(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012996
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】調光シート、および、調光シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
G02F1/13 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114878
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】辻 真樹
【テーマコード(参考)】
2H088
【Fターム(参考)】
2H088EA32
2H088HA01
2H088HA02
2H088JA06
2H088MA20
(57)【要約】
【課題】導電面とフレキシブルプリント基板とが防水された調光シートを、透明支持体に調光シートを貼り付ける前に得ることを可能とした調光シートおよび調光シートの製造方法を提供する。
【解決手段】調光シート10は、第1透明導電シートの第1部分、第2透明導電シートの第1部分、および、調光層を含む第1シート部分10Aと、第1透明導電シートの第2部分を含み、第1シート部分に繋がる第2シート部分10Bと、第2シート部分10Bの導電面10BCに接続されたフレキシブルプリント基板11と、第2シート部分10Bの導電面10BCとフレキシブルプリント基板11とを覆う第1防水テープ12と、第2シート部分10Bの導電面10BCとは反対側の面と、フレキシブルプリント基板11とを覆い、かつ、第1防水テープ12に貼り付けられた第2防水テープ13とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1透明導電シートと、第2透明導電シートと、前記第1透明導電シートと前記第2透明導電シートとの間に位置する調光層と、を備える調光シートであって、
前記第1透明導電シートの第1部分、前記第2透明導電シートの第1部分、および、前記調光層を含む第1シート部分と、
前記第1透明導電シートの第2部分を含み、前記第1シート部分に繋がる第2シート部分と、
前記第2シート部分の導電面に接続されたフレキシブルプリント基板と、
前記第2シート部分の前記導電面と前記フレキシブルプリント基板とを覆う第1防水テープと、
前記第2シート部分の前記導電面とは反対側の面と、前記フレキシブルプリント基板とを覆い、かつ、前記第1防水テープに貼り付けられた第2防水テープと、を備える
調光シート。
【請求項2】
直線状を有した端辺と、
前記端辺から突出した突出部と、を備え、
前記突出部は、前記第1シート部分の一部と、前記第2シート部分とを含み、
前記第1防水テープおよび前記第2防水テープは、前記突出部の基端を除くように前記突出部を覆っている
請求項1に記載の調光シート。
【請求項3】
前記端辺は、第1方向に沿って延び、
前記突出部は、前記第1方向に沿って延びる形状を有する
請求項2に記載の調光シート。
【請求項4】
前記第1シート部分と前記第2シート部分との境界において、前記第2透明導電シートの端面と前記調光層の端面とを覆う封止部をさらに備え、
前記第1防水テープは、前記封止部を覆っている
請求項1から3のいずれか一項に記載の調光シート。
【請求項5】
第1透明導電シートと、第2透明導電シートと、前記第1透明導電シートと前記第2透明導電シートとの間に位置する調光層とを備える調光シートの製造方法であって、
前記第1透明導電シートの第1部分、前記第2透明導電シートの第1部分、および、前記調光層を含む第1シート部分と、前記第1透明導電シートの第2部分を含み、前記第1シート部分に繋がる第2シート部分とを形成すること、
前記第2シート部分の導電面にフレキシブルプリント基板を接続すること、
前記第2シート部分の前記導電面と、前記フレキシブルプリント基板とを第1防水テープによって覆うこと、および、
前記第2シート部分の前記導電面とは反対側の面と、前記フレキシブルプリント基板とを覆うように、前記第1防水テープに第2防水テープを貼り付けること、を含む
調光シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光シート、および、調光シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
調光シートは、第1透明導電シートと、第2透明導電シートと、第1透明導電シートと第2透明導電シートとの間に位置する調光層とを備えている。各透明導電シートは、透明電極層と、透明電極層を支持する透明基材とを備えている。調光層は、一対の透明電極層に挟まれている。調光層は、透明樹脂層と液晶組成物とを含んでいる。調光シートは、調光層に印加される電圧の大きさに応じて、2つ以上のヘイズ値を有することが可能に構成されている。調光シートは、透明支持体に貼り付けられ、これによって、調光シートと透明支持体との積層体が、2つ以上のヘイズ値を有することを可能にする。透明支持体は、例えば、建物が有する窓、建物内に位置するパーティション、および、車両が有する窓などである(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
図3は、調光シートと透明支持体とを備える調光体の一例を示している。
図3が示すように、調光体100は、調光シート101を備えている。調光シート101は、第1透明導電シート101Aと第2透明導電シート101Bとを備えている。第1透明導電シート101Aは、第2透明導電シート101Bを覆い、かつ、第2透明導電シート101Bの一部である電極部101B1が第1透明導電シート101Aから露出している。調光シート101は、調光シート101よりも大きい透明支持体102内に取り付けられている。
【0004】
電極部101B1には、調光シート101を駆動部に接続するためのフレキシブルプリント基板(FPC)103が接続されている。FPC103は、T字状を有している。FPC103の一部は、調光シート101からはみ出し、かつ、透明支持体102の一部を覆っている。FPC103のなかで、透明支持体102上に位置する部分は、接着層104によって透明支持体102に取り付けられている。
【0005】
調光体100は、防水テープ105を備えている。防水テープ105は、電極部101B1と、透明支持体102のなかで調光シート101外に位置する部分とに跨がるように、調光シート101の一部と透明支持体102の一部とに貼り付けられている。これにより、防水テープ105は、FPC103のうちで、電極部101B1に接続された部分と、接着層104によって透明支持体102に取り付けられた部分とを覆っている。
【0006】
図4は、
図3に示されるIV‐IV線に沿う断面構造を示している。
図4が示すように、調光シート101は、第1透明導電シート101Aと第2透明導電シート101Bとの間に位置する調光層101Cを備えている。調光層101Cは、透明樹脂層と液晶組成物とを含み、これによって、調光層101Cに印加される電圧の大きさに応じて、2つ以上のヘイズ値を有することが可能に構成されている。
【0007】
調光シート101は、透明接着層106によって透明支持体102に取り付けられている。FPC103は、異方性導電フィルム(ACF)107によって第2透明導電シート101Bに接続されている。防水テープ105は、第1透明導電シート101Aの一部、第2透明導電シート101Bの電極部101B1、および、FPC103を覆っている。さらに、防水テープ105は、接着層104とともにFPC103を挟んでいるから、FPC103と電極部101B1との接続部が防水される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、調光体100では、調光シート101と透明支持体102とに跨がるように防水テープ105を貼り付けていたことから、調光シート101を透明支持体102に貼り付けた後でないと、防水テープ105の貼付ができない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための調光シートは、第1透明導電シートと、第2透明導電シートと、前記第1透明導電シートと前記第2透明導電シートとの間に位置する調光層と、を備える。調光シートは、前記第1透明導電シートの第1部分、前記第2透明導電シートの第1部分、および、前記調光層を含む第1シート部分と、前記第1透明導電シートの第2部分を含み、前記第1シート部分に繋がる第2シート部分と、前記第2シート部分の導電面に接続されたフレキシブルプリント基板と、前記第2シート部分の前記導電面と前記フレキシブルプリント基板とを覆う第1防水テープと、前記第2シート部分の前記導電面とは反対側の面と、前記フレキシブルプリント基板とを覆い、かつ、前記第1防水テープに貼り付けられた第2防水テープと、を備える。
【0011】
上記課題を解決するための調光シートの製造方法は、第1透明導電シートと、第2透明導電シートと、前記第1透明導電シートと前記第2透明導電シートとの間に位置する調光層とを備える調光シートの製造方法である。製造方法は、前記第1透明導電シートの第1部分、前記第2透明導電シートの第1部分、および、前記調光層を含む第1シート部分と、前記第1透明導電シートの第2部分を含み、前記第1シート部分に繋がる第2シート部分とを形成すること、前記第2シート部分の導電面にフレキシブルプリント基板を接続すること、前記第2シート部分の前記導電面と、前記フレキシブルプリント基板とを第1防水テープによって覆うこと、および、前記第2シート部分の前記導電面とは反対側の面と、前記フレキシブルプリント基板とを覆うように、前記第1防水テープに第2防水テープを貼り付けること、を含む。
【0012】
上記調光シートおよび調光シートの製造方法によれば、調光シートにおいて外部に露出した第2シート部分と第2シート部分に接続されたフレキシブルプリント基板とを2枚の防水テープによって覆う。そのため、導電面とフレキシブルプリント基板とが防水された調光シートを、透明支持体に調光シートを貼り付ける前に得ることができる。
【0013】
上記調光シートは、直線状を有した端辺と、前記端辺から突出した突出部と、を備え、前記突出部は、前記第1シート部分の一部と、前記第2シート部分とを含み、前記第1防水テープおよび前記第2防水テープは、前記突出部の基端を除くように前記突出部を覆っていてもよい。
【0014】
上記調光シートによれば、第1防水テープおよび第2防水テープが、突出部において基端を除く部分を覆うから、調光シートの取付対象に取り付けられる部分である端辺よりも内側の部分において段差が生じることが抑えられる。
【0015】
上記調光シートにおいて、前記端辺は、第1方向に沿って延び、前記突出部は、前記第1方向に沿って延びる形状を有してもよい。この調光シートによれば、突出部が第1方向に沿って延びる形状を有するから、突出部が第1方向に交差する方向に沿って延びる場合に比べて、突出部が折り曲げられにくい。
【0016】
上記調光シートは、前記第1シート部分と前記第2シート部分との境界において、前記第2透明導電シートの端面と前記調光層の端面とを覆う封止部をさらに備え、前記第1防水テープは、前記封止部を覆っていてもよい。
【0017】
上記調光シートによれば、調光層の端面が、封止部によって覆われた上でさらに第1防水テープによって覆われているから、調光層の外部から調光層の内部に水分が達することがさらに抑えられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、導電面とフレキシブルプリント基板とが防水された調光シートを、透明支持体に調光シートを貼り付ける前に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、一実施形態の調光シートの平面図である。
【
図2】
図2は、
図1が示すII‐II線に沿う構造を示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図3が示すIV‐IV線に沿う構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1および
図2を参照して、調光シートおよび調光シートの製造方法の一実施形態を説明する。なお、本開示の調光シートの型式は、ノーマル型でもよいし、リバース型でもよい。
【0021】
[調光シート]
図1が示す調光シート10は、第1透明導電シート10T1(
図2参照)と、第2透明導電シート10T2(
図2参照)と、調光層10D(
図2参照)とを備えている。調光層10Dは、第1透明導電シート10T1と第2透明導電シート10T2との間に位置している。
【0022】
調光シート10は、第1シート部分10Aと第2シート部分10Bとを備えている。第1シート部分10Aは、第1透明導電シート10T1の第1部分、第2透明導電シート10T2の第1部分、および、調光層10Dを含んでいる。第2シート部分10Bは、第1透明導電シート10T1の第2部分を含み、かつ、第1シート部分10Aに繋がっている。第1透明導電シート10T1の第2部分は、第1透明導電シート10T1の第1部分とは異なる部分である。なお、第2透明導電シート10T2は、第1透明導電シート10T1から露出した部分を含んでいる。第2透明導電シート10T2において、第1透明導電シート10T1から露出した部分を除く部分が、第2透明導電シート10T2の第1部分である。
【0023】
調光シート10は、フレキシブルプリント基板(FPC)11、第1防水テープ12、および、第2防水テープ13を備えている。FPC11は、第2シート部分10Bの導電面10BCに接続されている。第1防水テープ12は、第2シート部分10Bの導電面10BCとフレキシブルプリント基板11とを覆っている。第2防水テープ13は、第2シート部分10Bの導電面10BCとは反対側の面と、フレキシブルプリント基板11とを覆い、かつ、第1防水テープ12に貼り付けられている。
【0024】
このように、本開示の調光シート10によれば、調光シート10において外部に露出した導電面10BCと導電面10BCに接続されたFPC11とを2枚の防水テープ12,13によって覆う。そのため、導電面10BCとFPC11とが防水された調光シート10を、透明支持体に調光シート10を貼り付ける前に得ることができる。すなわち、調光シート10によれば、調光シート10の施工時に導電面10BCおよびFPC11の防水を行うのではなく、調光シート10の出荷前に導電面10BCおよびFPC11の防水を行うことが可能である。そのため、導電面10BCおよびFPC11を防水するための加工方法にばらつきが生じることが抑えられるから、防水に関わる品質にばらつきが生じることを抑えることができ、また、防水に関わる品質を管理することが容易である。
【0025】
調光シート10は、直線状を有した端辺10Eと、端辺10Eから突出した突出部10Cとを備えている。調光シート10の外縁のうち、突出部10Cを除く部分は例えば四角形状を有し、端辺10Eは当該四角形の一部である。突出部10Cは、第1シート部分10Aの一部と、第2シート部分10Bとを含んでいる。第1シート部分10Aのなかで、端辺10Eから飛び出した部分が第1シート突出部10A1である。第2シート部分10Bは、第1シート突出部10A1に繋がっている。
【0026】
第1防水テープ12および第2防水テープ13は、突出部10Cの基端を除くように突出部10Cを覆っている。突出部10Cのうち、端辺10Eに繋がる部分が基端であり、基端とは反対側の端部が先端である。突出部10Cの基端は、第1シート突出部10A1に含まれる。調光シート10によれば、第1防水テープ12および第2防水テープ13が、突出部10Cにおいて基端を除く部分を覆うから、調光シート10の取付対象である透明支持体に取り付けられる部分である端辺10Eよりも内側の部分において段差が生じることが抑えられる。結果として、端辺10Eよりも内側の部分を透明支持体に取り付けた場合に、透明支持体と調光シート10との間に隙間が生じることが抑えられる。
【0027】
端辺10Eは、第1方向に沿って延びている。突出部10Cは、第1方向に沿って延びる形状を有している。このように、突出部10Cが第1方向に沿って延びる形状を有するから、突出部10Cが第1方向に交差する方向に沿って延びる場合に比べて、突出部10Cが折り曲げられにくい。
【0028】
調光シート10は、表面10Fと表面10Fとは反対側の裏面10Rとを備えている。
図1は、調光シート10の表面10Fと対向する視点から見た調光シート10の平面構造を示している。第2シート部分10Bのうち、導電面10BCは表面10Fに含まれる。第2シート部分10Bと第1シート突出部10A1との境界には段差が位置し、かつ、段差は表面10Fに含まれる。一方で、第2シート部分10Bのうち、導電面10BCとは反対側の面は、裏面10Rに含まれる。
【0029】
FPC11は、T字状を有している。FPC11は、導電面10BCに接続され、かつ、第1方向に直交する方向に沿って導電面10BCから突出している。FPC11は、表面と表面とは反対側の裏面とを備えている。FPC11は、裏面において導電面10BCに接続されている。
【0030】
図1が示す例において、突出部10Cは、第1方向に沿って延びる長方形状を有している。突出部10Cに含まれる第1シート突出部10A1および第2シート部分10Bも、第1方向に沿って延びる長方形状を有している。
【0031】
第1防水テープ12は、調光シート10の表面10Fと対向する視点から見て長方形状を有している。第1方向において、第1防水テープ12の長さは、突出部10Cの長さよりも長い。第1方向と直交する方向において、第1防水テープ12の幅は、突出部10Cの幅よりも長い。第1防水テープ12は、第1シート突出部10A1と第2シート部分10Bとの境界を覆うように、第1シート突出部10A1のうち、表面10Fに含まれる部分の一部と、導電面10BCの全体と、FPC11の表面における一部とを覆っている。第1防水テープ12は、第1方向の両端において突出部10Cからはみ出している。第1防水テープ12は、第1方向と直交する方向において、突出部10Cの先端からはみ出している。
【0032】
第2防水テープ13は、調光シート10の表面10Fと対向する視点から見て長方形状を有している。第2防水テープ13は、第1防水テープ12と同一の形状および同一の大きさを有している。第2防水テープ13は、第1シート突出部10A1のうち、裏面10Rに含まれる部分の一部と、第2シート部分10Bの導電面10BCとは反対側の面の全体と、FPC11の裏面における一部とを覆っている。第2防水テープ13は、第1方向の両端において突出部10Cからはみ出している。第2防水テープ13は、第1方向と直交する方向において、突出部10Cの先端からはみ出している。調光シート10の表面10Fと対向する視点から見て、第2防水テープ13の全体が、第1防水テープ12の全体に重なっている。
【0033】
これにより、突出部10Cの端面が第1防水テープ12と第2防水テープ13との間に挟まれるから、防水テープ12,13による防水の効果がさらに高まる。なお、突出部10Cの端面とは、調光シート10において、表面10Fと裏面10Rとを繋ぐ面の一部である。
【0034】
図2は、
図1が示すII‐II線に沿う調光シート10の断面構造を示している。
図2が示すように、調光シート10は、第1透明導電シート10T1、第2透明導電シート10T2、および、調光層10Dを備えている。調光層10Dは、第1透明導電シート10T1と第2透明導電シート10T2との間に位置している。
【0035】
調光シート10は、第1シート部分10Aと第2シート部分10Bとの境界において、第2透明導電シート10T2の端面と調光層10Dの端面とを覆う封止部14をさらに備えている。第1防水テープ12は、封止部14を覆っている。第2透明導電シート10T2の端面は、第2透明導電シート10T2の表面と裏面とを繋ぐ面である。調光層10Dの端面は、調光層10Dの表面と裏面とを繋ぐ面である。このように、調光層10Dの端面が、封止部14によって覆われた上でさらに第1防水テープ12によって覆われているから、調光層10Dの外部から調光層10Dの内部に水分が達することがさらに抑えられる。
【0036】
調光シート10は、異方性導電フィルム(ACF)15をさらに備えている。FPC11は、ACF15によって第2シート部分10Bの導電面10BCに接続されている。
調光シート10によれば、調光シート10の厚さ方向において、第1シート部分10Aと第2シート部分10Bとの境界、導電面10BC、導電面10BCとFPC11との接続部が、第1防水テープ12と第2防水テープ13とによって挟まれている。そのため、これらの導電部に調光シート10の外部から水分が達することが、第1防水テープ12および第2防水テープ13によって抑えられる。
【0037】
[調光シートの製造方法]
本開示の調光シート10の製造方法は、第1透明導電シート10T1の第1部分、第2透明導電シート10T2の第1部分、および、調光層10Dを含む第1シート部分10Aと、第1透明導電シート10T1の第2部分を含み、第1シート部分10Aに繋がる第2シート部分10Bとを形成することを含む。また、当該製造方法は、第2シート部分10Bの導電面10BCにFPC11を接続することを含む。また、当該製造方法は、第2シート部分10Bの導電面10BCと、FPC11とを第1防水テープ12によって覆うこと、および、第2シート部分10Bの導電面10BCとは反対側の面と、FPC11とを覆うように、第1防水テープ12に第2防水テープ13を貼り付けること、を含む。
【0038】
調光シート10を製造する際には、まず、第1透明導電シート10T1と第2透明導電シート10T2とを準備する。各透明導電シート10T1,10T2は、調光シート10の型式がノーマル型である場合には、透明電極層と、透明電極層を支持する基材シートとを備えている。透明電極層を形成するための材料は、例えば、酸化インジウムスズ、フッ素ドープ酸化スズ、酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ、ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)から構成される群から選択されるいずれか1つであってよい。基材シートを形成するための材料は、合成樹脂、または、無機化合物であってよい。合成樹脂は、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などであってよい。ポリエステル系樹脂は、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどであってよい。ポリアクリレート系樹脂は、例えばポリメチルメタクリレートなどであってよい。無機化合物は、例えば、二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素などであってよい。
【0039】
なお、調光シート10の型式がリバース型である場合には、各透明導電シート10T1,10T2は、透明電極層に対して基材シートとは反対側に位置する垂直配向層をさらに備えている。配向層を形成するための材料は、有機化合物、無機化合物、および、これらの混合物である。有機化合物は、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、および、シアン化化合物などである。無機化合物は、シリコン酸化物、酸化ジルコニウムなどである。なお、配向層を形成するための材料は、シリコーンであってもよい。シリコーンは、無機性の部分と有機性の部分とを有する化合物である。
【0040】
次いで、調光層10Dを形成するための塗液を準備する。塗液は、例えば光重合性組成物、重合開始剤、および、液晶化合物を含む。塗液は、二色性色素を含んでもよいし、各種の添加物を含んでもよい。第1透明導電シート10T1と第2透明導電シート10T2との間に塗液を挟んだ状態で塗液に光を照射することによって、塗液中において光重合性組成物を重合させる。これにより、空隙を有した透明高分子層と、空隙内に位置する液晶組成物とを含む調光層を形成する。これにより、一対の透明導電シート10T1,10T2と調光層10Dとを含む積層体を得る。
【0041】
そして、積層体の外周部を切断することによって、端辺10Eと端辺10Eから突出した突出部10Cを形成する。また、突出部10Cの先端において、第2透明導電シート10T2の一部と調光層10Dの一部とを取り除くことによって、第1シート部分10Aと、導電面10BCを有した第2シート部分10Bとを形成する。
【0042】
次いで、ACF15を導電面10BCに貼り付けた後に、ACF15にFPC11を貼り付け、これによって、導電面10BCにFPC11を接続する。続いて、積層体の厚さ方向において、積層体を挟むように第1防水テープ12と第2防水テープ13とを貼り付ける。これにより、調光シート10を得ることができる。
【0043】
各防水テープ12,13は、例えば、基材層と粘着層とを有する。基材層は、例えばアクリルフォームから形成されてよい。粘着層は、例えばアクリル系粘着剤から形成されてよい。
【0044】
以上説明したように、調光シートの一実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)導電面10BCとFPC11とを2枚の防水テープ12,13によって覆うから、導電面10BCとFPC11とが防水された調光シート10を、透明支持体に調光シート10を貼り付けるまえに得ることができる。
【0045】
(2)第1防水テープ12および第2防水テープ13が、突出部10Cにおいて基端を除く部分を覆うから、調光シート10の取付対象に取り付けられる部分である端辺10Eよりも内側の部分において段差が生じることが抑えられる。
【0046】
(3)突出部10Cが第1方向に沿って延びる形状を有するから、突出部10Cが第1方向に交差する方向に沿って延びる場合に比べて、突出部10Cが折り曲げられにくい。
(4)調光層10Dの端面が、封止部14によって覆われた上でさらに第1防水テープ12によって覆われているから、調光層10Dの外部から調光層10Dの内部に水分が達することがさらに抑えられる。
【0047】
なお、上述した実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[突出部]
・突出部10Cは、端辺10Eが延びる第1方向に対して交差する方向に延びる形状を有してもよい。この場合であっても、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0048】
・調光シート10は、突出部10Cを有しなくてもよい。この場合であっても、調光シート10が、第1シート部分10Aに繋がる第2シート部分10Bを備え、かつ、第2シート部分10Bの導電面10BCとFPC11とが防水テープ12,13によって覆われることで、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。ただし、取付対象である透明支持体に貼り付けた場合に、透明支持体と調光シート10との間において隙間が生じることを抑える上では、調光シート10は突出部10Cを備えることが好ましい。
【0049】
[封止部]
・調光シート10は、封止部14を有しなくてもよい。この場合であっても、調光層10Dの外部から調光層10Dの内部に水分が達することを第1防水テープ12と第2防水テープ13とによって抑えることは可能である。
【符号の説明】
【0050】
10…調光シート
10A…第1シート部分
10B…第2シート部分
10BC…導電面
10C…突出部
10D…調光層
10T1…第1透明導電シート
10T2…第2透明導電シート
11…フレキシブルプリント基板
12…第1防水テープ
13…第2防水テープ
14…封止部