(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012998
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】センサモジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/12 20060101AFI20240124BHJP
G01C 15/00 20060101ALI20240124BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
H01L31/12 E
G01C15/00 104C
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114880
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】312003595
【氏名又は名称】タカハタプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162341
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬崎 幸典
(72)【発明者】
【氏名】三浦 義晃
(72)【発明者】
【氏名】志村 泉
【テーマコード(参考)】
4M118
5F889
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118AB03
4M118BA14
4M118CA01
4M118HA21
4M118HA25
5F889AC01
5F889BA05
5F889BB02
5F889BC29
5F889CA15
5F889DA02
5F889FA10
(57)【要約】
【課題】発光素子から出射する光の波長を安定化させる。
【解決手段】基板と、光を出射する発光素子と、光が反射した反射光を撮像する撮像素子と、発光素子及び撮像素子を収容して保持する第1保持体と、第1面で第1保持体と面接触して第1保持体を支持し第1面と反対側の第2面で基板を保持する第2保持体と、第2保持体と空隙を有して第2保持体を支持する第3保持体と、を備え、第1保持体、第2保持体及び第3保持体は、熱伝導率が1W/m・K以上の熱伝導性樹脂からなり、互いに熱的に接合されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
光を出射する発光素子と、前記光が反射した反射光を撮像する撮像素子と、
前記発光素子及び前記撮像素子を収容して保持する第1保持体と、
第1面で前記第1保持体と面接触して前記第1保持体を支持し前記第1面と反対側の第2面で前記基板を保持する第2保持体と、
前記第2保持体と空隙を有して前記第2保持体を支持する第3保持体と、を備えた、
ことを特徴とするセンサモジュール。
【請求項2】
前記第1保持体、前記第2保持体及び前記第3保持体は、熱伝導率が1W/m・K以上の熱伝導性樹脂からなり、互いに熱的に接合されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項3】
前記第2保持体は前記第1保持体と前記第1面で面接触し第3保持体と前記第2面の一部で接触して熱的に接合されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のセンサモジュール。
【請求項4】
前記発光素子は、樹脂製のケース体に収容され、前記ケース体の側面が前記第1保持体と接着剤を介して熱的に接合されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項5】
前記ケース体の底面はセラミックス材料で構成され熱伝導性材料からなる補強板を介して前記第2保持体に熱的に接合されている、
ことを特徴とする請求項4に記載のセンサモジュール。
【請求項6】
前記受光素子は、前記第1保持体に設けられた厚み方向に貫通する貫通孔に収容され、受光面とは反対側の回路面側が前記第2保持体の前記第1面に接触している、
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項7】
前記基板は、表面に実装された発熱抵抗素子が前記空隙に面するように前記第2保持体の前記第2面に保持されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項8】
前記第3保持体は、少なくとも一部にフィン形状を有する、
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のセンサモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を被測定物に当ててその反射から被測定物を測定するセンサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の操縦室の屋根部に搭載され、光線を対象物に投射して、点群データの集合である3次元距離データを取得するセンサと、センサを覆い、センサが光線を投射する方向に開口を有するカバーケースと、カバーケースの開口を開閉する蓋板と、からなる建設機械用センサ格納装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
基板と、基板上に設けられ、基板側を向く第1面及び第1面側とは反対側に第2面を有する第1半導体装置と、第1半導体装置と隣接し、基板上に設けられ、基板側を向く第1面及び第1面側とは反対側に第2面を有する第2半導体装置と、第1半導体装置の第2面上に設けられ、第1半導体装置の第2面と接続した第1配線と、第2半導体装置の第2面上に設けられ、第2半導体装置の第2面と接続した第2配線と、第1配線上に設けられ、第1配線と接続した第1中間層と、第2配線上に設けられ、第2配線と接続した第2中間層と、第1中間層及び第2中間層上に第1中間層及び第2中間層と接続する板部を有し、板部基板の間に柱部又は壁部を有し、柱部又は壁部を介して板部と基板が接続して、熱伝導性有する第3配線を有する半導体モジュールも知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-31153号公報
【特許文献2】特開2022-53401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、発光素子から出射する光の波長を安定化させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載のセンサモジュールは、
基板と、
光を出射する発光素子と、前記光が反射した反射光を撮像する撮像素子と、
前記発光素子及び前記撮像素子を収容して保持する第1保持体と、
第1面で前記第1保持体と面接触して前記第1保持体を支持し前記第1面と反対側の第2面で前記基板を保持する第2保持体と、
前記第2保持体と空隙を有して前記第2保持体を支持する第3保持体と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のセンサモジュールにおいて、
前記第1保持体、前記第2保持体及び前記第3保持体は、熱伝導率が1W/m・K以上の熱伝導性樹脂からなり、互いに熱的に接合されている、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のセンサモジュールにおいて、
前記第2保持体は前記第1保持体と前記第1面で面接触し第3保持体と前記第2面の一部で接触して熱的に接合されている、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のセンサモジュールにおいて、
前記発光素子は、樹脂製のケース体に収容され、前記ケース体の側面が前記第1保持体と接着剤を介して熱的に接合されている、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のセンサモジュールにおいて、
前記ケース体の底面はセラミックス材料で構成され熱伝導性材料からなる補強板を介して前記第2保持体に熱的に接合されている、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載のセンサモジュール型において、
前記受光素子は、前記第1保持体に設けられた厚み方向に貫通する貫通孔に収容され、受光面とは反対側の回路面側が前記第2保持体の前記第1面に接触している、
ことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載のセンサモジュールにおいて、
前記基板は、表面に実装された発熱抵抗素子が前記空隙に面するように前記第2保持体の前記第2面に保持されている、
ことを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のセンサモジュールにおいて、
前記第3保持体は、少なくとも一部にフィン形状を有する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、発光素子から出射する光の波長を安定化させることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、発光素子で発生する熱を効率よく外部に放熱することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、発光素子で発生する熱を段階的に熱伝導させながら外部に放熱することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、低温環境で発光素子の蓄熱を促進することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、発光素子で発生する熱を第2支持体に効率的に熱伝導させることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、受光素子で発生する熱を第2支持体に熱伝導させることができる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、基板の発熱抵抗素子で発生する熱を放熱することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、第2保持体から熱伝導する熱を外部に効率的に放熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】(a)は本実施形態に係るセンサモジュール1の内部構成を示す平面模式図、(b)は縦断面模式図、(c)は底面図である。
【
図2】(a)は基板の主面におけるプロセッサの実装例を示す模式図、(b)は基板の裏面における駆動素子の実装例を示す模式図である。
【
図3】第1支持体に収容されたプロジェクタの構成を示す断面模式図である。
【
図4】(a)は第1保持体を示す平面図、(b)は縦断面図、(c)はプロジェクタ及びイメージセンサモジュールを収容した第1保持体と第2保持体の単純接触を示す縦断面模式図である。
【
図5】(a)は第1保持体及び第2保持体を示す平面図、(b)は第1保持体と第2保持体の単純接触を示す縦断面図である。
【
図6】(a)は第3保持体の第1面を示す平面図、(b)は縦断面模式図、(c)は第3保持体の第2面を示す底面図である。
【
図7】センサモジュールにおける熱伝導と放熱を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に図面を参照しながら、本発明の実施形態の具体例を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
尚、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0024】
(1)センサモジュールの全体構成
図1(a)は本実施形態に係るセンサモジュール1の内部構成を示す平面模式図、(b)は縦断面模式図、(c)は底面図である。
以下、図面を参照しながら、センサモジュール1の全体構成について説明する。
【0025】
図1に示すように、センサモジュール1は、基板10と、光を出射する発光素子からなるプロジェクタ20と、被測定物の表面から反射した反射光を撮像する撮像素子からなるイメージセンサモジュール30と、プロジェクタ20及びイメージセンサモジュール30を収容して保持する第1保持体40と、第1面50aで第1保持体40と面接触して第1保持体40を支持し第1面50aと反対側の第2面50bで基板10を保持する第2保持体50と、第2保持体50と空隙Gを有して第2保持体50を支持する第3保持体60とがケース70で覆われて配置されている。
このように構成されるセンサモジュール1は、被測定物にプロジェクタ20からレーザ光を発して被測定物の表面から反射する反射光をイメージセンサモジュール30で撮像して点群データを取得して被測定物の3次元形状を測定する。
【0026】
(2)センサモジュールの構成
図2(a)は基板10の主面10aにおけるプロセッサPの実装例を示す模式図、(b)は基板10の裏面10bにおける駆動素子の実装例を示す模式図である。
基板10は、例えばPCB基板であり、主面10aおよび裏面10bを有する。主面10aにはプロジェクタ20の発光及びイメージセンサモジュール30の撮像を制御するプロセッサPが配置されている。裏面10bは、第3保持体60側を向く面であり、プロジェクタ20及びイメージセンサモジュール30を動作させるために必要な駆動素子が実装されている。駆動素子は、ドライバIC(U1~U6)や抵抗体(R4~R8:
図2中 破線で囲んで示す)を含んでいる。
抵抗体(R4~R8)は、発熱抵抗素子であり、プロジェクタ20を発光させる際に発熱する。本実施形態においては、1W~3Wの発熱量を有する。
【0027】
図3は第1保持体40に収容されたプロジェクタ20の構成を示す断面模式図である。
プロジェクタ20は、
図3に示すように、複数の発光素子からなるアレイ光源であるVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)21と、VCSEL21の上側でレーザ光の配光制御を行う透過型の回折光学素子(DOE)22と、VCSEL21及び回折光学素子(DOE)22を収容するケース体23から構成されている。
【0028】
ケース体23は、上方に開口し、回折光学素子(DOE)22を支持している。ケース体23の底面23Aはセラミックス材料で構成され、上面23Aaに熱伝導性材料であり、熱伝導率が約400W/m・Kの銅板24aを介してVCSEL21が配置されている。ケース体23の底面23Aの下面23Abは熱伝導率が約400W/m・Kの銅板24a及び熱伝導率が10W/m・K以上の補強板24bを介して第2保持体50に熱的に接合されている。
【0029】
ケース体23は、底面23Aを除いて、金属よりも熱伝導性が低い液晶ポリマー(LCP)を材料として形成され、側面23Bが第1保持体40と接着剤を介して熱的に接合されている。これにより、低温環境における動作開始時にはVCSEL21の蓄熱を促進し、発光波長の変化を抑制することが可能となっている。そして、VCSEL21が発熱した場合は、第1保持体40へ熱伝導して蓄熱を抑制することで発光波長の変化を抑制している。
【0030】
接着剤としては、高熱伝導接着剤が好ましく、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、または、各種エンジニアリングプラスチック等をベースとし銀粉、カーボン、銅、アルミニウム、鉄、セラミック等、熱伝導率の大きい材料の粉末や繊維を混入したものを使用できる。高熱伝導接着剤は、熱伝導率が高いほど好ましく、具体的には、1W/m・K以上であることが好ましい。これにより、ケース体23の側面23Bから第1保持体40への熱伝導をより高めることが可能となる。
【0031】
セラミックス材料は、液晶ポリマー(LCP)に比べて熱伝導率が高く、発熱体の一つであるVCSEL21は、ケース体23の底面23Aが熱伝導性材料である補強板24bを介して第2保持体50と熱的に接合されることで、発生する熱は第2保持体50側へ熱伝導される。
【0032】
イメージセンサモジュール30(
図1に示す)には、光電変換素子としてCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが用いられている。
イメージセンサモジュール30は、プロジェクタ20から出射した光が被測定物で反射する反射光を撮像して点群データとして取得する。
【0033】
図4(a)は第1保持体40を示す平面図、(b)は縦断面図、(c)はプロジェクタ20及びイメージセンサモジュール30を収容した第1保持体40と第2保持体50の単純接触を示す縦断面模式図である。
第1保持体40は、熱伝導率が1W/m・K以上の熱伝導性樹脂からなり、プロジェクタ20及びイメージセンサモジュール30を収容して保持している。第1保持体40には下面40bから上面40aに貫通する貫通孔41が形成され、プロジェクタ20が収容されている。
【0034】
貫通孔41は、
図4に示すように、内面に凸部41aを有し、貫通孔41に収容されるプロジェクタ20のケース体23の側面23Bと接触してプロジェクタ20を位置決めすると同時に熱的に接合している。具体的には、ケース体23は底面23Aを除いて、金属よりも熱伝導率が低い液晶ポリマー(LCP)を材料として形成され、熱伝導率が1W/m・K以上の熱伝導性樹脂からなる第1保持体40と接触している。
これにより、低温環境における動作初期においては、ケース体23から第1保持体40への熱伝導を抑制してプロジェクタ20の蓄熱を促進し、ケース体23が一定程度蓄熱した場合、第1保持体40に熱伝導することでプロジェクタ20の過熱を抑制することで、VCSEL21の発光波長の変動を小さくしている。
【0035】
貫通孔41に収容されたプロジェクタ20は、ケース体23の底面23A側が露出し、熱伝導性材料である補強板24bを介して(
図3 参照)、熱伝導率が1W/m・K以上の熱伝導性樹脂からなる第2保持体50の第1面50aと接触することで熱的に接合している。
具体的には、ケース体23の底面23Aは、熱伝導率が約90W/m・Kのセラミック材料で形成され、熱伝導率が約400W/m・Kである銅板24a及び熱伝導率が約10W/m・K以上である補強板24bを介して熱伝導率が1W/m・K以上の第2保持体50に熱伝導することで、VCSEL21の蓄熱を抑制することが可能となっている。
【0036】
第1保持体40には下面40bから上面40aに貫通する貫通孔42が形成され、イメージセンサモジュール30が収容されている。イメージセンサモジュール30には、CMOSイメージセンサが用いられ、著しい発熱要素ではないことから、第1保持体40との熱的接合は特に考慮されていない。
【0037】
図5(a)は第1保持体40及び第2保持体50を示す平面図、(b)は第1保持体40と第2保持体50の単純接触を示す縦断面図である。
第2保持体50は、熱伝導率が1W/m・K以上の熱伝導性樹脂からなり、第1面50aで第1保持体40と面接触して第1保持体40と熱的に接合されている。すなわち、第1保持体40及び第2保持体50は、熱伝導率が1W/m・K以上の熱伝導性樹脂からなり、単純接触で互いに熱的に接合されている。
これにより、VCSEL21で発生する熱は、一部はケース体23の側面23Bから第1保持体40を介して第2保持体50に熱伝導され、一部はケース体23の底面23Aから直接第2保持体50に熱伝導される。尚、第1保持体40と第2保持体50は高熱伝導接着剤を介して接合してもよい。これにより、第1保持体40から第2保持体50への熱伝導効率を向上させることができる。
【0038】
第2保持体50の第1面50aと反対側の第2面50bは基板10の裏面10bが第3保持体60側を向くようにして基板10を保持している。基板10の裏面10bには発熱抵抗素子である抵抗体(R4~R8)が実装され、抵抗体(R4~R8)は第3保持体60との空隙Gに面している。これにより、抵抗体(R4~R8)で発生する熱は空隙G内に放熱されるようになっている。また、抵抗体(R4~R8)で発生する熱は基板10の取り付け部を介して第2保持体50にも熱伝導される。
【0039】
図6(a)は第3保持体60の第1面60aを示す平面図、(b)は断面模式図、(c)は第3保持体60の第2面60bを示す底面図である。
第3保持体60は、熱伝導率が1W/m・K以上の熱伝導性樹脂からなり、第2保持体50と空隙Gを有して第2保持体50を支持し第2保持体50と熱的に接合されている。
図6に示すように、第3保持体60の第1面60aにはスペーサとしてのボス体60Aが立設され、第2保持体50はボス体60Aで離隔して支持されている。すなわち、第2保持体50と第3保持体60はボス体60Aで熱的に接合され、第2保持体50から第3保持体60に熱伝導されるようになっている。
【0040】
第3保持体60の第1面60a及び第1面60aとは反対側の第2面60bには、
図6に示すように、フィン形状60Bが形成されている。フィン形状60Bは短冊状に形成された放熱フィンであり、第3保持体60と周囲空気層との接触面積を増加させて第2保持体50から熱伝導する熱を外部に効率的に放熱することができる。
【0041】
第1保持体40、第2保持体50及び第3保持体60を形成する熱伝導性樹脂としては、例えば、粒子状又はフィラー状の炭素系材料からなる高熱伝導性材料を所定の基材樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、液晶ポリマー(LCP)、熱可塑性エラストマー(TPE)等の樹脂に混合した熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの熱伝導性樹脂は、熱伝導率が概ね1W/m・Kないし10W/m・Kであるが、高熱伝導性材料の混合量を調整することで熱伝導率は概ね10W/m・Kないし30W/m・Kまで高くすることができ、センサモジュール1の蓄熱をより抑制することが可能となる。
【0042】
(3)センサモジュールにおける熱伝導及び放熱
図7はセンサモジュール1における熱伝導と放熱を説明する模式図である。
センサモジュール1における最も大きな熱源はプロジェクタ20のアレイ光源であるVCSEL21であり、VCSEL21の発光を制御する基板10の抵抗体(R4~R8)も一定の発熱量を有する熱源となっている。
【0043】
VCSEL21はケース体23に収容され、ケース体23は側面23Bが第1保持体40と熱的に接合され、ケース体23の底面23Aが銅板24を介して直接第2保持体50と熱的に接合されている。第1保持体40と第2保持体50は単純接触で互いに熱的に接合されている。第2保持体50は第3保持体60とボス体61を介して熱的に接合されている。これにより、
図7に矢印で示すように、熱源のVCSEL21から第1保持体40及び第2保持体50を経由して第3保持体60まで熱的に接合されている。第3保持体60は、第1面60a及び第2面60bにフィン形状60Bが形成され、周囲空気層との接触面積を増加させている。また、基板10は取り付け部を介して第2保持体50と熱的に接合され、基板10の抵抗体(R4~R8)で発生する熱の一部は第2保持体50に熱伝導する。
【0044】
センサモジュール1の光の出射及び光が反射した反射光の受光側を上方とした場合、第1保持体40が上方側、第2保持体50は第1保持体40と面接触して第1保持体40を下方から支持し、第3保持体60は第2保持体50を下方からボス体60Aで空隙Gを有して下方から支持している。そして、平面視した場合、第1保持体40よりも第2保持体50が面積が広く、第2保持体50よりも第3保持体60が面積が広くなる構成となっている。これにより、第1保持体40から第2保持体50に熱伝導した熱を放熱しやすく、第2保持体50から第3保持体60に熱伝導した熱を第3保持体60の外表面側から放熱しやすくなっている。更に、第3保持体60の第1面60a及び第1面60aとは反対側の第2面60bには、短冊状に形成された放熱フィンが形成され、第3保持体60と周囲空気層との接触面積を増加させて効率的に放熱することができる。
【0045】
このように、センサモジュール1は、熱源のVCSEL21から第1保持体40及び第2保持体50を経由して第3保持体60まで熱的に接合され、低温環境における動作初期においては、ケース体23から第1保持体40への熱伝導を抑制してプロジェクタ20の蓄熱を促進し、ケース体23が一定程度蓄熱した場合、第1保持体40及び第2保持体50を経由して第3保持体60に熱伝導することでプロジェクタ20の過熱を抑制することで、発光波長の変動を小さくしている。
【符号の説明】
【0046】
1・・・センサモジュール
10・・・基板
20・・・プロジェクタ、21・・・VCSEL、22・・・回折光学素子、23・・・ケース体
30・・・イメージセンサモジュール
40・・・第1保持体
50・・・第2保持体
60・・・第3保持体