(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129871
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】フィーダおよび部品実装装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H05K13/02 F
H05K13/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039236
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽場 直也
(72)【発明者】
【氏名】住田 寛人
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353BB01
5E353GG01
5E353HH42
5E353HH46
5E353HH47
5E353HH48
5E353JJ21
5E353JJ48
5E353QQ11
5E353QQ21
5E353QQ30
(57)【要約】
【課題】部品詰まりを防止して部品の損傷を防ぎつつ、部品を確実に部品供給位置に供給することができるフィーダおよび部品実装装置を提供することを目的とする。
【解決手段】複数の部品BHを一列に整列させた状態で部品供給位置に向けて搬送するフィーダ16が、受容した複数の部品BHを一列に整列させて排出する整列部と、整列部から排出された部品BHを部品供給位置に導く部品搬送路24を備える。整列部は、鉛直軸EJに対して傾斜した軸線JSまわりに回転する回転子22を軸線JSに沿った方向に貫通して延びる貫通孔22Hから成り、貫通孔22Hは部品BHを受容する上側の開口(部品受容口)から部品BHを排出する下側の開口(部品排出口)に向かって内径が小さくなる形状に形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品を一列に整列させた状態で部品供給位置に向けて搬送するフィーダであって、
受容した複数の部品を一列に整列させて排出する整列部と、
前記整列部から排出された部品を前記部品供給位置に導く部品搬送路と、を備え、
前記整列部は、鉛直軸に対して傾斜した軸線まわりに回転する回転子を前記軸線に沿った方向に貫通して延びる貫通孔から成り、前記貫通孔は部品を受容する上側の開口から部品を排出する下側の開口に向かって内径が小さくなる内面形状を有する、フィーダ。
【請求項2】
前記部品搬送路は、前記整列部から前記軸線に沿った方向に排出された部品の姿勢が水平姿勢になるように部品をガイドする第1搬送路と、前記第1搬送路で水平姿勢になった部品が水平面内方向に搬送されるように部品をガイドする第2搬送路と、を有する、請求項1に記載のフィーダ。
【請求項3】
前記第1搬送路は鉛直面内で湾曲する形状を有し、部品を前記第2搬送路よりも低い位置に位置させることなく前記第2搬送路に導く、請求項2に記載のフィーダ。
【請求項4】
前記回転子はエアの供給を受けて回転する、請求項1に記載のフィーダ。
【請求項5】
前記回転子を回転させるエアを前記部品搬送路内に流入させることによって、前記部品搬送路内の部品を前記部品供給位置に向けて搬送する、請求項4に記載のフィーダ。
【請求項6】
前記回転子を経由しないエアを前記部品搬送路内に供給することによって、前記部品搬送路内の部品が前記部品供給位置に向けて搬送されるのをアシストする、請求項4に記載のフィーダ。
【請求項7】
前記軸線は鉛直軸から45~60度の間の角度で傾斜している、請求項1に記載のフィーダ。
【請求項8】
前記貫通孔の上方に複数の部品を収納した部品収納部が保持されており、前記貫通孔は、前記部品収納部から流出した部品を受容する、請求項1に記載のフィーダ。
【請求項9】
前記部品収納部と前記貫通孔との間に、前記部品収納部から流出した部品を前記貫通孔に誘導する誘導路を備えた、請求項8に記載のフィーダ。
【請求項10】
前記部品収納部は前記誘導路から鉛直方向にオフセットして設けられている、請求項9に記載のフィーダ。
【請求項11】
請求項1に記載のフィーダと、前記フィーダにより前記部品供給位置に供給された部品を部品装着対象に装着する装着ヘッドと、を備えた部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の部品を一列に整列させた状態で部品供給位置に搬送するフィーダおよびこのフィーダが供給する部品を部品装着対象に装着する部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装着ヘッドにより部品をピックアップして基板等の部品装着対象に装着する部品実装装置に部品を供給するフィーダ(パーツフィーダ)として、特許文献1に開示されたものが知られている。特許文献1のフィーダは、部品を収容する収容部と、収容部の底部に設けられ、部品を自重により落下させる挿通孔と、収容部の底部に配設された撹拌部材を備えている。撹拌部材は、一部が底部から露出するとともに外周面に凹凸部が設けられ、流動状態の空気を凹凸部に作用させることで、挿通孔を軸心として回転される。撹拌部材は収容部から受容した部品を回転動作によって撹拌し、挿通孔を通して部品を整列させて落下させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、部品が挿通孔の入口付近に集中して重なり合い、相互の重量で押し合うことによって挿通路の入口が閉塞されてしまう部品詰まりが生じ得る。部品詰まりは撹拌部材による部品の撹拌性能に支障をきたすだけでなく、部品の取り出し確率(挿通孔を通して部品が落下する確率)が低下するため、部品が部品供給位置に供給されない不具合が生じ得る。また、部品が挿通孔の入口付近で重なり合うと、部品同士が互いに擦れ合って電極部分の黒色化や割れ、欠け等が生じ易くなり、部品の品質、ひいては生産される部品実装製品の品質が低下するおそれもある。
【0005】
そこで本発明は、部品詰まりを防止して部品の損傷を防ぎつつ、部品を確実に部品供給位置に供給することができるフィーダおよび部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフィーダは、複数の部品を一列に整列させた状態で部品供給位置に向けて搬送するフィーダであって、受容した複数の部品を一列に整列させて排出する整列部と、前記整列部から排出された部品を前記部品供給位置に導く部品搬送路と、を備え、前記整列部は、鉛直軸に対して傾斜した軸線まわりに回転する回転子を前記軸線に沿った方向に貫通して延びる貫通孔から成り、前記貫通孔は部品を受容する上側の開口から部品を排出する下側の開口に向かって内径が小さくなる内面形状を有する。
【0007】
本発明の部品実装装置は、上記本発明のフィーダと、前記フィーダにより前記部品供給位置に供給された部品を部品装着対象に装着する装着ヘッドと、を備えた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、部品詰まりを防止して部品の損傷を防ぎつつ、部品を確実に部品供給位置に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態における部品実装装置の概略側面図
【
図2】本発明の一実施の形態における部品実装装置が備えるフィーダの側面図
【
図3】本発明の一実施の形態におけるフィーダの
図2中の領域RY1の拡大図
【
図4】本発明の一実施の形態におけるフィーダの
図3中の領域RY2の拡大図
【
図5】本発明の一実施の形態におけるフィーダの
図4中の矢視V1-V1断面図
【
図6】(a)本発明の一実施の形態におけるフィーダが備える部品搬送路の模式的構成図(b)本発明の一実施の形態におけるフィーダとの比較のために例示する部品搬送路の模式的構成図
【
図7】本発明の一実施の形態におけるフィーダの一部の断面図
【
図8】本発明の一実施の形態におけるフィーダの
図7中の矢視V2-V2断面図
【
図9】本発明の一実施の形態の変形例におけるフィーダの一部を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の一実施の形態における部品実装装置1を示している。本実施の形態では説明の便宜上、
図1の紙面に垂直な方向を部品実装装置1のX方向、紙面における左右方向を部品実装装置1の前後方向(紙面の左方を前、右方を後)、紙面における上下方向を部品実装装置1の上下方向とする。
【0011】
図1において、部品実装装置1は、基台11上に基板搬送部12を備えている。基板搬送部12は一対のコンベア12aから成る。基板搬送部12は、部品装着対象としての基板KBをX方向に搬送し、所定の作業位置に位置決めする。
【0012】
基台11には基台カバー13が取り付けられている。基台カバー13は基台11の上方空間を覆っている。基板搬送部12の上方の基台カバー13によって覆われた空間内には、装着ヘッド14が設けられている。装着ヘッド14は下方に延びた複数のノズル14Nを備えている。装着ヘッド14は各ノズル14Nの下端に真空吸着力を発生させることができる。装着ヘッド14は、図示しないヘッド移動機構によって水平面(XY面)内方向に移動される。
【0013】
図1において、基台11にはフィーダ取付けプレート15が設けられている。フィーダ取付けプレート15にはフィーダ16が着脱自在に取り付けられている。フィーダ16はフィーダ取付けプレート15に複数台、X方向に並べて取り付けることができる。
【0014】
各フィーダ16には、部品収納部17が取り付けられている。部品収納部17には多数の部品BHが収納されている。部品収納部17は下端に部品流出口17Kを有している(
図2)。部品流出口17Kは図示しないシャッタにより開閉することができ、シャッタが開放状態にされると、部品収納部17内の部品BHが部品流出口17Kから下方に(すなわち部品収納部17の外に)流出する。部品収納部17はフィーダ16に固定されて部品BHが投入されるホッパであってもよいし、部品BHが予め収納されていてフィーダ16に着脱自在に取り付けられるカートリッジであってもよい。
【0015】
各フィーダ16は、部品収納部17から流出した複数の部品BHを受容し、一列に整列させた状態で前方(基板搬送部12側)に搬送する。フィーダ16の前端部には部品供給位置16Tが設定されており、その部品供給位置16Tに部品BHを位置させることで、装着ヘッド14に部品BHを供給する。
【0016】
図1において、部品実装装置1は、基台11内に制御装置18を備えている。制御装置18は部品実装装置1の各部の動作制御を行う。具体的には、制御装置18は、基板搬送部12を作動させて基板KBの搬送と所定位置への位置決めを行う。また制御装置18は、フィーダ取付けプレート15に取り付けられた複数のフィーダ16それぞれを作動させて、そのフィーダ16の部品供給位置16Tに部品BHを供給させる。
【0017】
制御装置18はまた、ヘッド移動機構を作動させて装着ヘッド14を移動させ、各フィーダ16が部品供給位置16Tに供給する部品BHをノズル14Nに吸着(ピックアップ)させる。各フィーダ16はフィーダ取付けプレート15に取り付けられることによって制御装置18と電気的に接続され、制御装置18からの指令を受け得るようになる。
【0018】
このような構成の部品実装装置1が基板KBに部品BHを実装する部品実装作業を行う場合には、先ず、基板搬送部12が制御装置18によって制御されて作動し、部品実装装置1の外部から供給される基板KBを受け取って搬入する。そして、基板搬送部12が基台11上の所定の作業位置に基板KBを位置決めしたら、装着ヘッド14が制御装置18に制御されて動作し、装着ターンを繰り返し実行する。
【0019】
装着ターンは、フィーダ16が部品供給位置16Tに供給する部品BHをノズル14Nにより吸着してピックアップした後、基板KBの上方に移動して基板KB上の所定位置に部品BHを装着する一連の動作から成る。装着ターンが繰り返し実行されて基板KBに装着されるべき部品BHが全て装着されたら、基板搬送部12が作動して、基板KBを部品実装装置1の外部に搬出する。これにより基板KBの1枚当たりの部品実装作業が終了する。
【0020】
このような構成の部品実装装置1において、本実施の形態ではフィーダ16の構成に特徴があり、以下にその説明を行う。
【0021】
図2において、フィーダ16は、フィーダ取付けプレート15に着脱自在に取り付けられるベース部21に、回転子22、誘導部23、部品搬送路24および検出部25を備えている。
図3にも示すように、ベース部21の上部は部品収納部保持部26となっており、部品収納部17は、部品流出口17Kを下方に向けた姿勢で部品収納部保持部26に保持されている。
【0022】
図3および
図4において、回転子22は、外形が円筒形状を有する回転子本体31と、回転子本体31の外周面に取り付けられた複数の羽根部32を備えている。回転子22は、ベース部21に形成されたほぼ円筒状の内壁を有する回転子収納室21R内に収納されており、回転子収納室21Rの円筒状の内壁の軸線を回転中心として回転自在になっている。本実施の形態では、回転子収納室21Rの円筒状の内壁の軸線は、
図4に示すように、鉛直軸EJに対して所定の角度Θ(Θは、好ましくは45~60度の間の角度)で傾斜した軸線JSに沿って延びている。従って回転子22は、鉛直軸EJに対して角度Θで傾斜した軸線JSまわりに回転することができる。
【0023】
図2、
図3および
図4において、回転子22は、その回転中心となる軸線JSに沿った方向に貫通して延びた貫通孔22Hを有している。貫通孔22Hは、内径が上側の開口から下側の開口に向かって小さくなる(すなわち下方に向かって窄まる円錐状の)内面形状を有する。貫通孔22Hの上側の開口は、部品収納部17から流出した部品BHを受容する部品受容口22Kとして機能する。また、貫通孔22Hの下側の開口は、貫通孔22H内の部品BHを排出する部品排出口22Eとして機能する。
【0024】
図2、
図3および
図4において、誘導部23は、ベース部21の回転子収納室21Rと部品収納部17との間の位置に設けられている。誘導部23には、回転子収納室21Rの円錐形状の内壁に滑らかに連接する円錐形状の内壁面が形成されている。この内壁面によって囲まれる空間が誘導路23Sである。誘導路23Sは、部品収納部17の部品流出口17Kから流出した部品BHを貫通孔22Hの部品受容口22Kに誘導する。
【0025】
このように本実施の形態におけるフィーダ16は、部品収納部17と貫通孔22H(詳細には部品受容口22K)との間に、部品収納部17から流出した部品BHを貫通孔22H(部品受容口22K)に誘導する誘導路23Sを備えた構成となっている。
【0026】
図2、
図3および
図4において、ベース部21内には、回転子収納室21Rに繋がる第1エア管路41が形成されている。詳細には、第1エア管路41は、
図5に示すように、回転子収納室21Rの端部に、軸線JSに対して直交する方向から延びて繋がっている。
【0027】
第1エア管路41は
図2に示すように、ベース部21の後部に設けられた正圧用コネクタ42に接続されている。正圧用コネクタ42は、正圧調圧バルブ43を介してフィーダ16の外部に設けられた正圧エア源44に繋がっている。正圧エア源44から供給された正圧エアA1は、正圧調圧バルブ43によって所定の圧力(正圧)に調圧された状態で、第1エア管路41に流入する。
【0028】
図5に示すように、第1エア管路41に流入した正圧エアA1は回転子収納室21R内に入り、回転子22の羽根部32を押圧する。これにより回転子22は回転子収納室21R内で、軸線JSを中心にして回転する(
図5中に示す矢印R)。回転子22を押圧する正圧エアA1は、その流速が比較的低い値(低速)となるように設定されており、回転子22は低速度で回転する。
【0029】
部品収納部17から流出した部品BHは誘導部23の内壁面(誘導路23S)に誘導されて、部品受容口22Kから貫通孔22H内に入る。この状態で回転子22が低速度で回転すると、貫通孔22H内の部品BHはゆっくりと撹拌される。これにより貫通孔22H内の部品BHの一部は、貫通孔22Hの円錐形状の内壁面の最も低い位置に位置する母線BS(
図4)に沿った位置に一列に整列し、その整列状態を維持する。
【0030】
このように本実施の形態において、回転子22の貫通孔22H内の複数の部品BHは、回転子22が鉛直軸EJから傾斜した軸線JSまわりに回転することによって、貫通孔22H内で一列に整列されるようになっている。すなわち本実施の形態において、回転子22の貫通孔22Hは、部品収納部17から受容した複数の部品BHを一列に整列させて排出する整列部として機能する。
【0031】
部品搬送路24は、回転子22の貫通孔22Hから(すなわち整列部から)排出された部品BHを部品供給位置16Tに導く(ガイドする)機能を有する。部品搬送路24は、
図2および
図3に示すように、第1搬送路51と第2搬送路52を備えている。
【0032】
貫通孔22H内で一列に整列された複数の部品BHは、貫通孔22Hの下側の開口(部品排出口22E)から軸線JSに沿った方向に排出され、第1搬送路51の始端(上流側端)である部品入口51G(
図3および
図6(a))から第1搬送路51内に入る。第1搬送路51は、貫通孔22Hから(すなわち整列部から)軸線JSに沿った方向に排出された部品BHの姿勢が水平姿勢になるように部品BHをガイドする。第1搬送路51は第2搬送路52の始端52Gと滑らかに繋がっている(
図3および
図6(a))。第2搬送路52は、第1搬送路51で水平姿勢になった部品BHが水平姿勢のまま、部品供給位置まで水平面(XY面)内方向に搬送されるようにガイドする。
【0033】
図6(a)に示すように、第1搬送路51は鉛直面(YZ面)内で湾曲する形状を有しており、部品BHを第2搬送路52よりも低い位置に位置させることなく第2搬送路52に導く。第2搬送路52はベース部21の上面に開口してY方向に延びる溝として形成されている。第2搬送路52の上面側の開口は、
図2および
図7に示すように、ベース部21の上面に取り付けられたベース部上面カバー21Cによって封止されている(
図8も参照)。
【0034】
図4において、第1エア管路41から回転子収納室21R内に流入して回転子22の羽根部32を押圧した正圧エアA1の一部は、回転子収納室21Rを下方に抜けて進む。そして、部品搬送路24の第1搬送路51に流入し、貫通孔22Hを通過して部品搬送路24に入った部品BHを下方に(すなわち部品供給位置16T側に)押圧する。このため部品搬送路24内に入った複数の部品BHは、一列に連なった状態で、部品供給位置16Tに向かって進行する。
【0035】
このように本実施の形態において、回転子22はエア(正圧エアA1)の供給を受けて回転し、回転子22を回転させるエア(正圧エアA1)を部品搬送路24内に流入させることによって、部品搬送路24内の部品BHをエアで押圧して部品供給位置16Tに向けて搬送するようになっている。
【0036】
図2において、ベース部21の内部には、第1エア管路41から分岐した分岐エア管路45が設けられている。分岐エア管路45は、第2搬送路52の一部の下面側に接続されている。分岐エア管路45には、回転子収納室21Rを(すなわち回転子22を)経由しない正圧エアA1が供給される。このため第2搬送路52内の部品BHは、回転子22を経由して第1搬送路51内に供給される正圧エアA1だけでなく、回転子22を経由することなく分岐エア管路45内に供給される正圧エアA1によってアシストされて、部品供給位置16Tに向けて進行する。
【0037】
このように本実施形態では、回転子22を経由しないエア(正圧エアA1)を部品搬送路24内に供給することによって、部品搬送路24内の部品BHが部品供給位置16Tに向けて搬送されるのをアシストするようになっている。
【0038】
前述したように、本実施の形態では、鉛直面(YZ面)内で湾曲した形状を有する第1搬送路51が水平面(XZ面)内を延びる第2搬送路52と滑らかに接続しており、部品BHを第2搬送路52よりも低い位置にさせることなく、第2搬送路52に導くことができるようになっている(
図6(a))。これは、整列部である回転子22の貫通孔22Hが、鉛直軸EJと平行な軸線ではなく、鉛直軸EJから傾斜した軸線JSを中心に回転する構成を有することに起因している。
【0039】
図6(b)は、本実施の形態との比較のための比較例であり、回転子22が鉛直軸EJを中心に回転する構成である場合の部品搬送路24を示している。回転子22が鉛直軸EJを中心に回転する構成である場合には、実施の形態の場合と同じ第1搬送路51の湾曲部の曲率を維持しようとすると、第1搬送路51の始端(部品入口51G)と第2搬送路52との間の高さDを本実施の形態(
図6(a))の場合の高さD(=D0)より高くする必要があるため、フィーダ16が大型化してしまう。そこで比較例のように、第1搬送路51の始端(部品入口51G)と第2搬送路52との間の高さDを本実施の形態(
図6(a))の場合と同じ高さD(=D0)とし、かつ、実施の形態の場合と同じ第1搬送路51の湾曲部の曲率を維持しようとすると、回転子22から排出された部品BHを一旦、第2搬送路52よりも低い位置まで導いた後、第2搬送路52の高さまで復帰させる構成とせざるを得ない。そうすると、比較例では、部品搬送路24の全体のY方向の長さL(=L2)が本実施の形態の場合の長さL(=L1)よりも長くなってしまうだけでなく、第2搬送路52よりも低い位置に位置した部品BHを第2搬送路52の高さまで復帰させるために高い圧力の正圧エアA1が必要となる。
【0040】
これに対し、本実施の形態では、鉛直面(YZ面)内で湾曲した形状を有する第1搬送路51は水平面(XY面)内を延びる第2搬送路52と滑らかに接続し、しかも部品BHを第2搬送路52よりも低い位置にさせることなく第2搬送路52に導くことができるので(
図6(a))、第1搬送路51内に供給する正圧エアA1の大きさを小さく抑えることができる。
【0041】
図7において、部品搬送路24の第2搬送路52は、部品供給位置16Tの近傍領域においてX方向に滑らかに曲がり、その先端部はX方向に直線状に延びる部品搬送路終端領域52Wとなっている。部品搬送路終端領域52Wの先端部には、
図8に示すように、ベース部21の一部から成る壁面状のストッパ21Sが形成されている。
【0042】
図7および
図8において、ベース部21の上面に設けられたベース部上面カバー21Cのうちの一部は切り欠かれており、部品搬送路終端領域52Wのうち、ストッパ21SからX方向(詳細には部品搬送路終端領域52Wの上流側であり、
図7および
図8それぞれにおける紙面左側)に向けた部品BHの1つ分のスペースが上方に露出している。このため、部品搬送路終端領域52W内の複数の部品BHのうち、ストッパ21Sに当接した部品BHはベース部上面カバー21Cによって覆われず、上方に露出した状態となる(
図7および
図8)。このようにストッパ21Sに当接して上方に露出した状態となる部品BHは、部品実装装置1の装着ヘッド14によるピックアップ対象の部品BH(ピックアップ対象部品BHP)となる。
【0043】
図7および
図8において、ベース部21には、ベース部21の内部を延びてストッパ21Sに開口する第2エア管路61が開口している。第2エア管路61は
図2に示すように、ベース部21の後部に設けられた負圧用コネクタ62に接続されている。負圧用コネクタ62は、負圧調圧バルブ63を介してフィーダ16の外部に設けられた負圧エア源64に繋がっている。負圧エア源64から供給された負圧エアA2は、負圧調圧バルブ63によって所定の圧力(負圧)に調圧された状態で、第2エア管路61に流入する。
【0044】
図8に示すように、第2エア管路61に流入した負圧エアA2は、ストッパ21S側から部品搬送路終端領域52W内の部品BH(詳細には最もストッパ21Sに近い位置に位置する部品BH)を引き寄せてストッパ21Sに当接させる。負圧エアA2によって引き寄せられてストッパ21Sに当接された部品BHはピックアップ対象部品BHPとなり、装着ヘッド14によってピックアップされる。
【0045】
ピックアップ対象部品BHPが装着ヘッド14によってピックアップされると、ピックアップ対象部品BHPの次に先頭側に位置していた部品BHが負圧エアA2に引き寄せらせて新たなピックアップ対象部品BHPとなる。このため、部品搬送路終端領域52Wまで搬送されてきた部品BHは順番に負圧エアA2(
図8)の吸引力によって部品供給位置16Tに位置され、装着ヘッド14によってピックアップされていく。
【0046】
図2および
図7において、検出部25は、ベース部21内の部品供給位置16Tの近傍位置に設けられている。
図7に示すように、検出部25は投光器25aと受光器25bを備えている。投光器25aと受光器25bは、第2搬送路52上の、部品搬送路終端領域52Wのやや上流側の位置に設定された判定位置HP(
図7)を、第2搬送路52の両側から挟む(ここではX方向に挟む)位置に設けられている。
【0047】
図7に示すように、投光器25aは判定位置HPを通るように検査光25Lを投光する。受光器25bは第2搬送路52上の判定位置HPに部品BHが位置する場合には受光器25bは検査光25Lを受光し、判定位置HPに部品BHが位置しない場合には検査光25Lを受光しない。ここで、部品搬送路24内に複数の部品BHが一列に並んでいる場合、判定位置HPに部品BHがある状態は、部品供給位置16Tから判定位置HPまでの間に部品BHが連なっていることを意味し、判定位置HPに部品BHがない状態は、少なくとも判定位置HPよりも上流側には部品BHがないことを意味する。このため検出部25によれば、受光器25bが検査光25Lを受光するか否かによって、判定位置HPよりも上流側にも部品BHがあるか否かを判定することができる。
【0048】
上記の判定は、部品実装装置1の制御装置18が行う。制御装置18は、判定位置HPに部品BHが位置していないと判定した場合には、フィーダ16は部品不足の状態にあると判断する。
【0049】
制御装置18は、フィーダ16に部品BHの供給動作を行わせるときには、先ず、検出部25を通じて、フィーダ16が部品不足の状態にあるか否かを判断する。そして、フィーダ16が部品不足の状態にあると判断した場合には、正圧エア源44から第1エア管路41内に正圧エアA1を供給することにより、整列部(貫通孔22H)から部品BHが排出されるようにする。
【0050】
部品収納部17から流出した部品BHは誘導部23の内壁面(誘導路23S)を伝って貫通孔22Hの上側の開口(部品受容口22K)に受容される。制御装置18は、正圧エア源44から第1エア管路41内に正圧エアA1を供給するともに、負圧エア源64から第2エア管路61内に負圧エアA2を供給する。
【0051】
第1エア管路41内に供給された正圧エアA1の一部は回転子22を回転させる。これにより整列部である貫通孔22Hが鉛直軸EJから傾斜した軸線JSを中心に回転し、貫通孔22H内の部品BHは貫通孔22H内でゆっくりと撹拌されて、貫通孔22Hの内壁面の母線BSに沿って一列に整列する(
図4)。
【0052】
これら一列に整列した複数の部品BHは、その整列した状態を維持しつつ、回転子22(貫通孔22H)が回転することによる振動で、貫通孔22Hの下側の開口(部品排出口22E)からひとつずつ排出され、部品搬送路24の入口である第1搬送路51の上端(部品入口51G)にひとつずつ順番に入っていく。
【0053】
第1搬送路51の上端の部品入口51Gに入った部品BHは、回転子22を回転させた(回転子22を経由した)正圧エアA1が第1搬送路51に入ることによって、下方に(部品供給位置16Tに)向けて搬送される。そして、第2搬送路52の始端52Gを通過し、さらに後方に向かって進行して、部品搬送路終端領域52Wに到達する。
【0054】
部品搬送路終端領域52Wに到達した部品BHは、列の先頭の部品BHとなったところで第2エア管路61から供給される負圧によってストッパ21S側に引き寄せられ、部品供給位置16Tに位置される。このように部品収納部17から流出し、整列部(貫通孔22H)において一列に整列された部品BHは部品搬送路24にガイドされて部品供給位置16Tに搬送され、部品供給位置16Tにおいて装着ヘッド14によってピックアップされる。
【0055】
部品供給位置16Tに供給された部品BHが装着ヘッド14によって次々とピックアップされていき、部品搬送路24内を一列に並んだ複数の部品BHの最後尾(最上流側)に位置する部品BHが判定位置HPを下流側(部品搬送路終端領域52W側)に通過すると、検出部25は部品BHを検知しなくなる、そうすると、制御装置18はフィーダ16が部品不足の状態になったと判断し、正圧エア源44から第1エア管路41内に正圧エアA1を供給することにより、整列部(貫通孔22H)から部品BHが排出(部品搬送路24に部品BHが供給)されるようにする。
【0056】
上述したように、本実施の形態におけるフィーダ16では、部品収納部17から受容した複数の部品BHを一列に整列させて排出する整列部が、鉛直軸EJに対して傾斜した軸線JSまわりに回転する回転子22を軸線JSに沿った方向に貫通して延びる貫通孔22Hから成っている。貫通孔22Hは部品BHを受容する上側の開口(部品受容口22K)から部品BHを排出する下側の開口(部品排出口22E)に向かって内径が小さくなる内面形状を有している。
【0057】
このため、部品受容口22Kから貫通孔22H内に進入した複数の部品BHは、回転子22の回転によって撹拌されながら一列に整列され、その整列された状態を維持しつつ、部品排出口22Eから排出される。部品BHが整列される際、貫通孔22H内で1つの部品BHが立ち姿勢になるなどして部品排出口22Eが一時的に堰き止められたとしても、回転子22(すなわち貫通孔22H)は回転しているので、立ち姿勢となっていた部品BHは立ち姿勢の状態を維持できず、部品BHの堰き止め状態は解消される。
【0058】
また、貫通孔22H内で部品BH同士が重なり合った場合であっても、それらの部品BHの重量の大部分は貫通孔22Hの内面によって支えられるので、重なり合った複数の部品BHが相互の重量で押し合って部品排出口22Eが閉塞される事態が起きにくい。このため、部品BH同士が相互に擦れ合って電極部分が黒色化したり、割れや欠けが生じたりして部品BHの品質が低下するおそれも生じにくい。
【0059】
図9は、本実施の形態におけるフィーダ16の変形例を示している。この変形例では、部品収納部17は、誘導路23Sという基準に対して、鉛直方向に所定の距離(オフセット量OF)離れた位置に位置している。すなわち部品収納部17は、誘導部23から鉛直方向にオフセットして設けられた構成となっている。このように、部品収納部17が誘導部23から鉛直方向にオフセットして設けられていると、部品収納部17の部品流出口17Kから部品収納部17の外へ出た部品BHが誘導路23S上の部品BHと繋がって列を作る状況が起きにくくなる。このため、部品収納部17から貫通孔22Hの部品受容口22Kへの部品BHの受け渡しを、よりスムーズに行うことができる。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態におけるフィーダ16では、部品受容口22Kから貫通孔22H内に進入した複数の部品BHは、回転子22の回転によって撹拌されながら一列に整列され、その整列された状態を維持しつつ、部品排出口22Eから排出される。また、貫通孔22H内で部品BH同士が重なり合った場合であっても、それらの部品BHの重量の大部分は貫通孔22Hの内面によって支えられるので、重なり合った複数の部品BHが相互の重量で押し合って部品排出口22Eが閉塞される事態が起きにくく、このため、部品BH同士が相互に擦れ合って電極部分が黒色化したり、割れや欠けが生じたりして部品BHの品質が低下するおそれも生じにくい。よって本実施の形態におけるフィーダ16(部品実装装置1)によれば、部品詰まりを防止して部品BHの損傷を防ぎつつ、部品BHを確実に部品供給位置16Tに供給することができる。
【0061】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、正圧調圧バルブ43と負圧調圧バルブ63はベース部21の外部に設けられていたが、ベース部21の内部に設けられていてもよい。また、上述の実施の形態では、1つの分岐エア管路45は第2搬送路52の1箇所にのみ接続されていたが、複数の分岐エア管路45が第2搬送路52の複数箇所に接続されていてもよい。
【0062】
また、分岐エア管路45はベース部21の内部で分岐されていたが、ベース部21の外部で分岐されていてもよい。また、分岐エア管路45を通じて第2搬送路52に供給される正圧エアの圧力は、回転子22を回転させる正圧エアの圧力と同じである必要はない。このため、分岐エア管路45に供給する正圧エアの圧力を調圧するための調圧バルブを別途備えていてもよい。また、部品実装装置1において、フィーダ取付けプレート15は、複数のフィーダ16を一括して保持して基台11に対して着脱することができる台車部に設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
部品詰まりを防止して部品の損傷を防ぎつつ、部品を確実に部品供給位置に供給することができるフィーダおよび部品実装装置を提供する。
【符号の説明】
【0064】
1 部品実装装置
14 装着ヘッド
16 フィーダ
16T 部品供給位置
17 部品収納部
17K 部品流出口
21 ベース部
21R 回転子収納室
21S ストッパ
22 回転子
22H 貫通孔(整列部)
22K 部品受容口(上側の開口)
22E 部品排出口(下側の開口)
23 誘導部
23S 誘導路
24 部品搬送路
25 検出部
25a 投光器
25b 受光器
25L 検査光
41 第1エア管路
45 分岐エア管路
51 第1搬送路
51G 部品入口
52 第2搬送路
52W 部品搬送路終端領域
61 第2エア管路
A1 正圧エア
A2 負圧エア