(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129926
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】制御装置、印刷装置、印刷システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 21/00 20060101AFI20240920BHJP
B41J 5/30 20060101ALI20240920BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B41J21/00 A
B41J5/30 B
B41J3/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039327
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 修平
【テーマコード(参考)】
2C055
2C187
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC05
2C187AC01
2C187AC05
2C187AD05
2C187AG08
2C187BG40
2C187DB22
(57)【要約】
【課題】低コストにプリンタを構成しつつ、印刷内容を印刷ごとに更新する。
【解決手段】制御装置は、動作電力を出力する電源部と、動作電力によって動作し、固定データと可変データとを含む所定の書式に基づいた印刷データを取得する印刷データ取得部と、印刷データを記憶する記憶部と、動作電力によって動作し、可変データを生成する可変データ生成部と、動作電力によって動作し、印刷指示を受け付ける印刷指示受付部と、動作電力によって動作し、印刷指示に基づいて、記憶部に記憶されている印刷データに含まれる固定データと、生成された可変データとに基づいて、印刷イメージデータを生成するイメージデータ生成部と、動作電力によって動作し、印刷イメージデータを印刷装置に出力する出力部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作電力を出力する電源部と、
前記動作電力によって動作し、固定データと可変データとを含む所定の書式に基づいた印刷データを取得する印刷データ取得部と、
前記印刷データを記憶する記憶部と、
前記動作電力によって動作し、前記可変データを生成する可変データ生成部と、
前記動作電力によって動作し、印刷指示を受け付ける印刷指示受付部と、
前記動作電力によって動作し、前記印刷指示に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記印刷データに含まれる前記固定データと、生成された前記可変データとに基づいて、印刷イメージデータを生成するイメージデータ生成部と、
前記動作電力によって動作し、前記印刷イメージデータを印刷機構に出力する出力部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記動作電力によって前記可変データを保持し、前記動作電力の供給が停止することによって、前記可変データが揮発する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記可変データとは、前記印刷指示のタイミングに基づく計時データであり、
前記可変データ生成部は、前記動作電力によって動作する計時部による計時結果を示す前記計時データを前記可変データとして生成し、前記動作電力の供給が停止することによって前記計時データが揮発する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記可変データとは、前記印刷指示の回数に基づく計数データであり、
前記可変データ生成部は、前記動作電力によって動作する計数部による計数結果を示す前記計数データを前記可変データとして生成し、前記動作電力の供給が停止することによって前記計数データが揮発する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記動作電力によって前記印刷データを保持し、前記動作電力の供給が停止することによって前記印刷データが揮発する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記印刷指示受付部は、前記印刷機構から印刷物が取り出されたことを検出する検出部からの検出情報を、前記印刷指示として受け付ける
請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の制御装置と、
前記印刷機構と、
を備える印刷装置。
【請求項8】
請求項7に記載の印刷装置と、
前記印刷データを、前記印刷データ取得部に出力する印刷データ生成装置と、
を備える印刷システム。
【請求項9】
電源部が出力する動作電力によって動作するコンピュータ装置に、
固定データと可変データとを含む所定の書式に基づいた印刷データを取得することと、
前記印刷データを記憶することと、
前記可変データを生成することと、
印刷指示を受け付けることと、
前記印刷指示に基づいて、記憶されている前記印刷データに含まれる前記固定データと、生成された前記可変データとに基づいて、印刷イメージデータを生成することと、
前記印刷イメージデータを印刷機構に出力することと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、印刷装置、印刷システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーマルヘッドを備えたプリンタ装置が知られている。このようなプリンタ装置は、食料品など商品の製造日時や消費期限、商品を撤去する日時などを印字するために用いられている(例えば特許文献1を参照)
(例えば、特許文献1を参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のようなプリンタ装置によると、日時を設定するボタン類や表示部を備え、電源が供給されていない場合でも日付時刻を保持するために、プリンタ装置内部にバックアップ電池を搭載するなど、構成が複雑なものとなり、製造コストが上昇してしまうという課題があった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、低コストに構成しつつ、印刷内容を印刷ごとに更新可能なプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る制御装置は、動作電力を出力する電源部と、前記動作電力によって動作し、固定データと可変データとを含む所定の書式に基づいた印刷データを取得する印刷データ取得部と、前記印刷データを記憶する記憶部と、前記動作電力によって動作し、前記可変データを生成する可変データ生成部と、前記動作電力によって動作し、印刷指示を受け付ける印刷指示受付部と、前記動作電力によって動作し、前記印刷指示に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記印刷データに含まれる前記固定データと、生成された前記可変データとに基づいて、印刷イメージデータを生成するイメージデータ生成部と、前記動作電力によって動作し、前記印刷イメージデータを印刷機構に出力する出力部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る制御装置の前記記憶部は、前記動作電力によって前記可変データを保持し、前記動作電力の供給が停止することによって、前記可変データが揮発する。
【0008】
本発明の一態様に係る制御装置の前記可変データとは、前記印刷指示のタイミングに基づく計時データであり、前記可変データ生成部は、前記動作電力によって動作する計時部による計時結果を示す前記計時データを前記可変データとして生成し、前記動作電力の供給が停止することによって前記計時データが揮発する。
【0009】
本発明の一態様に係る制御装置の前記可変データとは、前記印刷指示の回数に基づく計数データであり、前記可変データ生成部は、前記動作電力によって動作する計数部による計数結果を示す前記計数データを前記可変データとして生成し、前記動作電力の供給が停止することによって前記計数データが揮発する。
【0010】
本発明の一態様に係る制御装置の前記記憶部は、前記動作電力によって前記印刷データを保持し、前記動作電力の供給が停止することによって前記印刷データが揮発する。
【0011】
本発明の一態様に係る制御装置の前記印刷指示受付部は、前記印刷機構から印刷物が取り出されたことを検出する検出部からの検出情報を、前記印刷指示として受け付ける。
【0012】
本発明の一態様に係る印刷装置は、上述いずれかの制御装置と、前記印刷機構とを備える。
【0013】
本発明の一態様に係る印刷システムは、上述の印刷装置と、前記印刷データを、前記印刷データ取得部に出力する印刷データ生成装置と、を備える。
【0014】
本発明の一態様に係るプログラムは、電源部が出力する動作電力によって動作するコンピュータ装置に、固定データと可変データとを含む所定の書式に基づいた印刷データを取得することと、前記印刷データを記憶することと、前記可変データを生成することと、印刷指示を受け付けることと、前記印刷指示に基づいて、記憶されている前記印刷データに含まれる前記固定データと、生成された前記可変データとに基づいて、印刷イメージデータを生成することと、前記印刷イメージデータを印刷機構に出力することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、低コストに構成しつつ、印刷内容を印刷ごとに更新可能なプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態のプリンタ装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態の印刷イメージの一例を示す図である。
【
図3】本実施形態の印刷データの一例を示す図である。
【
図4】本実施形態のプリンタ装置の動作の流れの一例を示す図である。
【
図5】本実施形態のプリンタ装置が生成する印刷イメージデータの一例を示す図である。
【
図6】本実施形態のプリンタ装置が再度生成する印刷イメージデータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態のプリンタ装置について、図面を参照しつつ説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。また、それら構成についての重複する説明は省略する場合がある。
【0018】
本実施形態のプリンタ装置は、一例として、スーパーマーケット内の惣菜売場に併設された調理場に設置される。この調理場では、調理場の担当者が数時間ごとに惣菜を調理し、調理した惣菜を販売用パッケージに詰める。販売用パッケージには、惣菜の名称(つまり、商品名)、販売者名、製造日時、消費期限等が印刷されたラベルが貼付される。本実施形態のプリンタ装置は、一例として、このラベルの印刷に利用される。
【0019】
ラベルに印刷される項目には、調理ごとには変化しない内容(例えば、商品名、販売者名や、「製造日時:」「消費期限:」などの項目名)と、調理ごとに変化する内容(例えば、製造日時の日付や時刻、消費期限の日付や時刻)とがある。
【0020】
本実施形態のプリンタ装置は、ラベルに印刷される項目を利用者が編集する機能は備えていない。利用者は、プリンタ装置1に接続されたパーソナルコンピュータやタブレット装置などのコンピュータ装置(上位装置)を使用して、印刷内容を編集する。
このように印刷内容の編集機能や、編集用の操作装置を備えないプリンタ装置は、低コストで製造できる。一方で、調理ごとに変化する内容(例えば、製造日時の日付や時刻、消費期限の日付や時刻)について、上位装置による編集作業を経ずに、印刷するごとにプリンタ装置が印刷内容を変更できれば、印刷内容の変更のために上位装置を利用しなくて済むため、利用者にとって便利である。
本実施形態のプリンタ装置は、上位装置を利用して印刷内容を編集することを前提にしつつ、印刷するごとに印刷内容を変更することができる機能を提供する。以下、本実施形態のプリンタ装置の構成について、詳細に説明する。
【0021】
図1は、本実施形態のプリンタ装置1の機能構成の一例を示す図である。本実施形態のプリンタ装置1は、電源部10と、プリンタ機構20と、制御部30と、操作部40と、記憶部50とを備える。
【0022】
操作部40は、例えば、機械ボタンであり、利用者の操作結果を制御部30に出力する。一例として、操作部40は、モーメンタリープッシュボタンであり、利用者がボタンを押下げている間に信号を出力し、利用者がボタンから手を離すと信号の出力を停止する。操作部40は、いわゆるシングルクリックとダブルクリックなど、所定時間内の押下げ回数を異ならせた操作や、短時間押しと長時間押しなど押下げ時間などを異ならせた操作によって、1つのボタンで複数種類の機能を区別して操作することができる。
本実施形態のプリンタ装置1における一例では、操作部40を短時間押し操作した場合には「印刷指示」として、操作部40を長時間押し操作した場合には「電源オン/オフ指示」として扱われる。
【0023】
電源部10は、プリンタ装置1の動作電力を出力する。プリンタ装置1は、商用電源が接続されて交流電力が供給されるものであってもよいし、ACアダプタや他の電源装置が接続されて直流電力が供給されるものであってもよい。プリンタ装置1に商用電源が接続される場合には、電源部10は、例えば、スイッチングレギュレータやシリーズレギュレータなどの電力変換回路を備えており、交流電力を直流電力に変換して、プリンタ装置1の各部に供給する構成であってもよい。また、プリンタ装置1に直流電源が接続される場合には、電源部10は、直流電力を受け付けるコネクタであってもよい。
電源部10が出力する動作電力は、プリンタ装置1内の動作電源供給範囲100にある各部に供給される。すなわち、動作電源供給範囲100にある各部は、電源部10が出力する動作電力によって動作する。
【0024】
プリンタ機構20は、いわゆるサーマルプリンタであって、サーマルヘッド210と、ステッピングモータ220と、テイクンセンサ230とを備える。
サーマルヘッド210は、例えば、複数の発熱体が1ラインに並べられた、いわゆるライン型サーマルヘッドである。サーマルヘッド210は、制御部30が出力する印刷イメージデータ31に基づいて発熱することにより、感熱紙に対して熱を与える。
ステッピングモータ220は、制御部30が出力する印刷イメージデータ31に基づいて、感熱紙をサーマルヘッド210に対して相対移動させる。
その結果、感熱紙には、印刷イメージデータ31に対応した印刷イメージIMGが印刷される。
【0025】
テイクンセンサ230(検出部)は、プリンタ機構20から印刷済みの感熱紙(つまり、印刷物)が取り出されたことを検出する。一例として、テイクンセンサ230は、プリンタ装置1の用紙取出部(不図示)に備えられた赤外線フォトインタラプタであり、フォトインタラプタの受光状態の変化によって用紙の有無を検出する。テイクンセンサ230は、プリンタ装置1の用紙取出部に用紙があることを検出したのちに、用紙が無い状態に変化したことを検出した際に、検出情報を制御部30に対して出力する。
【0026】
本実施形態の一例の場合、プリンタ機構20の印刷対象の用紙は、裏面に接着剤が塗布された剥離紙タイプの感熱紙であってもよいし、感熱ロール紙などであってもよい。以下の説明において、プリンタ装置1の印刷対象の用紙のことを、単に「印刷用紙」ともいう。
例えば、印刷用紙が剥離紙である場合には、テイクンセンサ230は、印刷済みの剥離紙がプリンタ装置1の用紙取出部(不図示)から利用者によって取り出されて、用紙取出部から無くなった場合に、印刷物が取り出されたと検出して、検出情報を制御部30に対して出力する。
【0027】
制御部30は、コンピュータ装置であって、印刷データ取得部310と、記憶制御部320と、印刷指示受付部330と、可変データ生成部340と、イメージデータ生成部350と、出力部360とを、その機能部として備える。
制御部30は、動作電源供給範囲100にあり、電源部10が供給する動作電力によって動作する。すなわち、制御部30の機能部である印刷データ取得部310と、記憶制御部320と、印刷指示受付部330と、可変データ生成部340と、イメージデータ生成部350と、出力部360とは、いずれも電源部10が供給する動作電力によって動作する。
【0028】
印刷データ取得部310は、上位装置2から印刷データ21を取得する。印刷データ21の一例について、
図2および
図3を参照して説明する。
【0029】
図2は、本実施形態の印刷イメージIMGの一例を示す図である。
印刷イメージIMGとは、印刷データ21に基づいてプリンタ装置1が印刷した結果、印刷用紙上に表された文字や図形である。以下の説明において、印刷用紙上に表された文字や図形のことを「印刷内容」ともいう。印刷データ21は、印刷内容と、印刷用紙上に印刷される印刷内容の座標(つまり、印刷位置)とを示す。印刷位置は、例えば、印刷用紙の紙送り方向(行方向;同図のY軸方向)のY位置と、Y位置に直交する方向(列方向;同図のX軸方向)のX位置とによって表される。以下の説明において、X位置が“1”であり、Y位置が“1”である印刷内容のことを、座標(1,1)の印刷内容とも記載する。
【0030】
印刷内容には、固定データと可変データとが含まれる。固定データとは、印刷ごとに印刷内容が変化しないデータである。可変データとは、印刷ごとに印刷内容が変化するデータである。
【0031】
図3は、本実施形態の印刷データ21の一例を示す図である。一例として、印刷データ21は、印刷要素ごとに、印刷内容IDと、X位置と、Y位置と、印刷内容と、固定・可変情報とが互いに対応付けられた情報である。印刷内容IDとは、印刷データ21に含まれる印刷内容をそれぞれ識別する識別子である。X位置とは、印刷内容の印刷位置のうち列方向の位置を定める情報である。Y位置とは、印刷内容の印刷位置のうち行方向の位置を定める情報である。印刷内容とは、印刷用紙上に印刷される文字や図形の情報である。固定・可変情報とは、印刷内容が固定データであるか可変データであるかを示す情報である。
【0032】
例えば、印刷内容ID「ID001」は、印刷内容が「商品名 : 惣菜」の文字列であり、座標(1,1)に印刷される固定データである。また、印刷内容ID「ID004」は、印刷内容が「Y1」であり、座標(2,3)に印刷される可変データである。
可変データであるY1、M1、D1、h1、m1、Y2、M2、D2、h2およびm2は、いずれもプリンタ装置1において変数情報として扱われる。この変数情報には、プリンタ装置1が印刷するごとにプリンタ装置1が生成した情報が代入され、代入された情報が印刷内容として印刷される。つまり、プリンタ装置1は、「Y1」、「M1」…の文字列をそのまま印字するのではなく、Y1、M1…に代入された情報を印刷内容として印刷する。
【0033】
一例として、プリンタ装置1が惣菜の調理場で利用される場合には、可変データY1、M1、D1、h1、m1には、製造日時の「年」「月」「日」「時」「分」を示す情報が代入される。可変データY2、M2、D2、h2、m2には、消費期限の「年」「月」「日」「時」「分」を示す情報が代入される。
【0034】
すなわち、印刷データ21とは、固定データと可変データとを含む所定の書式に基づいたデータである。
【0035】
図1に戻り、記憶制御部320は、印刷データ取得部310が上位装置2から取得した印刷データ21を、記憶部50に記憶させる。
【0036】
記憶部50は、例えば、揮発性の半導体メモリを備えており、印刷データ21を記憶する。揮発性の半導体メモリとは、電源部10からの電力供給が途絶えた場合に、記憶している情報が消失する記憶素子である。揮発性の半導体メモリは、例えば、フラッシュROMやEEPROM (Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory) などの不揮発性の半導体メモリに比べて、回路構成が簡素であり低コストである。
【0037】
換言すれば、記憶部50は、動作電力によって印刷データ21を保持し、動作電力の供給が停止することによって印刷データ21が揮発するように構成されている。このように構成されたプリンタ装置1は、回路構成が簡素であるため低コストに構成することができる。
【0038】
印刷指示受付部330は、印刷指示を受け付ける。上述したように、本実施形態の一例では、操作部40を短時間押しすることを利用者による印刷指示として扱う。印刷指示受付部330は、操作部40が短時間押しされたことを検出した場合、この操作を印刷指示として受け付ける。
【0039】
可変データ生成部340は、印刷指示受付部330が印刷指示を受け付けたことに応じて、可変データを生成する。
イメージデータ生成部350は、印刷指示受付部330が印刷指示を受け付けたことに応じて、当該印刷指示に基づいて、記憶部50に記憶されている印刷データ21に含まれる固定データと、可変データ生成部340によって生成された可変データとに基づいて、印刷イメージデータ31を生成する。
【0040】
出力部360は、イメージデータ生成部350が生成した印刷イメージデータ31をプリンタ機構20に出力する。
この結果、プリンタ機構20からは、印刷データ21に含まれる固定データと、可変データ生成部340によって生成された可変データに基づく印刷内容が印刷された用紙が排出される。
次に、プリンタ装置1の動作の流れについて
図4を参照して説明する。
【0041】
図4は、本実施形態のプリンタ装置1の動作の流れの一例を示す図である。
(ステップS10)印刷データ取得部310は、上位装置2から印刷データ21を取得する。一例として、上位装置2が供給する印刷データ21は、上述した
図3に示した内容を有している。すなわち、印刷データ取得部310が取得する印刷データ21は、固定データと可変データとを含む所定の書式に基づいた情報である。印刷データ取得部310は、取得した印刷データ21を記憶制御部320に出力する。
(ステップS20)記憶制御部320は、ステップS10において取得された印刷データ21を、記憶部50に記憶させる。
【0042】
(ステップS30)印刷指示受付部330は、利用者による操作部40の操作の検出を行う。印刷指示受付部330は、利用者が操作部40を短時間押し操作をしたことを検出すると、当該操作を印刷指示として受け付ける。
印刷指示受付部330は、印刷指示を受け付けていない場合(ステップS30;NO)には、ステップS30を繰り返して、印刷指示操作の検出を継続する。印刷指示受付部330は、印刷指示を受け付けた場合(ステップS30;YES)には、処理をステップS40に進める。
【0043】
(ステップS40)可変データ生成部340は、ステップS30において印刷指示受付部330が印刷指示を受け付けたことに応じて、可変データを生成する。
一例として、可変データ生成部340は、カレンダー機能および時計機能を有している。可変データ生成部340は、印刷指示受付部330が印刷指示を受け付けた日時を、製造日時の「年」「月」「日」「時」「分」に相当する可変データY1、M1、D1、h1、m1に代入する。また、可変データ生成部340は、印刷指示受付部330が印刷指示を受け付けた日時に1日を加えて、分単位を切り捨てた日時を、消費期限の「年」「月」「日」「時」「分」に相当する可変データY2、M2、D2、h2、m2に代入する。
【0044】
例えば、印刷指示受付部330が印刷指示を受け付けた日時が、2023年3月1日15時04分である場合、製造日時を表す可変データY1、M1、D1、h1、m1について、Y1が「2023」、M1が「3」、D1が「1」、h1が「15」、m1が「04」である。また、消費期限を表す可変データY2、M2、D2、h2、m2について、Y2が「2023」、M2が「3」、D2が「2」、h2が「15」、m2が「00」である。
本実施形態の一例の場合、消費期限は、製造日時に1日を加え、製造日時の分単位を切り捨てた日時である。すなわち、消費期限を表す可変データのうち、可変データY2、M2、h2は、製造日時の可変データY1、M1、h1と一致している。また、消費期限を表す可変データのうち、可変データD2は、製造日時の可変データD1に1(日)を加えた値である。また、消費期限を表す可変データのうち、可変データm2は、製造日時の可変データm1を切り捨てた値(つまり、0(ゼロ))である。
【0045】
すなわち、本実施形態において可変データとは、印刷指示のタイミングに基づく計時データである。また、可変データ生成部340は、カレンダー機能および時計機能(計時部)による計時結果を示す計時データを可変データとして生成する。可変データ生成部340は、電源部10が供給する動作電力によって動作する。したがって、可変データ生成部340が計時する計時データは、動作電力の供給が停止することによって揮発する。
このように構成されたプリンタ装置1によれば、カレンダー機能および時計機能をバッテリバックアップなどによって保持しないため、低コストに構成することができる。
なお、可変データ生成部340は、動作電力の供給が停止することによってカレンダー機能および時計機能が停止した後、再起動した際に上位装置2からカレンダー機能および時計機能の初期値(つまり、再起動した際の現在日時)を取得するように構成されていてもよい。
【0046】
なお、可変データ生成部340は、生成した可変データを、記憶制御部320を介して記憶部50に記憶させてもよい。上述したように、記憶部50は、揮発性の記憶部である。すなわち、記憶部50は、動作電力によって可変データを保持し、動作電力の供給が停止することによって、可変データが揮発する。
【0047】
(ステップS50)イメージデータ生成部350は、印刷指示に基づいて、ステップS20において記憶部50に記憶された印刷データ21に含まれる固定データと、ステップS40において生成された可変データとに基づいて、印刷イメージデータ31を生成する。
ここで、ステップS20において記憶部50に記憶された印刷データ21に含まれる固定データとは、
図3に示した印刷データ21のうち、可変データY1、M1、D1、h1、m1、および、可変データY2、M2、D2、h2、m2を除く部分である。
ステップS40において生成された可変データとは、
図3に示した印刷データ21のうち、可変データY1、M1、D1、h1、m1、および、可変データY2、M2、D2、h2、m2にそれぞれ代入された情報である。
イメージデータ生成部350が生成した印刷イメージデータ31の一例を
図5に示す。
【0048】
図5は、本実施形態のイメージデータ生成部350が生成する印刷イメージデータ31の一例を示す図である。印刷イメージデータ31には、固定データに加え、ステップS40において生成された可変データ、すなわち、製造日時を表す可変データ「2023」「3」「1」「15」「04」と、消費期限を表す可変データ「2023」「3」「2」「15」「00」とが含まれる。
【0049】
(ステップS60)
図4に戻り、出力部360は、プリンタ機構20に対して、ステップS50において生成された印刷イメージデータ31を出力する。プリンタ機構20は、印刷イメージデータ31に基づいて印刷用紙に印刷する。この結果、印刷用紙には、
図5に示した印刷イメージIMG11が印刷される。
制御部30は、処理をステップS30に戻して、電源部10が動作電力の供給を止めるまで(つまり、プリンタ装置1の電源がオフされるまで)、印刷指示の受付動作を継続する。
【0050】
上述した印刷指示操作の後に、再度、印刷指示操作がされた場合について説明する。例えば、上述した印刷指示操作の10分後に、再度、印刷指示操作がされたとする。この一例の場合、印刷指示受付部330が印刷指示を受け付けた日時は、2023年3月1日15時14分である。
【0051】
この場合、上述したステップS40において、可変データ生成部340は、再度、可変データを生成する。印刷指示受付部330が印刷指示を受け付けた日時が、2023年3月1日15時14分である場合、製造日時を表す可変データY1、M1、D1、h1、m1について、Y1が「2023」、M1が「3」、D1が「1」、h1が「15」、m1が「14」である。また、消費期限を表す可変データY2、M2、D2、h2、m2について、Y2が「2023」、M2が「3」、D2が「2」、h2が「15」、m2が「00」である。
【0052】
図6は、本実施形態のイメージデータ生成部350が再度生成する印刷イメージデータ31の一例を示す図である。印刷イメージデータ31には、固定データに加え、再度実行されたステップS40において生成された可変データ、すなわち、製造日時を表す可変データ「2023」「3」「1」「15」「14」と、消費期限を表す可変データ「2023」「3」「2」「15」「00」とが含まれる。
図5に示した前回の印刷指示に基づく印刷イメージIMG11と、
図6に示した再度の印刷指示に基づく印刷イメージIMG12とを比べると、製造日時の「分」に相当する部分が更新されている。つまり、プリンタ装置1は、可変データ部分について、印刷指示操作を受け付けるごとに情報を更新して印刷する。
【0053】
以上説明したように、本実施形態のプリンタ装置1は、上位装置2から供給される印刷データ21のうち可変データ部分について、印刷指示操作を受け付けるごとに情報を更新して印刷することができる。
このように構成されたプリンタ装置1によれば、上位装置2を利用した印刷データ21の編集を行わなくても、印刷データ21の可変データ部分について、その印刷内容を印刷ごとに更新することができる。すなわち、本実施形態のプリンタ装置1によれば、、低コストにプリンタを構成しつつ、印刷内容を印刷ごとに更新することができる。
【0054】
また、上述した一例のように、調理場で惣菜を数時間おきにロット生産するような場合において、商品を製造したタイミングに合わせて製造日時や消費期限の表示を更新して印刷したいというニーズがある。この際に、製造日時や消費期限の表示を更新するために上位装置2(例えば、パーソナルコンピュータやタブレット装置)を操作しなければならないとすると、編集作業が煩雑であるし、食品衛生上の配慮から非常に大きな手間が発生する。
一方、本実施形態のプリンタ装置1によれば、操作部40に対して操作(例えば、ボタンを短時間押すこと)をするだけで、製造日時や消費期限の表示を更新して印刷することができる。
したがって、本実施形態のプリンタ装置1によれば、印刷内容を印刷ごとに更新する際の利用者の手間を軽減することができる。
【0055】
(変形例1)
なお、上述した実施形態の一例では、可変データが印刷指示のタイミングに基づく計時データであるとして説明したが、これに限られない。可変データとは、印刷指示の回数に基づく計数データであってもよい。例えば、プリンタ装置1は、印刷指示の回数ごとにインクリメントされる数値(例えば、シリアル番号、追い番号)を可変データとしてもよい。
この場合、可変データ生成部340は、動作電力によって動作する計数部による計数結果を示す計数データを可変データとして生成する。また、この可変データ(つまり、係数データ)は、上述した実施形態と同様に、動作電力の供給が停止することによって揮発する。
このように構成されたプリンタ装置1によれば、可変データをバッテリバックアップなどによって保持しないため、低コストに構成することができる。
【0056】
(変形例2)
また、上述した実施形態の一例では、印刷指示受付部330は、利用者による操作部40に対する操作を印刷指示として受け付けていたが、これに限られない。印刷指示受付部330は、上述したテイクンセンサ230(つまり、プリンタ機構20から印刷物が取り出されたことを検出する検出部)からの検出情報を、印刷指示として受け付けてもよい。
このように構成されたプリンタ装置1によれば、利用者がプリンタ機構20から印刷物が取り出すだけで、可変データが更新された印刷物を再印刷することができる。つまり、このように更新されたプリンタ装置1によれば、操作部40に対する明示的な再印刷の操作を行わなくても、より簡単な操作で、可変データが更新された印刷物を再印刷することができる。
【0057】
なお、上述したプリンタ装置1の制御部30が備える機能の全部又は一部は、プログラムとしてコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録され、このプログラムがコンピュータシステムにより実行されてもよい。コンピュータシステムは、OS、周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置、インターネット等のネットワーク上のサーバ等が備える揮発性メモリ(Random Access Memory:RAM)である。なお、揮発性メモリは、一定時間プログラムを保持する記録媒体の一例である。
【0058】
また、上述したプログラムは、伝送媒体、例えば、インターネット等のネットワーク、電話回線等の通信回線により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
【0059】
また、上記プログラムは、上述した機能の全部又は一部を実現するプログラムであってもよい。なお、上述した機能の一部を実現するプログラムは、上述した機能をコンピュータシステムに予め記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるプログラム、いわゆる差分プログラムであってもよい。
【0060】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明したが、具体的な構成が上述した実施形態に限られるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1…プリンタ装置、2…上位装置、10…電源部、20…プリンタ機構、30…制御部、40…操作部、50…記憶部、100…動作電源供給範囲、210…サーマルヘッド、220…ステッピングモータ、230…テイクンセンサ、310…印刷データ取得部、320…記憶制御部、330…印刷指示受付部、340…可変データ生成部、350…イメージデータ生成部、360…出力部、IMG…印刷イメージ