(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129967
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】透析システム
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
A61M1/16 169
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039407
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健志
(72)【発明者】
【氏名】山下 悦孝
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077CC02
4C077DD14
4C077DD18
4C077EE03
4C077EE04
4C077JJ02
4C077JJ05
4C077JJ15
4C077KK23
(57)【要約】
【課題】使用済透析液用タンクを設けることなく、使用済透析液によって原水を効率よく加熱する。
【解決手段】第1流路131は、原水用タンク120に原水10を供給する。第2流路132は、原水用タンク120に接続され、原水用タンク120から逆浸透装置160に原水10を供給する。循環流路130においては、原水用タンク120に両端が接続され、原水用タンク120内の原水10が循環するように通流する。第3流路133においては、逆浸透装置160で生成された逆浸透水11が調製されてなる透析液12を供給された透析装置180から排出された使用済透析液22が通流する。第1熱交換器141は、循環流路130を通流している原水10と第3流路133を通流している使用済透析液22とを熱交換させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を一時的に貯える原水用タンクと、
前記原水用タンクに原水を供給する第1流路と、
前記原水用タンクに接続され、前記原水用タンクから逆浸透装置に原水を供給する第2流路と、
前記原水用タンクに両端が接続され、前記原水用タンク内の原水が循環するように通流する循環流路と、
前記逆浸透装置で生成された逆浸透水が調製されてなる透析液を供給された透析装置から排出された使用済透析液が通流する第3流路と、
前記逆浸透装置において不純物が濃縮されて前記逆浸透装置から排出された濃縮水が通流する第4流路と、
前記循環流路を通流している原水と前記第3流路を通流している使用済透析液とを熱交換させる第1熱交換器とを備える、透析システム。
【請求項2】
前記第1流路を通流している原水と前記第4流路を通流している濃縮水とを熱交換させる第2熱交換器をさらに備える、請求項1に記載の透析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
透析システムを開示した先行文献として、特開2015-144721号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された透析システムは、使用済透析液を一時的に貯える使用済透析液用タンクを備えている。使用済透析液用タンクに貯えられた使用済透析液は、第2熱交換器にて原水と熱交換して冷却された後、排出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使用済透析液用タンクを設けることなく、使用済透析液によって原水を効率よく加熱することが求められる場合がある。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、使用済透析液用タンクを設けることなく、使用済透析液によって原水を効率よく加熱することができる、透析システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく透析システムは、原水用タンクと、第1流路と、第2流路と、循環流路と、第3流路と、第4流路と、第1熱交換器とを備える。原水用タンクは、原水を一時的に貯える。第1流路は、原水用タンクに原水を供給する。第2流路は、原水用タンクに接続され、原水用タンクから逆浸透装置に原水を供給する。循環流路においては、原水用タンクに両端が接続され、原水用タンク内の原水が循環するように通流する。第3流路においては、逆浸透装置で生成された逆浸透水が調製されてなる透析液を供給された透析装置から排出された使用済透析液が通流する。第4流路においては、逆浸透装置において不純物が濃縮されて逆浸透装置から排出された濃縮水が通流する。第1熱交換器は、循環流路を通流している原水と第3流路を通流している使用済透析液とを熱交換させる。
【0007】
本発明の一形態においては、透析システムは、第1流路を通流している原水と第4流路を通流している濃縮水とを熱交換させる第2熱交換器をさらに備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、使用済透析液用タンクを設けることなく、使用済透析液によって原水を効率よく加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る透析システムの構成を示す系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る透析システムについて図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る透析システムの構成を示す系統図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る透析システム1は、原水用タンク120と、第1流路131と、第2流路132と、循環流路130と、第3流路133と、第4流路134と、第1熱交換器141とを備える。
【0012】
透析システム1は、原水供給部110と、逆浸透装置160と、透析液供給装置170と、複数の透析装置180と、第2熱交換器142と、中和槽190とをさらに備える。
【0013】
原水供給部110は、原水10の供給源である。原水用タンク120は、原水10を一時的に貯える。原水供給部110と原水用タンク120とは、第1流路131によって互いに接続されている。第1流路131には、第1ポンプ151が設けられている。第1流路131は、原水供給部110から原水用タンク120に原水10を供給する。
【0014】
逆浸透装置160は、逆浸透膜を有し、原水10を、逆浸透膜を透過した逆浸透水11と、逆浸透膜を透過せずに不純物が濃縮された濃縮水20とに分離する。原水用タンク120と逆浸透装置160とは、第2流路132によって互いに接続されている。第2流路132には、第2ポンプ152が設けられている。第2流路132は、原水用タンク120から逆浸透装置160に原水10を供給する。
【0015】
逆浸透装置160には、第4流路134が接続されている。第4流路134においては、逆浸透装置160において不純物が濃縮されて逆浸透装置160から排出された濃縮水20が通流する。
【0016】
透析液供給装置170は、逆浸透装置160にて生成された逆浸透水11が調製されてなる透析液12を複数の透析装置180に供給する。逆浸透装置160と透析液供給装置170とは、第5流路135によって互いに接続されている。第5流路135においては、逆浸透装置160にて生成された逆浸透水11が通流する。
【0017】
透析液供給装置170と複数の透析装置180とは、第6流路136によって互いに接続されている。第6流路136においては、透析液供給装置170にて生成された透析液12が通流する。
【0018】
複数の透析装置180にて使用された透析液12は、使用済透析液22として複数の透析装置180から排出される。複数の透析装置180と中和槽190とは、第3流路133によって互いに接続されている。複数の透析装置180と中和槽190との間に、使用済透析液22を貯える使用済透析液用タンクは設けられていない。第3流路133においては、複数の透析装置180から排出された使用済透析液22が通流する。
【0019】
中和槽190は、使用済透析液22を中和する。中和槽190にて中和された排液23は、排液流路137を通じて排出される。
【0020】
循環流路130の両端は、原水用タンク120に接続されている。循環流路130には、第3ポンプ153が設けられている。循環流路130においては、原水用タンク120内の原水10が循環するように通流する。
【0021】
第1熱交換器141は、循環流路130を通流している原水10と第3流路133を通流している使用済透析液22とを熱交換させる。
【0022】
第2熱交換器142は、第1流路131を通流している原水10と第4流路134を通流している濃縮水20とを熱交換させる。なお、第2熱交換器142は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0023】
次に、透析システム1における一連の動作について説明する。原水供給部110から供給された、たとえば水道水からなる原水10は、第2熱交換器142にて濃縮水20と熱交換して加熱された後、原水用タンク120に一時的に貯えられる。
【0024】
原水用タンク120内の原水10は、循環流路130を循環する際、第1熱交換器141にて使用済透析液22と熱交換して加熱される。循環流路130を循環する原水10の流量は、たとえば、70L/分以上100L/分以下である。第3流路133を通流する使用済透析液22の流量は、たとえば、50L/分以上100L/分以下である。
【0025】
原水用タンク120内の加熱された原水10は、逆浸透装置160に送られて、逆浸透水11と濃縮水20とに分離される。逆浸透水11は、透析液供給装置170に送られて、透析液12に調製される。透析液12は、複数の透析装置180にて使用されて使用済透析液22となる。
【0026】
使用済透析液22は、第1熱交換器141にて循環流路130を通流する原水10と熱交換して冷却された後、中和槽190にて中和されて排出される。濃縮水20は、第2熱交換器142にて第1流路131を通流する原水10と熱交換して冷却された後、排出される。
【0027】
本実施形態に係る透析システム1においては、第1熱交換器141が、循環流路130を通流している原水10と第3流路133を通流している使用済透析液22とを熱交換させる。これにより、使用済透析液用タンクを設けることなく、使用済透析液22によって原水10を効率よく加熱することができる。
【0028】
具体的には、使用済透析液用タンクを設けた場合には、使用済透析液用タンクが溢れないようにするために溢水管を設けて、使用済透析液22の一部を溢水管から排出するが、使用済透析液用タンクを設けないようにすることにより、原水10の加熱に全ての使用済透析液22を利用することができる。また、使用済透析液用タンクを設けないようにすることにより、透析システム1の省スペース化を図ることができる。
【0029】
本実施形態に係る透析システム1においては、第2熱交換器142が、第1流路131を通流している原水10と第4流路134を通流している濃縮水20とを熱交換させる。これにより、原水10をさらに効率をよく加熱することができる。
【0030】
なお、透析システム1において、原水用タンク120と、第1流路131と、第2流路132と、循環流路130と、第3流路133と、第4流路134と、第1熱交換器141とがユニット化されていてもよい。すなわち、既に設置済の、原水供給部110と逆浸透装置160と透析液供給装置170と複数の透析装置180と中和槽190とに対して、上記ユニット化された構成を接続可能に構成されていてもよい。これにより、既に設置済の透析システムに対して本願発明を容易に適用することができる。
【0031】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0032】
1 透析システム、10 原水、11 逆浸透水、12 透析液、20 濃縮水、22 使用済透析液、23 排液、110 原水供給部、120 原水用タンク、130 循環流路、131,132,133,134,135,136 路、137 排液流路、141 第1熱交換器、142 第2熱交換器、151 第1ポンプ、152 第2ポンプ、153 第3ポンプ、160 逆浸透装置、170 透析液供給装置、180 透析装置、190 中和槽。