(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129912
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】コンデンサおよびコンデンサの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 2/02 20060101AFI20240920BHJP
H01G 2/10 20060101ALI20240920BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20240920BHJP
H01G 4/236 20060101ALI20240920BHJP
H01G 4/224 20060101ALI20240920BHJP
H01G 4/32 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01G2/02 101D
H01G2/10 R
H01G2/02 101E
H01G2/02 101B
H01G4/228 Q
H01G4/236
H01G4/224 200
H01G4/32 305A
H01G4/32 311Z
H01G4/32 531
H01G4/32 540
H01G4/32 574
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039296
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】竹岡 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】吉内 茂裕
【テーマコード(参考)】
5E082
【Fターム(参考)】
5E082AB05
5E082BC38
5E082EE07
5E082EE23
5E082EE37
5E082FF05
5E082FG06
5E082FG34
5E082GG08
5E082HH27
5E082HH47
5E082LL35
(57)【要約】
【課題】外装体に設置された固定部材により、外部装置にしっかりと固定することができ得るコンデンサを提供する。
【解決手段】コンデンサ1Aは、コンデンサ素子と、樹脂により形成され、コンデンサ素子を被覆する外装体300と、を備える。外装体300は、当該外装体300の一面を構成する注型面301を含む。注型面301には、当該注型面301から突出するように設置部材400が配置される。設置部材400は、注型面301と同じ方向に面し、固定部材が設置される平坦な設置面410を有し、一部が外装体300の内部に埋没する。設置面410には、設置部材400を貫通する貫通孔411が形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材を用いて外部装置に固定可能なコンデンサにおいて、
コンデンサ素子と、
樹脂により形成され、前記コンデンサ素子を被覆する外装体と、を備え、
前記外装体は、当該外装体の一面を構成する注型面を含み、
前記注型面には、当該注型面から突出するように設置部材が配置され、
前記設置部材は、前記注型面と同じ方向に面し、前記固定部材が設置される平坦な設置面を有し、一部が前記外装体の内部に埋没する、
コンデンサ。
【請求項2】
前記設置面には、前記設置部材を貫通する貫通孔が形成される、
請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記設置部材は、前記樹脂よりも密度が小さい材料により形成される、
請求項1または2に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記外装体は、前記注型面と反対側の面が平坦であり、
前記設置面は、前記反対側の面と平行である、
請求項1または2に記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記コンデンサ素子は、両端面に電極を有し、
各前記電極にそれぞれが接続される一対のバスバーを、さらに備え、
前記一対のバスバーのそれぞれは、前記注型面から露出して外部端子が接続可能な接続端子部を含む、
請求項1または2に記載のコンデンサ。
【請求項6】
各前記接続端子部は、第1方向における前記注型面の一方の端に片寄って配置され、
前記設置部材は、各前記接続端子部と前記第1方向における前記注型面の他方の端との間に配置される、
請求項5に記載のコンデンサ。
【請求項7】
固定部材を用いて外部装置に固定可能なコンデンサにおいて、
コンデンサ素子と、
樹脂により形成され、前記コンデンサ素子を被覆する外装体と、を備え、
前記外装体の一面は、注型面と、当該注型面に隣接し、前記固定部材が設置される平坦な設置面とにより構成され、
前記設置面は、前記注型面に対して一段下がっている、
コンデンサ。
【請求項8】
前記コンデンサ素子は、両端面に電極を有し、
各前記電極にそれぞれが接続される一対のバスバーを、さらに備え、
前記一対のバスバーのそれぞれは、前記注型面から露出し、外部端子が接続可能な接続端子部を含む、
請求項7に記載のコンデンサ。
【請求項9】
各前記接続端子部は、第1方向における前記外装体の一面の一方の端に片寄って配置され、
前記設置面は、前記外装体の一面において、各前記接続端子部と前記第1方向における前記外装体の一面の他方の端との間に設けられる、
請求項8に記載のコンデンサ。
【請求項10】
固定部材を用いて外部装置に固定可能なコンデンサの製造方法であって、
開口部を有する注型用型枠内にコンデンサ素子を設置する設置工程と、
前記コンデンサ素子が設置された前記注型用型枠内に、前記開口部を通じて液相状態の熱硬化性樹脂を注入する注入工程と、
前記注型用型枠内に満たされた前記熱硬化性樹脂を加熱して硬化させ、前記コンデンサ素子を被覆する外装体を形成する硬化工程と、を備え、
前記注型用型枠内に前記熱硬化性樹脂が注入される前または注入された後に、前記固定部材が設置される平坦な設置面を有する設置部材が、前記注型用型枠内において、前記設置面が上となるように前記コンデンサ素子よりも上に配置され、
前記設置部材の一部が前記熱硬化性樹脂に埋没し、前記設置面が前記熱硬化性樹脂から露出した状態で、前記熱硬化性樹脂が硬化する、
コンデンサの製造方法。
【請求項11】
前記設置面には、前記設置部材を貫通する貫通孔が形成され、
前記設置部材は、前記熱硬化性樹脂が注入される前の前記注型用型枠内に配置され、
前記貫通孔を通じて前記注型用型枠内に前記熱硬化性樹脂が注入される、
請求項10に記載のコンデンサの製造方法。
【請求項12】
前記設置部材は、前記熱硬化性樹脂よりも密度が小さい材料により形成され、前記注型用型枠内に満たされた液相状態の前記熱硬化性樹脂に浮く、
請求項10または11に記載のコンデンサの製造方法。
【請求項13】
固定部材を用いて外部装置に固定可能なコンデンサの製造方法であって、
開口部を有する注型用型枠内にコンデンサ素子を設置する設置工程と、
前記コンデンサ素子が設置された前記注型用型枠内に、前記開口部を通じて液相状態の熱硬化性樹脂を注入する注入工程と、
前記注型用型枠内に満たされた前記熱硬化性樹脂を加熱して硬化させ、前記コンデンサ素子を被覆する外装体を形成する硬化工程と、を備え、
前記熱硬化性樹脂が注入される前または注入された後に、平坦面を有する治具が、前記平坦面が下を向くように前記注型用型枠内に設置され、
前記注型用型枠内に満たされた前記熱硬化性樹脂の液面の一部が前記平坦面に接触して、当該液面の一部が他部より一段下がり、
前記熱硬化性樹脂が硬化して前記外装体が形成された後、前記外装体から前記治具が離間することにより、前記外装体における前記平坦面が接触していた領域に、前記固定部材が設置される平坦な設置面が形成される、
コンデンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムコンデンサ等のコンデンサに関する。さらに、本発明は、コンデンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1個または複数個のコンデンサ素子を、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂からなる外装体で被覆したケースレス型のコンデンサが知られている(たとえば、特許文献1参照)。コンデンサ素子は、たとえば、フィルムコンデンサ素子である。外装体は、たとえば、直方体(六面体)の形状に形成される。
【0003】
ケースレス型のコンデンサでは、たとえば、注型用型枠を用いた注型の方法により、外装体を形成できる。注型用型枠は、上面に開口部を有する箱状に形成される。コンデンサ素子が注型用型枠内に収容され、開口部を通じて注型用型枠内に液相状態の熱硬化性樹脂が注入される。注型用型枠内に満たされた熱硬化性樹脂が加熱されて硬化し、外装体が形成される。このとき、注型用型枠内での熱硬化性樹脂の液面が硬化することにより、いわゆる注型面と称される外装体の一面が形成される。こうして、完成したコンデンサが、注型用型枠内から取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンデンサは、インバータ装置などの外部装置において使用される際、たとえば、外部装置に含まれるケースに固定される。
【0006】
注型の方法では、外装体を、簡便に形成できる反面、複雑な形状に形成することが難しい。よって、注型の方法により形成された外装体では、外部装置への固定に用いられる固定タブ等の固定部が一体形成されにくい。このため、外部装置への固定の際には、別体に設けられた固定部材が外装体に設置され得る。
【0007】
このとき、外装装置への固定のされ方によっては、注型面が、固定部材が設置される外装体の一面となることが想定される。しかしながら、注型面は、注型用型枠に接する縁部分が表面張力によって隆起しやすいなど、一般的に平坦な面になりにくい。このため、固定部材が注型面に設置されたときに、固定部材とコンデンサとの間にがたつきが生じやすくなり、固定部材により、コンデンサを外部装置にしっかりと固定できない虞がある。
【0008】
そこで、本発明は、外装体に設置された固定部材により、外部装置にしっかりと固定することができ得るコンデンサ、および、かかるコンデンサを製造可能なコンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、固定部材を用いて外部装置に固定可能なコンデンサに関する。本態様に係るコンデンサは、コンデンサ素子と、樹脂により形成され、前記コンデンサ素子を被覆する外装体と、を備える。ここで、前記外装体は、当該外装体の一面を構成する注型面を含む。前記注型面には、当該注型面から突出するように設置部材が配置される。前記設置部材は、前記注型面と同じ方向に面し、前記固定部材が設置される平坦な設置面を有し、一部が前記外装体の内部に埋没する。
【0010】
本発明の第2の態様は、固定部材を用いて外部装置に固定可能なコンデンサに関する。本態様に係るコンデンサは、コンデンサ素子と、樹脂により形成され、前記コンデンサ素子を被覆する外装体と、を備える。ここで、前記外装体の一面は、注型面と、当該注型面に隣接し、前記固定部材が設置される平坦な設置面とにより構成される。前記設置面は、前記注型面に対して一段下がっている。
【0011】
本発明の第3の態様は、固定部材を用いて外部装置に固定可能なコンデンサの製造方法に関する。本態様に係る製造方法は、開口部を有する注型用型枠内にコンデンサ素子を設置する設置工程と、前記コンデンサ素子が設置された前記注型用型枠内に、前記開口部を通じて液相状態の熱硬化性樹脂を注入する注入工程と、前記注型用型枠内に満たされた前記熱硬化性樹脂を加熱して硬化させ、前記コンデンサ素子を被覆する外装体を形成する硬化工程と、を備える。ここで、前記注型用型枠内に前記熱硬化性樹脂が注入される前または注入された後に、前記固定部材が設置される平坦な設置面を有する設置部材が、前記注型用型枠内において、前記設置面が上となるように前記コンデンサ素子よりも上に配置される。前記設置部材の一部が前記熱硬化性樹脂に埋没し、前記設置面が前記熱硬化性樹脂から露出した状態で、前記熱硬化性樹脂が硬化する。
【0012】
本発明の第4の態様は、固定部材を用いて外部装置に固定可能なコンデンサの製造方法に関する。本態様に係る製造方法は、開口部を有する注型用型枠内にコンデンサ素子を設置する設置工程と、前記コンデンサ素子が設置された前記注型用型枠内に、前記開口部を通じて液相状態の熱硬化性樹脂を注入する注入工程と、前記注型用型枠内に満たされた前記熱硬化性樹脂を加熱して硬化させ、前記コンデンサ素子を被覆する外装体を形成する硬化工程と、を備える。ここで、前記熱硬化性樹脂が注入される前または注入された後に、平坦面を有する治具が、前記平坦面が下を向くように前記注型用型枠内に設置される。前記注型用型枠内に満たされた前記熱硬化性樹脂の液面の一部が前記平坦面に接触して、当該液面の一部が他部より一段下がる。前記熱硬化性樹脂が硬化して前記外装体が形成された後、前記外装体から前記治具が離間することにより、前記外装体における前記平坦面が接触していた領域に、前記固定部材が設置される平坦な設置面が形成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外装体に設置された固定部材により、外部装置にしっかりと固定することができ得るコンデンサ、および、かかるコンデンサを製造可能なコンデンサの製造方法を提供できる。
【0014】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る、コンデンサの斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、実施形態1に係る、一対のバスバーの位置でY-Z平面と平行に切断されたコンデンサの断面図である。
図2(b)は、実施形態1に係る、設置部材の位置でY-Z平面と平行に切断されたコンデンサの断面図である。
【
図3】
図3(a)は、実施形態1に係る、コンデンサモジュールの斜視図であり、
図3(b)は、実施形態1に係る、一対のバスバーの斜視図である。
【
図4】
図4(a)および(b)は、実施形態1に係る、設置部材の斜視図である。
【
図5】
図5(a)ないし(c)は、実施形態1に係る、外装体を形成する工程について説明するための図である。
【
図6】
図6(a)は、実施形態1に係る、コンデンサが外部装置に固定部材を用いて固定された状態を示す平面図であり、
図6(b)は、
図6(a)のA-A´断面図である。
【
図7】
図7(a)および(b)は、実施形態1の変更例に係る、設置部材の斜視図である。
【
図8】
図8(a)は、実施形態2に係る、コンデンサの斜視図である。
図8(b)は、実施形態2に係る、一対のバスバーの位置でY-Z平面と平行に切断されたコンデンサの断面図である。
【
図9】
図9(a)は、実施形態2に係る、コンデンサモジュールの斜視図であり、
図9(b)は、実施形態2に係る、一対のバスバーの斜視図である。
【
図10】
図10(a)ないし(c)は、実施形態2に係る、外装体を形成する工程について説明するための図である。
【
図11】
図11(a)は、実施形態2に係る、コンデンサが外部装置に固定部材を用いて固定された状態を示す平面図であり、
図11(b)は、
図11(a)のB-B´断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。なお、各図には、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が付記されている。Y軸は、コンデンサ素子100の一対の端面101に垂直である。
【0017】
<実施形態1>
実施形態1は、本発明の第1の態様に係るコンデンサおよび本発明の第3の態様に係るコンデンサの製造方法についての一実施形態である。
【0018】
図1は、実施形態1に係る、コンデンサ1Aの斜視図である。
図2(a)は、実施形態1に係る、一対のバスバー200の位置でY-Z平面と平行に切断されたコンデンサ1Aの断面図である。
図2(b)は、実施形態1に係る、設置部材400の位置でY-Z平面と平行に切断されたコンデンサ1Aの断面図である。
図3(a)は、実施形態1に係る、コンデンサモジュール10Aの斜視図であり、
図3(b)は、実施形態1に係る、一対のバスバー200の斜視図である。
図4(a)および(b)は、実施形態1に係る、設置部材400の斜視図である。
【0019】
コンデンサ1Aは、いわゆるケースレス型のコンデンサであり、コンデンサ素子100と、一対のバスバー200と、外装体300と、設置部材400とを備える。コンデンサ素子100に一対のバスバー200が接続されることにより、コンデンサモジュール10Aが構成される。
【0020】
コンデンサ素子100は、フィルムコンデンサ素子であり、誘電体フィルム上にアルミニウムを蒸着させた2枚の金属化フィルムを重ね、重ねた金属化フィルムを巻回または積層して押圧することにより、扁平な長円柱に近い形状に形成される。コンデンサ素子100は、一対の端面101と周面102とを有する。周面102は、Z軸方向に並ぶ一対の平担面102aとX軸方向に並ぶ一対の湾曲面102bとにより構成される。コンデンサ素子100には、両端面101に、亜鉛等の金属の吹付けにより電極110が形成される。
【0021】
なお、コンデンサ素子100は、誘電体フィルム上にアルミニウムを蒸着させた金属化フィルムにより形成される以外にも、亜鉛、マグネシウム等の他の金属を蒸着させた金属化フィルムにより形成されてもよい。あるいは、コンデンサ素子100は、これらの金属のうち、複数の金属を蒸着させた金属化フィルムにより形成されてもよいし、これらの金属どうしの合金を蒸着させた金属化フィルムにより形成されてもよい。
【0022】
一対のバスバー200は、導電性材料、たとえば、銅により形成される。各バスバー200は、接続端子部210と、第1延部220と、第2延部230とを含む。
【0023】
接続端子部210は、方形の板状に形成され、外部端子8が接続される平坦な接続面211を有する。接続面211はZ軸正方向を向く。
【0024】
第1延部220および第2延部230は、方形の板状に形成され、Y軸方向における接続端子部210の両端210aのそれぞれから接続面211と垂直に交わるZ軸負方向に延びる。
【0025】
第1延部220は、第2延部230よりもZ軸方向に長いサイズを有する。第1延部220には、Z軸負方向の端、即ち先端に、ピン状を有しX軸方向に並ぶ一対の電極端子221が形成される。
【0026】
一対のバスバー200は、Y軸方向に並ぶように、コンデンサ素子100のZ軸正方向側に、コンデンサ素子100のX軸正方向側の端に片寄って配置される。コンデンサ素子100と一対のバスバー200とが並ぶZ軸方向において、一対のバスバー200の互いの接続端子部210の接続面211の位置は等しくなっている。
【0027】
コンデンサ素子100に対してY軸正方向側に位置するバスバー200は、第1延部220がY軸正方向側となり、第2延部230がY軸負方向側となる姿勢でコンデンサ素子100に組み付けられる。当該バスバー200の第1延部220の先端側がコンデンサ素子100のY軸正方向側の電極110に重なり、一対の電極端子221が半田付け等の接合方法により電極110に接合される。これにより、当該バスバー200が、コンデンサ素子100に電気的に接続される。
【0028】
同様に、コンデンサ素子100に対してY軸負方向側に位置するバスバー200は、第1延部220がY軸負方向側となり、第2延部230がY軸正方向側となる姿勢でコンデンサ素子100に組み付けられる。当該バスバー200の第1延部220の先端側がコンデンサ素子100のY軸負方向側の電極110に重なり、一対の電極端子221が半田付け等の接合方法により電極110に接合される。これにより、当該バスバー200が、コンデンサ素子100に電気的に接続される。
【0029】
一対のバスバー200において、接続端子部210はZ軸方向においてコンデンサ素子100の周面102と重なる。第2延部230のZ軸負方向の端、即ち先端は、コンデンサ素子100の周面102から離れている。
【0030】
外装体300は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂3により形成され、X軸方向に長いほぼ直方体状(六面体状)を有し、その外面が方形状の6つの面を含む。外装体300は、コンデンサモジュール10A、即ちコンデンサ素子100全体および一対のバスバー200の一部を被覆する。外装体300により、コンデンサ素子100が水分の侵入や衝撃から保護される。
【0031】
外装体300は、後述するように、注型用型枠2を用いた注型の方法により形成される。外装体300において、6面のうちの一面であるZ軸正方向側の面は、注型用型枠2に注入された熱硬化性樹脂3の液面3aが硬化した注型面301となる。注型面301は、注型用型枠2に接する縁部分が表面張力によって隆起しやすいなど、一般的に平坦な面に形成されにくい。一方、外装体300における、注型面301を除く5面は、平坦な面に形成されている。
【0032】
図2(a)に示すように、一対のバスバー200において、接続端子部210は、外装体300の注型面301から外部に露出する。そして、接続端子部210は、接続面211と反対側の面212が外装体300の注型面301と対向するように、当該注型面301から離れて位置する。
【0033】
第1延部220は、その先端側が、注型面301から外装体300の内部に没し、外装体300の内部においてコンデンサ素子100の電極110に接続される。
【0034】
第2延部230は、その先端側が、注型面301から外装体300の内部に没し、外装体300の内部を、注型面301側に面するコンデンサ素子100の周面102(平坦面102a)に向けて延びる。第2延部230の先端は、周面102に接触せず、第2延部230の先端と周面102との間には、外装体300の一部分が介在する。これにより、コンデンサ素子100の周面102が第2延部230により傷付けられてしまうことが防止される。
【0035】
設置部材400は、ABS樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂材料により形成される。設置部材400を形成する樹脂材料は、外装体300を形成する熱硬化性樹脂3よりも密度が小さくされる。たとえば、密度1.05g/cm3のABS樹脂、密度1.31g/cm3のPBT、または、密度1.35g/cm3のPPSによって設置部材400が形成される場合、熱硬化性樹脂3として、たとえば、フィラーの混合により密度が大きくされた、密度が1.6g/cm3であるエポキシ樹脂が用いられる。
【0036】
設置部材400は、Z軸正方向側に位置する方形板状の第1部分401と、Z軸負方向側に位置し、第1部分401よりもX軸方向およびX軸方向に寸法が小さくZ軸方向に寸法が大きな第2部分402とが一体形成された構成を有する。
【0037】
設置部材400には、Z軸方向の両表面が平坦な面となっており、Z軸正方向側、即ち第1部分401側の表面が設置面410となる。設置面410の中央部には、設置面410と直交するZ軸方向に設置部材400を貫通する方形状の貫通孔411が形成される。
【0038】
図1に示すように、一対のバスバー200の各接続端子部210は、X軸方向における外装体300の注型面301の一方の端301a(X軸正方向側の端)に片寄って配置される。X軸方向は、第1方向である。そして、設置部材400は、各接続端子部210と、X軸方向における注型面301の他方の端301b(X軸負方向側の端)との間に、注型面301から突出するように配置される。設置部材400の設置面410が、注型面301と同じ方向に面する。
【0039】
このように、各接続端子部210の片寄った配置により生じた各接続端子部210と他方の端301bとの間の大きなスペースに設置部材400が配置されるので、各接続端子部210と設置部材400とが並ぶX軸方向(第1方向)に、設置部材400のサイズを大きくできる。
【0040】
図2(b)に示すように、設置部材400は、その一部であるZ軸負方向側の端部が外装体300の内部に埋没する。これにより、設置部材400は、外装体300に対して、X軸、Y軸およびZ軸の3軸方向に固定される。
【0041】
設置部材400は、外装体の内部において周面102(平担面102a)に接触せず、設置部材400と周面102との間には、外装体300の一部分が介在する。
【0042】
図2(a)および(b)に示すように、設置部材400の設置面410は、外装体300における注型面301と反対側の面302(注型面301との背向面)と並行(ほぼ平行を含む)となっている。さらに、Z軸方向において、設置面410と各接続端子部210の接続面211の位置は等しくなっている。
【0043】
図5(a)ないし(c)は、実施形態1に係る、外装体300を形成する工程について説明するための図である。
図5(a)および(b)では、注型用型枠2が設置部材400の位置で切断されている。
図5(a)および(b)には、便宜上、切断位置よりX軸正方向側に存在する一対のバスバー200が一点鎖線で示されている。
【0044】
外装体300は、注型用型枠2を用いた注型の方法により形成される。これにより、金型を用いた成型の方法よりも簡便に外装体300を形成できる。
【0045】
注型用型枠2は、たとえば金属製であり、外装体300の形状に対応するよう、ほぼ直方体の箱状に形成され、上面に開口部2aを有する。注型用型枠2は水平な面に設置される。注型用型枠2の内底面2bは、平担であり、水平方向に平行となる。
【0046】
外装体300を形成する工程では、まず、設置工程が行われる。
図5(a)に示すように、コンデンサモジュール10Aが、開口部2aを通じて注型用型枠2内に収容される。コンデンサモジュール10Aは、一対のバスバー200の接続端子部210が開口部2a側となる姿勢で注型用型枠2内に設置される。このとき、図示しない固定具により一対のバスバー200の接続端子部210が固定され、コンデンサ素子100が注型用型枠2に対して位置決めされる。
【0047】
さらに、設置工程では、同じく
図5(a)に示すように、設置部材400が、注型用型枠2内において、設置面410が上となるようにコンデンサ素子100よりも上に配置される。設置部材400は、一対のバスバー200のX軸負方向側に位置する。
【0048】
このとき、設置部材400は、コンデンサ素子100の周面102(平坦面102a)の上に載り、注型用型枠2に固定された保持具4により、Z軸方向、即ち鉛直方向に移動可能に保持される。保持具4は、設置部材400の貫通孔411と鉛直方向に重なる方形状の貫通孔4aを有する。貫通孔4aの4つの端縁のそれぞれから、ガイド部4bが下方に延びて設置部材400の貫通孔411の内壁面に近接する。これにより、設置部材400は、X-Y平面内、即ち前後左右への動きが阻止される。
【0049】
こうして、設置部材400が、液相状態の熱硬化性樹脂3が注入される前の注型用型枠2内に配置される。
【0050】
次に、注入工程が行われる。
図5(b)に示すように、注型用型枠2内に、開口部2aを通じて、液相状態の熱硬化性樹脂3が注入される。この際、設置部材400の貫通孔411の位置を含む複数の位置が熱硬化性樹脂3の注入位置となる。即ち、貫通孔411の位置では、貫通孔411を通じて熱硬化性樹脂3が注型用型枠2内に注入される。これにより、注型用型枠2内における設置部材400の真下部分にも熱硬化性樹脂3が円滑に行き渡りやすくなる。
【0051】
設置部材400は、熱硬化性樹脂3よりも密度が小さい材料により形成されているので、注型用型枠2内に満たされた熱硬化性樹脂3に浮く。よって、設置部材400は、熱硬化性樹脂3に浸かると、その後は液面3aが上昇するに従って上昇し、保持具4の下面に当接する。これにより、設置部材400の設置面410の高さ位置が規定される。さらに、保持具4の下面(設置面410が当接する面)は水平であるため、設置面410が水平な状態となる。
【0052】
こうして、注型用型枠2内への熱硬化性樹脂3の注入が完了すると、設置部材400では、その一部である下端部が熱硬化性樹脂3の内部に没するとともに設置面410が熱硬化性樹脂3から露出する。さらに、コンデンサ素子100全体と、一対のバスバー200の第1延部220および第2延部230の先端側とが熱硬化性樹脂3の内部に没する。
【0053】
次に、硬化工程が行われ、注型用型枠2が加熱される。熱硬化性樹脂3が加熱されて高温となる。これにより、熱硬化性樹脂3が硬化し、外装体300が形成される。熱硬化性樹脂3の液面3aは、硬化して外装体300の注型面301となる。設置部材400が、外装体300の注型面301上において固定される。
【0054】
外装体300が形成されると、
図5(c)に示すように、コンデンサ1Aが完成する。注型用型枠2から保持具4が取り外され、コンデンサ1Aが注型用型枠2内から取り出される。
【0055】
上記の通り、設置部材400は、液相状態の熱硬化性樹脂3に浮くため、保持具4では、浮き上がる設置部材400を上から抑えるようにすればよい。よって、設置部材400を、落ちないように保持具4に固定しなくてよく、固定作業が不要となる。さらに、コンデンサ1Aが完成した後は、保持具4を上方に移動させるだけで設置部材400から離間させることができるので、保持具4の離間作業を容易に行うことができる。
【0056】
コンデンサ1Aは、インバータ装置などの外部装置5において使用される際、外部装置5に固定される。このとき、コンデンサ1A、即ち外装体300とは別体に設けられた固定部材6が用いられる。
【0057】
図6(a)は、実施形態1に係る、コンデンサ1Aが外部装置5に固定部材6を用いて固定された状態を示す平面図であり、
図6(b)は、
図6(a)のA-A´断面図である。なお、
図6(a)では、便宜上、ネジ7の図示が省略されている。
【0058】
外部装置5は、たとえば、上面が開口するケース51を備える。ケース51には、Y軸方向の両側面部51aに、ネジ孔52aを有する取付ボス52が設けられる。
【0059】
1以上の所定個数、たとえば3個のコンデンサ1Aが、それらの一対のバスバー200が並ぶY軸方向に並べられてケース51内に収容される。外装体300の注型面301と反対側の面302が、ケース51の底面部51bの内面に接触する。3個のコンデンサ1Aの設置部材400がY軸方向に直線状に並ぶ。
【0060】
固定部材6は、たとえば、一対のバスバー200が並ぶY軸方向に、当該方向に連なる3個のコンデンサ1Aよりも長い、方形の平板状を有する。固定部材6の両端には、貫通孔61aを有する取付タブ61が形成される。
【0061】
固定部材6は、3個のコンデンサ1Aの設置部材400の設置面410に設置される。これにより、3個のコンデンサ1Aが、固定部材6とケース51の底面部51bとの間に挟み込まれる。固定部材6の2つの取付タブ61の貫通孔61aが、ケース51の2つの取付ボス52のネジ孔52aに整合する。貫通孔61aを通されたネジ7がネジ孔52aに止められる。こうして、3個のコンデンサ1Aが、ケース51、即ち外部装置5に固定される。
【0062】
本実施の形態のコンデンサ1Aでは、固定部材6を設置部材400の平坦な設置面410に設置できる。このため、固定部材6とコンデンサ1Aとの間にがたつきが生じにくい。よって、固定部材6により、コンデンサ1Aを外部装置5にしっかりと固定することが可能となる。
【0063】
コンデンサ1Aが使用される際、一対のバスバー200のうちの一方が正極バスバー(P極バスバー)となり、他方が負極バスバー(N極バスバー)となる。一対のバスバー200の各接続端子部210には、正極(P極)および負極(N極)の外部端子8が、レーザ溶接、抵抗溶接などの溶接により接続される。接続作業の際、外部端子8は、接続端子部210の接続面211にしっかりと密着するように、当該接続面211に押し当てられ得る。
【0064】
本実施の形態のコンデンサ1Aでは、接続端子部210は、Y軸方向における両端210aが、外装体300に没する第1延部220および第2延部230により支えられている。このため、外部端子8が接続端子部210の接続面211に押し当てられても、接続端子部210が押し当てられた方向や当該方向に垂直な面内方向に動きにくい。よって、接続端子部210を別途、何らかの治具で保持しなくてよいので、治具を設置する手間が掛からず、溶接による接続作業を円滑に行うことが可能となる。
【0065】
さらに、接続端子部210は、接続面211と反対側の面212が、外装体300の一面、即ち注型面301から離れている。これにより、コンデンサ1Aへの通電時にコンデンサ素子100が発した熱を、接続端子部210の両表面211、212から良好に放出できる。
【0066】
<実施形態1の効果>
以上、本実施の形態によれば、以下の効果が奏される。
【0067】
コンデンサ1Aは、コンデンサ素子100と、熱硬化性樹脂3により形成され、コンデンサ素子100を被覆する外装体300と、を備える。外装体300は、当該外装体300の一面を構成する注型面301を含む。注型面301には、注型面301から突出するように設置部材400が配置される。設置部材400は、注型面301と同じ方向に面し、固定部材6が設置される平坦な設置面410を有し、一部が外装体300の内部に埋没する。
【0068】
この構成によれば、固定部材6を設置部材400の平坦な設置面410に設置できるので、固定部材6とコンデンサ1Aとの間にがたつきが生じにくい。よって、固定部材6により、コンデンサ1Aを外部装置5にしっかりと固定することが可能となる。
【0069】
さらに、設置部材400は、一部が外装体300の内部に埋没することにより、外装体300に対して固定される。このため、設置部材400が、平担な面に形成されにくい注型面301に固定されなくて済み、外装体300に対する安定した設置部材400の固定が行える。
【0070】
さらに、コンデンサ1Aにおいて、設置面410には、設置部材400を貫通する貫通孔411が形成される。
【0071】
この構成によれば、外装体300が注型用型枠2を用いた注型の方法により形成される際、貫通孔411を通じて注型用型枠2内に熱硬化性樹脂3を注入できる。これにより、注型用型枠2内における設置部材400の真下部分に熱硬化性樹脂3が円滑に行き渡りやすくなり、外装体300の形成不良等が生じにくくなる。
【0072】
さらに、コンデンサ1Aにおいて、設置部材400は、熱硬化性樹脂3よりも密度が小さい材料により形成される。
【0073】
この構成によれば、外装体300が注型用型枠2を用いた注型の方法により形成される際、注型用型枠2内に満たされた熱硬化性樹脂3に設置部材400を浮かせることができる。これにより、設置部材400を、落ちないように保持具4に固定しなくてよく、固定作業が不要となる。さらに、コンデンサ1Aが完成した後は、保持具4を上方に移動させるだけで設置部材400から離間させることができるので、保持具4の離間作業を容易に行うことができる。
【0074】
さらに、コンデンサ1Aにおいて、外装体300は、注型面301と反対側の面302が平坦であり、設置面410は、当該反対側の面302と平行である。
【0075】
この構成によれば、設置面410に設置された固定部材6と、外部装置5における、反対側の面302に接触する面(ケース51の底面部51bの内面)との間で挟み込むようにして、コンデンサ1Aを外部装置5に固定できる。
【0076】
さらに、コンデンサ1Aにおいて、一対のバスバー200のそれぞれは、注型面301から露出して外部端子8が接続可能な接続端子部210を含む。
【0077】
この構成によれば、外装体300における接続端子部210と同じ側の面に固定部材6を設置できる。
【0078】
さらに、コンデンサ1Aにおいて、各接続端子部210は、X軸方向(第1方向)における注型面301の一方の端301aに片寄って配置される。設置部材400は、各接続端子部210とX軸方向における注型面301の他方の端301bとの間に配置される。
【0079】
この構成によれば、各接続端子部210と設置部材400とが並ぶX軸方向(第1方向)に、設置部材400のサイズを大きくできる。
【0080】
さらに、コンデンサ1Aの製造方法は、開口部2aを有する注型用型枠2内にコンデンサ素子100を設置する設置工程と、コンデンサ素子100が設置された注型用型枠2内に、開口部2aを通じて液相状態の熱硬化性樹脂3を注入する注入工程と、注型用型枠2内に満たされた熱硬化性樹脂3を加熱して硬化させ、コンデンサ素子100を被覆する外装体300を形成する硬化工程と、を備える。注型用型枠2内に熱硬化性樹脂3が注入される前に、固定部材6が設置される平坦な設置面410を有する設置部材400が、注型用型枠2内において、設置面410が上となるようにコンデンサ素子100よりも上に配置される。設置部材400の一部が熱硬化性樹脂3に埋没し、設置面410が熱硬化性樹脂3から露出した状態で、熱硬化性樹脂3が硬化する。
【0081】
この製造方法によれば、固定部材6により外部装置5にしっかりと固定することが可能なコンデンサ1Aを製造できる。
【0082】
さらに、設置部材400が、平担な面に形成されにくい注型面301に固定されなくて済み、外装体300に対する安定した設置部材400の固定が行え得るコンデンサ1Aを製造できる。
【0083】
さらに、コンデンサ1Aの製造方法において、設置面410には、設置部材400を貫通する貫通孔411が形成され、当該貫通孔411を通じて注型用型枠2内に熱硬化性樹脂3が注入される。
【0084】
この製造方法によれば、注型用型枠2内における設置部材400の真下部分に熱硬化性樹脂3が円滑に行き渡りやすくなり、外装体300の形成不良等が生じにくくなる。
【0085】
さらに、コンデンサ1Aの製造方法において、設置部材400は、熱硬化性樹脂3よりも密度が小さい材料により形成され、注型用型枠2内に満たされた液相状態の熱硬化性樹脂3に浮く。
【0086】
この製造方法によれば、設置部材400を、落ちないように保持具4に固定しなくてよく、固定作業が不要となる。さらに、コンデンサ1Aが完成した後は、保持具4を上方に移動させるだけで設置部材400から離間させることができるので、保持具4の離間作業を容易に行うことができる。
【0087】
<実施形態1の変更例>
図7(a)および(b)は、実施形態1の変更例に係る、設置部材400A、400Bの斜視図である。
【0088】
上記実施形態1では、設置部材400の設置面410に貫通孔411が設けられている。しかしながら、設置部材400に替えて、
図7(a)に示すように、設置面410に貫通孔411が設けられない設置部材400Aが用いられてもよい。
【0089】
さらに、設置部材400に替えて、
図7(b)に示す設置部材400Bが用いられてもよい。設置部材400Bには、第2部分402のZ軸負方向側の端部に、方形状のフランジ部420が設けられtる。このような構成とされた場合、設置部材400Bに外装体300の注型面301から離れる方向の力が加わっても、フランジ部420が抵抗となり、設置部材400が外装体300から抜けにくくなる。なお、設置部材400Bにおいて、貫通孔411が無くされてもよい。
【0090】
さらに、上記実施形態1では、設置部材400が、熱硬化性樹脂3よりも密度が小さい材料により形成される。しかしながら、設置部材400は、熱硬化性樹脂3と密度が同等、あるいは、密度が大きい材料により形成されてもよい。
【0091】
さらに、上記実施形態1では、外装体300を形成する工程において、注型用型枠2内に液相状態の熱硬化性樹脂3が注入される前に、注型用型枠2内に設置部材400が設置される。しかしながら、注型用型枠2内に液相状態の熱硬化性樹脂3が注入された後に、注型用型枠2内に設置部材400が設置されてもよい。この場合も、設置部材400は、熱硬化性樹脂3に浮いて、その下端部が熱硬化性樹脂3の内部に埋没する。
【0092】
<実施形態2>
実施形態2は、本発明の第2の態様に係るコンデンサおよび本発明の第4の態様に係るコンデンサの製造方法についての一実施形態である。
【0093】
図8(a)は、実施形態2に係る、コンデンサ1Bの斜視図である。
図8(b)は、実施形態2に係る、一対のバスバー500の位置でY-Z平面と平行に切断されたコンデンサ1Bの断面図である。
図9(a)は、実施形態2に係る、コンデンサモジュール10Bの斜視図であり、
図9(b)は、実施形態2に係る、一対のバスバー500の斜視図である。
【0094】
コンデンサ1Bは、コンデンサ素子100と、一対のバスバー500と、外装体600とを備える。コンデンサ素子100に一対のバスバー500が接続されることにより、コンデンサモジュール10Bが構成される。
【0095】
一対のバスバー500は、銅などの導電性材料により形成され、接続端子部510と、当該接続端子部510のY軸方向の両端510aに設けられた第1延部520および第2延部530とを含む。接続端子部510、第1延部520および第2延部530の構成は、上記実施形態1の接続端子部210、第1延部220および第2延部230の構成と、サイズが異なる点を除いて同様である。
【0096】
一対のバスバー500は、Y軸方向に並ぶように、コンデンサ素子100のZ軸正方向側に、コンデンサ素子100のX軸正方向側の端に片寄って配置される。コンデンサ素子100と一対のバスバー500とが並ぶZ軸方向において、一対のバスバー500の互いの接続端子部510の接続面511の位置は等しくなっている。
【0097】
一対のバスバー500の各第1延部520の一対の電極端子521が、コンデンサ素子100の各電極110に半田付け等の接合方法により接合される。これにより、一対のバスバー500が、コンデンサ素子100に電気的に接続される。
【0098】
外装体600は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂3により形成され、X軸方向に長いほぼ直方体状(六面体状)を有し、その外面が方形状の6つの面を含む。外装体300は、コンデンサモジュール10B、即ちコンデンサ素子100全体および一対のバスバー500の一部を被覆する。
【0099】
外装体600は、上記実施形態1と同様、注型用型枠2を用いた注型の方法により形成される。外装体600において、6面のうちの一面であるZ軸正方向側の第1面601は、注型面610と、当該注型面610に、X軸負方向側において隣接する平坦な設置面620とにより構成される。設置面620は、注型面610に対して一段下がっている。設置面620は、注型の方法により外装体600が形成される際、液相状態の熱硬化性樹脂3の液面3aの一部に当てられた設置面形成用の治具9により形成される。外装体600において、第1面601以外の5面は、平坦な面に形成されている。
【0100】
一対のバスバー500において、各接続端子部510は、外装体600の注型面610から外部に露出する。そして、各接続端子部510は、接続面511と反対側の面512が外装体600の注型面610と対向するように、当該注型面610から離れて位置する。
【0101】
また、第1延部520は、先端側が外装体600の内部に没し、電極端子521が、外装体600の内部において、コンデンサ素子100の電極110に接続される。
【0102】
さらに、第2延部530は、先端側が外装体600の内部に没し、外装体600の内部を、コンデンサ素子100の周面102に向けて延びる。第2延部530の先端は、周面102に接触せず、第2延部530の先端と周面102との間には、外装体600の一部分が介在する。
【0103】
図8(a)に示すように、一対のバスバー500の各接続端子部510は、X軸方向における外装体600の第1面601の一方の端601a(X軸正方向側の端)に片寄って配置される。X軸方向は、第1方向である。そして、設置面620は、第1面601において、各接続端子部510と、X軸方向における第1面601の他方の端601b(X軸負方向側の端)との間に設けられる。
【0104】
このように、各接続端子部510の片寄った配置により生じた各接続端子部510と他方の端601bとの間の大きなスペースに設置面620が設けられるので、各接続端子部510と設置面620とが並ぶX軸方向(第1方向)に、設置面620のサイズを大きくできる。
【0105】
図8(b)に示すように、設置面410は、外装体300における第1面601と反対側の第2面602(第1面601との背向面)と並行(ほぼ平行を含む)となっている。
【0106】
本実施の形態のコンデンサ1Bの外装体600も、上記実施形態1のコンデンサ1Aと同様、注型用型枠2を用いた注型の方法により形成される。
【0107】
図10(a)ないし(c)は、実施形態2に係る、外装体600を形成する工程について説明するための図である。
図10(a)および(b)では、注型用型枠2がY軸方向における中央位置で切断されている。
【0108】
外装体600を形成する工程では、まず、設置工程が行われる。
図10(a)に示すように、コンデンサモジュール10Bが、開口部2aを通じて注型用型枠2内に収容される。コンデンサモジュール10Bは、一対のバスバー500の接続端子部510が開口部2a側となる姿勢で注型用型枠2内に設置される。このとき、図示しない固定具により一対のバスバー500の接続端子部510が固定され、コンデンサ素子100が注型用型枠2に対して位置決めされる。
【0109】
さらに、設置工程では、同じく
図10(a)に示すように、平坦面9aを有する設置面形成用の治具9が、平坦面9aが下を向くように、注型用型枠2内の上端部に設置される。治具9は、平坦面9aが外装体600の設置面620と同じサイズを有し、X軸負方向側の側面およびY軸方向の両側面が、それぞれ、注型用型枠2のX軸負方向側の内側面およびY軸方向の両内側面に接する。このように、液相状態の熱硬化性樹脂3が注入される前の注型用型枠2内に、設置面形成用の治具9が設置される。
【0110】
次に、注入工程が行われる。
図10(b)に示すように、注型用型枠2内に、開口部2aを通じて、液相状態の熱硬化性樹脂3が注入される。コンデンサ素子100全体と、一対のバスバー500の第1延部520および第2延部530の先端側とが熱硬化性樹脂3の内部に没する。注型用型枠2内に満たされた熱硬化性樹脂3の液面3aの一部が治具9の平坦面9aに接触して、当該液面3aの一部が他部より一段下がる。
【0111】
次に、硬化工程が行われ、注型用型枠2が加熱される。熱硬化性樹脂3が高温となって硬化し、外装体600が形成される。
【0112】
外装体600が形成されると、
図10(c)に示すように、コンデンサ1Bが完成し、注型用型枠2内から取り出される。この際、治具9が注型用型枠2内から取り外され、外装体600から離間する。外装体600における治具9の平坦面9aが接触していた領域に、平坦な設置面620が形成される。外装体600における平坦面9aが接触していなかった領域は、注型面610となる。
【0113】
なお。治具9の平担面9aが外装体600の設置面620から離間しやすいよう、平坦面9aに離型剤が塗られもよい。あるいは、治具9がフッ素系樹脂により形成されてもよい。
【0114】
注入工程では、熱硬化性樹脂3が、その液面3aの治具9の平坦面9aに接触する一部が液面3aの他部より一段下がる高さ位置まで注型用型枠2内に注入されるので、製造誤差により液面3aの高さが僅かに低くなっても、液面3aの一部を平坦面9aに接触させることができ、外装体600の第1面601に、設置面620を確実に形成できる。
【0115】
コンデンサ1Bは、上記実施形態1と同様、外部装置5において使用される際、固定部材6を用いて外部装置5に固定され得る。
【0116】
図11(a)は、実施形態2に係る、コンデンサ1Bが外部装置5に固定部材6を用いて固定された状態を示す平面図であり、
図11(b)は、
図11(a)のB-B´断面図である。なお、
図11(a)では、便宜上、ネジ7の図示が省略されている。
【0117】
1以上の所定個数、たとえば3個のコンデンサ1Bが、それらの一対のバスバー500が並ぶY軸方向に並べられてケース51内に収容される。外装体300の第2面602が、ケース51の底面部51bの内面に接触する。3個のコンデンサ1Bの外装体600の設置面620がY軸方向に直線状に並ぶ。
【0118】
固定部材6は、3個のコンデンサ1Bの外装体600の設置面620に設置される。これにより、3個のコンデンサ1Bが、固定部材6とケース51の底面部51bとの間に挟み込まれる。固定部材6の2つの取付タブ61の貫通孔61aが、ケース51の2つの取付ボス52のネジ孔52aに整合する。貫通孔61aを通されたネジ7がネジ孔52aに止められる。こうして、3個のコンデンサ1Bが、ケース51、即ち外部装置5に固定される。
【0119】
本実施の形態のコンデンサ1Bでは、固定部材6を外装体600の平坦な設置面620に設置できる。このため、固定部材6とコンデンサ1Bとの間にがたつき生じにくい。よって、固定部材6により、コンデンサ1Bを外部装置5にしっかりと固定することが可能となる。
【0120】
さらに、設置面620が注型面610に対して一段下がっているので、設置等の際に、固定部材6が注型面610側に移動することを防止できる。
【0121】
コンデンサ1Bが使用される際、一対のバスバー500のうちの一方が正極バスバー(P極バスバー)となり、他方が負極バスバー(N極バスバー)となる。正極(P極)および負極(N極)の外部端子8が、一対のバスバー500の各接続端子部510に、レーザ溶接、抵抗溶接などの溶接により接続される。
【0122】
<実施形態2の効果>
以上、本実施の形態によれば、以下の効果が奏される。
【0123】
コンデンサ1Bは、コンデンサ素子100と、熱硬化性樹脂3により形成され、コンデンサ素子100を被覆する外装体600と、を備える。外装体600の一面である第1面601は、注型面610と、当該注型面610に隣接し、固定部材6が設置される平坦な設置面620とにより構成される。設置面620は、注型面610に対して一段下がっている。
【0124】
この構成によれば、固定部材6を外装体600の平坦な設置面620に設置できるので、固定部材6とコンデンサ1Bとの間にがたつきが生じにくい。よって、固定部材6により、コンデンサ1Bを外部装置5にしっかりと固定することが可能となる。
【0125】
さらに、設置面620が注型面610に対して一段下がっているので、設置等の際に、固定部材6が注型面610側に移動することを防止できる。
【0126】
さらに、コンデンサ1Bにおいて、一対のバスバー500のそれぞれは、注型面610から露出して外部端子8が接続可能な接続端子部510を含む。
【0127】
この構成によれば、外装体600における接続端子部510と同じ側の面に固定部材6を設置できる。
【0128】
さらに、コンデンサ1Bにおいて、各接続端子部510は、X軸方向(第1方向)における外装体600の第1面601の一方の端601aに片寄って配置される。設置面620は、第1面601において、各接続端子部510とX軸方向における第1面601の他方の端601bとの間に設けられる。
【0129】
この構成によれば、各接続端子部510と設置面620とが並ぶX軸方向(第1方向)に、設置面620のサイズを大きくできる。
【0130】
さらに、コンデンサ1Bの製造方法は、開口部2aを有する注型用型枠2内にコンデンサ素子100を設置する設置工程と、コンデンサ素子100が設置された注型用型枠2内に、開口部2aを通じて液相状態の熱硬化性樹脂3を注入する注入工程と、注型用型枠2内に満たされた熱硬化性樹脂3を加熱して硬化させ、コンデンサ素子100を被覆する外装体300を形成する硬化工程と、を備える。熱硬化性樹脂3が注入される前に、平坦面9aを有する治具9が、平坦面9aが下を向くように注型用型枠2内に設置される。注型用型枠2内に満たされた熱硬化性樹脂3の液面3aの一部が平坦面9aに接触して、当該液面3aの一部が他部より一段下がる。熱硬化性樹脂3が硬化して外装体600が形成された後、外装体600から治具9が離間することにより、外装体600における平坦面9aが接触していた領域に、固定部材6が設置される平坦な設置面620が形成される。
【0131】
この製造方法によれば、固定部材6により外部装置5にしっかりと固定することが可能なコンデンサ1Bを製造できる。
【0132】
さらに、熱硬化性樹脂3が、その液面3aの治具9の平坦面9aに接触する一部が液面3aの他部より一段下がる高さ位置まで注型用型枠2内に注入されるので、製造誤差により液面3aの高さが僅かに低くなっても、液面3aの一部を平坦面9aに接触させることができ、外装体600の第1面601に、設置面620を確実に形成できる。
【0133】
<実施形態2の変更例>
上記実施形態2では、外装体600を形成する工程において、注型用型枠2内に液相状態の熱硬化性樹脂3が注入される前に、注型用型枠2内に設置面形成用の治具9が設置される。しかしながら、注型用型枠2内に液相状態の熱硬化性樹脂3が注入された後に、注型用型枠2内に治具9が設置されてもよい。この場合も、注型用型枠2内に満たされた熱硬化性樹脂3の液面3aの一部が治具9の平坦面9aに接触して、当該液面3aの一部が他部より一段下がる。
【0134】
<その他の変更例>
上記実施形態1、2では、外装体300、600内において、コンデンサ素子100は、その周面102の平坦面102aが外装体300の注型面301、610側に面するような姿勢を採っている。しかしながら、外装体300、600内において、コンデンサ素子100は、その周面102の湾曲面102bが外装体300、600の注型面301、610側に面するような姿勢を採ってもよい。
【0135】
さらに、上記実施形態1、2では、コンデンサ1A、1Bが、1つのコンデンサ素子100を備えている。しかしながら、コンデンサ素子100の個数は、1つに限られず、2個以上であってもよい。この場合、コンデンサは、複数個のコンデンサモジュールが、1つの外装体で被覆されるような構成とされてもよい。あるいは、コンデンサは、複数個のコンデンサ素子に1組の一対のバスバーが接続されることにより構成された1つのコンデンサモジュールが、外装体で被覆されるような構成とされてもよい。
【0136】
さらに、上記実施形態1、2において、外装体300、600の形成の精度等により、注型面301、610と反対側の面302、602が平坦な面となりにくい場合、反対側の面302、602に複数の脚が設けられ、当該脚の底面が平坦になるようにされてもよい。
【0137】
さらに、一対のバスバー200、500の構成は、上記実施形態1、2の構成に限られず、如何なる構成であってもよい。たとえば、上記実施形態1、2では、一対のバスバー200、500は、接続端子部210、510から延びて外装体300、600の内部に没する第2延部230、530を有するが、第2延部230、530を有さなくてもよい。
【0138】
さらに、上記実施形態1、2では、コンデンサ素子100は、誘電体フィルム上にアルミニウムを蒸着させた2枚の金属化フィルムを重ね、重ねた金属化フィルムを巻回または積層することで形成されたものであるが、これ以外にも、誘電体フィルムの両面にアルミニウムを蒸着させた金属化フィルムと絶縁フィルムとを重ね、これを巻回または積層することにより、これらコンデンサ素子100が形成されてもよい。
【0139】
さらに、上記実施形態1、2では、コンデンサ1A、1Bは、フィルムコンデンサである。しかしながら、コンデンサ1A、1Bは、フィルムコンデンサ以外のコンデンサであってもよい。
【0140】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【0141】
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
【0142】
(技術1)
固定部材を用いて外部装置に固定可能なコンデンサにおいて、
コンデンサ素子と、
樹脂により形成され、前記コンデンサ素子を被覆する外装体と、を備え、
前記外装体は、当該外装体の一面を構成する注型面を含み、
前記注型面には、当該注型面から突出するように設置部材が配置され、
前記設置部材は、前記注型面と同じ方向に面し、前記固定部材が設置される平坦な設置面を有し、一部が前記外装体の内部に埋没する、
コンデンサ。
【0143】
この技術によれば、固定部材を設置部材の平坦な設置面に設置できるので、固定部材とコンデンサとの間にがたつきが生じにくい。よって、固定部材により、コンデンサを外部装置にしっかりと固定することが可能となる。
【0144】
さらに、設置部材は、一部が外装体の内部に埋没することにより、外装体に対して固定される。このため、設置部材が、平担な面に形成されにくい注型面に固定されなくて済み、外装体に対する安定した設置部材の固定が行える。
【0145】
(技術2)
前記設置面には、前記設置部材を貫通する貫通孔が形成される、
技術1に記載のコンデンサ。
【0146】
この技術によれば、外装体が注型用型枠を用いた注型の方法により形成される際、貫通孔を通じて注型用型枠内に熱硬化性樹脂を注入できる。これにより、注型用型枠内における設置部材の真下部分に熱硬化性樹脂が円滑に行き渡りやすくなり、外装体の形成不良等が生じにくくなる。
【0147】
(技術3)
前記設置部材は、前記樹脂よりも密度が小さい材料により形成される、
技術1または2に記載のコンデンサ。
【0148】
この技術によれば、外装体が注型用型枠を用いた注型の方法により形成される際、注型用型枠内に満たされた樹脂に設置部材を浮かせることができる。これにより、設置部材を、落ちないように保持具に固定しなくてよく、固定作業が不要となる。さらに、コンデンサが完成した後は、保持具を上方に移動させるだけで設置部材から離間させることができるので、保持具の離間作業を容易に行うことができる。
【0149】
(技術4)
前記外装体は、前記注型面と反対側の面が平坦であり、
前記設置面は、前記反対側の面と平行である、
技術1ないし3の何れか一つに記載のコンデンサ。
【0150】
この技術によれば、設置面に設置された固定部材と、外部装置における、反対側の面に接触する面との間で挟み込むようにして、コンデンサを外部装置に固定できる。
【0151】
(技術5)
前記コンデンサ素子は、両端面に電極を有し、
各前記電極にそれぞれが接続される一対のバスバーを、さらに備え、
前記一対のバスバーのそれぞれは、前記注型面から露出して外部端子が接続可能な接続端子部を含む、
技術1ないし4の何れか一つに記載のコンデンサ。
【0152】
この技術によれば、外装体における接続端子部と同じ側の面に固定部材を設置できる。
【0153】
(技術6)
各前記接続端子部は、第1方向における前記注型面の一方の端に片寄って配置され、
前記設置部材は、各前記接続端子部と前記第1方向における前記注型面の他方の端との間に配置される、
技術5に記載のコンデンサ。
【0154】
この技術によれば、各接続端子部と設置部材とが並ぶ第1方向に、設置部材のサイズを大きくできる。
【0155】
(技術7)
固定部材を用いて外部装置に固定可能なコンデンサにおいて、
コンデンサ素子と、
樹脂により形成され、前記コンデンサ素子を被覆する外装体と、を備え、
前記外装体の一面は、注型面と、当該注型面に隣接し、前記固定部材が設置される平坦な設置面とにより構成され、
前記設置面は、前記注型面に対して一段下がっている、
コンデンサ。
【0156】
この技術によれば、固定部材を外装体の平坦な設置面に設置できるので、固定部材とコンデンサとの間にがたつきが生じにくい。よって、固定部材により、コンデンサを外部装置にしっかりと固定することが可能となる。
【0157】
さらに、設置面が注型面に対して一段下がっているので、設置等の際に、固定部材が注型面側に移動することを防止できる。
【0158】
(技術8)
前記コンデンサ素子は、両端面に電極を有し、
各前記電極にそれぞれが接続される一対のバスバーを、さらに備え、
前記一対のバスバーのそれぞれは、前記注型面から露出し、外部端子が接続可能な接続端子部を含む、
技術7に記載のコンデンサ。
【0159】
この技術によれば、外装体における接続端子部と同じ側の面に固定部材を設置できる。
【0160】
(技術9)
各前記接続端子部は、第1方向における前記外装体の一面の一方の端に片寄って配置され、
前記設置面は、前記外装体の一面において、各前記接続端子部と前記第1方向における前記外装体の一面の他方の端との間に設けられる、
技術8に記載のコンデンサ。
【0161】
この技術によれば、各接続端子部と設置面とが並ぶ第1方向に、設置面のサイズを大きくできる。
【0162】
(技術10)
固定部材を用いて外部装置に固定可能なコンデンサの製造方法であって、
開口部を有する注型用型枠内にコンデンサ素子を設置する設置工程と、
前記コンデンサ素子が設置された前記注型用型枠内に、前記開口部を通じて液相状態の熱硬化性樹脂を注入する注入工程と、
前記注型用型枠内に満たされた前記熱硬化性樹脂を加熱して硬化させ、前記コンデンサ素子を被覆する外装体を形成する硬化工程と、を備え、
前記注型用型枠内に前記熱硬化性樹脂が注入される前または注入された後に、前記固定部材が設置される平坦な設置面を有する設置部材が、前記注型用型枠内において、前記設置面が上となるように前記コンデンサ素子よりも上に配置され、
前記設置部材の一部が前記熱硬化性樹脂に埋没し、前記設置面が前記熱硬化性樹脂から露出した状態で、前記熱硬化性樹脂が硬化する、
コンデンサの製造方法。
【0163】
この技術によれば、固定部材により外部装置にしっかりと固定することが可能なコンデンサを製造できる。
【0164】
さらに、設置部材が、平担な面に形成されにくい注型面に固定されなくて済み、外装体に対する安定した設置部材の固定が行え得るコンデンサを製造できる。
【0165】
(技術11)
前記設置面には、前記設置部材を貫通する貫通孔が形成され、
前記設置部材は、前記熱硬化性樹脂が注入される前の前記注型用型枠内に配置され、
前記貫通孔を通じて前記注型用型枠内に前記熱硬化性樹脂が注入される、
技術10に記載のコンデンサの製造方法。
【0166】
この技術によれば、注型用型枠内における設置部材の真下部分に熱硬化性樹脂が円滑に行き渡りやすくなり、外装体の形成不良等が生じにくくなる。
【0167】
(技術12)
前記設置部材は、前記熱硬化性樹脂よりも密度が小さい材料により形成され、前記注型用型枠内に満たされた液相状態の前記熱硬化性樹脂に浮く、
技術10または11に記載のコンデンサの製造方法。
【0168】
この技術によれば、設置部材を、落ちないように保持具に固定しなくてよく、固定作業が不要となる。さらに、コンデンサが完成した後は、保持具を上方に移動させるだけで設置部材から離間させることができるので、保持具の離間作業を容易に行うことができる。
【0169】
(技術13)
固定部材を用いて外部装置に固定可能なコンデンサの製造方法であって、
開口部を有する注型用型枠内にコンデンサ素子を設置する設置工程と、
前記コンデンサ素子が設置された前記注型用型枠内に、前記開口部を通じて液相状態の熱硬化性樹脂を注入する注入工程と、
前記注型用型枠内に満たされた前記熱硬化性樹脂を加熱して硬化させ、前記コンデンサ素子を被覆する外装体を形成する硬化工程と、を備え、
前記熱硬化性樹脂が注入される前または注入された後に、平坦面を有する治具が、前記平坦面が下を向くように前記注型用型枠内に設置され、
前記注型用型枠内に満たされた前記熱硬化性樹脂の液面の一部が前記平坦面に接触して、当該液面の一部が他部より一段下がり、
前記熱硬化性樹脂が硬化して前記外装体が形成された後、前記外装体から前記治具が離間することにより、前記外装体における前記平坦面が接触していた領域に、前記固定部材が設置される平坦な設置面が形成される、
コンデンサの製造方法。
【0170】
この技術によれば、固定部材により外部装置にしっかりと固定することが可能なコンデンサを製造できる。
【0171】
さらに、熱硬化性樹脂が、その液面の治具の平坦面に接触する一部が液面の他部より一段下がる高さ位置まで注型用型枠内に注入されるので、製造誤差により液面の高さが僅かに低くなっても、液面の一部を平坦面に接触させることができ、外装体の一面に、設置面を確実に形成できる。
【産業上の利用可能性】
【0172】
本発明は、各種電子機器、電気機器、産業機器、車両の電装等に使用されるコンデンサに有用である。
【符号の説明】
【0173】
1A、1B コンデンサ
2 注型用型枠
2a 開口部
3 熱硬化性樹脂(樹脂)
3a 液面
5 外部装置
6 固定部材
8 外部端子
9 治具
9a 平坦面
10A、10B コンデンサモジュール
100 コンデンサ素子
101 端面
110 電極
200 バスバー
300 外装体
301 注型面
301a 一方の端
301b 他方の端
302 反対側の面
400 設置部材
410 設置面
411 貫通孔
500 バスバー
600 外装体
601 第1面(外装体の一面)
601a 一方の端
601b 他方の端
602 第2面
610 注型面
620 設置面