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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129931
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20240920BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240920BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/34
A61Q11/00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039338
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボウ ニサ
(72)【発明者】
【氏名】滝口 有沙
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC432
4C083AC691
4C083AC692
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC861
4C083AC862
4C083AD531
4C083AD532
4C083BB55
4C083CC41
4C083EE06
4C083EE31
(57)【要約】
【課題】本発明は、メントールによる冷感作用を充分かつ持続的に増強しつつ、不快な刺激感をも有効に抑制する口腔用組成物に関する。
【解決手段】次の成分(A)~(C):
(A)2-(4-メチルフェノキシ)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-(2-チエニルメチル)アセトアミド 0.00001質量%以上0.002質量%以下
(B)メントール
(C)塩化セチルピリジニウム
を含有し、成分(C)の含有量と成分(A)の含有量との質量比((C)/(A))が1以上4000以下である口腔用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(C):
(A)2-(4-メチルフェノキシ)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-(2-チエニルメチル)アセトアミド 0.00001質量%以上0.002質量%以下
(B)メントール
(C)塩化セチルピリジニウム
を含有し、成分(C)の含有量と成分(A)の含有量との質量比((C)/(A))が1以上4000以下である口腔用組成物。
【請求項2】
成分(B)の含有量と成分(A)の含有量との質量比((B)/(A))が、7以上9000以下である請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
成分(C)の含有量が、0.001質量%以上0.1質量%以下である請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
さらに、エタノール、及びプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種のアルコール(D)を含有する請求項1~3のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、種々の口腔用組成物に冷感作用をもたらし良好な快適感や使用感を実感させ得るメントールが用いられている。
例えば、特許文献1には、塩化セチルピリジニウムとl-メントールとを特定量で含有し、かつ特定の共重合体等を含有する口腔用組成物が開示されており、塩化セチルピリジニウム由来の苦味や不快味を抑制しつつ、l-メントールによって清涼感を付与する試みがなされている。
一方、特許文献2には、メントールと特定のアセトアミド化合物とを特定の含有量かつ質量比で含有し、かつ特定のポリオールの含有が制限された泡吐出容器に充填されてなる液体口腔用組成物が開示されており、メントールによる爽快感の発現を特定のアセトアミド化合物によって促進させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-115327号公報
【特許文献2】特開2022-131532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、メントールによる冷感作用を充分に増強するには至らず、また上記特許文献2に記載の技術であっても、持続して冷感を実感させるには依然として改善の余地がある。
【0005】
したがって、本発明は、メントールによる冷感作用を充分かつ持続的に増強しつつ、塩化セチルピリジニウム由来の不快な刺激感をも有効に抑制する口腔用組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、メントールとともに特定のアセトアミド化合物を特定量で含有し、さらに特定のアセトアミド化合物と塩化セチルピリジニウムとを特定の質量比にて含有することによって、予想外にも、特定のアセトアミド化合物によりもたらされるメントールの冷感促進作用がさらに塩化セチルピリジニウムによって増強され、その持続性をも有効に高めることができ、優れた冷感の持続的な実感を可能にするとともに、塩化セチルピリジニウム由来の不快な刺激感をも有効に抑制することを見出し、本発明を想到するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、次の成分(A)~(C):
(A)2-(4-メチルフェノキシ)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-(2-チエニルメチル)アセトアミド 0.00001質量%以上0.002質量%以下
(B)メントール
(C)塩化セチルピリジニウム
を含有し、成分(C)の含有量と成分(A)の含有量との質量比((C)/(A))が1以上4000以下である口腔用組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の口腔用組成物によれば、特定のアセトアミド化合物によりもたらされるメントールの冷感促進作用がさらに塩化セチルピリジニウムによって増強され、その持続性をも有効に高めることができるとともに、塩化セチルピリジニウム由来の不快な刺激感を有効かつ持続的に抑制することができる。したがって、優れた冷感を持続的に実感できるとともに、快適な使用感をもたらすことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、塩化セチルピリジニウム由来の「刺激感」とは、塩化セチルピリジニウムによりもたらされ得る特有の不快な刺激感やきしみ感に加え、口腔内の舌等の器官において感じるピリピリとした違和感をも包含する意味である。
また、「異味」とは、成分(A)の2-(4-メチルフェノキシ)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-(2-チエニルメチル)アセトアミドが過剰に存在する等によりもたらされ得る、苦味や不快な味の総称である。
【0010】
本発明の口腔用組成物は、成分(A)として、2-(4-メチルフェノキシ)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-(2-チエニルメチル)アセトアミドを0.00001質量%以上0.0015質量%以下含有する。かかる成分(A)は、後述する成分(B)のメントールによりもたらされる冷感作用を効果的に促進するとともに、後述する成分(C)由来の刺激感を有効に抑制することができる成分である。本発明の口腔用組成物においては、後述する成分(C)によって、成分(A)によりもたらされる成分(B)の冷感促進作用がさらに増強され、その持続性をも有効に高めることができる。
【0011】
成分(A)の含有量は、成分(B)による冷感作用の促進を有効に図る観点、及び不要な異味の発現を回避する観点から、本発明の口腔用組成物中に、0.00001質量%以上であって、好ましくは0.00002質量%以上であり、より好ましくは0.00005質量%以上であり、さらに好ましくは0.0002質量%以上であり、0.002質量%以下であって、好ましくは0.0015質量%以下であり、より好ましくは0.0012質量%以下であり、さらに好ましくは0.0008質量%以下である。そして、成分(A)の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、0.00001質量%以上0.002質量%以下であって、好ましくは0.00002~0.0015質量%であり、より好ましくは0.00005~0.0012質量%であり、さらに好ましくは0.0002~0.0008質量%である。
【0012】
本発明の口腔用組成物は、成分(B)として、メントールを含有する。かかる成分(B)は、優れた冷感作用をもたらす成分である。
【0013】
成分(B)の含有量は、良好に冷感作用をもたらす観点から、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.025質量%以上であり、さらに好ましくは0.035質量%以上であり、好ましくは0.3質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以下である。そして、成分(B)の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.01~0.3質量%であり、より好ましくは0.025~0.2質量%であり、さらに好ましくは0.035~0.1質量%である。
【0014】
本発明の口腔用組成物において、成分(B)の含有量と成分(A)の含有量との質量比((B)/(A))は、成分(A)によって成分(B)の冷感促進作用を一層増強させつつ、後述する成分(C)によって、かかる冷感促進作用のさらなる増強を効果的に図る観点から、好ましくは7以上であり、より好ましくは25以上であり、さらに好ましくは100以上であり、好ましくは9000以下であり、より好ましくは5000以下であり、さらに好ましくは2000以下である。そして、成分(B)の含有量と成分(A)の含有量との質量比((B)/(A))は、好ましくは7~9000であり、より好ましくは25~5000であり、さらに好ましくは100~2000である。
【0015】
本発明の口腔用組成物は、成分(C)として、塩化セチルピリジニウムを含有する。かかる成分(C)は、成分(A)による成分(B)の冷感促進作用を一層増強させ、さらにその持続性を高めることができる成分であることが、本発明者らにより判明したものである。
【0016】
成分(C)の含有量は、成分(A)による成分(B)の冷感促進作用を一層増強させつつ、効果的にその持続性の向上を図る観点から、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.001質量%以上であり、より好ましくは0.005質量%以上であり、さらに好ましくは0.02質量%以上であり、好ましくは0.1質量%以下であり、より好ましくは0.08質量%以下であり、さらに好ましくは0.06質量%以下である。そして、成分(C)の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.001~0.1質量%であり、より好ましくは0.005~0.08質量%であり、さらに好ましくは0.02~0.06質量%である。
【0017】
本発明の口腔用組成物において、成分(C)の含有量と成分(A)の含有量との質量比((C)/(A))は、成分(B)の冷感促進作用を成分(C)によってさらに増強させ、その持続性の向上をも有効に図りながら、不要な異味の発現を効果的に抑制する観点から、1以上であって、好ましくは3以上であり、より好ましくは5以上であり、さらに好ましくは15以上であり、4000以下であって、好ましくは3000以下であり、より好ましくは2000以下であり、さらに好ましくは1100以下である。そして、成分(C)の含有量と成分(A)の含有量との質量比((C)/(A))は、1以上4000以下であって、好ましくは3~3000であり、より好ましくは5~2000であり、さらに好ましくは15~1100である。
【0018】
本発明の口腔用組成物は、成分(A)による成分(B)の冷感促進作用を成分(C)によってさらに増強させ、その持続性の向上をも有効に図る観点から、さらにエタノール、及びプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種のアルコール(D)を含有することができる。
成分(D)の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは1.5質量%以上であり、さらに好ましくは2質量%以上であり、またさらに好ましくは3質量%以上であり、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下であり、さらに好ましくは7質量%以下であり、またさらに好ましくは6質量%以下である。そして、成分(D)の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは1~10質量%であり、より好ましくは1.5~8質量%であり、さらに好ましくは2~7質量%であり、またさらに好ましくは3~6質量%である。
【0019】
本発明の口腔用組成物において、成分(D)の含有量と成分(A)の含有量との質量比((D)/(A))は、成分(C)によって、成分(A)による成分(B)の冷感促進作用をさらに増強させつつ、その持続性の向上をも有効に図りながら、不要な異味の発現を効果的に抑制する観点から、好ましくは1000以上であり、より好ましくは2000以上であり、さらに好ましくは5000以上であり、好ましくは250000以下であり、より好ましくは150000以下であり、さらに好ましくは80000以下である。そして、成分(D)の含有量と成分(A)の含有量との質量比((D)/(A))は、好ましくは1000~250000であり、より好ましくは2000~150000であり、さらに好ましくは5000~80000である。
【0020】
本発明の口腔用組成物は、水を含有する。本発明における水とは、口腔用組成物に配合した精製水等だけでなく、配合した各成分に含まれる水分をも含む、口腔用組成物中に含まれる全水分を意味する。かかる水を含有することにより、含有する上記各成分を良好に溶解又は分散させて、所望の効果を充分に発揮させることができる。
【0021】
具体的には、本発明の口腔用組成物が洗口液や液状歯磨剤等の液体口腔用組成物である場合、かかる水の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上であり、好ましくは99.7質量%以下であり、より好ましくは99.5質量%以下であり、さらに好ましくは99.4質量%以下である。また、本発明の口腔用組成物が洗口液や液状歯磨剤等の液体口腔用組成物である場合、かかる水の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは50~99.8質量%であり、より好ましくは70~99.5質量%であり、さらに好ましくは80質量%~99.4質量%である。
さらに、本発明の口腔用組成物が練歯磨剤や粉歯磨剤等の歯磨組成物である場合、かかる水の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは55質量%以下である。また、本発明の口腔用組成物が練歯磨剤や粉歯磨剤等の歯磨組成物である場合、かかる水の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは5~60質量%であり、より好ましくは10~55質量%である。
【0022】
なお、本発明の口腔用組成物が練歯磨剤や粉歯磨剤等の歯磨組成物である場合、その水分量は、配合した水分量及び配合した成分中の水分量から計算によって算出することもできるが、例えばカールフィッシャー水分計で測定することができる。カールフィッシャー水分計としては、例えば、微量水分測定装置(平沼産業社製)を用いることができる。この装置では、口腔用組成物を5gとり、無水メタノール25gに懸濁させ、この懸濁液0.02gを分取して水分量を測定することができる。
【0023】
本発明の口腔用組成物は、組成物の安定性や香味立ちを良好に保持する観点、及び成分(C)によって、成分(A)による成分(B)の冷感促進作用をさらに増強させ、かつその持続性の向上をも有効に図りながら、不要な異味の発現を効果的に抑制する観点から、さらにノニオン界面活性剤を含有することが好ましい。
【0024】
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン等のポリオキシエチレン誘導体;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、モノセチルグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル;イソステアリルグリセリルエーテル等のアルキルグリセリルエーテル;モノベヘン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0025】
これらノニオン界面活性剤のなかでも、ポリオキシエチレン誘導体が好ましく、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油がさらに好ましい。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のエチレンオキサイドの平均付加モル数は、40以下のものが好ましく、15~40のものが好ましく、20~40のものがより好ましい。
【0026】
ノニオン界面活性剤の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.2質量%以上であり、好ましくは0.6質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.4質量%以下である。そして、界面活性剤の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.05~0.6質量%であり、より好ましくは0.1~0.5質量%であり、さらに好ましくは0.2~0.4質量%である。
【0027】
本発明の口腔用組成物において、ノニオン界面活性剤の含有量と成分(A)の含有量との質量比(ノニオン界面活性剤/(A))は、成分(C)によって、成分(A)による成分(B)の冷感促進作用をさらに増強させ、かつその持続性の向上をも有効に図りながら、不要な異味の発現を効果的に抑制する観点から、好ましくは30以上であり、より好ましくは50以上であり、さらに好ましくは400以上であり、好ましくは10000以下であり、より好ましくは8000以下であり、さらに好ましくは5000以下である。そして、ノニオン界面活性剤の含有量と成分(A)の含有量との質量比(ノニオン界面活性剤/(A))は、好ましくは30~10000であり、より好ましくは50~8000であり、さらに好ましくは400~5000である。
【0028】
本発明の口腔用組成物は、好ましくはソルビトール、キシリトール、エリスリトール、還元パラチノース、マンニトール、マルチトール、及びグリセリンから選択される1種又は2種以上の多価アルコールを含有することができる。
【0029】
かかる多価アルコールの含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは3質量%以上であり、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。多価アルコールの含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは1~40質量%であり、より好ましくは2~25質量%であり、さらに好ましくは3~10質量%である。
【0030】
本発明の口腔用組成物において、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、還元パラチノース、マンニトール、マルチトール、及びグリセリンから選択される1種又は2種以上の多価アルコールの含有量と成分(A)の含有量との質量比(多価アルコール/(A))は、成分(C)によって、成分(A)による成分(B)の冷感促進作用をさらに増強させつつ、その持続性の向上をも有効に図りながら、不要な異味の発現を効果的に抑制する観点から、好ましくは1000以上であり、より好ましくは3000以上であり、さらに好ましくは5000以上であり、好ましくは200000以下であり、より好ましくは150000以下であり、さらに好ましくは100000以下である。そして、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、還元パラチノース、マンニトール、マルチトール、及びグリセリンから選択される1種又は2種以上の多価アルコールの含有量と成分(A)の含有量との質量比(多価アルコール/(A))は、好ましくは1000~200000であり、より好ましくは3000~150000であり、さらに好ましくは5000~100000である。
【0031】
本発明の口腔用組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記成分以外の成分として、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤;フッ化物;トコフェロール酢酸エステル、グリチルレチン酸等の薬効成分;サッカリンナトリウム等の甘味料;成分(A)や成分(B)以外の香料;着色剤等を含有することができる。
【実施例0032】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
【0033】
[実施例1~6、比較例1~5]
表1に示す処方にしたがい、各口腔用組成物を調製した。次いで、得られた口腔用組成物を用い、下記方法にしたがって各評価を行った。
結果を表1に示す。
【0034】
《冷感の評価》
得られた口腔用組成物を専門パネラー3名の口腔内に適用した直後、及びその後30分経過した時点の双方において、口腔内で感じられた冷感の強さの程度を下記基準にしたがって官能評価し、専門パネラー3名の協議の結果を表1に示した。
A:冷感を非常に強く感じた
B:冷感を強く感じた
C:冷感をあまり感じなかった
D:冷感を全く感じなかった
【0035】
《刺激感の評価》
得られた口腔用組成物を専門パネラー3名の口腔内に適用した直後、及びその後30分経過した時点の双方において、口腔内における刺激感の軽減程度を下記基準にしたがって官能評価し、専門パネラー3名の協議の結果を表1に示した。
A:刺激感が充分に軽減されていた
B:刺激感が軽減されていた
C:あまり刺激感が軽減されていなかった
D:刺激感がほとんど軽減されていなかった
【0036】
《異味の評価》
得られた口腔用組成物を専門パネラー3名の口腔内に適用した直後において、口腔内で感じられた異味の強さの程度を下記基準にしたがって官能評価し、専門パネラー3名の協議の結果を表1に示した。
3:異味を強く感じた
2:異味を若干感じた
1:異味をあまり感じなかった
0:異味を全く感じなかった
【0037】
【表1】
【手続補正書】
【提出日】2024-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(C):
(A)2-(4-メチルフェノキシ)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-(2-チエニルメチル)アセトアミド 0.00001質量%以上0.002質量%以下
(B)メントール
(C)塩化セチルピリジニウム
を含有し、成分(C)の含有量と成分(A)の含有量との質量比((C)/(A))が1以上4000以下である口腔用組成物。
【請求項2】
成分(B)の含有量と成分(A)の含有量との質量比((B)/(A))が、7以上9000以下である請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
成分(C)の含有量が、0.001質量%以上0.1質量%以下である請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
さらに、エタノール、及びプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種のアルコール(D)を含有する請求項1又は2に記載の口腔用組成物。