(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129997
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】溶接用トーチおよびその溶接用トーチを用いた被接合部材の溶接方法
(51)【国際特許分類】
B23K 9/29 20060101AFI20240920BHJP
B23K 9/173 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B23K9/29 L
B23K9/173 D
B23K9/29 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039452
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大久保 浩弥
(72)【発明者】
【氏名】市川 和臣
【テーマコード(参考)】
4E001
【Fターム(参考)】
4E001AA03
4E001BB09
4E001CA01
4E001DA01
4E001DB04
4E001DD04
4E001DE01
4E001DF06
4E001EA09
4E001LB07
4E001LF02
4E001LH03
4E001LH06
4E001MB01
4E001NA01
(57)【要約】
【課題】品質の良好な溶接金属を得ることができる溶接用トーチおよびその溶接用トーチを用いた被接合部材の溶接方法を提案する。
【解決手段】溶接ワイヤを保持するコンタクトチップと、該コンタクトチップの周りを隙間を隔てて取り囲み、該隙間を通してシールドガスを供給するノズル本体とを備えた溶接用トーチにおいて、前記ノズル本体を、前記コンタクトチップをその全長にわたって取り囲むかまたは該コンタクトチップの少なくとも先端部分を残して取り囲む周壁と、該コンタクトチップの軸芯を挟む対向位置で該周壁の端部に突出保持される一対の舌片とを有するもので構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接ワイヤを保持するコンタクトチップと、該コンタクトチップの周りを隙間を隔てて取り囲み、該隙間を通してシールドガスを供給するノズル本体とを備え、
被接合部材の端面相互間に形成された開先部の溶接位置へ向けて該シールドガスを供給するとともに、該溶接ワイヤと溶接部位との間にアークを発生させつつ該ノズル本体を該コンタクトチップとともに該開先部の長手方向に沿い移動させることによって被接合部材を溶接、接合する溶接用トーチであって、
該ノズル本体は、該コンタクトチップをその全長にわたって取り囲むかまたは該コンタクトチップの少なくとも先端部分を残して取り囲む周壁と、該コンタクトチップの軸芯を挟む対向位置で該周壁の端部に突出保持される一対の舌片とを有することを特徴とする溶接用トーチ。
【請求項2】
前記一対の舌片は、前記開先部の面間寸法よりも小さい幅寸法を有することを特徴とする請求項1に記載した溶接用トーチ。
【請求項3】
前記一対の舌片は、その固定位置から先端に至るまでの長さが、最短でも前記コンタクトチップの先端に至るまでの長さよりも短い長さを有し、最長でも前記開先部の深さと同等の長さを有することを特徴とする請求項1または2に記載した溶接用トーチ。
【請求項4】
前記一対の舌片は、前記コンタクトチップの周りに沿う向きで、該コンタクトチップに対して凹となる湾曲板状片からなることを特徴とする請求項1または2に記載した溶接用トーチ。
【請求項5】
前記一対の舌片は、その背面および内面の少なくとも一方に装着され、該一対の舌片と同等、または、該一対の舌片よりも幅広になる耐熱、絶縁性のフレキシブルなシールド材を有することを特徴とする請求項1または2に記載した溶接用トーチ。
【請求項6】
請求項1または2に記載した溶接用トーチを用いて被接合部材を溶接する方法において、
前記一対の舌片の背面側を前記開先部の長手方向へ向けた溶接姿勢に保持して前記ノズル本体の少なくとも該一対の舌片を前記開先部の内側に位置させ、次いで、前記隙間を通して前記シールドガスを前記溶接位置へ向けて供給するとともに、前記溶接ワイヤと溶接部位との間にアークを発生させつつ該ノズル本体を該コンタクトチップとともに該開先部の長手方向に沿い移動させることによって被接合部材を溶接、接合することを特徴とする被接合部材の溶接方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被接合部材(鋼板、鋼管等の被溶接物)の端面相互間に形成された開先部が狭開先であり、その狭開先において溶接を実施して被接合部材同士を接合するのに好適な溶接用トーチおよびその溶接用トーチを用いた被接合部材の溶接方法に関するものである。
【0002】
なお、本発明において狭開先とは、開先形状が開先底部においてU型あるいはH型をなし、ルートギャップが0~5mm程度、開先角度が5°程度以下になるもの、すなわち、被接合部材の端面相互間の隙間が被接合部材の厚さ方向でほぼ同一になるものをいうこととする。
【背景技術】
【0003】
挟開先において被接合部材を溶接するのに適した溶接用トーチとしては、従来、シールドガスの、溶接位置への安定した供給を図るべく、開先内にガスノズルを挿入することができるように、コンタクトチップの周囲に扁平な断面形状を有するトーチノズルを備えたものが一般的に用いられていた。
【0004】
ところで、挟開先溶接に使用される従来の溶接用トーチは、ガスノズルの短径部とコンタクトチップとの間の隙間が小さいため、ガスノズルの短径方向では、シールドガスが流れ難くなり、コンタクトチップの周囲におけるシールドガスの流れが不均一になって良好な溶接が行えない不具合があった。また、コンタクトチップとガスノズルが短径部において接触、短絡することもあってコンタクトチップ、ガスノズルの損傷を引き起こすという問題もあった。
【0005】
従来の溶接用トーチにおいて生じていた上記の如き問題の解消を図る先行技術として、例えば、特許文献1には、金属製のノズルの先端に、耐熱性及び可撓性を有する絶縁材料からなる円筒状部材を装着した狭開先溶接用トーチが開示されている。また、特許文献2には、コンタクトチップの周囲に断面長円形のトーチノズルを設け、トーチノズル下端の短径部の両側に、下端から切込み部を形成した挟開先トーチノズルが開示されている。
【0006】
そして、上記特許文献1に開示された挟開溶接用トーチによれば、円筒状部材が可撓性を有するものからなっているため、開先に挿入したときはその内壁の形状に沿って圧縮変形され、円筒状部材と内壁との間に隙間が生じ難くなり、溶接位置への空気の流入が防止され、ブローホールなどの溶接欠陥の発生を防止することができるとされていた。また、上記特許文献2に開示されたトーチノズルによれば、切込み部を通して断面長円形のトーチノズルの短径部とコンタクトチップの間の狭い隙間にもシールドガスが十分に流れるようになるとともに、切込み部によりコンタクトチップとトーチノズルとの接触を防止することができるとされていた。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示のものは、狭開先部に挿入した場合、円筒状部材の短径部とコンタクトチップとの間の間隙が小さいため、円筒状部材の短径部方向ではシールドガスが流れ難いことからコンタクトチップの周囲におけるシールドガスの流れが依然として不均一となるのが避けられない。しかも、耐熱性及び可撓性を有する絶縁材料からなる円筒状部材の材質などに関する記載がなされておらず、部材の選定・入手性に課題が残されていた。
【0008】
また、特許文献2に開示されたものでは、狭開先用の偏平形状のトーチノズル下端に切り込まれた部分が、下端のごく一部に限定されるため、偏平形状のトーチノズルの短径部の大きさは、切り込みのないトーチノズルと同等であり、このトーチノズルを挟開先内に挿入するには、コンタクトチップのサイズが制限される不具合がある。また、コンタクトチップに保持される溶接ワイヤも直径の小さいものにせざるを得ず、溶接の作業効率が低下するのが避けられないばかりか、このようなトーチノズルを入手するにも制約があるのが現状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11-197841号公報
【特許文献2】実開平06-41972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、挟開先において被接合部材の溶接を行う場合に生じていた従来の問題を解消することができる溶接用トーチおよびその溶接用トーチを用いた被接合部材の溶接方法を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、溶接ワイヤを保持するコンタクトチップと、該コンタクトチップの周りを隙間を隔てて取り囲み、該隙間を通してシールドガスを供給するノズル本体とを備え、
被接合部材の端面相互間に形成された開先部の溶接位置へ向けて該シールドガスを供給するとともに、該溶接ワイヤと溶接部位との間にアークを発生させつつ該ノズル本体を該コンタクトチップとともに該開先部の長手方向に沿い移動させることによって被接合部材を溶接、接合する溶接用トーチであって、
該ノズル本体は、該コンタクトチップをその全長にわたって取り囲むかまたは該コンタクトチップの少なくとも先端部分を残して取り囲む周壁と、該コンタクトチップの軸芯を挟む対向位置で該周壁の端部に突出保持される一対の舌片とを有することを特徴とする溶接用トーチである。
【0012】
前記一対の舌片は、前記開先部の面間寸法よりも小さい幅寸法を有すること、前記一対の舌片は、その固定位置から先端に至るまでの長さが、最短でも前記コンタクトチップの先端に至るまでの長さよりも短い長さを有し、最長でも前記開先部の深さと同等の長さを有すること、前記一対の舌片は、前記コンタクトチップの周りに沿う向きで、該コンタクトチップに対して凹となる湾曲板状片からなること、さらに、前記一対の舌片は、その背面および内面の少なくとも一方に装着され、該一対の舌片と同等、または、該一対の舌片よりも幅広になる耐熱、絶縁性のフレキシブルなシールド材を有すること、が望ましい。
【0013】
また、本発明は、上記の構成からなる溶接用トーチを用いて被接合部材を溶接する方法において、前記一対の舌片の背面側を前記開先部の長手方向へ向けた溶接姿勢に保持して前記ノズル本体の少なくとも該一対の舌片を前記開先部の内側に位置させ、次いで、前記隙間を通して前記シールドガスを前記溶接位置へ向けて供給するとともに、前記溶接ワイヤと溶接部位との間にアークを発生させつつ該ノズル本体を該コンタクトチップとともに該開先部の長手方向に沿い移動させることによって被接合部材を溶接、接合することを特徴とする被接合部材の溶接方法である。
【0014】
本発明において、開先部の長手方向とは、被接合部材が矩形形状をなす板材であり、その長手方向の端面同士を向かい合わせに保持してその相互間に開先部が形成される場合にあっては、該板材の幅方向に沿う向きをいうものとし、被接合部材が、鋼管等の円筒状部材からなるものであり、その端面同士を向かい合わせに保持してその相互間に開先部が形成される場合にあっては、該円筒状部材の周りに沿う向きをいうものとする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、溶接位置への空気の侵入を極力遮断することが可能となり、品質の良好な溶接金属を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明にしたがう溶接用トーチの実施の形態をその先端部分について模式的に示した外観斜視図である。
【
図2】(a)~(c)は、
図1に示した溶接用トーチの平面(B-B断面)、側面(A-A断面)および底面をそれぞれ示した図である。
【
図5】(a)~(c)は、本発明にしたがう溶接用トーチの他の実施の形態の平面(E-E断面)、側面(D-D断面)および底面をそれぞれ示した図である。
【
図7】(a)~(c)は、本発明にしたがう溶接用トーチのさらに他の実施の形態の平面(H-H断面)、側面(G-G断面)および底面をそれぞれ示した図である。
【
図9】本発明にしたがう溶接用トーチを開先部に配置した状態を示した外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明にしたがう溶接用トーチの実施の形態をその先端部分について模式的に示した外観斜視図であり、
図2(a)~(c)は、
図1に示した溶接用トーチの平面(B-B断面)、側面(A-A断面)および底面をそれぞれ示した図であり、
図3は、
図2(b)のC-C断面を示した図である。
【0018】
図1~3における符号1は、溶接ワイヤWを保持するコンタクトチップである。コンタクトチップ1は、図示しない繰り出し機構により溶接ワイヤWを溶接の進行に合わせて所定の速度で溶接位置に向けて繰り出すことができるようになっている。
【0019】
また、
図1~3における符号2は、コンタクトチップ1の周りを隙間dを隔てて取り囲み、該隙間dを通してガス供給源(図示せず)からシールドガスを溶接位置へ向けて供給するノズル本体である。ノズル本体2は、コンタクトチップ1を取り囲む周壁2aと、該コンタクトチップ1の軸芯Lを挟む対向位置で該周壁2aの端部に突出保持された一対の舌片2bとを有している。ここで、周壁2aの端部とは、例えば、溶接用トーチの先端部を下向き姿勢に保持して溶接を行う場合にあっては、周壁2aの下端部をいうものとする。
【0020】
周壁2aは、コンタクトチップ1の先端部分を残して取り囲むもの、すなわち、周壁2aの端部(この例では、周壁2aの下端)からコンタクトチップ1の先端部分が露出するものを例として示したが、周壁2aは、コンタクトチップ1の全部を取り囲むものとしてもよく、この点は、図示のものに限定されない。
【0021】
一対の舌片2bは、被接合部材を溶接する際に、溶接位置への空気の侵入を抑制してブローホール等の溶接欠陥の発生を阻止して品質の安定した溶接金属を得るための遮蔽壁として機能する。
【0022】
コンタクトチップ1、ノズル本体2は、いずれも金属あるいはその他の部材(剛性、耐熱性を有するもの)で構成され、その形状は、必要に応じて適宜、変更することが可能であり、図示のものに限定されない。
【0023】
図4は、被接合部材3、4の端面相互間に形成された開先部の一例を模式的に示した図である。かかる開先部は、開先底部がU型(3R程度)をなし、ルートギャップgが0mm、開先角度θが5°程度以下、t1が7mm程度、t2が6mm程度、θ1が90°程度に設定された挟開先からなるものである。
【0024】
本発明にしたがう溶接用トーチにおいて、一対の舌片2bは、被接合部材3、4との接触による短絡を回避する観点から上掲
図4に示すような開先部の面間寸法(最も狭いところ)eよりも小さい幅寸法を有するものを適用することができる。なお、一対の舌片2bの幅寸法は、開先部の面間寸法の0.6~0.9倍程度としておくのが望ましい。
【0025】
一対の舌片2bの幅方向の端縁は、被接合部材3、4の端面に沿う端縁とするのが好ましく、これによれば、溶接開始時における隙間をより小さくすることができる。なお、本発明において、一対の舌片2bの幅寸法とは、被接合部材3、4の面間寸法eと平行な直線寸法e′(
図3参照)をいうこととする。
【0026】
また、一対の舌片2bは、その固定位置(溶接用トーチの先端部を下向き姿勢に保持して溶接を行う場合においては、周壁2aの下端またはその近傍域を固定位置とする)から先端に至るまでの長さfが、最短でもコンタクトチップ1の先端に至るまでの長さf′よりも短い長さを有し、最長でも開先部の深さhと同等の長さを有するものとするのが望ましく、これにより、溶接時に溶接位置への空気の侵入を効果的に抑制することができる。
【0027】
また、一対の舌片2bは、ノズル本体2が円筒形状からなるものにあっては、シールドガスの流れの均一化を図るため、コンタクトチップ1の周りに沿う向きで、該コンタクトチップ1に対して凹となる湾曲板状片とするのが望ましい。
【0028】
図5(a)~(c)、
図6は、本発明にしたがう溶接用トーチの他の実施の形態を示した図である。一対の舌片2bは、周壁2aの端部(下端面)に一体的に設けることもでき、かかる構成によれば、ノズル本体2の周壁2aと一対の舌片2bとを一部材で構成することが可能となり、一対の舌片2bをノズル本体2に接続する接続作業が省略され、かつ、部品点数の削減を図り得る利点がある。
【0029】
図7(a)~(c)、
図8は、本発明にしたがう溶接用トーチのさらに他の実施の形態を示した図である。一対の舌片2bの背面には、耐熱性、絶縁性を有するフレキシブルなシールド材5として、例えば、ガラス繊維を固めたものを装着しておくことができる。シールド材5は、一対の舌片2bの幅寸法よりも幅広である場合、その幅端部は、被接合部材3、4の端面に接触することになり、溶接位置への空気の流入を確実に阻止することができる。また、シールド材5が一対の舌片2bと同等の幅寸法を有するものにあっては、該一対の舌片2bを溶接熱から保護するためにその内周面に装着してもよい。
【0030】
本発明にしたがう溶接用トーチを用い、その先端部を下向き姿勢に保持して被接合部材3、4を溶接するには、
図9に示すように、一対の舌片2bの背面側が開先部の長手方向(溶接方向)に指向する姿勢に保持して被接合部材3、4の開先部の内側にノズル本体2の少なくとも該一対の舌片2bを位置させ、そして、ノズル本体2の隙間dを通してシールドガスを溶接位置に向けて供給するとともに、溶接ワイヤWと溶接部位との間にアークを発生させつつ該ノズル本体2をコンタクトチップ1とともに開先部の長手方向に沿い移動させればよく、本発明にしたがう溶接用トーチによれば、溶接部位においてシールドガスの流れが均一になり品質の高い溶接金属を得ることができる。
【0031】
ノズル本体2の周壁2aの径が20mm、ノズル本体2の周壁2aの下端からコンタクトチップの先端に至るまでの長さf′が約15mm、一対の舌片の幅が8mm、一対の舌片の長さfが10mmになる本発明にしたがう溶接用トーチ(適合トーチ)と、一対の舌片を備えない溶接用トーチ(比較トーチ)(その他の仕様は、本発明にしたがう溶接用トーチと同じもの)をそれぞれ用い、厚さ38mmの鋼板(鋼種:SM490A)を、ルートキャップg:0mm、開先角度θ:5°、底部形状:U型(3R)、面間寸法e:11mm、深さh:25mm、t1:7mm、t2:6mm、θ1:90°の挟開先で、下記の条件のもとに溶接を行い、得られた接合鋼板の溶接金属の品質についての調査を行った。
【0032】
狭開先側溶接条件:
溶接方法:炭酸ガスシールドアーク溶接
溶接ワイヤ径:1.6mm
シールドガスの流量:80ml/分程度
溶接電流:345~410A
溶接電圧:33~38V
パス数 :4
溶接速度:25~33cm/分
【0033】
その結果、適合トーチを用いて溶接を行った場合には、ブローホール等の溶接欠陥は発生せず、溶接部引張試験(引張強度)でも良好な結果であったのに対し、比較トーチを用いて溶接を行った場合にはブローホール等の溶接欠陥が発生したことから、適合トーチを用いた溶接では、溶接金属における品質が良好であることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、品質の良好な溶接金属を得ることができる溶接用トーチおよびその溶接用トーチを用いた被接合部材の溶接方法の提供が可能となる。
【符号の説明】
【0035】
1 コンタクトチップ
2 ノズル本体
2a 周壁
2b 一対の舌片
3 被接合部材
4 被接合部材
5 シールド材
W 溶接ワイヤ
d 隙間
L 軸芯
g ルートギャップ
θ 開先角度
θ1 角度
e 面間寸法
e′ 直線寸法
f、f′ 長さ
h 深さ