(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129935
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】自動車用部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B62D 25/02 20060101AFI20240920BHJP
B62D 25/06 20060101ALI20240920BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20240920BHJP
B29C 44/44 20060101ALI20240920BHJP
B29C 44/12 20060101ALI20240920BHJP
B29C 51/10 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B62D25/02 B
B62D25/06 Z
B29C44/00 G
B29C44/44
B29C44/12
B29C51/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039348
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】522439434
【氏名又は名称】KGモーターズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】楠 一成
【テーマコード(参考)】
3D203
4F208
4F214
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB59
3D203CA52
3D203CA82
3D203CA84
3D203DA32
4F208AC03
4F208AH17
4F208AH18
4F208MA01
4F208MB01
4F208MC01
4F214AA11
4F214AC01
4F214AD05
4F214AD08
4F214AG20
4F214AH17
4F214UA21
4F214UB01
4F214UB11
(57)【要約】
【課題】樹脂成形を利用した自動車用部品について、製造性等を向上させることが可能な自動車用部品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】自動車Xの外面を構成する自動車用部品1であって、自動車Xの外部に露出する外装部11と、外装部11に取付けられ、自動車Xの内部に露出する内装部12と、を備え、外装部11は、略板状の樹脂成形体であり、内装部12は、その内部に金属素材により形成された補強部材Eが設けられた発泡成形体である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の外面を構成する自動車用部品であって、前記自動車の外部に露出する外装部と、前記外装部に取付けられ、前記自動車の内部に露出する内装部と、を備え、
前記外装部は、略板状の樹脂成形体であり、
前記内装部は、その内部に、金属素材により形成された補強部材の少なくとも一部が設けられた発泡成形体である、自動車用部品。
【請求項2】
前記外装部は、前記内装部の外面を被覆する外装部本体と、前記外装部本体の周縁から内方に向かって突設された外装部フランジと、を有し、
前記内装部は、前記外装部に対して、その内周面に当接して嵌め込まれている、請求項1に記載の自動車用部品。
【請求項3】
前記外装部及び前記内装部の双方に貫入される貫入部材を備える、請求項2に記載の自動車用部品。
【請求項4】
前記補強部材は、前記外装部本体と、前記内装部を介して対向する略板状の補強部材本体と、前記補強部材本体の周縁から外方に向かって突設された補強部材フランジと、を有している、請求項3に記載の自動車用部品。
【請求項5】
前記外装部フランジ及び前記補強部材フランジには、それぞれ、互いに連通し、前記貫入部材が挿通する挿通孔が設けられている、請求項4に記載の自動車用部品。
【請求項6】
前記内装部には、その内面において、前記補強部材が露出する露出孔が設けられている、請求項1に記載の自動車用部品。
【請求項7】
自動車の外面を構成する自動車用部品の製造方法であって、
前記自動車の外部に露出する外装部を、樹脂素材により真空成形する外装部成形工程と、前記自動車の内部に露出する内装部を、発泡素材により発泡成形する内装部成形工程と、前記外装部と前記内装部とを組付ける組付工程と、を備え、
前記内装部成形工程において、発泡素材の内部に金属素材により形成された補強部材を包含させる、自動車用部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の外装等に用いられる自動車用部品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の軽量化や環境負荷の観点から、樹脂の特性を生かした自動車用部品が、バンパー等の外装部品や、サンバイザー等の内装部品に至るまで、様々な箇所に用いられている。
【0003】
このような発泡樹脂の特性を生かした自動車用部品に関する発明として、特許文献1には、意匠性に優れ、十分な固着領域と固着強度を確保することができる自動車用部品に関する発明が記載されている。
この自動車用部品は、コアバック方式により形成されることで、表面にスキン部が形成され、例えば、サイドシル、フェンダー、フロントグリル、テールゲートドア等に適用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような樹脂成形品を用いた自動車用部品は、外装部と内装部とに分けた構成で製造されるものが多く、何れも樹脂成形品としているものが一定数存在する。
即ち、通常の自動車部品は、スチールフレーム等の金属部品を囲った金属パネル(外装部)の内面に樹脂成形された内装部が貼付けられて製造されるところ、外装部についても樹脂成形品として製造されるものがある。
【0006】
そして、このような構成の自動車用部品においては、外装部も樹脂成形品としているため、一定の軽量化が図れるものの、剛性確保のため外装部を分厚くせざるを得ず、また、他部材との連結にあたり、外装部の形状(連結部分等)が複雑となる。
このため、外装部について、上記したコアバック方式等、複雑な構造を成形可能な射出成形により製造する必要があるが、射出成形品は通常、高コスト化し易い。
このため、外装部と内装部何れも樹脂成形品としている自動車用部品全体について、製造性等について改善の余地が残されていた。
【0007】
本発明は上記のような実状に鑑みてなされたものであり、樹脂成形を利用した自動車用部品について、製造性等を向上させることが可能な自動車用部品及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、自動車の外面を構成する自動車用部品であって、前記自動車の外部に露出する外装部と、前記外装部に取付けられ、前記自動車の内部に露出する内装部と、を備え、
前記外装部は、略板状の樹脂成形体であり、
前記内装部は、その内部に、金属素材により形成された補強部材の少なくとも一部が設けられた発泡成形体である。
【0009】
本発明によれば、内装部を発泡成形体として、本自動車部品全体におけるコア部材とし、外装部を略板状の樹脂成形体として、本自動車部品全体におけるカバー部材とすることで、外装部の構成を簡略化でき、真空成形により低コストで製造することができる。
また、内装部について、発泡成形体として軽量化を図りつつ、補強部材により一定の強度を担保でき、この補強部材を利用して、連結部分等を形成することができる。
さらに、外装部及び内装部共に柔軟性を有するため、搭乗者や衝突物を傷付けにくく安全であり、発泡成形体の高い断熱性により、空調にかかるエネルギー消費を減少させることができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記外装部は、前記内装部の外面を被覆する外装部本体と、前記外装部本体の周縁から内方に向かって突設された外装部フランジと、を有し、前記内装部は、前記外装部に対して、その内周面に当接して嵌め込まれている。
【0011】
このような構成とすることで、外装部と内装部との組付け時の位置決めが容易となり、本自動車用部品の製造性が向上する。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記外装部及び前記内装部の双方に貫入される貫入部材を備える。
【0013】
このような構成とすることで、貫入部材でもって、外装部と内装部との連結態様をより強固にすることができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記補強部材は、前記外装部本体と、前記内装部を介して対向する略板状の補強部材本体と、前記補強部材本体の周縁から外方に向かって突設された補強部材フランジと、を有している。
【0015】
このような構成とすることで、本自動車用部品の曲げ剛性が向上する。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記外装部フランジ及び前記補強部材フランジには、それぞれ、互いに連通し、前記貫入部材が挿通する挿通孔が設けられている。
【0017】
このような構成とすることで、貫入部材による、外装部と内装部との連結作業が容易となる上、貫入部材を補強部材フランジにも貫入させることで、外装部と内装部との連結態様をより強固にすることができる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記内装部には、その内面において、前記補強部材が露出する露出孔が設けられている。
【0019】
このような構成とすることで、補強部材を介して、本自動車用部品の適用箇所に応じた所望の部材を、強固に取付けることができる。
【0020】
また、本発明は、自動車の外面を構成する自動車用部品の製造方法であって、
前記自動車の外部に露出する外装部を、樹脂素材により真空成形する外装部成形工程と、前記自動車の内部に露出する内装部を、発泡素材により発泡成形する内装部成形工程と、前記外装部と前記内装部とを連結する連結工程と、を備え、
前記内装部成形工程において、発泡素材の内部に金属素材により形成された補強部材を包含させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、樹脂成形を利用した自動車用部品について、製造性等を向上させることが可能な自動車用部品及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る自動車用部品を適用した自動車を示す図であって、(a)側面図、(b)平面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る自動車用部品(フロントドア)を示す図であって、(a)外側から見た分解斜視図、(b)外側から見た組立斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る自動車用部品(フロントドア)を示す図であって、(a)内側から見た分解斜視図、(b)内側から見た組立斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る自動車用部品(フロントドア)を示す図であって、組付けの流れを示すPP´線断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る自動車用部品(ルーフ)を示す図であって、(a)分解斜視図、(b)組立斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る自動車用部品(ルーフ)を示す図であって、組付けの流れを示すQQ´線断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る外装部成形工程の説明図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る内装部成形工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係る自動車用部品及びその製造方法について説明する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。
また、これらの図において、符号1、2は、本実施形態に係る自動車用部品を示す。
【0024】
<構成>
本実施形態における自動車用部品1、2は、自動車Xの外面を構成するものであって、例えば、
図1に示すように、フロントドア(自動車用部品1)や、ルーフ(自動車用部品2)に適用される。
なお、
図1において、上記した適用部品について、灰色にて塗りつぶして示している。
また、以下、説明の便宜上、
図1における矢印方向を前後方向と称する。
【0025】
以下、
図2~
図4を用いて、自動車用部品1の構成について説明する。
【0026】
図2に示すように、自動車用部品1は、自動車Xの外部に露出する外装部11と、外装部11に取付けられ、自動車の内部に露出する内装部12と、外装部11及び内装部12の双方に貫入される貫入部材Jと、を備えている。
【0027】
外装部11は、全体として略板状の樹脂成形体であり、内装部12の外面を被覆する外装部本体11aと、外装部本体11aの周縁から内方に向かって突設された外装部フランジ11bと、を有している。
【0028】
ここで、外装部11を構成する樹脂は、例えば既知の自動車部品に一般的に用いられるABS樹脂等が好適に用いられるが、樹脂素材であれば特に限定されない。
また、外装部11は、樹脂を用いた既知の成形手法である真空成形により、全体が一挙に成形される。
なお、外装部11の成形工程については、
図7を用いて後述する。
【0029】
外装部本体11aは、外方に向かってC字状に湾曲した、前後方向に長い略長方形状の部材である。
また、外装部本体11aには、ドアハンドル(図示せず)を取付けるための取付け孔mが設けられている。
【0030】
外装部フランジ11bは、外装部本体11aの上縁及び下縁それぞれの全長に亘って一対設けられ、内方に向かって突設されている。
また、各外装部フランジ11bには、貫入部材Jが貫入する挿通孔h1が、前後方向に沿って、所定の間隔を空けて設けられている。
【0031】
内装部12は、全体として発泡成形体であり、その外面は、外装部本体11aの内周面の略全面に当接するように、外方に向かって山なりに突出している。
また、内装部12の上側面及び下側面(各外装部フランジ11bが重畳される面)には、後述する各補強部材フランジE2の表面が露出している。
【0032】
ここで、内装部12を構成する樹脂は、発泡樹脂であり、特に発泡ポリプロピレン(EPP)が好適に用いられる。
また、内装部12は、樹脂を用いた既知の成形手法である発泡成形により、全体が一挙に成形される。
特に、フロントドアに適用される自動車用部品1においては、
図3に示すように、内張りについても、内装部12の一部として一体的に成形される。
なお、内装部12の成形工程については、
図8を用いて後述する。
【0033】
さらに、内装部12には、特に
図4に示すように、その内部に金属素材により形成された補強部材Eが設けられ、特に
図3に示すように、内装部12の内面には、補強部材Eが露出する露出孔nが設けられている。
本実施形態においては、例えばこの露出孔nを介して、後述する補強部材Eに対して、室内用のドアハンドル(図示せず)を取付けられる。
【0034】
補強部材Eは、外装部本体11aと、内装部12を介して対向する略板状の補強部材本体E1と、補強部材本体E1の周縁から外方に向かって突設された補強部材フランジE2と、を有している。
なお、補強部材Eは、例えばスチール等、軽量且つ安価であり、加工し易い金属素材が好適に用いられる。
【0035】
補強部材本体E1は、前後方向に長い略長方形状の略平板状の部材である。
【0036】
補強部材フランジE2は、補強部材本体E1の上縁及び下縁それぞれの全長に亘って一対設けられ、外方に向かって突設されている。
また、各補強部材フランジE2には、貫入部材Jが貫入する挿通孔h2が、各挿通孔h1に連通するように、前後方向に沿って、所定の間隔を空けて設けられている。
【0037】
上記構成の外装部11及び内装部12は、
図4に示す流れで組付けられる。
【0038】
詳述すれば、まず、製造者は、
図4(a)(及び
図2(b)、
図3(b))に示すように、内装部12の湾曲部分を外装部本体11aの内周面の略全面に当接させる。
このとき、内装部12の上側面及び下側面が各外装部フランジ11bの内周面に当接し、内装部12は、外装部11に対して、その内周面に当接して嵌め込まれる。
【0039】
次に、製造者は、
図4(b)に示すように、各挿通孔h1、h2に、貫入部材Jを貫入させる。
なお、貫入部材Jは、例えば、一般的な自動車に用いられる既知のバンパークリップや内張りクリップといったクリップ部材が好適に用いられる。
また、内装部12においても、各挿通孔h1、h2に連通する挿通孔を形成し、組付け易さを向上させても良い。
【0040】
これにより、外装部11及び内装部12が組付けられ、自動車用部品1が製造される。
【0041】
ここで、
図2等において、補強部材Eは、各補強フランジE2の表面以外の部分が内装部12に内包されている態様で示しているが、自動車用部品1は、フロントドアに適用されるものである。
このため、例えば、フロントフェンダーと連結し、開閉機構を実現するためのドアヒンジについては、内装部12の前方側面から補強部材Eを突出させるように内装部12を成形し、この突出部分に構成することができる。この他、露出孔nのように、前方側面や後方側面に露出孔を設け、この露出孔を介して補強部材本体E1にドアヒンジやラッチを設けることができる。
また、窓や窓の開閉機構については、例えば、上面に露出した補強フランジ部E2にサッシを取付け、前後方向のスライドにより開閉可能な窓を構成することができる。
【0042】
以下、
図5及び
図6を用いて、自動車用部品2の構成について説明する。
【0043】
図5に示すように、自動車用部品2は、自動車用部品1と同様に、自動車Xの外部に露出する外装部21と、外装部21に取付けられ、自動車の内部に露出する内装部22と、を備えている。
【0044】
外装部21は、外装部11と同様に、ABS樹脂等の樹脂素材を用いた真空成形により全体が一挙に成形された、略板状の樹脂成形体であり、外装部本体21aと、外装部フランジ21bと、を有している。
【0045】
外装部本体21aは、外方に向かってC字状に湾曲した、前後方向に長い略長方形状の部材である。
【0046】
外装部フランジ21bは、外装部本体21aの上縁及び下縁それぞれの全長に亘って一対設けられ、内方に向かって突設されている。
また、各外装部フランジ21bには、後述する貫入部材Jが貫入する挿通孔h1が、前後方向に沿って、所定の間隔を空けて設けられている。
【0047】
内装部22は、内装部12と同様に、発泡ポリプロピレン等の発泡樹脂を用いた発泡成形により全体が一挙に成形された発泡成形体であり、その外面は、外装部本体21aの内周面の略全面に当接するように、外方に向かって山なりに突出している。
また、内装部22の左側面及び右側面(各外装部フランジ11bが重畳される面)には、各補強部材フランジE2の表面が露出している。
さらに、内装部22には、内装部12と同様に、
図6に示すように、その内部に補強部材Eが包含されている。
【0048】
上記構成の外装部21及び内装部22は、
図4に示した流れと同様に、
図6に示す流れで組付けられる。
【0049】
詳述すれば、まず、製造者は、
図6(a)(及び
図5(b))に示すように、内装部22を外装部21に嵌め込む。
次に、製造者は、
図6(b)に示すように、各挿通孔h1、h2に、貫入部材Jを貫入させる。
【0050】
これにより、外装部21及び内装部22が組付けられ、自動車用部品2が製造される。
【0051】
ここで、
図5等において、補強部材Eは、全体が内装部22に内包されている態様で示しているが、自動車用部品2は、ルーフに適用されるものである。
このため、例えば、ルーフレールへの取付けについては、内装部22の側面から補強部材Eを突出させるように内装部12を成形し、補強部材Eを介して、スポット溶接等既知の手法により取付けることができる。この他、露出孔nのように、内装部22の内面や側面に露出孔を設け、この露出孔を介して取付けることができる。
また、ルームランプやサンバイザー等、ルーフの内面に取付けられる種々の部材についても、露出孔の形成により、補強部材Eを介して取付けられても良いし、部材によっては、発泡成形により、内装部22の一部として一挙に形成されても良い。
【0052】
<製造方法>
以下、
図7及び
図8を用いて、外装部成形工程及び内装部成形工程について説明する。
なお、
図7及び
図8では、上記した、ルーフに適用される自動車用部品2(外装部21及び内装部22)の成形について説明するが、自動車用部品1(外装部11及び内装部12)についても、同様の手法で成形することができる。
【0053】
外装部成形工程について、まず、
図7(a)に示すように、平板状の樹脂板rを上方から加熱し軟化させる。
次に、
図7(b)に示すように、下方から空気を送り込み樹脂板rを膨張させる。
次に、
図7(c)に示すように、下方から凸型を送り込み、樹脂板rに押し当て、凸型の内側を真空吸引して成形する。
次に、
図7(d)に示すように、空気や水蒸気を上方から当てて冷却させることで、樹脂板rを固化させた後、凸型を下げ、外装部フランジ21bの両側を切除して、外装部21を切り出す。
【0054】
上記した工程は、既知の所謂エアースリップ法であるが、これに限られず、プラグアシスト法等の既知の成形手法を採用しても良い。
また、取付け孔mや挿通孔h1は、外装部21を切り出した後、所定の工具を用いて穿設しておく。
【0055】
内装部成形工程について、まず、
図8(a)に示すように、金型キャビティの凹部に、補強部材フランジE2を下にして補強部材Eを載置する。
次に、
図8(b)に示すように、凹部に発泡ビーズbを流し込む。
次に、
図8(c)に示すように、凹部に蓋をして蒸気で過熱することで、発泡ビーズbを膨張・溶着させ、金型キャビティに沿った形状に成形する。
次に、
図8(d)に示すように、蓋を開け、内装部22(及び補強部材E)を金型キャビティから取り出す。
【0056】
上記した工程は、既知の所謂ビーズ発泡であるが、これに限られず、押出発泡等の既知の成形手法を採用しても良い。
また、露出孔nや挿通孔h2は、内装部22を取り出した後、所定の工具を用いて穿設しておく。
【0057】
なお、金型キャビティにおける蓋の内周面を所望の形状に設計することで、内装部12のような、内張りのような形態を成形することができる。
また、外装部成形工程における凸型の湾曲面の形状(曲率)と、内装部成形工程における凹部の湾曲面の形状(曲率)と、を略同一としておくことで、
図6に示したように、隙間なく外装部21及び内装部22が当接し、スムーズな組付工程が可能となる。
【0058】
組付工程については、上記した通り、内装部22を外装部21に嵌め込み、貫入部材Jを貫入させることで、実施される。
また、組付工程は、貫入部材Jを用いずに、例えば、外装部21と内装部22とを溶接等により組付けることで、実施されても良い。
【0059】
<効果>
本実施形態によれば、外装部11、21の構成を簡略化でき、真空成形により低コストで製造することができる。
【0060】
また、内装部12、22について、発泡成形体として軽量化を図りつつ、補強部材Eにより一定の強度を担保でき、この補強部材Eを利用して、連結部分等を形成することができる。
【0061】
また、外装部11、21及び内装部12、22共に柔軟性を有するため、搭乗者や衝突物を傷付けにくく安全であり、発泡成形体の高い断熱性により、空調にかかるエネルギー消費を減少させることができる。
【0062】
内装部12、22が、外装部11、21に対して、その内周面に当接して嵌め込まれることで、外装部11、21と内装部12、22との組付け時の位置決めが容易となり、自動車用部品1、2の製造性が向上する。
【0063】
また、貫入部材Jにより、外装部11、21と内装部12、22との連結態様をより強固にすることができる。
【0064】
また、補強部材フランジE2により、自動車用部品1、2の曲げ剛性が向上する。
【0065】
また、各挿通孔h1と各挿通孔h2とにより、貫入部材Jによる、外装部11、21と内装部12、22との連結作業が容易となる上、貫入部材Jを補強部材フランジE2にも貫入させることで、外装部11、21と内装部12、22との連結態様をより強固にすることができる
【0066】
露出孔nにより、補強部材Eを介して、自動車用部品1、2の適用箇所に応じた所望の部材を、強固に取付けることができる。
【0067】
なお、上述の実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0068】
例えば、本実施形態においては、適用箇所として、フロントドア及びルーフを例に挙げたが、この他にも、リアドアやリアフェンダー、フロントフェンダー、ボンネット、サイドシル等の自動車のボディを構成するパネル部材に対して好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1、2 自動車用部品
11、21 外装部
12、22 内装部
E 補強部材
J 貫入部材
X 自動車