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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012991
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/23 20060101AFI20240124BHJP
   E06B 3/96 20060101ALI20240124BHJP
   E06B 1/04 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
E06B7/23 A
E06B3/96 B
E06B1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114872
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】堀口 香織
(72)【発明者】
【氏名】植田 英範
(72)【発明者】
【氏名】小倉 千裕
【テーマコード(参考)】
2E035
2E036
【Fターム(参考)】
2E035AA02
2E035BA01
2E035CA02
2E036AA01
2E036BA01
2E036CA03
2E036CA05
2E036DA04
2E036DA16
2E036EB09
2E036EC03
2E036GA02
2E036HB05
(57)【要約】
【課題】縦枠の中空部の小口に止水キャップが装着される建具において、止水キャップによる中空部の小口の止水性を向上させる。
【解決手段】中空部30は、室外面部33と、左右の側方面部35を有する。止水キャップ6は、室外面部33及び左右の側方面部35を含む中空部30の室外側部30Aで中空部30の小口32内に配置される蓋部51と、左右の側方面部35の間で中空部30の小口32内に垂設された壁部53と、壁部53に設けられ、左右の側方面部35に止水キャップ6を固定するビスを受容するビスホール部54と、中空部30の小口32内で蓋部51と室外面部33の間に挟まれる水密材60を有する。ビスホール部54は、壁部53の室内側に設けられ、かつ、室内側に向かって開口する。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空部を有する縦枠と、前記中空部の小口に装着される止水キャップと、を備えた建具であって、
前記中空部は、室外面部と、室内面部と、前記室外面部及び前記室内面部に連なる左右の側方面部と、を有し、
前記止水キャップは、前記室外面部及び前記左右の側方面部を含む前記中空部の室外側部で前記中空部の小口内に配置される蓋部と、前記左右の側方面部の間で前記中空部の小口内に垂設された壁部と、前記壁部に設けられ、前記左右の側方面部に前記止水キャップを固定するビスを受容するビスホール部と、前記中空部の小口内で前記蓋部と前記室外面部の間に挟まれる水密材と、を有し、
前記ビスホール部は、前記壁部の室内側に設けられ、かつ、室内側に向かって開口する建具。
【請求項2】
請求項1に記載された建具において、
前記止水キャップは、前記室外面部に当接して、前記ビスを中心とする前記止水キャップの回転を止める回転止め部を有する建具。
【請求項3】
請求項2に記載された建具において、
前記回転止め部は、前記水密材から前記縦枠の長手方向内側に離隔して、前記室外面部と対向して配置される建具。
【請求項4】
請求項2又は3に記載された建具において、
前記回転止め部は、前記ビスを中心に前記室外面部に向かって移動して、前記室外面部に当接する建具。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載された建具において、
前記止水キャップは、前記蓋部から前記縦枠の長手方向外側に向かって突出して、前記蓋部に沿って室内側に向かう水を止める水止め部を有する建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦枠の中空部の小口に止水キャップが装着された建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建具の縦枠は、建具の枠体に設けられて、建物の外壁に設置される。また、中空部を有する縦枠では、中空部が縦枠の端面で開口する。そのため、建物の外壁で、止水キャップを中空部の開口した小口に装着して、中空部の小口の止水性を確保することがある。従来、このような縦枠の中空部の小口の止水構造として、止水キャップであるふさぎ具により、縦枠の中空部の端部を覆う縦枠上部ふさぎ構造も知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された従来の縦枠上部ふさぎ構造では、ふさぎ具は、中空部内に差し込まれて、中空部の小口に取り付けられる。ところが、中空部の小口における室外側の箇所では、ふさぎ具と中空部の間に水が浸入する等して、中空部の小口の止水性に影響が生じる虞がある。また、例えば、ふさぎ具が変位することで、ふさぎ具と中空部の間に隙間が生じて、中空部の小口内に水が浸入することも懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭62-43104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、縦枠の中空部の小口に止水キャップが装着される建具において、止水キャップによる中空部の小口の止水性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、中空部を有する縦枠と、前記中空部の小口に装着される止水キャップと、を備えた建具であって、
前記中空部は、室外面部と、室内面部と、前記室外面部及び前記室内面部に連なる左右の側方面部と、を有し、
前記止水キャップは、前記室外面部及び前記左右の側方面部を含む前記中空部の室外側部で前記中空部の小口内に配置される蓋部と、前記左右の側方面部の間で前記中空部の小口内に垂設された壁部と、前記壁部に設けられ、前記左右の側方面部に前記止水キャップを固定するビスを受容するビスホール部と、前記中空部の小口内で前記蓋部と前記室外面部の間に挟まれる水密材と、を有し、
前記ビスホール部は、前記壁部の室内側に設けられ、かつ、室内側に向かって開口する建具である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、縦枠の中空部の小口に止水キャップが装着される建具において、止水キャップによる中空部の小口の止水性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の建具を示す正面図である。
図2】本実施形態の建具を示す縦断面図である。
図3】本実施形態の建具を示す横断面図である。
図4】本実施形態の縦枠の端部の構成を示す斜視図である。
図5】本実施形態の縦枠の端部の構成を示す斜視図である。
図6】本実施形態の縦枠の端部の構成を示す斜視図である。
図7】本実施形態の縦枠の端部と止水キャップを示す縦断面図である。
図8】本実施形態の縦枠の端部と止水キャップを示す縦断面図である。
図9】本実施形態の縦枠の端部と止水キャップを示す縦断面図である。
図10】本実施形態の止水キャップの他の例を示す図である。
図11】本実施形態の止水キャップの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の建具の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の建具では、止水キャップにより、縦枠の中空部の小口を止水する。以下では、建具が引き違い窓である場合を例にとり、本実施形態の建具について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の建具1を示す正面図であり、建物10に設置された建具1を室外側からみて示している。図2は、本実施形態の建具1を示す縦断面図であり、図3は、本実施形態の建具1を示す横断面図である。図2図3は、建具1が設置される建物10の一部の断面を示している。
【0011】
図示のように、建具1は、建物10の外壁11に設置されて、建物の室内(屋内)と室外(屋外)の間に配置される。建物10は、外壁11に形成された開口部12と、開口部12の4つの縁部(上縁部、下縁部、左右の縦縁部)に設けられた壁材13を備えている。開口部12は、外壁11の室外側の壁面材(外壁材)である壁材13に囲まれて、方形状に形成されている。建具1は、建物10の開口部12に設置されて、開口部12を塞ぐ。
【0012】
なお、建物10に設置した建具1を正面からみたときに(図1参照)、上下となる方向が上下方向Tであり、左右となる方向が左右方向Rである。図1では、上下方向Tは鉛直方向であり、左右方向Rは水平方向である。室内外方向S(図2図3参照)は、建物10に設置した建具1における室内外方向(屋内外方向)である。また、室内外方向Sは、建物10に設置した建具1を正面からみたときに、前後となる方向(奥行方向)であり、図3では、左右方向Rに直交する水平方向である。このように、建具1に関する方向は、建物10に設置した状態での方向で特定する。また、建具1に関して室内側、室外側とは、建物10に設置した状態での室内側、室外側である。
【0013】
建具1は、引き違い障子である2つの障子2、3(第1障子2、第2障子3)と、網戸4と、障子2、3及び網戸4を囲む枠体5を備えている。図1では、網戸4の一部のみを示し、図2図3では、障子2、3と網戸4の記載を省略している。第1障子2は、室内側に位置する室内側障子(内障子)であり、第2障子3は、室外側に位置する室外側障子(外障子)である。
【0014】
障子2、3は、スライドにより移動するスライド式の可動障子(パネル体)であり、枠体5の開口(枠体開口5A)に移動可能(スライド可能)に配置されている。障子2、3は、枠体開口5A内で、左右方向Rにスライドして引き違い状に移動する。障子2、3のそれぞれの移動により、枠体開口5Aが開閉される。網戸4は、障子2、3の室外側で、左右方向Rにスライドして移動する。
【0015】
枠体5は、方形状の開口枠(窓枠)であり、建物10の開口部12に設置される。また、枠体5は、互いに組み合わされた4つの枠20~22(上枠20、下枠21、一対の縦枠22)を有し、中空状の枠20~22により、方形状の枠体開口5Aを形成している。上枠20と下枠21は、枠体5の上下の横枠であり、枠体5の上部と下部で左右方向R(横方向)に延びる。一対の縦枠22は、枠体5の左右の側部に位置する側枠であり、枠体5の側部で上下方向T(縦方向)に延びる。上枠20、下枠21、及び、左右の縦枠22の端部同士が接続されて、枠20~22が枠組みされている。
【0016】
建物10の開口部12における室外側の箇所で、枠体5及び枠体5の枠20~22が外壁11の壁材13から離隔して配置されて、コーキング14が枠体5と壁材13の間に充填される。コーキング14は、シール材であり、枠体5の外周側、及び、建物10の開口部12の内周側に位置して、枠体5を囲む。また、コーキング14は、枠体5の枠20~22と壁材13の間に設けられて、枠体5の枠20~22と壁材13に密着する。枠体5の外周の全体にわたって、コーキング14により、枠体5の枠20~22と壁材13の間の箇所が塞がれてシールされる。
【0017】
建具1は、中空形状に形成された左右の縦枠22と、左右の縦枠22のそれぞれの端部23に装着された止水キャップ6を備えている。図1図2では、縦枠22の端部23の内部に装着された止水キャップ6を模式的に鎖線で示している。縦枠22の端部23は、縦枠22(図1参照)の長手方向T(上下方向T)における端部であり、上下方向Tに隣接するコーキング14と密着する。縦枠22の上方の端部23(上端部)は、上枠20の端部と接続し、上方に位置するコーキング14の下方に配置される。縦枠22の下方の端部23(下端部)は、下枠21の端部と接続し、下方に位置するコーキング14の上方に配置される。
【0018】
止水キャップ6は、縦枠22の上下の端部23(上端部、下端部)の少なくとも一方(両方、又は、いずれか一方)に設けられる。ここでは、止水キャップ6は、縦枠22の上下の端部23の両方に設けられている。また、縦枠22は、中空部30(図3参照)を有しており、縦枠22の上下の端部23のそれぞれで、止水キャップ6は、中空部30の内部に配置されている。縦枠22の中空部30は、中空形状に形成されたホロー部であり、縦枠22の長手方向Tに延びる。止水キャップ6は、固定具である2つのビス40(固定ビス)により、左右方向Rの両側から縦枠22の中空部30に固定されて、中空部30に装着されている。
【0019】
図4図6は、本実施形態の縦枠22の端部23の構成を示す斜視図であり、縦枠22の上方の端部23を示している。また、図4図5は、縦枠22から分離した止水キャップ6を示し、図4は、止水キャップ6を分解して示している。縦枠22の下方の端部23は、縦枠22の上方の端部23と同様に構成され、上下の止水キャップ6は、互いに同様に構成されている。そのため、縦枠22の下方の端部23と下方の止水キャップ6の詳しい説明は省略する。
【0020】
図示のように、縦枠22の中空部30は、縦枠22の長手方向Tにおける端面24で開口する開口31を有している。中空部30の開口31は、中空部30の小口32の開口した部分であり、中空部30の外部に向かって開放されている。中空部30の小口32は、縦枠22の長手方向Tにおける中空部30の端部であり、中空部30の端面及び開口31を含む。止水キャップ6は、開口31から中空部30の小口32内に配置されて、中空部30の小口32に装着される。止水キャップ6により、中空部30の小口32(開口31)の全体又は一部が止水される。
【0021】
縦枠22の中空部30は、室内外方向Sに連続する室外側の部分(室外側部30A)と室内側の部分(室内側部30B)を有している。室外側部30Aは、中空部30において室外側に位置し、室内側部30Bは、中空部30において室内側に位置している。止水キャップ6は、少なくとも、中空部30の室外側部30Aに設けられ、室外側部30Aで、中空部30の小口32に装着されて、小口32(開口31)を塞いで止水する。ここでは、止水キャップ6は、中空部30の室外側部30Aにおける小口32にのみ装着される。そのため、中空部30の室内側部30Bでは、中空部30の小口32に止水キャップ6が装着されず、小口32(開口31)が止水キャップ6により塞がれずに開口した状態に維持される。
【0022】
縦枠22の中空部30は、室外面部33と、室内面部34と、室外面部33及び室内面部34に連なる左右の側方面部35を有している。室外面部33、室内面部34、側方面部35は、それぞれ中空部30に板状に形成された板部(室外側板部、室内側板部、側方板部)である。また、室外面部33は、縦枠22の室外側の見付け部であり、室内面部34は、縦枠22の室内側の見付け部である。室外面部33と室内面部34は、室内外方向Sに離隔して、室内外方向Sにおいて相対する。左右の側方面部35は、縦枠22の左右の見込み部であり、左右方向Rに離隔して、左右方向Rにおいて相対する。中空部30の開口31は、室外面部33、室内面部34、及び、左右の側方面部35により囲まれて中空部30の小口32に形成されている。
【0023】
縦枠22の中空部30において、室外面部33は、室外側に位置し、室内面部34は、室内側に位置している。また、左右の側方面部35は、左右方向Rの両側の側方に位置している。室外面部33と室内面部34は、左右方向Rにおいて、左右の側方面部35の間に位置し、左右の側方面部35は、室内外方向Sにおいて、室外面部33と室内面部34の間に位置している。側方面部35は、室外面部33から室内側に向かって突出するとともに、室内面部34から室外側に向かって突出している。
【0024】
室外面部33は、中空部30の開口31及び止水キャップ6の室外側に位置し、開口31の室外側の部分を区画する。室内面部34は、中空部30の開口31及び止水キャップ6の室内側に位置し、開口31の室内側の部分を区画する。左右の側方面部35は、中空部30の開口31及び止水キャップ6の左右方向Rの両側の側方に位置し、開口31の左右方向Rの両側の側方の部分を区画する。
【0025】
中空部30の左右の側方面部35は、それぞれビス40(図3参照)が挿通する挿通孔36を有している。挿通孔36は、側方面部35に形成された貫通孔であり、側方面部35を左右方向Rに貫通する。ビス40は、中空部30の小口32の左右方向Rの側方から、側方面部35の挿通孔36を挿通して、側方面部35を貫通し、中空部30の小口32内の止水キャップ6に固定される。止水キャップ6は、ビス40により、左右の側方面部35に固定されて、中空部30の小口32に取り付けられる。
【0026】
中空部30の室外側部30Aは、室外面部33、及び、左右の側方面部35(室外側の部分)を含み、中空部30の室内側部30Bは、室内面部34、及び、左右の側方面部35(室内側の部分)を含む。また、左右の側方面部35のうち、一方の側方面部35は、左右方向Rに屈曲する段部37(屈曲部)を有し、枠体5の外周側(壁材13側)に位置している。中空部30の室外側部30Aは、一方の側方面部35の段部37よりも室外側の部分を含み、段部37よりも室外側に位置している。中空部30の室内側部30Bは、一方の側方面部35の段部37よりも室内側の部分を含み、段部37よりも室内側に位置している。止水キャップ6は、一方の側方面部35の段部37と室外面部33の間に嵌って、段部37と室外面部33の間に係止される。
【0027】
止水キャップ6は、ビス40により左右の側方面部35に固定されるキャップ本体50と、キャップ本体50に保持された水密材60を有している。水密材60がキャップ本体50に装着されて、止水キャップ6が中空部30の開口31及び小口32内に挿入される。キャップ本体50は、金属(例えば、アルミニウム合金)又は合成樹脂の押出成形により成形された押出形材からなり、中空形状に形成されている。押出形材が長手方向に直交する方向に切断されて、キャップ本体50が形成される。
【0028】
水密材60は、弾性材(例えば、ゴム)で形成された弾性変形可能なシール材であり、キャップ本体50とともに、縦枠22の中空部30の小口32内に配置される。中空部30の小口32内で、水密材60は、少なくともキャップ本体50と中空部30の室外面部33の間に設けられる。ここでは、キャップ本体50、水密材60、及び、止水キャップ6は、中空部30の室外側部30Aで中空部30の小口32(室外側部30Aの小口32)内に配置される。また、水密材60は、帯状に形成されて、キャップ本体50と室外面部33の間、及び、キャップ本体50と左右の側方面部35のそれぞれの間に設けられている。
【0029】
縦枠22の長手方向Tは、上下方向Tである。また、縦枠22の長手方向内側は、縦枠22の長手方向Tにおける縦枠22の内方側(中央部側)であり、縦枠22の長手方向外側は、縦枠22の長手方向Tにおける縦枠22の外方側(中央部の反対側)である。縦枠22の上方の端部23を含む中央部よりも上側の箇所では、縦枠22の長手方向内側は下側であり、縦枠22の長手方向外側は上側である。縦枠22の下方の端部23を含む中央部よりも下側の箇所では、縦枠22の長手方向内側は上側であり、縦枠22の長手方向外側は下側である。
【0030】
キャップ本体50は、中空部30の小口32の蓋となる蓋部51と、蓋部51に対して縦枠22の長手方向外側に位置する水止め部52と、蓋部51に対して縦枠22の長手方向内側に位置する壁部53、ビスホール部54、及び、回転止め部55を有している。このように、止水キャップ6は、水密材60、キャップ本体50、及び、キャップ本体50の各部51~55を有している。蓋部51は、水受け部であり、縦枠22の長手方向外側に向けて配置される。また、蓋部51は、縦枠22の上方の端部23ではキャップ本体50の上面部、縦枠22の下方の端部23ではキャップ本体50の下面部であり、室内外方向Sに沿って配置される。水密材60は、中空部30の小口32内で、蓋部51と室外面部33の間、及び、蓋部51と左右の側方面部35のそれぞれの間に挟まれる。
【0031】
キャップ本体50の室外側で、水密材60は、室外面部33の全体にわたって、キャップ本体50(ここでは、蓋部51)と室外面部33の間に挟まれて弾性変形し、キャップ本体50と室外面部33の間で圧縮される。水密材60は、キャップ本体50と室外面部33に密着して、キャップ本体50と室外面部33の間の箇所をシールする。また、キャップ本体50の左右の側方のそれぞれで、水密材60は、キャップ本体50と側方面部35(室外側の部分)の間に挟まれて弾性変形し、キャップ本体50と側方面部35の間で圧縮される。水密材60は、キャップ本体50と側方面部35に密着して、キャップ本体50と側方面部35の間の箇所をシールする。
【0032】
キャップ本体50の蓋部51は、中空部30の室外側部30Aで、中空部30の小口32内に配置され、中空部30の小口32の開口31を覆って、開口31の蓋となる。止水キャップ6は、キャップ本体50の蓋部51により、中空部30の室外側部30Aで、中空部30の小口32(開口31)を塞いで止水する。中空部30の小口32内で、蓋部51は、室外面部33との間に水密材60を挟んで、室外面部33から室内側に向かって配置される。また、蓋部51は、左右の側方面部35との間に水密材60を挟んで、左右の側方面部35の間に設けられる。
【0033】
キャップ本体50の蓋部51は、室外面部33の室内側、及び、左右の側方面部35の間に位置し、室外面部33、及び、左右の側方面部35に隣接して、室外面部33、及び、左右の側方面部35に沿って配置される。蓋部51は、室外面部33の室内側で、一方の側方面部35から他方の側方面部35まで配置されて、左右の側方面部35の間の箇所を塞いで止水する。雨水等の水は、蓋部51に受けられ、蓋部51に沿って移動して、蓋部51から室外側に向かって排水される。
【0034】
キャップ本体50の水止め部52は、蓋部51の室内側の縁部に形成された突片であり、蓋部51の室内側の縁部に沿って左右方向Rに延びる。また、水止め部52は、蓋部51から縦枠22の長手方向外側に向かって突出して、左右の側方面部35の間で、蓋部51に沿って室内側に向かう水を止める。蓋部51において、水が室内側に向かって水止め部52まで移動したときに、水止め部52により水の室内側への移動が阻止される。水止め部52により、蓋部51から室内側の箇所への水の浸入が妨げられる。
【0035】
キャップ本体50の壁部53及びビスホール部54は、中空状のキャップ本体50の内部に位置し、室外面部33から室内側に離隔して配置される。また、壁部53及びビスホール部54は、縦枠22の中空部30の小口32内で室内側に向けて配置されて、縦枠22の長手方向外側で、蓋部51により覆われる。壁部53は、室内側に向けて配置された面(壁面)を含む壁状の部分(壁面部)であり、ここでは、キャップ本体50内に位置する板部である。壁部53は、蓋部51の左右に位置する左右の側方面部35の間で、蓋部51から中空部30の小口32内に垂設されており、縦枠22の上方の端部23では蓋部51から垂下し、縦枠22の下方の端部23では蓋部51から立ち上がる。壁部53は、蓋部51から縦枠22の長手方向内側に向かって突出して、縦枠22の長手方向Tに沿って配置される。
【0036】
キャップ本体50のビスホール部54は、壁部53の室内側に設けられて、左右の側方面部35に止水キャップ6を固定するビス40(図3参照)を受容する。また、ビスホール部54は、ビスホール54Aとスリット54Bを有し、板状の壁部53に形成されている。ビスホール部54、ビスホール54A、及び、スリット54Bは、左右の側方面部35及び左右の側方面部35の挿通孔36の間で左右方向Rに延びる。ビス40は、止水キャップ6のキャップ本体50及び縦枠22の中空部30の小口32の左右方向Rの両側に設けられる。ビスホール部54の長手方向(左右方向R)の両側の左右の端部で、ビス40は、側方面部35の挿通孔36を挿通して、ビスホール部54のビスホール54Aに捩じ込まれる。これにより、ビス40は、ビスホール部54のビスホール54Aに螺合して、ビスホール54A及びビスホール部54(ビスホール部54の左右の端部)に固定される。左右のビス40により、キャップ本体50及び止水キャップ6は、左右の側方面部35に固定される。
【0037】
キャップ本体50のビスホール部54は、壁部53の室内側に位置し、壁部53の上方の端部と下方の端部の間で、壁部53に接続して形成されている。ビスホール部54は、壁部53に室内側に向けて設けられて、水密材60よりも縦枠22の長手方向内側に位置している。また、ビスホール部54は、壁部53に対して、縦枠22の長手方向内側及び外側と室外側には設けられずに、室内側にのみ設けられて、壁部53から室内側に向かって突出している。
【0038】
ビスホール部54の左右の端部で、ビスホール部54のビスホール54Aは、左右方向Rの側方に向かって開口して、左右方向Rの側方に開放される。また、ビスホール部54のスリット54Bは、ビスホール54Aの室内側に位置する溝状の開口であり、ビスホール54A及びビスホール部54の室内側に向かって開口している。ビスホール部54は、スリット54Bにより、室内側に向かって開口して形成されている。ビスホール部54のスリット54Bは、ビスホール部54の最も室内側の部分に設けられて、ビスホール部54の長手方向に延び、室内側に向けて配置されている。
【0039】
図7図9は、本実施形態の縦枠22の端部23と止水キャップ6を示す縦断面図であり、室内外方向S及び縦枠22の長手方向Tを含む面で切断した縦枠22の端部23と止水キャップ6を示している。また、図7図9では、建物10の外壁11のコーキング14と躯体15、及び、側方面部35の挿通孔36を示しており、挿通孔36を挿通するビス40の記載を省略している。
【0040】
図示のように、建物10の外壁11で、中空部30の室外側部30A、中空部30の室外側部30Aにおける開口31と小口32、及び、止水キャップ6は、コーキング14に対して縦枠22の長手方向内側に位置して、縦枠22の長手方向外側で、コーキング14により覆われる。また、建物10の躯体15は、外壁11内でコーキング14の室内側に設けられて、縦枠22の端部23及び中空部30の室内側部30Bに対して縦枠22の長手方向外側に位置する。キャップ本体50の水止め部52は、コーキング14の室内側、かつ、躯体15の室外側に位置し、躯体15から室外側に離隔して、コーキング14と躯体15の間に配置される(図7参照)。
【0041】
キャップ本体50の回転止め部55は、突状の当接部であり、室外側に位置する中空部30の室外面部33に向かって突出する。中空部30の小口32内で、回転止め部55は、室外面部33の室内側に位置し、室外面部33から室内側に離隔して配置される(図7参照)。また、回転止め部55は、水密材60及びビスホール部54よりも縦枠22の長手方向内側の位置に配置されて、室外側に突出する。回転止め部55は、水密材60から縦枠22の長手方向内側に離隔して、室内外方向Sにおいて、室外面部33と対向して配置される。
【0042】
キャップ本体50及び止水キャップ6は、左右のビス40及びビスホール部54を中心に一方向と他方向に回転することがある。回転止め部55が室外面部33との間に隙間をあけて配置された状態(図7参照)から、キャップ本体50及び止水キャップ6がビス40を中心に回転したときに(図8参照)、回転止め部55は、室外面部33に向かって接近して、室内側から室外面部33に当接する。これにより、回転止め部55は、ビス40を中心とするキャップ本体50及び止水キャップ6の回転を止めて、キャップ本体50及び止水キャップ6の回転を規制する。
【0043】
ここでは、キャップ本体50の回転止め部55が室外面部33との間に隙間をあけて配置された状態から、回転止め部55がビス40を中心に縦枠22の長手方向外側に向かう回転方向に回転移動したときに、回転止め部55は、中空部30の室外面部33に向かって移動する。また、回転止め部55は、室外側に移動し、中空部30の室外面部33に当接して、キャップ本体50及び止水キャップ6の回転を止める。
【0044】
その際、キャップ本体50の蓋部51は、室内外方向Sに沿う状態から室内側に向かって傾き、室外側から室内側に向かってみたときに、室内外方向Sに対して縦枠22の長手方向内側に傾斜して配置される。また、キャップ本体50及び止水キャップ6は、ビス40を中心に、蓋部51が室内側に向かって傾く方向に回転(図8では、時計回りに回転)する。これにより、蓋部51は、縦枠22の上方の端部23では、室内側に向かって斜め下方に傾き、縦枠22の下方の端部23では、室内側に向かって斜め上方に傾く。同時に、キャップ本体50の水止め部52は、ビス40を中心に室内側に向かう回転方向に回転移動し、建物10の躯体15に向かって移動して、躯体15に当接する。これによっても、キャップ本体50及び止水キャップ6の回転が止められる。
【0045】
キャップ本体50の回転止め部55が室外面部33との間に隙間をあけて配置された状態(図7参照)から、回転止め部55がビス40を中心に縦枠22の長手方向内側に向かう回転方向に回転移動したときには(図9参照)、回転止め部55は、中空部30の室外面部33から離隔する方向に移動する。これにより、回転止め部55が室内側に移動して、回転止め部55と室外面部33との間の隙間が広がる。同時に、止水キャップ6の水密材60がキャップ本体50の蓋部51と室外面部33の間で圧縮されて、水密材60により、キャップ本体50及び止水キャップ6の回転が止められる。
【0046】
その際、キャップ本体50の蓋部51は、室内外方向Sに沿う状態から室外側に向かって傾き、室内側から室外側に向かってみたときに、室内外方向Sに対して縦枠22の長手方向内側に傾斜して配置される。また、キャップ本体50及び止水キャップ6は、ビス40を中心に、蓋部51が室外側に向かって傾く方向に回転(図9では、反時計回りに回転)する。これにより、蓋部51は、縦枠22の上方の端部23では、室外側に向かって斜め下方に傾き、縦枠22の下方の端部23では、室外側に向かって斜め上方に傾く。同時に、キャップ本体50の水止め部52は、ビス40を中心に室外側に向かう回転方向に回転移動する。これにより、水止め部52は、建物10の躯体15から離隔する方向に移動する。
【0047】
以上説明した止水キャップ6では、キャップ本体50のビスホール部54が壁部53の室内側に設けられており、壁部53によりビスホール部54を支えて、ビスホール部54の強度を確保することができる。そのため、ビス40の固定時に、ビスホール部54の変形及び開きを抑制することができる。これに伴い、ビス40の空回りを防止して、左右のビス40により、キャップ本体50及び止水キャップ6を縦枠22の中空部30の小口32に安定して取り付けることができる。その結果、中空部30の小口32内(開口31)で、止水キャップ6による止水性を安定して発揮させることができる。
【0048】
止水キャップ6の水密材60により、キャップ本体50の蓋部51と中空部30の室外面部33の間の箇所をシールすることができる。ビスホール部54は、壁部53の室内側で、室内側に向かって開口する。そのため、ビス40の固定時にビスホール部54(スリット54B)が開いたとしても、ビスホール部54がビス40により室外側に向かって押されて、ビスホール部54及びキャップ本体50が室外側に変位する。これに伴い、水密材60が中空部30の室外面部33に押し付けられて、水密材60により、キャップ本体50の蓋部51と室外面部33の間の箇所が確実にシールされる。
【0049】
従って、縦枠22の中空部30の小口32に止水キャップ6が装着される建具1において、止水キャップ6による中空部30の小口32の止水性を向上させることができる。また、キャップ本体50の水止め部52により、キャップ本体50の蓋部51の室内側の箇所への水の浸入を妨げて、止水キャップ6による止水性を向上させることができる。
【0050】
キャップ本体50の回転止め部55により、止水キャップ6の回転、及び、キャップ本体50の蓋部51の傾きを規制することができる。これにより、キャップ本体50の蓋部51による止水性を確保して、蓋部51により、室外側に向かって排水することができる。回転止め部55は、水密材60から離隔して、中空部30の室外面部33と対向する。そのため、止水キャップ6の水密材60による止水性に影響することなく、回転止め部55を室外面部33に当接させて、止水キャップ6の回転を規制することができる。
【0051】
止水キャップ6がビス40を中心に回転したときに、キャップ本体50の回転止め部55を中空部30の室外面部33に当接させて、キャップ本体50の蓋部51の傾きを規制することができる。また、キャップ本体50の蓋部51が室内側に向かって傾く方向に止水キャップ6が回転したときに、キャップ本体50の回転止め部55を中空部30の室外面部33に当接させて、止水キャップ6の回転を規制することができる。これに対し、キャップ本体50の蓋部51が室外側に向かって傾く方向に止水キャップ6が回転したときには、水密材60により、止水キャップ6の回転を規制することができる。
【0052】
図10図11は、本実施形態の止水キャップ6の他の例を示す図である。図10は、室内外方向S及び縦枠22の長手方向Tを含む面で切断した止水キャップ6を示している。図11は、左右方向Rの側方からみた止水キャップ6を示しており、キャップ本体50の水密材60により隠された部分を鎖線で示している。
【0053】
図10に示す止水キャップ6では、キャップ本体50は、中空部を有さず、例えば、中実材に機械加工を施して形成される。また、キャップ本体50は、蓋部51に対して縦枠22の長手方向内側に位置するブロック状の中実部56を有している。壁部53は、中実部56の室内側に向けて配置された面を含む中実部56の室内側の部分であり、回転止め部55は、中実部56の室外側に向けて配置された面を含む中実部56の室外側の部分から室外側に向かって突出している。
【0054】
図11に示す止水キャップ6では、キャップ本体50は、中空部を有さず、例えば、押出成形により成形された押出形材からなる。回転止め部55は、壁部53から室外側に向かって突出し、壁部53は、蓋部51と回転止め部55の間に位置している。水密材60は、環状に形成され、キャップ本体50を囲んで配置されて、キャップ本体50に装着されている。このように、キャップ本体50、水密材60、及び、止水キャップ6は、様々な形状及び態様で実施可能である。
【0055】
なお、水密材60は、キャップ本体50の蓋部51の室外側にのみ設けて、キャップ本体50の蓋部51と中空部30の室外面部33の間にのみ挟むようにしてもよい。また、中空部30の小口32の室内外方向Sにおける位置又はサイズ等に応じて、止水キャップ6を中空部30の小口32の全体に装着してもよい。止水キャップ6は、縦枠22の上下の端部23の両方に設けてもよく、縦枠22の上方の端部23にのみ又は縦枠22の下方の端部23にのみ設けてもよい。上記実施形態では、中空部30の側方面部35に段部37を設けた例について説明したが、中空部30の側方面部35に段部37を設けなくてもよい。本発明の建具は、引き違い窓に限定されず、他の建具(例えば、引き違い窓以外の窓、ドア)であってもよい。本発明は、縦枠と止水キャップを備えた種々の建具に適用することができる。
【0056】
以上のように、建具は、
中空部を有する縦枠と、前記中空部の小口に装着される止水キャップと、を備えた建具であって、
前記中空部は、室外面部と、室内面部と、前記室外面部及び前記室内面部に連なる左右の側方面部と、を有し、
前記止水キャップは、前記室外面部及び前記左右の側方面部を含む前記中空部の室外側部で前記中空部の小口内に配置される蓋部と、前記左右の側方面部の間で前記中空部の小口内に垂設された壁部と、前記壁部に設けられ、前記左右の側方面部に前記止水キャップを固定するビスを受容するビスホール部と、前記中空部の小口内で前記蓋部と前記室外面部の間に挟まれる水密材と、を有し、
前記ビスホール部は、前記壁部の室内側に設けられ、かつ、室内側に向かって開口する建具である。
従って、縦枠の中空部の小口に止水キャップが装着される建具において、止水キャップによる中空部の小口の止水性を向上させることができる。
【0057】
前記止水キャップは、前記室外面部に当接して、前記ビスを中心とする前記止水キャップの回転を止める回転止め部を有する。
従って、回転止め部により、止水キャップの回転、及び、蓋部の傾きを規制することができる。
【0058】
前記回転止め部は、前記水密材から前記縦枠の長手方向内側に離隔して、前記室外面部と対向して配置される。
従って、止水キャップの水密材による止水性に影響することなく、回転止め部を室外面部に当接させて、止水キャップの回転を規制することができる。
【0059】
前記回転止め部は、前記ビスを中心に前記室外面部に向かって移動して、前記室外面部に当接する。
従って、止水キャップがビスを中心に回転したときに、回転止め部を室外面部に当接させて、蓋部の傾きを規制することができる。
【0060】
前記止水キャップは、前記蓋部から前記縦枠の長手方向外側に向かって突出して、前記蓋部に沿って室内側に向かう水を止める水止め部を有する。
従って、水止め部により、蓋部の室内側の箇所への水の浸入を妨げて、止水キャップによる止水性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0061】
1・・・建具、2・・・第1障子、3・・・第2障子、4・・・網戸、5・・・枠体、5A・・・枠体開口、6・・・止水キャップ、10・・・建物、11・・・外壁、12・・・開口部、13・・・壁材、14・・・コーキング、15・・・躯体、20・・・上枠、21・・・下枠、22・・・縦枠、23・・・端部、24・・・端面、30・・・中空部、30A・・・室外側部、30B・・・室内側部、31・・・開口、32・・・小口、33・・・室外面部、34・・・室内面部、35・・・側方面部、36・・・挿通孔、37・・・段部、40・・・ビス、50・・・キャップ本体、51・・・蓋部、52・・・水止め部、53・・・壁部、54・・・ビスホール部、54A・・・ビスホール、54B・・・スリット、55・・・回転止め部、56・・・中実部、60・・・水密材、R・・・左右方向、S・・・室内外方向、T・・・上下方向(長手方向)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11