(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129947
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
A01K 85/14 20060101AFI20240920BHJP
A01K 85/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A01K85/14
A01K85/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039370
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】高橋 慶朗
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307AA01
2B307BA35
2B307BA42
2B307BA44
2B307BA45
2B307BA47
2B307BA70
(57)【要約】
【課題】リトリーブした際、ルアー本体が安定して泳ぐことが可能なルアーを提供する。
【解決手段】本発明に係るルアー1は、小魚の外観を模した金属製の本体2と、本体2から前方に延び、先端に錘11とラインアイ12が設けられた硬質のアーム部10と、を有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小魚の外観を模した金属製の本体と、
前記本体から前方に延び、先端に錘とラインアイが設けられた硬質のアーム部と、
を有することを特徴とするルアー。
【請求項2】
前記アーム部は、前記錘が前記本体に対して上方側に位置するように前記本体から延びていることを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
前記アーム部は、前記本体の先端が下向きに前傾姿勢になった状態で水平方向に延出するように前記本体に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載のルアー。
【請求項4】
前記アーム部の先端には、アーム部に対して幅方向の両側で対称となる表面形状を備えたテーパ面が形成されており、
前記両側のテーパ面は、幅方向に沿った断面視で窪んだ状態で湾曲していることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のルアー。
【請求項5】
前記テーパ面は、先端に移行するに従い先細形状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のルアー。
【請求項6】
前記テーパ面は、前記錘に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のルアー。
【請求項7】
前記本体の後端の上側には、ブレードが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【請求項8】
前記本体の下側には、フックが取り付けられていることを特徴とする請求項7に記載のルアー。
【請求項9】
前記アーム部は、逆T字形状で板状に形成されており、前記本体の背部全体に一体化されていることを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【請求項10】
前記本体は、幅方向に沿った断面視で、背部側を頂部にして略三角形状に形成されていることを特徴とする請求項9に記載のルアー。
【請求項11】
前記アーム部は、透明であることを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【請求項12】
前記本体は、前記錘よりも重いことを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【請求項13】
前記ラインアイは、前記錘の頂部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【請求項14】
前記アーム部は、前記本体に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【請求項15】
前記アーム部は、略同一形状に形成された2枚の板材を重ねて接合することで構成されており、前記本体と錘は、前記2枚の板材間に配設された強化部材で連結されていることを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣りに際して用いられるルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ルアーフィッシングとして、サワラ、太刀魚など歯が鋭い魚をターゲットにすることがあり、実際の小魚と同じような外観模様を呈したルアーが用いられることがある。ルアー本体は、大きくすると魚の興味が無くなるため、ある程度、小さいものが用いられる。この場合、ルアー本体を小さくすると、ルアー本体に食い付いた口の歯で、先端のラインアイに接続された釣糸を食いちぎられることがある。
【0003】
そこで、特許文献1には、ルアー本体の先端に、前方に突出する薄板状のアーム部を設け、アーム部の先端のラインアイに釣糸を接続させるルアーが知られている。このようなルアーによれば、ルアー本体に魚が食い付いても、ラインアイの位置まで届かないため、釣糸が食いちぎられることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1に開示されているルアーは、アーム部が薄板状に構成されているため、釣糸を牽引した際、ルアー本体の前方が上を向いてしまい、小魚のような動きが得られない。また、薄板状のアーム部は、水流の抵抗が作用するとぶれやすくなり、ルアー本体が変位したり大きくローリングしてしまう。
【0006】
また、上記した対象魚が捕食する小魚は、水平方向に安定した状態で泳ぐことが知られている。上記の特許文献1に開示されたルアーでは、疑似餌となる小魚(ルアー本体)が変位したり大きくローリングしてしまうので、対象魚を警戒させ、釣果に影響を与えてしまう。
【0007】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、リトリーブした際、ルアー本体が安定して泳ぐことが可能なルアーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明に係るルアーは、小魚の外観を模した金属製の本体と、前記本体から前方に延び、先端に錘とラインアイが設けられた硬質のアーム部と、を有することを特徴とする。
【0009】
上記した構成のルアーは、本体から前方に延びるように硬質のアーム部が設けられており、アーム部の先端にラインアイが設けられるので、魚が本体に食い付いても、ラインアイに接続された釣糸が食いちぎられることが抑制される。また、アーム部の先端に錘を設けたことで、アーム部がブレ難くなり、前記本体が上方に持ち上がることが抑制され、前記本体を実際の小魚のように水平に泳がすことが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リトリーブした際、ルアー本体が安定して泳ぐことが可能なルアーが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係るルアーの一実施形態を示す全体斜視図。
【
図2】(a)はルアー本体が水平状態になったときの側面図、(b)はルアーの正面図、(c)はルアーの背面図。
【
図3】(a)はルアーの平面図、(b)はルアーの底面図。
【
図5】(a)はアーム部先端の錘部分の斜視図、(b)はアーム部先端の錘部分の平面図。
【
図6】(a)は
図2(a)のA-A線に沿った断面図、(b)は
図2(a)のB-B線に沿った断面図
【
図7】(a)~(c)はリトリーブした際の水中でのルアーの動作を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るルアーの一実施形態について
図1から
図6に基づいて説明する。
なお、以下の説明において、ルアーの方向性を特定するに際しては、魚の形態を模した本体を水平状態にした際、頭部側を前(前方、前端等)、進行方向の反対側となる尾部側を後(後方、後端等)とし、これらを前後方向と定義する。また、背側を上(上方)、腹側を下(下方)とし、これらを上下方向(高さ方向)と定義する。さらに、前後方向及び上下方向と直交する方向を左右方向(幅方向)と定義する。
【0013】
本実施形態に係るルアー1は、小魚(ベイトフィッシュ)の形態を模した外形状を備えた金属製のルアー本体(以下、本体とも称する)2を備えている。前記本体2には、例えば、印刷、シール(ホログラムシール等を含む)の貼付、ホットスタンプ等、各種の手法で鱗、目など、実際の小魚に則した外観模様が付されている。
【0014】
前記本体2は、例えば、鉛、タングステン等、水中で沈む金属材料で構成されており、例えば、型成形などによって一体形成することが可能である。或いは、そのような単一材構造以外にも、上記した金属材料を含んだ複合体や分割体として構成することも可能である。この場合、複合体の構成材料、錘の位置、空洞部を形成する等、全体のバランスや浮力を調整することが可能である。
【0015】
前記本体2は、前方に延びる硬質のアーム部10を備えている。前記アーム部10は、本体2に一体的に形成することが可能であり、先端には、錘11とラインアイ12が設けられている。
【0016】
前記アーム部10は、小魚の形態を模した本体2に対象魚(サワラ、太刀魚など)が食い付いた際、対象魚の歯が触れてリールからの釣糸が食いちぎられないように、本体2とラインアイ12を離間させる機能を有する。すなわち、本体2を小型にする(小魚に近付ける)ことで、対象魚が食い付き易くなる一方、釣糸の位置が近すぎて食いちぎられる可能性があるので、アーム部10を設けることで釣糸の接続位置を本体2から離している。具体的には、本体2とラインアイ12との間の最短距離は、前記アーム部によって4cm~6cm程度確保されていれば良い。また、本体2は、上記した対象魚が食い付く(飲み込む)程度であれば良く、前後方向の全長で3cm~5cm程度あれば良い。
【0017】
前記アーム部10は、例えば、ABS樹脂やポリカーボネート、アクリル、ウレタン等の硬質材で形成することが可能である。本実施形態では、前記硬質材を略同一形状に形成した板材10A,10Bを重ねることで構成されている。この場合、
図4に示すように、本体2と錘11は、強化部材(例えば、ワイヤ11A等)で連結しておき、この連結状態で、2枚の板材10A,10Bを、前記錘11及び本体2を挟持するように重ね、その重ねた対向面を接着、溶着等で接合することが好ましい。
【0018】
このような構成によれば、錘11、本体2及びワイヤ11Aを収容した板状のアーム部10を形成することが可能であり、アーム部10が板状になることで、本体2は直進方向に進み易くなる。また、前記アーム部10内に錘11と本体2を連結する強化部材(ワイヤ11A)が収容されることで、対象魚が食い付いても、ルアーとして十分な強度を確保することが可能となる。さらに、本体2が2枚の板材10A,10Bに挟持された状態となるため、本体2の外観模様(塗装など)が劣化したり、剥離等することが防止される。
【0019】
なお、アーム部10内に組み込まれるワイヤ11Aの位置については限定されることはないが、
図4に示すように、アーム部10が本体2に接続される部分(魚が食い付いて最も応力が作用し易い下端縁側)に配設することが好ましい。また、ワイヤは複数本配設しても良く、湾曲状に配設する構成であっても良い。
【0020】
上記したワイヤ11Aについては、錘11の上端(頂部領域11a)に、上方に突出するリング状に湾曲したラインアイ12を形成しておき、本体2の下側に、下方に突出するリング状に湾曲した2つのフックアイ3,4を形成しておくのが好ましい。前記本体2の下方のフックアイ3,4には、フック40、或いは、それ以外にも錘(図示せず)等を装着することが可能であり、ワイヤ11Aにラインアイ12、及び、フックアイ3,4を予め形成することで、アイの取り付け工程を容易にすることが可能となる。
【0021】
また、前記本体2の下側に設けられたフックアイ3,4に、フック40を取り付けることで、フック40自体が錘になると共に、牽引時に抵抗となって、本体2が浮き上がることが抑制される。また、前記ラインアイ12を、錘11の前後方向の中間部分の頂部領域に設けることで、前記ラインアイ12に釣糸を接続して釣糸を牽引した際、鼻先側が浮き上がることを抑制することが可能となる。
【0022】
前記アーム部10を板状に形成する場合、
図6に示すように、逆T字形状に形成することが好ましい。これは、上記した補強部材であるワイヤ11Aが配設される部分は、大きな負荷が作用するため、この部分(下端縁部10a)を厚肉化した逆T字形状に形成することで、より効果的に補強することが可能となる。また、前記アーム部10と本体2は、
図4に示すように、本体2の前後方向に亘る背部全体に一体化することが好ましい。
このような一体化構造によれば、魚が本体2に食い付いても、アーム部10が食いちぎられたり、損傷することが効果的に抑制される。
【0023】
前記アーム部10については、その色彩や外観については限定されることはないが、透明に構成されていることが好ましい。
このようにアーム部10を透明にすることで、対象魚からアーム部10が見難くなり、色彩を施した本体2のみが実際の小魚のように視認し易くなって対象魚が食い付き易くなる。
【0024】
本実施形態では、アーム部10は、2枚の板材で本体2を挟持して一体形成したが、アーム部10は本体2に対して着脱できるように構成しても良い。例えば、両者の接続部分に接続構造(係合ピンと係合ピンが圧入される凹所、両者を一体化する締結部材等)を設けておくことで、アーム部10を本体2に対して着脱可能に構成することが可能である。
このような構成によれば、釣り場の状況などに応じて、使用者の好みの本体2を使用することが可能となる。
【0025】
前記アーム部10に装着される錘11は、ラインアイ12に接続された釣糸によって、アーム部10の先端が持ち上がらないようにして、本体2を水平に泳がせる機能を発揮する。すなわち、アーム部に錘11が設けられていないと、本体2の挙動が安定せずにひっくり返ったり、暴れるようになるが、アーム部10の先端に錘11を配設しておくことで、本体2を安定して水平状態に泳がせることが可能となる。
【0026】
この場合、アーム部10は、錘11が本体2に対して上方側に位置するように本体2から延びていることが好ましい。
このように、本体2よりも前側にある錘11が、本体2の上方に位置することで、本体2の頭部が大きく沈むことを抑制でき、ルアーを水平に維持し易くすることができる。
【0027】
また、前記アーム部10は、前記本体2の先端が下向きに前傾姿勢になった状態で水平方向に延出するように前記本体2に取り付けられていることが好ましい。
【0028】
上記したルアー1は、ラインアイ12に釣糸が接続されて牽引されるが、実釣時では、ある程度、ルアーをキャスティングし、リーリング(リトリーブ)して手元側に引き寄せる操作が行なわれる。サワラなどを対象魚とする場合、水面から10m以内の水深範囲で小魚の形態を模した本体2を、実際のベイトフィッシュのように、大きくローリングすることなく水平状態で泳がせることが好ましい。前記本体2の先端が下向きに前傾姿勢になっていると、釣糸をリーリングした際、ルアーは、釣糸によって斜め上方に引き上げられるため、本体2の先端を下向きの前傾姿勢に設定しておくことで、リーリングした際、本体2を水平状態に維持し易くなる。
【0029】
前記本体2は、錘11よりも重くなるように構成することが好ましい。
本実施形態では、錘11を5g、本体2を30gに設定しており、これにより本体2は、先端側が大きく沈むことなく下方を向いた状態(前傾姿勢)となる。この状態で前記ラインアイ12に接続された釣糸で斜め上方に牽引すると、ルアー先端部分の浮き上がりを抑制しつつ、本体2を水平に泳がせ易くすることができる。
【0030】
前記本体2の後端の上側には、アーム部10の後端にブレードアイ7を設けておき、ここにスイベル(サルカン)20を介してブレード21を回転可能に取り付けることが好ましい。これは、対象魚が小魚を偏食している状況では、ルアーを牽引した際に本体が殆ど動かないと食い付きが悪くなる一方、テール部分に波動を生じさせると、この部分が尾ひれで泳ぐ小魚の動きを再現することができ、このようなパターンで実績が高いことが確認されているためである。すなわち、本体2の後端の上側にブレード21を配設すると、本体2の尾部で実際の小魚のような波動を出すことが可能となり、食い付きを向上することができる。
【0031】
また、ブレード21が回転することで、本体2の姿勢を安定化(ラインアイ12を中心とした回転を抑制する)させることができる。これにより、実際の小魚のように安定した状態で水平方向に泳がせ、尾部から小魚のような波動(尾ひれの小刻みな振動)を出して、対象魚の食い付きを向上することが可能となる。
【0032】
なお、ブレード21は、本体2の後端側に設けておけば良いが、上記したように、本体2の後端の上側に設けることで、前記フックアイ4に取り付けられるフック40との間で絡みが生じることを防止することが可能となる。
【0033】
上記したルアー1は、ラインアイ12に接続された釣糸をリーリングすると、本体2が小魚のような挙動で水中を泳がせることが可能となる。この場合、牽引時に水流が最初に当たるアーム部の先端形状を以下のように構成することで、本体2をより安定して泳がせることが可能となる。
【0034】
以下、アーム部10の先端構造について説明する。
前記アーム部10の先端には、
図5及び
図6に示すように、アーム部10の中心面に対して幅方向の両側で対称形状となるテーパ面30,30が形成されている。
なお、本実施形態では、上記したように、アーム部10が2枚の板材10A,10Bを接合することで構成されるため、両者の接合面が中心面となる(以下、中心面Xとする)。また、本実施形態では、アーム部10が2枚の板材10A,10Bで構成されており、その間に錘11が収容される構成となっているため、前記テーパ面30,30は、錘11の表面に形成され、その表面に板材10A,10Bがテーパ面30,30に沿うようにして被着された状態となっている。
【0035】
以下、テーパ面30,30の構成について説明する(両テーパ面は、同一形状であるため、片側のテーパ面で説明する)。
前記テーパ面30は、先端に移行するに従って次第に下降する表面形状を備えている。また、そのテーパ面30は、
図6(a)に示すように、幅方向に沿った断面視で、幅方向に膨らむと共に窪んだ状態で湾曲している。このように、テーパ面30は、幅方向において、窪んだ状態で湾曲しているため、この窪んだ状態で形成される凹面部分が水流を受けて、アーム部10の先端側が浮き上がることを抑制すると共に、ルアーを暴れ難くしている。
【0036】
また、前記テーパ面30は、
図5(a)に示すように、先端に移行するに従い先細形状(高さが次第に低くなる流線形状)に形成されている。このように、テーパ面30は、上記したように、幅方向に膨出して窪んだ状態で湾曲しており、かつ、先端に移行するにつれて先細状になる流線形となるため、
図5の矢印で示すように、テーパ面30に当たった水流A,Bは、大きな抵抗を受けることなく後方に流れ易くなる。すなわち、テーパ面30では、水流がスムーズに後方に流れつつ、その表面が下方向に抑え付けられることから、アーム部10の先端側の浮き上りを効果的に抑制して、ルアー(本体2)を安定して水平方向に泳がせることが可能となる。
【0037】
また、前記本体2は、板状に構成されていても良いが、
図6に示すように、幅方向に沿った断面視で、背部側を頂部にして略三角形状に形成することが好ましい。
前記本体2を板状に構成すると、ルアーを牽引した際、水流の抵抗によって左右方向に変動したり、ローリングし易くなるが、本実施形態のように、本体2を略三角形状に形成することで、両側で下方に次第に膨らむ膨出面2aに水流が当たって抑え付ける効果が高まり、安定して本体2を泳がせることが可能となる。
【0038】
次に、上記したルアー1の作用について
図7を参照して説明する。
上記した構成のルアー1をキャスティングして、水面P1から対象魚が食い付く水深付近(水面から10m程度)までフォールすると、
図7(a)で示すように、前記アーム部10の先端に装着された錘11によって、先端が持ち上がることなく沈下する。また、本体2は、錘11よりも重く、錘11は本体2に対して上方側に位置しているので、本体2の頭部が大きく沈むことが抑制される。
【0039】
この状態で前記ラインアイ12に接続された釣糸Sをリーリングしてルアー1を斜め上方に牽引すると、
図7(b)に示すように、本体2は、先端部分が大きく浮き上がることなく水平に泳がせ易くすることができる。すなわち、
図7(c)の右図に示すように、釣糸Sが斜め上方に牽引されることでアーム部10の先端が多少、浮き上がっても、上記したテーパ面30に当たる水流A,Bが先端の上昇を抑え付けて、錘11(先端部)を矢印D1方向に回動させるため、
図7(c)の左図に示すように、本体2は水平状態に維持し易くなる。
【0040】
また、この牽引状態では、また、本体2の後端の上側に設けられたブレード21が回転するため、本体2の姿勢が安定化し、実際の小魚のように安定した状態で水平方向に泳ぎ、かつ、尾部から小魚のような波動を出して、食い付きを向上することが可能となる。さらに、上記した錘11のテーパ面30及び本体2の膨出面2aによってルアー全体の挙動が安定し、実際の小魚のような動きにすることができる。
【0041】
更に、上記した構成によれば、アーム部10の先端に、テーパ面を有する錘11を配置すると共に、本体2の形状及びブレード21の配置により、リーリング操作時に本体2のバランスが保ち易くなるため、対象魚が食い付き易くなる。この場合、テーパ面30を、錘11に直接、形成することで、構造を簡略化することができる。なお、テーパ面30については、錘11の表面に形成するのではなく、例えば、アーム部10の先端部(板材10A、10Bの先端部)に形成し、ここに各種の形態の錘を収容する構成であっても良い。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
本発明は、金属製の本体2に、前方に向けて延び、先端に錘11とラインアイ12が設けられた硬質のアーム部10を備えた構成であれば、それ以外の構成については、適宜、変形することができる。例えば、前記アーム部10は、柱状に構成しても良く、本体2に対するアーム部10の取り付け方法は適宜、変形することが可能である。また、本体2の大きさ、断面形状、前後方向の長さや形状等、適宜、変形することが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 ルアー
2 ルアー本体(本体)
3,4 フックアイ
10 アーム部
11 錘
12 ラインアイ
21 ブレード
30 テーパ面
40 フック