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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129983
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】検知装置及びストレージ装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G01R31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039433
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武藤 亮真
(72)【発明者】
【氏名】堀 雅則
【テーマコード(参考)】
2G036
【Fターム(参考)】
2G036AA24
2G036AA28
2G036BA46
2G036BB12
2G036BB22
(57)【要約】
【課題】大気に曝されることによる腐食の予兆を検知すること。
【解決手段】対象の装置に取り付けられる検知装置であって、電源に取り付けられた第1抵抗素子と、前記第1抵抗素子に直列に接続された第2抵抗素子と、前記第1抵抗素子と前記第2抵抗素子との間の中間電圧を取得する検知部とを備え、前記第2抵抗素子は、前記装置の周辺大気に露出され、前記検知部は、前記中間電圧の変化に基づいて、前記周辺大気によって生じる前記装置の腐食の予兆を検知することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の装置に取り付けられる検知装置であって、
電源に取り付けられた第1抵抗素子と、
前記第1抵抗素子に直列に接続された第2抵抗素子と、
前記第1抵抗素子と前記第2抵抗素子との間の中間電圧を取得する検知部と
を備え、
前記第2抵抗素子は、前記装置の周辺大気に露出され、
前記検知部は、前記中間電圧の変化に基づいて、前記周辺大気によって生じる前記装置の腐食の予兆を検知することを特徴とする検知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検知装置であって、
前記検知部は、規定の電圧で導通する金属酸化膜半導体電界効果トランジスタを備え、当該導通を契機に腐食の予兆があることを示す出力を行うことを特徴とする検知装置。
【請求項3】
請求項1に記載の検知装置であって、
前記第2抵抗素子に、腐食を促進する薬剤を塗布したことを特徴とする検知装置。
【請求項4】
請求項1に記載の検知装置であって、
複数の前記検知部を備え、複数の前記検知部はそれぞれ異なる中間電圧値で作動し、作動する検知部に対応して緊急度に応じた動作を行うことを特徴とする検知装置。
【請求項5】
請求項4に記載の検知装置であって、
前記作動する検知部に応じて態様の異なる警告出力を行う出力部をさらに備えたことを特徴とする検知装置。
【請求項6】
記憶デバイスと、
前記記憶デバイスに対するデータの読み書きを行う制御ユニットと、
周辺大気を取り込んで前記記憶デバイス及び/又は前記制御ユニットを冷却する送風ユニットと、
前記制御ユニットに取り付けられた検知装置とを備え、
前記検知装置は、
電源に取り付けられた第1抵抗素子と、
前記第1抵抗素子に直列に接続された第2抵抗素子と、
前記第1抵抗素子と前記第2抵抗素子との間の中間電圧を取得する検知部と
を備え、
前記第2抵抗素子は、前記周辺大気に露出され、
前記検知部は、前記中間電圧の変化に基づいて、前記周辺大気によって生じる腐食の予兆を検知することを特徴とするストレージ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知装置及びストレージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路における腐食による異常の発生を予見するため、特開2020-134387号公報(特許文献1)に記載の技術がある。この公報には、「異常予見装置Dは、硫化水素ガスの発生を伴う環境で用いられるプリント回路板1に搭載され、プリント回路板1中の対象電子部品10よりも高温になるように設定されているダミー部品11と、ダミー部品11の抵抗値の異常を検出する異常検出部12と、備える。」という記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-134387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、「硫化水素ガスによる腐食は温度が高いほど進行が速い」点に着目し、対象電子部品よりも高温になるように設定したダミー部品の抵抗値の異常を検出している。しかし、従来の技術では、大気に曝されることによる腐食の進行について考慮されていない。例えば、装置の使用環境が工場地帯や交通量の多い道路の近くであれば、装置の電子部品が大気中の汚染物質にさらされて腐食が発生し、故障に至る可能性がある。特に、外気をファンで取り込む空冷方式を採用するストレージ装置などでは、この問題が深刻となる。さらに、ストレージ装置では、無停止で常時稼働することを求められるため、腐食等による故障をできるだけ早い段階で検知し、対処することが求められる。
【0005】
そこで、本発明では、大気に曝されることによる腐食の予兆を検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、代表的な本発明の検知装置の一つは、対象の装置に取り付けられる検知装置であって、電源に取り付けられた第1抵抗素子と、前記第1抵抗素子に直列に接続された第2抵抗素子と、前記第1抵抗素子と前記第2抵抗素子との間の中間電圧を取得する検知部とを備え、前記第2抵抗素子は、前記装置の周辺大気に露出され、前記検知部は、前記中間電圧の変化に基づいて、前記周辺大気によって生じる前記装置の腐食の予兆を検知することを特徴とする。
また、代表的な本発明のストレージ装置の一つは、記憶デバイスと、前記記憶デバイスに対するデータの読み書きを行う制御ユニットと、周辺大気を取り込んで前記記憶デバイス及び/又は前記制御ユニットを冷却する送風ユニットと、前記制御ユニットに取り付けられた検知装置とを備え、前記検知装置は、電源に取り付けられた第1抵抗素子と、前記第1抵抗素子に直列に接続された第2抵抗素子と、前記第1抵抗素子と前記第2抵抗素子との間の中間電圧を取得する検知部とを備え、前記第2抵抗素子は、前記周辺大気に露出され、前記検知部は、前記中間電圧の変化に基づいて、前記周辺大気によって生じる腐食の予兆を検知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、大気に曝されることによる腐食の予兆を検知できる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】対象デバイスと検知回路の説明図
図2】プログラムと管理テーブルについての説明図
図3】回路配置の説明図
図4】検知回路を複数実装する場合の説明図
図5】ステートドリブン構成の説明図
図6】イベントドリブン構成の説明図
図7】ハイブリッドドリブン構成の説明図
図8】ステートドリブンの処理の説明図(その1)
図9】ステートドリブンの処理の説明図(その2)
図10】イベントドリブンの処理の説明図(その1)
図11】イベントドリブンの処理の説明図(その2)
図12】管理テーブルの説明図
図13】実装と抵抗変化の説明図
図14】LEDによる通知を行う場合の構成図
図15】複数装置についての表示の説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施例を図面を用いて説明する。
【実施例0010】
図1は、対象デバイスと検知回路の説明図である。図1における対象デバイスは、ストレージ装置10である。ストレージ装置10は、容器(キャニスタ)の内部に、ファン11と、プリント回路基板(PCB)20と、検知回路30とを有する。
【0011】
ファン11は、周辺大気を取り込んでストレージ装置10を冷却する送風ユニットである。PCB20は、各種電子部品を実装され、ストレージ装置10の制御ユニットとして動作するパッケージである。
【0012】
図1の検知回路30は、PCB20に取り付けられ、第1抵抗素子である抵抗素子R1、第2抵抗素子である抵抗素子R2、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)31、レジスタ32を有する。
【0013】
抵抗素子R1は電源に取り付けられ、抵抗素子R2は抵抗素子R1に直列に接続される。MOSFET31は、抵抗素子R1と抵抗素子R2との間の中間電圧をゲート電圧として取得する。MOSFET31は、ゲート電圧が規定の電圧以上となった場合に作動して導通し、レジスタ32の値を更新する。
【0014】
図2は、プログラムと管理テーブルについての説明図である。図2では、レジスタ32にはCPU(Central Processing Unit)41を接続している。そして、CPU41にはメモリ42を接続している。メモリ42は、監視プログラムと管理テーブルを格納する。CPU41は、メモリ42の監視プログラムを読み出して実行することにより、レジスタ32の値を取得して、腐食の予兆を検知する。
【0015】
図3は、回路配置の説明図である。図3に示すように、ストレージ装置10のドライブボックス筐体には、記憶デバイスであるドライブ50(例えば、ソリッドステートドライブやハードディスクドライブ)と、PCB20と、電源供給ユニット(PS)60とを有する。ファン11は、電源供給ユニット60に設けられている。ファン11が稼働すると、ドライブ50、PCB20、電源供給ユニット60を通る流路で冷却風が流れ、装置を冷却する。冷却風の当たり方には局所性がある。装置を冷却する点では、冷却風の局所性は問題にならず、ある程度全体的に温度を下げることができる。一方、冷却風自体による影響については、局所性が大きく影響する。例えば、冷却風となる外気が汚染されていれば、流路に当たる場所の電子部品には流入する外気に曝されることで、腐食が早く進行する。
【0016】
そこで、検知回路30は、抵抗素子R1を流路から外れた場所(流入外気にさらされない場所)に配置し、抵抗素子R2を流路にあたる場所(流入外気にさらされる場所)に配置する。このように、抵抗素子R2を周辺大気に露出させ、抵抗素子R1を抵抗素子R2に比して周辺大気に露出しないようにすれば、抵抗素子R2は抵抗素子R1よりも早く腐食が進行する。この結果、抵抗素子R2と抵抗素子R1との中間電圧が変化する。この中間電圧の変化でMOSFET31を作動させれば、信号デバイス40は腐食の予兆を検知できる。なお、信号デバイス40は、レジスタ32やCPU41等の素子を必要に応じて適宜備え、信号を処理して腐食検知の結果を出力するデバイスである。
【0017】
抵抗素子R2には、腐食を促進する薬剤を塗布してもよい。腐食を促進する薬剤を塗布すれば、抵抗素子R2の腐食の進行を早め、より早期に予兆検知が可能である。
【0018】
また、検知回路を複数個所に実装してもよい。図4は、検知回路を複数実装する場合の説明図である。図4では、抵抗素子R1aと抵抗素子R2aを直列に接続し、中間電圧をMOSFET31aのゲート電圧としている。また、抵抗素子R1bと抵抗素子R2bを直列に接続し、中間電圧をMOSFET31bのゲート電圧としている。抵抗素子R2aと抵抗素子R2bは、流路上の異なる位置に配置する。kのように配置すれば、複数個所の中間電圧の変動から腐食の予兆を検知できる。
【0019】
次に、ステートドリブン構成とイベントドリブン構成について説明する。
図5は、ステートドリブン構成の説明図である。ステートドリブンでは、状態監視により腐食の予兆を検知する。
具体的には、CPU41は、あらかじめ設定された周期でポーリングを行い、レジスタの値を監視する(0)。抵抗素子R2が外気の影響を受けて劣化すると(1)、抵抗素子R2の抵抗値が変化する(2)。抵抗素子R2の抵抗値の変化により、中間電圧が設計値電圧を外れると、MOSFETのスイッチが発動する(3)。このスイッチの発動により、レジスタの値が更新される(4)。CPU41は、ポーリングによりレジスタ更新を検出すると、腐食の予兆を検知する(5)。
【0020】
図6は、イベントドリブン構成の説明図である。イベントドリブンでは、電位差によるMOSFETの発動をイベントとしてCPU41にライン入力し、腐食の予兆を検知する。
具体的には、抵抗素子R2が外気の影響を受けて劣化すると(1)、抵抗素子R2の抵抗値が変化する(2)。抵抗素子R2の抵抗値の変化により、中間電圧が設計値電圧を外れると、MOSFETのスイッチが発動する(3)。このスイッチの発動により、CPU41にライン入力が行われる(4)。CPU41は、ライン入力をイベントとして検出すると、腐食の予兆を検知する(5)。
【0021】
図7は、ハイブリッドドリブン構成の説明図である。ハイブリッドドリブン構成では、動作電圧の異なるMOSFETを複数搭載し腐食検知にレベルを設けている。
図7のハイブリッド構成では、まず、検知回路30は、MOSFET31cとMOSFET32dを有する。MOSFET31cとMOSFET32dは、同一の中間電圧をゲート電圧として取得するが、動作電圧が異なる。MOSFET31cの動作電圧は、MOSFET31dの動作電圧よりも低い。このため、抵抗素子R2が劣化して、中間電圧が徐々に上昇すると、先にMOSFET31cが作動し、その後MOSFET31dが作動する。MOSFET31cが作動すると、レジスタ32を更新する。MOSFET31dが作動すると、CPU41に対してライン入力を行う。また、CPU41はモニタ70に接続し、モニタ70に注意喚起のメッセージや警告のメッセージを出力可能である。
【0022】
図7の動作を順に説明する。CPU41は、あらかじめ設定された周期でポーリングを行い、レジスタ32の値を監視する(0)。抵抗素子R2が外気の影響を受けて劣化すると(1)、抵抗素子R2の抵抗値が変化する(2)(2)’。抵抗素子R2の抵抗値の変化により、中間電圧が設計値電圧を外れると、MOSFET31cのスイッチが発動する(3)。このスイッチの発動により、レジスタ32の値が更新される(4)。CPU41は、ポーリングによりレジスタ更新を検出すると、腐食の予兆を検知し(5)、モニタ70に注意的なメッセージを出力する(6)。
【0023】
その後、中間電圧が設計値電圧をさらに外れると、MOSFET32dのスイッチが発動する(7)。このスイッチの発動により、CPU41にライン入力される(8)。CPU41は、ライン入力をイベントとして検出すると、腐食の予兆を検知し(9)、モニタ70に警告的なメッセージを出力する(10)。
【0024】
図8及び図9は、ステートドリブンの処理の説明図である。
抵抗素子R2は、劣化により徐々に抵抗値が変化する(ステップS101)。このため、いずれは中間電圧が設計値に到達する(ステップS102)。MOSFET31は、中間電圧の変化によりスイッチが発動し(ステップS103)、レジスタ32を更新する(ステップS104)。
【0025】
CPU41は、ポーリング(設定周期による巡回処理)によりレジスタ32の値を監視している(ステップS201)。レジスタ32が更新されていなければ(ステップS202;No)、ポーリングを繰り返す。レジスタ32が更新されたならば(ステップS202;Yes)、CPU41は、レジスタ32の更新を検知する(ステップS203)。このレジスタ32の更新検知は、CPU41が抵抗素子R2の劣化を把握したことを意味する。その後、CPU41は、腐食の予兆を検知したとしてメッセージ出力を行い(ステップS204)、処理を終了する。
【0026】
図10及び図11は、イベントドリブンの処理の説明図である。
抵抗素子R2は、劣化により徐々に抵抗値が変化する(ステップS301)。このため、いずれは中間電圧が設計値に到達する(ステップS302)。MOSFET31は、中間電圧の変化によりスイッチが発動し(ステップS303)、CPU41にライン入力を行う。
【0027】
CPU41は、ライン入力を受け付ける(ステップS304)。ライン入力の検出(ステップS305)は、CPU41が抵抗素子R2の劣化を把握したことを意味する。その後、CPU41は、腐食の予兆を検知したとしてメッセージ出力を行い(ステップS306)、処理を終了する。
【0028】
図12は、管理テーブルの説明図である。管理テーブルには、MOSFET動作テーブル、CPU監視周期テーブル、ステート管理テーブルなどが含まれる。MOSFET動作テーブルは、状態、中間電圧値V1とゲート閾値電圧Vthの数値、信号デバイス応答値を対応付けている。正常時の状態は、Vth>V1であり、信号デバイス応答値は「0」である。抵抗の腐食により抵抗値が上昇して中間電圧が上昇した状態は、V1≧Vthであり、信号デバイス応答値は「1」である。
【0029】
CPU監視周期テーブルは、ポーリングの周期を設定する。例えば1ms、10ms、100msなどの周期にIDを対応付け、IDの指定により周期を設定可能としている。
ステート管理テーブルは、特に同一パッケージ上の複数個所に配置する場合に利用する。また、複数結果を総合判断してもよい。図12では、配置場所ごとにステート(OKであるかNGであるか)を示している。
【0030】
図13は、実装と抵抗変化の説明図である。
図13は、抵抗素子R1を「10kΩ」、抵抗素子R2を「8.5kΩ」、電源電圧Vを「DC 5V」、中間電圧V1を「DC 5V」、MOSFETのドレイン電圧VDDを「DC 3.3V」、MOSFETの動作電圧を「DC 2.5V」としている。
【0031】
この構成では、抵抗素子R2の抵抗値が増加するほど、中間電圧V1が上昇する。そして、抵抗素子R2の抵抗値が10%増加した時点で、中間電圧V1はMOSFETの動作電圧2.5Vに達する。
また、抵抗素子R2の抵抗値の変化率は、時間の経過とともに増大した。
【0032】
図14は、LEDによる通知を行う場合の構成図である。図14では、動作電圧の異なるMOSFETを複数搭載し腐食検知に「レベル」を設け、レベルに応じたLEDを点灯させている。
図14の構成では、まず、検知回路30は、MOSFET31eとMOSFET32fを有する。MOSFET31cとMOSFET32dは、同一の中間電圧をゲート電圧として取得するが、動作電圧が異なる。MOSFET31eの動作電圧は、MOSFET31fの動作電圧よりも低い。このため、抵抗素子R2が劣化して、中間電圧が徐々に上昇すると、先にMOSFET31eが作動し、その後MOSFET31fが作動する。MOSFET31eが作動すると、LED1が点灯する。MOSFET31fが作動すると、LED1が点灯する。
【0033】
図14の動作を順に説明する。抵抗素子R2が外気の影響を受けて劣化すると(1)、抵抗素子R2の抵抗値が変化する(2)(2)’。抵抗素子R2の抵抗値の変化により、中間電圧が設計値電圧を外れると、MOSFET31eのスイッチが発動する(3)。このスイッチの発動により、LED1のドレインとソースの間に電流が流れ(4)、LED1が点灯する(5)。
【0034】
その後、中間電圧が設計値電圧をさらに外れると、MOSFET32fのスイッチが発動する(6)。このスイッチの発動により、LED2のドレインとソースの間に電流が流れ(7)、LED2が点灯する(8)。
【0035】
LED1とLED2は、筐体の外から視認可能に設ける。LED1の点灯を「Warning」に対応させ、LED2の点灯を「Alarm」に対応させることで、腐食の進行に応じてレベルに応じた報知が可能である。
【0036】
図15は、複数装置についての表示の説明図である。装置D1~D4は、図7に示したハイブリッドドリブン構成を有する。この構成では、設定周期で各装置に対してポーリングによる監視を行っている(0)。装置D1~D4の検知回路から出力される信号は、メモリに格納される(1)。CPUは、メモリの情報を読み込んで演算し(2)、現在の装置ステータスをメモリに書き込む(3)。そして、モニタに各装置のステータスを出力する。この結果、各装置について「異常なし」、「Warning」、「Alarm」を識別可能に報知できる。
【0037】
上述してきたように、実施例に開示した検知回路30は、対象の装置に取り付けられる検知装置であって、電源に取り付けられた第1抵抗素子(R1)と、前記第1抵抗素子に直列に接続された第2抵抗素子(R2)と、前記第1抵抗素子と前記第2抵抗素子との間の中間電圧を取得する検知部としての信号デバイス40とを備え、前記第2抵抗素子は、前記装置の周辺大気に露出され、前記検知部は、前記中間電圧の変化に基づいて、前記周辺大気によって生じる前記装置の腐食の予兆を検知する。
かかる構成及び動作により、検知装置は、大気に曝されることによる腐食の予兆を検知できる。また、第2抵抗素子を、対象装置で使用する素子と同等のものとすれば、腐食の予兆をより高精度に検知できる。
【0038】
また、前記検知部は、規定の電圧で導通する金属酸化膜半導体電界効果トランジスタを備え、当該導通を契機に腐食の予兆があることを示す出力を行う。
このように、構成が簡易であるため、低コストで腐食の予兆を検知できる。
【0039】
また、前記第2抵抗素子に、腐食を促進する薬剤を塗布してもよい。
腐食の予兆を促進することで、より早期の検知が可能である。
【0040】
また、複数の前記検知部を備え、複数の前記検知部はそれぞれ異なる中間電圧値で作動し、作動する検知部に対応して緊急度に応じた動作を行う構成としてもよい。
さらに、前記作動する検知部に応じて態様の異なる警告出力を行う出力部をさらに備えてもよい。
このような構成では、段階的な報知が可能である。
【0041】
また、記憶デバイス(50)と、前記記憶デバイスに対するデータの読み書きを行う制御ユニット(20)と、周辺大気を取り込んで前記記憶デバイス及び/又は前記制御ユニットを冷却する送風ユニット(11)と、前記制御ユニットに取り付けられた検知装置(30)とを備え、前記検知装置は、電源に取り付けられた第1抵抗素子(R1)と、前記第1抵抗素子に直列に接続された第2抵抗素子(R2)と、前記第1抵抗素子と前記第2抵抗素子との間の中間電圧を取得する検知部とを備え、前記第2抵抗素子は、前記周辺大気に露出され、前記検知部は、前記中間電圧の変化に基づいて、前記周辺大気によって生じる腐食の予兆を検知するストレージ装置として実施してもよい。
【0042】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、かかる構成の削除に限らず、構成の置き換えや追加も可能である。
【符号の説明】
【0043】
10:ストレージ装置、11:ファン、30:検知回路、31:MOSFET、32:レジスタ、40:信号デバイス、41:CPU、42:メモリ、50:ドライブ、60:電源供給ユニット、70:モニタ、D1~D4:装置、R1~R2:抵抗素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15