(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129982
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】追跡支援装置、追跡支援方法、及び、追跡支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20240920BHJP
【FI】
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039432
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】西井 大智
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】角田 哲洋
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC35
5L050CC35
(57)【要約】
【課題】通報によって得られた情報と映像とに基づいて、追跡対象者の情報を効率的に収集することを支援する。
【解決手段】追跡支援装置30は、通報者端末40から通報310を取得する通報取得部31と、通報310に基づいて、追跡対象者の特徴320を取得する特徴取得部32と、通報者端末40の通報位置330を取得する第1位置取得部33と、撮影機器の位置340を取得する第2位置取得部34と、通報者端末40の通報位置330に基づいて、所定の範囲350を設定する設定部35と、追跡対象者の特徴320と、撮影機器の位置340と、所定の範囲350とに基づいて、追跡対象者の特徴320を有する人物を抽出する抽出部36と、を備える。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通報者端末から第1の通報を取得する通報取得手段と、
前記第1の通報に基づいて、追跡対象者の特徴を取得する特徴取得手段と、
前記第1の通報者端末の通報位置を取得する第1の位置取得手段と、
撮影手段の位置を取得する第2の位置取得手段と、
前記第1の通報者端末の通報位置に基づいて、所定の範囲を設定する設定手段と、
前記追跡対象者の特徴と、前記撮影手段の位置と、前記所定の範囲とに基づいて、前記追跡対象者の特徴を有する人物を抽出する抽出手段と、
を備える追跡支援装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記所定の範囲内に含まれる前記撮影手段によって得られた撮像画像に前記追跡対象者の特徴を有する人物が含まれるか否かに応じて、前記所定の範囲を変更する、
請求項1に記載の追跡支援装置。
【請求項3】
前記設定手段は、前記所定の範囲内に含まれる前記撮影手段によって得られた撮像画像に前記追跡対象者の特徴を有する人物が含まれる場合、前記追跡対象者の特徴を有する人物が含まれる画像を撮影した前記撮影手段の位置に基づいて、前記所定の範囲を設定する、
請求項2に記載の追跡支援装置。
【請求項4】
前記追跡対象者の特徴を有する人物が含まれる画像を撮影した前記撮影手段の位置と、前記追跡対象者の特徴を有する人物が含まれる画像を撮影した時間に関する情報とに基づいて、前記追跡対象者の移動方向を予測する予測手段をさらに備え、
前記設定手段は、予測された移動方向に基づいて、前記所定の範囲を設定する、
請求項3に記載の追跡支援装置。
【請求項5】
前記通報取得手段は、第2の通報者端末から第2の通報を取得し、
前記第1の通報に基づく前記追跡対象者の特徴と、前記第2の通報に基づく前記追跡対象者の特徴とに基づいて、前記追跡対象者の特徴の類似度を算出する算出手段と、
前記類似度が基準を上回る場合、前記第1の通報に基づいて設定される所定の範囲と前記第2の通報に基づいて設定される所定の範囲とが重なる範囲内に設置された前記撮影手段による撮像画像を優先的に表示装置に表示する表示制御手段と、をさらに備える
請求項1から請求項4のいずれかに記載の追跡支援装置。
【請求項6】
前記設定手段は、前記所定の範囲として設定した範囲のうち、前記所定の範囲として設定されてからの経過時間と、自範囲から最後に前記所定の範囲として設定された範囲までの距離との少なくともいずれかが除外条件を満たす範囲を、前記所定の範囲から除外する、
請求項1から請求項4のいずれかに記載の追跡支援装置。
【請求項7】
前記抽出手段は、前記追跡対象者との特徴の類似度が基準を上回る人物を抽出し、前記特徴に含まれる1以上の属性の個々に関して、抽出した人物が前記追跡対象者であることに関する蓋然性が高い前記属性ほど重みを付けて前記類似度を算出する、
請求項1から請求項4のいずれかに記載の追跡支援装置。
【請求項8】
前記第1の通報に基づいて、質問を生成する質問生成手段をさらに備え、
前記特徴取得手段は、前記第1の通報に含まれる前記追跡対象者の特徴が明確であるか否かを判定し、
前記質問生成手段は、前記第1の通報に含まれる前記追跡対象者の特徴が明確でない場合、前記追跡対象者の特徴を明確にするための質問を生成する、
請求項1から請求項4のいずれかに記載の追跡支援装置。
【請求項9】
情報処理装置によって、
第1の通報者端末から第1の通報を取得し、
前記第1の通報に基づいて、追跡対象者の特徴を取得し、
前記第1の通報者端末の通報位置を取得し、
撮影手段の位置を取得し、
前記第1の通報者端末の通報位置に基づいて、所定の範囲を設定し、
前記追跡対象者の特徴と、前記撮影手段の位置と、前記所定の範囲とに基づいて、前記追跡対象者の特徴を有する人物を抽出する、
追跡支援方法。
【請求項10】
第1の通報者端末から第1の通報を取得する通報取得処理と、
前記第1の通報に基づいて、追跡対象者の特徴を取得する特徴取得処理と、
前記第1の通報者端末の通報位置を取得する第1の位置取得処理と、
撮影手段の位置を取得する第2の位置取得処理と、
前記第1の通報者端末の通報位置に基づいて、所定の範囲を設定する設定処理と、
前記追跡対象者の特徴と、前記撮影手段の位置と、前記所定の範囲とに基づいて、前記追跡対象者の特徴を有する人物を抽出する抽出処理と、
をコンピュータに実行させるための追跡支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、追跡支援装置、追跡支援方法、及び、追跡支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
犯罪を行った逃走犯等を追跡して、その身柄を迅速に確保することを支援する技術が期待されている。
【0003】
上述の技術に関連して、特許文献1には、犯人に関する通報の内容に基づいて、犯人の逃走範囲を推定する装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、監視カメラから送られた撮像映像に、登録済みの容疑者の全身画像と合致する人物が含まれるか否かを照合するシステムが開示されている。また、このシステムは、照合により、合致する人物が特定された場合、容疑者が発見された旨のアラーム通知をクライアント端末に送ることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-221852号公報
【特許文献2】特開2020-178167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1によれば、通報の内容に基づいて、人物が移動した範囲を推定することができる。また、上述した特許文献2によれば、追跡対象者の全身画像と撮影映像とを照合することにより、追跡対象者が発見された旨のアラーム通知をクライアント端末に送ることができる。しかしながら、特許文献1に開示される位置特定装置は、追跡対象者が移動した範囲を推定するのみに留まっている。また、特許文献2に開示される人物監視システムは、照合の対象とする監視カメラの選択方法について十分な検討がなされていない。
【0007】
本発明の主たる目的は、通報によって得られた情報と映像とに基づいて、追跡対象者の情報を効率的に収集することを支援することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る追跡支援装置は、第1の通報者端末から第1の通報を取得する通報取得手段と、前記第1の通報に基づいて、追跡対象者の特徴を取得する特徴取得手段と、前記第1の通報者端末の通報位置を取得する第1の位置取得手段と、撮影手段の位置を取得する第2の位置取得手段と、前記第1の通報者端末の通報位置に基づいて、所定の範囲を設定する設定手段と、前記追跡対象者の特徴と、前記撮影手段の位置と、前記所定の範囲とに基づいて、前記追跡対象者の特徴を有する人物を抽出する抽出手段と、を備える。
【0009】
上記目的を達成する他の見地において、本発明の一態様に係る追跡支援方法は、情報処理装置によって、第1の通報者端末から第1の通報を取得し、前記第1の通報に基づいて、追跡対象者の特徴を取得し、前記第1の通報者端末の通報位置を取得し、撮影手段の位置を取得し、前記第1の通報者端末の通報位置に基づいて、所定の範囲を設定し、前記追跡対象者の特徴と、前記撮影手段の位置と、前記所定の範囲とに基づいて、前記追跡対象者の特徴を有する人物を抽出する。
【0010】
また、上記目的を達成する更なる見地において、本発明の一態様に係る追跡支援プログラムは、第1の通報者端末から第1の通報を取得する通報取得処理と、前記第1の通報に基づいて、追跡対象者の特徴を取得する特徴取得処理と、前記第1の通報者端末の通報位置を取得する第1の位置取得処理と、撮影手段の位置を取得する第2の位置取得処理と、前記第1の通報者端末の通報位置に基づいて、所定の範囲を設定する設定処理と、前記追跡対象者の特徴と、前記撮影手段の位置と、前記所定の範囲とに基づいて、前記追跡対象者の特徴を有する人物を抽出する抽出処理と、をコンピュータに実行させる。
【0011】
更に、本発明は、係る追跡支援プログラム(コンピュータプログラム)が格納された、コンピュータ読み取り可能な、不揮発性の記録媒体によっても実現可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、通報によって得られた情報と映像とに基づいて、追跡対象者の情報を効率的に収集することを支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る追跡支援装置10の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る追跡支援装置10が、通報者端末21からの通報及び抽出部14による人物抽出結果106に応じて設定した追跡対象範囲104の第1の例を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る追跡支援装置10が、通報者端末21からの通報及び抽出部14による人物抽出結果106に応じて設定した追跡対象範囲104の第2の例を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る追跡支援装置10が、複数の通報者端末21からの通報が同一の追跡対象者に関する通報と推定される場合において、表示装置24に優先的に表示する撮像画像105を撮像したカメラ23を決定することを例示する図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る追跡支援装置10が、複数の追跡対象範囲104が重なる範囲内に位置するカメラ23による撮像画像105を優先して表示装置24に表示する態様の一例を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る追跡支援装置10が、追跡対象者に関する通報の音声を取得したときの動作を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る追跡支援装置10が、追跡対象範囲104に含まれるカメラ23による撮像画像105から追跡対象者を追跡する動作を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る追跡支援装置10が、追跡対象者を追跡中に追跡対象範囲104を拡大する動作を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る追跡支援装置10が、ある追跡対象者に関する複数の追跡対象範囲104が重なる範囲内にあるカメラ23による撮像画像105を優先的に表示装置24に表示する動作を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る追跡支援装置10が、追跡対象範囲104を設定する詳細動作を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係る追跡支援装置10が、追跡対象範囲104を除外する詳細動作を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の第2の実施形態に係る追跡支援装置30の構成を示すブロック図である。
【
図13】本発明の第2の実施形態に係る追跡支援装置30の動作を示すフローチャートである。
【
図14】本発明の各実施形態に係る追跡支援装置を実現可能な情報処理装置900の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る追跡支援装置10の構成を示すブロック図である。追跡支援装置10は、例えば警察等において、犯罪の逃走犯あるいは捜索依頼が提出されている行方不明者等を含む追跡対象者の追跡業務を支援する装置である。追跡支援装置10は、受理者端末22、1以上のカメラ23、表示装置24、現場の職員の端末25と通信可能に接続されている。
【0016】
受理者端末22は、通報者端末21からの追跡対象者に関する通報を受理する警察官が使用する、例えばスマートフォンあるいはパーソナルコンピュータ等の通話機能を備えた情報処理装置である。通報者端末21は、例えばスマートフォン等の通話機能を備えた情報処理装置である。通報者端末21から受理者端末22への通報を契機に、通報者端末21と受理者端末22との間で、追跡対象者に関する会話を表す音声データが送受信される。
【0017】
1以上のカメラ23は、街中等の様々な場所に設置され、設置された場所の近辺を撮像する。カメラ23は、撮影手段の一例である。カメラ23は、カメラ23を識別可能な識別情報と撮像時刻とを含む、後述する撮像画像105を出力する。カメラ23の識別情報は、例えば、カメラ23が設置された位置を表す情報であってもよい。なお、カメラ23は、特定の位置に固定されるものに限らず、ウェアラブルカメラやスマートフォンなどに搭載されたカメラなどの可搬性を有したものであってもよい。さらには、車両やドローンなどの移動体に対して取り付けられるものであってもよい。
【0018】
表示装置24は、追跡支援装置10から出力された情報を表示するモニター等の装置であり、例えば警察本部の指令室等に設置されている。また、これに限らずスマートフォンやタブレット端末などであってもよい。
【0019】
現場の職員の端末25は、事件や事故の発生現場に出動する職員(警察官等)が所持する、例えばスマートフォン等の情報処理装置である。なお、現場の職員の端末25を表示装置24として用いてもよい。
【0020】
追跡支援装置10は、通報取得部11、特徴取得部12、位置取得部13、抽出部14、設定部15、予測部16、算出部17、表示制御部18、質問生成部19、記憶部100を備える。通報取得部11、特徴取得部12、位置取得部13、抽出部14、設定部15、予測部16、算出部17、表示制御部18、質問生成部19は、順に、通報取得手段、特徴取得手段、第1及び第2の位置取得手段、抽出手段、設定手段、予測手段、算出手段、表示制御手段、質問生成手段の一例である。
【0021】
記憶部100は、例えば、
図10を参照して後述するRAM(Random Access Memory)あるいはハードディスク904のような記憶デバイスである。記憶部100は、通報処理結果101、追跡対象者の特徴102、通報位置103、追跡対象範囲104、撮像画像105、人物抽出結果106、移動方向予測基準107、除外条件108、質問生成基準109を記憶している。記憶部100に記憶されたこれらの情報については後述する。
【0022】
通報取得部11は、受理者端末22から、通報者端末21と受理者端末22との間で行われる、通報された追跡対象者に関する会話の音声データを取得する。通報取得部11は、あるいは、通報者端末21からテキストにより行われた通報を取得してもよい。通報取得部11は、取得した音声データあるいはテキストデータを記憶部100に格納してもよい。
【0023】
特徴取得部12は、詳細には、音声認識部と自然言語処理部とを含む。
【0024】
特徴取得部12の音声認識部は、通報取得部11により取得された通報された追跡対象者に関する会話の音声データに対する音声認識処理を行い、その発話を表すテキストデータを生成する。尚、通報がテキストにより行われた場合は、音声認識部によるこの処理は省略される。
【0025】
特徴取得部12の自然言語処理部は、音声認識部により生成されたテキストデータに対して、形態素解析及び構文解析等を含む自然言語処理を行い、その結果を通報処理結果101として記憶部100に格納する。
【0026】
特徴取得部12は、通報処理結果101に含まれる追跡対象者の特徴を表すキーワードを抽出し、抽出したキーワードにより示される追跡対象者の特徴102を記憶部100に格納する。追跡対象者の特徴102は、例えば、通報者により報告された追跡対象者の背の高さ、体格、性別、年齢、服装、所持品等に関する特徴(属性)を表す。
【0027】
位置取得部13は、第1位置取得部131(不図示)及び第2位置取得部132(不図示)を含む。第1位置取得部131は、追跡対象者に関する通報が行われた通報位置103を表す情報を取得する。第1位置取得部131は、例えば、受理者端末22を介して、通報者端末21のGNSS(Global Navigation Satellite System)等の位置情報を、通報位置103を表す情報として取得してもよい。第1位置取得部131は、あるいは、通報処理結果101に含まれる通報位置103を表すキーワードと外部から取得した地図に関する情報とから、通報位置103を特定してもよい。第1位置取得部131は、取得した通報位置103を記憶部100に格納する。
【0028】
抽出部14は、通報位置103から追跡対象範囲104の内側に存在するカメラ23によって撮像された撮像画像105に対する画像認識処理を行うことによって、撮像画像105から追跡対象者の特徴102を備える人物を抽出する。尚、追跡対象範囲104は、後述する設定部15によって設定される。
【0029】
抽出部14は、撮像画像105に含まれる1人以上の人物の個々に関して、背の高さ、体格、性別、年齢、服装、所持品等の特徴を特定する。抽出部14は、撮像画像105に含まれる個々の人物の特徴と追跡対象者の特徴102との類似度を算出する。尚、抽出部14により算出される類似度は、撮像画像105に含まれるある人物が追跡対象者であることの尤もらしさを表す尤度ともいえる。抽出部14は、例えば、撮像画像105に含まれる人物の特徴を表す特徴ベクトルと追跡対象者の特徴102を表す特徴ベクトルとの間のベクトル空間における距離から、当該類似度を算出すればよい。
【0030】
抽出部14は、特徴に含まれる1以上の属性の個々に関して、抽出した人物が追跡対象者であることに関する蓋然性(確からしさ)が高い属性ほど重みを付けて、当該類似度(尤度)を算出するようにしてもよい。例えば、身長や体格のような属性は、ある人物に関して判断する際の基準の個人差が小さく、蓋然性が高いと考えられる。例えば、身長が180cmの人物に対しては、一般的に誰が見ても身長が180cm程度であると判定する。これに対して年齢や性別のような属性は、身長や体格のような属性と比較して、判断基準の個人差が大きく、蓋然性が低くなると考えられる。例えば、年齢が35歳の人物に対して、その人物の年齢が30代と感じる人もいれば、40代と感じる人もいる。また、服装のような属性は、例えば逃走犯のような追跡対象者が逃走中に着替えることを想定すると蓋然性が低くなると考えられる。尚、抽出部14が類似度を算出する際に使用する、属性の種別ごとの重み付けの値を表す基準は、記憶部100に格納されていることとする。
【0031】
抽出部14は、撮像画像105に含まれるある人物に関して算出した類似度が基準を満たす(例えば閾値以上である)場合、その人物を追跡対象者である可能性がある人物として抽出する。抽出部14は、抽出した人物の特徴と、抽出した人物が撮像された撮像画像105の撮像時刻および撮像場所とを含む人物抽出結果106を、撮像画像105とともに記憶部100に格納する。撮像場所は、上述した位置取得部13の第2位置取得部132によって取得される。なお、撮像場所は、追跡対象者である可能性がある人物を含む撮像画像105を取得したカメラ23の位置であってもよいし、地理的な座標であってもよい。地理的な座標とは、例えば、撮像画像105において追跡対象者である可能性がある人物が写る位置と、カメラ23の情報(例えば、位置や撮影方向など)とに基づいて算出される。
【0032】
抽出部14は、また、上述の通りに算出した類似度(尤度)が、現場に職員を派遣する基準を満たす場合、追跡対象者と推定される人物がいる場所(人物抽出結果106によって示される撮像画像105の撮像場所)に出動可能な現場の職員の端末25に、その場所に出動することを指示する情報を通知してもよい。
【0033】
設定部15は、撮像画像105から追跡対象者の特徴102を備える(追跡対象者との特徴の類似性が基準を満たす)人物が抽出されないことに応じて拡大するように、追跡対象範囲104を設定する。設定部15は、例えば、所定の時間が経過するたびに、追跡対象範囲104を1段階拡大するようにしてもよい。そして設定部15は、人物抽出結果106によって示される、追跡対象者の特徴102を備える人物が抽出された撮像画像105の撮像位置を基準として、追跡対象範囲104を再度設定する。設定部15は、設定した追跡対象範囲104を表す情報を記憶部100に格納する。
【0034】
図2は、本実施形態に係る設定部15が、通報者端末21からの通報及び抽出部14による人物抽出結果106に応じて設定した追跡対象範囲104の第1の例を示す図である。
【0035】
設定部15は、通報者端末21からの追跡対象者に関する最初の通報に応じて、通報位置103を中心とした同心円状に追跡対象範囲104を設定する。設定部15は、例えば、追跡対象者が徒歩あるいは交通機関等により移動する速度を推定し、推定した移動速度に基づく拡大速度で追跡対象範囲104を拡大してもよい。この場合、抽出部14は、通報により設定された追跡対象範囲104の内部に位置するカメラ23により撮像された撮像画像105を、追跡対象者の特徴102を備える人物を抽出する対象とする。また、追跡対象範囲104は、最初の通報を受け付けてから経過した時間に応じて範囲を拡大するものであってもよい。また、追跡対象範囲104の形状は、同心円状に限らず、矩形であっても楕円形であってもよいし、ユーザが設定した任意の形状であってもよい。
【0036】
図2に示す例では、通報により設定された通報者端末21を中心とする追跡対象範囲104が設定部15によって次第に拡大される。そして抽出部14は、通報後のある時刻において、その拡大された追跡対象範囲104に含まれるカメラ23-1による撮像画像105から、追跡対象者の特徴102を備える人物を抽出する(1回目の抽出)。尚、本実施形態では、カメラ23のうちの特定のカメラを、カメラ23-1というように添え字を付与して記載する場合がある。この場合、設定部15は、カメラ23-1の撮像位置を中心とした同心円状に次第に拡大するように新たな追跡対象範囲104を設定する。
【0037】
そして、その後、通報により設定された通報者端末21を中心とする追跡対象範囲104、及び、1回目の抽出により設定されたカメラ23-1を中心とする追跡対象範囲104が設定部15によって次第に拡大される。そして抽出部14は、1回目の抽出が行われた後のある時刻において、その拡大されたいずれかの追跡対象範囲104に含まれるカメラ23-2による撮像画像105から、追跡対象者の特徴102を備える人物を抽出する(2回目の抽出)。この場合、設定部15は、カメラ23-2の撮像位置を中心とした同心円状に次第に拡大するように新たな追跡対象範囲104を設定する。
【0038】
このように、追跡支援装置10は、抽出部14による撮像画像105からの追跡対象者の特徴102を備える人物を抽出する動作と、設定部15によるその撮像画像105を撮像したカメラ23を中心とする追跡対象範囲104を新たに設定して拡大する動作とを繰り返し実行する。
【0039】
図3は、本実施形態に係る設定部15が、通報者端末21からの通報及び抽出部14による人物抽出結果106に応じて設定した追跡対象範囲104の第2の例を示す図である。
【0040】
図3の例において、通報者端末21からの追跡対象者に関する最初の通報の後、抽出部14は、カメラ23-1、カメラ23-2、カメラ23-3による撮像画像105から追跡対象者の特徴102を備える人物を、順次抽出している。そして
図2に示す例では、追跡対象者の特徴102を備える人物が移動する方向に関して特に傾向は見られないのに対し、
図3に示す例では、追跡対象者の特徴102を備える人物は、一貫して紙面の右下方向に移動する傾向が見られる。
【0041】
図3の例の場合、
図1に示す予測部16は、移動方向予測基準107に基づいて、追跡対象者の特徴102を備える人物が抽出された撮像画像105の撮像位置の移動方向の傾向から、追跡対象者の特徴102を備える人物の今後の移動方向を予測する。移動方向予測基準107は、追跡対象者の特徴102を備える人物のこれまでの移動の履歴から、その移動方向の傾向を特定するための基準である。移動方向予測基準107は、例えば追跡支援装置10の管理者等によって与えられてもよいし、外部の装置から取得されてもよい。移動方向予測基準107は、例えば、機械学習の結果として生成された基準でもよい。移動方向予測基準107は、また、過去における多くの追跡対象者の追跡実績及び地図に関する情報等をふまえた基準であってもよい。例えば、過去の追跡実績において、多くの追跡対象者が近隣の駅に移動する傾向が見られる場合、移動方向予測基準107は、追跡対象者が近隣の駅の方向に移動することを示してもよい。
【0042】
図3の例の場合、設定部15は、予測部16により予測された移動方向に拡大するように追跡対象範囲104を設定する。予測部16は、カメラ23-2による撮像画像105から追跡対象者の特徴102を備える人物が抽出された(2回目の抽出)時点では、まだ、追跡対象者の特徴102を備える人物の移動方向の傾向を特定できていない。したがって、設定部15は、最初の通報、1回目の抽出、及び2回目の抽出が行われた後は、それぞれ、
図2の例と同様に、通報者端末21、カメラ23-1、カメラ23-2の位置を中心とした同心円状に次第に拡大するように新たな追跡対象範囲104を設定する。予測部16は、カメラ23-3による撮像画像105から追跡対象者の特徴102を備える人物が抽出された(3回目の抽出)時点で、追跡対象者の特徴102を備える人物の移動方向の傾向を特定する。そして、設定部15は、予測部16による予測結果に従い、カメラ23-3の位置を基準として紙面の右下方向に拡大するように追跡対象範囲104を設定する。なお、設定部15は、移動方向の傾向に基づいて追跡対象範囲104を変更する場合、変更前の追跡対象範囲104に対して、変更後の追跡対象範囲104の面積が増加しないように、追跡対象範囲104を設定するようにしてもよい。
【0043】
設定部15は、また、追跡対象範囲104に鉄道の駅が含まれる場合、追跡対象者の特徴102を備える人物が鉄道により移動する可能性があることを踏まえて、その人物が利用する可能性がある1以上の駅の周辺を追跡対象範囲104として設定してもよい。
【0044】
設定部15は、また、最初の通報あるいは追跡対象者の特徴102を備える人物が抽出された撮像画像105から、追跡対象者が自動車で移動することが判明している場合、追跡対象者が利用する可能性がある1以上の高速道路の入り口の周辺を追跡対象範囲として設定してもよい。ただしこの場合、追跡対象者が乗車する自動車を特定可能な情報(例えば車両ナンバー等)が取得されていることとする。
【0045】
設定部15は、また、追跡対象範囲104として設定した範囲のうち、追跡対象範囲104として設定されてからの経過時間と、最後に追跡対象範囲104として設定された範囲からの距離との少なくともいずれかが除外条件108を満たす範囲を、追跡対象範囲104から除外(削除)するようにしてもよい。但し、除外条件108は、例えば追跡支援装置10の管理者等によって与えられてもよいし、外部の装置から取得されてもよい。
【0046】
例えば、除外条件108が、追跡対象範囲104として設定されてから1時間が経過した範囲を追跡対象範囲104から除外すること示すこととする。この場合、設定部15は、例えば、
図2あるいは
図3に示す例において、通報から1時間が経過したのち、通報により設定された追跡対象範囲104を、追跡対象範囲104から除外する。
【0047】
例えば、除外条件108が、最後に追跡対象範囲104として設定された範囲からの距離が10km(キロメートル)以上離れた範囲を追跡対象範囲104から除外すること示すこととする。この場合において、設定部15は、例えば、
図2に示す例において、通報により設定された追跡対象範囲104が示す円と2回目の抽出により設定された追跡対象範囲104が示す円との距離が10km以上である場合は、通報により設定された追跡対象範囲104を、追跡対象範囲104から除外する。
【0048】
除外条件108は、上述した条件とは異なる条件を含んでもよい。除外条件108は、例えば、設定された追跡対象範囲104の個数(
図2及び
図3の例では、順に、3個及び4個)が所定の上限の個数に達した場合、追跡対象範囲104として設定された時刻が最も古い追跡対象範囲104を追跡対象範囲104から除外することを示してもよい。
【0049】
本実施形態に係る追跡支援装置10は、複数の通報者端末21の個々からの通報に応じて、複数の追跡対象者の追跡を支援する機能を備える。次に、複数の通報者端末21からの通報に対する追跡支援装置10の動作について説明する。
【0050】
図1に示す算出部17は、複数の通報から取得された追跡対象者の特徴102の類似度を算出する。算出部17は、上述した抽出部14が、撮像画像105に含まれる個々の人物の特徴と追跡対象者の特徴102との類似度を算出するときと同様の方法で、上述した類似度を算出すればよい。
【0051】
図4は、本実施形態に係る追跡支援装置10が、2つの通報者端末21-1及び21-2からの通報を受け付けた場合を例示する図である。
【0052】
図4に示す例において、通報取得部11は、通報者端末21-1及び21-2からそれぞれ行われた通報の音声データを取得する。通報者端末21-1からの通報時刻は12時30分であり、その通報に関する追跡対象者の特徴102は、「身長:約180cm(センチメートル)」、「服装:黒い服」、「髪の色:茶色」、「性別:男性」、「年齢:20代」を示している。通報者端末21-2からの通報時刻は12時40分であり、その通報に関する追跡対象者の特徴102は、通報者端末21-1からの通報に関する追跡対象者の特徴102と同様である。
【0053】
この場合、算出部17は、通報者端末21-1及び21-2からの通報からそれぞれ取得された追跡対象者の特徴102の類似度が基準を上回ると判定し、通報者端末21-1からの通報が示す追跡対象者と通報者端末21-2からの通報が示す追跡対象者とは、同一人物であると判定する。設定部15は、追跡対象範囲104を追跡対象者の識別情報と関連付けて管理しており、通報者端末21-1に関する追跡対象範囲104と通報者端末21-2に関する追跡対象範囲104とを、同一の追跡対象者と関連付けて設定する。
【0054】
図4に示す例において、通報者端末21-1からの通報により設定された追跡対象範囲104と通報者端末21-2からの通報により設定された追跡対象範囲104とが重なる範囲は、追跡対象者が存在する可能性が他の範囲よりも高いと推定される。したがってこの場合、
図1に示す表示制御部18は、通報者端末21-1及び21-2からの通報により設定された追跡対象範囲104が重なる範囲に位置するカメラ23-1、23-2、23-3による撮像画像105を優先的に表示装置24に表示する。
【0055】
図5は、本実施形態に係る表示制御部18が、複数の追跡対象範囲104が重なる範囲内に位置するカメラ23による撮像画像105を優先して表示装置24に表示する態様の一例を示す図である。表示制御部18は、
図5に例示するように、例えば、複数の撮像画像105を並べて表示装置24に表示する場合に、優先的に表示するカメラ23-1、23-2、23-3による撮像画像105を表示する大きさを他の撮像画像105よりも大きくする。表示制御部18は、あるいは、複数の撮像画像105を切り換えながら表示装置24に表示する場合に、優先的に表示する撮像画像105を表示する時間を他の撮像画像105よりも長くする。表示制御部18は、あるいは、優先的に表示する撮像画像105のみを表示装置24に表示し、他の撮像画像105を表示装置24に表示しないようにしてもよい。
【0056】
表示制御部18は、また、
図2あるいは
図3に例示するような場合において、複数の追跡対象範囲104が重なる範囲に位置するカメラ23による撮像画像105を優先的に表示装置24に表示してもよい。表示制御部18は、また、
図3に例示する場合の様に、予測部16によって追跡対象者の特徴102を備える人物の今後の移動方向が予測されている場合は、予測された移動方向に位置するカメラ23による撮像画像105を優先的に表示装置24に表示してもよい。
【0057】
図1に示す質問生成部19は、通報者端末21から通報を行った通報者に対する質問を生成する。この際、特徴取得部12は、上述した通りに取得した追跡対象者の特徴102の明確性が基準を満たすか否かを判定する。質問生成部19は、取得した追跡対象者の特徴102の明確性が基準を満たさない場合、基準を満たす追跡対象者の特徴102を通報者から取得するための質問を質問生成基準109に基づいて生成する。
【0058】
特徴取得部12は、例えば、取得した追跡対象者の特徴102が、「身長が高い(あるいは低い)」、「年齢が若い(あるいは高齢)」というような定性的(抽象的)な特徴を含む場合、それらの特徴の明確性が基準を満たさないと判定する。この場合、質問生成部19は、「身長は何cm程度であるか」、あるいは「年齢は何十代であるか」というような、定量的(具体的)な追跡対象者の特徴102を得るための通報者に対する質問を生成する。質問生成基準109は、明確性が基準を満たさない特徴と、その特徴に関して明確性が基準を満たす情報を得るための質問との関係を表す。質問生成基準109は、例えば、機械学習の結果として生成された基準でもよい。
【0059】
質問生成部19は、生成した質問を、受理者端末22を使用する受理者が視認可能に、受理者端末の表示画面に表示する。また、受理者端末22が通報者端末21からの通報に対して自動応答を行う機能を備える場合、質問生成部19は、生成した質問を通報者に対して行うように制御する。
【0060】
追跡支援装置10は、追跡対象者の特徴102が明確性の基準を満たさない特徴を含む場合において、上述した質問生成部19による質問の生成とは異なる対応を行ってもよい。追跡支援装置10は、例えば、多数の人に対するアンケート調査の結果などに基づいた基準(一般的に背が高いと見なされる身長等を表す)を事前に取得しておき、その基準に基づいて追跡対象者の特徴102を取得してもよい。
【0061】
次に
図6乃至
図11のフローチャートを参照して、本実施形態に係る追跡支援装置10の動作(処理)について詳細に説明する。
【0062】
図6は、追跡支援装置10が追跡対象者に関する通報の音声を取得したときの動作を示すフローチャートである。
【0063】
通報取得部11は、通報者端末21と受理者端末22との間で送受信される、通報者と受理者との会話の音声データを取得する(ステップS101)。特徴取得部12は、通報取得部11によって取得された音声データに対する分析(音声認識処理及び自然言語処理)を行い、追跡対象者の特徴102を取得する(ステップS102)。位置取得部13は、通報者端末21からの通報の通報位置103を表す情報を取得する(ステップS103)。算出部17は、新たな通報から取得した追跡対象者の特徴102と、追跡中のいずれかの追跡対象者の特徴102との類似度を算出し、その類似度が基準を上回るか判定する(ステップS104)。
【0064】
算出部17によって算出された類似度が基準を上回る場合(ステップS105でYes)、設定部15は、類似度が基準を上回る追跡中の追跡対象者と関連付けて、通報位置103を基準とした追跡対象範囲104を設定し(ステップS106)、全体の処理は終了する。算出部17によって算出された類似度が基準を上回らない(即ち基準以下である)場合(ステップS105でNo)、設定部15は、追跡中の追跡対象者のいずれとも異なる新たな追跡対象者を設定し、当該追跡対象者と関連付けて、通報位置103を基準とした追跡対象範囲104を設定し(ステップS107)、全体の処理は終了する。
【0065】
図7は、追跡支援装置10が追跡対象範囲104に含まれるカメラ23による撮像画像105から追跡対象者を追跡する動作を示すフローチャートである。
【0066】
抽出部14は、設定部15によって設定された追跡対象範囲104に含まれるカメラ23から撮像画像105を取得する(ステップS201)。抽出部14は、撮像画像105に対する画像認識処理を行うことによって、撮像画像105に含まれる追跡対象者の特徴102を備える人物を特定する(ステップS202)。
【0067】
抽出部14が撮像画像105に含まれる追跡対象者の特徴102を備える人物を特定できなかった場合(ステップS203でNo)、処理はステップS201へ戻る。抽出部14が撮像画像105に含まれる追跡対象者の特徴102を備える人物を特定できた場合(ステップS203でYes)、抽出部14は、特定した人物を含む撮像画像105の撮像位置を含む人物抽出結果106を生成する(ステップS204)。設定部15は、人物抽出結果106によって示される撮像画像105の撮像位置を基準とする新たな追跡対象範囲104を設定し(ステップS205)、処理はステップS201へ戻る。
【0068】
図8は、追跡支援装置10が、追跡対象者を追跡中に追跡対象範囲104を拡大する動作を示すフローチャートである。
【0069】
設定部15は、個々の追跡対象範囲104に関して、前回その追跡対象範囲104を拡大してから所定の時間が経過したか確認する(ステップS301)。前回その追跡対象範囲104を拡大してから所定の時間が経過していない場合(ステップS302でNo)、処理はステップS301へ戻る。前回その追跡対象範囲104を拡大してから所定の時間が経過していない場合(ステップS302でNo)、設定部15は、その追跡対象範囲104を拡大し(ステップS303)、処理はステップS301へ戻る。
【0070】
図9は、実施形態に係る追跡支援装置10が、ある追跡対象者に関する複数の追跡対象範囲104が重なる範囲内にあるカメラ23による撮像画像105を優先的に表示装置24に表示する動作を示すフローチャートである。
【0071】
表示制御部18は、追跡対象者ごとに、その追跡対象者に関する複数の追跡対象範囲104が重なる範囲が存在するか確認する(ステップS401)。追跡対象範囲104が重なる範囲が存在しない場合(ステップS402でNo)、全体の処理は終了する。追跡対象範囲104が重なる範囲が存在する場合(ステップS402でYes)、追跡対象者に関する複数の追跡対象範囲104が重なる範囲内にあるカメラ23を特定する(ステップS403)。表示制御部18は、特定したカメラ23による撮像画像105を優先的に表示装置24に表示し(ステップS404)、全体の処理は終了する。
【0072】
図10は、追跡支援装置10が追跡対象範囲104を設定する詳細動作を示すフローチャートである。
【0073】
予測部16は、追跡対象者に関する通報位置103及び人物抽出結果106から、移動方向予測基準107に基づいて、追跡対象者と推定される人物の移動方向に規則性があるか否か判定する(ステップS501)。追跡対象者と推定される人物の移動方向に規則性がない場合(ステップS502でNo)、設定部15は、予測部16による判定結果を受けて、通報位置103あるいは人物抽出結果106が示す撮像位置を中心とした同心円状に拡大するように追跡対象範囲104を設定し(ステップS506)、全体の処理は終了する。
【0074】
追跡対象者と推定される人物の移動方向に規則性がある場合(ステップS502でYes)、予測部16は、移動方向の規則性と移動方向予測基準107に基づいて、追跡対象者と推定される人物の移動方向を予測する(ステップS503)。表示制御部18は、予測部16による移動方向の予測結果を表示装置24に表示する(ステップS504)。設定部15は、通報位置103あるいは人物抽出結果106が示す撮像位置を基準として、予測された移動方向に拡大するように追跡対象範囲104を設定し(ステップS505)、全体の処理は終了する。
【0075】
図11は、追跡支援装置10が、追跡対象範囲104を除外する詳細動作を示すフローチャートである。
【0076】
設定部15は、設定済の追跡対象範囲104に関して、設定されてからの経過時間と、最後に設定された追跡対象範囲104との距離との少なくともいずれかが除外条件108を満たすか否か確認する(ステップS601)。設定済の追跡対象範囲104が除外条件108を満たさない場合(ステップS602でNo)、全体の処理は終了する。設定済の追跡対象範囲104が除外条件108を満たす場合(ステップS602でYes)、設定部15は、その設定済の追跡対象範囲104を追跡対象範囲104から除外し(ステップS603)、全体の処理は終了する。
【0077】
本実施形態に係る追跡支援装置10は、通報によって得られた情報と映像とに基づいて、追跡対象者の情報を効率的に収集することを支援することができる。その理由は、追跡支援装置10は、追跡対象者の特徴102と通報位置103とを取得し、通報位置103に基づいて追跡対象範囲104を設定し、通報位置103から追跡対象範囲104の内にあるカメラ23による撮像画像105から、追跡対象者の特徴102を備える人物を抽出するからである。
【0078】
以下に、本実施形態に係る追跡支援装置10によって実現される効果について、詳細に説明する。
【0079】
本実施形態に係る追跡支援装置10は、追跡対象者の特徴102に基づいて追跡対象者の追跡を行う対象とする撮像画像105を、追跡対象範囲104の内にあるカメラ23による撮像画像105に絞り込む。即ち、追跡支援装置10は、追跡対象者が存在する可能性が低いと推定される追跡対象範囲104の外にあるカメラ23による撮像画像105の、追跡対象者の追跡を行う対象ととする優先度を下げる。これにより、追跡支援装置10は、追跡対象者の追跡を効率的に支援することができる。
【0080】
また、本実施形態に係る追跡支援装置10は、追跡対象範囲104に含まれるカメラ23によって得られた撮像画像105に追跡対象者の特徴を有する人物が含まれるか否かに応じて、追跡対象範囲104を変更する。そして追跡支援装置10は、追跡対象範囲104に含まれるカメラ23によって得られた撮像画像105に追跡対象者の特徴102を有する人物が含まれる場合、追跡対象者の特徴102を有する人物が含まれる画像を撮影したカメラ23の位置に基づいて、追跡対象範囲104を設定する。これにより、追跡支援装置10は、追跡対象者の追跡をより効率的に支援することができる。
【0081】
また、本実施形態に係る追跡支援装置10は、追跡対象者の特徴102を有する人物が含まれる撮像画像105を撮影したカメラ23の位置と、追跡対象者の特徴102を有する人物が含まれる撮像画像105を撮影した時間に関する情報とに基づいて、追跡対象者の今後の移動方向を予測し、予測した移動方向に基づいて、追跡対象範囲104を設定する。これにより、追跡支援装置10は、追跡対象者の追跡をより効率的に支援することができる。
【0082】
また、本実施形態に係る追跡支援装置10は、複数の通報から取得された追跡対象者の特徴102の類似度を算出し、その類似度が基準を上回る場合、複数の通報に関する追跡対象範囲104が重なる範囲内に設置されたカメラ23による撮像画像105を優先的に表示装置24に表示する。これにより、追跡支援装置10は、警察官等の職員が追跡対象者をより確実に追跡できるように支援することができる。
【0083】
また、本実施形態に係る追跡支援装置10は、追跡対象範囲104として設定した範囲のうち、追跡対象範囲104として設定されてからの経過時間と、自範囲から最後に追跡対象範囲104として設定された範囲までの距離との少なくともいずれかが除外条件108を満たす範囲を、追跡対象範囲104から除外する。即ち、追跡支援装置10は、追跡対象者が存在する可能性が低下した追跡対象範囲104を、追跡対象範囲104から除外することによって、追跡対象者の追跡をより効率的に支援することができる。
【0084】
また、本実施形態に係る追跡支援装置10は、追跡対象者との特徴の類似度が基準を上回る人物を抽出し、特徴に含まれる1以上の属性の個々に関して、抽出した人物が追跡対象者であることに関する蓋然性が高い属性ほど重みを付けて当該類似度を算出する。これにより、追跡支援装置10は、撮像画像105から追跡対象者と推定される人物を特定する精度を高めることができる。
【0085】
また、本実施形態に係る追跡支援装置10は、通報に含まれる追跡対象者の特徴102が明確であるか否かを判定し、通報に含まれる追跡対象者の特徴102が明確でない場合、追跡対象者の特徴102を明確にするための質問を生成する。これにより追跡支援装置10は、取得した追跡対象者の特徴102が定性的(抽象的)であることによって追跡対象者を追跡する精度が低下する問題を、回避することができる。
【0086】
<第2の実施形態>
図12は、本発明の第2の実施形態に係る追跡支援装置30の構成を示すブロック図である。
【0087】
本実施形態に係る追跡支援装置30は、通報取得部31、特徴取得部32、第1位置取得部33、第2位置取得部34、設定部35、抽出部36を備えている。通報取得部31、特徴取得部32、第1位置取得部33、第2位置取得部34、設定部35、抽出部36は、順に、通報取得手段、特徴取得手段、第1の位置取得手段、第2の位置取得手段、設定手段、抽出手段の一例である。
【0088】
通報取得部31は、通報者端末40から通報310を取得する。通報取得部31は、例えば、第1の実施形態に係る通報取得部11と同様に動作する。
【0089】
特徴取得部32は、通報310に基づいて、追跡対象者の特徴320を取得する。追跡対象者の特徴320は、例えば、第1の実施形態に係る追跡対象者の特徴102と同様な情報である。特徴取得部32は、例えば、第1の実施形態に係る特徴取得部12と同様に動作する。
【0090】
第1位置取得部33は、通報者端末40の通報位置330を取得する。通報位置330は、例えば、第1の実施形態に係る通報位置103と同様な情報である。第1位置取得部33は、例えば、第1の実施形態に係る第1位置取得部131と同様に動作する。
【0091】
第2位置取得部34は、撮影機器の位置340を取得する。当該撮影機器は撮影手段の一例であり、例えば、第1の実施形態に係るカメラ23と同様な機器である。第2位置取得部34は、例えば、第1の実施形態に係る第2位置取得部132と同様に動作する。
【0092】
設定部35は、通報者端末40の通報位置330に基づいて、所定の範囲350を設定する。所定の範囲350は、例えば、第1の実施形態に係る追跡対象範囲104と同様な範囲である。設定部35は、例えば、第1の実施形態に係る設定部15と同様に動作する。
【0093】
抽出部36は、追跡対象者の特徴320と、撮影機器の位置340と、所定の範囲350とに基づいて、追跡対象者の特徴320を有する人物を抽出する。抽出部36は、例えば、第1の実施形態に係る抽出部14と同様に動作する。
【0094】
次に
図13のフローチャートを参照して、本実施形態に係る追跡支援装置30の動作(処理)について詳細に説明する。
【0095】
通報取得部31は、通報者端末40から通報310を取得する(ステップS701)。特徴取得部32は、通報310に基づいて、追跡対象者の特徴320を取得する(ステップS702)。第1位置取得部33は、通報者端末40の通報位置330を取得する(ステップS703)。第2位置取得部34は、撮影機器の位置340を取得する(ステップS704)。
【0096】
設定部35は、通報者端末40の通報位置330に基づいて、所定の範囲350を設定する(ステップS705)。抽出部36は、追跡対象者の特徴320と、撮影機器の位置340と、所定の範囲350とに基づいて、追跡対象者の特徴320を有する人物を抽出し(ステップS706)、処理はステップS701へ戻る。
【0097】
本実施形態に係る追跡支援装置30は、通報によって得られた情報と映像とに基づいて、追跡対象者の情報を効率的に収集することを支援することができる。その理由は、追跡支援装置30は、追跡対象者の特徴320と通報位置330と撮影機器の位置340とを取得し、通報位置330に基づいて所定の範囲350を設定し、追跡対象者の特徴320と撮影機器の位置340と所定の範囲350とに基づいて、追跡対象者の特徴320を備える人物を抽出するからである。
【0098】
<ハードウェア構成例>
上述した各実施形態において
図1、及び、
図12に示した追跡支援装置における各部は、専用のHW(HardWare)(電子回路)によって実現することができる。また、
図1、及び、
図12において、少なくとも、下記構成は、プロセッサによって実行される命令を含むソフトウェアプログラムの機能(処理)単位(ソフトウェアモジュール)と捉えることができる。
・通報取得部11及び31、
・特徴取得部12及び32、
・第1位置取得部131及び33、
・第2位置取得部132及び34、
・抽出部14及び36、
・設定部15及び35、
・予測部16、
・算出部17、
・表示制御部18、
・質問生成部19、
・記憶部100における記憶制御機能。
【0099】
但し、これらの図面に示した各部の区分けは、説明の便宜上の構成であり、実装に際しては、様々な構成が想定され得る。この場合のハードウェア環境の一例を、
図14を参照して説明する。
【0100】
図14は、本発明の各実施形態に係る追跡支援装置を実現可能な情報処理装置900(コンピュータ)の構成を例示的に説明する図である。即ち、
図14は、
図1、及び、
図12に示した追跡支援装置を実現可能なコンピュータ(情報処理装置)の構成であって、上述した実施形態における各機能を実現可能なハードウェア環境を表す。但し、上述した追跡支援装置における各部は、複数の情報処理装置900に分散して設けられてもよいし、その少なくとも一部の機能がクラウドコンピューティングの環境を構成するサーバ等に設けられてもよい。
【0101】
図14に示した情報処理装置900は、構成要素として下記を備えている。
・CPU(Central_Processing_Unit)901、
・ROM(Read_Only_Memory)902、
・RAM(Random_Access_Memory)903、
・ハードディスク(記憶装置)904、
・通信インタフェース905、
・バス906(通信線)、
・CD-ROM(Compact_Disc_Read_Only_Memory)等の記録媒体907に格納されたデータを読み書き可能なリーダライタ908、
・モニターやスピーカ、キーボード等の入出力インタフェース909。
【0102】
即ち、上記構成要素を備える情報処理装置900は、これらの構成がバス906を介して接続された一般的なコンピュータである。情報処理装置900は、CPU901を複数備える場合もあれば、マルチコアにより構成されたCPU901を備える場合もある。情報処理装置900は、また、上述した構成の一部を備えない場合もある。
【0103】
そして、上述した実施形態を例に説明した本発明は、
図14に示した情報処理装置900に対して、次の機能を実現可能なコンピュータプログラムを供給する。その機能とは、その実施形態の説明において参照したブロック構成図(
図1及び
図12)における上述した構成、或いはフローチャート(
図6乃至
図11、及び
図13)の機能である。本発明は、その後、そのコンピュータプログラムを、当該ハードウェアのCPU901に読み出して解釈し実行することによって達成される。また、当該装置内に供給されたコンピュータプログラムは、読み書き可能な揮発性のメモリ(RAM903)、または、ROM902やハードディスク904等の不揮発性の記憶デバイスに格納すれば良い。
【0104】
また、前記の場合において、当該ハードウェア内へのコンピュータプログラムの供給方法は、現在では一般的な手順を採用することができる。その手順としては、例えば、CD-ROM等の各種記録媒体907を介して当該装置内にインストールする方法や、インターネット等の通信回線を介して外部よりダウンロードする方法等がある。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータプログラムを構成するコード或いは、そのコードが格納された記録媒体907によって構成されると捉えることができる。
【0105】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0106】
尚、上述した各実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。しかしながら、上述した各実施形態により例示的に説明した本発明は、以下には限られない。
【0107】
(付記1)
第1の通報者端末から第1の通報を取得する通報取得手段と、
前記第1の通報に基づいて、追跡対象者の特徴を取得する特徴取得手段と、
前記第1の通報者端末の通報位置を取得する第1の位置取得手段と、
撮影手段の位置を取得する第2の位置取得手段と、
前記第1の通報者端末の通報位置に基づいて、所定の範囲を設定する設定手段と、
前記追跡対象者の特徴と、前記撮影手段の位置と、前記所定の範囲とに基づいて、前記追跡対象者の特徴を有する人物を抽出する抽出手段と、
を備える追跡支援装置。
【0108】
(付記2)
前記設定手段は、前記所定の範囲内に含まれる前記撮影手段によって得られた撮像画像に前記追跡対象者の特徴を有する人物が含まれるか否かに応じて、前記所定の範囲を変更する、
付記1に記載の追跡支援装置。
【0109】
(付記3)
前記設定手段は、前記所定の範囲内に含まれる前記撮影手段によって得られた撮像画像に前記追跡対象者の特徴を有する人物が含まれる場合、前記追跡対象者の特徴を有する人物が含まれる画像を撮影した前記撮影手段の位置に基づいて、前記所定の範囲を設定する、
付記2に記載の追跡支援装置。
【0110】
(付記4)
前記追跡対象者の特徴を有する人物が含まれる画像を撮影した前記撮影手段の位置と、前記追跡対象者の特徴を有する人物が含まれる画像を撮影した時間に関する情報とに基づいて、前記追跡対象者の移動方向を予測する予測手段をさらに備え、
前記設定手段は、予測された移動方向に基づいて、前記所定の範囲を設定する、
付記3に記載の追跡支援装置。
【0111】
(付記5)
前記通報取得手段は、第2の通報者端末から第2の通報を取得し、
前記第1の通報に基づく前記追跡対象者の特徴と、前記第2の通報に基づく前記追跡対象者の特徴とに基づいて、前記追跡対象者の特徴の類似度を算出する算出手段と、
前記類似度が基準を上回る場合、前記第1の通報に基づいて設定される所定の範囲と前記第2の通報に基づいて設定される所定の範囲とが重なる範囲内に設置された前記撮影手段による撮像画像を優先的に表示装置に表示する表示制御手段と、をさらに備える
付記1から付記4のいずれかに記載の追跡支援装置。
【0112】
(付記6)
前記設定手段は、前記所定の範囲として設定した範囲のうち、前記所定の範囲として設定されてからの経過時間と、自範囲から最後に前記所定の範囲として設定された範囲までの距離との少なくともいずれかが除外条件を満たす範囲を、前記所定の範囲から除外する、
付記1から付記5のいずれかに記載の追跡支援装置。
【0113】
(付記7)
前記抽出手段は、前記追跡対象者との特徴の類似度が基準を上回る人物を抽出し、前記特徴に含まれる1以上の属性の個々に関して、抽出した人物が前記追跡対象者であることに関する蓋然性が高い前記属性ほど重みを付けて前記類似度を算出する、
付記1から付記6のいずれかに記載の追跡支援装置。
【0114】
(付記8)
前記第1の通報に基づいて、質問を生成する質問生成手段をさらに備え、
前記特徴取得手段は、前記第1の通報に含まれる前記追跡対象者の特徴が明確であるか否かを判定し、
前記質問生成手段は、前記第1の通報に含まれる前記追跡対象者の特徴が明確でない場合、前記追跡対象者の特徴を明確にするための質問を生成する、
付記1から付記7のいずれかに記載の追跡支援装置。
【0115】
(付記9)
情報処理装置によって、
第1の通報者端末から第1の通報を取得し、
前記第1の通報に基づいて、追跡対象者の特徴を取得し、
前記第1の通報者端末の通報位置を取得し、
撮影手段の位置を取得し、
前記第1の通報者端末の通報位置に基づいて、所定の範囲を設定し、
前記追跡対象者の特徴と、前記撮影手段の位置と、前記所定の範囲とに基づいて、前記追跡対象者の特徴を有する人物を抽出する、
追跡支援方法。
【0116】
(付記10)
前記所定の範囲内に含まれる前記撮影手段によって得られた撮像画像に前記追跡対象者の特徴を有する人物が含まれるか否かに応じて、前記所定の範囲を変更する、
付記9に記載の追跡支援方法。
【0117】
(付記11)
前記所定の範囲内に含まれる前記撮影手段によって得られた撮像画像に前記追跡対象者の特徴を有する人物が含まれる場合、前記追跡対象者の特徴を有する人物が含まれる画像を撮影した前記撮影手段の位置に基づいて、前記所定の範囲を設定する、
付記10に記載の追跡支援方法。
【0118】
(付記12)
前記追跡対象者の特徴を有する人物が含まれる画像を撮影した前記撮影手段の位置と、前記追跡対象者の特徴を有する人物が含まれる画像を撮影した時間に関する情報とに基づいて、前記追跡対象者の移動方向を予測し、
予測された移動方向に基づいて、前記所定の範囲を設定する、
付記11に記載の追跡支援方法。
【0119】
(付記13)
第2の通報者端末から第2の通報を取得し、
前記第1の通報に基づく前記追跡対象者の特徴と、前記第2の通報に基づく前記追跡対象者の特徴とに基づいて、前記追跡対象者の特徴の類似度を算出し、
前記類似度が基準を上回る場合、前記第1の通報に基づいて設定される所定の範囲と前記第2の通報に基づいて設定される所定の範囲とが重なる範囲内に設置された前記撮影手段による撮像画像を優先的に表示装置に表示する、
付記9から付記12のいずれかに記載の追跡支援方法。
【0120】
(付記14)
前記所定の範囲として設定した範囲のうち、前記所定の範囲として設定されてからの経過時間と、自範囲から最後に前記所定の範囲として設定された範囲までの距離との少なくともいずれかが除外条件を満たす範囲を、前記所定の範囲から除外する、
付記9から付記13のいずれかに記載の追跡支援方法。
【0121】
(付記15)
前記追跡対象者との特徴の類似度が基準を上回る人物を抽出し、前記特徴に含まれる1以上の属性の個々に関して、抽出した人物が前記追跡対象者であることに関する蓋然性が高い前記属性ほど重みを付けて前記類似度を算出する、
付記9から付記14のいずれかに記載の追跡支援方法。
【0122】
(付記16)
前記第1の通報に基づいて、質問を生成する方法であって、
前記第1の通報に含まれる前記追跡対象者の特徴が明確であるか否かを判定し、
前記第1の通報に含まれる前記追跡対象者の特徴が明確でない場合、前記追跡対象者の特徴を明確にするための質問を生成する、
付記9から付記15のいずれかに記載の追跡支援方法。
【0123】
(付記17)
第1の通報者端末から第1の通報を取得する通報取得処理と、
前記第1の通報に基づいて、追跡対象者の特徴を取得する特徴取得処理と、
前記第1の通報者端末の通報位置を取得する第1の位置取得処理と、
撮影手段の位置を取得する第2の位置取得処理と、
前記第1の通報者端末の通報位置に基づいて、所定の範囲を設定する設定処理と、
前記追跡対象者の特徴と、前記撮影手段の位置と、前記所定の範囲とに基づいて、前記追跡対象者の特徴を有する人物を抽出する抽出処理と、
をコンピュータに実行させるための追跡支援プログラム。
【0124】
(付記18)
前記設定処理は、前記所定の範囲内に含まれる前記撮影手段によって得られた撮像画像に前記追跡対象者の特徴を有する人物が含まれるか否かに応じて、前記所定の範囲を変更する、
付記17に記載の追跡支援プログラム。
【0125】
(付記19)
前記設定処理は、前記所定の範囲内に含まれる前記撮影手段によって得られた撮像画像に前記追跡対象者の特徴を有する人物が含まれる場合、前記追跡対象者の特徴を有する人物が含まれる画像を撮影した前記撮影手段の位置に基づいて、前記所定の範囲を設定する、
付記18に記載の追跡支援プログラム。
【0126】
(付記20)
前記追跡対象者の特徴を有する人物が含まれる画像を撮影した前記撮影手段の位置と、前記追跡対象者の特徴を有する人物が含まれる画像を撮影した時間に関する情報とに基づいて、前記追跡対象者の移動方向を予測する予測処理をさらに前記コンピュータに実行させ、
前記設定処理は、予測された移動方向に基づいて、前記所定の範囲を設定する、
付記18に記載の追跡支援プログラム。
【0127】
(付記21)
前記通報取得処理は、第2の通報者端末から第2の通報を取得し、
前記第1の通報に基づく前記追跡対象者の特徴と、前記第2の通報に基づく前記追跡対象者の特徴とに基づいて、前記追跡対象者の特徴の類似度を算出する算出処理と、
前記類似度が基準を上回る場合、前記第1の通報に基づいて設定される所定の範囲と前記第2の通報に基づいて設定される所定の範囲とが重なる範囲内に設置された前記撮影手段による撮像画像を優先的に表示装置に表示する表示制御処理と、
をさらに前記コンピュータに実行させる、
付記17から付記20のいずれかに記載の追跡支援プログラム。
【0128】
(付記22)
前記設定処理は、前記所定の範囲として設定した範囲のうち、前記所定の範囲として設定されてからの経過時間と、自範囲から最後に前記所定の範囲として設定された範囲までの距離との少なくともいずれかが除外条件を満たす範囲を、前記所定の範囲から除外する、
付記17から付記21のいずれかに記載の追跡支援プログラム。
【0129】
(付記23)
前記抽出処理は、前記追跡対象者との特徴の類似度が基準を上回る人物を抽出し、前記特徴に含まれる1以上の属性の個々に関して、抽出した人物が前記追跡対象者であることに関する蓋然性が高い前記属性ほど重みを付けて前記類似度を算出する、
付記17から付記22のいずれかに記載の追跡支援プログラム。
【0130】
(付記24)
前記第1の通報に基づいて、質問を生成する質問生成処理をさらに前記コンピュータに実行させ、
前記特徴取得処理は、前記第1の通報に含まれる前記追跡対象者の特徴が明確であるか否かを判定し、
前記質問生成処理は、前記第1の通報に含まれる前記追跡対象者の特徴が明確でない場合、前記追跡対象者の特徴を明確にするための質問を生成する、
付記17から付記23のいずれかに記載の追跡支援プログラム。
【符号の説明】
【0131】
10 追跡支援装置
11 通報取得部
12 特徴取得部
13 位置取得部
131 第1位置取得部
132 第2位置取得部
14 抽出部
15 設定部
16 予測部
17 算出部
18 表示制御部
19 質問生成部
100 記憶部
101 通報処理結果
102 追跡対象者の特徴
103 通報位置
104 追跡対象範囲
105 撮像画像
106 人物抽出結果
107 移動方向予測基準
108 除外条件
109 質問生成基準
21 通報者端末
22 受理者端末
23 カメラ
24 表示装置
25 現場の職員の端末
30 追跡支援装置
31 通報取得部
310 通報
32 特徴取得部
320 追跡対象者の特徴
33 第1位置取得部
330 通報位置
34 第2位置取得部
340 撮影機器の位置
35 設定部
350 所定の範囲
36 抽出部
40 通報者端末
900 情報処理装置
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904 ハードディスク(記憶装置)
905 通信インタフェース
906 バス
907 記録媒体
908 リーダライタ
909 入出力インタフェース