(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129889
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】消泡剤
(51)【国際特許分類】
B01D 19/04 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B01D19/04 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039260
(22)【出願日】2023-03-14
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】000106438
【氏名又は名称】サンノプコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112438
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 健一
(72)【発明者】
【氏名】松村 陽平
(72)【発明者】
【氏名】浦本 海
【テーマコード(参考)】
4D011
【Fターム(参考)】
4D011CA01
4D011CA02
4D011CB05
4D011CB08
4D011CB11
4D011CC04
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、消泡性に優れた消泡剤を提供することである。
【解決手段】パラフィン炭素の含有量が60~100重量%である炭化水素油(A);
疎水性シリカ及びワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種の核剤(B);
ポリオキシエチレングリコール脂肪酸ジエステル及びポリオキシエチレングリコール脂肪酸モノエステルからなり、エステル化率が50~99モル%である混合エステル(C);
並びに水酸基含有トリグリセリドのエチレンオキシド付加体(D)を含有することを特徴とする消泡剤を用いる。
(A);(B);(C);及び(D)の重量に基づいて、(A)の含有量が60~99重量%;(B)の含有量が0.3~30重量%;(C)の含有量が0.1~15重量%;(D)の含有量が0.1~20重量%であることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラフィン炭素の含有量が60~100重量%である炭化水素油(A);
疎水性シリカ及びワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種の核剤(B);
ポリオキシエチレングリコール脂肪酸ジエステル及びポリオキシエチレングリコール脂肪酸モノエステルからなり、エステル化率が50~99モル%である混合エステル(C);
並びに水酸基含有トリグリセリドのエチレンオキシド付加体(D)を含有することを特徴とする消泡剤。
【請求項2】
炭化水素油(A);核剤(B);混合エステル(C);及びエチレンオキシド付加体(D)の重量に基づいて、炭化水素油(A)の含有量が60~99重量%;核剤(B)の含有量が0.3~30重量%;混合エステル(C)の含有量が0.1~15重量%;エチレンオキシド付加体(D)の含有量が0.1~20重量%である請求項1に記載の消泡剤。
【請求項3】
炭化水素油(A)の40℃における動粘度が10~100cStである請求項1又は2に記載の消泡剤。
【請求項4】
さらに、0~50モル%のオキシエチレン単位と50~100モル%のオキシプロピレン単位及び/又はオキシブチレン単位とを含むポリオキシアルキレングリコール(E);並びに/又はシリコーン(F)を含む請求項1又は2に記載の消泡剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消泡剤に関する。
【背景技術】
【0002】
「有機液体5~35重量部、シリコーン油0.5~5重量部、疎水性シリカ0.5~5重量部及び変性シリコーン油1~40重量部の組成物を乳化剤により水に乳化させることを特徴とするエマルジョン型消泡剤組成物」(特許文献1の請求項1)、「有機液体が鉱物油を完全水素化精製法で製造された流動パラフィン油であって、ヨウ素価ゼロ、動粘度(40℃)12~70cstの流動パラフィン油である」(同請求項2)、「有機液体が鉱物油を完全水素化精製法で製造された流動パラフィン油であって、ヨウ素価ゼロ、動粘度(40℃)12~70cstの流動パラフィン油及びアルコール類及びグリコール類に酸化プロピレン又は酸化プロピレンと酸化エチレンとの混合物を重合させた合成油と併用したものである」(同請求項4)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のエマルジョン型消泡剤組成物では、消泡性が不十分であるという問題がある。
本発明の目的は、消泡性に優れた消泡剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の消泡剤の特徴は、パラフィン炭素の含有量が60~100重量%である炭化水素油(A);
疎水性シリカ及びワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種の核剤(B);
ポリオキシエチレングリコール脂肪酸ジエステル及びポリオキシエチレングリコール脂肪酸モノエステルからなり、エステル化率が50~99モル%である混合エステル(C);
並びに水酸基含有トリグリセリドのエチレンオキシド付加体(D)を含有する点を要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の消泡剤は優れた消泡性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
炭化水素油(A)としては、パラフィン炭素の含有量が60~100(好ましくは65~80、さらに好ましくは70~76)重量%の炭化水素油であれば制限なく使用できる。
【0008】
パラフィン炭素の含有量(重量%;以下、この含有量を%Cpと略する。)は、ASTM D 3238-22a(n-d-M環分析)に準拠して測定され、炭化水素油に含まれるパラフィン炭素、ナフテン炭素、芳香族炭素の全重量に基づいて重量%として算出される。
【0009】
炭化水素油(A)の動粘度(40℃;cSt)は、10~100が好ましく、さらに好ましくは15~80、特に好ましくは24~66である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0010】
動粘度は、ASTM D445-21e2に準拠して測定される。
【0011】
炭化水素油(A)としては、石油の精製によって得られる炭化水素油及びそれを水素添加して得られる精製鉱油等が挙げられる。これらのうち、安全性の観点等から、食品添加物や食品接触材料に関する規制によって使用が認められ、直接的若しくは間接的に人体へ接触する用途で使用できるものが好ましい{たとえば、「食品添加物公定書」に規定される流動パラフィンの試験;及び/又は「米国食品医薬品局(FDA) CFR Title 21」に規定されるWhite mineral oil若しくはTechnical White mineral oilの試験;中国国家標準規格(GB規格)の「9685-2016(食品容器、包装材料用添加剤使用衛生標準)」に規定される白鉱物油(FCA0582)の試験等に合格したもの;以下同じ。}。炭化水素油(A)は複数種類の炭化水素油を混合したものでもよく、%Cpが上記の範囲外の炭化水素油を混合したものでもよいが、これら混合物の%Cpは上記範囲内でなければならない。
【0012】
炭化水素油(A)は、市場から容易に入手でき、モレスコホワイトシリーズ(株式会社MORESCO、「MORESCO-WHITE」は同社の登録商標である。)、コスモSPシリーズ(コスモ石油ルブリカンツ株式会社、「コスモ」はコスモエネルギーホールディングス株式会社の登録商標である。)、YUBASEシリーズ(SKブリカンツジャパン株式会社、「YUBASE」はエスケー エンムーブ カンパニー リミテッドの登録商標である。)及びSK PHAZOLシリーズ(SKルブリカンツジャパン株式会社、「PHAZOL」はエスケー エンムーブ カンパニー リミテッドの登録商標である。)等が挙げられる。
【0013】
炭化水素油(A)の含有量(重量%)は、炭化水素油(A)、核剤(B)、混合エステル(C)及び水酸基含有トリグリセリドのエチレンオキシド付加体(D)の重量に基づいて、60~99が好ましく、さらに好ましくは65~95、特に好ましくは70~90である。この範囲であると、さらに消泡性が良好となる。
【0014】
核剤(B)は、疎水性シリカ及びワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種であれば制限なく使用できる。核剤(B)は、安全性の観点等から、食品添加物や食品接触材料に関する規制によって使用が認められ、直接的若しくは間接的に人体へ接触する用途で使用できるものが好ましい。
【0015】
疎水性シリカとしては、シリカ粉末を疎水化剤で疎水化処理した疎水性シリカが含まれる。
【0016】
シリカ粉末及び疎水化剤は、安全性の観点等から、食品添加物や食品接触材料に関する規制によって使用が認められ、直接的若しくは間接的に人体へ接触する用途で使用できるものが好ましい。疎水化剤としては、ジメチルポリシロキサン及びジクロロジメチルシラン等が挙げられる。
【0017】
疎水性シリカの体積基準のメジアン径(d50;μm)は、0.1~20が好ましく、さらに好ましくは1~10、特に好ましくは6~7である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0018】
メジアン径(d50)は、JIS Z8825:2022に準拠したレーザー回折式粒度分析計{たとえば、Leeds&Northrup社製Microtracシリーズ、株式会社堀場製作所製ParticaLAシリーズ}を用い、2-プロパノール{純度99重量%以上}1000重量部に、測定試料濃度0.1重量%となるように測定試料を添加して測定分散液を調製して、測定温度25±5℃で測定した後、2-プロパノールの屈折率として1.3749を、測定試料の屈折率として文献値(「A GUIDE FOR ENTERING MICROTRAC ”RUN INFORMATION”(F3)DATA」、Leeds&Northrup社作成)を用い、50%積算体積平均粒子径として求められる。
【0019】
疎水性シリカのM値(メタノール湿潤性)は、40~80が好ましく、さらに好ましくは45~75、特に好ましくは65~70である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0020】
M値(メタノール湿潤性)は、粉体表面の疎水化処理の程度を表す特性値であり、M値が高いほど親水性が低く、疎水化処理の割合が高い(疎水性が高い)ことを示し、水・メタノール混合溶液に粉体(測定される粒子)を均一分散させるために必要な最低量のメタノールの容量割合で表され、次の方法で求めることができる。
【0021】
<M値の測定方法>
メタノール濃度を5容量%の間隔で変化させた水/メタノール混合溶液を調製し、これを容積10mlの試験管に5ml入れる。次いで測定試料0.2gを入れ、試験管にふたをして、20回上下転倒してから1~2分間静置した後、内容物を観察して、凝集物がなく、測定試料の全部が湿潤して均一分散した分散液のうち、メタノール濃度が最も小さい分散液のメタノールの濃度(容量%)をM値とする{M値の単位(容量%)は記載しないことが通例である。}。
【0022】
疎水性シリカとしては、市場からも容易に入手でき、たとえば、商品名として、Nipsil SSシリーズ(東ソー・シリカ株式会社、「Nipsil」は同社の登録商標である。)、AEROSILシリーズ(日本アエロジル株式会社、「AEROSIL」はエボニック オペレーションズ ゲーエムベーハーの登録商標である。)、SIPERNATシリーズ(エボニックジャパン株式会社、「SIPERNAT」はエボニック オペレーションズ ゲーエムベーハーの登録商標である。)、CAB-O-SILシリーズ(CABOT社、「CAB-O-SIL」はキヤボツト コ-パレイシヤンの登録商標である。)、REOLOSILシリーズ(株式会社トクヤマ、「REOLOSIL」は同社の登録商標である。)、並びにSYLOPHOBICシリーズ(富士シリシア化学株式会社、「SYLOPHOBIC」は同社の登録商標である。)等が挙げられる。
【0023】
ワックスとしては、天然ワックス及び合成ワックスが含まれる。
【0024】
天然ワックスとしては、天然から産出されたもの及びこれを精製したものが含まれ、植物ワックス(カルナウバワックス、ライスワックス等)、動物ワックス(蜜蝋等)、鉱物ワックス(モンタンワックス等)及び石油ワックス(パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等)等が挙げられる。
【0025】
合成ワックスとしては、化学的に合成されたものが含まれ、高級脂肪酸アミド、ポリアルキレンワックス及び酸化ポリアルキレンワックス等が使用できる。
【0026】
高級脂肪酸アミドとしては、炭素数1~6のアルキレンジアミンと炭素数10~22の脂肪酸との反応物(脂肪酸ジアミド)及び炭素数1~22のアルキルアミン、炭素数4~22のアルケニルアミン若しくはアンモニアと炭素数10~22の脂肪酸との反応物(脂肪酸モノアミド)が含まれる。
【0027】
脂肪酸ジアミドとしては、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスパルミチルアミド、エチレンビスミリスチルアミド、エチレンビスラウリルアミド、エチレンビスオレイルアミド、プロピレンビスステアリルアミド、プロピレンビスパルミチルアミド、プロピレンビスミリスチルアミド、プロピレンビスラウリルアミド、プロピレンビスオレイルアミド、ブチレンビスステアリルアミド、ブチレンビスパルミチルアミド、ブチレンビスミリスチルアミド、ブチレンビスラウリルアミド、ブチレンビスオレイルアミド、メチレンビスラウリルアミド、メチレンビスステアリルアミド及びヘキサメチレンビスステアリルアミド等が挙げられる。
【0028】
脂肪酸モノアミドとしては、N-ステアリルステアリルアミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド及びステアリルアミド等が挙げられる。
【0029】
ポリアルキレンワックスとしては、アルキレン(エチレン及び/又はプロピレン等)の(共)重合体が含まれ、ポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックス等が挙げられる。
【0030】
酸化ポリアルキレンワックスとしては、ポリアルキレンワックスを空気酸化及び/又はオゾン酸化等により酸化して、カルボキシ基、水酸基及び/又はホルミル基等を導入したワックスが含まれ、低密度酸化ポリアルキレンワックス、高密度酸化ポリアルキレンワックス及び酸変性ポリアルキレンワックス等が挙げられる。
【0031】
酸化ポリアルキレンワックスの酸価(mgKOH/g)は、6~20が好ましく、さらに好ましくは8~18、特に好ましくは9~17である。この範囲であると、さらに消泡性が良好となる。
【0032】
酸価は、JIS K5902-1969の「5.4酸価」に準拠して測定される。
【0033】
ワックスの軟化点(℃)は、50~180が好ましく、さらに好ましくは80~143である。軟化点は、JIS K2207-1996(環球法)及びJIS K2207-2006(追補1)に準拠して測定される。
【0034】
ワックスは、市場からも容易に入手でき、天然ワックスのうち、植物ワックスとしてはカルナウバワックスシリーズ(トーヨーケム株式会社、カルナウバワックス)及びライスワックスシリーズ(山桂産業株式会社、ライスワックス)が挙げられ、動物ワックスとしてはミツロウ(三木化学工業株式会社、蜜蝋)が挙げられ、鉱物ワックスとしてはモンタン蝋(山桂産業株式会社、モンタンワックス)が挙げられ、石油ワックスとしてはParaffin Waxシリーズ(日本精密?株式会社、パラフィンワックス)及びHi-Micシリーズ(日本精密?株式会社、マイクロクリスタリンワックス)等が挙げられる。
【0035】
同様に、合成ワックスのうち、高級脂肪酸アミドとしては、アルフローシリーズ(日油株式会社、高級脂肪酸アミド、「アルフロー」は同社の登録商標である。)、脂肪酸アマイドシリーズ(花王株式会社、高級脂肪酸アミド)等が挙げられ、ポリアルキレンワックスとしては、サンワックスシリーズ(三洋化成工業株式会社、ポリエチレンワックス)及びビスコールシリーズ(三洋化成工業株式会社、ポリプロピレンワックス)が挙げられ、酸変性ポリアルキレンワックスとしては、EPOLENEシリーズ(ウエストレイク ロングビュー コーポレーション、低密度酸化ポリエチレンワックス(E-10等)、マレイン酸変性ポリプロピレンワックス(E-43等)等、「EPOLENE」は同社の登録商標である。)、ユーメックスシリーズ(三洋化成工業株式会社、マレイン酸変性ポリプロピレンワックス(110TS等)、「ユーメックス」は同社の登録商標である。)、ハイワックスシリーズ(三井化学株式会社、高密度酸化ポリエチレンワックス(E-4051等)、低密度酸化ポリエチレンワックス(220MP等)等)及びLicowaxシリーズ(クラリアントケミカルズ社、低密度酸化ポリエチレンワックス(PED521等)、高密度酸化ポリエチレンワックス(PED153等)等、「Licowax」はクラリアント アーゲーの登録商標である。)等が挙げられる。
【0036】
核剤(B)の含有量(重量%)は、炭化水素油(A)、核剤(B)、混合エステル(C)及び水酸基含有トリグリセリドのエチレンオキシド付加体(D)の重量に基づいて、0.3~30が好ましく、さらに好ましくは1~25、特に好ましくは3~20である。
【0037】
混合エステル(C)としては、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸ジエステル及びポリオキシエチレングリコール脂肪酸モノエステルからなり、エステル化率が50~99(好ましくは65~99、さらに好ましくは70~97)モル%であれば制限なく使用できる。混合エステルは、安全性の観点等から、食品添加物や食品接触材料に関する規制によって使用が認められ、直接的若しくは間接的に人体へ接触する用途で使用できるものが好ましい。
【0038】
エステル化率は、以下の1H-NMR法により算出する。
混合エステル(C)30mgを直径5mmのNMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重水素化溶媒(重水素化クロロホルム等)を加え溶解させた後、約0.1mlの無水トリフルオロ酢酸を添加し、分析用試料とし、1H-NMR測定する。
【0039】
ここで、混合エステル(C)に含まれる未反応水酸基は無水トリフルオロ酢酸と反応してトリフルオロ酢酸エステルとなり、エステル化された水酸基の酸素原子に結合するメチレン基由来の信号は4.5ppm付近に観測され、一方、脂肪酸と反応した水酸基の酸素原子に結合したメチレン基由来の信号は4.2ppm付近に観測されるため、次式からエステル化率(モル%)を求める。
【0040】
エステル化率(モル%)=[b/(a+b)]×100
但し、式中、aは4.5ppm付近のトリフルオロ酢酸によりエステル化された酸素原子に結合したメチレン基由来の信号の積分値;bは4.2ppm付近の脂肪酸によりエステル化された酸素原子に結合したメチレン基由来の信号の積分値である。
【0041】
ポリオキシエチレングリコールの数平均分子量は、100~2000が好ましく、さらに好ましくは150~1500、特に好ましくは200~1000である。この範囲であると消泡性がさらに良好となる。
【0042】
数平均分子量はJIS K1557-1:2007(B法)に準拠して測定される水酸基価から求めることができる。
【0043】
ポリオキシエチレングリコールは公知の有機化学合成法により得られる他に、市場からも入手できる(たとえば、PEGシリーズ、三洋化成工業株式会社)。
【0044】
脂肪酸としては、炭素数12~30の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸が含まれる。飽和脂肪酸としては、直鎖飽和脂肪酸(ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、セロチン酸及びメリシン酸等)及び分岐鎖飽和脂肪酸(イソステアリン酸等)が挙げられる。
【0045】
不飽和脂肪酸としては、直鎖不飽和脂肪酸(ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸及びトリアコンテン酸等)及び分岐鎖不飽和脂肪酸(イソミリストレイン酸及びイソオレイン酸等)が挙げられる。
【0046】
これらのうち、消泡性の観点から、直鎖飽和脂肪酸及び直鎖不飽和脂肪酸が好ましく、さらに好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルシン酸、リノール酸及びリノレン酸、特に好ましくはミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルシン酸、リノール酸及びリノレン酸、最も好ましくはラウリン酸、オレイン酸である。
【0047】
混合エステル(C)に含まれるポリオキシエチレングリコールと脂肪酸は単一成分であってもよいし、複数種類の脂肪酸を含有していてもよい。
【0048】
混合エステル(C)には、未反応のポリオキシエチレングリコール及び/又は未反応の脂肪酸が残存していてもよい。未反応のポリオキシエチレングリコールの残量はエステル化率より統計学的に計算され、この残量(重量%)は混合エステル(C)の重量に基づいて0~11が好ましい。また、未反応の脂肪酸の残量はJIS K0070-1992の「3.1中和滴定」に準拠して測定される酸価より計算され、この残量(重量%)は混合エステル(C)の重量に基づいて0~10が好ましい。
【0049】
混合エステル(C)は、公知のエステル化反応により容易に調製できる。
【0050】
混合エステル(C)の含有量(重量%)は、炭化水素油(A)、核剤(B)、混合エステル(C)及び水酸基含有トリグリセリドのエチレンオキシド付加体(D)の重量に基づいて、0.1~15が好ましく、さらに好ましくは0.5~12、特に好ましくは1~10である。
【0051】
水酸基含有トリグリセリドのエチレンオキシド付加体(D)は、水酸基含有トリグリセリドとエチレンオキシドとの付加反応により得られる付加体であれば制限なく使用できる。水酸基含有トリグリセリドのエチレンオキシド付加体(D)は、安全性の観点等から、食品添加物や食品接触材料に関する規制によって使用が認められ、直接的若しくは間接的に人体へ接触する用途で使用できるものが好ましい。
【0052】
水酸基含有トリグリセリドとしては、水酸基を含有する脂肪酸を少なくとも1つ含有する脂肪酸とグリセリンとのトリエステルが含まれる。
【0053】
水酸基を含有する脂肪酸としては、12-ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、サビニン酸、2-ヒドロキシテトラデカン酸、イソプール酸、2-ヒドロキシヘキサデカン酸、ヤラピノール酸、ユニペリン酸、アンブレットール酸、アリューリット酸、2-ヒドロキシステアリン酸、18-ヒドロキシオクタデカン酸、9,10-ジヒドロキシステアリン酸、カムロレン酸、フェロン酸、セレブロン酸、9-ヒドロキシステアリン酸及び10-ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。これらのうち12-ヒドロキシステアリン酸が好ましい。
【0054】
水酸基含有トリグリセリドとしては、ひまし油や硬化ひまし油等が挙げられる。
【0055】
エチレンオキシドの付加モル数は、水酸基含有トリグリセリド1モルに対して、1~40が好ましく、さらに好ましくは3~30、特に好ましくは6~25である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0056】
水酸基含有トリグリセリドのエチレンオキシド付加体(D)は、公知の有機化学合成法により得られる他に、市場からも容易に入手でき、ブラウノン BRシリーズ、CWシリーズ及びRCWシリーズ(青木油脂株式会社、「ブラウノン」は同社の登録商標である)、ペレテックス COシリーズ(ミヨシ油脂株式会社、「ペレテックス」は同社の登録商標である。)及びNIKKOL HCOシリーズ(日光ケミカルズ株式会社、「NIKKOL」は同社の登録商標である。)等が挙げられる。
【0057】
水酸基含有トリグリセリドのエチレンオキシド付加体(D)の含有量(重量%)は、炭化水素油(A)、核剤(B)、混合エステル(C)及び水酸基含有トリグリセリドのエチレンオキシド付加体(D)の重量に基づいて、0.1~20が好ましく、さらに好ましくは0.3~17、特に好ましくは0.5~15である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0058】
本発明の消泡剤には、0~50モル%のオキシエチレン単位と50~100モル%のオキシプロピレン単位及び/又はオキシブチレン単位とを含むポリオキシアルキレングリコール(E);並びに/又はシリコーン(F)をさらに含むことができる。ポリオキシアルキレングリコール(E)及びシリコーン(F)は、安全性の観点等から、食品添加物や食品接触材料に関する規制によって使用が認められ、直接的若しくは間接的に人体へ接触する用途で使用できるものが好ましい。
【0059】
ポリオキシアルキレングリコール(E)に含まれるオキシエチレン単位の含有量(モル%)は、オキシエチレン単位、及びオキシプロピレン単位及びオキシブチレン単位の合計モル数に対して、0~50が好ましく、さらに好ましくは0~41である。また、オキシプロピレン単位及び/又はオキシブチレン単位の含有量(モル%)は、オキシエチレン単位、及びオキシプロピレン単位及びオキシブチレン単位の合計モル数に対して、50~100が好ましく、さらに好ましくは59~100である。
【0060】
ポリオキシアルキレングリコール(E)としては、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコール及びポリオキシエチレン・ポリオキシブチレングリコール等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシプロピレングリコール及びブロック型のポリオキシエチレン・ポリオキシプロレングリコールが好ましい。
【0061】
ポリオキシアルキレングリコール(E)は、公知のアルキレンオキシド付加反応により容易に調製でき、市場からも容易に入手でき、サンニックスPPシリーズ(三洋化成工業株式会社、「サンニックス」は同社の登録商標である。)、ニューポールPEシリーズ(三洋化成工業株式会社、「ニューポール」は同社の登録商標である。)及びユニオールDシリーズ(日油株式会社、「ユニオール」は同社の登録商標である。)等が挙げられる。
【0062】
ポリオキシアルキレングリコール(E)を含有する場合、ポリオキシアルキレングリコール(E)の含有量(重量%)は、炭化水素油(A)、核剤(B)、混合エステル(C)及び水酸基含有トリグリセリドのエチレンオキシド付加体(D)の重量に基づいて、20~500が好ましく、さらに好ましくは50~300、特に好ましくは75~210である。この範囲であると、消泡性が良好となる。
【0063】
シリコーン(F)としては、ジメチルシリコーンオイル及び変性シリコーンオイル等が使用できる。ジメチルシリコーンオイルとしては、動粘度5~10000(cSt、25℃)のジメチルシリコーンオイルが含まれる。変性シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部をアルコキシポリオキシアルキレンオキシプロピル基(アルコキシの炭素数1~6、アルキレンの炭素数2~3、重合度2~50)、アルコキシポリオキシアルキレン基(アルコキシの炭素数1~6、アルキレンの炭素数2~3、重合度2~50)等に置き換えたもの等が含まれる。
【0064】
シリコーン(F)は、市場からも容易に入手でき、XIAMETERシリーズ(東レ・ダウコーニング株式会社、「XIAMETER」はダウ・コ-ニング・コ-ポレ-ションの登録商標である。)、FS アンチフォームシリーズ(東レ・ダウコーニング株式会社、「アンチフォーム」は花王株式会社の登録商標である。)、SH200シリーズ(東レ・ダウコーニング株式会社)、DK Q1シリーズ(東レ・ダウコーニング株式会社)、KSシリーズ(信越化学工業株式会社)、SILFOAMシリーズ(旭化成ワッカーシリコーン株式会社、「SILFOAM」はWacker Chemie AGの登録商標である。)、PULPSILシリーズ(旭化成ワッカーシリコーン株式会社、「PULPSIL」はワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフトの登録商標である。)等が挙げられる。
【0065】
シリコーン(F)を含有する場合、シリコーン(F)の含有量(重量%)は、炭化水素油(A)、核剤(B)、混合エステル(C)及び水酸基含有トリグリセリドのエチレンオキシド付加体(D)の重量に基づいて、0.1~10が好ましく、さらに好ましくは0.3~5、特に好ましくは0.5~3である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0066】
本発明の消泡剤は、炭化水素油(A)、核剤(B)、混合エステル(C)及び水酸基含有トリグリセリドのエチレンオキシド付加体(D)、並びに必要によりポリオキシアルキレングリコール(E)及び/又はシリコーン(F)を均一に混同できれば製造方法に制限はなく、公知の混合方法等が適用できる。
【0067】
本発明の消泡剤は、水系発泡液に対して効果的であるが、安全性の観点等から、食品添加物や食品接触材料に関する規制によって使用が認められ、直接的若しくは間接的に人体へ接触する用途に好ましく適用できる。たとえば、食品包装用の水系コーティング材や衣料用の水系糊材等(食品や人体に接触するような部材に適用される水系発泡液)に好適である。
【実施例0068】
以下、特記しない限り部は重量部を意味する。
<製造例1>
ポリオキシエチレングリコール(PEG、数平均分子量Mn600、PEG-600、三洋化成工業株式会社)1モル部とオレイン酸(分子量282)2モル部とを、パラトルエンスルホン酸0.01モル部の存在下、130℃で5時間脱水反応させて、PEG(Mn600)のオレイン酸ジエステルとPEG(Mn600)のオレイン酸モノエステルからなる混合エステル(c1)を調製した。1H-NMRスペクトル分析を利用して混合エステル(c1)のエステル化率を求めたところ(以下、同じである)、95モル%であった。
【0069】
<製造例2>
「オレイン酸2モル部」を「オレイン酸1.47モル部」に変更したこと以外、製造例1と同様にして、PEG(Mn600)のオレイン酸ジエステルとPEG(Mn600)のオレイン酸モノエステルからなる混合エステル(c2)を得た。エステル化率は70モル%であった。
【0070】
<製造例3>
「オレイン酸2モル部」を「オレイン酸1.45モル部」に変更したこと及び「ポリオキシエチレングリコール(Mn600)」を「ポリオキシエチレングリコール(PEG、数平均分子量Mn400、PEG-400、三洋化成工業株式会社)」に変更したこと以外、製造例1と同様にして、PEG(Mn400)のオレイン酸ジエステルとPEG(Mn400)のオレイン酸モノエステルの混合エステル(c3)を得た。エステル化率は70モル%であった。
【0071】
<製造例4>
「オレイン酸2モル部」を「ラウリン酸2モル部」に変更したこと及び「ポリオキシエチレングリコール(Mn600)」を「ポリオキシエチレングリコール(PEG、数平均分子量Mn200、PEG-200、三洋化成工業株式会社)」に変更したこと以外、製造例1と同様にして、PEG(Mn200)のラウリン酸ジエステルとPEG(Mn200)のラウリン酸モノエステルの混合エステル(c4)を得た。エステル化率は97モル%であった。
【0072】
<製造例5>
「ポリオキシエチレングリコール(Mn600)」を「ポリオキシエチレングリコール(PEG、数平均分子量Mn1000、PEG-1000、三洋化成工業株式会社)」に変更したこと以外、製造例1と同様にして、PEG(Mn1000)のオレイン酸ジエステルとPEG(Mn1000)のオレイン酸モノエステルの混合エステル(c5)を得た。エステル化反応率は94%であった。
【0073】
<実施例1>
炭化水素油(a1:モレスコホワイトP-350P、株式会社MORESCO、動粘度66cSt(40℃)、%Cp70重量%)75部;核剤(b1:NIPSIL SS-215、東ソー・シリカ株式会社、疎水性シリカ、M値65、体積基準のメジアン径6μm)15部;混合エステル(c1)3部;エチレンオキシド付加体(d1:ひまし油のエチレンオキサイド10モル付加体、ブラウノン BR-410、青木油脂株式会社)7部;並びにポリオキシアルキレングリコール(e1:数平均分子量1000のポリプロピレングリコール、サンニックス PP-1000、三洋化成工業株式会社)75部を均一混合して、本発明の消泡剤(1)を調製した。
【0074】
<実施例2>
炭化水素油(a1)85部;核剤(b2:SIPERNAT D10、エボニックジャパン、疎水性シリカ、M値70、体積基準のメジアン径7μm)9部;混合エステル(c2)3部;並びにエチレンオキシド付加体(d2:ひまし油のエチレンオキサイド6モル付加物、ブラウノン BR-406、青木油脂株式会社)3部を均一混合して、本発明の消泡剤(2)を調製した。
【0075】
<実施例3>
炭化水素油(a2:モレスコホワイトP-120、株式会社MORESCO、動粘度24cSt(40℃)、%Cp70重量%)90部;核剤(b1)3部;混合エステル(c3)3部;並びにエチレンオキシド付加体(d3、硬化ひまし油のエチレンオキサイド3モル付加物、ブラウノン CW-3、青木油脂株式会社)4部を均一混合して、本発明の消泡剤(3)を調製した。
【0076】
<実施例4>
炭化水素油(a3:YUBASE8、SKルブリカンツジャパン株式会社、動粘度47cSt(40℃)、%Cp76重量%)70部;核剤(b1)14部;混合エステル(c4)1部;エチレンオキシド付加体(d1)15部;ポリオキシアルキレングリコール(e2:数平均分子量2000のポリプロピレングリコール、サンニックス PP-2000、三洋化成工業株式会社)70部;ポリオキシアルキレングリコール(e3:エチレンオキシド4モルとプロピレンオキシド31モルのプルロニック型ブロック付加体、ニューポールPE-61、三洋化成工業株式会社)70部;ポリオキシアルキレングリコール(e4:エチレンオキシド24モルとプロピレンオキシド35モルのプルロニック型ブロック付加体、ニューポールPE-74、三洋化成工業株式会社)70部;並びにシリコーン(f1:変性シリコーン、XIAMETER ACP-1500、東レ・ダウコーニング株式会社)0.5部を均一混合して、本発明の消泡剤(4)を調製した。
【0077】
<実施例5>
炭化水素油(a2)70部;核剤(b1)19.5部;混合エステル(c3)5部;エステル混合物(c4)5部;エチレンオキシド付加体(d1)0.5部;ポリオキシアルキレングリコール(e2)70部;ポリオキシアルキレングリコール(e3)70部;ポリオキシアルキレングリコール(e4)70部;並びにシリコーン(f1)3部を均一混合して、本発明の消泡剤(5)を調製した。
【0078】
<実施例6>
炭化水素油(a1)30部;及び核剤(b3:エポレンE-10、イーストマンケミカル、酸化ポリエチレンワックス、酸価17mgKOH/g、軟化点104℃)5部を加熱攪拌しながら145℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けて核剤溶解液(1)を得た。
【0079】
次いで、炭化水素油(a1)58部;混合エステル(c5)3部;及びエチレンオキシド付加体(d1)3部;エチレンオキシド付加体(d2)1部を攪拌しながら、これに核剤溶解液(1)を投入し、25℃まで冷却攪拌して分散液(1)を得た。
【0080】
分散液(1)をゴーリンホモジナイザー(マントンゴーリン社製)を用いて3500psi(24.1MPa)にて均質化処理して、本発明の消泡剤(6)を得た。
【0081】
<実施例7>
炭化水素油(a1)30部;及び核剤(b4:アルフローH-50S、日油株式会社、エチレンビスステアリルアミド、軟化点143℃)5部を加熱攪拌しながら145℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けて核剤溶解液(2)を得た。
【0082】
次いで、炭化水素油(a1)58部;混合エステル(c2)6部;エチレンオキシド付加体(d4:ひまし油のエチレンオキサイド25モル付加物、ブラウノン BR-425、青木油脂株式会社)1部を冷却攪拌しながら、これに核剤溶解液(2)を投入し、25℃まで冷却攪拌して分散液(2)を得た。
【0083】
分散液(2)をゴーリンホモジナイザー(マントンゴーリン社製)を用いて3500psi(24.1MPa)にて均質化処理して、本発明の消泡剤(7)を得た。
【0084】
<実施例8>
炭化水素油(a1)30部;及び核剤(b4:Hi-Mic-1070、日本精蝋、マイクロクリスタリンワックス、軟化点80℃)5部を加熱攪拌しながら145℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けて核剤溶解液(3)を得た。
【0085】
次いで、炭化水素油(a1)58部;混合エステル(c5)3部;及びエチレンオキシド付加体(d1)3部;エチレンオキシド付加体(d2)1部を攪拌しながら、これに核剤溶解液(3)を投入し、25℃まで冷却攪拌して分散液(3)を得た。
【0086】
分散液(3)をゴーリンホモジナイザー(マントンゴーリン社製)を用いて3500psi(24.1MPa)にて均質化処理して、本発明の消泡剤(8)を得た。
【0087】
<比較例>
入手可能な原材料を用いて、特許文献1に記載された製造例1で調製したエマルション組成物に近い比較用の消泡剤を以下のようにして調製した。
すなわち、炭化水素油(a2)30部に、シリコーン油(シリコーンオイルKF-96-20cS、信越化学工業株式会社)1部及び核剤(b1)3部を撹拌しながら添加し、温度100℃に加熱分散させた。次にノニルフェノールのエチレンオキサイド6モル付加物(ブラウノンN-506、青木油脂工業株式会社)1部、ソルビタンオレエート(イオネットS-80、三洋化成工業株式会社、「イオネット」は同社の登録商標である。)1部及びポリエーテル変性シリコーン油(アンチホームFS-80、ダウコーニング社)3部を添加して分散液60℃に水61部にて乳化分散して、比較用のエマルション消泡剤(h)を得た。
【0088】
<消泡性の評価>
アクリルスチレン系樹脂エマルション(BASF、ACRONAL 295DN)90g及びイオン交換水10gを撹拌混合した後、この攪拌混合物及び各消泡剤(実施例1~7のいずれか:30μL又は比較例:77μL)をスタンドオートミキサー DL-7524(貝印株式会社、速度調節レバー10)で5分間攪拌した。攪拌後の液体を300mLメスシリンダーに移し、8秒後の重量(g)及び体積(ml)を計測し、比重を算出して、下表に示した。比重が大きいほど消泡性が高いことを意味し好ましい。また、消泡剤を混合しなかったこと以外、上記と同様にして、比重(ブランク)を算出して下表に示した。
【0089】
<水分散性の評価>
(1)初期の水分散性
25℃に於いて100mLビーカー中で各消泡剤5gとイオン交換水95gをマグネティックスターラー(回転数:400rpm)で5分間混合し、マグネティックスターラーの攪拌を止めて15分間25℃で静置後、次の基準により評価し、下表に示した。○であれば分散性が高いことを意味し好ましい。
【0090】
○:均一に分散したままであった
×:油滴、油膜の発生が見られた
【0091】
(2)経日安定性
各消泡剤180gを内容量220mLのガラス製容器に入れて密閉し、40℃で1か月保管した後、各消泡剤を撹拌・脱泡装置(マゼルスターKK-VT300、倉敷紡績株式会社)で25℃、公転737rpm、自転1340rpm、1分間の条件で混合し、上記と同様にして水分散性の評価を行い、次の基準で下表に示した。○であれば経日安定性が優れていることを意味し好ましい。
【0092】
○:均一に分散したままであった
×:油滴、油膜の発生が見られた
【0093】
【0094】
以上の通り、本発明の消泡剤は、比較用の消泡剤に比べて、消泡性に優れ、さらに経日安定性にも優れていた。