(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129986
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ステッピングモータ制御装置、ムーブメント、時計及びステッピングモータ制御方法
(51)【国際特許分類】
G04C 3/14 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G04C3/14 U
G04C3/14 S
G04C3/14 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039436
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】502366745
【氏名又は名称】セイコーウオッチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】及川 亮太
(72)【発明者】
【氏名】井橋 朋寛
(72)【発明者】
【氏名】中村 征幸
【テーマコード(参考)】
2F101
【Fターム(参考)】
2F101BA06
2F101BG16
2F101BH01
(57)【要約】
【課題】複数モータを同時に高速駆動した場合であっても、電池の端子電圧の低下を抑制する。
【解決手段】ステッピングモータ制御装置は、所定の駆動周期で駆動される第1モータと、第1モータの駆動周期と同一又は整数倍の駆動周期で駆動される第2モータとを含む複数のモータを駆動させる駆動部に対して、駆動パルスを出力することによりモータを駆動させる制御部と、第1駆動パルスの幅と第2駆動パルスの幅とを記憶する記憶部とを備え、第1駆動パルスのパルス幅と第2駆動パルスのパルス幅との合計が第1モータの駆動周期よりも長い場合に、第1モータの駆動周期の中で第1駆動パルスの一部と第2駆動パルスの少なくとも一部は同時に出力され、第1駆動パルス及び第2駆動パルスの出力された後であって次の第1モータの駆動周期の開始タイミングより前に第1駆動パルス及び第2駆動パルスのいずれも出力されていない休止区間を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の駆動周期で駆動される第1モータと、前記第1モータの駆動周期と同一又は整数倍の駆動周期で駆動される第2モータとを含む複数のモータを駆動させる駆動部に対して、第1駆動パルスを出力することにより前記第1モータを駆動させ、第2駆動パルスを出力することにより前記第2モータとを駆動させる制御部と、
前記第1駆動パルスの幅と、前記第2駆動パルスの幅とを記憶する記憶部とを備えるステッピングモータ制御装置であって、
前記第1駆動パルスのパルス幅と前記第2駆動パルスのパルス幅との合計が前記第1モータの駆動周期よりも長い場合に、前記第1モータの駆動周期の中で前記第1駆動パルスの一部と前記第2駆動パルスの少なくとも一部は同時に出力され、前記第1駆動パルス及び前記第2駆動パルスの出力された後であって次の前記第1モータの駆動周期の開始タイミングより前に前記第1駆動パルス及び前記第2駆動パルスのいずれも出力されていない休止区間を有する、
ステッピングモータ制御装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記第1駆動パルスを出力してから前記第2駆動パルスを出力するまでの所定の時間を更に記憶し、
前記制御部は、前記第1駆動パルスを出力してから、所定の時間が経過した後に、前記第2駆動パルスを出力する
請求項1に記載のステッピングモータ制御装置。
【請求項3】
前記記憶部は、同時に駆動させることが可能なモータの数の上限値と、前記制御部が制御する複数のモータそれぞれについての優先順位とを記憶し、
前記制御部は、同時に駆動させるモータの数が前記上限値を上回った場合、前記優先順位の高いモータから駆動させ、前記優先順位の高いモータが停止した後、次に前記優先順位の高いモータを駆動させる
請求項1に記載のステッピングモータ制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、それぞれ異なる計測単位を有する複数のモータを駆動させ、
前記優先順位は、モータの計測単位に応じて設定され、
計測単位が小さいモータの前記優先順位は、計測単位が大きいモータの前記優先順位より高い
請求項3に記載のステッピングモータ制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、更に第3駆動パルスを出力することにより第3モータを駆動させ、
前記記憶部が記憶する、同時に駆動させることが可能なモータの数の前記上限値は2である
請求項3又は請求項4に記載のステッピングモータ制御装置。
【請求項6】
前記第1モータとは、1/100秒針を駆動するモータであり、
前記第2モータとは、1/10秒針を駆動するモータであり、
前記第3モータとは、1秒針を駆動するモータであり、
前記第1モータの前記優先順位が最も高く設定されている
請求項5に記載のステッピングモータ制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、所定のモータ同士を組みにして動作させ、組みにされたモータの動作が終了した後、次の組みのモータを駆動させる
請求項1又は請求項2に記載のステッピングモータ制御装置。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載のステッピングモータ制御装置と、
前記第1モータと、
前記第2モータと
を備えるムーブメント。
【請求項9】
請求項8に記載のムーブメントを備える時計。
【請求項10】
所定の駆動周期で駆動される第1モータと、前記第1モータの駆動周期と同一又は整数倍の駆動周期で駆動される第2モータとを含む複数のモータを駆動させる駆動部に対して、第1駆動パルスを出力することにより前記第1モータを駆動させ、第2駆動パルスを出力することにより前記第2モータとを駆動させる制御工程と、
前記第1駆動パルスの幅と、前記第2駆動パルスの幅とを記憶する記憶工程とを有し、
前記第1駆動パルスのパルス幅と前記第2駆動パルスのパルス幅との合計が前記第1モータの駆動周期よりも長い場合に、前記第1モータの駆動周期の中で前記第1駆動パルスの一部と前記第2駆動パルスの少なくとも一部は同時に出力され、前記第1駆動パルス及び前記第2駆動パルスの出力された後であって次の前記第1モータの駆動周期の開始タイミングより前に前記第1駆動パルス及び前記第2駆動パルスのいずれも出力されていない休止区間を有する、
ステッピングモータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステッピングモータ制御装置、ムーブメント、時計及びステッピングモータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、指針駆動用のモータを複数備える電子時計において、同時に複数のモータを駆動したい場合があった。複数のモータを同時に駆動する場合、複数の駆動パルスが各モータに同時に出力され、モータのピーク電流の発生タイミングが複数モータで一致し、電池の端子電圧の低下量が瞬間的に低下してしまう。電池の端子電圧が瞬間的に低下することにより、動作電圧を下回り、動作不良に陥ってしまうといった問題があった。このような問題を解決するため、同時に駆動可能なモータ数を制御することが行われている。同時に駆動可能なモータ数を制御する技術を開示した文献として、例えば特許文献1を例示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、パルスの出力タイミングをずらすことにより、複数のモータそれぞれにおけるピーク電流の発生タイミングをずらし、電池電圧の低下量を抑えることが可能となる。ここで、モータのピーク電流の発生タイミングをずらし、瞬間消費電流を低く抑えようとした場合、電池は絶え間なくモータ駆動電流を出力し続けることとなる。電池は、その特性上、モータを駆動させるような大電流を流した場合、電池の内部抵抗により電池の端子電圧が低下する。また、いったん低下した電池の端子電圧は、すぐには回復しないといった特性がある。そのため、絶え間なくモータ駆動電流を流し続けると、電池の端子電圧が回復することなく電流を消費し続け、端子電圧が次第に低下していくこととなる。端子電圧が次第に低下していくことにより、いずれは動作電圧を下回ってしまうといった問題があった。特に、100分の1秒針のような高速駆動する指針を備えるような電子時計において、このような問題の解決が望まれている。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、複数モータを同時に高速駆動した場合であっても、電池の端子電圧の低下を抑制することが可能なステッピングモータ制御装置、ムーブメント、時計及びステッピングモータ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本実施形態の一態様は、所定の駆動周期で駆動される第1モータと、前記第1モータの駆動周期と同一又は整数倍の駆動周期で駆動される第2モータとを含む複数のモータを駆動させる駆動部に対して、第1駆動パルスを出力することにより前記第1モータを駆動させ、第2駆動パルスを出力することにより前記第2モータとを駆動させる制御部と、前記第1駆動パルスの幅と、前記第2駆動パルスの幅とを記憶する記憶部とを備えるステッピングモータ制御装置であって、前記第1駆動パルスのパルス幅と前記第2駆動パルスのパルス幅との合計が前記第1モータの駆動周期よりも長い場合に、前記第1モータの駆動周期の中で前記第1駆動パルスの一部と前記第2駆動パルスの少なくとも一部は同時に出力され、前記第1駆動パルス及び前記第2駆動パルスの出力された後であって次の前記第1モータの駆動周期の開始タイミングより前に前記第1駆動パルス及び前記第2駆動パルスのいずれも出力されていない休止区間を有する、ステッピングモータ制御装置である。
【0007】
(2)また、本実施形態の一態様は、上述した(1)のステッピングモータ制御装置において、前記記憶部は、前記第1駆動パルスを出力してから前記第2駆動パルスを出力するまでの所定の時間を更に記憶し、前記制御部は、前記第1駆動パルスを出力してから、所定の時間が経過した後に、前記第2駆動パルスを出力するものである。
【0008】
(3)また、本実施形態の一態様は、上述した(1)又は(2)のステッピングモータ制御装置において、前記記憶部は、同時に駆動させることが可能なモータの数の上限値と、前記制御部が制御する複数のモータそれぞれについての優先順位とを記憶し、前記制御部は、同時に駆動させるモータの数が前記上限値を上回った場合、前記優先順位の高いモータから駆動させ、前記優先順位の高いモータが停止した後、次に前記優先順位の高いモータを駆動させるものである。
【0009】
(4)また、本実施形態の一態様は、上述した(1)から(3)のいずれかのステッピングモータ制御装置において、前記制御部は、それぞれ異なる計測単位を有する複数のモータを駆動させ、前記優先順位は、モータの計測単位に応じて設定され、計測単位が小さいモータの前記優先順位は、計測単位が大きいモータの前記優先順位より高いものである。
【0010】
(5)また、本実施形態の一態様は、上述した(1)から(4)のいずれかのステッピングモータ制御装置において、前記制御部は、更に第3駆動パルスを出力することにより第3モータを駆動させ、前記記憶部が記憶する、同時に駆動させることが可能なモータの数の前記上限値は2である。
【0011】
(6)また、本実施形態の一態様は、上述した(1)から(5)のいずれかのステッピングモータ制御装置において、前記第1モータとは、1/100秒針を駆動するモータであり、前記第2モータとは、1/10秒針を駆動するモータであり、前記第3モータとは、1秒針を駆動するモータであり、前記第1モータの前記優先順位が最も高く設定されているものである。
【0012】
(7)また、本実施形態の一態様は、上述した(1)から(6)のいずれかのステッピングモータ制御装置において、前記制御部は、所定のモータ同士を組みにして動作させ、組みにされたモータの動作が終了した後、次の組みのモータを駆動させるものである。
【0013】
(8)また、本実施形態の一態様は、上述した(1)から(7)のいずれかのステッピングモータ制御装置と、前記第1モータと、前記第2モータとを備えるムーブメントである。
【0014】
(9)また、本実施形態の一態様は、上述した(8)のムーブメントを備える時計である。
【0015】
(10)また、本実施形態の一態様は、所定の駆動周期で駆動される第1モータと、前記第1モータの駆動周期と同一又は整数倍の駆動周期で駆動される第2モータとを含む複数のモータを駆動させる駆動部に対して、第1駆動パルスを出力することにより前記第1モータを駆動させ、第2駆動パルスを出力することにより前記第2モータとを駆動させる制御工程と、前記第1駆動パルスの幅と、前記第2駆動パルスの幅とを記憶する記憶工程とを有し、前記第1駆動パルスのパルス幅と前記第2駆動パルスのパルス幅との合計が前記第1モータの駆動周期よりも長い場合に、前記第1モータの駆動周期の中で前記第1駆動パルスの一部と前記第2駆動パルスの少なくとも一部は同時に出力され、前記第1駆動パルス及び前記第2駆動パルスの出力された後であって次の前記第1モータの駆動周期の開始タイミングより前に前記第1駆動パルス及び前記第2駆動パルスのいずれも出力されていない休止区間を有する、ステッピングモータ制御方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数モータを同時に高速駆動した場合であっても、電池の端子電圧の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態に係る時計の機能構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る実施形態に係る時計の1/100秒針、1/10秒針、秒針、分針、及び時針の配置例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係るステッピングモータ制御方法による駆動パルスの一例を説明するための図である。
【
図4】本実施形態に係るステッピングモータ制御方法による電圧降下の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係るステッピングモータ制御方法によるモータ駆動の第1の具体例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係るステッピングモータ制御方法によるモータ駆動の第2の具体例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る駆動優先順位の一例を示す図である。
【
図8】本実施形態に係る駆動ステップ数の一例を示す図である。
【
図9】本実施形態に係る最大駆動周波数の一例を示す図である。
【
図10】本実施形態に係る時計のストップウォッチ計時処理の一例について示す第1のフローチャートである。
【
図11】本実施形態に係る時計のストップウォッチ計時処理の一例について示す第2のフローチャートである。
【
図12】本実施形態に係る時計のストップウォッチ計時処理の一例について示す第3のフローチャートである。
【
図13】本実施形態に係る時計のストップウォッチ計時処理の一例について示す第4のフローチャートである。
【
図14】本実施形態に係る時計のストップウォッチ計時処理の一例について示す第5のフローチャートである。
【
図15A】本実施形態に係る時計のストップウォッチ計時処理の一例について示す第6のフローチャートの1つ目の図である。
【
図15B】本実施形態に係る時計のストップウォッチ計時処理の一例について示す第6のフローチャートの2つ目の図である。
【
図16A】本実施形態に係る時計のストップウォッチ計時処理の一例について示す第7のフローチャートの1つ目の図である。
【
図16B】本実施形態に係る時計のストップウォッチ計時処理の一例について示す第7のフローチャートの1つ目の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
[実施形態]
図1は、一実施形態に係る時計の機能構成を示すブロック図である。同図を参照しながら、時計1が有する機能構成の一例について説明する。時計1は、電池10と、制御部20と、記憶部30と、駆動部40と、発振回路51と、分周回路52と、入力部53と、第1モータ61と、第1輪列機構61Aと、1/100秒針61Bと、第2モータ62と、第2輪列機構62Aと、1/10秒針62Bと、第3モータ63と、第3輪列機構63Aと、1秒針63Bと、第4モータ64と、第4輪列機構64Aと、分針64Bと、第5モータ65と、第5輪列機構65Aと、時針65Bとを備える。
【0020】
以下の説明において、1/100秒針61Bと、1/10秒針62Bと、1秒針63Bと、分針64Bと、時針65Bとを区別せずに、単に指針3と記載する場合がある。また、上述した時計1が備える機能構成のうち、電池10と、指針3とを除く構成を、ムーブメント2と記載する場合がある。また、ムーブメント2のうち、少なくとも制御部20と記憶部30とを備える構成を、ステッピングモータ制御装置と記載する場合がある。なお、時計1は、不図示のケース、風防、文字盤(Dial)、目盛りリング、バンド等を備えていてもよい。
【0021】
時計1は、時刻を計時し、計時した時刻を、指針3を用いて表示する。時計1は、不図示の無線通信部を介して時刻に関する情報を受信し、受信した時刻を表示してもよい。また、時計1は、指針3を制御することにより、タイマー機能、ストップウォッチ機能、及びコンパス機能等を実現してもよい。
【0022】
電池10は、例えばリチウム電池、いわゆるボタン電池等であってもよい。電池10は、電力をムーブメント2に供給する。電池10は、具体的にはロジック回路駆動用の電力を制御部20に供給し、モータ等のデバイス駆動用電力を駆動部40に供給する。なお、電池10は、太陽電池によって発電された電力を蓄電する蓄電池(二次電池)であってもよい。
【0023】
発振回路51は、例えば水晶振動子を備える。水晶振動子は、水晶の圧電現象を利用し、その機械的共振から第1の周波数を発振するために用いられる受動素子である。水晶振動子の発振周波数は、例えば32kHzである。発振回路51は、水晶振動子を発振させて生成したクロック信号を分周回路52に出力する。
【0024】
分周回路52は、発振回路51が出力したクロック信号を所望の周波数に分周し、基準信号を生成する。分周回路52は、分周した結果得られた基準信号を、制御部20に出力する。分周回路52により生成される基準信号の周波数は、例えば64H及び32Hzであってもよい。
【0025】
入力部53は、例えば竜頭や、プッシュボタン等を含む。入力部53は、利用者の操作を検出し、検出した操作結果を制御部20に出力する。竜頭の検出結果は、竜頭の回転角度等であってもよい。プッシュボタンの検出結果は、オン状態、またはオフ状態であってもよい。時計1は、竜頭やプッシュボタンの操作等によって、動作モードが切り替えられてもよい。
【0026】
記憶部30は、例えば、不図示のROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を含んで構成される。記憶部30は、時計1の制御に必要な情報や、プログラム等を記憶する。時計1の制御に必要な情報とは、例えば、モータを駆動するのに出力する駆動パルスについての情報であってもよい。駆動パルスは、モータ毎に異なるものであってもよい。例えば、記憶部30は、第1モータ61を駆動するためのパルスである第1駆動パルスのパルス幅と、第2モータ62を駆動するためのパルスである第2駆動パルスのパルス幅と、第3モータ63を駆動するためのパルスである第3駆動パルスのパルス幅と、第4モータ64を駆動するためのパルスである第4駆動パルスのパルス幅と、第5モータ65を駆動するためのパルスである第5駆動パルスのパルス幅とをそれぞれ記憶する。
【0027】
また、記憶部30は、時計1の制御に必要な情報として、時計1が同時に駆動させることが可能なモータの数の上限値を記憶する。時計1は、同時に駆動させることが可能なモータの数を制限することにより、ピーク電流の値を制限し、電池の端子電圧が低下することを抑止する。同時に駆動させることが可能なモータの数の上限値は、例えば2個であってもよい。上限値以上のモータを駆動させることが要求される場合、予め定められた優先順位に従って、モータの駆動が制御されてもよい。この場合、記憶部30は、複数のモータそれぞれについての優先順位を記憶していてもよい。
【0028】
制御部20は、例えばCPU(Central Processing Unit)を含んで構成される。制御部20は、時計1が備える各部の制御を行う。制御部20は、電池10により供給された電力を用いて、各部の制御を行う。また、制御部20は、時刻を計時する。制御部20は、計時した結果に基づいて各モータを制御することにより、指針3の運針を制御する。
【0029】
制御部20は、具体的には、駆動部40に対して、モータに応じた駆動パルスを出力することにより、各モータを別個独立に制御する。以下の説明において、第1モータ61を駆動させるパルスを、第1駆動パルスと記載し、第2モータ62を駆動させるパルスを、第2駆動パルスと記載し、第3モータ63を駆動させるパルスを、第3駆動パルスと記載し、第4モータ64を駆動させるパルスを、第4駆動パルスと記載し、第5モータ65を駆動させるパルスを、第5駆動パルスと記載する。換言すれば、制御部20は、駆動部に対して第1駆動パルスを出力することにより第1モータ61を駆動させ、第2駆動パルスを出力することにより第2モータ62を駆動させ、第3駆動パルスを出力することにより第3モータ63を駆動させ、第4駆動パルスを出力することにより第4モータ64を駆動させ、第5駆動パルスを出力することにより第5モータ65を駆動させる。
【0030】
なお、制御部20は、不図示の電池電圧検出部を備えていてもよい。電池電圧検出部は、電池10の端子電圧を監視する。制御部20は、電池電圧検出部により検出された電圧が所定値以下となった場合、モータの駆動を停止してもよい。制御部20は、モータの駆動停止後、電池電圧検出部により検出された電圧が所定値以上に回復した場合、モータの駆動を再開してもよい。なお、電池電圧検出部によるモータの駆動停止制御は、非常時に対応するものである。本実施形態に係るステッピングモータ制御装置は、通常の使用時において、電池10の端子電圧が最低動作電圧を下回らないよう、駆動パルスの出力タイミングを制御する。
【0031】
駆動部40は、2つのモータ(例えば、第1モータ61と第2モータ62)を少なくとも含む複数のモータを駆動させる。図示する一例において、駆動部40は、第1モータ61と、第2モータ62と、第3モータ63と、第4モータ64と、第5モータ65とを駆動させる。駆動部40は、具体的には、Hブリッジ等のモータ駆動回路を含んで構成されていてもよい。
【0032】
第1モータ61と、第2モータ62と、第3モータ63と、第4モータ64と、第5モータ65とは、それぞれ、ステッピングモータである。第1モータ61は、制御部20により出力された第1駆動パルスに応じて、第1輪列機構61Aを介して、1/100秒針61Bを駆動する。第2モータ62は、制御部20により出力された第2駆動パルスに応じて、第2輪列機構62Aを介して、1/10秒針62Bを駆動する。第3モータ63は、制御部20により出力された第3駆動パルスに応じて、第3輪列機構63Aを介して、1秒針63Bを駆動する。第4モータ64は、制御部20により出力された第4駆動パルスに応じて、第4輪列機構64Aを介して、分針64Bを駆動する。第5モータ65は、制御部20により出力された第5駆動パルスに応じて、第5輪列機構65Aを介して、時針65Bを駆動する。
【0033】
第1輪列機構61Aと、第2輪列機構62Aと、第3輪列機構63Aと、第4輪列機構64Aと、第5輪列機構65A(以下、各輪列機構を区別しない場合、単に輪列機構と記載する場合がある。)とは、それぞれ、少なくとも1つの歯車を含んで構成される。輪列機構は、モータから出力された動力を指針3に伝え、指針3を運針する。
【0034】
図2は、本実施形態に係る実施形態に係る時計の1/100秒針、1/10秒針、秒針、分針、及び時針の配置例を示す図である。同図を参照しながら、1/100秒針61B、1/10秒針62B、1秒針63B、分針64B、及び時針65Bの配置の一例について説明する。
【0035】
図示するように、時計1は、入力部53として、プッシュボタン53aと、プッシュボタン53bと、プッシュボタン53cと、竜頭53dとを備える。プッシュボタン53aは、動作モードの切り換え等に用いられる。プッシュボタン53bは、ストップウォッチ機能使用時におけるRESET及びLAP/SPLIT等に用いられる。プッシュボタン53cは、ストップウォッチ機能使用時におけるSTART及びSTOP等に用いられる。竜頭53dは、例えば、時刻合わせ等の調整に用いられる。また、プッシュボタン53a、プッシュボタン53b、プッシュボタン53c、及び竜頭53dは、各動作モードにおける各種入力等に用いられてもよい。
【0036】
また、時計1は、表示手段として、1/100秒針61Bと、第1文字盤61Cと、1/10秒針62Bと、第2文字盤62Cと、1秒針63Bと、第3文字盤63Cと、分針64Bと、第4文字盤64Cと、時針65Bとを備える。
【0037】
分針64Bと、時針65Bとは、通常の時刻表示時に運針され、第4文字盤64Cの外周に表示されたメモリを用いて、時刻表示を行う。1/100秒針61Bと、第1文字盤61Cと、1/10秒針62Bと、第2文字盤62Cと、1秒針63Bと、第3文字盤63Cとは、ストップウォッチモード時等に駆動される。第1文字盤61Cの外周には、1/100秒単位のメモリが表示され、1/100秒針61Bが駆動されることにより、1/100秒単位の計測結果が表示される。第2文字盤62Cの外周には、1/10秒単位のメモリが表示され、1/10秒針62Bが駆動されることにより、1/10秒単位の計測結果が表示される。第3文字盤63Cの外周には、1秒単位のメモリが表示され、1秒針63Bが駆動されることにより、1秒単位の計測結果が表示される。
【0038】
図3は、本実施形態に係るステッピングモータ制御方法による駆動パルスの一例を説明するための図である。同図を参照しながら、本実施形態に係る制御部20によるモータの制御方法について説明する。同図には、モータ1及びモータ2の、2つのモータを同時に制御する場合の一例について示している。具体的には、モータ1とは、1/100秒針61Bを運針する第1モータ61であってもよく、モータ2とは、第2モータ62乃至第5モータ65のうちいずれかであってもよい。以下の説明において、モータ1が第1モータ61であり、モータ2が第2モータ62である場合の一例について説明する。また、同図には、各モータに出力される駆動パルス出力タイミングと、各モータの消費電流と、2つのモータの消費電流の合計値と、電池10の端子電圧の値とが、横軸を時間として示されている。
【0039】
t11において、第1モータ61を駆動する第1駆動パルスが出力される。第1モータ61の駆動周期を駆動周期T1として図示する。駆動周期T1は、例えば5[ms]であってもよい。図示する一例において、第2モータ62の駆動周期は、第1モータ61の駆動周期と同一である。なお、第1モータ61以外のモータ(すなわち第2モータ62、第3モータ63、第4モータ64及び第5モータ65)の駆動周期は、第1モータ61の駆動周期と同一又は整数倍であることが好適である。また、本実施形態において、時計1は指針を高速駆動させる。具体的には、高速駆動により駆動周期が短くなった結果、第1モータ61を駆動する第1駆動パルスのパルス幅と、第1モータ61以外のモータを駆動する駆動パルス(例えば第2モータ62の場合第2駆動パルス)のパルス幅との合計が、第1モータ61の駆動周期である駆動周期T1よりも長くなる。
【0040】
t12において、第2モータ62を駆動する第2駆動パルスが出力される。ここで、ピーク電流を抑制し、電池10の端子電圧の低下を抑制するためには、駆動パルスを同時に出力しないことが好適である。図示する一例においても、第1駆動パルスが出力されてから第2駆動パルスが出力されるまでには、所定の時間を有する。当該時間は、記憶部30に記憶されていてもよい。すなわち、記憶部30は、第1駆動パルスを出力してから第2駆動パルスを出力するまでの所定の時間を記憶しているということもできる。制御部20は、第1駆動パルスを出力してから、記憶部30に記憶された所定の時間が経過した後に、第2駆動パルスを出力する。
【0041】
ここで、t11において第1モータ61が電流を消費し始め、t12において更に第2モータ62が電流を消費し始める。したがって、t11及びt12以降、電池10の端子電圧は低下していく。
【0042】
t13において、第1モータ61の第1駆動パルスの出力が停止される。したがって、t13以降第1モータ61の消費電流は、理論的にはゼロとなる。また、t14において、第2モータ62の第2駆動パルスの出力が停止される。したがって、t14以降第2モータ62の消費電流は、理論的にはゼロとなる。t15において、次の駆動周期が開始される。
【0043】
図示するように、本実施形態に係るモータの制御方法によれば、指針を高速駆動させるため、2つのモータの駆動パルスが時間的に重なる箇所が存在する。高速駆動させた結果として、第1駆動パルスのパルス幅と第2駆動パルスのパルス幅との合計が第1モータ61の駆動周期である駆動周期T1よりも長い場合に、第1モータ61の駆動周期の中で第1駆動パルスの一部と第2駆動パルスの少なくとも一部は同時に出力されることとなる。
【0044】
また、図示するように、本実施形態に係るモータの制御方法によれば、駆動周期T1の中に、いずれのモータにも駆動パルスが与えられない休止区間が存在する。休止区間とは、第1駆動パルス及び第2駆動パルスの出力された後であって次の第1モータ61の駆動周期の開始タイミングより前に、第1駆動パルス及び第2駆動パルスのいずれも出力されていない区間であるということもできる。当該休止区間が存在することにより、電池10の端子電圧は、いったん下がった後であっても、次の周期開始時には、所定の電圧まで回復することができる。すなわち、当該休止区間が存在することにより、指針を高速駆動した場合であっても、電池10の端子電圧が徐々に低下していくことを抑止することができる。
【0045】
図4は、本実施形態に係るステッピングモータ制御方法による電圧降下の一例を示す図である。同図を参照しながら、モータの制御方法を変えた場合における電圧降下の一例について説明する。同図には、3通りのモータ制御方法をそれぞれ行った場合における電圧降下の一例が示されている。
【0046】
第1の例として、2つのモータを同時駆動し、同タイミングで駆動パルスを出力した場合の一例を図示する。第1の一例における電圧変化を破線で示す。同タイミングで駆動パルスを出力すると、2つのモータにおけるピーク電流が重なり、電圧の低下量が顕著となる。具体的には、t20において2つのモータが同タイミングでオンされ、電圧が低下し始める。t21において駆動パルスの出力が終わり、電圧が回復し始める。ここで、第1の例によれば、駆動パルスの出力が終わったt21の時点で、電圧がv21まで下降してしまっている。そこで、異なるタイミングでモータをオンさせることにより、ピーク電流が重なることを回避したのが第2の例である。
【0047】
第2の例として、2つのモータを同時駆動するが、異なるタイミングで駆動パルスを出力することにより、電圧の低下量を抑制した場合の一例を図示する。第2の一例における電圧変化を一点鎖線で示す。異なるタイミングで駆動パルスを出力することにより、2つのモータにおけるピーク電流の重なりを回避することができ、電圧の低下量を抑制することができる。図示する一例では、電圧の低下量をv22まで抑えられている。しかしながら、この一例によれば、本実施形態に係る休止区間を有しないため、2つのモータのうちいずれかが常に駆動されている状態となる。したがって、電圧が回復することなく、高速駆動を続けるにしたがい、次第に電池10の端子電圧が下降していく。図示する一例では、t28以降、v23まで電圧が低下している。このように次第に電圧が低下していくことにより、いずれは制御部20の最低動作電圧を下回り、動作異常が発生する場合がある。そこで、休止区間を設けるようにしたのが、本実施形態に係るモータ制御方法である。本実施形態に係るモータ制御方法を、第3の例として示す。
【0048】
第3の例として、2つのモータを同時駆動するが、異なるタイミングで駆動パルスを出力し、更に休止区間を設けることにより、電圧の低下量を抑制した場合の一例を図示する。第3の一例における電圧変化を実線で示す。第3の例によれば、休止区間を設けることにより、2つの駆動パルスの重なりが大きくなる。したがって、第3の例における電圧の低下量と第2の例における電圧の低下量とを比較すると、1つの駆動周期の中での電圧の低下量は、第3の例の方が大きくなる。しかしながら、電池10の端子電圧が回復してから次の駆動周期に入るため、長期的に見た場合の電圧低下量は、第3の例の方が小さくなる。
【0049】
次に、
図5及び
図6を参照しながら、制御部20による第1モータ61乃至第5モータ65の駆動についての具体例について説明する。
図5及び
図6には、横軸を時間とし、第1モータ61乃至第5モータ65の駆動タイミングが示されている。図示するように、1つの駆動パルスには第1パルスP1及び第2パルスP2が含まれる。本実施形態はこの一例に限定されず、1つのパルスにより駆動パルスが構成されていてもよい。
【0050】
図5は、本実施形態に係るステッピングモータ制御方法によるモータ駆動の第1の具体例を示す図である。同図を参照しながら、第1の具体例について説明する。第1の具体例は、クロノグラフ運針中の毎正分タイミング(すなわち、全ての指針が動くタイミング)を示している。制御部20は、第1駆動パルスを5[ms]周期で出力することにより、第1モータ61を駆動する。図示するように、全ての駆動周期において第1駆動パルスが出力されている。同時に駆動可能なモータの数が2個である場合、第1モータ61は全ての駆動周期において駆動されているため、第2モータ62乃至第5モータ65のいずれかのモータが、順番に、排他的に駆動される。また、図示する一例において、第1駆動パルスは、駆動周期の開始と同時に出力されている。t311からt312にかけては、第1モータ61のみが駆動されている。
【0051】
t313からt315にかけて、第1駆動パルスが出力されることにより第1モータ61が駆動されることに加え、第2駆動パルスが出力されることにより第2モータ62が駆動される。図示するように、第2駆動パルスは、第1駆動パルスが出力されてから所定の時間が経過した後に出力される。所定の時間とは、第1駆動パルスの第1パルスP1と同じであってもよい。また、第2駆動パルスの出力後、次の駆動周期の開始までの間に、休止区間が設けられている。
【0052】
t316からt317にかけて、第1駆動パルスが出力されることにより第1モータ61が駆動されることに加え、第3駆動パルスが出力されることにより第3モータ63が駆動される。図示するように、第3駆動パルスは、第1駆動パルスが出力されてから所定の時間が経過した後に出力される。また、第3駆動パルスは、他の駆動パルスより長く、1つの駆動周期内で終了することができていない。したがって、このような場合、更に次の駆動周期の開始時まで休止区間が設けられる。なお、駆動パルスの長さは、指針3の大きさ、重さ、形状、材質等、及び輪列機構に応じて異なる。
【0053】
上述した制御と同様に、t317からt324にかけて、第1駆動パルスが出力されることにより第1モータ61が駆動されることに加え、第4駆動パルスが出力されることにより第4モータ64が駆動される。また、t324からt330にかけて、第5駆動パルスが出力されることにより第5モータ65が駆動される。
【0054】
ここで、制御部20は、同時に駆動させるモータの数の上限値を超えて、複数のモータを同時に駆動させたい場合がある。例えば記憶部30に記憶された、同時に駆動させることが可能なモータの数の上限値が2個である場合、3個以上のモータを同時に駆動させたい場合がある。このような場合、制御部20は、記憶部30に記憶された優先順位にしたがった制御を行ってもよい。換言すれば、制御部20は、同時に駆動させるモータの数が上限値を上回った場合、優先順位の高いモータから駆動させ、優先順位の高いモータが停止した後、次に優先順位の高いモータを駆動させるということもできる。図示する一例において、優先順位は、高い順に、第1モータ61、第2モータ62、第3モータ63、第4モータ64、第5モータ65である。
【0055】
図6は、本実施形態に係るステッピングモータ制御方法によるモータ駆動の第2の具体例を示す図である。同図を参照しながら、第2の具体例について説明する。第2の具体例においては、第1駆動パルスが出力されていない区間がある点において第1の具体例とは異なる。第2の具体例とは、具体的には、モード遷移時の運針例を示すものである。クロノグラフモード終了後、所定の指針の位置から、全てゼロ位置に戻る場合等、2つのモータずつ順番に駆動する。なお、図示する一例において1秒針63Bのみ単独駆動しているが、これは文字盤の配置から見栄を考慮したものである。
【0056】
t411からt422にかけて、第1駆動パルス及び第2駆動パルスが出力されることにより、第1モータ61及び第2モータ62が駆動される。t422以降、第1駆動パルス及び第2駆動パルスの出力は停止される。次に、t422からt426にかけて、第3駆動パルスが出力されることにより、第3モータ63が駆動される。また、t426からt430にかけて、第4駆動パルス及び第5駆動パルスが出力されることにより、第4モータ64及び第5モータ65が駆動される。
【0057】
このように、制御部20は、所定のモータ同士を組みにして動作させる。また、制御部20は、組みにされたモータの動作が終了した後、次の組みのモータを駆動させる。図示する一例において、第1モータ61及び第2モータ62が第1の組となっており、第4モータ64及び第5モータ65が第2の組となっている。ここで、同一の組とされるモータの駆動周波数は同一であることが好適である。図示する一例では、第1モータ61及び第2モータ62の駆動周波数は互いに同一であり、第4モータ64及び第5モータ65の駆動周波数も互いに同一である。
【0058】
図7は、本実施形態に係る駆動優先順位の一例を示す図である。同図を参照しながら、モータの駆動優先順位について説明する。図示する表は、記憶部30に記憶されていてもよい。図示する一例において、第1モータ61の優先順位が最も高く設定されている。また、駆動優先順位は、高い順に、1/100秒針61B駆動モータ(すなわち第1モータ61)、1/10秒針62B駆動モータ(すなわち第2モータ62)、1秒針63B駆動モータ(すなわち第3モータ63)、分針64B駆動モータ(すなわち第4モータ64)、時針65B駆動モータ(すなわち第5モータ65)となっている。例えば1/100秒を測定する指針と、1秒を測定する指針とでは、1駆動周期(5[ms])ずれた場合の重みが異なる。このように、駆動周波数が高いモータの優先度を上げることにより、計時時における誤差を最小限とすることができる。
【0059】
本実施において制御部20は、それぞれ異なる計測単位を有する複数のモータを駆動させるということもできる。この場合、優先順位は、モータの計測単位に応じて設定されるということもできる。より具体的には、計測単位が小さいモータの優先順位は、計測単位が大きいモータの優先順位より高いということもできる。
【0060】
図8は、本実施形態に係る駆動ステップ数の一例を示す図である。同図を参照しながら、指針3が1周するのに要する駆動ステップ数について説明する。図示するように、1/100秒針61Bが1周するためには、第1モータ61は20ステップを要する。また、1/10秒針62Bが1周するためには、第2モータ62は20ステップを要する。また、1秒針63Bが1周するためには、第3モータ63は60ステップを要する。また、分針64Bが1周するためには、第4モータ64は360ステップを要する。また、時針65Bが1周するためには、第5モータ65は360ステップを要する。
【0061】
図9は、本実施形態に係る最大駆動周波数の一例を示す図である。同図を参照しながら、各モータの最大駆動周波数について説明する。図示するように、第1モータ61の最大駆動周波数は200[Hz]であり、第2モータ62の最大駆動周波数は200[Hz]であり、第3モータ63の最大駆動周波数は100[Hz]であり、第4モータ64の最大駆動周波数は200[Hz]であり、第5モータ65の最大駆動周波数は200[Hz]である。第1モータ61、第2モータ62、第4モータ64、及び第5モータ65は、200[Hz]で駆動可能である。換言すれば、これらのモータは、1つの駆動周期(5[ms])の中で、1ステップ駆動させることが可能である。一方、第3モータ63は、100[Hz]で駆動可能である。換言すれば、1ステップ駆動させるのに、2つの駆動周期(10[ms])を要する。このように、最大駆動周波数が異なるモータが存在する場合、同一の駆動周波数で駆動可能なモータ同士を組みにして駆動させることが好適である。
【0062】
なお、指針3を運針させるために必要な駆動パルスの長さは、指針3の大きさ、重さ、形状、材質等、及び輪列機構に応じて異なる。最大駆動周波数は、駆動パルスの長さと、駆動周期に応じて決定されてもよい。
【0063】
次に、
図10から
図16を参照しながら、時計1のストップウォッチ計時処理に関する動作の一例について説明する。以下に説明する処理の一例では、モータを1ステップ駆動させる駆動パルスとして、第パルスP1及び第2パルスP2の2つのパルスが用いられる場合の一例について説明する。第パルスP1の長さは、第2パルスP2の長さより短い。なお、本実施形態はこの一例に限定されず、単一のパルス(例えば、第パルスP1及び第2パルスP2を足した1つのパルス)によりモータを1ステップ駆動させることも可能である。
【0064】
図10は、本実施形態に係る時計のストップウォッチ計時処理の一例について示す第1のフローチャートである。まず、同図を参照しながら、ストップウォッチ開始処理の一例について説明する。
【0065】
制御部20は、ストップウォッチボタンが押されたか否かを判定する(ステップS11)。ストップウォッチボタンが押されたか否かは、例えばプッシュボタン53aが押されたか否か、又はプッシュボタン53aが押された回数等により判定されてもよい。制御部20は、ストップウォッチボタンが押された場合、ストップウォッチタイマの計測を開始する(ステップS13)。ストップウォッチタイマの計測処理(ストップウォッチ計時処理)の詳細については、
図11を参照しながら説明する。
【0066】
図11は、本実施形態に係る時計のストップウォッチ計時処理の一例について示す第2のフローチャートである。同図を参照しながら、ストップウォッチ計時処理の一例について説明する。
【0067】
制御部20は、ストップウォッチ経過時間を監視し(ステップS21)、ストップウォッチ経過時間が0.1秒経過した場合(ステップS22)、第1モータ61の駆動周波数を設定する(ステップS23)。モータの駆動周波数は、例えば記憶部30に記憶されていてもよい。図示する一例において、第1モータ61の駆動周波数は、200[Hz]である。制御部20は、1/100秒針61Bを運針する第1モータ61に対し、正転20ステップ分の駆動予約を行う(ステップS25)。
【0068】
次に、制御部20は、ストップウォッチ経過時間を監視し、ストップウォッチ経過時間が正秒タイミングかどうかを判定する(ステップS26)。制御部20は、正秒タイミングでない場合、
図12を参照しながら説明する運針処理に処理を進める。また、制御部20は、正秒タイミングである場合、1秒針63Bを運針する第3モータ63に対し、正転1ステップ分の駆動予約を行う(ステップS27)。
【0069】
次に、制御部20は、ストップウォッチ経過時間を監視し、ストップウォッチ経過時間が正分タイミングかどうかを判定する(ステップS28)。制御部20は、正分タイミングでない場合、
図12を参照しながら説明する運針処理に処理を進める。また、制御部20は、正分タイミングである場合、分針64Bを運針する第4モータ64に対し、正転6ステップ分の駆動予約を行い、時針65Bを運針する第5モータ65に対し、正転6ステップ分の駆動予約を行う(ステップS29)。
【0070】
図12は、本実施形態に係る時計のストップウォッチ計時処理の一例について示す第3のフローチャートである。同図を参照しながら、運針処理の一例について説明する。
【0071】
制御部20は、設定された駆動周波数に基づくモータ駆動パルス出力タイミングか否かを判定する(ステップS311)。制御部20は、設定された駆動周波数に基づくモータ駆動パルス出力タイミングである場合、駆動モータごとに予約されている駆動ステップ数の読み出しを行う(ステップS313)。制御部20は、予約されている駆動ステップ数に応じた処理を行う(ステップS313)。具体的には、制御部20は、予約されている駆動ステップ数がすべて0である場合、運針処理を終了する。また、制御部20は、予約されている駆動ステップ数がすべて0でない場合、予約されている駆動ステップ数が1ステップ以上ある指針モータの中から、駆動優先順位の高いモータを最大2個選択する。なお、駆動優先順位は、記憶部30に記憶されている。
【0072】
次に、制御部20は、選択した駆動モータについて、予約されている駆動ステップ数から1を引く(ステップS319)。制御部20は、優先順位が高いモータの回転方向、及び極性等に基づき、出力する駆動パルスの波形を取得する(ステップS321)。モータの回転方向、及び極性等は、記憶部30に記憶されている。なお、極性は、1ステップ駆動するごとに反転する。次に駆動する際の極性は、記憶部30のRAM領域等に記憶され、1ステップごとに更新されるものであってもよい。
【0073】
ここで、制御部20は、駆動するモータの数に応じて異なる駆動処理を行う。制御部20は、駆動するモータが1つの場合、
図13を参照しながら説明する1フレーム1モータ駆動処理へ処理を進める(ステップS323;NO)。また、制御部20は、駆動するモータが2つの場合(ステップS323;YES)、優先順位が次に高いモータの回転方向、及び極性等に基づき、出力する駆動パルスの波形を取得する(ステップS325)。モータの回転方向、及び極性等は、記憶部30に記憶されている。
【0074】
次に、制御部20は、優先順位が最も高いモータの第1パルスP1と、優先順位が次に高いモータの第1パルスP1及び第2パルスP2の長さの合計である合計パルス幅Tの値を計算する(ステップS327)。制御部20は、計算された合計パルス幅Tが駆動周波数に基づく駆動フレーム以下か否かを判定する(ステップS329)。なお、駆動周波数に基づく駆動フレームとは、例えば駆動周波数が200[Hz]である場合、5[ms]である。制御部20は、合計パルス幅Tが駆動フレーム以下である場合、
図14を参照しながら説明する1フレーム2モータ駆動処理へ処理を進める。また、制御部20は、合計パルス幅Tが駆動フレーム以下でない場合、
図15を参照しながら説明する2フレーム2モータ駆動処理へ処理を進める。
【0075】
図13は、本実施形態に係る時計のストップウォッチ計時処理の一例について示す第4のフローチャートである。同図を参照しながら、1フレーム1モータ駆動処理の一例について説明する。
【0076】
制御部20は、優先順位が最も高いモータの第1パルスP1を出力する(ステップS41)。制御部20は、優先順位が最も高いモータの第1パルスP1の出力が終了した場合(ステップS43)、優先順位が最も高いモータの第2パルスP2を出力する(ステップS45)。制御部20は、優先順位が最も高いモータの第2パルスP2の出力が終了した場合(ステップS47)、全てのモータ出力をオフとし(ステップS49)、
図12を参照しながら説明した運針処理へ処理を戻す。
【0077】
図14は、本実施形態に係る時計のストップウォッチ計時処理の一例について示す第5のフローチャートである。同図を参照しながら、1フレーム2モータ駆動処理の一例について説明する。
【0078】
制御部20は、優先順位が最も高いモータの第1パルスP1を出力する(ステップS51)。制御部20は、優先順位が最も高いモータの第1パルスP1の出力が終了した場合(ステップS52)、優先順位が最も高いモータの第2パルスP2を出力し、同時に優先順位が次に高いモータの第1パルスP1を出力する(ステップS53)。すなわち、本実施形態においては、同時駆動する2つのモータの駆動開始タイミングを、最初に駆動するモータの第1パルスP1ぶんずらしている。このように駆動開始タイミングをずらすことによって、ピーク電流の最大値を抑制する。制御部20は、優先順位が次に高いモータの第1パルスP1の出力が終了した場合(ステップS54)、優先順位が次に高いモータの第2パルスP2を出力する(ステップS55)。このとき、第1パルスP1より第2パルスP2の方が長いため、優先順位が最も高いモータの第2パルスP2は出力され続けている。次に、制御部20は、優先順位が最も高いモータの第2パルスP2の出力が終了し、かつ優先順位が次に高いモータの第2パルスP2の出力が終了した場合(ステップS56)、全てのモータ出力をオフとし(ステップS57)、
図12を参照しながら説明した運針処理へ処理を戻す。
【0079】
図15A及び
図15Bは、本実施形態に係る時計のストップウォッチ計時処理の一例について示す第6のフローチャートである。同図を参照しながら、2フレーム2モータ駆動処理の一例について説明する。なお、2フレーム2モータ駆動処理とは、例えば
図5のt315からt317に示したようなモータ駆動処理である。
【0080】
制御部20は、優先順位が最も高いモータの第1パルスP1を出力する(ステップS611)。制御部20は、優先順位が最も高いモータの第1パルスP1の出力が終了した場合(ステップS613)、優先順位が最も高いモータの第2パルスP2を出力し、同時に優先順位が次に高いモータの第1パルスP1を出力する(ステップS615)。制御部20は、優先順位が次に高いモータの第1パルスP1の出力が終了した場合(ステップS617)、優先順位が次に高いモータの第2パルスP2を出力する(ステップS619)。次に、制御部20は、優先順位が最も高いモータの第2パルスP2の出力が終了した場合(ステップS621)、優先順位が最も高いモータの出力をオフする(ステップS623)。ここで、2フレーム2モータ駆動処理においては、優先順位が次に高いモータの第2パルスP2は出力中である。
【0081】
制御部20は、駆動周波数200[Hz]での駆動パルス出力タイミングであるか否かを判定する(ステップS625)。制御部20は、駆動周波数200[Hz]での駆動パルス出力タイミングとなった場合、優先順位が最も高いモータの駆動予約ステップ数に応じた処理を行う(ステップS627)。
【0082】
制御部20は、優先順位が最も高いモータの駆動予約ステップ数が1以上でない場合(ステップS627;NO)、優先順位が次に高いモータの第2パルスP2の出力が終了したか否かを判定する(ステップS647)。制御部20は、優先順位が次に高いモータの第2パルスP2の出力が終了した場合、全てのモータ出力をオフとし(ステップS649)、
図12を参照しながら説明した運針処理へ処理を戻す。
【0083】
制御部20は、優先順位が最も高いモータの駆動予約ステップ数が1以上である場合(ステップS627;YES)、優先順位が最も高いモータの駆動予約ステップ数から1を引く(ステップS629)。制御部20は、優先順位が高いモータの回転方向、及び極性等に基づき、出力する駆動パルスの波形を取得する(ステップS631)。モータの回転方向、及び極性等は、記憶部30に記憶されている。次に、制御部20は、優先順位が最も高いモータの第1パルスP1を出力する(ステップS633)。次に、制御部20は、優先順位が次に高いモータの第2パルスP2の出力が終了した場合(ステップS635)、優先順位が次に高いモータの出力をオフする(ステップS637)。次に、制御部20は、優先順位が最も高いモータの第1パルスP1の出力が終了した場合(ステップS639)、優先順位が最も高いモータの第2パルスP2を出力する(ステップS641)。次に、制御部20は、優先順位が最も高いモータの第2パルスP2の出力が終了した場合(ステップS643)、全てのモータ出力をオフとし(ステップS645)、
図12を参照しながら説明した運針処理へ処理を戻す。
【0084】
図16A及び
図16Bは、本実施形態に係る時計のストップウォッチ計時処理の一例について示す第7のフローチャートである。同図を参照しながら、現在時刻表示復帰処理の一例について説明する。
【0085】
まず、制御部20は、現在の時刻を表示する場合の分針64B及び時針65Bの位置を算出する(ステップS711)。次に、制御部20は、分針64B及び時針65Bの現在の指示位置(例えばストップウォッチ機能終了時における指示位置)から、算出された位置(現在の時刻位置)まで、分針64B及び時針65Bを正転で運針するために必要な駆動ステップ数を算出する(ステップS713)。制御部20は、算出された駆動ステップ数が、半周以上か否かを判定し、半周以下の場合は正転により、半周以上の場合は逆転により運針することを決定する(ステップS715)。ここで、逆転時における駆動ステップ数は、1周のステップ数から、正転での駆動ステップ数を引いた値となる。
【0086】
制御部20は、分針64Bを運針する第4モータ64に駆動ステップ数を予約する。また、制御部20は、時針65Bを運針する第5モータ65に駆動ステップ数を予約する(ステップS717)。制御部20は、第4モータ64及び第5モータ65の駆動周波数を200[Hz]に設定し(ステップS719)、駆動部40に対して駆動パルスを出力することにより運針処理を実行する(ステップS721)。なお、駆動周波数は、記憶部30に記憶されている。運針には、
図14を参照しながら説明した1フレーム2モータ駆動処理が用いられてもよい。
【0087】
制御部20は、運針処理が終了した場合(ステップS723)、現在の時刻を表示する場合の1秒針63Bの位置を算出する(ステップS725)。次に、制御部20は、1秒針63Bの現在の指示位置(例えばストップウォッチ機能終了時における指示位置)から、算出された位置(現在の時刻位置)まで、1秒針63Bを正転で運針するために必要な駆動ステップ数を算出する(ステップS727)。制御部20は、算出された駆動ステップ数が、半周以上か否かを判定し、半周以下の場合は正転により、半周以上の場合は逆転により運針することを決定する(ステップS729)。
【0088】
制御部20は、1秒針63Bを運針する第3モータ63に駆動ステップ数を予約する(ステップS731)。制御部20は、第3モータ63の駆動周波数を100[Hz]に設定し(ステップS733)、駆動部40に対して駆動パルスを出力することにより運針処理を実行する(ステップS735)。なお、駆動周波数は、記憶部30に記憶されている。運針には、
図13を参照しながら説明した1フレーム1モータ駆動処理が用いられてもよい。
【0089】
制御部20は、運針処理が終了した場合(ステップS737)、1/10秒針62B及び1/100秒針61Bの現在の指示位置(例えばストップウォッチ機能終了時における指示位置)から、0位置まで、1/10秒針62B及び1/100秒針61Bを正転で運針するために必要な駆動ステップ数を算出する(ステップS739)。制御部20は、算出された駆動ステップ数が、半周以上か否かを判定し、半周以下の場合は正転により、半周以上の場合は逆転により運針することを決定する(ステップS741)。
【0090】
制御部20は、1/10秒針62Bを運針する第2モータ62に駆動ステップ数を予約する。また、制御部20は、1/100秒針61Bを運針する第1モータ61に駆動ステップ数を予約する(ステップS743)。制御部20は、第2モータ62及び第1モータ61の駆動周波数を200[Hz]に設定し(ステップS745)、駆動部40に対して駆動パルスを出力することにより運針処理を実行する(ステップS745)。なお、駆動周波数は、記憶部30に記憶されている。運針には、
図14を参照しながら説明した1フレーム2モータ駆動処理が用いられてもよい。制御部20は、運針処理が終了した場合(ステップS749)、処理を終了する。
【0091】
[実施形態のまとめ]
以上、説明した実施形態によれば、ステッピングモータ制御装置は、制御部20を備えることにより、複数のモータを駆動させる駆動部40に対して、駆動パルスを出力することによりモータを駆動させる。具体的には、本実施形態に係る時計1は、少なくとも第1モータ61と第2モータ62とを備える。第1モータ61は、所定の駆動周期で駆動され、第2モータ62は、第1モータ61の駆動周期と同一又は整数倍の駆動周期で駆動される。また、制御部20は、第1駆動パルスを出力することにより第1モータ61を駆動させ、第2駆動パルスを出力することにより第2モータ62を駆動させる。また、ステッピングモータ制御装置は、記憶部30を備えることにより、第1駆動パルスの幅と、第2駆動パルスの幅とを記憶する。
【0092】
また、ステッピングモータ制御装置によれば、第1駆動パルスのパルス幅と第2駆動パルスのパルス幅との合計が、第1モータ61の駆動周期(例えば5[ms])よりも長い場合に、第1モータ61の駆動周期の中で第1駆動パルスの一部と第2駆動パルスの少なくとも一部は同時に出力され、駆動周期の中で休止区間を有する。休止区間とは、第1駆動パルス及び第2駆動パルスの出力された後であって、次の第1モータ61の駆動周期の開始タイミングより前に第1駆動パルス及び第2駆動パルスのいずれも出力されていない区間である。本実施形態によれば、休止区間を設けることにより、電池10の端子電圧の低下を効果的に抑制しつつ、複数のモータを高速に駆動することができる。換言すれば、ステッピングモータ制御装置は、複数モータを同時に高速駆動した場合であっても、電池10の端子電圧の低下を抑制することができる。
【0093】
また、上述した実施形態によれば、記憶部30は、第1駆動パルスを出力してから第2駆動パルスを出力するまでの所定の時間を更に記憶し、制御部20は、第1駆動パルスを出力してから、所定の時間が経過した後に、第2駆動パルスを出力する。すなわち、本実施形態によれば、同時駆動される2つのモータの駆動パルスは同時に出力されない。したがって、本実施形態によれば、同時駆動されるモータの駆動開始タイミングをずらし、消費電流のピークの発生タイミングをずらすことができる。よって、本実施形態によれば、電池10の端子電圧の低下を抑制することができる。
【0094】
なお、第1駆動パルスを出力してから第2駆動パルスを出力するまでの所定の時間とは、例えば、最初に駆動するモータの第1パルスP1と同様であってもよい。この場合、記憶部30は、第1パルスP1の幅と別個独立して、第1駆動パルスを出力してから第2駆動パルスを出力するまでの所定の時間を記憶することを要しない。
【0095】
また、上述した実施形態によれば、記憶部30は、同時に駆動させることが可能なモータの数の上限値と、制御部20が制御する複数のモータそれぞれについての優先順位とを記憶する。制御部20は、同時に駆動させるモータの数が上限値を上回った場合、優先順位の高いモータから駆動させ、優先順位の高いモータが停止した後、次に優先順位の高いモータを駆動させる。本実施形態によれば、同時に駆動可能なモータのが図の上限値が限られているため、消費電流のピークを抑制することができ、電池10の端子電圧の低下を抑制することができる。
【0096】
また、上述した実施形態によれば、制御部20は、それぞれ異なる計測単位を有する複数のモータを駆動させ、記憶部30に記憶された優先順位は、モータの計測単位に応じて設定され、計測単位が小さいモータの優先順位は、計測単位が大きいモータの優先順位より高い。本実施形態によれば、計測単位が小さいモータの優先順位が高く、優先的に駆動させられるため、計測誤差を減らすことができる。
【0097】
また、上述した実施形態によれば、制御部20は、更に第3駆動パルスを出力することにより第3モータ63を駆動させ、記憶部30が記憶する、同時に駆動させることが可能なモータの数の上限値は2個である。本実施形態によれば、同時に駆動可能なモータの上限は2個に限定されているため、消費電流のピークを抑制することができ、電池10の端子電圧の低下を抑制することができる。
【0098】
また、上述した実施形態によれば、第1モータ61とは、1/100秒針61Bを駆動するモータであり、第2モータ62とは、1/10秒針62Bを駆動するモータであり、第3モータ63とは、1秒針63Bを駆動するモータである。また、本実施形態によれば、第1モータ61の優先順位が最も高く設定されている。本実施形態によれば、計測単位が最も小さい1/100秒針61Bを運針する第1モータ61の優先順位が最も高く設定されているため、優先的に駆動させられるため、計測誤差を減らすことができる。
【0099】
また、上述した実施形態によれば、制御部20は、所定のモータ同士を組みにして動作させ、組みにされたモータの動作が終了した後、次の組みのモータを駆動させる。ここで、同時に駆動されるモータの数に制限がある場合、異なる駆動周波数のモータをペアにすると、休止時間を確保できない箇所が発生してくるといった問題があった。本実施形態において、組みにされるモータとは、駆動周波数が同一であるモータであることが好適である。したがって、本実施形態によれば、異なる駆動周波数同士のモータを組みにせず、時間をずらして駆動することにより、確実に休止時間を確保することができる。結果として、ステッピングモータ制御装置は、複数モータを同時に高速駆動した場合であっても、電池10の端子電圧の低下を抑制することができる。
【0100】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明したが、具体的な構成が上述した実施形態に限られるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0101】
1…時計、2…ムーブメント、3…指針、10…電池、20…制御部、30…記憶部、40…駆動部、51…発振回路、52…分周回路、53…入力部、61…第1モータ、61A…第1輪列機構、61B…1/100秒針、62…第2モータ、62A…第2輪列機構、62B…1/10秒針、63…第3モータ、63A…第3輪列機構、63B…1秒針、64…第4モータ、64A…第4輪列機構、64B…分針、65…第5モータ、65A…第5輪列機構、65B…時針