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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129864
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】診療用装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 15/18 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
A61G15/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039226
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】390011121
【氏名又は名称】株式会社モリタ東京製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【弁理士】
【氏名又は名称】水戸 洋介
(72)【発明者】
【氏名】小新井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄太郎
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052LL05
4C052LL11
(57)【要約】
【課題】診療用装置についての作業をより行いやすいものにする。
【解決手段】可動フレーム30を上方へ移動させると、装置本体16に設けられた開口部16Aが現れる。また、可動フレーム30を上方へ移動させると、それまでこの可動フレーム30が位置していた箇所に、空間が形成される。言い換えると、可動フレーム30を上方へ移動させると、上方へ移動後の可動フレーム30の下方に、空間が形成される。これにより、作業者は、可動フレーム30の下方に形成されるこの空間、および、装置本体16の開口部16Aを通じ、装置本体16の内部に設置された内部機器についての作業を行える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診療用器具を支持する機能を有する診療用装置であって、
前記診療用器具に接続され、当該診療用器具から垂れ下がる管と、
前記診療用装置の装置本体に対する移動が可能に設けられ、前記診療用器具を支持する機器支持部と、
を備える診療用装置。
【請求項2】
前記管は、前記診療用器具側に位置する端部である器具側端部とは反対側に位置する端部である反対側端部側が、前記装置本体により支持され、
前記機器支持部は、前記管の前記反対側端部との間における離間距離が大きくなる方向へ移動可能に設けられている、
請求項1に記載の診療用装置。
【請求項3】
前記機器支持部は、前記管の前記反対側端部よりも上方に配置されるとともに、上方への移動が可能に設けられている、
請求項2に記載の診療用装置。
【請求項4】
前記機器支持部の下方には、上方から下方に向かう部材が設けられ、
上方から下方に向かう前記部材が、前記機器支持部に連動して移動する構成となっている、
請求項1に記載の診療用装置。
【請求項5】
上方への移動が可能に設けられ、前記管の一部を下方に向けて付勢する付勢部材と、
診療者による前記診療用器具の上方への移動に伴い上方へ向かう前記管により下方から押圧されて上方へ移動する前記付勢部材の案内を行う案内部材と、
をさらに備え、
前記案内部材が、前記機器支持部に連動して移動する構成となっている、
請求項1に記載の診療用装置。
【請求項6】
前記付勢部材が前記案内部材に沿って下方に向かって移動して予め定められた箇所へ達した場合に当該付勢部材を検知する検知センサが設けられ、
前記検知センサは、前記機器支持部に連動して移動する前記案内部材側ではなく、移動を行わない前記装置本体側に設けられている、
請求項5に記載の診療用装置。
【請求項7】
複数の前記診療用器具が、共通の前記機器支持部により支持されるように構成され、
前記共通の機器支持部が、前記装置本体に対して移動可能となっている、
請求項1に記載の診療用装置。
【請求項8】
前記管は、前記診療用器具側に位置する端部である器具側端部とは反対側に位置する端部である反対側端部側が、前記装置本体により支持され、
前記管の前記器具側端部と前記反対側端部との間に位置する一部を下方から支持する管支持部がさらに設けられ、
前記装置本体に対して移動する前記機器支持部に付随して前記管支持部が移動する、
請求項1に記載の診療用装置。
【請求項9】
前記機器支持部は、上方への移動を行えるように構成され、
前記機器支持部が上方へ移動すると、前記管支持部も上方へ移動する、
請求項8に記載の診療用装置。
【請求項10】
前記装置本体には、当該装置本体に対する移動が行われた後の前記機器支持部を支持する本体側支持部が設けられている、
請求項1に記載の診療用装置。
【請求項11】
ユーザにより操作される被操作部であって、前記装置本体に対する前記機器支持部の固定に用いられる被操作部がさらに設けられている請求項1に記載の診療用装置。
【請求項12】
前記装置本体には、前記装置本体に対する移動を行う前の前記機器支持部の移動の規制を行い、当該装置本体に対する移動を行った後の当該機器支持部の移動の規制を行う共通の規制部が設けられている請求項1に記載の診療用装置。
【請求項13】
診療用器具を支持する機能を有する診療用装置であって、
前記診療用器具に接続され、当該診療用器具から垂れ下がる管と、
前記診療用装置の装置本体に対する移動が可能に設けられ、前記診療用器具の移動に伴い移動する前記管の案内を行う案内機構と、
を備える診療用装置。
【請求項14】
前記案内機構を構成する一部の部材として、上方から下方に向かって延びる部材が設けられ、
上方から下方に向かって延びる前記部材が、前記装置本体に対して移動可能となっている、
請求項13に記載の診療用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診療用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、本体上面に3個のメータが配置され、さらに、メータの手前に、薬液の3個の直結スプレーが配置された治療器械が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-113366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
患者の診療に用いられる診療用装置では、診療用器具の周囲に、この診療用器具から延びる管や、この管の案内機構などの各種の機器が設置されることが多い。
診療用装置に機器が多く設置されていると、この機器が作業の邪魔となり、診療用装置のメンテナンスなど、診療用装置について行う作業の作業性が低下しやすくなる。
本発明の目的は、診療用装置についての作業をより行いやすいものにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される診療用装置は、診療用器具を支持する機能を有する診療用装置であって、前記診療用器具に接続され、当該診療用器具から垂れ下がる管と、前記診療用装置の装置本体に対する移動が可能に設けられ、前記診療用器具を支持する機器支持部と、を備える診療用装置である。
ここで、前記管は、前記診療用器具側に位置する端部である器具側端部とは反対側に位置する端部である反対側端部側が、前記装置本体により支持され、前記機器支持部は、前記管の前記反対側端部との間における離間距離が大きくなる方向へ移動可能に設けられているようにしてもよい。
また、前記機器支持部は、前記管の前記反対側端部よりも上方に配置されるとともに、上方への移動が可能に設けられているようにしてもよい。
また、前記機器支持部の下方には、上方から下方に向かう部材が設けられ、上方から下方に向かう前記部材が、前記機器支持部に連動して移動する構成となっているようにしてもよい。
また、上方への移動が可能に設けられ、前記管の一部を下方に向けて付勢する付勢部材と、診療者による前記診療用器具の上方への移動に伴い上方へ向かう前記管により下方から押圧されて上方へ移動する前記付勢部材の案内を行う案内部材と、をさらに備え、前記案内部材が、前記機器支持部に連動して移動する構成となっているようにしてもよい。
また、前記付勢部材が前記案内部材に沿って下方に向かって移動して予め定められた箇所へ達した場合に当該付勢部材を検知する検知センサが設けられ、前記検知センサは、前記機器支持部に連動して移動する前記案内部材側ではなく、移動を行わない前記装置本体側に設けられているようにしてもよい。
また、複数の前記診療用器具が、共通の前記機器支持部により支持されるように構成され、前記共通の機器支持部が、前記装置本体に対して移動可能となっているようにしてもよい。
また、前記管は、前記診療用器具側に位置する端部である器具側端部とは反対側に位置する端部である反対側端部側が、前記装置本体により支持され、前記管の前記器具側端部と前記反対側端部との間に位置する一部を下方から支持する管支持部がさらに設けられ、前記装置本体に対して移動する前記機器支持部に付随して前記管支持部が移動するようにしてもよい。
また、前記機器支持部は、上方への移動を行えるように構成され、前記機器支持部が上方へ移動すると、前記管支持部も上方へ移動するようにしてもよい。
また、前記装置本体には、当該装置本体に対する移動が行われた後の前記機器支持部を支持する本体側支持部が設けられているようにしてもよい。
また、ユーザにより操作される被操作部であって、前記装置本体に対する前記機器支持部の固定に用いられる被操作部がさらに設けられているようにしてもよい。
また、前記装置本体には、前記装置本体に対する移動を行う前の前記機器支持部の移動の規制を行い、当該装置本体に対する移動を行った後の当該機器支持部の移動の規制を行う共通の規制部が設けられているようにしてもよい。
【0006】
他の観点から捉えると、本発明が適用される診療用装置は、診療用器具を支持する機能を有する診療用装置であって、前記診療用器具に接続され、当該診療用器具から垂れ下がる管と、前記診療用装置の装置本体に対する移動が可能に設けられ、前記診療用器具の移動に伴い移動する前記管の案内を行う案内機構と、を備える診療用装置である。
ここで、前記案内機構を構成する一部の部材として、上方から下方に向かって延びる部材が設けられ、上方から下方に向かって延びる前記部材が、前記装置本体に対して移動可能となっているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、診療用装置についての作業をより行いやすいものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】診療用装置の斜視図である。
図2】機器支持部が上方へ移動した後の診療用装置の状態を示した図である。
図3】(A)、(B)は、図1のIII-III線における診療用装置の断面図である。
図4】本体側支持部を説明する図である。
図5】(A)、(B)は、案内機構を模式的に示した図である。
図6】診療時の案内機構の状態を示した図である。
図7】(A)~(D)は、診療用装置の他の構成例を示した図である。
図8】(A)、(B)は、診療用装置の他の構成例を示した図である。
図9】(A)~(D)は、診療用装置の他の構成例を示した図である。
図10】診療用装置の他の構成例を示した図である。
図11】診療用装置の他の構成例を示した図である。
図12】(A)、(B)は、診療用装置の他の構成例を示した図である。
図13】診療用装置の他の構成例を示した図である。
図14】診療用装置の他の構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、診療用装置10の斜視図である。図1では、正面側から診療用装置10を見た場合の状態を示している。
本実施形態の診療用装置10は、耳鼻咽喉科や歯科などの診療に用いることが可能な装置である。診療用装置10は、診療に用いられる診療用器具12を支持する機能を有する。なお、図1では図示を省略しているが、診療用装置10の最前面側には、外装カバーが取り付けられる。
【0010】
本実施形態の診療用装置10では、複数の診療用器具12が矢印1Aで示す一方向に並んだ状態で配置される。診療用装置10には、複数の診療用器具12の並び方向に沿って延び診療用器具12を支持する機器支持部14が設けられている。
さらに、診療用装置10の背面側には、箱状に形成された装置本体16が設けられている。この装置本体16は、筐体と捉えることができ、診療用装置10の背面側には、箱状の筐体が設けられている。
【0011】
機器支持部14は、診療用器具12の各々を下方から支持する。機器支持部14には、複数の穴部が設けられおり、機器支持部14は、この穴部内に入れられた診療用器具12を下方から支持する。
本実施形態では、後述するように、機器支持部14は、装置本体16に対する移動が可能な状態で設けられている。
【0012】
また、本実施形態では、診療用器具12の各々に接続され、診療用器具12から垂れ下がる管18が設けられている。さらに、この管18の案内を行う案内機構20が設けられている。
管18および案内機構20は、診療用器具12の各々に対応する形で設けられ、複数設けられている。
【0013】
本実施形態では、管18を通じて、診療用器具12の各々に対し、水や薬液などの液体や、空気などの気体が供給される。これにより、患者の患部に対し、診療用器具12を通じて、水や薬液などの液体や、空気などの気体の供給を行える。
また、本実施形態では、管18の内部に電線が通される場合もあり、この場合は、この管18を通じ、診療用器具12への電力の供給を行える。
【0014】
診療用器具12に、モータなどの駆動源や、光源などが設置される場合もあり、管18の内部に電線を通すと、この駆動源や光源に対して電力の供給を行える。
さらに、本実施形態では、診療用器具12が、吸引用の器具である場合には、診療用器具12による吸引により得られた吸引物が、管18を通じて、装置本体16側へ移動する。
なお、図1にて符号95で示す2つの部材の各々は、接手となっている。本実施形態では、この接手に対しても、診療用器具12(図1では不図示)が接続される。図1にて示す接手に接続される診療用器具12としては、吸引用のノズル(不図示)や、通気用のチューブ(不図示)が挙げられる。
この吸引用のノズルや通気用のチューブは、耳鼻咽喉科における吸引や、耳鼻咽喉科における通気(エアーの供給)に用いられる。
本実施形態では、この接手、および、この接手に接続される診療用器具12についても、機器支持部14により支持される。さらに、この接手の各々に対しては、上記と同様、管18が接続されている。さらに、本実施形態では、接手の各々に対応する形で、管18の案内を行う案内機構20が設けられている。
【0015】
装置本体16の内部には、コンプレッサーなど、圧縮空気を発生させる機器が設けられる。
また、装置本体16の内部には、診療用器具12から垂れ下がる上記の管18(以下、「器具側管18」と称する)に接続される管である本体側管22が設けられている。
本実施形態では、この本体側管22を通じて、診療用器具12の各々から垂れ下がる器具側管18に対して、上記の液体や気体が供給される。さらに、本体側管22を通じて、診療用器具12による吸引により得られ器具側管18を通って移動してきた吸引物が、装置本体16側へ移動する。
さらに、装置本体16の内部には、圧力計や、上記の吸引物を収容する収容容器や、診療用器具12への電力の供給に用いられる機器などが設置される。
以下、本明細書では、装置本体16の内部に設置される機器を、内部機器と称する。
【0016】
図2は、機器支持部14が上方へ移動した後の診療用装置10の状態を示した図である。
本実施形態では、図2に示すように、機器支持部14が装置本体16に対して移動可能となっている。
より具体的には、本実施形態では、機器支持部14が上方へ移動可能となっており、機器支持部14が、静止された状態で配置される装置本体16に対して移動可能となっている。
【0017】
より具体的には、本実施形態では、装置本体16に対して移動可能な可動フレーム30が設けられており、本実施形態では、操作者が、この可動フレーム30を持って上方へ移動させることで、この可動フレーム30の一部を構成する機器支持部14が、上方へ移動する。
機器支持部14が上方へ移動すると、これに伴い、診療用器具12が上方へ移動し、これに伴い、診療用器具12から垂れ下がる器具側管18が、上方へ移動する。
【0018】
可動フレーム30は、水平方向に沿って延びる機器支持部14と、この機器支持部14の長手方向における一端部および他端部のそれぞれから下方に向かう側部フレーム24と、2つ設けられるこの側部フレーム24の下端部同士を接続する下部フレーム26とにより構成される。
可動フレーム30は、略矩形状の枠体により形成され、4つの辺を有する。
本実施形態では、この4つの辺の各々が位置する箇所に、機器支持部14、側部フレーム24、下部フレーム26が位置する。
【0019】
可動フレーム30を上方へ移動させると、図2に示すように、装置本体16に設けられた開口部16Aが現れる。
また、可動フレーム30を上方へ移動させると、それまでこの可動フレーム30が位置していた箇所に、空間が形成される。言い換えると、可動フレーム30を上方へ移動させると、上方へ移動後の可動フレーム30の下方に、空間が形成される。
これにより、本実施形態では、作業者が、可動フレーム30の下方に形成されるこの空間、および、装置本体16の開口部16Aを通じ、装置本体16の内部に設置された内部機器についての作業を行える。
【0020】
本実施形態では、図2に示すように、複数の診療用器具12が、共通の1つの機器支持部14により支持される構成となっている。
本実施形態では、共通のこの1つの機器支持部14が、装置本体16に対して移動し、これに伴い、装置本体16に設けられた開口部16Aが現れる。
本実施形態では、1つのこの共通の機器支持部14を移動させることで、複数の診療用器具12、複数の器具側管18、および、複数の案内機構20が、まとまって上方へ移動する。
【0021】
ここで、可動フレーム30が移動せず機器支持部14が上方へ移動しない場合を想定する。
この場合、装置本体16に設置された内部機器についての作業を作業者が行うにあたっては、例えば、案内機構20や器具側管18を取り外したうえで、この作業を行う必要が生じる。この場合、作業者の作業負担が大きくなる。
これに対し、本実施形態のように、機器支持部14等が移動可能な構成であると、機器支持部14等を移動させることで、上記の開口部16Aが現れ、装置本体16に設置された内部機器についての作業が行いやすいものとなる。
【0022】
図3(A)、(B)は、図1のIII-III線における診療用装置10の断面図である。
図3(A)は、可動フレーム30を上方へ移動させる前の状態を示し、図3(B)は、可動フレーム30を上方へ移動させた後の状態を示している。
本実施形態では、図3(B)に示すように、装置本体16に、装置本体16に対する移動が行われた後の機器支持部14を支持する本体側支持部32が設けられている。
【0023】
本実施形態では、本体側支持部32に対して、可動フレーム30の下部を引っ掛けることができるようになっている。本体側支持部32に対して、可動フレーム30の下部を引っ掛けることで、装置本体16による可動フレーム30の支持が行われる。言い換えると、装置本体16による機器支持部14の支持が行われる。
これにより、機器支持部14が上方に位置する状態が保たれる。
【0024】
図4は、本体側支持部32を説明する図である。図4は、図3(B)の矢印IVで示す方向から本体側支持部32を見た場合の状態を示している。
本実施形態では、本体側支持部32として、装置本体16の外面から突出した突起32Aが設けられている。一方で、可動フレーム30側には、この突起32Aが入る穴部30Xが設けられている。
【0025】
本実施形態では、装置本体16による可動フレーム30の支持が行われる際には、可動フレーム30側に設けられた穴部30Xへ、装置本体16側に設けられた突起32Aが入り込む。
これにより、装置本体16側に設けられた本体側支持部32に、可動フレーム30が引っかかる形となり、装置本体16により可動フレーム30が支持される。
なお、本体側支持部32は、図2の符号2A、2Bで示す2箇所に設けられており、本実施形態では、可動フレーム30の2箇所が、装置本体16により支持される。
【0026】
図3(B)を参照してさらに説明する。
図3(B)に示すように、本実施形態では、機器支持部14の下方に、器具側管18の案内を行う案内機構20が設けられている。
本実施形態では、診療者による診療が行われる際には、図3(A)の状態にある診療用器具12が持ち上げられて、診療用器具12が上方へ移動する。本実施形態では、これに伴い、器具側管18が引っ張られて上方へ移動する。この際、案内機構20が、上方へ移動するこの器具側管18の案内を行う。
【0027】
本実施形態では、図3(A)、(B)に示すように、案内機構20についても、診療用装置10の装置本体16に対する移動が可能となっている。
本実施形態では、機器支持部14に案内機構20が連動する構成となっており、図3(B)に示すように、機器支持部14が上方へ移動すると、案内機構20についても上方へ移動する。
【0028】
本実施形態では、図3(B)に示すように、機器支持部14、案内機構20が上方へ移動しても、器具側管18と本体側管22とが接続される状態が維持される。
機器支持部14、案内機構20が上方へ移動しても、本体側管22については、移動を行わない。機器支持部14、案内機構20が上方へ移動すると、器具側管18のみが移動し、器具側管18が引き延ばされる形となる。
【0029】
図5(A)、(B)は、案内機構20を模式的に示した図である。図5(A)は、可動フレーム30が上方へ移動する前の案内機構20の状態を示し、図5(B)は、可動フレーム30が上方へ移動した後の案内機構20の状態を示している。なお、図5(A)、(B)では、本体側管22や本体側支持部32等の図示を省略している。
図5(A)に示すように、器具側管18は、診療用器具12側に位置する端部である器具側端部18Aを有する。本実施形態では、この器具側端部18Aが、不図示の継手を介して、診療用器具12に接続される。
【0030】
さらに、器具側管18は、器具側端部18Aとは反対側に位置する端部である反対側端部18Bを有する。
本実施形態では、器具側管18のこの反対側端部18Bが、装置本体16により支持されている。言い換えると、本実施形態では、器具側管18の反対側端部18Bが、装置本体16に対して固定されている。
【0031】
なお、器具側管18は、反対側端部18Bそのものを装置本体16に対して固定するのに限らず、器具側管18のうち、反対側端部18Bと器具側管18の長手方向における中央部との間に位置する部分が、装置本体16に対して固定される構成としてもよい。
器具側管18の反対側端部18B側が、装置本体16に固定される構成とすればよく、反対側端部18B自体が装置本体16に固定される構成以外の構成としてもよい。
【0032】
図5(A)に示すように、案内機構20には、上方への移動が可能に設けられ、器具側管18の一部を下方に向けて付勢する付勢部材41が設けられている。この付勢部材41は、いわゆる滑車であり、回転可能となっている。
本実施形態では、この付勢部材41が、器具側管18の上に載り、器具側管18の一部を下方に向けて押圧して付勢する。
【0033】
さらに、案内機構20には、器具側管18を下方から支持する管支持部42が設けられている。
本実施形態では、図5(A)に示すように、機器支持部14が上方へ移動する前の状態においては、機器支持部14、管支持部42が、器具側管18の反対側端部18Bよりも上方に位置する。
【0034】
図6は、診療時の案内機構20の状態を示した図である。
本実施形態では、診療者による診療が行われる際には、この診療者によって診療用器具12が持ち上げられて、矢印6Aで示すように、診療用器具12が上方へ移動する。
診療用器具12が上方へ移動すると、これに伴い、管18が上方に向かって移動する。そして、上方に向かうこの管18によって、付勢部材41が下方から押圧されて、付勢部材41が、上方へ移動する。
【0035】
本実施形態では、上方へ移動するこの付勢部材41は、案内機構20の一部を構成する案内部材43によって案内されながら上方へ移動する。
本実施形態では、機器支持部14の下方に、ガイドレールとしての役割を果たす案内部材43が設けられており、付勢部材41は、この案内部材43によって案内されながら上方へ移動する。
案内部材43は、上方から下方に向かって延びる直線状の部材であり、付勢部材41は、直線状のこの案内部材43によって案内されながら上方へ移動する。本実施形態では、案内部材43は、機器支持部14に連動して移動する。
【0036】
また、本実施形態では、管支持部42(図5(A)参照)は、回転可能な回転体により構成されている。言い換えると、この管支持部42についても、付勢部材41と同様、滑車により構成されている。
管支持部42は、器具側管18のうちの反対側端部18B側に位置する一部を下方から支持する。また、管支持部42は、器具側管18のうちの、付勢部材41に接触する部分と、反対側端部18Bとの間に位置する部分を下方から支持する。
【0037】
図5(B)では、機器支持部14が上方へ移動した後の状態を示している。言い換えると、図5(B)では、可動フレーム30が上方へ移動した後の状態を示している。
本実施形態では、機器支持部14に付随して管支持部42が移動する構成となっており、図5(B)に示すように、機器支持部14が上方へ移動すると、管支持部42も上方へ移動する。また、本実施形態では、機器支持部14が上方へ移動すると、案内部材43も上方へ移動する。
本実施形態では、管支持部42、案内部材43は、装置本体16に対して移動可能となっており、図5(B)に示すように、機器支持部14が装置本体16に対して移動すると、管支持部42、案内部材43も、装置本体16に対して移動する。
【0038】
図5(B)に示すように、機器支持部14は、器具側管18の反対側端部18Bとの間における離間距離が大きくなる方向へ移動可能となっている。
本実施形態では、上記の通り、機器支持部14は、上方への移動が可能に設けられており、図5(B)のように、機器支持部14が上方へ移動すると、機器支持部14と器具側管18の反対側端部18Bとの離間距離が大きくなる。
【0039】
機器支持部14と反対側端部18Bとの離間距離が大きくなると、機器支持部14と反対側端部18Bとの間に位置する器具側管18が延ばされる形となり、器具側管18の弛みが小さくなる。器具側管18の弛みが小さくなると、器具側管18の垂れ下がりが小さくなる。
この場合、器具側管18の垂れ下がりが小さくならない場合に比べ、器具側管18が作業者の作業の邪魔をしにくくなり、作業者が開口部16A(図2参照)を通じて行う作業の作業性が向上する。
【0040】
本実施形態では、上方から下方に向かう形で配置された案内部材43は、図5(A)、(B)に示すように、機器支持部14に連動して移動する。また、管支持部42も、機器支持部14に連動して移動する。
図5(B)に示すように、機器支持部14が上方へ移動すると、これに応じて、案内部材43も上方へ移動する。また、機器支持部14が上方へ移動すると、これに応じて、管支持部42も上方へ移動する。
【0041】
管支持部42は、可動フレーム30に固定されており、可動フレーム30が上方へ移動すると、管支持部42も上方へ移動する。
ここで、例えば、管支持部42が装置本体16側に固定され、管支持部42が移動しない場合、診療用装置10が図5(B)に示す状態となったときの器具側管18の垂れ下がりの量が大きくなる。
本実施形態のように、管支持部42が機器支持部14とともに上方へ移動する構成であると、器具側管18の垂れ下がりの量が小さくなる。そして、この場合、上記の通り、作業者が開口部16A(図2参照)を通じて行う作業の作業性が向上する。
【0042】
さらに、本実施形態では、図3(B)に示すように、付勢部材41を検知する検知センサ51が設けられている。
本実施形態では、付勢部材41が案内部材43に沿って下方に向かって移動して、付勢部材41の配置の状態が、図3(A)に示す状態となると、付勢部材41が検知センサ51により検知される。
言い換えると、本実施形態では、付勢部材41が案内部材43に沿って下方へ移動して、予め定められた箇所へ達すると、付勢部材41が検知センサ51により検知される。
より具体的には、本実施形態では、案内部材43の下端部が、検知センサ51による検知箇所となっており、付勢部材41が、図3(A)に示すように、案内部材43の下端部に達すると、付勢部材41が検知センサ51により検知される。
【0043】
検知センサ51は、機器支持部14に連動して移動する案内部材43側ではなく、図3(B)に示すように、移動を行わない装置本体16側に設けられている。本実施形態のように、移動を行わない装置本体16側に、検知センサ51を設けると、装置構成の簡略化を図りやすくなる。
機器支持部14に連動して移動する案内部材43側に、検知センサ51を設けると、検知センサ51から延びる電線(不図示)が、案内部材43の移動の際に、案内部材43とともに移動する。
この場合、電線と他の部材との干渉を避けるための機構が必要となったりし、装置構成が複雑化しやすい。
これに対し、本実施形態のように、移動を行わない装置本体16側に、検知センサ51を設けると、検知センサ51から延びる電線が移動することが避けられ、装置構成の簡略化を図りやすい。
【0044】
本実施形態では、検知センサ51による検知の結果に基づき、オン/オフ制御が行われる。
具体的には、本実施形態では、診療者によって、例えば、薬液噴霧器としての役割を果たす診療用器具12が持ち上げられて、検知センサ51による付勢部材41の検知が行われなくなると、内部機器の一例としての電磁弁がオンされ、この電磁弁が開放される。これにより、本体側管22、器具側管18を通じて、診療用器具12へ、エアーが供給され、これに伴い、診療用器具12から、薬液を含むエアーの排出が開始される。
本実施形態では、このエアーの流れ方向において、電磁弁の上流側に、タンクが設けられている。このタンクには、コンプレッサー等により加圧されたエアーが収容されている。電磁弁がオンされると、このタンクからエアーが、電磁弁、本体側管22、器具側管18を通って、診療用器具12へ向かう。診療用器具12の内部には、薬液が収容された収容部が設けられている。エアーが、診療用器具12へ供給されると、収容部に収容されたこの薬液が吸い出されて、この薬液がエアーに供給される。これにより、診療用器具12からは、薬液を含むエアーが排出される。
【0045】
また、例えば、診療者によって、図1の符号95で示した接手に接続された吸引用のノズル(不図示)が持ち上げられて、検知センサ51による付勢部材41の検知が行われなくなると、例えば、内部機器の一例としての電磁弁がオンされて電磁弁が開放される。これにより、器具側管18、本体側管22の内部の減圧が行われ、吸引用のノズルを用いての吸引の処置を行えるようになる。
吸引が行われる際のエアーの流れ方向において、電磁弁よりも下流側には、負圧を生成するためのサクションポンプ等が設けられており、電磁弁よりも下流側に位置する管路内は負圧とされる。このため、上記の通り、電磁弁がオンされると、器具側管18、本体側管22の内部の減圧が行われ、吸引用のノズルを用いての吸引の処置を行えるようになる。
なお、ここでは、オン/オフ制御の一例として、電磁弁がオンされる場合を説明したが、オン/オフ制御はこれに限らず、他の機器のオン/オフ制御が行われるようにしてもよい。また、オン/オフ制御に限らず、機器の出力の増減が行われるようにしてもよい。
【0046】
図7(A)~(D)は、診療用装置10の他の構成例を示した図である。図7(A)は、診療用装置10の正面図であり、図7(B)は、図7(A)の矢印VIIBで示す方向から診療用装置10を見た場合の図である。また、図7(C)、(D)は、被操作部54(後述)を説明するためのである。図7(C)、(D)は、図7(B)の矢印VIICで示す方向から被操作部54を見た場合の状態を示している。
なお、この図7では、診療用器具12、器具側管18、本体側管22、案内機構20等の図示を省略している。
【0047】
図7に示すこの構成例では、図7(B)に示すように、装置本体16側に、上下方向へ移動可能に設けられた可動フレーム30の案内を行う案内部55が設けられている。
案内部55は、いわゆるガイドレールにより構成され、可動フレーム30に連動する連動部30Rの案内を行って、上下動を行う可動フレーム30の案内を行う。
【0048】
さらに、この構成例では、図7(B)に示すように、ユーザにより操作される被操作部54が設けられている。この被操作部54は、連動部30Rに取り付けられ、連動部30Rとともに移動する。
被操作部54は、装置本体16に対する可動フレーム30の固定に用いられる。言い換えると、被操作部54は、装置本体16に対する機器支持部14の固定に用いられる。
本実施形態では、操作者が、可動フレーム30の固定を希望する位置で、被操作部54に対する操作を行うことで、装置本体16に対する可動フレーム30の固定を行える。
【0049】
図7(C)に示すように、被操作部54には、連動部30Rに取り付けられた連動部30Rとともに移動するシャフト54Sと、このシャフト54Sの端部に取り付けられシャフト54Sに対する回転を行えるレバー54Rとが設けられている。
また、被操作部54には、レバー54Rと連動部30Rとの間に配置されシャフト54Sに沿った移動が可能な移動体54Pが設けられている。
【0050】
図7(C)に示すように、レバー54Rには、回転中心54Cと外周面54Gとの距離が次第に変化するカム部54Wが設けられている。
さらに、この構成例では、図7(B)、(C)に示すように、装置本体16側に、上下方向に沿って延び、シャフト54Sを通す部材である本体側部材58が設けられている。この本体側部材58は、装置本体16に対して固定されている。
本実施形態では、ユーザが、可動フレーム30の固定を行いたい場合は、図7(C)、(D)に示すように、レバー54Rを時計回り方向へ回転させる。これにより、図7(D)に示すように、カム部54Wと連動部30Rとによって、本体側部材58が挟まれる形となり、装置本体16に対して可動フレーム30が固定される。
【0051】
図8(A)、(B)は、診療用装置10の他の構成例を示した図である。
図8(A)は、可動フレーム30が上方へ移動する前の状態を示し、図8(B)は、可動フレーム30が上方へ移動した後の状態を示している。なお、この図8においても、上記と同様、診療用器具12、器具側管18、本体側管22、案内機構20等の図示を省略している。
また、図8(A)、(B)に示すこの構成例では、図7に示した被操作部54は設けられていない。
【0052】
この構成例では、図8(B)に示すように、可動フレーム30に貫通孔30Hが設けられ、装置本体16には、孔部162が設けられている。
この構成例では、可動フレーム30を上方へ移動させた後に、図8(B)に示すように、可動フレーム30に設けられた貫通孔30H、および、装置本体16に設けられた孔部162の両者に対して、共通のピン168を通す。
これにより、装置本体16に対する可動フレーム30の移動が規制され、装置本体16に対して可動フレーム30が固定される。
【0053】
図9(A)~(D)は、診療用装置10の他の構成例を示した図である。
図9(A)は、診療用装置10の正面図であり、図9(B)は、図9(A)の矢印IXBで示す方向から診療用装置10を見た場合の図である。また、図9(C)は、可動フレーム30が上方へ移動した後の状態を示した図であり、図9(D)は、可動フレーム30が上方へ移動する前の状態を示した図である。
なお、図9(A)では、規制部61(後述)の図示を省略している。
【0054】
この構成例では、図9(B)に示すように、装置本体16側に、機器支持部14の移動の規制を行う規制部61が設けられている。
規制部61は、装置本体16に対する移動を行う前の機器支持部14(図9(D)参照)の移動を規制し、また、装置本体16に対する移動を行った後の機器支持部14(図9(C)参照)の移動の規制を行う。
言い換えると、規制部61は、装置本体16に対する移動を行う前の可動フレーム30の移動を規制し、また、装置本体16に対する移動を行った後の可動フレーム30の移動の規制を行う。
【0055】
この構成例では、規制部61の共用化が図られており、共通の規制部61(図9(C)、(D)参照)によって、装置本体16に対する移動を行う前の機器支持部14の移動の規制が行われ、また、装置本体16に対する移動を行った後の機器支持部14の移動の規制が行われる。
この共通の規制部61は、図9(B)に示すように、装置本体16から突出した突出部により構成されている。
規制部61は、この規制部61の突出方向における先端側に位置する大径部61Aと、この大径部61Aよりも装置本体16側に位置する小径部61Bとを有する。本実施形態では、大径部61Aの外径の方が、小径部61Bの外径よりも大きい。
【0056】
さらに、この構成例では、図9(A)に示すように、可動フレーム30のうちの、機器支持部14の下方に位置し機器支持部14に沿って延びる部分である下方部分30Kに、上記の小径部61Bが入る溝である上側溝63が形成されている。
さらに、この構成例では、可動フレーム30の下部フレーム26に、上記の小径部61Bが入る溝である下側溝64が形成されている。
上側溝63および下側溝64の各々は、2つ設けられている。また、図示は省略するが、本実施形態では、規制部61(図9(B)参照)についても、上側溝63および下側溝64に対応する形で2つ設けられている。
【0057】
装置本体16に対する機器支持部14の移動が行われる前の状態では、図9(D)に示すように、可動フレーム30に設けられた上側溝63の内部に、規制部61が有する小径部61Bが入る。
上側溝63の内部に、小径部61Bが入ると、大径部61A(図9(B)参照)と装置本体16との間にある隙間61Sに、可動フレーム30の一部が入る形となる。具体的には、下方部分30K(図9(A)参照)の一部が入る形となる。
これにより、装置本体16から離れる方向である矢印9D(図9(D)参照)に示す方向への可動フレーム30の移動が規制され、装置本体16から離れる方向への機器支持部14の移動が規制される。
【0058】
図9(D)に示す状態では、被操作部54の設置箇所を回転中心として、可動フレーム30が図中反時計回り方向へ回転するおそれがある。言い換えると、可動フレーム30のうちの、機器支持部14が位置する部分が、装置本体16から離れる方向へ移動するおそれがある。
これに対し、図9(D)に示すこの構成例では、装置本体16から離れる方向への機器支持部14の移動が規制部61により規制され、可動フレーム30が図中反時計回り方向へ回転することが抑制される。
【0059】
また、この構成例では、図9(C)に示すように、機器支持部14が上方へ移動し、装置本体16に対する機器支持部14の移動が行われた後の状態となると、可動フレーム30に設けられた下側溝64の内部に、規制部61が有する小径部61Bが入る。
下側溝64の内部に、小径部61Bが入ると、この場合も、大径部61A(図9(B)参照)と装置本体16との間にある隙間61Sに、可動フレーム30の他の一部が入る形となる。
【0060】
より具体的には、可動フレーム30の一部を構成する下部フレーム26の一部が、大径部61Aと装置本体16との間にある隙間61Sに入る。これにより、機器支持部14の移動が規制される。
具体的には、被操作部54を回転中心として図中反時計回り方向へ回転しようとする可動フレーム30のこの回転が規制され、これにより、矢印9Eに示す方向への機器支持部14の移動が規制される。
なお、図9に示す構成例に対して、例えば、図8にて示した構成例を適用し、図14(診療用装置の他の構成例を示した図)に示すように、ピン168を用いて、上方へ移動している状態にある可動フレーム30を、装置本体16に対して固定してもよい。
図9にて示した構成例では、図9(C)に示す状態のときに、可動フレーム30が下方へ移動しやすくなる。
図9にて示した構成例では、可動フレーム30(図9(C)参照)が位置する箇所とは異なる箇所に、可動フレーム30の固定に用いられる被操作部54が設けられている。この場合、被操作部54については、下方への移動が起きにくいが、この被操作部54から離れた箇所にある可動フレーム30については、下方へ移動しやすくなる。
この場合に、図14に示す構成とすると、可動フレーム30の下方への移動が起きにくくなる。
【0061】
図10は、診療用装置10の他の構成例を示した図である。
図10に示すこの構成例では、被操作部54を挟み、可動フレーム30が位置する側とは反対側にも、可動フレーム30に連動する連動部30Rが設けられている。
図10に示すこの構成例では、図7(B)にて示した構成例よりも連動部30Rが長く、連動部30Rが、被操作部54よりも、装置本体16の背面16H側に突出している。
この構成例では、上方へ移動した状態にある可動フレーム30が、被操作部54が位置する箇所を回転中心として図中反時計回り方向へ回転しようとすると、連動部30Rが、装置本体16の天井部16Tに押し当てられる。これにより、反時計回り方向への可動フレーム30の回転が抑制される。
【0062】
図11は、診療用装置10の他の構成例を示した図である。
上記では、共通の1つの機器支持部14が上方へ移動する構成となっていたが、これに限らず、図11に示すように、1つの診療用器具12ごとに、機器支持部14が移動する構成としてもよい。
より具体的には、この構成例では、機器支持部14が、1つの診療用器具12ごとに個別に設けられており、機器支持部14の各々を、個別に、上下動させることができるようになっている。
より具体的には、この構成例では、機器支持部14の各々に、案内機構20が連動するようになっており、1つの機器支持部14を上方へ移動させると、1つの器具側管18が上方へ移動し、さらに、1つの案内機構20が上方へ移動する。
【0063】
なお、上記では、機器支持部14が上方へ移動すると、案内機構20も上方へ移動する構成を説明したが、案内機構20が上方へ移動しない構成としてもよい。機器支持部14が上方へ移動すると、案内機構20は移動せず、少なくとも器具側管18が、上方へ移動する構成としてもよい。
案内機構20が移動せず、器具側管18のみが移動する場合であっても、器具側管18が全く移動しない構成に比べれば、作業者が作業を行う際の作業性が向上する。
【0064】
作業者による内部機器についての作業は、案内部材43(図1参照)間に存在する間隙を通じて行うことも一応可能である。この場合に、機器支持部14が上方へ移動し器具側管18が上方へ移動する構成であると、この隙間を通じて内部機器について行う作業が、より行いやすいものとなる。
また、その他に、機器支持部14が移動せずに、案内機構20のみが移動する構成としてもよい。案内機構20のみが移動する構成とする場合は、例えば、少なくとも案内部材43が上方へ移動する構成とする。
案内部材43のみが上方へ移動する構成であっても、装置本体16の開口部16A(図2参照)にこの案内部材43が位置しない状態となり、作業者による内部機器についての作業がより行いやすいものとなる。
【0065】
図12(A)、(B)は、診療用装置10の他の構成例を示した図である。図12(A)は、可動フレーム30が移動する前の状態を示し、図12(B)は、可動フレーム30が移動した後の状態を示している。
上記では、可動フレーム30が上方へ移動する構成を説明したが、図12に示すこの構成例では、図12(B)に示すように、可動フレーム30が水平方向へ且つ装置本体16から離れる方向へ移動する構成となっている。
可動フレーム30が水平方向へ且つ装置本体16から離れる方向へ移動する場合は、例えば、可動フレーム30と装置本体16との間に作業者が入って、内部機器についての作業が行われる。
【0066】
あるいは、可動フレーム30が水平方向へ且つ装置本体16から離れる方向へ移動する場合、可動フレーム30を挟み、装置本体16側とは反対側に、作業者が位置する状態となる。具体的には、図12(B)の符号12Cで示す箇所に、作業者が位置する状態となる。この場合、作業者は、互いに隣り合う案内部材43間の間隙を通じて、作業を行う。
可動フレーム30が水平方向へ且つ装置本体16から離れる方向へ移動すると、管18が引っ張られる形となり、管18の弛みが減り、管18の垂れ下がりが小さくなる。
この場合、可動フレーム30を挟み装置本体16側とは反対側に作業者が位置する状態で作業が行われる場合における、作業性が向上する。
【0067】
図13は、診療用装置10の他の構成例を示した図である。図13では、診療用装置10を上方から見た場合の状態を示している。
この構成例では、鉛直方向に沿って延びる回転軸73を中心として、可動フレーム30が回転する構成となっている。
この構成例では、鉛直方向に沿って延びるこの回転軸73を中心として、可動フレーム30を回転させると、上記と同様、装置本体16の開口部16A(図2参照)が現れ、この開口部16Aを通じての作業を行える。
【0068】
(その他)
他の態様として、モータなどの駆動源を有する移動機構(不図示)を用いて、可動フレーム30が自動で移動する構成としてもよい。
上記では、いずれも可動フレーム30が、手動で移動する構成を説明した。可動フレーム30の移動の態様はこれに限らず、モータなどの駆動源を有する移動機構を用い、可動フレーム30が自動で移動するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10…診療用装置、12…診療用器具、14…機器支持部、16…装置本体、18…器具側管、18A…器具側端部、18B…反対側端部、20…案内機構、32…本体側支持部、41…付勢部材、42…管支持部、43…案内部材、51検知センサ、54…被操作部、61…規制部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14