(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012987
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】生体情報測定装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1455 20060101AFI20240124BHJP
A61B 5/1171 20160101ALI20240124BHJP
E03D 9/00 20060101ALI20240124BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20240124BHJP
A61B 5/021 20060101ALI20240124BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
A61B5/1455
A61B5/1171 100
E03D9/00 Z
A61B5/0245 B
A61B5/021
A61B5/02 310B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114864
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(71)【出願人】
【識別番号】515045662
【氏名又は名称】メディカルフォトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】村上 裕哉
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】長島 理
(72)【発明者】
【氏名】三原 唯
(72)【発明者】
【氏名】紅玉
(72)【発明者】
【氏名】高見澤 淳
(72)【発明者】
【氏名】飯永 一也
【テーマコード(参考)】
2D038
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
2D038ZA03
4C017AA02
4C017AA08
4C017AA09
4C017AA12
4C017AC26
4C017BB12
4C017BC11
4C017CC01
4C017CC08
4C017DD17
4C017FF05
4C017FF15
4C038KK00
4C038KL05
4C038KL07
4C038KX01
4C038KY01
4C038KY04
4C038VA07
4C038VB12
4C038VC01
(57)【要約】
【課題】使用者が日常的に使用する住宅設備に設けられ、測定精度を向上できる生体情報測定装置を提供すること。
【解決手段】生体情報測定装置2は、日常生活において使用者が使用する住宅設備1に設けられ、使用者の手首の位置を固定する手首固定部3と、手首固定部3に固定された手首において得られる生体情報を測定するセンサ部4と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
日常生活において使用者が使用する住宅設備に設けられ、前記使用者の手首の位置を固定する手首固定部と、
前記手首固定部に固定された手首において得られる生体情報を測定するセンサ部と、を備えている、生体情報測定装置。
【請求項2】
前記住宅設備がトイレであり、
前記手首固定部は前記トイレの着座部の側方に設けられている請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項3】
前記センサ部は、前記手首固定部に設けられる、請求項1又は2に記載の生体情報測定装置。
【請求項4】
前記手首固定部は、使用者の手首の前後方向への移動を規制する手首規制部を有する、請求項1又は2に記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
前記手首固定部は、使用者の手首の上方側及び下方側の少なくともいずれかへの移動を規制する手首規制部を有する、請求項1又は2に記載の生体情報測定装置。
【請求項6】
前記手首規制部は、前記手首固定部の側方に設けられ前記住宅設備側に凹む凹部により構成される、請求項4に記載の生体情報測定装置。
【請求項7】
前記手首固定部は、使用者の手首の内側を前記センサ部側に向けた状態で手を載置可能な載置部を有する、請求項1又は2に記載の生体情報測定装置。
【請求項8】
使用者の手の上下方向への移動に連動して前記手首固定部を上下方向に移動させる昇降機構を備える、請求項1又は2に記載の生体情報測定装置。
【請求項9】
前記住宅設備に対する前記手首固定部の相対位置を変更可能な相対位置変更機構を備える、請求項1又は2に記載の生体情報測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体情報測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手の平等から、血糖値などの人の生体情報を非侵襲で測定する測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
血糖値や脂質濃度などの人の生体情報を測定する場合、測定部位を毎回同じ測定状態で測定できるかが、測定精度に大きく影響する。そのため、測定部位を毎回同じ測定状態で測定することで、人の生体情報の測定精度を向上できることが求められている。一方で、人が日常的に生体情報を測定することは、生体情報を測定する装置や測定環境の準備などが必要となり、煩雑になりやすく、習慣化しにくい。
【0005】
本開示は、使用者が日常的に使用する住宅設備に設けられ、測定精度を向上できる生体情報測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、日常生活において使用者が使用する住宅設備に設けられ、前記使用者の手首の位置を固定する手首固定部と、前記手首固定部に固定された手首において得られる生体情報を測定するセンサ部と、を備えている、生体情報測定装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の脂質濃度測定装置が便座に設けられている状態を示す側面である。
【
図2】第1実施形態の脂質濃度測定装置が便座に設けられている状態を示す平面図である。
【
図3】第1実施形態の脂質濃度測定装置により脂質濃度を測定する工程を示すフローチャートである。
【
図4】第2実施形態の脂質濃度測定装置が便座に設けられている状態を示す側面図である。
【
図5】第2実施形態の脂質濃度測定装置が便座に設けられている状態を示す正面図である。
【
図6】
図5に示す状態から昇降機構により脂質濃度測定装置を下方に移動した状態を示す図である。
【
図7】第3実施形態の脂質濃度測定装置を示す図である。
【
図8】第4実施形態の脂質濃度測定装置を示す図である。
【
図9】第5実施形態の脂質濃度測定装置を示す図である。
【
図10】第6実施形態の脂質濃度測定装置を示す図である。
【
図11】第7実施形態の脂質濃度測定装置を示す図である。
【
図12】第8実施形態の脂質濃度測定装置を示す図である。
【
図13】第9実施形態の脂質濃度測定装置を示す図である。
【
図14】第10実施形態の脂質濃度測定装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、便座12に着座した使用者から見た場合の前後の向きを前後方向とする。便座12に着座した使用者から見た場合の左右の向きを左右方向とする。便器11が設置される床面に対する鉛直方向に沿う上下の向きを上下方向とする。
【0009】
第1実施形態の脂質濃度測定装置2は、使用者がトイレ1の便座12に着座した状態で、使用者の手首の内側の血管中の血液から得られる脂質濃度(生体情報)を測定する装置である。脂質濃度測定装置2は、
図1及び
図2に示すように、日常生活において使用者が使用するトイレ1に設けられる。トイレ1は、住宅設備機器メーカなどが扱う住宅設備である。
【0010】
図1及び
図2に示すように、トイレ1は、便器11と、便座12(着座部)と、便蓋13と、脂質濃度測定装置2(生体情報測定装置)と、を備える。
【0011】
便器11は、上方に向けて開口して形成され、例えば陶器製である。便座12及び便蓋13は、便器11に対して回動可能に取り付けられる。便座12は、使用者が日常生活において着座する部分であり、便器11の開口縁の上に配置され、環状の形状に形成される。便蓋13は、便器11及び便座12の開口を開閉可能に覆う蓋である。
【0012】
脂質濃度測定装置2は、トイレ1の便座12の側方に設けられる。家庭用のトイレは家族で共用されることから、脂質濃度測定装置2は、使用者を識別する識別機能を備えていてもよい。使用者を識別することで、使用者毎のデータを管理することができる。
【0013】
例えば、個人を識別する方法として、体重や静脈から得られる使用者の生体情報から個人を識別したり、使用者を選択するボタンを押すことで個人を識別したり、個人を識別する機能を設けたペンダント型のリーダー/ライターを用いて個人を識別したり、スマートフォンの通信機能を利用して個人を識別してもよい。
【0014】
脂質濃度測定装置2は、手首固定部3と、センサ部4と、相対位置変更機構5(スライド機構、角度変更機構)と、を備える。
【0015】
手首固定部3は、日常生活において使用者が使用するトイレ1の便座12の側方に設けられる。手首固定部3は、トイレ1の便座12に着座した使用者の手首の位置を固定する。
【0016】
手首固定部3は、便座12の側方において前後方向に延びて形成され、便座12側に凹む凹部31(位置規制部)を有する。凹部31は、手首固定部3の前後方向の途中において左右方向の外側から内側(便座12側)に略半円弧状に窪む凹状に形成される。なお、凹部31の形状を円弧状に形成したが、これに限定されない。例えば、凹部31の形状を方形状に形成してもよい。
【0017】
凹部31は、人が便座12に着座して手を下ろした状態で、手首を配置可能な位置に形成される。凹部31に手首を配置する場合には、手の甲を外側に向けて、手首の内側を凹部31におけるセンサ部4が配置される奥側に向けた状態で、凹部31に手首を配置する。これにより、使用者の手首の内側をセンサ部4側に向けて配置することができる。
【0018】
凹部31は、前方側に形成される前方側規制部311と、後方側に形成される後方側規制部312と、を有する。前方側規制部311は、凹部31に手首が配置された場合に、手首の前方側への移動を規制する。後方側規制部312は、凹部31に手首が配置された場合に、手首の後方側への移動を規制する。これにより、凹部31は、トイレ1の便座12に着座した使用者の手首の前後方向への移動を規制する手首規制部を構成する。
【0019】
図1に示すように、凹部31の前後方向の幅H1は、手首が配置され、かつ、手首を配置した場合に手の上方側への移動を規制する長さに形成される。具体的には、凹部31の前後方向の幅H1は、使用者が便座12に着座して手を下ろして凹部31に手首を配置した状態において、凹部31から上方側に手が抜けないように、手を自然状態で開いたときの手の前後方向の幅Haよりも小さい長さに形成される。これにより、凹部31は、トイレ1の便座12に着座した使用者の手首の上方側への移動を規制する手首規制部を構成する。
【0020】
相対位置変更機構5は、便座12と手首固定部3との間に配置される。相対位置変更機構5は、便座12に対する手首固定部3の相対位置を変更可能である。相対位置変更機構5は、手首固定部3の前後方向の位置を変更可能な前後方向スライド機構や、手首固定部3の前後方向の傾き角度や左右方向の傾き角度を変更可能な角度変更機構を含んで構成される。
【0021】
前後方向スライド機構は、手首固定部3を前後方向にスライド移動可能に構成され、便座12に対する手首固定部3の前後方向の相対位置を変更可能である。これにより、前後方向スライド機構は、使用者の手首の前後方向の位置を変更させることが可能である。なお、脂質濃度測定装置2は、前後方向スライド機構を備えていなくてもよい。
【0022】
角度変更機構は、便座12に対する手首固定部3の角度を変更可能に構成される。角度変更機構は、手首固定部3の前後方向の傾き角度を、前下りに傾斜させたり、後下りに傾斜させることが可能な機構である。また、角度変更機構は、手首固定部3の左右方向の傾き角度を、左下がりに傾斜させたり、右下がりに傾斜させたりすることが可能な機構である。これにより、角度変更機構は、使用者の手首の固定角度を変更させることが可能である。なお、脂質濃度測定装置2は、角度変更機構を備えていなくてもよい。
【0023】
角度変更機構は、手首固定部3の左右方向の傾き角度を変更する構成とする場合に、例えば、蛇腹状に形成される。角度変更機構が蛇腹状に形成されることで、左右方向の外側に開くことが可能に構成され、手首固定部3を左右方向の外側に倒すことで、角度を変更できる機構である。この場合、例えば、角度変更機構の蛇腹状の部分を畳んで手首固定部3を上側に倒して退避可能な構成とすることで、角度変更機構の蛇腹状の部分を畳んで手首固定部3を上側に倒すことにより、床などの清掃が容易となる。
【0024】
センサ部4は、手首固定部3に固定された手首において得られる脂質濃度(生体情報)を測定する。センサ部4は、手首固定部3の凹部31の奥側の部分において、手首固定部3の内部に設けられる。
【0025】
センサ部4は、使用者が手を下ろして手首の内側を凹部31の奥側に向けた状態で手首を手首固定部3の凹部31に配置することで、手首の内側の血管中の血液から得られる脂質濃度を測定可能である。
【0026】
センサ部4は、例えば、光源を有する照射部と受光部とを有する反射型の光学センサであり、手首の血管中の血液に光を照射して、血管中の血液に反射され、受光部により受光した光の波長及び強度等の情報を、使用者の脂質濃度についての情報として取得する。
【0027】
次に、
図3により、本実施形態の脂質濃度測定装置2により脂質濃度を測定する工程について説明する。
【0028】
まず、
図3に示すステップS11において、使用者がトイレ1の便座12に着座する。トイレ1は、使用者の日常生活の中で使用される。トイレ1の便座12の側方には、脂質濃度測定装置2が設けられている。
【0029】
脂質濃度測定装置2が日常生活において使用者が使用するトイレ1に設けられることの利点は、日常生活において使用者が使用するトイレ1において脂質濃度を測定することで、生活の一部として日常生活の中で脂質濃度の測定及び記録を継続できる点にある。日常生活において使用者が使用するトイレ1において脂質濃度を測定できるため、脂質濃度の測定を習慣化できる。例えば、家族それぞれにおいて、日常生活の朝に取得した使用者の脂質濃度をデータとして蓄積して、健康管理の情報として使用することが可能である。
【0030】
また、家庭用のトイレ1は家族で共用されるため、脂質濃度測定装置2をトイレ1に設けることで、脂質濃度測定装置2が一つあれば家族全員が使用可能である。これにより、一つの脂質濃度測定装置2で、家族全員が脂質濃度の測定を習慣化できる。仮に、脂質濃度測定装置2を腕に装着するベルト式とする場合は、一人に対して一つの脂質濃度測定装置2を必要とするため、家族の一部の者の使用となったり、家族全員分を用意する場合にはその分のコストが生じる。
【0031】
また、トイレ1は、日常生活の起床時の朝に使用されることが多い。脂質濃度の測定は、最も数値が安定している朝一番の空腹時に行うのが理想的である。トイレ1は、このような朝一番の空腹時に使用する住宅設備として適しており、理想的な測定を行うことが可能である。日常的にトイレ1に行くと思われる起床時は空腹時の脂質濃度を測定できるため、脂質濃度が安定しており、脂質濃度の推移が分かりやすい。
【0032】
また、トイレ1の便座12に使用者が着座した場合に測定することで、使用者の動きが少ない状態で測定できる。つまり、トイレ1の便座12に着座する場合に、トイレ1の便座12への着座時はほとんど姿勢が変わらないため、測定値が安定しやすい。
【0033】
次に、ステップS12において、使用者は、脂質濃度測定装置2のスイッチをONにする。脂質濃度測定装置2のスイッチがONになることで、脂質濃度測定装置2は、測定モードに移行し、測定可能状態となる。スイッチのONは、使用者が手動で行ってもよいし、使用者が便座12へ着座したことに連動させて自動的に行ってもよい。ここで、使用者の手首を手首固定部3の凹部31へ誘導する音声アナウンスがあってもよい。また、使用者を特定する選択ボタンにより使用者を特定する選択を行ってもよい。
【0034】
続けて、ステップS13において、使用者は、手首を凹部31に配置することで手首を測定位置に固定する。使用者は、手の甲を外側に向けて、手首の内側の血管をセンサ部4に向けた状態で、手首を手首固定部3の凹部31に配置する。この際、使用者が着座した状態で手を下ろすと、手首を便座12の側方の凹部31に配置できるため、凹部31により手首の前後方向及び上方側への移動が規制された状態で手首の位置を固定できる。これにより、手首から得られる脂質濃度(生体情報)を精度よく測定しやすい。また、トイレ1の便座12に着座した場合に測定することで、測定中の動きが少ない状態で測定できる。なお、使用者は、手首の前後方向の位置や角度を相対位置変更機構5(
図2参照)により変更してもよい。使用者の手首の前後方向の位置や角度を変更することで、使用者の手首から得られる脂質濃度を精度よく測定できる。
【0035】
そして、ステップS14において、脂質濃度測定装置2は、手首から得られる脂質濃度(生体情報)の測定を実行する。脂質濃度測定装置2における脂質濃度の測定は、手動の開始ボタンを押すことで開始されてもよいし、手首を認識した後に自動的に開始する機構を設けてもよい。測定開始から測定終了まで、凹部31により手首の前後方向及び上方側への移動が規制されているため、脂質濃度を精度よく測定できる。測定開始から測定終了まで使用者の手首を動かさないように、ベルトやバンドなどの固定具を併用してもよい。脂質濃度測定装置2による測定終了時に、測定終了を知らせるための通知音を鳴らす構成としてもよい。
【0036】
次に、ステップS15において、脂質濃度測定装置2は、測定された脂質濃度を表示部に表示すると共に保存する。例えば、脂質濃度測定装置2により測定された脂質濃度は、自動的に又は手動で、脂質濃度測定装置2の記憶部や、インターネット経由でクラウドや遠隔サーバなどに保存される。測定された脂質濃度は、脂質濃度測定装置2に設けた表示部に表示させてもよいし、脂質濃度測定装置2と通信が可能な端末の表示部に表示させてもよい。また、インターネット経由でクラウドや遠隔サーバなどに測定された脂質濃度を保存した場合には、測定された脂質濃度をインターネット経由で携帯端末などに表示させてもよい。
【0037】
そして、ステップS16において、使用者が便座12から立ち上がることにより、脂質濃度測定装置2の測定モードが終了する。
【0038】
以上の脂質濃度測定装置2によれば、使用者が脂質濃度を測定する場合に、トイレ1の便座12の側方に配置される手首固定部3に使用者の手首を配置するだけで、手首を一定の位置に毎回固定できる。よって、使用者の手首から得られる脂質濃度を、容易に、精度よく測定できる。また、日常生活において使用者が使用するトイレ1において脂質濃度を測定することで、生活の一部として日常生活の中で脂質濃度の測定及び記録を習慣化して継続できる。
【0039】
次に、本開示の第2実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。第2実施形態においては、脂質濃度測定装置2Aの手首固定部3Aの構成が、第1実施形態の脂質濃度測定装置2の手首固定部3の構成とは主に異なる。第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、図面において同じ符号を付け、その説明を省略する。
【0040】
第2実施形態の脂質濃度測定装置2Aは、
図4及び
図5に示すように、手首固定部3Aと、センサ部4Aと、を備える。手首固定部3Aは、断面形状がL字状に形成され、縦板部351と、底板部352(載置部)と、を有する。
【0041】
縦板部351は、便座12の側方において、左右方向に厚みを有し、上下方向及び前後方向に延びる板状に形成される。縦板部351の上下方向の途中において、縦板部351の左右方向の外側の面には、センサ部4Aが設けられる。センサ部4Aに手首の内側を向けることで、手首の内側の血管中の血液から、脂質濃度を得ることができる。
【0042】
底板部352は、縦板部351の下端部から、左右方向の外側に延びる。底板部352は、上下方向に厚みを有し、前後方向及び左右方向に延びる板状に形成される。底板部352には、便座12に着座した使用者の手首の内側をセンサ部4Aに向けた状態で手の平を載置可能である。これにより、手首固定部3Aは、底板部352に使用者の手が載置されることで、使用者の手首の位置を固定する。
【0043】
手首固定部3Aは、図示しない昇降装置により、
図5及び
図6に示すように、上下方向に移動可能である。昇降機構は、使用者の手の上下方向への移動に連動して手首固定部3Aを上下方向に移動させる。
【0044】
第2実施形態の脂質濃度測定装置2Aにより脂質濃度を測定する工程について説明する。
【0045】
第2実施形態においては、第1実施形態と比べて、第1実施形態の
図3に示す脂質濃度測定装置2により脂質濃度を測定する工程において、ステップS13の手首を測定位置に固定する工程が主に異なる。そのため、第2実施形態では、ステップS13の工程に代わる内容のみ説明する。第2実施形態の工程においても、第1実施形態のステップS11、S12、S14~S16は、同様であるため、その説明を援用する。
【0046】
第2実施形態においては、第1実施形態のステップS13に代えて、使用者は、手を外側に広げて手首の内側をセンサ部4A側に向けた状態で手の平を手首固定部3Aの底板部352に載置する。また、手の平で底板部352を下側に押すことで、図示しない昇降機構により手首固定部3Aを下側に移動させる。
【0047】
これにより、手首の内側をセンサ部4Aに向けた状態で手の平を手首固定部3Aの底板部352に載置することで、手首の角度を固定して、手首の曲がり(手の甲の反り)を安定させることができる。また、底板部352に手を載置することで、血管を浮き出させて、かつ、血管の浮き出し方を安定させた状態で、センサ部4Aにより、使用者の手首の内側の血管中の血液から、脂質濃度を精度よく測定できる。
【0048】
また、昇降機構により使用者の腕の長さに応じて手首固定部3Aの上下方向の位置を変更することで、手首の上下方向の固定位置を調整できる。よって、使用者の腕の長さに応じて、手首を安定させた状態で脂質濃度を精度よく測定できる。
【0049】
次に、本開示の第3実施形態~第10実施形態について図面を参照しながら説明する。第3実施形態~第10実施形態について、第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成については、図面において同じ符号を付け、その説明を省略する。
【0050】
第3実施形態について説明する。
図7に示すように、第3実施形態の脂質濃度測定装置2Bは、手首固定部3Bと、センサ部4Bと、を備える。手首固定部3Bは、第1実施形態の手首固定部3の凹部31と同様の凹部31Bを有する。センサ部4Bは、静脈サーチセンサ411と、脂質濃度測定センサ412と、を有する。
【0051】
静脈サーチセンサ411及び脂質濃度測定センサ412は、それぞれ、スポット光を照射して反射光を受光するスポット型センサにより構成される。
【0052】
第4実施形態について説明する。
図8に示すように、第4実施形態の脂質濃度測定装置2Dは、跳ね上げ式手すり61に設けられる。跳ね上げ式手すり61は、回転支持アーム611と、手すり部612と、を有する。
【0053】
手すり部612は、前後方向に延びる直方体形状に形成される。回転支持アーム611は、一端が便器11の側部に回転軸Jを中心に回転可能に接続されると共に、他端が手すり部612に接続される。回転支持アーム611は、一端が便器11の側部に回転軸Jを中心に回転可能に接続されることで、手すり部612を、トイレ1の下方側に配置する下方側位置と、トイレ1の上方側に位置して肘から先の腕を配置可能な上方側位置と、に回転移動させることが可能である。回転支持アーム611は、スローダウン機構を有し、腕により手すり部612が押されることで、回転軸Jを中心に回転して、上下方向に移動可能である。
【0054】
脂質濃度測定装置2Dは、手すり部612と、手首固定部3Dと、肘固定部613と、センサ部4Dと、を有して構成される。手首固定部3Dは、手すり部612の前方側の端部から所定距離だけ後方側の位置において、使用者が便座12に着座して手すり部612に腕を配置した場合に手首が配置される位置に設けられる。手首固定部3Dは、凹部31Dを有する。凹部31Dは、上方に向けて開放する円弧状に形成され、手首の左右方向及び前後方向の移動を規制する。センサ部4Dは、凹部31Dに設けられる。
【0055】
肘固定部613は、手すり部612の後方側の端部において上方に突出する。肘固定部613は、手首を手首固定部3Dに固定した状態において、肘の後方側に配置され、肘の後方側への移動を規制する。これにより、手首の後方側への移動を規制できる。
【0056】
以上の脂質濃度測定装置2Dは、手首固定部3Dにより手首を固定すると共に、肘固定部613により使用者の肘の位置を固定することで腕を固定した状態で、精度よく脂質濃度を測定できる。また、手すり部612に腕の全体を載せて配置できるため、手首のねじれや屈曲が生じにくい。手すり部612の上に腕を載せるので、自然な姿勢で脂質濃度を測定できる。
【0057】
第5実施形態について説明する。
図9に示すように、第5実施形態の脂質濃度測定装置2Eは、
図8に示す第4実施形態の脂質濃度測定装置2Dにおける肘固定部613及び手首固定部3Dを備えていない。
【0058】
脂質濃度測定装置2Eは、手すり部612と、先端側手首固定部3Eと、センサ部4Eと、を有して構成される。先端側手首固定部3Eは、手すり部612の前方側の先端部により構成される。使用者は、手すり部612に腕を配置した状態で、手すり部612の先端の先端側手首固定部3Eを指で持つことで、手首を固定できる。
【0059】
センサ部4Eは、手すり部612の前後方向の途中位置において、使用者が先端側手首固定部3Eを指で持った場合に手首の内側が配置される位置に設けられる。
【0060】
以上の脂質濃度測定装置2Eは、使用者が手すり部612の先端の先端側手首固定部3Eを手で持つことで手首を固定でき、位置ずれが少なく、自然と手首の内側がセンサ部4E側に向いて接触しやすい。また、手すり部612に腕の全体を載せて配置できるため、手首のねじれや屈曲が生じにくい。手すり部612の上に腕を載せるので、自然な姿勢で脂質濃度を測定できる。なお、前記構成に加えて、先端側手首固定部3Eの周辺に指先や手首をガイドするガイド部を設けることで、位置ずれを小さくすることもできる。
【0061】
第6実施形態について説明する。
図10に示すように、第6実施形態の脂質濃度測定装置2Fは、便座12の側方に取り付けられる支持部62と、グリップ部3F(手首固定部)と、センサ部4Fと、を有する。支持部62は、前後方向及び上下方向に延びて形成され便座12の側方に固定される固定板621と、固定板621の後方側の端部から側方に突出すると共に上下方向に延びる側方板622と、を有する。
【0062】
グリップ部3Fは、側方板622の前側の面から前側に突出する棒状に形成される。使用者がグリップ部3Fを握ることで、手首の内側の部分をセンサ部4Fに向けることができる。センサ部4Fは、固定板621において、使用者がグリップ部3Fを握った場合に手首の内側が配置される位置に設けられる。
【0063】
以上の脂質濃度測定装置2Fは、使用者がグリップ部3Fを握ることで、手首の内側をセンサ部4Fに向けた状態で、手首の位置を固定できる。これにより、脂質濃度測定装置2Fにおいては、手首の内側をセンサ部4Fに容易に向けることができ、かつ、手首の位置がずれにくくなる。
【0064】
第7実施形態について説明する。
図11に示すように、第7実施形態の脂質濃度測定装置2Gは、手首固定部3Gと、センサ部4Gと、通知部21と、を備える。手首固定部3Gは、第1実施形態の手首固定部3の凹部31と同様の構成の凹部31Gを有する。
【0065】
センサ部4Gは、血管を検知する静脈センサ431と、中性脂肪などの脂質濃度を測定する脂質濃度測定センサ432と、を有する。静脈センサ431及び脂質濃度測定センサ432は、凹部31Gの内部側に設けられる。
【0066】
静脈センサ431は、凹部31Gにおいて手首の位置が固定された状態で、手首の内側がかざされた場合に、血管を検知できる。静脈センサ431は、例えば、上下左右において、±1mmの範囲での位置ずれを検知可能である。また、静脈センサ431により血管を検知して静脈認証を行うことができるため、個人を識別可能である。
【0067】
通知部21は、静脈センサ431により血管が検知された場合に通知情報を通知する。通知部21により通知される通知情報としては、例えば、音声、音、光などを挙げることができる。使用者は、通知部21による通知情報の通知に従って手首の位置を移動させることで、手首固定部3Gにおいて血管を検知できる正しい位置に手首を誘導させることができる。これにより、手首を手首固定部3Gの正しい位置に配置した状態で、脂質濃度測定センサ432により、脂質濃度を精度よく測定できる。
【0068】
第8実施形態について説明する。
図12に示すように、第8実施形態の脂質濃度測定装置2Hは、手首固定部3Hと、センサ部4Hと、を備える。センサ部4Hは、便座12の側部に設けられる。センサ部4Hは、使用者が便座12に着座して手首の内側を便座12側に向けた状態で腕を自然に下ろした場合に、便座12の側部において手首の内側が対向する位置に設けられる。
【0069】
手首固定部3Hは、便座12の側部から側方に突出するブロック状に形成される。手首固定部3Hは、側面視で、四角形状に形成され、使用者が手首の内側を便座12側に向けた状態で腕を自然に下ろした場合に、手首の前方側に配置されるように設けられる。これにより、手首固定部3Hは、手首の前方側への移動を規制する。
【0070】
手首固定部3Hは、後方側の下部に形成される角部32を有する。角部32は、使用者が手首の内側を便座12側に向けた状態で腕を自然に下ろした場合に、親指の前方側の付け根の部分が引っ掛かるように構成され、手首の上方側への移動を規制する。
【0071】
以上の脂質濃度測定装置2Hは、手首固定部3Hにより、手首の前方側への移動を規制すると共に、手首の上方側への移動を規制した状態で、手首を固定できる。これにより、使用者の脂質濃度を精度よく測定できる。
【0072】
第9実施形態について説明する。
図13に示すように、第9実施形態の脂質濃度測定装置2Iは、第8実施形態の脂質濃度測定装置2Hの手首固定部3H及びセンサ部4Hに加えて、下部引っ掛け固定部3I(手首規制部)を有する。
【0073】
下部引っ掛け固定部3Iは、手首固定部3Hから下方に延びる延在板331と、延在板331の側部から側方の外側に突出する突出部332と、を有する。下部引っ掛け固定部3Iは、使用者が手首の内側を便座12側に向けた状態で腕を自然に下ろした場合に、親指と人差し指の間の付け根の部分が引っ掛かるように構成され、手首の下方側への移動を規制する。
【0074】
以上の脂質濃度測定装置2Iは、手首固定部3Hにより、手首の前方側及び上方側への移動を規制すると共に、下部引っ掛け固定部3Iにより、手首の下方側への移動を規制した状態で、手首を固定できる。これにより、使用者の脂質濃度を精度よく測定できる。
【0075】
第10実施形態について説明する。
図14に示すように、第10実施形態の脂質濃度測定装置2Jは、既存のトイレ1に後付けで配置できる測定ユニット7の一部として構成される。
【0076】
測定ユニット7は、便器11と便座12との間に配置され厚みを有する環状の環状取付部71と、環状取付部71の側方に設けられる脂質濃度測定装置2Jと、を備える。環状取付部71及び脂質濃度測定装置2Jは、一体で構成される。脂質濃度測定装置2Jは、第1実施形態の脂質濃度測定装置2と同様に構成され、手首固定部3及びセンサ部4を備える。
【0077】
以上の脂質濃度測定装置2Jを備える測定ユニット7を構成することで、既存のトイレ1を利用して、便器11と便座12の間に挟み込む形で測定ユニット7を設置し、その測定ユニット7中に組み込まれた脂質濃度測定装置2Jにより、脂質濃度(生体情報)を測定できる。また、測定ユニット7に体重測定機能などの様々な機能を設けることができる。これにより、測定ユニット7を、健康管理ユニットとして構成することができる。
【0078】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0079】
例えば、前記実施形態においては、脂質濃度測定装置2~2Jをトイレ1に設けたが、これに限定されない。脂質濃度測定装置2~2Jを、例えば、住宅設備機器メーカなどが扱うキッチン、浴室、洗面所などに設けられた住宅設備に設けてもよい。例えば、脂質濃度測定装置2~2Jを洗面所に設けた洗面化粧台に設けた場合には、洗面化粧台で立ちながら測定することもできる。
【0080】
前記実施形態においては、使用者の生体情報として、脂質濃度を例に説明したが、これに限定されない。生体情報として、血管中の血液から得られる情報や、血管の脈の振動などの血管の状態から得られる情報などがある。
【0081】
生体情報としては、脂質濃度の他に、例えば、血糖値、コレステロール値、血中酸素濃度値、体脂肪、心拍数、血圧、脈波および脈波に基づく交感神経と副交感神経などを挙げることができる。血管中の血液の成分や血管の状態から、各測定値を得ることで、生体情報を得ることができる。各生体情報の取得には、取得する生体情報によりセンサ部の光の種類や強度や解析方法が異なるため、取得する生体情報に適したセンサ部を用いる。血管の脈の振動を検知して測定するセンサ部を用いることで、例えば血圧を推定することも可能である。
【0082】
前記第1実施形態においては、脂質濃度測定装置2の手首固定部3に凹部31(手首規制部)を設けている。前記第2実施形態においては、脂質濃度測定装置2Aの手首固定部3Aに底板部(載置部)を設けると共に、手首固定部3Aを昇降機構により上下方向に移動可能に構成している。これらの構成が別々の脂質濃度測定装置に設けられることに限定されず、第1実施形態の手首固定部3の凹部31(手首規制部)と、第2実施形態の手首固定部3Aの底板部(載置部)及び昇降機構と、を併せて備えた脂質濃度測定装置(生体情報測定装置)としてもよい。
【0083】
前記第1実施形態~前記第9実施形態のように、脂質濃度測定装置2~2Iをトイレ1の製造時に最初からトイレ1に組み込んで製造してもよいし、
図14に示す前記第10実施形態のように、脂質濃度測定装置2Jを備える測定ユニット7を、既設のトイレ1に後付けで取り付けてもよい。このように、便器11と便座12の間に挟み込む形で測定ユニット7を設置し、その測定ユニット7中に脂質濃度測定装置2Jを組み込むことができる。脂質濃度測定装置2をトイレ1の製造時に最初からトイレ1に組み込んで製造する場合には、トイレ1をスッキリと構成でき、二重の手間や費用の発生がないというメリットがある。脂質濃度測定装置2Jを既設のトイレ1に後付けで取り付ける場合には、今まで使用していたトイレ1に脂質濃度測定装置2Jを新たに追加できるというメリットがある。
【0084】
前記第2実施形態においては、第1実施形態の相対位置変更機構5(スライド機構、角度変更機構)を設けていないが、前記第2実施形態において、第1実施形態の相対位置変更機構5(スライド機構、角度変更機構)を、便座12の側部と手首固定部3Aとの間に設けてもよい。
【0085】
前記第1実施形態において、脂質濃度測定装置2に、使用者が下ろした手とセンサ部4との間にスペースが出来ないように、遮光目的で、手首固定部3を所定角度傾斜させる機構を設けてもよい。これにより、センサ部4に外光が入り込むことを抑制して、測定精度を向上できる。
【0086】
前記第1実施形態において、脂質濃度測定装置2に、手首固定部3の円弧状の凹部31の円弧の長さを調整する機構を設けてもよい。
【0087】
前記実施形態の脂質濃度測定装置2を、トイレ1から取り外し可能に構成してもよい。これにより、トイレ1から取り外した脂質濃度測定装置2単体で、脂質濃度(生体情報)を測定できる。
【0088】
前記実施形態において、脂質濃度測定装置2は、通知音を発することができる通知部を備えていてもよい。例えば、手首の血管を自動で検出するサーチ動作を開始するときや、手首において得られる脂質濃度(生体情報)の解析の開始時/終了時や、センサ部4の表面が汚れたときに、通知音などが出るように構成してもよい。
【0089】
前記実施形態においては、脂質濃度測定装置2~2Jを、便座12に着座した使用者から見て左側に設けたが、これに限定されず、使用者から見て右側に設けてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 トイレ(住宅設備)、2~2J 脂質濃度測定装置(生体情報測定装置)、3,3A 手首固定部、4 センサ部、5 相対位置変更機構、12 便座(着座部)、311 凹部(手首規制部)、352 底板部(載置部)