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特開2024-129905ロータディスク、動翼、及びこれらを備えている動翼組品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129905
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ロータディスク、動翼、及びこれらを備えている動翼組品
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/30 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
F01D5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039282
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】盆子原 翔
(72)【発明者】
【氏名】奥薗 昌光
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202FA03
3G202FB01
(57)【要約】
【課題】ロータディスクのディスクネック部に発生する応力を緩和する。
【解決手段】ロータディスクは、動翼の翼根が挿入可能な翼根溝を有する。翼根溝は、第一ベアリング面と、第一ベアリング面の径方向内側の縁から径方向内側に向かうに連れて次第に周方向第一側に向かう第一ディスクネック外側曲面と、第一ディスクネック外側曲面の径方向内側の縁である第一ディスクネック位置から径方向内側に向かうに連れて次第に周方向第二側に向かう第一ディスクネック内側曲面と、を有する。第一ディスクネック外側曲面は、第一ディスクネック位置から径方向外側に向かうに連れて曲率が次第に大きくなる第一曲率変化面を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線を中心として円板状を成し、外周側に動翼が設けられるロータディスクにおいて、
外周面と、
前記外周面から前記軸線に対する径方向内側に凹み、前記動翼の翼根が挿入可能な複数の翼根溝と、
を有し、
複数の前記翼根溝は、前記軸線に対する周方向に互いの間隔をあけて並び、
複数の前記翼根溝は、いずれも、一対の翼根ネック対向面と、一対のベアリング面と、一対のディスクネック曲面と、底面と、を有し、
前記一対の翼根ネック対向面のうちの一方の面である第一翼根ネック対向面は、前記外周面中の前記周方向における周方向第一位置から、前記径方向内側の成分を有する方向に広がり、
前記一対の翼根ネック対向面のうちの他方の面である第二翼根ネック対向面は、前記外周面中で、前記周方向第一位置から前記周方向における周方向第一側と周方向第二側とのうちで前記周方向第二側に離れた周方向第二位置から、前記径方向内側の成分を有する方向に広がり、前記周方向で前記第一翼根ネック対向面と対向し、
前記一対のベアリング面のうちの一方の面である第一ベアリング面は、前記第一翼根ネック対向面の前記径方向内側の縁から前記径方向内側に向かうに連れて次第に前記周方向第一側に向かう傾斜平面であり、
前記一対のベアリング面のうちの他方の面である第二ベアリング面は、前記第二翼根ネック対向面の前記径方向内側の縁から前記径方向内側に向かうに連れて次第に前記周方向第二側に向かう傾斜平面で、前記周方向で前記第一ベアリング面と対向し、
前記一対のディスクネック曲面のうちの一方の面である第一ディスクネック曲面は、前記第一ベアリング面の前記径方向内側の縁から前記径方向内側に向かうに連れて次第に前記周方向第一側に向かう第一ディスクネック外側曲面と、前記第一ディスクネック外側曲面の前記径方向内側の縁である第一ディスクネック位置から前記径方向内側に向かうに連れて次第に前記周方向第二側に向かう第一ディスクネック内側曲面と、を有し、
前記一対のディスクネック曲面のうちの他方の面である第二ディスクネック曲面は、前記第二ベアリング面の前記径方向内側の縁から前記径方向内側に向かうに連れて次第に前記周方向第二側に向かう第二ディスクネック外側曲面と、前記第二ディスクネック外側曲面の前記径方向内側の縁である第二ディスクネック位置から前記径方向内側に向かうに連れて次第に前記周方向第一側に向かう第二ディスクネック内側曲面と、を有し、
前記第二ディスクネック外側曲面は、前記周方向で、前記第一ディスクネック外側曲面と対向し、
前記第二ディスクネック内側曲面は、前記周方向で、前記第一ディスクネック内側曲面と対向し、
前記第二ディスクネック位置は、前記周方向で、前記第一ディスクネック位置と対向し、
前記底面は、前記径方向内側とは反対側の径方向外側を向き、前記第一ディスクネック内側曲面の前記径方向内側の縁と前記第二ディスクネック内側曲面の前記径方向内側の縁とを接続する平面であり、
前記第一ディスクネック外側曲面は、前記第一ディスクネック位置から前記径方向外側に向かうに連れて曲率が次第に大きくなる第一曲率変化面を有し、
前記第二ディスクネック外側曲面は、前記第二ディスクネック位置から前記径方向外側に向かうに連れて曲率が次第に大きくなる第二曲率変化面を有する、
ロータディスク。
【請求項2】
請求項1に記載のロータディスクにおいて、
前記第一曲率変化面は、前記翼根溝内で前記軸線に対する径方向に並ぶ二つの焦点で定まる第一楕円の一部で規定される楕円弧面であり、
前記第二曲率変化面は、前記翼根溝内で前記径方向に並ぶ二つの焦点で定まる第二楕円の一部で規定される楕円弧面である、
ロータディスク。
【請求項3】
請求項1に記載のロータディスクにおいて、
前記第一ディスクネック内側曲面中の少なくとも前記径方向内側の部分は、前記翼根溝内の点を中心とする第一円の一部で規定される円弧面であり、
前記第二ディスクネック内側曲面中の少なくとも前記径方向内側の部分は、前記翼根溝内の点を中心とする第二円の一部で規定される円弧面である、
ロータディスク。
【請求項4】
請求項2に記載のロータディスクにおいて、
前記第一ディスクネック内側曲面中の少なくとも前記径方向内側の部分は、前記翼根溝内の点を中心とする第一円の一部で規定される円弧面であり、
前記第二ディスクネック内側曲面中の少なくとも前記径方向内側の部分は、前記翼根溝内の点を中心とする第二円の一部で規定される円弧面であり、
前記第一楕円の長径は、前記第一円の半径より長く、
前記第一楕円の短径は、前記第一円の半径より短く、
前記第二楕円の長径は、前記第二円の半径より長く、
前記第二楕円の短径は、前記第二円の半径より短い、
ロータディスク。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のロータディスクにおいて、
前記第一ディスクネック外側曲面は、前記第一ベアリング面の前記径方向内側の縁から前記径方向内側に向かうに連れて次第に前記周方向第一側に向かい、且つ、前記径方向内側への単位変化量に対する前記周方向第一側に向かう変化量が、前記第一ベアリング面より大きい第一逃げ面を有し、
前記第二ディスクネック外側曲面は、前記第二ベアリング面の前記径方向内側の縁から前記径方向内側に向かうに連れて次第に前記周方向第二側に向かい、且つ、前記径方向内側への単位変化量に対する前記周方向第二側に向かう変化量が、前記第二ベアリング面より大きい第二逃げ面を有し、
前記第一逃げ面の前記径方向内側の縁が、前記第一曲率変化面の前記径方向外側の縁に接続され、
前記第二逃げ面の前記径方向内側の縁が、前記第二曲率変化面の前記径方向外側の縁に接続され、
前記第二逃げ面は、前記周方向で、前記第一逃げ面と対向する、
ロータディスク。
【請求項6】
請求項5に記載のロータディスクにおいて、
前記第一逃げ面は、前記翼根溝外であって前記第一翼根ネック対向面よりも前記周方向第一側の点を中心とする第一溝外円の一部で規定される円弧面であり、
前記第二逃げ面は、前記翼根溝外であって前記第二翼根ネック対向面よりも前記周方向第二側の点を中心とする第二溝外円の一部で規定される円弧面である、
ロータディスク。
【請求項7】
断面が翼形を成し、断面に対して垂直な翼高さ方向に延びる翼体と、
前記翼高さ方向における翼高さ第一側と翼高さ第二側とのうち、前記翼体の前記翼高さ第二側に設けられ、軸線を中心として円板状を成すロータディスクの翼根溝に嵌り込める翼根と、
を有し、
前記翼体は、前縁と、後縁と、前記前縁と前記後縁とを結ぶ凹曲面の正圧面と、前記前縁と前記後縁とを結ぶ凸曲面の負圧面と、を有し、
前記翼根は、前記後縁に対して前記前縁が存在する側である前側を向く前端面と、前記前側とは反対側である後側を向く後端面と、前記前端面の縁と前記後端面の縁とを結ぶ側面と、を有し、
前記翼根の側面は、一対のネック面と、一対のベアリング面と、一対のディスクネック対向曲面と、底面と、を有し、
前記一対のネック面のうちの一方の面である第一ネック面は、前記翼高さ方向の成分を有する方向に広がり、
前記一対のネック面のうちの他方の面である第二ネック面は、前記翼高さ方向の成分を有する方向に広がり、前記翼高さ方向に垂直で前記前端面に沿った側方向で前記第一ネック面と対向し、前記第一ネック面に対して、前記側方向における側方第一側と側方第二側とのうち前記側方第二側に位置し
前記一対のベアリング面のうちの一方の面である第一ベアリング面は、前記第一ネック面の前記翼高さ第二側の縁から前記翼高さ第二側に向かうに連れて次第に前記側方第一側に向かう傾斜平面であり、
前記一対のベアリング面のうちの他方の面である第二ベアリング面は、前記第二ネック面の前記翼高さ第二側の縁から前記翼高さ第二側に向かうに連れて次第に前記側方第二側に向かう傾斜平面で、前記側方向で前記第一ベアリング面と対向し、
前記一対のディスクネック対向曲面のうちの一方の面である第一ディスクネック対向曲面は、前記第一ベアリング面の前記翼高さ第二側の縁から前記翼高さ第二側に向かうに連れて次第に前記側方第一側に向かう第一ディスクネック対向外側曲面と、前記第一ディスクネック対向外側曲面の前記翼高さ第二側の縁である第一ベリトップ位置から前記翼高さ第二側に向かうに連れて次第に前記側方第二側に向かう第一ディスクネック対向内側曲面と、を有し、
前記一対のディスクネック対向曲面のうちの他方の面である第二ディスクネック対向曲面は、前記第二ベアリング面の前記翼高さ第二側の縁から前記翼高さ第二側に向かうに連れて次第に前記側方第二側に向かう第二ディスクネック対向外側曲面と、前記第二ディスクネック対向外側曲面の前記翼高さ第二側の縁である第二ベリトップ位置から前記翼高さ第二側に向かうに連れて次第に前記側方第一側に向かう第二ディスクネック対向内側曲面と、を有し、
前記第二ディスクネック対向外側曲面は、前記側方向で、前記第一ディスクネック対向外側曲面と対向し、
前記第二ディスクネック対向内側曲面は、前記側方向で、前記第一ディスクネック対向内側曲面と対向し、
前記第二ベリトップ位置は、前記側方向で、前記第一ベリトップ位置と対向し、
前記底面は、前記翼高さ第二側を向き、前記第一ディスクネック対向内側曲面の前記翼高さ第二側の縁と前記第二ディスクネック対向内側曲面の前記翼高さ第二側の縁とを接続する平面であり、
前記第一ディスクネック対向外側曲面は、前記第一ベリトップ位置から前記翼高さ第一側に向かうに連れて曲率が次第に大きくなる第一曲率変化面を有し、
前記第二ディスクネック対向外側曲面は、前記第二ベリトップ位置から前記翼高さ第一側に向かうに連れて曲率が次第に大きくなる第二曲率変化面を有する、
動翼。
【請求項8】
請求項7に記載の動翼において、
前記第一曲率変化面は、前記翼根内で前記翼高さ方向に並ぶ二つの焦点で定まる第一楕円の一部で規定される楕円弧面であり、
前記第二曲率変化面は、前記翼根内で前記翼高さ方向に並ぶ二つの焦点で定まる第二楕円の一部で規定される楕円弧面である、
動翼。
【請求項9】
請求項7に記載の動翼において、
前記第一ディスクネック対向内側曲面中の少なくとも前記翼高さ第二側の部分は、前記翼根内の点を中心とする第一円の一部で規定される円弧面であり、
前記第二ディスクネック対向内側曲面中の少なくとも前記翼高さ第二側の部分は、前記翼根内の点を中心とする第二円の一部で規定される円弧面である、
動翼。
【請求項10】
請求項8に記載の動翼において、
前記第一ディスクネック対向内側曲面中の少なくとも前記翼高さ第二側の部分は、前記翼根内の点を中心とする第一円の一部で規定される円弧面であり、
前記第二ディスクネック対向内側曲面中の少なくとも前記翼高さ第二側の部分は、前記翼根内の点を中心とする第二円の一部で規定される円弧面であり、
前記第一楕円の長径は、前記第一円の半径より長く、
前記第一楕円の短径は、前記第一円の半径より短く、
前記第二楕円の長径は、前記第二円の半径より長く、
前記第二楕円の短径は、前記第二円の半径より短い、
動翼。
【請求項11】
請求項7から10のいずれか一項に記載の動翼において、
前記第一ネック面は、前記第一ベアリング面の前記翼高さ第一側の縁から前記翼高さ第一側に向かうに連れて次第に側方第二側に向かう第一逃げ面を有し、
前記第一逃げ面は、前記翼高さ第一側への単位変化量に対する前記側方第二側に向かう変化量が、前記第一ベアリング面における前記翼高さ第一側への単位変化量に対する前記側方第二側に向かう変化量より大きく、
前記第二ネック面は、前記第二ベアリング面の前記翼高さ第一側の縁から前記翼高さ第一側に向かうに連れて次第に側方第一側に向かう第二逃げ面を有し、
前記第二逃げ面は、前記翼高さ第一側への単位変化量に対する前記側方第一側に向かう変化量が、前記第二ベアリング面における前記翼高さ第一側への単位変化量に対する前記側方第一側に向かう変化量より大きく、
前記第二逃げ面は、前記側方向で、前記第一逃げ面と対向する、
動翼。
【請求項12】
請求項1から4のいずれか一項に記載のロータディスクと、
請求項7から10のいずれか一項に記載の動翼と、
を備え、
前記ロータディスクの複数の前記翼根溝のうちのいずれかに前記動翼の前記翼根が嵌り込み、
前記動翼に関する前記翼高さ方向が前記径方向を成し、前記翼高さ第一側が前記径方向外側を成し、前記翼高さ第二側が前記径方向内側を成し、
前記動翼に関する前記側方向が前記周方向を成し、前記側方第一側が前記周方向第一側を成し、前記側方第二側が前記周方向第二側を成し、
前記動翼の前記第一ネック面が前記翼根溝の前記第一翼根ネック対向面と対向し、
前記動翼の前記第二ネック面が前記翼根溝の前記第二翼根ネック対向面と対向し、
前記動翼の前記第一ベアリング面が前記翼根溝の前記第一ベアリング面と対向し、
前記動翼の前記第二ベアリング面が前記翼根溝の前記第二ベアリング面と対向し、
前記動翼の前記第一ディスクネック対向外側曲面が前記翼根溝の前記第一ディスクネック外側曲面と対向し、
前記動翼の前記第二ディスクネック対向外側曲面が前記翼根溝の前記第二ディスクネック外側曲面と対向し、
前記動翼の前記第一ディスクネック対向内側曲面が前記翼根溝の前記第一ディスクネック内側曲面と対向し、
前記動翼の前記第二ディスクネック対向内側曲面が前記翼根溝の前記第一ディスクネック内側曲面と対向し、
前記動翼の前記第一ネック面が前記翼根溝の前記第一翼根ネック対向面に接しているときに、前記動翼の前記第二ネック面が前記翼根溝の前記第二翼根ネック対向面に接する、
動翼組品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータディスク、このロータディスクに取り付け可能な動翼、及びこれらを備えている動翼組品に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、空気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮機と、圧縮空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、燃焼ガスで駆動するタービンと、を備える。圧縮機は、タービンは、軸線を中心として回転するタービンロータと、このロータを覆うタービンケーシングと、を備える。タービンロータは、軸線を中心とするロータ軸と、ロータ軸に取り付けられている複数の動翼列と、を有する。複数の動翼列は、軸線が延びる軸線方向に並んでいる。各動翼列は、いずれも、軸線に対する周方向に並ぶ複数の動翼を有する。ロータ軸は、複数の動翼列毎に存在するロータディスクが、軸線方向に並んで構成されている。
【0003】
以下の特許文献1には、複数の動翼と、複数の動翼が取り付けられているロータディスクとを備える組品が開示されている。複数の動翼は、いずれも、翼体(ブレード)と翼根(セグメント)とを有する。ロータディスクには、複数の動翼の翼根が嵌め込まれる翼根溝(スロット)が形成されている。
【0004】
ロータディスクが軸線を中心として回転しているとき、このロータに取り付けられている複数の動翼には遠心力が作用する。そこで、動翼に遠心力が作用している際、この動翼の翼根が翼溝から抜けないようにするため、翼根溝は、軸線に対する径方向内側に向かうに連れて次第に軸線に対する周方向の溝幅が広くなってから、軸線に対する径方向内側に向かうに連れて次第に周方向の溝幅が狭くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-005824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載のロータディスクでは、複数の翼根溝のうちの第一翼根溝中で溝幅が最も広い部分と、第一翼根溝に周方向で隣接する第二翼根溝中で溝幅が最も広い部分との間の部分であるディスクネック部の周方向の間隔は、第一翼根溝中で溝幅が狭い部分と、二翼根溝中で溝幅が狭い部分との間の周方向の間隔よりも狭い。このため、ロータディスクが回転すると、ディスクネック部に応力が集中する。
【0007】
そこで、本開示は、ロータディスクのディスクネック部に発生する応力を緩和することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための発明に係る一態様のロータディスクは、軸線を中心として円板状を成し、外周側に動翼が設けられるロータディスクである。
このロータディスクは、外周面と、前記外周面から前記軸線に対する径方向内側に凹み、前記動翼の翼根が挿入可能な複数の翼根溝と、を有する。複数の前記翼根溝は、前記軸線に対する周方向に互いの間隔をあけて並ぶ。複数の前記翼根溝は、いずれも、一対の翼根ネック対向面と、一対のベアリング面と、一対のディスクネック曲面と、底面と、を有する。前記一対の翼根ネック対向面のうちの一方の面である第一翼根ネック対向面は、前記外周面中の前記周方向における周方向第一位置から、前記径方向内側の成分を有する方向に広がる。前記一対の翼根ネック対向面のうちの他方の面である第二翼根ネック対向面は、前記外周面中で、前記周方向第一位置から前記周方向における周方向第一側と周方向第二側とのうちで前記周方向第二側に離れた周方向第二位置から、前記径方向内側の成分を有する方向に広がり、前記周方向で前記第一翼根ネック対向面と対向する。前記一対のベアリング面のうちの一方の面である第一ベアリング面は、前記第一翼根ネック対向面の前記径方向内側の縁から前記径方向内側に向かうに連れて次第に前記周方向第一側に向かう傾斜平面である。前記一対のベアリング面のうちの他方の面である第二ベアリング面は、前記第二翼根ネック対向面の前記径方向内側の縁から前記径方向内側に向かうに連れて次第に前記周方向第二側に向かう傾斜平面で、前記周方向で前記第一ベアリング面と対向する。前記一対のディスクネック曲面のうちの一方の面である第一ディスクネック曲面は、前記第一ベアリング面の前記径方向内側の縁から前記径方向内側に向かうに連れて次第に前記周方向第一側に向かう第一ディスクネック外側曲面と、前記第一ディスクネック外側曲面の前記径方向内側の縁である第一ディスクネック位置から前記径方向内側に向かうに連れて次第に前記周方向第二側に向かう第一ディスクネック内側曲面と、を有する。前記一対のディスクネック曲面のうちの他方の面である第二ディスクネック曲面は、前記第二ベアリング面の前記径方向内側の縁から前記径方向内側に向かうに連れて次第に前記周方向第二側に向かう第二ディスクネック外側曲面と、前記第二ディスクネック外側曲面の前記径方向内側の縁である第二ディスクネック位置から前記径方向内側に向かうに連れて次第に前記周方向第一側に向かう第二ディスクネック内側曲面と、を有する。前記第二ディスクネック外側曲面は、前記周方向で、前記第一ディスクネック外側曲面と対向する。前記第二ディスクネック内側曲面は、前記周方向で、前記第一ディスクネック内側曲面と対向する。前記第二ディスクネック位置は、前記周方向で、前記第一ディスクネック位置と対向する。前記底面は、前記径方向内側とは反対側の径方向外側を向き、前記第一ディスクネック内側曲面の前記径方向内側の縁と前記第二ディスクネック内側曲面の前記径方向内側の縁とを接続する平面である。前記第一ディスクネック外側曲面は、前記第一ディスクネック位置から前記径方向外側に向かうに連れて曲率が次第に大きくなる第一曲率変化面を有する。前記第二ディスクネック外側曲面は、前記第二ディスクネック位置から前記径方向外側に向かうに連れて曲率が次第に大きくなる第二曲率変化面を有する。
【0009】
本態様では、第一ディスクネック位置と第二ディスクネック位置との間の周方向における間隔が、この翼根溝における周方向の最大溝幅になる。
【0010】
本態様の効果を説明するために、比較例のロータディスクについて、以下で説明する。
【0011】
比較例におけるロータディスクも、本態様におけるロータディスクと同様、外周面から径方向内側に凹む翼根溝と、を有する。
【0012】
比較例における翼根溝も、本態様における翼根溝と同様、第一翼根ネック対向面と、第二翼根ネック対向面と、第一ベアリング面と、第二ベアリング面と、第一ディスクネック外側曲面と、第二ディスクネック外側曲面と、第一ディスクネック内側曲面と、第二ディスクネック内側曲面と、底面と、を有する。比較例における以上の各面のうち、第一ディスクネック外側曲面及び第二ディスクネック外側曲面が、本態様における翼根溝の対応面と異なる。
【0013】
比較例における第一ディスクネック外側曲面は、上記態様における第一ディスクネック外側曲面の第一曲率変化面の代わりに、第一曲率一定面を有する。この第一曲率一定面は、翼根溝内の点を中心とする第一円の一部で規定される円弧面である。また、比較例における第二ディスクネック外側曲面は、上記実施形態における第二ディスクネック外側曲面の第二曲率変化面の代わりに、第二曲率一定面を有する。この第二曲率一定面は、翼根溝内の点を中心とする第二円の一部で規定される円弧面である。
【0014】
比較例でも、第一曲率一定面の径方向内側の縁である第一ディスクネック位置と、第二曲率一定面の径方向内側の縁である第二ディスクネック位置との間の周方向における間隔が、この翼根溝における周方向の最大溝幅になる。
【0015】
ここで、以上で説明した各面における径方向への単位変化量に対する周方向の変化量の割合を変化率とする。
【0016】
また、本態様において、第一曲率変化面の径方向外側の縁における変化率と、この第一曲率変化面の径方向外側につながる面の径方向内側の縁における変化率とが、一致、若しくは近似しているとする。同様に、比較例において、第一曲率一定面の径方向外側の縁における変化率と、この第一曲率一定面の径方向外側につながる面の径方向内側の縁における変化率とが、一致、若しくは近似しているとする。
【0017】
本態様における第一曲率変化面は、第一ディスクネック位置から径方向外側に向かうに連れて曲率が次第に大きくなる曲面である。また、比較例における第一曲率一定面は、第一円の一部で規定される円弧面である。このため、第一曲率変化面中で径方向第一位置の点における周方向の位置は、第一曲率一定面中で径方向第一位置の点における周方向の位置よりも、周方向第二側に寄る。
【0018】
よって、本態様における第一ディスクネック位置は、比較例における第一ディスクネック位置よりも、周方向第二側に寄っていることになる。
【0019】
また、本態様において、第二曲率変化面の径方向外側の縁における変化率と、この第二曲率変化面の径方向外側につながる面の径方向内側の縁における変化率とが、一致、若しくは近似しているとする。同様に、比較例において、第二曲率一定面の径方向外側の縁における変化率と、この第二曲率一定面の径方向外側につながる面の径方向内側の縁における変化率とが、一致、若しくは近似しているとする。
【0020】
本態様における第二曲率変化面は、第二ディスクネック位置から径方向外側に向かうに連れて曲率が次第に大きくなる曲面である。また、比較例における第二曲率一定面は、第二円の一部で規定される円弧面である。このため、第二曲率変化面中で径方向第一位置の点における周方向の位置は、第二曲率一定面中で径方向第一位置の点における周方向の位置よりも、周方向第一側に寄る。
【0021】
よって、本態様における第二ディスクネック位置は、比較例における第二ディスクネック位置よりも、周方向第一側に寄っていることになる。
【0022】
このため、本態様では、翼根からの荷重がかかる各ベアリング面の周方向の幅を比較例の各ベアリング面の周方向の幅から変えずに、最大溝幅を比較例の最大溝幅より狭めることができる。言い換えると、本態様では、翼根からの荷重がかかる各ベアリング面の周方向の幅を比較例の各ベアリング面の周方向の幅から変えずに、周方向に隣接する翼根溝間における最小間隔を、比較例で周方向に隣接する翼根溝間における最小間隔より広げることができる。すなわち、本態様では、比較例よりも、ロータディスク中で、第一の翼根溝で溝幅が最も広い部分と、第一の翼根溝に周方向で隣接する第二の翼根溝で溝幅が最も広い部分との間の部分であるディスクネック部の周方向の間隔を広げることができる。よって、本態様では、比較例よりも、ロータディスク中のディスクネック部に発生する応力を緩和することができる。
【0023】
また、本態様では、比較例より、第一ディスクネック位置周りの面における曲率、及び第二ディスクネック位置周りの面における曲率が小さくなる。よって、本態様では、この観点からも、比較例より、ロータディスク中のディスクネック部に発生する応力を緩和することができる。
【0024】
前記目的を達成するための発明に係る一態様の動翼は、
断面が翼形を成し、断面に対して垂直な翼高さ方向に延びる翼体と、前記翼高さ方向における翼高さ第一側と翼高さ第二側とのうち、前記翼体の前記翼高さ第二側に設けられ、軸線を中心として円板状を成すロータディスクの翼根溝に嵌り込める翼根と、を有する。前記翼体は、前縁と、後縁と、前記前縁と前記後縁とを結ぶ凹曲面の正圧面と、前記前縁と前記後縁とを結ぶ凸曲面の負圧面と、を有する。前記翼根は、前記後縁に対して前記前縁が存在する側である前側を向く前端面と、前記前側とは反対側である後側を向く後端面と、前記前端面の縁と前記後端面の縁とを結ぶ側面と、を有する。前記翼根の側面は、一対のネック面と、一対のベアリング面と、一対のディスクネック対向曲面と、底面と、を有する。前記一対のネック面のうちの一方の面である第一ネック面は、前記翼高さ方向の成分を有する方向に広がる。前記一対のネック面のうちの他方の面である第二ネック面は、前記翼高さ方向の成分を有する方向に広がり、前記翼高さ方向に垂直で前記前端面に沿った側方向で前記第一ネック面と対向し、前記第一ネック面に対して、前記側方向における側方第一側と側方第二側とのうち前記側方第二側に位置する。前記一対のベアリング面のうちの一方の面である第一ベアリング面は、前記第一ネック面の前記翼高さ第二側の縁から前記翼高さ第二側に向かうに連れて次第に前記側方第一側に向かう傾斜平面である。前記一対のベアリング面のうちの他方の面である第二ベアリング面は、前記第二ネック面の前記翼高さ第二側の縁から前記翼高さ第二側に向かうに連れて次第に前記側方第二側に向かう傾斜平面で、前記側方向で前記第一ベアリング面と対向する。前記一対のディスクネック対向曲面のうちの一方の面である第一ディスクネック対向曲面は、前記第一ベアリング面の前記翼高さ第二側の縁から前記翼高さ第二側に向かうに連れて次第に前記側方第一側に向かう第一ディスクネック対向外側曲面と、前記第一ディスクネック対向外側曲面の前記翼高さ第二側の縁である第一ベリトップ位置から前記翼高さ第二側に向かうに連れて次第に前記側方第二側に向かう第一ディスクネック対向内側曲面と、を有する。前記一対のディスクネック対向曲面のうちの他方の面である第二ディスクネック対向曲面は、前記第二ベアリング面の前記翼高さ第二側の縁から前記翼高さ第二側に向かうに連れて次第に前記側方第二側に向かう第二ディスクネック対向外側曲面と、前記第二ディスクネック対向外側曲面の前記翼高さ第二側の縁である第二ベリトップ位置から前記翼高さ第二側に向かうに連れて次第に前記側方第一側に向かう第二ディスクネック対向内側曲面と、を有する。前記第二ディスクネック対向外側曲面は、前記側方向で、前記第一ディスクネック対向外側曲面と対向する。前記第二ディスクネック対向内側曲面は、前記側方向で、前記第一ディスクネック対向内側曲面と対向する。前記第二ベリトップ位置は、前記側方向で、前記第一ベリトップ位置と対向する。前記底面は、前記翼高さ第二側を向き、前記第一ディスクネック対向内側曲面の前記翼高さ第二側の縁と前記第二ディスクネック対向内側曲面の前記翼高さ第二側の縁とを接続する平面である。前記第一ディスクネック対向外側曲面は、前記第一ベリトップ位置から前記翼高さ第一側に向かうに連れて曲率が次第に大きくなる第一曲率変化面を有する。前記第二ディスクネック対向外側曲面は、前記第二ベリトップ位置から前記翼高さ第一側に向かうに連れて曲率が次第に大きくなる第二曲率変化面を有する。
【0025】
本態様における動翼のディスクネック対向曲面の面形状が、上記一態様における翼根溝のディスクネック曲面の面形状に対応している。このため、上記一態様における翼根溝内に本態様のおける動翼の翼根を嵌め込み易い。すなわち、上記一態様における翼根溝を採用する場合、本態様の翼根を採用することで、ロータディスクに対する動翼の組付作業性を向上させることができる。
【0026】
前記目的を達成するための発明に係る一態様の動翼組品は、
前記一態様におけるロータディスクと、前記一態様における動翼と、を備える。前記ロータディスクの複数の前記翼根溝のうちのいずれかに前記動翼の前記翼根が嵌り込む。前記動翼に関する前記翼高さ方向が前記径方向を成し、前記翼高さ第一側が前記径方向外側を成し、前記翼高さ第二側が前記径方向内側を成す。前記動翼に関する前記側方向が前記周方向を成し、前記側方第一側が前記周方向第一側を成し、前記側方第二側が前記周方向第二側を成す。前記動翼の前記第一ネック面が前記翼根溝の前記第一翼根ネック対向面と対向する。前記動翼の前記第二ネック面が前記翼根溝の前記第二翼根ネック対向面と対向する。前記動翼の前記第一ベアリング面が前記翼根溝の前記第一ベアリング面と対向する。前記動翼の前記第二ベアリング面が前記翼根溝の前記第二ベアリング面と対向する。前記動翼の前記第一ディスクネック対向外側曲面が前記翼根溝の前記第一ディスクネック外側曲面と対向する。前記動翼の前記第二ディスクネック対向外側曲面が前記翼根溝の前記第二ディスクネック外側曲面と対向する。前記動翼の前記第一ディスクネック対向内側曲面が前記翼根溝の前記第一ディスクネック内側曲面と対向する。前記動翼の前記第二ディスクネック対向内側曲面が前記翼根溝の前記第一ディスクネック内側曲面と対向する。前記動翼の前記第一ネック面が前記翼根溝の前記第一翼根ネック対向面に接しているときに、前記動翼の前記第二ネック面が前記翼根溝の前記第二翼根ネック対向面に接する。
【0027】
本態様の動翼組品は、前記一態様におけるロータディスクを備える。よって、本態様でも、前記一態様におけるロータディスクと同様、ロータディスク中のディスクネック部に発生する応力を緩和することができる。
【0028】
さらに、本態様の動翼組品は、前記一態様における動翼を備える。よって、本態様でも、前記一態様における動翼と同様、ロータディスクに対する動翼の組付作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0029】
本開示の一態様におけるロータディスク及び静翼組品によれば、ロータディスクのディスクネック部に発生する応力を緩和することができる。また、本開示の一態様における動翼によれば、上記一態様におけるロータディスクに対する組付作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本開示に係る一実施形態におけるガスタービンの模式的な断面図である。
図2】本開示に係る一実施形態における動翼組品の要部正面図である。
図3図2におけるIII-III線断面図である。
図4図2におけるIV部の拡大正面図である。
図5】本開示に係る一実施形態におけるロータディスクの要部正面図である。
図6】本開示に係る一実施形態における翼根の要部正面図である。
図7】比較例におけるロータディスクの要部正面図である。
図8】一実施形態におけるロータディスクと比較例におけるロータディスクとの違いを示す説明図である。
図9】本開示に係る一実施形態の第一変形例におけるロータディスクの要部正面図である。
図10】本開示に係る一実施形態の第二変形例における静翼組品の要部正面図である。図9におけるX-X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本開示のロータディスク、動翼、及びこれを備えている動翼組品の実施形態及び変形例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
「動翼組品の実施形態」
本実施形態における動翼組品は、ガスタービンの一部である。そこで、まず、動翼組品を含むガスタービンについて説明する。
【0033】
ガスタービンは、図1に示すように、空気Aを圧縮して圧縮空気を生成可能な圧縮機20と、圧縮空気中で燃料Fを燃焼させて燃焼ガスGを生成可能な燃焼器15と、高温高圧の燃焼ガスGにより駆動するタービン10と、を備える。
【0034】
圧縮機20は、ロータ軸線Arを中心として回転可能な圧縮機ロータ21と、圧縮機ロータ21を覆う圧縮機ケーシング22と、複数の圧縮機静翼列23と、吸気量調節機24と、を有する。タービン10は、ロータ軸線Arを中心として回転可能なタービンロータ11と、タービンロータ11を覆うタービンケーシング12と、複数のタービン静翼列13と、を有する。なお、以下では、ロータ軸線Arが延びる方向をロータ軸線方向Da、ロータ軸線方向Daにおける一方側を軸線上流側Dau、ロータ軸線方向Daにおける他方側を軸線下流側Dadとする。また、ロータ軸線Arを中心とした周方向を単に周方向Dcとする。また、ロータ軸線Arに対して垂直な方向を径方向Drとし、径方向Drでロータ軸線Arに近づく側を径方向内側Dri、その反対側を径方向外側Droとする。
【0035】
圧縮機20は、タービン10に対して軸線上流側Dauに配置されている。圧縮機ロータ21は、ロータ軸線Arを中心としてロータ軸線方向Daに延びる圧縮機ロータ軸21sと、この圧縮機ロータ軸21sに取り付けられている複数の圧縮機動翼列21bと、を有する。複数の圧縮機動翼列21bは、ロータ軸線方向Daに並んでいる。各圧縮機動翼列21bは、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の動翼で構成されている。複数の圧縮機動翼列21bの各軸線下流側Dadには、複数の圧縮機静翼列23のうちのいずれか一の圧縮機静翼列23が配置されている。各圧縮機静翼列23は、圧縮機ケーシング22の内側に取り付けられている。各圧縮機静翼列23は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の静翼で構成されている。吸気量調節機24は、複数の入口案内翼(IGV(inlet guide vane))24vと、各入口案内翼24vの向きを変更できる駆動器24dと、を有する。複数の入口案内翼24vは、複数の圧縮機動翼列21bよりも軸線上流側Dauに配置されている。複数の入口案内翼14vは、周方向に並んで配置されている。
【0036】
タービンロータ11は、軸線Arを中心としてロータ軸線方向Daに延びるタービンロータ軸11sと、このタービンロータ軸11sに取り付けられている複数のタービン動翼列11bと、を有する。複数のタービン動翼列11bは、ロータ軸線方向Da に並んでいる。各タービン動翼列11bは、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の動翼で構成されている。複数のタービン動翼列11bの各軸線上流側Dauには、複数のタービン静翼列13のうちのいずれか一つのタービン静翼列13が配置されている。各タービン静翼列13は、タービンケーシング12の内側に取り付けられている。各タービン静翼列13は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の静翼で構成されている。
【0037】
ガスタービンは、さらに、中間ケーシング2を備えている。この中間ケーシング2は、ロータ軸線方向Da で、圧縮機ケーシング22とタービンケーシング12との間に配置されている。中間ケーシング2の軸線上流側Dauの端は、圧縮機ケーシング22の軸線下流側Dadの端に接続されている。中間ケーシング2の軸線下流側Dadの端は、タービンケーシング12の軸線上流側Dauの端に接続されている。燃焼器15は、この中間ケーシング2に取り付けられている。
【0038】
圧縮機ロータ21とタービンロータ11とは、同一ロータ軸線Ar上に位置し、互いに接続されてガスタービンロータ1を成す。このガスタービンロータ1には、例えば、発電機GENのロータが接続されている。
【0039】
圧縮機ロータ軸21sは、複数の圧縮機動翼列21b毎に存在するロータディスク30がロータ軸線方向Daに積層されて構成されている。一のロータディスク30には、一の圧縮機動翼列21bが取り付けられている。本実施形態における動翼組品は、一のロータディスク30と、一の圧縮機動翼列21bを構成する複数の動翼と、を有する。
【0040】
ロータディスク30は、図2及び図3に示すように、ロータ軸線Arを中心として円板状を成している。このロータディスク30は、軸線上流側Dauを向く前端面31f,66fと、軸線下流側Dadを向く後端面31bと、前端面31fと後端面31bとをつなぐ外周面32と、この外周面32から径方向内側Driに凹む複数の翼根溝35と、を有する。各翼根溝35は、いずれも、ロータディスク30をロータ軸線方向Daに貫通し、前端面31fから後端面31bまで延びている。
【0041】
動翼60は、断面が翼形を成し、断面に対して垂直な翼高さ方向Dhに延びる翼体61と、ロータディスク30の翼根溝35に嵌り込める翼根65と、を有する。
【0042】
翼体61は、前縁62fと、後縁62bと、前縁62fと後縁62bとを結ぶ凹曲面の正圧面63pと、前縁62fと後縁62bとを結ぶ凸曲面の負圧面63nと、を有する。前縁62f、後縁62b、正圧面63p、及び負圧面63nは、いずれも、翼高さ方向Dhに延びている。
【0043】
翼根65は、後縁62bに対して前縁62fが存在する側である前側を向く前端面66fと、前側とは反対側である後側を向く後端面66bと、ガスパス面67と、前端面66fの縁と後端面の縁とを結ぶ側面68と、を有する。
【0044】
ここで、翼高さ方向Dhにおける一方側を翼高さ第一側Dh1、翼高さ方向Dhにおける他方側を翼高さ第二側Dh2とする。また、翼高さ方向Dhに垂直で前端面66fに沿った方向を側方向Dsとする。また、側方向Dsにおける一方側を側方第一側Ds1、側方向Dsにおける他方側を側方第二側Ds2とする。なお、動翼60の翼根65をロータディスク30の翼根溝35に嵌め込んだ際には、翼高さ方向Dhが径方向Drになり、翼高さ第一側Dh1が径方向外側Droになり、翼高さ第二側Dh2が径方向内側Driになる。側方向Dsが周方向Dcになり、側方第一側Ds1が周方向第一側Dc1になり、側方第二側Ds2が周方向第二側Dc2になる。翼根65の前端面66fがロータディスク30の前端面31fに実質的に面一になり、翼根65の後端面66bがロータディスク30の後端面31bに実質的に面一になる。
【0045】
翼根65は、翼体61の翼高さ第二側Dh2の端に設けられている。翼根65のガスパス面67は、翼高さ第一側Dh1を向く。ガスパス面67は、翼根65の前端面66fにおける翼高さ第一側Dh1の縁と、翼根65の後端面66bにおける翼高さ第一側Dh1の縁とを接続する。このガスパス面67は、圧縮機ケーシング22内の空気流路の一部を画定する面である。翼根65の後端面66bは、翼根65の前端面66fに対して平行である。ガスパス面67の側方第一側Ds1の縁と側方第二側Ds2の縁との間の中心を通り、翼高さ方向Dhに延びる仮想線は、翼根対称軸Abrを成す。
【0046】
翼根65の側面68は、図4に示すように、一対のネック面70a,70bと、一対のベアリング面72a,72bと、一対のディスクネック対向曲面73a,73bと、底面89と、を有する。
【0047】
一対のネック面70a,70bのうちの一方の面である第一ネック面70aは、ガスパス面67の側方第一側Ds1の縁から翼高さ第二側Dh2の成分を有する方向に広がり、側方第一側Ds1を向いている。一対のネック面70a,70bのうちの他方の面である第二ネック面70bは、ガスパス面67の側方第二側Ds2の縁から翼高さ第二側Dh2の成分を有する方向に広がり、側方第二側Ds2を向いている。よって、この第二ネック面70bは、第一ネック面70aよりも側方第二側Ds2に位置し、第一ネック面70aと側方向Dsで対向している。この第二ネック面70bは、翼根対称軸Abrを基準として、第一ネック面70aと線対称である。
【0048】
一対のベアリング面72a,72bのうちの一方の面である第一ベアリング面72aは、第一ネック面70aの翼高さ第二側Dh2の縁から翼高さ第二側Dh2に向かうに連れて次第に側方第一側Ds1に向かう傾斜平面である。一対のベアリング面72a,72bのうちの他方の面である第二ベアリング面72bは、第二ネック面70bの翼高さ第二側Dh2の縁から翼高さ第二側Dh2に向かうに連れて次第に側方第二側Ds2に向かう傾斜平面である。よって、この第二ベアリング面72bは、第一ベアリング面72aよりも側方第二側Ds2に位置し、第一ベアリング面72aと側方向Dsで対向している。この第二ベアリング面72bは、翼根対称軸Abrを基準として、第一ベアリング面72aと線対称である。
【0049】
一対のディスクネック対向曲面73a,73bのうちの一方の面である第一ディスクネック対向曲面73aは、第一ベアリング面72aの翼高さ第二側Dh2の縁から翼高さ第二側Dh2に向かうに連れて次第に側方第一側Ds1に向かう第一ディスクネック対向外側曲面74aと、第一ディスクネック対向外側曲面74aの翼高さ第二側Dh2の縁である第一ベリトップ位置84aから翼高さ第二側Dh2に向かうに連れて次第に側方第二側Ds2に向かう第一ディスクネック対向内側曲面85aと、を有する。一対のディスクネック対向曲面73a,73bのうちの他方の面である第二ディスクネック対向曲面73bは、第二ベアリング面72bの翼高さ第二側Dh2の縁から翼高さ第二側Dh2に向かうに連れて次第に側方第二側Ds2に向かう第二ディスクネック対向外側曲面74bと、第二ディスクネック対向外側曲面74bの翼高さ第二側Dh2の縁である第二ベリトップ位置84bから翼高さ第二側Dh2に向かうに連れて次第に側方第一側Ds1に向かう第二ディスクネック対向内側曲面85bと、を有する。よって、第二ディスクネック対向外側曲面74bは、第一ディスクネック対向外側曲面74aより側方第二側Ds2に位置し、第一ディスクネック対向外側曲面74aと側方向Dsで対向している。この第二ディスクネック対向外側曲面74bは、翼根対称軸Abrを基準として、第一ディスクネック対向外側曲面74aと線対称である。また、第二ディスクネック対向内側曲面85bは、第一ディスクネック対向内側曲面85aより側方第二側Ds2に位置し、第一ディスクネック対向内側曲面85aと側方向Dsで対向している。この第二ディスクネック対向内側曲面85bは、翼根対称軸Abrを基準として、第一ディスクネック対向内側曲面85aと線対称である。また、第二ベリトップ位置84bは、第一ベリトップ位置84aより側方第二側Ds2に位置し、第一ベリトップ位置84aと側方向Dsで対向している。
【0050】
底面89は、翼高さ第二側Dh2を向き、第一ディスクネック対向内側曲面85aの翼高さ第二側Dh2の縁と第二ディスクネック対向内側曲面85bの翼高さ第二側Dh2の縁とを接続する平面である。
【0051】
ロータディスク30の翼根溝35は、一対の翼根ネック対向面40a,40bと、一対のベアリング面42a,42bと、一対のディスクネック曲面43a,43bと、底面59と、を有する。
【0052】
一対の翼根ネック対向面40a,40bのうちの一方の面である第一翼根ネック対向面40aは、外周面32中の周方向Dcにおける周方向第一位置32aから、径方向内側Driの成分を有する方向に広がり、周方向第二側Dc2を向いている。一対の翼根ネック対向面40a,40bのうちの他方の面である第二翼根ネック対向面40bは、外周面32中で、周方向第一位置32aから周方向第二側Dc2に離れた周方向第二位置32bから、径方向内側Driの成分を有する方向に広がり、周方向第一側Dc1を向いている。よって、第二翼根ネック対向面40bは、第一翼根ネック対向面40aより周方向第二側Dc2に位置し、第一翼根ネック対向面40aと周方向Dcで対向している。また、第一翼根ネック対向面40aと第二翼根ネック対向面40bとの間の周方向Dcにおける間隔は、翼根65の第一ネック面70aと第二ネック面70bとの間の側方向Dsにおける間隔より、僅かに広い。
【0053】
周方向第一位置32aと周方向第二位置32bとの間の中心を通り、径方向Drに延びる仮想線は、翼根溝対称軸Argを成す。第二翼根ネック対向面40bは、この翼根溝対称軸Argを基準にして、第一翼根ネック対向面40aと線対称である。動翼60の翼根65をロータディスク30の翼根溝35に嵌め込んだ際には、翼根対称軸Abrは、この翼根溝対称軸Arg上に位置する。
【0054】
一対のベアリング面42a,42bのうちの一方の面である第一ベアリング面42aは、第一翼根ネック対向面40aの径方向内側Driの縁から径方向内側Driに向かうに連れて次第に周方向第一側Dc1に向かう傾斜平面である。一対のベアリング面42a,42bのうちの他方の面である第二ベアリング面42bは、第二翼根ネック対向面40bの径方向内側Driの縁から径方向内側Driに向かうに連れて次第に周方向第二側Dc2に向かう傾斜平面である。よって、この第二ベアリング面42bは、第一ベアリング面42aよりも周方向第二側Dc2に位置し、第一ベアリング面42aと周方向Dcで対向している。この第二ベアリング面42bは、翼根溝対称軸Argを基準として、第一ベアリング面42aと線対称である。
【0055】
一対のディスクネック曲面43a,43bのうちの一方の面である第一ディスクネック曲面43aは、第一ベアリング面42aの径方向内側Driの縁から径方向内側Driに向かうに連れて次第に周方向第一側Dc1に向かう第一ディスクネック外側曲面44aと、第一ディスクネック外側曲面44aの径方向内側Driの縁である第一ディスクネック位置54aから径方向内側Driに向かうに連れて次第に周方向第二側Dc2に向かう第一ディスクネック内側曲面55aと、を有する。一対のディスクネック曲面43a,43bのうちの他方の面である第二ディスクネック曲面43bは、第二ベアリング面42bの径方向内側Driの縁から径方向内側Driに向かうに連れて次第に周方向第二側Dc2に向かう第二ディスクネック外側曲面44bと、第二ディスクネック外側曲面44bの径方向内側Driの縁である第二ディスクネック位置54bから径方向内側Driに向かうに連れて次第に周方向第一側Dc1に向かう第二ディスクネック内側曲面55bと、を有する。よって、第二ディスクネック外側曲面44bは、第一ディスクネック外側曲面44aより周方向第二側Dc2に位置し、第一ディスクネック外側曲面44aと周方向Dcで対向している。この第二ディスクネック外側曲面44bは、翼根溝対称軸Argを基準として、第一ディスクネック外側曲面44aと線対称である。また、第二ディスクネック内側曲面55bは、第一ディスクネック内側曲面55aより周方向第二側Dc2に位置し、第一ディスクネック内側曲面55aと周方向Dcで対向している。この第二ディスクネック内側曲面55bは、翼根溝対称軸Argを基準として、第一ディスクネック内側曲面55aと線対称である。また、第二ディスクネック位置54bは、第一ディスクネック位置54aより周方向第二側Dc2に位置し、第一ディスクネック位置54aと周方向Dcで対向している。
【0056】
第一ディスクネック位置54aと第二ディスクネック位置54bとの間の周方向Dcにおける間隔が、翼根溝35における周方向Dcの最大溝幅Wになる。
【0057】
底面59は、径方向外側Droを向く。この底面59は、第一ディスクネック内側曲面55aの径方向内側Driの縁と第二ディスクネック内側曲面55bの径方向内側Driの縁とを接続する平面である。
【0058】
動翼60の翼根65をロータディスク30の翼根溝35に嵌め込んだ際には、動翼60の第一ネック面70aが翼根溝35の第一翼根ネック対向面40aと対向し、動翼60の第二ネック面70bが翼根溝35の第二翼根ネック対向面40bと対向する。この際、動翼60の第一ベアリング面72aが翼根溝35の第一ベアリング面42aと対向し、動翼60の第二ベアリング面72bが翼根溝35の第二ベアリング面42bと対向する。この際、動翼60の第一ディスクネック対向外側曲面74aが翼根溝35の第一ディスクネック外側曲面44aと対向し、動翼60の第二ディスクネック対向外側曲面74bが翼根溝35の第二ディスクネック外側曲面44bと対向する。この際、動翼60の第一ディスクネック対向内側曲面85aが翼根溝35の第一ディスクネック内側曲面55aと対向し、動翼60の第二ディスクネック対向内側曲面85bが翼根溝35の第二ディスクネック内側曲面55bと対向する。
【0059】
ロータディスク30がロータ軸線Arを中心として回転しているとき、動翼60には遠心力が作用する。このため、ロータディスク30が回転し始めると、動翼60は径方向外側Droに移動し、動翼60の第一ベアリング面72aが翼根溝35の第一ベアリング面42aに接し、動翼60の第二ベアリング面72bが翼根溝35の第二ベアリング面42bに接する。この結果、ロータディスク30が回転すると、翼根溝35の第一ベアリング面42a及び第二ベアリング面42bには、動翼60からの荷重がかかる。
【0060】
図5に示すように、翼根溝35の第一ディスクネック外側曲面44aは、第一逃げ面45aと、第一曲率変化面48aと、を有する。
【0061】
第一逃げ面45aは、第一ベアリング面42aの径方向内側Driの縁から径方向内側Driに向かうに連れて次第に周方向第一側Dc1に向かう曲面である。この第一逃げ面45aは、径方向内側Driへの単位変化量に対する周方向第一側Dc1に向かう変化量が第一ベアリング面42aより大きい。この第一逃げ面45aは、翼根溝35外であって第一ベアリング面42aよりも周方向第一側Dc1の点47aを中心とする第一溝外円46aの一部で規定される円弧面である。よって、この第一逃げ面45aは、第一ベアリング面42aの径方向内側Driの縁からの第一ベアリング面42aの延長仮想平面に接することはない。
【0062】
第一曲率変化面48aは、第一ディスクネック位置54aから径方向外側Droに向かうに連れて曲率が次第に大きくなる曲面である。この第一曲率変化面48aの径方向外側Droの縁は、第一逃げ面45aの径方向内側Driの縁に接続されている。この第一曲率変化面48aは、翼根溝35内で径方向Drに並ぶ二つの焦点51aで定まる第一楕円49aの一部で規定される楕円弧面である。
【0063】
翼根溝35の第一ディスクネック内側曲面55aは、翼根溝35内の点57aを中心とする第一円56aの一部で規定される円弧面である。
【0064】
前述したように、翼根溝35の第二ディスクネック外側曲面44bは、翼根溝対称軸Argを基準として、第一ディスクネック外側曲面44aと線対称である。このため、第二ディスクネック外側曲面44bは、翼根溝対称軸Argを基準として第一逃げ面45aと線対称な第二逃げ面45bと、翼根溝対称軸Argを基準として第一曲率変化面48aと線対称な第二曲率変化面48bと、を有する。
【0065】
第二逃げ面45bは、第二ベアリング面42bの径方向内側Driの縁から径方向内側Driに向かうに連れて次第に周方向第二側Dc2に向かう曲面である。この第二逃げ面45bは、径方向内側Driへの単位変化量に対する周方向第二側Dc2に向かう変化量が第二ベアリング面42bより大きい。この第二逃げ面45bは、翼根溝35外であって第二ベアリング面42bよりも周方向第二側Dc2の点47bを中心とする第二溝外円46bの一部で規定される円弧面である。よって、この第二逃げ面45bは、第二ベアリング面42bの径方向内側Driの縁からの第二ベアリング面42bの延長仮想平面に接することはない。
【0066】
第二曲率変化面48bは、第二ディスクネック位置54bから径方向外側Droに向かうに連れて曲率が次第に大きくなる曲面である。この第二曲率変化面48bの径方向外側Droの縁は、第二逃げ面45bの径方向内側Driの縁に接続されている。この第二曲率変化面48bは、翼根溝35内で径方向Drに並ぶ二つの焦点で定まる第二楕円49bの一部で規定される楕円弧面である。
【0067】
翼根溝35の第二ディスクネック内側曲面55bは、翼根溝対称軸Argを基準として、第一ディスクネック内側曲面55aと線対称である。このため、第二ディスクネック内側曲面55bは、翼根溝35内の点57bを中心とする第二円56bの一部で規定される円弧面である。
【0068】
第一楕円49aの長径Aは、第一円56aの半径Rより長く、第一楕円49aの短径Bは、第一円56aの半径Rより短い。また、第二楕円49bの長径Aは、第二円56bの半径Rより長く、第二楕円49bの短径Bは、第二円56bの半径Rより短い。なお、第二楕円49bの長径Aは、第一楕円49aの長径Aと同じである。第二楕円49bの短径Bは、第一楕円49aの短径Bと同じである。第二円56bの半径Rは、第一円56aの半径Rと同じである。また、第一楕円49aの楕円中心52a、第一円56aの中心点57a、第二楕円49bの楕円中心52b、第二円56bの中心点57b、第一ディスクネック位置54a、及び第二ディスクネック位置54bは、同一直線上に位置する。
【0069】
図6に示すように、翼根65の第一ネック面70aは、第一逃げ面71aを有する。
【0070】
翼根65の第一逃げ面71aは、第一ベアリング面72aの翼高さ第一側Dh1の縁から翼高さ第一側Dh1に向かうに連れて次第に側方第二側Ds2に向かう曲面である。この第一逃げ面71aは、翼高さ第一側Dh1への単位変化量に対する側方第二側Ds2に向かう変化量が、第一ベアリング面72aにおける翼高さ第一側Dh1への単位変化量に対する側方第二側Ds2に向かう変化量より大きい。よって、この第一逃げ面71aは、第一ベアリング面72aの翼高さ第一側Dh1の縁からの第一ベアリング面72aの延長仮想平面に接することはない。
【0071】
翼根65の第一ディスクネック対向外側曲面74aは、第一ベリトップ位置84aから翼高さ第一側Dh1に向かうに連れて曲率が次第に大きくなる第一曲率変化面78aを有する。第一曲率変化面78aは、翼根65内で翼高さ方向Dhに並ぶ二つの焦点81aで定まる第一楕円79aの一部で規定される楕円弧面である。
【0072】
翼根65の第一ディスクネック対向内側曲面85aは、翼根65内の点87aを中心とする第一円86aの一部で規定される円弧面である。
【0073】
前述したように、翼根65の第二ネック面70bは、翼根対称軸Abrを基準として、翼根65の第一ネック面70aと線対称である。よって、第二ネック面70bは、翼根対称軸Abrを基準として、第一ネック面70a中の第一逃げ面71aと線対称な第二逃げ面71bを有する。この第二逃げ面71bは、翼高さ第一側Dh1への単位変化量に対する側方第一側Ds1に向かう変化量が、第二ベアリング面72bにおける翼高さ第一側Dh1への単位変化量に対する側方第一側Ds1に向かう変化量より大きい。よって、この第二逃げ面71bは、第二ベアリング面72bの翼高さ第一側Dh1の縁からの第二ベアリング面72bの延長仮想平面に接することはない。
【0074】
前述したように、翼根65の第二ディスクネック対向外側曲面74bは、翼根溝対称軸Argを基準として、第一ディスクネック外側曲面44aと線対称である。このため、第二ディスクネック対向外側曲面74bは、第二ベリトップ位置84bから翼高さ第一側Dh1に向かうに連れて曲率が次第に大きくなる第二曲率変化面78bを有する。第二曲率変化面78bは、翼根65内で翼高さ方向Dhに並ぶ二つの焦点81bで定まる第二楕円79bの一部で規定される楕円弧面である。
【0075】
前述したように、翼根65の第二ディスクネック対向内側曲面85bは、翼根溝対称軸Argを基準として、第一ディスクネック対向内側曲面85aと線対称である。このため、第二ディスクネック対向内側曲面85bは、翼根65内の点87bを中心とする第二円86bの一部で規定される円弧面である。
【0076】
第一楕円79aの長径Abは、第一円86aの半径Rbより長く、第一楕円79aの短径Bbは、第一円86aの半径Rbより短い。また、第二楕円79bの長径Abは、第二円86bの半径Rbより長く、第二楕円79bの短径Bbは、第二円86bの半径Rbより短い。なお、第二楕円79bの長径Abは、第一楕円79aの長径Abと同じである。第二楕円79bの短径Bbは、第一楕円79aの短径Bbと同じである。第二円86bの半径Rbは、第一円86aの半径Rbと同じである。また、第一楕円79aの楕円中心82a、第一円86aの中心点87a、第二楕円79bの楕円中心82b、第二円86bの中心点87b、第一ベリトップ位置84a、及び第二ベリトップ位置84bは、同一直線上に位置する。
【0077】
次に、本実施形態におけるロータディスク30の効果を説明するために、図7を用いて、比較例としてのロータディスク30Cについて説明する。
【0078】
比較例におけるロータディスク30Cも、本実施形態におけるロータディスク30と同様、外周面32と、この外周面32から径方向内側Driに凹む翼根溝35Cと、を有する。
【0079】
比較例における翼根溝35Cも、本実施形態における翼根溝35と同様、一対の翼根ネック対向面40a,40bと、一対のベアリング面42a,42bと、一対のディスクネック曲面43Ca,43Cbと、底面59と、を有する。なお、比較例における翼根溝35Cも、本実施形態における翼根溝35と同様、翼根溝対称軸Argを基準として一対の翼根ネック対向面40a,40bは互いに線対称であり、翼根溝対称軸Argを基準として一対のベアリング面42a,42bは互いに線対称であり、翼根溝対称軸Argを基準として一対のディスクネック曲面43Ca,43Cbは互いに線対称である。
【0080】
一対の翼根ネック対向面40a,40bのうちの一方の面である第一翼根ネック対向面40aは、外周面32中の周方向Dcにおける周方向第一位置32aから、径方向内側Driの成分を有する方向に広がっている。一対の翼根ネック対向面40a,40bのうちの他方の面である第二翼根ネック対向面40bは、外周面32中で、周方向第一位置32aから周方向第二側Dc2に離れた周方向第二位置32bから、径方向内側Driの成分を有する方向に広がっている。
【0081】
一対のベアリング面42a,42bのうちの一方の面である第一ベアリング面42aは、第一翼根ネック対向面40aの径方向内側Driの縁から径方向内側Driに向かうに連れて次第に周方向第一側Dc1に向かう傾斜平面である。一対のベアリング面42a,42bのうちの他方の面である第二ベアリング面42bは、第二翼根ネック対向面40bの径方向内側Driの縁から径方向内側Driに向かうに連れて次第に周方向第二側Dc2に向かう傾斜平面である。
【0082】
一対のディスクネック曲面43Ca,43Cbのうちの一方の面である第一ディスクネック曲面43Caは、第一ベアリング面42aの径方向内側Driの縁から径方向内側Driに向かうに連れて次第に周方向第一側Dc1に向かう第一ディスクネック外側曲面44Caと、第一ディスクネック外側曲面44Caの径方向内側Driの縁である第一ディスクネック位置54Caから径方向内側Driに向かうに連れて次第に周方向第二側Dc2に向かう第一ディスクネック内側曲面55Caと、を有する。一対のディスクネック曲面43Ca,43Cbのうちの他方の面である第二ディスクネック曲面43Cbは、第二ベアリング面42bの径方向内側Driの縁から径方向内側Driに向かうに連れて次第に周方向第二側Dc2に向かう第二ディスクネック外側曲面44Cbと、第二ディスクネック外側曲面44Cbの径方向内側Driの縁である第二ディスクネック位置54Cbから径方向内側Driに向かうに連れて次第に周方向第一側Dc1に向かう第二ディスクネック内側曲面55Cbと、を有する。
【0083】
第一ディスクネック位置54Caと第二ディスクネック位置54Cbとの間の周方向Dcにおける間隔が、この翼根溝35Cにおける周方向Dcの最大溝幅WCになる。
【0084】
底面59は、径方向外側Droを向き、第一ディスクネック内側曲面55Caの径方向内側Driの縁と第二ディスクネック内側曲面55Cbの径方向内側Driの縁とを接続する平面である。
【0085】
第一ディスクネック外側曲面44Caは、第一逃げ面45aと、第一曲率一定面53aと、を有する。この第一ディスクネック外側曲面44Caは、上記実施形態における第一ディスクネック外側曲面44Caの第一曲率変化面48aの代わりに、第一曲率一定面53aを有する。第一曲率一定面53aは、翼根溝35C内の点57Caを中心とする第一円56Caの一部で規定される円弧面である。
【0086】
第一ディスクネック内側曲面55Caは、上記実施形態における第一ディスクネック内側曲面55aと同様、翼根溝35C内の点57Caを中心とする第一円56Caの一部で規定される円弧面である。すなわち、第一ディスクネック外側曲面44Caの第一曲率一定面53aと第一ディスクネック内側曲面55Caとは、同一の第一円56Caの一部で規定される円弧面である。
【0087】
第二ディスクネック外側曲面44Cbは、第二逃げ面45bと、第二曲率一定面53bと、を有する。この第二ディスクネック外側曲面44Cbは、上記実施形態における第一ディスクネック外側曲面44aの第二曲率変化面48bの代わりに、第二曲率一定面53bを有する。第二曲率一定面53bは、翼根溝35C内の点57Cbを中心とする第二円56Cbの一部で規定される円弧面である。
【0088】
第二ディスクネック内側曲面55Cbは、上記実施形態における第二ディスクネック内側曲面55bと同様、翼根溝35C内の点57Cbを中心とする第二円56Cbの一部で規定される円弧面である。すなわち、第二ディスクネック外側曲面44Cbの第二曲率一定面53bと第二ディスクネック内側曲面55Cbとは、同一の第二円56Cbの一部で規定される円弧面である。
【0089】
ここで、以上で説明した各面における径方向Drへの単位変化量に対する周方向Dcの変化量の割合を変化率とする。
【0090】
また、本実施形態において、第一曲率変化面48aの径方向外側Droの縁における変化率と、この第一曲率変化面48aの径方向外側Droにつながる面(第一逃げ面45a)の径方向内側Driの縁における変化率とが、一致、若しくは近似しているとする。同様に、比較例において、第一曲率一定面53aの径方向外側Droの縁における変化率と、この第一曲率一定面53aの径方向外側Droにつながる面(第一逃げ面45a)の径方向内側Driの縁における変化率とが、一致、若しくは近似しているとする。
【0091】
本実施形態における第一曲率変化面48aは、第一ディスクネック位置54aから径方向外側Droに向かうに連れて曲率が次第に大きくなる曲面である。また、比較例における第一曲率一定面53aは、第一円56Caの一部で規定される円弧面である。このため、第一曲率変化面48a中で径方向第一位置の点における周方向Dcの位置は、第一曲率一定面53a中で径方向第一位置の点における周方向Dcの位置よりも、周方向第二側Dc2に寄る。
【0092】
よって、本実施形態における第一ディスクネック位置54aは、比較例における第一ディスクネック位置54Caよりも、周方向第二側Dc2に寄っていることになる。
【0093】
また、本実施形態において、第二曲率変化面48bの径方向外側Droの縁における変化率と、この第二曲率変化面48bの径方向外側Droにつながる面(第二逃げ面45b)の径方向内側Driの縁における変化率とが、一致、若しくは近似しているとする。同様に、比較例において、第二曲率一定面53bの径方向外側Droの縁における変化率と、この第二曲率一定面53bの径方向外側Droにつながる面(第二逃げ面45b)の径方向内側Driの縁における変化率とが、一致、若しくは近似しているとする。
【0094】
本実施形態における第二曲率変化面48bは、第二ディスクネック位置54bから径方向外側Droに向かうに連れて曲率が次第に大きくなる曲面である。また、比較例における第二曲率一定面53bは、第二円56Cbの一部で規定される円弧面である。このため、第二曲率変化面48b中で径方向第一位置の点における周方向Dcの位置は、第二曲率一定面53b中で径方向第一位置の点における周方向Dcの位置よりも、周方向第一側Dc1に寄る。
【0095】
よって、本実施形態における第二ディスクネック位置54bは、比較例における第二ディスクネック位置54Cbよりも、周方向第一側Dc1に寄っていることになる。
【0096】
このため、図8に示すように、本実施形態では、翼根65からの荷重がかかる各ベアリング面42a,42bの周方向Dcの幅を比較例の各ベアリング面42a,42bの周方向Dcの幅から変えずに、本実施形態の最大溝幅Wを比較例の最大溝幅WCより狭めることができる。言い換えると、本実施形態では、翼根65からの荷重がかかる各ベアリング面42a,42bの周方向Dcの幅を比較例の各ベアリング面42a,42bの周方向Dcの幅から変えずに、周方向Dcに隣接する翼根溝35間における本実施形態の最小間隔Lを、比較例で周方向Dcに隣接する翼根溝35C間における最小間隔LCより広げることができる。すなわち、本実施形態では、比較例よりも、ロータディスク30中で、第一の翼根溝35で溝幅が最も広い部分と、第一の翼根溝35に周方向Dcで隣接する第二の翼根溝35で溝幅が最も広い部分との間の部分であるディスクネック部58の周方向Dcの間隔を広げることができる。よって、本実施形態では、比較例よりも、ロータディスク30中のディスクネック部58に発生する応力を緩和することができる。
【0097】
また、本実施形態では、比較例より、第一ディスクネック位置54a周りの面における曲率が小さくなる。よって、本実施形態では、この観点からも、比較例より、ロータディスク30中のディスクネック部58に発生する応力を緩和することができる。
【0098】
ロータディスク30が回転しているとき、翼根溝35の各ベアリング面42a,42bは、動翼60から荷重を受ける。本実施形態では、各ベアリング面42a,42bの径方向内側Driの縁に逃げ面45a,45bが接続されているため、この荷重がディスクネック部58側に回り込むのを抑制できる。よって、本実施形態では、この観点からも、ロータディスク30中のディスクネック部58に発生する応力を緩和することができる。
【0099】
「動翼組品の第一変形例」
本変形例における動翼組品も、上記実施形態における動翼組品と同様、ロータディスクと、このロータディスクに取り付けられる動翼とを有する。
【0100】
図9に示すように、本変形例におけるロータディスク30Xも、上記実施形態におけるロータディスク30と同様、翼根溝35Xを有する。この翼根溝35Xも、上記実施形態における翼根溝35と同様、第一翼根ネック対向面40aと、第二翼根ネック対向面40bと、第一ベアリング面42aと、第二ベアリング面42bと、第一ディスクネック外側曲面44Xaと、第二ディスクネック外側曲面44Xbと、第一ディスクネック内側曲面55Xaと、第二ディスクネック内側曲面55Xbと、底面59と、を有する。
【0101】
本変形例における以上の各面のうち、第一ディスクネック外側曲面44Xa、第二ディスクネック外側曲面44Xb、第一ディスクネック内側曲面55Xa、及び第二ディスクネック内側曲面55Xbは、上記実施形態における対応面と異なる。一方、本変形例における以上の各面のうち、第一ディスクネック外側曲面44Xa、第二ディスクネック外側曲面44Xb、第一ディスクネック内側曲面55Xa、及び第二ディスクネック内側曲面55Xbを除く面は、上記実施形態における対応面と同じである。
【0102】
本変形例においても、上記実施形態と同様、翼根溝対称軸Argを基準として、第一翼根ネック対向面40aと第二翼根ネック対向面40bとは、互い線対称である。翼根溝対称軸Argを基準として、第一ベアリング面42aと第二ベアリング面42bとは、互いに線対称である。翼根溝対称軸Argを基準として、第一ディスクネック外側曲面44Xaと第二ディスクネック外側曲面44Xbとは、互いに線対称である。翼根溝対称軸Argを基準として、第一ディスクネック内側曲面55Xaと第二ディスクネック内側曲面55Xbとは、線対称である。そこで、以下では、本変形例における第一ディスクネック外側曲面44Xa、及び第一ディスクネック内側曲面55Xaについて、主として説明する。
【0103】
本変形例における第一ディスクネック外側曲面44Xaも、上記実施形態における第一ディスクネック外側曲面44aと同様、第一逃げ面45aと、第一曲率変化面48Xaと、を有する。
【0104】
本変形例における第一逃げ面45aは、上記実施形態における第一逃げ面45aと同じである。
【0105】
本変形例における第一曲率変化面48Xaは、上記実施形態における第一曲率変化面48aと同様、第一ディスクネック位置54aから径方向外側Droに向かうに連れて曲率が次第に大きくなる曲面である。この第一曲率変化面48Xaの径方向外側Droの縁は、第一逃げ面45aの径方向内側Driの縁に接続されている。この第一曲率変化面48Xaは、翼根溝35X内で径方向Drに並ぶ二つの焦点51Xaで定まる第一楕円49Xaの一部で規定される楕円弧面である。第一楕円49Xaの楕円中心52Xaと第一ディスクネック位置54aとは、上記実施形態と同様、互いの径方向Drの位置が同じである。
【0106】
本変形例における第一ディスクネック内側曲面55Xaの径方向内側Driの部分は、翼根溝35X内の点57Xaを中心とする第一円56Xaの一部で規定される円弧面である。本変形例における第一円56Xaの半径RXは、上記実施形態における第一円56aの半径Rよりも短い。また、本変形例における第一円56Xaの中心点57Xaは、本変形例における第一楕円49Xaの楕円中心52Xa及び第一ディスクネック位置54aよりも、径方向内側Driに位置している。
【0107】
本変形例における第一ディスクネック内側曲面55Xaの径方向外側Droの部分は、本変形例における第一曲率変化面48Xaを規定する第一楕円49Xaの他の一部で規定される楕円弧面である。
【0108】
すなわち、本変形例における第一ディスクネック内側曲面55Xaの径方向外側Dro部分と、本変形例における第一ディスクネック外側曲面44Xaの第一曲率変化面48Xaとは、同一の第一楕円49Xaの一部で規定される楕円弧面である。
【0109】
なお、本変形例における翼根溝35Xに嵌り込む翼根も、図示していないが、第一ディスクネック対向内側曲面の径方向外側Droの部分と、第一ディスクネック対向外側曲面の第一曲率変化面とが、同一の楕円の一部で規定される楕円弧面にしてもよい。この場合、この翼根における第一ディスクネック対向内側曲面中の径方向内側Driの部分のみが、円で規定される円弧面になる。
【0110】
以上のように、本変形例における第一ディスクネック外側曲面44Xaの形状及び第二ディスクネック外側曲面44Xbの形状を上記実施形態における対応面の面形状と変えてもよい。
【0111】
本変形例における第一ディスクネック外側曲面44Xaの第一曲率変化面48Xaは、上記実施形態における第一ディスクネック外側曲面44aの第一曲率変化面48aと同様、第一ディスクネック位置54aから径方向外側Droに向かうに連れて曲率が次第に大きくなる曲面であるから、本変形例でも、上記実施形態と同様、ロータディスク30X中のディスクネック部58に発生する応力を緩和することができる。
【0112】
「動翼組品の第二変形例」
本変形例における動翼組品も、上記実施形態における動翼組品と同様、ロータディスクと、このロータディスクに取り付けられる動翼とを有する。
【0113】
図10に示すように、本変形例におけるロータディスク30は、上記実施形態におけるロータディスク30と同じである。よって、本変形例におけるロータディスク30は、上記実施形態におけるロータディスク30の翼根溝35と同じ翼根溝35を有する。一方、本変形例における動翼60Xの翼根65Xは、上記実施形態における動翼60の翼根65と異なる。
【0114】
本変形例における翼根65Xは、上記実施形態における翼根65と同様、第一ネック面70aと、第二ネック面70bと、第一ベアリング面72aと、第二ベアリング面72bと、第一ディスクネック対向外側曲面74Xaと、第二ディスクネック対向外側曲面74Xbと、第一ディスクネック対向内側曲面85Xaと、第二ディスクネック対向内側曲面85Xbと、底面89と、を有する。
【0115】
本変形例における以上の各面のうち、第一ディスクネック対向外側曲面74Xa、第二ディスクネック対向外側曲面74Xb、第一ディスクネック対向内側曲面85Xa、及び第二ディスクネック対向内側曲面85Xbは、上記実施形態における対応面と異なる。一方、本変形例における以上の各面のうち、第一ディスクネック対向外側曲面74Xa、第二ディスクネック対向外側曲面74Xb、第一ディスクネック対向内側曲面85Xa、及び第二ディスクネック対向内側曲面85Xbを除く面は、上記実施形態における対応面と同じである。
【0116】
本変形例においても、上記実施形態と同様、翼根対称軸Abr線を基準として、第一ネック面70aと第二ネック面70bとは、互いに線対称である。翼根対称軸Abr線を基準として、第一ベアリング面72aと第二ベアリング面72bとは、互いに線対称である。翼根対称軸Abr線を基準として、第一ディスクネック対向外側曲面74Xaと第二ディスクネック対向外側曲面74Xbとは、互いに線対称である。翼根対称軸Abr線を基準として、第一ディスクネック対向内側曲面85Xaと第二ディスクネック対向内側曲面85Xbとは、互いに線対称である。よって、以下では、第一ディスクネック対向外側曲面74Xa、及び第一ディスクネック対向内側曲面85Xaについて、主として説明する。
【0117】
本変形例における第一ディスクネック対向外側曲面74Xaは、上記実施形態における第一ディスクネック対向外側曲面74aと同様、第一ベアリング面72aの径方向内側Driの縁から径方向内側Driに向かうに連れて次第に周方向第一側Dc1に向かう曲面である。但し、本変形例における第一ディスクネック対向外側曲面74Xaは、翼根65X内の点87Xaを中心とする第一円86Xaの一部で規定される円弧面である。よって、この第一ディスクネック対向外側曲面74Xaは曲率一定面である。
【0118】
本変形例における第一ディスクネック対向内側曲面85Xaは、上記実施形態における第一ディスクネック対向内側曲面85aと同様、第一ディスクネック対向外側曲面74Xaの翼高さ第二側Dh2の縁である第一ベリトップ位置84Xaから翼高さ第二側Dh2に向かうに連れて次第に側方第二側Ds2に向かう円弧面である。但し、本変形例における第一ディスクネック対向内側曲面74Xaは、前述の第一ディスクネック対向外側曲面74Xaを規定する第一円86Xaの一部で規定される円弧面である。よって、この第一ディスクネック対向内側曲面85Xaは曲率一定面である。
【0119】
よって、本変形例では、翼根65Xのディスクネック対向曲面73Xa,73Xbの面形状が、翼根溝35のディスクネック曲面43a,43bの面形状に対応していない。
【0120】
以上、本変形例における静翼組品のロータディスク30も、上記実施形態における翼根溝35と同一の翼根溝35を有するので、上記実施形態と同様、ロータディスク30中のディスクネック部58に発生する応力を緩和することができる。
【0121】
ところで、前述したように、本変形例では、ディスクネック対向曲面73Xa,73Xbの面形状が、翼根溝35のディスクネック曲面43a,43bの面形状に対応していない。一方、上記実施形態では、翼根65のディスクネック対向曲面73a,73bの面形状が、翼根溝35のディスクネック曲面43a,43bの面形状に対応している。このため、翼根65のディスクネック対向曲面73a,73bの面形状が、翼根溝35のディスクネック曲面43a,43bの面形状に対応している上記実施形態の方が、翼根溝35内に翼根65を嵌め込み易い。すなわち、上記実施形態のように、翼根65のディスクネック対向曲面73a,73bの面形状が翼根溝35のディスクネック曲面43a,43bの面形状に対応している方が、ロータディスク30に対する動翼60の組付作業性を向上させることができる。
【0122】
「その他の変形例」
以上の実施形態及び変形例における曲率変化面は、楕円の一部で規定される楕円弧面である。しかしながら、曲率変化面は、二次関数や三次関数等の多次関数で規定される曲面であってもよい。
【0123】
以上の実施形態及び変形例における動翼組品は、ガスタービンの圧縮機における動翼組品である。しかしながら、ロータディスクと動翼とを有する軸流流体機械であれば、ガスタービンの圧縮機を除く軸流流体機械の動翼組品に、以上で開示した構成を適用してもよい。
【0124】
本開示は、以上で説明した実施形態及び変形例に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲において、種々の追加、変更、置き換え、部分的削除等が可能である。
【0125】
「付記」
以上の実施形態及び変形例におけるロータディスクは、例えば、以下のように把握される。
【0126】
(1)第一態様におけるロータディスクは、軸線Arを中心として円板状を成し、外周側に動翼60,60Xが設けられるロータディスク30,30Xである。
このロータディスク30,30Xは、外周面32と、前記外周面32から前記軸線Arに対する径方向内側Driに凹み、前記動翼60,60Xの翼根65,65Xが挿入可能な複数の翼根溝35,35Xと、を有する。複数の前記翼根溝35,35Xは、前記軸線Arに対する周方向Dcに互いの間隔をあけて並んでいる。複数の前記翼根溝35,35Xは、いずれも、一対の翼根ネック対向面40a,40bと、一対のベアリング面42a,42bと、一対のディスクネック曲面43a,43bと、底面59と、を有する。前記一対の翼根ネック対向面40a,40bのうちの一方の面である第一翼根ネック対向面40aは、前記外周面32中の前記周方向Dcにおける周方向第一位置32aから、前記径方向内側Driの成分を有する方向に広がる。前記一対の翼根ネック対向面40a,40bのうちの他方の面である第二翼根ネック対向面40bは、前記外周面32中で、前記周方向第一位置32aから前記周方向Dcにおける周方向第一側Dc1と周方向第二側Dc2とのうちで前記周方向第二側Dc2に離れた周方向第二位置32bから、前記径方向内側Driの成分を有する方向に広がり、前記周方向Dcで前記第一翼根ネック対向面40aと対向する。前記一対のベアリング面42a,42bのうちの一方の面である第一ベアリング面42aは、前記第一翼根ネック対向面40aの前記径方向内側Driの縁から前記径方向内側Driに向かうに連れて次第に前記周方向第一側Dc1に向かう傾斜平面である。前記一対のベアリング面42a,42bのうちの他方の面である第二ベアリング面42bは、前記第二翼根ネック対向面40bの前記径方向内側Driの縁から前記径方向内側Driに向かうに連れて次第に前記周方向第二側Dc2に向かう傾斜平面で、前記周方向Dcで前記第一ベアリング面42aと対向する。前記一対のディスクネック曲面43a,43bのうちの一方の面である第一ディスクネック曲面43aは、前記第一ベアリング面42aの前記径方向内側Driの縁から前記径方向内側Driに向かうに連れて次第に前記周方向第一側Dc1に向かう第一ディスクネック外側曲面44a,44Xaと、前記第一ディスクネック外側曲面44a,44Xaの前記径方向内側Driの縁である第一ディスクネック位置54aから前記径方向内側Driに向かうに連れて次第に前記周方向第二側Dc2に向かう第一ディスクネック内側曲面55a,55Xaと、を有する。前記一対のディスクネック曲面43a,43bのうちの他方の面である第二ディスクネック曲面43bは、前記第二ベアリング面42bの前記径方向内側Driの縁から前記径方向内側Driに向かうに連れて次第に前記周方向第二側Dc2に向かう第二ディスクネック外側曲面44b,44Xbと、前記第二ディスクネック外側曲面44b,44Xbの前記径方向内側Driの縁である第二ディスクネック位置54bから前記径方向内側Driに向かうに連れて次第に前記周方向第一側Dc1に向かう第二ディスクネック内側曲面55b,55Xbと、を有する。前記第二ディスクネック外側曲面44b,44Xbは、前記周方向Dcで、前記第一ディスクネック外側曲面44a,44Xaと対向する。前記第二ディスクネック内側曲面55b,55Xbは、前記周方向Dcで、前記第一ディスクネック内側曲面55a,55Xaと対向する。前記第二ディスクネック位置54bは、前記周方向Dcで、前記第一ディスクネック位置54aと対向する。前記底面59は、前記径方向内側Driとは反対側の径方向外側Droを向き、前記第一ディスクネック内側曲面55a,55Xaの前記径方向内側Driの縁と前記第二ディスクネック内側曲面55b,55Xbの前記径方向内側Driの縁とを接続する平面である。前記第一ディスクネック外側曲面44a,44Xaは、前記第一ディスクネック位置54aから前記径方向外側Droに向かうに連れて曲率が次第に大きくなる第一曲率変化面48a,48Xaを有する。前記第二ディスクネック外側曲面44b,44Xbは、前記第二ディスクネック位置54bから前記径方向外側Droに向かうに連れて曲率が次第に大きくなる第二曲率変化面48b,48Xbを有する。
【0127】
本態様では、第一ディスクネック位置54aと第二ディスクネック位置54bとの間の周方向Dcにおける間隔が、この翼根溝35,35Xにおける周方向Dcの最大溝幅Wになる。
【0128】
本態様の効果を説明するために、比較例のロータディスク30Cについて、以下で説明する。
【0129】
比較例におけるロータディスク30Cも、本態様におけるロータディスク30、30Xと同様、外周面32から径方向内側Driに凹む翼根溝35Cと、を有する。
【0130】
比較例における翼根溝35Cも、本態様における翼根溝35,35Xと同様、第一翼根ネック対向面40aと、第二翼根ネック対向面40bと、第一ベアリング面42aと、第二ベアリング面42bと、第一ディスクネック外側曲面44Caと、第二ディスクネック外側曲面44Cbと、第一ディスクネック内側曲面55Caと、第二ディスクネック内側曲面55Cbと、底面59と、を有する。比較例における以上の各面のうち、第一ディスクネック外側曲面44Ca及び第二ディスクネック外側曲面44Cbが、本態様における翼根溝35,35Xの対応面と異なる。
【0131】
比較例における第一ディスクネック外側曲面44Caは、上記実施形態における第一ディスクネック外側曲面44a,44Xaの第一曲率変化面48a,48Xaの代わりに、第一曲率一定面53aを有する。この第一曲率一定面53aは、翼根溝35C内の点57Caを中心とする第一円56Caの一部で規定される円弧面である。また、比較例における第二ディスクネック外側曲面44Cbは、上記実施形態における第二ディスクネック外側曲面44b,44Xbの第二曲率変化面48bの代わりに、第二曲率一定面53bを有する。この第二曲率一定面53bは、翼根溝35,35XC内の点57Cbを中心とする第二円56Cbの一部で規定される円弧面である。
【0132】
比較例でも、第一曲率一定面53aの径方向内側Driの縁である第一ディスクネック位置54Caと、第二曲率一定面53bの径方向内側Driの縁である第二ディスクネック位置54Cbとの間の周方向Dcにおける間隔が、この翼根溝35Cにおける周方向Dcの最大溝幅WCになる。
【0133】
ここで、以上で説明した各面における径方向Drへの単位変化量に対する周方向Dcの変化量の割合を変化率とする。
【0134】
また、本態様において、第一曲率変化面48a,48Xaの径方向外側Droの縁における変化率と、この第一曲率変化面48a,48Xaの径方向外側Droにつながる面の径方向内側Driの縁における変化率とが、一致、若しくは近似しているとする。同様に、比較例において、第一曲率一定面53aの径方向外側Droの縁における変化率と、この第一曲率一定面53aの径方向外側Droにつながる面の径方向内側Driの縁における変化率とが、一致、若しくは近似しているとする。
【0135】
本態様における第一曲率変化面48a,48Xaは、第一ディスクネック位置54aから径方向外側Droに向かうに連れて曲率が次第に大きくなる曲面である。また、比較例における第一曲率一定面53aは、第一円56Caの一部で規定される円弧面である。このため、第一曲率変化面48a,48Xa中で径方向第一位置の点における周方向Dcの位置は、第一曲率一定面53a中で径方向第一位置の点における周方向Dcの位置よりも、周方向第二側Dc2に寄る。
【0136】
よって、本態様における第一ディスクネック位置54aは、比較例における第一ディスクネック位置54Caよりも、周方向第二側Dc2に寄っていることになる。
【0137】
また、本態様において、第二曲率変化面48b,48Xbの径方向外側Droの縁における変化率と、この第二曲率変化面48b,48Xbの径方向外側Droにつながる面の径方向内側Driの縁における変化率とが、一致、若しくは近似しているとする。同様に、比較例において、第二曲率一定面53bの径方向外側Droの縁における変化率と、この第二曲率一定面53bの径方向外側Droにつながる面の径方向内側Driの縁における変化率とが、一致、若しくは近似しているとする。
【0138】
本態様における第二曲率変化面48b,48Xbは、第二ディスクネック位置54bから径方向外側Droに向かうに連れて曲率が次第に大きくなる曲面である。また、比較例における第二曲率一定面53bは、第二円56Cbの一部で規定される円弧面である。このため、第二曲率変化面48b,48Xb中で径方向第一位置の点における周方向Dcの位置は、第二曲率一定面53b中で径方向第一位置の点における周方向Dcの位置よりも、周方向第一側Dc1に寄る。
【0139】
よって、本態様における第二ディスクネック位置54bは、比較例における第二ディスクネック位置54bよりも、周方向第一側Dc1に寄っていることになる。
【0140】
このため、本態様では、翼根65,65Xからの荷重がかかる各ベアリング面42a,42bの周方向Dcの幅を比較例の各ベアリング面42a,42bの周方向Dcの幅から変えずに、最大溝幅Wを比較例の最大溝幅WCより狭めることができる。言い換えると、本態様では、翼根65,65Xからの荷重がかかる各ベアリング面42a,42bの周方向Dcの幅を比較例の各ベアリング面42a,42bの周方向Dcの幅から変えずに、周方向Dcに隣接する翼根溝35,35X間における最小間隔Lを、比較例で周方向Dcに隣接する翼根溝35XC間における最小間隔LCより広げることができる。すなわち、本態様では、比較例よりも、ロータディスク30,30X中で、第一の翼根溝35,35Xで溝幅が最も広い部分と、第一の翼根溝35,35Xに周方向Dcで隣接する第二の翼根溝35,35Xで溝幅が最も広い部分との間の部分であるディスクネック部58の周方向Dcの間隔を広げることができる。よって、本態様では、比較例よりも、ロータディスク30,30X中のディスクネック部58に発生する応力を緩和することができる。
【0141】
また、本態様では、比較例より、第一ディスクネック位置54a周りの面における曲率、及び第二ディスクネック位置54b周りの面における曲率が小さくなる。よって、本態様では、この観点からも、比較例より、ロータディスク30,30X中のディスクネック部58に発生する応力を緩和することができる。
【0142】
(2)第二態様におけるロータディスクは、
前記第一態様におけるロータディスク30,30Xにおいて、前記第一曲率変化面48a,48Xaは、前記翼根溝35,35X内で前記軸線Arに対する径方向Drに並ぶ二つの焦点51a,51Xaで定まる第一楕円49a,49Xaの一部で規定される楕円弧面である。前記第二曲率変化面48b,48Xbは、前記翼根溝35,35X内で前記径方向Drに並ぶ二つの焦点51b,51Xbで定まる第二楕円49b,49Xbの一部で規定される楕円弧面である。
【0143】
(3)第三態様におけるロータディスクは、
前記第一態様又は前記第二態様におけるロータディスク30,30Xにおいて、前記第一ディスクネック内側曲面55a,55Xa中の少なくとも前記径方向内側Driの部分は、前記翼根溝35,35X内の点57a,57Xaを中心とする第一円56a,56Xaの一部で規定される円弧面である。前記第二ディスクネック内側曲面55b,55Xb中の少なくとも前記径方向内側Driの部分は、前記翼根溝35,35X内の点57b,57Xbを中心とする第二円56b,56Xbの一部で規定される円弧面である。
【0144】
(4)第四態様におけるロータディスクは、
前記第二態様におけるロータディスク30,30Xにおいて、前記第一ディスクネック内側曲面55a,55Xa中の少なくとも前記径方向内側Driの部分は、前記翼根溝35,35X内の点57a,57Xaを中心とする第一円56a,56Xaの一部で規定される円弧面である。前記第二ディスクネック内側曲面55b,55Xb中の少なくとも前記径方向内側Driの部分は、前記翼根溝35,35X内の点57b,57Xbを中心とする第二円56b,56Xbの一部で規定される円弧面である。前記第一楕円49a,49Xaの長径A,AXは、前記第一円56a,56Xaの半径R,RXより長い。前記第一楕円49a,49Xaの短径Bは、前記第一円56a,56Xaの半径R,RXより短い。前記第二楕円49b,49Xbの長径A,AXbは、前記第二円56b,56Xbの半径R,RXより長い。前記第二楕円49b,49Xbの短径Bは、前記第二円56b,56Xbの半径R,RXより短い。
【0145】
(5)第五態様におけるロータディスクは、
前記第一態様から前記第四態様のいずれか一態様におけるロータディスク30,30Xにおいて、前記第一ディスクネック外側曲面44a,44Xaは、前記第一ベアリング面42aの前記径方向内側Driの縁から前記径方向内側Driに向かうに連れて次第に前記周方向第一側Dc1に向かい、且つ、前記径方向内側Driへの単位変化量に対する前記周方向第一側Dc1に向かう変化量が、前記第一ベアリング面42aより大きい第一逃げ面45aを有する。前記第二ディスクネック外側曲面44b,44Xbは、前記第二ベアリング面42bの前記径方向内側Driの縁から前記径方向内側Driに向かうに連れて次第に前記周方向第二側Dc2に向かい、且つ、前記径方向内側Driへの単位変化量に対する前記周方向第二側Dc2に向かう変化量が、前記第二ベアリング面42bより大きい第二逃げ面45bを有する。前記第一逃げ面45aの前記径方向内側Driの縁が、前記第一曲率変化面48a,48Xaの前記径方向外側Droの縁に接続されている。前記第二逃げ面45bの前記径方向内側Driの縁が、前記第二曲率変化面48b,48Xbの前記径方向外側Droの縁に接続されている。前記第二逃げ面45bは、前記周方向Dcで、前記第一逃げ面45aと対向する。
【0146】
ロータディスク30,30Xが回転しているとき、翼根溝35,35Xの各ベアリング面42a,42bは、動翼60,60Xから荷重を受ける。本態様では、各ベアリング面42a,42bの径方向内側Driの縁に逃げ面45a,45bが接続されているため、この荷重がディスクネック部58側に回り込むのを抑制できる。よって、本態様では、ロータディスク30,30X中のディスクネック部58に発生する応力を緩和することができる。
【0147】
(6)第六態様におけるロータディスクは、
前記第五態様におけるロータディスク30,30Xにおいて、前記第一逃げ面45aは、前記翼根溝35,35X外であって前記第一翼根ネック対向面40aよりも前記周方向第一側Dc1の点を中心とする第一溝外円46aの一部で規定される円弧面である。前記第二逃げ面45bは、前記翼根溝35,35X外であって前記第二翼根ネック対向面40bよりも前記周方向第二側Dc2の点を中心とする第二溝外円46bの一部で規定される円弧面である。
【0148】
以上の実施形態及び変形例における動翼は、例えば、以下のように把握される。
(7)第七態様における動翼は、
断面が翼形を成し、断面に対して垂直な翼高さ方向Dhに延びる翼体61と、前記翼高さ方向Dhにおける翼高さ第一側Dh1と翼高さ第二側Dh2とのうち、前記翼体61の前記翼高さ第二側Dh2に設けられ、軸線Arを中心として円板状を成すロータディスク30,30Xの翼根溝35,35Xに嵌り込める翼根65と、を有する。前記翼体61は、前縁62fと、後縁62bと、前記前縁62fと前記後縁62bとを結ぶ凹曲面の正圧面63pと、前記前縁62fと前記後縁62bとを結ぶ凸曲面の負圧面63nと、を有する。前記翼根65は、前記後縁62bに対して前記前縁62fが存在する側である前側を向く前端面66fと、前記前側とは反対側である後側を向く後端面66bと、前記前端面66fの縁と前記後端面66bの縁とを結ぶ側面68と、を有する。前記翼根65の側面68は、一対のネック面70a,70bと、一対のベアリング面72a,72bと、一対のディスクネック対向曲面73a,73bと、底面89と、を有する。前記一対のネック面70a,70bのうちの一方の面である第一ネック面70aは、前記翼高さ方向Dhの成分を有する方向に広がる。前記一対のネック面70a,70bのうちの他方の面である第二ネック面70bは、前記翼高さ方向Dhの成分を有する方向に広がり、前記翼高さ方向Dhに垂直で前記前端面66fに沿った側方向Dsで前記第一ネック面70aと対向し、前記第一ネック面70aに対して、前記側方向Dsにおける側方第一側Ds1と側方第二側Ds2とのうち前記側方第二側Ds2に位置する。前記一対のベアリング面72a,72bのうちの一方の面である第一ベアリング面72aは、前記第一ネック面70aの前記翼高さ第二側Dh2の縁から前記翼高さ第二側Dh2に向かうに連れて次第に前記側方第一側Ds1に向かう傾斜平面である。前記一対のベアリング面72a,72bのうちの他方の面である第二ベアリング面72bは、前記第二ネック面70bの前記翼高さ第二側Dh2の縁から前記翼高さ第二側Dh2に向かうに連れて次第に前記側方第二側Ds2に向かう傾斜平面で、前記側方向Dsで前記第一ベアリング面72aと対向する。前記一対のディスクネック対向曲面73a,73bのうちの一方の面である第一ディスクネック対向曲面73aは、前記第一ベアリング面72aの前記翼高さ第二側Dh2の縁から前記翼高さ第二側Dh2に向かうに連れて次第に前記側方第一側Ds1に向かう第一ディスクネック対向外側曲面74aと、前記第一ディスクネック対向外側曲面74aの前記翼高さ第二側Dh2の縁である第一ベリトップ位置84aから前記翼高さ第二側Dh2に向かうに連れて次第に前記側方第二側Ds2に向かう第一ディスクネック対向内側曲面85aと、を有する。前記一対のディスクネック対向曲面73a,73bのうちの他方の面である第二ディスクネック対向曲面73bは、前記第二ベアリング面72bの前記翼高さ第二側Dh2の縁から前記翼高さ第二側Dh2に向かうに連れて次第に前記側方第二側Ds2に向かう第二ディスクネック対向外側曲面74bと、前記第二ディスクネック対向外側曲面74bの前記翼高さ第二側Dh2の縁である第二ベリトップ位置84bから前記翼高さ第二側Dh2に向かうに連れて次第に前記側方第一側Ds1に向かう第二ディスクネック対向内側曲面85bと、を有する。前記第二ディスクネック対向外側曲面74bは、前記側方向Dsで、前記第一ディスクネック対向外側曲面74aと対向する。前記第二ディスクネック対向内側曲面85bは、前記側方向Dsで、前記第一ディスクネック対向内側曲面85aと対向する。前記第二ベリトップ位置84bは、前記側方向Dsで、前記第一ベリトップ位置84aと対向する。前記底面89は、前記翼高さ第二側Dh2を向き、前記第一ディスクネック対向内側曲面85aの前記翼高さ第二側Dh2の縁と前記第二ディスクネック対向内側曲面85bの前記翼高さ第二側Dh2の縁とを接続する平面である。前記第一ディスクネック対向外側曲面74aは、前記第一ベリトップ位置84aから前記翼高さ第一側Dh1に向かうに連れて曲率が次第に大きくなる第一曲率変化面78aを有する。前記第二ディスクネック対向外側曲面74bは、前記第二ベリトップ位置84bから前記翼高さ第一側Dh1に向かうに連れて曲率が次第に大きくなる第二曲率変化面78bを有する。
【0149】
本態様における動翼60のディスクネック対向曲面73a,73bの面形状が、上記第一態様における翼根溝35,35Xのディスクネック曲面43a,43bの面形状に対応している。このため、上記第一態様における翼根溝35,35X内に本態様のおける動翼60の翼根65を嵌め込み易い。すなわち、上記第一態様における翼根溝35,35Xを採用する場合、本態様の翼根65を採用することで、ロータディスク30,30Xに対する動翼60の組付作業性を向上させることができる。
【0150】
(8)第八態様における動翼は、
前記第七態様における動翼60において、前記第一曲率変化面78aは、前記翼根65内で前記翼高さ方向Dhに並ぶ二つの焦点81aで定まる第一楕円79aの一部で規定される楕円弧面である。前記第二曲率変化面78bは、前記翼根65内で前記翼高さ方向Dhに並ぶ二つの焦点81bで定まる第二楕円79bの一部で規定される楕円弧面である。
【0151】
(9)第九態様における動翼は、
前記第七態様又は前記第八態様における動翼60において、前記第一ディスクネック対向内側曲面85a中の少なくとも前記翼高さ第二側Dh2の部分は、前記翼根65内の点87aを中心とする第一円86aの一部で規定される円弧面である。前記第二ディスクネック対向内側曲面85b中の少なくとも前記翼高さ第二側Dh2の部分は、前記翼根65内の点87bを中心とする第二円86bの一部で規定される円弧面である。
【0152】
(10)第十態様における動翼は、
前記第八態様における動翼60において、前記第一ディスクネック対向内側曲面85a中の少なくとも前記翼高さ第二側Dh2の部分は、前記翼根65内の点87aを中心とする第一円86aの一部で規定される円弧面である。前記第二ディスクネック対向内側曲面85b中の少なくとも前記翼高さ第二側Dh2の部分は、前記翼根65内の点87bを中心とする第二円86bの一部で規定される円弧面である。前記第一楕円79aの長径Abは、前記第一円86aの半径Rbより長い。前記第一楕円79aの短径Bbは、前記第一円86aの半径Rbより短い。前記第二楕円79bの長径Abは、前記第二円86bの半径Rbより長い。前記第二楕円79bの短径Bbは、前記第二円86bの半径Rbより短い。
【0153】
(11)第十一態様における動翼は、
前記第七態様から前記第十態様のうちのいずれか一態様における動翼60において、前記第一ネック面70aは、前記第一ベアリング面72aの前記翼高さ第一側Dh1の縁から前記翼高さ第一側Dh1に向かうに連れて次第に側方第二側Ds2に向かう第一逃げ面71aを有する。前記第一逃げ面71aは、前記翼高さ第一側Dh1への単位変化量に対する前記側方第二側Ds2に向かう変化量が、前記第一ベアリング面72aにおける前記翼高さ第一側Dh1への単位変化量に対する前記側方第二側Ds2に向かう変化量より大きい。前記第二ネック面70bは、前記第二ベアリング面72bの前記翼高さ第一側Dh1の縁から前記翼高さ第一側Dh1に向かうに連れて次第に側方第一側Ds1に向かう第二逃げ面71bを有する。前記第二逃げ面71bは、前記翼高さ第一側Dh1への単位変化量に対する前記側方第一側Ds1に向かう変化量が、前記第二ベアリング面72bにおける前記翼高さ第一側Dh1への単位変化量に対する前記側方第一側Ds1に向かう変化量より大きい。前記第二逃げ面71bは、前記側方向Dsで、前記第一逃げ面71aと対向する。
【0154】
以上の実施形態及び変形例における動翼組品は、例えば、以下のように把握される。
(12)第十二態様における動翼組品は、
前記第一態様から前記第六態様のうちのいずれか一態様におけるロータディスク30,30Xと、前記第七態様から前記第十一態様のうちのいずれか一態様における動翼60と、を備える。前記ロータディスク30,30Xの複数の前記翼根溝35,35Xのうちのいずれかに前記動翼60の前記翼根65が嵌り込む。前記動翼60に関する前記翼高さ方向Dhが前記径方向Drを成し、前記翼高さ第一側Dh1が前記径方向外側Droを成し、前記翼高さ第二側Dh2が前記径方向内側Driを成す。前記動翼60に関する前記側方向Dsが前記周方向Dcを成し、前記側方第一側Ds1が前記周方向第一側Dc1を成し、前記側方第二側Ds2が前記周方向第二側Dc2を成す。前記動翼60の前記第一ネック面70aが前記翼根溝35,35Xの前記第一翼根ネック対向面40aと対向する。前記動翼60の前記第二ネック面70bが前記翼根溝35,35Xの前記第二翼根ネック対向面40bと対向する。前記動翼60の前記第一ベアリング面72aが前記翼根溝35,35Xの前記第一ベアリング面42aと対向する。前記動翼60の前記第二ベアリング面72bが前記翼根溝35,35Xの前記第二ベアリング面42bと対向する。前記動翼60の前記第一ディスクネック対向外側曲面74aが前記翼根溝35,35Xの前記第一ディスクネック外側曲面44a,44Xaと対向する。前記動翼60の前記第二ディスクネック対向外側曲面74bが前記翼根溝35,35Xの前記第二ディスクネック外側曲面44b,44Xbと対向する。前記動翼60の前記第一ディスクネック対向内側曲面85aが前記翼根溝35,35Xの前記第一ディスクネック内側曲面55a,55Xaと対向する。前記動翼60の前記第二ディスクネック対向内側曲面85bが前記翼根溝35,35Xの前記第一ディスクネック内側曲面55a,55Xaと対向する。前記動翼60の前記第一ネック面70aが前記翼根溝35,35Xの前記第一翼根ネック対向面40aに接しているときに、前記動翼60の前記第二ネック面70bが前記翼根溝35,35Xの前記第二翼根ネック対向面40bに接する。
【0155】
本態様の動翼組品は、前記第一態様から前記第六態様のうちのいずれか一態様におけるロータディスク30,30Xを備える。よって、本態様でも、前記第一態様におけるロータディスク30,30Xと同様、ロータディスク30,30X中のディスクネック部58に発生する応力を緩和することができる。
【0156】
さらに、本態様の動翼組品は、前記第七態様から前記第十一態様のうちのいずれか一態様における動翼60を備える。よって、本態様でも、前記第七態様における動翼60と同様、ロータディスク30,30Xに対する動翼60の組付作業性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0157】
1:ガスタービンロータ
2:中間ケーシング
10:タービン
11:タービンロータ
11s:タービンロータ軸
11b:タービン動翼列
12:タービンケーシング
13:タービン静翼列
15:燃焼器
20:圧縮機
21:圧縮機ロータ
21s:圧縮機ロータ軸
21b:圧縮機動翼列
22:圧縮機ケーシング
23:圧縮機静翼列
24:吸気量調節機
24v:入口案内翼
24d:駆動器
30,30X,30C:ロータディスク
31f:前端面
31b:後端面
32:外周面
32a:周方向第一位置
32b:周方向第二位置
35,35X,35C:翼根溝
40a,40b:翼根ネック対向面
40a:第一翼根ネック対向面
40b:第二翼根ネック対向面
42a,42b:ベアリング面
42a:第一ベアリング面
42b:第二ベアリング面
43a,43b:ディスクネック曲面
43a,43Ca:第一ディスクネック曲面
43b,43Cb:第二ディスクネック曲面
44a,44Xa,44Ca:第一ディスクネック外側曲面
44b,44Xb,44Cb:第二ディスクネック外側曲面
45a:第一逃げ面
45b:第二逃げ面
46a:第一溝外円
46b:第二溝外円
47a,47b:点
48a,48Xa:第一曲率変化面
48b,48Xb:第二曲率変化面
49a,49Xa:第一楕円
49b,49Xb:第二楕円
51a,51b,51Xa,51Xb:焦点
52a,52b:楕円中心
53a:第一曲率一定面
53b:第二曲率一定面
54a,54Ca:第一ディスクネック位置
54b,54Cb:第二ディスクネック位置
55a,55Xa,55Ca:第一ディスクネック内側曲面
55b,55Xb,55Cb:第二ディスクネック内側曲面
56a,56Xa,56Ca:第一円
56b,56Xb,56Cb:第二円
57a,57Ca,57b,57Cb:点
58:ディスクネック部
59:底面
60,60X:動翼
61:翼体
62f:前縁
62b:後縁
63p:正圧面
63n:負圧面
65,65X:翼根
66f:前端面
66b:後端面
67:ガスパス面
68:側面
70a,70b:ネック面
70a:第一ネック面
70b:第二ネック面
71a:第一逃げ面
71b:第二逃げ面
72a,72b:ベアリング面
72a:第一ベアリング面
72b:第二ベアリング面
73a,73b,73Xa,73Xb:ディスクネック対向曲面
73a:第一ディスクネック対向曲面
73b:第二ディスクネック対向曲面
74a,74Xa:第一ディスクネック対向外側曲面
74b,74Xb:第二ディスクネック対向外側曲面
78a:第一曲率変化面
78b:第二曲率変化面
79a:第一楕円
79b:第二楕円
81a,81b:焦点
82a,82b:楕円中心
84a,84Xa:第一ベリトップ位置
84b,84Xb:第二ベリトップ位置
85a,85Xa:第一ディスクネック対向内側曲面
85b,85Xb:第二ディスクネック対向内側曲面
86a,86Xa:第一円
86b,86Xb:第二円
87a,87b,87Xa,87Xb:点
89:底面
A:空気
F:燃料
G:燃焼ガス
Ar:ロータ軸線
Arg:翼根溝対称軸
Abr:翼根対称軸
W,WC:最大溝幅
L,LC:最小間隔
Da:ロータ軸線方向
Dau:軸線上流側
Dad:軸線下流側
Dc:周方向
Dc1:周方向第一側
Dc2:周方向第二側
Dr:径方向
Dri:径方向内側
Dro:径方向外側
Dh:翼高さ方向
Dh1:翼高さ第一側
Dh2:翼高さ第二側
Ds:側方向
Ds1:側方第一側
Ds2:側方第二側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10