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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129973
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】テーブルソー
(51)【国際特許分類】
   B27B 5/29 20060101AFI20240920BHJP
   B23D 47/02 20060101ALI20240920BHJP
   B27B 5/20 20060101ALI20240920BHJP
   B27G 19/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B27B5/29 A
B23D47/02
B27B5/20 A
B27G19/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039413
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】可児 利之
(72)【発明者】
【氏名】北岡 竜太
(72)【発明者】
【氏名】石川 彰一
【テーマコード(参考)】
3C040
【Fターム(参考)】
3C040AA01
3C040CC02
3C040CC05
3C040GG46
(57)【要約】
【課題】テーブルと協働して被切断材を支持する補助載置部をスムーズに移動させることができるテーブルソーが必要とされている。
【解決手段】テーブルソー1は、被切断材が載置されるテーブル4を有する。テーブルソー1は、テーブル4を下方から支持するベース2を有する。テーブルソー1は、テーブル4に隣接して被切断材が載置される補助載置部40を有する。テーブルソー1は、テーブル4とベース2を備えた主載置部5に第1部51a,54aが回転可能に連結され、かつ補助載置部40に第2部51b,54bが回転可能に連結されて補助載置部40をテーブル4に対して接近・離間させるアーム50を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブルソーであって、
被切断材が載置されるテーブルと、
前記テーブルを下方から支持するベースと、
前記テーブルに隣接して前記被切断材が載置される補助載置部と、
前記テーブルと前記ベースを備えた主載置部に第1部が回転可能に連結され、かつ前記補助載置部に第2部が回転可能に連結されて前記補助載置部を前記テーブルに対して接近・離間させるアームを有するテーブルソー。
【請求項2】
請求項1に記載のテーブルソーであって、
前記アームの前記第1部と前記主載置部は、第1軸によって回転可能に連結され、
前記アームの前記第2部と前記補助載置部は、第2軸によって回転可能に連結され、
前記アームと前記主載置部と前記補助載置部のいずれか1つには、前記第1軸または前記第2軸が移動可能に挿通される長孔が設けられるテーブルソー。
【請求項3】
請求項2に記載のテーブルソーであって、
前記長孔は、前記アームに設けられるテーブルソー。
【請求項4】
請求項2または3に記載のテーブルソーであって、
前記アームである第1アームと、前記アームである第2アームを有し、前記第1アームと前記第2アームのいずれか1つに前記長孔が設けられるテーブルソー。
【請求項5】
請求項4に記載のテーブルソーであって、
前記第1アームと前記第2アームは、前記補助載置部が前記テーブルに対して接近・離間する際に前記主載置部に対して相互に反対方向に回転するテーブルソー。
【請求項6】
請求項4または5に記載のテーブルソーであって、
前記アームである第3アームを有し、
前記第3アームは、前記第1アームとともに前記第1軸によって前記主載置部に回転可能に連結、または前記第1アームとともに前記第2軸によって前記補助載置部に回転可能に連結されるテーブルソー。
【請求項7】
請求項6に記載のテーブルソーであって、
前記アームである第4アームを有し、
前記第4アームは、前記第2アームとともに前記第1軸によって前記主載置部に回転可能に連結、または前記第2アームとともに前記第2軸によって前記補助載置部に回転可能に連結され、
前記第3アームは、前記第1アームと連結される側と反対側において前記主載置部または前記補助載置部にピンにて連結され、かつ前記ピンが挿通される第3長孔を有し、
前記第4アームは、前記第2アームと連結される側と反対側において前記主載置部または前記補助載置部に前記ピンにて連結され、かつ前記ピンが挿通される第4長孔を有するテーブルソー。
【請求項8】
請求項7に記載のテーブルソーであって、
前記ピンは、軸方向に移動することで前記第3アームと前記第4アームに係合する係合部を有し、前記係合部によって前記第3アームと前記第4アームの回転を規制するテーブルソー。
【請求項9】
請求項8に記載のテーブルソーであって、
前記第3長孔と前記第4長孔は、前記第3アームまたは前記第4アームの長さ方向に沿って長いガイド孔と、前記ガイド孔に連通し前記ガイド孔より径が大きい拡張孔を有するテーブルソー。
【請求項10】
請求項9に記載のテーブルソーであって、
前記ピンは、前記ガイド孔に挿通される脚と、前記脚から拡径して前記ガイド孔より径が大きくかつ前記拡張孔より径の小さい前記係合部を有するテーブルソー。
【請求項11】
請求項7~10のいずれか1つに記載のテーブルソーであって、
前記第3アームと前記第4アームに当接して移動を案内するアームガイドを有するテーブルソー。
【請求項12】
請求項2~11のいずれか1つに記載のテーブルソーであって、
前記主載置部には、前記補助載置部が前記テーブルへ接近した際に前記第2軸に当接する接近規制部が設けられるテーブルソー。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1つに記載のテーブルソーであって、
前記補助載置部は、前記テーブルに対して前記被切断材の送り方向の下流側に設けられるテーブルソー。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1つに記載のテーブルソーであって、
前記補助載置部を高さ調整可能に支持する高さ調整機構を有するテーブルソー。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1つに記載のテーブルソーであって、
前記アームである第1アームと、
前記アームである第2アームと、
前記第1アームと前記第2アームを1度の操作で同時に固定できる固定機構を有するテーブルソー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば木材等の被切断材の切断加工に用いられるテーブルソーに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のテーブルソーは、被切断材を載置するテーブルと、テーブルを貫通して上方へ突出する円盤状の刃具(丸鋸刃)を有する。刃具は、テーブルの下方に配設される本体に回転可能に支持される。本体には、刃具を回転させる駆動源としての電動モータと、刃具が一体に取付けられる出力軸が設けられる。電動モータを起動させて出力軸を軸回りに回転させることで、出力軸と一体に設けられた刃具が回転する。テーブルの上方へ突出しかつ回転する刃具に向けて、被切断材をテーブルに沿って使用者から見て奥側(後側)へ送る。これにより刃具が被切断材に切り込まれ、被切断材を切断できる。
【0003】
特許文献1に記載されるようにテーブルの後側には、後方へ送った被切断材を下方から支持するための補助テーブルが設けられる。テーブルと補助テーブルは、下方に配設されたベースに支持される。ベースには、2つの角柱状のポールが前後方向に伸縮可能に取付けられる2つのガイドが設けられる。2つのポールは、相互に平行に前後方向に延出する。補助テーブルは、2つのポールの先端において片持ち梁状態で支持される。2つのポールが2つのガイドに対して前後方向に直線的に摺動することで、補助テーブルがテーブルに対して接近または離間する。これにより被切断材の送り方向の長さに対応して補助テーブルの前後位置を変更できる。
【0004】
補助テーブルが前後方向にスムーズに移動するためには、2つのポールを平行に維持することが望ましい。例えば各ガイドと各ポールの軸がずれている場合、2つのポールを平行に維持することができず、スムーズに摺動させることができない。また、補助テーブルを所定の前後位置で位置決めするためには、テーブルの下面側に設けられた摘みねじでポールをガイドに固定する。そのため摘みねじの操作性や視認性が良好でなかった。特許文献1に記載の補助テーブルは、2つのポールの基端部を中心に下方へ回転させることでコンパクトに収納することもできる。しかしながら補助テーブルを支持するためにポールに剛性を持たせると、補助テーブルを上下方向に回転させる動作が重くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0217446号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがってテーブルと協働して被切断材を支持する補助載置部をスムーズに移動させることができるテーブルソーが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの特徴によるとテーブルソーは、被切断材が載置されるテーブルを有する。テーブルソーは、テーブルを下方から支持するベースを有する。テーブルソーは、テーブルに隣接して被切断材が載置される補助載置部を有する。テーブルソーは、テーブルとベースを備えた主載置部に第1部が回転可能に連結され、かつ補助載置部に第2部が回転可能に連結されて補助載置部をテーブルに対して接近・離間させるアームを有する。
【0008】
したがって補助載置部は、アームの回転によってテーブルに対して接近・離間する。そのため直線的に摺動する部材を介在させることなく補助載置部を移動させることができる。そのため補助載置部を移動させる際の動作不良を抑制できる。これによりテーブルと協働して被切断材を支持する補助載置部をスムーズに移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1実施例に係るテーブルソーを右側後方から見た斜視図である。
図2】テーブルソーを前方から見た斜視図である。
図3】テーブルソーの左側面図である。
図4図3中のIV-IV線断面矢視図である。
図5図3中のIV-IV線断面に相当し、刃具を左方へ傾動させた時のテーブルソーの縦断面図である。
図6】第1使用位置の補助載置部と移動機構の上面図である。
図7】第1使用位置の補助載置部を取り外した移動機構の上面図である。
図8】補助載置部と移動機構の分解斜視図である。
図9図6中のIX部分の拡大斜視図である。
図10】収納位置の補助載置部と移動機構の上面図である。
図11】補助載置部が収納位置に移動した際のテーブルソーの後面図である。
図12】第2使用位置の補助載置部と移動機構の上面図である。
図13】第3使用位置の補助載置部と移動機構の上面図である。
図14】テーブルソーの右側面図である。
図15】補助載置部を下方へ移動させた際のテーブルソーの右側面図である。
図16】第2実施例に係る補助載置部と移動機構の上面図である。
図17】収納位置の補助載置部と移動機構の上面図である。
図18】補助載置部の斜視図である。
図19】左方の使用位置へ移動した際の補助載置部と移動機構の上面図である。
図20】右方の使用位置へ移動した際の補助載置部と移動機構の上面図である。
図21】第3実施例に係るテーブルソーの斜視図である。
図22】補助載置部と移動機構の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の他の特徴によるとアームの第1部と主載置部は、第1軸によって回転可能に連結される。アームの第2部と補助載置部は、第2軸によって回転可能に連結される。アームと主載置部と補助載置部のいずれか1つには、第1軸または第2軸が移動可能に挿通される長孔が設けられる。したがって第1軸と第2軸を設けることで補助載置部の姿勢の自由度を高めることができる。さらに長孔を設けることで補助載置部の移動の自由度を高めることができる。
【0011】
本開示の他の特徴によると長孔は、アームに設けられる。したがって、仮に被切断材を載置する補助載置部に長孔を設ける場合、被切断材が長孔に引っ掛かり易くなる。アームに長孔を設けることで被切断材の引っ掛かりを抑制できる。また、主載置部に対して第1軸が移動しない構造にすることで、第1軸を介してアームと補助載置部を支持する支持構造の安定性を維持できる。
【0012】
本開示の他の特徴によるとテーブルソーは、アームである第1アームと、アームである第2アームを有する。第1アームと第2アームのいずれか1つに長孔が設けられる。したがって第1アームと第2アームの2つのアームを設け、かつ第1アームと第2アームの少なくとも1つに長孔を設ける。これにより自由度が高くかつスムーズな補助載置部の移動を実現できる。さらに補助載置部を支持する支持構造の剛性を向上させることができる。
【0013】
本開示の他の特徴によると第1アームと第2アームは、補助載置部がテーブルに対して接近・離間する際に主載置部に対して相互に反対方向に回転する。したがって補助載置部の姿勢が大きく変更しないようにしながら補助載置部をテーブルに対して接近または離間する方向に案内できる。
【0014】
本開示の他の特徴によるとテーブルソーは、アームである第3アームを有する。第3アームは、第1アームとともに第1軸によって主載置部に回転可能に連結、または第1アームとともに第2軸によって補助載置部に回転可能に連結される。したがって補助載置部を移動させる移動機構の大型化を抑制しながら補助載置部を支持する支持構造の剛性を向上させることができる。
【0015】
本開示の他の特徴によるとテーブルソーは、アームである第4アームを有する。第4アームは、第2アームとともに第1軸によって主載置部に回転可能に連結、または第2アームとともに第2軸によって補助載置部に回転可能に連結される。第3アームは、第1アームと連結される側と反対側において主載置部または補助載置部にピンにて連結され、かつピンが挿通される第3長孔を有する。第4アームは、第2アームと連結される側と反対側において主載置部または補助載置部にピンにて連結され、かつピンが挿通される第4長孔を有する。
【0016】
したがって第1アームと第3アームが協働して補助載置部を移動可能に支持し、かつ第2アームと第4アームが協働して補助載置部を移動可能に支持し、かつ第3アームと第4アームが協働して補助載置部を移動可能に支持する。そのため補助載置部を移動可能に支持する移動機構の剛性をより向上させることができる。
【0017】
本開示の他の特徴によるとピンは、軸方向に移動することで第3アームと第4アームに係合する係合部を有する。係合部によって第3アームと第4アームの回転を規制する。したがってピンを軸方向に移動させることで第3アームと第4アームを同時に固定できる。第3アームと第4アームを固定することで、第1アームと第2アームも同時に固定できる。そのため補助載置部を位置決めする際の操作性を向上させることができる。
【0018】
本開示の他の特徴によると第3長孔と第4長孔は、第3アームまたは第4アームの長さ方向に沿って長いガイド孔を有する。第3長孔と第4長孔は、ガイド孔に連通しガイド孔より径が大きい拡張孔を有する。したがってピンは、拡張孔に進入した時のみ第3アームと第4アームを固定できる。そのためテーブルから所定の距離の位置に補助載置部を位置決めできる。また、拡張孔に進入したピンが不用意にガイド孔へ移動することを抑制できる。そのため補助載置部を確実に位置決めできる。
【0019】
本開示の他の特徴によるとピンは、ガイド孔に挿通される脚を有する。ピンは、脚から拡径してガイド孔より径が大きくかつ拡張孔より径の小さい係合部を有する。したがってピンを軸方向に移動させることで、脚がガイド孔に進入している状態と係合部が拡張孔に進入している態を容易に切り替えることができる。そのためピンの操作性が良く、第3アームと第4アームを容易に固定でき、かつ固定を解除できる。
【0020】
本開示の他の特徴によるとテーブルソーは、第3アームと第4アームに当接して移動を案内するアームガイドを有する。したがってテーブルに対して接近または離間する補助載置部をアームガイドによって前後方向に案内できる。
【0021】
本開示の他の特徴によると主載置部には、補助載置部がテーブルへ接近した際に第2軸に当接する接近規制部が設けられる。したがって第2軸を接近規制部に当接させることで補助載置部を収納位置に位置決めできる。また、補助載置部がテーブルと干渉することを抑制できる。
【0022】
本開示の他の特徴によると補助載置部は、テーブルに対して被切断材の送り方向の下流側に設けられる。したがってテーブルと補助載置部が協働して、送り方向に送られる被切断材を安定した姿勢で支持できる。
【0023】
本開示の他の特徴によるとテーブルソーは、補助載置部を高さ調整可能に支持する高さ調整機構を有する。したがって被切断材の撓み等に合わせて補助載置部の高さを容易に調整できる。
【0024】
本開示の他の特徴によるとテーブルソーは、アームである第1アームを有する。テーブルソーは、アームである第2アームを有する。第1アームと第2アームを1度の操作で同時に固定できる固定機構を有する。したがって第1アームと第2アームに移動可能に支持される補助載置部を容易な操作で位置決めできる。
【0025】
本開示の第1実施例を図1~15に基づいて説明する。図1に示すようにテーブルソー1は、床等に載置されるベース2と、ベース2によって水平に支持されるテーブル4を有する。テーブル4には被切断材が載置される。ベース2とテーブル4によって被切断材の大部分が載置される主載置部5が構成される。テーブル4の下方には、本体10が支持される。使用者は、テーブルソー1に対して図示左側に位置して切断作業を行う。以下の説明においては、使用者が位置する図示左側を前側、図示右側を後側として前後方向を規定する。上下左右方向については使用者を基準にして規定する。
【0026】
図2,4に示すように本体10には、チップソー(英語名:tipped saw blade)と称される略円盤形の刃具11が回転可能に支持される。テーブル4の上面には、刃口板4aが設けられる。刃口板4aの中央には、前後方向に直線状に延出するスリット状の貫通孔4bが設けられる。刃具11の上部領域は、貫通孔4bに挿通されてテーブル4の上方へ突出する。刃具11の下部領域は、本体10に一体に設けられたブレードケース13によって露出しないように覆われている。
【0027】
図4に示すように本体10は、電動モータ16と、電動モータ16を収容するモータハウジング18と、電動モータ16の駆動によって軸回りに回転する出力軸12を有する。左右方向に延出する出力軸12には、刃具11が一体に回転可能に取付けられる。刃具11は、アウタフランジ12bとインナフランジ12cに左右方向に挟まれた状態で、出力軸12の右端の雄ねじ部にナット12aを締め込むことで出力軸12に取付けられる。出力軸12には、チップソーの刃具11に代えて、例えば組カッタ(英語名:Dado Blades)と称される複数枚の略円盤形の刃が出力軸12の軸方向に並んで構成される溝切り加工用の刃具を取付けることができる。
【0028】
図4に示すように出力軸12の左部は、本体10に設けられた駆動部15に挿通される。駆動部15には、電動モータ16と、モータハウジング18内に設けられる減速ギヤ列17が設けられる。電動モータ16の回転駆動は、減速ギヤ列17を介して出力軸12に伝達される。テーブル4に載置した被切断材を、テーブル4の上方へ突出しかつ出力軸12と一体で回転する刃具11に向けて前方(送り方向上流側)から後方(送り方向下流側)へ送る。これにより刃具11の手前側刃先が被切断材に相対的に切込まれて被切断材を切断する。刃具11の後側の刃先に沿って、いわゆる割り刃(ライビングナイフ、図示しない)が配置されている。
【0029】
図4に示す本体10の姿勢の場合、出力軸12はテーブル4と平行に延出し、刃具11はテーブル4と直交して延出する。換言すると刃具11のテーブル4に直交する平面に対する傾斜角度が0°である。この時、被切断材をいわゆる直角切りで切断できる。
【0030】
図2,3に示すようにテーブルソー1は、テーブル4に対する本体10の上下位置を変更可能な本体高さ調整機構20を有する。本体高さ調整機構20は、使用者が回転操作可能な昇降ハンドル21と、昇降ハンドル21と一体に設けられた回転軸22と、回転軸22と係合する昇降ボルト23を有する。ベース2の前部には、上下方向および左右方向に延出する平板状のベース前面3が設けられる。回転軸22は、ベース前面3に設けられた円弧状の長孔3aに挿通されてベース前面3を前後方向に貫通する。昇降ハンドル21は、ベース前面3の前方に配設される。昇降ハンドル21と回転軸22は、軸回りに回転操作可能に設けられる。回転軸22の後端には、駆動側ベベルギヤ22aが設けられる。
【0031】
図3に示すように昇降ボルト23は、上下方向に延出する姿勢で回転可能に支持される。昇降ボルト23の下端には、従動側ベベルギヤ23aが設けられる。従動側ベベルギヤ23aは、回転軸22の駆動側ベベルギヤ22aと係合する。回転軸22が前後方向に延出する軸回りに回転すると、昇降ボルト23は上下方向に延出する軸回りに回転する。本体10には、昇降ボルト23と螺合する雌ねじを備えた昇降部24が設けられる。昇降部24は、昇降ボルト23を軸回りに回転させることで昇降ボルト23に対して上下方向に移動する。これにより刃具11がテーブル4の上方へ突出する突出長さを変更できる。
【0032】
図2,3に示すようにテーブルソー1は、テーブル4に直交する平面に対する本体10の傾斜角度を変更可能な角度調整機構30を有する。使用者は、昇降ハンドル21を把持して本体10をテーブル4に対して左右に傾動させることができる。本体10の傾動中心は、テーブル4の上面上に位置する仮想中心である。昇降ハンドル21を左右に移動させる際、回転軸22は長孔3aの延出方向に沿って左右に移動する。図5に示すように刃具11がテーブル4に直交する平面に対して左右方向に傾斜している時、被切断材をいわゆる傾斜切り(英語名:bevel cut)で切断できる。なお、図5に示す刃具11のテーブル4に直交する平面に対する傾斜角度は45°である。
【0033】
図1に示すようにテーブル4の後方には、テーブル4と協働して被切断材を下方から支持可能な補助載置部40が設けられる。補助載置部40は、左右方向に直線状に延出する略矩形棒状または略矩形板状に設けられる。補助載置部40の上面40aは、水平に延出する平面状に設けられる。主載置部5のベース2の後部には、補助載置部40を下方から支持する支持部41が設けられる。支持部41は、補助載置部40と略同じ長さで左右方向に直線状に延出する矩形棒状である。支持部41の上面41aは、水平に延出する平面状に設けられる。支持部41の左右両端の下部には、前方へ延出する連結脚部41bが設けられる。
【0034】
図1に示すように連結脚部41bの下部には、補助載置部40の上面40aの高さを変更可能な高さ調整機構45が設けられる。高さ調整機構45は、前後方向に長い長孔45bと、長孔45bに挿通される止めねじ45aを有する。長孔45bに挿通された止めねじ45aをベース2の後部に締結することで、主載置部5のベース2が連結脚部41bを介して支持部41と補助載置部40を下方から支持できる。
【0035】
図14,15に示すように長孔45bに対する止めねじ45aの相対位置を変更することで、補助載置部40の上面40aの高さを変更できる。例えば止めねじ45aを長孔45bの下部に挿通した状態で止めねじ45aをベース2に締め込む。これによりテーブル4に対する補助載置部40と支持部41の相対高さが高くなる。そのため補助載置部40の上面40aは、例えばテーブル4の上面と同じ高さになる。これにより水平に延出する被切断材Wをテーブル4と補助載置部40が協働して支持できる。例えば止めねじ45aを長孔45bの上部に挿通した状態で止めねじ45aをベース2に締め込む。これによりテーブル4に対する補助載置部40と支持部41の相対高さが低くなる。そのため補助載置部40の上面40aは、テーブル4の上面よりも調整高さD分だけ低い位置に移動する。これによりテーブル4の後方に向けて下方へ撓んだ被切断材Wを、補助載置部40が好適な高さで支持できる。
【0036】
図1,6,11に示すように補助載置部40と支持部41の上下方向の間には、補助載置部40をテーブル4に対して接近・離間可能に支持する移動機構46が設けられる。移動機構46は、第1アーム51と第2アーム54と第3アーム57と第4アーム58の4つのアーム50を有する。4つのアーム50は、相互に連結されてリンク機構を構成し、補助載置部40を支持部41に対して移動可能に支持する。第1アーム51と第2アーム54は、補助載置部40の下方で同じ高さに位置する。第4アーム58は、第1アーム51と第2アーム54の下方かつ第3アーム57の上方に位置する。第3アーム57は、第4アーム58の下方かつ支持部41の上面41aの上方に位置する。
【0037】
図7,8に示すように第1アーム51は、直線状に延出する略矩形棒状に設けられる。第1アーム51は、補助載置部40の延出長さの半分よりもわずかに短く延出する。第1アーム51の上下方向の厚みは、補助載置部40と略同じまたは補助載置部40よりも厚く設けられる。第1アーム51は、アルミダイキャストを材料にして設けられる。第1アーム51の上面と下面は、水平に延出する平面状に設けられる。第1アーム51の長手方向両端は、上面視で円弧状に設けられる。
【0038】
図7,8に示すように第1アーム51の第1部51aには、第1アーム51を上下方向に貫通しかつ第1軸52を挿通可能な円形の挿通孔51cが設けられる。第1アーム51の第1部51aと長手方向反対側に位置する第2部51bには、第1アーム51を上下方向に貫通しかつ第1アーム51の長手方向に直線状に延出する第1長孔51dが設けられる。第1長孔51dには、上下方向に延出する第2軸53が第1長孔51dの延出方向に移動可能に挿通される。
【0039】
図7,8に示すように第2アーム54は、第1アーム51と同形状の略矩形棒状に設けられる。第2アーム54は、第1アーム51と同じ長手方向長さおよび同じ厚みで設けられる。第2アーム54は、アルミダイキャストを材料にして設けられる。第2アーム54の第1部54aには、第2アーム54を上下方向に貫通しかつ第1軸55を挿通可能な円形の挿通孔54cが設けられる。第2アーム54の第1部54aと長手方向反対側に位置する第2部54bには、第2アーム54を上下方向に貫通しかつ第2アーム54の長手方向に直線状に延出する第2長孔54dが設けられる。第2長孔54dには、上下方向に延出する第2軸56が第2長孔54dの延出方向に移動可能に挿通される。
【0040】
図7,8に示すように第3アーム57は、直線状に延出する略矩形板状に設けられる。第3アーム57は、第1アーム51と略同じ延出長さで設けられる。第3アーム57は、第1アーム51よりも上下方向の厚みの薄い板金を材料にして設けられる。第3アーム57の上面と下面は、水平に延出する平面状に設けられる。第3アーム57の長手方向両端は、上面視で円弧状に設けられる。
【0041】
図7,8に示すように第3アーム57の第1部57aには、第3アーム57を上下方向に貫通しかつ第3アーム57の長手方向に直線状に延出する第3長孔57dが設けられる。第3長孔57dには、ピン61が第3長孔57dの延出方向に移動可能に挿通される。第3長孔57dは、直線状に延出するガイド孔57eと、ガイド孔57eの長手方向に所定の間隔で設けられてガイド孔57eと連通する円形の拡張孔57fを有する。本実施例では4つの拡張孔57fが設けられる。ガイド孔57eは、ピン61の脚61bを挿通可能かつピン61の係合部61aを挿通できない径で設けられる。拡張孔57fは、ガイド孔57eよりも大きい径で設けられ、ピン61の係合部61aを挿通可能である。第3アーム57の第1部57aと長手方向反対側に位置する第2部57bには、第3アーム57を上下方向に貫通しかつ第2軸53を挿通可能な円形の挿通孔57cが設けられる。
【0042】
図7,8に示すように第4アーム58は、第3アーム57と同形状の略矩形板状に設けられる。第4アーム58は、第3アーム57と同じ長手方向長さおよび同じ厚みで板金を材料にして設けられる。第4アーム58の第1部58aには、第4アーム58を上下方向に貫通しかつ第4アーム58の長手方向に直線状に延出する第4長孔58dが設けられる。第4長孔58dには、ピン61が第4長孔58dの延出方向に移動可能に挿通される。第4長孔58dは、直線状に延出するガイド孔58eと、ガイド孔58eの長手方向に所定の間隔で設けられてガイド孔58eと連通する円形の拡張孔58fを有する。本実施例では4つの拡張孔58fが設けられる。ガイド孔58eは、ピン61の脚61bを挿通可能かつピン61の係合部61aを挿通できない径で設けられる。拡張孔58fは、ガイド孔58eよりも大きい径で設けられ、ピン61の係合部61aを挿通可能である。第4アーム58の第1部58aと長手方向反対側に位置する第2部58bには、第4アーム58を上下方向に貫通しかつ第2軸56を挿通可能な円形の挿通孔58cが設けられる。
【0043】
図8に示すように補助載置部40は、上面40aの前方に面取り部40bを有する。面取り部40bは、上面40aの前端から前方に向けて下方へ傾斜する傾斜面として設けられる。補助載置部40の下面の左部には、上方へ延出する挿通孔40cが設けられる。挿通孔40cには、第1アーム51と第3アーム57に連結される第2軸53が挿通される。補助載置部40の下面の右部には、上方へ延出する挿通孔40dが設けられる。挿通孔40dには、第2アーム54と第4アーム58に連結される第2軸56が挿通される。
【0044】
図8に示すように支持部41の上面41aの左端には、下方へ延出する円形の挿通孔41cが設けられる。挿通孔41cには、第1アーム51を回転可能に支持する第1軸52が挿通される。支持部41の上面41aの右端には、下方へ延出する円形の挿通孔41dが設けられる。挿通孔41dには、第2アーム54を回転可能に支持する第1軸55が挿通される。支持部41の上面41aの中央には、下方へ延出する円形の挿通孔41eが設けられる。挿通孔41eには、第3アーム57と第4アーム58に連結されるピン61が挿通される。
【0045】
図7,8に示すように支持部41の上面41aの中央には、上面41aの前方に位置しかつ上下方向に起立する板状のアームガイド42が装着される。アームガイド42は、挿通孔41eの左方に位置する第1ガイド面42aと、挿通孔41eの右方に位置する第2ガイド面42bを有する。第1ガイド面42aと第2ガイド面42bは、それぞれ前方に向けて凸の円弧状に形成される。第1ガイド面42aの内周面(後面)には、第4アーム58の第1部58aが摺動する。第2ガイド面42bの内周面(後面)には、第3アーム57の第1部57aが摺動する。
【0046】
図7,8に示すように支持部41の上面41aには、半円筒形状の接近規制部43,44が設けられる。左側の接近規制部43は、挿通孔41cと第1ガイド面42aの左右方向の間に設けられる。右側の接近規制部44は、挿通孔41dと第2ガイド面42bの左右方向の間に設けられる。接近規制部43,44は、半円筒形状の内周面が後方を向く姿勢で配設される。接近規制部43,44には、補助載置部40が収納位置P1へ移動した時に第2軸53,56がそれぞれ当接する(図10参照)。第2軸53,56は、接近規制部43,44に当接することで前方への移動が規制される。これにより収納位置P1の補助載置部40がテーブル4にさらに接近することを抑制できる。
【0047】
図8,9に示すようにピン61は、上端の頭部から下方へ延出する円柱状の脚61bを有する。脚61bの上下方向の中間位置には、脚61bよりも大径の円柱状の係合部61aが設けられる。脚61bは、第3アーム57のガイド孔57eと第4アーム58のガイド孔58eよりもわずかに小さい径で設けられる。係合部61aは、第3アーム57のガイド孔57eと第4アーム58のガイド孔58eよりもわずかに小さい径で設けられる。
【0048】
図6に示すように支持部41と第1アーム51の第1部51aの間には、トーションばね62が設けられる。トーションばね62は、補助載置部40が収納位置P1(図10参照)へ移動するように、第1軸52を回転中心にして第1アーム51を時計回り方向に付勢する。支持部41と第2アーム54の第1部54aの間には、トーションばね63が設けられる。トーションばね63は、補助載置部40が収納位置P1へ移動するように、第1軸55を回転中心にして第2アーム54を反時計回り方向に付勢する。
【0049】
図6,10~13に基づいて補助載置部40を収納位置と使用位置の間で移動させる際の移動機構46の動作を説明する。先ず補助載置部40が収納位置P1に位置する場合、第1アーム51と第2アーム54は、左右に並んで左右方向に延出する。第4アーム58は、第1アーム51と第2アーム54の下方で左右方向に延出する。第3アーム57は、第4アーム58の下方で左右方向に延出する。4つのアーム50は、補助載置部40の前端と後端に対して突出しないように補助載置部40と支持部41の上下方向の間に収納される。
【0050】
第1アーム51の第1部51aと第2アーム54の第1部54aの間には、使用者がピン61を操作するために指を挿入可能な隙間が設けられる。ピン61は、第3アーム57の拡張孔57fのうち最も第2部57bに近い拡張孔57f、および第4アーム58の拡張孔58fのうち最も第2部58bに近い拡張孔58fに挿通される。この状態でピン61を上下方向に移動させて係合部61aを拡張孔57f,58fに係合させることにより、第3アーム57と第4アーム58の回転を規制できる。第3アーム57と第4アーム58の回転を規制することにより、第1アーム51と第2アーム54の回転が規制される。これにより補助載置部40を収納位置P1で保持できる。ピン61を上下方向に移動させて係合部61aと拡張孔57f,58fの係合を解除することにより、4つのアーム50の回転規制が解除される。これにより補助載置部40を収納位置P1から後方の使用位置へ移動させることができる。
【0051】
補助載置部40は、収納位置P1よりも後方の使用位置P2、さらに後方の使用位置P3、さらに後方の使用位置P4へと移動させることができる。第1アーム51は、補助載置部40を後方へ移動させるにしたがって第1軸52を中心にして反時計回り方向に回転する。第2軸53は、補助載置部40を後方へ移動させるにしたがって第1長孔51d内を第2部51b側から第1部51a側に向けて移動する。第2アーム54は、補助載置部40を後方へ移動させるにしたがって第1軸55を中心にして時計回り方向に回転する。第2軸56は、補助載置部40を後方へ移動させるにしたがって第2長孔54d内を第2部54b側から第1部54a側に向けて移動する。
【0052】
第3アーム57は、補助載置部40を後方へ移動させるにしたがって、第2ガイド面42bに案内されながら第2軸53を中心にして時計回り方向に回転する。第4アーム58は、補助載置部40を後方へ移動させるにしたがって、第1ガイド面42aに案内されながら第2軸56を中心にして反時計回り方向に回転する。ピン61の脚61bは、補助載置部40を後方へ移動させるにしたがって第3長孔57d,第4長孔58d内を第2部57b,58b側から第1部57a,58a側に向けて移動する。脚61bが拡張孔57f,58fのいずれか1つに挿通されている時に、ピン61を上下方向に移動させて係合部61aを拡張孔57f,58fに係合させる。これにより4つのアーム50の回転を規制でき、補助載置部40を所定の使用位置P2,P3,P4で位置決めできる。
【0053】
補助載置部40を後方の使用位置P2,P3,P4から前方の収納位置P1へ移動させる場合、4つのアーム50の回転方向、第2軸53,56とピン61の各アーム50に対する相対的な移動方向は上述の動作と全て逆方向になる。移動機構46によって補助載置部40を前後に移動させる時、補助載置部40はテーブル4に対して平行移動する。一方、各アーム50は、いずれも回転動作をして平行移動はしない。
【0054】
上述するようにテーブルソー1は、図1,6に示すように被切断材が載置されるテーブル4を有する。テーブルソー1は、テーブル4を下方から支持するベース2を有する。テーブルソー1は、テーブル4に隣接して被切断材が載置される補助載置部40を有する。テーブルソー1は、テーブル4とベース2を備えた主載置部5に第1部51a,54aが回転可能に連結され、かつ補助載置部40に第2部51b,54bが回転可能に連結されて補助載置部40をテーブル4に対して接近・離間させるアーム50を有する。
【0055】
したがって補助載置部40は、アーム50の回転によってテーブル4に対して接近・離間する。そのため直線的に摺動する部材を介在させることなく補助載置部40を移動させることができる。そのため補助載置部40を移動させる際の動作不良を抑制できる。これによりテーブル4と協働して被切断材を支持する補助載置部40をスムーズに移動させることができる。
【0056】
図6,8に示すようにアーム50の第1部51a,54aと主載置部5は、第1軸52,55によって回転可能に連結される。アーム50の第2部51b,54bと補助載置部40は、第2軸53,56によって回転可能に連結される。アーム50と主載置部5と補助載置部40のいずれか1つには、第2軸53,56が移動可能に挿通される第1長孔51d,第2長孔54dが設けられる。したがって第1軸52,55と第2軸53,56を設けることで補助載置部40の姿勢の自由度を高めることができる。さらに第1長孔51d,第2長孔54dを設けることで補助載置部40の移動の自由度を高めることができる。
【0057】
図6~8に示すように第1長孔51d,第2長孔54dは、アーム50に設けられる。したがって仮に被切断材を載置する補助載置部40に長孔を設ける場合、被切断材が長孔に引っ掛かり易くなる。アーム50に第1長孔51d,第2長孔54dを設けることで被切断材の引っ掛かりを抑制できる。また、主載置部5に対して第1軸52,55が移動しない構造にすることで、第1軸52,55を介してアーム50と補助載置部40を支持する支持構造の安定性を維持できる。
【0058】
図6~8に示すようにテーブルソー1は、アーム50である第1アーム51と、アーム50である第2アーム54を有する。第1アーム51と第2アーム54のいずれか1つに第1長孔51dが設けられる。したがって第1アーム51と第2アーム54の2つのアーム50を設け、かつ第1アーム51と第2アーム54の少なくとも1つに第1長孔51dを設ける。これにより自由度が高くかつスムーズな補助載置部40の移動を実現できる。さらに補助載置部40を支持する支持構造の剛性を向上させることができる。
【0059】
図6,12,13に示すように第1アーム51と第2アーム54は、補助載置部40がテーブル4に対して接近・離間する際に主載置部5に対して相互に反対方向に回転する。したがって補助載置部40の姿勢が大きく変更しないようにしながら補助載置部40をテーブル4に対して接近または離間する方向に案内できる。
【0060】
図6~8に示すようにテーブルソー1は、アーム50である第3アーム57を有する。第3アーム57は、第1アーム51とともに第2軸53によって補助載置部40に回転可能に連結される。したがって補助載置部40を移動させる移動機構の大型化を抑制しながら補助載置部40を支持する支持構造の剛性を向上させることができる。
【0061】
図6~8に示すようにテーブルソー1は、アーム50である第4アーム58を有する。第4アーム58は、第2アーム54とともに第2軸56によって補助載置部40に回転可能に連結される。第3アーム57は、第1アーム51と連結される側と反対側において主載置部5にピン61にて連結され、かつピン61が挿通される第3長孔57dを有する。第4アーム58は、第2アーム54と連結される側と反対側において主載置部5にピン61にて連結され、かつピン61が挿通される第4長孔58dを有する。
【0062】
したがって第1アーム51と第3アーム57が協働して補助載置部40を移動可能に支持し、かつ第2アーム54と第4アーム58が協働して補助載置部40を移動可能に支持し、かつ第3アーム57と第4アーム58が協働して補助載置部40を移動可能に支持する。そのため補助載置部40を移動可能に支持する移動機構の剛性をより向上させることができる。
【0063】
図8,9に示すようにピン61は、軸方向に移動することで第3アーム57と第4アーム58に係合する係合部61aを有する。係合部61aによって第3アーム57と第4アーム58の回転を規制する。したがってピン61を軸方向に移動させることで第3アーム57と第4アーム58を同時に固定できる。第3アーム57と第4アーム58を固定することで、第1アーム51と第2アーム54も同時に固定できる。そのため補助載置部40を位置決めする際の操作性を向上させることができる。
【0064】
図8,9に示すように第3長孔57dと第4長孔58dは、第3アーム57または第4アーム58の長さ方向に沿って長いガイド孔57e,58eを有する。第3長孔57dと第4長孔58dは、ガイド孔57e,58eに連通しガイド孔57e,58eより径が大きい拡張孔57f,58fを有する。したがってピン61は、拡張孔57f,58fに進入した時のみ第3アーム57と第4アーム58を固定できる。そのためテーブル4から所定の距離の位置に補助載置部40を位置決めできる。また、拡張孔57f,58fに進入したピン61が不用意にガイド孔57e,58eへ移動することを抑制できる。そのため補助載置部40を確実に位置決めできる。
【0065】
図8,9に示すようにピン61は、ガイド孔57e,58eに挿通される脚61bを有する。ピン61は、脚61bから拡径してガイド孔57e,58eより径が大きくかつ拡張孔57f,58fより径の小さい係合部61aを有する。したがってピン61を軸方向に移動させることで、脚61bがガイド孔57e,58eに進入している状態と係合部61aが拡張孔57f,58fに進入している状態を容易に切り替えることができる。そのためピン61の操作性が良く、第3アーム57と第4アーム58を容易に固定でき、かつ容易に固定を解除できる。
【0066】
図6,12に示すようにテーブルソー1は、第3アーム57と第4アーム58に当接して移動を案内するアームガイド42を有する。したがってテーブル4に対して接近または離間する補助載置部40をアームガイド42によって前後方向に案内できる。
【0067】
図10に示すように主載置部5には、補助載置部40がテーブル4へ接近した際に第2軸53,56に当接する接近規制部43,44が設けられる。したがって第2軸53,56を接近規制部43,44に当接させることで補助載置部40を収納位置P1に位置決めできる。また、補助載置部40がテーブル4と干渉することを抑制できる。
【0068】
図14に示すように補助載置部40は、テーブル4に対して被切断材Wの送り方向の下流側に設けられる。したがってテーブル4と補助載置部40が協働して、送り方向に送られる被切断材Wを安定した姿勢で支持できる。
【0069】
図14,15に示すようにテーブルソー1は、補助載置部40を高さ調整可能に支持する高さ調整機構45を有する。したがって被切断材Wの撓み等に合わせて補助載置部40の高さを容易に調整できる。
【0070】
図6,8に示すようにテーブルソー1は、アーム50である第1アーム51を有する。テーブルソー1は、アーム50である第2アーム54を有する。第1アーム51と第2アーム54を1度の操作で同時に固定できるピン(固定機構)61を有する。したがって第1アーム51と第2アーム54に移動可能に支持される補助載置部40を容易な操作で位置決めできる。
【0071】
次に、本開示の第2実施例を図16~20に基づいて説明する。第2実施例のテーブルソー70は、図6に示す補助載置部40と支持部41と移動機構46に代えて、補助載置部71と支持部72と移動機構76を有する。以下の説明においては第1実施例と異なる箇所のみ詳細に説明する。支持部72は、概ね支持部41と同様に設けられ、水平に延出する平面状の上面72aと、左右両端の下部に設けられかつベース2に対して高さ調整可能に連結される連結脚部72bを有する。支持部72の上面72aには、アーム50の移動を案内するアームガイドや、第2軸53,56のテーブル4への接近を規制する接近規制部が設けられていない。
【0072】
図16,18に示すように補助載置部71は、直線状に延出する略矩形棒状または略矩形板状に設けられる。補助載置部71の上面71aは、水平に延出する平面状に設けられる。補助載置部71は、上面71aの前端から前方に向けて下方へ傾斜する面取り部71bを有する。補助載置部71の中央前部には、後述する摘みねじ75を上方から操作可能にU字状に切欠かれた中央切欠き部71cが設けられる(図17参照)。補助載置部71の左右両端の下部には、下部切欠き部71dが設けられる。補助載置部71の左右両端の側面は、円弧状の曲面部71eとして設けられる。下部切欠き部71dは、ベース2の上端に載せることができる。さらに補助載置部71の左右両端に曲面部71eを設けることで、テーブル4の上面と補助載置部71の上面71aを隣接させることができる。これにより後方へ送られる被切断材をテーブル4の上面から補助載置部71の上面へとスムーズに移動させることができる。図示省略しているが、補助載置部71の下面の左部と右部には、第2軸53,56が挿通される挿通孔がそれぞれ設けられる。
【0073】
図16,19,20に示すように移動機構76は、第3アーム73と第4アーム74を有する。第3アーム73は、第1アーム51よりも上下方向の厚みの薄い板金を材料にして直線状に延出する略矩形板状に設けられる。第3アーム73は、第1アーム51と略同じ延出長さで設けられる。第3アーム73の上面と下面は、水平に延出する平面状に設けられる。第3アーム73の長手方向両端は、上面視で円弧状に設けられる。
【0074】
図16,19,20に示すように第3アーム73の第1部73aには、第3アーム73を上下方向に貫通しかつ第3アーム73の長手方向に直線状に延出する第3長孔73dが設けられる。第3長孔73dには、摘みねじ75の脚が第3長孔73dの延出方向に移動可能に挿通される。第3長孔73dは、摘みねじ75の脚を挿通可能かつ摘みねじ75の係合部75aが進入できない径で設けられる。第3アーム73の第1部73aと長手方向反対側に位置する第2部73bには、第3アーム73を上下方向に貫通しかつ第2軸53を挿通可能な円形の挿通孔73cが設けられる。
【0075】
図16,19,20に示すように第4アーム74は、第3アーム73と同形状の略矩形板状に設けられる。第4アーム74は、第3アーム73と同じ長手方向長さおよび同じ厚みで板金を材料にして設けられる。第4アーム74の第1部74aには、第4アーム74を上下方向に貫通しかつ第4アーム74の長手方向に直線状に延出する第4長孔74dが設けられる。第4長孔74dには、摘みねじ75の脚が第4長孔74dの延出方向に移動可能に挿通される。第4長孔74dは、摘みねじ75の脚を挿通可能かつ摘みねじ75の係合部75aが進入できない径で設けられる。第4アーム74の第1部74aと長手方向反対側に位置する第2部74bには、第4アーム74を上下方向に貫通しかつ第2軸53を挿通可能な円形の挿通孔74cが設けられる。
【0076】
図16,17に示すように摘みねじ75は、第3アーム73の長孔73dと第4アーム74の長孔74dに上方から挿通された状態で支持部72にねじ結合される。摘みねじ75を締め方向に回転させると、摘みねじ75の係合部75aは、長孔73d,74dにし進入することなく第3アーム73と第4アーム74を支持部72に向けて押圧する。これにより第3アーム73と第4アーム74を任意の姿勢で支持部72に固定できる。摘みねじ75を緩み方向に回転させると、第3アーム73と第4アーム74の固定状態が解除され、第3アーム73と第4アーム74を任意の姿勢に回転させることができる。
【0077】
第2実施例では第3アーム73と第4アーム74の移動の自由度が高いため、補助載置部71の移動の自由度も高い。そのため、例えば図17に示すように補助載置部71を支持部72の上方にコンパクトに収容された収納位置P1に移動させ、摘みねじ75で位置保持することができる。例えば図16に示すように補助載置部71の左右の一端をテーブル4と隣接する位置まで移動させることができる。例えば図19に示すように補助載置部71を左寄りの使用位置へ移動させることができる。例えば図20に示すように補助載置部71を右寄りの使用位置へ移動させることができる。これにより、被切断材を位置決めするためにテーブル4に載せたフェンス等と補助載置部71が干渉することを容易に抑制できる。
【0078】
次に、本開示の第3実施例を図21,22に基づいて説明する。第3実施例のテーブルソー80は、図1に示す補助載置部40に代えて、補助載置部81を有する。以下の説明においては第1実施例と異なる箇所のみ詳細に説明する。図22に示すように補助載置部81は、左右方向に延出する円柱状のローラ81aを有する。ローラ81aの左右両端には、ローラ81aを左右方向に延出する軸中心回りに回転可能に支持する回転支持部81bが設けられる。補助載置部81には、第1アーム51と第3アーム57に連結された第2軸53と、第2アーム54と第4アーム58に連結された第2軸56が挿通される。補助載置部81は、第1実施例の補助載置部40と同様に移動機構46によって収納位置と使用位置の間で前後に移動可能である。
【0079】
図21に示すように被切断材Wは、テーブル4の上面およびローラ81aの上部に載置される。被切断材Wを送り方向下流側の後方へ送る時、ローラ81aが軸回りに回転する。そのため被切断材Wを後方へスムーズに送ることができる。
【0080】
以上説明した本実施例のテーブルソー1,70,80には、様々な変更を加えることができる。テーブルソーに代えて、例えばテーブルソーとしてもマイタソーとしても利用できるフリップオーバーソーと称される工具に本実施例を適用しても良い。チップソーの刃具11に代えて、軸方向の厚みの大きい組カッタを出力軸12に取付けても良い。補助載置部40,71,81をテーブル4の後方に設ける構成を例示したが、例えばテーブル4の左右側方に設けても良い。テーブル4に対する補助載置部40の移動は、平行移動に限らず、例えば回転移動しても良い。移動機構46,76がベース2に連結される構成を例示した。これに代えて、例えば主載置部5のテーブル4に移動機構46,76を連結させても良い。
【0081】
4つのアーム50を有する移動機構46,76を例示した。これに代えて、例えばアーム50が1つのみであっても良い。例えば第1アーム51と第2アーム54の2つのみ、または第1アーム51と第3アーム57の2つのみ、第2アーム54と第4アームの2つのみ等であっても良い。例えば本実施例から第3アーム57または第4アーム58を除いた3つのアーム50で構成されていても良い。例えば5つ以上のアーム50で構成されていても良い。
【0082】
第1アーム51と第2アーム54に、第2軸53,56が移動可能に挿通される長孔51d,54dを設ける構成を例示した。これに代えて、またはこれに加えて第1アーム51と第2アーム54に、第1軸52,55が移動可能に挿通される長孔を設けても良い。第3アーム57と第4アーム58に、ピン61が移動可能に挿通される長孔57d,58dを設ける構成を例示した。これに代えて、またはこれに加えて第3アーム57と第4アーム58に、第2軸53,56が移動可能に挿通される長孔を設けても良い。4つのアーム50全てに長孔を設ける構成を例示したが、一部のアーム50にのみ長孔を設けても良い。アーム50に設けられる長孔に代えて、例えば支持部41に、第1軸52,55が移動可能に挿通される長孔を設けても良い。例えば補助載置部40に、第2軸53,56が移動可能に挿通される長孔を設けても良い。
【0083】
前方から見て4つのアーム50がM字状に配置される移動機構46を例示した。これに代えて、例えば4つのアーム50を前方から見てW字状に配置しても良い。すなわち支持部41側の2つの第1軸52,55には、第1アーム51と第3アーム57、第2アーム54と第4アーム58がそれぞれ連結される。補助載置部40側の2つの第2軸53,56には、第1アーム51と第2アーム54がそれぞれ連結される。補助載置部40に設けられたピン61に第3アーム57と第4アーム58が連結される。この構造の場合でも4つのアーム50はそれぞれ回転する動作のみをし、補助載置部40は前後方向に平行に移動する。
【符号の説明】
【0084】
1…テーブルソー
2…ベース
3…ベース前面、3a…長孔
4…テーブル、4a…刃口板、4b…貫通孔
5…主載置部
10…本体
11…刃具
12…出力軸、12a…ナット、12b…アウタフランジ、12c…インナフランジ
13…ブレードケース
15…駆動部
16…電動モータ
17…減速ギヤ列
18…モータハウジング
20…本体高さ調整機構
21…昇降ハンドル
22…回転軸、22a…駆動側ベベルギヤ
23…昇降ボルト、23a…従動側ベベルギヤ
24…昇降部
30…角度調整機構
40…補助載置部、40a…上面、40b…面取り部、40c,40d…挿通孔
41…支持部、41a…上面、41b…連結脚部、41c,41d,41e…挿通孔
42…アームガイド、42a…第1ガイド面、42b…第2ガイド面
43,44…接近規制部
45…高さ調整機構、45a…止めねじ、45b…長孔
46…移動機構
50…アーム
51…第1アーム、51a…第1部、51b…第2部、51c…挿通孔
51d…第1長孔(長孔)
52…第1軸
53…第2軸
54…第2アーム、54a…第1部、54b…第2部、54c…挿通孔
54d…第2長孔(長孔)
55…第1軸
56…第2軸
57…第3アーム、57a…第1部、57b…第2部、57c…挿通孔
57d…第3長孔、57e…ガイド孔、57f…拡張孔
58…第4アーム、58a…第1部、58b…第2部、58c…挿通孔
58d…第4長孔、58e…ガイド孔、58f…拡張孔
61…ピン、61a…係合部(固定機構)、61b…脚
62,63…トーションばね
70…テーブルソー
71…補助載置部、71a…上面、71b…面取り部、71c…中央切欠き部
71d…下部切欠き部、71e…曲面部
72…支持部、72a…上面、72b…連結脚部
73…第3アーム、73a…第1部、73b…第2部、73c…挿通孔
73d…第3長孔
74…第4アーム、74a…第1部、74b…第2部、74c…挿通孔
74d…第4長孔
75…摘みねじ、75a…係合部(固定機構)
76…移動機構
80…テーブルソー
81…補助載置部、81a…ローラ、81b…回転支持部
W…被切断材
P1…収納位置、P2,P3,P4…使用位置
D…調整高さ
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