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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129882
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20240920BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240920BHJP
   H01M 50/222 20210101ALI20240920BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240920BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240920BHJP
   H01M 50/317 20210101ALI20240920BHJP
   H01M 50/276 20210101ALI20240920BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M50/249
H01M50/222
H01M10/613
H01M10/625
H01M50/317 201
H01M50/276
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039252
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 ユウファン
【テーマコード(参考)】
5H012
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H012BB01
5H012EE04
5H031EE03
5H031KK01
5H040AA37
5H040AS07
5H040LL04
5H040NN00
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素を有効に利用できる電池パックを提供する。
【解決手段】電池パックは、車両に搭載される電池パックであって、電池を収容する筐体と、前記筐体の内部に配置され、前記筐体の内部の温度に応じて二酸化炭素を吸着および放出する第1部材と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される電池パックであって、
電池を収容する筐体と、
前記筐体の内部に配置され、前記筐体の内部の温度に応じて二酸化炭素を吸着および放出する第1部材と、
を備える電池パック。
【請求項2】
前記第1部材は、前記筐体の内部の温度が所定温度以上の場合、吸着した二酸化炭素を放出する、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記筐体の外部に配置され、外気温に応じて二酸化炭素を吸着および放出する第2部材と、
前記筐体は、前記筐体の内部と外部を接続する通路を有し、
前記第2部材は前記通路の入口に配置される、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項4】
前記第2部材の内部側に配置され、前記筐体の内部の温度が、前記外気温よりも高くなると前記通路を開状態とする開閉部材が配置される、
請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記開閉部材がバイメタルであり、
前記第2部材は、前記通路周囲の全周に接着され、
前記バイメタルは、前記通路周囲の半周に接着される、
請求項4に記載の電池パック。
【請求項6】
前記第2部材の周囲に前記電池を冷却する冷却部材が配置される、
請求項3から5のいずれか1項に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一酸化炭素および二酸化炭素の量を低減することが可能な吸着材が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の吸着材は、電池セルの筐体内で発生した一酸化炭素および二酸化炭素を吸着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-162457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に搭載される電池は、複数の電池セルを纏めた状態で電池パックの筐体内部に収容される。このような電池パックは、二酸化炭素を有効に利用することによって、車両の二酸化炭素排出量を低減することができる。
【0005】
本開示の課題は、二酸化炭素を有効に利用できる電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電池パックは、車両に搭載される電池パックであって、電池を収容する筐体と、前記筐体の内部に配置され、前記筐体の内部の温度に応じて二酸化炭素を吸着および放出する第1部材と、を備える。
【0007】
この電池パックによれば、第1部材が筐体の内部にある二酸化炭素を吸着する。これによって、車両が排出する二酸化炭素、もしくは、筐体の内部に入り込む外気の二酸化炭素を吸着し低減することができる。さらに、第1部材は、二酸化炭素を温度に応じて放出することによって、例えば、筐体の内部の消火に二酸化炭素を利用できる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、二酸化炭素を有効に利用できる電池パックを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態によるシステム図。
図2図1のA-A断面図。
図3図2のI部分の拡大図
図4図3のB-B断面図。
図5図3のC-C断面図。
図6】本開示の実施形態による二酸化炭素の吸収・吸着手順を示すフローチャート。
図7】本開示の実施形態による二酸化炭素の吸着・放出を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1および図2に示すように、電池パック1は、車両に搭載される。電池パック1は、筐体2と、電池3と、第1部材4と、第2部材5と、開閉部材6と、冷却部材7と、を備える。
【0011】
筐体2は、略直方体形状に形成され、複数の電池3を収容する。本実施形態では、電池3は、複数のセルを組み合わせた電池モジュールである。筐体2は、6つの電池3を収容する。
【0012】
図3に示すように、筐体2は、筐体2の内部と外部を連通する複数の通路2aを有する。通路2aは、筐体2の底面に設けられる。本実施形態の通路2aは、筐体2の底面に所定の間隔を空けて9つ設けられる。
【0013】
図1および図2に示すように、第1部材4は、筐体2の内部の上面に配置される。第1部材4は、筐体2の内部に存在する二酸化炭素を吸着および放出する。第1部材4は、筐体2の内部空間の温度に応じて、その内部構造で二酸化炭素を吸着する吸着状態と、吸着した二酸化炭素を放出する放出状態とが切り替わる。より具体的には、第1部材4は、内部空間の温度が所定温度未満の低温(例えば60℃未満)では吸着状態となり、内部空間の温度が所定温度以上の高温(例えば60℃以上)では放出状態となる。本実施形態の第1部材4は、マグネシウムまたは活性炭を含む無機多孔質材料で形成される。なお第1部材4に用いられる多孔質材料は、ゼオライトやその他の金属元素からなる構造体など種々様々な材料を適用可能である。
【0014】
図2に示すように、第2部材5は、筐体2の外部に配置される。第2部材5は、略円柱形状に形成され、筐体2の下方に所定の間隔を空けて配置される。本実施形態では、9つの第2部材5が筐体2の下方および通路2a付近に配置される。これにより、第2部材5は、電池3の温度変化の影響に対して鋭敏に反応することができる。
【0015】
図4に示すように、第2部材5は、通路2aよりも大きくなるように形成される。第2部材5は、筐体2の外部から通路2aを塞ぐように配置され、通路2aの周囲に全周に渡って配置される。第2部材5は、筐体2の底面に接着材で接着される(図4の点描で示した箇所を参照)。
【0016】
第2部材5は、筐体2の外気温および筐体2から伝わる温度に応じて二酸化炭素を吸着及び放出する。第2部材5は、その内部構造で二酸化炭素を吸着する吸着状態と、吸着した二酸化炭素を放出する放出状態とが切り替わる。本実施形態の第2部材5は、第1部材4と同様に、マグネシウムまたは活性炭を含む無機多孔質材料で形成される。これに限らず、第2部材5は、第1部材4と異なる材料で形成されてもよい。
【0017】
図1および図2に示すように、開閉部材6は、筐体2の内部側の底面に配置される。開閉部材6は、筐体2の通路2aを挟んで、第2部材5と反対側に配置される。すなわち、開閉部材6と第2部材5は、筐体2の通路2aが配置される箇所で対向して配置される。
【0018】
図5に示すように、開閉部材6は、通路2aよりも大きくなるように形成される。開閉部材6は、筐体2の内部から通路2aを塞ぐように配置され、通路2aの周囲に全周に渡って配置される。開閉部材6は、筐体2の底面に対して、通路2aの周囲の内、一部を接着材で接着して固定される。本実施形態の開閉部材6は、通路2aの周囲の内、電池3と反対側の半周を接着して固定される(図5の点描で示した箇所を参照)。
【0019】
開閉部材6は、通路2aの開閉状態を変更する。開閉部材6が通路2aを開状態にすると、筐体2の内部と外部は通路2aを介して連通する。開閉部材6が通路2aを閉状態にすると、筐体2の内部と外部は隔絶される。
【0020】
開閉部材6は、熱膨張率が異なる少なくとも2つの金属を張り合わせたバイメタルで形成される。開閉部材6は、複数の金属が通路2aの延びる方向に沿って積層される。これにより、筐体2の内部温度に応じて、開閉部材6は通路2aの開状態と閉状態を切り替えることができる。
【0021】
図2および図3に示すように、冷却部材7は、電池3を冷却する。また、冷却部材7は、第2部材5を冷却することによって第2部材5が吸着状態となるようにする。冷却部材7は、筐体2の底面に配置される。冷却部材7は、複数の固定部7aを有する。固定部7aは、貫通孔として形成され、内部に第2部材5を保持する。本実施形態では、固定部7aは、通路2a、第2部材5および開閉部材6が配置される箇所に併せて9か所設けられる。
【0022】
次に図6および図7を用いて第1部材4および第2部材5の二酸化炭素の吸着および放出の様子を説明する。
【0023】
まず、筐体2の内部の温度T1が外気温T0より低い場合(ステップ S1;YES)、開閉部材6は閉状態が維持される(ステップ S5)。これにより、通路2aは閉鎖され、筐体2の内部と外部は隔絶される。
【0024】
このとき、図7(a)に示すように、筐体2の内部に存在する二酸化炭素は、第1部材4に吸着され、保持される。一方、通路2aは閉状態なので、筐体2の内部に存在する二酸化炭素は、筐体2の外部に移動することはできない。このとき、第2部材5は、吸着状態となる。
【0025】
一方そうでない場合(ステップ S1;NO)、開閉部材6は開状態となる(ステップ S2)。これにより、通路2aは開放され、筐体2の内部と外部は通路2aを介して連通する。
【0026】
このとき、筐体2の内部に存在する二酸化炭素は、引き続き第1部材4に吸着される。第2部材5は、冷却部材7によって冷却されながら吸着状態を維持する。一方で、筐体2の内部空間に接する第2部材5の部分では、吸着されていた二酸化炭素が通路2aを介して筐体2の内部に移動する。すなわち、電池3のセル温度が上昇した場合、筐体2の内部の温度T1も上昇する。これによって、筐体2の内部空間と第2部材5が接すると、接した部分の二酸化炭素が放出される。
【0027】
さらに、電池3の温度T1が、電池3が熱暴走を生じる恐れがある場合の筐体2の内部の温度T2よりも低い場合(ステップ S3;YES)、開閉部材6は、引き続き開状態を維持する(ステップ S6)。これにより、第2部材5に吸着されていた二酸化炭素は、通路2aを介して筐体2の内部に移動する。さらに、第1部材4は引き続き吸着状態を維持する。
【0028】
筐体2の内部の温度T1が外気温T0以下になると(ステップS S7;YES)、開閉部材6は通路2aを閉状態に切り替える(ステップ S5)。
【0029】
一方、筐体2の内部の温度T1が温度T2以上の場合(ステップ S3;NO)、図7(b)の太矢印で示すように、第1部材4は、放出状態になり吸着していた二酸化炭素を放出し、電池3の消火を実行する。このとき、開閉部材6は通路2aを開状態に維持し、第2部材5からも二酸化炭素を供給する(ステップ S4)。
【0030】
以上説明した通り、本開示によれば、二酸化炭素を有効に利用できる電池パック1を提供できる。
【0031】
<他の実施形態>
以上、本実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の変形例は、必要に応じて任意に組み合わせ可能である。
【0032】
例えば、上記実施形態では、通路2a、第2部材5および開閉部材6は、9つずつ設けられたが本開示はこれに限定されない。すなわち、筐体2において、通路2a、第2部材5および開閉部材6が配置される箇所および個数は、種々様々な数に変更可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 :電池パック
2 :筐体
2a :通路
3 :電池
4 :第1部材
5 :第2部材
6 :開閉部材
7 :冷却部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7