(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129965
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】干渉エリア解析システム、および、干渉エリア解析装置
(51)【国際特許分類】
H04W 16/14 20090101AFI20240920BHJP
H04W 60/00 20090101ALI20240920BHJP
H04W 24/08 20090101ALI20240920BHJP
【FI】
H04W16/14
H04W60/00
H04W24/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039401
(22)【出願日】2023-03-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和5年(2023年)3月7日に、一般社団法人 電子情報通信学会 総合大会 B-20-20にて公表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和5年(2023年)2月28日に、一般社団法人 電子情報通信学会 総合大会 B-20-20にて公表
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「空間伝送型ワイヤレス電力伝送の干渉抑制・高度化技術に関する研究開発、技術課題イ 空間環境に応じた多数デバイス給電制御技術」に関する委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】393031586
【氏名又は名称】株式会社国際電気通信基礎技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(72)【発明者】
【氏名】桐山 水響
(72)【発明者】
【氏名】宮本 進生
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 晃朗
(72)【発明者】
【氏名】横山 浩之
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067DD20
5K067EE02
5K067EE10
5K067LL11
(57)【要約】
【課題】送信出力や利用目的が大きく異なる異種の無線システムを共存するために干渉領域を適切に把握する干渉エリア解析システムを実現する。
【解決手段】干渉エリア解析システム1000では、WPT用電波および無線通信用電波を検知できる複数のWPT受信装置をそれぞれ所定の位置に設置し、WPT受信装置が検知した無線通信用電波から取得される情報(無線通信キャリア情報)とWPT受信装置の情報とを含むデータ(収集データ)を、WPT送信装置WPT_Txが収集し、収集したデータを解析することで、干渉エリアを適切に検出(把握)することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の送信出力範囲の電波を用いる第1無線システムと、その上限値が前記第1の送信出力範囲の上限値よりも低い値である第2の送信出力範囲の電波を用いる第2無線システムとが併存することで生じる干渉エリアを検出するための干渉エリア解析システムであって、
それぞれ、自装置の位置情報を取得することができ、前記第1無線システム用電波および前記第2無線システム用電波を受信可能な複数の受信機と、
前記受信機が前記第1無線システム用電波および/または前記第2無線システム用電波を受信することで取得されるデータである受信電波関連データと、前記受信機を特定する機器識別子と、前記受信機の位置情報とを収集することで収集データを取得し、取得した前記収集データを解析することで、前記第1無線システム用電波と前記第2無線システム用電波とが干渉する領域である干渉エリアを検出する干渉エリア解析装置と、
を備える干渉エリア解析システム。
【請求項2】
前記受信機は、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム用送信装置、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム用受電装置、無線通信用通信機器、および、センサ装置のいずれかである、
請求項1に記載の干渉エリア解析システム。
【請求項3】
前記受信機は、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム用送信装置、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム用受電装置、および、無線通信用通信機器の少なくとも1つに配線を介して接続された1または複数のアンテナ装置である、
請求項1に記載の干渉エリア解析システム。
【請求項4】
前記第1無線システムは、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムであり、
前記第2無線システムは、無線通信システムである、
請求項1から3のいずれかに記載の干渉エリア解析システム。
【請求項5】
前記受信電波関連データは、前記無線通信システムの無線通信キャリア情報を含むデータであり、
前記無線通信キャリア情報は、(1)前記第2無線システム用電波の受信強度の情報、(2)前記第2無線システム用電波の無線通信方式の情報、(3)前記第2無線システム用電波が使用しているチャネルの情報、および、(4)前記第2無線システム用電波を受信した時間に関する情報である占有時間情報の少なくとも1つを含んでいる、
請求項4に記載の干渉エリア解析システム。
【請求項6】
前記受信電波関連データは、前記空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの干渉情報を含むデータであり、
前記空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの干渉情報は、(1)前記第1無線システム用電波の受信強度の情報、(2)前記第1無線システム用電波が使用しているチャネルの情報、および、(3)前記第1無線システム用電波を受信した時間に関する情報である占有時間情報の少なくとも1つを含んでいる、
請求項4に記載の干渉エリア解析システム。
【請求項7】
前記干渉エリア解析装置は、
(1)前記空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム用送信装置からの前記第1無線システム用電波が到達可能な領域であって、当該領域に存在する無線通信機からの前記第2無線システム用電波を前記空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム用送信装置が受信可能な領域である第1エリアについての情報である第1エリア情報と、
(2)前記空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム用送信装置からの前記第1無線システム用電波が到達可能な領域であって、当該領域に存在する無線通信機からの前記第2無線システム用電波を前記空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム用送信装置が受信できない領域である第2エリアについての情報である第2エリア情報と、
を取得し、取得した前記第1エリア情報および前記第2エリア情報に基づいて、前記第1無線システム用電波と前記第2無線システム用電波とが干渉する領域である干渉エリアを検出する、
請求項4に記載の干渉エリア解析システム。
【請求項8】
請求項1から3のいずれかに記載の干渉エリア解析システムに用いられる前記干渉エリア解析装置。
【請求項9】
第1の送信出力範囲の電波を用いる第1無線システムと、その上限値が前記第1の送信出力範囲の上限値よりも低い値である第2の送信出力範囲の電波を用いる第2無線システムとが併存することで生じる干渉エリアを検出するための干渉エリア解析システムであって、
それぞれ、自装置の位置情報を取得することができ、前記第1無線システム用電波を受信可能な複数の受信機と、
前記受信機が前記第1無線システム用電波を受信することで取得されるデータである受信電波関連データと、前記受信機を特定する機器識別子と、前記受信機の位置情報とを収集することで収集データを取得し、取得した前記収集データを解析することで、前記第1無線システム用電波と前記第2無線システム用電波とが干渉する領域である干渉エリアを検出する干渉エリア解析装置と、
を備える干渉エリア解析システム。
【請求項10】
前記受信機は、無線通信用通信機器、または、センサ装置である、
請求項9に記載の干渉エリア解析システム。
【請求項11】
前記受信機は、無線通信用通信機器に配線を介して接続された1または複数のアンテナ装置である、
請求項9に記載の干渉エリア解析システム。
【請求項12】
前記第1無線システムは、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムであり、
前記第2無線システムは、無線通信システムである、
請求項9から11のいずれかに記載の干渉エリア解析システム。
【請求項13】
請求項9から11のいずれかに記載の干渉エリア解析システムに用いられる前記干渉エリア解析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異種の無線システムが共存する領域において、電波環境の状況把握を可能とするための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電波を使用した空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT(Wireless Power Transmission/Transfer))は、電池や電力配線なしに無線で小電力を伝送するものであり、デバイスの設置場所や可動範囲の自由度を大きく改善する技術として期待されている。さらに5G(第5世代移動通信システム)などで利用されているビームフォーミング技術などにより同時多数送電も可能となることからWPTの利用ニーズは高く,無線通信でも利用される920MHz帯、2.4GHz帯および5.7GHz帯の3バンドにてWPTの制度化が進んでいる。
【0003】
WPTの運用範囲内において、同じ周波数帯域を使用する無線LANなどの無線通信と協調して動作するには、周波数の利用を調停して干渉を回避するための枠組みやプロトコルが必要である。そのため、例えば、周波数の利用状況や干渉の状況を把握するために、干渉解析を行い、電磁パルスの放射源位置を特定して表示する技術が開発されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような従来技術を用いて干渉解析を行い、WPTと既存の無線通信システムとを共存させることが考えられる。しかしながら、WPTの運用範囲内において、同じ周波数帯域を使用する無線LANなどの無線通信と協調して動作するには、周波数の利用を調停して干渉を回避するための枠組みやプロトコルが必要である。無線通信においては、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)等のキャリアを検知して信号の送受タイミングを制御する仕組みが標準化されているが、これをそのままWPTに応用するのは現実的ではない。その理由は、給電のために送信される無線の電力が通信(無線通信)に比べて圧倒的に大きいことにある。そして、WPTにとっては、給電を目的とした電波によって通信を目的とする電波が阻害される範囲内に通信デバイスが存在することを検知することは難しい。これに起因して様々な問題が発生する。これについて、
図38を用いて説明する。
【0006】
図38は、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と、無線通信システムとが共存する状況を模式的に示した図である。
図38において、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムのWPT送信装置WPT_Txと、無線通信システムの無線通信機WLAN_Dev
(1)~WLAN_Dev
(4)とを模式的に示している。
(1)
図38において、一点鎖線の曲線crv1で囲まれた領域AR1は、WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波が届き、かつ、WPT送信装置WPT_Txが無線通信システムの電波を検知できる範囲(キャリアセンスにより、無線通信システムの電波(キャリア)を検知できる範囲)である。
(2)
図38において、実線の曲線crv2で囲まれ、かつ、一点鎖線の曲線crv1で囲まれた領域AR1の外側の領域AR2は、WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波が届くが、WPT送信装置WPT_Txが無線通信システムの電波を検知できない範囲(キャリアセンスにより、無線通信システムの電波(キャリア)を検知できない範囲)である。
(3)
図38において、実線の曲線crv2の外側の領域AR3は、WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波は届かず、かつ、WPT送信装置WPT_Txが無線通信システムの電波を検知できない範囲(キャリアセンスにより、無線通信システムの電波(キャリア)を検知できない範囲)である。
【0007】
例えば、
図38に示すように、無線機器WLAN_Dev
(1)および無線機器WLAN_Dev
(2)が領域AR2に存在し、無線機器WLAN_Dev
(3)および無線機器WLAN_Dev
(4)が領域AR3に存在しているものとする。
【0008】
図38の場合において、例えば、無線機器WLAN_Dev
(1)が、無線機器WLAN_Dev
(3)に対して、無線通信により、データ送信しようとした場合、領域AR2内の無線機器WLAN_Dev
(1)は、WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波を受信してしまい、無線通信用のキャリアセンスにて、キャリア検知(「キャリアあり」と判定)してしまい、無線機器WLAN_Dev
(1)が送信権を取得できない状態であると誤判断してしまう。この場合、本来であれば、無線機器WLAN_Dev
(1)は、無線機器WLAN_Dev
(3)へ無線通信によりデータ送信できる(すなわち、(1)データ送信してもWLAN_Dev
(3)はWPT送信装置WPT_Txが放射する電波の干渉を受けず、受信することができる、または(2)データ送信してもWPT送信装置WPT_TxやWPT受電装置に干渉による影響を与えない)にも関わらず、WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波により、送信機会を逸失してしまう。
【0009】
また、
図38の場合において、例えば、無線機器WLAN_Dev
(4)が、無線機器WLAN_Dev
(2)に対して、無線通信により、データ送信しようとした場合、領域AR2内の無線機器WLAN_Dev
(2)は、WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波の干渉の影響を受けてしまい、無線機器WLAN_Dev
(4)からの無線通信用の電波を精度良く受信することができない(WPT用電波の干渉のため、通信品質(受信品質)が低下する)。
【0010】
空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と既存の無線通信システムとを共存させた場合、上記のような問題が発生する。
【0011】
このように、送信出力や利用目的が大きく異なる異種の無線システムを共存するためには様々な課題があり、送信出力や利用目的が大きく異なる異種の無線システムを共存するために干渉領域を適切に把握する技術の実現が求められている。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑み、送信出力や利用目的が大きく異なる異種の無線システムを共存するために干渉領域を適切に把握する技術(例えば、干渉エリア解析システム、および、干渉エリア解析装置)を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、第1の発明は、第1の送信出力範囲の電波を用いる第1無線システムと、その上限値が第1の送信出力範囲の上限値よりも低い値である第2の送信出力範囲の電波を用いる第2無線システムとが併存することで生じる干渉エリアを検出するための干渉エリア解析システムであって、複数の受信機と、干渉エリア解析装置と、を備える。
【0014】
複数の受信機は、それぞれ、自装置の位置情報を取得することができ、第1無線システム用電波および第2無線システム用電波を受信可能である。
【0015】
干渉エリア解析装置は、受信機が第1無線システム用電波および/または第2無線システム用電波を受信することで取得されるデータである受信電波関連データと、受信機を特定する機器識別子と、受信機の位置情報とを収集することで収集データを取得し、取得した収集データを解析することで、第1無線システム用電波と第2無線システム用電波とが干渉する領域である干渉エリアを検出する。
【0016】
この干渉エリア解析システムでは、第1無線システム用電波および第2無線システム用電波を検知できる複数の受信機であって、自装置の位置を取得できる複数の受信機を設置し、当該複数の受信機により取得された受信電波関連データと、機器識別子と、受信機の位置情報とを収集することで収集データを取得し、取得した収集データを解析することで、第1無線システム用電波と第2無線システム用電波とが干渉する領域である干渉エリアを検出(把握)することができる。すなわち、干渉エリア解析システムでは、上記のように処理することで、送信出力や利用目的が大きく異なる異種の無線システムを共存するために干渉領域を適切に把握することができる。
【0017】
なお、「干渉エリアを検出する」とは、干渉エリアを推定することを含む概念であり、複数の受信機が取得したデータに基づいて、当該受信機の位置の干渉状態を推定し、干渉エリアを特定(推定)することを含む概念である。
【0018】
また「第1の送信出力範囲」および「第2の送信出力範囲」は、例えば、電波の空中線電力(送信出力)や実効輻射電力により規定される範囲である。
【0019】
第2の発明は、第1の発明であって、受信機は、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム用送信装置、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム用受電装置、無線通信用通信機器、および、センサ装置のいずれかである、
第3の発明は、第1の発明であって、受信機は、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム用送信装置、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム用受電装置、および、無線通信用通信機器の少なくとも1つに配線を介して接続された1または複数のアンテナ装置である、
これにより、この干渉エリア解析システムでは、上記装置から張り出したアンテナ装置を用いて、データ取得できるので、さらに、広い範囲において柔軟にデータ取得(収集データ生成のためのデータの取得)を行うことができる。
【0020】
第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明であって、第1無線システムは、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムであり、第2無線システムは、無線通信システムである。
【0021】
これにより、この干渉エリア解析システムでは、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムおよび無線通信システム(例えば、無線LAN)が併存する状況において、適切に、干渉エリア解析(干渉エリア検出)を行うことができる。
【0022】
第5の発明は、第4の発明であって、受信電波関連データは、無線通信システムの無線通信キャリア情報を含むデータである。
【0023】
そして、無線通信キャリア情報は、(1)第2無線システム用電波の受信強度の情報、(2)第2無線システム用電波の無線通信方式の情報、(3)第2無線システム用電波が使用しているチャネルの情報、および、(4)第2無線システム用電波を受信した時間に関する情報である占有時間情報の少なくとも1つを含んでいる、
これにより、この干渉エリア解析システムでは、上記無線通信キャリア情報を含む収集データを解析することで、適切に干渉エリアの解析(検出)を行うことができる。
【0024】
第6の発明は、第4の発明であって、受信電波関連データは、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの干渉情報を含むデータである。
【0025】
そして、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの干渉情報は、(1)第1無線システム用電波の受信強度の情報、(2)第1無線システム用電波が使用しているチャネルの情報、および、(3)第1無線システム用電波を受信した時間に関する情報である占有時間情報の少なくとも1つを含んでいる、
これにより、この干渉エリア解析システムでは、上記空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの干渉情報を含む収集データを解析することで、適切に干渉エリアの解析(検出)を行うことができる。
【0026】
第7の発明は、第4の発明であって、干渉エリア解析装置は、
(1)空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム用送信装置からの第1無線システム用電波が到達可能な領域であって、当該領域に存在する無線通信機からの第2無線システム用電波を空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム用送信装置が受信可能な領域である第1エリアについての情報である第1エリア情報と、
(2)空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム用送信装置からの第1無線システム用電波が到達可能な領域であって、当該領域に存在する無線通信機からの第2無線システム用電波を空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム用送信装置が受信できない領域である第2エリアについての情報である第2エリア情報と、
を取得し、取得した第1エリア情報および第2エリア情報に基づいて、第1無線システム用電波と第2無線システム用電波とが干渉する領域である干渉エリアを検出する、
これにより、この干渉エリア解析システムでは、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム用送信装置が、例えば、キャリアセンスにより、無線通信システム用電波を検知できない範囲(エリア)を適切に検出(推定)することができる。
【0027】
第8の発明は、第1の発明から第3のいずれかの発明である干渉エリア解析システムに用いられる干渉エリア解析装置である。
【0028】
これにより、第1の発明から第3のいずれかの発明と同様の効果を奏する干渉エリア解析装置を実現することができる。
【0029】
第9の発明は、第1の送信出力範囲の電波を用いる第1無線システムと、その上限値が第1の送信出力範囲の上限値よりも低い値である第2の送信出力範囲の電波を用いる第2無線システムとが併存することで生じる干渉エリアを検出するための干渉エリア解析システムであって、複数の受信機と、干渉エリア解析装置と、を備える。
【0030】
複数の受信機は、それぞれ、自装置の位置情報を取得することができ、第1無線システム用電波を受信可能である。
【0031】
干渉エリア解析装置は、受信機が第1無線システム用電波を受信することで取得されるデータである受信電波関連データと、受信機を特定する機器識別子と、受信機の位置情報とを収集することで収集データを取得し、取得した収集データを解析することで、第1無線システム用電波と第2無線システム用電波とが干渉する領域である干渉エリアを検出する。
【0032】
この干渉エリア解析システムでは、第1無線システム用電波を検知できる複数の受信機であって、自装置の位置を取得できる複数の受信機を設置し、当該複数の受信機により取得された受信電波関連データと、機器識別子と、受信機の位置情報とを収集することで収集データを取得し、取得した収集データを解析することで、第1無線システム用電波と第2無線システム用電波とが干渉する領域である干渉エリアを検出(把握)することができる。すなわち、干渉エリア解析システムでは、上記のように処理することで、送信出力や利用目的が大きく異なる異種の無線システムを共存するために干渉領域を適切に把握することができる。
【0033】
第10の発明は、第9の発明であって、受信機は、無線通信用通信機器、または、センサ装置である。
【0034】
第11の発明は、第9の発明であって、受信機は、無線通信用通信機器に配線を介して接続された1または複数のアンテナ装置である。
【0035】
これにより、この干渉エリア解析システムでは、無線通信用通信機器から張り出したアンテナ装置を用いて、データ取得できるので、さらに、広い範囲において柔軟にデータ取得(収集データ生成のためのデータの取得)を行うことができる。
【0036】
第12の発明は、第9から第11のいずれかの発明であって、第1無線システムは、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムであり、第2無線システムは、無線通信システムである。
【0037】
これにより、この干渉エリア解析システムでは、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムおよび無線通信システム(例えば、無線LAN)が併存する状況において、適切に、干渉エリア解析(干渉エリア検出)を行うことができる。
【0038】
第13の発明は、第9の発明から第11のいずれかの発明である干渉エリア解析システムに用いられる干渉エリア解析装置である。
【0039】
これにより、第9の発明から第11のいずれかの発明と同様の効果を奏する干渉エリア解析装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、送信出力や利用目的が大きく異なる異種の無線システムを共存するために干渉領域を適切に把握する技術(例えば、干渉エリア解析システム、および、干渉エリア解析装置)を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】第1実施形態に係る干渉エリア解析システム1000の概略構成図であり、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と、無線通信システムとが共存する状況を模式的に示した図。
【
図2】第1実施形態に係る干渉エリア解析システム1000のWPT送信装置WPT_Tx(空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)の送信装置)の概略構成図。
【
図3】第1実施形態に係る干渉エリア解析システム1000のWPT受電装置WPT_Rx
(i)(i:整数、1≦i≦N(N:自然数、NはWPT受電装置の数))の概略構成図。
【
図4】第1実施形態に係る干渉エリア解析システム1000の概略構成図であり、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と、無線通信システムとが共存する状況を模式的に示した図(時刻t1の図)。
【
図5】第1実施形態に係る干渉エリア解析システム1000の概略構成図であり、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と、無線通信システムとが共存する状況を模式的に示した図(時刻t2の図)。
【
図6】第1実施形態に係る干渉エリア解析システム1000の概略構成図であり、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と、無線通信システムとが共存する状況を模式的に示した図(時刻t3の図)。
【
図7】第1実施形態に係る干渉エリア解析システム1000の概略構成図であり、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と、無線通信システムとが共存する状況を模式的に示した図(時刻t4の図)。
【
図8】第1実施形態に係る干渉エリア解析システム1000の概略構成図であり、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と、無線通信システムとが共存する状況を模式的に示した図(時刻t5の図)。
【
図9】時刻t6までに、WPT受電装置WPT_Rx
(1)~WPT_Rx
(12)から取得された収集データのうち、無線キャリア情報を含む収集データを示す図。
【
図10】時刻t6までに、WPT受電装置WPT_Rx
(1)~WPT_Rx
(12)から取得された収集データのうち、無線キャリア情報を含む収集データを示す図。
【
図11】領域AR1、領域AR2、領域AR3に含まれる機器をグラフ表示により示した図。
【
図13】第2実施形態に係る干渉エリア解析システム2000の概略構成図であり、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と、無線通信システムとが共存する状況を模式的に示した図。
【
図14】第2実施形態に係る干渉エリア解析システム1000のWPT送信装置WPT_TxA(空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)の送信装置)の概略構成図。
【
図15】無線キャリア情報を含む収集データを示す図。
【
図16】領域AR1、領域AR2、領域AR3に含まれる機器をグラフ表示により示した図。
【
図18】第3実施形態に係る干渉エリア解析システム3000の概略構成図であり、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と、無線通信システムとが共存する状況を模式的に示した図。
【
図19】第3実施形態に係る干渉エリア解析システム3000の無線通信機(ステーション)WLAN_STA
(i)(i:整数、1≦i≦N(N:自然数、Nは無線通信機(ステーション)の数))の概略構成図。
【
図20】第3実施形態に係る干渉エリア解析システム3000の干渉エリア解析装置Dev1の概略構成図。
【
図21】干渉エリア解析装置Dev1が上記処理を行うことで取得した収集データ(一例)を示す図。
【
図22】領域AR2∩AR4、領域AR3∩AR4∩AR2
cに含まれる機器をグラフ表示により示した図。
【
図24】第4実施形態に係る干渉エリア解析システム4000の概略構成図であり、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と、無線通信システムとが共存する状況を模式的に示した図。
【
図25】第4実施形態に係る干渉エリア解析システム4000のセンサ装置Sen
(i)(i:整数、1≦i≦N(N:自然数、Nはセンサ装置の数))の概略構成図。
【
図26】第4実施形態に係る干渉エリア解析システム4000の干渉エリア解析装置Dev1Aの概略構成図。
【
図27】干渉エリア解析装置Dev1Aが上記処理を行うことで取得した収集データ(一例)を示す図。
【
図28】領域AR2∩AR4、領域AR3∩AR4∩AR2
cに含まれる機器をグラフ表示により示した図。
【
図30】第5実施形態に係る干渉エリア解析システム5000の概略構成図であり、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と、無線通信システムとが共存する状況を模式的に示した図。
【
図31】第3実施形態に係る干渉エリア解析システム5000の無線通信機(ステーション)WLAN_STA
(i)(i:整数、1≦i≦N(N:自然数、Nは無線通信機(ステーション)の数))の概略構成図。
【
図32】第5実施形態に係る干渉エリア解析システム3000の無線通信機(アクセスポイント)WLANAPの概略構成図。
【
図33】干渉エリア解析装置Dev1が上記処理を行うことで取得した収集データ(一例)を示す図。
【
図34】干渉エリア解析装置Dev1が上記処理を行うことで取得した収集データ(一例)を示す図。
【
図35】領域AR2∩AR4、領域AR3∩AR4∩AR2
cに含まれる機器をグラフ表示により示した図。
【
図38】空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と、無線通信システムとが共存する状況を模式的に示した図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
[第1実施形態]
第1実施形態について、図面を参照しながら、以下、説明する。
【0043】
<1.1:干渉エリア解析システムの構成>
図1は、第1実施形態に係る干渉エリア解析システム1000の概略構成図であり、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と、無線通信システムとが共存する状況を模式的に示した図である。
【0044】
図2は、第1実施形態に係る干渉エリア解析システム1000のWPT送信装置WPT_Tx(空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)の送信装置)の概略構成図である。
【0045】
図3は、第1実施形態に係る干渉エリア解析システム1000のWPT受電装置WPT_Rx
(i)(i:整数、1≦i≦N(N:自然数、NはWPT受電装置の数))の概略構成図である。
【0046】
干渉エリア解析システム1000は、
図1に示すように、WPT送信装置WPT_Txと、N個(N:自然数)のWPT受電装置WPT_Rx
(1)~WPT_Rx
(N)(
図1では、N=9)と、無線通信機WLAN_Dev
(1)~WLAN_Dev
(2)と、を備える。
【0047】
WPT送信装置WPT_Txは、
図2に示すように、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)用のアンテナAnt1と、WPT処理部11と、制御部12と、干渉エリア検出部13と、第1通信インターフェースIF1と、バスBus1とを備える。WPT処理部11、制御部12、干渉エリア検出部13(収集データ処理部131、エリア情報取得部132および収集データ記憶部DB1)、および、第1通信インターフェースIF1は、それぞれ、バスBus1に接続されている。そして、WPT処理部11、制御部12、干渉エリア検出部13(収集データ処理部131、エリア情報取得部132および収集データ記憶部DB1)、および、第1通信インターフェースIF1は、バスBus1を介して、互いに、データ、コマンド等を送受信(入出力)可能である。なお、WPT処理部11、制御部12、干渉エリア検出部13(収集データ処理部131、エリア情報取得部132および収集データ記憶部DB1)、および、第1通信インターフェースIF1は、バス接続ではなく、直接接続されるものであってもよい。
【0048】
WPT用のアンテナAnt1は、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)用の電波を送受信するためのアンテナである。また、WPT用のアンテナAnt1は、無線通信システム用の電波も受信可能なアンテナである。
【0049】
WPT処理部11は、WPT用のアンテナAnt1を介して、WPT用の電波(送電用の電波やビーコン等)を外部へ放射させるための処理(制御)を行うとともに、WPT用のアンテナAnt1を介して、外部からWPT用の電波、無線通信システム用の電波を受信するための処理(制御)を行う機能部である。また、WPT処理部11は、受信した電波に対して復調処理を行い、外部の機器(WPT受電装置や無線通信機)から送信されたデータを取得する。そして、WPT処理部11は、取得したデータを、バスBus1を介して、干渉エリア検出部13に出力する。
【0050】
制御部12は、WPT送信装置WPT_Txの各機能部を制御するための制御部であり、例えば、CPU(および/または、ROM、RAM)を用いて実現される。
【0051】
干渉エリア検出部13は、
図2に示すように、収集データ処理部131と、エリア情報取得部132と、収集データ記憶部DB1とを備える。
【0052】
収集データ処理部131は、WPT処理部11が外部の機器(WPT受電装置や無線通信機)から受信したデータのうち、干渉エリアを検出するためのデータを収集データとして取得する。収集データは、例えば、以下のデータ(情報)を含むものとする。
(1)機器ID(機器を特定するための情報)
(2)機器種類
(3)位置情報(機器の存在する位置に関する情報)
(4)無線通信キャリア情報
なお、無線通信キャリア情報は、以下のデータ(情報)を含むものとする。
(4A)受信強度
(4B)無線方式
(4C)チャネル
(4D)占有時間(例えば、期間を特定する時刻や統計値)
そして、収集データ処理部131は、上記により取得した収集データを、バスBus1を介して、収集データ記憶部DB1に記憶させる。
【0053】
エリア情報取得部132は、収集データ記憶部DB1に記憶されている収集データを、バスBus1を介して、読み出し、当該収集データを解析することで、エリア情報を取得する。
【0054】
収集データ記憶部DB1は、データを記憶保持する機能部であり、例えば、データベースを用いて実現される。収集データ記憶部DB1は、収集データ処理部131からの書き込み指令に従い、収集データを記憶し、また、エリア情報取得部132からの読み出し指令に従い、収集データを読み出し、読み出した収集データを、バスBus1を介して、エリア情報取得部132に出力する。
【0055】
第1通信インターフェースIF1は、外部(外部機器)との通信インターフェースである。第1通信インターフェースIF1は、有線または無線により、外部(外部機器)と接続し、外部(外部機器)とデータ通信を行うためのインターフェースである。
【0056】
WPT受電装置WPT_Rx
(i)(i:整数、1≦i≦N(N:自然数、NはWPT受電装置の数))は、
図3に示すように、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)用のアンテナAnt2(WPT受電用アンテナ)と、受電側WPT処理部21と、受電装置制御部22と、第2通信インターフェースIF2と、バスBus2とを備える。受電側WPT処理部21、受電装置制御部22、および、第2通信インターフェースIF2は、それぞれ、バスBus2に接続されている。そして、受電側WPT処理部21、受電装置制御部22、および、第2通信インターフェースIF2は、バスBus2を介して、互いに、データ、コマンド等を送受信(入出力)可能である。なお、受電側WPT処理部21、受電装置制御部22、および、第2通信インターフェースIF2は、バス接続ではなく、直接接続されるものであってもよい。
【0057】
WPT用のアンテナAnt2は、WPT受電アンテナであり、WPT用の電波を送受信するためのアンテナである。WPT用のアンテナAnt2は、WPT送信装置WPT_Txからの電力伝送のための電波を受信するためのアンテナであり、かつ、WPT用の制御信号、データ等を搬送するための電波を送受信するためのアンテナである。また、WPT用のアンテナAnt2は、無線通信システム用の電波も受信可能なアンテナである。
【0058】
受電側WPT処理部21は、WPT用のアンテナAnt2を介して、外部からWPT用の電波、無線通信システム用の電波を受信するための処理(制御)を行うとともに、WPT用のアンテナAnt2を介して、WPT用の電波(ビーコン応答信号等)を外部へ放射させるための処理(制御)を行う機能部である。また、受電側WPT処理部21は、受信した電波に対して復調処理を行い、外部の機器(WPT受電装置や無線通信機)から送信されたデータを取得する。また、受電側WPT処理部21は、受電側収集データ処理部23から出力される収集データを入力し、当該収集データを含むデータを変調することでRF信号を生成し、当該RF信号によりWPT用のアンテナAnt2を駆動することで、上記収集データを含む電波を外部に放射する。
【0059】
受電装置制御部22は、WPT受電装置WPT_Rx(i)の各機能部を制御するための制御部であり、例えば、CPU(および/または、ROM、RAM)を用いて実現される。
【0060】
受電側収集データ処理部23は、受電側WPT処理部21が外部の機器(WPT送電装置や無線通信機)から受信したデータのうち、無線通信キャリア情報を取得するために必要な情報(データ)を取得し保持する。また、受電側収集データ処理部23は、WPT送信装置WPT_Txへ送信する収集データであって、自装置(WPT受電装置)(機器ID、機器種類、位置情報についてのデータ)に関するデータ(機器ID、機器種類、位置情報についてのデータ)と、自装置で取得した無線通信キャリア情報(受信強度、無線方式、チャネル、占有時間)とを含む収集データを生成し、当該収集データを受電側WPT処理部21に出力する。
【0061】
第2通信インターフェースIF2は、外部(外部機器)との通信インターフェースである。第2通信インターフェースIF2は、有線または無線により、外部(外部機器)と接続し、外部(外部機器)とデータ通信を行うためのインターフェースである。
【0062】
なお、
図1に示したWPT受電装置WPT_Rx
(1)~WPT_Rx
(9)は、上記のWPT受電装置WPT_Rx
(i)と同様の構成を有しているものとする。
【0063】
無線通信機WLAN_Dev(j)(j:整数、1≦j≦M、M:整数、Mは無線通信機の数)は、無線通信システムで用いられる無線通信機器であり、無線LANの規格に準拠した構成・機能を有している。無線通信機WLAN_Dev(j)は、無線LANの規格に準拠した無線通信を行うことで、データの送受信を行うことができる。
【0064】
<1.2:干渉エリア解析システムの動作>
以上のように構成された干渉エリア解析システム1000の動作について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0065】
図4は、第1実施形態に係る干渉エリア解析システム1000の概略構成図であり、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と、無線通信システムとが共存する状況を模式的に示した図(時刻t1の図)である。
【0066】
図5は、第1実施形態に係る干渉エリア解析システム1000の概略構成図であり、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と、無線通信システムとが共存する状況を模式的に示した図(時刻t2の図)である。
【0067】
図6は、第1実施形態に係る干渉エリア解析システム1000の概略構成図であり、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と、無線通信システムとが共存する状況を模式的に示した図(時刻t3の図)である。
【0068】
図7は、第1実施形態に係る干渉エリア解析システム1000の概略構成図であり、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と、無線通信システムとが共存する状況を模式的に示した図(時刻t4の図)である。
【0069】
図8は、第1実施形態に係る干渉エリア解析システム1000の概略構成図であり、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と、無線通信システムとが共存する状況を模式的に示した図(時刻t5の図)である。
【0070】
説明便宜のため、
図1の場合(一例)について、干渉エリア解析システム1000の動作を説明する。
図1において、以下の前提が成り立つものとする。
(1)
図1において、一点鎖線の曲線crv1で囲まれた領域AR1は、WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波が届き、かつ、WPT送信装置WPT_Txが無線通信システムの電波を検知できる範囲(キャリアセンスにより、無線通信システムの電波(キャリア)を検知できる範囲)である。
(2)
図1において、実線の曲線crv2で囲まれ、かつ、一点鎖線の曲線crv1で囲まれた領域AR1の外側の領域AR2は、WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波が届くが、WPT送信装置WPT_Txが無線通信システムの電波を検知できない範囲(キャリアセンスにより、無線通信システムの電波(キャリア)を検知できない範囲)である。
(3)
図1において、実線の曲線crv2の外側の領域AR3は、WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波は届かず、かつ、WPT送信装置WPT_Txが無線通信システムの電波を検知できない範囲(キャリアセンスにより、無線通信システムの電波(キャリア)を検知できない範囲)である。
【0071】
そして、
図1において、WPT送信装置WPT_Txは、領域AR1に設置されており、WPT受電装置WPT_Rx
(1)~WPT_Rx
(9)は、領域AR2に設置されているものとする。そして、
図1において、無線通信機WLAN_Dev
(1)、WLAN_Dev
(3)は、領域AR3に存在し、無線通信機WLAN_Dev
(2)は、領域AR2に存在しているものとする。
【0072】
以下では、上記前提の
図1の場合について、干渉エリア解析システム1000の動作を説明する。また、
図1に示した干渉エリア解析システム1000の時刻t1~t5の状態を示した
図4~
図8を参照しながら、干渉エリア解析システム1000の動作を説明する。
【0073】
(時刻t1(
図4)):
時刻t1において、
図4に示すように、無線通信機WLAN_Dev
(1)が無線通信用電波(無線LAN用の電波)を放射し、無線通信機WLAN_Dev
(1)が放射した電波がWPT受電装置WPT_Rx
(1)、および、WPT_Rx
(2)のみに届き、それ以外の機器には届かないものとする。
【0074】
この場合において、WPT受電装置WPT_Rx(1)は、アンテナAnt2を介して、無線通信機WLAN_Dev(1)からの電波を受信し、受信した電波(RF信号)を受電側WPT処理部21にて受信した電波の受信強度を取得し、また、受信電波を復調し、復調した信号(データ)を取得し、取得したデータを受電側収集データ処理部23に出力する。
【0075】
受電側収集データ処理部23は、受電側WPT処理部21から出力されるデータを入力し、当該データから、無線通信キャリア情報を取得するために必要な情報(データ)、すなわち、受信強度、無線方式、チャネル、占有時間についてのデータを取得する。そして、受電側収集データ処理部23は、自装置(WPT受電装置)(機器ID、機器種類、位置情報についてのデータ)に関するデータ(機器ID、機器種類、位置情報についてのデータ)と、上記で取得した無線通信キャリア情報(受信強度、無線方式、チャネル、占有時間)とを含む収集データを生成し、当該収集データを記憶保持する。なお、時刻t1において、WPT受電装置WPT_Rx(1)の受電側収集データ処理部23は、収集データの各要素(各フィールド)を以下のように設定されたデータを収集データとして記憶保持する。
収集データ:
機器ID:WPT_Rx(1)
機器種類:WPT受電装置
位置情報:Pos(WPT_Rx(1))(Pos(WPT_Rx(1))は、WPT受電装置WPT_Rx(1)の位置を示すデータであるものとする)
受信強度:Lev11
無線方式:WLAN(2.4GHz)(2.4GHz帯を使用する無線LAN)(なお、WPT受電装置WPT_Rx(1)が時刻t1において受信した電波が2.4GHz帯を使用する無線LANに準拠した電波であったものとする)
チャネル:ch1(なお、WPT受電装置WPT_Rx(1)が時刻t1において受信した電波が2.4GHz帯を使用する無線LANのch1を使用した電波であったものとする)
占有時間:t1-t1’(時刻t1から時刻t1’までの時間)
また、WPT受電装置WPT_Rx(2)は、アンテナAnt2を介して、無線通信機WLAN_Dev(1)からの電波を受信し、受信した電波(RF信号)を受電側WPT処理部21にて受信した電波の受信強度を取得し、また、受信電波を復調し、復調した信号(データ)を取得し、取得したデータを受電側収集データ処理部23に出力する。
【0076】
受電側収集データ処理部23は、受電側WPT処理部21から出力されるデータを入力し、当該データから、無線通信キャリア情報を取得するために必要な情報(データ)、すなわち、受信強度、無線方式、チャネル、占有時間についてのデータを取得する。そして、受電側収集データ処理部23は、自装置(WPT受電装置)(機器ID、機器種類、位置情報についてのデータ)に関するデータ(機器ID、機器種類、位置情報についてのデータ)と、上記で取得した無線通信キャリア情報(受信強度、無線方式、チャネル、占有時間)とを含む収集データを生成し、当該収集データを記憶保持する。なお、時刻t1において、WPT受電装置WPT_Rx(2)の受電側収集データ処理部23は、収集データの各要素(各フィールド)を以下のように設定されたデータを収集データとして記憶保持する。
収集データ:
機器ID:WPT_Rx(2)
機器種類:WPT受電装置
位置情報:Pos(WPT_Rx(2))(Pos(WPT_Rx(2))は、WPT受電装置WPT_Rx(2)の位置を示すデータであるものとする)
受信強度:Lev12
無線方式:WLAN(2.4GHz)(2.4GHz帯を使用する無線LAN)(なお、WPT受電装置WPT_Rx(2)が時刻t1において受信した電波が2.4GHz帯を使用する無線LANに準拠した電波であったものとする)
チャネル:ch1(なお、WPT受電装置WPT_Rx(2)が時刻t1において受信した電波が2.4GHz帯を使用する無線LANのch1を使用した電波であったものとする)
占有時間:t1-t1’(時刻t1から時刻t1’までの時間)
なお、時刻t1において、WPT送信装置WPT_Tx、および、WPT受電装置WPT_Rx(3)~WPT_Rx(9)は、外部からの電波を検知していないものとする。
【0077】
(時刻t2(
図5)):
時刻t2において、
図5に示すように、無線通信機WLAN_Dev
(2)が無線通信用電波(無線LAN用の電波)を放射し、無線通信機WLAN_Dev
(2)が放射した電波が、無線通信機WLAN_Dev
(3)、WPT受電装置WPT_Rx
(3)、および、WPT_Rx
(4)のみに届き、それ以外の機器には届かないものとする。
【0078】
この場合において、WPT受電装置WPT_Rx(3)は、アンテナAnt2を介して、無線通信機WLAN_Dev(2)からの電波を受信し、受信した電波(RF信号)を受電側WPT処理部21にて受信した電波の受信強度を取得し、また、受信電波を復調し、復調した信号(データ)を取得し、取得したデータを受電側収集データ処理部23に出力する。
【0079】
受電側収集データ処理部23は、受電側WPT処理部21から出力されるデータを入力し、当該データから、無線通信キャリア情報を取得するために必要な情報(データ)、すなわち、受信強度、無線方式、チャネル、占有時間についてのデータを取得する。そして、受電側収集データ処理部23は、自装置(WPT受電装置)(機器ID、機器種類、位置情報についてのデータ)に関するデータ(機器ID、機器種類、位置情報についてのデータ)と、上記で取得した無線通信キャリア情報(受信強度、無線方式、チャネル、占有時間)とを含む収集データを生成し、当該収集データを記憶保持する。なお、時刻t2において、WPT受電装置WPT_Rx(3)の受電側収集データ処理部23は、収集データの各要素(各フィールド)を以下のように設定されたデータを収集データとして記憶保持する。
収集データ:
機器ID:WPT_Rx(3)
機器種類:WPT受電装置
位置情報:Pos(WPT_Rx(3))(Pos(WPT_Rx(3))は、WPT受電装置WPT_Rx(3)の位置を示すデータであるものとする)
受信強度:Lev21
無線方式:WLAN(2.4GHz)(2.4GHz帯を使用する無線LAN)(なお、WPT受電装置WPT_Rx(3)が時刻t2において受信した電波が2.4GHz帯を使用する無線LANに準拠した電波であったものとする)
チャネル:ch2(なお、WPT受電装置WPT_Rx(3)が時刻t2において受信した電波が2.4GHz帯を使用する無線LANのch2を使用した電波であったものとする)
占有時間:t2-t2’(時刻t2から時刻t2’までの時間)
また、WPT受電装置WPT_Rx(4)は、アンテナAnt2を介して、無線通信機WLAN_Dev(2)からの電波を受信し、受信した電波(RF信号)を受電側WPT処理部21にて受信した電波の受信強度を取得し、また、受信電波を復調し、復調した信号(データ)を取得し、取得したデータを受電側収集データ処理部23に出力する。
【0080】
受電側収集データ処理部23は、受電側WPT処理部21から出力されるデータを入力し、当該データから、無線通信キャリア情報を取得するために必要な情報(データ)、すなわち、受信強度、無線方式、チャネル、占有時間についてのデータを取得する。そして、受電側収集データ処理部23は、自装置(WPT受電装置)(機器ID、機器種類、位置情報についてのデータ)に関するデータ(機器ID、機器種類、位置情報についてのデータ)と、上記で取得した無線通信キャリア情報(受信強度、無線方式、チャネル、占有時間)とを含む収集データを生成し、当該収集データを記憶保持する。なお、時刻t2において、WPT受電装置WPT_Rx(4)の受電側収集データ処理部23は、収集データの各要素(各フィールド)を以下のように設定されたデータを収集データとして記憶保持する。
収集データ:
機器ID:WPT_Rx(4)
機器種類:WPT受電装置
位置情報:Pos(WPT_Rx(4))(Pos(WPT_Rx(4))は、WPT受電装置WPT_Rx(4)の位置を示すデータであるものとする)
受信強度:Lev22
無線方式:WLAN(2.4GHz)(2.4GHz帯を使用する無線LAN)(なお、WPT受電装置WPT_Rx(4)が時刻t2において受信した電波が2.4GHz帯を使用する無線LANに準拠した電波であったものとする)
チャネル:ch2(なお、WPT受電装置WPT_Rx(4)が時刻t2において受信した電波が2.4GHz帯を使用する無線LANのch1を使用した電波であったものとする)
占有時間:t2-t2’(時刻t2から時刻t2’までの時間)
なお、時刻t2において、WPT送信装置WPT_Tx、および、WPT受電装置WPT_Rx(1)、WPT_Rx(2)、WPT_Rx(5)~WPT_Rx(9)は、外部からの電波を検知していないものとする。
【0081】
(時刻t3(
図6)):
時刻t3において、
図6に示すように、無線通信機WLAN_Dev
(3)が無線通信用電波(無線LAN用の電波)を放射し、無線通信機WLAN_Dev
(3)が放射した電波が、無線通信機WLAN_Dev
(2)、WPT受電装置WPT_Rx
(8)、および、WPT_Rx
(9)のみに届き、それ以外の機器には届かないものとする。
【0082】
この場合において、WPT受電装置WPT_Rx(8)は、アンテナAnt2を介して、無線通信機WLAN_Dev(3)からの電波を受信し、受信した電波(RF信号)を受電側WPT処理部21にて受信した電波の受信強度を取得し、また、受信電波を復調し、復調した信号(データ)を取得し、取得したデータを受電側収集データ処理部23に出力する。
【0083】
受電側収集データ処理部23は、受電側WPT処理部21から出力されるデータを入力し、当該データから、無線通信キャリア情報を取得するために必要な情報(データ)、すなわち、受信強度、無線方式、チャネル、占有時間についてのデータを取得する。そして、受電側収集データ処理部23は、自装置(WPT受電装置)(機器ID、機器種類、位置情報についてのデータ)に関するデータ(機器ID、機器種類、位置情報についてのデータ)と、上記で取得した無線通信キャリア情報(受信強度、無線方式、チャネル、占有時間)とを含む収集データを生成し、当該収集データを記憶保持する。なお、時刻t3において、WPT受電装置WPT_Rx(11)の受電側収集データ処理部23は、収集データの各要素(各フィールド)を以下のように設定されたデータを収集データとして記憶保持する。
収集データ:
機器ID:WPT_Rx(8)
機器種類:WPT受電装置
位置情報:Pos(WPT_Rx(8))(Pos(WPT_Rx(8))は、WPT受電装置WPT_Rx(8)の位置を示すデータであるものとする)
受信強度:Lev31
無線方式:WLAN(2.4GHz)(2.4GHz帯を使用する無線LAN)(なお、WPT受電装置WPT_Rx(8)が時刻t3において受信した電波が2.4GHz帯を使用する無線LANに準拠した電波であったものとする)
チャネル:ch2(なお、WPT受電装置WPT_Rx(8)が時刻t3において受信した電波が2.4GHz帯を使用する無線LANのch2を使用した電波であったものとする)
占有時間:t3-t3’(時刻t3から時刻t3’までの時間)
また、WPT受電装置WPT_Rx(9)は、アンテナAnt2を介して、無線通信機WLAN_Dev(3)からの電波を受信し、受信した電波(RF信号)を受電側WPT処理部21にて受信した電波の受信強度を取得し、また、受信電波を復調し、復調した信号(データ)を取得し、取得したデータを受電側収集データ処理部23に出力する。
【0084】
受電側収集データ処理部23は、受電側WPT処理部21から出力されるデータを入力し、当該データから、無線通信キャリア情報を取得するために必要な情報(データ)、すなわち、受信強度、無線方式、チャネル、占有時間についてのデータを取得する。そして、受電側収集データ処理部23は、自装置(WPT受電装置)(機器ID、機器種類、位置情報についてのデータ)に関するデータ(機器ID、機器種類、位置情報についてのデータ)と、上記で取得した無線通信キャリア情報(受信強度、無線方式、チャネル、占有時間)とを含む収集データを生成し、当該収集データを記憶保持する。なお、時刻t3において、WPT受電装置WPT_Rx(9)の受電側収集データ処理部23は、収集データの各要素(各フィールド)を以下のように設定されたデータを収集データとして記憶保持する。
収集データ:
機器ID:WPT_Rx(9)
機器種類:WPT受電装置
位置情報:Pos(WPT_Rx(9))(Pos(WPT_Rx(9))は、WPT受電装置WPT_Rx(9)の位置を示すデータであるものとする)
受信強度:Lev32
無線方式:WLAN(2.4GHz)(2.4GHz帯を使用する無線LAN)(なお、WPT受電装置WPT_Rx(4)が時刻t2において受信した電波が2.4GHz帯を使用する無線LANに準拠した電波であったものとする)
チャネル:ch2(なお、WPT受電装置WPT_Rx(9)が時刻t2において受信した電波が2.4GHz帯を使用する無線LANのch1を使用した電波であったものとする)
占有時間:t3-t3’(時刻t3から時刻t3’までの時間)
なお、時刻t3において、WPT送信装置WPT_Tx、および、WPT受電装置WPT_Rx(1)~WPT_Rx(7)は、外部からの電波を検知していないものとする。
【0085】
(時刻t4(
図7)):
時刻t4において、
図7に示すように、WPT送信装置WPT_Txは、ビーコンBtxを発信する。そして、WPT送信装置WPT_Txからの電波が届く範囲である領域AR1およびAR2に存在するWPT受電装置WPT_Rx
(1)~WPT_Rx
(9)が、WPT送信装置WPT_TxからのビーコンBtxを受信する。
【0086】
WPT受電装置WPT_Rx(1)~WPT_Rx(9)は、それぞれ、WPT送信装置WPT_Txからの電波をアンテナAnt2で受信し、受電側WPT処理部21により、当該電波がビーコンBtxであることを認識した後、受電側収集データ処理部23は、記憶保持している収集データを受電側WPT処理部21に出力する。
【0087】
(時刻t5(
図8)):
時刻t5において、
図8に示すように、WPT受電装置WPT_Rx
(1)~WPT_Rx
(9)は、それぞれ、ビーコン応答信号(Bres)により、収集データをWPT送信装置WPT_Txに送信する。具体的には、WPT受電装置WPT_Rx
(1)~WPT_Rx
(9)は、それぞれ、受電側WPT処理部21により、収集データを含めたビーコン応答信号をRF変調してRF信号を生成し、当該RF信号によりアンテナAnt2を駆動することで、収集データを含むビーコン応答信号の電波を放射する。なお、WPT受電装置WPT_Rx
(1)~WPT_Rx
(9)は、コリジョンを避けるため、時刻t5から所定の時間内に、例えば、乱数により決定される待ち時間の後、ビーコン応答信号の電波を放射するようにしてもよい。
【0088】
WPT送信装置WPT_Txは、WPT受電装置WPT_Rx(1)~WPT_Rx(9)からのビーコン応答信号の電波を、アンテナAnt1を介して受信し、WPT処理部11により当該電波を復調した信号(データ)を取得する。そして、WPT処理部11は、取得したデータを収集データ処理部131に出力する。収集データ処理部131は、WPT処理部11から出力されるデータを入力し、当該データから収集データを取得する。そして、収集データ処理部131は、取得した収集データを、収集データ記憶部DB1に記憶する。
【0089】
(時刻t5以降):
時刻t5以降において、WPT送信装置WPT_Txは、収集データ記憶部DB1に記憶保持されている収集データを解析することで、干渉エリアの検出(推定)を行う。具体的には、以下の処理が実行される。
【0090】
WPT送信装置WPT_Txのエリア情報取得部132は、収集データ記憶部DB1に記憶されている収集データを、バスBus1を介して、読み出し、当該収集データを解析する。
図9は、時刻t5までに、WPT受電装置WPT_Rx
(1)~WPT_Rx
(9)から取得された収集データのうち、無線キャリア情報を含む収集データを示す図である。
【0091】
(1)時刻t1~t5までの期間において、WPT送信装置WPT_Txが、無線通信用電波を検知したことはなかったので、WPT送信装置WPT_Txのエリア情報取得部132は、領域AR1(WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波が届き、かつ、WPT送信装置WPT_Txが無線通信システムの電波を検知できる範囲(キャリアセンスにより、無線通信システムの電波(キャリア)を検知できる範囲))に存在する無線通信機は存在しないと判定する。
【0092】
(2)時刻t1~t5までの期間において、WPT送信装置WPT_Txが、ビーコンを送信し、当該ビーコンの応答信号を返してきたWPT受電装置が、WPT受電装置WPT_Rx(1)~WPT_Rx(9)であるので、WPT送信装置WPT_Txのエリア情報取得部132は、WPT受電装置WPT_Rx(1)~WPT_Rx(9)が領域AR2(WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波が届くが、WPT送信装置WPT_Txが無線通信システムの電波を検知できない範囲)内に存在していると判定する。なお、ビーコンの応答信号(無線信号)により取得した収集データであるか否かは、例えば、ビーコンの応答信号(無線信号)により取得したことを示すフラグを設定し、当該収集データを収集データ記憶部DB1に記憶する、あるいは、ビーコンの応答信号(無線信号)により取得した収集データを、収集データ記憶部DB1の所定の記憶領域に記憶するようにすることで判別可能である。
【0093】
(3)WPT送信装置WPT_Txのエリア情報取得部132は、無線通信キャリア情報を含む収集データ(
図9のデータD1~D6)を解析することで、WPT送信装置WPT_Txが直接検知できない無線通信機(無線LAN用通信機)の位置(どの領域に含まれるかの情報)を推定する。
【0094】
(3A)エリア情報取得部132は、収集データD1、D2(ビーコン応答信号により取得された収集データ)において、無線通信キャリア情報の無線方式、チャネル、占有時間が同じであることから、データD1、D2の送信元であるWPT受電装置WPT_Rx(1)およびWPT受電装置WPT_Rx(2)の近辺に、無線通信機(無線LAN用通信機)が存在する可能性が高いと判断する。さらに、エリア情報取得部132は、データD1、D2において、無線通信キャリア情報の受信強度を調べることで、例えば、WPT受電装置WPT_Rx(1)およびWPT受電装置WPT_Rx(2)と無線通信機(無線LAN用通信機)との距離を推定し、無線通信機(無線LAN用通信機)が領域AR2に存在する確率、および、領域AR3に存在する確率を取得する。例えば、受信強度の値が比較的小さい場合、WPT受電装置WPT_Rx(1)およびWPT受電装置WPT_Rx(2)と無線通信機(無線LAN用通信機)との距離は長いと推定し、無線通信機(無線LAN用通信機)が領域AR2に存在する確率を低い値にし、無線通信機(無線LAN用通信機)が領域AR3に存在する確率を高い値にする。収集データD1、D2において、受信強度Lev11、Lev12が比較的小さい値であるものとし、WPT受電装置WPT_Rx(1)およびWPT受電装置WPT_Rx(2)にて、時刻t1~t1’において電波を放射した無線通信機(無線LAN用通信機)が領域AR2に存在する確率を「30%」とし、当該無線通信機(無線LAN用通信機)が領域AR3に存在する確率を「70%」と判定(推定)する(一例)。
【0095】
(3B)エリア情報取得部132は、収集データD3、D4(ビーコン応答信号により取得された収集データ)において、無線通信キャリア情報の無線方式、チャネル、占有時間が同じであることから、データD3、D4の送信元であるWPT受電装置WPT_Rx(3)およびWPT受電装置WPT_Rx(4)の近辺に、無線通信機(無線LAN用通信機)が存在する可能性が高いと判断する。さらに、エリア情報取得部132は、データD3、D4において、無線通信キャリア情報の受信強度を調べることで、例えば、WPT受電装置WPT_Rx(1)およびWPT受電装置WPT_Rx(2)と無線通信機(無線LAN用通信機)との距離を推定し、無線通信機(無線LAN用通信機)が領域AR2に存在する確率、および、領域AR3に存在する確率を取得する。例えば、受信強度の値が比較的大きい場合、WPT受電装置WPT_Rx(3)およびWPT受電装置WPT_Rx(4)と無線通信機(無線LAN用通信機)との距離は短いと推定し、無線通信機(無線LAN用通信機)が領域AR2に存在する確率を高い値にし、無線通信機(無線LAN用通信機)が領域AR3に存在する確率を低い値にする。収集データD3、D4において、受信強度Lev21、Lev22が比較的大きい値であるものとし、WPT受電装置WPT_Rx(3)およびWPT受電装置WPT_Rx(4)にて、時刻t2~t2’において電波を放射した無線通信機(無線LAN用通信機)が領域AR2に存在する確率を「80%」とし、当該無線通信機(無線LAN用通信機)が領域AR3に存在する確率を「20%」と判定(推定)する(一例)。
【0096】
(3C)エリア情報取得部132は、収集データD5、D6(ビーコン応答信号により取得された収集データ)において、無線通信キャリア情報の無線方式、チャネル、占有時間が同じであることから、データD5、D6の送信元であるWPT受電装置WPT_Rx(8)およびWPT受電装置WPT_Rx(9)の近辺に、無線通信機(無線LAN用通信機)が存在する可能性が高いと判断する。さらに、エリア情報取得部132は、データD5、D6において、無線通信キャリア情報の受信強度を調べることで、例えば、WPT受電装置WPT_Rx(8)およびWPT受電装置WPT_Rx(9)と無線通信機(無線LAN用通信機)との距離を推定し、無線通信機(無線LAN用通信機)が領域AR2に存在する確率、および、領域AR3に存在する確率を取得する。例えば、受信強度の値が比較的大きい場合、WPT受電装置WPT_Rx(8)およびWPT受電装置WPT_Rx(9)と無線通信機(無線LAN用通信機)との距離は短いと推定し、無線通信機(無線LAN用通信機)が領域AR3(WPT受電装置WPT_Rx(8)およびWPT受電装置WPT_Rx(9)が存在する領域)に存在する確率を高い値にし、無線通信機(無線LAN用通信機)が領域AR2に存在する確率を低い値にする。収集データD5、D6において、受信強度Lev31、Lev32が比較的小さい値であるものとし、WPT受電装置WPT_Rx(8)およびWPT受電装置WPT_Rx(9)にて、時刻t3~t3’において電波を放射した無線通信機(無線LAN用通信機)が領域AR2に存在する確率を「20%」とし、当該無線通信機(無線LAN用通信機)が領域AR3に存在する確率を「80%」と判定(推定)する(一例)。
【0097】
上記のように、WPT送信装置WPT_Txのエリア情報取得部132が、収集データを解析することにより、干渉エリアの検出(推定)を行うことができる。例えば、WPT送信装置WPT_Txのエリア情報取得部132は、収集データの解析結果に基づいて、
図11に示すように、領域AR1、領域AR2、領域AR3に含まれる機器をグラフ表示(ノードとエッジによるグラフ表示)することで、
(1)領域AR1(WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波が届き、かつ、WPT送信装置WPT_Txが無線通信システムの電波を検知できる範囲)、
(2)領域AR2(WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波が届き、かつ、WPT送信装置WPT_Txが無線通信システムの電波を検知でない範囲)、および、
(3)領域AR3(WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波が届かない範囲)
を検出(推定)できる。さらに、WPT送信装置WPT_Txのエリア情報取得部132が、収集データを解析することにより、WPT送信装置WPT_Txが検知できない無線通信機がどの領域に存在するかを推定することもできる。
【0098】
また、WPT送信装置WPT_Txのエリア情報取得部132は、収集データの解析結果に基づいて、2次元マップとして、収集データの解析結果を可視化して表示するようにしてもよい。エリア情報取得部132は、例えば、
図12に示すように、2次元マップ上に、WPT送信装置WPT_Tx、WPT受電装置、無線通信機(推定位置)を配置して表示し、さらに、領域AR1、領域AR2、および、領域AR3の境界線(推定境界線)crv1_pred、crv2_predを重畳して表示することで、収集データの解析結果を可視化した2次元マップを取得するようにしてもよい。
【0099】
以上のように、干渉エリア解析システム1000では、WPT用電波および無線通信用電波を検知できる複数のWPT受信装置を計画配置し(それぞれ所定の位置に設置し)、WPT受信装置が検知した無線通信用電波から取得される情報(無線通信キャリア情報)とWPT受信装置の情報とを含むデータ(収集データ)を、WPT送信装置WPT_Txが収集し、収集したデータを解析することで、干渉エリアを適切に検出(把握)することができる。すなわち、干渉エリア解析システム1000では、上記のように処理することで、送信出力や利用目的が大きく異なる異種の無線システムを共存するために干渉領域を適切に把握することができる。
【0100】
なお、上記では、送信出力や利用目的が大きく異なる異種の無線システムとして、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と無線通信システム(無線LANシステム)とが共存する場合について、説明したが、これに限定されることはなく、他の送信出力や利用目的が大きく異なる異種の無線システムが共存するシステムについて、本発明を適用するようにしてもよい。
【0101】
また、上記では、干渉エリア解析システム1000において、2.4GHz帯の無線通信システム(無線LANシステム)の無線通信機を検出する場合について説明したが、これに限定されることはなく、干渉エリア解析システム1000において、他の周波数帯域(例えば、2.4GHz帯、5.7GHz帯)の無線通信システム(無線LANシステム)の無線通信機を検出するようにしてもよい(検出することは可能である)。なお、この場合、干渉エリア解析システム1000のWPT送信装置WPT_Tx、WPT送信装置WPT_Tx受電装置は、それぞれ、無線通信システム(無線LANシステム)で使用される周波数帯域の電波を受信する(キャリアセンスできる)構成、機能を有しているものとする。
【0102】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について、説明する。なお、上記実施形態と同様の部分については、同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0103】
第1実施形態の干渉エリア解析システム1000では、所定の位置にWPT送信装置を配置したが、第2実施形態の干渉エリア解析システム2000では、所定の位置にWPT送信装置の代わりに、WPT送信装置から張り出したアンテナ(WPT用電波と無線通信用電波の両方を受信可能な張り出しアンテナ)を配置する。そして、WPT送信装置から張り出したアンテナにより受信した電波の情報をWPT送信装置で取得し、収集データを取得する。この点が第1実施形態と相違する。
【0104】
<2.1:干渉エリア解析システムの構成>
図13は、第2実施形態に係る干渉エリア解析システム2000の概略構成図であり、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と、無線通信システムとが共存する状況を模式的に示した図である。
【0105】
図14は、第2実施形態に係る干渉エリア解析システム1000のWPT送信装置WPT_TxA(空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)の送信装置)の概略構成図である。
【0106】
干渉エリア解析システム2000は、
図13に示すように、WPT送信装置WPT_TxAと、WPT送信装置WPT_TxAから張り出した(延設された)N個(N:自然数)の張り出しアンテナex_Ant
(1)~WPT_Rx
(N)(
図13では、N=9)と、無線通信機WLAN_Dev
(1)~WLAN_Dev
(2)と、を備える。
【0107】
なお、説明便宜のために、張り出しアンテナex_Ant(1)~ex_Ant(N)(N=9)は、それぞれ、第1実施形態のWPT受電装置WPT_Rx(1)~WPT_Rx(N)(N=9)の位置に設置されているものとする。
【0108】
WPT送信装置WPT_TxAは、
図14に示すように、第1実施形態のWPT送信装置WPT_Txにおいて、外部アンテナ用処理部14を追加した構成を有している。それ以外については、WPT送信装置WPT_TxAは、WPT送信装置WPT_Txと同様の構成、機能を有している。
【0109】
外部アンテナ用処理部14は、張り出しアンテナex_Ant(1)~ex_Ant(N)と接続されており、張り出しアンテナex_Ant(1)~ex_Ant(N)により取得した電波を取得し(または復調して取得し)、当該電波に含まれるデータを取得する。そして、外部アンテナ用処理部14は、取得したデータを、バスBus1を介して、干渉エリア検出部13の収集データ処理部131に出力する。
【0110】
<2.2:干渉エリア解析システムの構成>
以上のように構成された干渉エリア解析システム2000の動作を、以下、説明する。
【0111】
なお、説明便宜のため、領域AR1~AR3は、第1実施形態と同様であり、また、第1実施形態と同様の状況(下記(1)~(3)の状況(時刻t1~t3の状況))に対して干渉エリア解析システム2000が処理を行うものとする。
(1)時刻t1において、無線通信機WLAN_Dev(1)から無線通信用電波(第1実施形態と同じ電波)が放射される(本実施形態では、当該無線通信用電波を張り出しアンテナex_Ant(1)、ex_Ant(2)が検知(キャリア検知)するものとする)。
(2)時刻t2において、無線通信機WLAN_Dev(2)から無線通信用電波(第1実施形態と同じ電波)が放射される(本実施形態では、当該無線通信用電波を張り出しアンテナex_Ant(3)、ex_Ant(4)が検知(キャリア検知)するものとする)。
(3)時刻t3において、無線通信機WLAN_Dev(3)から無線通信用電波(第1実施形態と同じ電波)が放射される(本実施形態では、当該無線通信用電波を張り出しアンテナex_Ant(8)、ex_Ant(9)が検知(キャリア検知)するものとする)。
【0112】
(時刻t1):
時刻t1(時刻t1~t1’)において、WPT送信装置WPT_TxAは、張り出しアンテナex_Ant(1)において、無線通信用電波を検知し、当該電波を外部アンテナ用処理部14にて処理を行うことで、無線通信キャリア情報および取得したアンテナが張り出しアンテナex_Ant(1)を示すデータを含むデータを生成し、当該データを収集データ処理部131に出力する。
【0113】
収集データ処理部131は、外部アンテナ用処理部14からのデータに基づいて、収集データ(
図15のデータD1A)を取得し、取得した収集データを、収集データ記憶部DB1に記憶する。
【0114】
また、時刻t1(時刻t1~t1’)において、WPT送信装置WPT_TxAは、張り出しアンテナex_Ant(2)において、無線通信用電波を検知し、当該電波を外部アンテナ用処理部14にて処理を行うことで、無線通信キャリア情報および取得したアンテナが張り出しアンテナex_Ant(2)を示すデータを含むデータを生成し、当該データを収集データ処理部131に出力する。
【0115】
収集データ処理部131は、外部アンテナ用処理部14からのデータに基づいて、収集データ(
図15のデータD2A)を取得し、取得した収集データを、収集データ記憶部DB1に記憶する。
【0116】
(時刻t2):
時刻t2(時刻t2~t2’)において、WPT送信装置WPT_TxAは、張り出しアンテナex_Ant(3)において、無線通信用電波を検知し、当該電波を外部アンテナ用処理部14にて処理を行うことで、無線通信キャリア情報および取得したアンテナが張り出しアンテナex_Ant(3)を示すデータを含むデータを生成し、当該データを収集データ処理部131に出力する。
【0117】
収集データ処理部131は、外部アンテナ用処理部14からのデータに基づいて、収集データ(
図15のデータD3A)を取得し、取得した収集データを、収集データ記憶部DB1に記憶する。
【0118】
また、時刻t2(時刻t2~t2’)において、WPT送信装置WPT_TxAは、張り出しアンテナex_Ant(4)において、無線通信用電波を検知し、当該電波を外部アンテナ用処理部14にて処理を行うことで、無線通信キャリア情報および取得したアンテナが張り出しアンテナex_Ant(4)を示すデータを含むデータを生成し、当該データを収集データ処理部131に出力する。
【0119】
収集データ処理部131は、外部アンテナ用処理部14からのデータに基づいて、収集データ(
図15のデータD4A)を取得し、取得した収集データを、収集データ記憶部DB1に記憶する。
【0120】
(時刻t3):
時刻t3(時刻t3~t3’)において、WPT送信装置WPT_TxAは、張り出しアンテナex_Ant(8)において、無線通信用電波を検知し、当該電波を外部アンテナ用処理部14にて処理を行うことで、無線通信キャリア情報および取得したアンテナが張り出しアンテナex_Ant(8)を示すデータを含むデータを生成し、当該データを収集データ処理部131に出力する。
【0121】
収集データ処理部131は、外部アンテナ用処理部14からのデータに基づいて、収集データ(
図15のデータD5A)を取得し、取得した収集データを、収集データ記憶部DB1に記憶する。
【0122】
また、時刻t3(時刻t3~t3’)において、WPT送信装置WPT_TxAは、張り出しアンテナex_Ant(9)において、無線通信用電波を検知し、当該電波を外部アンテナ用処理部14にて処理を行うことで、無線通信キャリア情報および取得したアンテナが張り出しアンテナex_Ant(9)を示すデータを含むデータを生成し、当該データを収集データ処理部131に出力する。
【0123】
収集データ処理部131は、外部アンテナ用処理部14からのデータに基づいて、収集データ(
図15のデータD6A)を取得し、取得した収集データを、収集データ記憶部DB1に記憶する。
【0124】
そして、WPT送信装置WPT_TxAのエリア情報取得部132は、第1実施形態と同様に、取得した収集データを解析することで、干渉エリア検出結果データ(例えば、
図16に示すグラフ表示による干渉エリア検出結果データや、
図17に示す干渉エリア検出結果を示す2次元マップデータ)を取得することができる。
【0125】
以上のように、干渉エリア解析システム2000では、WPT用電波および無線通信用電波を検知できる複数の張り出しアンテナを計画配置し(それぞれ所定の位置に設置し)、張り出しアンテナが検知した無線通信用電波から取得される情報(無線通信キャリア情報)と張り出しアンテナの情報とを含むデータ(収集データ)を、WPT送信装置WPT_TxAが収集し、収集したデータを解析することで、干渉エリアを適切に検出(把握)することができる。すなわち、干渉エリア解析システム2000では、上記のように処理することで、送信出力や利用目的が大きく異なる異種の無線システムを共存するために干渉領域を適切に把握することができる。
【0126】
なお、第2実施形態では、WPT送信装置WPT_TxAから張り出された複数の張り出しアンテナを用いて、干渉エリア解析処理(干渉エリア検出処理)を行う場合について説明したが、これに限定されることはない。例えば、複数の張り出しアンテナの位置に、WPT用電波および無線通信用電波を検知できるアンテナと、当該アンテナで受信した電波からデータ(収集データの一部(例えば、無線通信キャリア情報))を取得する処理部(RF処理部、BB処理部)および通信インターフェースとを備える装置(アンテナ装置)を設置し、当該装置(アンテナ装置)とWPT送信装置WPT_TxAとを有線・無線の回線(あるいはネットワーク)で接続し、WPT送信装置WPT_TxAが、当該装置(アンテナ装置)からデータ(収集データの一部(例えば、無線通信キャリア情報))を取得(収集)するようにしてもよい。
【0127】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について、説明する。なお、上記実施形態と同様の部分については、同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0128】
<3.1:干渉エリア解析システムの構成>
図18は、第3実施形態に係る干渉エリア解析システム3000の概略構成図であり、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と、無線通信システムとが共存する状況を模式的に示した図である。
【0129】
図19は、第3実施形態に係る干渉エリア解析システム3000の無線通信機(ステーション)WLAN_STA
(i)(i:整数、1≦i≦N(N:自然数、Nは無線通信機(ステーション)の数))の概略構成図である。
【0130】
図20は、第3実施形態に係る干渉エリア解析システム3000の干渉エリア解析装置Dev1の概略構成図である。
【0131】
干渉エリア解析システム3000は、
図18に示すように、WPT送信装置WPT_Txと、N個(N:自然数)の無線通信機(ステーション)WLAN_STA
(1)~WLAN_STA
(N)(
図18では、N=5)と、無線通信機(アクセスポイント)WLANAPと、干渉エリア解析装置Dev1とを備える。
【0132】
WPT送信装置WPT_Txは、WPT用の送信機であり、WPT用通信を行うとともに、WPT用の送電用の電波を放射する機能を有している。
【0133】
無線通信機(ステーション)WLAN_STA
(i)(i:整数、1≦i≦N(N:自然数、Nは無線通信機(ステーション)の数))は、無線通信用(無線LAN用)のステーションであり、無線LANにより、データの送受信を行う装置である。無線通信機(ステーション)WLAN_STA
(i)は、
図19に示すように、アンテナAnt3と、無線通信処理部31と、ステーション制御部32と、ステーション側収集データ処理部33とを備える。無線通信機(ステーション)WLAN_STA
(i)は、収集データ(WPT干渉情報を含むデータ)を取得し、取得した収集データを、例えば、インフラストラクチャー通信(インフラストラクチャーモードによる無線通信)により、無線通信機(アクセスポイント)WLANAPを経由して、干渉エリア解析装置Dev1に送信する。
【0134】
アンテナAnt3は、無線通信システム用の電波を送受信するためのアンテナであり、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)用の電波も受信可能なアンテナである。
【0135】
無線通信処理部31は、アンテナAnt3を介して、無線通信システム用の電波を外部へ放射させるための処理(制御)を行うとともに、アンテナAnt3を介して、外部から無線通信システム用の電波、WPT用の電波を受信するための処理(制御)を行う機能部である。また、無線通信処理部31は、受信した電波に対して復調処理を行い、外部の機器(WPT受電装置や無線通信機)から送信されたデータを取得する。そして、無線通信処理部31は、取得したデータを、バスBus3を介して、ステーション側収集データ処理部33に出力する。また、無線通信処理部31は、ステーション側収集データ処理部33から出力される収集データを入力し、当該収集データを含むRF変調信号を生成し、当該RF変調信号によりアンテナAnt3を駆動することで、収集データを含むRF変調信号(無線通信信号)を、例えば、インフラストラクチャー通信(インフラストラクチャーモードによる無線通信)により、無線通信機(アクセスポイント)WLANAPを経由して、干渉エリア解析装置Dev1に送信する。
【0136】
ステーション制御部32は、無線通信機(ステーション)WLAN_STA(i)の各機能部を制御するための制御部であり、例えば、CPU(および/または、ROM、RAM)を用いて実現される。
【0137】
ステーション側収集データ処理部33は、無線通信処理部31が外部の機器(WPT受電装置や無線通信機)から受信したデータのうち、干渉エリアを検出するためのデータを収集データとして取得する。収集データは、例えば、以下のデータ(情報)を含むものとする。
(1)機器ID(機器を特定するための情報)
(2)機器種類
(3)位置情報(機器の存在する位置に関する情報)
(4)WPT干渉情報
なお、WPT干渉情報は、以下のデータ(情報)を含むものとする。
(4A)受信強度
(4B)送電チャネル
(4C)占有時間(例えば、期間を特定する時刻や統計値)
そして、ステーション側収集データ処理部33は、上記により取得した収集データを記憶保持する。ステーション側収集データ処理部33は、所定のタイミングで、記憶保持している収集データを無線通信処理部31に出力する。
【0138】
無線通信機(アクセスポイント)WLANAPは、無線通信システム用(無線LAN用)のアクセスポイントであり、無線通信機(ステーション)WLAN_STA(i)と無線通信(無線LANによる通信)を行うことが可能な装置である。また、無線通信機(アクセスポイント)WLANAPは、例えば、インフラストラクチャーモードにより、無線通信機(ステーション)WLAN_STA(i)から送信された、送信先を干渉エリア解析装置Dev1とするデータ(無線通信信号)を受信し、受信した当該データ(無線通信信号)を干渉エリア解析装置Dev1に送信する。
【0139】
干渉エリア解析装置Dev1は、
図20に示すように、無線通信用(無線LAN用)のアンテナAnt4と、無線通信処理部41と、制御部42と、干渉エリア検出部43(収集データ処理部431、エリア情報取得部432および収集データ記憶部DB2)と、第3通信インターフェースIF3と、バスBus4とを備える。無線通信処理部41、制御部42、干渉エリア検出部43(収集データ処理部431、エリア情報取得部432および収集データ記憶部DB2)、および、第3通信インターフェースIF3は、それぞれ、バスBus4に接続されている。そして、無線通信処理部41、制御部42、干渉エリア検出部43(収集データ処理部431、エリア情報取得部432および収集データ記憶部DB2)、および、第3通信インターフェースIF3は、バスBus4を介して、互いに、データ、コマンド等を送受信(入出力)可能である。なお、無線通信処理部41、制御部42、干渉エリア検出部43(収集データ処理部431、エリア情報取得部432および収集データ記憶部DB2)、および、第3通信インターフェースIF3は、バス接続ではなく、直接接続されるものであってもよい。
【0140】
無線通信用(無線LAN用)のアンテナAnt4は、無線通信システム用の電波を送受信するためのアンテナである。
【0141】
無線通信処理部41は、アンテナAnt4を介して、無線通信システム用の電波を外部へ放射させるための処理(制御)を行うとともに、アンテナAnt4を介して、外部から無線通信システム用の電波を受信するための処理(制御)を行う機能部である。また、無線通信処理部41は、受信した電波に対して復調処理を行い、外部の機器(無線通信機(アクセスポイント)WLANAP)から送信されたデータを取得する。そして、無線通信処理部41は、取得したデータを、バスBus4を介して、干渉エリア検出部43の収集データ処理部431に出力する。また、無線通信処理部31は、ステーション側収集データ処理部33から出力される収集データを入力し、当該収集データを含むRF変調信号を生成し、当該RF変調信号によりアンテナAnt3を駆動することで、収集データを含むRF変調信号(無線通信信号)を、例えば、インフラストラクチャー通信(インフラストラクチャーモードによる無線通信)により、無線通信機(アクセスポイント)WLANAPを経由して、干渉エリア解析装置Dev1に送信する。
【0142】
制御部42は、干渉エリア解析装置Dev1の各機能部を制御するための制御部であり、例えば、CPU(および/または、ROM、RAM)を用いて実現される。
【0143】
干渉エリア検出部43は、
図20に示すように、収集データ処理部431と、エリア情報取得部432と、収集データ記憶部DB2とを備える。
【0144】
収集データ処理部431は、無線通信処理部41が外部の機器(無線通信機(アクセスポイント)WLANAP)から受信したデータ(無線通信機(ステーション)WLAN_STA(i)が取得したデータ(収集データ)であって、無線通信機(アクセスポイント)WLANAPを経由して、干渉エリア解析装置Dev1に送信されたデータ)のうち、干渉エリアを検出するためのデータを収集データとして取得する。収集データは、例えば、以下のデータ(情報)を含むものとする。
(1)機器ID(機器を特定するための情報)
(2)機器種類
(3)位置情報(機器の存在する位置に関する情報)
(4)WPT干渉情報
なお、WPT干渉情報は、以下のデータ(情報)を含むものとする。
(4A)受信強度
(4B)送電チャネル
(4C)占有時間(例えば、期間を特定する時刻や統計値)
そして、収集データ処理部431は、上記により取得した収集データを、バスBus4を介して、収集データ記憶部DB2に記憶させる。
【0145】
エリア情報取得部432は、収集データ記憶部DB2に記憶されている収集データを、バスBus4を介して、読み出し、当該収集データを解析することで、エリア情報を取得する。
【0146】
収集データ記憶部DB2は、データを記憶保持する機能部であり、例えば、データベースを用いて実現される。収集データ記憶部DB2は、収集データ処理部431からの書き込み指令に従い、収集データを記憶し、また、エリア情報取得部432からの読み出し指令に従い、収集データを読み出し、読み出した収集データを、バスBus4を介して、エリア情報取得部432に出力する。
【0147】
第3通信インターフェースIF3は、外部(外部機器)との通信インターフェースである。第3通信インターフェースIF3は、有線または無線により、外部(外部機器)と接続し、外部(外部機器)とデータ通信を行うためのインターフェースである。
【0148】
<3.2:干渉エリア解析システムの動作>
以上のように構成された干渉エリア解析システム3000の動作について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0149】
説明便宜のため、
図18の場合(一例)について、干渉エリア解析システム3000の動作を説明する。
図18において、以下の前提が成り立つものとする。
(1)
図18において、一点鎖線の曲線crv1で囲まれた領域AR1は、WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波が届き、かつ、WPT送信装置WPT_Txが無線通信システムの電波を検知できる範囲(キャリアセンスにより、無線通信システムの電波(キャリア)を検知できる範囲)である。
(2)
図18において、実線の曲線crv2で囲まれ、かつ、一点鎖線の曲線crv1で囲まれた領域AR1の外側の領域AR2は、WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波が届くが、WPT送信装置WPT_Txが無線通信システムの電波を検知できない範囲(キャリアセンスにより、無線通信システムの電波(キャリア)を検知できない範囲)である。
(3)
図18において、実線の曲線crv2の外側の領域AR3は、WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波は届かず、かつ、WPT送信装置WPT_Txが無線通信システムの電波を検知できない範囲(キャリアセンスにより、無線通信システムの電波(キャリア)を検知できない範囲)である。
(4)
図18において、実線の曲線crv3で囲まれた領域AR4は、無線通信システム(無線LAN)のサービスエリアであり、無線通信システム(無線LAN)により無線通信を行うことができる領域である。
【0150】
そして、
図18に示すように、WPT送信装置WPT_Txは、領域AR1に設置されており、無線通信機(ステーション)WLAN_STA
(1)~WLAN_STA
(2)は、領域AR2かつ領域AR4(この領域を「AR2∩AR4」と表記する)に設置されているものとする。また、
図18に示すように、無線通信機(ステーション)WLAN_STA
(3)~WLAN_STA
(5)、無線通信機(アクセスポイント)WLANAP、および、干渉エリア解析装置Dev1は、領域AR3、かつ、領域AR4、かつ、領域AR2ではない領域(この領域を「AR3∩AR4∩AR2
c」と表記する(AR2
cは、AR2以外の領域を示す))に設置されているものとする。
【0151】
以下では、上記前提の
図18の場合について、干渉エリア解析システム3000の動作を説明する。
【0152】
例えば、時刻t4~t4’において、WPT送信装置WPT_TxがWPT用の電波を放射したとすると、領域AR2内に存在する無線通信機(ステーション)WLAN_STA(1)~WLAN_STA(2)は、WPT送信装置WPT_Txが放射したWPT用電波を検知する。
【0153】
そして、無線通信機(ステーション)WLAN_STA(1)は、WPT送信装置WPT_Txが放射したWPT用電波を、アンテナAnt3、無線通信処理部31により受信し、受信したデータをステーション側収集データ処理部33に出力する。そして、ステーション側収集データ処理部33は、無線通信処理部31から出力されたデータに基づいて、WPT干渉情報(WPT用電波の受信強度、送電チャネル、占有時間)を取得し、取得したWPT干渉情報と、自装置の機器ID、機器種類、位置情報とを含めたデータを、収集データとして取得(生成)し、記憶保持する。
【0154】
また、無線通信機(ステーション)WLAN_STA(2)は、WPT送信装置WPT_Txが放射したWPT用電波を、アンテナAnt3、無線通信処理部31により受信し、受信したデータをステーション側収集データ処理部33に出力する。そして、ステーション側収集データ処理部33は、無線通信処理部31から出力されたデータに基づいて、WPT干渉情報(WPT用電波の受信強度、送電チャネル、占有時間)を取得し、取得したWPT干渉情報と、自装置の機器ID、機器種類、位置情報とを含めたデータを、収集データとして取得(生成)し、記憶保持する。
【0155】
無線通信機(ステーション)WLAN_STA(1)~WLAN_STA(2)は、それぞれ、所定のタイミングで、記憶保持している収集データを、例えば、インフラストラクチャー通信(インフラストラクチャーモードによる無線通信)により、無線通信機(アクセスポイント)WLANAPを経由して、干渉エリア解析装置Dev1に送信する。
【0156】
干渉エリア解析装置Dev1は、無線通信機(ステーション)WLAN_STA(1)~WLAN_STA(2)が送信した収集データを、例えば、インフラストラクチャー通信(インフラストラクチャーモードによる無線通信)により、無線通信機(アクセスポイント)WLANAPを経由して、受信する。
【0157】
干渉エリア解析装置Dev1は、干渉エリア検出部43の収集データ処理部431により、上記により無線通信機(ステーション)WLAN_STA(1)~WLAN_STA(2)が送信した収集データを取得し、当該収集データを、収集データ記憶部DB2に記憶する。
【0158】
そして、干渉エリア解析装置Dev1は、所定の期間において、無線通信機(ステーション)WLAN_STA(1)~WLAN_STA(5)から取得した収集データを解析することで、エリア検出処理を行う。なお、無線通信機(ステーション)WLAN_STA(3)~WLAN_STA(5)は、領域AR3に存在するため、WPT用電波を受信することがないので、WPT干渉情報のない(WPT干渉情報を含まない)収集データ(機器ID、機器種類、位置情報のみを含む収集データ)を、例えば、インフラストラクチャー通信(インフラストラクチャーモードによる無線通信)により、無線通信機(アクセスポイント)WLANAPを経由して、干渉エリア解析装置Dev1に送信する。
【0159】
図21に、干渉エリア解析装置Dev1が上記処理を行うことで取得した収集データ(一例)を示す。
【0160】
そして、干渉エリア解析装置Dev1のエリア情報取得部432が、収集データ(例えば、
図21の収集データ)を解析することにより、干渉エリアの検出(推定)を行うことができる。例えば、干渉エリア解析装置Dev1のエリア情報取得部432は、収集データの解析結果に基づいて、
図22に示すように、領域AR2∩AR4、領域AR3∩AR4∩AR2
cに含まれる機器をグラフ表示(ノードとエッジによるグラフ表示)することで、
(1)領域AR2∩AR4(WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波が届き、かつ、無線通信システム(無線LAN)のサービスエリア)(無線通信システムの電波がWPT用電波から干渉を受ける領域)、
(2)AR3∩AR4∩AR2
c(WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波が届かず、かつ、無線通信システム(無線LAN)のサービスエリア)(無線通信システムの電波がWPT用電波から干渉を受けない領域(WPT_TxからのWPT用電波が届かない範囲))
を検出(推定)できる。
【0161】
さらに、干渉エリア解析装置Dev1のエリア情報取得部432は、収集データの解析結果に基づいて、2次元マップとして、収集データの解析結果を可視化して表示するようにしてもよい。エリア情報取得部432は、例えば、
図23に示すように、2次元マップ上に、WPT送信装置WPT_Tx、無線通信機(ステーション)、無線通信機(アクセスポイント)を配置して表示し、さらに、領域AR2、領域AR3、および、領域AR4の境界線(推定境界線)crv2_pred、crv3_predを重畳して表示することで、収集データの解析結果を可視化した2次元マップを取得するようにしてもよい。
【0162】
以上のように、干渉エリア解析システム3000では、WPT用電波および無線通信用電波を検知できる複数の無線通信機(ステーション)が検知したWPT用電波から取得される情報(WPT干渉情報)と無線通信機(ステーション)の情報とを含むデータ(収集データ)を、干渉エリア解析装置Dev1が収集し、収集したデータを解析することで、干渉エリアを適切に検出(把握)することができる。すなわち、干渉エリア解析システム3000では、上記のように処理することで、送信出力や利用目的が大きく異なる異種の無線システムを共存するために干渉領域を適切に把握することができる。
【0163】
なお、上記では、干渉エリア解析装置Dev1が、無線通信機(アクセスポイント)から、無線通信により収集データを取得する(収集データを含む無線通信信号を受信する)場合について説明したが、これに限定されることはない。例えば、干渉エリア解析装置Dev1と無線通信機(アクセスポイント)とが有線回線(例えば、有線ネットワーク)で接続されており、当該有線回線を介して、無線通信機(アクセスポイント)から干渉エリア解析装置Dev1へ収集データが送信されるものであってもよい。
【0164】
また、上記では、干渉エリア解析装置Dev1が独立した装置である場合について説明したが、これに限定されることはない。例えば、干渉エリア解析装置Dev1の全部または一部の機能部を無線通信機(アクセスポイント)に含め、無線通信機(アクセスポイント)において、干渉エリア解析処理、干渉エリア検出処理を実行するようにしてもよい。
【0165】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について、説明する。なお、上記実施形態と同様の部分については、同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0166】
<4.1:干渉エリア解析システムの構成>
図24は、第4実施形態に係る干渉エリア解析システム4000の概略構成図であり、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と、無線通信システムとが共存する状況を模式的に示した図である。
【0167】
図25は、第4実施形態に係る干渉エリア解析システム4000のセンサ装置Sen
(i)(i:整数、1≦i≦N(N:自然数、Nはセンサ装置の数))の概略構成図である。
【0168】
図26は、第4実施形態に係る干渉エリア解析システム4000の干渉エリア解析装置Dev1Aの概略構成図である。
【0169】
干渉エリア解析システム4000は、
図24に示すように、WPT送信装置WPT_Txと、N個(N:自然数)のセンサ装置Sen
(1)~Sen
(N)(
図24では、N=5)と、干渉エリア解析装置Dev1とを備える。
【0170】
WPT送信装置WPT_Txは、WPT用の送信機であり、WPT用通信を行うとともに、WPT用の送電用の電波を放射する機能を有している。
【0171】
センサ装置Sen
(i)(i:整数、1≦i≦N(N:自然数、Nはセンサ装置の数))は、WPT用電波を検知するためのセンサである。センサ装置Sen
(i)は、
図25に示すように、アンテナAnt5と、WPT処理部51と、センサ制御部52と、センサ側収集データ処理部53と、第4通信インターフェースIF5とを備える。センサ装置Sen
(i)は、収集データ(WPT干渉情報を含むデータ)を取得し、取得した収集データを、第4通信インターフェースIF5を介して干渉エリア解析装置Dev1Aに送信する。
【0172】
アンテナAnt5は、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)用の電波を受信するアンテナである。
【0173】
WPT処理部51は、アンテナAnt5を介して、外部からWPT用の電波を受信するための処理(制御)を行う機能部である。また、WPT処理部51は、受信したWPT用電波に対して復調処理を行い、外部の機器(WPT受電装置)から送信されたデータを取得する。そして、WPT処理部51は、取得したデータを、バスBus5を介して、センサ側収集データ処理部53に出力する。
【0174】
センサ制御部52は、センサ装置Sen(i)の各機能部を制御するための制御部であり、例えば、CPU(および/または、ROM、RAM)を用いて実現される。
【0175】
センサ側収集データ処理部53は、WPT処理部51が外部の機器(WPT受電装置)から受信したデータのうち、干渉エリアを検出するためのデータを収集データとして取得する。収集データは、例えば、以下のデータ(情報)を含むものとする。
(1)機器ID(機器を特定するための情報)
(2)機器種類
(3)位置情報(機器の存在する位置に関する情報)
(4)WPT干渉情報
なお、WPT干渉情報は、以下のデータ(情報)を含むものとする。
(4A)受信強度
(4B)送電チャネル
(4C)占有時間(例えば、期間を特定する時刻や統計値)
そして、センサ側収集データ処理部53は、上記により取得した収集データを記憶保持する。センサ側収集データ処理部53は、所定のタイミングで、記憶保持している収集データを、第4通信インターフェースIF5に出力し、当該収集データは、第4通信インターフェースIF5を介して、干渉エリア解析装置Dev1Aに送信される。
【0176】
第4通信インターフェースIF5は、外部(外部機器)との通信インターフェースである。第4通信インターフェースIF5は、有線または無線により、外部(外部機器)と接続し、外部(外部機器)とデータ通信を行うためのインターフェースである。なお、本実施形態では、第4通信インターフェースIF5は、干渉エリア解析装置Dev1Aと、有線または無線により、データ通信を行う(収集データを干渉エリア解析装置Dev1Aに送信する)。
【0177】
干渉エリア解析装置Dev1Aは、
図26に示すように、第3実施形態の干渉エリア解析装置Dev1において、無線通信用(無線LAN用)のアンテナAnt4と、無線通信処理部41と、を削除した構成を有している。そして、干渉エリア解析装置Dev1Aは、第3通信インターフェースIF3を介して、センサ装置Sen
(i)から収集データを受信する。そして、第3通信インターフェースIF3は、センサ装置Sen
(i)から受信した収集データを収集データ処理部431に出力する。
【0178】
干渉エリア解析装置Dev1Aの制御部42、干渉エリア検出部43(収集データ処理部431、収集データ記憶部DB2、エリア情報取得部432)は、第3実施形態の制御部42、干渉エリア検出部43(収集データ処理部431、収集データ記憶部DB2、エリア情報取得部432)と同様の構成、機能を有している。
【0179】
<4.2:干渉エリア解析システムの動作>
以上のように構成された干渉エリア解析システム4000の動作について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0180】
説明便宜のため、
図24の場合(一例)について、干渉エリア解析システム4000の動作を説明する。
図24において、以下の前提が成り立つものとする。
(1)
図24において、一点鎖線の曲線crv1で囲まれた領域AR1は、WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波が届き、かつ、WPT送信装置WPT_Txが無線通信システムの電波を検知できる範囲(キャリアセンスにより、無線通信システムの電波(キャリア)を検知できる範囲)である。
(2)
図24において、実線の曲線crv2で囲まれ、かつ、一点鎖線の曲線crv1で囲まれた領域AR1の外側の領域AR2は、WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波が届くが、WPT送信装置WPT_Txが無線通信システムの電波を検知できない範囲(キャリアセンスにより、無線通信システムの電波(キャリア)を検知できない範囲)である。
(3)
図24において、実線の曲線crv2の外側の領域AR3は、WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波は届かず、かつ、WPT送信装置WPT_Txが無線通信システムの電波を検知できない範囲(キャリアセンスにより、無線通信システムの電波(キャリア)を検知できない範囲)である。
(4)
図24において、実線の曲線crv3で囲まれた領域AR4は、無線通信システム(無線LAN)のサービスエリアであり、無線通信システム(無線LAN)により無線通信を行うことができる領域である。
【0181】
そして、
図24に示すように、WPT送信装置WPT_Txは、領域AR1に設置されており、センサ装置Sen
(1)~Sen
(2)は、領域AR2かつ領域AR4(この領域を「AR2∩AR4」と表記する)に設置されているものとする。また、
図24に示すように、センサ装置Sen
(3)~Sen
(5)、無線通信機(アクセスポイント)WLANAP、および、干渉エリア解析装置Dev1Aは、領域AR3、かつ、領域AR4、かつ、領域AR2ではない領域(この領域を「AR3∩AR4∩AR2
c」と表記する(AR2
cは、AR2以外の領域を示す))に設置されているものとする。
【0182】
以下では、上記前提の
図24の場合について、干渉エリア解析システム4000の動作を説明する。
【0183】
例えば、時刻t4~t4’において、WPT送信装置WPT_TxがWPT用の電波を放射したとすると、領域AR2内に存在するセンサ装置Sen(1)~Sen(2)は、WPT送信装置WPT_Txが放射したWPT用電波を検知する。
【0184】
そして、センサ装置Sen(1)は、WPT送信装置WPT_Txが放射したWPT用電波を、アンテナAnt5、WPT処理部51により受信し、受信したデータをセンサ側収集データ処理部53に出力する。そして、センサ側収集データ処理部53は、WPT処理部51から出力されたデータに基づいて、WPT干渉情報(WPT用電波の受信強度、送電チャネル、占有時間)を取得し、取得したWPT干渉情報と、自装置の機器ID、機器種類、位置情報とを含めたデータを、収集データとして取得(生成)し、記憶保持する。
【0185】
また、センサ装置Sen(2)は、WPT送信装置WPT_Txが放射したWPT用電波を、アンテナAnt5、WPT処理部51により受信し、受信したデータをセンサ側収集データ処理部53に出力する。そして、センサ側収集データ処理部53は、WPT処理部51から出力されたデータに基づいて、WPT干渉情報(WPT用電波の受信強度、送電チャネル、占有時間)を取得し、取得したWPT干渉情報と、自装置の機器ID、機器種類、位置情報とを含めたデータを、収集データとして取得(生成)し、記憶保持する。
【0186】
センサ装置Sen(1)~Sen(2)は、それぞれ、所定のタイミングで、記憶保持している収集データを、第4通信インターフェースIF5を介して、干渉エリア解析装置Dev1Aに送信する。
【0187】
干渉エリア解析装置Dev1Aは、センサ装置Sen(1)~Sen(2)が送信した収集データを、第3通信インターフェースIF3により、受信する。
【0188】
干渉エリア解析装置Dev1Aは、干渉エリア検出部43の収集データ処理部431により、上記によりセンサ装置Sen(1)~Sen(2)が送信した収集データを取得し、当該収集データを、収集データ記憶部DB2に記憶する。
【0189】
そして、干渉エリア解析装置Dev1Aは、所定の期間において、センサ装置Sen(1)~Sen(5)から取得した収集データを解析することで、エリア検出処理を行う。なお、センサ装置Sen(3)~Sen(5)は、領域AR3に存在するため、WPT用電波を受信することがないので、WPT干渉情報のない(WPT干渉情報を含まない)収集データ(機器ID、機器種類、位置情報のみを含む収集データ)を、第4通信インターフェースIF5を介して干渉エリア解析装置Dev1Aに送信する。そして、干渉エリア解析装置Dev1Aは、第3通信インターフェースIF3を介して、センサ装置Sen(3)~Sen(5)からのデータ(収集データ)を受信する。
【0190】
図27に、干渉エリア解析装置Dev1Aが上記処理を行うことで取得した収集データ(一例)を示す。
【0191】
そして、干渉エリア解析装置Dev1Aのエリア情報取得部432が、収集データ(例えば、
図27の収集データ)を解析することにより、干渉エリアの検出(推定)を行うことができる。例えば、干渉エリア解析装置Dev1Aのエリア情報取得部432は、収集データの解析結果に基づいて、
図28に示すように、領域AR2∩AR4、領域AR3∩AR4∩AR2
cに含まれる機器をグラフ表示(ノードとエッジによるグラフ表示)することで、
(1)領域AR2∩AR4(WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波が届き、かつ、無線通信システム(無線LAN)のサービスエリア)(無線通信システムの電波がWPT用電波から干渉を受ける領域)、
(2)AR3∩AR4∩AR2
c(WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波が届かず、かつ、無線通信システム(無線LAN)のサービスエリア)(無線通信システムの電波がWPT用電波から干渉を受けない領域(WPT_TxからのWPT用電波が届かない範囲))
を検出(推定)できる。
【0192】
さらに、干渉エリア解析装置Dev1Aのエリア情報取得部432は、収集データの解析結果に基づいて、2次元マップとして、収集データの解析結果を可視化して表示するようにしてもよい。エリア情報取得部432は、例えば、
図29に示すように、2次元マップ上に、WPT送信装置WPT_Tx、センサ装置を配置して表示し、さらに、領域AR2、領域AR3、および、領域AR4の境界線(推定境界線)crv2_pred、crv3_predを重畳して表示することで、収集データの解析結果を可視化した2次元マップを取得するようにしてもよい。
【0193】
以上のように、干渉エリア解析システム4000では、WPT用電波を検知できる複数のセンサ装置が検知したWPT用電波から取得される情報(WPT干渉情報)とセンサ装置の情報とを含むデータ(収集データ)を、干渉エリア解析装置Dev1Aが収集し、収集したデータを解析することで、干渉エリアを適切に検出(把握)することができる。本実施形態では、無線通信システムのサービスエリアに集中的にセンサ装置を配置しているが、これは送信電力が小さい無線システム(本実施形態では、無線通信システム)の電波が送信電力が大きい無線システム(本実施形態では、WPT)の電波の干渉の影響を大きく受けるため、無線通信システムのサービスエリアでのWPT用電波の影響(干渉エリア)を、コストを掛けずに高精度に把握するためである。
【0194】
干渉エリア解析システム4000では、上記のように処理することで、送信出力や利用目的が大きく異なる異種の無線システムを共存するために干渉領域を適切に把握することができる。
【0195】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態について、説明する。なお、上記実施形態と同様の部分については、同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0196】
<5.1:干渉エリア解析システムの構成>
図30は、第5実施形態に係る干渉エリア解析システム5000の概略構成図であり、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と、無線通信システムとが共存する状況を模式的に示した図である。
【0197】
図31は、第3実施形態に係る干渉エリア解析システム5000の無線通信機(ステーション)WLAN_STA
(i)(i:整数、1≦i≦N(N:自然数、Nは無線通信機(ステーション)の数))の概略構成図である。
【0198】
図32は、第5実施形態に係る干渉エリア解析システム3000の無線通信機(アクセスポイント)WLANAPの概略構成図である。
【0199】
干渉エリア解析システム5000は、
図30に示すように、WPT送信装置WPT_Txと、N個(N:自然数)の張り出しアンテナ付き無線通信機(ステーション)WLAN_STA
(1)~WLAN_STA
(N)(
図30では、N=5)と、張り出しアンテナ付き無線通信機(アクセスポイント)WLANAPと、干渉エリア解析装置Dev1とを備える。
【0200】
WPT送信装置WPT_Txは、WPT用の送信機であり、WPT用通信を行うとともに、WPT用の送電用の電波を放射する機能を有している。
【0201】
無線通信機(ステーション)WLAN_STA(i)(i:整数、1≦i≦N(N:自然数、Nは無線通信機(ステーション)の数))は、無線通信用(無線LAN用)のステーションであり、無線LANにより、データの送受信を行う装置である。無線通信機(ステーション)WLAN_STA(i)は、第3実施形態の無線通信機(ステーション)WLAN_STA(i)において、外部アンテナ用処理部34を追加した構成を有しており、外部アンテナ用処理部34に、1または複数の張り出しアンテナeA(i-1)~eA(i-Ni)(Niは、張り出しアンテナの数)が接続されている。
【0202】
無線通信機(ステーション)WLAN_STA
(i)は、
図31に示すように、アンテナAnt3Aと、無線通信処理部31Aと、ステーション制御部32と、ステーション側収集データ処理部33とを備える。無線通信機(ステーション)WLAN_STA
(i)の各機能部は、例えば、
図31に示すようにバスBus3を介して、互いに通信可能に接続されている。無線通信機(ステーション)WLAN_STA
(i)は、収集データ(WPT干渉情報を含むデータ)を取得し、取得した収集データを、例えば、インフラストラクチャー通信(インフラストラクチャーモードによる無線通信)により、無線通信機(アクセスポイント)WLANAPを経由して、干渉エリア解析装置Dev1に送信する。
【0203】
アンテナAnt3Aは、無線通信システム用の電波を送受信するためのアンテナである。
【0204】
無線通信処理部31Aは、アンテナAnt3Aを介して、無線通信システム用の電波を外部へ放射させるための処理(制御)を行うとともに、アンテナAnt3Aを介して、外部から無線通信システム用の電波を受信するための処理(制御)を行う機能部である。また、無線通信処理部31Aは、受信した電波に対して復調処理を行い、外部の機器(無線通信機)から送信されたデータを取得する。また、無線通信処理部31Aは、ステーション側収集データ処理部33から出力される収集データを入力し、当該収集データを含むRF変調信号を生成し、当該RF変調信号によりアンテナAnt3Aを駆動することで、収集データを含むRF変調信号(無線通信信号)を、例えば、インフラストラクチャー通信(インフラストラクチャーモードによる無線通信)により、無線通信機(アクセスポイント)WLANAPを経由して、干渉エリア解析装置Dev1に送信する。
【0205】
ステーション制御部32は、無線通信機(ステーション)WLAN_STA(i)の各機能部を制御するための制御部であり、例えば、CPU(および/または、ROM、RAM)を用いて実現される。
【0206】
ステーション側収集データ処理部33は、外部アンテナ用処理部14が張り出しアンテナにより受信したデータのうち、干渉エリアを検出するためのデータを収集データとして取得する。収集データは、例えば、以下のデータ(情報)を含むものとする。
(1)機器ID(機器、張り出しアンテナを特定するための情報)
(2)機器種類
(3)位置情報(張り出しアンテナの存在する位置に関する情報)
(4)WPT干渉情報
なお、WPT干渉情報は、以下のデータ(情報)を含むものとする。
(4A)受信強度
(4B)送電チャネル
(4C)占有時間(例えば、期間を特定する時刻や統計値)
そして、ステーション側収集データ処理部33は、上記により取得した収集データを記憶保持する。ステーション側収集データ処理部33は、所定のタイミングで、記憶保持している収集データを無線通信処理部31に出力する。
【0207】
外部アンテナ用処理部34は、張り出しアンテナeA(1-1)~eA(1-Ni)と接続されており、張り出しアンテナeA(1-1)~eA(1-Ni)により取得した電波を取得し(または復調して取得し)、当該電波に含まれるデータを取得する。そして、外部アンテナ用処理部34は、取得したデータを、バスBus3を介して、ステーション側収集データ処理部33に出力する。
【0208】
無線通信機(アクセスポイント)WLANAPは、無線通信システム用(無線LAN用)のアクセスポイントであり、無線通信機(ステーション)WLAN_STA
(i)と無線通信(無線LANによる通信)を行うことが可能な装置である。また、無線通信機(アクセスポイント)WLANAPは、例えば、インフラストラクチャーモードにより、無線通信機(ステーション)WLAN_STA
(i)から送信された、送信先を干渉エリア解析装置Dev1とするデータ(無線通信信号)を受信し、受信した当該データ(無線通信信号)を干渉エリア解析装置Dev1に送信する。無線通信機(アクセスポイント)WLANAPは、例えば、
図32に示すように、無線通信処理部61と、AP制御部62と、AP側収集データ処理部63と、外部アンテナ用処理部64と、AP通信インターフェースIFAPとを備える。無線通信機(アクセスポイント)WLANAPの各機能部は、例えば、
図32に示すようにバスBus6を介して、互いに通信可能に接続されている。
【0209】
アンテナAnt6は、無線通信システム用の電波を送受信するためのアンテナである。
【0210】
無線通信処理部61は、アンテナAnt6を介して、無線通信システム用の電波を外部へ放射させるための処理(制御)を行うとともに、アンテナAnt6を介して、外部から無線通信システム用の電波を受信するための処理(制御)を行う機能部である。また、無線通信処理部61は、受信した電波に対して復調処理を行い、外部の機器(無線通信機)から送信されたデータを取得する。また、無線通信処理部61は、AP側収集データ処理部63から出力される収集データを入力し、当該収集データを含むRF変調信号を生成し、当該RF変調信号によりアンテナAnt6を駆動することで、収集データを含むRF変調信号(無線通信信号)を、例えば、インフラストラクチャー通信(インフラストラクチャーモードによる無線通信)により、無線通信機(アクセスポイント)WLANAPを経由して、干渉エリア解析装置Dev1に送信する。
【0211】
AP制御部62は、無線通信機(アクセスポイント)WLANAPの各機能部を制御するための制御部であり、例えば、CPU(および/または、ROM、RAM)を用いて実現される。
【0212】
AP側収集データ処理部63は、外部アンテナ用処理部64が張り出しアンテナにより受信したデータのうち、干渉エリアを検出するためのデータを収集データとして取得する。収集データは、例えば、以下のデータ(情報)を含むものとする。
(1)機器ID(機器、張り出しアンテナを特定するための情報)
(2)機器種類
(3)位置情報(張り出しアンテナの存在する位置に関する情報)
(4)WPT干渉情報
なお、WPT干渉情報は、以下のデータ(情報)を含むものとする。
(4A)受信強度
(4B)送電チャネル
(4C)占有時間(例えば、期間を特定する時刻や統計値)
そして、AP側収集データ処理部63は、上記により取得した収集データを記憶保持する。AP側収集データ処理部63は、所定のタイミングで、記憶保持している収集データを無線通信処理部61に出力する。
【0213】
外部アンテナ用処理部64は、張り出しアンテナeA(AP-1)~eA(AP-Na)(Naは、張り出しアンテナの数)と接続されており、張り出しアンテナeA(AP-1)~eA(AP-Na)により取得した電波を取得し(または復調して取得し)、当該電波に含まれるデータを取得する。そして、外部アンテナ用処理部64は、取得したデータを、バスBus6を介して、AP側収集データ処理部63に出力する。
【0214】
AP通信インターフェースIFAPは、外部(外部機器)との通信インターフェースである。AP通信インターフェースIFAPは、有線または無線により、外部(外部機器)と接続し、外部(外部機器)とデータ通信を行うためのインターフェースである。
【0215】
干渉エリア解析装置Dev1は、第3実施形態の干渉エリア解析装置Dev1と同様の構成、機能を有している。
【0216】
<5.2:干渉エリア解析システムの動作>
以上のように構成された干渉エリア解析システム5000の動作について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0217】
説明便宜のため、
図30の場合(一例)について、干渉エリア解析システム5000の動作を説明する。
図30において、以下の前提が成り立つものとする。
(1)
図30において、一点鎖線の曲線crv1で囲まれた領域AR1は、WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波が届き、かつ、WPT送信装置WPT_Txが無線通信システムの電波を検知できる範囲(キャリアセンスにより、無線通信システムの電波(キャリア)を検知できる範囲)である。
(2)
図30において、実線の曲線crv2で囲まれ、かつ、一点鎖線の曲線crv1で囲まれた領域AR1の外側の領域AR2は、WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波が届くが、WPT送信装置WPT_Txが無線通信システムの電波を検知できない範囲(キャリアセンスにより、無線通信システムの電波(キャリア)を検知できない範囲)である。
(3)
図30において、実線の曲線crv2の外側の領域AR3は、WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波は届かず、かつ、WPT送信装置WPT_Txが無線通信システムの電波を検知できない範囲(キャリアセンスにより、無線通信システムの電波(キャリア)を検知できない範囲)である。
(4)
図30において、実線の曲線crv3で囲まれた領域AR4は、無線通信システム(無線LAN)のサービスエリアであり、無線通信システム(無線LAN)により無線通信を行うことができる領域である。
【0218】
そして、
図30に示すように、WPT送信装置WPT_Txは、領域AR1に設置されており、無線通信機(ステーション)WLAN_STA
(1)~WLAN_STA
(2)およびその張り出しアンテナ(eA
(1-1)、eA
(1-2)、eA
(2-1)、eA
(2-2))は、領域AR2かつ領域AR4(この領域を「AR2∩AR4」と表記する)に設置されているものとする。また、
図30に示すように、(A)無線通信機(ステーション)WLAN_STA
(3)~WLAN_STA
(5)およびその張り出しアンテナ(eA
(3-1)、eA
(3-2)、eA
(4-1)、eA
(4-2)、eA
(4-1)、eA
(4-2))、(B)無線通信機(アクセスポイント)WLANAPおよびその張り出しアンテナ(eA
(AP-1)、eA
(AP-2))、並びに、(C)干渉エリア解析装置Dev1は、領域AR3、かつ、領域AR4、かつ、領域AR2ではない領域(この領域を「AR3∩AR4∩AR2
c」と表記する(AR2
cは、AR2以外の領域を示す))に設置されているものとする。
【0219】
以下では、上記前提の
図30の場合について、干渉エリア解析システム5000の動作を説明する。
【0220】
例えば、時刻t4~t4’において、WPT送信装置WPT_TxがWPT用の電波を放射したとすると、領域AR2内に存在する張り出しアンテナ(eA(1-1)、eA(1-2)、eA(2-1)、eA(2-2))は、WPT送信装置WPT_Txが放射したWPT用電波を検知する。
【0221】
そして、無線通信機(ステーション)WLAN_STA(1)は、WPT送信装置WPT_Txが放射したWPT用電波を、張り出しアンテナeA(1-1)、eA(1-2)、外部アンテナ用処理部34により受信し、受信したデータをステーション側収集データ処理部33に出力する。そして、ステーション側収集データ処理部33は、外部アンテナ用処理部34から出力されたデータに基づいて、WPT干渉情報(WPT用電波の受信強度、送電チャネル、占有時間)を取得し、取得したWPT干渉情報と、自装置の機器ID(張り出しアンテナを特定するID)、機器種類、位置情報とを含めたデータを、収集データとして取得(生成)し、記憶保持する。
【0222】
また、無線通信機(ステーション)WLAN_STA(2)は、WPT送信装置WPT_Txが放射したWPT用電波を、張り出しアンテナeA(2-1)、eA(2-2)、外部アンテナ用処理部34により受信し、受信したデータをステーション側収集データ処理部33に出力する。そして、ステーション側収集データ処理部33は、外部アンテナ用処理部34から出力されたデータに基づいて、WPT干渉情報(WPT用電波の受信強度、送電チャネル、占有時間)を取得し、取得したWPT干渉情報と、自装置の機器ID(張り出しアンテナを特定するID)、機器種類、位置情報とを含めたデータを、収集データとして取得(生成)し、記憶保持する。
【0223】
無線通信機(ステーション)WLAN_STA(1)~WLAN_STA(2)は、それぞれ、所定のタイミングで、記憶保持している収集データを、例えば、インフラストラクチャー通信(インフラストラクチャーモードによる無線通信)により、無線通信機(アクセスポイント)WLANAPを経由して、干渉エリア解析装置Dev1に送信する。
【0224】
干渉エリア解析装置Dev1は、無線通信機(ステーション)WLAN_STA(1)~WLAN_STA(2)が送信した収集データを、例えば、インフラストラクチャー通信(インフラストラクチャーモードによる無線通信)により、無線通信機(アクセスポイント)WLANAPを経由して、受信する。
【0225】
干渉エリア解析装置Dev1は、干渉エリア検出部43の収集データ処理部431により、上記により無線通信機(ステーション)WLAN_STA(1)~WLAN_STA(2)が送信した収集データを取得し、当該収集データを、収集データ記憶部DB2に記憶する。
【0226】
そして、干渉エリア解析装置Dev1は、所定の期間において、無線通信機(ステーション)WLAN_STA(1)~WLAN_STA(5)、および、無線通信機(アクセスポイント)WLANAPから取得した収集データを解析することで、エリア検出処理を行う。なお、無線通信機(ステーション)WLAN_STA(3)~WLAN_STA(5)、および、無線通信機(アクセスポイント)WLANAPの張り出しアンテナは、領域AR3に存在するため、WPT用電波を受信することがないので、WPT干渉情報のない(WPT干渉情報を含まない)収集データ(機器ID、機器種類、位置情報のみを含む収集データ)を、例えば、インフラストラクチャー通信(インフラストラクチャーモードによる無線通信)により、無線通信機(アクセスポイント)WLANAPを経由して、干渉エリア解析装置Dev1に送信する。
【0227】
図33,
図34に、干渉エリア解析装置Dev1が上記処理を行うことで取得した収集データ(一例)を示す。
【0228】
そして、干渉エリア解析装置Dev1のエリア情報取得部432が、収集データ(例えば、
図33、
図34の収集データ)を解析することにより、干渉エリアの検出(推定)を行うことができる。例えば、干渉エリア解析装置Dev1のエリア情報取得部432は、収集データの解析結果に基づいて、
図35に示すように、領域AR2∩AR4、領域AR3∩AR4∩AR2
cに含まれる機器をグラフ表示(ノードとエッジによるグラフ表示)することで、
(1)領域AR2∩AR4(WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波が届き、かつ、無線通信システム(無線LAN)のサービスエリア)(無線通信システムの電波がWPT用電波から干渉を受ける領域)、
(2)AR3∩AR4∩AR2
c(WPT送信装置WPT_TxからのWPT用電波が届かず、かつ、無線通信システム(無線LAN)のサービスエリア)(無線通信システムの電波がWPT用電波から干渉を受けない領域(WPT_TxからのWPT用電波が届かない範囲))
を検出(推定)できる。
【0229】
さらに、干渉エリア解析装置Dev1のエリア情報取得部432は、収集データの解析結果に基づいて、2次元マップとして、収集データの解析結果を可視化して表示するようにしてもよい。エリア情報取得部432は、例えば、
図36に示すように、2次元マップ上に、WPT送信装置WPT_Tx、無線通信機(ステーション)の張り出しアンテナ、無線通信機(アクセスポイント)の張り出しアンテナを配置して表示し、さらに、領域AR2、領域AR3、および、領域AR4の境界線(推定境界線)crv2_pred、crv3_predを重畳して表示することで、収集データの解析結果を可視化した2次元マップを取得するようにしてもよい。
【0230】
以上のように、干渉エリア解析システム5000では、WPT用電波を検知できる複数の張り出しアンテナが検知したWPT用電波から取得される情報(WPT干渉情報)と、張り出しアンテナ(および張り出しアンテナを備える機器)の情報とを含むデータ(収集データ)を、干渉エリア解析装置Dev1Aが収集し、収集したデータを解析することで、干渉エリアを適切に検出(把握)することができる。本実施形態では、無線通信システムのサービスエリアに集中的に張り出しアンテナを配置しているが、これは送信電力が小さい無線システム(本実施形態では、無線通信システム)の電波が送信電力が大きい無線システム(本実施形態では、WPT)の電波の干渉の影響を大きく受けるため、無線通信システムのサービスエリアでのWPT用電波の影響(干渉エリア)を、コストを掛けずに高精度に把握するためである。
【0231】
干渉エリア解析システム4000では、上記のように処理することで、送信出力や利用目的が大きく異なる異種の無線システムを共存するために干渉領域を適切に把握することができる。
【0232】
[他の実施形態]
上記実施形態において、干渉エリア解析システム1000、2000、3000、4000、5000では、収集データに「位置情報」を含む場合について説明したが、これに限定されることはない。干渉エリア解析システム1000、2000、3000、4000、5000において、「位置情報」を含まない収集データを用いて、上記実施形態で説明した処理を行うようにしてもよい。この場合においても、領域AR1~AR3に含まれる装置を検出することができるため、干渉エリア解析処理(あるいは干渉エリア検出処理)を行うことができる。なお、干渉エリア解析システム1000、2000、3000、4000、5000において、収集データに「位置情報」を含め、当該「位置情報」を、干渉エリア解析処理(あるいは干渉エリア検出処理)の精度を向上させるために補助的に使用するようにしてもよい。また、干渉エリア解析システム1000、2000、3000、4000、5000において、収集データに「位置情報」を含め、当該「位置情報」を、干渉エリア解析処理(あるいは干渉エリア検出処理)結果を可視化するために(例えば、2次元マップとして表示するために)、使用するようにしてもよい。
【0233】
また、上記実施形態において、干渉エリア解析システムでは、送信出力や利用目的が大きく異なる異種の無線システムとして、(1)空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)と、(2)無線通信システム(無線LAN)とを共存させる場合について、説明したがこれに限定されることない。送信出力や利用目的が大きく異なる異種の無線システムを、上記以外のシステムとして、本発明を適用してもよい。
【0234】
また、上記実施形態において、干渉エリア解析システムでは、送信出力や利用目的が大きく異なる異種の無線システムを共存するために干渉領域を適切に把握する方法について説明したが、干渉エリア解析システムで検出した干渉領域(干渉する可能性が高い領域)を用いて、以下のようなことを実現してもよい。
(1)WPTシステムの設置設計に利用:周囲の無線システムへの影響を最小化しつつ送電効率を確保するような、送電装置の設置・アンテナ設計、送電サービスエリアの調整
(2)無線通信システムの設置設計に利用:既設のWPTシステムからの影響を最小化しつつ、必要な通信を行えるような通信機器の配置やチャネルの設定
(3)WPTが検知できない与干渉通信機の存在を把握し、WPT送電装置のキャリアセンス情報を補完、効率的な送電制御を実施
(4)WPT被干渉エリア外と内にいる無線通信機同士が通信する場合に、WPTの存在を想定して、送電スケジュールを予測して影響を最小化する送信制御を実施
また、上記実施形態の干渉エリア解析システムにおいて、WPT用の電波(送電用電波)の検出方法(判別方法)として、以下の手法を採用するようにしてもよい。
(1)周波数・時間軸上のパターンを解析することで、WPT用の電波(送電用電波)を判別する。
(2)WPTの送信情報フレームに識別子等を載せ、受信側でデコードすることで、WPT用の電波(送電用電波)を判別する。
(3)RF復調したとき、無変調波であることを検知した場合、WPT用の電波(送電用電波)と判別する。
【0235】
また、上記実施形態において、干渉エリア解析システムに含まれる、干渉エリア解析装置、WPT送信装置、WPT受電装置、無線通信機(ステーション、アクセスポイント)、センサ装置、および/または、張り出しアンテナ(各装置に設置される張り出しアンテナ)の位置(配置)、数が所定の場合について説明したが、これに限定されることなく、干渉エリア解析システムに含まれる、干渉エリア解析装置、WPT送信装置、WPT受電装置、無線通信機(ステーション、アクセスポイント)、および/または、張り出しアンテナの位置(配置)、数は、他の位置(配置)、他の数であってもよい。
【0236】
また、上記実施形態の一部または全部を組み合わせて、干渉エリア解析システム、干渉エリア解析装置、無線通信機(ステーション、アクセスポイント)、センサ装置等を構成するようにしてもよい。
【0237】
また、上記実施形態で説明した干渉エリア解析システムに含まれる、干渉エリア解析装置、WPT送信装置、WPT受電装置、無線通信機(ステーション、アクセスポイント)、および/または、センサ装置において、各ブロックは、LSIなどの半導体装置により個別に1チップ化されても良いし、一部又は全部を含むように1チップ化されても良い。
【0238】
なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0239】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用しても良い。
【0240】
また、上記各実施形態の各機能ブロックの処理の一部または全部は、プログラムにより実現されるものであってもよい。そして、上記各実施形態の各機能ブロックの処理の一部または全部は、コンピュータにおいて、中央演算装置(CPU)により行われる。また、それぞれの処理を行うためのプログラムは、ハードディスク、ROMなどの記憶装置に格納されており、ROMにおいて、あるいはRAMに読み出されて実行される。
【0241】
また、上記実施形態の各処理をハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア(OS(オペレーティングシステム)、ミドルウェア、あるいは、所定のライブラリとともに実現される場合を含む。)により実現してもよい。さらに、ソフトウェアおよびハードウェアの混在処理により実現しても良い。
【0242】
また、例えば、上記実施形態(変形例を含む)の各機能部を、ソフトウェアにより実現する場合、
図13に示したハードウェア構成(例えば、CPU(GPUであってもよい)、ROM、RAM、入力部、出力部等をバスBusにより接続したハードウェア構成)を用いて、各機能部をソフトウェア処理により実現するようにしてもよい。
【0243】
また、上記実施形態(変形例)の各機能部をソフトウェアにより実現する場合、当該ソフトウェアは、
図13に示したハードウェア構成を有する単独のコンピュータを用いて実現されるものであってもよいし、複数のコンピュータを用いて分散処理により実現されるものであってもよい。
【0244】
また、上記実施形態における処理方法の実行順序は、必ずしも、上記実施形態の記載に制限されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、実行順序を入れ替えることができるものである。また、上記実施形態における処理方法において、発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部のステップが、他のステップと並列に実行されるものであってもよい。
【0245】
前述した方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明の範囲に含まれる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、大容量DVD、次世代DVD、半導体メモリを挙げることができる。
【0246】
上記コンピュータプログラムは、上記記録媒体に記録されたものに限られず、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送されるものであってもよい。
【0247】
また、上記実施形態(変形例を含む)において、「同じ」は、概ね同じであることを含む概念である。「同時」は、概ね同時であることを含む概念である。「一致」は、概ね一致していることを含む概念である。
【0248】
なお、本発明の具体的な構成は、上記の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。
【符号の説明】
【0249】
1000、2000、3000、4000、5000 干渉エリア解析システム
WPT_Tx WPT送信装置
13、43 干渉エリア検出部
WPT_Rx(i) WPT受電装置
ex_Ant(i) 張り出しアンテナ
WLAN_STA(i) 無線通信機(ステーション)
Dev1、Dev1A 干渉エリア解析装置
Sen(i) センサ装置
eA(i) 張り出しアンテナ
WLANAP 無線通信機(アクセスポイント)