置3の挿入が可能なように挿入開口24を開放させる。そして、挿入開口24を介して送風装置3を保持シート20と後身頃12とによって区画されたポケット状空間に挿入する。そして、図2(b)に示すように、送風装置3の筒状部4を保持シート20の嵌込孔23に嵌め込むようにして挿通し、シート側閉鎖部25と本体側閉鎖部15とを係合させて挿入開口24を閉鎖し、筒状部4にリング状部材6を取り付けるようにしてもよい。これにより、送風装置3は、筒状部4が保持シート20の嵌込孔23に嵌め込まれて保持され、鍔状部5が保持シート20と後身頃12の貫通孔13の孔周縁部13aとに挟み込まれるように保持される。また、保持シート20の嵌込孔23の周縁部が鍔状部5とリング状部材6とに挟み込まれるように保持される。
送風装置3を衣服2から取り外す際には、リング状部材6を筒状部4から取り外し、本体側閉鎖部15からシート側閉鎖部25を脱離(離間)させ、筒状部4を保持シート20の嵌込孔23から脱離させ、挿入開口24を介して抜き取るようにしてもよい。
【0028】
上記のように送風装置3が取り付けられた衣服2(送風装置付き衣服1)を使用する際には、衣服2を着用し、前側の開閉部19,19を閉鎖し、送風装置3を駆動する。これにより、送風装置3の吸込口を介して外気が衣服2内に取り込まれ、着用者と衣服2の内面との間に空気の流通空間が形成され、着用者を冷却することができる。衣服2内に取り込まれた空気は、襟部17と首との間や袖部16,16の袖口等の排出部から排出される。なお、衣服2の内面に、空気の流通空間を確保する適宜のスペーサ等が設けられていてもよい。上記した例では、抜止部を、貫通孔13の孔周縁部13aとした例を示しているが、このような孔周縁部13aに代えて、または加えて、貫通孔13に架け渡されるように設けられた複数の紐状部材や格子状部材を抜止部としてもよい。
【0029】
次に、本実施形態に係る衣服の変形例について図3及び図4を参照して説明する。
以下の変形例では、先に説明した例との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。以下の変形例では、先に説明した例と同様に奏する作用効果についても説明を省略または簡略に説明する。
【0030】
図3(a)、(b)は、第1変形例に係る衣服2Aを模式的に示す図である。
本変形例では、衣服2Aは、送風装置3の吸込口の外側に位置するように、かつ貫通孔13を覆うように配され、通気性を有した多孔状シート7を備えている。このような構成とすれば、送風装置3の吸込口を介して虫等の異物が侵入することを抑制することができる。また、この多孔状シート7を抜止部としても機能させることができる。この場合、貫通孔13の内径を、送風装置3(鍔状部5)の外径と同径状としたり、送風装置3(鍔状部5)の外径よりも大径状としたりしてもよい。
【0031】
多孔状シート7は、貫通孔13の内径よりも大径状に形成されている。この多孔状シート7は、送風装置3(鍔状部5)の外径よりも大径状とされていてもよい。図例では、多孔状シート7は、厚さ方向に見て略方形状とされている。
この多孔状シート7は、挿入開口24を介して着脱可能(交換可能)に挿入される構成でもよく、後身頃12に縫合等によって接合されていてもよい。図例では、後身頃12の内面に沿うように多孔状シート7を設けた例を示しているが、後身頃12の表面に沿うように多孔状シート7を設けた構成としてもよい。または、多孔状シート7の外周縁部を貫通孔13の内周縁部に縫合等によって接合した構成とされていてもよい。
この多孔状シート7は、空気の流通を阻害しないように適宜の網状部材や、不織布やスポンジ等の多孔質部材等から構成されていてもよい。
【0032】
図3(c)、(d)は、第2変形例に係る衣服2Bを模式的に示す図である。
本変形例では、衣服2Bは、挿入開口24を介して挿入され、貫通孔13を塞ぐ閉塞シート8を備えている。このような構成とすれば、冬季等で送風装置3が不要な場合には、送風装置3を衣服2Bから取り外し、挿入開口24を介して閉塞シート8を挿入することで貫通孔13を塞ぐことができ、当該衣服2Bを送風装置3が不要な場合にも快適に着用することができる。
閉塞シート8は、通気性の低い(または通気性の無い)素材から形成されていてもよい。この閉塞シート8は、少なくとも表面側(外側)に、例えば、衣服本体10の生地と同様の生地が設けられていてもよい。閉塞シート8は、このような生地に上記した補強シート14と同様の補強シートを内包したり、積層したりした構成とされていてもよい。
この閉塞シート8は、貫通孔13の内径よりも大径状に形成されている。図例では、閉塞シート8は、厚さ方向に見て略方形状とされている。
【0033】
閉塞シート8を、挿入開口24を介して保持シート20と衣服本体10(後身頃12)との間に着脱可能に設けた構成に代えて、以下のようにしてもよい。例えば、閉塞シート8の一側端部を保持シート20または衣服本体10(後身頃12)に接合し、貫通孔13を塞ぐ状態と貫通孔13を開放させる状態とに変位可能な構成としてもよい。また、衣服本体10(後身頃12)の表面側または内面側及び閉塞シート8に、衣服本体10(後身頃12)に対して閉塞シート8を着脱可能に保持させる適宜の保持部及び被保持部を設けた構成としてもよい。このような保持部及び被保持部としては、面ファスナーや線ファスナー、スナップボタン(ホック)、ボタン等の種々の留め具でもよい。
【0034】
図4(a)は、第3変形例に係る衣服2Cを模式的に示す図である。
本変形例では、衣服2Cは、貫通孔13Aの構成が上記した各例とは異なる。
貫通孔13Aは、衣服本体10(後身頃12)を厚さ方向に見て(貫通方向に見て)、略方形状とされている。この貫通孔13Aは、上記と概ね同様、送風装置3(鍔状部5)の外径よりも小径状とされている。図例では、貫通孔13Aを、左右方向に長尺な略長方形状とした例を示しているが、略正方形状としてもよい。本変形例では、孔周縁部13Aaは、上記した例とは異なり、鍔状部5よりも軸心側の吸込口の一部を覆うように設けられている。また、孔周縁部13Aaは、鍔状部5の一部を露出させるように設けられている。貫通孔13Aは、図例のような略方形状に限られず、他の多角形状や星形等、種々の形状でもよい。
【0035】
図4(b)は、第4変形例に係る衣服2Dを模式的に示す図である。
本変形例では、衣服2Dは、貫通孔13Bの構成が上記した各例とは異なる。
貫通孔13Bは、送風装置3(鍔状部5)の外径よりも大径状とされている。つまり、本変形例では、孔周縁部が抜止部として機能しない構成とされている。この場合は、他の抜止部を設けた構成としてもよく、抜止部を設けていない構成としてもよい。図例では、貫通孔13Bは、送風装置3(鍔状部5)と略同心円状の略円形状とされた例を示しているが、このような形状に限られない。
第3変形例及び第4変形例のように、本実施形態によれば、衣服本体10(後身頃12)の内面側の保持シート20によって送風装置3を保持することができるので、貫通孔13A,13Bの形状を、送風装置3(筒状部4)の形状に応じた形状にする必要がなく、種々の形状にすることができる。
【0036】
上記した各例において説明した互いに異なる構成を、適宜、必要に応じて変形し、組み替えて適用したり、組み合わせて適用したりするようにしてもよい。
上記した各例では、挿入開口24を開放可能に閉鎖する閉鎖部15,25を設けた例を示しているが、このような閉鎖部15,25を設けていない構成としてもよい。
上記した各例では、挿入開口24を上方側に開口させるように保持シート20を衣服本体10(後身頃12)に固定した例を示しているが、挿入開口24を、左右方向一方側や下方側に向けて開口させるように保持シート20を衣服本体10(後身頃12)に固定した構成としてもよい。
上記した各例では、後身頃12に2つの貫通孔13,13及び保持シート20,20を設けた例を示しているが、1つの貫通孔13及び保持シート20または3つ以上の貫通孔13及び保持シート20を設けた構成としてもよい。また、後身頃12に貫通孔13及び保持シート20を設けた構成に代えて、または加えて、前身頃11や袖部16等の衣服本体10の他の部位に貫通孔13及び保持シート20を設けた構成としてもよい。
【0037】
上記した各例では、衣服本体10として、長袖の上衣を例示しているが、長袖に限られず、半袖の上衣や袖なしの上衣(ベスト)等でもよく、また、上衣に限られず、下衣やつなぎ服でもよい。
上記した各例では、吸込口側に鍔状部5を有した送風装置3を例示しているが、このような鍔状部5を有していない送風装置3でもよい。また、送風装置3としては、略円筒状とされた構成に限られず、略方形筒状とされた構成でもよい。この場合は、上記した保持シート20の嵌込孔23等を適宜、変形するようにすればよい。
上記した各例に係る衣服2,2A,2B,2C,2D及びこれを備えた送風装置付き衣服1が備える各部材及び各部の具体的構成は、一例に過ぎず、その他、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 送風装置付き衣服
2,2A~2D 衣服
3 送風装置
4 筒状部
7 多孔状シート(抜止部)
8 閉塞シート
10 衣服本体
13,13A,13B 貫通孔
13a,13Aa 孔周縁部(抜止部)
15 本体側閉鎖部(閉鎖部)
20 保持シート
23 嵌込孔
24 挿入開口
25 シート側閉鎖部(閉鎖部)
図1
図2
図3
図4